Production_I.Gでサイボーグなアニメ映画ランキング 5

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のProduction_I.Gでサイボーグな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月25日の時点で一番のProduction_I.Gでサイボーグなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

86.6 1 Production_I.Gでサイボーグなアニメランキング1位
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊-ゴーストインザシェル(アニメ映画)

1995年11月18日
★★★★★ 4.2 (1103)
6533人が棚に入れました
他人の電脳をゴーストハックして人形のように操る国際手配中の凄腕ハッカー、通称「人形使い」が入国したとの情報を受け、公安9課は捜査を開始するが、人形使い本人の正体はつかむことが出来ない。そんな中、政府御用達である義体メーカー「メガテク・ボディ社」の製造ラインが突如稼動し、女性型の義体を一体作りだした。義体はひとりでに動き出して逃走するが、交通事故に遭い公安9課に運び込まれる。調べてみると、生身の脳が入っていないはずの義体の補助電脳にはゴーストのようなものが宿っていた。

声優・キャラクター
田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、生木政壽、家弓家正
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

世界5分前仮説

押井守監督によるの攻殻機動隊シリーズ劇場版第1作。
劇場版は、テレビ版の「攻殻機動隊 Stand Alone Complex(http://www.anikore.jp/anime/475/)」のパラレルワールドという設定です。
世界観がよく似ているのでどちらから入っても大丈夫です。
しかし、テレビ版から見たほうがとっつきやすくていいと思います。

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 → http://www.anikore.jp/anime/1798/

イノセンス -INNOCENCE → http://www.anikore.jp/anime/1864/


人間の脳が電脳化され、ネットワークで接続されるようになった時代。
人形使いと呼ばれるスゴ腕のハッカーが、次々と電脳をハッキング。
それを追う公安9課(攻殻機動隊)の物語。


ガッチガチのシリアスなストーリーです。
テレビのシリーズとは異なり、タチコマという癒やし要素が存在していません。
もともとの硬派なアニメがさらに硬くなりました。


目立つ特徴は独特な間。
多くの時間がBGMと動画だけで占められています。
映像と音楽で表現される「行間」です。

しかし、いったんしゃべり出すと嵐のようなテーマ展開。

キーワードは、

・全と個の境界
・生命の定義
・現実と夢の境界

といったところです。
見るだけでくらくらしますね。
でも、そんな哲学を上手に表現するのが、このアニメの持ち味です。


みなさんは、「世界5分前仮説」ってご存じですか?
文字通り、この世界は5分前に生まれたという話です。

「世界は5分前に、5分前の状態で作られた」

別に30秒でも1時間でもいいです。
要するに、「記憶」は本当にあったできごとなのか、それとも植え付けられたものなのか。
それは証明できないという理論です。

このアニメでも似たようなことを表現しています。

自分という個が昔から確かに存在し、今も存在している。
それを証明する手立てはあるのか?
また、これからも個を存続させることはできるのか?

それに対していろんなアプローチをしているのが本作。
テーマは「アイデンティティ」。
カギとなるのが先ほどのキーワードです。


何やら難しいことを書きましたが、簡単に言えば、
{netabare}
素子(もとこ)「機械化しすぎてワケがわからなくなったけど、自分って本当に人間として生まれてここにいるの?」
人形使い「記憶があるんだから自分は人間と変わりがない。でも、自分をコピーで増殖しても進化がない」

機械に近い人間と、人間に近い機械。
さーて、そんな2者が合体したら答えは出るのかしら?
{/netabare}
ということです。

なかなか面白いテーマだと思います。
2度、3度と見ると、テーマにつながる新しい発見があります。
余韻が残り、いろいろ考えをめぐらせてみたくなる、そんな作品でした。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 59

ヒロウミ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

一般周知されることが無かった悲劇の名作

1995年公開作品?マジでっ!?原作マンガ1989年?マジっすか!?な物語。


この作品に触れるきっかけとなったのはパチスロ攻殻機動隊S.A.C 2nd GIGを打つ機会があり「タチコマ」のファニーな言動が面白くぐっと興味を引かれた。タイトルだけは聞いたことがあったがそれ以上もなく無関心そのものでした。


SF世界でゆったり流れる空気なのに至るところに撒き散らされた霧が充満しもやがかかったストーリー展開。退屈もハラハラも大きくあるわけではないがそれでも画面に食いついてしまうこの物語はマトリックスとセブンが合わさった空気感。そんな雰囲気が好きな方は事前情報無しでも楽しめる物語。この作品独自の専門用語が多いが何となく掴めると思います。


緻密に描写された世界、その世界を深く落とし込む劇中音楽、キャラクターに命を吹き込む声優さんたちの演技。Production I.G制作の近未来作品のロボットやアイテムやっぱ良い!良いぃぃぃ!
あにこれだと150位なんですね。ガタガタ物語&ロボダサなコー◯ギアスやS◯Oよりこれ間違いなく面白いと思うんだけどなぁ。


このシリーズ完走前からべた褒めしちゃってますが完走後再評価しようと思います。このシリーズの公開順序をご存知の方はご一報ください。
劇場アニメから出てしまっが故にエヴァほどの知名度を得ることができなかったのかもしれないが劇場アニメだからこそあるこのクオリティ。Production I.Gであれば大きな差異無く制作しただろうけど1年早く公開されていたらどうなっていたのか見物でもある。

タチコマいつ出てくるんやぁ?

投稿 : 2024/11/23
♥ : 31

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

とにかく、「原作漫画」を読んで欲しい。

スタンドアローンコンプレックスも本作も凄いが、この漫画が1989年に既に発表された奇跡を実感してもらいたい。

おそらく女性主人公では初の軍人の将校だし、インターネットに言及してるし、ポリティカルな部分でも読みごたえがあるしで「今」読まれるべき漫画の一つだ。

絵は正直クセがあり読みづらく、注釈を読まないと理解できない漫画(そんなの他にはファイブスターストーリーくらいか。。)だが、それ以上の価値があります。

※内容に関してですが、ネットのアクセスや人体改造による身体感覚の拡張によって、人々の意識やアイデンティティがほぼ無意味になり、ありとあらゆる「宗教」や「倫理」が解体され、唯一頼れるものは作中で語られる「ゴースト」
つまりは己自身の「自我」だけが頼りであるという話が全体を通した本作の確信になっています。

「そう囁くのよ。。私のゴーストが。。」というのは、人や社会が分断され孤立した際に、一体何が最後に残るのかという問いかけになっているところも見所です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 32

75.9 2 Production_I.Gでサイボーグなアニメランキング2位
イノセンス -INNOCENCE(アニメ映画)

2004年3月6日
★★★★★ 4.1 (769)
4245人が棚に入れました
草薙素子(少佐)がいなくなって3年後の2032年。
少女型の愛玩用アンドロイド(ガイノイド)「ロクス・ソルスType2052 “ハダリ(HADALY)”」が原因不明の暴走をおこし、所有者を惨殺するという事件が発生した。被害者の中に政治家や元公安関係者がいたことから公安9 課で捜査を担当することになり、公安9課のメンバーであるバトーは新しい相棒のトグサとともに捜査に向かう。

イシカワ(辻斬り) さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

あなたのハダリにゴーストは宿っているか

 記載されているレビューに対する反論・論戦を行いたい人は、メッセージ欄やメールで送りつけるのではなく、正しいと思う主張を自らのレビューに記載する形で行ってもらいたい。
 なおこれらのレビューは個人的推論に則ったものである。言い切っているような台詞も、独自の解釈の一環であり、一方的な決め付け・断定をしているのではないものだと思ってもらいたい。

『少女型のアンドロイド・ハダリが原因不明の暴走を起こし、所有者を惨殺するという事件が発生した』
 イノセンスのストーリーを非常に大まかにいうとこういう形になる。
 義体化。体の大部分を肉体ではなく、代替品でまかなえるようになったSFの世界の話である。

 ストーリー上、ゴーストという概念が非常に重要性を帯びてくるため、そこだけwikiから文章を拝借した。

ゴースト
 あらゆる生命・物理・複雑系現象に内在する霊的な属性、現象、構造の総称であり、包括的な概念である。作中においては主に人間が本来的に持つ自我や意識、霊性を指して用いている。
 要約すると人間の肉体から生体組織を限りなく取り除く、あるいは機械で代行していった際に自分が、自分自身であるために最低限必要な物、又はその境界に存在する物こそゴーストであり、生命体の根源的な魂とも表現できる。

 人形と人間の境界線をゴーストで隔てる、そういう考えが攻殻の世界にはあるようだ。
 では人間と人形の差は何なのか。また人が人形に求めているものは何かである。
 筆者はあるハーレムもののアニメを視聴していたとき感じたのだが、まるでキャラクターが生きているようには思えず、まるで人形に見えてしまったのである。なぜ、人形に思ってしまっていたのか。
 まず、女の子特有の、異常なまでの情報伝達の速さがある。人によっては光の速さで噂が伝わるとまで表現している。ハーレム状態で、主人公の男がそのうち特定の誰かと交際関係を始めたら、一挙手一投足、更には太腿や胸元などに視線を一つ向けたことまで、下手をすると一週間も経過しないうちに、見知らぬ女性にまで伝わってしまうことである。驚異的な噂話好きの女性達にとって、その程度は日常茶飯事なのだし、もっといえば生理現象といってもよい本能だと筆者は強烈に感じ、またそう思っている。
《「女」の字を三つ合わせるとやかましい意の「姦」の字になるところから》女はおしゃべりで、 三人集まるとやかましいという意味があるほどだ。
 それが起きるとどのような事態に変化するのか。何かあるたびに噂のネタにされ、ツツき回され、念入りに人間性を審査され、あること無いことまで吹聴され、話に尾ひれをつけられる。日常生活において支障を来たしてしまうのは無理からぬ状態になると容易に推測される。それがないのだ。
 また、ハーレムでも女性はちゃんと一人一人心を持っている。なので、相手にされず放置を続けると、不満が溜まる一方になっていく。そしてあるとき、見境も無く爆発したりすることがあるのだ。出物腫れ物ところ嫌わずという。だからといって、男が特定の女性一人に決めて行動すると、選ばれなかった他の女性の不満が爆発してしまうときがある。それがないと心を持っていないように感じるのだ。
 男性主人公からすると……
 誰にも女性の暴挙に対する愚痴一つ漏らせない。漏洩した瞬間から女性陣の一斉攻撃が始まるだろう。そして、いつ爆発するかもわからない不満を和らげるために、いつも周囲に気を使う仮面をかぶり、常に自制し続け、自らの意見が周囲にどう映っているかを考え、女性にとって都合の悪いことは何一つとして話すこともすることもできない。針のムシロ。恐るべき閉塞感の中で悶々とした生活を送ることになる……というのが筆者の考えだ。しかし、ハーレムものの中心にいる男性キャラクターにそういう経験したというのを見聞きしたことがない。もし誰か一人の女性だけに交際を定めた場合、女性同士の陰湿ないじめ、果ては自殺などに発展する可能性がある。ハーレムアニメの中でそのような事態になったというようなことも、筆者は見聞きしたことがない。

 ある女性アイドルの男性ファンが『○○ちゃんはウンチなんてしないんだ』といったという話がある。それを話題にしたところ、普通の人間なら、花くらい摘みに出かけることもあるはずだという反論も出た。
 アイドル業はファンあってのものなので、事務所側は汚いものは見せない、イメージダウンに繋がることなどさせたがらない。それは、ある女性アイドルの話を偶然仄聞した事項まで連想させた。アイドル自身、その人を演じていた。あの人はこういう人なのだという言い回しをしていたのを思い出す。等身大の人間ではなく、ドラマの中の登場人物のように演じているのだと。アイドルの語源は偶像である。
 ハーレムアニメのキャラクターは生きているようには見えず、単なる人形・マネキンだと自ら表現したことに対して、同じく自ら反証するとしたらどうなるのかと自問した。答えは、お約束によってアニメが成立するため、人形であろうと問題ない。噂話に興じるような女性特有の生理現象と思えるものがなくてもよい。問題ないという結果になった。
 その矛盾点がないとストーリーとして成立しないのならかまわないのである。それはお約束なのだ。
 単なる手抜きであったとするのなら、そういう矛盾点がなくてもストーリーとして支障を来たさないどころか、あるとストーリーが破綻したりする類のものだろう。
 女性的な生理現象としての噂話、光の速さで浸透する情報はなくてもよい。
 そういう思考にたどり着いて以来、筆者は生理現象のない人、極端な話、花も摘むこともない人の形をしたものでも気にしなくてもよくなったのである。
 筆者がなぜマネキンと評してしまったのかは、生理現象が無い=生きていないと感じたからだった。

 涼宮ハルヒの声優さんが、スキャンダルを起こした、起こさないで揉めたという話が出たことは筆者の記憶に新しい。声優さんとキャラクターは別の存在であり、非難するに値しないという解釈は十分成り立つ。しかし、中の人という表現もある。騒ぎになってしまう原因は、声優とキャラクターを同一視するか、それに極めて近い感情を有している人々がいるからだと推察できる。
 こうしてみると、ハーレムもののアニメはメタ的な作りになっていることに気付いた。まず男性視聴者がアニメの女性キャラを求め、アニメの女性キャラたちは一人の男性キャラクターを求める。その男性キャラクターは男性視聴者の分身として製作されているのではないかと思える。男性キャラクターは一人だけだが、男性視聴者は大勢いてかまわない。この特殊な構造を生み出すことによって、男性視聴者を満足させる試みがなされているのではないか? 以前なら、アイドルの恋愛はタブーのような人気業種だろうし、今でもあまり変わり映えがしないように思える。声優さんの例を挙げるまでもなく、恋愛対象などいないことが好ましかった。それをアニメというジャンルによって、アイドルを擬似的に恋愛させる、恋愛対象は男性視聴者の分身という形に変化したのではないだろうか。
 当然例外は存在するものの、基本的にハーレムものの女性キャラクターは男性視聴者を落胆させるような作りにはなっていないように思える。落胆するかどうかの基準についても、視聴者の目線は主観的であるため、確実性があるとはいえない。
ここまでのまとめとして、アニメのキャラクターも、人気女性アイドルも、同じく偶像的という類似点があるといっていいのではないか。
 男性視聴者の嫌がる生理現象を行わないため、結果として生きているように見えず、マネキンと思われてしまうことがある、ということだ。

 偶像化の類似種として登場するハダリ。
 アイドルも、人形・ロボットのハダリも同じように偶像の類似種としてみることはできるのだろう。ハダリそのものは、女性アイドルの代替品として存在しているような感覚を筆者は覚えた。求めるものを具現化する、というやり方はアニメもアイドルも、類似点がある。
 筆者が想起したもの。ハダリの存在理由は、俗に言う嫁ではないかという感想である。アニメの女性キャラクターを指して、自分の嫁だと思うことだ。嫁が画面から出てこないという表記があにこれにもある。あれだ。
 イノセンスの最初の場面を視聴していたとき、筆者の頭の中では、ある想像、いや妄想といってよいものが起きていた。

 以下妄想。
 俗に言う嫁を脳内で愛おしく思っている男性視聴者の学生が、いそいそと塾から戻ってきて、夜食を取りつつ、お気に入りの嫁の映っているアニメの視聴時間が来たのでテレビにスイッチを入れた。
 アニメの主人公の男性はあまり冴えない容貌で、これといった特徴もない人柄。人によってはへたれと呼ばれてしまいそうな性格である。そして、思春期の学生らしく、女性に自意識過剰になってしまいがちで、リビドーを押さえることが難しい感覚を受ける。
 嫁の傍に近寄って、欲情の視線で盗み見た瞬間……
 なぜか嫁は、激しく暴走し、信じられないほどの腕力で主人公の男性を素手で滅多打ちにし、撲殺してしまう。血塗れだ。鮮血が飛び散って文字通り周囲を塗り尽くしている。付近の壁によりかかるようにして斃れた男性主人公の頭蓋骨は陥没し、はみ出た脳が地面に垂れ下がっている。
 溜まりに溜まってきた怒りか、堪忍袋の緒が切れたように爆発したのか。
 周囲にいた人々は怯え、警察を呼ぶ。嫁は路地裏に逃げ込み追い詰められる。路地の突き当たりにまで行き着いた嫁は逃げ場を失っていた。
 そこにやってくる一人の刑事らしき大男。大男と対峙した嫁は叫んだ。
「私は我慢してただけよっ!私は男の奴隷じゃないっ!男のいいなりになんかならないっ!」
 大男は無言で拳を嫁に叩きつける。逃げ場を失った嫁は、どこから持ってきたのかわからない包丁で自分自身の体を切り刻み、自害した。
 凄惨な現場で取り調べが始まる。テレビ画面を見ていた学生の男は呆然として、一言いった。

「俺、殺されてる」

 以上妄想終了。

 ある若手の女性ニュースキャスターが、自分のいいたいことを表現したところ、職場の男性陣からいろいろといわれたという。あいつは生意気だ。人から言われたことをやっていればいいのだ。女が自分の考えをニュースでいうなどおこがましい、と。結局その女性はニュースキャスターを辞めたという。
 男性視聴者の手前、職場からいわれている手前、規制されているような状況と類似した不満。それが爆発したかのような……その記憶との連想を想起させる事件がイノセンスでは起きている。
 筆者のした妄想を、攻殻という形で表現したら、作品としてイノセンスができあがった。そんな感じがしたのだ。事実としてそんなはずはなかった。先に作品はできあがっているのだから。
 筆者が注目したのは、事件を起こしたのが人間ではなく、女性型ロボットのハダリであったことだ。人間型であっても、人ではないはずだ。しかし、どう考えても筆者からみてハダリは「生々しい女」だった。
 ロボットは怒りで人を殺さない、ロボットは逃げたりしない、ロボットは追い詰められたからといって自壊しない、……そのはずだ。それとも前もってプログラムされていたのか?
 男性視聴者の嫌がる生理現象を行わないため、結果として生きているように見えず、マネキンと思われてしまうアニメの女性キャラクターは、飽くまで人という設定だ。生身のはずなのだ。なのにイノセンスでは人形であるにも関わらず、ハダリは生身の女のように思えたのだ。
 それは様々な人々によって意図的に隠蔽されてきた、剥き出しの人間性が露出していたからではないか?

 イノセンスのワンシーンが回想される。
「ああ、俺もよくやるよ、感想」
「あんた出世しないな」

 義体化率が90パーセントを超えてしまう人間が闊歩する世の中で、人と人形の差は縮まり、曖昧なものになっている。それが攻殻の世界にみえる。では人と偶像の明暗をわけられるものがあるとしたら、それは一体なんなのか?
 そもそも、なぜそのような事件が発生してしまったのか、原因は何か?
 それを追っていくのが、筆者から見たイノセンスである。

 もし、嫁が暴走をしはじめたらどうするか?
「カオがよくてお金持ちで性格のいい若い男なら」
「今まで素振りもみせなかったけど、ほんとは冴えない男と付き合いたくないよね」
 人間からみたロボットの立場は、奴隷だという人もいた。ゴーストを持たぬ奴隷。ではその奴隷が人間性・ゴーストを持ってしまったらどうなるのか。
 アニメの女性キャラは決して男性視聴者の奴隷ではない。ゴーストはすべての女性キャラに宿っている。そういう人もいるだろう。しかし、アイドルとアニメの女性キャラを比較すると完全にそういい切れないところも出てくる気がするのだ。アイドルは実際にいるし生きている。アニメのキャラは生きているとはいえない、と言い切る人も出てくるだろうし、意見が分かれてしまうだろう。
 規制されていたものがなくなったとき、男性視聴者の予想外の言動が出てきてしまったらどうするのか。その時、若手の女性ニュースキャスターの職場にいた男たちのように、お前は黙って男の望んだとおりに動いていればいいんだ、といえばいいのだろうか?
 それとも、受け入れてやるのだろうか?
 薄い本が好きな、アニメ好きの男性たちの欲求を商品化するとどんなアンドロイドが作られていくのかと想像する。答えは、アニメのキャラそっくりのセクサロイドが作られるのではないか。キャラクターが描かれた抱き枕の発展版かもしれない。それと極めて類似するハダリ。
 ハダリから感じた……剥き出しに露出した人間性、そうみえたものが、ゴーストのように思えてしまったのである。ご主人様を殺害してしまったハダリにはゴーストが宿っていた。
 やたらと夜のオカズにされたりしているアニメの女性キャラは暴走しない。
 そこに、ゴーストは宿っているといえるのか?
 その話をしたところ、

『まぁ当然ゴーストが宿っていたから暴走したというのは間違いないですw』
『ゴーストがやどっていて大人しくしているとしたら、よほどのマゾですね』

 という意見が返ってきた。
 嫁に殺されるご主人様を題材にしたアニメを作るあたり押井監督はえぐい。しかし、その意図はどこまで一般視聴者に読み取られているのか。いや、筆者の勝手な想像にすぎないのか?

 そのようなことを夢想していた。忘れてもらってもいいのだが、心のどこかで筆者は問いかけてしまうようだ。


 あなたのハダリにゴーストは宿っているか、と。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 26
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

詩のようなアニメって表現がしっくりくる

押井守監督による攻殻機動隊の映画版第2作。
1作目の続きです。

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 → http://www.anikore.jp/anime/1798/

イノセンス -INNOCENCE → http://www.anikore.jp/anime/1864/


前作とよく似た雰囲気です。
オレンジを基調とした美しいグラフィックとBGM。
独特の間が目立ちます。
また、いったん口を開けば高密度な哲学的テーマが飛び出すのも前作と同様です。


正直、かなり難しい内容でした。
次々に出てくる仏典や聖書や偉人の言葉。
そして、映像による数々のトリック。
1回見ただけでは頭がパーン\(^o^)/です。

雰囲気や動きはいいんですけどね。
いかんせんわかりにくい。
何度も見るのを前提にしたほうがいいかもしれません。


今回の主人公はバトー。
ロボットの暴走によって所有者が殺害されるところから話が始まります。
単なる暴走なのか、それとも仕組まれたものなのか?
トグサやイシカワとともに捜査に乗り出します。
それに前作で{netabare}ネットの世界にダイブ{/netabare}した素子(もとこ)への淡い恋心が絡めてあります。

しかし、はっきり言ってストーリーはおまけみたいなもの。
テーマ性と雰囲気が肝ですね。

テーマは、

「人間と人形の違い」

でしょうか。
前作と似た感じかな?

「機械化された人体」と「疑似体験」がカギをにぎっています。
機械化された肉体は、どこまでが「人間」でどこまでが「人形」なのか。
存在する記憶は、どこまでが「現実」でどこまでが「虚構」なのか。
人間を人間たらしめるのは何か。
器なのか、記憶なのか、その両方なのか。
答えは出していませんが、その境界線のあいまいさを説いています。

しかしまあ、難しかったですね(少なくとも私には)。
前作もそうでしたが、それ以上の難解さ。

・難しい言葉をひもとくのが好きな人
・芸術的な雰囲気アニメが好きな人
・攻殻機動隊が好きな人

この3つを満たしている人に向いていると思います。
なんというか、詩を読み解いている感覚になります。
芸術的なのですが、視聴者に優しくない、そんな作品でした。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 53

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人間と人工知能。。何が違うのか?

人間が人間たらしめているのは、自分たちが「人間」であるということを「意識」しているからだそうで、「我思う、故に我あり」というわけである。

しかしもし、AIなるものに「意識」が備わったとしても、「意識」そのものが科学的に証明されない限り、それは「意識しているとプログラミングされている」という解釈になるそうだ。ということは、逆説的に言うと自分以外の人間が「人間」であるかどうかは本質的には理解できない。なぜなら、そこに歩いている「人間と言われるもの」は「そうプログラミングされた何か」かもしれないからだ。

あるいは、我々人間が飼っているペットやぬいぐるみ、自分の子供を可愛がったりするように、他者に対して感情移入できるよう「ロボット」や「アンドロイド」に「共感」できるほど感情が豊かである場合、「人間」が「ロボット」に「人間性」を見いだせれば、例えそれが「意識」など存在しない単なる「プログラミング」だったとしても。。。

「人間」はそれを「人間」として扱うのかもしれない。要はどう捉えるかは私たちの考え方一つで決まってしまうのだ。

例え実体のない2次元が対象であったとしても、それが「機械」であったとしても、そう思えたり信じたりすることによって幾重にも捉え方が変わっているのである。

そうした場合「人間」の定義とは一体何を指すのだろうか。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 28

65.1 3 Production_I.Gでサイボーグなアニメランキング3位
攻殻機動隊 新劇場版(アニメ映画)

2015年6月20日
★★★★☆ 3.8 (155)
1073人が棚に入れました
2029年3月、総理大臣暗殺事件という戦後最大の事件が発生した。
被害者の中には草薙素子のかつての上司、501機関のクルツもいた。バトーやトグサたち寄せ集めメンバーと捜査を開始する草薙。
「お前たちは私のパーツだ。パフォーマンスを発揮出来ないヤツはパージする」と言い放つ草薙に、「俺たちはパーツか?」と反発するメンバー。
事件の背後にあったのは、戦後の義体開発の行く末を左右する技術的障害【デッドエンド】をめぐる政治的取引。
さらに「洗脳・ゴーストへの侵入・疑似記憶の形成」を一度に行う電脳ウィルス【ファイア・スターター】の存在も見え隠れする。
そして、事件を捜査する中で掴んだ手がかりは、草薙の秘められた生い立ちにも繋がっていたのだった……。暗躍する謎のサイボーグ。
総理大臣暗殺の真相。“第三世界”の存在。その先に待ち構える罠。たった1人で己の“戦場”に向かう草薙は、後に残すメンバーに最後の“命令”を告げる。
「自分のゴースト(魂)に従え」。残された6人が己のゴーストに従う時、はぐれ者の寄せ集め集団は最高のパフォーマンスを発揮するチームへと変化する。
“攻殻機動隊”誕生の瞬間に、世界は震撼する―。

声優・キャラクター
坂本真綾、塾一久、松田健一郎、新垣樽助、咲野俊介、中國卓郎、上田燿司、中井和哉、沢城みゆき、野島健児、浅野まゆみ、潘めぐみ、麦人、宮内敦士、NAOTO

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

【あらそう】セルフオマージュの塊みたいな映画でしたが電脳化、義体化への答えは提示された意欲作では【窓の外だ!】

『新劇場版』と言ってますが95年の『GIS』のリメイクというわけではなく『ARISE』シリーズの完結編という位置づけです
『ARISE』シリーズに登場した人物たちの思惑に終止符が打たれるという内容であるが故に、例え『攻殻』ファンであっても同シリーズを観ていない方にはチンプンカンプンでしょう


逆を言えば『GIS』や『SAC』を全く知らなくても『ARISE』だけ観てればOK
今作に先駆けて『ARISE』をテレビオンエア用に再編集した『AAA』は放送開始当初なぜ時系列をシャッフルしているのか意味が理解出来ませんでしたが、たぶん「あらそう」で始まって「あらそう」で終わりたかったためでしょう(笑)


『AAA』で唯一オリジナルエピソードとなった『PYROPHORIC CULT』はクルツがファイアスターターを完成させる為、と素子の独立攻性部隊に国家予算が降りるキッカケの為、にあった一幕というだけで観ても観なくてもどちらでも


さて『ARISE』シリーズは一貫して人類電脳化、義体化への警鐘を鳴らしてきました
今作ではその答えが出るというカタチの結末となっています
感覚操作の危険性(Pain)、記憶操作の危険性(Whispers)、高度メンテナンスの必要性(Tears)、精神と身体の同一性崩壊の危険性(Stands Alone)
そして最後に今作では電脳の規格が更新されることで規格を選び間違えた義体が救済されること無く朽ち果てていくという【電脳と義体のシェア選択】がテーマ
その答えの鍵を握っているのが産まれた時点で全身義体だった素子、そしてクルツと言うわけ


電脳ウィルス、ファイアスターターに関する一連の事件は『ARISE』シリーズを全部観た方ならクルツが黒幕だとバレバレなわけなんですが、今回なんとそのクルツが密会中だった総理大臣もろとも爆殺されてしまう


荒巻の誘いを断り、独立行動を続ける素子は501機関時代の盟友でありつつ、今作では幼馴染であったことも同時に明かされるクルツの仇討ちを決意し事件を洗いなおしていくのですが・・・


みどころは『ARISE』シリーズから継続して真綾が演じることで血気盛んな若者として描かれる素子
可愛過ぎる沢城ロジコマ


そして今作で注目したいのは満を持してのコドモトコの登場、っていうかまんま子供時代の素子が描かれている
黄瀬総監督自らが描く子供時代の回想シーンは既に今作のクライマックスと呼べるのでは


さらに素子の義体がボロボロになっては更新されていくうちに『GIS』や『SAC』、あるいは原作に近いキャラデザになっていくのがポイント
これはまんまラストカットに繋がっていて、まあセルフパロディみたいなもんでオイラのように思わず笑っちゃうか、旧作が好き過ぎて怒りを覚えるかはその人次第ですかね


中盤ファイアスターターのホストが素子と同型の義体を使っていることから素子VS素子、というトンデモナイ絵面が繰り広げられるのも面白かったです


当初から過去作にも増して愚痴を垂れまくるキャラとして描かれていたトグサの憎まれ口も健在


久々に登場したツムギの大活躍は今作で最も泣かせるシークエンス
それに回想シーンに登場するツムギの幼少期は誰もがびっくりしたことでしょう
野島健児さん本人が一番驚いてましたからね


まあなんやかんや旧作ファンに言われていますが『GIS』でも『SAC』でもない上で“SFサイバーパンクサスペンスアクション”という『攻殻』の本文は全うしたのでないかとオイラは思います
それに話しが、キャラが、と散々文句を言われたとしても“音楽面に関しては完全に旧作と肩を並べてますしね”


強いて言うなら肝心の【攻殻機動隊が結成に至るまで】が描かれるという序文だったはずが、ほとんど成り行き任せで荒巻の下に就いているのが残念
もうちょっと盛り上げて欲しかったのが本音です


それとEXILのNAOTOが演じていたヤツはいてもいなくても良かったのでは?と(笑)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 19
ネタバレ

SUGAR MAN さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ロジコマとバトーさん

~~攻殻機動隊シリーズ時系列 (一部劇場版除く)~~
■草薙素子 陸軍501機関所属時代~独立部隊結成まで
・攻殻機動隊 ARISE(ALTERNATIVE ARCHITECTURE)2015年4月 - 2015年6月 (全10話)

■独立部隊結成~公安9課所属まで
・攻殻機動隊 新劇場版(2015年6月20日公開)←この映画

■公安9課のお仕事☆
・攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)2002年10月1日 - 2003年11月30日(全26話)
・攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 2004年1月 - 2005年1月(全26話)
・攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society 2006年9月(OVA)
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というわけで
この劇場版は少佐が独立部隊を結成してから公安9課に所属するまでのお話。

まったく新しいアニメとしてみたらどうなのだろう?
普通に面白くはあるのかもしれないけど、やっぱりS.A.C.が好きすぎるのでarise~新劇場版は比べちゃうとちょっとなと思ってしまう部分もいろいろね。。

音楽もコーネリアスだしもちろん良いんだけど、やはり菅野さんに慣れてしまってるんだよねw

意図的にだとは思うけど
音楽も少佐の性格もあえて無機質にしている感じがする。
S.A.C.はどちらももう少し遊びというか彩りがあって、そこが良いんだけどな。

それより一番気になったのは
{netabare}
arise観てたら黒幕もうわかってるし
あとは独立部隊にこだわってた少佐がどうして公安に入る気になったか、そこんとこちゃんと描いてくれるんだよね!?って期待してたのにそこがほとんど描かれてないっていう^^;
{/netabare}

攻殻の癒し系AIタチコマの前身ロジコマちゃんは相変わらず良い仕事してましたが♪
{netabare}
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ロジコマ「死んだ人はどうしました?」
トグサ 「どうしようもなかったよ」
ロジコマ「修理が不可能ならデータの回収と復旧をオススメします」
トグサ 「死んだら命もゴーストも復旧できねぇの」
タチコマ「不便なユニットですね。バトーさんは死んだことがありますか?」
バトー 「そのはずだったが全身義体になっちまったのさ」
ロジコマ「バトーさんが少佐のパーツとして働くのは死ぬためですか?」
バトー 「オレみたいないい男はなかなか死なねぇの。わかった?」
ロジコマ「はい。いつも貴重な学習経験をありがとうございます♪」

別のシーンで
トグサ 「みんな生きてるか?」
ロジコマ「死んだら修理できませんよ」
バトー 「いい男は死なねぇんだよ!」
--------------------
{/netabare}

S.A.C.は数年に一度は見直してるけど、そろそろまた見直す時期かなw


~好きなセリフ~
草薙素子「真実にたどり着くか、ここで降りるか、お前たちのゴーストに従え」

投稿 : 2024/11/23
♥ : 2
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ちゃんとARISE観終えてからにしてネ

円盤買ったので居間で飯食いながらTVで再視聴したんですが、コレ多分ヘッドフォンで観た方がいいですね。台詞聞き洩らすと思う。
かみさんが想像以上の喰い付きで、どんだけ攻殻好きなんだよと亭主引き気味な感じ(汗)
という事で、若干評価点上げます。

 本作の設定での素子は胎児状態での義体化な訳ですが、紅殻のパンドラの福音は10歳。
義体技術の成熟期にゼロから義体を動かすのと、義体技術の黎明期に一度自らの体を捨てての全身義体への適合ってどっちが難しいのかなとか思ったりすると、やっぱ紅殻って変なアニメですが最高に面白いプロットだったなと。

しかし、作品毎に素子の義体化の時期が違うってのも攻殻と言うコンテンツらしいというか(汗)
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押井版に肉薄する様な名作では無いですが、アニメとしてつまんなくはないと思います。
ただ押井版の"あ、俺なんかいい物見ちゃってる?"的なんか頭良さげなシンプルな美しさと完成度は無いです。別に私G.I.Sディスってませんからね。当時VHS版予約して買ったんすからw
正直、新劇場版は独立した映画としては並程度だと思います。
ARISEのTVシリーズのラストとしては満足ですが、個人的には何度も観たくなるという類の作品じゃなかったです。

 原作の冒頭花見のシーンの前が見たいって人にはお勧め。
なんで台詞を 桜の24時間監視・ヌードバーに連れてってやるぞ から変えたのかは?ですが。そもそもフチコマでないし。
そんなものが居るかは判りませんが攻殻難民が居るのだとすれば、そういう層に向けた作品としてはマズマズな出来な気はします。


 私はミリオタではないので見方間違ってるかもしれませんが、{netabare}序盤の大使館突入いくら何でも大味過ぎ。ファイナルオプションを見てるつもりがニューヨーク1997を見せられたような残念感w
小人数だから力技なのかもしれませんが、扉を抜くのに爆薬でなく連射とかやられちゃうと一気に冷めるというか。あれじゃ人質殺されなかった方が不思議。
アクションとしての見栄えはイイですが、もっと緻密な突入で他の戦闘シーンとの差別化しても良かったような。ド派手な戦闘ばかりで食傷気味なシリーズですし。
監視カメラ等の実行犯直視以外の目が多いであろうこの時代で、内視鏡やデンタルミラーでチマチマ覗く方がリスキーだから力押しって事なんすかね。

事の発端を"人形使い"に安易に直結させず、彼が生まれた情報の海を"第三世界"と表現して世界観の繋がりを意識させる作り自体は納得なんですが、故に原作なりG.I.Sを未見の人には訳ワカメになりそうな映画になっちゃってるのは商売的にどうなのよ?とは思いました。

 ARISEの鮨詰めの1時間程濃密でない作りにしてない訳で、なればこそクルツとツムギとの繋がりの部分はお涙頂戴とは言わずとも情感有る演出多めにしてくれた方が個人的には好みすね。施設の子供達という要素と鉛色の大人社会の構図でもう少し印象深い絵に出来たような。
というかラストでの残された施設の子供達に対し原作のあのセリフ吐く?
救済センターでジメジメしてた彼らと施設の子達って立ち位置がちと違う気がするんですけど。
{/netabare}

 ARISEシリーズの総体としての作りはとても親切で、絵と台詞を漏らさず注視していれば展開と物語に考察が必要とされないのはイイと思います。
その点では時代をちゃんと見てますよね、制作側が。
ただ如何せん、出てくる言葉等が攻殻と言う物を知っている前提なのは苦しいトコというか。
攻殻と言うコンテンツに目新しい魅力が無くなってしまった今、イマイチARISEがウケなかったのは出来云々を別として止むを得なかったのかなと。
私的にはジャンクフードの合間にちょっとイイお肉食わせてもらったみたいな満足感は有りましたです。攻殻が好きな方は見ても悪くないんでないかと。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 13

59.5 4 Production_I.Gでサイボーグなアニメランキング4位
009 RE:CYBORG(アニメ映画)

2012年10月27日
★★★★☆ 3.5 (152)
667人が棚に入れました
西暦2012年秋劇場公開される、神山健治監督最新作の製作が発表されました。タイトルは『009 RE:CYBORG(ゼロゼロナイン リ・サイボーグ)』です。日本SFマンガの金字塔であり、全てのサイボーグマンガ・アニメーションの原点である、石ノ森章太郎原作の『サイボーグ009』。『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズ、『精霊の守り人』、『東のエデン』の神山健治監督が自ら脚本・監督をてがけ、2013年という、リアルタイムな現代を舞台に、全く新しい物語を生み出します。

声優・キャラクター
宮野真守、杉山紀彰、吉野裕行、増岡太郎、丹沢晃之、大川透、斎藤千和、小野大輔、玉川砂記子

がぶりえる さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

答えてもらいたい!神よ!

ごめんなさい。3度見てようやく良さが少しわかりました。

僕はサイボーグ009をあまり知らない世代なので(平成版をちょこっと見ただけです。)00いくつとか言われてもちょっと分からない。さすがに、ジェットとか島村ジョーとか名前で言われればわかるけど。

劇場で3Dにて鑑賞した際(ちなみに2度)は映像の迫力を重視して見てたのでちょっとなんだかなぁ…と思ってましたが、2Dで改めて、ストーリー重視で見た感想としては、なかなか面白かったです。

ゼロゼロナンバーサイボーグ全員集合!みたいな画はなかったけど(あの予告は詐欺だろwww)、まぁ9人全員分の良さを出すのは流石に映画では尺的に難しいですよね。この辺は良くまとまっていると思います。脚本も手がける神山監督さすがです。そしてピュンマさん速攻退場おつですw。

キャラデザはリアル志向で結構、格好良かったんじゃないかと。原作旧作品のファンからはそうじゃないと言われそうですが。
個人的にはジェット(特に前髪垂らした状態がイケメン)と、ジェロニモの剛力覚醒シーン(同じ石ノ森章太郎作品の仮面ライダー2号の顔の傷跡が浮き出るのを連想させるような感じでとても良かった!これって元々同じようなキャラデザなのね。)が特別、格好良かったです。
しかし、リアル寄りにするとゼロゼロナンバーサイボーグの制服(スーツ)?のデザインがちょっと浮いてたかなぁ…と。。。

ん~。後は、ジョーとフランソワーズのイチャラブシーンはどうなのよ?いる?あのシーン。

結末について。あれは何ですか?やっぱアレ?上部構造へシフトしちゃったってヤツ??

惜しむべきは、監督が押井から神山に委ねられた事。いや、別に神山が悪いってことではなく、押井好きとしては押井作品で見てみたかっただけです。
天使の化石なんてモチーフ。完全に押井の持ちネタじゃん!www

投稿 : 2024/11/23
♥ : 3

イカちゃん☆休止中 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

☆甦る009

子ども向けのヒーロー色を排して、雰囲気が攻殻機動隊
の世界感でProduction l.Gとサンジゲンのフル3DCGが素晴らしい
です。

キャラクターデザインも攻殼ぽいです。008が考古学者なのが面白いです(*^^*)

内容はちょっと難解ですけど迫力ある出来映えです.:*:・'°☆

002がカッコいいです。


監督/神山健治

2012年10月27日公開

投稿 : 2024/11/23
♥ : 4

素振り素振り(咎人) さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

新時代への挑戦的な作品 喰い込み万歳

攻殻機動隊SACや東のエデンで有名な神山健治が未完の傑作と謳われるサイボーグ009をCGアニメとして製作したのが本作『009 RE:CYBORG』

オールCGでCGには「セルルックCG」を起用
昨今のアニメ映画では上位はCGアニメが独占しているためにCGを起用、CGを使いつつも日本独特の雰囲気を出すためにセルルックCGを起用
作画は多少のカクつきはありますが、それはセル画の雰囲気を出すためにわざとしたものなので突っ込むのは野暮と言うものです(うろ覚え)
個人的にはフランソワーズたんの索敵ワールドが超美麗で(セルルック関係ありませんがww)もう虜です(笑)、他にも細かい動きが凝っていて観ていて何だか楽しくなりました
終盤のテレポーテーションのシーンでのフランソワーズが他のシーンの彼女に比べて異様に可愛かったです
新時代を築くには十分な作画の良さでした、劇場で観る場合は是非3D視聴をオススメします(3D作品の恒例行事ですが眼鏡の人は眼鏡on眼鏡に成るのでご注意を笑)

音楽はいつも通りの川井憲次でした、要するに最高だったって事です^^
OPから、かの名作イノセンスを彷彿させる感じでかな~り気持ちが高ぶります
本編でのBGMのデキも良く、音楽のテンションは全体的に高め
多少BGMが台詞を邪魔していましたが許容範囲だったのでさほど気に成りませんでした

とまあ、作画と音楽は星評価で5をつけてしまうほど素晴らしかったです

肝心の内容ですが・・・個人的にはかな~り面白かったんですが一般受けはほぼ確実にしないでしょうね・・・
いつも通りの神山節でめっさ説教臭い(笑)←一応褒め言葉ですw
原作未読でも楽しめたという意見が結構見受けられるのですがそんなことは無いです(笑)
少なくとも『誕生編』と『地下帝国ヨミ編』は読んでおいた方が良いかも知れません(各00ナンバーの能力把握、00ナンバーから名前を引き出すのは基礎知識とします、本編内では名前も能力も説明が無いので・・・)
あとは神山健治や押井守等々の説教臭い作品に慣れておくのも出来ればやっておきたい事です、本作もそれなりに説教臭いので(笑)
では、本編について
まず始めに00ナンバーサイボーグ招集から始まるのですが・・・というかこの招集からラストまではすんなり進んでいって何だか物足りない感じでした
過去の神山健治作品では東のエデンに近い作品でした(消化不良感や物語の起伏の無さ等々)
原作では明確な敵が居ましたが本作は明確な敵は居るのですが明確とも敵とも言い難いもので何とも形容しがたいです(笑)
クレジット前のラストは後編が存在するかのようなオチでしたがあれはあれで一応完結しているのですが、まあ不満の人の方がが多くなるようなオチでしたね(私的には良かったと思うのですが)
とまあ、物語に起伏が無くとんとん拍子だったのに関しては不満が募りますが概ね満足出来る内容でした(ただ、確実にファミリー向けの作品では無いので要注意笑)
(地下帝国ヨミ編のラストを知っている人には思わぬサプライズがありますよ)
どうでも良いけどジェットとハインリヒの会話が無いのだけは俺は許さんぞ
あと、PVにあった全員集合のシーンが自分が見逃したのかもしれませんが無かったような・・・まず本編で全員集合シーンがほぼ無いに等しいと言う・・・残念

声優とキャラについては良し悪しの両方がわんさかありました(笑)
声優に関しては概ね良しで、悪い点というか微妙な点が一点のみ
その微妙な点ってのは皆さんご存知ピュンマさん、ピュンマのCVの杉山さんは十分頑張りましたよ、ただ新キャラデザと杉山さんの声が全く合って無いんですよwww顎鬚生やしたおっさんであの声はさすがにねwwwあれに関しては声優のチョイスミス若しくはキャラデザミスですww
とまあ声優に関しては以上、次はキャラについてです
原作通り各々のキャラに出番の差はありますね
ジョーとジェットが核と成るので必然的に出番は多かったです、んで全然出番が無かったのはこれまたピュンマさんwww神山監督はピュンマが嫌いなのかと思うくらい全てが悲惨です(笑)
他にはグレートが少し少なめなくらいで後は大体同じくらいでした
キャラデザが原作と比べかなりの改変が行われましたがどのキャラも格好良く成っていて満足でした(これまたピュンマさん除く)
例の彼以外はどいつも見せ場があって格好良さ満点
寡黙なジェロニモと哀愁漂うグレートはものすっごい格好良かったです、ジェロニモさんマジ無双www
フランソワーズは原作なんて比にならないほど可愛かったです、やたらに服が尻に喰い込んでるし、ご馳走様ですた(笑)
全体的に良かったです

と、以上の通り個人的には絶賛ものでした
是非シリーズ映画化してもらいたいものですが・・・難しいでしょうね・・・して欲しいですが
『過去の作品を用いて未来を築いた作品』
本作を簡潔に表現するとこのような感じですかね
尿意と戦いながら観ていたのでつたない文章でこの程度しかレビュを書けませんが素晴らしい作品であったことは確かです
本作は誰がための作品なのかそれは己の眼で確かめろ!!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 14

62.2 5 Production_I.Gでサイボーグなアニメランキング5位
攻殻機動隊ARISE -GHOST IN THE SHELL- 「border:3 Ghost Tears」(アニメ映画)

2014年6月28日
★★★★☆ 3.6 (165)
1050人が棚に入れました
恋人と甘い一時を過ごす休暇中の草薙素子の元に、仲間となったバトーから爆弾テロの急報が届く。その現場を制圧すると主犯のカルディス人の胸にはテロリスト「スクラサス」のシンボルが刻まれていた。それと同じ頃、山の手のダムで起きた爆発でひとりの刑事が死亡した。その所持品には“人魚の脚(MERMAID'S LEG)"と記された義体技師の名刺と義体の脚部が遺されていた。それを手懸りに死んだ刑事の後輩であるトグサが捜査を開始する。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

満を持して描かれる【恋する義体】のお話

常々思いますがこのシリーズに限らず『あらいず』や『チャンネル5.5』にOKを出してしまった現在、攻殻って何をやっても許されるフリーダムな作品なんだと感じます(笑)
今回もパズの「同じ女は~」のセリフや、トグサのマテバをバトーが指摘するなど小ネタがいっぱい


























前作で草薙素子の下には5人の仲間が集結し、独立部隊として認められる最少人数まで残すところあと1人となった
公安9課からの下請け仕事をこなしていくが満足な予算や権限は与えられず、傭兵のような厳しい扱いを受ける日々
特に義体の性能に頼りきった活動をしているため、義体を維持するための高度なメンテナンスは必要不可欠であり、切迫した状況下ではいずれ限界が来るのも目に見えてきていた


一方で素子は自分のメンテを担当する義体技師のホセ・アキラに絶対の信頼を置き、いつしか周知の恋仲となっていた


そんな最中に前作中の事件から名前が挙がっていたカルディス系難民が起こした爆破テロが発生する
素子達によって一瞬のうちに制圧されるテロリスト達だったが、一介の難民に過ぎなかった彼らに戦闘能力を与えたのは電脳に仕掛けられたウィルスと判明・・・
さらに爆破の手口も不可解な部分が残ったまま・・・
謎は深まるばかりだがテロリスト達の影にはかつて、カルディス人の独立軍を導いたとされる“英雄”スクラサスの姿がちらついていた・・・


























今回はシリーズでも特に『GIS』がお好きだった方にチェックしていただき内容ですね
人によっては「こんなのGISとまるで違うわ!ヾ(`д´)ノ」とお怒りを買うかもしれません;
それもそのはず、今作は冒頭より“少佐に恋人がいる”というシリーズファンのド肝を抜くサプライズから始まります;


さらには劇中で恋人とイチャつく姿(←マジ天使w)やおめかししてデートにいく姿が描かれており、ぶっちゃけると半分はシュールギャグと呼んでいいでしょうw


しかし残りの半分は大真面目のシリアスストーリー
前作、前々作とチラついてたカルディスタンと陸軍501機関という2つのキーワードを繋げ、遂に明かされる少佐の過去


そして“シャワーを浴びてベットで寝る”と徹底して人間くさい生活感が描写されていた今シリーズでの少佐を通して「全身義体とは人間なのか?サイボーグとは生命なのか?」が、改めて問われます


まさに『GIS』が描かんとしていたテーマです!
しかも今作の少佐は『GIS』とは全く異なる答えを既に見つけているんです!
この辺、是非に『GIS』がお好きな方にはチェックしていただきたい!


ドンパチは前2作より控えめ
監督、作監は黄瀬さん自身ですが、初めて浜名孝行さんが演出で名を連ねています


さて、前2作での伏線を回収しきったところで、今作で初登場する陸軍501機関における少佐の後継者、ツダ・エマにより物語は最終章へと加速していく・・・

投稿 : 2024/11/23
♥ : 15

ストン さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

草薙素子のラブシーン・・・だと!?

クールビューティ
決してデレないツンデレ
メスゴリラ
というイメージを持っていた少佐が、
漢とラブラブいちゃいちゃ!

やはりARISEというシリーズは今までの攻殻とは別物と考えたほうがいいのかな。
いや待て、この話は今までの話より過去だから、
この後、男に嫌気が差してあぁなった、という展開も考えられるのか・・・?

で、あらすじですが、
休暇中の素子は、美形の義体技師の干瀬晶(彼自身も全身義体)と仲良く付き合っていた。
どうやら、義体の整備をしてもらった時に、
生身の人間と同じように接してもらったことが好印象だったのかな?
この頃の少佐は「恋多き女(?)」だったようで、
短期間に複数の男ととっかえひっかえ付き合っていた模様。

そうこうしている間に、
ある秘密を探っていた刑事の一人がダム爆破事件と同時に殺され、
殺された刑事の後輩であり、捜査をしていたトグサが、
Mermaid's Legという義体を扱う干瀬に辿り着く。

水資源の利権を巡って暗躍する組織、
独立を狙うカルディス人の爆弾テロ事件、
そのテロ組織に戦闘技術と武器を提供している何者か、
それに干瀬が関係している模様。

テロを起こしたカルディス人には、
かつて大戦中の英雄「スクラサス」の紋章が入っていた。
スクラサスとはカルディス人のリーダーであり、
軍に所属していたときに素子が殺した「はず」であった。

このあたりの情報に関しても、
どうも胡散臭い部分がチラホラとあり、
観るものにいろんな想像をさせてくれます。

あとはやっぱり、見てからのお楽しみ、ってことで。


ところで、我らがサイトーさんは、
作戦室でも、作戦中でも居眠りしてました(笑)
いざ狙撃となったら身体を操られてイイトコロなし。

うぅ、次こそは、見せ場あるんでしょうか・・・。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 2

ヌンサ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

未熟さの表現

 border:2を観てから、なぜかだいぶ時間が空いてしまいました。それが影響したのか、声優陣に対する違和感が少し僕の中でぶり返してしまっている感はありました。

 今回観ていて一番興味深かったことは、素子の豊かな表情です。他のシリーズでは基本的に無表情な彼女ですが、これは昔の話ということもあって怒った表情が何度も出てきました。・・・結構好きです(笑)。

 相変わらず電脳戦であっさり負けることがあるので、他のシリーズにはない緊張感(?)もあって新鮮です。

 あと、他のシリーズに比べて物や施設を破壊している印象があります。若いからですかね(笑)?

投稿 : 2024/11/23
♥ : 7
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