友情で手紙なおすすめアニメランキング 15

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの友情で手紙な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月15日の時点で一番の友情で手紙なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.2 1 友情で手紙なアニメランキング1位
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(TVアニメ動画)

2011年春アニメ
★★★★★ 4.2 (14879)
49308人が棚に入れました
昔は仲良しだった幼馴染たち。でも、高校生になった彼らの距離はいつの間にか離れてしまっていた。ヒキコモリぎみの主人公“じんたん”。ギャル友達に流され気味の“あなる”。進学校に通う“ゆきあつ”と“つるこ”。高校に進学せず旅を重ねる“ぽっぽ”。そして、仲良しだった小学生の頃から、それぞれが変わっていく中で変わらない少女“めんま”。ある日、“お願いを叶えて欲しい”とじんたんにお願いをするめんま。困りながらも“めんまのお願い”を探るじんたん。そのめんまの願い事がきっかけとなり、それぞれの領域でそれぞれの生活を送っていた幼馴染たちは再びかつてのように集まりはじめる。

声優・キャラクター
入野自由、茅野愛衣、戸松遥、櫻井孝宏、近藤孝行、早見沙織

にゃんぴ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

人生のアニメ

さっき見終わったばかり、
アニメを見てこんな泣いたのは初めてだ...
言葉では上手く言えないんだよ......
なんか切ないんだ...何気なく....
号泣だ...こんなに泣いちゃって、自分にもびっくりするくらいだ...
今俺は泣きながら....感想を...書いてる...
俺の顔...の変化......
(/_<。)わ~ん。 → ・゚・(ノ_<。)・゚・。 → ∃ヨヨョョ。+゚(ノД`)゚+。ョョヨヨ∃ → ウワァァ━━━━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━━━━ン!! → 。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン → 。o゚(Д`q)))【・゚・号泣・゚・】(((p´Д)゚o。。o゚(Д`q)))【・゚・号泣・゚・】(((p´Д)゚o。。o゚(Д`q)))【・゚・号泣・゚・】(((p´Д)゚o。。o゚(Д`q)))【・゚・号泣・゚・】(((p´Д)゚o。

第2回見ても泣いてしまった...。゚(゚´Д`゚)゚。うぇぇん

このアニメ、たぶん私の人生で一番素晴らしいアニメだと思う!!

投稿 : 2024/11/09
♥ : 364
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

泣かせる秘訣

オリジナルアニメーション。

主人公の「じんたん」こと宿海仁太(やどみじんた)の元に、少年時代の「超平和バスターズ」のメンバーの一人、「めんま」こと本間芽衣子(ほんまめいこ)が現れる。
しかし彼女は……。


涙腺崩壊アニメです。
深いテーマ性などはありませんが、とにかく泣かせることに特化しています。

もうあの頃には戻れない。
それでも進んで行かなければいけない。
綺麗なことも汚いことも全部認めて、前へと踏み出す。

たった11話ですが、多くの人が涙したことでしょう。
人はどうやったら泣くか心得ています。
{netabare}
・予感
涙は感情の高ぶりから発生するものなので、つかみが重要です。
1話目から、話の流れを予想させることで、感情を揺さぶってきます。

・失って、もう取り戻せないものの大切さ
少年時代という、失ってしまった過去を繰り返し描くことで、その大切さに気付かされます。
同時に自分の少年時代を思い出し、感情移入してしまいます。

・普段頑張ってない人が頑張っている姿
引きこもっていたじんたんが頑張っている姿を見せることで、感情移入を強めてきます。
「じんたんかっけーんですよ!!」

・少しずつ立ち直っていく姿
超平和バスターズが、少しずつ仲間意識を取り戻していく様子が、感情移入を促してくれます。
めんまの母親がめんまの死を乗り越え、少しずつ立ち直っていこうとする姿で涙腺が緩みます。

・希望と喪失の対比
超平和バスターズの復活という「希望」と、めんまが成仏することで、過去にすがり続けることは出来ないという「喪失」を見せられます。
この二つの同時表現が涙を誘います。

・みんなの気持ちが一つになる瞬間
最初は1人だった超平和バスターズが、元の姿を取り戻していく姿。
自分勝手な想いも乗り越えて願いを叶えようとする姿。
このように「みんなの気持ちが一つになる」ことが感情移入を強めます。

・健気さ
めんまの願いが「じんたんを泣かせる」という、取るに足らないことだったという事実。
力の入らない手で一生懸命書いた字。
「まーだだよー」
消えそうになりながらも、みんなに姿を見せためんま。
「もーいいよー」
そんな彼女の健気さが、泣かせてくれます。

・音楽
「secret base」の入るタイミング、物語の内容とリンクした歌詞が、劇的に感情移入を深めてきます。

・声
声優の泣く演技が同情を誘います。

・涙の姿
キャラクターが泣いている姿が同情を誘います。
{/netabare}

そして、あの花とは……。

{netabare}
「わすれなぐさ」

>中世ドイツの悲恋伝説に登場する主人公の言葉に因む。
>
>昔、騎士ルドルフは、ドナウ川の岸辺に咲くこの花を、恋人ベルタのために摘もうと岸を降りたが、誤って川の流れに飲まれてしまう。ルドルフは最後の力を尽くして花を岸に投げ、„Vergiss-mein-nicht!“(僕を忘れないで)という言葉を残して死んだ。残されたベルタはルドルフの墓にその花を供え、彼の最期の言葉を花の名にした。
>
>このような伝説から、この花の名前は当地ドイツでVergissmeinnichtと呼ばれ、英名もその直訳のForget-me-notである。日本では、1905年(明治38年)に植物学者の川上滝弥によって初めて「勿忘草」「忘れな草」と訳された。それ以外の多くの言語でも、同様の意味の名前が付けられている。
>
>花言葉の「真実の愛」「私を忘れないで下さい」も、この伝説に由来する。(Wikipediaより)

最終回のEDでのセリフ「道ばたに咲く花も、うつりかわっていく」
あそこで咲いているのがわすれなぐさ。

OPで何度も流れているあの花、EDで降り注いでいるあの花。
また、コーヒーカップの並べ方、最後にみんなに当てられた手紙の並べ方。
ずっと桜だとだと思っていたのですが、この作品では一度も「春」を迎えていません。
桜ではなくてわすれなぐさだったんですね。

また、ところどころに出てくる牛乳瓶。
1話目で牛乳瓶に入った花はしおれていました。
8話目で牛乳瓶に入った花もまだしおれています。
しかし、最終回では花が元気になってます。

「みんな忘れないでいて欲しい」、その願いがしおれかけていた花たちを蘇らせたのでしょう。

「そうだ、俺たちはいつまでも……あの花の願いをかなえ続けていく……」

超平和バスターズはずっとなかよしです。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 137
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

しばらくは思い出し泣きしていた

監督 長井龍雪、脚本 岡田麿里、
アニメーション制作 - A-1 Picturesでおくるハートフルな全11話。

小学生の頃、仲の良かった幼なじみ達で作った「超平和バスターズ」
そのメンバーであった6人が主人公。
小学生だった彼らは時を経て現在、高校生になっている。
そんなある夏の日、思いがけないことが起きる・・というお話。

予備知識がまったくない時期に観ていたので、
冒頭シーンから、無邪気な女の子めんまがとても愛くるしく、
彼女の正体がハッキリするまでは、物語の方向性も見えなかったのだけど、
じんたんがなぜ、あのような状況にいるのか、
かつての超平和バスターズの面々それぞれが抱えるものが
徐々に明かされていくにしたがって、目が離せなくなった。

めんまを想うそれぞれの人物達の、やさしさと脆さ。
複雑に絡み合う、年月を経た恋模様。
それぞれが、それぞれに抱くさまざまな想いと事情。
{netabare}
一見、物分りがよくて明るいぽっぽでさえ、
本当は誰よりも大きな罪悪感を抱えていた事実。
終盤のシーンではもちろんだが、個人的には何といっても 
めんまの本当の願いがわかったとき、
それから じんたんを心配する彼のお母さんの想いや、
じんたんを実はしっかり温かく見守っていたお父さん、
ゆきあつのやり場のない想いのほうにも、かなり感情移入して泣けた。
{/netabare}
それに、あのED曲は反則なほどピッタリ。
これでもか、ってほど泣かせようとする演出に、
少々皮肉を言いたかったりもしたけれど、
自分の心の中の素直な部分で、しっかり感動していたことは認めざるをえない。

最近、自分の死生観を見つめなおす機会が度々重なり、この作品のこともよく思い出す。
強い悔いや想いをこの世に残して逝きたくないなぁと思いつつ、
消化と昇華しきれないものは、逝く者にも残される者にも同じように
残ってしまうというのが本来は現実なのだよね。
だけど、自分が生きていた証や、何かメッセージになるようなものは残したいなと。
そんなことを思いながらレビュー書いてたりする最近の自分だ。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 127

67.4 2 友情で手紙なアニメランキング2位
orange(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (622)
2905人が棚に入れました
長野県松本市に住む女子高校生・高宮菜穂は2年生になった4月の始業式の日、差出人が自分の名前になっている手紙を受け取る。その手紙には、26歳になった10年後の自分が後悔をしていて、その後悔を16歳の自分には味わってほしくないこと、菜穂に今後起きること、それに対して菜穂にしてほしい行動が書かれていた。菜穂は、初めは誰かのいたずらと思っていたが、手紙に書かれていた通り、成瀬翔が東京から転校してくる。手紙には、5月に成瀬翔を好きになること、翔が17歳の冬に事故で亡くなること、その事故は防ぐことが出来たと書かれていた。

声優・キャラクター
花澤香菜、高森奈津美、衣川里佳、山下誠一郎、古川慎、興津和幸、佐倉綾音
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

変えたい過去…それを考える青春もの

原作未読ですが、この始まりは間違いなく良い青春ものになると思いました。1話ですでに涙目…コブクロの曲も卑怯だ(良い意味で)。最後までじっくり見ました。

3話まで…出だしだけでうるうる
{netabare}過去を変えたい思いが生んだ奇跡なのか、手紙を受け取った過去は少しずつ変わっていっています。変えた過去はどう変わっていくのかこの先も面白そうです。過去の話と進行形の話がうまくミックスして、非常に見やすいです。
翔の表情が1話と3話では全く変わっているんですよね。重い気持ちが変わっていっているのだろうか。菜穂の恋心が強くなっていくと辛そうだ…。スレ違いと葛藤、青春ものはこうでないと。{/netabare}

4話…グサッ、グサッ、グサッ…
{netabare}未来の自分は過去の自分になんでも言える、なんて正論…。そう、だからこそ、やり直し系の物語はうけるんですよね。特に青春に思いを残している人には。そして、過去の自分はそれが精一杯。
未来の旦那、須和がイケメンで良いヤツ過ぎて泣ける。翔が居て、須和が旦那って、嫉妬した女子多いのでは?
でも、菜穂が追いかけて、翔に叫んだシーン、泣いた…涙もろいなぁ…{/netabare}

5話…地味な子ほどモテる
{netabare}特に少女漫画は。いや、菜穂は可愛いキャラだよ、うんうん。
パラレルワールドは分かるが、手紙のなぞはどう説明するんだろう。ま、この話にそんな難しい話は要らないかも。
みんなが手紙を受け取ったんだろうけど、須和の気持ちがそれによって我慢しようとなったのは切ないな。須和と翔の間で揺れ動きそうな展開になりそうで、どうなるんだろう…。気になるが原作読むのは我慢しよう。{/netabare}

6話…心の闇
{netabare}前半は菜穂と翔のくっつきそうで、くっつかないイライラ展開。いかにも少女漫画っぽい。互いに好きなのがまるわかりなのに。でも、今回は菜穂が積極的。
で、後半。翔の死が自殺だったことを知り、なんとかしなければ…と思うものの、翔の心の闇が深いこと、母に自殺が初めて帰ろうと誘った日だったことを知り、菜穂は落ち込んでしまう。そこに須和が来て相談、須和にも未来から手紙が届いたことを知る。
切なくなる話だけど、ボンボン松本ボンボンボン♪の歌が強烈過ぎでした…{/netabare}

7話…え~と…須和がイケメンすぎる
{netabare}須和にも届いていた未来からの手紙。そこには菜穂と同じように後悔しないでほしいことか書かれていました。
祝ってやれなかった翔の誕生日。未来のみんなは翔の家に集まり、翔の居ない誕生日を祝い、現在のみんなは祝うことができた。
そして、みんなは翔の悩みを聞き出し、翔と菜穂は互いに好きだと告白。

良い最終回だった…あれっ?
須和がイケメンすぎて、現在の菜穂も須和選んじゃったら良いんじゃね?と思うくらい。結末見えない…。でもこの作品、毎回グッと目をこらえてしまいます。{/netabare}

8話…みんなで救おう
{netabare}菜穂と翔は互いに好きなのに付き合いません。大切だからという気持ち、なんとなく分かる…。
そして、みんなに届いていた未来からの手紙。それぞれに悩むのではなく、みんなで救おうとなりました。翔は幸福者だと思う。その思いが伝わるといいな。
でも気になるのが翔の倒れかた…まさか、まさかだよな?そんなフラグは要らないぞ…{/netabare}

9話…付き合いそうで…
{netabare}もうね、翔も菜穂も互いに好きなのが分かっているのに付き合わない。互いに付き合う感覚ではないくらい自然がいいんだろう。でも、翔はちょっと違うな。須和に何だかんだ言っているのも実は先が…なのを考えてのことかと。かといってやきもち妬くし。めんどくさい男だ!!いや、変わってきていると思いたい、
みんなで翔もを救いたいのは分かったが、どうなることやら。あ、棒倒しは燃えます。ライダーキックは良い思い出。{/netabare}

10話…これが本当の伝言リレー、翔が駆ける!!
{netabare}翔の闇は深い…みんなが心配して何とかしようとするのに、やっぱりうじうじする感じ。須和がナイスガイのイケメンすぎるので、翔どうよ?と思うのですが、考えてみたら翔の置かれた状況が辛すぎて仕方ないですね…。大切な母親を失って、しかもひょっとしたら死なせなかったかもしれないという後悔。これは重すぎです。

みんなは未来を変えようと頑張ります。リレーは足を痛めても頑張った翔のお陰で勝利。翔が本当に嬉しそう。リレーの伝言が翔に届いたと思いたい。未来は変わってきているし。

それにしてもここ数話、作画がひどい気が…イケメンたちが笑ってしまうような顔になっていたり、足が異常に細かったり、ちょっと酷い。でも クオリディアよりも…いや、どっこいどっこいかもしれないです。{/netabare}

11話…もうね、翔も須和も不憫すぎる
{netabare}クリスマスを一緒に過ごそうと約束した翔と菜穂。でも翔のおばあちゃんが肺炎起こしかけてキャンセル。大晦日はと臨んだはずが、未来からの手紙どおりの展開に。翔の闇は深すぎてどうしようもありません。
この大晦日がきっかけの一つとなり、須和と付き合うことになったという。実は須和はこの日告白していたというのだ。展開は完全に未来からの手紙どおりなのに、須和は告白せず、菜穂の背中を押すこと選んだ…追いかける菜穂を振りきろうと翔…どうなるんでしょう…

翔、本当にめんどくさい。なぜ翔なんだろうと思うようになってしまいました。翔の置かれた立場考えたら分かるんですが、あまりにも翔の描写が少ないから、翔の闇の深さが分かりづらいんですよね。

にしても、本当に作画、どうしちゃったんでしょう。菜穂が口開けてる姿が出っ歯にしかみえず、笑いそうになってしまいました。{/netabare}

12話…重い、重いよ…
{netabare}翔がどうしてめんどくさい男になったのかを理解する回でした。さすがに重い…。母親の出せなかったメール見たら絶望してしまう…。
でも…生きろ、生きなきゃならないんだ。やっぱりこの男救わないと。笑顔で最終回終わってほしい。

で、母親は能登ちゃんかな~と思ったらやっぱり能登ちゃん…すっかり母親声優だ…なんかさみしい。{/netabare}

最終話…生きる、それが一番大事
{netabare}最後の最後に気づいただけでも良かったな翔。
最後の難関、それはバレンタインと翔の逝った日。どう回避するか、みんなが翔を守るために必死。ここまでされる翔は幸福者だと思う。見方によってはみんなが守ることに酔ってるとも言える。ここは人それぞれの見方かと。強くなった菜穂がいて、なんとかバレンタインはうまくいったものの、最後の難関、翔の自殺は動き出す。そこを救ったのは萩田の機転という、最後に萩田GJ。翔がやっと本音を話して、みんなも事実を話して、笑って終了です。

手紙を送った未来は変わらない。それでも過去を生きている誰かは変えてあげたい、その思いは届いた。この物語はそれが最も大事な点であると思います。今を変えるのは無理、なんとか過去を変えたい、それを見れなくとも、変えたい。その気持ちを代弁しているようなアニメでした。{/netabare}

さすがは少女マンガが土台というところでしょうか。男から見て、翔がどうしようもないくらいあまちゃんにしかみえないのが少々残念でした。でも、12話があったお陰で翔の見方が変わったので、そこは救いでした。あれは高校男子にはキツすぎる出来事です。翔を救うには魂ごと救わないといけなかったわけで、最後の最後に救えた、それも積み重ねてきたみんなの気持ちが届いたということだったと思います。本当によくまとめていたと思います。

でも、やっぱり須和が切なかったっですね。あまりにもイケメン、ナイスガイ過ぎました。ちょっとはひねてくれよとも思ったのですが、最後の最後までイケメンでした。同情する気持ちもよくわかります。

物語は可もなく不可もなくだったと思います。OP、EDは最高です。毎回コブクロが流れて泣きそうになってました。作画、途中どうしちゃったのかと思うくらいひどいときがありました。違和感あってネットで調べたら場面転換したさいに座る位置が逆だったとかあったのでびっくりしましたし。当然DVDでは修正すると思いますが。最後はきれいになっていたので、中の問題だったのでしょうね。

映画が決まりました。オリジナルストーリーが入るらしいですが、TVの総集編の方が強そう。あのはなと同じ感じになるかな?見てみたい気はしますが、二週間限定?大規模公開ではないのね…円盤まで待ちますか…。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 51
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

設定も(背景)作画も雰囲気もよい。が、キャラとシナリオが破綻している感じ。もったいないっす。

[文量→特盛り・内容→酷評系]

【総括】
普通の高校を舞台にした、普通の高校生が織り成す、普通ではない恋愛もの。

SF的な内容と恋愛の要素を合わせたものは、「Key」など、名作にもなり得るジャンルですが、この作品はイマイチでした。少女漫画っぽいキャラや展開にイライラしたのと、SFとしてストーリーが破綻しているのが問題かと。

でもまあ、実写化されるほど人気がある原作なのだし、私のように、アラを探して減点方式で物事を捉えるカスのような人間でなければ、楽しめる作品なのかもしれませんね(自爆)


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
第1話を観て、思ったこと。

○→OP、ED共に実力派シンガー。特に高橋優さんは元々ファンなので嬉しい!

○→絵が非常に美しい。特に背景。キャラデザは、一目で少女漫画原作と分かる美男美女揃い。

○→ストーリーの重さ。1話の中で起承転結があった。未来からの手紙を無視もできる(した)ってところは良かった。きっと、それによるマイナスがなんであったかも、次話以降に明らかになるのだろう。(昔のバラエティー番組で、「未来日記」ってあったよね、関係ないだろうけどw)

×→成分にもなっているが、「まず手紙を全部読め」と「守らなければどうなるかまで書いておけ」。普通、全文読むでしょ、気になってw

×→未来から過去を変えたいようだが、1つ目の出来事(例えば翔を誘う)を変えた時点で、その次に起きてくることは変わるのでは? もしそれが変わらない(運命として既に定められている)のなら、不幸な未来を変えることはそもそも不可能なわけで、だとすれば、10年後から操作できる過去は、1つだけなのでは?

×→いや、あんた須和と結婚して子供もいるじゃん。過去を変換し、翔を助けちゃうと翔を好きなままだから、須和と結婚しない(今の子供もいない)可能性あるじゃん。過去の変換がパラレルワールドを生み出すってことが10年後に「解明(確定)」されているんなら良いけど、そうでない(現在の世界が変換されていく可能性がある)なら、須和(現夫)と離婚して翔と結婚したい、したかったという浮気の意思表示(須和との結婚なんてどうせ妥協なんだよ、二番なんだよ、的行動)だし、今の子供なんて(酷い言い方すれば)生まれてこなくても、翔との子供が生まれれば良いってことにならないかい? それって(未来から手紙を出す行為自体が)あまりにも酷くない? ⬅これを一番言いたい。

?→あまりにも動かない、静か過ぎる美しい背景は、まるで写真や1枚の絵画のようにも見えた。それを作為的に捉えると、「過去の世界」であることを表現したかったのかな、と思う。思い出の中の世界というか。なんか、(絵や写真といった)背景の前で演じられている人形劇を観ているような、不思議さと切なさと、少しの不気味さを感じた。

、、、タイムリープ系は数多あれど、この作品の最大の特色は、「未来からの有益な情報を生かせない、生かさない」部分だろう。それは人間が「理屈」や「打算」だけで動くのではなく、「感情」に左右される弱さや強さをもつ生き物だと表現したかったのだと思う。

でも、「人の命」がかかっているなら、別だ。(特に中盤までは)「いや、あんたの羞恥心と翔の命のどっちが大切なんだい?」とか思う。過去の失敗に「命」を入れたことが、この作品の重みであり良さなんだろうけど、単に「恋愛」だけにしておけば、名作にはなれなくても、少女漫画としては普通に成立した(反感は買わなかった)とも思う。

かといって、手紙の情報を完全活用すると、物語にならないし……「命」を扱うって、難しいね。

(同じ「命」をかけたタイムリープ系でも、シュタゲや僕街は、なりふり構わず必死にやった上での失敗だったけど、orangeの中盤までは、「そんぐらいがんばれよ、翔、死ぬんだぞ」感が半端なかった)。

手紙の効果が半信半疑になってきた辺りからは面白くなってきたけど、5人全員に手紙が来てる設定はいらないと思う。もしそうするんなら、「あっ、あの時のあのキャラのあの行動は手紙のせいだったんだ」と分かるような、伏線やミステリー的手法が必要だったと思う(けど見当たらない)。5人全員に手紙が来るなら、「他の4人は知らない翔とのエピソード」が必要なんだけど、それもあんまり(体育祭の怪我くらいしか)ないし。

ただ、評価できる点としては、「未来の自分にすら、解決方法の分からない過去」を変えていこうという点だ。ゴールは分かるのに道順が半分しか分からない、というのは面白かった。それに、「過去の事実を変える」のではなく、「過去の人の心を変える」という点も新しい。やはり、方法の分からない、不確実なものは観ていて面白い。

体育祭、マットを皆で持つシーンの「皆で持てば重くない」は、「翔のトラウマを分かち合う」という分かりやすい比喩だけど、そこで風が吹いてきて背景が動くのは、第1話目感想の?に書いた「止まった背景」の理屈が正しい証明になると思い、嬉かった(けど、我ながら嫌なアニメの見方だ……)。

とにかくまあ、須和が良い奴過ぎて(笑) 誰よりも須和に幸せになって欲しいと思った視聴者は、私だけではないでしょう。「捏造トラップ」の「武田」と、一緒に呑んだら親友になれると思う(笑)

あとはまあ少女漫画だからしょうがないけど、「とっとと付き合えよ」感も半端なかったw

ラストに向けての興味の対象は「①翔は本当に助かるのか(どうやって助けるのか)」「②どうやって過去に手紙を出せたか」の2点のみに。

②は、都市伝説と奇跡で強引に解決。まっ、ここがタイムトラベルものの一番難しいとこだよね。なんてったって、誰も正解が分からない部分だから。でも、あんまりにも乱暴な解決方法でガックリ。

①は、う~ん、これといった奇跡も驚きもなく普通に救えちゃいましたね。好意的に解釈すれば、これまで積み重ねてきた小さなことが実を結んだということなんでしょうが、やっぱり尻すぼみ感がいなめない。自分でハードルを上げるだけ上げといて、まったく飛ばずにゴールしちゃったというか、ボクシングの試合に例えるなら、序盤からジャブとボディーを積み重ね、いつかストレートで沈めると期待してたら、そのまま判定勝ちしちゃう試合を見せられた気分になった。

設定は面白く、作画がもよく、雰囲気も良かった。ただ、如何せんシナリオに荒さがあった。まあ、単純に原作者の力不足なのでしょう(原作も読んだけど、まんまだったし)。やっぱり謎解き要素があるものは難しいなぁ~。イマイチな作品だった。


最後に一言。「BUMP OF CHICKEN」の「藤原基央」さんの名言です。

「生きてれば必ず良い事がある? なに言ってんだ! 生きてる事が必ず良い事に決まってんだろ!」

とても好きな言葉です。自殺、ダメ。
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
まず、「1話目に手紙全部読めよ」と、多くの視聴者が思うだろうし、ここからすでにご都合主義がアリアリ。人の生き死にがかかっている場面なのに、自分の羞恥心に負けるヒロインと、メンヘラ男な主人公にイライラ。なのに、あんなに素敵な須和にヒドイ対応をするなんて、どうかしている。須和、世の中にもっと素敵な女性はいっぱいいるからな。須和に幸せになってほしいアニメでした(笑)
{/netabare}


【余談1~ずっと前に聖地巡礼~】
{netabare}
松本、1回行ったけど良いところ! 2泊で蕎麦屋に7軒行ったw どこも美味しかったな~。時間がない人は、駅にくっついてる榑木野(くれきの)さんがオススメ! 駅ナカ店のクオリティじゃないよ! でも、時間があるなら三城(さんじろ)さんがオススメ! 前日までに要予約&メニューなし&値段なしでビビるけど、日本酒と小鉢がいくつかと蕎麦が出て来て2000円。ちょっと、コースを食べた気になれます! メチャ旨でした♪ 松本城は、「格好良いけど、攻めやすそうな城だな~」って思いました(笑)
{/netabare}

【余談2~文学部的レビュー(中原中也)~】
{netabare}
2話の冒頭で使わ(朗読さ)れた詩は、中原中也の「春の日の歌」ですね。中原中也といえば、「夭折(若くして亡くなった)」「ダダイズム(秩序や常識の破壊、否定)」の詩人として有名です。

また、3話で黒板に書かれた古文は、藤原道綱母の「蜻蛉日記(夫への恨み辛み嫉みが書き連ねられた恐ろしい名文ですw)」の冒頭です。

これらを、単に「高校生活の一場面の描写」とみるか、「作為的(隠喩表現的)」なものとみるか。

前者なら論じる必要もないので、とりあえず後者の立場で(そして私は古文は専門外なので、スルーするーw まあ、恋愛モノの有名な古文ってことで作風ともマッチしてるネ☆って位で終わらせておきます)。

しかし、中原中也とは、大分面倒くさいところを……。しかも、「春の日の歌」? 中原中也で教科書に載るとしたら、「汚れちまつた悲しみに」「サーカス」「一つのメルヘン」とかだけど……あえてってところが、怪しい(朗読までしてるし、やはり何らかのメッセージを受け取るべきと考える)。

また、この人は詩人の中でもかなり難解な詩を書くし、私は「雰囲気を楽しむ詩人」だと思っているので、細かい解釈は苦手(そして、中也の中でもそこまでメジャーじゃないから、ネットにも解釈は転がってないし⬅ということは、探して楽しようとしたw)。んじゃ、自力で(笑)

まず、「春の日の歌」は、詩集「在りし日の歌」に収められています。「在りし日」とは中也にとって、「実際には過ぎ去ったが、詩的世界の中では生き続けている世界」と思われます。この辺、「未来から過去(在りし日)に手紙を送る、orangeの世界観」に共通する部分も。実際、「在りし日の歌」の中には、「死」や「幻想」を感じる詩が多い(それに「春の日の歌」は中也の死の1年前に書かれていて、体調も悪く、精神的にも病んでた時期ですし)。

まず、「春の日の歌」全文を。

《流(れ)よ、淡き嬌羞よ、ながれてゆくか空の国? 心もとおく散らかりて、エジプト煙草たちまよう

流(れ)よ、冷たき憂い秘め、ながれてゆくか麓までも? まだみぬ顔の不可思議の、咽喉のみえるあたりまで……

午睡の夢のふくよかに、野原の空の、空のうえ? うわあうわあと涕(な)くなるか

黄色い納屋や、白の倉、水車の見える彼方まで、ながれながれてゆくなるか》

……うん、意味わからん(笑)

多分、「淡き嬌羞(女性的な恥ずかしさ)」や「冷たき憂い(心配)」が「空の国」や「麓」に「流れていくのか?」と問いかけているのでしょう。第一連の「流」は「エジプト煙草」とあるから「風」を表し、第二連の「流」は「麓」から「水」を表すのでしょう(もっと性的な解釈もありますが、好みじゃないので)。

それらがどこに流れていくかというと、「空の国(うえ)」「水車の見える彼方まで」です。こうみると、雄大な自然を歌ったようにおもいますが、あくまで流れていくのは「人の心」です。

この時期の中也が「空」と書くと、やはり「死後の世界」を連想してしまいます。また、「黄色い納屋」「白の倉」「水車」は、いかにも牧歌的で幻想的で、「中也の故郷(山口県の温泉街)」とも言われてますが、私はなんか「ヨーロッパの田舎」を連想します(中也は仏語の翻訳家だし)。中也は確か海外行ったことないんで、未だ見ぬ自らの詩の元風景なのかな? とか思ったり。

自らの、あるいは人の心にある、重く苦しいものが、フッとどこかに流れて行ってしまう感覚。「嬌羞」や「憂い」なんてなくなってスッキリするはずなのに、「うわあうわあ」と声をあげて泣いてしまう。やはり、それすらも自分の大切な一部なのだから、抱えていくべきなのか? それとも、そんなものを後生大事に抱えているから、死へと向かっていってしまうのか?

と、中也も悩んでいるように私は感じます。「春の日の歌」では、全体を通し疑問系が多く使われ、実際は何も言い切っていないしね(笑)

「orange」との関連を考えると、「orange」最大のキーになるのは、「結局、翔の最大のトラウマ(母の自殺)は取り除けなかった」ということでしょう。母の自殺は、=「冷たき憂い」。それにより、翔の心は「とおく散らかる」状態に。このままでは翔は「空の国(死後の世界)」に行ってしまう。そういう、漠然とした不安感を、この「春の日の歌」にのせたのかな? それとも、そういう悲しみを背負ったまま、それでも生きていけということかな?

……うん、こじつけですなw 多分、あんまり内容に関係ないな、素敵な雰囲気で使っただけの詩だな(長い読解の結論w)。それもまた、ある意味この作品らしいがw
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 47
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

地に足のついていないイリュージョン作品

世界観:5
ストーリー:4
リアリティ:2
キャラクター:4
情感:4
合計:19

高校2年生の春、菜穂に届いた「手紙」。
その差出人は、10年後の自分だった。
初めはイタズラかと思ったが、
書かれていることが次々と現実に起こり、
「手紙」がこれから起こることを綴っていると知る。
転校生の翔を好きになること。
そして、17歳の冬に翔が亡くなってしまうこと。
翔を失った〈26歳の菜穂〉の
後悔と願いを知った〈16歳の菜穂〉ができることとは?
(公式サイトより)

たまたま、外国人のlive reactionで1話を見て、綺麗なOPや楽曲に名作の予感を感じて視聴開始しました。予約録画をしていたもので、最後まで見てしまいました。

見てしまったと表現したのは、自分のあまり好きでない純愛物に、ツッコミどころばかりのリアリティがない設定が乗っかっていて、途中何度も中断しようと思いつつ、録画されているので、この後少しは良くなるのではないかと望みをかけて視聴していました。結局巻き返しはありませんでしたが…。ここから先は辛口批評になります。

{netabare}10年後の自分から手紙が届くという設定自体は、時間を利用した面白いものです。ただ、その手紙が長く、日記形式になっています。主人公はなぜか、全文を読まずに物語のペースに合わせて小出しに対応します(最後まで読むでしょ普通)。それと、10年前の日々の出来事をこの手紙のように詳細に書ける人いますか? これを納得させるには、主人公が日記をまめにつけている描写を入れておかなければなりませんが、自分の覚えの範囲ではなかったです。

一番の難点は須和と結婚して子供も生まれているのに、今更、過去に自殺した友人を助けて未来を変えようなんてことを考えるのは、好きだった人なら尚更のこと、今という現実を肯定しないという話。これは子供を否定するようなもので、リアリティが感じられないし、自分が須和だったら間違いなく怒るな。

二番目の難点としては、翔の母親の死を防ぐことを至上ミッションにした手紙を書くべきでしょ、という点。その日に翔を誘ったら翔の母親が死んで、それをきっかけに翔も自殺する、とわかりやすい手紙にしておけばよかった。5人が手紙を出していながら…。

最後のほうに、バミューダだのパラレルワールドだの手紙が過去に送れるという理屈が語られますが、そこにいる本人たちにはこれが届いたかは知覚できないのですから、何も説得性のないSF話をよく信じて行動に移せるなと思います。手紙を入れた小瓶を日本で海に流しても、バミューダまで到底流れつかないし、それが翔の死ぬ前の世界に届けられるとは流石に幻想世界です。

5人全員が10年後の未来の自分から手紙が届いて、翔を助けたことを翔に話したら、翔が疑いもしないというのもおかしいよ。もし信じてもらえたとして、それ話したら、今までの彼らの行動が手紙のせいだって思われるおそれがあるけど、心配しないのか(菜穂の言動が自分を救うためだけであり、付き合うというのも本心ではないのではと思われてしまわないかということです)。

あと、リレーも酷かったです。他のクラスは足の速い男子を集めているのに、特に足の速くない女子や萩田を入れて、さらに伝言ゲームしながら何故優勝できるのか。他のクラスの人たち(陸上部とかいたはず)はこの結果に何を思うのか、そういう想像ができないのでしょうか。この作品の作者(脚本家)は、翔が良ければよい、6人組が良ければよい、という視点しかないのかと思ってしまいます。

恋愛面も明らかに相思相愛なのになかなか発展しないところがじれったかったり、最終話のストレートな告白は見ていて恥ずかしくなりました。やっぱ自分は純愛物が苦手です。
で、めでたく恋人になったのになぜまだ自殺しようとするか、翔!
最後までツッコミを入れさせるのは、わざとかとも思いたくなるほどでした(苦笑){/netabare}

良かった点はOPEDの音楽と、キャラでは、萩田がたまにいい仕事をしていて比較的好印象でしたかね。
劇場版が決定したようです。世間の評判は良いのでしょうか。

(参考評価推移:3話3.4→6話3.3→10話3.0→13話2.8→調整2.6)
(2016.7~9視聴、2017.6調整)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 45

91.6 3 友情で手紙なアニメランキング3位
四月は君の嘘(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (5067)
20154人が棚に入れました
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった元天才少年・有馬公生。モノクロームだった彼の日常は、一人のヴァイオリニストとの出逢いから色付き始める。
傍若無人、喧嘩上等、でも個性あふれる演奏家・宮園かをり。少女に魅せられた公生は自分の足で14歳の今を走り始める。

声優・キャラクター
花江夏樹、種田梨沙、佐倉綾音、逢坂良太、早見沙織、梶裕貴
ネタバレ

にゃんぴ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

かをりのセリフ......・゚・(*ノД`*)・゚・。

原作未読

ずっと考えてる、何でこのアニメは「四月は君の嘘」という名前なの?

最終回まで見ないと分からない、

気づけば、実は1話から最終回まで伏線だらけ!!!嘘だろ......・゚・(*ノД`*)・゚・。

本当に悲しくて切ない嘘...

恋愛、青春、音楽系アニメが好きな人、ぜひ。

かをりのセリフ:
{netabare}受けたいです、手術。ほんの僅かでも時間が伸びるなら、ほん

の僅かでもそこに希望があるのなら、何だって縋りたいです。四月に出会っ

た男の子がいました、泣いて吐き出してみっともないぐらいあがいて、で

も、舞台で星のように輝いて、その人生は美しく奏でられるメロディーのよ

う、その男の子と約束したんです、また一緒に弾こうって、だから、私も一

生懸命あがいてやろうと思います、みっともなくても悪あがきでも、あがい

てあがいてあがいてあがきまくってやる...{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 200
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ひたすらきれいで、せつない

中学三年生の、
過去のトラウマによりピアノが弾けなくなった天才ピアニストの少年と、自由奔放な演奏で聴衆を魅了する天真爛漫なヴァイオリニストの少女。

二人が四月に出逢うところから物語は始まります。

本放送時、1話目観て「やたらキラッキラッしてるなぁ・・・パスかな?」と録りだめだけして、放置。
翌正月に暇でまとめ見してはまりました。
それから、最終回まで毎週が待ち遠しく。
テレビ番組でこんな気持ちになったのはいつ以来でしょうか。
自分の中ではBest of Bestの作品です。

以下、評価、感想です。

物語は勿論のこと、映像、音楽、演出、声優さんの演技全てが素晴らしい。

絵柄は背景含め丁寧できれいでカラフル。
目のチカチカするようなものではなく、優しくそれでいて鮮やかな色彩。
背景は一つ一つ切り出しても十分美麗なのですが、さらに登場人物のその時々の気持ちを真摯に映し出しています。

キャラクターの表情もワンシーン毎に丁寧に描かれており、声優さんの演技も相まって、1つ1つの動作や台詞が生き生きと伝わってきます。

原作漫画の構成・演出がもともと秀逸なところに、アニメでは漫画にはない「色」や「音」「精細な背景」を乗せ、さらに細かい工夫を重ねた演出で作品の魅力を最大限にまで引き上げている印象。

声優さんの演技では主人公「公生」とヒロイン「かをり」役の花江夏樹さんと種田梨沙さんが特に好きでした。

花江さんは公生のデリケートに揺れ動く心情をごく自然に表現されてます。
モノローグが多くそれがポエムっぽいので最初は面食らいましたが、花江さんの演技ですぐに馴染んでしまいました。

かをりは明るく天真爛漫ながら実は心のうちに葛藤を抱えているという複雑なキャラクター。
(最終話まで観てから二周目観るととそのことがよくわかります)
種田さんはその複雑な役回りを本当に上手く演じてらしたと思います。

音楽は演奏シーンの音と描写、ともに凄かったですね。
私は素人なのですが、音楽やってる人からの評判も素晴らしく高いようです。
重要な演奏シーンではとてつもない手間をかけてるそうで。
作画は単なるCGだけではなく、モデルアーティストの演奏を10台くらいのカメラで囲んで撮影した画像を見てアニメーターが手で起こしたのだそう。
特にヴァイオリンの演奏シーンは本当に圧倒されてしまいます。

ストーリーはジャンル分けするなら「音楽もの」「ボーイミーツガール」「恋愛」「少年の成長」といったところでしょうが、個人的にはそうした範疇には収めたくないなぁとか思ったり。

ストーリー展開が読めてしまい萎えた、という声もちらほらあるようですが、わかっていても釘付けになってしまうような迫力と物語としての完成度の高さがあります。


二つのプロット

{netabare} 「挫折した天才が、ヒロインに励まされ鼓舞されながら周囲との関係性に気がつき、自分の演奏を取り戻し、さらには成長していく」{/netabare}

{netabare} 「自分の死期を悟ったヒロインが残された時間を精一杯生きる」{/netabare} 

が九十九折のように絡み合いながら展開されていきます。


特に後者は最終回まで隠されているので、二周目はヒロインの気持ちが手に取るようにわかり、感動がいや増していきます。

この作品を{netabare} 死んで{/netabare} お涙頂戴というのが見当違いだということは、二回観た人ならわかるはず。


一番好きな作品なので熱く語ってしまいましたが、この作品のファンの方ならたくさん書いてしまう気持ちも共感いただけるかと 笑。

とりあえずチャンスがあれば人におすすめしている作品です。

<追記①>
「君」という言葉について
公生とかをりは互いを「君」と呼びあっています。
もはや君嘘を象徴するワード。

でも互いに互いを「君」と呼ぶとか変ですよね。
そもそも「君」とか現実ではあまり使わないし。

普通に考えると君嘘の公生、かをりは、{netabare} 互いを少し距離を置いた{/netabare} 存在としようとしていた。

でもただそれだけなら苗字で呼べばいい。
やはり「君」と呼びかけるのはなんらか特別な気持ちがあるのだと思います。
他の人には「君」と呼びかけたりしてないわけですし。

公生のモノローグ{netabare} 「近づきたいけど近づけない」。{/netabare} 
結局これなんじゃないかな。
これはかをりも同じだったんでしょう。
だから「君」と呼ぶ。

渡と椿にはそんな二人はやはり特別な関係に見えたでしょうね。
だから渡も察するし、椿もヤキモチを焼くんだろうな。

とか思いました。

<追記②>
君嘘を観た感想は人さまざま。

放映直後はネットでいろんな声が飛び交っていたのを覚えています。
号泣して虚脱感に苛まされたという人もいれば、ストーリーが読めてつまらなかったという人も、その中間な人も。

感動したという人も、どこの部分に感動したというのは人により異なるようです。

※以下は重度のネタバレです。
{netabare}
私の場合は、最終回の手紙のとある一文でした。

ここまでの話で、
かをりが公生と出会う前から公生の演奏に惹かれていたであろうこと、
嘘は「渡くんのことが好き」であるだろうこと、
くらいは想像してました(まぁ普通見当つきますよね)。

気になっていたのは
「公生に近づくためになぜそんな無茶な嘘をついたんだろう」

手紙の前段では子供の頃からの公生への憧れが綴られていました。
だから公生に近づきたい気持ちは納得。

でもですよ。
普通、嘘ついて他人をダシにして好きな人に近づくとかはとんでもない行為。
それだけで相当な無茶。
さらには公生を力ずくで舞台に引きずり上げるとか相当無理無茶してます。

「なぜそんな無茶を?」

手紙にはこうあります。

---------
ある夜、病院の待合室で、お父さんとお母さんが泣いてるのを見て
『私は長くないのだ』と知りました

その時です
わたしは・・・走り出したのです。

後悔を天国に持ち込まないため、好き勝手やったりしました」
---------

私はこの
「わたしは・・・走り出したのです。」
にやられてしまいました。

自分の死を悟った14歳のヒロインが残された時間を精一杯生きようと心に決めた瞬間。

ああ、そうか
だから勇気を出してそんなギリギリの無茶をしたのか

「聖の青春」(大崎善生 著)というノンフィクション小説を読んだ時と同じような感動と衝撃でした。


しかし、 かをりのついた嘘は悲しい嘘でもありました。

四月の出会いの後、かをりの中には、公生に対して音楽家としての憧れだけではなく、一人の異性としての好意が芽生えていきます。
しかし、いくら感情が膨らんできても誰にも漏らせません。
知られてしまったら椿にも渡にも酷いことをしたことになる。
何より「私は通り過ぎて居なくなる人間」
もし仮に付き合うようなことにでもなったら公生にも酷い悲しみを与えてしまう。

公生とはあくまで音楽家としての関わりであると一線を引き、真の想いはどんなに勘ぐられても自分の中にしまっておくしかないものでした。

それでもかをりは公生への高まる想いを抑えきれず葛藤していきます。
「自分のことを忘れてほしくない」
「自分の本当の想いを知ってほしい」
そんな「音楽以外でも結びついていたい」という気持ち。

いろんな気持ちがないまぜになり、その帰結があの最期の「手紙」なんでしょう。


もちろん公生の成長やかをりへの想い、青春といった要素もひっくるめて私はこの作品が大好きなのですが、この作品が自分の中で特別になった一番のポイントはこうしたところです。

死んだから悲しい、という話ではない。
死ぬまでのたった1年足らずの短い時間を、周りには隠しながらも、葛藤しながらも、足掻いて足掻いて必死に走り抜けた女の子の話。{/netabare}

アニメでこうした感動が味わえるとは思いませんでした。

<2019/2/1 追記③>
第2話の最後の方。

帰り道、かをりが渡を待つ振りをして公生を待ち伏せしてるシーン。

このやり取り好きなんですよ。

かをりを傷つけまいと、ガールフレンドと帰る約束をしてる渡のことを悟られないように「渡はまだ部活」と嘘をつく公生。

そんな嘘に気がつきながらも「じゃあ渡くんを探しに行こっかなー」と意地悪な素振りをする、かをり。

それを慌てふためいて止めようとする公生

たぶん、この時、かをりは公生が{netabare} "思ってた通り、優しい人"{/netabare} なのだと実感したのかなぁ、と。

<追記④>
この作品の特徴に
「大切な言葉を繰り返す」
というところがあります。

同じ意味で
違う意味で
同じ人が
違う人が

それも結構な話数を飛び越えて。

さらに、時には反対の言葉を持ってきて対の関係にする。

これらがこの作品の魅力を引き立てています。
まるで作品そのものが「詩」のよう。

何度か観た人はそうした、紡がれる言葉を探してみるのも良いかもしれません。

<更新履歴>
2017/9上旬 初投稿
2017/9/19 追記①
2017/10/15追記①修正
2018/9/21 本文を大幅に加筆修正し、追記②を追加
2019/2/1 追記③
2019/11/07 追記④
2023/4/23 一部削除

投稿 : 2024/11/09
♥ : 162
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

聖女のように

A-1 Pictures制作。

青春を謳歌する中学生の悲喜交々、
真摯に「生」と向き合い、
過去を乗り越えようとする少年と、
聖女のように「献身」に身を捧げた少女の、
これは美しくも儚い物語なのです。

母親から勝つためだけの演奏を叩き込まれ、
ヒューマンメトロノームと揶揄される少年。
母親の死をきっかけにピアノが弾けなくなる。
やがて1人の少女との出逢いがあり、
モノクロームな日常が、カラフルに色づき始める。

{netabare}死を悟った時、残りの人生をどう生きるのか、
この物語が問いかけるものはそういうものだ。
少女は幼かった自分に大切なものをくれた、
大好きな少年に、最後の生を捧げたのだ。{/netabare}

音楽は本来、楽しいものである。
五線譜の檻に閉じ込められた少年への、
少女からの大切で温かいメッセージです。

最も胸を打つ最高のシーンがあります。
{netabare}延命手術を決意した彼女へ贈るショパンのバラード。
その最後の演奏中に少年は、
舞台に現れた彼女を見て顔をゆがめる。
驚きではなく、安らぎでもなく…、
この世にもう彼女はいないと知ったのです。{/netabare}

色彩が命を吹き込み、音楽は魔法になる。
{netabare}春の訪れとともに、彼女の生を想う、
美しく咲き誇った彼女をまた好きになる。
彼女のついた微笑ましい嘘に涙を堪える。
これからもきっと。{/netabare}

素晴らしい作品に感謝したいです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 134

87.4 4 友情で手紙なアニメランキング4位
色づく世界の明日から(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (1141)
4880人が棚に入れました
物語の始まりは数⼗後の⻑崎。⽇常の中に⼩さな魔法が残るちょっと不思議な世界。主⼈公の⽉白瞳美は17歳。魔法使い⼀族の末裔。幼い頃に⾊覚を失い、感情の乏しい⼦になった。そんな瞳美の将来を憂えた⼤魔法使いの祖⺟・⽉白琥珀は魔法で瞳美を2018年へ送り出す。突然、⾒知らぬ場所に現れとまどう瞳美の視界に鮮烈な⾊彩が⾶び込んでくる…。

声優・キャラクター
石原夏織、本渡楓、千葉翔也、市ノ瀬加那、東山奈央、前田誠ニ、村瀬歩
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

こぼれたあの色

P.A.WORKS制作。

色彩を知覚できずモノクロの世界で生きる少女。
彼女は自分に魔法をかけた、
{netabare}わたしは幸せになってはいけないと。
17歳の未来の少女が、
時の魔法で17歳の祖母に出会う、{/netabare}
魔法が日常に存在する青春ファンタジー。

この物語には、小さな魔法があり、
心のサプリや探し物を見つけたりと、
日常にそっと寄り添う形で存在しています。
{netabare}少女はなぜ色彩を失ったのか、
少女に色をもたらした絵を描く少年との出会い。{/netabare}

夕焼け、朝露、夜空の花火と、
色彩の世界を描くだけに風景は美しい。
美しいものを美しいままに描く、
こぼれたことば、こぼれたあの色。
色の溢れる世界を取り戻す、
世界を肯定する物語になればと思います。

最終話視聴追記。
言葉より絵や色彩で魅了する作品です。
{netabare}テーマに沿って上手くまとめたのでは思う。
ただこの主題と絵の表現力があれば、
劇場版の尺で良かったのではと思ったり、
映画なら傑作に成り得たかも知れません。{/netabare}

美麗なOPが記憶に残りますね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 93
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

煌めく長崎の街並みと青春の光

アニメーション製作:P.A.WORKS、監督:篠原俊哉、
シリーズ構成:柿原優子、
キャラクターデザイン・総作画監督:秋山有希

魔法使いの子孫でありながら
魔法が嫌いな月白瞳美にとって、世界はモノクロだった。
花火が行われていた夏の日、瞳美は祖母の魔法によって
60年前に飛ばされてしまう。
そこで出会った、葵唯翔の描く絵画は
瞳美が忘れていた色を取り戻させてくれるのだった。

日本のなかで最も好きな都市のひとつが長崎だ。
坂があり港があり、洋風の建物が点在する。
街には路面電車が走り、
日本中から使用されなくなった車体が集められて
再利用されている。
街並みは和風と洋風が融合し、とてもバランスが良い。
街は栄えていて、飲み屋街の思案橋には、
さまざまな種類の美味しい店が軒を連ねている。

個人的には仕事で何度も訪れた懐かしさがあり、
それがP.A.WORKSの美しい絵で堪能できることから、
1話目からとても楽しみにしていた作品だった。
序盤は予想に違わない出来で1話目の作りは、
ほぼ完璧ではないかと感じた。

そんな形で視聴を開始した作品だったが、
中盤くらいから違和感が頭を掠めるようになる。
話がどういう方向を目指しているのか見えてこない。
もちろん、瞳美が自分の抱えている問題を解決させ、
色を取り戻すことが最終的な目的なわけだが、
一向に話が進んでいる感じがしない。

原因のひとつは、世界の色を取り戻すことが
瞳美だけでなく、唯翔にも必要だったことだと思う。
主役のふたりが同じ悩みを抱え、しかも自分から動かないため
話が進んでいかない。ドラマチックな展開にならない。
だから、クライマックスでお互いが心を通わせるシーンでも
全く盛り上がらず、唐突な感じがしてしまう。
これが小説だったら、まだやり方もあったのだろうが、
アニメでふたりとも消極的な性格で、
同じ問題を抱えているため、展開を難しくしている。

その影響から物語が動かず、どこに向かっているのか
分からないように感じてしまう。
瞳美に積極性がないので、母との関係性についてなのか、
自分の時代に戻ることなのか、色を取り戻したいのか、
恋人を作りたいのか、友達を作りたいのか、
魔法への意欲を持ちたいのか、ほとんど見えてこない。

これは私の好みの問題でもあるのだが、
登場人物の想いをしっかり伝えて欲しいと思う。
この作品の場合、瞳美と唯翔が大切なものを
取り戻すことが大きなテーマになっているのに、
彼らの切迫感や渇きの心情がほとんど伝わってこない。
伝わってくるのは、諦めと苛立ちだけなのだ。
原因は、彼らの望んだ幸せな世界が
物語として、映像として表現されていないからだろう。
{netabare} 例えば、瞳美なら母の、唯翔なら祖父のイメージが
少しでも表現されたなら違ってきたのだろうが、 {/netabare}
終始ぼんやりしたお話になってしまっているように感じてしまう。

若者の閉塞感を表現したという点では、
リアルと言えるのかもしれない。
思春期の若者の心情を描いているのは、
分からないでもないのだが、イメージばかりを先行させすぎて、
物語に活かされていない。

それと、絵が美しいのは素晴らしいのだが、
あまりにも綺麗過ぎて、キャラクターの造形の粗が
逆に目立ってしまうのもマイナスポイントになってしまっている。
唯翔と千草のキャラデザが似すぎているのも良くなかった。
何となく観ていると、どちらか分からないことがあった。

目指したのはハインラインの『夏への扉』や
スピルバーグ監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だろうが、
中盤があまりにも退屈すぎる。
このテーマで物語を作るのなら、安易に魔法などというものを
持ち出さないで、正面から取り組んだほうが個人的には好感を持てた。

難点ばかりを挙げてきたが、唯翔の描く絵画の世界や
そこから浮かぶイメージは挑戦的な作風だったと思う。
OPの美しさ、タイトル書体の選別、長崎の街並みなど、
美術面にこだわり抜いているのが感じられる。
描かれている世界は、とても鮮やかだった。
記憶に残る作品だったと思う。
(2019年2月3日初投稿)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 92
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

全13話+“60年”の時の重みに思いを馳せてみる

2019.01.02記


P.A.WORKSによるオリジナルアニメ


前評判の良さとキービジュアル。数年前旅行で訪れたお気に入りの街“長崎”が舞台とあって、スルーする理由が見当たりません。
“眼鏡橋”“グラバー園”観光スポットもそうですが、地味に“石橋”行の路面電車や“思案橋”の信号機なんかも懐かしいですね。また行きたいです。
そして1話EDクレジットに島本須美さんの文字が! 断念する理由も無くなりました。


最初から最後までただひたすら美しい作品でした。作画や音楽だけではなくストーリーもです。棘の無いやや起伏に乏しい物語は物足りなさという弱みと裏返しでしたね。

見える風景がモノクロになり、自分の殻に閉じこもっている月白瞳美が主人公。「高校時代のあたしに会って・・・」と説明もそこそこに祖母である月白琥珀の時間魔法で60年前の過去へと飛ばされた後、高校生の琥珀とその友人たちと交流を重ねていくお話になります。
魔法/魔法使いが社会に受け入れられているのはファンタジーで、その魔法も私たちが想像するような仰々しいものではなく、“頭がすっきりする”“そこにない風景が見える”“ちょっと物体が動く”といったもの。祖母琥珀が使った時間魔法は上位魔法で習得難度が高いという設定はあるものの、普段使いの魔法は他愛のない、琥珀に言わせれば、

“日常を彩るサプリみたいなもの”

であり、魔法が全面にでてくるかというのとはちょっと違い、綴られた物語は高校生の青春です。
・なぜ祖母の琥珀(77歳)は孫の瞳美(17歳)を過去に送ったのか?
・なぜ瞳美は色を失ってしまったのか?
謎というほどではないかもしれませんが、{netabare}『瞳美が色を取り戻していく物語』{/netabare}作品のテーマとなります。


繰り返しになりますが、ただひたすら美しいです。

OP「17才」ED「未明の君と薄明の魔法」、2018年秋クールの中でも群を抜いてました。OPED両方とも一話たりとも飛ばさなかった唯一の作品です。
{netabare}最終話で「17才」イントロ流れた瞬間、歌詞の「虹がかかるよ」が頭に浮かび涙腺が・・・ 二番も良い歌詞です。{/netabare}
{netabare}モノクロから始まり、街灯のオレンジ色から街の夜景へと繋がるED画も神秘的でやなぎなぎの曲調もしっくりきます。{/netabare}

高品質な作画も最後まで安定してました。夕暮れ、夜景、太陽の照り返し、光の滲み具合。色使い・彩度の加減は下手な劇場版より綺麗かもしれません。モノクロと豊かな色彩の対比が物語の柱でもあるため、気合が入ってました。
{netabare}序盤第2話:夕暮れ時の校舎の風景作画は引き込まれました。岩崎良美「青春(タッチED)」がよく似合います。※年寄りは付いてきてね。{/netabare}
それと舞台が長崎ということで背景作画のハードル上がってたんじゃないかしら?
少しばかりの平地を除いて丘・山そして海。小高いところに建造物が立っている坂が多い街。風景絵が田舎なら青空+雲、都会なら定規でひけるビル群とかで済みそうなところが、そうはいきません。特に夜景は、空の黒と山間の黒そして海の黒とに区別つけた上で、適度に生活の灯りを散らさなければなりません。路地は曲がりくねった石畳ですし、作画班はほんとにお疲れ様でした。


肝心の物語は薄めです。キャラも心情描写をしっかり見せるわけでなく物足りなさを感じるほど。どちらかというと心象風景を見せる感じ。いかんせんヒロインの瞳美がわかりづらいし反感買いそうなキャラ。作画だけの作品なのね…残念、、、途中までの印象です。
風向きが少し変わったのが{netabare}11話と{/netabare}終盤で、最終13話の出来が良かったので少し考えをあらためました。
{netabare}この物語は、途中経過や最終話の締め方も含めて、いろいろ余計なものを付け加えると野暮になってた気がします。むしろあの程度と抑えめで良かった。{/netabare}


■最終話を観終わって ※以下ネタバレタグは視聴済みの方向け
良く出来た最終回です。そこに至るまでの過程に起伏があればさらに良しとしたことでしょう。ただしちょっと待ってください。これって完走後に、

{netabare}『瞳美が2078年に戻ってからの魔法写真美術部員の60年を想像して補完する』楽しみが残されてますよね。{/netabare}

全13話で完結というより描かれてない空白部分がむしろ重要で、そこの受け取り方で評価が別れるんだろうと思います。

{netabare}60年後、瞳美と魔法写真美術部員との再会がなかったことが空白部分を考えるきっかけでした。物語の舞台が2018年。自分に置き換えても2078年には生きていないでしょうから余計にそう思わせるのかもしれません。
瞳美が去った後、琥珀は、唯翔は、あさぎは、胡桃は、将は、千草はどんな人生を送ったのでしょう?瞳美がやってきたことでどんな変化を彼らにもたらしたのでしょう?

●琥珀:魔法の能力に目覚めた幼少期から「私は魔法でみんなを幸せにしたい」が信条だったのに、一番近しい人たちを救えなかったことは身を引き裂かれる思いだったことは想像に難くありません。娘の失踪と孫が色を失った理由はそれぞれその時に知ったのではないでしょうか?10話で瞳美は唯翔にだけ事情を話してますが、あの唯翔が琥珀に話すとはどうしても思えないのです。
瞳美が帰る時に自分の時間魔法の未熟さを実感して、以降腕を磨こうと研鑽を重ねただろうし、そのために最適な伴侶を選びました。瞳美がいなくなった後になぜ未来の自分が瞳美を遣わしたのかを考え続けた人生なはずです。
孫が帰還し一緒に母を探すと言ってもらえてどれほど嬉しかったことでしょうか。
「幸せになっていいんだよね?」孫から言われた時に70年越しの琥珀の思いが報われた気がしました。

※12話での瞳美「あれ?おじいちゃん?」の控えめリアクションが微笑ましい。
※年齢って英語でLEVELと表記するかは知らんが、「あんたはまだまだよ」的なエールは三つ子の魂百までの茶目っ気を感じる。すなわち“LEVEL17 vs LEVEL77”

●唯翔:瞳美は唯翔から、唯翔は瞳美から大事なものを受け取りました。彼が愛する女性に対してできること。“色を失った理由を直接聞いた(10話)”“魔法の中で幼少期の瞳美に会った(10話)”“幼少期一冊だけ色が見えてた絵本があったと直接聞いた(8話)”
「あの時俺が小さな瞳美に伝えたかったこと 自分を閉じ込めてほしくなかった 諦めないでほしかった」
必ず瞳美に届けたかった執念の絵本だったはずです。唯翔なら爺さんになって再開し思い出話に花を咲かせる気などさらさらなかったでしょう。進路も絵の道には進んだでしょうが、職業替えしたかもしれないし、結婚したかもしれないですが些細なことだと思います。
心を閉ざした“小さな瞳美”に伝えたかったことを伝える役目を果たした時に彼がどんな表情をしてたのかを想像するととても切ないものがあります。

※墓参は瞳美一人でした。琥珀が気を利かせたのだと思います。もしもお世話になった曾祖母ら月白家の墓なら琥珀は一緒に行ったでしょう。

●あさぎ-将くん:占い外れたみたいでなによりです。 “うさぎさんは犬さんのとなりに立って海のにおいをかいでます”

●胡桃-千草:不明。だけどお似合いでした。{/netabare}


{netabare}色を取り戻した瞳美はどんな人生を送るのでしょう?
最終話EDで、同級生二人に自ら声をかけ、その一歩を踏み出した瞳美。この二人、髪の色とかリアクションからしてどこかしらあさぎと胡桃らしき面影がありましたね。きっと孫娘なんでしょう。
彼女らは第1話で、浴衣姿で瞳美に声をかけてた二人でもあります。両シーンとも彼女らは瞳美に親しげです。受け取る瞳美側の心の持ちようが第一話と最終話では違うという対比にもなってます。{/netabare}


{netabare}“葵”“琥珀”“山吹”“あさぎ”“胡桃”“千草”、全て色を表す言葉。六色がもたらすものは、これまで“誰にも愛されてないと感じた夜”を幾重にも重ねてきた少女の心を溶かしました。物語としてはこれで万事めでたしめでたしです。
さらに、瞳美が色を取り戻す前の彼らと過ごした半年の時間でさえ、月“白”と合わせて七色の虹は架かっていたのです。この七人にとっての色褪せることのない大切な時間でした。唯翔が絵本を通して瞳美に残したかった想い。未来でも笑ってられますように、と。{/netabare}

やはり、美しい物語でした。
空白の60年間に想いを馳せると時の重みに切なさや愛おしさを感じる良作です。


しかしよくよく考えると、夏休みの最終日に宿題をあわてて片付けたと言えなくもない。



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2019.06.13追記
《配点を修正》


未来のお話って別世界の話として見る向きがあったのですが、本作は現在との繋がりを強く意識させるものでした。2078年には自分は退場しているはずでしょうが、孫かひ孫あたりの世代に自分の想いは伝わっていて、って素敵だと思ったわけです。

加点しときます。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 91

87.5 5 友情で手紙なアニメランキング5位
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 ‐永遠と自動手記人形‐(アニメ映画)

2019年9月6日
★★★★★ 4.3 (525)
2610人が棚に入れました
……大切なものを守るのと引き換えに僕は、僕の未来を売り払ったんだ。良家の子女のみが通うことを許される女学園。父親と「契約」を交わしたイザベラ・ヨークにとって、白椿が咲き誇る美しいこの場所は牢獄そのもので……。未来への希望や期待を失っていたイザベラの前に現れたのは、教育係として雇われたヴァイオレット・エヴァーガーデンだった。

声優・キャラクター
石川由依、寿美菜子、悠木碧、子安武人、内山昂輝、遠藤綾、茅原実里、戸松遥
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

シリーズ最高傑作 ※当社比

「届かなくていい手紙なんてないのです」

 そして

「私は…愛を知りたいのです」

作品を紐解くキーワード。
TV本編は一話完結型。一話一話の質は高いが全体の繋がりに欠ける。アラカルトだったら美味いのにコース料理になるとまとまりが悪い。私の『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』評です。

裏を返せば、事前に劇場版に対する不安はありませんでした。なぜか?

 本編と切り離した外伝だし
 一話完結なら得意領域でしょうよ

作品のファンならまだしも、アニメファン全般いや普段アニメを観ない層の方でも劇場に足を運ぶ理由ができてしまった作品です。もし仮にTV本編がかみ合わなかったことを理由に躊躇っている方でもあまり心配しなくてよいでしょう。

本編と独立していることは初見さんいらっしゃいでもあります。人物背景を知らなくとも楽しめると思われます。ぜひご家族・ご友人誘って一緒に劇場でガン泣きしましょう。

私が鑑賞したのは平日夜の時間帯ということで、半分ちょっと上回るくらいの入りだったでしょうか。ソロの方以外でも、娘さんと一緒のお父さん。学生同士。年配の方は少ないようでしたが万遍ない層が足を運んでおりました。なんかいいですよね、こういうの。女性もけっこうな割合。作品の持つ美しさのなせる業だとブランド力も感じたところです。



さて、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 ‐永遠と自動手記人形』であります。
TV本編で何回かあった良回をさらにその4倍以上の尺を貰ってじっくり描いたと言うべき劇場版でした。
映画全体はAパートBパート構成でもあり、TVっぽさを感じもしました。
前半の主役はキービジュアルにある眼鏡をかけた女性イザベラ・ヨーク(CV寿美菜子)。
後半はテイラー・バートレット(CV悠木碧)。
豪華ゲスト声優のお二人とも当たり前のように作品に馴染んでおります。もう凄いのに慣れてしまって麻痺してますね。

実際観ていたら、前半部分だけでも話としては纏まっており、「あれ そろそろ終わりかな?」と軽く勘違いしそうでした。
この前半部分。公式にもある通り、良家の女子ばかりが通う寄宿学校を舞台に物語は進むわけですが、イザベラの心象を表すかのように沈鬱な雰囲気で統一されてます。
それとは対照的なときおり差し込んでくる光の表現がとても印象的でした。窓から差し込む太陽の光。木々を通り抜けた光の筋。月明りに照らされた夜。こういうのこそまさに「劇場に足を運ぶ価値がある」作品ということになるんだと思います。

後半以降は劇場でお確かめくださいませ。※視聴済の方用にネタバレ感想を後述


細かいところでは、エンドロールで流れる茅原実里さん作詞・歌の主題歌『エイミー』が物語に合っていてかつ物凄く良い曲だったのが嬉しかったです。プレッシャーもあっただろうに。そう、物凄く良い曲だったのが嬉しかったのです。
※注 これでも私、『みちしるべ』は作品の世界観に合ってたと思ってる人です。

キャストのどなたかが言ってたと思うのですが、この作品はTV本編後を描いているとのこと。
戦後の混乱から復興。新しい時代の息吹を感じながら、いつものそして新たな一面を見せるヴァイオレットちゃんにあなたも会いに行ってみませんか?


観終わってひとこと・・・

{netabare}「やっぱ届かなくていい手紙なんてないよなあ」{/netabare}




※ネタバレ感想~軽め~

{netabare}■動かしたヴァイオレット 繋げたベネディクト(CV内山昂輝)

起床時間。昔の夢を見たエイミーは寝ぼけ眼で目の前に佇むヴァイオレットにテイラーの姿を重ねる。
また別の場所、別の時。過日のエイミーと同じように今度はテイラーがヴァイオレットにエイミーの姿を重ねる。

一方は心の奥に閉じ込めた想いを、また一方はおぼろげな記憶に小さく留まってた想いを手繰り寄せるきっかけをくれたのはヴァイオレットちゃん。

「手紙を書いてみてはいかがでしょうか?」

エイミーに両の手を握られたヴァイオレットは初めて人の手の温もりを知る。巡り巡って今度はテイラーがヴァイオレットの両手をその小さな手で握り満面の笑みを見せる。

自動手記人形が心と心を結ぶ装置なんだなあ、をあらためて気づかされる場面でした。
物理的に繋ぐのは郵便配達人のベネディクトさんだったりするわけで、ドールと配達人の両輪あってやっと手紙が届くわけですね。

同じ目的「届かなくていい手紙なんてない」を共有している仲間という感じがして、ちょっとばかりお仕事アニメ風な展開にぐっときました。{/netabare}


{netabare}■二人ともよかったね

公式サイトではイザベラとテイラー表記だったのが、エンドロールでは

 エイミー・バートレット 寿 美菜子
 テイラー・バートレット 悠木 碧

と仲良く並んでいました。キャラクターへの気配りが行き届いているところにいつも感心します。{/netabare}




■藤田春香監督

初監督作品とのこと。
TV放送当時にたまさか石立太一さんと藤田春香さんへのインタビュー記事を拝見しました。
冠は石立さんですけど、作業の大半を権限移譲している印象をその記事から受けました。
そして今回。人材育成というキーワードが飛び交っていた制作会社で一つの具体例を目の当たりにした気分です。
調べてみたら別作品ですが、『響け!ユーフォニアム』1期の第8話の演出を担当されてもいますね。言わずもがなファンの間では語り草になっている記憶に残るエピソード回です。

こうして新たな才能が出てきたことはファンにとっても喜びです。と言いますか、初監督作品でこのクオリティはないわー(褒)

外伝は好評のうちに期間限定上映を終えるでしょう。次は正規ルート石立監督の続編です。

 {netabare}“ 鋭意制作中 ”

 座席の下で小さくガッツポーズ!{/netabare}



視聴時期:2019年9月 劇場

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2019.10.09追記

二回目行ってきました。三週間期間限定の当初予定が延長されたのです。
初見より、“手紙に込められた想い”を見逃すまいと作品に集中できてよかったです。

{netabare}髪の束は二つでは結べない、と三つ編みをテイラーに施してあげるヴァイオレットが素敵でした。

想いを結ぶ人(配達人やドール)の重要性がわかる演出です。
ふむふむ、なるほど、と。さすが二回目はいろいろと見えてくるものです。


そしたらエンディングで

「編み続けた 願いが 叶いますように」

と詞が耳に入ってきてあえなく撃沈しました。
こんなん泣くやろが(T_T)

二重三重に攻めてこられると防衛しきれません。{/netabare}



2019.09.11 初稿
2019.10.09 追記
2021.08.09 タイトル修正

投稿 : 2024/11/09
♥ : 84
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

卓越した美意識と愛おしさの表現と

アニメーション制作:京都アニメーション
監督:藤田春香、監修:石立太一、
シリーズ構成:吉田玲子、脚本:鈴木貴昭、浦畑達彦
キャラクターデザイン・総作画監督:高瀬亜貴子、
音楽:Evan Call、原作:暁佳奈

平日の夜の上映で580席のスクリーンが満席。
上映が始まると、全員が一心に前方を見つめた。
2ヵ月前の事件によって大きな損失を被った
京都アニメーションを応援したいという気持ちや、
素晴らしい作品を存分に味わいたいという期待感。
多くの人々の想いが館内に充満している気がした。

全寮制の女学校にいる心を閉ざした少女、
イザベラ・ヨークの元に教育係として雇われた
ヴァイオレット・エヴァーガーデンがやってくる。
イザベラは何かを諦め、
世界に敵意を抱いているように見える。
そんな希望を失った少女に対し、
ヴァイオレットは真っ直ぐな気持ちで接し、
完璧なサポートをするだけでなく、
大切なことを気づかせる。
やがて、イザベラは心を開き、ヴァイオレットに
ひとつのお願いをするのだった。

TVシリーズのときから感じていたが、
作画のクオリティの高さは凄まじい。
これはほかの京アニ作品とも一線を画すほど。
草木のさざめき、陽光のきらめき、
中世ヨーロッパ風の荘厳な建築物、
美しく深みのある調度品、
清楚できらびやかな衣装。
一つひとつに徹底的なこだわりが見られる。

そして注目すべきは、この作品が
構図と絵だけで人の心を動かすほどの
魅力を湛えているということだ。
そういう感覚は、普通は写真や絵画に
対して感じるものだが、この作品には、
表現者が芸術としてこだわるような凄みがある。

私がいちばん気に入ったのはダンスシーン。
俯瞰や横からのアングルでの見せ方が美しい。
そして、おそらく実際のダンスの動きを
しっかりと参考にしているため、
アニメーションとは思えないリアリティがある。
私はこのシーンでベルナルド・ベルトルッチ監督の
『暗殺のオペラ』という映画を思い出した。
ベルトルッチ監督の美意識というべきものが
全体に散りばめられていて、
いちばん気に入っているのがダンスシーンだ。
その色や動きの美しさといったら
芸術そのものだと感じさせた。
そんな映像がすぐに頭に浮かぶほど、
この作品でも心に残るシーンだった。
作画だけでなく、構図という部分でも目につくシーンが多い。
これは、監督の藤田春香の特徴かもしれない。
序盤でのヴァイオレットとイザベラが鏡のある部屋で
話す場面でも徹底したこだわりを感じさせる。

藤田春香は京都アニメーションに注目している人なら
多くの人が知っている演出家だろう。
特に有名になったのが『響けユーフォニアム』の
神回ともいえる8話で演出を手がけたこと。
後半の葉月の展開や大吉山での見せ方も素晴らしかった。
今後も、色々な作品で活躍してもらいたい。

{netabare}物語はイザベラとテイラーが
心を通わせながらも別離せざるを得なかった
悲しみとともに人を恋しく想う気持ちに
焦点を定めて丁寧に描いている。
ただ、個人的にはこの描き方に描写不足を
感じる部分もあった。
ふたりの心の動きや出来事をもう少し
分かりやすく、そして象徴的に構成できれば、
もっと感動したのかもしれない。
この辺りはTVシリーズでも同じように感じてしまった。{/netabare}

{netabare}それでも、姉妹の心の交流を
手紙を通して描いたストーリーや作画の
素晴らしさによって、十分に満足させてくれた。
映画が終了するころには、
涙を流している人もあちらこちらで見られたほど。{/netabare}
多くの観客の心を動かす作品であることは間違いない。
(2019年9月15日初投稿)

※シリーズのバランスを考慮して点数変更しました(4.1→4.2)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 78

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

幸せを運ぶ人と幸せをつくるお手伝いをする人

この映画には良い意味で2回裏切られました。

一つ目は、外伝なのに、これほど感動するとは思ってもみませんでした。
それならば本編は、どれほどのものだろうか…。今から期待しまくっています。

二つ目は、前宣伝でヴァイオレットが教育係になると知らされたので、手紙は今回無しなのか…と、諦めていたのですが…、
途中から手紙がメインの物語に変わったではありませんか。

やはり、この映画は手紙に込められた愛情を伝える物語でした。
私は、これを待っていたのです(^_^)。


この映画では、貴族の娘であるエイミー(イザベラ)と孤児のテイラーが主人公です。
ヴァイオレットは脇役に徹しています。

エイミーとテイラーは昔、姉妹のように仲良く暮らしていました。
生活は貧しくとも二人は幸せでした。
だが、ある事情で二人は離れ離れになります。

でも数年後、手紙により二人は再び心を通わすことができたのです。

テイラーは郵便配達人を『幸せを運ぶ人』といい、憧れます。
その言葉だけで、テイラーの気持ちが良くわかります。
幼くしてエイミーと別れたテイラーが、エイミーからの手紙をどれほど嬉しく感じたのかが伝わってきます。

今回、幸せを運ぶ人はヴァイオレットの友達のベネディクトでした。
そして幸せをつくるお手伝いをしたのがヴァイオレットです。

ヴァイオレットがいなければ、エイミーは手紙を書くこともなかったし、テイラーがエイミーに返事を書くこともなかったでしょう。
ヴァイオレットの仕事である自動手記人形サービスは、まさに幸せをつくるお手伝いです。
それはとても素敵な仕事だと思います。

エイミーの手紙もテイラーの手紙も、一行か二行の簡単な文章でした。
でも、愛情がこもっています。だからお互いに幸せを感じることができたのです。



昔、私が家を離れて一人暮らしを始めたとき、母へ感謝の手紙を送ったことがあります。
それはつたない文字で書いた数行の手紙でした。
でも、母はその手紙をとても喜んでくれて、ずっと大切にしていました。


今ではLINEやe-mailがあるので手紙を出す機会はあまりありません。
たまには自筆で遠く離れた人へ手紙を送るのも良いと思います。
ときとして、手紙は宝石よりも大切な宝物になる場合があります。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 63

80.4 6 友情で手紙なアニメランキング6位
BANANA FISH(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (550)
2482人が棚に入れました
ニューヨーク。並外れて整った容姿と、卓越した戦闘力を持つ少年・アッシュ。ストリートギャングを束ねる彼は手下に殺された男が死ぬ間際に“バナナフィッシュ”という謎の言葉を発するのを聞く。時を同じくして、カメラマンの助手として取材にやってきた日本人の少年・奥村英二と出会う。二人はともに“バナナフィッシュ”の謎を追い求めることに──。


声優・キャラクター
内田雄馬、野島健児、平田広明、石塚運昇、古川慎、細谷佳正、川田紳司、福山潤、森川智之、千葉翔也、斉藤壮馬、上田燿司、小形満、村瀬歩
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

キース・へリングやバスキアが生きた時代

2019.01.03記


原作未読


書店で平積みされてたり、学校で女子が話題に挙げてたような挙げてないような。20年以上前の記憶です。
タイトルだけは知っていて中身がどんなか知らないものの、吉田秋生先生でノイタミナでという話題性に食いついてみました。

全24話2クール作品です。
舞台はアメリカN.Y。若くしてストリートギャングのボスであるアッシュ・リンクス(♂)は容姿端麗・頭脳明晰・殺人スキルも無問題の完璧超人。イラクで消息を絶った兄が残した「BANANA FISH」という単語を追って動き始める。
同じ頃、カメラマン助手として日本からやって来た青年奥村英二がひょんなことからアッシュと出会い、BANANA FISHを巡るいざこざに巻き込まれながら友情を育んでいく物語です。
けっこうハードなクライム・サスペンスで、コルシカマフィア、華僑の闇勢力、ストリートギャング、はたまた国家機関も出張ってきての組んずほぐれつ。諸悪の根源はBANANA FISHということになるんでしょう。

設定が設定だけに人が死ぬのはしょうがないとして、これでもかこれでもかと不運がアッシュに降りかかるのが本作の特色でしょうか。
30年前なら『おしん』、20年前なら『家なき子』、最近だと『東京喰種』の金木研ばりに過酷な試練の連続です。どうしようもない沼に嵌りこんでいるアッシュをもうこれ以上いじめないでください、となります。
このアッシュに共感できるなら作品にすっと入れると思います。
対する英二は平和ボケの権化みたいな向こうの人から見た“Tipical Japanese”を地でいく青年です。私は苦手なタイプですが、なぜか完璧超人アッシュにとっては安らぎを得られる存在。
生い立ちから歩んできた人生からまるで違う二人がなぜ共鳴し合えるか?
この友情物語を紐解くカギとなります。


私はけっこうながら見でした。
英二がまぬけというか、いや普通そんなんやったら死ぬで!の局面でけっこう素っ頓狂な行動を取ったりでイライラが募り、ストーリーに没入するのを邪魔します。
アウトローが自分に無いものを求めて無垢な存在に惹かれるというモチーフはよくあるため、逆側の無垢な存在がどうアウトローにシンパシーを感じるかの部分で弱い気がしました。

『だから二人は惹かれ合うのね』

ここがもっと欲しかったかな。男同士、女同士、男女でもそれは変わらないと思います。
クライム・サスペンスと友情物語がリンクする作風の中で、前者がなかなか面白いのは事実なものの、後者がしっくりこないと早々に“腐”認定してとりわけ男性視聴者が離脱してもおかしくないでしょう。
逆に両者がかちっとはまるとめちゃくちゃ面白く感じそうです。私はその一歩手前でした。

とはいえ完走はできました。佳作の域にはあると思います。

※メモ//石塚運昇氏遺作



■余談 
地味に良かったのがN.Yの雰囲気。
1985~1994年連載の原作でベトナム戦争帰りの設定だったのがアニメではイラクだったり、スマホがあったりと現代に合わせた調整はしょうがないとしても、ベースとなったであろう1980年代前半の超凶悪な街N.Yの雰囲気がよく出てたのは良かったです。
今と違って観光客が地下鉄に乗るなんてご法度もいいところで、昼間でもサウスブロンクスを歩けるわけがなく、例えばタイムズスクエア近辺のホテルから地下鉄でヤンキースの試合を観戦しに行くことは「死にたいの?」という世界。・・・だったらしい。なにぶんこの時期ガキンチョだったので見聞きした話です。
一方でアートやファッションはとても魅力的だったり。キース・へリングやバスキア。元は落書きの“グラフィティ”は画集を買ったこともあるし、ヒップホップも発祥はこの頃のN.Y。自分がはまったのはちょっと後の東と西でドンパチしてた頃ですが、私には興味惹かれる場所なり時代だったりします。

作中でも地下鉄でドンパチ普通にやるし、建設中ビルや廃墟などいたるところで銃声が響きます。このやさぐれ感はたまんなかったです。

リアルのN.Yで初の黒人市長が出て警官増員したのが1989年。ジュリアーニの登場が1994年。治安は急速に改善してきました。
私の初N.Yが2001年だったのでその頃はもう快適に過ごせましたね。

{netabare}超高層にもかかわらずガラス張りではなく屋外に出られるスポットがあるぜ、とN.Y出身知人のススメで訪れたのがワールドトレードセンター。訪問日は2001年8月11日午前。なんというかね。。。{/netabare}


やっぱり、あんな危ないエリアだったりストリートの悪がきがたむろするところを無警戒でほっつき回る英二って“なんだかなぁ”と思う私でした。


■余談2 ※最終回ネタバレ有
国民的愛唱歌『とんぼ』言わずと知れた長渕剛の名曲ですが、元は本人出演ドラマ「とんぼ」の主題歌です。
{netabare}最終回はヤクザ役の剛が腹を刺されて、倒れた剛をカメラが引きのカットでおさめて終了。図書館ではなくこちらは路上でしたが似たようなカット割りです。{/netabare}

{netabare}ヤクザ剛の役名は “英二” 

すまぬ。これ言いたかっただけです。{/netabare}


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2019.06.02追記
《配点を修正》

投稿 : 2024/11/09
♥ : 53
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

Walk on the Wild Side

ノイタミナ×MAPPA制作。
原作は吉田秋生の少女漫画の金字塔。

原作表紙のデザインが秀逸だなと興味をひき、
タイトルのフォントも素敵ですよね。
いつか視聴したかった作品です。
タイトルはサリンジャーからでしょうか。
あにこれのメインクラスターには、
吉田秋生と言えば「海街diary」かも知れませんね。

NYのソリッドな空気感とキャラ紹介。
バナナフィッシュの言葉の謎もあり、
初回、ラストの引きは上々だと思います。

13話視聴追記。
{netabare}中盤、盛り上がる演出もあるものの、
粛々と物語が進行し続きが気にならない。{/netabare}
ここからの後半戦に期待しましょう。

最終話視聴追記。
終始、一定基準で安定はしており、
{netabare}これはもう好みの問題ではないでしょうか。
永遠に変わらない2人の透明な絆、
素晴らしい余韻を残す万感の終幕でした。{/netabare}

ED曲は世界観に合っていて素晴らしい。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 51

Dkn さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ハードボイルド欠乏性アンダーグラウンド

イタリアのシチリア島を起源とする犯罪組織をマフィアと呼びます。

マフィア映画の面白さは一般人が決して覗き込む事のないアンダーグラウンドを見せること。

人を食い物にするバイオレンスな彼らの世界にも存在するルール…日本で言う義理人情や、ビジネスの駆け引き、
暴力と権力によって誰に縛られること無く社会の強者として君臨する本能的で野心的な欲求を満たすような作品群。
往々にして事実と異なるエンタメ脚色をされるのはファミリー(組織)の絆や男の挟持、自己犠牲を盛り込むことで、
殺人、艶のあるシーン、歪な癖、薬物など、法に触れ倫理観を逸脱する刺激的な描写が多いのも特徴となります。

本作BANANA FISHは面白そうな題材と映像美だけに惜しい。

男性キャラのセックスアピールに集中し過ぎていて、これは少年性愛者で売買を生業にしているパパが元凶。
マフィアの世界やビジネスシーンの面白さを見せること無くBANANA FISHの謎と男性の美しさに頼ってしまいます。
男性のセクシャリティを売りにするのは少女漫画雑誌の女性向け作品なので問題はないがあまりに一辺倒すぎる。

作中で度々見られる中心人物の関係者が組織の暴力に晒されるのは往年のマフィア映画での王道パターン。
ジャンル愛好家なら見知った展開に「何か」物足りないのは過去作と比べ欠乏していた「ハードボイルド成分」。
殺しの呆気無く冷たい余韻や激情と復讐心に駆られた怒りなどマフィア映画で重要な暴力性や渋みは感じられず
酒の旨味もタバコの苦味も香らせない。中国系マフィアの美青年が登場したのも俗っぽさが加速したように思う。

最初から最後まで丁寧な作画が好みだっただけに惜しく、キャラクターや画面作りもジャンルには優等生過ぎた。
尖ったセンスや刺激的な表現をもっとぶつけてみればキラリと光ったかもしれない佳作アニメという印象です。

「マフィアの世界で少年の儚げな友情を描きたかった」と言われれば何も言うことはありませんし成功しています。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 30

83.2 7 友情で手紙なアニメランキング7位
この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説(アニメ映画)

2019年8月30日
★★★★☆ 4.0 (501)
2359人が棚に入れました
交通事故(!?)によりあっけなく人生の幕を閉じるはずだったゲームを愛するひきこもり・佐藤和真(カズマ)は、ひょんなことから、女神・アクアを道ずれに異世界転生することに。「RPGゲームのような異世界で、憧れの冒険者生活エンジョイ!めざせ勇者!」と舞い上がったのも束の間、転生したカズマには厄介なことばかり降りかかる。トラブルメーカーの駄女神・アクア、中二病をこじらせた魔法使い・めぐみん、妄想ノンストップな女騎士・ダクネスという、能力だけは高いのにとんでもなく残念な3人とパーティを組むことになったり、借金で首が回らなくなったり、国家転覆罪の容疑で裁判にかけられたり、魔王軍の幹部を討伐したり、たまに死んだり……。そんなある日、駆け込んできた紅魔族の少女・ゆんゆんの爆弾発言にカズマたちは凍りつく。「私、カズマさんの子供が欲しい!」事情を聞けば、めぐみんとゆんゆんの生まれ故郷「紅魔の里」が、滅亡の危機に瀕しているという。里を救うために旅立ったゆんゆんを追いかけて、紅魔の里へ向かうカズマたちだが――!?カズマたちパーティを襲う最大の危機!平凡な冒険者カズマが過ごす、異世界ライフの未来はどっち!?

声優・キャラクター
福島潤、雨宮天、高橋李依、茅野愛衣、堀江由衣、豊崎愛生
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

なんだろねこの安定感

原作未読 1期2期視聴済

“伝説”ってここ30年くらいで一気に安っぽくなった単語じゃないですかね。にょろにょろ伝説…って見ただけでプークスクス不謹慎な私。
知らんうちにTV版があにこれランキングのTOP5位以内に。まぁそのうち収まるところに収まることでしょう。乱高下しているあにこれの歴代順位はどこ吹く風。外野の喧騒をよそにわりと堅実に作られたコメディの劇場版90分です。

2期まで放送済。その間、主人公カズマはフル稼働。パーティメンバーはそうでもないらしい。2期ではダクネスとアクアをしっかり掘り下げて、やや薄めむしろ一発芸担当だっためぐみん(CV高橋李依)が今回の主役。しっかり段階を踏んでますね。
めぐみんのペアというか同族のゆんゆん(CV豊崎愛生)もTV放送にて慣らし運転を完了するレディーパーフェクトリーぶり。彼女らの一族は紅魔族(こうまぞく)と呼ばれる魔術に長けたチート集団という設定。その紅魔族の皆さんは…


 {netabare}俺が見えないのか すぐそばにいるのに{/netabare}


あ、悲壮感みたいなのはありませんよ。隣人すら見ないか見えてないのかとにかく自由過ぎる人達でした。事前に楽しみにしてたのは3点、

1.声出して笑うところ1個でもあればOK

 ⇒ありました。充分×2

2.密かに進んでるアレはどう?

 ⇒{netabare}魔王軍の腹心がうっかり討伐されてるお約束。物語は匍匐前進してます。{/netabare}

3.劇場版ならではの…

 ⇒きっと映えますよね。爆裂魔法の作画。素晴らしかった。
 ⇒さらに舐めたようなぐだぐだな画を劇場で!と。この点は微妙…


ファン必見の劇場版でしょう。
パーティメンバーで今回めぐみんに白羽の矢があたりこれで仲良くみんな掘り下げられました。今後はアクア、めぐみん、ダクネスとその掘り下げられてきた人物像・家族・過去を使ってコントを作っていけばよいと妙に安心できる良作でございました。

おそらく今後はマンネリとの闘いになると思います。
そういえばTV版のレビューで、『このすば』は古典で王道のお笑いルールを踏襲、と述べてました。


 マンネリか? それとも 定番なのか?


やや後者寄りだと思ってます。「飽きたー」とかいいながら無ければ寂しい。知らんうちに紅…じゃなかった、、、『このすば』に染まってるのです。
そうやって染まったあなたをなぐさめるやつはもう…(自主規制)



※閑話休題

■受け継がれる駄女神

豊崎さんここで修行して『慎重勇者』に繋げたんだろうなぁ(適当)



視聴時期:2020年4月

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2020.05.16 初稿
2020.08.12 修正
2020.12.08 修正

投稿 : 2024/11/09
♥ : 70
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

伝説の始まりは、紅い目とともに

アニメーション制作:J.C.STAFF、
監督:金崎貴臣、脚本:上江洲誠、
キャラクターデザイン:菊田幸一、
音楽:甲田雅人、原作:暁なつめ

めぐみんとゆんゆんの故郷・
紅魔の里が危機にさらされている。
魔王軍の幹部から攻め込まれ、
被害が出ているという手紙がゆんゆんの元へと届き、
里を守るためにカズマたちが奔走するストーリー。
ほとんどのキャラが総出演する
まさに映画的な内容の作品だ。

ダクネスファンの私としては、
活躍の場面が少なかったので、
もの足りない部分もあったが、
コンビ?ともいえるバニルも登場して、
一緒に戦ってくれるのが楽しい。
今回は、それよりもアクアの出番がかなり少なく、
ファンにとっては物足りなかったかも。
ただ、このすばで、最も人気の高いめぐみんが
中心の作品なので、多くの人が満足できる
内容になったのではないだろうか。

物語の中心は魔王軍幹部・シルビアとの戦い。
いつもと同じパターンを踏襲する形だが、
そこに紅魔族の人々の特性や秘密が語られることになる。

いちばんの見どころ?は、{netabare}カズマとめぐみんが
一緒の布団で寝るところになるだろうか。
90分という限られた時間のなかで、
このシーンが2度も出てくるのは笑ってしまった。
それとは別にシルビアの胸に
挟まれるのもサービスかもしれないが、
客観的に考えるとドン引きのシーンだ。{/netabare}

紅魔族のルーツが明らかになる部分は、
もうひとつのこの作品の見どころ。
TV版からの長いつながりや、
ある人物の影響力の強さに失笑してしまう。

全員がお約束のネタを持っている
吉本新喜劇のようなパターンのため、
登場人物が多いほど、割かれる時間が長くなる。
ウィズ&バニルに加え、ベルディア&ハンスという
これまでの魔王軍幹部も総出演するなど、
TV版のファンをかなり意識した内容。
しかし、その分、ほかの描写が短くなって、
紅魔族のキャラが薄く感じる。
あるえ、ふにふら、どどんこの同級生トリオなどは、
ほぼ最初の紹介だけで終わってしまっている。
めぐみんの父母もそれほど目立った感じはなかった。
ただ、こめっこは原作で今後も大活躍するキャラのようで、
映画でもかなり重要な役どころにはなっている。

軸はめぐみんとゆんゆんの友情になるのだろうが、
やはりメンバー全員の見どころを描かなくてはならず、
全体的に焦点が定め切れていない感を受ける。
観ているときは、それなりに面白いのだが、
思い返してみると、ぼんやりした印象になる。

この作品を観ていて思い出したのが、
押井守初監督作品の『うる星やつら オンリー・ユー』だった。
TV版を好きなファンを意識して制作された作品は、
ファンはもちろんプロデューサーも満足する内容だったが、
ひとつの作品として考えると、お約束を並べた
TV版の延長でしかなかった。
同時上映だった相米慎二監督の『ションベン・ライダー』を
鑑賞した押井監督が、自分の作品との大きな違いに
愕然としたというエピソードは有名だ。
アニメの枠にとらわれない面白い作品を
目指していた押井監督らしい話といえる。

このすばには、しっかりとした原作があるので、
ほとんど当てはまらない話だろうが、
映画版と比較してどうだったのだろうと想像してしまう。
いずれにせよ良くも悪くも、ファンを大いに意識した
サービス満載の映画化といえるのだろう。
(2020年8月1日初投稿)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 57

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

こ・の・す・ば(大音量)

原作既読
アニメ化前から原作読んでます。
ギャグが自分的には波長が合うのか凄くツボっす。

お話のざっくり概要
前世で壮絶な死を遂げたサトウカズマ
美しい水の女神アクア様によって異世界に転生される事に
心優しい女神様は自ら進んでサトウカズマについていった
そして、魔王軍幹部ですら吹き飛ばす最強の魔法を操る
アクセルの町随一の大魔導士めぐみんと
高潔な貴族でいかなる攻撃にも屈しないクルセイダーの
ダスティネスフォードララティーナ18歳
を仲間に加え、魔王軍幹部を次々に撃破する快進撃
…というのがウソなのは本編を視聴すれば分かりますw
おバカ駄女神と中二病問題児とドM変態バツイチ処女の
3人と外道カズマの一行はゆんゆんの元に来た手紙から
紅魔族の里へ向かう事に…
ってな感じ

結論からいうと、能登かわいいよ能登
能登さんが出ているという話を聞いて
居ても立っても居られないと思い劇場に足を運びました。
うん。やっぱり能登さんの声たまんないわw

物語は概ね原作通りで一部アニオリです。
作画は劇場版だからといって特別良い訳ではなく
いつも通りっす。
声優もいつも通りフリーダムです。能登さん最高です。
音楽は…確かに大音量のエクスプロージョンは大迫力。
キャラはめぐみんの母親が最高でした(ry

えーと、、、
このすば劇場版は失敗じゃないかなーと思った次第
だってだって、思いっきり笑えないし
カズマに「このへたれ!さっさとやれよ!」
とかヤジ飛ばせないし
ビールは飲めるけど…なんか、自宅のこのすばと比べて
全力で楽しめなかった…いつも通り凄く面白かったけど
笑いをこらえないといけないのはなんか違う…
やっぱり、このすばは自宅でビール片手に
ヤジを飛ばしながらゲラゲラ笑って視聴するに限りますね

本編視聴が大前提なので誰でも楽しめるという訳ではなく
思いっきりこのすばファン向けの内容です。
本編が大好きな方は間違いなく楽しめますけど
劇場だと爆笑できないのが辛い所です(苦笑)
とにかく能登さんは最高です(*´Д`)ハァハァ

投稿 : 2024/11/09
♥ : 43

63.5 8 友情で手紙なアニメランキング8位
orange -未来-(アニメ映画)

2016年11月18日
★★★★☆ 3.6 (69)
359人が棚に入れました
「翔にあやまりたいと思っている」 26 歳の春──。須和弘人は、高校の同級生の茅野貴子、萩田朔、村坂あずさ、卒業後に結婚した高宮菜穂、そして、二人の間に生まれた子供と共に、桜の舞う弘法山を訪れた。彼らはそこから沈みゆく夕日を眺めながら、10 年前に亡くなった成瀬翔のことを考えていた。成瀬翔は高校二年生の始業式の日に、東京から松本市に引っ越してきた転校生。すぐに翔と親しくなった須和は、彼と菜穂が互いに思いを寄せ合っていることを知るが、それに気付かないフリをしてしまっていた。そして、17 歳の冬に突然、翔は全てを置いて亡くなってしまう。10 年後、翔の死が自殺だったことを知り、須和の後悔は募る。「自分は、翔から、未来も菜穂も奪ったズルいやつだ」。もしも、あの頃の自分が今の気持ちを知っていたら……須和は奇跡を信じ、過去の自分へと手紙を送る。そこに綴ったのは、これから起こる出来事と、26 歳の彼が抱える後悔と本心。そして、16 歳の自分へ向けたあるメッセージだった。その思いを受け取った 16 歳の須和。手紙の言葉に後押しされ、彼が最後にした選択が、“まだ誰も見たことのない新しい未来"を作り出していく。菜穂と翔がこれから描く未来とは?それを見守る須和の想いとは──。

声優・キャラクター
花澤香菜、山下誠一郎、古川慎、高森奈津美、衣川里佳、興津和幸

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

あの日から、この未来を二人に見せたかった…。

本作品のテレビアニメが放送されたのが2016年の夏なので、今から約2年半前になります。

10年後の自分から届いた自分宛の手紙…
現実での出来事が手紙をなぞらえたように過ぎていくので、否が応でも手紙の信憑性は高まっていきます。
その手紙を出した未来の自分は大きな悔いを残していました。
だから未来に悔いの残らない選択肢を選ぼうとみんなで懸命に努力する…
でも努力が必ず実るとは限りません。

この物語の顛末も決してハッピーエンド…ではありませんでした。
でも振り返ってみると全員がバッドエンド、という訳でもないんです。
そう感じてしまうのは、決して塞がる事の無い心に大きな穴がぽっかり空いてしまったから…

この作品が描いているのは、後悔を未来に残さない「if…」の世界を導き出す物語…
そしてこれまで知ることのできなかった「物語のその後」に触れる物語…
この物語の語り部は須和…

本作の主人公である高宮 菜穂に思いを寄せながらも東京から転校してきた成瀬 翔と、菜穂の気持ちを応援したい気持ちが誰より強い彼が、未来の自分から受け取った手紙には何が書かれていたのか…そしてその手紙をどの様に須和が解釈するのか…

序盤からいきなりコブクロさんの曲に合わせて懐かしい映像と展開が目に飛び込んでくるので、一気に記憶が甦ってくるのが感じられます。
テレビ版の物語が順不同で展開されていくのですが、どれも見覚えのある場面ばかり…
そういえば、どこまでも胸に染み込んでいく優しさと、痛いくらいの友達思いには何度も涙腺が熱くなりましたっけ…

物語は順不同に展開されるテレビ版の合間を縫って新作エピソードが織り込まれています。
だから序盤は見たことのある展開が延々と続く…という構成ではないので、序盤から見どころ満載です。
ただ、殆どいらっしゃらないとは思いますが、いきなりこの劇場版から視聴する一見さんには、難しい作品になっていると思います。

描かれているのはたくさんの笑顔…
その屈託の無い笑顔を見ているだけで幸せな気持ちになります。

テレビ版では苦しい事、悲しい事が沢山あって、何度も涙を流す場面を見てきました。
当然新作エピソードでも涙を流すシーンが無い訳じゃありません。
でも、流す涙の質が違うんです。

そうえいば、この作品のタイトルである「オレンジ」は、この劇場版でタイトル回収されましたが、この作品らしさに溢れていたと思います。

上映時間は1時間強ですが見どころ満載の作品です。
個人的には物語の終わり方に一抹の寂しさを感じてしまいましたが、気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌はコブクロさんの「未来」
テレビ版のエンディングでも使用されていたので、とても馴染のある楽曲です。

唯一気になったのは、この作品の上映期間が2週間限定だったことです。
もう少し上映期間が長くても良かったように思いますが…
そして我らが香菜ちゃんの仕事はこの作品でも完璧でしたね。
もう終始耳が幸せって言っていた気がします。

今期の作品の視聴が遅れ気味ですが、それでも時間を作って過去作の視聴を
続けていけたら…なんて思っています^^;

投稿 : 2024/11/09
♥ : 10
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

結構微妙な劇場版

ちょっとした総集編っぽい所がある劇場版です。
そして最大の謎、{netabare}手紙が過去に届いた理由{/netabare}が明かされます。

{netabare}しかしまあ、なんと都合のいい届け方だこと。
郵便配達人もびっくりです。
その上なんですか?夢オチですとぉ?
滑るどころかずっこけました。{/netabare}

確かに辻褄は合うけれど・・・
なんか台無し。
もう少しひねりが欲しいところです。

悲愴な割には雑な結末。
ラブストーリーの風上にも置けないアニメでした。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 9
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

須和 これでいいのか? な~んちゃって???

 TV放送のorangeは、かなり菜穂と翔目線での展開が多い話だったと思うです。これは、どちらかというと須和目線での話だったなぁです。TV放送以上に未来の須和と菜穂の心情が、出ていると思ったです。

 最初、ざっとTV放送のおさらいから始まったです。
 そして未来で菜穂達が、手紙を海に流すエピソードが詳しく見れたです。{netabare}バミューダ海域に流れて、菜穂達都合の過去に手紙がタイムスリップ。それを誰かが拾って日時指定で郵便する手はず。これが、うまい具合にいき、このアニメのお話を進めてしまう。誰もが普通こんなことできると思うだろうか?だけど、できなかったらこのアニメは成り立たないと改めて思うアニメだなぁです。

 自分に届いた未来の証拠を同封した手紙を見た、須和目線のお話が始まっていくのだが・・・。これはこれで、面白味あったです。結構、須和は、翔に駄々こねたり、時には手紙より自分を責めている感があるでしたです。翔を助けたい気持ちもありながら、菜穂の幸せを願う姿が、男らしいというのか?須和自身本当に納得できているのか?と思ってしまうです。そんな姿を見て須和に語るアズ、貴子、萩田も見所です。

 で、翔の命を救えた未来は、TV放送と違う未来になっていたです。それが、「須和 これでいいのか?」な未来だったです。菜穂はいいかもしれないけど、須和これからどうしていくのかなぁです。確かに6人+1人笑顔であることに変わりもないのだが・・・。菜穂~~TV放送でも言っていた、「翔が生きてても〇〇を選ぶよ!」とか言っておいて、お前なんだったんだぁ~~です。

また、翔を救うきっかけを翔自身も未練がまだあるのか?笑顔でかあやりたいとか言ってるし。そう何度も君たち都合でことは進むのかなぁです。

 と思った矢先、このオチ何なのかなぁ?と違う未来は????今までのは????。「オイ、オイ」とも受け取れてしまうラストかなぁです。{/netabare}

 にしても、これが本当に届くかなど否定もしたけど、「(手紙が、過去の自分達に)届かなくても出すことに意味がある」萩田の言葉は、どことなく心に染みるものがあったでしたです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 7

65.1 9 友情で手紙なアニメランキング9位
FREEDOM フリーダム(OVA)

2006年11月17日
★★★★☆ 3.7 (268)
1333人が棚に入れました
23世紀、人類は月に移住していた。「科学技術の研究の自由」「地球の渡航への自由」が奪われた月共和国「EDEN」(エデン)では、高度の放射能によって地球文明は崩壊したと伝わっている。一方的に与えられる自由に不満を持つタケルは、本当の自由を求める中で、EDENがひた隠しにしていたある真実に触れてしまう。
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

自由を掴め

森田修平監督作品、
キャラクター&メカデザイン大友克洋。
1枚の写真から始まるSF冒険活劇。

西暦2105年、既に地球の文明は崩壊し、
唯一の生存圏として、
月面に大都市が建設されている。
人々は共和国EDENを宣言し、
都市は緩やかな拡張を続けていた。
{netabare}疑惑の始まりはタケルが見つけた1枚の写真。
地球は本当に死の惑星なのか!?{/netabare}
好奇心はやがてEDENの謎に迫り、
少年たちの運命は大きく動き始める。

日清カップヌードルの有名な、
コマーシャルフィルムが企画の始まりです。
当時大きな話題になりましたね。
疾走する宇多田ヒカルの楽曲に乗り、
大友克洋×バンドデシネ的オープニングは、
今のアニメを遥かに凌駕しています。
物語の完成度はそれほど高くはありませんが、
SF好きなら十分楽しめます。

月と地球、共に生きる。
新世代のフリーダム号はもう打ち上がったのだ。
僕らを希望ある未来へ導くのは、
「想像する力」だろう。
シンプルで美しい作品だと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 44

Zel さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

FREEDOM 自由を掴め。

2006年発売OVA
日清カップヌードル発売35周年記念プロジェクト広告アニメ

監督に大友監督を引っ張ってきて、主題歌に宇多田ヒカルを起用した事で大成功した作品

23世紀、人類は月に移住していた
「科学技術の研究の自由」「地球の渡航への自由」が奪われた月共和国エデンでは高度の放射能によって地球文明は崩壊したと伝わっている
一方的に与えられる自由に不満を持つタケルは本当の自由を求める中でエデンがひた隠しにしていたある真実に触れてしまう

SFアニメをやらせたら大友監督は超一流
全七話という短い中で壮大な物語を見事に完結させた
序盤でまたもやAKIRAのような近未来型バイクでのレースがある
大友監督は本当にカッコよくバイクを書きますね

キャラデザも好みで、登場人物も好感が持てる
是非鑑賞を薦める良作です
アオの魂の叫びのシーンは感動しました
そうそう、広告アニメとはいえカップヌードル食い過ぎです(笑)

主人公タケルを演じるは浪川大輔さん
ブラックラグーンのロックもやってます

ヒロインアオを演じるは小林沙苗さん
ヒカルの碁の塔矢アキラ、夏目友人帳の夏目レイコなどもやっています

投稿 : 2024/11/09
♥ : 11
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

自由を求める一途な物語

世界観:6
ストーリー:6
リアリティ:5
キャラクター:4
情感:5
合計:26

<あらすじ>
23世紀、人類は月に移住していた。「科学技術の研究の自由」「地球への渡航の自由」が奪われた月共和国「EDEN」(エデン)では、高度の放射能によって地球文明は崩壊したと伝わっている。一方的に与えられる自由に不満を持つタケルは、本当の自由を求める中で、EDENがひた隠しにしていたある真実に触れてしまう。
(ウィキペディアより)

たまたま視聴したYouTubeの動画でおすすめされていたので視聴しました。以下、FREEDOM SEVENも含めての感想となります。

発売から35周年を迎えたカップヌードルの新たなブランディング・プロモーションの一環として、大友克洋を迎えて制作したアニメーションを軸に展開されたプロジェクトのため、食事は全て日清のカップヌードル。久しぶりに食べたくなりました。

大友克洋氏と言えばAKIRA。キャラクターやメカはそれと思わせるデザインでした。{netabare}彼のキャラクターデザインの特徴として、男性は格好良くなく、女性はかわいくない(等身大といった感じ)のですが、本作の柱がボーイミーツガールの王道展開にあるところ、タケルがアオに惚れることの説得力がやや弱いのがもったいないと思いました。別に萌えは必要ないのですが、物語に工夫があるわけでもないので全体的に評価が低めとなってしまいました。{/netabare}

一方、本作を視聴したシーズンではフェアリーゴーンを断念してしまったのですが、それもあって、わかりやすいストーリーはそれだけで評価できると感じました。宇多田ヒカルの歌うOP(くるくる回るアニメーションも)も良かったです。

ツッコミというか、気になったところとして、月の生活空間は地球と同じ重力が働いているようでしたが(タケルらも地球に行って全くその点自然に対応していたので)、月で地球と同じ重力を発生させるのは結構難易度が高そうに思います。スペースコロニーは回転することによって重力を発生させる理論ですが、EDENは月の地表に張り付いているので別の方法になりそうです。

子供の頃は、宇宙の開拓が進んで旅行なんかもできるようになると思いましたが、コンピューター技術はかなり進歩しているはずなのに、月すらも長期間行けていないのですよね。空気なしに生きられない人間にはハードルが高いです。
未来の乗り物と教わったリニアには乗れそうなので、そちらを楽しみにしつつアニメで未来を想像しましょう。

(参考評価推移:3~7話3.3)
(2019.6視聴)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 9

67.4 10 友情で手紙なアニメランキング10位
ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-(アニメ映画)

2015年12月5日
★★★★☆ 4.0 (128)
785人が棚に入れました
水とふれあい、水を感じることに特別な思いを持つ七瀬遙。小学生時代最後に出場した大会でのメドレーリレーで、橘真琴、葉月渚、松岡凛とともに、遙は「見たことのない景色」にたどり着いた―――。そして桜が満開の春。遙は真琴とともに岩鳶中学校へ進学。新たな生活が始まろうとしていた。水泳部に入部することになった遙と真琴は、椎名旭、桐嶋郁弥と4人でメドレーリレーのチームを組んで試合を目指すことになってしまう。考え方も目的もバラバラな4人。そして彼らにはそれぞれに抱えた悩みがあった。そんな中でリレーの練習を重ねるも、上手くいかないままで……。「チーム」となるために必要なこととは何か。過去のメドレーリレーに心が囚われたままの遙が新たな場所で何を思うのか―――。

声優・キャラクター
島﨑信長、鈴木達央

夢見る先生 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

想像を超えた京都アニメーション

待ちに待ったFreeシリーズの映画化に期待をしている人も多いと思いますが、私は中学時代ということであまり期待してませんでした‥‥制作に携わった方すみません!なんだかアニメでいい感じで完結していたので!
でも、始まった瞬間、Freeらしいサントラとともに素晴らしい作画で一気に興奮してしまいました。
内容は見てからのお楽しみということで詳しく触れませんがいろいろと伏線が張られていてきちんと解決する感じが本当にすがすがしかったです!
また、中学生らしいバカバカしい会話や楽しそうな感じが存分に伝わってきて飽きることなく楽しめました。
特にアニメでは登場していなかった郁也と旭、またアニメではそんなに出ていなかった貴澄がこの映画を盛り上げていて新キャラでしたが大好きになりました。
今年を締めくくるのにぴったりな爽快で心躍る映画です

投稿 : 2024/11/09
♥ : 56
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

アニメは作画だけではないと言うものの・・・

劇場版だとさらに磨きがかかってて良いですね。


2019.02.09記

TVシリーズは1期2期3期と視聴済


劇場版が視聴必須とは知らなんだ (-。-)y-゜゜゜

1期 小学生時代を起点とした高校2年生の話(スパイスに中学生時代少々)
2期 高校3年生の話
これ 中学生時代の話
3期 中学生時代を起点とした大学1年生の話 

やらかしました。Free!の3期を観る前にこの劇場版をおさえておかないとけっこうしんどいです。
これからこの水泳アニメ観る方はご注意ください。予習について、この劇場版は単体でも鑑賞OKですが、事前に1期○、2期△程度の優先順位でおさえておくと理解が早いです。

他でもさんざん言われてきて、女性向けと呼ばれて久しい本シリーズです。TVシリーズ放送の折、コラボ中の某ファミレスチェーン店に立ち寄れば、女性客がやたら多く、ほどなくノベルティは完パケしたとのことでした。
私は数少ない男性視聴者の一人かと思われます。正直なところ男性同士の距離感はファンタジーと言ってよいくらい、現実とのギャップを多々感じるところなので、男子諸兄にお薦めするのは難しいかもしれません。
あいにくそっち系の趣味もない私は、≪水・プール作画≫と≪肩の力抜いて観られる軽めの友情物語≫そして≪納涼≫あたりを目的に本作を堪能してたりしました。

上映時間110分の劇場版。
作画は言わずもがな。ぜひ夏に観てほしい作品です。
心情描写あっさりめの作風はそのままに、ちょっと示唆に富むテーマも含んでました。それは、


“過去の成功体験との決別”


決して重く描かれることはありませんが、TVシリーズ視聴済の方にはお馴染みの{netabare}“岩鳶SC最強メドレーメンバーの呪縛”に端を発した{/netabare}物語は健在です。

そういえば中学時代がモチーフのため、オーストラリア留学中の“凛”とまだ小学生の“渚”の出番は少なめでした。

評判のプール作画を劇場クオリティで楽しみたい。作品のファンだから。3期の予習に。やっぱり涼みたい。。。そんな方へおすすめです。
気になる男性同士の距離の違和感はそれほど感じませんでした。もしかすると麻痺してきたのかもしれません。
意外と観ててきつくなるのは、出てくる男連中がことごとく女々しいことでしょうか。イラッとくる場面多々。しかしながらそれは自分を映し出す鏡。

“女々しい”という言葉で形容される対象はすべからく男性なのです。
自分の認めたくないしょぼいところを露わにされてるようなむず痒さはありました。



-----
2019.03.03追記
《配点を修正》

指摘されて気づいたのですが、もうひとつの劇場版-Take Your Marks-も3期に繋がるお話だったりします。
ややこいですが、マストがこちら-Starting Days-。そしてベターが-Take Your Marks-
そんな捉え方で大筋はあってると思いますのでご参考まで。


一対一の関係でもやもやする登場人物が多い中で、全体に万遍なくあたれてるのが主人公の主人公たる遥なんですよね。
誰よりも仲間と共に泳ぐことにこだわっていたのも遥だったじゃないかなと思います。

次は2020年東京オリンピックの年に続編をやるようです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 19

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

仲間と泳いだ、もう一つのチームの物語

アニメ「Free!」の劇場版であり、
遥(はるか)と真琴(まこと)の中学生時代のお話です。

このシリーズの原案となった小説のアニメ化ですね。
私は読んでいないのですが^^;

高校生版でメインキャラとなる5人+2期で活躍した宗介(そうすけ)は、
何らかの形で登場していました。

時系列的にはこの作品が一番最初の物語ですが、
見るのは2期の後がいいかな。

110分ほどの作品です。


● ストーリー
中学校に進学した七瀬遥(ななせ はるか)と橘真琴(たちばな まこと)。

部活を何にしようか迷っているところで水泳部に勧誘され、
流れで入部することに。

1年生は、遥と真琴、
そして椎名旭(しいな あさひ)と桐嶋郁弥(きりしま いくや)の4人。

この4人でリレーのチームを組まされるが、
それぞれの悩みが邪魔をして、なかなかうまく息が合わない。


スイミングクラブに通っていた経歴があり、
泳ぎには自信がある4人ですが、新しい環境に戸惑います。

それぞれが悩みにぶつかって、もやもやを抱えて、
それが邪魔をしていい泳ぎができない。

思うようにいかないから、
余計もやもやする。

中盤まではなかなか苦しい展開でした。
遥と真琴がすれ違う様なんて見たくないよー(´;ω;`)

遥は小学生でのリレーが楽しくて最高で、
あれ以上のものはできるはずがないという寂しさから、

真琴は自分は水泳が好きではなく、
遥といたいから泳いでいるのか?という悩みから、

旭は今まで泳げていたフリーが
急に泳げなくなった恐怖から、

郁弥は兄に突き放された寂しさから。

でもそれを互いの存在で打ち破ることができた時、
4人は最高のチームに…という、終盤への勢いが止まらない物語でした。

いいメンバーだと思うけど、
本編の岩鳶(いわとび)高校水泳部のメンバーに比べると、
やはり劣ってしまう気がしました。

高校時代の方が、
遥も真琴も生き生きしていたような。笑

1期や2期で中学時代の話が少しも出てこなかったのは、
その後3年間どうだったの?と、不安にもなりましたw


≪ 笑いは少なめ、な雰囲気 ≫

中学生が悩みにもがいている場面が多く、
本編のようなふわふわした楽しさは少なかったです。

メインのキャラが数人変わるだけで、
作品の雰囲気も変わるものだなあと感じました。

個人的には本編の方が楽しかったなあ。
怜と渚の2人(特に渚)と凜の存在が恋しくなりましたw


● キャラクター
遥たちと一緒にチームを組む旭&郁弥は、
それぞれにちゃんと魅力を持っていたと思います。

“バカ旭”の呼び方がこれほど似合う人はいないだろうと思うほど、
単純でムードメーカーな旭と、

素直じゃないけれど、
だからこそたまに素直にデレた時の破壊力がすさまじい郁弥。笑

でも私は二人以上に、
先輩である尚(なお)&夏也(なつや)が印象に残りました。

先輩として、後輩の葛藤を見守り、成長に喜ぶ。
こうして見守る存在って、温かくていいなあと思います。


● 音楽
【 主題歌「Aching Horns」/ OLDCODEX 】

1期と2期でOPを担当していたOLDCODEXが主題歌担当です。

OLDCODEXの曲はこの作品のイメージの一部だから、
今回も違和感はまったくありませんでした。

エンドロールによく合っていました^^


● まとめ
タイトルが「ハイ☆スピード」と、
これまでとは異なる名前になっていることからも、

こちらはアニメのサブストーリーとして楽しむのが
ちょうどいいかもしれません。

特別版の映画や3期にこの中学時代のキャラたちが登場するので、
続編を観ようと思っているならば、見逃せない作品なのは確かです。

高校時代よりもちょっと幼くて、まだ筋肉も未熟な遥たちの、
少し青い物語に甘酸っぱくなりました(*´ω`)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 17

63.4 11 友情で手紙なアニメランキング11位
ユリ熊嵐(TVアニメ動画)

2015年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (542)
2355人が棚に入れました
あるとき、宇宙に浮かぶ小惑星「クマリア」が爆発し、その破片が隕石となって地球に降り注いだ。するとこれに呼応するように地球上の全てのクマが突然凶暴化し人間を襲うようになる。かくして人間とクマの長い戦いが始まり、いつしかお互いへの憎しみから両者を隔てる「断絶の壁」が築かれた。
そんなある日。人間側にある「嵐が丘学園」に百合城銀子と百合ヶ咲るるという2人の転校生がやってきた。だがこの2人、その正体は「断絶の壁」を越え、人間に化けた「人食クマ」だったのだ。

声優・キャラクター
荒川美穂、生田善子、山根希美、諏訪部順一、斎賀みつき、山本和臣、小倉唯、悠木碧、小清水亜美、日笠陽子、井上喜久子、遠藤綾
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

弱い者たちが夕暮れ さらに弱い者をたたく

輪るピングドラムに続き、
今作でも前衛的で抽象的な演出の数々。
幾原監督の作家性は大きな魅力ですね。
相変わらずの暗喩の連続で、
一見わかりにくいのですが、
前作同様「軸」はシンプルだと思います。
アンニュイで耽美な主題歌、最高です。

宇宙の彼方で、小惑星クマリアが爆発した。
粉々になった星は流星群となって地球に降り注ぐ。
{netabare}それを機になぜか地球上の熊が一斉に決起し、
人類に襲いかかったのだ。{/netabare}
これは荒唐無稽な物語かと思いきや、
一人の少女が真摯に純粋なモノを探す物語である。

舞台は嵐が丘学園。
百合の世界、透明な嵐が吹き荒れる。
透明な嵐はきれいで優しいものから壊していく。
{netabare}透明になるとは!?それは、
個人意思を無くし、集団に埋没しながら、
無個性に生きて行くこと、
事なかれ主義、見せかけの平穏、
排他的な現代の病なのでしょう。
そして現代の魔女狩り「排除の儀」。{/netabare}

ある日森の中、クマさんに出会った。
花咲く森の道、クマさんに出会った。

普遍的な愛を喪失した世界で、本当の好きを探す。
懸命に生きる主人公に好感が持てます。

優しい気持ちになれる作品でしょう。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 57
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

あの壁の向こうから来た人魚姫

輪るピングドラムと少女革命ウテナと同じ監督です。
上の↑どちらか又は両方視聴してから観ると
物語の理解が深まると思います。

ピンドラ放送終了後暫くして
「ピングベアプロジェクト」として
「その透明な嵐に混じらず、見つけ出すんだ。」
と、書かれたサイトが出てたので
(ピンドラ綺麗に終わったのに続編出すのかな・・?)
と、嬉しい気持ち半分の半信半疑でしたが
更に暫くして「ユリ熊嵐」の公式サイトが作られ
あらすじを見ただけでは内容の判断がつかず
「なんだ、これ!?」と理解不能だったのを思い出します。

視聴終わって振り返ってみると
女の子同士の艶かしい(?)絡み(困惑)等のシーンや
幾原監督独特世界観の台詞回しが強いですが
ピンドラやウテナよりも短い全12話で
無駄な回がなく話が比較的理解しやすかったと思いました。
個人的にしっとりとしたウィスパーボイスのOPが大好きです(笑)

ピンドラとウテナを振り返って
※一部上記2作品のネタバレがあります
観覧注意です。
{netabare}
ウテナが革命→アンシーの意識革命を起こすための友情がテーマ
ピンドラが生存戦略→陽毬の命を救う&運命を変える。無償の愛

・・だとしたら、ユリ熊嵐はどんなテーマだろう?
自分の幸せより相手の幸せを願う「愛」より
嫉妬やその人を独り占めにしたい独占欲と依存の感情
エゴイズムの強い「恋」がテーマではないだろうか・・。

ハイジョの儀式によって奪われ火の中に捨てられたスミカの手紙を
紅羽のために自ら炎の中に飛び込んで取り戻す姿が
ピンドラ23話のサネトシに日記を燃やされ
桃果や陽毬を救うために、
自分が燃える覚悟で火傷を負いながら
日記を守る苹果の姿とかぶってしまい鳥肌が出た。 {/netabare}

透明な嵐から、私を見つけ出して
{netabare}
ピンドラでは「こどもブロイラー」として透明な存在があったが、
ユリ熊嵐は透明な嵐。排除の儀に参加するには透明な嵐に加わり
透明な存在にならなくてはいけない。
集団に紛れ一体となりクラスから浮いた存在を
徹底的に虐める。しかもそれが陰湿どころの騒ぎじゃない。
「ハイジョ、ハイジョっ!」って嬉しそうにやるのが狂気を感じて怖い。

現代でも自分とは違う異質なものを遠ざけようとしたり
人種差別、いじめとかあるけれど
「分かり合えないから怖い、拒絶」ではなく
このアニメを見て知ったことは
「分かり合えないけど、好き」ということもあると知ったことだ。
アニメでもこれは難解だ、とか決めつけずに
もっと観てみたい。知りたい。と思うようになった。 {/netabare}

あの壁の向こうから来た人魚姫
※ネタバレあり
{netabare}
銀子はまるで人魚姫のようだと作中でも語られていた。
人と熊の間には大きな断絶の壁があり
熊は人を食べ、人は熊を撃つという分かり合えない存在だった。
その中で銀子は紅羽と出会い
友達になりいつしか恋に落ちる。
そして人間になりたい、紅羽と一緒にいたいと願うようになった。
一方紅羽は銀子が熊だから一緒にいれないと気づき
銀子を人にしてください、と願う。

人魚姫の話では声と引き換えに自ら歩ける足を手に入れ
人間の世界に行き、助けた王子を探しに行くけれど
ユリ熊嵐では、ユリ裁判で承認された結果
紅羽の好きの記憶と引き換えに銀子は人間の女の子になり
一度熊の世界に返され透明な嵐が起こるまで
何年も何年も孤独に紅羽との再会を待つシーンが泣ける。
その後弟を失い「キス」を諦めた百合ヶ咲るると出会い
扉の向こうにいる紅羽と再会する。

透明な嵐に自ら飛び込み自分の姿さえ砕いた銀子は
人魚姫というよりお姫様を救う王子様のようだ。
{/netabare}

セリフやSE等
{netabare}
幾原監督らしいキャッチーなセリフ回しなどが
この世界観を築き上げてて面白かった。
「クマショーック」や突然の「ユリダーク♪」に吹いてしまったw
「それがセクシー?」「シャバダドゥ」「キラキラ~♪」とか
声優さん改めてすごいなぁ・・と感心。
後にわかったのは名前に「百合」がつくのは皆クマだって理解した(笑)
スタイリッシュ☆脱衣の蜜子さん・・大好きです(笑)
{/netabare}

百合ヶ咲るるはどうしてあんなにも可愛いのか・・
※ネタバレあり
{netabare}
彼女が優しいから、だろうか
銀子の過去を知っててすみかを見捨てたということを
紅羽を煽るタイミングで言ったりしたのも
結局嫉妬の裏返しではあったが、彼女は自分に正直で
銀子の幸せと紅羽の幸せを誰より願ってサポートしていた。

11話で破られた「月の娘と森の娘」の薄いほn・・いや
絵本を「二人の未来だよ・・」と持ってきて
笑顔で亡くなったシーンを観て
思わず「るるーっ!」と思い泣いてしまった。
るるは結局幸せだったんだろうか・・
最後みるんと一緒に「スキがキスになる場所」にいたから
天国で幸せになれたのかな・・ {/netabare}

最終回
※重要なネタバレあり
{netabare}
紅羽が全てを思い出しクマになる道を選んだことと、
クマリアがスミカだったのは意外ッ・・!
約束のキスは果たされ、二人で生きていくことができるなんて
ハッピーエンドで良かったね・・と、ホッとする。

最後そんな二人の姿を見て透明な嵐を抜けて
サイボーグクマを拾う可愛い黒髪ツインテールの子の
今後を思うだけで、ちょっとワクワクした余韻が残るのが良い {/netabare}

毎週楽しみに見ていたから12話があっという間だった。
伏線の回収や謎が謎を呼ぶ展開が良かった。
作画も安定していて、目の保養になる綺麗な沢山の色や
可愛い女の子キャラがいっぱい見れたから
見ていてとても満足だった。
幾原監督の新しいアニメまた出たら観たい。
そして、ユリ熊嵐の公式ガイドブックが出たら絶対買おう・・(笑)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 50
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

百合は釣りで、本作の本質はちょっと時代遅れの勘違い系“社会派アニメ”と思いますが、作画・演出は高評価します

今しがた一気観を完了したところですが、本作を観ながら、幾原監督という方はいったい何を思ってこんな風変わりなシナリオを作ったのだろう?とずっと考えていました。

作画・演出面では、前作の「輪るピングドラム」より遥かに良い出来になっていましたし、1話毎の脚本もかなり工夫されていたと思います。

だけど、本作を視聴しながら、つくづく思ったのは、

①自分の本当に好きな作品って、イベントは必要最低限しか起こらなくてもいいから、個々の登場キャラの心情推移が自然で的確なものに描き込まれている作品であり、
②本作のように毎回毎回ショッキングな出来事が起こったり、過去の出来事のフラッシュバックがやたら多く挟まれたりして、個々の登場キャラの心情がクルクルと変わってしまったり、余り整合性のない作品は、①に比べるとどうしても途中で飽きてしまう

・・・ということでした。

※視聴中に、恒例の各話の星評価をつけていたので以下に記します。

◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に疑問を感じた問題回

{netabare}
Episode1 私はスキをあきらめない ☆
Episode2 このみが尽きても許さない ☆
Episode3 透明な嵐 ★
Episode4 私はキスがもらえない ★
Episode5 あなたをヒトリジメにしたい ★
Episode6 月の娘と森の娘 ★★
Episode7 私が忘れたあの娘 ★
Episode8 箱の花嫁 ☆
Episode9 あの娘たちの未来 ☆
Episode10 ともだちの扉 ×
Episode11 私たちの望むことは ×
Episode12 ユリ熊嵐 ×
{/netabare}

このように、作品の内容をまだ把握途中だった序盤~中盤は、作画・演出の良さもあってそこそこ楽しめたものの、本作の傾向に慣れてきた終盤は、上に述べたように個々の登場キャラの心情推移に余り一貫性がない、ということに気づいてしまったために、そうしたキャラの心情を注意深く読み取ってやろうという視聴時の集中力が途切れてしまい、一気に飽きが出てきてしまっています。

もうその点については、私個人の好み、ということなので、仕方ないと思っています。

ただ、一番上に書いたように、幾原監督が何を考えて本作のシナリオを構想したのか?ということは途切れずにずっと気になっていて、とくに
{netabare}
①なぜ普通に人と人の「好き」ではなくて、人と熊の間の「好き」なのか?
②なぜ人の社会に、人に変身した熊が何体も紛れ込んでいるのか?
{/netabare}
の2点は凄く気になっていたのですが、最終回の展開を見ているうちに、ふと、「ああ・・・成る程」と何となく納得してしまいました。

まあ一言でいえば、ひと昔前風の「社会派アニメ」で「メッセージ性の強い“意識高い系”」だったんでしょうね。
実際にも本作をそういう風に受け取って高評価している方々が、放送時から一定数いらっしゃったようで、私が本作を今回視聴したのも、そんなに熱烈な“信者”のいる作品ならば一回は見ておく必要があるかも・・・と思ったからでした。

なお、現在刊行中の本作の円盤は意外にも?各巻平均で今のところ僅か?800枚程ということなので、本作の出来から見てもう少し売れてもよい気がしますが、いわゆる“信者さん”の実数ってこの位なのでしょうか?

本作は、もう1周して、もう少し木目細かく考察したい気持ちもありますが、とりあえずここまで。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 46

64.0 12 友情で手紙なアニメランキング12位
イリヤの空、UFOの夏(OVA)

2005年2月25日
★★★★☆ 3.5 (255)
1400人が棚に入れました
浅羽直之は園原中学校の二年生。
夏休みの間中、裏山にてUFOを探す日々を送っていたがUFOについては結局何の成果も得られなかったため、せめてもの思い出にと浅羽は学校のプールへと忍び込む。が、そこには伊里野加奈と名乗る、見慣れぬ不思議な少女がいた。状況が飲み込めないままに浅羽は伊里野と触れ合うが、すぐに伊里野の兄貴分と自称する謎の男が現れて、その夜はそれでお開きとなった。
そして翌日の始業式の日、浅羽のクラスに伊里野が転校生として編入してきた。ささいな事件がきっかけでクラスから孤立してしまった伊里野と、そんな伊里野のことが気にかかる浅羽と、伊里野の周囲に垣間見える幾つもの奇妙な謎。そんな風にして、浅羽直之のUFOの夏は、その終焉に向けて静かに動き出したのだった――。

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ひと夏の切ない恋物語でした^^;

この作品を視聴する前情報として「最終兵器彼女」に近い世界観を持った作品だと教えて貰いました^^
「最終兵器彼女」は、お気に入りの棚に入れているとても感動的・・・というか、私にとって完全な涙腺崩壊作品だったので、この作品の視聴をとても楽しみにしていて・・・ようやく視聴する事ができました^^

物語の舞台は、UFO出現の噂で有名な空軍基地のある園原。
主人公は園原中学に通う2年生の浅羽 直之(あさば なおゆき)。
彼は夏休みを通してUFOの研究をしていましたが、思ったような成果が得られませんでした^^;
夏休み最後の夜、思い出作りにと学校のプールに忍び込んだところ、見知らぬ女の子・・・ヒロインの伊里野 加奈(いりや かな)に出会い、夏休み明けに彼女が主人公と同じクラスに転入してきて・・・物語が動き始めます。

OVA全6話なので、視聴はあっという間でした^^
そして、「最終兵器彼女」に近い世界観についても納得でした^^
でも、私の作品の印象として「最終兵器彼女」はとにかく「悲しい」でしたが、この作品は「切ない」という感じを受けました。

主人公とヒロインの距離が近づく度に、彼女のちょっと不可解な行動だったり、良く鼻血をだしたりする理由が少しずつ明らかになっていくのですが、ゆっくり・・・だけど確実に「終焉」に向かっているんです・・・^^;

二人が決して望んでいる訳じゃありません・・・
けれど、方法が一つしかないとしたら・・・?
「受け入れる勇気の大切さ」を感じさせてくれる作品でした。
私だったら同じ選択肢を選べるか、正直自信がありませんけど・・・^^;

でも、もっと違う形で出会えたら間違いなく違ったエンディングが迎えられるのに・・・と思うと、二人に対する切なさが倍増してしまいました。^^;

物語は、綺麗に伏線を回収して終幕します・・・
でも内容から考えると、6話では尺が短かったように思います。もう少し、丁寧な説明や登場人物の心理を掘り下げて描写すると、より一層感動できる作品になっていたと思えただけに、少し勿体無かったような気がします・・・^^;
でも、全体的には良く纏まっている作品だと思いました^^

投稿 : 2024/11/09
♥ : 27
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

夏の残滓を追いかけて……。

原作ライトノベルは全4巻購読済み。

軟弱な主人公の中二少年に、過酷な運命を背負った少女のボーイミーツガール。
彼女を強大すぎる敵との戦いや、少女を囲う大人たちから守りたい、物にしたいと思ってはみるが、
少年一人では力も技術も知恵も、そもそも精神力や覚悟すらも、圧倒的に足りない……。

前世紀末から今世紀初頭かけてに確立された、いわゆるセカイ系の典型的なプロット、表現を一通り揃えた本作。
(さらには{netabare} 少女のピッチリしたパイロットスーツまで付いてくる定番ぶり{/netabare})
ここまではまだ凡庸なのですが、本作を非凡たらしめているのは、夏成分のスパイス。

……とは言っても、本作、夏を含んだタイトルでありながら、
夏休みで展開される場面は、回顧を除けば、序盤、8月最後の一日のシーンのみ。
あとはズルズルと残暑が続く二学期にて、
パワー不足、思慮不足な少年のあがき……にもなっていないような中途半端な言動に、
思わず頭を抱えてしまう場面が繰り返されます。

中二少年にはとても無理な願望。それを諦めきれない青さ。
それらが終わった夏の熱気はやがて冷めていくという必然、
それでも終わって欲しくない夏への未練とリンクして、
何とも言えない切ない感情がいつまでも心に燻り続けるのです。

原作既読組から見ると、本OVAの物足りないと思う点は心理描写。
特に主人公少年が抱く、自己制御もままならないドロドロした思春期の心情が
描き切れてないとは思います。
原作に比べて少年がいい人になってる感じがするんですよね……。
こういうシナリオは主人公がイタければイタい程、
物語がハートの奥深くまで刺さると私は思っていますので……。

一方、背景作画は、いつまでも残り火となってグズグズしている夏という、
原作の特徴を再現するのに十分な画力があり、
感情が極まった所で、過ぎ去った夏への憧憬が最大化する、
雰囲気は味わえると思います。

作中、特に、{netabare}少年が無意識に南を目指す件がいい。
彼なりに、一生懸命、合理的に考えているようで、
結局は、消えゆく夏への諦観混じりの渇望により、
南へ南へと流されて行くのが精一杯……。
それらの描写が世界が変わってしまうのも、夏が終わるのも
何人たりとも止めることはできないとの宣告となって突き付けられます。{/netabare}

自分にとって『イリヤの空~』は未だに夏を葬り去るための劇薬なのです。


最後に原作小説でとても心に残っている一節を引用してレビューを締めたいと思います。

 
 {netabare}伊里野(いりや)は夢中になっていた。砂浜を四つんばいで手探りしては花火の化石を探し回る。
本当にそこに美しい花火が見えているような顔で浅羽(あさば)の説明に聞き入り、
最後には思い切りよく海に投げ捨てる。

 それらはみな、夏の化石だった。

 夏は死につつある。

 世界は、自分たちだけを残してどこか知らない場所へと動いていく。{/netabare}


さようなら……夏。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 25
ネタバレ

ニワカオヤジ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

気持ち悪い原作をアニメ化しても気持ち悪さは消えない。

原作は当時話題になっていたので読みましたが、
・ラノベ特有の自分に陶酔した文章およびタイトル。
・SF的背景をわざと説明不足にすることにより奥の深い感じを出そうとしているけど結構浅い(誰でも想像できる)設定
・主人公とヒロインの性格の気持ち悪さ
・表紙イラストで、イリヤの体のラインがくっきり出過ぎ。お尻の形が丸わかりのスカートとか、あり得ない。
など、どこを取っても中途半端かつ気持ち悪い作品でした。

まあそういう時代なので仕方がないのでしょうか。
この2年後に出た涼宮ハルヒは同じように謎設定のSFラノベなのに、浅さを感じさせないどころか作者のSFに対する造詣の深さがよく分かります。

で、アニメ。
原作のイメージをほぼ忠実に再現できていたので、原作が好きな人には満足できたのではないでしょうか。

イリヤの乗っている{netabare}戦闘機が動いているのを見て、普通の戦闘機とは違うからイリヤが特別なんだなと分かるようになったのは良かったと思います。しかし、学校で激しく動いただけで鼻血ブーのイリヤが、あの戦闘機の動きでかかる重力に耐えられるとは思えません。SFというつもりで作製したのであれば、体感重力を減じさせる方法とかの説明はして欲しかったです。{/netabare}


あと、この作品を著しく残念なものにしたと感じたところは、イリヤが{netabare}逃亡先の学校で襲われかけた後。

イリヤが「何にもされてない」と強調しますが、そもそもイリヤがその「何か」という行為を知っていたことに違和感がありました。性教育とか受けてなさそうで、男の子に会っただけで好きになったりするくらい無垢なのに、そういうことは知ってるんかい!とツッコミたくなりました。

そして浅羽の対応のクズっぷりが際立っており、後で謝って済むレベルでは絶対にないですね。それなのに後からイリヤがあっさり浅羽を受け入れているところも気持ち悪いし、浅羽が好きだと告白するのも、「あ、イリヤに許してもらえてる!こりゃワンチャンありやな」と体目当てに叫んでるっぽくて絶対に無理。{/netabare}
エピローグでも、 {netabare}イリヤが戻って来ないのに満ち足りた顔をしている浅羽が本当に気持ち悪いです。すぐにアキホと付き合いそう。{/netabare}

しかし、元々が中学生向けのちょっとエッチな淡い恋愛物語だと思うので、自分も中学生の時に読んでいたら名作と思ったでしょうね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 17

68.8 13 友情で手紙なアニメランキング13位
ミイラの飼い方(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (221)
836人が棚に入れました
ごく普通の生活を送る男子高校生・柏木空はある日、旅先のエジプトにいる自称"冒険家"の父から突然、ミイラを送りつけられる。「面白いミイラを見つけたからお前に預けることにした!」と書かれた父の手紙におののく空。だが、送られてきた大きな棺から現れたのは、全長12cm!?なんと手のひらサイズのミイラだった・・・。小さい上に、臆病で、泣き虫、でも何ともいえない可愛さのミイラにミーくんと名づけ面倒を見ることになる空。一つ屋根の下、一緒に暮らし始める空とミーくんの共同生活とは・・・・。

声優・キャラクター
田村睦心、河本啓佑、茜屋日海夏、茅野愛衣、山下誠一郎
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

チロルチョコみたいなアニメ

[文量→小盛り・内容→感想系]

【総括】
小さくて可愛らしくてお手軽で癒される、ということで。

あと、私は酒飲みなので、甘いものは「好きだけど量は食えない」から、チロルチョコくらいがちょうどよいのですが、癒し系作品として、オッサンにはちょうどよいくらいの可愛らしさだったなと。

もしこれを、「擬人化されたミニ幼女」とかにやられたら、ちと気恥ずかしくなるしねw 萌えキャラじゃなく、ゆるキャラでやってくれたから、楽しめました♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
序盤から中盤は、かなりハマりました。ミーくん、可愛すぎw

ただ、新キャラ出したり展開は変えるものの、結局、ミーくんらの「可愛い」頼りなので、後半はやや飽きました。そんななか、10話などはアーヤンが奮闘。これまで足りなかったギャグ要素を補える、ナイスキャラでした♪ これは、声優さんとの絶妙なミスマッチも最高でした(当然、フリーザがとか、バイキンマンが、とか思っちゃうし)w

今までにないアニメで楽しめましたが、いくらチロルチョコでも、12個も食べたら、オッサンは胸焼けしちゃうよということで(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
やべぇ、ミーくん。今期で一番萌えるわw でもこれ、30分アニメでいけるか? ショートの方が良さげだけど。ミイラっぽくなってる(笑)

2話目
摩擦が熱いw ミーくんのピンチ(笑)ダメだ、ミーくんが可愛すぎるw

3話目
ミーくん、めっちゃ健気。。。ミイラって、地中に居るもんか? せめて水槽的なのに土入れて室内に持ち込んだら? 屋外の気温で土に入りっぱなしは、普通に心配にならない?

4話目
コニー、ちゃんと性格面で住み分けできてるね。化物語みたいな世界観かな(笑)

5話目
イサオね。なんか色々謎も出てきたな。やっぱり、ミーくんが一番可愛いな♪

6話目
可愛い通り越して愛しい(笑) マンドレイクの目覚まし(笑)

7話目
寝たら100%悪夢って、キツいよな。ミーくん可愛すぎるなw

8話目
九尾もかわいいな~。友達いっぱいや~。

9話目
コニー、豆まきがトラウマ? 他月は、ドラゴンがトラウマ。もうなんか、可愛いしかないな(笑) うちにいろ、鬼もうち。コニーはつまり、イヤイヤ期、お試し行動だったわけね。

10話目○
アーヤン、ナイスキャラ(笑) これまでで一番笑えたわw ギャグが冴えた回。しゃっくりを止めるには、ア゛~~って、横隔膜を震わせるか、みぞおちにボディーブロー食らうと、止まるよ(笑) ポチ、50歳かい(笑)

11話目
指にとまる、みーくん(笑)

12話目
ややシリアス。最後、お祭りのくだりは良かったな。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 26

ゆーな さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

かわいい。ずっとかわいい。

不思議な可愛い生き物を飼っている普通の高校生達の日常を描いた作品ですd(゜ー゜*)

不思議なミイラはもちろん、他の子も可愛いくて癒されますね(*´艸`)

仕草とか動きとか効果音とかがいちいち可愛くて、可愛くて愛おしいです!
どういう動きが可愛くみえるのかちゃんと考えられてます。

でも高校生の日常の中に不思議な可愛い生き物がいるだけなので
ちょっと退屈かもです(´・ω・`)

ミー君可愛いなあo(*^▽^*)o

投稿 : 2024/11/09
♥ : 15

紫煙の心 by斑鳩 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

寸評

可もなく不可もなくのストーリー構成だけど
盛り上がりが欠けているのは、やや残念な作品

原作のマンガなら数ページ程度なので普通に読めるとは思うけど
物語自体が30分枠アニメの元ネタとして貧弱なのだろう
おそらく5分から10分程度のショートアニメとしてなら
それなりにギャグアニメとして面白かったかもしれない

まぁ深夜枠というよりメインキャラの年齢設定を小学生にかえれば
土日朝のキッズ枠の方がシナリオもキャラデザも
合っているような気がするのだけれど
そういう部分ではちょっと勿体ないかなと思えた

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13

63.1 14 友情で手紙なアニメランキング14位
ふたりはプリキュア Splash Star(TVアニメ動画)

2006年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (79)
435人が棚に入れました
海原市立夕凪(ゆうなぎ)中学校に通うふたりの女子中学生、日向咲と美翔舞。ふたりは、「泉の郷」からやってきた花の精・フラッピと鳥の精・チョッピの力により「伝説の戦士プリキュア」に変身し、滅びの力で世界を支配しようとするアクダイカーンやその手下と戦う。

声優・キャラクター
樹元オリエ、榎本温子、山口勝平、松来未祐
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「命」というテーマを描ききった名作(少し修正)

2006年2月から2007年1月放送のTVアニメ。
「ふたりはプリキュア」から、キャラクターも舞台も刷新。
前作は、正反対の二人の女の子の絆の強さが印象的で、なぎさとほのかの関係性が一番のポイントだったと思っています。
対して本作は最初から仲がよく、二人が他の「命」と繋がって行く感じですね。

私はMAXHertからリアルタイムで見ていて、最初は若干の違和感はありました。(すぐにそれもなくなり、今ではすごく気に入っているんですけど)
本作で主人公の入れ替えと言う思い切った選択をしたことが、その後のプリキュアシリーズ化に多大な貢献をしたとも思います。


一貫した「命」というテーマ、地味ながら印象の良いキャラクター達、世界観をあらわす美しい背景、敵幹部の面白さなどが見所。
それらの要素と設定が全てテーマにリンクしているのがとても良いです。

バトルは前作までのアグレッシブな肉弾戦は控えめになり、精霊の力を借りた魔法のような技のぶつかり合いが増えました。
そして「自分たちの大切な日常を守る」という初期コンセプトに沿って、精霊の力をバリアとして用いる、纏った光の粒が衝撃をやわらげるなどはっきりと「守り」を視覚化しています。

全体のまとまりはしっかりしていますが、人によってはダレを感じる部分はあるかもしれません。
ですが単発のエピソードや日常回も、舞台や登場人物を掘り下げる地味ながら良い話が多いです。


【ストーリー】
海原市立夕凪中学校に通う日向咲は、大空の樹で美翔舞と出会い、「泉の郷」からやってきた花の精・フラッピと鳥の精・チョッピに請われ、二人でプリキュアに変身。滅びの力を振るうダークフォールから泉の郷(精霊の世界)を取り戻し、緑の郷(人間の世界)を守るために戦うことに。


【キャラクター】
{netabare}
地味ですが逆に言うと地に足が着いた印象が強く、大人は落ち着いており、子ども達は純粋に可愛いです。

咲は活発なムードメーカーで妹を可愛がるお姉ちゃん、舞は穏やかですが勘が鋭く意思も強く、二人とも良い子でとても感情移入できます。
日常描写が本当に丁寧で、家族の登場場面、地元の人たちとの交流やクラスメートのエピソードがかなり多く、自分たちの住む町が好き、そこに暮らす人たちが好き、というキャラクターに厚みを出していると思います。

泉の郷からやってくる精霊達も見所ですね。
咲と舞のパートナーであるフラッピとチョッピ、中盤から登場する幼い精霊ムープ、フープは可愛らしくくるくると良く動き回り、そこは女児向けらしいですが、4匹ともプリキュアを助けるために危険に飛び込むような行動もし、心の強さも持っています。ムープとフープは満・薫とも縁があり、人間関係(?)でも役割を持っていたのも良かったです。

泉の郷のフィーリア皇女は最初は力を失っており、プリキュアが奪われた6つの泉を取り戻すにつれ回復して行きます。
戦う力はありませんが咲と舞をできる限り助け、プリキュアへの感謝の心や精霊たちをねぎらう優しさを常に持っている、人の上に立つ者の鑑みたいなキャラクター(一時期、訳あって咲の家の猫・コロネの中にいたりしますがw)。
最高位の精霊なのだろうとは始めから思ってましたが、ラストで明かされる世界樹の精霊というのも設定として良く嵌っており、デザインもシンプルながら上品で美しく、とても好きなキャラクターです。

強烈な個性を持つのはむしろ敵側で、きわどくインパクトのあるキャラクターデザインと声優さんのアドリブもあいまって、アクダイカーン様以外の全員がかなり濃く面白いキャラにw
特にゴーヤーンはもっとも酷薄で、序盤はアクダイカーンの腰巾着のようですが、後半の活躍もあって凄く良いキャラクターになっています。
真の姿のデザインはちょっと世界観違いますけど、器のでかさが恐ろしいというかカッコいいw森川さんの演技、すごく良いです。
{/netabare}


【テーマについて】
{netabare}
本作はテーマが一貫して「命」であり、咲は「全てのものに命は宿る」と両親に教えられていて、この言葉が作中でも度々出てきます。
対してダークフォールは「滅びの力」を使っていて、「殺す」のではなく存在そのものを「消す」ことが目的でした。

「生と死が循環するのが命の正しい在り方」というのが本作の肝。
子ども向けアニメで人や生き物が死ぬシーンを入れずにそれを表現するのは簡単ではありません。

ですが本作では、襲ってくるダークフォールの幹部は自然物の命を歪めた存在で、プリキュアに倒されることで正常な命の循環に還るのです。
満と薫はもともと滅びの力から生まれた存在ですから精霊たちにとってはある意味では異物でした。ですが命の営みは単純な繰り返しではなく、時に異物を受け入れても大きな流れは変わらない複雑な「循環」です。だからこの世界には満と薫が受け入れられる場所があったのだと思っています。

序盤から「絶対に奪われてはならない」と言われていた7つ目の泉“太陽の泉”が実は母なる海であるというのも、初見では驚きましたがテーマにしっかり嵌っています。舞台が海に面した街であったことも良かったと思います。

人との繋がりを大切にする、命を大切にする、自然を美しいと思う、そういう小さな演出が最後までぶれなかったのが本作の凄いところ。その積み重ねがテーマに説得力を生んでいました。
{/netabare}


【満と薫について】
{netabare}
満と薫はダークフォールの幹部として咲と舞を倒すために近づきます。(いわゆる偽友作戦てやつですね)
最初は二人は考えている事はあまり変わらないのですが(容姿は全然違うんですが)、緑の郷での経験が増えるにつれ、二人の言動に少しづつ個性のようなものが見えてくるのも面白いです。
緑の郷を美しいと感じるようになり、咲や舞と友達になった満と薫は、アクダイカーンを父親と慕いながらも命令と自分たちの願いとの板挟みに悩みます。中盤の山場で、自分たちの本心をアクダイカーンにぶつけるシーンは必見。

そして二人を後押しし、助けようとする咲と舞。
命の大切さと世界の美しさを生まれたときから知っている咲・舞と、緑の郷に来て初めてそれを知った満・薫の対比が上手です。
終盤の満と薫のエピソードも重くなりがちでしたが、それを一緒に背負う咲と舞が負担を軽くしてくれました。

ラスボス交代は驚きましたが、満・薫に親殺しをさせたくなかったという理由もあったのではないかと思います。
この辺りは子ども向けとしての配慮でもあるかな。
{/netabare}


【本作の最大の特徴】
{netabare}
私が本作に特に感じるのは「重さ」です。

序盤では咲と舞は敵に「どうしてこんなひどいことをするの?」というような問い掛けを度々しています。話し合いが出来ないか模索するような描写です。
しかしダークフォールが求めるのは無の世界なので、自分たちの大切なものを守るには戦う以外の選択肢はありませんでした。

悪を倒すとかそういう話ではないのは他のプリキュアもそうなんですけど、ここまで和解の可能性が無いのはSSくらいじゃないかと思うのですよね。
歴代プリキュアの中である意味もっともシビアで過酷な設定ではないかと思いますし、行き着くところまで行ってしまった感じもあります。バトルが抑え目にも関わらず本作をかなり「重く」感じる理由はそこなのでしょう。
そしてそれを女児向けらしい明るさと優しいキャラクターで緩和しているのが素晴らしいところ。

プリキュアシリーズは作品が進むにつれ、敵との和解による戦いの終息へと女児向けとしては妥当な路線変更が行われました。
私はどちらも好きですし、今も楽しめています。
{/netabare}

派手さはそこまでありませんが、子ども向けとしての細やかな気遣いが感じられ、明るい雰囲気で深いテーマを描いた素晴らしい作品です。
いろんな年代の人にゆっくり一話ずつ楽しんで欲しいです。(2015.11)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

偽ニュー隊長 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

絶好調ナリ

プリキュア3作目。
全49話。

運動が得意な咲と絵が得意な舞が今回の主役。
基本設定は前作を引き継ぎ、悪の組織と戦う話。

特徴は自然を強調している感じ。
そして、全体的に柔らかい印象。
技も守り(バリアみないな技)が採用されている。
アクションもゆったりした感じになっている。

どうやら女児向けにしては、前作はアクションしすぎとのことからの変更らしい。
そのため大人目線で見てしまうと少々物足りない。
前作がかなり動きまくっていたので、おやっ?て感じだ。

恋模様も採用されてはいるが、前作までに比べればかなり控えめ。
好きな彼の前ではしおらしくなるって感じだ。
良くも悪くも女児向けに起動修正されている印象だ。

全体的に大人目線で観てしまうと、
前作より見劣りしてしまう印象になってしまっている。
ちょいと残念なプリキュアといえる。

それでも、お子さんと観るのであれば
安心して視聴できる作りはさすがというべき。
その辺の気づかいは賞賛に値する。

また、後期ED曲のガンバランスdeダンスは
皆様もどこかで聞いたことがあるのではという曲。
なかなか楽しい曲にしあがっている。

そんなわけで、女の子がいる家庭にはお勧めではないかと思う。


と、まあ色々書いてきたが
何が言いたいかというと

「アコギな真似はお止めなさい!」って台詞は女児向けじゃないだろw

投稿 : 2024/11/09
♥ : 8

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

花が咲き、鳥は舞う。風が薫り、月は満ちる。

正直全体的にはどうかと思う部分が多い。


戦隊もの的に単に悪いやつを毎週倒すな展開だと単調だし、特に戦闘シーンの作画はヤベーレベルにピンチなことが多い。


ラスボスもネオエクスデス的で、設定上の敵というだけで深味やカリスマに正直欠ける。ドッキリ展開も、展開のための展開な感じ。mhの展開と似てるし。


しかし、満と薫の存在が本作を際立たせている。


主役の咲と舞は良いキャラだけど、葛藤や悩みといった人間的に成長する余地があんまりない。


その点、初の寝返り幹部キャラ(正確には違うともいえるが)で不憫な満と薫は葛藤が実に良い感じ。


みんなに触れ合う内に目覚めた気持ちに悲しいような困ったような笑顔を見せる二人。


ついに、プリキュアと闘う決意をするも、その前に初めて曇りのない笑顔を見せる二人。


解説に烈海皇がいたら「裏返ったぁ~!!(満と薫の気持ちが)」な名シーンである。


そして、クライマックス。


間違いなくプリキュア史上に残る燃える復活シーン


ここも烈海皇がいたら「復活!!、ふたりはプリキュアスプラッシュスター復活!!。」な名シーンである。


そして、4人の名前の意味と、「グレンラガン」のごとき最終回タイトル回収が炸裂。


色々あったけど、こんなもん見せられたら好きになっちゃっうよね。本作は、満と薫が人間になる物語として評価したい。


しかも、二人はプリキュアにはなれなかったから、その後のオールスターとかには出れないし…。


もっと二人の出番が多かったらなぁ~。


あと、本作の大きな力の一つは佐藤さんの音楽だろう。プリキュアは音楽が際立っている時はやはり輝きが違う。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 8

67.0 15 友情で手紙なアニメランキング15位
私のあしながおじさん(TVアニメ動画)

1990年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (48)
233人が棚に入れました
アメリカ・ジョージア州にあるジョン・グリア孤児院に暮らす13歳のジュディ・アボットは、月に1度やってくるお金持ちの評議員達を接待しなければならない水曜日が嫌でたまらなかった。ジュディが孤児院を出る日も近づいた頃、評議員達が卒業する孤児の中から高校へ進学させる1人を選ぶ選考会があった。俄然はりきるジュディだったが、接待は失敗ばかりで評議員達を怒らせてしまい、しょげかえる。しかし選考会へ遅れてきたある評議員はジュディの書いた反省文を気に入り、ジュディを全寮制高校・リンカーン記念女子学院へと入学させる事を決定する。ジュディは自分を選んでくれた人物の名をリペット院長に聞くが、「ジョン・スミス」という仮名しか教えてもらえず、義務は月1回のお礼の手紙を書くことだと告げられる。ジュディは偶然見かけた後ろ姿の長い足が印象的だったのでスミスを「あしながおじさん」と呼び、彼に宛てて学園生活や学校の勉強内容を報告する手紙を書き始める。こうしてジュディの憧れていたハイスクール生活が始まった。

声優・キャラクター
堀江美都子、田中秀幸、天野由梨、佐藤智恵、藤田淑子

ソーカー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

シンデレラストーリーのお手本

レビューを書くまでもなくストーリーは大概の人が知ってると思います。
名劇アニメでこれだけはちゃんと最後まで見てました。元々原作が好きだったこともありましたが。

何がいいかって言うと、ジュディの人間的魅力によるところが大きいですね。
孤児院出の強いコンプレックス、それにめげない自立心、そして自分と向き合うことで得られる幸せ、とジュディの成長を強く感じさせる。
女性の自立と幸福追求のシンデレラストーリー。

アメリカの自由と平等を実現する教育の在り方とか、そういうテーマも多分にあるわけですが、名劇はさすがにあまり踏み込んではないはず。それでも他作品よりはやや対象年齢は高めで、笑ってしまうような恋愛劇や「あしながおじさん」が地味に策謀を巡らせているところは、ガキには当然よく分からないところではあったと思う(笑)

最終的には勿論何もかもが上手くいってハッピーエンド。
女性の成長と自立を描いた作品は多々あるけど、最も思い出深いアニメです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 12

Tnguc さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

【お気に入り】 理解しあう本当の優しさは「思いやり」だということ

~
 孤児院で育った少女・ジュディの学園生活を描いた青春物語。全40話。ジュディは孤児院での貧しい生活から一転、華やかな都会の学校へと移り住む機会を手に入れます。街での暮らし、寮のルームシェア生活、女の子の友情や恋愛、ファッションにショッピング、などなど。初めて体験することばかりのジュディは、毎日を目一杯に満喫します。当時オンタイムで観ていた女の子は、そんなジュディの学園生活にさぞ憧れたのではないのかなと思います。でも、ジュディの明るくて楽しい学園生活の背後には、両親のいない後ろめたさや、孤児院育ちというコンプレックスが常にジュディに纏わりついていました。そのせいで落ち込んだり、あるいは自分を偽ったりすることもありますが、その度に自分自身と向き合い、見つめなおすことでジュディは大人になっていきます。それらの過程がとても濃密に描かれていて、とくに39話のスピーチは必見。堀江美都子(ほりえ・みつこ)の演技も素晴らしいの一言です。世界名作劇場にしては珍しく恋愛要素も取り入れているので、どちらかと言えば女子向きな作品なのかも知れませんが、夢や自立などのテーマ性も含めて、とても見応えのある物語となっています。世界名作劇場の基盤でもある「思いやり」の精神もしっかりと映し出された普遍的な名作だと思います。

個人的評価:★★★★☆ (4.5点)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 9
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