鰺鱒 さんの感想・評価
2.9
つながっ・・・
原作知らず。dアニメでたまたま見つけたので観てみた。
劇場公開作品らしい。
山から下り、江戸に出てきた鉄砲打ち・猟師の少女・浜地。
人と犬の血をひき人の魂を喰らって生きる伏[ふせ]と呼ばれる存在、そのひとり信乃。
浜地と信乃を中心に回るファンタジー江戸活劇、といったところ。
鉄砲を撃つとき、猟師と獲物は鉄砲を介して「繋がる」のだという。
作中、キーワードとして「繋がった」「繋がる」のセリフがたびたび聴かれます。震災直後の制作ということも影響しているのかもしれませんね。
物語:つながっ・・・
{netabare}・・・てない。何一つ繋がってないんですよ。最初から最後まで。何から何までぶっつぶつに切れています。
事態の進展も、真なる敵が真なる敵たる理由も、伏と馬琴の関わりも、将軍家と里見家の関わりも、凍鶴・信兵衛の手紙の意味も、なにより、物語のメインとなるであろう浜地と信乃の心情の変化も、、、積み重ねなく、ポッとセリフだけで済ます。しかもかなり速い。理解も共感もしづらかったです。
結局は馬琴がこの世界の根底にまで関わるキーマンなのだが、その描写・説明がうまくいっているとは言いがたい。
どうしてこのような脚本になったのか、不思議でなりません。格好いいシーン、カッコイイセリフだけを切ってつないだ感じです。原作があるらしいので、物語を欲する方はこのアニメ映画でなく原作をお読みになった方が良いと思われます。
雰囲気を重視される方ならば、それなりに楽しめると思います。{/netabare}
作画:
{netabare}静止画として上、特に、背景画は美麗とも、不思議ともいえるような、独特の雰囲気があります。
動画として上から・・・微妙。動画として質が低いとはいいづらい。でも、微妙。なんか今ひとつでした。たとえば、町中を歩くシーンでは、キャラの動きはそれなりにリッチに描かれているし、背景は上述の通り秀逸なのですが、動きが合っていません。キャラの歩行速度、歩幅と背景の移動量の間にずれがあったり、歩幅と体全体の移動量がずれてみえたり。結構目立ってしまっていたように思います。
キャラデザは、かなり独特、ユニーク。でも、統一感はあって良かったと思います。{/netabare}
声優:
{netabare}アニメ映画の演技として微妙です。
メインを張るキャスト陣は、だいたい良かったと思いますが、冥土の演技は今ひとつ嵌まってなかったと思います。声も聞き取りづらかった。
ほぼ開幕と同時に竹中直人さん登場でものすごく期待感を感じたのですが、竹中さんは冒頭で出番終了でした。劇団ひとりさんは、さすがの芸達者なのでしょう。違和感を感じることはありませんでした。
在りし日の歌丸師匠、納屋六郎さん、藤原啓治さんの声が聞けたのはうれしかった。ですが、納屋さん、藤原さん共に二言三言といったところ。師匠は演技として正直しんどいです。子供役の声も浮いてました。輪をかけて厳しかったのがCharaさん。映画の主題歌がCharaさんだからって、無理矢理キャスティングする必要はなかったとおもいます。本当に、ひどかった。{/netabare}
音楽:
{netabare}物語がぶっつぶつに裁断された状態では、劇伴など気にしていられません。評価不可能です。邪魔になることはなかったと思います。
クライマックスの戦闘、一部でBGMをなくし、エコー処理をかけた音声だけで構成するシーンがあるのですが、正直ここも浮いてるように感じました。すぐ後にBGM復活。。。何がしたかったのか。{/netabare}
キャラ:
{netabare}結局のところ、物語を伝えることに失敗しているので、キャラクターも伝わってきませんでした。{/netabare}
[2021/01/19 v1]