嫉妬で昭和なTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の嫉妬で昭和な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月14日の時点で一番の嫉妬で昭和なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

81.2 1 嫉妬で昭和なアニメランキング1位
昭和元禄落語心中(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (904)
4161人が棚に入れました
昭和の落語界を舞台にした噺家の愛おしき素顔と業を描いた作品

師匠と交わした約束を 胸にしまって芸を磨き ついに与太郎、真打に。 射止めた名跡は三代目助六。 八雲師匠の為め、助六の血を継ぐ小夏の為め、 焦がれて手にしたはずなのに、 おのれの落語が揺るぎだす――。 八雲と小夏、二人の中の助六を変える為めの 与太郎の落語とは――!?

声優・キャラクター
関智一、石田彰、山寺宏一、小林ゆう、林原めぐみ、家中宏、牛山茂、山口勝平、加瀬康之、須藤翔、茶風林、遊佐浩二、林家しん平

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

流行に阿らない作品?(NHKで実写ドラマ化、10/12より放送)

同タイトルの漫画が原作らしい。(原作未読)
このレビューは1期目のもので、2期目の制作が決まっているらしい。

本作の登場人物には落語を演じるシーンが必要な人がいるわけだが、それらのキャストのオーディションでの当落基準に「落語を演じられること」というのがあったらしい。

その真偽は確認していないが、それが信じられるくらいにキャストは落語を熱演している。

そして本作品の登場人物のの人間臭さと、噺の中の登場人物の人間臭さとが重ねあわされるようなストーリーにはなかなか重厚感があると思う。

キャラクターデザインはおそらく原作を踏襲しているのだと思うが、いわゆる「アニメ絵」風ではない。だがそれは「キャラクターデザインの問題」であって、作画が悪いということではなくむしろ良い。

演出や美術なども近年の作品にはあまりない感じであまり似ている作品は思い浮かばない。(もしかしたら『御先祖様万々歳!』とかは少し似ているかも? でもあれはもっと「舞台劇風」な画面だしなあ…。)

いかにも老舗のスタジオディーンが制作しているっぽい作品である。

とにかく作品全体から「世の中に愛される『落語』であって欲しい」という願い、危機感みたいなものが随所に感じられることと「落語は人生そのものだ」みたいな娯楽としての落語の意味みたいなものがにじみ出ている。

すごく面白かったが、これがアニメ作品として売れるかどうかは良くわからない。売れたら良いね…。

2018.10.6追記:
10/12よりNHK ドラマ10枠で連続ドラマとして放送されるそうです。さて、どうなることか…?

投稿 : 2024/11/09
♥ : 70
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

実写映画化してもヒットしそうな印象を受けた=シナリオとテーマ性に長けたリアル系のアニメ

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
落語をテーマにした、唯一無二の作品。

声優さんの力を感じる、名作。

アニメ史にキッチリ残すべき作品だと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まず、ド正面から「落語」に向き合ったアニメってのは珍しいですね。第1話で「出来心」という演目をまるっと見せてしまう(そして、それを楽しんで観られてしまう)驚き! 落語そのものの魅力に自信がある、もしくは伝えたいって気持ちが伝わります。

私は落語には疎いです。実際に落語を観たのも寄席に行ったのも付き合いで数回ってところです。好きな咄家さんもいません。素朴な疑問として、(初見ならまだしも)「ストーリーが分かっている話を何度も聞いて面白いのか?」というものがあります。

それを落語好きな友人に話を聞いてみると、「落語は音楽。歌だって、好きな歌手の好きな歌なら何度でも聞きたいって思うし、ファンなら、年月を重ねるごとの変化、その日の体調や気分によって微妙に変わる歌い(話し)っぷりを楽しめる。それから、同じ曲でも歌い手が変われば、カバー曲みたいで楽しめるよね。客との関係性(即興性)も、例えればジャズだよ」と言われました。

なるほどな~と思うました。私の大学時代の(文学部の)恩師の持論で、「ミステリーは基本的に古典になり得ない」というものがありました。それは、「ミステリーとは基本的にストーリーを楽しむもので、一度読んでオチが分かってしまえば再読しようと思えない。でも、ストーリーが分かっているのに何度も読みたくなる文章というのは確かにある。それは、表現の妙だったり言葉のリズムであったり、そこに日本語の美しさ、心地よさがある文章だからである。そういう作品こそ、再読にも再々読にも耐えられ、読解にも値し、古典になっていける作品である」というものがありました。

アニメでもそうですよね~。例えば私は、「とらドラ」とかストーリー分かっていても何度も観ちゃうけど、あれは「とらドラの空気感に浸りたい」ってのが大きいんですよね。耳に目に、心地いいんですよ。

落語の魅力ってのも、そういう類いのものなのでしょう。「昭和元禄落語心中」にも、そういう「落語の魅力」が詰まっていました。

また、ストーリー的にもそれぞれの登場人物が辛い過去を抱え、その傷を落語を通して乗り越えていこうともがく様子には感動を覚えました。七代目八雲の苦悩、血の繋がりを越えた師弟愛。そして、八代目八雲(菊比古)と助六との友情を越えた絆。月と太陽のような対照的な二人。菊比古が助六に、助六が菊比古に抱く、嫉妬やら憧れやらの混ざりあった複雑な感情。そして、女の怖さ、愛憎劇。偏愛。死。所々、落語の話を元ネタにしたようなストーリーも。(一期の)ラストはちゃんとコメディで占める。なんだか色んなものを詰め込んだのに、それを一本の筋としてまとめきった素晴らしい脚本。それ自体が落語のような物語でした。

最終話でいきなり与太郎が真打ちになってて、? って思ったけど、よくよく考えれば、「前座→二枚目→真打ち」の流れは菊比古編で描いているわけだから、あえてスパッと切ったのは英断ですね。そして与太郎を使い、助六が経験できなかった、真打ちになってからの苦しみや喜びを表現する、と。うん、無駄がない。

さらに、戦争という時代を描いた社会派の物語としても一見の価値あり。戦中戦後に、落語などの日本の伝統的な娯楽産業がどのように落ちぶれていったか、また、その中で落語を残そうともがく人々の様子。終戦後に初めて行われた寄席の緞帳が上がった時の、「何も無ぇ時代だからこそ、舌三寸の落語の腕の見せ所よ」という助六の台詞にはグッときた。昔、ある咄家さんが、「座布団一枚と扇子に着物があれば、どこででも落語は出来る」と言っていたのを思い出し、落語の強さを感じました。

う~ん、このアニメはやっぱり、タイトルで損している気がする。私も、「元禄」「心中」あたりにひっかかってて、視聴を避けてましたし。あ~、観て良かった♪

最後に、やはりこのアニメで光ったのは声優陣の凄さでした。いや、だって、落語になってるしね(汗)どれだけ練習したんでしょう? 凄いね、声優って。

2期決定らしいですね。1話最後に八雲が、「長い夜になりそうだ」と言っていたけど、(2~3話の過去編かと思っていたのに)ここまで長い夜になるとは思わなかった(笑) 2期前提ってことだったのでしょう。2期ではきっと、与太郎の成長が見られるのだろうし、楽しみです!!
{/netabare}

【余談 ~実写化した場合の配役案w~】
→以前書いた文章
多分、いつか実写化するはず。そして、この中の何人かは当たる気もする(笑)

→やっぱり実写化されましたね。実際の配役は、

八代目 有楽亭八雲(菊比古)…岡田将生。
有楽亭与太郎…竜星涼。
小夏…成海璃子。
みよ吉…大政絢。
有楽亭助六(初太郎)…山崎育三郎。
松田さん…篠井英介。

でした。アニメ放送当時に希望した、私の配役案と、どっちが良いですかね?(笑)

{netabare}
与太郎編の配役。 ( )内は第2希望

与太郎→生田斗真(小栗旬)
八雲→堺雅人(佐々木蔵之介)→白髪バージョンは無しの方向でw
小夏→二階堂ふみ(戸田恵梨香)
松田さん→近藤正臣(中原丈雄)
ヤクザ兄貴→やべきょうすけ(千原ジュニアw 落語大好きだし)
ゲスト出演→春風亭昇太(か、林家たい平。笑点メンバーのガチな落語を観たい人は多いはず。落語界にもメリットはある)


菊比古編の配役(妄想)

菊比古→二宮和也(窪田正孝)
初太郎→桐谷健太(山田孝之)
七代目八雲→立川談春(風間杜夫)
みよ吉→菜々緒(仲間由紀恵)

こんな感じでどうでしょう(笑) 全体的に(原作に比べて)年齢層高めになっちゃったのと、与太郎と小夏、菊比子とみよ吉の年齢が逆転しちゃったのが難点ですが、イメージ重視の配役です(だって、10代の演技力無いジャニタレには落語は無理そうだし、そうなると、相対的にアラフォー女優さんになるけど、それで若い人を呼べるか疑問にも思うから)。

さて、レビュータイトルの件ですが、素直にそう思いました。このアニメ、とても良いアニメで久々に(このすば以来の評価5で)夢中になれましたが、このリアリティある作風に重厚なストーリー。冷静に考えればあえてアニメである必要はないとも思いました。むしろ、実写向きでは?

与太郎は、ジャニーズでもイケメン若手俳優でもいけそうだし、小夏も、若手の人気女優(清純派女優の新たな一面を見せるとか)いけそうだし、(8代目)八雲に関しては、堺雅人さんにしか思えない(笑) あとは、リアルガチな大物咄家さんをゲスト出演させれば、話題は作れる。最近は落語ブームで、若い女性も観に行くらしいですし、中年以降の落語ファンにもウケそう。イメージは「ちはやふる(劇場版)」。

ストーリー(八雲と助六の過去編)を短縮(か省略)させて、(おそらく2期で描かれる)与太郎の成長にしぼれば映画の尺でもいけそう! そしてヒットしたら、八雲&助六の過去編をスピンオフで劇場公開(笑) もしくは、先に八雲&助六の過去編を公開。続いて後編として与太郎編を公開(アニメ通りの構成)。うまくいけば、落語ブームという社会現象を起こせるかもよw
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 61

ニャンキチ君 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

時代の波にのってかえていく者と 抗いかわらぬ者

 原作は未読で、落語はあまり詳しくないのですが、故桂枝雀さんの落語はおもしろかったですね。 それと笑点のTVは大好きという程度です。

 さてアニメの方ですが、1話でグッと引き込まれてしまいました。
 
 作画もキャラ達も良くて 登場人物の声優さん達の声の演技はさすがですね。聞き惚れてしまいやした。艶っぽい声にぞくぞくしたり いきよい良く乗った声にこちらも楽しくなったり OPの音楽は毎回 ワクワクさせてくれました。そして ノスタルジーを誘う 穏やかなEDが流れるいいね。  


 他人の人生を垣間見る。まさに人生いろいろ。 でも自分もそこに居合わせているような感覚を与えてくれるアニメでした。2期が楽しみです。



 初老の菊比古さんシブくて素敵です。^^

投稿 : 2024/11/09
♥ : 50

64.0 2 嫉妬で昭和なアニメランキング2位
キャシャーン Sins(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (66)
384人が棚に入れました
荒廃した世界にて、長い眠りから目覚めたキャシャーン。目覚める前の記憶を失っていた彼は、何故か襲い掛かってくる敵と戦いながら自らの記憶を取り戻さんとする。荒野をさすらうキャシャーンは、やがて様々なロボットや人間と出会い、自身の背負った“罪”を知ることになるのだった……。

声優・キャラクター
古谷徹、宮原永海、皆口裕子、チョー、矢島晶子、森川智之、小山茉美、内海賢二

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

雰囲気だけで御飯3杯はイケる?!傑出したダークな世界観

【レビューNo.100】(初回登録:2023/12/24)
オリジナルアニメで2008年作品。全24話。
「レビュー100本記念」はこれでいきたいなと。
他のレビュアーさんとやりとりして、昭和のアニメ「ガッチャマン」や「キャ
シャーン」を知らない世代に軽くショックを受けたので。
(冷静に考えるとウチの娘たちも絶対知らんわwww)
なので、その辺りのアニメも取り上げてみようと。
とはいえ、今更昭和の作品そのものを取り上げるものいかがなものかと思い、
平成にカムバックしていた本作を紹介しようと。

(ストーリー)
長い眠りから目覚めるも、それ以前の記憶を失っていたキャシャーン。
しかしその間にロボットを含む全世界は「滅び」が進む荒廃した世界へと変わ
ってしまっていた。
「キャシャーンを食らうと永遠の命が手に入る」
そんな噂に群がり、キャシャーンに襲い掛かってくる「滅び」に冒されたロボ
ット達。そして
「お前が犯した『罪』を思い出すまで許さない!!」
と、キャシャーンに付きまとう女ロボットのリューズ。
荒野をさすらうキャシャーンは、襲い掛かってくる敵と戦いながら自らの記憶
を取り戻さんとする。やがて様々なロボットや人間と出会い、自身の背負った
「罪」 を知ることになるのだった。
※ロボットの「滅び」
 → 体中に錆が発生し、部品交換も適わず朽ち果てていく現象。
   (それまで不死身に存在だったロボットに訪れた「死」という概念)

(評 価)
・昭和の名作を大人向けに見事にブラッシュアップ
 ・「キャシャーン」は昭和アニメで、ブライキング・ボス率いる「アンドロ
  軍団」に立ち向かうべく、東博士の息子の鉄也が「新造人間キャシャーン」 
  となり、人類を守るために戦う子供向けのヒーローもので、私も子供の頃
  お世話になった作品です。
 ・その「キャシャーン」から、主要キャラや終末期という世界観を引き継ぎ
  ながらも、単純な「懲悪もの」から「死生観」や「罪」といった哲学的な
  要素を取り入れ、大人向けにストーリーを一新したものが本作になります。
 ・主要キャラも前作から下記のように変更。
  ・キャシャーン
   悪を倒すヒーロー
   → 記憶を失った放浪者。唯一「滅び」から逃れた「不死身」の存在
  ・ルナ
   キャシャーンの相棒(ヒロイン的存在)
   → 他者に「生」と「死」を与える力を持つ存在
  ・ライキング・ボス
   アンドロイド軍団を率いる悪玉ボス
   → 狂言回し的な存在。(「滅び」のきっかけを作った張本人ではある)
  あと前作のような変身機能はないですが、ロボット犬フレンダーも引き続
  き登場するのは嬉しいですね。

・誉め言葉としての「雰囲気アニメ」
 元々キャシャーンは前作から、
 「終末感漂う荒廃した世界で繰り広げられるシリアスなストーリー展開」
 というダークさが漂う作品ではあるのですが(一応子供向けだったので強く
 は押し出してはいないですが)、本作では上述に加え
 ・「滅び」という「死」の概念が蔓延した鬱々とした空気感
  またそれから逃れられないという閉塞感やぺシニズム
 ・キャシャーンが犯したとされる「罪」という十字架の重さ
 ・大人向けの辛口な演出
 ということで、重厚でダークな世界観がホントたまらない!!
 そしてすべてを明確に語らず、ミステリアスな余韻が残る演出も相まって、
 本作が纏う「傑出した雰囲気」を創り出してるって感じですね。
 この雰囲気を味わうだけでも、本作を視聴する価値はあると思います。 

・秀逸なメカデザインと戦闘シーン
 前作から引き継いだ戦闘用量産型ロボットに加え、ならず者(?)のロボッ
 トのメカデザインはどこかレトロ感がありホントに秀逸です。
 また戦闘シーンでキャシャーンに破壊される際の部品が飛び散る作画や金属
 音など、メカ好きには堪らない描写も多いです。
 それにキャシャーンと同タイプで同等の戦闘能力を有するライバルキャラも
 登場しますが、この辺りの戦闘シーンスピード感や迫力があり熱の籠ったも
 のに仕上がっています。
 人間タイプのロボットも登場しますが、幼女のリンゴ以外はどこかにロボッ
 トと分かるデザインがなされており、それでいて人間らしい感情のセリフを
 吐き出したりとギャップも上手く作用しています。

・「生」と「死」を扱った割と重い作品
 前作が「懲悪的ロボットバトルモノ」ということもあり、そういう描写が多
 いですが、本作の本質は「滅び」というロボットに訪れた「死」の概念がも
 たらす、各ロボットの「死生観」にあります。
 ・「死」から逃れるためあがく者
 ・「死」受け入れる者、そしてそれにより気付きを得た者
  → 「他者と限りある時間を過ごすのが愛おしい」と感じる恋愛感情っぽ
     いもの
  → 「死があってこそ生がある」という生きている実感etc…
 しかし一度は死を受け入れたものの、キャシャーンという「蜘蛛の糸」が目
 の前に現れた時その者は・・・といった結構エグイ描写もあり「生」と「死」
 というテーマに対し、ロボット達は様々な答えをみせてくれます。
 そしてそれと対比しての「不死身」の存在となったキャシャーンの苦悩。
 
 またテーマから少しそれますが「ロボット軍団」を率いて一時頂点に立って
 いたライキング・ボスが目指した世界とは・・・
 哲学的な要素を含む面白い作品に仕上がっていると思います。

昭和の「ヒーローもの」だった子供向けだった作品を、「大人だからこそ楽し
める」作品にブラッシュアップしてきたタツノコプロの手腕は賞賛に値すると
思います。それに何といっても傑出したダークな世界観!!
それをしっかり24話で魅せてくれるという・・・
もう15年位前の作品となりますが、今なお十分楽しめる作品だと思います。

あとOP「青い花/カラーボトル」はかなりの名曲です。
(私の記憶が確かなら多分最後に買ったCDになるかな)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 10

鉄のあくま さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

私がアニメにハマるきっかけとなった作品!

実写映画の「CASSHERN」のファンだった私は、この作品で初めてアニメを1話から最終話まで完走しました。
今思えば、これがきっかけでアニメを観るようになっていました。

基本的に「もうダメだ」ってくらい退廃的な世界の中で、主人公キャシャーンが小さな"生きようとする力"と出会っていき、自分の為すべきことを模索していく物語。

原作のキャシャーンを知っている人からすると「なんでキャシャーンを名乗る必要があったのか」というくらい独自の世界観・ストーリーになっていて、リメイク版とは決して言い切れない感じなんですが、原作アニメから実写映画、そして今作に受け継がれる作風で、シリアスかつシンプルで強いメッセージ性のある作品に仕上がっていると思います。

今観かえしてみると、特別なにかに優れていた作品とは思いませんが、なぜか人を引き寄せる"覇気"があります。
これは観れば感じて頂けるはずです。

観ている方が少ないようですが、序盤だけ観ても面白いと思うので、時間があれば是非とも。
おすすめです!

投稿 : 2024/11/09
♥ : 4

ワタアメ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

良いじゃん!きゃしゃーん

うーん・・・そうっバトルが派手でいいんすよ。キャシャーン見た事無かったんで見ようと思い結局全部見ましたが、まあやってやった感はありますよね。でも私はリメイクするよりかは、こういう方は良いと思いますけどね。まあ注目度は低めだったかもしれませんね
とにかく私は毎週何故か楽しみに見た事は事実なんです

投稿 : 2024/11/09
♥ : 3

59.1 3 嫉妬で昭和なアニメランキング3位
天穂のサクナヒメ(TVアニメ動画)

★★★★☆ 3.5 (83)
182人が棚に入れました
遥か東方の果て、ヤナトの国。 古来よりこの地では神々の住む頂の世と人間の住む麓の世、二つの世があると信じられている――。 頂の世に住まう上級神かつ駄女神のサクナヒメは、 武神と豊穣神の間に産まれながら、両親が蓄えた穀を潰しぐうたらな生活を送っていた… そんな中ある日、ひょんなことから 神々の都を追放され、鬼たちが巣喰う孤島・ヒノエ島へ!? 明日の食糧もままならない不毛の大地で、土を耕し米を育てて鬼退治へ。 神の世に迷い込んだ人間たちと、ひよっこ豊穣神の、もみ殻舞い散る集団生活が始まる‼
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

赦す心を育む温かい神話

自堕落な豊穣神・サクナヒメが、とある事情で神々の都を追放され、
鬼が住まうヒノエ島にて、仲間の人間や先住民たちと共に、
稲作に励み力を蓄え、鬼たちに立ち向かって行く。
同名和風アクションゲーム(2020年・Switch/PS4)(未プレイ)の連続アニメ化作品(全13話)


【物語 4.5点】
「米」という文字には、お米が出来るまでに八十八の手間がかかるという意味が込められている。
だから米は一粒一粒大事にせねばならない。

土に鍬を入れ、種もみから苗を育てる所から緻密に再現された、
本作の稲作シーンを見ていて、
長らく忘れていた上記の教訓を思い出しました。
米作りの苦労が結実した中盤には、私も胸を打たれる物がありました。

その後、8月中旬の南海トラフ地震臨時情報に端を発した、
小売店頭における米の品薄現象。いわゆる“令和の米騒動”
事態が深刻化した8月末には、第8話「都を揺るがす米騒動」が放送され、
何てタイムリーなタイトルと苦笑させられましたが。
米の重要性を再認識する中での本アニメ化作品には、
食料自給についても、考えさせらえれる点が多々ありました。

(因みに“令和の米騒動”とは元々、本原作ゲームが想定を越えるヒットとなり、
パッケージ版在庫が蒸発した等の現象を指すらしく。
『サクナヒメ』こそが元祖“令和の米騒動”だそうでw)


ただ、稲作はあくまで世界観の土台となる要素。
メインストーリーの骨格は赦しと恨み相克。

この東方の国「ヤナト」は、人間はもちろん神々ですら全能ではない。
欠点も多いし、僻むし、嫉妬するし。
互いに完璧を求めたら、恨みつらみだけが募って、
争いが続き、鬼が生まれ、国は荒廃するばかりである。

失敗も赦す寛容さこそが、世に安寧をもたらすとの一貫した思想。
とかく人の価値を特定指標だけに固執した生産性のみで判断し、
使えるだの使えないだのでギスギスしていく。

心の余裕を忘れた現代社会に毒されている私には、
赦しを描いた本作のエピソードの数々は心身に染み入りました。

この観点から印象的だったのが、クール後半、
例えば、{netabare} 親友のサクナヒメが稲作で成功して神々の都に戻って来たら、
やっとありつけたお役目を奪われてしまうと焦燥するココロワヒメが、
友を都に帰すまいと、裏切り、策に溺れてしまうシナリオ。
それでも親交を取り戻す辺りに、赦しのテーマが凝縮されており感銘を受けました。{/netabare}


パッケージ展開もするコンシュマーゲームとなると、
プレイ時間も数十時間に及ぶはずで、
アニメ化するストーリーの選別も難航したと思われますが、
要素のピックアップが的確だったからなのか、
この手のゲームアニメ化作品にありがちな詰め込み過ぎによる分かり辛さは、
私は、ほぼ感じませんでした。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・P.A.WORKS

本社が富山県南砺市。周囲に田園地帯が広がる立地。
代表が兼業農家とのことで白羽の矢が立った同スタジオ。

農水省職員が監修に付いたという稲作の再現度も良好。
米作りの手間暇と、達成感を視聴者とも共有。

監修に際して、農水省担当者は、あまり難しい専門用語は使わずに、
視聴者への伝わりやすさを重視して用語の簡素化等を提言。(※1)
これは私も助かりました。
いきなり「緑肥(りょくひ)」がどうのと言われても分からなかったと思います。
優しく「肥やし」と簡略化されても、アニメーション映像から稲作の過程は十分伝わって来ましたし。

専門的知見から厳密にするばかりが監修ではない。
視聴者の知識の無さをも赦す。
今後、いろいろな分野のアニメ化監修の際に、ご参考頂けたら幸いです。


原作アクションRPGということで、戦闘シーンも意外と迫力がありました。
スパイダーマンばりに飛び回るサクナヒメの羽衣アクション。爽快でした。


【キャラ 4.5点】
もしも世界人類の各個体が全て自分だったら文明は滅亡するだろう。

本作のそれぞれの長所を活かして米作りに貢献し、
各々の欠点も補いながら成長していく神と人間のキャラクターを見ていると、
要らない人間などいない。
互いに役割を果たし、分かち合いながら世界は成り立っている。
当たり前のことを思い出し、癒やされます。

田右衛門(たうえもん)は初手から種もみをダメにするなど失策続きですし(※核心的ネタバレ){netabare} 戦うことしか知らなかった武士の再生物語が込められていた{/netabare} 部分は個人的に得点が高いです。
きんたも鍛冶に目覚めるまでは、文句言ってばかりだったし。

かいまるに至っては、当初は、言葉も喋れない無力な赤子としか思えません。
こういうキャラに最終盤で(※核心的ネタバレ){netabare} サクナの魂を現世に運ぶ{/netabare} という一番重要な役割を与えるのも心憎い演出です。


不完全を赦す世界観に浸っていると、
全知全能という妄想に基づいて他者を弾圧する一神教は、
やはり邪教との私の発作がぶり返しそうになりますがw

本作には“フォロモス教”宣教師の金髪シスター・ミルテも設定して、
異文化コミュニケーションも交えて、
寛容の精神を深化して来る辺りが懐の深い所です。


これらのキャラ素材を「お仕事シリーズ」のピーエーお得意の文法で、
成長物語に落とし込んでいる辺りも上々。
と言うより私が観てきた広義の「お仕事シリーズ」の中で考えても、
キャラと関連エピソードが明快で、満足度が高い部類でした。


【声優 4.0点】
原作ゲームのキャストをそのまま起用。

主演サクナヒメ役の大空 直美さんは、
和風からグータラまで多彩なキャラを演じたキャリアを積み重ねており、
半人前・豊穣神の成長曲線を表現する引き出しは十分。

一方で、他のキャスト陣には、
色々、端役をこなしながら、声優業界で生き残って来て、
本原作でやっとメインを射止めて、という声優さんが多くて。

当初マイナーゲームで終わると見込まれていた原作が、
成功してアニメ化にまで至り、
日陰で頑張ってきた声優たちも日の目を見る。

こういう展開に私は弱いですね。

田右衛門(たうえもん)役の矢野 龍太さんの、
抜けてるけど憎めないオッサンボイス。

ミルテ役の久保田 ひかりさんのカタコト外国人ボイス。

この辺りは主役ではないけれど、確実に需要はあると思われるので、
今後もしぶとく食い付いて欲しいと願います。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は藤澤 慶昌氏。
『ラブライブ!』シリーズでの明快なストリングス、シンフォニーから、
『無職転生』シリーズの多彩で複雑な旋律までカバーする同氏。
本作では和風もアレンジしつつ、前者のような明快なサウンドで、
心情も、クライマックスの戦闘シーンも盛り上げる。

OP主題歌は、いきものががり「晴々」
ED主題歌は、Little Glee Monster「ORIGAMI」
両紅白アーティストの楽曲で必勝体制。

それよりも心に刻まれたのがゲーム版主題歌「ヤナト田植唄」のアレンジ挿入。
ハードな野良仕事を楽しく乗り切るために歌うという稲作の知恵を説かれた上での田植唄。
足腰から染み渡りました。


【付記】
本作最終回観た余韻に背中を押されるように、
先日、神宮にお伊勢参りに行って来ました。
本邦の八百万の神々もまた、人々に供えられた米と祈りを受けて、
現世に安寧とご利益をもたらすと信仰されています。

「米は力だ!」はヤナトでもヤマトでも同様。

力が失われぬには?
考え込むことが多い今日この頃です。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 19

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

豊穣の女神に祈りを

豊穣を願うアニメの放送中に現実ではコメ不足が社会問題化した令和の米騒動というのがタイムリーでした、お米の大切さが良くわかりましたね

良いアニメだけど、ゲームの面白さが十分に伝えきれてないので時間あるならゲームやったほうがいいですよ

原作ゲームは農業体験をうまくゲームに落とし込み、稲を育てる難しさ、難しさゆえの収穫の喜び、食事の大切さを学べる稲作パートと、サクナがダンジョンを探索して敵と戦うアクションパートに分かれています。
この稲作部分がとてもデキが良くて評価されているゲームです

ストーリーはアニメとだいたい一緒(アニオリもありますが)

ダンジョン探索はいいけど、元々戦闘が楽しいゲームではないので、戦闘シーンに多く時間を割いたのは微妙に思います。

収穫の喜びはしっかり描かれていて良かったです
もっと農業部分に重きを置いて欲しかったかも

投稿 : 2024/11/09
♥ : 6

ミュラー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

PAWORKSの3作品中では最高

今期放送のPAWORKS制作の3作品のうちでは一番。
最終回の良さで逆転。
それにしても、これ、ゲームが先にあったとは知らなかった・・。

自由奔放で仕事が大嫌いなサクナヒメ。
自分のミスで貢ものがなくなってしまい、迷い込んだ人間の家族とともに、
米作りをすることに。
神話をベースに、米作りを通して、幼い神の成長を描く物語。
前半のサクナヒメのクソガギぶりが効いているので、
最後の自らを犠牲にする戦いには感動。
全体の構成がしっかりしているので、大変分かりやすく、
素直に感動できる素晴らしい作品でした。
ちょっと間延びの感があったものの、良い作品だったと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 4
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