夏休みで心温まるなアニメ映画ランキング 9

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の夏休みで心温まるな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月26日の時点で一番の夏休みで心温まるなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

81.1 1 夏休みで心温まるなアニメランキング1位
劇場版 のんのんびより ばけーしょん(アニメ映画)

2018年8月25日
★★★★☆ 4.0 (401)
1803人が棚に入れました
旭丘分校」の生徒はたった5人。学年も性格も違うけれど、いつも一緒に春夏秋冬の変わりゆく田舎生活を楽しんでいます。ある日、デパートの福引で特賞の沖縄への旅行券を当てた「旭丘分校」の面々。夏休みを利用して、皆で沖縄に行く事になるのですが……。

声優・キャラクター
小岩井ことり、村川梨衣、佐倉綾音、阿澄佳奈、名塚佳織、佐藤利奈、福圓美里、新谷良子
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

卓よ、世間ではそれを”ハーレム”と呼ぶんだぜ(笑)

TV版は第1期、第2期とも視聴済み。
TV版と1ミリも違わぬ、安定感抜群のほのぼのほっこりな世界観は秀逸です。

【はじめに】
{netabare}原作の単行本に付属されていたOVA『沖縄へ行くことになった』の前後の物語。
無口なのに存在感抜群の兄ちゃんが福引で沖縄旅行を引き当てるシーンと、全員の服装が同じ辺りからもうかがえる。

OVAでは、『沖縄旅行が当たった~!みんなで行くぞ~!』って、みんなで準備して、飛行機に乗ったところで終了。
あれれ?せっかくの「ひか姉&なっつん」コンビがまさかの不発で、どこか消化不良・・・。
そんな感想だったので、この作品はとても楽しみにしていたんです。{/netabare}

【舞台は日常から非日常へ】
{netabare}夏休み。
まずは、いつも通り4人で遊ぶ光景。
そして、偶然に偶然が重なり、デパートで買い物をする4人とかず姉、駄菓子屋、そして、卓兄ちゃん。
いわば、ここまではいつもの日常。

卓が福引で沖縄旅行を引き当てたところから、物語が徐々に”非日常”へと動き出します。

そして本作の舞台、沖縄へ・・・。
いつもの、山に囲まれた世界(日常)から、海に囲まれた世界(非日常)へと・・・。{/netabare}

【沖縄でも”らしさ”全開の面々】
{netabare}まあ、舞台が変わったとはいえ、いつものメンバーですからね。
ほのぼのほっこりワールド全開です。

面々の”らしさ”は何気ないシーンでもしっかりと描かれています。

個人的に一番ほっこりしちゃうのはバトミントンで遊ぶシーン。
れんげとバトミントンをする蛍。
あちこちに打ち返すれんげに振り回されながらも、れんげが打ちやすい位置に打ち返す蛍。
れんげに対して、しっかりとお姉さん役を果たす蛍らしさが良く表現されているシーンだと思います。

飛行機や食事の時の座席など、絶妙で良く考えられているし・・・。

終始ニヤニヤ、頬が緩みっぱなしです(笑)。{/netabare}

【唯一、いつもとは違うメンバーが、良いアクセントに!】
{netabare}民宿「にいざと」の看板娘・あおい。
夏海と同じ中学一年生。

民宿のお手伝いをする、しっかり者のあおい。
夏海にとっては、とても気になる存在。

夏海にとっては、同じ年齢の娘は”非日常”。
気になって当然ですよね。{/netabare}

【旅行の醍醐味の表現が秀逸】
{netabare}旅行の醍醐味の一つは、いつものメンバーで非日常を体験すること。
そして、最終日に感じる、得体の知れない”寂しさ”も醍醐味の一つだと思います。

あおいの存在が、旅行の醍醐味である、”楽しさ”と”寂しさ”を、分かりやすく伝えてくれます。{/netabare}

【個人的ツボ=ひかげの存在】
{netabare}フライング土下座~飛行機でビビる~難聴でグダグダ~子供部屋で床寝~船酔い~天然記念物~大人部屋でも床寝~ベット死守~泣いてねぇし・・・。
終始安定のボケ要員。
「ひか姉&なっつん」コンビは鉄壁(笑)。{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 39
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

上映館が倍以上に増えるようです!

初日の舞台挨拶は抽選漏れしたため
翌日にあにこれ面子と一回目
今週の舞台挨拶には当選したので
舞台挨拶付きで2回目を観てきました

そんなかんじで初めて観た日は
アニサマ全通の3日目に
会場に行く前に新宿まで寄り道して観たのもあって
かなり疲弊した状況での鑑賞となりました

しかし、この最上級の癒しアニメのおかげで
だいぶ活力を取り戻して3日目へと向かえたように思います

ふだんののどかな田園風景とは舞台は違えど
やっていることはいつも通りの
ゆったり日常アニメ
ゲストキャラクターのあおいちゃんとの
ハートフルな交流もあったりと
とにかく沖縄の情景がとてもきれいに描かれていて
なんだかキャラクター達と一緒に
沖縄旅行を楽しんでいるような気分になりました

あとはサブキャラクターのくせに
{netabare}ジャンピング土下座にはじまり
難聴ネタ
ふとん
リバース
天然記念物
泣いてねーし!{/netabare}
と要所要所でギャグ要員として出動し
美味しいところを全部持っていくひかげに
今回はかなりやられましたw
ほんといいキャラしてる

そしてあまり間を置かずに2回目を見に行ったわけですが
舞台挨拶は置いておいても
2度目の鑑賞でも1回目と変わらず癒されたし
楽しく見れました

そして今は久々にTVシリーズを見返したい思いに駆られています
1期2期ともにdアニメにあるので
今期のアニメをいくつか切れば見れるけどどうしよう?

閑話休題

この映画かなり見れる劇場が少なく
基本的に都会の映画館でしかやっていない感じでした

隣の芝は青いと言いますか
田舎の人は都会にあこがれ
都会の人は田舎にあこがれるものです

のどかな田園風景とゆったりしたスローライフに
まるで異世界ファンタジーでも見るような感覚で
憧憬の念を抱くのは基本的に都会の生活に摩耗しきった層なので
都会に絞っての公開は戦略的に正しかったと思います

この戦略が吉と出たのかどうかは定かではありませんが
館数からするとかなり好調な収益を上げているようで
今回の舞台挨拶にて上映館が27scrから71scrへと
大幅拡大されることが発表されました

特に東北と九州は仙台と福岡で1館づつの上映だったものが
各県で1~2か所みられるようになり
だいぶ見やすくはなってるんじゃないでしょうか?

もし今まで観たいけど近くでやってないからと敬遠していた方がいれば
ぜひもう一度上映館情報を確認しなおすことをお勧めします

この後全国でさらにヒットすれば
劇場版をもう一作
あるいは3期の制作なんて話になるかもしれません
応援のためにもみんなでぜひ観に行きましょうw

おまけ(舞台挨拶内容・ネタバレ含)

{netabare}今回はれんちょん役の小岩井ことりと
なっつん役の佐倉綾音が登壇
映画に関してのちょっとした裏話などをしてくれました

あやねるの話で面白かったのは
夏海とあおいの関係について

あのど田舎の生活では
同い年の子供がまったくいなかったので
夏海にとってあおいは初めての同い年の友達
そして初めて仲良くなった同い年の子と
出会って数日で別れなくちゃいけない
「ほんと切ないよねー」
と、こっこちゃんと頷き合ってました

こっこちゃんは演じる際に考えていたことを
いくつか話してくれましたが
中でもハッとさせられたのは

TV版ではひらたいらさんとの別れを悲しむれんげを
夏海がなかなかにニクい形で元気づけていました
今回の映画であおいとの別れを悲しむ夏海を
れんげが慰めるシーンは
れんげが夏海に教わったことを
夏海にお返しするシーンだと思っているというお話
言われてみるとなるほどという感じで目からうろこでした

りえしょんみたいに難しいことは何も考えてなくて
それでいて感覚的に何でも器用に演じれてしまう人もいれば
こっこちゃんみたいに一つ一つのセリフの意味を
自分なりにあれこれ考え抜いた上で演じてる人もいる
っていうのが面白いですねw{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 33
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

残暑お見舞いなのん~

テレビアニメ「のんのんびより」のファンムービーとしては期待を遥かに上回る出来映え!
美しい自然と可愛く楽しい女子キャラたちによる極上の和みと癒し。
ストーリー性も充分あり、70分という、映画としては短めの尺ながら満腹度は100分以上の長編並みに感じる密度の濃さがありました。
作品の魅力が存分に表され、テレビ版を未視聴の方でも、日常癒し系アニメの人気作たる所以に納得し楽しめるのではないでしょうか。

《ストーリー》

旭丘分校の生徒たちをはじめとする田舎の村民9人の沖縄旅行顛末記。
ユーモラスなキャラたちの個性に沿った小ネタ満載の展開にニヤニヤと和むことしきり♪
そんな中にしっかり描かれる、脚本・吉田玲子さんお得意の、ちょっぴり切なくも心温まるハートウォーミングなエピソード。
のんのんらしい優しさもたっぷり伝わり大満足です!

《作画&演出》

テレビ版と同じく手書きの自然風景は美しく、キャラ画との親和性も高くて目の保養になります。(特に夜のワンシーンにうっとり!)

本作のシリーズを通して川面真也監督の演出面でつくづく感服するのは、シーン毎の間尺の取り方。
今回の映画でも、静止したキャラを見せられる度に笑い声や涙をこらえるのに必死になり、長回しで映る自然風景や建物などの器物を見てるだけでうっとりと癒されたり感慨に襲われてしまう。
しっかり情感を汲み取れる時間を充分とりながらも、決して間延びを感じさせないのは卓越した手腕ですね。

《音楽》

テレビドラマと同じくnano.RIPEさんによるOP。
nanoさんは作品に合わせた曲作りが上手く、海をイメージさせるサウンドでバカンスへの出発気分を盛り上げてくれました。
そしてこれまた同じくキャラ4人によるEDは、バックで場面を振り返りながら名残惜しい余韻に浸れました。

また、劇場ならではの音響システムで、水しぶきや波の音、無数の虫の音に包まれながら美しい景色を眺めてると、マイナスイオンのシャワーを浴びながらキャラ達と共に大自然の中に居るような幸せな気分になれました。

《キャラ》

今作では、なっつんこと夏海が一番活躍?
メンバーそれぞれの個性で笑わせてくれる中、いつもはからかい上手の彼女にキュンとさせられます!

あと個人的に一番楽しめたのは宮内三姉妹。
末っ子れんちょんの才能と感受性の豊かさは要所に描かれ、ホント、将来が楽しみな小学1年生。
長女かず姉には、意外な一面に驚きつつ楽しめました。
そして、キャラたちのお笑いの中でも突出してたのが次女ひかげ。
可愛い一面も見せ、今作のR-1グランプリ受賞でしょう♪

《声優さんの舞台挨拶初見学記》

今回、映画上映後にれんちょん役の小岩井ことりさんとほたるん役の村川梨衣さんの舞台挨拶を見る事が出来ました。

幅広い年代の250人程度の観客のほとんどは男性で平均年齢35歳といったところ。
小岩井さんの生「にゃんぱす~!」で始まるおふたりのトークは、村川さんの盛り上げ方も上手で、アニメ関連イベント初参加で変に緊張してた私も和やかな気分で楽しめました。

村川さんの地声は、ほたるんより「ヒナまつり」のアンズっぽく聞こえ、個人的に好きなキャラ声を生で聞けるのはテンション上がる~!
作品の架空の田舎の事をキャストみんなで「(仮)のんのん村」と呼んでるそうで、制作現場の楽しい雰囲気が伝わりました♪

小岩井さんのトークで、 {netabare} れんちょんがスケッチをプレゼントした夏海への気遣いについて、「テレビ版のひらたいらさんのエピソードで、夏海が機転を利かせてれんちょんを元気づけた事に繋がってる」と言われ、 {/netabare}私の感想も深まると共に、小岩井さんの作品への思い入れを強く感じました。


観光地の旅行先がメイン舞台なので、田舎の「のんびりさ」だけが成分不足ですが、それを補う「強壮バカンス成分」がてんこ盛り。
この夏の暑さを和らげるくつろぎと癒しの清涼剤をぜひご一服どうぞ~♪

投稿 : 2024/11/23
♥ : 34

80.7 2 夏休みで心温まるなアニメランキング2位
蛍火の杜へ(アニメ映画)

2011年9月17日
★★★★☆ 4.0 (1075)
5221人が棚に入れました
祖父の家へ遊びに来ていた6歳の少女・竹川蛍は、妖怪が住むという山神の森に迷い込み、人の姿をしたこの森に住む者・ギンと出会う。人に触れられると消えてしまうというギンに助けられ、森を出ることができた蛍は、それから毎年夏ごとにギンの元を訪れるようになる。

声優・キャラクター
内山昂輝、佐倉綾音
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

恋は儚い人の夢

「夏目友人帳」の緑川ゆきが原作で、同作品のアニメスタッフによって作成された短編映画です。


恋は儚い人の夢。
蛍の様に光り、白銀の雪のように輝き、やがて……。


誰もが開始3分で「あっ……これは」と思うはず。
分かってるんですよ、分かってるのに30分後には泣いている私がいる。


蛍は裏表のない、明るくも利発な女の子。

ギンは雰囲気こそ神秘的なものがあります。
しかし、その行動は迷い、恋し、決断する、真っ直ぐな男。

ピュアなキャラによるピュアなラブストーリーです。


{netabare}気軽に触れられる{/netabare}男子生徒。
蛍から{netabare}のプレゼントのマフラーを身につける{/netabare}ギン。
二人が{netabare}会えない季節も{/netabare}どんどん距離が縮まっていく。
ちょっとしたシーンにも説得力がありますね。

夏のイメージが強い本作ですが、冬があるからこその夏。
それが夏の風物詩である「蛍」と冬のイメージがある「ギン」という名前に込められた意味なのかもしれません。


そしてラスト。
涙が止まらない。

{netabare}
お面越しのとてもとても美しいキス。
その後ギンは転びそうになった人間の男の子に触れてしまいます。

「来い、蛍。やっとお前に触れられる」

お面の向こうの蛍の顔はそれまでにないほどの笑顔でした。


……でもね、これは事故ではないんです。
何年も何十年もお祭りに参加しているギンが、うっかりミスをするとは思えない。

「何があっても、私に触らないでね」

この約束がある限り、ギンも蛍も直接お互いに触れることはできません。

そして、後の妖怪の言葉。

「ギンはやっと人に、触れたいと思ったんだね」

つまり、これはギンの意志だったわけです。

確固たる意志を持っていたわけではないのかもしれません。
しかし、ギンは、蛍との約束を破ることなく、罪悪感を残すこともせず願いを叶えたかった。

そのためにギンは事故を装い、{netabare}「人の手というチャンス」{/netabare}を掴んだのでしょう。
{/netabare}


わずか45分という短くシンプルなストーリー。
それでいながら洗練されていて、温かさ、切なさ、色んな感情が溢れてきます。

美しいお話で完成度が高く、今まで見たアニメ映画の中では一番。
本当に大好きな作品です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 140
ネタバレ

★mana★ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

10年分の想いを、今ここに・・(ギン視点で観てみました)

ねえ、蛍。
俺はずっとここに居るよ?
何年、何十年たとうとも。
たとえ、君の瞳に写らない
そんな存在だとしても。

俺が過ごした、途方もない時間。
そんな中で、蛍と過ごした時間は ほんの一瞬だった。
でもね、俺にとってはその一瞬が大切で愛おしくて、仕方がなかった。

蛍は俺に、優しくて、温かい感情をたくさんくれたね。
でも、それは、切なくて、苦しくもあったんだよ?
蛍は気付いてないかもしれないけれど・・
まるで夏の夜に光る、ホタルのヒカリのような、
そんな儚くて脆い、だけど、強くて、美しい。
そんな日々だったね。

蛍は俺に「忘れないで」と言ったよね?
忘れる訳がない。忘れたくない。
でもね、蛍は忘れてしまってもいいんだよ?・・


蛍に出会ったのは、蛍がまだ小さい時だった。

{netabare}

~蝉の詩、笑い声・・~
鳥達の囀り、木々の揺れる音・・
そんな森達の雑談と共に聞こえた、泣き声。
それが蛍だった。
蛍は、俺を見ても少しもこわがらなかったよね。
むしろ、楽しそうに俺に触れようとして来た。
まだ小さい蛍には「消える」という意味さえ理解出来なかったんだろう。
でも、俺には それが素直に嬉しかったよ。
1人の存在として認められているようで。

~夕やけの茜色、帰り道、遠回り~
「何かデートみたいデスネー」「色気のないデートデスネー」
そんな他愛ない会話を繰り返したね。
手をひいてあげる事は出来なかったけれど、
その先から伝わるこの想いは、一体何なんだろう?
何だか、胸の奥が温かくなるような・・

別れる時、蛍は俺の名前を聞いた。
俺の名前は・・無言・・疑問と不安。
そんな時、風が俺の背中を押した気がした。

~約束は「また明日」~
明日も来ると走って行った、蛍。

「ギンだ」

翌日 本当に蛍はやって来た。
そして、約束の場所で、待っていた俺が居た。

~夏はただ、咲き誇り~
冷たい小川に、暑い夏の日差しが差し、キラキラしてる。
全てが美しく、夏が輝いていた。
それは、蛍が側に居るからなんだよ?
蛍と見る全てが、今までとはまるで、違って見えた。

~その命輝かせ~
俺はただ、生かされて、ただそこに存在しているだけだった。
何も意味をもたない、あやふやなモノ。
だけどね、今まで感じた事のない、自分の存在。
俺は自分というものをこんなにも感じる事が出来るんだ。
夏が待ち遠しい、蛍に会える事が、素直に嬉しい。
そう思えた。
そんな夏が何度も何度も訪れた。

ある夏の事だった。
蛍は俺を驚かせようとして、見事に木から落ちて来た。
俺は、そんな蛍を受け止める事が出来なかった。
自分の存在が無くなってしまう事を恐れたのか・・?
そんな気持ちとは裏腹に、蛍は安堵の顔を見せた・・
そして、大粒の涙を流した。
何故泣いてるのかは、分かってた。
涙は止め処なく流れ続ける。
でも、俺は その涙を拭ってあげる事も出来ず、ただ、その泣き顔を見続けた。

出会わなければ、こんな想いをさせなかった?・・
出会わなければ、こんな想いはしなかった?・・

~終わらない、お話のその先に気付いて~
蛍は毎年、会う度に、成長していく。
それは、普通の人間の子なら当たり前の事なのは分かっていた、、つもりだった。
少しづつ、目線が近くなって来る。
それを複雑に感じつつ、俺の感情に違う何かが芽生えはじめた。
いつか感じた想いとは、全く別物。

蛍に・・会いたい。
蛍に・・触れたい。

この胸を締め付ける感覚は・・

~カラス達遠ざかり、どこかへと飛んでゆく~
離れてる時間がこんなにも長く、辛く感じるなんて・・
今まで考えた事も無かったよ。
蛍は今何をして、何を見て、何を考えてる?
いつからか、俺の中は蛍でいっぱになっていた。
いつか、こんな気持ちが届く日が来るのだろうか?

真っ白な雪の上に散る椿が一際紅く見えた。
俺の心の中のように。
真っ白な心の中に、真っ赤に燃える感情が一つ・・
蛍がくれた温もりで、いつもの冬より、身体も心も温かかった。

~夏はただ駆け抜ける、宝物、しまうように~
ある夏、蛍は言った。
春も、秋も、冬も、俺の事を考えていた、
そして、もっと一緒に居たいと。
俺は、自分という存在の全てを打ち明けた。
打ち明けなければならないと思った。
俺は、蛍を幸せにはしてあげられないから、永久に・・
こんな俺の為に犠牲になる事なんてない、もうここには来なくていいよ?
俺はずっとこうして、だだ存在しているだけで、何も変わらない。
“決して忘れられない、かけがえのないモノが一つ増えた事以外は”
だけど、蛍から返って来た言葉は優しく、心が苦しくなった。
そして思った。もう、こんな夏を続けていてはいけないと・・

~いつまでもなつかしい、あの頃は黄金色~
いつか蛍と行きたいと思った、 「妖怪達の夏祭り」。
誘うのは、ちょっと照れ臭かったけど
蛍は喜んで、行きたい!っと言ってくれた。
そして、少し不安な言葉を口にする。
不安な事はないよ、だって蛍は、俺が守るよ?
そう言うと蛍は、少し頬を紅くして
「そういう事を言われると、飛びつきたくなってしまう」と言った。
・・「飛びつけばいい、本望だ」
もし、それで俺が消えても何の後悔もない、今なら全て受け止める事が出来る。

~何気ない毎日の片隅を照らしてる~
手を伸ばせば、届く距離。
一番近くに居るのに、一番遠い存在。
俺は、蛍を抱きしめたかった。
そして、その手に、その髪に、頬に、
一瞬でいい・・その温もりに触れたい。
もう、気持ちが抑えきれなくなっていた。

~夏はまた、やってくる約束を守るように~
祭はいつもの夏と同じようにやって来た。
でも、今年は隣に蛍が居る。
毎年思い描いていた光景。
「デートみたいデスネー」「デートなんデスネー」
10年前、初めて会った日に交わした会話。
10年越しの、始めてのデート。
やはり、あの日のように手はひいてあげられない。
でも、振りなら許されるよね?

息を吹きかけると回る風車。
金魚すくいをする子供は、尻尾を隠しきれてなくて。
偽物の綿あめが空に浮かび上がり、その空に花火が咲き誇る。
蛍はそんな光景に、ずっと笑顔だったね。
その笑顔を見て俺も笑った。

このまま時間が止まってしまえばいい・・。
そんな、叶わぬ願いをそっと胸にしまい込んだ。

楽しい時間は一瞬だった。
蛍と過ごした10年分の夏がそうだったように。
そして、俺は帰り道に全ての想いを蛍に伝えた。
こんな事を言っても困らせてしまう事は分かっていた。
だって2人は決して交わる事はないのだから。
そして、お面越しにくちづけをした。
これが蛍に触れられる精一杯。
蛍に捧げる、精一杯の気持ち。

蛍は今どんな顔をしてる・・?

そんな時、小さな子供が飛び出して転びそうになった。
俺は咄嗟にその腕をつかんだ。

・・刹那、指先から光を放つように消え始めた。
「あの子は、人の子だったのか・・」

もう、何もこわくはなかった。
ただ、願いは一つ。

「来い、蛍!やっとお前に触れられる」


ねぇ?蛍、覚えてる?
初めて会った日の事を。
笑いあった夏の日々を。
俺は忘れた事なんてなかったよ。
春も、秋も、冬も、会えない日々
ずっと蛍の事を考えていた。
蛍としたい事でいっぱいだった。
蛍とみたい物でいっぱいだった。
蛍と感じたい事でいっぱいだった。

でも、もうさよならなんだね。

蛍、こんな俺に気付いてくれてありがとう。
こんな俺を受け入れてくれてありがとう。

蛍の温もりを感じながら、最後に伝えたい事があった。




「好きだよ」



~夏はただ咲き誇り、その命輝かせ・・~






※~〇〇~
ED・おおたか静流『夏を見ていた』

{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 58
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

出逢ったのが彼女で良かった

『夏目友人帳』でおなじみのスタッフでおくる50分ほどのアニメ映画で、
なんともせつない、だけど心にやさしくしみるお話。

主な登場人物を公式サイトから抜粋すると


〔ギン〕
山神の森に住むキツネの面をかぶった少年。

〔竹川 蛍〕
6歳の時 森で迷子になったところをギンに助けられて以来、
彼に懐き、毎年の夏 彼のもとへ通うことになる少女。


ある夏、妖怪たちが住むと言われている山神の森で迷子になった蛍。
泣いているところを助けてもらったのが、ギンとの出会い。

それ以来の毎夏 森で逢うことを重ね、強く惹かれ合っていくのだが、
人でも妖怪でもないというギンには
「人に触れると消失してしまう」という掟のようなものがあり、
互いに触れ合えないまま蛍だけが高校生へと成長し、
やがてふたりは・・・というお話。

触れ合えないという大きな枷があるせいで、
手を繋ぐことも、抱きしめることもままならない関係。
蛍がまだ幼さの残る少女だった頃は面白おかしく描かれるのだけれど、
中学、高校へと成長していく彼女の、彼への想い方や、
お互いの向き合い方の変化、そしてなんとも初々しい二人の逢瀬など、
丁寧にきめ細やかに描かれていくので、
観ているこちらはもどかしくも切ない想いに駆られる。

このお話は詳しく書いたら野暮なのであまり書けないが、
{netabare}
ギンの正体の真相というか素性に加え、
胸が苦しくなるような出来事が起きた後の妖怪たちの言葉に、
{/netabare}
「あぁ・・・そういうことだったのか」と
山神様がかけた術の本当の意味がわかり、
こらえていた涙がどっとあふれてしまった。

雰囲気的には、『夏目友人帳』1期の8話「儚い光」や
3期の4話「幼き日々に」に近いテーマを感じた。

せつないけれど、悲しいのとは違う温かさ。
妖怪たちや山神の純粋でやさしい想いと、ギンへの愛情。
それらは、観る前に想像していた以上のもので。

また、これは2回以上観るとすぐに気づけるのだが、
蛍の選んだ道がわかる部分にも、ほっとできて。
とても良い後味と、しっとりした余韻に、
エンドロールがなくなってもなお、みつめ続けてしまうほどだった。

満天の星がきらめく夜空や、緑深い森に流れる木漏れ日のようなピアノ曲や
少しとぼけた感じのオルガンのメロディーも、
ふんわりとしたこの作品の空気感を盛り上げてくれる。

現実的に考えれば、少女がたった一人で森に行くというだけで
事件が起きそうな不安がよぎるし、ましてやギンなんて不審者扱いを受けそうな
今の世の中なのに、なんて平和なんだろう・・と。
観ていると・・・のどかでゆったりしていた時代が恋しくなる。

そして個人的に、ずっとずっと大切にしておきたい愛すべき作品の1つです。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 81

87.6 3 夏休みで心温まるなアニメランキング3位
耳をすませば(アニメ映画)

1995年7月15日
★★★★☆ 4.0 (1449)
9852人が棚に入れました
読書好きの中学3年の月島雫は、父の勤める図書館へよく通うが、自分の読む本を全て先に借りて読んでいる「天沢聖司」の名前に気がつく。その天沢聖司が同級生だと知るのに時間はかからなかったが、天沢聖司のことが何かと気になる雫。
ある日、図書館への道で変な猫を見つけ、その猫を追いかける。猫は小さなアンティークショップ「地球屋」へ入っていき、雫は店で老人・西司朗と出会う。西老人は聖司の祖父で、彼は地下の工房でヴァイオリンを作っていた。聖司はヴァイオリン職人になるためにイタリアへ留学したいという夢を持っていた。確固たる目標を持っている聖司に比べて、何をするべきかが分からない雫。雫は自分の夢を求め、物語を書き始める。

声優・キャラクター
本名陽子、高橋一生、立花隆、室井滋、露口茂、小林桂樹
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

懐かしかったり、心が痛くなったり

2017年の金曜ロードショー冬のジブリ三作品もこれで終わりです。
{netabare}
この作品は三回ほどしかみたことのないのですが、
そのときは、「よく分からない」というのが、正直な感想でした。
もしくは、恋愛の部分や綺麗なシーンだけを楽しんでいたのか…


では、少し大人になって、この作品をみたわけですが、
主人公雫の中学生時代の青春が描かれていて、
意味がわからなかったことも、少し理解できたように思えます。

カントリーロードの歌を聞くと、どこかノスタルジックで、暖かく、
帰りたいような気持ちになります。
そして、バイオリンを弾く聖司と雫が一緒に歌うシーンが楽しげで、
大人になってもこの思い出を雫はずっと覚えているのだろうなと、
それほど、大切な時間のように感じました。

何故天沢聖司を雫が好きになるのかわからなかったのですが、
素敵な人という想像から、実は意地悪な同級生で、
目標が決まっている少し大人びた感じの印象にかわっていきます。
貸し出しカードの中の理想の憧れから嫌悪の対象、
そして現実的な憧れに雫の中で聖司の立ち位置が変わっていくのがわかりました。

雫が小説を書く理由についても、憧れの人に少しでも近づきたいという気持ち、
自分になにかないかという悩みのなかにある不安定な状態、
小説という自分の好きな事に関わりたいという願望…色んな思いか重なって、
夢中で書いていたのですね。

そして、現実を差し置いて自分がなりたいものになろうとする雫を少しだけ家族が諌めて、
止めはしないという優しさ。
「人と違う生き方はしんどいぞ」と父親は雫を止めはしないけど、
雫のやりたい事へ覚悟をしなさいというその言葉、
普通のお父さん像を持ちつつ理想的な父親を示したように見えます。

そして、今回こういうことだったのかと感動したのは、
雫が小説を辛い状態で書ききったこと。父親の言った通り、しんどい事になった。
好きな人は側にいない、今まで一緒だった姉はいない、
自分の能力の限界を感じながらも、迫る締め切り。
少し広くなった部屋で寝転がりぼーっとするその姿には、
ぎりぎりで保っている感情を感じました。
それでもやめることは自分の才能を諦めてしまうから、やめたくない。
時間がない中で書ききった小説は支離滅裂だと自覚するような作品。

雫作品を映像化したシーンでは、雫の心の浮き沈みがはっきりと現れています。
最初はバロンが「行こう!~してしまう前に!」と、
せかすように作品世界に飛び込んでいく主人公は、
まさに小説書きに夢中になっている雫の心を表しています。
また、主人公が見つけたと思ったその宝石がネズミだったのは、
自分の才能を無我夢中で探していた雫が、
自分の中にある「自分は才能がないんじゃないか」という恐怖の現れではないでしょうか。

不安をずっと抱きながら書ききった物は、支離滅裂、絶対駄目だと思ってい0たのに、
古道具屋の西さんは「よく頑張りましたね、あなたは素敵です。」といってくれた。
自分がもう書くことを続けられない、才能がないという恐怖からやっと解放されて、号泣。
ようやく雫が泣いた理由がわかった気がします。

そして、才能に向き合うその姿に、自分の中学生時代を思い出して心がいたくなりました。
雫ほどちゃんと向き合っている人はそうはいないでしょう。
自分の限界を知って、次になにをすべきかわかった雫はとても大きな成長をしていますね。

{/netabare}

総評
何になりたかったわからなかった雫が、熱中するものを見つけて、
大きな成長を遂げるその姿に、同じく何になりたかったのかわからなかった時期を重ねて、
心が痛くなったり、少し甘くて青い恋愛劇に恥ずかしさを感じながらも、
楽しくみれる作品でした。

そして、カントリーロードに感じる、ノスタルジックな雰囲気が、
心を穏やかにしてくれて、青春時代の思い出のような作品だと感じました。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 60

りんご さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

お前を乗せてこの坂上るって決めたんだ!

高校時代、好きな人が自転車で私を後ろに乗せて上り坂を立ちこぎした時、これを真似て言われた時はときめいた。

人生の分岐点を迎える前に、この作品をきちんと理解していれば良かった。
考える時に考えないと、後戻りできない。
やりたいことを見つけたら、夢見るだけじゃなくて、どうしたら実現できるのか、それは現実的なのか、ちゃんと考えなきゃダメだった。

ただの恋物語じゃない。
自分の生き方をこの歳で考えられるってすごく大人だと思う。

あ、そうそう。鍋焼きうどんがおいしそうだよね。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 10
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

目をすませば

ジブリ作品。
原作は漫画なんですね。
初めて知りました。


主人公は中学生の月島雫(つきしましずく)。
本の虫の彼女は、図書カードに、天沢聖司(あまさわせいじ)の名前を見つける。
どんな人物なのかと思いを馳せる雫。
ある日、ふとした巡り合わせで、彼と出会うことになる。
甘酸っぱい青春恋愛ストーリー。


詩を書いてみたり、街を旅してみたり。
歌を歌ってみたり、夢をもってみたり。
恋愛してみたり、恋愛してみたり。

初めて見たのは、私も中学生のころだったかな。
「リア充爆発しろ」なんて思っていました(そんな言葉はなかったけど)。

青春しまくってるんだもん。
そんな姿を見てだれがいい気分になるんだと。
描写がリアルなだけに、登場キャラへ嫉妬していたんですね。


ところが今見返すと「若いっていいなぁ」という感想に。
やりたいことを全力でやっている姿が輝いて見えます。

全111分の中で、ピョンピョンと青春の階段を駆け上がっていく。
あどけなさを残しながらも、{netabare}将来を誓い合う{/netabare}というオチ。
非現実的な調子の良さが心地よく感じます。
登場人物を「他人」ではなく「自分の代理」として見られるようになったからだと思います。


嫉妬から同調へ。
そんなふうに視点や観点は変わっていくものだと気づかされた作品でした。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 70

77.7 4 夏休みで心温まるなアニメランキング4位
若おかみは小学生!(アニメ映画)

2018年9月21日
★★★★☆ 4.0 (162)
739人が棚に入れました
小学校6年生のおっこ(関 織子)は交通事故で両親を亡くし、おばあちゃんが経営する旅館<春の屋>に引き取られることになった。

旅館に昔から住み着いているユーレイのウリ坊や、美陽、小鬼の鈴鬼、ライバル旅館の跡取り・真月らと知り合ったおっこは、ひょんなことから春の屋の若おかみ修行を始めることになった。

慣れない若おかみ修行に、毎日失敗の連続…。

「あたしって、全然しっかりしてないじゃん。」

落ち込むおっこだったが、不思議な仲間たちに助けられ、一生懸命に接客していくうちに、少しずつ成長していくのだった!

声優・キャラクター
小林星蘭、松田颯水、水樹奈々、一龍斎春水、一龍斎貞友、てらそままさき、小桜エツコ

てっく さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

全てを受け入れるという事の難しさと大切さ。

ふらっと唐突に映画館へ行きたくなり視聴。
原作を知らなかったので、タイトルと立ち絵を見た時には『大人が一人で観ても良いやつなのかな?』と思いましたが、公開されてから時間が経った遅い時間帯な事もあり、大人の方々が数名居るだけでした。

<あらすじ>
両親を事故で無くした『おっこ(関織子:小学六年生)』が、祖母が経営する旅館へ引き取られる事になる。
旅館へ到着するなり、おっこには幽霊の男の子『うりぼう』が見え、うりぼうの口車に乗せられる様に旅館で若女将として頑張ってみると言ってしまう。
その他にも、仲良くなる幽霊達やクラスメイトで同じ旅館業を営む『ピンふり(秋野真月)』などともドタバタしながら若女将として奮闘するお話。

原作は知らないですが、ストーリーは違和感なく入って来ましたし、内容も上映時間内で上手くまとめられてる作品だったと思います。
そして何よりも、
『大の大人が映画館である大衆の面前で、ほろっとさせられた事』の自分自身に驚かされました^^;
終盤の展開も、観ている時点で何となく気が付きましたが、それでもウルっとさせられたという事は、それだけ“おっこ”の頑張りが素敵なお話だったんだと思います。

可愛らしくも悲しく、でもステキな暖かい作品でした☆

投稿 : 2024/11/23
♥ : 20
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

今期イチの注目株と聞いたので観てみました

テレビ版と原作は触ってません。


以下ネタバレ内に推測上のテレビ版との比較を入れています。
(こんな状態で語るのはおこがましいと思いますが、あにこれに劇場版の感想書いてる人が少ないので一応記載させていただきます。勘違いしている部分があったらその都度指摘してください。詳細を書いてくれる人が現れたら消しますので参考程度で)

{netabare}1スタッフが違う
脚本もキャラデザも監督も違います。つまりはTV版のつぎはぎ総集編ではないということが言えます。

2原作は同じ
オリジナルエピソードではなさそうなので、エピソードの被りはあるかもしれません。

3視点を変えている
これでしょうね。テレビ版は織子が若女将として仕事をする中で、様々な困難に挑み、失敗しながら少しずつ成長していくお話がメインなのかな?{/netabare}
映画版は両親を亡くした織子のトラウマを少しずつ克服して行くところを中心に描いています。

これよりネタバレを含む感想{netabare}
家族との幸せな時間…両親との別れは突然に訪れます。
反対車線に飛び出したトラックに突っ込まれた乗用車。数分前まで会話をしていた両親が亡くなるのを目撃した織子はいったいどれほどのショックを味わったでしょう。
しかし、描かれたのは落ち込んだ様子の無い織子。
おそらくいつもやっているように誰も居ない我が家に挨拶をして離れ、引き取り先の祖母のもとへ向かいます。
移動中は特に両親の話題に触れず夏休みの間だけ親戚の家にお泊りに行くただの女の子のよう。

勿論徐々に両親について話題が出てきますが、
最初は「お父さんとお母さんは生きてる気がする」と言っていました。
幽霊がみれたことも一因なのでしょうか。
現実に目を向けられていない織子。仲居さんが気の毒そうな表情を浮かべますが、織子は気にする様子がありません。
そんな中、母を失ったばかりだという親子が旅館に泊まることとなり、時にお客さんと言い争いになりながらも、親身になってもてなしてゆく織子。
最初はやり場のない怒りを織子にぶつけていた同じくらいの年の子は、織子のやさしさにふれ、たまらず泣いてしまいます。

このあかねという子が布団に潜り込んで泣いてたところは印象深いシーンの一つです。
おそらくあかねさんは同い年の織子が両親を亡くしながらも強く正しく生きているのをみて、恥ずかしさ少々、自分に尽くしてくれたことで愛情を感じ安心して堰をきったのでしょう。
ひとしきり泣いて気持ちに整理をつけたあかねさんは、登場直後のひねくれた感じではなく素直で優しそうな子に変わりました。

続いて登場したのは恋人と別れた直後のお姉さんなお客さん。
織子と意気投合し、織子をドライブに誘いますが、事故のトラウマで震えが出て呼吸も大きく乱してしまいます。
最初は大丈夫でもちょっとした拍子でトラウマが呼び出されてしまう様子は、震災の体験談などで聞いたことがあります。
物語に関わりのないちょっとした仕草ですが、これによって物語のディティールがより細かくなったように感じます。

そして、心の支えにしていた幽霊が徐々に見えなくなっている織子。両親が死んだことも理解できるようになり急に孤独を感じるようになります。
織子役の小林星蘭さんの「置いていかないで!」と泣き崩れる演技、真に迫っていて織子が気の毒に思えて非常に胸が苦しくなりました。
一時自暴自棄になり飛び出す織子にハラハラ。
しかし、これまでの若女将の経験でいつの間にか大人になっていた織子、
事故で正面衝突をした張本人を前に、「私は関織子ではなく春の屋の若女将おっこです(どうぞくつろいでいってください)」と伝えます。
この時の織子がもう、どうしてこの娘はこんなにも逞しいのだろうか。まだまだ小学生だというのに…こんな良い子が…と、我が子の成長を見守る親の気持ちといいますか、そのような感じで胸がいっぱいです。
冷静になれば、菩薩か!と突っ込みを入れたくなるところかもしれませんが、そんな気分にはとてもなれませんでした。{/netabare}

物語の展開はほんとファンタジーです。しかし映像や見せ方のディティールがリアルなのでドキュメンタリーのように錯覚してしまう節があります。
また、両親の死を使った感動ストーリーに一瞬思えますが、最後まで見るとこの作品が織子の成長を描いたものであることがわかります。
この作品は一言で表すことが非常に難しいです。
変なレッテル貼りになっていないかとドキドキしています。

やはり、実際に見ていただくのが良いでしょう。
そして、それぞれ心に感じたことを自分の中で消化していただくのが良いと思います。
私は私の感想を大切にして、さらに読み込んていきたいです。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 16
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

TV版とは一味違う良さ

原作未読。TV版は視聴済み。
TV版のダイジェスト版程度のつもりで視聴したら、良い意味で裏切られたという・・・(笑)。
途中までは、確かにTV版のダイジェストだったけど、後半のエピソードはTV版のアフターストーリー。

主人公のおっことウリ坊、美陽、鈴鬼の繋がりの深さはTV版を視聴していないと、チョット分かりづらいかな?
本作では、かなりあっさりと描かれていたからね。

{netabare}おっこの両親が亡くなった交通事故の加害者運転手家族が「春の屋」へ宿泊したくだり。
圧巻でしたね。
ここに繋がるんだって・・・。{/netabare}

TV版のレビューでも書いたけど、タイトルだけで敬遠するのは、もったいないレベルの作品です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 30

75.8 5 夏休みで心温まるなアニメランキング5位
ペンギン・ハイウェイ(アニメ映画)

2018年8月17日
★★★★☆ 3.8 (266)
1228人が棚に入れました
小学四年生の少年アオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録する。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、大人になったときにどれほど偉くなっているか、見当もつかない。そんなアオヤマ君は、通っている歯科医院の“お姉さん”と仲がよく、“お姉さん”はオトナびた賢いアオヤマ君を、ちょっと生意気なところも含めかわいがっていた。ある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちは、いったいどこから来てどこへ行ったのか…。アオヤマ君はペンギンの謎を解くべく研究をはじめるのだった。そしてアオヤマ君は、“お姉さん”が投げたコーラの缶が、ペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」“お姉さん”とペンギンの関係とは? そしてこの謎は解けるのか?少し不思議で、一生忘れない、あの夏の物語。

声優・キャラクター
北香那、蒼井優、釘宮理恵、潘めぐみ、福井美樹、能登麻美子、久野美咲、西島秀俊、竹中直人

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

史上最高のおねショタSF映画!もりみー原作が苦手な人にこそ観てもらいたい!

『四畳半神話体系』『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』のもりみー(森見登美彦)の新境地を『陽なたのアオシグレ』『台風のノルダ』の石田祐康と新井陽二郎のタッグが描いたジュブナイルSF


とある郊外の町が舞台
10歳にして勉強や研究に熱心な好奇心旺盛で達観した思考を持つ少年、アオヤマ
ある日、海も無い町中に唐突に大量のペンギンが出現したのを目撃する
アオヤマ少年と友人はすぐさまにペンギンの出自を探す探検に出るが謎は深まるばかり
その後アオヤマ少年はその達観視した口調が災いし、クラスメートのガキ大将と衝突してしまう
そのピンチを彼が淡い恋心を抱く近所の歯科衛生士の“お姉さん”に救ってもらう
アオヤマ少年がペンギンの謎を追っていることを知ると“お姉さん”はジュースの缶を宙に放り投げた
すると彼女が投げたジュース缶が突然ペンギンにメタモルフォーゼした
「この謎を解いてごらん、君には出来るか?」
かくしてアオヤマ少年は“お姉さん”とペンギンの関連を探り出そうとするのが…


まず一連のもりみー原作の多聞に漏れず、達観視した上から目線な主人公による一人称が主軸となっているのですが、早合点するなかれ
もりみー原作でありながらも畳み掛けるような喋り口調でまくし立てる作品ではないのです
主人公が落ち着いた少年であるという点や、アオヤマ少年を演じた北香那の感情を殺した芝居、そして全体的に間を大切にしたテンポ感を含めて、どちらかというととてもゆったりとした時間が流れる作品になっています
かつ暑苦しい青春モノでなく、もっと爽やかなジュブナイル作品というのも手伝っていますから「もりみー原作はちょっと…」という方にこそチェックしていただきたいところです


この辺りの演出、石田祐康率いるスタジオコロリドの若いスタッフが中心となったことも大きいと思います
少年の、自覚なき恋心を大切に描いていますし、その一方で少年が“お姉さん”に興味を抱くキッカケが“お姉さん”の豊満な「おっぱい」というのがエッチでコミカルでとっつき易いです
また、過去作の様にスタジオコロリド内製が強いのかと思いきや、流石に初の長篇ということもあって亀井幹太監督が演出処理を買って出る、佐藤順一監督がクリエイティブアドバイザーとして参加する、等これまでのコロリド作品とは規模の違いを感じます
一言で言うなれば、これまでのもりみー原作アニメが若者向けな文学作品だったのに対し、今作は老若男女広く、もっと言えばファミリー路線にも喰い込める、本当の意味でのエンターティメントに振った作品に仕上がっていると言えましょう
今日までコロリドを見捨てなかったフジテレビにはよくやった!と言いたい


ところでもりみー原作といえば【いまいち何を考えているのかわからないヒロイン】の存在でありますが、今作の“お姉さん”もまたもりみーヒロインであることに変わりありません
彼女のイヤラシさの無い奥ゆかしさを、蒼井優が見事に演じきっていてコレにも拍手です
キャスティングは完璧で、いわゆる大人の事情なども感じさせません
それは主題歌に起用された宇多田ヒカルの「Good Night」も同じで、まさにこの映画の為にある一曲と言える楽曲です
エンドロールで程よい余韻に浸れることを保証いたします


また、途中で『台風』が来たり、『坂のある町を駆ける』のは思わずコロリド作品ファンには笑みがこぼれてしまうところでしょうw
コロリドにとっては今作が初の長篇にして、1つの記念碑となった、のではないしょうか?
まあ細かいことは置いとくとしても、とかく【おねショタ】っていうジャンルは本当に尊いと思ったのがオイラの本音ですよw

投稿 : 2024/11/23
♥ : 18
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

表はペンギン、裏はエヴァンゲリオン

世界観:9
ストーリー:8
リアリティ:6
キャラクター:7
情感:6
合計:36

小学四年生のアオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録している男の子。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、「きっと将来は偉い人間になるだろう」と自分でも思っている。そんなアオヤマ君にとって、何より興味深いのは、通っている歯科医院の“お姉さん”。気さくで胸が大きくて、自由奔放でどこかミステリアス。アオヤマ君は、日々、お姉さんをめぐる研究も真面目に続けていた。
夏休みを翌月に控えたある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。街の人たちが騒然とする中、海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちはいったいどこから来てどこへ行ったのか……。ペンギンへの謎を解くべく【ペンギン・ハイウェイ】の研究をはじめたアオヤマ君は、お姉さんがふいに投げたコーラの缶がペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。
「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」

(公式ページより抜粋)

視聴経緯については、先日見た「若おかみは小学生」同様、2018年に公開されたアニメ映画で、さよ朝やリズ青と共に名前があげられることが多かったから。

若おかみ~があまり響かなかったので、4作品中トップにあげられることの少ない本作は正直あまり期待していなかったのですが、意外にも高得点でした。

冒頭のあらすじを読むとこじんまりとした作品のようですが、スケールが大きく、SF、セカイ系と言ってよいでしょう。それでいて、個人の思春期の問題がテーマにされており、私はエヴァンゲリオンを連想しながら見てしまいました。

{netabare}本作はいくつかのもの(お姉さん、海と呼ぶ球体、ペンギン等)が象徴的に描かれていて、それを何と捉えるかで様々な受け取り方になると思いますが、全体のテーマは私にとっては「異性への憧憬」や「アニマの昇華・離別」(それによって少年は成長するのだ!)であると捉えました。(ペンギン・ハイウェイが象徴する道も、少年が通る成長の道ではないか)

個人的に、自作長編小説におけるテーマのひとつであり、お姉さん的なキャラを登場させたことがあるので、最早そういうテーマでしか見られなかったのですが(苦笑)
注.私の言う「アニマ」とは、ユングのものとはズレていると思いますが、精神的な異性に対する憧憬の原点(簡単に言えば理想の女性)みたいなもので、例えば、初恋の相手が2次元(アニメキャラ)みたいな形で接触する人も多いのではないかと思われます。

ですので、万人受けはしないと思いますし、特に女性は共感できるのか不明。女性にも異性への憧憬はあるでしょうが、本作のモチーフがそれに符合するのか全くわかりません。

そのようなごく個人的な体験により、お姉さんが偶像でないかという疑問は、最初の喫茶店のシーンから出てきて、コーラがペンギンに変わったところで確信に変わりましたね。

普遍的なテーマに寄って考えると、幼少期は想像(内的)世界と現実(外的)世界が共存しているけれど、どこかで想像世界に踏ん切りをつけて現実世界のみを見るようになるということでしょうか。

小説を書くことでお姉さん的存在と問答し、離別した私としては、アオヤマ君がお姉さんに再会できるのは内的世界に向き合うかもしれない老後、究極的には死んだ時だと思ってしまいますが、そうやって大人になった自分にとって、彼には昔の自分を重ねてしまい、背中を押してあげたくなりました。{/netabare}

青春の原風景を見に行けた感じでしょうか。主人公の性格や豊かなお姉さんの憧れが真っ直ぐで、爽やかな満足感を得られました。

客観的にも、テーマが深くて濃いものである割に、テーマに対応するぎりぎりの低学年を主人公にし、愛くるしいペンギンを登場させることで巧みにカモフラージュされているので不快感はあまりなく、終盤はジェットコースターのようなアニメーションも堪能でき、楽しめる作品と思います。

(2020.6視聴)
(参考評価推移:4.3)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 27

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

愉快で不思議で、ちょっと切ないファンタジー

これからの季節にお勧めです!

科学的探究心が旺盛な、小学校4年生のアオヤマ君のひと夏の活躍を描く、
ミステリーのような、冒険譚のような、楽しくて、ちょっと不思議な味わいのお話しです。
いろいろ辻褄合わなくても全然かまいませんw そういうお話しじゃないって思うから。

小学生のくせに、大人ぶっていて、でも大人の女性の胸に興味津々で、
それを恥ずかしいと自覚するまでにも至ってない、二次性徴を迎える前で
恋とか愛とかも、当然知りもしないアオヤマ君。
潔い、というより、まだ性に目覚めていないから、
素直に「おっぱいが好きだ」って堂々と主張して悪びれもしない。
なんだかそんなところ、すごく可愛い!
きっと2~3年もしたら、自分の「お姉さん研究ノート」が、
死ぬほど恥ずかしくなって、
黒歴史として封印しちゃうんだろうなあww
ああ可愛い(^^)
わたしショタとか全然趣味じゃないですけど、
こんな、無自覚に背伸びして小理屈こねくり回してる子供がいたら!!
可愛くて堪らなくていじりまくりそう!

お姉さんもなんだかとっても素敵です。
奇麗なだけじゃなくて、キュートでファニーな、
それでいてちょっと謎もある、少年の目にも大人過ぎない、
ちょうど魅力的に映える感じで。
あと重要なファクターの、
お姉さんの胸の描き方が、いい意味でアニメっぽくなくて、
グロテスクな巨乳とかじゃなくて、ちゃんと普通に、女性の胸らしく、自然で綺麗な線で描かれているのがとってもナチュラルでいいって思います。

それと、サブヒロインになるのかな?
ハマモトさんもすごく、可愛いんです。
プライドは高いんだけど、子供らしく真っ直ぐに生きてて、
年相応に賢いのがとっても好感度高いです。

お話し自体は、ジブリっぽいっていうか、
トトロとポニョを足して二で割ったような感じで、
夏休みにファミリーで楽しめるように作られていて、
森見さんの原作なのに嫌味な感じが全然しなくて。
監督も、教えられるまで気付かなかったけど、
あの「フミコの告白」作った石田祐康さんなんですね。
初の長編商業作品で、ここまで出来るってすごい!

アニメ上級者の方にはちょっと物足りないかもですけど、
そんな方以外の、普通の人なら、
誰が観ても楽しめるんじゃないでしょうか。

アニメ初級者の私は、すごく楽しめました(*^▽^*)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 40

81.1 6 夏休みで心温まるなアニメランキング6位
花咲くいろは HOME SWEET HOME(アニメ映画)

2013年3月30日
★★★★★ 4.1 (1285)
7257人が棚に入れました
美しい北陸の四季を背景に、祖母の経営する温泉旅館に住み込みで働くことになった東京生まれの女子高生の成長を描いたTVアニメ「花咲くいろは」(2011年4~9月放送)の劇場版。温泉旅館「喜翆荘(きっすいそう)」での住み込み生活にも慣れた松前緒花は、次第に変化していく自分に気づきはじめていた。そんなある日、緒花のクラスメイトでライバル旅館「福屋」のひとり娘・和倉結名が、女将修行のため喜翆荘にやってくる。自由奔放な結名に振り回されながらも、面倒をみていた緒花だったが、物置の中であるものを見つけて……。監督の安藤真裕、脚本の岡田麿里、アニメーション制作を担うP.A.WORKSほか、TVシリーズのスタッフが再結集。

声優・キャラクター
伊藤かな恵、小見川千明、豊崎愛生、戸松遥、能登麻美子、梶裕貴、本田貴子、久保田民絵、浜田賢二、間島淳司、山口太郎、恒松あゆみ、諏訪部順一、チョー
ネタバレ

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

佃煮プリティ~!

時系列はTV版20話~21話の間の話。

この劇場版では緒花の母・皐月の過去話が主軸として描かれます。
「花咲くいろは」という作品は
皆が何かに向かって一生懸命、悩んで迷って成長していく物語であるわけですが
皐月に関しては、TV版ではそういうキャラとして描かれていなかったので
今回あの皐月にもこんな過去が・・・といった感じで掘り下げてくれたのが良かった。
初登場となる父との馴れ初めや、緒花の名前の由来なども明らかに。

{netabare}偶然発見した業務日誌を通じて、皐月の過去を知ることになる緒花。
そして興奮を抑えきれず夜中にジャージで全力疾走ww{/netabare}
本作の象徴とも言える「走る」シーンは、劇場版でも健在でしたね。
上手く言葉にできない感情の発露。見ていて気持ちがいいし、テンション上がります。

皐月-緒花の話と並行して描かれる、ミンチや菜子のエピソードも良かったです。
66分という短い尺の中で多くのキャラの見せ場をしっかり作って
それぞれ中途半端になることなく、きっちり纏め切っています。
各エピをリンクさせて最終的に一大テーマへと昇華させていく構成も見事。
ラストでTV版のOPのシーンが出てくるとこも良かった。こういう演出には弱いですホントw

生々しいエロネタも健在で、冒頭シーンからやってくれました。
良くも悪くも岡田麿里脚本。そういう意味でやはりTARITARIとは違いますねw

TV版をリアルタイムで観て以来、久々に本作の雰囲気に触れたことで
「花咲くいろは」ってこんな作品だったよな~って見ながら思い出しました。
パンフにも書いてあったけど、それがスタッフの狙いでもあるようです。
というわけで、本作は完全にTVシリーズのファン向けに作られていますが
ファンなら観て損はなし!非常に満足できる内容に仕上がっていると思います。


※余談
上映前の「変態仮面」の宣伝うぜええええええ
劇場マナーCMでも迷惑行為や違法行為の禁止を訴えていたけど
まずはお前の変態を禁止するべきだ、と突っ込みたくてしょうがなかった。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 65
ネタバレ

ストライク さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

親の心子知らず 

本編 67分

アニメ版を観てからの視聴をオススメします

総集編ではなくて、緒花の母 皐月が高校生だった頃~のエピソード等を含む、完全新作です。



ネタバレ感想
{netabare}
この作品を見る以前から、この作品のCMで「うっせーババア!」って言う、多分 緒花の母だろう?女の子が 凄く印象に残ってました
んで、この本編を観始めたら、導入から「うっせーババア!」ってセリフから始まり・・・
案の定 緒花の母が高校生だった時の皐月でした  ^^;
直ぐにスッキリでしたw


それぞれのキャラも、いい演出してましたね!

緒花は、皐月と同じで「輝きたい」と、もっとぼんぼる決意を!

今時の軽くて天然の結名は、相変わらず悩みなんかないだろうな~って感じだったし 
以外と仲居の神様がついている!? ^^

みんこは、結名の天然に触発され「佃煮 プリティー」とかで、一人ハズイwww ^^
それに、久しぶりに「ホビロン」聴けて満足でした

菜子は・・・
ほんと良い子やな~(〃ω〃)
お母さん代わりに妹達の面倒みて、
麻奈を探し見つけたデパートの屋上でのシーンは、油断してて思わず泣いてしまった
(yTДT)y  

巴さんは、おばさんキャラでギャグ担当にされてて ちょっと不憫でした^^;
(かかとの角質 硬くなるよね~ ^^;)
巴さんには幸せになって欲しいです。
癒しボイスの能登さんでしたが、お笑い担当キャラだったので、癒し成分が少なかったのが残念でした><

緒花の母の皐月は、自分が親になって初めて女将の生き様に気づきます
「自分に負けられないんだ」と・・・
親の心、子知らず でしたね。。。
「うっせーババア!」と「負けられっか くそババア」のセリフが忘れられません ^^
{/netabare}


自分が この作品を見終わって感じたのは、「家族愛」

自分は子供もいるので、どうしても親目線でした
女将の気持ちも分かるし、
菜子と、菜子の妹が泣く所は 堪らなく切なかったです 
(仕事も大切だけど、家庭が第一だよね)

観る人によって、見方、感じ方は様々だろうけど、
自分はTV版も良かったけど、こっちの話のが好きかな・・・?


心が暖まり、ぼんぼりたくなれた作品でした。(@´ー`@)
オススメです!


主題歌
「影踏み」 歌 - nano.RIPE


PS:喜翆荘の様な、お客を大切にする老舗旅館なら行ってみたいですね!
(*´ー`*) 

投稿 : 2024/11/23
♥ : 76

PPN さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

HOME SWEET HOME ( ,,ÒωÓ,, )

P.A.WORKSによる、TVアニメ『花咲くいろは』の劇場版。
アニメ本編をチェックしてからの視聴をオススメします。

キャッチコピーになっている『私、もっと輝きたいんです……!』
これを約60分でギュッとまとめた作品です(´ー`)
本編と変わらずの丁寧で綺麗な風景、背景をバックに
いつものキャラクターが生き生きと描かれていました。

メインストーリーは母娘愛。
緒花が母・皐月の過去を知ることからお話が展開します。
緒花と皐月、皐月とスイ、それぞれの母と娘の想いが
交差していく様子が描かれています。
親の心、子知らずとはよく言ったものですが
親も子供の本心を理解できている訳ではありません。
そんな揺れる母と娘の想い、関係が上手に描かれていました。

また、メインヒロインの1人である押水菜子の家族愛を
扱った作品でもあり、見所の一つになっています。

それにしても60分は短か過ぎると思いますw
よくまとまってはいるものの、せめて90分でしょ( >_<)
というのが1ファンのワガママ、正直な感想ですかねw
若かれし頃の綾人と皐月の出会いや緒花の出生に関わる
お話が見れたのは良かったです♪


本編を視聴済みの方にはぜひ視聴して貰いたい1本です。
視聴後、温かい満足感を得られると思います!


《キャスト》

松前 緒花(CV.伊藤かなえ)
鶴来 民子(CV.小見川千明)
押水 菜子(CV.豊崎愛生)
和倉 結名(CV.戸松遥)
輪島 巴(CV.能登麻美子)
四十万 スイ(CV.久保田 民絵)
四十万 縁(CV.浜田 賢二)
宮岸 徹(CV.間島淳司)
助川 電六(CV.チョー)
次郎丸 太郎(CV.諏訪部順一)
松前 皐月(CV.本田貴子)
松前 綾人(CV.竹内良太)


《主題歌》

『影踏み』/nano.RIPE


【2014 08/17 レビュー投稿】
【2017 05/12 レビュー加筆】

投稿 : 2024/11/23
♥ : 65

63.9 7 夏休みで心温まるなアニメランキング7位
虹色ほたる~永遠の夏休み~(アニメ映画)

2012年5月19日
★★★★☆ 3.7 (127)
587人が棚に入れました
ネット小説として人気を博した原作を、大人気アニメ『ワンピース』のシリーズディレクターを勤めた宇田鋼之介を監督に迎え映画化。現代から1970年代にタイムスリップしてしまった少年のひと夏を、日本を代表するアニメーターたちが表情豊かに描く。自然の美しさや、子どもたちの活き活きとした姿を“アニメならでは“の表現で描いている。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ボーイ・ミーツ・ミステリアス・ガール

これはホントもっと評価されるべきっ!!!
今年一番面白かった映画の最有力候補です!!!


原作は『ネットから生まれたベストセラー』の代表格、川口雅幸が04~05年頃に自身のホームページに掲載したものから


亡くなった父親との思い出の地へ昆虫採集にやって来た小学六年生の男の子『ユウタ』は山奥のダム湖で不思議な老人に出会う


山からの帰り道で大雨と土砂崩れに巻き込まれてしまい、気を失ったユウタに老人は救いの手を差し伸べるのだが、気が付いた時にユウタはなんと1977年にタイムスリップしてしまっていた
そしてこれからダムの湖底に沈むはずの地に、小さな村と人々の営みが広がっているのを目撃する


なぜか全く見覚えのない祖母と名乗る老婆はユウタの素性を知っており、心温かな村人や村の子供達にすんなりと受け入れられる
謎の老人はユウタを元いた時代へ帰すことを約束してくれるが、それは1ヶ月も先になることを告げて姿を隠してしまう


そんな中、村で一番最初に出会い「ユウタくんは私の従兄弟」だと言い張る謎の少女『さえ子』にも秘密が隠されていることをユウタは知ることとなる・・・


さえ子に隠された秘密が、今作を大きく引っ張ってくれる魅力になっています
最後まで目が離せないっす!










まず今作は色々と不幸な偶然が重なってしまったことで業界内外での話題が振るわなかったことが非常に残念でした


『虹色ほたる』と『タイムスリップ』というキーワードが、まんま【今年の映画ドラえもん】の『ゴールデンヘラクレス』と『タイムスリップ』というキーワードと丸被りだったのです
オイラもてっきりドラえもん的なSF映画なのか?と激しくカンチガイw


さらに1ヶ月ほど先立って公開された映画【ももへの手紙】が今作と同じ『主人公が母子家庭』で『日本の田舎風景が舞台』というのですからトコトンツイてないw
こうなってしまうと“圧倒的に後発の方が不利”なのは古今東西相変わらずですよね;


ただ今作で描かれている村の風景は『地方の○○が舞台』という特定のものではなく、日本の原風景とも言うべきドコの田舎にでもありふれていそうな親近感あるものとなっています
ダムの底に沈んでしまう村という儚いお話も、ダム大国日本ならではのポピュラーなネタで、老若男女問わず入り込み易い作りになってると思います


それとCGなどは使わず、暖か味ある手描きの背景画で日本の自然を表現することへの拘り、これ自体は割りとドコの作品でも見られるんですが、今作の最もたる特徴の<作画>
この作画が世界観を引きたてる画面作りに大いに発揮されておるんです!


例えば、ふと空を見上げたときの『太陽から照り付ける夏の強い日差し』といったエフェクトの類は、普通ですと撮影処理で作り出すもので作画することは無いんです
ところがこの作品の場合、なんとその日差しのエフェクトを手描きの作画でやってしまっているのですw
もうこれは正気の沙汰とは思えないwwwwwwwwwwww
他にも川の水しぶき、舞う様に飛び交う蛍の淡い光とゆるやかな動き
なぜこうもアニメ向きじゃないことばっかり手描きでやってしまうのかw
これらデジタル技術に片寄らぬ手描きによるアニメートが、作品全体の雰囲気を作っているんですよ!
ちょっといくらなんでも凄すぎますw


作画、のお話が出たところでオイラが最も燃えたポイントをば・・・


この作品が公開される直前まで、オイラは例の【ももへの手紙】での素晴らしい作画に感銘を受けていたわけなのですが、今作は【ももへの手紙】とは全く違うアプローチの作画をしているんです


【ももへの手紙】はスタジオジブリ作品など大型アニメ映画作品の例に従い、作監によって整ったカタチに修正された、アニメ映画として最も純然たる美しさを目指したまさにメジャー向けな作品でした
多少ですが原画を担当したアニメタの個性が見え隠れしますが、それをキャラ表のデザインに近づけたり、特定のカットだけ突出してヌルヌル動いたりしないように
と、作品全体の画面作りに調和が図られているのがよくわかります


対して今作では腕は立つがアクの強い絵柄のアニメタを場面ごとに上手く配置して各々のアニメタの個性を打ち消すことなく自由に作画させているのがポイント!
アニメタによってはやたらとフルアニメーションでヌルヌル動かしたがって、それが涙に揺らぐユウタの心情を表現していたり
また大平晋也さんなんかは相変わらずキャラデザを無視しまくってラフなアウトラインのデッサン調でいわゆるリアル系に描いていたりもして、それが使われるのが現実と虚構の入り混じった極めて抽象的な場面であったりとか
作画に興味の無い人にしてみれば「キャラの顔がコロコロ変わってイミフ?」なことになること請け合い;


単純に綺麗なのはモチロン【ももへの手紙】タイプなのですが、【鉄腕バーディーDECODE】や【ハガレンミロ星】の作画に理解を示していただける方ならきっとこの作品の作画の凄さに気づいていただけると思います!
オイラ的には今作の方が断然好きで、どちらも作画評価は5.0点にしてるんですが気持ち的に今作には10点ぐらいあげたいですw
マジでw


で、もちろんどれほど作画が良かろうがお話がツマランかったら容赦なくぶった切りたいトコロだったのですが、、、お話もホント良いんですよ!


はじめにユウタが手に持っている携帯電話がロッドアンテナ付きで白黒液晶
それと1977年の村の少年の「ゴレンジャーの何が好き?」という問いに対してユウタの「タイムレンジャー・・・とかかな?」という会話
これらですぐユウタのいた時代が2000年前後に設定されている、とオイラにもわかったんですが、それにしてもなんで?
そこは2012年でいいだろw
超無意味じゃん!
そう思っていた時期が、、、オイラにもありましたw


その辺をしっかりラストで伏線回収
マジで最後の最後までハッピーエンドに転がるのか?切なさを残すような〆方に転がるのか?もう目が離せないんすよ!
とにかく手放しのエンディングってワケではないんで!作画だけでなくお話にも期待していただきたいっす!


時を経て、人は変わる、風景も変わる、子供も大人になる、でも変わんないものもある
それでも、こどもたちは今を生きる―――そして未来へ


【銀河へキックオフ】といい、オイラの中で最近の宇田鋼之介監督の株は急上昇ですw
ホントにいい映画をありがとうございましたm(__)m
今作、埋もらしておくにはモッタイナイ名作ですぞ!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 36

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

スカウターが派手に壊れた。

最高でした!^^


ジャンル:心のサプリ系アニメ。

2012年5月公開。上映時間105分。

「夏休み。とある少年と不思議な老人との出会いからすべては始まる。
昆虫採取のために父と訪れた思い出の場所。その近くのダムの底には昔、村があった。
少年は、老人の手引きでその村が無くなる直前の過去へとタイムスリップしてしまうことに。
そこで出会った人たちとの心温まるストーリーが展開される。」


7月1日に観に行きました!公開から一カ月以上経ってたのでメチャクチャ空いてました。


以下、感想↓

序盤の方は、展開がゆっくりで謎に包まれている部分も多いので、退屈な感じがしなくもないです。
ですが、細部まで描き込まれた昔ながらの美しい田舎の風景や、子供たちの自然と一体になって遊ぶ姿など、懐かしさを感じさせてくれる部分も多く、なんかジンワリきちゃいましたw

そして何といっても印象に残ってるのが、夜空を舞う蛍のシーン。
足元にはひんやり冷たそうな清流が静かに波打ち、真っ暗な夜空には一面に輝く虹色の蛍が。

凄まじく綺麗で感動的。このシーンで一気に心奪われました。
良すぎて目からアツいものが…w
それから中盤にかけてさらに盛り上がりを見せ、最後まで目が離せなくなります!


数々の灯篭を乗り越えて…。
時の流れは止められない。失ったものはもう元には戻らない。
けれど、悲しみを乗り越えたその先にはきっと明るい未来が待っている。
そんなメッセージを感じました。


もうね…、何回泣いたか分かりませんw客が少ないのを良いことにw
完全に予想外ですねw
高評価を聞いてはいたので期待はしてましたが、まさかここまでボロ雑巾にされるとは…。
購入したポテトの為に用意されたおしぼりしか手元に無かったので、それで頑張りました。
ポテトの油と目汁が混ざり合って何だか気持ちの悪いことになりましたがw

スカウターがまじでぶっ壊れましたよ!ドッカーンとw派手にね。この子の破壊力は計測不能です!

ていうか、いろいろ卑怯なんですよ~。
松任谷タッグによる心地よい音楽。終盤でまさかの能登センサー反応!w
テンションの上がり方ハンパ無かったですw


~あと、作画とかについて~

人物画が凄く独特で、墨画に色を付けた感じ。
ぱっと見荒削りな印象を受けますが、どこか郷愁さ漂うタッチで作品の雰囲気と合っていて好感が持てました。
また、場面のもつ感情によって作画が急激に変化したり、やたらウネウネ?したりしますw

なんで、テーマ自体は万人ウケすると思うのですが、作画の変化などによるクセのある演出は人を選びそうな気がしますね。
でも、そこがツボにハマればお気に召すこと間違いなし!だと思います。


気になる方は、劇場で観ることをおススメしますよ!
終っちゃわないうちにお急ぎを!w

投稿 : 2024/11/23
♥ : 17

しゅりー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

このまま行けば個人的に2012年最優秀劇場アニメ。

2012年5月公開、東映アニメーション制作の本作は2004年から2005年にかけて
川口雅幸さんがWEBで連載していた小説を原作に持つ劇場用アニメです。
監督はワンピースの映画や「銀河へキックオフ!!」などの宇田鋼之介さん。

小学6年生の少年ユウタが亡き父親との想い出の場所である山奥のダムに
一人で昆虫採集に出掛け、奇妙な老人と出会うところから物語ははじまります。
豪雨に見舞われたユウタが約30年前(ダムが出来る前)の村にタイムスリップし、
そこで出会うさえ子やケンゾーなどの人々と交流をしていく感動系の物語です。


本作はどうしても同時期公開の「ももへの手紙」と比較されてしまう
宿命を背負ったように思えるアニメではありますが、フタを開けてみれば
物語が持つベクトルがかなり違う作品であるように感じました。

舞台となる場所から夏目友人帳第1期のとあるエピソードを思い出してしまったり、
昨今の泣けるアニメによくある母子(父子)家庭という予め大事な人を
喪失している設定に目が行ってしまいがちですが、本編が始まった瞬間に
そんな雑音がどうでもよく思えてしまうような魅力が本作にはありました。

その魅力は劇中を縦横無尽にかけまわるユウタ達の活発な動作や、
場面ごとに見事に印象が変わる豊富な表情といったキャラクターの表現と
作品全体に行き渡る作画で描かれた光や影などの独特な色彩表現、
松任谷正隆さんの手掛けられた素晴らしい音楽などの様々な要素が
一つのアニメの中で自然に調和していったことで生まれた「虹色ほたる」独自の
世界観によるものが大きいのではないかと私は思っています。


物語は眺めているだけでグイグイと視聴者を引き寄せていく吸引力があり、
それでも難しく考えて観る必要のない爽やかな人間ドラマといった印象を持ちました。
伏線の張り方とその回収についても丁寧にされていて説得力があります。

本編の挿入歌が流れるシーンや松任谷由美さんのED「愛と遠い日の未来へ」
についてもニューミュージックと呼ばれたジャンルの音楽が好きだった
私にとってはとても素晴らしいものに思えました。


私は視聴から1週間ほど経ちましたが興奮が醒める様子がなく、
このアニメに対してただただ素晴らしかったという印象しか湧いてきません。
色々褒め過ぎているきらいはありますが、あにこれ向きな良いアニメだと
思いますのでお近くで公開されているか、BD発売/レンタルになった際には
騙されたと思って是非観てほしいとオススメします。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 20

63.4 8 夏休みで心温まるなアニメランキング8位
こわれかけのオルゴール(アニメ映画)

2010年9月11日
★★★★☆ 3.6 (249)
1077人が棚に入れました
俺は・・・夢を諦めていた、何もかも・・・。生きているだけの日々、だがある日から・・・。俺の中での「生きる」がどんなものなのか、あいつを見ていると、そんなものを考えてしまう。キャラクター原案は もえたん、ゆとりちゃんなどを手がけたPOP、監督は絶対可憐チルドレン、ハヤテのごとく、俺の妹がこんなに可愛いわけがないの川口敬一郎が送る、協力タッグアニメ!!2009年冬に発売された話題の同人アニメ「こわれかけのオルゴール」がついに劇場化!

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

短編の中にも深いメッセージが沢山込められた秀作ですよ♪

30分短編映画でこれだけの高クオリティの作品を見たことがありません♪
本作品のタイトル「こわれかけのオルゴール」の意味するところは、観終わってからちょっと考えてみてくださいね!!
 
ストーリーはと言いますと、ある日の出来事から自分の殻に閉じこもってしまっている「敬一郎」と、神社に捨ててあったペアレンツと呼ばれるアンドロイドの「ふらわー」との、ひと夏の儚くも心温まる物語なのです♪
 
誰でも、何か愛着を持っている大事なものってあると思うのですよ、決して完璧ではないけど、これじゃないとダメなんだよねっていう物がね♪
私も昔乗っていて、なかなかエンジンのかからなかった相棒のオートバイを思い出しちゃいましたw
出来損ないでも、いつも一緒で、いつも一生懸命で、たまに迷惑かけるけどほっとけなくて、愛らしい存在が!!
でね、ふらわーってそんな女の子なのですよ♪
みはじめたら、どんどん話に引き込まれて、あっという間に終わってしまうけど、何か幸せな気分になるのです!!
 
こんな所に注目ですねぇ♪
・弾きたがらないギターがなぜ綺麗な状態でスタンドにたてられてたのか…
・掃除中に転んで、突然ついたパソコン画面…
・捨てられた記憶の一片がよみがえる中、絵日記に書かれた気持ちとは…
・そして、所々登場するオルゴールの意味とは…
他にもいっぱい魅力的な描写が沢山なのでいっぱい見つけて欲しいですねぇ!!
 
特別映像エクストラ・エピソード(8分)でも、とっても可愛いペアレンツの魅力が表現されているのですよ!!
TVシリーズ1クールでも良いので、もう一度お目にかかれたらなぁと切に願っちゃいます♪
 
とにかく癒されたい方、心洗われたい方、最近無気力な方、ぜひ観てくださいw
もちろん元気な方も、心温まる不思議な魅力に心奪われちゃってくださいね♪

投稿 : 2024/11/23
♥ : 37

チヒロ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

同人アニメとは思えないクオリティ。30分で感動できるストーリーもすごい。

イカちゃんとインデックスとめんまを足して3で割ったようなアンドロイドの女の子と、それを拾った主人公の話。

ちょっと切ないお話。

ストーリーはほんのひと夏だけのお話です。

アニメではなくドイツの実写映画で、
knocki'n on Heaven's Doorって名作映画があるのですが、
それにちょっと影響を受けたのかも?と思われるシーンがチラホラ。

ストーリー展開がとてもよく、観ていてあっという間に終わってしまいます。

そして、どこか余韻が残るアニメでした。


劇場版ではありますが、30分と短く、とても同人とは思えないクオリティーの作品ですので、ちょっと時間があいた時とかに観てみてはどうでしょうか。

損はしないアニメだと思います。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 17

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

お手軽に観れて充実感の有る作品です。感動系がお好きな方に!

本作品は同人アニメです。っと言ってもスタッフを見ると、結構有名人が参加しているんですけどね。

お話の舞台は近未来。ペアレンツと呼ばれるアンドロイドが、一般家庭で普通に使われている世界でのお話。神社のゴミ捨て場に捨てられていた旧型アンドロイドを拾った主人公と、そのアンドロイドの交流を描いた一夏の物語・・・。

アンドロイドと言っても、機械的なロボットみたいな物では無く、イラストレーターのPOPさん原案によるとっても可愛らしい女の子♪ この子、主人公から”フラワー”って言う可愛らしい名前を付けて貰えます。
ゴミ捨て場に捨てられていたぐらいですので、何処か壊れていて性能はイマイチ。でも主人公の為に一生懸命(けなげに!)がんばります。主人公はつらい過去を背負っており、引きこもりの生活を送っていますが、フラワーとの生活をきっかけに少しづつ明るさを取り戻していきます。
でもフラワーちゃん。壊れかけなんですよね、残念ながら・・・。そう、だから幸せも長くは続かない・・・。
ちょっとホロっと出来る、せつなくて悲しいお話です。


本作は全体で30分程度の作品です。短いですが、この時間の中に上手にお話がまとまっています。また、同人作品とは思えない程作画も綺麗ですし、音楽も素晴らしいです。劇場でも公開されましたので、DVDやBDにもなっています。入手は容易だと思いますので、是非ご覧になってみて下さい。短い時間で、とっても充実感の得られる素敵な作品だと思います。







投稿 : 2024/11/23
♥ : 16

74.2 9 夏休みで心温まるなアニメランキング9位
劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード(アニメ映画)

2000年7月15日
★★★★☆ 4.0 (225)
1679人が棚に入れました
小学6年生になったさくらは、まだ小狼の告白への返事をできずにいた。そんな時、エリオルの家の跡地に建てられた友枝遊園地で、ばったり小狼と苺鈴に遭遇。喜ぶさくらたちだが、町では町の中にあるものが次々に消えていくという奇妙な現象が起こっていた。そしてその現象はさくらたちの下にも及び、さくらの持つさくらカードが次々に消え始める。それは、名前のないクロウカード=無のカードの仕業だった。異変を止めようとするさくらだったが、相談したエリオルから無のカードを封印するには「大切な人への想い」を代価にしなければならないと聞かされる。動揺するさくらだが、無のカードは刻々と威力を発揮し始めていた。果たしてさくらはカードを封印し、小狼への本当の想いを伝えることができるのか。

声優・キャラクター
丹下桜、くまいもとこ、久川綾、小野坂昌也、緒方恵美、岩男潤子

ペエ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

完結

「本当の想いを胸に、さくら最後の封印解除(レリーズ)」
というキャッチが付いています。
これ以上ごちゃごちゃ書く必要はありません。

TVアニメ クロウカード編
劇場版 カードキャプターさくら
TVアニメ さくらカード編
と観てこれを観ればCCさくらも完結です。

終わってしまって残念すぎますが、
丹下桜さんはちょっと前に復活されましたので!
丹下桜のRADIO・A・La・Modeを聞くと
2011年の今でも「好みのタイプは雪兎さん」
みたいな会話を聞くことができます!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 1

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

限界のない可能性がここにある この手に・・・

2000年公開のカードキャプターさくら さくらカード編の完結編

小学生の女の子の小さな恋の物語。

封印の代償は「大切な人への想い」

さくらは無の力の前に次々と目の前から消えていく仲間たちを見る。

今、

忘れられない大切な想いが、

この、十二点魔方陣を見よ!

Im'a dreamer ひそむパワー

私の世界 夢と恋と不安で出来てる でも想像もしないもの 隠れてるはず
空に向かう木々のようにあなたを まっすぐ見つめてる
みつけたいなあ かなえたいなあ 信じるそれだけで 超えられないものは無い

20世紀最後の魔法少女アニメ「カードキャプターさくら」の最終編

その瞳に焼き付けるべき名シーンがここにあります。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

本当の想いを胸に、さくら最後の封印解除!

この作品は、サクラカード編の後日譚を描いた物語です。
物語の内容に繋がりがあるので、前作未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

小学4年生だった桜たちは、小学6年生に進級していました。
振り返ってみると、これまで色々ありました。
桜はみんなの力を借りながら、やっとの思いで全てのカードをサクラカードにすることに成功しました。

一連の騒動が収束して…リ・シャオランは香港に帰っていきました。
シャオランは、きっと山ほど後ろ髪を引かれたと思います。
でも自分が日本に留まる理由が無くなったのもまた事実です。
きっと自分で自分の首を絞めた…或いは自らの手で居場所を無くした…
そう考えてもおかしくはありません。
でも、そんな自分の気持ちより優先したい事がシャオランにはあったから…
残していったクマのヌイグルミが何よりもその気持ちの証…

そういえば故郷に帰ったのはシャオランだけではありませんでしたね。
柊沢エリオルもかつてクロウ・リードが住んでいた頂きの洋館を離れてイギリスに帰っていきましたっけ…

シャオランが香港に帰って4か月…友枝町は街ぐるみで行う「なでしこ祭り」の開催を控えてみんな大忙し…
桜たち6年2組のメンバーは劇をすることになり、連日練習に励んでいました。
そんな中、エリオルが昔住んでいた洋館が取り壊されて遊園地が建てられたのですが、その完成とほぼ時を同じくして友枝町にまた摩訶不思議な出来事が起こり始めるのです。

クロウカードは全てサクラカードに変換して超常現象が起こる元凶は無くなった筈なのに…
たまたま訪れた遊園地でバッタリ再開したシャオラン、メイリンと一緒に原因の究明と対処にあたろうとした矢先、桜の耳に事態を収束させられる唯一の方法が届くのですが、それは桜が絶対選択できない方法だったんです。

何故なら、その選択をするとどんな結末を迎えるかを知っているから…
かつて経験した闇より深く暗い世界が、この先無限に広がっていくなんて…
でも、桜の今度の相手は微塵の猶予も与える事無く襲い続けてくるんです。

桜の大切が両手から次々と零れ落ちていきます。
理由が分からないのに相手を攻撃するなんてできないよ…
桜の悲痛な叫びが胸に突き刺さります。

それでも相手の攻撃は激しさを増すばかり…
そして変化の矛先は、いよいよ桜の周りの人々に向き始めるのです。
大切な友達や家族を優先するか…
それとも絶対選択したくない方法を選ばなきゃいけないのか…

荒れ狂う嵐に舞う木の葉の様に桜の気持ちは揺れ動きます。
本当に他に選択肢は無いの…?
視聴している私も本気でそう思いました。

でも運命の神様は本当に残酷です。
願いも思いも半分も言っていないのに勝手に歯車を回してしまうのですから…
たくさんの思いがかき消されていく中で何が起きるのか…?
桜の大粒の涙と悲痛な叫びの行方は…?
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

約1時間40分の作品でしたが、この作品を視聴してサクラカード編だけでは物語が完遂していない事を実感しました。
サクラカード編とこの劇場版を視聴して、初めて大切なモノが繋がった気がします。
事の顛末が気になる方も多いと思います。
劇場版なので尺の関係上、若干速足のところもありましたが、きっと一番綺麗な形で桜の思いが届いたのではないでしょうか。

これからクリアカード編が始まります。
監督やスタッフ、そして当時のキャストがほぼ再結集して制作されるのだそうです。
ここまでこの作品を愛した人たちがぞ続編を紡いでくれる…これほど嬉しい事はありません。
今は放送の始まる前までに何とか過去作が完走できて良かったと思っています。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 11
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