Witch さんの感想・評価
4.3
原作愛が高じてアニメ化されたような作品
【レビューNo.92】(初回登録:2023/10/28)
コミック原作のOVAで2001-2002年作品。全4話。
交流ある「お茶さん」のレビューが琴線に触れたので、どんな作品なんやと。
>ガッツリと心をえぐってくる怪作(改題前)
なるほどこれは・・・
(ストーリー)
大谷ゆりは第9小学校に通う6年生。
この世界は度々エイリアンが飛来してくるので、学校には「エイリアン対策係」
が存在し、ゆりはその係に選ばれてしまう。
「エイリアン対策係」とは
・「ボウグ」と呼ばれる共生型エイリアンを頭にかぶり、学校に出没するエイ
リアンを撃退・捕獲
・他のクラスから
・川村くみ:優等生でしっかり者。(ずっとやっていた学級委員長に嫌気が
差し、それを辞めるために自ら志願)
・遠峰かすみ:天真爛漫な性格ながらも文武両道の天才児。(好きで志願)
優秀な2人に比べ臆病で泣き虫なゆりは、お荷物状態ながらも辞めることも許さ
れず、時には叱咤され、時には友情を育みながら活動に励むのだった。
(評 価)
ジャンル的にはSFダークファンタジーの部類に入るんですかね。
JSの緩い日常にエイリアンを登場させ、「鬱アニメ」的な展開をぶっ込んで
くるみたいな。
・原作愛が高じてアニメ化されたような作品
率直な感想がコレですね。
{netabare}・人気作だからとかヒットが期待できそうとかではなく
(って当時のことは知らんけどw)
・逆に尖った表現等クリエイター魂を見せるといった気負いとかでもなく
純粋に「ワイ、この作品めっちゃ好きだからアニメ化しちゃうぞ♡」みたいな?!
原作愛を感じる制作陣の仕事ぶりだったなあっと。
(って原作は知らんけどwそういう空気感がある作品かなっと)
視聴後の感想としては「鬱アニメ」なので、(ある意味気分は最悪ですがw)
それ以上のモノが残るって感じですね。{/netabare}
・いろいろとバランスが絶妙
「鬱アニメ」だからといって、ただ単に「胸くそ絶望展開」を見せればいい
というのではなく、きちんと面白い作品として成立させるために、いろいろ
と考えられているなっと。
{netabare}・JSという設定が絶妙
例えばこの世界の教師は何か企みがあり、対策係には厳しく当たります。
そんな先生は絶対的で逆らえないという従順さ(絶望具合)がいかにもJS
らしい。
そしてエイリアンとのバトルシーンなども、JSだからこそ少し緩さが生ま
れ、この作品として収まりのいいシリアス加減になっているという印象。
また全体を通して、まだ中学に上がる一歩手前の心の不安定さや純真さ具合
等も上手く織り込んでいるなというのを感じますね。
・ボウグ(共生型エイリアン)のデザイン等が秀逸
他のエイリアンはそれなりに敵っぽいデザインですが、このボウグは
・JSが頭にかぶったときどう見えるかを計算した「キモカワ」具合が絶妙
・戦闘形態といった「機能美」的な描写も秀逸
・JSと会話出来るのだが、その性格(作品での立ち位置)も巧み
(ついでにCV:中尾隆聖さんがこれまた名演)
作品のキモとなるだけに、本当によく考えられているなっと。
・陰と陽の使い分けも上手い
キャラデザや(一見した)世界観は緩い感じなので、鬱展開(陰)だけでなく
・その辺を活かした(陽)の描写だったり
・その(陽)があるから次の(陰)がまた映える
というバランスも上手く取ってるなという印象ですね。{/netabare}
・その他補足
「鬱アニメ」×「エイリアン」ということで、酷い展開や絶望感、グロ描写
が多く、この時点でかなり視聴者を選ぶ作品ですが、
{netabare}・振り返ると主人公ゆりのシーンの8割位は「涙目」描写だったのではw
しかもグズグズ・ウジウジって感じで結構イライラが募る。
→ でも作品としてはベターな描写になるのかなあ。
・原作は完結しているらしいが、アニメは途中で終わる。
→ 個人的には、これはこれで余韻を残す終わり方でアリかなあ。
・あとOPはキャラソンなんですが、1話目は微笑ましく聴いてましたが、
2話目以降は冒頭の歌詞
「~普通じゃない朝が来て~ナイフが刺さったハートが疼く~♪」
に何気に心が削られるんだよなw{/netabare}
個人的には
・好みかどうかでいえばあまり好みではないが
・面白かったかどうかでいえば、結構面白かったなあ
・客観的には4話であの完成度はかなり評価できるのでは
という感じですかね。
原作のよさもありますが、制作陣はホントいい仕事してるなと思います。
こんな作品、自分じゃ絶対手を伸ばさないだろうから、心を動かしてくださった
「お茶さん」には感謝ですね。
(追 記)
>原作愛が高じてアニメ化されたような作品
まあ原作は一定のコアなファンがつきそうなんだろうなって印象ですね。
・他の方のレビューを拝読するとやはりそんな感じ。
・原作は本編3巻を始め、続編の中学編やその後日談が連載されるなど、それなり
に支持されてた様が伺える。
いうても、そういう背景もあったからアニメ化にGOサインが出たのかなっと。
>個人的には、これはこれで余韻を残す終わり方でアリかなあ
下書き後、YOUTUBEに原作のネタバレがアップされてたので視聴したのですが、以降
の話も面白そうだが、「OVAは敢えてここで止めておく」という「制作陣なりの美学」
だったのかなあって感じもしましたね。
(単純に売り上げ等で撤退しただけかもしれんけどw)