GARNiDELiAでライバルなTVアニメ動画ランキング 2

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86.7 1 GARNiDELiAでライバルなアニメランキング1位
キルラキル(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (2478)
12848人が棚に入れました
父の仇を探す女子高生の纏 流子(まといりゅうこ)は、父の殺害現場に残されていた巨大な「片太刀バサミ」の謎を追って本能字学園(ほんのうじがくえん)へ転校した。だが、学園は人間に人知を超えた力を与える制服「極制服」(ごくせいふく)を操る生徒会によって武力と恐怖で支配されていた。一つ星から最上級の三つ星までの極制服を生徒たちに与え学園を支配する、生徒会長の鬼龍院 皐月(きりゅういんさつき)が片太刀バサミの秘密を知っていると確信した流子は彼女に挑むが、二つ星極制服を着用したボクシング部部長の前に為す術なく敗れてしまう。

声優・キャラクター
小清水亜美、柚木涼香、洲崎綾、三木眞一郎、檜山修之、吉野裕行、稲田徹、新谷真弓、関俊彦
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

着て斬って強く熱く完全燃焼

大裁ちバサミの片方を求め主人公:纏流子が生徒会長:鬼龍院皐月が牛耳る本能字学園に
喧嘩を売る熱い熱い学園バトルアニメです。

いいね!いいね!この熱さ!無駄な熱さ!!こちらまでテンション上がってきます。
昭和の趣のある作画を踏襲しつつ構図やアングルに一工夫入れスピード感や迫力を出しています。
今昔のアニメを上手く融合させ世界観を演出しています。
とりあえず具体例だと『グレンラガン』と『ど根性ガエル』足した感じですかね。

タイトルに習い、制服を裁つ『着る』や『斬る』という設定もなるほどセンスを感じます。
どうやら父親の復讐をはらんだストーリーも熱くなる予感をビシビシ感じます。

声優さんは、1話目から小清水さん&岩田さんノってましたね。
小清水さんのハイテンションぷり大好きなのでそれだけでも価値があります。
後、たまこ声も久々に可愛かったです。
耳の方も安心して聞けそうです。

こういうアニメ暫くぶりで楽しみです。

注:【考察・予想】というのが時折出ますが、原作を知らない状態で書き込んでいます。
ネタバレとは異なりますが先入観を持ちたくない方はスルーしてください。

※1話成分{netabare}
今回の成分 熱6:学園1:拳闘1:制服1:ハサミ1
{/netabare}

※2話感想{netabare}
今回の成分 庭球4:友情3:血3

マコちゃん面白くて良いキャラしてます。
マコ家の食卓カオスだし、やみいしゃとか思いっきり看板出してるし、
あの場面で急に寝るししかも今時はなちょうちんって。
お笑い担当としてもこの作品に無くてはならない存在になりそう。

流子は順調というかセオリー通り下の者から倒して行ってます。
鮮血などの神衣を作ったのは父ということも分かり含みになっていますし、
ナルシスト入った美木杉の正体も気になりますし、
ストーリー的にも引き込まれつつあります。

あと、ハサミの柄をラケットにという発想もGOODで誉めてあげたいと思います。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
今回の成分 タイマン6:着こなし3:生命戦維1

早くも生徒会長・皐月とサシの対決。
熱さに溢れたバトルは見応えありました。
ここで戦ったらこの後の展開どうなるんだろう?と思っていたら
途中でお預けとなり下の者から倒す王道路線に戻るみたいです。
うーん。もうチョット観たかったけど、
皐月にも下の生徒達と戦わさせるのに理由があるようだししばらく我慢ですね。
{/netabare}

※4話成分{netabare}
今回の成分 登校5:罠4:洗濯1
{/netabare}

※5話成分{netabare}
今回の成分 ゲリラ4:友情3:針2:園芸1
{/netabare}

※6話感想{netabare}
今回の成分 果たし合い4:心眼3:四天王2:裸1

相手倒すと神衣に戦維が吸収されてる感じなのだけど
コレが皐月の意図(糸)なんでしょうかね?
今の所、鮮血パワーアップしている感じはしないですけどね。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
今回の成分 キラキラ生活4:戦維喪失ラッシュ3:喧嘩部2:裸土下座1

相変わらず欲望むき出しでカオスなマコ一家。
でもサブタイ通り憎めないですね。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
今回の成分 壊惨4:ドライブ3:過去2:決戦1

生徒会側の奴らもアツいです。ちょっと変態っぽかったですけども。(^_^;
次回の決戦も熱くなりそうです!
{/netabare}

※9話感想{netabare}
今回の成分 縛4:盾2:風紀2:刃2

いやいやアツいアツい。
敵ながら筋の通ったブレない漢でした。
{/netabare}

※10話感想{netabare}
今回の成分 情報3:音楽3:無茶2:飛翔1:応援1

ついに飛びました
服の領域はとうに越えていますね…。
無茶苦茶な成長っぶりが楽しめていますが
どうやら危険なサインでもあるようです。
皐月の目的も戦わせて鮮血の成長を促している節もありますし…。
物語が思わぬ方向に進む前触れでしょうか。
{/netabare}

※11話成分{netabare}
今回の成分 乱入者4:アンコール3:空中戦2:絆糸1{/netabare}

※12話感想{netabare}
今回の成分 仇4:暴走3:闇医者の娘3

ここの所バトル物の通り道、強さのインフレが起こってます。
針目の強さは圧倒的で流子がデビルマン×キカイダーみたいな化物に。
マコの友情と勇気に助けられましたが…いやマコ美味しい所持って行き過ぎだよ!

今話で前半終了ですがスゴい勢いで駆け抜けました。
第三勢力の乱入というイレギューラもありましたがこれはこれで王道展開でもあります。
学園の奴らも何気にイイ奴が多いので共闘シーンもあるやも知れません。
皐月はどうやら極制服の強化の為に流子と戦わせていたようです。
正直もう少し複雑な理由があると思っていたのですけどシンプルでしたね。

この後は襲学旅行で三都統一するようです。
…三都って事は母親のリボックス社以外にもまだ勢力があるのかな?
美木杉達の後ろの勢力なのか新たな勢力なのか?
学園外の勢力図不明なんでもう少し知りたいですね。
後半見れば判明してくるのかな?まぁ楽しみにしておきます。
{/netabare}

※13話感想{netabare}
今回の成分 襲学旅行2:着衣2:変装2:バラバラ2:新聞1:無様1

三都って関西三都の事だっのか!もう一つの勢力のことかと思っちゃいました。
前回の戦闘後鮮血が着られなくなった流子だったけど新聞部の男の子を助ける為に着衣!
しかし全ては針目の変装と策略だったと言う目まぐるしい展開。
鮮血はバラバラになってしまいましたが
握りしめていたひと切れと絆の力でどうにかなる…レベルではないかな。
次回どう展開していくのでしょうか?
{/netabare}

ここでちょっとした【予想】{netabare}
父親の復讐で動き出した物語ですが母親についてはほぼ触れられて来ませんでした。
(早くに死んだという事になっていますが)
羅暁の登場以来、もしかしたら流子の母親なのではないかと疑っています。
つまりは皐月と流子は姉妹なのではないかと。
二人が神衣が着られたのも同じ血の影響も有ったからかなと思っています。
また、流子に鮮血の声が聞こえている様に
純潔の声も皐月に届いているのではないでしょうか。
この父親殺しの真相の裏には家族の物語も隠されていて
マコ家族との対比も成されているのではないかなと考えています。
{/netabare}

※14話感想{netabare}
今回の成分 襲学3:関西2:目先の欲2:回収2:裸1

マコ関西でもおもろいわー。(*^。^*)
関西面白キャラが色々登場したけどやってる事は相も変わらずらずですね。
このノリは楽しいんだけど物語としてはそろそろスパイスが欲しいところ。
次回は皐月との再戦ですし裸の美木杉も絡んでくるので一波乱くるかも。
{/netabare}

※15話感想{netabare}
今回の成分 大阪血戦7:裸2:金1

バトルが熱くて前半の宝多の事とか忘れちゃいます。
ヌーディストビーチという対抗勢力も出てきたけど半話で壊滅。(^_^;)
ギャグなのでしょうか?
次回は物語の核心が語られそうです。
{/netabare}

※16話感想{netabare}
今回の成分 服3:エイリアン3:ヌーディストビーチ2:禊ぎ1:総集編1

色々と語られ生命戦維の背景が見えてきました。
生命戦維による人類制圧を阻止しなければ成らなくなりましたが
鮮血を兵器ではなく友として見ている流子の熱さに心躍り応援したくなります。
マコや皐月も含めキャラの魅力の引き出し方が上手い作品ですね。

ヌーディストビーチ側の説明だと生命戦維は脅威であると強調されていますが
単に脅威や害であればいくら巨大な力とはいえ羅暁は生命戦維に心酔しないと思います。
生命戦維が発動し人と結び付いた時、新たな進化の道や恩恵もあり得そうなので
一概に羅暁を悪役視は出来ないです。

服に対し友として対等に付き合う流子
服に対し屈せず制し着こなす皐月
服に対し服従し心酔する羅暁
三者三様、それぞれの異なる服との付き合い方やその行く末にも注目しています。
{/netabare}

※17話感想{netabare}
今回の成分 大文化体育祭6:反旗4

「親の力、他の力、全てを利用する! だが使うのは私だ!
 全ての力を飲み込んで私自身の力とする! それが覚悟の違いだ!」という過去の台詞通り
羅暁と皐月、思想が逆なのでいつかはこういう展開が来るかもと思っていましたが…
杯を割った瞬間に確信に変わりゾクゾク来てしまいました。
これ以上無い形での謀反が非道・悪行なれどカッコよく見えてしまいました。

ほぼ致命傷で血の雨が降りましたが羅暁が簡単にくたばるとは思えないですし
反乱も折り込み済みだった気配もあります。
この羅暁が流した血がまた生命戦維にも影響してくるかも知れません。
次回も熱くなりそうです。
【予想】{netabare}
流子と皐月には同じ血の匂いを感じますし
姉妹なのでは?という気は今でもしていますが、
皐月の父はどうも美木杉な気がしてきました。
そうすると二人は異父姉妹になる訳ですが、
博士は育ての親で本当は美木杉が流子の父という可能性も考えています。
神衣の露出度の高さは人肌に美学を持つ
彼の意志が影響しているのではないでしょうか?
あんな露出狂の父親、困りますけどね…。
{/netabare}{/netabare}

※18話感想{netabare}
今回の成分 人ならざる者4:反逆3:娘2:実験1

やはり熱い展開が待っていました。
皐月の堂々たる言動や真っ直ぐな覚悟がどうにもカッコいいです。
羅暁は無敵の強さで純潔を奪われバクザンも折れましたが
彼女の心は絶対折れないという確信があり希望へと繋がっています。

流子の方もその身に生命戦維を宿していたり、羅暁の娘であったりと驚く事の多い展開。
前髪はメッシュとかではなくハミ出し変形した生命戦維でしたか。
容姿にヒントが隠されていたとは気付きませんでした。

そしてやはり皐月とは姉妹でした。
今は大ピンチの状況ですがそれを打ち払い
二人が協力して生命戦維に立ち向かう姿が見られるでょうか。
そして出来る事なら失われた姉妹の時間も取り戻して欲しいのですが、
悲しい結末の予感もしないでもない…です。
まだ話数もありますし更に色々ありそうで本当に見逃せなくなっています。

次回は『人間VS生命戦維』。人の強さというものが試されそうです。
{/netabare}

※19話感想{netabare}
今回の成分 侵略2:裸2:吸収2:囚人2:闇落2

目まぐるしい展開。
流子は意識不明から目覚めたが闇落ち、皐月は自爆し囚われ、
マコだけは吸収されたけどどうやら無事戦線復帰の様です。

蟇郡は序盤からちょくちょくマコを気に掛けてたけどもう完全に愛を感じます。

皐月は収監され恥辱屈辱を味わっていますが
折れない心、鋼の意志を持っていてやはりカッコいい。
ここからの逆転を応援せずには居られません。

そして流子は過去を知った衝撃のせいか音楽の影響かそれとも敢えてなのか…
鮮血を拒絶し憎しみのみでの行動。
その心と友情が早く戻ってきて欲しいけど闇も深いかも…
心配していた鮮血が可哀想過ぎます…マコが架け橋になるのかな?

今回気になった台詞を少々【考察】{netabare}
「人に名前を呼ばれたければまず自分がちゃんと呼ぶべきだぞ」
鮮血を「お前」と呼ぶようになった流子への伏線!?

「私がもう20才若かったらあなたを着てあげるんだけどね」
マコが鮮血を着るのかも!?
{/netabare}{/netabare}

※20話感想{netabare}
今回の成分 衣替え4:奪還3:孤独2:裸の太陽丸1

憎しみに支配された流子はマコでも止められず
怒りのまま単身生命戦維討伐へ…自分すら殺しかねない憎悪で見ていられません。

皐月は当たり前の様に折れぬ心を見せてくれどうしようもない程の格好良さ。
四天王との主従関係も気持ちを熱くさせてくれます。
そしてやはり宿命なのでしょうか
鮮血と組んで『純潔に着られてしまっている流子』との対決が待っています。
本当に主人公を喰っていますが流子の目を覚ます会心の一撃を見舞って欲しい。
二人の相性・コンビネーションにも注目です。

裁ちバサミについて【考察】{netabare}
今回予想外だったのが片裁ち挟みで貫いた針目の傷が回復した事。
生命戦維の生命を裁つ効果のあるハサミなのでこれで倒せると思っていたのですが
やはり二対揃わないと効果が薄いのでしょうか。
(博士が針目の目を斬った時は二刀流のように持っていて傷が回復していない)

このままだと羅暁を倒せそうにないですし倒したとしても流子の戦維が残るので
流子が命を絶つような事にも成りかねません。
願望も込めて二対揃った時に秘密があり奇跡が起こると信じています。
{/netabare}{/netabare}

※21話感想{netabare}
今回の成分 対戦3:友情2:強制脱衣2:降誕1:連携作戦1:縫いつけ1

流子の目を覚ます為、服を脱がす為に
皆それぞれ必死になり行動する様が熱く胸を焦がす展開でした。

力は流子が圧倒してましたが折れぬ魂で善戦する皐月の姿には感動すら覚えます。
その皐月と厚い信頼関係を築いている四天王の連携した働きも立派で
作戦が成功したかと思ったんですがね…。

針目縫の縫いつけどれだけ強固なんだか。

それでも結局糸を裁つのはのは鮮血とマコとの繋がりだったようです。
痛みよりも死よりも鮮血を着る思いが勝った流子も熱い!
流石この作品の主人公です。

繭星降誕について少々【考察】{netabare}
降誕とやらも始まりましたがコレ地球ごと生命戦維で覆う計画ですかね?
太陽や星を印象付ける描写もちょいちょい出てくるので
輝く星々の正体は生命戦維が覆ったものって事なのかも。
「ラ」が暁を浴びて輝くよキラルキラ。{/netabare}

流子の体や羅暁の動向他色々と心配もありますが次回ももの凄く楽しみです。
{/netabare}

※22話感想{netabare}
今回の成分 人衣一体3:わからない者達3:血の繋がり2:腕1:喧嘩部1

紆余曲折あったけど皆で打倒羅暁の方向へ歩み出しました。

これまで積み重ねたの想いの篭もった最高の人衣一体!
他にも頭を下げる皐月様、身を挺し守る部下、美味しい復活のマコ等々
記憶に刻まれる名シーンてんこ盛りで感動してしまいました。
本当に魅力的なキャラが多いこと多いこと。
そしていよいよ最後の対決が開始。最後の最後まで熱くなるのは間違いなさそうです。
{/netabare}

※23話感想{netabare}
今回の成分 空中血戦4:真っ二つ3:最終縫製2:家族1

今回も熱い熱いバトル。
何だか分からない者の戦いは涙とは別のよく分からない感動を生んでくれました。
皆の不撓不屈の魂がビシビシ伝わってきて観る方も力が入ります。
ここまで来ても衰えず最後まで加速してくれるこの作品は本当に素晴らしいと思います。
運命のラストバトルも楽しみです。

それと声優陣の演技もスゴくて違う意味でも感動してしまいました。
パクロミさんとか特に神業。
声だけでなく魂を入れるお仕事なのだと改めて感心しちゃいました。
{/netabare}

※24話感想{netabare}
今回の成分 服従3:バトル3:吸収1:燃焼1:裸1:デート1

最後の最後まで熱かったです。
内容的にはベタなラストバトルでしたが作画、声優演技、BGM等に
魂をつぎ込めるだけつぎ込み視覚と聴覚を釘付けにしてくれました。

鮮血の最期は分かっていてもジーンと来てしまいました。
熱く熱く加熱し続けたこの作品にふさわしい完全燃焼。
流子と出会い共に全てをやり尽くした彼の人生(衣生?)に悔い等ないでしょう。

落ちる流子を受け止めた皐月の表情が優しかったのも印象的でした。

終わってしまうのが残念ではありますが胸の熱くなる良い作品でした。
{/netabare}

【総評】
1話目から熱気が伝わる作品でしたが最後までしっかりと加熱してくれました。

序盤は熱いけど少年誌のバトルアニメの様な展開でそれほど評価は高くなかったのですが
羅暁の登場でそれまでの積み重ねが下地に過ぎなかった事が分かり俄然面白くなり
あれよあれよと最後まで一気に駆け抜けるストーリーが痛快で名シーンや名ゼリフが多々あり
後半はこの作品の虜になっていました。
2期かけて良く纏まっていて完成度の高いストーリーでした。

作画は昭和の風情があり好みが別れるかも知れませんが個人的には好きな作風でしたし
凝ったアングルや大胆なカット割り、そしてスピード感にあふれる表現は新鮮で
単なるレトロは作風に止まらず新たな境地を開いてくれたと思います。

声優さん達も豪華なだけでなくその迫真の演技は圧巻。
演技を引き出せるストーリーや舞台がしっかり整っているので実力を余す所無く発揮しています。

キャラクターも非常に魅力的に描かれていていました。
腕っ節も負けん気も強いが精神的な幼さも内包した熱血少女流子
バカだけど常に友達思いで憎めないムードメーカのマコ
何者にも屈せず折れず鋼の信念を持つ女皐月
その他サブキャラに至るまでそれぞれ個性がしっかり出ていて愛すべき存在となっています。
私は皐月様が一番好きですね。

かなりべた褒めしてしまっていますが
個人的にはお気に入りの棚に仲間入りする程好きになりましたし
どなたにもオススメしたくなる優秀な作品です。
2クールものなのでお時間のある時にじっくりこの熱さを味わって頂きたいと思います。

<雑記>
気が向いた方のみお遊びにお付き合いくださいませ。
【キルラキル実写化するならこの配役】(個人的なイメージですよ。)
{netabare}
漢字変換面倒なのが多いのでカタカナで失礼
リュウコ=新垣結衣
サツキ=戸田恵梨香
ラギョウ=江角マキコ
マコ=上野樹里
ハリメヌイ=深田恭子
ガマゴオリ=坂口憲二
ジャクズレ=安達祐実
サナゲヤマ=市原隼人
イヌムタ=松田翔太
ミキスギ=山下智久
キナガセ=照英
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 76

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

グレンラガン的な熱さを受け継いだ

サブタイトルが懐かしソングのタイトル。
衣服を題材というか武器にして戦う。

1クール目は不良少女のような立場で学園の優等生と戦うイメージ。部活をモチーフにした攻撃形態。
2クール目からは昨日の敵は今日の友といった感じ。そして、グレンラガンと同様にさらに上位互換というか真の黒幕のような相手とラストバトルに向けて盛り上がっていく。

マコ一家がいい感じのアクセント。ギャグ強い。
グレンラガンの要素というかそのものを移植したような作品。兎に角、熱い。いやむしろ、うざったいほど暑苦しい。(褒め言葉)
流子が小清水亜美さんてのも良いのかもしれない。


OP
シリウス 藍井エイル
ambiguous GARNiDELiA
ED
ごめんね、いいコじゃいられない。 沢井美空
新世界交響楽 さよならポニーテール
挿入歌
サンビカ 藍井エイル
劇伴特化型1☆極★服 バックグラウンドボーカル - 小林未郁 & 河合夕子 & 内田有 & 仁科かおり & Hikaru, Sen , Melo-J (from Lumiere)
Before my body is dry 小林未郁 & David Whitaker
Blumenkranz Cyua
Suck your blood Benjamin Anderson & mpi
Light your heart up Aimee Blackschleger
I want to know Benjamin Anderson
Before my body is dry:[nZk] ver. 小林未郁
Blumenkranz:[nZk] ver. Cyua
Suck your blood:[nZk] ver. Benjamin Anderson & mpi
Till I Die:[nZk] ver. CASG(Cara
澤野弘之さんが楽曲制作に携わっている挿入歌が結構好きだった。
ロックな感じ全開な藍井エイルさんも最高。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
『天元突破グレンラガン』から6年の時を経て“今石洋之×中島かずき”の最強タッグ再び!父の死の謎“片太刀バサミの女”を追い求め、本能字学園に転校した流浪の女子高生・纏流子。本能字学園には着た者に特殊な能力を授ける『極制服』があり、その力と絶対的な恐怖によって生徒会会長・鬼龍院皐月が学園を支配していた。“片太刀バサミ”を知るという皐月。流子は皐月にその事を聞き出そうとするが…。その出会いは、偶然か、必然か。学園に巻き起こる波乱は、やがて全てを巻きこんでいく!

1. あざみのごとく棘あれば
『本能字学園(ほんのうじがくえん)』、そこは『極制服(ごくせいふく)』という特異な制服を身にまとった生徒たちにより管理される学園。生徒会長・鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)は「人は服を着た豚だ」と豪語し、忠実な部下本能字学園四天王と共に学園を絶対的な支配下に置いていた。そこへ現れる流浪の転校生、纏流子(まといりゅうこ)。流子の片太刀バサミを知る皐月から話を聞き出そうとするが…。

2. 気絶するほど悩ましい
マコの実家、満艦飾家に居候することになった流子。しゃべるセーラー服を『鮮血』と名付ける。 翌朝、マコと共に学園に登校するといきなりマコがテニス部からリンチを受ける。流子はマコを救おうとするが何故か鮮血が発動せず、部長・函館臣子(はこだておみこ)の返り討ちにあってしまう。流子のクラス担任である美木杉愛九郎(みきすぎあいくろう)に救われた流子。鮮血は『神衣』と呼ばれる特別な衣服であり、着た者の血を吸うことで起動すると聞かされる。

3. 純潔
極制服の力の源、「生命戦維」を使い、鬼龍院皐月は全国学園支配を進めていた。流子の父親、纏一身(まといいっしん)博士は、それに対抗するために生命戦維だけで織り上げた『神衣』を作った。それが鮮血。しかし神衣はもう一着存在していた。その名は『純潔』。神衣を着た皐月の強さは圧倒的で流子は追い込まれる。自分が鮮血を着こなせないのは、自分の心が原因だと気付いた流子は……。

4. とても不幸な朝が来た
起きてみると朝からなにやら騒がしい。今日は一学期に一度風紀部により執り行われる『本能字学園ノー遅刻デー』なのだ。通学路には無数のトラップ、遅刻をすれば即刻退学。流子はマコに連れられ、地獄絵図と化した本能町で登校を開始する。そんな中、流子たちはひょんなことからクラスメイトの大暮麻衣子(おおぐれまいこ)と行動を共にすることに。3人は力を合わせて次々とトラップを破って行くが…

5. 銃爪(ヒキガネ)
順調に本能字学園の部長たちを倒し続ける流子。その前に現れる一人の男、黄長瀬紬(きながせつむぐ)。黄長瀬は極制服の能力を無効化するミシンガンを操り二つ星の部長をすら寄せ付けない。そしていきなり流子に「神衣を脱げ」と迫る。校内で他の部活部員も交えて大乱闘となる流子と紬。追いつめられた流子を逃がそうと鮮血は自分だけで紬に戦いを挑もうとする。

6. 気分次第で責めないで
皐月の右腕である四天王。その一人、猿投山渦(さなげやまうず)は皐月に直談判し、流子と一戦交える許可を得る。驚異的な動体視力で相手の動きを全て読み取り先手を討つ猿投山、流子はあっという間に追い込まれる。しかし、目さえ封じれば良いと気付いた流子は鮮血を刻んで猿投山の目を塞ぎ勝利を収める。一方負けた猿投山は、皐月にある覚悟を見せることで流子との再戦のチャンスを請う。彼の覚悟とは…!

7. 憎みきれないろくでなし
部活や学業等の成績をそのまま家庭の生活レベルに反映させる。それが本能字学園のシステムだ。マコのせいで最低水準で生活する満艦飾一家だが、彼らはいつも幸せそうだ。そんななか流子は部活制度を逆手にとってマコを部長に任命、『喧嘩部』を創立する。部の成果が上がるほど満艦飾家の生活も向上。大喜びで流子に感謝する満艦飾家。しかしマコは手に入れた生活を手放すまいと次第に流子を酷使するようになり、一家は贅沢に慣れ冷たい人間へと変わっていってしまう。

8. 俺の涙は俺がふく
全生徒が全生徒に対し平等な攻撃権を持ち学園の頂点をかけて争う校内行事『壊惨総戦挙』。その戦いの火蓋が切って落とされた。七日後に行われる『決戦闘兵』の日まで、互いの無事を信じ分かれる四天王。大荒れの学校をよそに、流子はマコと共に亡き父の墓参りへ向かい自らの目的を確かめる。しかしその帰り道、乗って来たバイクが故障していた所を四天王のひとり風紀部委員長・蟇郡苛(がまごおりいら)に助けられる。

9. チャンスは一度
『塔首頂上決戦』。 四天王全員に勝ち抜けば皐月と戦うことが出来る、それが皐月が流子に提示した試合の報酬だった。試合のレベルの高さを危惧する美木杉には棄権を薦められるが、皐月と戦うためだと流子は譲らない。最初の対戦相手は蟇郡。その能力を既に知る流子は、蟇郡へ攻撃を加えずに乗り切ろうとするが、蟇郡は自らを痛めつけることで力を蓄え流子への攻撃を開始。

10. あなたを・もっと・知りたくて
二人目の四天王は情報戦略部委員長・犬牟田宝火(いぬむたほうか)。最小限の戦闘で流子と鮮血の動きを分析する犬牟田。その極制服の力は光学迷彩によるステルス機能だった。しかし流子は競技場の端から全面へ向かって鮮血を変形し犬牟田をあぶり出すが、不利となるや否や犬牟田はあっさり棄権。文化部委員長・蛇崩乃音(じゃくずれののん)の出番となる。マーチングバンドを引き連れた派手で華やかな蛇崩の攻撃に手も足も出ない流子。そんな中、美木杉は「最悪の事態」が起きることを懸念していた。

11. 可愛い女と呼ばないで
蛇崩と戦う流子、鮮血を飛行形態に変形させたことでなんとか優勢に転じる。しかし『アンコール』と称して復活する蛇崩。生命戦維に響く演奏で流子ではなく鮮血を直接攻撃する。しかし流子は受けた演奏を蛇崩に返し逆転勝利する。ついに最後の四天王、運動部委員長・猿投山との戦いを迎えようとした。ところがそこに、片目に眼帯、ゴスロリ服に身を包んだその女、針目縫(はりめぬい)が現れる。

12. 悲しみにつばをかけろ
半年前、針目縫が流子の父、纏博士を襲った理由。それは生命戦維に対抗出来る武器、断ち斬りバサミの回収だった。一身を彼自身の発明品であるハサミで仕留めたが、引き換えに片目を潰されていた。断ち斬りバサミの半分を奪い逃げる縫の後ろ姿を、流子は目撃していたのだ。縫の言動に怒りを覚える流子の攻撃は激しさを増す。鮮血と流子を挑発する縫。理性のたがが外れ力の加減も分別を失い暴走状態に陥る流子と鮮血は本能字学園を破壊していく……!

13. 君に薔薇薔薇…という感じ
全国学園支配を狙う本能字学園では、まだ制圧が終わらぬ最後のエリア、神戸・京都・大阪への大規模侵攻作戦、『三都制圧襲学旅行』の準備が進められていた。皐月は最終作戦開始の報告のため、母、羅暁(らぎょう)が待つリボックス社に向かう。そんな中、神衣での暴走により心に傷を負った流子は鮮血を着られず不登校になってしまう。そこへ元新聞部員・凪田信二郎(なぎたしんじろう)が現れる…

14. 急げ風のように
美木杉のアジトで目を覚ます流子。美木杉が拾った鮮血のスカーフのおかげでバラバラに切り刻まれた鮮血となんとか意志の疎通ができるが、残りのパーツが関西だと知り美木杉と共に関西へ向かうことに。その頃、本能字学園の生徒たちは配布された鮮血を手にそれぞれ三都市へ進んでいた。関西に到着した流子は着々と鮮血の切れ端を生徒達から回収していくが…

15. どうにもとまらない
道頓堀の地下には生命戦維対抗組織『ヌーディストビーチ』の地下アジトがあった。戦闘員たちが臨戦態勢で待機する中、美木杉と紬が帰還する。一方、難波金満高校生徒会長・宝多金男(たからだかねお)の前についに皐月が姿を現す。皐月は宝多が金で雇った戦闘員を気合いだけで蹴散らすが、宝多は負けじと対本能字学園機動兵器『道頓堀ロボ』に乗り込み、攻撃をしかけてくる。

16. 女はそれを我慢できない
鬼龍院との戦いの裏に『人類』や『宇宙生命』といった大きなものが付随してきたことに戸惑う流子。美木杉は「鮮血は生命戦維に対抗するために、纏一身によって作られた流子のためだけの服だ」と告げる。しかし、流子は「鮮血には鮮血の意思がある、戦うだけの戦闘服じゃない」と、鮮血を脱いで戦うと宣言するが…

17. 何故にお前は
本能字学園では、三都制圧により完遂された全国学園支配を祝し、学園理事長である羅暁を迎えての式典『大文化体育祭』の開催が発表されていた。そこで皐月と羅暁を一気に叩こうと考えた流子たちは会場にもぐり込もうとするのだが…。

18. 夜へ急ぐ人
すべては羅暁に裏切りを気取られないための芝居、本能字学園は羅暁並びに生命戦維との戦闘に備え築かれた戦闘部隊だと明かす皐月。幼い頃に死んだ父の志を継ぎ、羅暁の計画を阻止するために長きに渡り画策してきたのだ。原初生命戦維の活動も停止させ、その場を治めるかに見えた皐月だが、羅暁は人間を越えた不死身の肉体を手に入れていた…。

19. たどりついたらいつも雨ふり
心臓を引き抜かれても、なお生きている自分に驚く流子。流子はその身体に生命戦維を組み込まれた、羅暁の実の娘であり、流子と皐月は姉妹だったのだ。流子は衝撃の真実に愕然とする。上空からカバーズに襲われた市民たち、そしてマコまでもがカバーズに吸収され本能字学園は羅暁と縫、カバーズらの手に渡ってしまう。大阪では逃げ延びた四天王はじめ生徒たちとヌーディストビーチが共にレジスタンスとしてカバーズと戦っていた。

20. とおく群衆を離れて
自分の正体を知り傷付いたことで、最早他人の言葉を聞く耳を持たない流子。カバーズのみならず美木杉たちにも刃を向け、神衣も極制服も着ることなく自らの体内の生命戦維の力でビルを薙ぎ払い大阪を後にする。残されたレジスタンスの面々は本能字学園の地下牢に皐月が幽閉されていることを知り皐月奪還に乗り出す。単身学園に乗り込んだ流子は、そこで縫と戦っていたのだが…。

21. 未完成
純潔を着た流子と鮮血を着た皐月、ねじれた運命の姉妹の戦いが始まった。純潔を着ることによる快楽に酔いしれる流子に、純潔を脱ぐよう説得する鮮血。しかし流子はその言葉に耳を貸さない。流子は皐月には鮮血の声が聞こえず二人が意志の疎通を取れていないことを見抜き、皐月を追いつめる。流子は鮮血を切り離しとどめを刺そうとするが、そこへマコが身を投げ出す。

22. 唇よ、熱く君を語れ
怒りに任せ生命戦維を引きちぎり、純潔を引きはがした流子は再び鮮血と合体。縫と自分の決定的に違うもの、それは、自分の周りには「わけのわからないもの」が沢山いることだと言い放ち、縫を圧倒する。ようやく落ち着いて皐月と対面した流子。過去を清算するため皐月を一発殴ろうとするが、その拳を四天王が代わりに受けとめる。それを見た流子は、皐月もまた「わけのわからないもの」に囲まれ守られているのだと気付く。

23. イミテイション・ゴールド
戦線に立ったマコを船に残し、流子と皐月は羅暁を乗せた原初生命戦維を目指す。ふたりを相手に戦う羅暁、しかしその傍らで原初生命戦維から『裸の太陽丸』にカバーズを送り込まれて来る。戦いでぼろぼろになるマコたちだが、その前に三ツ星極制服最終形態の四天王が現れ戦闘を引き受ける。羅暁を追い詰めるふたりだが、縫が全身全霊で作り上げた最後の服『神羅纐纈(しんらこうけつ)』で身を固めた羅暁に圧倒されるのだった。

24. 果てしなき闇の彼方に
『神羅纐纈』、その力は、神衣、極制服に含まれる全ての生命戦維の力を絶対服従させるものだった。最終局面にして流子たちは一切の戦力を失ってしまう。唯一、生命戦維と人間の融合体である流子だけは絶対服従の力が効かなかった。鮮血を脱ぎ流子ひとりで羅暁と戦うも力の差は圧倒的。ついに人類は生命戦維へと化されようとする。しかし、脱がれた鮮血自らが羅暁を攻撃、神羅纐纈を傷つけることに成功するのだった。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

見るな! 感じろ! そして叫べ!! 「人衣一体っ! 神衣・鮮血っ!!」

2013年10月放送。
全24話+未放送1話(2014年9月3日発売予定のBlu-ray9巻に収録予定。)


【前置き】

「天元突破グレンラガン」を制作したスタッフ達が、トリガーという会社として独立後、初めて制作されたオリジナルアニメーションです。

個人的には、正直この手のアニメは苦手でした。

謎が謎を呼ぶ考察しがいのあるシナリオなわけでもないし、現実にも置きかえられ心に響いて深く考えさせられるようなものでもない。
かと言って、キャラ萌えを全面的に押し出した内容では全くない。

語弊のある言い方をすれば、単純で、勢いだけの時代錯誤的な作品。
子供の頃にどこかで見た記憶があるような、見た後に何も残らないアニメだと思っていました。

しかしなんでしょうね。
視聴後のこの、なんとスッキリした気分というのは…。

「単純に勢いよく、熱く面白いものを描く。」

それだけなのに、妙に心地が良いのです。
これこそ、昨今のアニメでは中々お目にかかれない要素であり、トリガーが本作で描きたかったものだったのでしょうね。


【あらすじ】

父の仇を探す女子高生、纏 流子(まとい りゅうこ)が主人公。

転入した本能字学園で、人知を超えた力を与える制服「極制服」を操る生徒会と四天王、そして学園を支配する生徒会長であり、父の死の真相を知っていると思われる鬼龍院 皐月(きりゅういん さつき)と、激しい戦いを繰り広げていきます。



【論じてみる】
{netabare}
根幹として、1980年代の『少年ジャンプ』のバトルマンガを意識した作品とのことですが、まさにそんな感じがしますね。

そのシナリオ構成に関しても、今のアニメなら2~3話を用いて描きそうな内容を、キルラキルは1話で勢いよく描き切ります。
最初の1話なんか特に展開が早くて、話についていくのが必至で度肝を抜きました。
これも、余計な引き伸ばしがない昔の良さが垣間見えます。

しかも、その目まぐるしい展開の元、画面が動く動くっっ!!!!
動かし方としては3DCGを使う先端技術を用いながらも、一昔前のような紙に絵具で手描きする手法も使ったり、作風に合うようセル画時代の画風で描くように意識もされていたようです。
こういうこだわり方も、とても好感が湧きましたね。

考察も必要無い。
深く考える必要も無い。
制作スタッフ一同からの

『ただ、この熱い展開と画面を見てくれっ!!』

という声が聞こえてくるようでした。
いや、誇張ナシにですよ。

そう、今思えば最初から、ムリに物語に付いて行く必要なんて無かったのです。
この作品は……理解なんてしなくても…そぅ、ただハートで感じれば良いのですからっ!!キリッ
いやホント、誇張ナシによ。


しかしここまでこだわった作画演出となると、途中に目に見える息切れ回が御愛嬌程度にあったりもするのですが、本作ではそれも感じさせませんでしたね。
息切れ時によくある総集編は、本作にもありますが
「なんだ、今回総集編かよ。」
なんて思っていたら、そんな視聴者の視点を分かり切ったかのようなナレーションが入り、オープニングが入るまでの冒頭で総集編を終わらせてしまって、本編では作中でも衝撃の展開を見せてくれました。

あの総集編は、スタッフの都合等では決して無く、衝撃展開をこれから見せる上での過去の内容のおさらいだったワケですね。
ちゃんと視聴者の視点も十分考慮した上で、製作者側が本作を描いているのがうかがえました。


最終話は、放送当日に作画が完成したと聞きましたが、いやはや最後まで全身全霊を見せてもらいました。
神衣・鮮血による、あのトリガースタッフへの煽り文句のような最終回予告に答えた作画班一同に、視聴者から精一杯の感謝を送りたいと思いました。
漫画媒体とは違い、アニメーションは動くという強みを存分に活かした作品でした。


そして忘れてはいけないのが音楽面。

主題歌の中では、1クール目オープニングの「シリウス」が、やっぱり一番熱くて好きでした。
作風にも非常にマッチしてますし、これからもずっと大好きなアニメソングになると思います。

最終回に挿入された時は、「やっぱりキタっ!!」と思いましたね。
挿入歌の「サンビカ」も含め、藍井エイルさんの楽曲をよく聞くようになりました。
CMで見たら、えらい美人さんでしたね。

それと、劇中で挟まれる英歌詞の曲「Before my body is dry」も、作品を大いに盛り上げてくれましたね。
一番印象深い、サビのフレーズ

「Don't Lose Your Way~♪」

和訳すると、

「お前の道を見失うな!」

作品を見た後だと、更に心に響きます。
{/netabare}



さて、本作はストーリーに関して色々と突っ込むよりも、勢い抜群で個性豊かなキャラについて語る方が正しい気がするので、ここからは中でも特に好きなキャラクター3人を上げたいと思います。

【満艦飾 マコ(まんかんしょく)】
{netabare}
流子ちゃんの友達であり、個人的に本作の重要なキーパーソンだとも感じています。

決して無理矢理ではなくても怒涛の展開が続く作中で、シナリオの本筋には(ハッキリ言ってしまえば)どーでもいい存在ですが、毎話ハレルヤのBGMとともにマコの破天荒な言動が続く独壇場シーンは、小休止であると共に清涼剤のようでした。
途中に一度、一瞬ジャミラ(ウルトラマンの怪獣)になったシーンは笑ってしまいましたよ。

あの可愛くコミカルな演出、とんでもない貧乏をものともしない家族も含め、私は見ていて楽しかったです。
てかあのコロッケ、本当に美味しいのか…?


終盤、再び喧嘩部部長の姿で登場した時はテンション上がりましたね。
ただ、通常形態と比べ全ての数値が「0」⇒「9999」になっているように見せて、よく見ると頭脳だけ「0」のまんまでしたね、アレ。

そうそう、

「まんかんしょく~~~っ!!!」

って常々言ってた蒲郡先輩との妙なフラグにも、最後らへんはニヤニヤして見てました。
なんだかんだ作中で一番可愛い気がするもんね、分かるぜ蒲郡先輩。
{/netabare}


【針目 縫(はりめ ぬい)】
{netabare}
可愛いで言えば、その可愛い声を全面に押し出した田村ゆかりさん演じる針目縫も好きでした。
闘いの最中も、その圧倒的強さを見せながら終始笑顔を崩さない。
ってか、その大口を開けた笑顔が基本一切変わらない。

初登場時から、底が見えないあの圧倒的な戦闘力。
物腰や口調も柔らかく、加えて一人称はボク。
昔に見た、「私の戦闘力は53万です」的な、あのお方を彷彿させるかのような絶望感を味あわせてくれました。

だからこそ、表情が崩れたり声を荒げたりすると、また余計に印象強く残りますしね。
田村ゆかりさん、今作でも名演技でした。
{/netabare}


【美木杉 愛九郎(みきすぎ あいくろう)】
{netabare}
学校の先生であり実は反政府ゲリラ「ヌーディスト・ビーチ」に属する、美木杉先生も個人的に大好きですね。

当初は、平凡を装っているが実は「常に服がはだける自己陶酔イケメン」という、どっかの南さん家に出てくるキャラ設定のように思っていました。

しかし後半、「ヌーディスト・ビーチ」本来の正装に戻ってからというもの、想像をはるかに超えた脱ぎっぷりを見せ…、いえ…魅せてくれました。

しかも、なんかず~~~~っと3ヶ所光ってるっ……。。。。

途中誰もツッコまなかったけど、マコのお母さん無言でメッッチャクチャ見てましたよねアレ。
(下の光ってる部分を。)

こんな常軌を逸したキャラでも、それが作中に普通に収まってシリアスに話を進行させる役回りだというのだから、お笑い草ですね。
勿論、良い意味で。
{/netabare}



【総評】

当初は、まだ苦手だった気分も手伝い、勢いだけの演出に少々退屈だった時もありました。
しかし、その勢いがクセになりだし、頭をカラッポにして見れ熱くなれた終盤は、存分に楽しませてもらいました。

最後が一番面白い作品って、やっぱりスッキリしていいですね。
半年間、本作を見続けることが出来て良かったです。

次は、人気作だけど苦手意識があって見ていなかった「天元突破グレンラガン」も見ようと思います。
4~6月中に見るつもりでしたので、ノルマとしてはもう今月中しかない。
休日に一日使って一気見ってのも良いですね、楽しみです。


ではでは、読んでいただいて、ありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『満艦飾マコ』声 - 洲崎綾さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『満艦飾マコ』声 - 洲崎綾さん


以下、どーーーでもいい決意表明なので〆ます。
{netabare}

さて……、今後私に、もしセーラー服を着る機会があるとすれば、

「人衣一体っ!!! 神衣・鮮血っ!!!」

と大声で叫んで、着たいと思います。


無論その時は、縞模様の下着の装着も辞さない覚悟である。
{/netabare}


↓決意表明その後↓
{netabare}

上記の希望の名の元、私は友人♀に


「セーラー服と縞模様の下着一式を、俺に貸してくれ!!」


という旨のメール送ってみました。


返事には、


いつもとは裏腹に、とても優しい文面で、


心のケアを促す内容が記されておりました。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 51

57.5 2 GARNiDELiAでライバルなアニメランキング2位
ガンダム Gのレコンギスタ(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (384)
1503人が棚に入れました
宇宙移民と宇宙戦争の歴史となった宇宙世紀が終焉後、しばらくの刻が流れた。

新たな時代、リギルド・センチュリー(R.C.)を迎えた人類の営みと繁栄は、平和と共にこのまま続いて行くものだと思われていた。

R.C.1014年。
地上からそびえ立つ地球と宇宙を繋ぐ軌道エレベータ、キャピタル・タワー。
地球上のエネルギー源であるフォトン・バッテリーを宇宙よりもたらすが故に神聖視された場所である。
そのキャピタル・タワーを守護すべく組織されたキャピタル・ガード候補生のベルリ・ゼナムは、初めての実習の最中、いずれの国の技術でもない高性能モビルスーツ、G-セルフの襲撃を受ける。
作業用モビルスーツのレクテンで交戦したベルリはG-セルフの捕獲に成功する。
しかし、G-セルフを操縦していたアイーダ・レイハントンを名乗る宇宙海賊の少女に何かを感じるベルリ。
それは見たこともないはずのG-セルフに対しても同じだった。
そして、特定条件を満たさなければ動かないはずのG-セルフをベルリは何故か起動させてしまう。

キャピタル・タワーを襲撃する宇宙海賊とアイーダの目的、G-セルフに選ばれたベルリが辿る運命、その果てに待ち受けるリギルド・センチュリー全体を揺るがす真相。

全てはレコンギスタの始まりに過ぎなかったのだ。

声優・キャラクター
石井マーク、嶋村侑、寿美菜子、逢坂良太、佐藤拓也、高垣彩陽、福井裕佳梨、井荻翼
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ゆきてかえりしGセルフ

ガンダムシリーズの生みの親、富野由悠季監督の最新作に当たるアニメ。発表は2014年。全26話

秘匿された宇宙の一点から供給されるエネルギー源フォトンバッテリーを受領、管理、統括する「キャピタル・テリトリィ(国名)」、そこに属する自衛組織「キャピタルガード」、同組織の候補生ベルリ・ゼナムは、なし崩し的に、策謀、野望の渦巻く戦禍の中に身を投じていきます。

宇宙(そら)から堕ちてきた少女とメカ、軌道エレベーター「キャピタル・タワー」で発生した宇宙海賊襲撃事件を皮切りに物語は動き出す!

脚本・監督を務められた富野監督は、本作を※1ロードピクチャー(ムービー)に位置づけており、小学校高学年~中学生を被視聴対象として期待していたとの事。それ以上の年齢の人が観ても「役には立たない」そーです^^; 因みにわたしは放送当時とっくに成人していましたが、これまでに丸々2周しています。「※2見なければ何もわからない!」ので、見るっ!(笑)

ガンダム作品と言えば、宇宙コロニー、月、地球と、転々と舞台を変えながら進行する物語構成や、戦争、擬似家族ドラマ、少年の成長などをミックスしたSFロボットアニメというイメージが一般的かと思われますが、既に完成されてしまったスタイルと言うべきなのでしょうか、本作Gのレコンギスタ(以下Gレコ)もその基本的な構造に違いはありません。

戦争色や戦闘描写の殺伐さが影を潜めている点や、※3中休み的な笑いの要素が増量されている点については、富野監督自身が「第二のデビュー作」と公言している「ブレンパワード」、続く「∀ガンダム」、「OVERMANキングゲイナー」の一連の流れの延長上に本作が位置している印象を強くしていますが、関連して、初期のガンダム作品ではお約束だった、生の感情や主張を吐き出し合う会話のドッジボール的な場面等も控え目に、敵味方、仲間同士の軋轢もかなり薄口になっています。富野節は健在ですが、内容は心をえぐるストレートな表現からユーモアたっぷりの搦め手にシフトしている様に見受けられました。これは上で触れた「第二のデビュー」からの自然な流れでもあるんですが、古くは「無敵鋼人ダイターン3」「戦闘メカザブングル」「重戦機エルガイム」なんかでも多用された演出だったのではないでしょーか。

※1~3
{netabare}
※1:例によって家(宇宙船)ごと移動する旅なのでロードムービー感は希薄。どちらかと言うとグランドホテル方式に近いと思います。保護者がいて、衣食住の心配がなくて、文明に囲まれて、社会との繋がりが強固なら、あくまでも個人的な意見ですが、それは旅ではないと思ってます。わたしなんかよりもっと説得力のある旅の定義に触れたい方はアーシュラ・K. ル=グウィン女史の「夜の言葉―ファンタジー・SF論」を読むべし。読書案内としても非常に読み応えのある書です。

※2:次回予告のナレーションから。「見たくなくても見る!」とか「スリリング過ぎるから見なくていい」とか半自虐的な台詞も^^;後半のやっつけ感ありありのナレーションを除いて総じて面白い!

※3:主要キャラが元気に踊るアイキャッチもひじょーに見応えがあります。マスク大尉と天才クリムのダンスは特に(笑)振り付け担当は富野監督の実娘、富野幸緒さん!
{/netabare}
善玉悪玉の対立構造も、選民思想や過激思想にどっぷり浸かった独裁者(あくまでも親玉が)と、それに抵抗する人々というステロタイプの図式から離れ、悪玉は野心や理想に捉われた、やや間抜けなキャラとして、善玉は飄々としていながら根は純朴、いい意味でのドライさを漂わせるキャラとして描かれており、後者については何となく現代で言うところのさとり世代の若者達を彷彿とさせました。戦争物の側面もある作品なので当然死者は出てしまうのですが、大義名分や憎悪の応酬で戦うわけでは無いので緊迫感や悲壮感をあまり感じさせません。

「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」でピークを迎えた、互いの正義をぶつけ合う二元論的な闘争のお話は、多様性と単一性の対立に置き換えられ、また大人対子供の図式も、従来の上下の関係から離れ、異なる相を見せる様になりました。

初期ガンダム作品における大人の立ち位置は、子供に社会の厳しさを諭す教育者や、乗り越えるべき壁といったものでしたが、本作における彼等の立ち位置は、良くて子供の庇護者、悪ければ単なる敵として、いずれも滅び行く者達の象徴的存在として描かれている面が強烈だった様に思います。{netabare}物語後半の、4陣営の長の立場にある人物達が残らず死亡という形で退場する展開は、さすがに恣意的で、やや自虐的なブラックジョークの様にも見えてしまいましたが(迷台詞の宝庫!グシオン総監お気に入りだったのに…残念--;){/netabare}富野監督の若者世代への期待と、大人世代へのそこはかとない諦念が垣間見える様でもありました(汗

この舞台では大人への依存から離れ、生き方の指針を自ら決めて行動する若者達が主役です。現代における大人と子供の関係を映した鏡、※4レコンキスタによって滅ぼされない※5多神教の世界を描いたお話ともとれる本作の構造、雰囲気は、過去のアニメ制作現場における自身の采配を"独裁的"と振り返る富野監督が、第二のデビュー以後、へり下って若者の目線に寄り添う姿勢を取る様になったという心境の変化とも重なります。

※4~5
{netabare}
※4:本作のタイトルを敢えてレコン"ギ"スタとしたのは富野監督のジンクスによる判断だそーです^^イコールにしてしまうとイメージが固定されてしまうので、それを回避するのにも役立っている気がします。アメリアとかミック・ジャックとかもそうですね。

※5:これについて富野監督は明らかに意識されている様で、MSの名にジャイオーン(アイオーン)ヘカテー、カーリー、ダハック(ザッハーク)、ルシファーなどが見られる。いずれも一神教の視点からは悪魔と見なされるものたち。主人公機のGセルフも作中で悪魔呼ばわりされているシーンがある。神話由来の名称には他にユグドラシルなんかも。トリニティ(三位一体の某神サマ)も一応参戦してる。天使の名を冠するガンダムが多数登場する前シリーズOOとは大違い。鉄血でまた悪魔だらけになります(笑)
{/netabare}
科学信仰への警告もGレコの大きなテーマと言えそうです。作中で言及される「ヘルメスの薔薇の設計図」。そこから生み出されたGセルフという神にも悪魔にもなれる力。その力を最後まで持て余してしまうベルリの姿は、MS(メカ)の性能を限界まで引き出して戦った科学信仰の代弁者たる過去のガンダム作品(第二のデビュー以前)で活躍した英雄達(いわゆるニュータイプ)の姿とは大きく異なります。

MSという巨大な力の使い道を理解しつつ自在に操る事が可能な"ニュータイプ"はガンダム作品における進化した未来の人類の位置付けですが、本作の主人公ベルリとその好敵手に当たるマスクは、あくまでも凡人としてその力に振り回され続けるのです。

Gセルフ(MS)と並んで、力を象徴するガジェットとして印象的なものに、マスクの装着する※6ゴーグルも挙げられます。富野監督のネット嫌いはけっこー有名ですが、ひょっとするとこのゴーグルは、丸まんまネット端末の暗喩なのではないでしょうか。装着すると攻撃的かつハイテンションになり、外すと憑き物が取れた様にニッコリ爽やかになる。クルマ運転する人にもいますよね、そういう人たまに(汗)

J・R・R・トールキン先生の著した「指輪物語」に登場する「一つの指輪」あるいは覗き見石の「パランティア」に相当する、所持者を堕落へと誘う力の象徴、今の世で言えば軍事兵器やネット端末、自動車、オカネ、その他諸々…。付き詰めると、もっとちっぽけな力もこれに当てはまり、ヒトが同族や他の動物を殺める為にこしらえた原始の武器も、大人が子供に対して振るう圧倒的な腕力も、古来から人を増長させる力の一部だったと言えるのではないでしょうか。
{netabare}
恋してる先輩の(劣等感を解消する)為に「死んで!」と、わりと仲の良かった(フリをしてただけなのかも知れない)男の子に言ってのけてしまう、本作に登場するヒロインの1人マニィの怪物加減も、力(Gラッハ)を手に入れたゆえの暴走なのかも知れません。リアルでこんな子いたらホラーですけどね(汗
{/netabare}
ベルリは力を制御出来ずに罪を負い、マスクは憎しみを力に乗せて(※7立てよクンタラよ!と)突き進む。戦場では全力を尽くしても手心を加えても、等しく(あるいは手加減した時の方が)人が死んでいく。力が大き過ぎるから。まるで力そのものに悪意が宿っているかのように。

ベルリとマスクは力の制御に失敗し、第3の男クリム・ニックだけがこれに成功していた様に見えたのは、科学信仰の一縷の希望と言えるかも知れません。力の運用はやや利己的ながら、信念に基づき、憎しみや後悔に後ろ髪引かれる事もなく、技術(MS)の操縦は計算づくで、冷静かつ巧み。PCユーザーに例えると※8ハッカーに相当するクリムは、テクノロジーとの円満な関係を築くことの出来た新人類(ニュータイプ)にやや近い存在と言えそうです。尊大で能天気(笑)、時に純粋と言える程に残忍な判断を下すクリムですが、根は優しく人に寛大。迷いの無い彼の戦い振りからは、ある種の清々しささえ感じられます。正に※9鋼の心で風のように行く男。ブリキ男のGレコお気に入りキャラの1人です。

※6~9
{netabare}
※6:設定上は眼球運動をモビルスーツの操縦に反映するなどしてパイロットを補助する、ヘッドマウントディスプレイ内蔵の多機能ゴーグルとのこと。

※7:「機動戦士ガンダム」の登場人物ギレン・ザビの演説のもじり。オリジナルは「悲しみを怒りに変えて、立てよ!国民よ!」

※8:PCを使ってワルサするクラッカーではなく本来の意味の。

※9:長谷川裕一先生の漫画作品「機動戦士クロスボーンガンダム 鋼鉄の七人」から抜粋。
{/netabare}
力の運用と言えば、最終話の1カット{netabare}「あの大きい軍艦の正体がわかりました!あの軍艦に乗ってる大人って、大きなおもちゃをもらってはしゃいでるんです!」{/netabare}もなかなか衝撃的でした。年若い女の子2人が利権と覇権を求めて病まない大人達を断罪するシーン。

古今東西の戦争なるものを俯瞰して見ると、その根源が、全ての生物に根ざす原始的な生存本能とマッチョ文化に根ざしている事は疑いの余地もありませんが、Gレコの世界では女性の威力と発言力が男性と均衡しているどころか、時として勝っている印象さえ受けます。

戦争という危険な文化を発展させ続けて来た"男"を戒める役割に"女"が据えられたのは、よくよく考えてみれば至極自然な成り行きで、見方によっては、この役回りは神の代行とも取れます。大人の男にとっての神、彼等を一喝する存在は、つまるところ女の子だったわけです(笑){netabare}かつて神に次ぐ地位に座していたとされ、イヴを誘惑した(G)ルシファーがそれを成した光景は暗喩的表現だったのかも知れません。{/netabare}


初見の感想としては、非連続的でややエキセントリックな言動の目立つキャラ達の心の動きに付いていけず、振り回されてばかりで、また各陣営の目的も抽象的な言葉で語られるシーンが多く不明瞭に見えてしまい、物語の全貌を把握する事ができなかったという感じでしたが、2周目にして、何ゆえGレコには物語としての文法的な欠陥が目立つのか、またカオスなキャラ造形が目立つのか、やっとこさ理解出来た様な気がした次第(笑)

戦場以外の接点がほぼ無い、主人公ベルリとその最大の敵役となるマスク(名前です笑)の奇妙なライバル関係にも、それがよく現れている様に、Gレコのテーマはディスコミュニケーションを下敷きにした人間ドラマ、それ自体を描く事にあったのではないかと思われます。

元々実写ドラマ(映画)監督志望だった富野監督が、若かりし日に吸収したであろう50~60年代のヌーヴェルヴァーグ風の詩的(投げっ放しとも言う笑)な台詞回しは、リピートする度に異なる色彩を拾える生の人間の声に限り無く近いもので、間違えたり、勘違いしたり、上手い嘘が入ったり、結局のところ意味が分からなかったり^^;聞き手の耳にすっと入り、文字と意味の量が一対になる折り目正しい表現とは一線を画します。

最終話のマスクの口から放たれる台詞 {netabare}「将来独裁者になるような血筋の者はこの世を去れ!」{/netabare}は、それを体現した究極の形であった様に思われます。この台詞はあまりにも唐突で、あまりにも激しい。相手の正体すら認識していないベルリと、ベルリに対して一方的な怨念を募らせるマスクの間に異常な温度差があるのです。だからこそリアル。

キャラ同士の誤解無き会話の成立が前提として据えられた物語は、富野監督の言うところの理想の人類=ニュータイプのみが登場する物語であり、表現を変えれば、相互理解を完結した上で衝突する家族同然(以上)の人間関係だけが存在する非現実的な世界であると言えます。

一人の綴り手が設計した、ヒトを理想化したキャラ達を、その綴り手の分身や兄弟姉妹と見立てると、彼等の作る会話劇は自問自答と何ら大差の無いものとなり、行き着く先は閉じた世界の一人芝居、色彩に乏しい味気のないドラマになってしまいます。

編集された世界は理路整然としていて安心感がありますし、整備されたキャラ造形は美しくて魅惑的ですが、わたし達アニメファンの目は、ややもするとその快適な世界に矯正されがちです。

そこが遥か彼方のユートピアなのか、はたまた近くのディストピアなのか? わたしは多分後者だと思いますが、富野監督が危険視する"子供騙し"―取捨選択が禁止され、焦点が固定された甘い夢―にはドラッギーな魅力がある事も確かです。他の動物達と同様に、ヒトもまた、生物学的に見ても基本的にはジャンキーですから(笑)。でもそれで錯覚もしやすい。

例えば※10鳥類は、カルシウムが欠乏している場合、白くて硬く粉々になったものなら化学成分に関係なく何でも、視覚と触角を頼りに見境なく食べてしまうという、進化の過程で身に付けた、本来ならば生存という目的にとってプラスとなる性質を持ちますが、この性質は同時に、有毒な炭化物を誤って摂取してしまうという、命取りの危険も孕んでいます。

同じ様に、やれカッコイイ、やれかわいい、綺麗だの、泣けるだの、ヒトが快楽や安心を感じる表面的な要素は、本質を見誤る最大の障害ともなりえます。「かわいいは正義!」なんて言葉はその最たるものですね(汗)浸り続けると本質の認識との間にズレが生じ、更にはそのズレを不快なもの、醜いものと判断してしまう程に強力。快楽に追従した思考回路をやみくもに肯定し続ければ、先に挙げた鳥の例の様に、時には中毒死を引き起こしてしまう可能性もあるのではないでしょうか。

SFから始まりファンタジーを経て、またSFへと還る。富野監督の第三のデビュー1号作品に位置付けられるTV版Gレコの唯一無二な点は、同監督の打算知らずの姿勢がなければ到底実現しえなかった、解釈を規定せず説明もしないアートとしての魅力、そこに尽きると思います。それは妥協しか存在しない世界の提示。

今にして思えば、本作の第3話予告で高らかと謳われる「見たくなくても、見る!」は自虐ではなく、「現実を直視しなさいよ!」と同義であったと腑に落ちます。

目で確かめるこの世界は混沌を好み、醜くて丸い。整然とした四角い秩序の対極にあるもの。だからこそ望み、つかみ取る喜びがある。

そこでは動体視力と愚者の探究心が最強の矛となり、理解出来ない事を理解するための妥協と許しが無敵の盾となるのです(笑)


※10:近代における動物行動学の草分け的存在コンラート・ローレンツ先生の著書「行動は進化するか」から。同書では動物全般(特にヒトが)が好んで摂取する糖や油によって起こる弊害についても語られている。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

素人達による宇宙戦争

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
私は高評価なんですが、この作品、ひじょーーに評価が難しい作品ですね(汗) それはとにかく、「分かりにくい」という一点に集約されると思います。

なんてったって、序盤からワケノワカラン専門用語&富野節の連打。行動原理のワカラン主人公&登場人物達。誰がどの勢力に属し、どの勢力が誰となぜ争っているかも分からない状態で新たな勢力がどんどん登場してくるカオス……。

置いてけぼりにされ、途中離脱者多発も頷けます。

でも、だからこそ、自称ガンオタとしてはじっくり付き合いたくなる作品でした。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(特盛りレビュー)】
{netabare}
私が1~3話を観た感想は、「あ~、これは私達(ガンダムファン)に向けて作ってないな」ということだ。

そもそも、「ガンダム」と他のアニメは背負っているものが違う。既に数多の作品が発表され、巨大な市場を形成しているガンダムにとって、その市場を維持、発展させていくことが命題となっている。その為に重要なのは、私達(ファーストから好きな)古参ファンではなく、10年後以降に主な消費層となる、現在の小中学生。だって、うちら古参ファンなんて、なんだかんだ新作に文句言いながらも、多分死ぬまでガンダムファンやめられないしね(苦笑)

私はガンダムシリーズ(漫画、ゲーム等を除く)を、(勝手に)4つの区分に分けている。※( )は未視聴。抜けがあったらすみません。

groupA 宇宙世紀モノ (と、その延長線上)
ファースト・Z・ZZ・逆シャア・08小隊・0080・0083・(UC)・F91・V・IGLOO・ターンA

groupB 新世代モノ (イケメン多数&複数ガンダム)
W・X・SEED系・OO系

groupC イロモノ外伝系 (ガンダムはあくまで素材)
G・ビルド

groupD 新規開拓系 (ガンダムファン以外が狙い)
AGE・(鉄血系)・Gレコ

2000年代以降、groupBの作品群が発表され、一定の商業的な成功を納めた。また、これまでガンダムに興味をもっていなかった層から、新たなファンを獲得した。ところが、サンライズなど制作陣は重大なことを見落としていたのだと思う。それはgroupBをきっかけにガンダムファンになった層は、groupAのファンにはなりにくいということ。下手すれば、groupAのアンチにすらなりかねない(だって、逆に私達ファースト好きの中にはSEEDや00を批判する人多いでしょ?)。groupBにとってのガンダムとは、SEEDでありOOの「格好良いガンダム」であり、ファーストなどは「古くさくて格好悪くて分かりにくいアニメ」にしか過ぎない(極論ですが)。ですから、groupBのファンは、「そのガンダム」のファンにはなるものの、そこから「ガンダムシリーズのファン」になる確率は低く、これでは過去のコンテンツを有効活用できないので、商業的には非効率的だった(ちなみに私はわりと、新世代のガンダムに寛容です)。

この「Gのレコンギスタ」を観た時、「あ~、これは今の小中学生をファースト等に引きずり込もうとした作品だな」と思った。

「Gレコ」の「昔風の作画」「難解な富野語録」「萌えないキャラ」を楽しめた(あるいは耐えた、経験した)小中学生ならば、ファーストをはじめとした、groupAに対するアレルギーは少なく、また、groupBも別物の作品として楽しめるだろう。そういう長期的な野心を感じる意欲作として、私はレコンギスタを評価している。

実際、富野さんも「本作は新しい世代(今の小中学生に)見てもらいたい作品であって、それ以上の年齢の人が観ても役に立たない」「でも、僕は単に噛み砕いた分かりやすい作品が子供向けだとは思わない。疑問を感じる機構を数多く配置し、成長の中でそれぞれの答えを出してほしいという、老人から孫への願いを込めている」「所詮ロボットものだからと諦めてしまえば良かったんだけど、色々詰め込み過ぎてしまった。僕の悪い癖が出た。こんなに見ずらいアニメを作ってしまい、申し訳ないと思う。(⬅これは多分、制作元への謝罪であり、視聴者への謝罪ではないだろう)」「でも、種は蒔いたぞという自負心はあります。個人的にはかなり好きな作品。若い視聴者が20年後に思い出してくれれば良い。」「ヒット作ではありませんが、今の時代に作っておいて良かったと、自画自賛している。」という趣旨の発言をしている。この富野さんの言葉が、一番のレビューではないだろうか?

なぜ今作で、15年ぶりに「富野監督」が実現できたかというと、そういう制作側の商業的狙い(長期的プラン)と、富野さんの「ターンAはこれまでのガンダムの総括であって、その次の「脱ガンダム」を見せるものではなかった。だが、今回のレコンギスタで脱ガンダムが出来た。脱ガンダムという挑戦が出来るのは、世界で僕(富野)しかいない。」というガンダム生みの親としての矜持が合致した結果だろう。

だから、うちら古参のガンダムファン+groupBスタートの新世代ファン=つまり全てのガンダム好き が楽しめなくてもそれはしゃーないって(笑) この作品に正しいレビューが書けるのは、「Gレコが、ガンダムデビューっす」という若人だけっすよ(笑)


……さて、前置き(驚愕!!)はこのくらいにして、アニメそのものの感想を(笑)

このレコンギスタを、見て思ったのは、敵も味方も皆が「稚拙」であるということだ。戦略的にも、モビルスーツの操縦(バトル)的にも「?」と思う場面が多い。また、主人公のベルリを始め、登場人物の多くに、戦争をやっているという悲壮感や危機感、責任感がない。なんかみんな能天気でチグハグ。なのに物語だけはサクサクと進んでいく。この辺が、レコンギスタが駄作と言われる所以だろう。

しかし、レコンギスタを考える上で大切なのが、ガンダム史上の、①宇宙世紀開始→少なくとも200年以上が経過→②宇宙世紀終了(この時点で文明の多くが破壊、人類が滅亡しかける)→1000年以上が経過(この間、②の反省を踏まえ、人類は科学技術の発展を自ら制限)→③大陸間戦争勃発(軍備の様子から、恐らく第一次世界大戦レベルかそれ以下)→④ミノフスキー粒子を使い始め、モビルスーツの運用が始まる→⑤レコンギスタ開始 という、歴史の流れを踏まえることだ。

レコンギスタのおもしろいところは、庶民の生活と軍事技術において、科学技術のレベルが乖離しているところ。庶民の生活的には、おそらく西暦19~20世紀のレベルだが、軍事においては、一年戦争時より遥かに高い技術がある。これは、「ヘルメスの薔薇」と呼ばれる宇宙世紀のデータベースを流用しているからで、いわゆるオーバーテクノロジーを使っているから。(しかも、戦場にモビルスーツが配置されたのも、おそらくレコンギスタ開始のほんの少し前から)。

つまり、「今まで自動車や飛行機も満足に操縦したことのない生活をしてきた人々が、いきなりモビルスーツで戦争している」のだ。作中でも、(10年前に現人類史上初の大陸間戦争があったばかりで)大抵の兵士が初陣で、軍のエース(マスク大尉)までもが「宇宙戦闘は初めて」とか言うし、サラマンドラ(軍の最重要作戦を任された艦隊の旗艦)の艦長が、戦闘中に航海日誌を書くというお気楽さ。もう、ブライト艦長にでも殴ってもらいたいw

つまり、敵も味方も、皆が戦争素人達なのだ。

宇宙世紀は戦争の時代で、その中で様々な戦術が生み出され、パイロット達も切磋琢磨し、組織も育ってきた。そんな時代に生きた英傑たちと、昨日今日戦争を始めた素人達を比べ、「なってない」と言ったって、そりゃあ無理ですよ。まあ、「戦国大名達にイージス艦やステルス戦闘機を与えた」ようなもんだと思って下さい。折角のステルス戦闘機なのに、「やあやあ我こそは!」とか、やりそうじゃない?w

特に、トワサンガ到着後はヒドイ。「好きな人が姉だと分かり、八つ当たりで勝手に出撃する主人公」「自分のオトコがピンチだから発砲する頭の沸いた女達」「負けたことが悔しいだけで暴走するプロ軍人」……彼らがやっているのは、もはや戦争でなく、ただの小競り合い。ホント登場人物、バカばっかり。

でも、彼らに崇高な使命感や、高度な政治判断を期待しないで下さい。そう、彼らは皆が素人なのだから(笑)

また、本作の特徴として、「新兵器、新MSの登場頻度が異常に多い」というものがある。多分、シリーズ屈指。富野さんはインタビューの中で、「レコンギスタのテーマのひとつに、技術屋の都合だけで進化した技術の危うさがある」と述べている。この作品を見ていて感じたのは、「新兵器を、まるで新しいオモチャのように喜び、気軽に戦争に使っている」という違和感(実際、稼働実験すらまともにしていないのに、実戦投入するなんてざらにある)。数年前にアメリカで、幼い子供が本物の銃で遊んでいて、弟を撃ち殺してしまったという悲しい事件があった。それと同じような精神性(問題提起)を、レコンギスタのキャラ達には感じた。

富野さんは基本的に、「肯定による否定」を行う人です。つまりはツンデレw ガンダムも、「戦争を描くことで反戦を訴えた」かったわけですから。

おそらく、レコンギスタで訴えたいのは、「歴史は繰り返す」「例えそれが人類の手に余るものであっても、戦争に利用してしまう」という、人類普遍の愚かさではないだろうか。

この作品は、アムロやシャア、もっと言えば、ランバラルやノリスなど、(能力的にも思想的にも)真の軍人をイメージして観るから、ストレスがたまるアニメになるのだ。

レコンギスタの「人類」は基本、皆、戦争素人なんだから、(良くても)バーニィやクリス、カツやファ、ハサウェイやアイナ、後衛陣も、ベルトーチカやニナ、最強クラスでも、ガロードやシロー達だけで戦争してると考えたらどうだろうか?

私はそう考えて視聴したら、「ある意味、今までのガンダムで一番のリアル(素人による戦争の現実)を描いているかもしれない」と、思えた。そこが、高評価の理由だ。こんな「駄作」で過去のガンダムを「否定」(脱ガンダムが)できるのは、世界で唯一、富野さんにだけ許されたことかもしれない。

あっ、でも、単純に面白くないってのには、全面的に賛成ですが(笑)

長文失礼しましたm(__)m
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
ガンダムは既に巨大なコンテンツを形成しており、それを維持、発展させるには、10、20年後の消費層になる、今の子供達を既存(ファーストなど)のコンテンツにハマらせる必要がある。そのために、富野節全開の「古くてクセが強い」ガンダムを見せておくことに価値はある。

アニメ的には、とにかく支離滅裂な展開と、ツッコミ処満載のバカキャラが出まくるが、忘れてはいけないのは、この世界の住人が「戦争素人」であるという、(ガンダムの)歴史的視点。ある意味、これまでで一番リアルなガンダムだった。

アニメとして、シンプルにツマラナイことは否定しない。しかし、こんな「駄作」で過去のガンダムを「否定」できるのは、世界で唯一、富野さんにだけ許されたことかもしれない。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28
ネタバレ

蟹チャーハン さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

富野節炸裂なガンダムも、驚くほど主人公に優しいガンダムでした

<富野氏からの映画化の話題でファン騒然? 新規カット追加にシナリオも改編? 三部作の予定で、一作目のヒット具合でどうなるか?! うわーですねw>

オルフェンズがおもしろかったので続けて視聴してみました。
予備知識はゼロ。評判がいまひとつなのは知っていたくらいか。

ストーリーがわかりにくい、難解だとよく聞きますが、
自分が見ていた範囲ではそこまでとは思わなかったかな。

ただ、最初に地球圏での勢力分布くらい教えてくれてもいいんじゃないかと思います。
いつもみたいに背景説明のナレーションがないのでわかりにくく、
一話から戦闘している相手が誰なのかも海賊といわれてもピンとこない。
結局、最後まで付き合うことになる相手なのだし、このガンダム物語の土台になる
ところだと思いますしね。

端的にいえば、富野節ともいえる兵士たちが交わす短いセリフがじゃんじゃん飛び出し
懐かしい反面、いつもの兵士たちの間に漂う重苦しい戦争してる感であるとか、
悲壮感がゼロで緊張感もなく、なぜ彼らはこんなに浮き足立って、突発的な戦いに巻き込まれて
戦っているのだろうか、という違和感をおぼえたまま見終えたことか。

以下ネタバレで~
{netabare}
常に小出しの戦闘。
モビルスーツが3機とかで敵陣強襲してどれだけ成果をあげられるのか。
少しやりあって損傷を負うと撤収。新型モビルスーツが手に入るとのこのこ出かけての繰り返し。
最後まで大掛かりな○○作戦といったみどころがなく終わってしまいました。

戦う理由もよくわからない。
地球はアメリカとヨーロッパの二大勢力に支配され、全体に影響を与える存在として
キリスト教のバチカンみたいな宗教団体が存在しています。その宗教団体が月の勢力から
フォトンバッテリーという電気とか石油のような動力源を独占的に購入分配しています。

地球の二大勢力はそれに不満があるようで、海賊だのなんだの名前を伏せた形で強奪をはかってきます。
冒頭、アイーダはそれは公平ではないというけれど、そもそもが資源戦争やって地球を荒廃させた
人類が知恵を絞った結果なのだろうし、実際にそれで困っている人たちがいるわけでもなく、
平和にやってきたように見えるので、結局は大国の利権絡みでしかないのかなという印象でした。

これで戦争になるから納得しろってのはちょっとおかしいですね。
経済戦争ならわかるんですが武力行使にまでなりますかね? 
妄想の域で…無理があるかなと。

迷走し続ける主人公
他人の言葉の受け売りなアイーダもですし、それは身勝手な行動が目立つ主人公にもいえます。
もともとは宗教団体所属の学校の学生のはずが、アメリカ国家の別働隊に拉致されたのをきっかけに、
気がつくと最後までそっちで戦闘に参加していました。

しかも学友や恩師に対しても攻撃してるし(教師は抹殺)意味がわからない。
それでも自分はスパイしてるのであって、所属は元の宗教団体のままだと言ってたけど、
これって普通に裏切り者なんじゃないの? と思えて仕方ありません。
制作側の都合としては、日本の自衛官が米軍で働いてるくらいの感覚なのだろうけど、
これがえらく伝わりにくい設定だなと。

で、なぜ彼はああまでして、アメリカ勢力のもとでパイロットして戦争に参加していたのか
かなり悩んだりもしたんですが、本編終盤近くでのセリフを聞いてわかりました。
『実のところ彼は、ただ戦闘がしたかっただけなんだ』です。
たしかに以前の身分ではモビルスーツに乗る機会は少なかっただろうし、
戦闘に参加するチャンスすらなかったかもしれない。
人を殺したくない気持ちは本当でも、破壊衝動はあったということか。

アムロにカミーユ、歴代ガンダムパイロットはわがままが定番ですが、どこかのタイミングで、
ガンダムのパイロット失格の烙印を押され、懲罰房入りしたりすることがありましたけど、
このレコンキスタではそれがないんですよね。
成長をうながす大事なシーンだと思うんですが…。
キャラ的に今回の主人公は、Zのカミーユに近いイメージかもしれませんが、躾もされず
わがまま放題で手に負えない感じです。

無茶のある月の勢力参戦のシナリオ
とりま、地球でのいざこざが月の勢力にも影響し、宇宙全体のパワーバランスを変える
ような一大戦争に発展するというシナリオについて、これも無理があったかな。
ちょっと思考が単純すぎたかもしれない。

地球勢力による内ゲバにも似た月の周辺での度重なる戦闘から、半ば無理矢理にでも
巻き込まれた風な話しになっていました。
あれでは月の勢力が被害者です。
そもそも月の第三勢力の方が開発力が勝っているのだし(ガンダムも月が開発したのだし)
根っこの部分で地球民を信頼せず快く思っていなかったとしても、それだけで即開戦となるのは変です。

とま、どーしてこうなった? 誰がはじめた? 誰が悪い??
この感想しかわかないんです。

そんな感じで、地球にいてもぐだぐだ、宇宙に飛び出してもっとぐだぐだ。
結末までの盛り上げ方もいまひとつなら締め方も不自然で、理由なく戦い繰り広げて、
最後は仲良しこよしなシーン見せられて、なんとなくギルティクラウンを思い出しました。

見終えてから他の方のレビューも拝見して、富野監督があまり口を出さなかったとの記述を読み、
あああ、これは富野監督大好きな若いスタッフが中心になってつくったんだなと納得しました。
みんなが期待したのは富野監督のガンダムのはずなんだけど、これでよかったんですかね?

富野ガンダムって、戦争という化け物を一兵士の視点から捉えた作品だと思っています。
状況も戦局もよくわからず、いつ終わるともしれない戦争という名の殺し合いにどっぷりはまって抜けられず、
何人もの大切な人たちを失い、心が疲弊して麻痺して、最後には壊れてしまう感覚がたまらないんです。

だからキャラが会話らしい会話をしない。ぶっきらぼうだしほぼ独り言レベルのセリフだし、
それか怒鳴ってるかのどちらか。それだけみんな戦争に疲れてるし気もたっている。
かなりリアルな描写に近いんだろうけど、いまのアニメって丁寧すぎるくらい、
いかにも説明のための会話をしますからね。

そういう意味では、台詞回しや表面的なところは富野イズムみたいなものを感じるのだけど、
命の重さを感じられない雰囲気で台無しでした。
なんせバトルになると大喜びで、すごく生き生きとするキャラばかりでしたから。
まぁ、プラモデル売るならそちらの方が都合いいんでしょう。
カッコよいパイロットでないと、売れるものも売れないでしょうから(笑)

追記
Zを見てからだいぶたって、はじめて小津の映画をみたときに、
富野監督のガンダムとセリフまわしが似ているなと思いました。
女優さんが口にする定番のセリフで、怒ったときにいう「ぶつよ!」な一言とか。
他をあまりしらないんで、ご存知の方がいたら教えてほしいです。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
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