友情で新日本プロレスなTVアニメ動画ランキング 1

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61.5 1 友情で新日本プロレスなアニメランキング1位
タイガーマスクW(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (61)
168人が棚に入れました
東映アニメーションの60周年企画で、1969年に放送されたアニメ「タイガーマスク」のその後の世界を描くものとなる。

声優・キャラクター
八代拓、梅原裕一郎、三森すずこ、森田成一、鈴村健一、田中亮一、草尾毅、橘田いずみ、岸尾だいすけ、てらそままさき、柴田秀勝、小林ゆう、島田敏、福山潤、内匠靖明、竹本英史、千葉千恵巳、真壁刀義

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

第2話から、この作品やたら面白くなります。第1話Aパートはやっちゃった感満載で酷評されてますが…。

第2話から、この作品やたら面白くなります。第1話Aパートはやっちゃった感満載で酷評されてますが…。

まずこの作品は昭和の名作アニメ「タイガーマスク」と地続きの設定を持った「続編」です。

ただし初代作を視ていなくとも、「W」の物語進行上で必要な知識は劇中で自然な説明が入るため気にする必要はありません。(初代作の視聴を済ませておくとよりこの作品を楽しめることは間違いありませんが)
あと、TVアニメ第2作にあたる「タイガーマスク2世」とこの作品の世界が繋がりがあるかどうかは、まだ劇中では触れられておりません。

タイガーマスクWは2016年10月29日現在で第3話までが放映されましたが、放映開始直後は物語の出だしを飾ってくれるはずの第1話Aパートにおいて、プロレスシーンがタルい上に、本作「W」の主人公達誕生の経緯が「タイガーマスク」の名を冠するにはあまりに緩く浅すぎるとの不評な感想が相次ぎ、先行き不安なスタートとなってしまっていました。

しかし2話目に進んでみると、第1話前半のタルさが嘘だったかのような面白さを放ち始め、これから更に盛り上がってゆきそうな様相を呈してきています。私などは今や「W」の続きが楽しみでたまりません。

「W」の第1話で失望して視聴を打ち切ってしまっている皆さん、騙されたと思ってこの作品の第2話を視聴してみてください。評価をガラリと変えてくださる御方がきっといらっしゃることと思います。

とはいっても、「W」の第一話を視て「W」を酷評されている方々bの言い分はもっともだとも思います。
第1話Aパートを見た限りでは、キャラデザインは安っぽく、物語の根幹を成すはずの主人公達の設定は「緩浅」すぎ、物語冒頭のプロレスシーンも、アニメとしては退屈極まりないものでした。ツッコミ所もやたらと多く、
あれでは第1話にして駄作のレッテルを貼られても文句が言えません。

恐らく「タイガーマスク」というタイトルがついた番組に多くの視聴者達が求めていたのは、人知れず葛藤を重ね自らの身を削りながら子供達の為に必死に戦い続ける孤高のヒーローの姿だったのでしょう(少なくとも私はそうでした)。
なのに「W」の主人公達の誕生の経緯は、初代タイガーマスクの悲痛ともいえる設定に比べると「プロレス的に普通すぎて欠伸が出てしまうレベルなのです。仮に初代タイガーマスクの悲痛度を「10」とするとタイガーマスクWの悲痛度はひいきめに見積もって「2~3」といった所です。

平成初のタイガーアニメ誕生に胸を躍らせて「W」の第1話を視聴された初代ファンの方々の多くが、「何故こうなった!?」的な感想を抱いて失望しまっても無理からぬことだと言えるでしょう。

しかし、これらのマイナス要素を払拭できる面白さを、タイガーマスクWは2話目にして放ち始めました。

この作品の魅力をお伝えするにあたっては、
ますこの一見マイナスに見える要素について、実はこれが後々この作品の魅力に変換されてゆく要素になってゆくであろうことを、視聴を中断してしまっている皆さんにお伝えしておく必要があると思いますので、私はその点についてお話させていただこうと思います。

少々長くなりますが、
プロレスが好き、初代タイガーマスクという作品が好きだ。というお方におつきあい抱ければ幸いです。


まず3話公開の現時点でおぼろ気に見えてきたのは、製作側が「W」を初代作のような悲痛なアニメにはせず、全く別の魅力を持たせようとしているらしいということでした。

設定上「W」は一応の「復讐劇スタイル」を採ってはいますが、今作の肝となっているのは、「プロレスの魅力」をアニメ作品の中でいかに伝えるか?という部分にあるのではないかと思えるのです。

プロレスの魅力をアニメで伝えるとはいっても、「過去の残念プロレスアニメ」のような製作側の技量不足を補うために、突飛トンデモな設定や派手展開を取り入れすぎて失敗したお粗末な手法はとっていません。

本作の魅力として挙げられる第一の要素として、
要となるのレスリングシーンの土台に、ガチのセメントストロングスタイルのバトル描写と演出を随所に盛り込んであるのです。これによってアニメ作品でありながら、安っぽい演出に頼らず静と動が描かれた迫力あるファイトシーンを描くことに成功しているのです(第二話~)。そしてこのことによって主役であるタイガーマスクのアクロバティックなシーンがより引き立つという相乗効果が生まれており、見ていてとてもワクワクさせてくれるのです。

しかも、「W」のタイガー活躍シーンは、実在したプロレス選手「タイガーマスク」の動きを髣髴とさせるモーションを取り入れれて描かれており、シビれるような「プロレス的魅せ場」をきっちり描ききってきているのです。
今後はそういった実在した歴代タイガー達の技や振る舞いが、劇中にどう盛り込まれてゆくのかももこの作品の見所となってゆくのかもしれません。

そしてこの作品の第二の魅力として、
「W」の製作陣は、企業としてのプロレス団体による「プロレス興行」というものをきちんと理解しており、リング外で展開される興行の攻防もツッコミ所満載にコミカルに描いてゆこうとしている姿勢を感じさせてくれている所が挙げられます。

かつて「昭和のプロレス大ロマン時代」に作られた初代アニメ作品「タイガーマスク」。
そこから50年近くも経過した平成の世にあえて復活してきた今作「タイガーマスクW」

今現在のプロレス興行事情は悲しいことに、古き良き素朴な昭和の観客達が熱狂していた、プロレスにロマンが宿っていた時代のそれとは大きく異なり、「プロレス興行」というものが良くも悪くも丸裸にされてしまっていて、「プロレスという娯楽」の楽しみ方がかなり変貌してしまってきているのが現実です。

これは私の勝手な憶測にすぎませんが、
今作「W」の設定の軽さを快く思っておられない初代作ファンの方々は少なくないと思いますが、
実在するプロレス団体や選手の、実際の興行とタイアップしながら物語が進んでゆくことを前提として作品が企画された時、初代タイガーの「昭和的に悲痛で泥臭い設定」を作品の土台としてしまうと、
今の実在するプロレス興行にリンクさせて展開してゆくにはギャップが強すぎて、視ている側を逆に興冷めさせてしまうだろうと製作陣が判断したのではないしょうか?

まだ第3話までしか放映されていないので断言はできませんが、恐らく製作サイドは、
無理やり「W」の設定に「初代テイスト」を組み込むのはなく、今現在のプロレス興行の状況に即した物語を作り上げていった方がよりプロレスの魅力を伝えやすいと考え、あえて「W」の主人公達の誕生設定は、現在の「平成プロレス興行」の中で現実に起こりうる「緩め」の設定に、あえて抑えているというか、落ち着かせてあるのではないでしょうか?

そして「W」のOPを見ていただければお分かりいただけると思いますが、この製作陣は無駄に初代作のテイストを消そうとしているのではなく、むしろ初代作リスペクト感がとても強く、初代作における迫力あるファイトシーンなどの魅力的な部分は、勤めて「W」の劇中に採り入れ、引き継ごうとしているのが見て取れるのです。
昔のセルアニメの独特の質感によって表現されていた無骨なタッチを、現代のデジタルな製作現場でわざわざ再現しようとしているのです。(これは現在の綺麗デジタルタッチで作品を描いてゆくより遥かに手間のかかる手法だったります。)
初代作ファンとしては、この姿勢は多いに評価されるべき所だと思います。

そしてこの作品の第三の魅力として、
現実のプロレス団体の興行とリアルタイムに設定をリンクさせる形でタイアップしている所です。
既に、プロレス団体によるソーシャルメディア展開がなされており、それらは早くも効果を見せ始めています。

しかし過去作のような中途半端なタイアップにするのではなく、「W」の製作陣はアニメと現実プロレスそれぞれに出来ることと出来ないことを明確にした上でそれぞれに可能ことを分業し、互いが引き立て合ってゆけるような理想的タイアップをこの作品で実現してゆこうとしているように思えるのです。

私はこれらの製作側の姿勢に、只ならぬ「プロレス愛」を感じています。


「プロレス愛」とひとこで言っても、プロレスの楽しみ方は人それぞれですが、
私個人ば、「プロレス」という娯楽の真骨頂は、格闘技でありながら「馬鹿馬鹿しい笑い」と「ヒーロー番組ように分かり易い演出」をライブ感覚で気軽に楽しませてくれることにあるのではないかと思っています。
「タイガーマスクW」は、アニメ上でそれら「プロレスの魅力」を再現してしまおうとしているのかもしれません。

この作品がやたらとツッコミ所が満載なのも、製作側がプロレスのそういう側面を理解し、作品の魅力にそれを意図的に組み込んでいるためではないかと思えてならないのです。

プロレスの興行についても本作はその実情をよく理解しており、それを劇中にコミカルさを交えてアニメなりにうまく表現してきているように感じられます。
現時点ではまだ新日本プロレスのような大所帯の団体だけしか劇中に登場していませんが、小さな他の団体ともこの作品がコラボしていってくれると、面白さが倍増してくれそうな気がします。


そしてこの作品の4つ目の魅力として
と、いいますよりも、「プロレス」のもう一つの醍醐味といえば、魅力ある悪役キャラ達の存在が欠かせません。

この作品のキャデザの絵柄は、お世辞にも洗練されているとは言い難く、主人公達(の素顔)ですらやたら印象が薄い程でほぼ同人作家レベルの残念な出来だといわざるを得ず、その為どうしても作品が安っぽく見られがちなのですが、
しかしこの作品は、ことマスクマンレスラーや悪役のデザインにやたら力が入っており、その存在感がものすごいのです。

プロレスの悪役が大好きで、この作品をまだ未視聴だというお方がいらっしゃいましたら、この作品のEDを是非ともご覧になってみてください。
シビれるようなプロレス「ヒール」の姿をそこに拝むことができる筈です。


だらだらと書いてきてしまいましたがそろそろ〆させていただこうと思います。

「タイガーマスクW」の設定は緩めでツッコミ所満載ですが、それは今の「平成プロレス興行事情」にマッチした設定になるように意図的に抑えて設定されているからであり、プロレスの本質的な魅力を製作側が理解し、それを作品に組み込もうとしている姿勢の表れだと思われます。

そして本作は、メインであるレスリングパートがガチのセメントストロングスタイルを主軸に描かれており、タイガーマスクのアクロバティックな活躍シーンがうまく引き立てられており、それらがこの作品の幾つかの荒削りな要素を払拭できる威力を持っているため、次週が待ち遠しい作品に化けてくれています。

偉大な初代作「タイガーマスク」と比べてしまうのは仕方ありませんが、この作品は只のリメイクで終わらない匂いを、既に漂わ始めています。

現実のプロレス団体の興行とリアルタイムでリンクしながら、物語を展開させている節もありますので、プロレスファンのお方は、録り貯めや、後からDVDでまとめ視聴をせずに、なるべくリアルタイムで視聴されてゆくことをお勧めいたします。(特に生粋のプロレスファンのお方にとっては、ソーシャルメディアでのイベントなどに参加しそびれたりするのは本意でないと思いますので。)

この新たなWの虎の息吹は、リアルタイムで視ておかないと損なのではないかと思います。
最後まで閲覧してくださった方ありがとうございました。
是非とも、ご一緒に新たな虎の活躍を楽しんでゆける形になってくだされば幸いです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

老舗制作会社とベテランスタッフの底力を感じられる良作

2016年10月~2017年6月放送。全38話。

子どもの頃からプロレスを見ていたという知人に勧められて途中から視聴開始。私はプロレスは全く知らずタイガーマスクという作品にもはじめて触れましたが、ストーリーもプロレスシーンも、この作品のみでも充分楽しめるものになっていたと思います。

老舗制作会社とベテランのメインスタッフの底力を感じられる作品で、絵柄・演出・雰囲気は少しレトロ。地味ですが好きな人は好きだと思います。

本筋はシリアスですが、3クールの長い話数の中で息抜き回やギャグ回もありバラエティに富んだ楽しさがありました。
全体的に堅実さや細やかさ、描写の積み重ねの巧みさが感じられたのは監督の小村さんのおかげでしょうか。個人的にはプリキュアSSに同じ印象を持っています。
虎の穴などの設定は非現実的で突っ込みどころはあるものの、ストーリー面では千葉克彦さんのベテランらしい王道で堅実な脚本・シリーズ構成が光りました。
全体通して各キャラクターのプロレスに対する想いが描かれたのが特に良かったです。

プロレスシーンはコンテ・演出・作画で個性が顕著に出ていて、それぞれの回で違う魅力がありました。
組み合うまでの過程や必殺技を仕掛ける前の攻防もきちんと演出し、上手くアニメ的な見せ方に落とし込んでいました。何をしたのか見てわかるバトルが好きなので凄く良かったです。
羽山淳一さんはじめ作画スタッフに見慣れた名前が多く、ベテランアニメーターの地力を改めて感じました。
マットの音もリアルで音響にこだわっていたように感じます。

難点は見ていて痛そうなこと。…格闘技とかってリアルだと痛そうでつらいのでやっぱりアニメで見るのがいいなw


【テーマについて】
{netabare}
初代は死人が何人も出るようなハードな展開だったようですが、本作はプロレスの楽しさやプロレスに対する情熱に帰結する物語となっています。

ナオトは何人ものレスラーとの交流で、タクマは再起不能になりかねないほどの大怪我を乗り越えることで、プロレスが好きという気持ちを取り戻す描写があるため復讐劇のみで終わらなかった所が特に良かったです。
復讐を描くだけならタクマがオーディンと仲良くなることもなかったでしょうし、ナオトがプロレスラーになった背景をああいった設定にはしなかったはずです。
ナオトもタクマもGWMに一時期所属していたからこそ、自分の気持ちを客観視できたのかも。

タイガーが13話でイエローデビルの覆面を剥ぎ取ったのは復讐心からです。けれども最後のザ・サード戦でマスクに手をかけなかったのは、復讐心のみで戦ったわけではなく目指すプロレスの在り方の違いや信念のぶつかり合いになっていたからだと感じました。


もう一つ一貫して描かれたのがマスクマンの誇りです。
本編の中で「マスクの中身が変わるのはよくあること」とミスXは幾度か口にしています。
現実ではマスクは覆面レスラーのアイデンティティーなのだそうで、それを逆手に取り、ナオトとタクマが二人ともタイガーマスクWとして同じ信念を共有して新たなタイガーとなる展開はとても良かったです。
ナオト自身も、マスクを失った時には「ザ・サードとはタイガーマスクとして戦いたかった」という趣旨の発言をしているので、ずっとタイガーマスクとしての誇りも持っていたと思います。

それに対して逆の描写をされたのがケビンです。
彼は運営の都合で幾度かマスクを変えたために、マスクマンとしてのプライドやアイデンティティーを持つことが出来なかった。最後にリングの上でマスクを脱ぎ捨てたのは無理もなかったのではないでしょうか。(あのシーン描写としてはレスラーとしてリングで向き合ったタクマに対する「俺はお前の友達だ」という主張なんでしょうけど。)
{/netabare}

【キャラクターについて】
{netabare}
主人公二人もそうですが、落ち着いた等身大のキャラクターが多くて感情移入もしやすくとても見やすかったです。脚本家が違ってもキャラクターがぶれることがありませんでした。

若松龍は新日勢で唯一のオリジナルキャラクターで、演出のためにレスラーとしては噛ませになることが多く、恋にも全く脈がなくてちょっと可哀想だったかな。ケビンにも言えることですが、この二人はナオトやタクマとの人間ドラマでこそ輝くよう作られていました。
メタ的には新日の実在レスラーキャラや過去作のオマージュキャラをあまり粗末に扱うことは出来ない以上、仕方ない面もありましたね。

ふくわらマスクは本当に良いキャラクターでした。観客を楽しませることを矜持とし、勝っても負けても愛されるレスラーはこの作品には必要で、それが虎の穴出身の実力者であったのもテーマに合致していて良かったと思います。
{/netabare}

【最終話と女性キャラについて】
{netabare}
本編終了後のスペシャルステージみたいな内容ながら、本作で積み重ねてきたことがこの回でコンパクトに描写されています。レスラー、主催者、医療従事者、記者それぞれの「プロレスが好き」という気持ちをしっかり描いた楽しい回になっています。

本作で一番応援していた春奈が恋もプロレスもいい方向に向かいそうなのが本当に良かったです。…是非ともお母さんとおじさんに許しをもらう続編とか見たいですね。作画や演出が一番今風だったし、こんな感じの楽しい話をもう一話だけ見たいw

最終話迎えたらミスXが一番好きな女性キャラになってましたw 中間管理職の苦労を見せはじめたあたりからこの人なんか可愛くない?ってw
見直して思ったのは、GWMで若手選手を育てる中で実現したいプロレスの形が変わったのだろうということ。ショーの運営や、タイガー・ザ・ダーク(タクマ)のプロモーションに試行錯誤していると感じるシーンが時折あったりもして、ドライな表情に隠していても、プロレスに対する情熱があったのだと素直に思えました。本当に美味しいキャラでしたね。

医療従事者として複雑な思いを抱えながらも、ルリ子がリングドクターを続けているのが個人的には嬉しかったです。
ナオトは「誰かに生きる力を与えるようなレスラーになりたい」という最初の夢をこういう形で叶えたんですね。ルリ子にとってナオトは恋愛対象ではなかったけれど、タイガーマスクは間違いなくヒーローでした。

来間さんはタクマとルリ子がいい感じになってるのがわかってから乙女な描写が減ってしまったのが少し残念だったかもw でも記者としての情熱は失わずに頑張っているのが良かったですね。解説席に座れるって相当詳しいんだなあ…

最終話ゲストキャラのマザーデビルも渋くて好きです。場を盛り上げるために会見時からヒールを演じたり、スプリンガーとの試合でも観客が盛り上がっていないと思えば勝利が確実だった絞め技から大技の連発に切り替えるなど、ベテランレスラーとしてとても格好良かったです。
{/netabare}


本作を気に入った人には公式サイトの濃いインタビュー記事もぜひ読んでほしいですね。
関わった人たちのこだわりも感じられますし、実在のレスラーとアニメ内の同名キャラクターは違うということもきちんとアピールしています。個人的にはそういうフォローがあると安心して見られるのでとても有難かったです。
プロレスファンからは割と好意的に受け入れられているようですし、私はプロレスには詳しくはないけれど、スポーツや競技へのリスペクトに近いものは感じたのでとても好きですね。
(2017.7.20)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16
ネタバレ

石川頼経 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

なんと、このアニメは3クールです。いろいろ考察します。

このアニメの音楽は良いです。さすがはキュアメタル、最高のアニメ音楽職人これは見事です。見事な主題歌のアレンジ、
バトル音楽の激しさ和太鼓のように聞こえる響きなどなかなかです。
昔作られた主題歌のアレンジですが、それだけでしびれます。挿入曲もまあまあですね。

作品自体はなかなかストーリーは面白く、
三森すず子さんのヒロインもかわいく魅力的。
小林ゆうさんの色っぽい敵女性幹部も魅力的。
キャラは実在のキャラも含めてみんな魅力的です。
ふくわらマスクというキャラも良いです。
初登場の時はあまり注目してませんでしたがダークホースでした。
ギャグ系プロレスラーという設定ですが、それだけではなく実力も人情柄も頭の良さも
タイガーマスクさんの良き理解者、相談相手になっています。高岡拳太郎さんのポジションちょっと食ってますね。

様々なガチンコのプロレス試合は楽しいです。本当のプロレスについては下記の「蛇足のプロレス豆知識」ですからね・・・
取りざたされてるアイドル回のアイドル自体は好きになれなかったですが、魅力的な架空レスラー、ゴリラー・ジェット・シンと、今時、てよだわ口調のモブの「プロレス女子」たちが可愛かったのでヨシとします。
14話もギャグ回で良かったです。

なお、この作品はアニメ盤タイガーマスクの続編であり、
漫画盤タイガーマスク(最終回で主人公が死ぬ)→タイガーマスク二世の続編ではないという事に注意してください。
初代タイガーマスク伊達直人が存命している可能性もあります。

*この作品が全38話の3クール作品だと知っての雑記と考察を長文でつらつらと書きます。
これはこの作品に限った事ではなく、最近のアニメ全体についてですが、「最近、アニメに対してせっかちな人が多すぎる」と思います。
最近のアニメは1クール主流ですが、たかだかそんな短い話しでも「展開が遅い」だの「中だるみする」だの文句を言う人が多すぎます。
そして2クール作品だと「長すぎる、1クールにまとめるべき」みたいな意見が出ます。
昔のアニメは基本的には4クール(一年)でしたし、ヒット作品や原作が長い作品だと二年以上やるなんてゴロゴロありました。ちなみに初代タイガーマスクは105話ありました。
最近のアニメ視聴はたかだか一話や二話。たわいない話しや息抜き回があったくらいで騒ぎになり批判の嵐で「切る」とか言い出す人がいますよね?
なんだか、最近は「1クールアニメが基本」になってる人も多いようです。
長期アニメというものは確かに作品のまとまりは悪くなり矛盾も出てくる「ジャンプ漫画の法則」が発動しますが
私は好きなキャラや作品が少しでも長く続くのは好きなので、長期アニメ肯定派です。
それに長期アニメなら多少、出来の悪い回や宣伝回があっても、まあそれはそれで許容できます。
また、この作品は新日本プロレスとその親会社のブシロードがスポンサーであり、いわば「新日販促アニメ」ですが多いに結構だと思います。スポンサーあってのアニメだと私は思いますから。
こういうアニメはむしろ増えて欲しいと思ってます。

ちなみにSWS設立騒動で多くのファンやプロレスマスコミが親会社のメガネスーパーを非難しましたが、故橋本真也選手は「プロレスに大量の金を出してれるスポンサーはありがたいものだ」と擁護したそうです。
あの、宮崎駿監督ですら、「私の作品は芸術ではなく娯楽だ」と言ってますし、宣伝アニメや販促アニメ、実在の人物タイアップは大いに結構だと思います。
批判を受けたB級アイドルタイアップ回も今ではまあ「長丁場の作品だとこういう回もたまにはあっても良いかな」と今では思ってます。

23話のウォーゲーム開幕といい、19、20話のヘルインザホールといい、
この作品の強みは実際のプロレスでは実現不可能であろう仕掛けがある点です。
ヘルインザホールのような人が死にかねない地下試合は実際は刑法に触れるのでできないですし。
ウォーゲームはどう考えてもあのピラミッド型の特殊リングの建造費、設置費が高くつきすぎて実現不可能です。
しかし、そこが面白いです。

それにしても虎の穴も随分、まともな組織になった感があります。
ヘルインザホールやは地下送りはともかく、表向きのプロレスはフェアにやってます。
なんだか、この作品は「ミスXのプロレス経営奮闘記」という感じですね。
主役サイドの物語よりそっちの方がなんだかおもしろいです。

追加
最後の方まで見てみて、この作品でちょっと苦しかった事は「敵サイドの強さを示すやられキャラ」をあまり作れなかった事ですね。
普通のこの手のアニメでは主人公に敵対するキャラの強さを示すために脇のキャラがゴミクズのようにボコボコにやられて強さを示すのですが、
ブシロードの子会社の新日本ブロレス主力のオカダ、棚橋、真壁らをそんなふうに扱う事も出来ず(オリキャラの若松くらいでしたね)、
ラスボスのタイガーザグレートサードも途中で微妙に苦戦する描写があったりして「想像を絶する超強敵」と言えない感じでした。
全話を通して敵対していた敵幹部のミスXも最後は良い人みたいな扱いでしたし。

まあ、全般的に楽しく面白いアニメでした。
初代の悲壮さ壮絶さを求めていた人たちは失望したかもしれませんが、全般的には楽しく面白かったです。
ていうか、いくらなんでも「人が死ぬようなプロレス」は現代向きではないと思います。
ジャイアント馬場さんの言う「明るく楽しいプロレス」とまではいかないまでも、楽しい作品ではありましたし、それで良かったと思います。

蛇足のプロレス豆知識(プロレスに幻滅したくない人は読まないで)
{netabare}実は現実のプロレスというものはごく稀に発生するアクシデントやブック破りを除いては真剣勝負ではなく、ブック(事前の勝ち負けの約束の意味)やシナリオ、「相手にケガをさせないようにする」「相手の技を受ける」といった約束事が存在する「ショー」です。
「セメントマッチ」と銘打った真剣勝負とされている試合も実際は興行文句であり真剣勝負ではないと思われます。
勿論、痛み苦しみは激しく、必死にトレーニングして技の練習したり体を鍛えたり「真剣」にやらないと死傷したりするという意味では「真剣」ですが格闘技ではありません。もっともアニメ「タイガーマスク」は真剣勝負でしょうけど、ただ13話の女子プロレスは現実のプロレスと同じショーだったみたいです。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23
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