JリーグでスピリッツなTVアニメ動画ランキング 1

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72.7 1 Jリーグでスピリッツなアニメランキング1位
アオアシ(TVアニメ動画)

2022年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (160)
495人が棚に入れました
「世界へ、連れていってやる。」愛媛に暮らす中学生・青井葦人(あおいアシト)は弱小サッカー部のエース。中学最後の大会で負けた日、悔しさをぶつけるように海辺で走り込んでいたアシトは、試合を見ていた一人の男と出会う。その男――福田達也は、J リーグ有数のクラブ「東京シティ・エスペリオンFC」で、高校生年代を育成する組織「ユースチーム」の監督だった。荒削りだが、ある特別な才能を持つアシトに無限の可能性を見出した福田は、自らの野望を語り始める。「俺には野望がある。俺の作り上げたクラブで、世界を掌中に収める。世界への踏み台じゃない。我がクラブこそが世界だと。その野望のすべてを担うもの、育成<ユース>だ。」福田の誘いを受け、入団試験<セレクション>を受けに上京することを決意するアシトだったが──常にサッカー漫画の最前線を走り続ける『アオアシ』が、ついに待望のTVアニメーション化! 挫折、成長、友情―青春の全てがここにある!


声優・キャラクター
青井葦人:大鈴功起
大友栄作:橘龍丸
橘総一朗:山下誠一郎
冨樫慶司:八代拓
黒田勘平:堀江瞬
朝利マーチス淳:加藤渉
本木遊馬:榎木淳弥
竹島龍一:熊谷健太郎
福田達也:小林親弘
一条 花:河瀬茉希
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「いいぞ言語化できている」

【物語 4.5点】
Jユース世代を題材にした原作漫画(未読)のNHK Eテレ・アニメ化作品。
2クールでユースへのセレクションと、クラブチームと高校サッカー部が混在して戦う東京都リーグを中心に描く。

少年たちをあくまで“戦力”として扱い、長期プランに基いてサッカーも育成も才能も徹底的に言語化してシステムに組み込んでいく。
Jユースの世界はどこまでも論理的でシビア。

主人公の青井葦人は愛媛の弱小中学出身。+貧困家庭のハングリー精神。
+「俯瞰の視点」というギフトは有するが、自身の才能をまだ上手く言語化できていない。
如何にもな青春学園スポ根物のテンプレ主人公を、
ロジカルなクラブユースにぶつけることで、育成システムの完成度の高さを思い知らせていく構成。
サッカーは三角形でボールを前に進めるスポーツなんですよ~。
と初歩的な部分から復習してくれるので、素人の私でも安心ですw

特に13話「転」(※核心的ネタバレ){netabare}葦人に左サイドバック転向を通告した件{/netabare}は震えました。
福田のおっちゃんは、試合の中でも、人生の中でも、コーチングするタイミングを弁えている恐ろしいお方です。

Jユースの育成を絶対視しないのも懐が深い。
スポ根属性の主人公は、逆境でのメンタルという、
ユースに不足している物を補う期待も背負っている。

理詰めでゲームプランを組み立てておいて、結局、最後に勝敗を分けるのは勝利への執念。根性かよ?
が、本作は根性論すらも言語化されている感があります。
地に足の付いた熱さが、説得力のある感動を呼びます。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・Production I.G

試合シーンは、派手に動かして、必殺シュートとかで興奮させるタイプではなく、
サッカーに挑む選手の脳内がどうなっているのか外部化する論理的な構成。

玄人サッカーファン……今の飛び出し凄かった!このパス痺れる!流れが変わるぞ!
(私……でも結局、点入ってねーじゃんw)
などコアファンと“ニワカ”の壁をも突破する可能性が本作には秘められています。

私が印象に残った構図が(※核心的ネタバレ)
{netabare}左サイドバックに下がった葦人から見た、前線の遠さ{/netabare}など選手によって異なる景色を知った渋い場面だったり。
着実にサッカー脳が開発されている?との錯覚をおぼえます。

アイキャッチに作中描き切れなかったカットを挿入するのも○。
私は葦人の実家・飲食店の一コマが妙に心に残っています。
当たり前にサッカーができるのも働く家族の支援があってこそです。


【キャラ 4.5点】
主人公・青井 葦人は外部出身なのでJユースが構築してきたサッカー言語を理解できない。
対立点を先鋭化させたのが、ジュニアユース昇格組のMF黒田勘平。
が、自分たちの当たり前がいつでも正しいと思っている黒田らジュニアユース出身者も身勝手。
目の前の試合を、プロで成功するまでの一過程と割り切るのもどこか冷めている。
そんな黒田らと過去に因縁を持つ外部からのスカウト生のDF富樫慶司が、
Jユースの問題点についての議論を一層白熱させます。

その他、ユースに入れなかった選手の反骨との対峙というクライマックスを演出した橘や{netabare}金田{/netabare}ら、
各選手の背景が、ユース世代の青春の解像度アップに貢献。

その上で繰り広げられるサッカー談義もまた論理的で引き込まれます。
私は意外とクラブオーナーの令嬢・海堂杏里のサッカー監督志望から本木と富樫を巻き込んで始まった議論が好きです。
真ん中が一番偉いと決め付けるなんて勿体ない。サッカーは自由だ。目から鱗でした。


【声優 4.0点】
主人公・青井葦人役には本作が初主演の大鈴 功起さん。
若さ溢れる方言で、逆境を猛進する。
が、第5話では、{netabare}母の手紙で号泣する{/netabare}など繊細な心情表現でも才能の片鱗を見せる。
決して勢いだけじゃない。今後が楽しみな声優さんです。

葦人の心を折りにかかる先輩セレクション組の阿久津渚役の武内 駿輔さん。
ネットリボイスで煽られ、私も何度も胸糞悪くなりましたw
が、彼の嫌味も上昇志向故の、ユースのぬるま湯体質への苛立ちから。
芯も感じる上々のヒールぶり。

大友 栄作役の橘 龍丸さんはコメディーリリーフとしても活躍。
サッカーと恋の成就。お祈りいたしますw


【音楽 4.0点】
劇伴担当は横山 克氏。
試合ではエレキギターやシンセサイザーで激しく、ここぞの場面では真骨頂のピアノとストリングスの心情曲で。
相変わらず引き出しの多い“ファンタジスタ”ぶりを発揮。

OP主題歌は前期・[Alexandros]「無心拍数」。後期・Superfly「Presence」。
いずれもOh~Oh~とコーラスをアレンジしてサッカー熱を焚き付ける良曲。
NHKサッカーでSuperflyと言えば「タマシイレボリューション」も思い出します。
OPアニメでも、シュートより過程を重視する主張が鮮烈。
特に後期OPで葦人と朝利が激論するカットと、葦人が転ばされながら食らい付いていく泥臭いプレイが好きです。

ED主題歌は前期・Rin 音「Blue Dialy」。後期・神はサイコロを振らない「カラー・リリィの恋文」
ユースにもまた青春があることを想起させる前期はともかく、
後期はチャラ男の竹島でもあるまいし、このラブソングは大仰ではないか?との第一印象。
が、最終回まで観れば、このタイアップも腑に落ちます。
急速に成長する鳥は、この気持ちが恋心なのかと確かめる間もなく、遠い世界に飛び去ってしまうものなのです。


【余談】
間もなく開幕30周年を迎えるJリーグ。
プロ・アマの垣根にも、サッカーのみにも囚われない欧米型の地域密着スポーツコミュニティの確立という壮大な構想。

本作はJの構想が変革したプロ・アマ入り乱れる青春風景の現在地を描写した作品とも言えるでしょう。
視聴をきっかけに『アオアシ』も協賛するU-18プレミアリーグの情報に久々にアクセスしてみました。
前身のユース選手権で、Jユースが高校サッカー部を圧倒し始めたのを記憶していたので、プレミアリーグもJユースの独壇場かと思いきや、高校サッカーも結構意地を見せているようで熱いですね。
本作中のユースには負けられないというモブ高校サッカー部員の叫びが聞こえてくるようです。

だがマスメディアが持て囃すのは既得権を有した全国高校サッカー選手権ばかり。
我が国のスポーツジャーナリズムは言語化以前の問題か……。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 20
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

戦術とコミュニケーション、あるいは本当の強さ

アニメーション制作:Production I.G、
監督:さとう陽、シリーズ構成:横谷昌宏、
副監督:曽我準、サッカー監修:竹下健一、曽我準、飯塚健司、
キャラクターデザイン:中武学、川村敏江、山口飛鳥、長谷川早紀、
総作画監督:中武学、山口飛鳥、
アクション作画監督:興村忠美、窪敏、音楽:横山克、
原作:小林有吾(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)

2022年に行われたFIFAワールドカップ・カタール大会。
日本はベスト16どまりだったが、
ドイツとスペインを破る大金星を挙げた。
交代人数が3名から5名に増え、
より戦術的な要素が大きくなったのが
今大会の特徴のひとつだった。
交代人数が5名に増えるという意味。
基本的には4名までの交代カードが早めに切れる。
1名分はキーパーの負傷など不測の事態に備えていないと、
最悪、本職のキーパーのいない展開になる恐れがある。
そう考えると、3名の交代枠だと2名の交代が
早い時間帯での最大の対応策となるが、
それでは、よほど個の力が優れていないと、
試合展開を変えることなどできない。
ところが、4名となると戦術の大きな変更が可能になる。

日本はその恩恵を最大限に活かし、
後半で三苫や堂安、浅野、冨安たちを投入。
4バックから3バックに戦術変更することで、
悪い流れを一気に断ち切り、
逆転勝利を上げることができたのだった。

今回のワールドカップは、メッシやエムバペという
突出したFWが局面を打開することが注目された。
細かな戦術も、ふたりにかかれば、
いとも容易く突破されてしまうのだ。
こういう選手を育てるのは、チームを勝たせるために
重要な要素のひとつだが、
日本というチームの特性を考えると、
やはりハードな運動量を伴った戦術強化が
今後、世界のトップチームと対抗するために
やっていかなければならないことだろう。

そういうテーマを中心に置いているのがアオアシだ。
各キャラクターの個性を取り上げながらも、
選手たちが戦術や仲間のことを理解しながら、
どのようにまとまっていくのかを描いている。
特にこの作品で新鮮なのはこれまでのサッカー漫画では
扱ったことがないJリーグのユースチームを題材にしていること。
ユースはプロの養成という面が大きいものの
描かれるのは、個人の意識や特徴に
大きな差がある中高生の年代。

ビッグコミックスピリッツの副編集長が
自ら企画を立ち上げ、書き手も選択したという。
戦術面もしっかり描いている『GIANT KILLING』と比較しても
より選手間の確執やまとまりに重点を置いた
作品になっている。

日本のサッカー界はJリーグ発足をきっかけに、
ユースが基礎となるチーム作りが行われてきた。
プロになれる選手は、幼い頃からユースチームで
活躍する選手が中心になっていった。
しかし、それによってユースのトップたちと
一般的な選手との軋轢や差別が生まれた。
1期ではそこをよりクローズアップしつつ、
エリート組と雑草組との違いを明確に表現し、
戦術を絡めながらドラマチックに描き出している。

戦術とはいってもサッカーの基本となる
トライアングルの考え方や片方のサイドバックが上がったら、
逆のサイドバックは下がって中央に寄せて「絞る」ことなど、
基本的なことを分かりやすく解説してくれるので、
知らない人でも楽しく観ることができるだろう。

物語のベースは、サッカーファンが考案したであろう
部分が滲み出ている。
90年代を想起するような表現が多い。
主人公の髪型が一世を風靡した
コロンビアのバルデラマみたいだとか。
中田英寿の代名詞ともいえる「首振り」も出てきて
懐かしい気持ちにさせてくれた。
トップ下が最も注目された時代だった。
そんな時代性も反映しつつ、
原作者は、家族像やキャラクターの性格などの
心の動きについて、かなりしっかりと構築している。
そのため、全体的なバランスがとても良い作品となっている。

原作は現時点で30巻まで刊行。
人気度やアニメ化したのがNHK絡みということから
長く続いていく作品になることが予想される。
今回を長い道のりの1期と位置付けるなら、
環境や立場の違う少年たちがトップチームを目指し、
サッカーを通して自分たちの気持ちを分かち合うための
段階の物語ということもできるだろう。

主人公は、愛媛県の田舎町でサッカーを楽しく一生懸命に
プレーする青井葦人。
点を取ることにこだわりをもつFWのポジションだ。
スナックを経営している母と
年の離れた兄のいる母子家庭の3人家族。
裕福ではないが、お互いを思いやることのできる
とても温かな家族環境で育っている。

そこにJリーグ・東京シティ・エスペリオンFCの育成組織、
ユースチームの監督・福田達也が現れる。
葦人のプレーに興味を抱き、ユースチームの入団試験・
セレクションに誘うところから物語が始まる。

どのストーリーも面白いのだが、
やはり惹かれるのは、昇格組、セレクション組、
そしてJリーグ・ユースに入れなかった雑草組ともいえる
3グループでの自尊と羨望、侮蔑、嫉妬という
感情の入り混じった戦いだ。

特に序盤から登場する、
黒田、朝利、竹島たち昇格組と
葦人、大友、橘、冨樫たちセレクション組との軋轢。
お互いのこだわり、プレーに対する理解など、
個々の考え方がぶつかる場面が面白い。
葦人を中心に意見をぶつけ合いながら、
戦術やプレーの結果につなげていくさまは、
とてもリアリティがあるし、カタルシスを感じさせる。
福田監督や伊達コーチたちのアドバイスや
考え方もとても興味深い。

サッカーの連携と戦術において、いちばん重要なこと。
もちろん、ひとつはチームとしての戦術の理解だが、
試合というのはゲームの展開や相手の長所を見極めながら、
戦術を変化していかなければならない。
例えば、味方が1対1で負ける局面が多いとき。
選手間の距離を詰めて、細かくパスをつなぐサッカーに
切り替えるのもひとつの方法だ。
こんなことは、プレー中にベンチから指示はできない。
とすると、選手自身が試合状況に応じて
自分たちの手を変えていかなければならない。
これをチーム戦術との対比で、個人戦術と呼ぶ。

では、個人戦術を共有するために選手は何をするのか。
試合中にコミュニケーションをとるしかない。
サッカーにおけるコミュニケーション。
アイコンタクト、コーチング、ボールの質
(速いor遅いなど)で理解を深めていかなければならない。
10人もいるフィールドプレイヤーに徹底するのはとても難しい。
先述したように昇格組・セレクション組などサッカー歴によって、
学んできたことの差異がある。
そこにメンタリティの強さ、弱さが加わることで、
チーム全体としての強さが決定づけられる。

チームとしての機能を高めることが、
どれほど難しいのか。
徹底的に描かれている。

1期終盤の武蔵野蹴球団ユース戦は、
それまでの問題を炙り出し、
昇華させる話として、よくできていた。
ひとつの物語の締めとしても完成度が高い。
立場や性格の違いがありつつも、
全員が勝利を目指して戦術を実行していくさまが
とても丁寧に描かれる。

人は窮地に陥ったときに、
どのように考え、行動するのか。
これは経験や性格によってそれぞれ違ってくる。
自分がピンチになったとき、
ほかの人間に責任を押し付ける者もいるし、
自分で全てを抱え込んでしまう者もいる。
周りを動かそうとする者もいる。
私は窮地に陥ったときこそ、
その人の本質が滲み出てくると思っているが、
この作品では「人間の本当の強さとは何なのか」という
テーマを突きつけてくるのがいい。

そんな熱い展開に「ダイアゴナル・ラン」という、
サッカーの試合でたまに見られる仕掛け
(いわゆるボールを持っていない選手の
ゴール前における斜め走りのこと)を
組み合わせたドラマチックな展開に目を瞠った。

しかし、何と言ってもいちばん衝撃を受けたのは、
(以下は強烈なネタバレなので
これから鑑賞予定の人は読まないことをお薦め)
{netabare}フォワードとして点を取ることに
人一倍こだわりを持っていた主人公の葦人が
サイドバックにコンバートされたことだった。

ユースメンバー候補としてスカウトされ、
セレクション組の選考試合をこなし、
フォワードとして結果を残した葦人。
晴れて正式なエスペリオンユース・メンバーとして、
仲間との軋轢も乗り超えた末に待っていたのが
サイドバックへのコンバートだった。
この展開には見ている私も大きなショックを受けるほどだった。

しかし、そこから立ち直るまでの経緯の描写が上手い。
呆然となって彷徨い歩いた葦人が向かったのがバス停。
それは故郷への想いの果てだった。
とても納得できる行動で、ヒロインの花が発見して
正気にさせるまでの流れも良かった。
人物の心の動きの表現が上手く、
こちらにも気持ちが入ってくる。{/netabare}

なぜこの作品がこれほどまでによくできているのか、
よく考えてみると、結局、以下の言葉に尽きるのかもしれない。

サッカーはひとりでは、何もできない。
思っている以上に。
だからこそ、あんなにも楽しい。

福田監督の台詞だ。
ごく当たり前のことだが、
この作品の流れのなかで聞くと、重みを感じる。
仲間や他人のことをこれほど深く意識させられたという意味では、
私が出会った最高の作品かもしれない。
(2023年1月7日初投稿)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 30
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

野球漫画的な要素を取り入れた、ある意味挑戦的なサッカーアニメ/2023/7/30原作読みかけ分追記

【レビューNo.38】 (初回登録:2023/3/8)
コミック原作の2022年作品。全24話
超人気作で長期シリーズになるだろうからあまりレビューを書く気になれなかったのだが、今期
の「ブルーロック」を観て「個人的にはこっちのレビューを書きたいかな」って思ったので。

(ストーリー)
愛媛の中学サッカー部のFW・青井葦人(アシト)は、「東京シティ・エスペリオンFC」ユースチーム
監督の福田達也に見いだされ、ユースのセレクションを受けることになる。晴れてセレクションを
突破したアシトだったが、彼を待っていたのは今まで田舎の弱小チームでやっていたサッカーとは
まるで別次元の世界だった・・・

(評 価)
・NHKの後ろ盾があるのはやはり大きい
 NHKは長期放送枠として「MAJOR 2nd」を抱えていますが、作者の体調不良で原作が長期休載
 という事態に。でアニメの方も続編が不透明な状況でしたので、NHKも思い切って「アオアシ」
 に舵を切ったのかなっていうのが個人的な印象ですね。(知らんけどw)
 (「MAJOR 2nd」の方は、体調と相談しつつも2022/10から連載を再開した模様)
 アオアシ制作陣としても、バックにNHKがついたのは大きいと思います。
 ・資金面で大きなアドバンテージがある
 ・(恐らく長期枠が約束されていると思われるので)原作の面白さを忠実に再現することが可能
 (あと幅広い層に視聴してもらいやすい点もメリットですかね)
 今作を視聴した感想は、作画や演出等アニメとして十分魅力的な出来映えで、本作品の面白さを
 ガッツリ2クールで表現してくれたかなっと。この恵まれた環境にきちんと応えている制作陣の
 仕事ぶりは評価に値すると思います。

・個人戦術に主眼をおいた、ある意味野球漫画的な作品
 サッカーは野球と違い攻守の時間が分かれていないので、どうしても個人技やパスワーク等常に
 ボールがどう動いているかというシーンを要求されがちになりますが、この作品は「戦術」を見
 せることに他のサッカーアニメと一線を画した面白さがあるのかなっと。
 「戦術」といっても「個人戦術」と「チーム戦術」の違いから始まり、本作では特に「個人戦術」
 (選手達がフィールド上で自ら思考して最良手を探り、試合状況に合わせて自分のプレーを変えて
 いくこと)に重きをおいているようです。
 なのでボールを持っていない選手の今の動きにはどういう意図があるとか、解説を挟んでいかない
 と視聴者にはその面白さが伝わらないため、ところどころ流れを切らざる得ない部分があり、従来
 のサッカーアニメを見慣れた方からすると試合のテンポの悪さを感じてしまう部分はあるかも。
 個人的にはある意味「野球漫画の『配球』的なもの」を見せられている感覚でしたね。
 なので「動と静」がはっきりしている野球なら問題ないが、常に「動」であるサッカーにこの手法
 を取り入れているのはかなり挑戦的だなっと。そこにサッカーアニメの新たなる魅力を感じられる
 方には凄くハマる作品だと思います。個人的にはストライクな作品でしたね。

・ヒロインの使い方が抜群に上手い
 本作には2人のヒロインが登場します。
 ・一条花(ハナ):サッカーはそれほど詳しくないが、アシトのプレーに魅了され「ファン1号」に
 ・海堂杏里(お嬢):将来の夢は監督という位でサッカーへの造詣が深い
 (あとおまけに女性記者)
 上述の戦術解説を選手やチーム指導者に語らせるだけでなく、お嬢たちも解説の一翼を担いつつ
 ・お嬢(+女性記者)から見た「『選手』アシトの魅力」
 ・ハナの普段からしっかり人を見てる「『人間』アシトの魅力」
 それぞれのヒロインの視点で語る「『アシト』というキャラの魅せ方」が本当に上手かった!!
 単に主人公が落ち込んでいる時に勇気付ける相棒枠や恋愛要員枠とかに収まっていないところに好感
 が持てましたね。
 (恋愛の方はまだ明確な形ではなくこれからって感じですがw)

原作のサッカーへの造詣の深さもさることながら、一つのシーンを見ても
「アニメとしていかに面白く魅せるか」
という制作陣の熱意が感じられる良作だったと思います。やはり天下のNHKだけあって予算がしっかり
ついてるんだろうなと、俗っぽいことを考えてしまいました(笑)
恐らく原作によほどのことがない限り、2期どころか最後まで面倒見てもらえる可能性も高いと思われる
ので、続編に期待しちゃいますね。

(2023/7/30追記)
原作読みかけ。
これも図書館に原作が置いてあったんだよなあ。図書館にマジ感謝m(_ _*)m
ちょうどアニメ化最後あたりの12巻から置いてあったので、アニメ化部分はほぼすっ飛ばしてますが、
以降の話を半分くらい読んだ感じですかね。
・更に面白くなるか否か
 {netabare}個人的な見解ですが、話は更に面白くなります。アニメではアシトらが「Aチーム昇格」したところで
 終わりますが、ステージが上がるということはそれだけ求められるサッカーのレベルが上がるという
 ことですから、特に(個人)戦術に主眼をおいた本作では、その辺りがより深く掘り下げられますの
 で、更にサッカーの奥深さを知ることになります。{/netabare}
・ちょっと驚いたこと
 {netabare}「エゴ」の話が出てきます。「エゴ」いえば「ブルーロック」の専売特許かと思っていたので、本作
 で「エゴ」の話が出てきたのはちょっと驚きました。
 私の知ってるサッカー漫画は「チームワーク」一辺倒だったので、最近はそういう流れなのかなあ
 ってちょっと考えさせられましたね。
 (「蒼き伝説シュート!」の「ボールを持ったら観客すべてが自分を見ていると思え。」
  は幾分そういう概念を含んでるのかもしれないが){/netabare}
・「ジュニア版」について
 今回のメインテーマが「ジュニア版」の話ですね。図書館にあったのが「ジュニア版」の方で、これ
 には「アオアシ・サッカー教室」として
 「『中村憲剛』が教えるアオアシの見方・楽しみ方」
 という特別企画がついているのですが、これがメッチャ面白いです!!(8ページもの)
 これは漫画のシーンに元日本代表・中村憲剛の解説を加えたものですが、技術・戦術の話の他に
 ・J2→J1に昇格したときに受けた衝撃
 ・監督と選手の関わりについて
 等、自身の経験に基づいて幅広く語っておられるのでサッカー好きには堪らないって感じですね。
 この「ジュニア版」が刊行されたのが2022/3~で「通常版」は27巻まで刊行されていたのですが、
 この特別企画欲しさに更に「ジュニア版」を買い直した方も結構おられるとかw
 一度地元の図書館に「ジュニア版」が置いてないか調べるだけの価値はあると思いますね。

(2023/9/30)
お気に入りへ追加。
「ブルーロック」のレビュー書いていたら、本作はお気に入りでいいかと思ったので格上げ。 

投稿 : 2024/11/23
♥ : 15
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