みかみ(みみかき) さんの感想・評価
3.2
料理のうまさを別のメディアでやるというのは大変だな、と…
いま、『味っ子II』を読んでるんだけど、
『美味しんぼ』しかり、『焼きたて!!ジャぱん』しかり『クッキングパパ』しかり。「料理」に関する話を漫画で伝えるというのは、たいへんなことだと思うのだけれども、よくもまあ、こういう路線を開拓してきたなあ、としみじみ思う。
あらためて読むと、これってすごく難しい漫画で、
1.レシピ本としての側面
2.料理のうまさを表現する食文化への批評的側面
3.少年漫画としてのバトルものの側面
の三点に気を配りながら、すすんでいくのね。
いやぁぁーーー、これは難儀だぞ、と思う。
そもそも料理が好きでないとかけない、というのはあるけれども、料理のうまさを伝えるっていうのは、大変だと思うけど…まあよくやってるよね。『焼きたてジャぱん』とかだと、完全にギャグにいってしまっているけれども、味っ子とかは、まだ比較的まっとうにグルメ的な言語で勝負しようとしていて、そこはほんとに立派だな、と思う。ほんと。(むろん、それでも『焼きたてジャぱん』の源流になっているような過剰リアクション漫画でもある、という側面は多分にあるわけですが…)
まあ、うまい/まずいを一次元的な尺度で表現せざるをえなくなっている、というあたりは、『美味しんぼ』よりも、ターゲット層を広げるための方策として仕方がないというのはあるけれども、その制約のなかで寺沢さんはほんと頑張ってるな、と。わたしなんかは、料理の関する感覚は、そもそもこんなに言葉がでてこないので、さいきん、美味しんぼとか、味っ子とか久々に読みなおして、料理に対する感覚がわたしよりも遥かに研ぎ澄まされているのを見るのがたのしい。
食文化は、なにげに批評的なアプローチや分析概念が、物語文化などと比べるとはるかに貧弱な世界なので、その意味でもよくやってるな、と感心する。