学園で狼なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの学園で狼な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月24日の時点で一番の学園で狼なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

81.1 1 学園で狼なアニメランキング1位
ベン・トー(TVアニメ動画)

2011年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (2054)
10681人が棚に入れました
閉店間際のスーパーを訪れた主人公・佐藤洋はわけもわからないまま凄まじい戦いに巻き込まれてしまう。 それは《狼》と呼ばれし者たちによる、毎夜行われる夕食と誇りを懸けた半額弁当を求める争奪戦であった。 佐藤はひょんなことからハーフプライサー同好会という半額弁当を求めるためだけに存在する部活に所属することになり、先輩の槍水仙、そして同級生の白粉花と共に《狼》となってスーパーを駆け始める。 ……《アラシ》、《ダンドーと猟犬群》、《大猪》、そして従姉の《湖の麗人》、東区の狼たちを総動員して隣街からの大規模な侵攻作戦を展開した《ガブリエル・ラチェット》と《帝王》……。 半額弁当の前に立ち塞がる、二つ名という強者の証を持つ者たち。佐藤は彼らと技を競い、自らの誇りと生活を懸けて今夜もまたスーパーで激しい戦いを繰り広げる――。

声優・キャラクター
下野紘、伊瀬茉莉也、加藤英美里、悠木碧、茅野愛衣、宮野真守、竹達彩奈

たばこ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

徹底的に視聴者にツッコミをさせる仕組み

レビュータイトルの一言で全てを語りつくしてしまった感があるが。

設定のくだらなさ、かつ、その新鮮さは言うまでもないのだけれど、一番感心したのが、まさに

●常に視聴者につっこませる徹底っぷり

だ。

大体が、こういう「どうでもいいことにマジになっているアニメ」で一番しらけるのが、登場人物の中に「ちょっと冷めた奴」がいて、随時そいつが寒いツッコミを入れる、というパターンだ。

「何半額弁当ごときに、まじになってんですか」

なんてセリフを、アニメ内の何かのキャラに言わせようものなら、とんだ興ざめだったはずだ。

そうなれば、視聴者は「面白くも無い一人ノリツッコミ」を永遠見させられるハメになる。

制作サイドのマスターベーションになっていたはずだ。

「たかが弁当ごときに」という点を、アニメ内のキャラに言わせるのではなく、それを視聴者に言わせなければならない。

このアニメは、そこらへんが徹底している。

あらゆる登場人物が、真正面から、半額弁当と向き合い、悩み、葛藤し、格闘する。

全ての登場人物が、だ。

それを傍目からちゃかしたり、ガヤを入れる脇役キャラは一切存在しない。

だから、視聴者は、うっかり「このわけのわからん、半額弁当バトル」にいつの間にか引き込まれる一方で、ふと「いやいや、なに弁当ごときにまじになってんですかw」と自らツッコミを入れざるを得ない、という絶妙なバランスに身を置くことになる。

ここら辺の徹底っぷりが、単なる斬新な設定だけではないこのアニメの評価ポイントだ。

もっと言うと、このアニメは設定が面白いのではないのだ。
その面白い設定をしっかりと活かしきれたことこそが、面白いのだ。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 51

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

いつーも素敵~♪ ホーキーマート~♪(*´∇`*)

■「ベン・トー」ってどんなアニメなの?σ(゚・゚*)ンート・・・
ラノベ原作の弁当争奪ドタバタコメディってところでしょうね!
何の変哲も無いどこにでもあるようなスーパーで、ある特定の時間に繰り広げられる異様な光景・・・
物の価値がその一瞬で半減してしまう魔法のシール・・・そ・れ・が・・・「半額シール」なのです!
そうなんです、この作品のストーリーは至って単純明快、残り物の弁当に「半額シール」が貼られた瞬間に行われる弁当争奪戦を描いた世にも珍しい物語なのです♪
 
 
■「ベン・トー」と初めて出逢った日の日記((φ(~∇~*)カキカキ
こっこれは・・・面白いのです♪
スーパーなどで見かける半額シールってとっても得した気分になれますよね!
ちょっとだけ買うのが恥ずかしい気もしますけど、今日食べちゃうから気にしなーいって思いますよね♪
今ではありきたりな日常に普通に溶け込んでいる「半額シール付き弁当」をここまで熱く、真剣に、それでいてバカバカしく描ききっているので、なんだか新鮮で面白いですし、観ていてとっても気持ちが良いです(*^-^)
 
メインキャラはすぐ覚えられるくらい個性的で、それ以外のキャラも個性的で手抜きがないのです♪
しかも物語のテンポが良くってキャラも良く動くので、弁当争奪戦の壮絶なバトルの描写も見事なまでに描かれているのですよ!
作画に関しては部分的に驚異的なクオリティを発揮する場面がありますね(*'ω'*)......ん?
フェチシズムを感じる程に「絶対領域」や「パンスト」描写の力の入れ方がすごいのですよ・・・w
そんな、バカっぽいこだわりや、センスの無い弁当の名前など、突っ込みどころ満載ですけど、掴みはバッチリで好スタートがきれた印象でした♪
Σ\( ̄ー ̄;)ナンデヤネンって突っ込みながら楽しく観れる作品になりそうなので、この勢いを持続できる事を祈りたいと思ってます♪
 
 
■総評
最初から最後までブレがないストーリー展開、悪く言えばワンパターンw
はじめてみたときのインパクトが大きかっただけに、慣れてくると中だるみって感覚が芽生えてきました♪
でも、頭使わずにおバカな弁当争奪戦を見ていると微笑ましくも思えてきちゃったりして(*^_^*)
『狼』と言われる弁当争奪戦の常連さん達には二つ名が付けられているのですけど、二つ名の由来もどーでも良いようなエピソードから付けられているんですよねw
そんな愛嬌のある『狼』さん達は、プライドが高く、それでいてお互いを認め合っていたりしてなんだか戦うのが楽しそうでしたよね♪
正々堂々と戦ってこそおいしく弁当が食べられるってなんだか分かる気がします♪
確かに運動したり、お掃除したり、お仕事して汗を掻いた後のお弁当はとってもおいしいです!
ヾ(@⌒¬⌒@)ノ ウマヒィ

実はこの作品で一番感心したのは、バトルシーンでした♪
緩急をつけたキャラの動きは、スピード感があって爽快の一言でしたね!
それとカメラワークが抜群に良かったです!
派手な演出はないのですけど、多角的かつ立体的で緩急をつけたスピード感も加わって、半額弁当争奪戦を盛り上げてくれましたねゴシゴシ(-_\)(/_-)三( ゚Д゚) ス、スゲー!
肉弾戦でこれだけの迫力は今期のバトル物のなかでも3本の指に入るくらいだったと思ってますε- (´ー`*)

ストーリーは先が読めるくらいの物ですけど、気持ちよく観れるアニメって感じでした♪
まぁ現実のスーパーでは若者よりも、主婦の目が光ってますけどねw(-ω☆)キラリ

■お・ま・け
白粉花[oshiroi hana]ちゃん役の悠木碧さんを初めてすごいなぁって思っちゃいました♪
えっなぜかって・・・(;・∀・)?

『SDGO!』創刊号特別付録ドラマCD「2.うめうめうめ」をとにかく聴いてみてください!

いきなり若本さん登場で卑猥な妄想シーンから始まるんですけど・・・∑('◇'*)エェッ!?
白粉ちゃんの暴走妄想シーンがものすごいことになってますw
本当に声優さんってすごいなぁって思う内容でした∑(=゚ω゚=;)
あおいちゃんお疲れ様ですw


■MUSIC♫
OP曲『LIVE for LIFE 〜狼たちの夜〜
 【歌】愛美
 タイアップ曲らしく弁当争奪戦の勢いを感じられるナンバーですね♪
 鼻にかかった男っぽい歌い方が特徴ですね(#^^#)
 
OP曲『Treasure!』(4話)
 【歌】著莪あやめ(加藤英美里)
 この3人の中では声量も音域も広いので、テンポの早い曲でも安心して聴けるのが彼女の魅力♪
 さすが声優さんらしくとっても器用ですね♪⌒ヽ(*゚O゚)ノ サスガ!!!
 化物語の八九寺ちゃんの「帰り道」って曲と較べると器用さがよーくわかりますw
 (「Treasure!」と、その他「ベン・トー」な歌つめ合わせ)ってアルバムの曲で、
 『ひとくち♡ちょうだい』が意外と隠れ名曲なんですよ♪

ED曲『笑顔の法則』
 【歌】槍水仙(伊瀬茉莉也)
 囁くようなウィスパーボイスの可愛い歌声とED曲ならではのしっとりと聴かせるナンバーです♪

 
2011.10.13・第一の手記
2011.12.30・第二の手記(追記:■総評、■お・ま・け)
2012.01.12・第三の手記(追記:■MUSIC)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 70

メア さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

柴乃櫂人先生の絵が動いていました

この作品の特徴は『設定』
半額弁当を手に入れるために本気で争うという面白おかしな設定が魅力だったんだろう。
そして何より、その設定を生んだのが(原作著者様の)アサウラ先生の大学時代の体験談というのがこれまた一興。
いいね、このハチャメチャライフ♪

中身は上記通り半額弁当を争う設定で
ギャグ、バトル、感動とごちゃまぜになってた。
それがよさなんですけどね。
ただ、この設定に慣れ過ぎてしまうと中盤ちょっと飽きるかもしれません。
まだ見てない方はどちらかというと、一気に見ることをお薦め。

キャラ設定も結構輝いていた、かな?
主人公はそれなりにヘンタイですけど、ヘタレではないし。

音楽はOPはよかったです。
なんだかんだで内容と歌詞がマッチしていたね。
ただ、残念ながらEDが好みではなかったの。
嫌いまではいかないけど、好きではない。
普通よりちょっとしたくらいでした。








最後に。
ボクが何よりうれしかったのは
『柴乃櫂人先生の絵が動いていた』こと
単に柴乃先生の描くイラストのファンなだけです。

いじょ







雑なので後更新
(2012/01/16)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 15

77.7 2 学園で狼なアニメランキング2位
BEASTARS(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (356)
1550人が棚に入れました
肉食獣と草食獣の共存する世界。食肉が重罪とされるなか、名門校・チェリートン学園で演劇部の生徒が食い殺される“食殺事件"が起きる。犯人は見つからず、不安に揺れる生徒たち。そんな中、演劇部では死んだ生徒の代役を巡っていさかいが起きる。次期『ビースター』候補とささやかれ、演劇部のカリスマ的存在であるアカシカのルイに、逆恨みをした肉食獣の部員が襲いかかったのだ。それを庇ったのは、照明係の二年生・レゴシ。『鋭い爪』や『大きな体』など、強そうな外見とは裏腹に、心優しく無口で不器用なオスのハイイロオオカミだ。だが、当のルイはそんなレゴシを偽善的で気に食わないと言い、強引に夜間練習の見張りに任命する。夜。誰もいない講堂裏の裏庭で、ひとり見張りをしていたレゴシの前に現れたのは―――小さな白いドワーフウサギの女子生徒・ハル。その匂いを嗅いだ瞬間、レゴシの体を本能が駆け巡る。我を忘れて襲いかかり、気付いた時には、彼女を両腕に抱きすくめていた。腕の中で聞こえる鼓動が自分のものか、彼女のものかもわからない。しかしこのハルと、そして自分の本能との出会いが、静かで穏やかだったレゴシの人生を大きく変えていく。彼女へのこの感情は、恋なのか? それとも食欲なのか?オスとメス、肉食獣と草食獣。それぞれの痛み、そして強さや弱さに直面しながら、悩めるレゴシの青春がいま始まった―――

声優・キャラクター
小林親弘、千本木彩花、小野友樹、種﨑敦美、榎木淳弥、内田雄馬、大塚剛央、小林直人、下妻由幸、岡本信彦、落合福嗣、虎島貴明、渡部紗弓、室元気、井口祐一、原優子、兼政郁人、大内茜、山村響、あんどうさくら、大塚明夫、星野充昭、堀内賢雄
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

いろいろと生々しいのよ

原作未読


原作者の方。『バキ』を描いてる漫画家の娘さんらしいですね。すげー!
どうやら“動物の本能”を突き詰めたい血筋は変わらないようです。

“本能”を突き詰めすぎてもはやギャグ。荒唐無稽さを楽しむ良質なエンタメ作品を輩出している父。

対して本作『BEASTERS』では

“本能”を突き詰めたついでに社会の矛盾も浮かび上がらせる深みとコクを醸し出す娘。

サムネから想像するに、見た目重視。ケモナー優先。各動物の特性をなぞるかのようなキャラ設定。鳥獣戯画に毛の生えた擬人化ものを想像してました。とりあえず二足歩行させてやることは人間と一緒!みたいなやつです。

全然違いました。もちろん良い意味で、です。
草食動物と肉食動物を擬人化させて、彼らの特性を残しつつもそこに共存している世界を描いた作品。
食物連鎖をガン無視した統治機構を作り、そのための教育を施して理性キープしてますよという表部分と、蓋をしていても肉をどうしても食べたいという本能が見え隠れする裏の部分。その間で揺れ動くハイイロオオカミのレゴシ(CV小林親弘)が主人公です。揺れ動くのはレゴシだけでなく、肉食も草食も関係なく登場キャラたち軒並み葛藤している模様。そもそも本能に蓋をした社会は不健全であり、一見平和な世界そのものが揺れ動いている。そんな不穏さを孕みながら物語は進行します。これが大枠の背景。

そんなシビアな背景を原動力として、肉食動物の中でもそこそこ強い部類らしいハイイロオオカミとは対極の最弱の草食動物ドワーフ種ウサギのハル(CV千本木彩花)との恋物語がメインのストーリーです。一応この世界の恋のルールだったりその他常識については本編でお確かめ下さいね。
とりあえず二足歩行させてみた的な浅さとは程遠いと感じた次第です。


動物もの!?は無条件でパクッと喰いつく層以外でない、むしろ逆で安易な擬人化ものに辟易しているかもしれないあなた! …いいですよこれ。
やりとりされる会話の生々しさは2019年秋期もので断トツです。リアル世界に近いものがあります。そして、肉食と草食の両動物のフィルターを通した独自の世界観は新鮮に映ります。もの凄くファンタジーな世界で繰り広げられる生々しいやりとりと心の機微のリアルさ加減で充分楽しめるかと思います。

本能と理性という二項の対立/葛藤/調整なんて定番のネタでもあったりするので、いい感じでリアル世界の暗喩的なあれやこれやも感じる良作。
言い忘れてましたが、OPは音とアニメーション両方ともこのクールベストかも。ジャズファンク調リズムに乗った手のかかってそうなパペットアニメの組み合わせが素敵な一曲。
これは良いです(小並感) 2期決定したようなので今から楽しみですね。



※ネタバレ所感

■本能を無視すりゃ破綻しますよ

ナチュラリストを無条件で礼賛するほど極論には振れませんが、“自然”の対義語は“不自然”であるという常識(笑) 
この歪んだ世界は変わらずにいられるのでしょうか?

{netabare}レゴシと同族のジュノは「(対肉食への差別が)中学はそんなにひどくなかった」と高校に上がって社会の抱える歪みのひとつに直面。さらに別のシーンでは高校を卒業すれば闇市にも自由に行けることも。
人間と一緒。「お友達みんなと仲良くしましょう」の幼稚園時代から始まって徐々にやっかいな現実に触れていき、社会に出る頃には幼少期のそれは幻想と知る。段階を経て現実を知っていくのです。
ところがどっこい、BEASTERSの世界では幼稚園時代の理想がまかり通る世界。ライオン市長もいろいろ無理して“ライオンは怖くない”イメージ形成に成功したようですが、シシ組との棲み分け等々…蓋をしないとどうにもならないものを抱えざるを得ません。
“みんなと仲良くしましょう”という理想の実現のため歪みが肥大化しきって爆発しそうなのです。{/netabare}

{netabare}「メスは争いが嫌いです。(ジュノ)」に返す刀で「君ほど強欲なメスは違うだろ。(レン)」
矛盾を孕んだ世界を喝破する表現は随所にあるわけでした。{/netabare}



■ロミジュリを凌駕するほど二人を隔てる壁が

{netabare}「捕食者の本能があれば被食者の本能もある」{/netabare}
{netabare}「然るべき関係は体が一番知っている」{/netabare}

最終回で流れたテロップが示唆するところは?

{netabare}肉食草食同士、仲良くやろうという社会の中で、肉食草食同士の交合はご法度という世界観。
前者ですら危うい綱渡りをしているのに、さらにハードルが上がりもはや禁忌の世界。これを打ち破る可能性を秘めてるのがレゴシとハルの関係性ですわな。{/netabare}

どう畳むんでしょう。楽しみでしかありません。



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------


2020.01.23 初稿
2020.07.16 修正
2022.01.23 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 51

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

本能に抗え

アニメーション製作:オレンジ、
監督:松見真一、脚本:樋口七海
キャラクターデザイン:大津直、
音楽:神前暁(MONACA)、原作:板垣巴留

しょう油顔、ソース顔という
男性の顔の方向性を表現する言葉があった。
「顔」は、ある意味、その人そのものであって、
私たちは一生逃れることはできない。
自分の顔が気に入らなくて整形を繰り返す人もいるが、
結局は自分自身を覆う「何か」は、
死ぬまで付いて回る。

そして「草食系」「肉食系」という
人間の生態や性格を指す言葉もある。
これは、努力によって変えることが
できるものかもしれないが、
もしそれが動物のことなら、
遺伝子レベルのものから逃れることは不可能だろう。

BEASTARSは、動物を擬人化した物語。
登場人物は全員が動物の設定のため、
本能から逃れることはできないはずだ。
しかし、それでも自分の想いを実現させようと
抗い続け、挑戦し続ける者たちがいる。
これは、何かの業に縛られた者が、
「想い」の力によって大切なものののために
本能を飛び越えようとする
信念の物語ともいえるだろう。

物語の中心は演劇部に所属する
ハイイロオオカミのレゴシとアカシカのルイ。
彼らは、自分たちの宿命から逃れるために
想いを募らせていく。
レゴシはドワーフウサギのハルを好きになったことで、
自分の本能について深く考えるようになる。
一方、ルイは肉食、草食という動物社会における
地位の格差について変革を起こす野心を抱いている。
これは人間社会に置き換えるなら、
民族主義的な部分で将来を嘱望されている黒人と
ずば抜けた才能を持った白人によって繰り広げられる
戦いの物語という構図になるのかもしれない。
ただ、これに動物の「本能」という宿命を
付加させることで物語を興味深いものとしている。

レゴシとルイのそれぞれの葛藤を演劇によって表現した
3~4話で物語の深みに引き込まれる。
草食獣の代表として地位を掴み取ることが
悲願であるルイ。そして、オオカミの本能と
自身の平時における性格の違いに戸惑うレゴシとの
対比が実に上手く描かれている。
さらに、ほかの動物たちの思惑も絡み合い、
複雑な様相を呈しているのは、
まさに人間社会そのものだ。

学園内で起こった重罪とされる食殺事件、
動物社会で草食獣が「BEASTAR」に選ばれる意味、
肉食獣、草食獣が共存する世界における
政治家たちの思惑と現実、
レゴシの内面を覆いつくす真っ直ぐな想いと
正しい行い、そして恋心。
さまざまな要素が溶け合って、
あまり今まで味わったことのない
複雑な感情が湧き上がってくる。

人間たちの奥底にある様々な感情を
分かりやすい形で炙り出した群像劇。
続編も決定しており、まだまだ途中なので、
高評価するには早い段階だが、
起承転結のある優れたシリーズ構成によって、
挑戦的な作風を1クールでしっかり見せてくれた。
ジャズを意識した劇中曲やOP、
そして数種類用意されたEDも聴き応え十分。
これまでにない新しいアニメーションを
紡いでくれるのではと期待できる。

草食獣と肉食獣が共存する新しい地平。
それは、どこかにあるのだろうか。
(2020年3月7日初投稿)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 54
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

人間の条件

板垣巴留原作、制作オレンジ。

擬人化された動物たちの物語が、
メジャー少年誌の看板になる。
その時点で物語に一定の力があるのだろう。

17歳、肉食獣のハイイロオオカミ、
身体は大きく繊細な心を持つ主人公レゴシ。
彼は肉食獣としての生き方に葛藤している。

興味深いのはよくある、
少数・多数や、勝者・敗者の関係性ではなく、
肉食と草食で対比している点だ。
この気持ちは「恋」なのか!?の後に、
それとも「食欲」なのか!?が配置されている。

当然、共存する社会の在り方や、
本能の抑制、倫理の確立が問題となる。
僕は単純に擬人化された物語は苦手である。
しかしながら擬人化した理由があるはずだ。

4話視聴追記。
人の持つ機敏な「感情表現」が、
あまりにも豊潤に表現され伝わる。
演劇内演劇の入れ子構造が様々な仕掛けを生む。
{netabare}捕食する側と捕食される側の論理。
否が応でも「他者」を考えさせられる。{/netabare}

最終話視聴追記。
レゴシに称賛を贈らねばならない。
落ち着いた声が素晴らしくキャラに馴染む。
肉食に・草食に生まれた存在意義、
その中で他者とどう分かり合えるのか。
レゴシはきっと見つけたのだ。
本能にも勝る偉大で崇高な感情を。

ここからが勝負どころである。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 52
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