woa さんの感想・評価
3.0
笑ったら負けなのか
原作はみなみけで有名な桜庭コハルの漫画である。
小学校の5-2というクラスが舞台のギャグコメディである。対象が小学生だけにきわどい表現もあるが、哲学的な描写や音楽でごまかしているため純粋な心で見るのが正解だろう。そういうシーンへの振れ幅も含めてギャグと考えるべきなのだ。
どのエピソードもすべて印象が深いが、特にこの作品を代表していると思うのは2話のエガオという回で、カズミという無表情なキャラを主人公とヒロインのチカは様々な手段を行使して笑わせようとする。
この試みは主人公とチカが決して笑わないカズミに笑ってしまい返り討ちにあう。この失敗は結局カズミが笑わない事実よりも相手を笑わそうとして笑ってしまうとき、嬉しそうに負けているチカの方に主人公の視点が移ってることに注意するのが正しい見方だろう。勝っても笑わないカズミより負けているが笑っているチカの視点が本筋から考えても重要なのである。チカは何といっても正ヒロインなのだから。カズミが笑わない理由を詮索するのは主人公たちがやったように野暮な行為だということである。
チカ自身もカズミを笑わせることよりも、力づくと称して親友である彼女と戯れることに目的が変わっているからこそ「嬉しそう」に「負ける」ことが出来るのだ。チカの乱入によって主人公たちが最初ににらめっこでやっていたような単純な勝負は成立しなくなっているのである。
この脱線はこのアニメを見ているときに自分が感じたことに近い。ヒロインの大半が主人公に好意を向けているラブコメはジャンルとして純愛路線から脱線なのだ。向かっている場所は同じだがルートが違う。
TV版もあるが、自分は2話くらいで挫折した。同じ原作でも解釈がこうも違う作品も珍しいだろう。