nyaro さんの感想・評価
3.0
3巻 設定は多いけど使っているのは人間とアミクスの感情問題だけ。
1話 9割方を置いてけぼりにする第1話。一応アシモフ的SFです。
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2話 SFではなくサスペンスメロドラマかな。思ったよりは…ですね。
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3巻 設定は多いけど使っているのは人間とアミクスの感情問題だけ。
要するに中断しますというレビューですが、原作6巻途中の状況で整理がてらネタバレ的に記載します。最大の問題は表題の通りです。
この話の世界観では、ユアフォルマという脳の拡張技術、アミクスというAIロボット、RFシリーズというアミクスがいる。アミクスには敬愛規律という人間に服従し傷つけない何かが組み込まれている。
設定は、電索官という人の記憶にダイブできる技能者がいる。そのためには特殊な能力と補助官という存在が必要。ヒエダは複数の人間に同時にダイブできる唯一の特殊技能を持っている。それを補助できるのは人間には無理でそのためにハロルドと組んでいる。
ハロルドは昔捜査官として人間のパートナーがいて、その人物はハロルドの目の前で殺されている。ペテルスブルグの悪夢。その奥さんのダリアと2人で暮らしている。
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この作品がSFではないという理由は、これらの膨大な設定のうち、ブラックボックス問題=ハロルドの恋愛感情として、ヒエダとハロルドの関係性にテーマが矮小化されてしまうことです。お互いの感情の探り合いだけで6巻まで過ぎてしまいます。それゆえに、イケメンロボットとの恋愛ということで、メロドラマとしてはいいんですけどSFとは言えません。いろんな作品からの借り物のSF設定を使いきれていない感じがします。
そして最大の問題は、電索という捜査方法がほぼ機能していないことです。もちろん捜査には使っていますが、そこから人間の本質とか機械との付き合い方のようなテーマ性が現状では扱えていません。要するにハロルドとヒエダをつなぐ言い訳にしかなっていません。
作中でもいろいろ話を工夫しますが、それは状況の工夫であってSF的な工夫ではありません。
ビガやダリアとの関係性が使いこなせないのも、ハロルド=ヒエダに内容が固定されているので発展性がないです。
まあ、そういうわけでSFとしてはそれほど楽しめる作品ではないし、原作を読んだので、もういいかなという気持ちもあります。が、アニメとしてはどうなのかという気持ちと拮抗しています。
もちろん、アニメとしての説明不足に問題があるのは事実ですが、この作品は前提条件として実はSF的な盛り上がりがあまりありません。ダラダラとヒエダの悩みとハロルドの葛藤を見るメロドラマです。ブラックボックス問題は残りますが、扱うのは感情問題で同じことに帰結します。ですのでアニメ化のレベルが悪いのか、原作が悪いのかは判断が付かないところです。
1巻はアシモフ、攻殻機動隊、洗脳調査などいろんなSF要素があって、基本SFです。ですが、2巻以降は上記のようにメロドラマなので、1巻の設定を知る事にあまり意味がないし、余計な脳みそを使わせるので、切らざるを得ないというジレンマはあった気がします。要するに表層の世界観と設定だけ2巻以降のアニメ化で説明するほうが、分かりやすくなるという判断はわからなくはないです。
うーん、やっぱり一回中断かなあ。今季はSFでいいのが多いし。ただ、ある程度進んだところでチェックはすると思います。