2016年度のZAQおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2016年度のZAQ成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月29日の時点で一番の2016年度のZAQおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

68.7 1 2016年度のZAQアニメランキング1位
フリップフラッパーズ(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (295)
1170人が棚に入れました
あなたには、世界はどう見えているんだろう―――。

扉をひらくカギを手にしたふたりのヒロイン、パピカとココナ。

少女と少女は出会い、そして別の時間、異なる空間「ピュアイリュージョン」での冒険が始まる。

願いを叶えてくれるという謎の結晶体"ミミの欠片"を求め、ピュアイリュージョンを巡るふたりの前に 様々な困難が立ちふさがる。

ふたりに危機が迫ったとき“ミミの欠片”が輝き、そして彼女たちは変身するのだった。

声優・キャラクター
M・A・O、高橋未奈美、大橋彩香、津田健次郎、福島潤、日笠陽子、興津和幸、村瀬迪与、大西沙織、久保田民絵、井上沙香、歳納愛梨

lumy さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

今期の本当にダークホース。

評価が難しい作品ですが、私は好きです。

群雄割拠だった2016年秋アニメの中で、
まさしくダークホースというか、
気にならない人は存在すら
知らなかったんじゃないかという作品です。
私もあにこれを見ていなければ確実に視聴しませんでしたw

物語は、よく分かりません。
もしかしたら分析をされている方がいるかもしれませんが、個人的にストーリー理解はしなくてもいいかなと
思っています。
ただ、映像のセンスはアニメ好きであれば
一見の価値アリだと思います。
動画の動きがGAINAXやtriggerに似ていますが、
キャラが可愛いデザインに仕上がっているので
雰囲気は若干違います。
OPの演出も少し古臭い感じがありますが、
昭和生まれにはたまらないです。

万人にオススメできる作品ではありませんが、
アニメーターの意気込みが伝わってくる
良作であると思います。

2023年追記
Youtubeの作画まとめ動画を見てると、
必ずと言っていいほど入ってる作品。
各シーンを見ると、もう一度見たい欲求に駆られます。
放送から何年も経ちますが、
未だに色褪せない作品なので評価を上げました。

2024年追記
ルックバックを観て、押山監督を推したので、
こっそり評価を上げて更新してみました。
なんか忘れられない作品なんですよね・・・。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 27
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

パピカが連れていってくれるピュア・イリュージョンの世界

セル画時代を思わせる水彩画風の淡い色使いの背景と、よく動くキャラが一際目を引くアニメです。

将来の事、進路に悩む中学二年生のココナの前に、どこからとも無く唐突に、空飛ぶサーフボードに乗って、元気いっぱい、好奇心いっぱいのパピカが現れました。

パピカに誘われ、ピュア・イリュージョンなる異世界で繰り広げられる摩訶不思議な冒険活劇。

ピュア・イリュージョンという世界はその名の通りの幻想世界? あるいは未来世界? それとも夢? ‥不思議そのもの。一面の雪景色とそこに埋もれた見覚えのある文明の遺物、雪が甘かったり(笑)異形の生物が生息していたり、パピカとココナはそこで遊んだり、危険に巻き込まれたり、様々な冒険を繰り広げます。

キャラデザ以外の要素に重なる部分を見出せるのか、雰囲気は何となく映画版ドラえもん。今の所、戦いとか探し物(ココナ?)とか特別な目的がないので、ピュア・イリュージョンは元いた世界の煩わしさから解き放たれて自由に振舞ってもいいという開放感とか、隠れた不気味さとか、そんな空気に満たされている印象があります。

1話
{netabare}
やってきた異世界に戸惑いながらも甘い雪を食べたり、雪だるまを作ったり、割と楽しんでいるココナの姿は鬱屈した日常から解放された子供の行動そのもの。

まだ第一話ですが、色々なものが描かれました。"候補者"なるものを探す人たち、土管でワープ(笑)パピカに"ぶーちゃん"と呼ばれる脳を内蔵したロボット、ピュアイリュージョンという異世界、そこに住む巨大生物、そこで見つけた青く光る石、ココナの変身、そしてロボット兵士。
{/netabare}
2話
{netabare}
今回はパピカとココナがウサギに変身? 心も姿に準じた様で何かをかじりたい衝動にかられていた様子(笑)ピュアイリュージョンでは心のありようでいかようにも世界が変化するという印象。1話では雪景色の確固とした世界が描かれていましたが、今回の2話ではどちらかというと不定形の世界が描かれていた様に感じました。

1話でも登場した謎の組織"フリップフラップ"や青く光る石"ミミの欠片"の正体も徐々に明かされる兆しが見えてきました。謎多き物語というのはやはり楽しいものです。

パピカとココナが仲良くしているのをあまり面白くなく感じている様子のヤヤカ、今後物語にどの様に係わってくるのでしょうか?
{/netabare}
3話
{netabare}
世紀末救世主伝説+DBZなピュアイリュージョン(長いので以下PI)。指先一つでスパーキングなオーバーアクション。ケンシロウVSジャギなのか? 悟空VSフリーザなのか? 他にも魔法少女に変身とかやりたい放題。色々とやらかしてくれちゃうアニメです。

ヤヤカと双子という意外な面々が、意外な組み合わせでPIに登場したり、フリップフラップと対立する組織の一端が描かれたり、物語にも動きがありました。PIでは何でもあり、根底にはシリアスなドラマがある様な印象を残すアニメです。

次回はどんなPIが描かれるのだろう。妙に期待してしまう‥。
{/netabare}
4話
{netabare}
今回の冒険の舞台はピュアイリュージョンの世界では無いけれど、同じくらい不思議な世界が描かれている様に感じました。

パピカの土管ハウスとか、キーウィがいたり、自生しているトマトがあったり、巨大ぜんまいがあったりする森とか‥。キーウィや巨大ぜんまいはまだしも、良く知られているはずの野菜であるトマトについてココナが無知である点に、このアニメで描かれている世界を読み解く鍵がある様に思われました。

‥もしかしてフラクタル構造だったりして‥。

パピカの「むふ~」とか面白かわいい‥(笑)
{/netabare}
5話
{netabare}
今回のPIは寮制の女学校が舞台。三つ編み制服女子とか、深夜のお茶会とか、折り目正しくも怪しい雰囲気は「人類は衰退しました」を思い出します。ストーリーコンセプトに綾奈ゆにこさんが参加しているのでその所為かも知れません‥。

パピカとココナの、宝物を掲げて"フリップフラッピング"の掛け声で変身するという設定は、魔法のアイテムとかで変身するのとは少しだけ違って、PIが仮想現実である事を考えると、一種の自己暗示と捉える事が出来ます。

変身バンクの背景から「変身」の二文字が消えていたのは好印象でした。何となく悪ノリが過ぎる気がしていたので‥。

物語の進捗はとてもゆっくりで、2話以降横ばいの印象。今回も人間関係の変化や大きな事件などは見られないお話でした。

次回「ピュアプレイ」では美術部の先輩がお話に関わってくる模様。動きのある展開に期待したいです。
{/netabare}
6話
{netabare}
幾層にも重なる世界を描いているのか、全ての存在がデータ化された世界が描かれているのか? 謎の深まるお話でした。

こういう不明瞭な世界を見ると洋画「マトリックス」とか、攻殻機動隊の派生作品で、よりヴァーチャルな世界観に踏み込んだ「RD潜脳調査室」とかを思い出します。

先々週のトマトのエピソードから気になっていましたが、主人公であるパピカとココナと言う存在もまた、確固とした存在ではないのでは?と言う印象を受けました。

イロやいろは先輩という存在の正体も否応無く気になってくる第6話でした。物語のターニングポイントとも言える回と言えると思います。次回以降はおばあちゃんのお話もあったりして‥?

一見すると荒唐無稽、摩訶不思議ながら、謎の核心に迫る展開に惹きつけられるアニメです。
{/netabare}
7話
{netabare}
ヒダカの言っていたイデアワールドと言う言葉、またPIが現実と地続きの世界であるという言葉を鵜呑みにするなら、PIはパラレルワールドの様な別世界ではなく、全て単一の世界である可能性が濃厚になりました。万華鏡の様に見る角度によって姿を変容させる、わたしたちのいる現実に近いものなのかも知れません。

そう考えるとパピカとココナがイロという一人の人間の中にある二つの人格あるいは二つの性格面であり、一方から見てもう一方が迷子という見方にも納得出来そうです。今回は様々な姿のパピカが描かれましたが、パピカもまた、自らの持つ視点からココナの百面相(笑)を見てきたのかも‥。終幕後のスタッフロールのM・A・Oさん無双には笑かされました。声優さんってほんとにスゴイ!

公式サイトでミミの欠片という言葉を目にしていたので、ミミとは何なのか気になってはいましたが、今回のお話ではその正体の一端が垣間見える場面もありました。

先週から回答編とも取れる後半に入り、ますます目が離せなくなりました。次回が待ち遠しいです。
{/netabare}
8話
{netabare}
今回はロボバトル回。

熱血、友情、魂のスーパーロボットバトルが繰り広げられます。‥スーパーロボットというよりはむしろスーパー戦隊の合体ロボ‥。この手のロボは大人の都合上、バージョンアップすると、どんどんフォルムが鈍重になってきてダサくなってしまうという痛い欠点があります。今回のお話ではそれを極端なまでに表現していました。究極の姿は巨大ダンボール形態(笑)敵はエヴァン○リオン? 色々と笑かされました。

終幕前、唐突にパピカの口から出たミミという言葉、全編に渡って描かれたヤヤカの心の揺らぎなど、物語の流れに影響を与える要素はそれほど多くありませんでしたが、着実に核心に迫っている気はします。

自らの創造した街を守る使命感に燃える天才科学者?オッチャンさんも良いキャラでした。

次回にも期待したいと思います。
{/netabare}
9話
{netabare}
PIでまたしても遭遇したパピカ&ココナとヤヤカ&双子。ココナと双子が天井の高い和洋折衷の趣のだだっぴろい部屋、脱出不能の奇妙な空間に閉じ込められてしまいます。

敵味方がピンチに際して休戦するという展開は古典的ながら、情報交換があったり、歩み寄りがあったりして面白い筈なのですが、ココナと双子の会話が少な過ぎるので不毛な印象‥。双子の名前が男の子の方がトト、女の子の方がユユ、二人には願いが無いという事だけ辛うじて分かったのみ。

後半は回想シーンも交えてヤヤカのココナへの思いの強さが見て取れました。でもヤヤカ、ココナを助け出そうとするパピカへの背中キックは良くないぞ‥。葛藤しながらも二人で協力して助け出す展開の方が自然だったと思いますし、このシーン、演出として不要だった様な‥。パピカ痛そうだったし‥(汗

中休みシーンでヤヤカの食べてた携帯食料がうんまい棒みたいだったのにはちょっと笑かされました‥(ちくわ状になってなかったけど)まどマギとか「がっこうぐらし!」とかでも食べてた人がいたけど人気あるのかな‥わたしも結構好きです(笑)

PIそのもののとミミについての謎は置き去りのままですが、何話も前から仄めかされていた双子のいる組織とヤヤカの離反が決定的になった回でもありました。

次回にも期待したいと思います。
{/netabare}
10話
{netabare}
双子が言葉でココナを疑心暗鬼にさせるシーンは前回にもありましたが、こういうのは見ていて気持ちのよくないものですね‥。あれこれと不信感が積み重なったココナは、拒絶される前に拒絶するという冷静さを失った行動の末、とうとう独りぼっちになってしまいました。さらに追い討ちを掛ける様にある人の正体も明かされます。悲痛な展開でした。

終幕近く廃墟に佇むココナの口?から発せられた「これからはお母さんが守ってあげるからね」というミミの言葉については、そのままの意味で捉えるよりも、ココナそのものがミミの欠片の一つという解釈の方がしっくりする気がします。割れたガラスに映ったココナの像がミミであったことも考え合わせると分断されたミミの欠片(アモルファス=データの一部?)がココナに成長したという解釈も出来そうです。

今回はパロディやおふざけもなく物語は目まぐるしく展開しました。緩急があるのは良いけれど、アクション偏重の回には辟易気味だったので、極めて充実した回という印象でした。

来週も楽しみです。
{/netabare}
11話
{netabare}
ココナに宿ったミミの力によってアスクレピオス(三角帽の組織)はほぼ壊滅。

ミミの暴走を止めようと決死の覚悟で挑むソルト博士の声も届かない。

PIが現実を侵食する? ココナの望んだかたちに世界が書き換えられていく様な描写がありました。

パピカみたいに大好きな人に大っ嫌いって言われても、好きで居続ける事は多分かんたんですが、追っかけて行っちゃったら現実ではうざったがられるだろうし、異性間だったら多分ストーカーさんって言われちゃいますね(汗)

アニメではこの様な選択を度々美化し、むしろすべき事の様に映しますが、それは私たち視聴者が両者の関係を俯瞰出来る立場にいて、その選択の結果をある程度予測出来るからなのだと思います。こういうのは予定調和という言葉で揶揄される事もありますが、やはり興を削ぎ、どうせ~になるんでしょ‥と諦めにも似た心持になってしまいます。そうなる方が良いのは決まりきった事なんですが‥。

ココナの正体やパピカの子供化の謎など、まだまだ不明な所がありますので最後まで気を抜かずに視聴していきたいと思います。
{/netabare}
12話
{netabare}
いつの間にか子離れ出来ない母親と、親離れ出来ない子供の話になってしまっていました。壮大な世界観を提示した割にはテーマがかなりこじんまりしてしまっていてちょっと残念に思いました。

そして最終話1話前にしてとうとうヤヤカも変身。でも何故か変身コスチュームは露出過多。フリップフラッパーズではありがちな傾向ですが、趣味を前面に押し出し過ぎると物語がコメディ寄りに傾いてしまうので自制して欲しい気もします。こういうの喜ぶ男って意外と少数かも知れませんし‥。

次回の最終話でPI、アモルファスなどについて、果たして全ての謎が明らかにされるのか、ちょっとだけ不安はありますが、最後まで期待して視聴して行きたいと思います。

出来れば今回の様にバトルとかガッツとかで何となく解決してしまうという様な安直な展開にはならないで欲しいですね(汗)
{/netabare}
13話
{netabare}
前回から一抹の不安はありましたが、PIにもアモルファスにもパピカの子供化にも明確な説明が与えられる事は無く、残念ながら情報不足‥。SFとしては最後まで不明な点がいくつも残ってしまいました。

それに今回の最終話でも妙な演出が‥これまでの描写だとパピカもココナもヤヤカも自分の気持ちと素直に向き合う事で"フリップフラッピング"出来る様になっていたはずですが、何故にお母さんまで? 理屈が良く分からずいつもの悪ノリとしか受け取れず興醒めしてしまいました。そして最後は大好きパワー(笑)による力技で大勝利。‥なんてこった。


ピュアイリュージョンについて、物語の折り返し点の6話では、パピカとココナがイロという少女の持つ二つの相(人格)として描かれていて、イロの両親の描写はミミとソルト博士とは異なったものでした。同じ回でいろは先輩がおばあさんとして描かれていた事も踏まえると、今回のココナの台詞「前はね、お姉さんだったの‥その前はおばあさんで、その前は赤ちゃん」にはかろうじてPIの正体の一端が含まれていた様にも思えます。

異なる世界で異なる役を演じるそれぞれの人物の魂(の様なもの)の表層(一面)があり、そこから自ら(ココナ)の望むイメージを見出すという世界観が浮かび上がってきました。

これはもうSFというよりはファンタジーや寓話の類で、私はメーテルリンクの「青い鳥」を思い出しました。魔法の帽子に付いているダイヤの徽章をちょこっと回転させると、腰の曲がった魔法使いのおばあさんが美しい王女様に見えたり、火だのパンだの、様々なものに宿る精を見る事が出来たり、もっと回すと過去や未来の風景まで見えたり‥。

ココナの抱える未来への不安や他者に対する疑心暗鬼、その様な目に見えないものに対する恐れが、パピカやヤヤカの友情、自身の成長によって晴れていく。そんな物語でした。
{/netabare}

OPの「Serendipity」を担当されたのはZAQさん。「紅殻のパンドラ」他色々なアニメに楽曲を提供している引っ張りだこの人。EDテーマ「FLIP FLAP FLIP FLAP」は伊藤真澄さんの作曲によるもの。「人類は衰退しました」のEDのちょっと不安気なふわふわとした雰囲気の曲を綴られた方です。絵本みたいに美しい絵と元気に動くディフォルメキャラが同時に描かれるEDムービーは必見の面白さかも‥。

劇中音楽とEDの編曲及び歌の担当は※TO-MAS。日常世界では沈んだ感じのピアノソロ、ピュアイリュージョンやパピカが登場するシーンでは賑やかでワクワク感全開の楽曲が光ります。

脚本は綾奈ゆにこさん。「人類は衰退しました」とか「電波女と青春男」の製作にも参加されている方です。

思い切りのいいアクションとか、柔らかな背景描写は初期のスタジオジブリの作品を髣髴させます。邪推かも知れないけれど、王蟲とかメーヴェとか飛行石っぽいのとか「メガネ、メガネ」(笑)とかやっぱりパロディ? 否、オマージュとして受け止めましょう。

フリップフラッパーズのレビューらしく、どちらも真なりの二通りの"最後まで観終えて"で締め括りたいと思います。

最後まで観終えて その1
{netabare}
夢の中の夢、その夢の中の夢、以前本レビュー内でPIはフラクタル構造の様なものでは?と言及させて頂きましたが、フリップフラッパーズの世界観はそれにちょっと近い印象でした。

ただ、面倒な説明を避けてひとたび"PIでは何でも有り"を押し通してしまうと積み上げてきた謎の価値が暴落してしまいます。ファンタジーにせよSFにせよ、ミステリーにせよバトルにせよ、一定の決め事があってこそ魅力が生まれるわけで、そういった枷を一旦外してしまうと答えの無いなぞなぞ同様、または裏ワザ使ったゲームみたいに、推理の楽しみも得心の喜びも気の抜けたものになってしまうのではないでしょうか?

ココナとパピカ、ヤヤカの友情物語にしても、優しさや思いやり、寂しさなどは伝わってきたものの"好き"を呪文の様に繰り返すだけで"なぜ"が足りない印象でした。

中盤で登場し、最終回ちらっとだけ顔見せがあった"いろは先輩"についても掘り下げが足りず終幕の下りに‥(汗)マニキュアを塗るいろは先輩と塗らないいろは先輩、怖いお母さんと優しいお母さん、どこにも行きたくないココナと冒険したいココナ、いずれも真なれど、それ故に"何を描いてもOK"となってしまいます。

思い返してみると色々とやりたい放題な事をしていただけで、中身はあまり無く「天元突破グレンラガン」みたいに感傷に訴える、勢いで見せるタイプのアニメだったのかも‥。でも※ドラッグムービーとしては振り切りが足りず、楽しさの性質の多くがパロディの域に留まってしまっていた点は残念です。変身"フリップフラッピング"についても最後まであざとい印象を拭い去る事が出来ませんでした(汗)

楽しい場面はあれこれ有りましたが、一貫性とテーマが希薄で、伏線の回収も大雑把、今ひとつ感動には至れない煮え切らなさがあるアニメでした。

※:トリップムービーとも。麻薬などによる幻覚状態を視覚化した映像とされる。ブリキ男は怪しいクスリを使った事は無いのであくまでも想像の話。
{/netabare}
最後まで観終えて その2
{netabare}
世界はただそこに存在し、見る角度によって如何様にも変化する。"失敗するからやりたくない"を"成功を信じてやってみる"にする事も出来るし、周りの人間はみんな悪人と思う事も出来れば、逆に善人と思う事も出来ます。同じ様に、つまらないと思えるものを素晴らしいと思う事だって出来てしまいます。

疑いや恐れは健康な人間の至って当たり前の感情ですが、少しばかりの勇気と素直さ、そしてちょっとしたきっかけで振り払える。ココナはPIでの様々な冒険を通してそんな事を学んだのでは無いでしょうか?

不満な点が多く残るアニメでしたが、前半の謎の提示の仕方は素晴らしく、6話の展開では釘付けになり、最終話までは毎回わくわくしながら視聴していました。

今期観たアニメの中では最も実験的でインパクトのあるアニメだったと思います。
{/netabare}

※:EDの「TO-MAS feat.Chima」という記述が気になって調べました。

TO-MAS feat.=TO-MAS SOUNDSIGHT FLUORESCENT FORESTは伊藤真澄さん、ミトさん、松井洋平さんからなる音楽ユニット名。ただ"TO-MAS"と略記されている事もある様です。Chimaさんは北海道札幌で活動するシンガーソングライターとの事。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 37
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

世界には魅力が詰まっている! ~不確定な未来(世界)への冒険~

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
雰囲気系アニメとしては、かなり高いクオリティ。作り手の遊び心というか、自由度を感じる。ストーリーは一応流れているものの、基本は1話完結なので、(終盤以外は)どこを切り取っても面白い。私は考察しちゃったけど、「考えるな、感じるんだ!」で、翻弄されるように楽しんだ方が、良いかもしれませんね。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
これぞアニメーション、っていう作品。

風景は昔のアニメのようで好印象。絵が綺麗、というのとも一味違って、なんか魅力的。現実ではありえない世界観と合わせて、正に「アニメでしか観られない」物語だと思います(同時期の「オカルティックナイン」が「言葉で魅せるSF」なら、「フリップフラッパーズ」は「映像で魅せるSF」といった感じでした)。

何気に好きだったシーンが、第1話でココナがパピカと出会うシーン(路面電車のところ)。踏み切りで待つココナは、ふと空を見上げます。そこに、不思議なボードに乗った少女が空を飛んで現れるのですが、それに気付いたのはココナだけでした。なぜなら、他の生徒はみな、スマホをいじっていたから(背景となっているモブの生かし方が絶妙)。

私事ですが、今の職場からの帰り道、必ずとある高校前のバス停を通ります。時間的にちょうど高校生達がスクールバスを待っています。バス停の前には20人近くの高校生が立っているのですが、皆一様に視線を落とし、スマホをパチパチ。あれは凄く、もの凄く異様な光景です。

すぐ隣にいても、隣には誰もいない集団。普通、隣の人と世間話のひとつでもしませんか? 同じ部活の奴とか、クラスは違うけど同中でそん時しか会えない奴とか、いないの? 懐古主義のおじさんの戯言かもしれないけれど、彼ら彼女らは、何か大切なものを見落としていると思います。

例えば、パピカとの素敵な出会い、とかね(笑)

本作では、ココナとパピカが現実と空想の境目のような不思議な世界(ピュアイリュージョン)を冒険して回ります。まるで、サン=テグジュペリの「星の王子さま」のような世界観(もしくは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」)。「星の王子さま」の有名な一節に、「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ」「いちばんたいせつなことは、目に見えない」「子どもたちだけが、なにをさがしているのか、わかってるんだね」 などというものがありますが、同じようなメッセージを、この「フリップフラッパーズ」からも感じました。

この作品を貫くテーマは、「不確定な未来(世界)への冒険」だと思います。それを、百合と神作画に乗せて、雰囲気アニメとして表現したのが、「フリップフラッパーズ」という解釈です。

最終回では、母親の比護下から飛び出すココナが描かれていました。例えばお祭りなんか、子供の頃は家族と一緒に行っていましたが、中学生くらいになると、友達だったり付き合っている相手と一緒出掛けるわけで。親としては寂しいし不安だけど、やっぱり子供としては成長なんだと思います。そういう比喩(親離れ、子離れ、冒険、成長)に感じました。

最終回では一度、「現実世界風ピュアイリュージョン」に行きます。全体を通し、灰色の(色の少ない)暗い風景。テレビからは不幸なニュースが流れ、街には機械の音だけが無機質に響く。ユクスキュルはただのウサギになり、セーラー服も地味に(笑) これまで見てきた数多のピュアイリュージョンの中でも一番つまらない世界。

でも、それこそが私達(視聴者)が生活しているリアルな世界なわけです。

これ、1話冒頭のココナが塾で模試を受けている場面(世界観)に似ていました。(もしかしたら、あのテストの最中にココナは初めて能力を発動させ、そのあと過ごした世界はずっとココナのピュアイリュージョンだったのかもしれませんね。)

そんな灰色の世界に再び現れたパピカ。パピカの登場と共に音楽(特殊挿入歌)が鳴り始め、世界は色を取り戻します。そして、ココナとパピカは手を繋ぎ、そんな灰色(リアル)の世界を飛び出します。

(そう考えた時、この「フリップフラッパーズ」という作品自体が、毎週、私達(視聴者)をリアルの世界からピュアイリュージョン(アニメ、空想の世界)に連れていってくれたのかも。ココナにとってのパピカが、私達(視聴者)にとってのフリップフラッパーズ、みたいな感じ。毎週、難解で不思議な話ばかりでたくさん振り回されたけど、なんだかんだ楽しかったな~、というこの作品の感想は、ココナがパピカに抱く印象と同じなのかもしれませんね。)

ラストシーンもまた印象的。まず、ユクスキュルが空を見上げ(多分そこにはパピカとココナがいて)、続いてヤヤカも空を見上げます(この時の表情が実に良いです。眉間にシワが寄り眉毛が下がる困り顔でありながら、口角は上がり、口元は笑顔。苦笑、「アイツらしょーがねぇーなぁ」という声が聞こえてきそうでした)。続いて、歩道橋で遊んでいたトト、ユユ、ニュニュが空を見上げ、絵を描いていた いろは先輩が空を見上げます。私はここに、前述の「1話でのパピカとの出会いのシーンでうつむくモブ達」との対比を感じました(世界の美しさに気付けた人達)。ユクスキュルやパピカと仲良くなった、ヤヤカ。戦い以外の日常系を得た、アモルファスの子供達。空を切り取ったいろは先輩の爪には、しっかりとマニキュアが塗られていて。それぞれのサブキャラもちゃんと「何かを得た」んだな~と、感動しました。

この作品はとにかく難解で、最終回を見終えても、正直半分も謎を解けていないように思います(つか100%理解できてる視聴者っているのかな)。なんだったら、制作自身も明確な答えがない、あるいは求めていないのかもしれません。

「あなたに世界はどう見えていますか?」……

この世界には、見えないだけで、見てないだけで、気づいていないだけで、気づこうとしていないだけで、実は魅力がいっっっぱい詰まっているんだよ!

未来は不確定で、100%こうなるなんて保証はないけれど、だからこそ面白い。さあ、冒険にいこう!

具体的に言えば、考察なんかしきれなくても良いじゃないか、さあ、アニメを楽しもう(笑)!

と、そんなメッセージが込められた作品だと思いましたw

「フリップフラッパーズ」……「flip flap」で、宙返りの意味。確かに、作風に合っています。しかし、「flip」だけなら、「はじく、めくる」。「flapper」だけなら「おてんば娘」。私は、単語を分けた方が好きですね。

「世界をめくるおてんば娘達」

なんか素敵でぴったりなタイトル解釈だと思うのですが。
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
我々は、灰色の日常の中にある、素敵なモノを見落としてはいないだろうか?

美しい映像で描かれた素敵で多彩な世界が、「不確定な未来への冒険」を疑似体験させてくれます。

難解ながらも、キッチリと感動を伝えてくれる、良作です。
{/netabare}

【余談 ~パロディーまとめ(気付いたものだけ)~】
{netabare}
スペースダンディに似ている。もしくは、不思議の国のアリス(第2話なんてモロに)。

てか、パロが多すぎ。個人的には、パロなんか入れ込まなくても、素敵な絵と魅力的なキャラ、不思議な世界観だけで充分に良作に成り得たのでは? という立場(パロにはやや否定的)です。

1話→ジブリ(魔女宅&トトロ&ナウシカ&ラピュタ)。2話→アリス。3話→北斗&ドラゴンボール&スケバン刑事&セーラームーン&必殺仕事人。4話→エヴァ&ナディア? 5話→スペースダンディ? 6話→まどマギ? 7話→スタンドバイミー? 8話→超新星フラッシュマン? 10話→エヴァ? 11話→ラピュタ? 12話→ロックマン(笑) 13話→ドラクエ(笑) セーラームーンやらスケバン刑事やら、これまのネタ元のポスターがw

第1話の中には有名な錯視(ルビンの壺、少女と老婆、少女と骸骨)が登場しますが、この3つは全て「ちょっと立ち止まって(光村図書・中1版)」という、国語の教科書に載ってるやつなんで、そこからとったのでしょうね。「私たちが見ている世界だけが世界じゃない」ということでしょうね。

ココナが授業中に読んでいたのは、夏目漱石の「夢十夜」。現在過去未来の不思議な世界を夢でみる小説で、明らかにフリップフラッパーズと被る。

EDは「ヘンゼルとグレーテル」? 幸せは意外と身近にあったとか、そういうノリか。
{/netabare}

【各話感想(レビュー)】
{netabare}
【印象に残った回①】⬅一番好きな回でした。
4話。これといってなにかあった回ではなかった。サービス回? 無人島回? 百合回? まあ、なんでもいいけど、何かは分かんないけど、とにかく面白かったというのが率直な感想。パピカの部屋(土管ホームw)に入った瞬間の明るくカラフルな世界。無人島で迎える、夜の暗い海を照らすわずかな月明かり。対照的なんだけど、どちらにもハッと息を飲むような美しさがある。この作品の作画は、軽く流す所と「見せ所」を意識して力を入れるところの塩梅が実に上手く、的確だと思う(この姿勢を「ろんぐらぁいだぁす」に欲しかった)。エピソード的にも、時間の経過の中で、切るとこ切って見せる所はしっかりじっくり魅せている。なんか、「ステキ」が詰め込まれたような世界、というか、「素敵な写真で埋め尽くされたコルクボードを眺めながら共に思い出を語っているような幸福感」を覚えた良回でした。まっ、今になってもイマイチ意味は分かりませんが、雰囲気アニメの完成形のようにも思います(流石に言い過ぎかなw)

【印象に残った回②】
5話。ループ&ホラー回。がらっと作風を変えてきた回。スペースダンディのカレンダー回に近い感じ。しっかし、怖かったw なんどかマジで鳥肌たった。制作が楽しんで作っているのはわかる。

【印象に残った回③】
6話。なんか毎回になってきた(笑) いろちゃんは美術部の先輩(彩いろは)。 いろはがパピカでパピカがいろは? でも時代背景が? 過去に飛んでいろはの代わりにいろはのトラウマを解消したのかな? とすると、ピュアイリュージョンとは、人々の純粋な記憶の世界、とか?

【印象に残った回④】
7話。とにかくもう、M・A・Oさん凄いっす! こうして聴いてみると、本当に声優さんって技術職なんだと分かる。

【印象に残った回⑤】
8話。いや、ホントにもう毎回凄くて(汗) ダレる回がない。ロボ展開はそのうちあるかもと思ってたけど、まさか挿入歌まで作るとは(笑) Cパートはなんか怖かった……。

【印象に残った回⑥】
10話。やはりお祖母ちゃんは敵だったか。まあ、それは何となく分かっていたけど、ロボだったとは。謎解きが始まり、ラストへの助走となってましたね。

【印象に残った回⑦】
11話~最終話。ここまで、1話完結形式で様々なピュアイリュージョンを巡り、少しずつストーリーを進めてきた本作。11話を境に、伏線を回収しつつ一気にまとめてきましたね。ラストは「友達を救いにいく」「崩壊する世界を救う」という、THE王道の展開。母親の重すぎる深すぎる間違った愛……リアルモンスターペアレンツになっていましたね(笑) 13話は、これまで以上に意味不明な展開。謎解きが謎解きになってないよ(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 35

65.2 2 2016年度のZAQアニメランキング2位
コンクリート・レボルティオ ~超人幻想~ THE LAST SONG(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (137)
832人が棚に入れました
「神化」という架空の年代、高度成長によって発展する戦後20余年の日本が舞台である。これまで数々のフィクションで描かれてきた、数々の超人たちが、もしすべて同時に実在していたとしたら?2015年10月よりTOKYO MXほかにて放送された第1期の続編“THE LAST SONG"が4月より放送開始!!モザイクのように散りばめられた無数の要素が新たに語られる超人や秘匿されてきた歴史の真実と化合してスパークを放つ。「もうひとつの日本」で展開する多彩な超人たちの饗宴はいまクライマックスへと高まる!

声優・キャラクター
石川界人、上坂すみれ、豊崎愛生、中村繪里子、川島得愛、金尾哲夫、鈴村健一、大川透、三木眞一郎
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

自分自身が変わったら再視聴したい

2016年4月~7月放送。分割2クールの2クール目。第14話から第24話までの11話。オリジナルです。
全話見て、頭の中が整理できずしばらくは何を書けば良いのかと思っていました。(ジョーカー・ゲームに浮気もしてましたがw)
癖が強く自分の頭で考えなければならない作品で、最後まで本当に素晴らしかったです。

最終2話が詰め込み気味なのがもったいなかったのと、赤光さんの活躍がなかったのが心残りなのと、南君が姿を消していた間何をしてたかという疑問はありますが、作中で約10年という長いスパンで描かれた要素がほぼ全て結末に集約し、希望のあるラストになりました。
部分的に見ると難解ですが、全体の流れをシンプルに考えればむしろスマートにさえ感じます。

以下大まかな感想と総括です。

【機械超人たちについて】{netabare}
来人はもちろんですが、アースちゃんとメガッシンも随分描写が増えましたね。
彼らの正義と現実に対する向き合い方は人間にも通じています。
来人は自身の正義に対する矛盾を解消できず、極端から極端に走りましたが、矛盾を抱えるのが当たり前の人間の人格をそのまま機械の体に移植したことに無理があるということでしょうか…
来人が生き生きしていたのは第1期ラストで爾朗を助ける時、最終決戦前にメガッシンと一緒に行動していた時ですが、どちらも単純で純粋な正義を他者と共有し行動した時なのかなと思います。
アースちゃんは現実との矛盾に夢を見ること(嘘を体験すること)で折り合いをつけ、外見が変わってからは人間の子どもが成長したかのように頭が柔らかくなっていますし、薫と美枝子は明確な正義と二つの視点(他者の視点)を持つことで多角的に状況判断することが出来ています。

人間たちが葛藤して時に考えることをやめてしまう中で、彼らの姿はむしろ人間的に感じられます。人は逃げ道を探せるけれど、機械はインプットされたものからは逃げられない。だからこそ学習しながらも愚直に正義を追い求めていると感じました。
{/netabare}

【ゲスト脚本家回について】{netabare}
図らずも皆神様回にw
いずれも人ならぬ存在との関係性を三者三様に描きました。
どれも素晴らしく、個性も顕著でしたしきちんと本編にリンクしています。

中島かずきさん回は人間と超人の能力的な垣根の無意味さ、土着の神が人との「繋がり」を望む姿とそれに応える人間を描きました。
個人的に原始信仰に近い神様との距離感の描き方に一日本人として共感しましたし、人ならざる存在が人にとって重要なものであることも再認識させられます。

辻先生回のデビラとデビロは人に干渉しようとせず、なにものにも垣根を認識しない思考の持ち主です。9話は時間的な無限、17話は空間的な無限が印象的でした。
デビラとデビロは、神とデーモンと人間の関係性を冷静に考えられなかった漫画版デビルマンのサタンをオマージュしているのでしょうか?デビロが中性的であることもサタンを思い出しましたが、男性と女性の外見的特徴を全てそぎ落としたようなデザインである点は対照的ですね。

虚渕玄さんの回はストーリーの本筋に組み込む形になっていました。垣根を頑強に作ったことで破滅に向かう米軍の姿は恐ろしいものでした。米軍の正義は古き存在のみならず同じ人間さえ考え方が違えば排除していくのでしょう。{/netabare}


【正義と自由と平和をいかに実現するか】{netabare}
爾朗は正義が見つからなくとも追い求めることに意味があると結論を出しました。
自分の正義を見つけたいという意味でもあり、他者の正義を尊重するという意味でもあり、正義を持たないことを悪いとも思わないという意味でもあるのかなと思います。
これは13話で神が爾朗にぶつけた「僕の自由を守れば平和が乱れる。君の正義を貫けば僕の自由が侵される。たった一つの答えなんてない」という言葉への爾朗なりの回答です。
機械超人たちにも感じたことですが、正義を独りよがりのものにしないためには、他者との共有と柔軟性は必要なのだと思います。

「正義は1つじゃない」と言うと投げやりにも聞こえ、大鉄君が反発するのはよくわかります。
でも実は逆で、正義がいくつもあることは否定されてはいけないんです。超人は無数にいて、普通の人間も超人と呼ばれることもあります。超人にはそれに対する悪が存在すると語られているわけですが、それはつまり正義がいくつあっても許されるということなのでしょう。
それに対して唯一の正義と定義したものを他者に強要し、正義がエゴへと姿を変えた米軍の姿は象徴的です。

笑美が「家族、友人、愛のために戦う時、私たちはもっと強くなれる」と語れば、爾朗はそれが恐いと言います。
特定の何かを守ろうとすれば、つまり誰かを敵と認識すれば、自身が破壊者になる危険性がある事を爾朗はわかっているからです。

里見は超人を否定し消し去ろうとしています。超人「だけ」を消そうとすることは、線引きできないものを線引きしようとしているということです。
13話で秋田課長が改定綺能秘密法案を無理にでも否決に持って行ったのは、法による線引きが超人への攻撃に繋がるとわかっていたからで、里美のしようとしているのはやり方こそ違いますが似たようなものでした。

線引きすることで可能性を奪い取るこのやり方は、爾朗にとっては到底認められないものだったと思います。

しかし、爾朗自身も実は間違えかけていました。
自分を悪に仕立てて超人たちに居場所を作るということは、その時には良くても、その後にはまた同じように敵を見つけ出して争うことになるでしょうから。
そうならなくて良かった…里見さんある意味GJ!w
{/netabare}

【大人になるということ】{netabare}
本作において「大人になる」とは、常に自分の頭で考え、多様性を受け入れ、矛盾とも折り合いをつけて生きて行くこと…だと感じましたが、まだよくわかってないかも知れません。

私個人としては、里見さんの言う「大人」は大人だとはどうしても思えません。人間は多様性を否定して特定の正義を与えられれば思考停止に陥るものです。

超人を信じる子どもの自由な視点はある意味では確かに無知から来るものです。社会に出てさまざまな価値観を学び矛盾を認識すれば、子どものままの価値観ではいられません。
ですが、子どもの視点を否定したからといって大人になれるわけではないはずです。

爾朗にとって良かったのは、超人課に守られ、社会経験を積み自分で考えることが出来たこと。悩みながらも自分から超人課を離れたのは、雛鳥が巣立つのと同じように必然でした。
誰も守ってくれなかった神は悲しい最期を迎え、上から正義を押し付けられた大鉄君は自分で考えることができず、大人ぶっていても心の中では子どものまま泣いている。
新宿の事件で神を助けられず、むしろその場にいた超人たちに救われた爾朗が、最終回では大鉄君を助けることが出来たのは、爾朗自身が成長したことの証明でしょう。

また、爾朗の成長には輝子と風朗太が超人課に入ったことが大きく影響しています。
ずっと変わらない風朗太は純粋でシンプルな視点を思い出させ、輝子は知らぬ間に爾朗を追い抜き、超人課の矛盾をわかっていても超人たちを守るために残留するまでに大人になっている。
二人とも爾朗が人間として成長する上で大きな存在だったと思います。
{/netabare}


13話と最終話は様々な意味で対比されていて特に素晴らしかったです。
特に13話の神化20年のシーンは、元ネタ的に衝撃と不安と悲しみばかりだったのですが、最終話ではこんなにも希望に満ちたものに見えるとは思いませんでした。
何年か経ったら自分の見方も変わっているでしょうから、是非再視聴したいですね。(2016.7.18)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 14

ezo さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

正義とは幻想か

2015年秋に放送されていた「コンクリート・レボルティオ」の分割2クール目。

ジローが超人科を抜けた後の話になっているので1期ほど1話の中で時間軸が飛ばなくなり、1話完結系の話も増えたからか大分見やすくなりました。

21話からは話も大きく動き始めラストスパートといった感じで盛り上がってきました。

見ている人は少ないですが個人的にはもっと評価されてほしい作品。

詳しい感想は全話見終えてから。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 8

37111 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

自分にはマッチしなかった。

2期

1期観ないと全く分からない話。
正直途中から話がよくわからなくなった。結局このアニメで作者は何を訴えたかったのだろうか。
戦争反対?差別反対?そういったことを別世界って設定を借りて表現したかったのだろうか?
もうちょっとエンターテイメント性があっても良かったんじゃないのかなぁ

そう、途中から退屈だった。


あと、絵柄と動きがちょっと集中力を妨げる。


頑張りは認めるんだけどね。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7
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