ソビエトでロシア民謡なアニメ映画ランキング 2

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年10月12日の時点で一番のソビエトでロシア民謡なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

63.6 1 ソビエトでロシア民謡なアニメランキング1位
ジョバンニの島(アニメ映画)

2014年2月1日
★★★★☆ 3.8 (42)
176人が棚に入れました
色丹(しこたん)島を舞台に、主人公たち少年の視点から、ソ連軍の進駐する光景や島民の不安、ソ連側の人々とのふれあい、そして家族の絆を描く。

声優・キャラクター
市村正親、仲間由紀恵、柳原可奈子、ユースケ・サンタマリア、横山幸汰、谷合純矢、ポリーナ・イリュシェンコ、北島三郎、犬塚弘、八千草薫、仲代達矢
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

唄声かさねて

2014年冬作品なのに、画像が無くて残念。
これは本当に美しかったです。
島の景色、暮らし、空の色、花の波。子供達の遊び。

戦争が終わってホッとしたのもつかの間、ソ連軍がやって来て色丹島を占領する。それまでとは違う暮らしを強いられ、先の読めない生活となって…。
日本の子供とソ連の子供が近づいてゆく描写がまた素晴らしかった。
とったとられたの関係でも、そばで暮らしていれば否が応でも文化は影響しあってゆく。
耳で覚えあった歌声を重ねる姿。

壁越しに汽車を走らせるシーンは、目を見張る鮮やかな陰影が走り抜けていきました。
そんな時代でも、身近な物から魔法のように刺激される、子供時代の遊び心が伝わってきます。演出は「ばらかもん」の橘正紀でした。
ここ以外でも、汽車のシーンは映えていて、作品を最後まで引っ張っていきました。


様々な大人たちの存在が極立っていました。
{netabare}漁師として海で死ぬことが自分の人生だと決めていたおじいちゃん。
兵隊が来ても普段通りを毅然として通そうとした先生。
ちゃらんぽらんだけど、いつでも生き抜くことを諦めず、力を分けてくれたおじさん。
責務を背負ってどんな時も背筋を伸ばしていたお父さん。
自分が出来る範囲で助けてくれた異国の人。 {/netabare}

美化はあるのだろうし、原作(「北の国から」演出家の杉田成道 作)のグロテスクな部分は抜きにしてあるらしいけれど。
戦後の復興期のたくましさを描いたドラマはよく見かける中、その恩恵の下に入れずに抑留されたままだった人々も居るのだと、美しさを交えながら語ったアニメ作品です。



絵の色合いは絵の具を拭きぬぐったようなマチエールが重ねられていて、人物の線は柔らかく省略が小気味良いです。アニメにセンスを求める方にも、充分響くものがあると思います。
(Production I.G.制作、キャラデザと作画監督が「四畳半神話大系」の伊東伸高、原画はそうそうたるメンバーです)


「銀河鉄道の夜」のセリフが重ねられた内容でもあります。ラストに流れる、宮沢賢治の詩にさだまさしが曲をつけ、幾人もで唄われた歌も、とても優しく流麗です。

みのるしさんの実感のこもったアツいレビューで観てみましたが、私もおすすめします。d(^_^o)
子供と観ていたので、私はつい泣けなかったのですが、純度の高さに幾度も波が押し寄せました。

投稿 : 2024/10/12
♥ : 25
ネタバレ

ねここ時計 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

本当のさいわい

戦争
私は知らない。両親も知らない。
私の思いは伝えることができますが、私の口から次の世代へ伝えることは難しいです。

曽祖父母の体験談、学校での授業、
ドラマ、映画、アニメ、漫画、本
そんなものたちからしか知りえないです。

この作品を通して、
私はまたひとつ、戦争のことを知りました。
内容というよりも、私の感じたことを書いていきます。

{netabare}
終戦したのだけれど、ソ連軍に色丹島占領されてしまう。
今までの暮らしはできなくなる。
馴染めない文化が唐突に入ってくる。

それでも子どもたちは受け入れることをしていく柔軟さ。
歌っていた歌もいつのまにか互いの国の歌。
そしてひとりのロシアの少女と交流していく。淡い恋心と共に。
この様子をみていたら、
子どもの目に映るものは国の立場など関係なくどちらの国も一緒、
戦争を望んでいる子などいなくて、
大人たちの戦争に巻き込まれてしまっているだけなんだ、と改めて感じました。


子どもが亡くなる
これほど私にダメージを与えるシーンは他にはないです。
小さなうちは、セキをコトリとするだけで芯からひやっとしたものです。
大人だと信じられないようですが、子どもは肺炎になりやすくすぐ危ない状況に陥ります。
私などは傍で見守ることしかできず、ただ願うだけです。
あぁどうかこの小さな命が消えてしまわぬように、と。

父親に会いたい、その一心。
そんなにも会いたいものなのかと思いますが、
実際私もそうでした。
母や父に会いたいという子どもの想いほど強いものはないのですね。

泣いてしまうというより、私は思い出しました。
ひとりの命の灯火というのが、こんなにもあっけなく消えてしまうことがあることを。
お父さんに会えてよかった。
手に、指に、触れることができてよかった。
そんなことばかりが頭をかすめてしまいました。


銀河鉄道の夜のセリフ、映像、それはとても綺麗でした。
ふたりの生きる世界とリンクするように物語が進んでいくのですが、
私にはまるで違う様に感じました。
現実は生々しく、宮沢賢治の世界はあまりにも幻想的なのでした。

どこまでも行ける魔法の切符。
けれど私はそんな凄い切符などより、カンパネルラと同じ切符がいいと思ってしまう。
もう動かない弟、寛太を背中におぶっているとき、純平が何を感じたのか考えると胸が詰まりました。
涙が出てやまなかった。
魔法の切符、悲しすぎます。
けれど、どこまでもどこまでもふたりは一緒なのですね。
{/netabare}


ラストに流れる「星めぐりの歌」
宮沢賢治の世界がよく表現されている美しい歌です。
この作品の最後に相応しい歌でした。


この映画の冒頭で記されていた賢治の綴った文章

「けれども、本当のさいわいは一体何だろう」

とても深い言葉で、私はまだ分かっていないです。
これから段々と分かるようになってゆくのでしょうか。

投稿 : 2024/10/12
♥ : 23
ネタバレ

ゅず さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

想いが心いっぱいに詰まって、銀河の底に沈む星

【一言紹介】

ジョバンニとカンパネルラの星の旅

【思ったこと】
{netabare}
始まりから最後まで

色も音も
切なくて、悲しくて、
苦しくて、寂しい

そうゆう感情を堪えるのに
精一杯だった。
涙もでそうだった。

最後のあの世界はなんだったんだろう。
表だけ楽しそうにして
心の中は真っ暗なのを
まるで隠してるようで

とてもとても私には心苦しくて
明るい気分になれないような
終わり方に思えた。
{/netabare}
【ゅずワールド】
{netabare}

人と人って
なんでこんなに
分かり合えないんだろうね。

ただ生きていることだけで
幸せなはずなのに

好きになったり
憎んだり。

人間はそうゆう感情を持てることも
すごく幸せな存在だよね。


まるで海、否、銀河の底で
息を止めるような
感覚になった。

【おとぎ星】
星が見える
その星の音を繋いで
楽譜にしよう。

一つの星の音だけじゃ
奏でれないメロディー。

その星達は
競り合って
高め合って
響き合う。

三拍子、四拍子、
それぞれ違う星と
重なり音を奏でる


それぞれ星は違うけれど
こんなにそばにいて
こんなに遠くにいる

そんな星達の
音とおとぎ話。

【星めぐりの空】

あの二つ星に出会わなければ
僕はこんなにもこの空を
見たいと思うことはなかっただろう。

君達が流れ星になって
僕の中をかけめぐる
こんなにも素敵に輝く星達を
大切に大切に思う

金平糖を食べたら、みんな星になって
この銀河の中でも息ができるよ

僕たちはどこまでもどこまでも一緒にいけるだろうか…
僕はどこまでもどこまでも君達とかけめぐりたいな。
{/netabare}

投稿 : 2024/10/12
♥ : 23

計測不能 2 ソビエトでロシア民謡なアニメランキング2位
チェブラーシカ(アニメ映画)

2001年7月21日
★★★★★ 4.5 (6)
24人が棚に入れました
ロシアの児童文学作家エドゥアルド・ウスペンスキーの原作をロマン・カチャーノフ監督が映画化した人形アニメーション。かわいい容姿の架空の動物チェブラーシカが繰り広げるほのぼのした日常を描いたハートフルでキッチュなキャラクター・アニメ。1969年から1983年にかけて短編4本が制作された。日本でも2001年7月にそのうちの3本が劇場公開され人気を博した。2008年7月には三鷹の森ジブリ美術館配給により、デジタルリマスター、全四話完全版の劇場公開も実現。
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

寂しげで哀愁漂うチェブラーシカの世界

ある日の事、果物屋さんがオレンジの箱を空けてみたら、そこには、おさるみたいな、こぐまみたいな、ちっちゃな動物が眠っていました。起こしてもすぐにぱったり、起こしてもすぐにぱったり、眠たそうな優しそうな目をしたこの生き物を果物屋さんはチェブラーシカと名づけました。

アニメーション監督の巨匠、故・ロマン・カチャーノフによって製作(ロシア版:旧ソ連版)された人形アニメーション。1966年に出版されたエドゥアルド・ウスペンスキーの絵本が原作。

これまでに製作されたアニメは以下の4話のみ、一編の長さは10分~20分程度です。(サブタイトルはDVD版に準拠、1枚のDVDに全話収録されています。)

1話「わにのゲーナ」(1969年製作)
果物屋さんに見出されたチェブラーシカ。動物園に勤める※孤独なわに"ゲーナ"。この物語はゲーナが友達探しの為に一枚のポスターを作る所から始まります。今も昔も孤独に生きる人は必ずいるもの、そんな人たちの寂しさを描いたエピソードでした。

2話「チェブラーシカ」(1971年製作)
ピオネール(ボーイスカウトの様なもの)に入りたいけれども、何の特技も持たないゲーナとチェブラーシカは仲間外れにされてしまいます。悲しげな二人でしたが、自分達に出来る事を一つ一つやっていこうとめげずに頑張ります。

3話「シャパクリャク」(1974年製作)
汽車で旅に出たゲーナとチェブラーシカ。シャパクリャクばあさんのいたずらで途中下車させられてしまいます。旅は諦めて家路につく二人でしたが、長い長い道すがら、汚染された川とそこで遊ぶ子供達、森にキャンプに来た若い観光客3人組などと出会います。

4話「チェブラーシカ学校へ行く」(1983年製作)
チェブラーシカが文字を読めない事を知ったゲーナはチェブラーシカを学校に通わせようと思い立ちます。シャパクリャクばあさんも今回は協力。頼もしき味方として修理中の学校の校舎へと足を運ぶのですが‥。

各話それぞれ製作年代が違うので、チェブラーシカの外観が若干異なりますが、どのチェブラーシカもかわいいので特に気になる事はないのではと思われます。作風の違いは殆ど見られません。

2010年には著作権を借り受けた日本版オリジナル版も製作されましたが、こちらはロシア版のリメイク作品1作(全3話製作)を除くと内容は別物と評価せねばならないかも知れません。社会風刺もブラックユーモアも軽く"夢"という言葉を前面に押し出す様な、日本の子供向けアニメなどにありがちなつまらない物語になってしまいました。人形アニメとしての完成度は非常に高いものの、物語としての魅力が著しく減退してしまったので、私は旧版のみを推したいです。

ロマン・カチャーノフ監督作品では「ミトン」(1967年製作)が有名。「第三惑星の秘密」(1981年製作)という長編もあるそうですが、こちらは現在国内では映像メディアが絶版となっていてとても残念。未視聴の作品なので是非円盤とかで再販されて欲しいものです。

近年ではオリンピックのマスコットキャラとして知名度が上がったチェブラーシカですが、かわいさだけを愛でるのはもったいない。ミュージカルあり、コメディあり、風刺あり、寂しげだけど心温まる人形アニメーションの世界に触れてみては如何でしょうか?


※:{netabare}全く悪意は無い様ですが、彼の行動は常軌を逸している場合があります。船の錨を海に投棄された鉄くずと思って引きちぎったり、子供の遊び場にしてあげようと変電施設の機械を壊してしまったり、広場に無許可で公園を作ろうとしたり、風刺色を強める為の演出であると見受けられます。{/netabare}

投稿 : 2024/10/12
♥ : 10

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

単に可愛いだけじゃない深い作品

子供向けでかわいいチェブラーシカをやっと観ることが出来た。
単純に観ると味わいがあって、どことなく寂しくて、小さな世界がすべてのこの世界には優しさが溢れていた。ワニのゲーナは誰にでも優しくて、だまされたりもするけどそのことを決して怒したり憂いたりしない。込められた寓意が心地よい。

細かく観ていくと、ソビエトの国力の衰退が始まっている時期であることが伝わってくる。体制批判と取れるような、何もない事への嘆きや国土の汚染、欧米からの略奪者を思わせるハンター、働かない大人などをそこここに散りばめている。
かなりきわどい描写であろう事が窺われるが、これが現存して資本主義圏の国で楽しまれている事から想像するにソビエト型の社会主義というのはすでに不可能であることが見通されていたのかもしれない。

でも、そんなことは置いておいて良い。チェブラーシカの可愛さにそんなことはどうでも良くなってしまう。ゲーナに可愛がられ、子供らしい甘えを楽しむ彼を見ていると暖かい気持ちになる。そこに流れるロシア民謡のようなあの曲が、疑いを持たずにあるがままを受け入れた生涯を送った、たくさんのソビエトの人たちのことを想って切なくなった。

投稿 : 2024/10/12
♥ : 2
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