けみかけ さんの感想・評価
4.9
「嫌だーっ!僕は・・・この子達の“ママ”なんだよ!?」
初めに言っておきたいです、、、【最高です!本当に最高です!】
リメイクシリーズとしては遂にあの『新・鉄人兵団』を超えたと思います!
ドラえもん映画の新たな金字塔となったのは間違いありません!
1989年に公開、大長編ドラえもんとしては9作目、『映画ドラえもん』としては10作目
『SBMドラ』を除けばシリーズ史上最高の観客動員数を記録した『日本誕生』のリメイク作です
ママへの不満から「自立」と称して家出を決意したのび太
便乗する形でジャイアン、スネ夫、しずかちゃん、ドラえもんも合流したが家出に必要な土地を現代で開拓することは不可能
一同は人間がまだ足を踏み入れてない7万年前の日本へタイムスリップすることに決めた
自分達の理想郷を開拓していく一同、のび太はドラえもんから「ペット大臣」に任命され、ふとした発想でペガサス、グリフィン、ドラゴンを誕生させることに成功した
一方で現代ののび太の家には原始人の少年、ククルが迷い込んできた
人間は誰もいなかったはずの7万年前の日本・・・日本誕生の瞬間がのび太達の冒険と共に紐解かれていく・・・
2年前の『新・大魔境』で監督デビューを果たしたシンエイ動画生え抜きのホープ、八鍬新之介が今作でも監督をされています
今回は自ら脚本も手掛けており、『恐竜2006』で渡辺歩監督が楠葉宏三総監督と共同脚本をしたことを除けば、監督が直接脚本を書いた唯一のドラえもん映画ということになります
原典を変えない、という八鍬監督らしさを残しつつも新たな視点、最新の解釈を取り入れたこれ以上に無い最高の良変がなされました
『新・大魔境』では昔の脚本を引っ張ってきたんじゃないかと思うほど原作準拠でしたし、寺本幸代監督のように原典から内容を大きく変えるというわけでもなく、程よい着地点を見つけたのが今作といえますね
まず目に付くのが「家出」というキーワードを「自立への第一歩」と解釈したことですね
のび太は家出をすることが自立への始まりだと信じているワケですが、本当に誰の手も借りずに生きていくことなど出来るわけもなく、終盤で本当の自立とは?という自問自答に立たされます
これは原典や原作でもキーポイントになっていましたが、今作ではメインテーマとしてより大きく取り上げられています
また、家出をされてしまった親の立場として、のびママがのび太の行方を案ずる描写等もさりげなく追加されているのが細かくて素晴らしい
さらにクライマックスはのび太達が助けを呼ぶことに成功する原典と違い、自分達の力で勝利を得るように方向転換されて、映画的カタルシスをより高めていますし、前述の自立への一歩を踏み出すことにリンクしています
遭難したのび太をペガ達が見つける原典のツッコミ所とも呼べるシークエンスも上手いことアレンジされてました
ククルやヒカリ族の活躍もフィーチャーされ、どのキャラにもちゃんと見せ場がある感じ
そうククル!ククル可愛すぎwうりょっち(白石涼子)が演じるククル可愛すぎですw冒頭の魚を獲るシークエンスだけでも惚れますw
ケッコンして!w
原典では故・永井一郎が演じてたギガゾンビ様は大塚芳忠がより悪役味たっぷりに演じ、ツチダマは複数体存在することに設定が変更されており、原典以上に手強い悪役として描かれてました
それにギガゾンビがウルトラストップウォッチを解除出来る理由も説明されてたのは感服です
そういえばタイムパトロールが久川綾が率いる美女集団だったのはなんだったのでしょうか?w
オイラとして一番注目して欲しいのは原典では割とあっさり描かれていたラストシーン
八鍬監督といえば哀愁と情緒
ドラえもんの映画ってラストは希望的な締め方をするのが基本ですけど、八鍬監督らしい悲しい、切ない、でも乗り越えなきゃいけないんだ!ってラストになっていましたね
めちゃくちゃ泣いちゃいました;;
オリジナル作品や原典を大きく変えたリメイク作にもそれぞれの良さがありますが、今作は原典へのリスペクトを忘れる事無くオールタイムな魅力をより堀下げた結果、【『日本誕生』の完全版】とも呼ぶべき作品になったと思いますb