BUMP_OF_CHICKENで断髪なTVアニメ動画ランキング 1

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69.1 1 BUMP_OF_CHICKENで断髪なアニメランキング1位
テイルズ オブ ジ アビス-TALES OF THE ABYSS(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (560)
3379人が棚に入れました
二大国・キムラスカ・ランバルディア王国とマルクト帝国により危うい均衡が続いている時代。
キムラスカ公爵家の一人息子・ルークが敵国マルクトに誘拐された。それから7年後、自分の屋敷に軟禁されているルークは、師匠・ヴァンとの剣の修行が唯一の趣味となっていた。
そんな折、ルークはヴァンを殺そうと屋敷に侵入してきた少女・ティアと超振動を起こし、彼女とともに見知らぬ場所に瞬間移動してしまう。屋敷に戻るため、ルークはティアと行動を開始する。その旅路で、ルークは様々な人と出会い、自分の生まれた意味を知ることとなる。

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

自分の存在意義を見出しながら成長していく主人公を描いた作品・・・聞いていた通り名作だったと思います。

この作品の原作であるゲームは未プレイです。テイルズシリーズで3番目に視聴した作品になります。
2作目の「テイルス オブ ファンタジア」がOVA4本分という短さだったため、ゲームの世界観を描くに留まりましたが、今回の「テイルズ オブ ジ アビス」は堂々の2クール作品です。
その上、あにこれで懇意にさせて頂いている方から「名作」と伺っていたので、とても視聴を楽しみにしていました^^

私はこのシリーズを制作された時系列の順に視聴するつもりですが、これまで作品前後の繋がりが全くありませんでした。
もしかすると、時系列に視聴しなくても物語についていけなくなる事はないのかもしれません。
この辺りも気にしながら視聴を進めたいと思います。

物語の舞台は、預言(スコア)と呼ばれる創世時代に未来の出来事が記された譜石通りに人類が生きていく事を是とする異世界・・・
スコアには国家間の戦争から個々人の行動といった幅広い内容が記されており、このスコアに従っていれば国家の繁栄が示唆されていた事から、人々にとって無くてはならない存在となっていました。

一方、この世界ではキムラスカ王国とマルクト帝国という二つの大国が、和平条約を遥か昔に取り交わしたものの緊張状態に陥っていました。
そんな中、キムラスカ公爵家の一人息子であるルークが誘拐されるという事件が発生します。
幸いにも大きな怪我を負うことなく救出されたのですが、ルークは誘拐前の記憶を一切失っていたのです。
そして7年の歳月が流れ・・・17歳になったルークは剣の師匠であるヴァンと稽古をしていたところ、ティアというヴァンを殺害するため屋敷に不法侵入してきた少女の武器を防ごうとした際、ルークの身体の回りが急に光りだしティアと一緒に全く知らない場所に飛ばされてしまうんです。

何が起きたか全く分からないルークでしたが仕方ありません・・・
この7年間、ルークは軟禁されていたのですから・・・
こうしてルーク達の壮大な物語が動いていくのです。

まず物語ですが、2クール作品だけあってストーリーがしっかり練られていて、一切無駄がありません。
内容は・・・驚きの連続です。
生きていく上における「自分の居場所」・・・身分の差はあれど家族という一つの集団の中に必ず居場所はあるので、普段は気にする必要の無い事です。
ところが、この作品においてそれは考えの甘さである事を痛感させられます。
家族の中における自分の居場所・・・昨日までの自分の居場所が今日は無い・・・
これが運命なら自分の不運を呪う・・・?
それで居場所が戻ってくるなら、きっと誰もが呪うことでしょう・・・
でもそんな事をしても・・・生きていく上において何の価値も無いんですよね・・・
今日食べる食事や寝床にも結びつかない・・・

だから過去に因われるのではなく先を見据えて生きていく・・・
正にその通りなのですが、気持ちと心はホントにバラバラです^^;
過去の思い出や約束に縋らないと心が折れてしまう・・・
やっぱりそこまで強くなれませんし、それで良いのだと思います。

でもいきなりこんな展開から物語が始まる訳ではありません。
序盤はルークの考え無しの言動に・・・正直何度かイラッとしました^^;
言う事は一丁前なんですが・・・やってる事はヘタレなところも苛立ちを後押しします。
そんな言動を発してしまう理由もあって彼ばかりを責められない一面もあるのですが・・・

ルークも自分の行いにハッと気づくのですが全ては後の祭り・・・
周りの信用を失ってしまったルーク・・・
どん底からルークはどうやって這い上がるのか・・・この作品の一番の見どころです。

この作品はRPGが原作なので、主人公以外のパーティーの仲間も登場する訳ですが・・・この仲間が半端なく素晴らしいんです。

私の一推しはヒロインのティア・・・少し影がある感じで決して表に出ることは多くないのですが、ルークを見守り時には叱咤する彼女・・・CVのゆかなさんとの相性もバッチリだったと思います。
他にも魅力的なキャラがたくさん出てきますが、濃密な2クールなので登場人物の名前が分からなくなる事はありませんでした。

その最大の理由が・・・それぞれのキャラを深掘りしていく先には想像を超える接点や、一人で抱えるにはあまりにも重すぎる過去を背負っている人達なかりなので、どのキャラにも感情移入ができちゃうんですよね^^

この感情移入という点においては、敵に対しても同じです。
大切な人を殺された・・・
この大切な人が居たから今の自分があるというのに・・・
直接的ではないにしろ、それに加担してた・・・
貴方だけは許せない・・・
自分の筋を通すには十分過ぎる理由だと思います。
そして次の瞬間画面一杯に広がるのは、本気と本気の激しいぶつかり合い・・・
本当に好きになれない敵もいましたが、敵でも嫌いになれない人の方が多かったのも印象的です。

そして物語だけでなく作画の緻密さにも圧倒されました・・・
原作がRPGなので、お約束の船や飛行艇が登場する訳ですが、それらどれもが細かいディテールまで丁寧に捉えられているのですが、その出来映えには感嘆の声しかありませんでした。

2クール全26話の作品です。物語が面白くて声優陣が豪華で作画が綺麗・・・文句の付け所の無い作品だったと思います。
特に中盤以降・・・目が画面に釘付け状態で視聴していました^^;
こういう王道ファンタジー作品・・・見応えがあって堪りません。
販促目的の作品が多い中、しっかりと物語を完結している所も好印象です。
こういう作品は、これからもどんどん視聴していきたいと思います^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

kblack さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

とても感動的で心に沁み、倫理的にも考えさせられる作品です。

「生まれた意味を知るRPG」

このコンセプト通り、主人公"ルーク"が自分の生まれた意味、存在の意義を探し、成長していく物語です。
テイルズシリーズの中でもとても大好きな作品です!

{netabare}ルークが実はアッシュの"レプリカ"であり、"オリジナルルーク"はアッシュだったという事実を突きつけられ、アクゼリュスはヴァンの策略によって自らの手によって崩壊させてしまい、仲間の皆からは見離されたルークがあまりにも不憫で。
そんなルークを見守り、支えてくれたティアや、絶対立ち直ってくれると信じて待っていたガイには本当に「ありがとう」の気持ちでいっぱいでした。
最初、オリジナルルークがアッシュだったと分かった途端のナタリアの態度やアニスの態度、ジェイドの冷たい態度がすごくショックというか、ちょっとムカついたり、イラッとしたりしましたね、やっぱり。ジェイドなんか、お前がレプリカの技術を生み出した張本人のくせして!っと思ったりしました。けど、ルークの必死に前に進もうとする姿勢にいつしか、皆がアッシュの"レプリカ"という存在なんかじゃなくて、一人の"ルーク"という個人の存在なんだと認識、認めはじめて、アッシュにどこか申し訳ないという罪悪感の気持ちでいっぱいだったルークが"自分は自分なんだ!"という気持ちを持てるようになったときはすごく嬉しかったです。
レムの塔事件の時やその後、乖離現象に悩まされるルークの姿を見る度にすごく胸が締め付けられる想いでいっぱいでした。
ローレライを解放する時もイオン様が消える時もすごく涙がぽろぽろ出てきました。{/netabare}
たくさん涙が出たシーンや感動したシーンは数多くあるのですが、やはり原作であるゲームをやって欲しいと思います。
私的には原作ゲームの方がより感動しました。特に最後のローレライを解放し、ビッグバン現象が起きるまでのシーンが一番感動するイベントCGでした。
ゲームではイベントCGとして無かったイオン様の消えるシーンをアニメできちんと見れるというところがアニメならではの良い所かなと思います。
アニメでは語られない部分や省かれた部分でもとても面白いシーンなどもあるので原作ゲームをやられることをおすすめ致します。
後、ちょっと「うーん」と思った部分を強いて言うならば、作画がちょっと微妙かな?と思いました。アニメーション自体はとっても綺麗で良いのですが、作画があまり原作に似てない感じがしたので。(藤島さんの絵が好きなもので;)
その点で言うなら「劇場版テイルズオブヴェスペリア」や「テイルズオブシンフォニア」の方が綺麗に原作絵を描ききれていたかなと思います。
まぁ、製作しているアニメーション会社が違うので無理ないのですが、作画はもうちょっと頑張って欲しかったので作画の評価を☆4つにさせて頂きました。
ここで余談なのですが、OPには原作と同じBUMP OF CHICKENの「カルマ」を使用し、アニメOPではありえない2分超というのは、監督のこだまさんのこだわりで原作と同じようにしたそうです。監督のアビスに対する熱い気持ちを感じました!
ここまで長々と書いたのですが、少しでもアビスの良さが伝わってもらえたら嬉しいですし、また、原作ゲームをやってみようという気持ちになって下さったらなと思います。

※下記にはアビスに関する情報を掲載させて頂きます。参考にして下さい。

>>ゲーム
①PS2 (2005年12月15日発売)
②3DS (2011年6月30日発売)

私はPS2の方をやったのですが、3DSの方はまだやったことがないのでいずれやってみたいです。

>>小説
①エンターブレイン出版 ファミ通文庫 (著者:矢島さら、イラスト:中嶋敦子) 全7巻
②集英社出版 スーパーダッシュ文庫 (著者:結城聖、イラスト:松竹徳幸) 全6巻

私はスーパーダッシュ文庫の方を読んだのですが、イラストの方はスーパーダッシュ文庫の方が原作アニメ絵に近いです。また、内容も私的にはこっちの方が好きです。スーパーダッシュ文庫の方をおすすめ致します。

>>漫画
①メディアワークス出版 「テイルズオブジアビス」(作画:玲衣) 全8巻+外伝1巻

だいたい流れは原作と同じで、外伝ではゲームでは描かれなかったオリジナルイオンの話やネフリーとピオニー陛下との恋の話、アニスとディストの出会いの話、原作より数日前のイオンとアニス、ジェイドの話など4作品収録されており、オリジナルイオンの話はすごく切なかったです。
作画はあまり好きではないのですが、外伝だけでも読む価値はあると思います。

②角川書店出版 「テイルズオブジアビス 鮮血のアッシュ」(作画:斎藤ハナ) 全2巻

アッシュサイドの話です。

③角川書店出版 「テイルズオブジアビス 追憶のジェイド」(作画:狩野アユミ) 全2巻

ジェイドの過去の話を原作の時間軸(短髪ルーク時)の中で話しが進みます。ジェイドサイドのようでルーク中心的な話です。

>>アニメ
全26話 (2008年10月~2009年3月放送)
監督:こだま兼嗣 制作会社:サンライズ
DVD&Blu-ray 全9巻 DVD-BOXも発売中。

何故、各巻ではBlu-rayが出ててBlu-rayBOXが出ないのか、不思議…。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

癖の強い部分を好きになれるかが評価の分かれ目

2008年放映のTVアニメ。全26話。
ゲーム原作、未プレイです。

最初、設定や用語を理解するのにちょっと大変でした。

ストーリーはほぼ原作通りだそうですが、複雑な部分やちょっと鬱寄りな展開もあったりで、意外と評価が割れているようですね。
尺がギリギリでどんどん話が進むので、もう少しゆっくり世界観やキャラクターの心理を楽しみたいなと思う時も。
ですがアニメスタッフの原作愛が感じられて、最終話のEDまで含めてとても良かったです。

キャラクターは全体的に美点と欠点がはっきりしていて、私は割と誰にでも好感が持てました。
ルークが序盤酷い態度なのは私も頭を抱えたくなりましたが、彼の背景を知ってからは成長した姿をとても楽しみにできました。…私はどうもそういうの好きなんですよねw
ただ尺の関係もあったのか、敵キャラクターが掘り下げ不足なのは少しマイナスでした。

作画、声優さんの演技、音楽なども水準高めで安定していて、全体的なクオリティという点では見やすいと思います。

{netabare}
「生まれた意味を知るRPG」というゲームのアオリ文句のとおり、自分の出生や過去と向き合うキャラクター達を丁寧に描いた良い作品だったと思います。レプリカ問題とあわせて自分の居場所を問う展開に繋がっているのも非常に良かったです。

ルークについては、最初からなかなか憎たらしい性格で描かれていたので成長キャラだろうと緩く見ていた部分もありましたが、中盤で仲間達に冷たい態度を取られるのもまあ当然だな、と。
成長途上の子供であると見るか、大使の任を背負った公人と見るかで視聴者の感想が割れるところだと思うのですが、少なくとも本編内では公人として扱われていると私は考えています。仲間達全員、軍人だったり王族だったり導師だったり、子供ながらにしっかり働いていたりと、「公人」としての責任感が大きく、彼らの考え方がルークとの軋轢を生んだのは自然な流れだったと思います。

アッシュと自分が違う人間という結論自体は予想が出来ますが、そこに至るまでにルークにいくつもの大きな決断を経験させているため、オリジナルとレプリカの問題にもキャラクターそのものにも厚みが出ていたと思います。
ルーク自身が生まれてから7年とわかってからはちょっと可愛く感じる時もw
本人がショックを受けている時にミュウが一緒にいてくれて安心できました。マスコット系は普段あんまり好きにならないのですが、ミュウはルークを支える姿が健気で可愛かったです。


女性キャラもお気に入りでした。ティアもナタリアもそれぞれ違うタイプですが、健気でしっかり者で可愛い女性でした。

特にナタリアは女の子らしい少し勝手な考えも個人的には魅力だったり。女性として元のルークに戻って欲しいという願いは当然の事だと思います。
勿論それはレプリカのルークには可哀相なことでしたが、ナタリア自身も「代替品」であった事実に直面してからの成長は立派でしたし、その騒動の中でルークとの関係を再構築した部分は本作の中でも特に好きでした。

ルークに約束の言葉を言ってもらったシーンは印象的で、
自分がこれから王女として国のことを第一に生きるため
大切な幼馴染みの一人であるルークとも、アッシュと同じ重さで同じ約束を交わしておきたいから
おそらく戻るつもりのないアッシュのことを振り切るため
…など色々感じさせられました。
アッシュと幸せになるのを期待していましたが、アッシュもナタリアもそれを諦めていたようでちょっと切ない。

ラストシーンで戻ってきたのはルークかアッシュか、本編内の描写で予想は付きますがそれは「言わぬが花」って感じなんじゃないでしょうか?わざわざ語らないのもいい演出でした。
{/netabare}
(2017.2.15)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13
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