3DCGで戦闘なおすすめアニメランキング 7

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの3DCGで戦闘な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番の3DCGで戦闘なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

76.3 1 3DCGで戦闘なアニメランキング1位
楽園追放 -Expelled from Paradise-(アニメ映画)

2014年11月15日
★★★★☆ 4.0 (890)
4660人が棚に入れました
われわれはどこから来たのか われわれは何者か

われわれはどこへ行くのか――。

地球はナノハザードにより廃墟と化した。

その後の西暦2400年、大半の人類は知能だけの電脳世界ディーヴァに生きていた。

電脳世界に住む捜査官アンジェラは、

闘力を誇るスーツ・アーハンを身につけ地上に初めて降り立った。

そして地上調査員ディンゴと共に地上のサバイバルな世界に旅立った。
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

だれが楽園追放したの? それは私と………

【ちょい長いです】

久しぶりにSFアニメを観た気がする。
(疑似)科学的な設定がストーリーを支え、絡み合ってこそのSFだ。
支えているのがハーレム設定だけというのでは、やはりSFとはいいがたいだろう。

素材となるのは、データ化され仮想空間に生きる実存、科学力により分断され階層化された社会、{netabare}自律進化する人格を獲得した人工知能、{/netabare}
といった今ではお馴染み感のある設定の数々。
だが料理は素材だけでできるものではない。材料をどう調理するかの技法が味を決める。

人格を電子化し仮想空間の中で人々が「生活」する『マトリクス』的な社会ディーヴァ。
『マトリクス』と違うのは、そこで「生活」する市民が、データ化された自分とその仮想化社会の事実に自覚的なこと。
そこにハッキングを仕掛けるフロンティアセッターとの電脳戦から物語は幕を開ける。

このフロンティアセッターのハッキングの追跡から、アンジェラが地球へ降下するまで一気に描写する製作者の手際の洗練具合は、非凡と言っていい。
スピード感がありながら、この世界の構造と、内在しているキャラクターにとってどういう世界であるのかという世界観まで、視聴者を立ち止まらせることなく、説明してしまう。
ただストーリーを追って観ているだけで、世界観が分らなかったり、誤解してしまう視聴者はほぼ居ないだろう。
これは映像的なセンスのみならず、脚本が秀逸で、セリフに使われる言葉の一つ一つまで吟味しつくして選択していることによると思われる。

この脚本の緊張感は、最後まで途切れることはない。物語のどの段階でも、背景で何が起きているのか、世界のどの部分が展開されているのか、把握できてしまう。
が、いたずらに説明的なわけではない。
映像的な楽しさにひきつけられて観ているだけで、自然に伝わってくる巧みな描写がなされている。
殊に終盤のバトルで、幻惑的なアクションの連鎖を堪能させながら背後の状況を二重映しにしてサスペンスを盛り上げるのは、並外れた描写力といえる。


さて、このように抜群の技法によって、既視感のある各種のSF設定の素材は、いかなる調理がなされているのか。


{netabare}人工知能であるフロンティアセッターは、自然的な人間と対立的にとらえられることはなく、むしろ「人間」そのものであると肯定される。

そもそもデジタルデータの集積である人工知能は、ディーヴァ内でデータ化されて仮想化されている「人間」と同型的な存在だ。仮想現実化した実存を「進化」と強弁する思想の下では、むしろ生物的な根拠を持たないフロンティアセッターのほうが「進化」した人類ではないかという見方すらできる。

それゆえ、『マトリクス』的な仮想世界は、『マトリクス』のようには、単純に自然性に対立するものとして、作中で自動的に否定されるものではない。

むしろ、自然性による自動的な否定を相対化するものとして、「人工知能」フロンティアセッターは方法的に導入された印象がある。

最終的にディーヴァから離脱するアンジェラだが、その「人工性」と「自然性」との正否からディーヴァを否定したという風には描写されない。
彼女の決断は、むしろ個人的で趣味的な気分から決断をしたような印象を与える。

彼女の否定は、仮想化の是非ではなく、その「管理」の在り方に向かっているようだ。
別にデータ化して仮想化社会で「生きる」ことに不満はないが、あの「管理」は気に入らない。

楽園とも自己宣伝するディーヴァ社会だが、楽園が楽『園』である限り、管理は必須の条件となるだろう。管理がなければ、「園」は荒野と変わるところがないのだから。
楽「園」を維持する管理は、あたかもミシェル・フーコーの生権力的な形態をモデル化しているようだ。
仮想現実化社会に、生まれた直後にディーヴァによって電子化されて投入される実存は、そこでの「生存」を望む限りディーヴァの管理当局による指示に従わざるを得ず、管理から逸脱した価値観を持つことは原理的にできないように設定されている。

「存在」がシステムによる「電子化」に根拠づけられているため、「生存」したいという当然の欲求は、管理の要求する「社会貢献」という評価基準を内面化していくほか実現させる道はない。

「生きる」ための価値観と行動が、すべて管理の正当性を強化する力をもたらす社会は、我々の「社会」を連想させ、おそらくこれを暗示するものだろう。
「生きたい」という自然な欲望が、「管理」の承認を支えて強化してしまう社会。

エンドロールの途中のパラグラフで、保安局はさらなる管理の強化と離脱者の防止を決意する。
生権力の本性をうかがわせる描写は、ますます我々の社会との類似を暗示しているとの印象を高めるとともに、どこか既視感がある。

電脳化システムを独占することで全住民の「生存」を支配し、基準を設けて「住民」を選別、その基準と管理を一手に引き受け、「排除(凍結)」する権利を担保する社会は、いわば全住民が潜在的に収容所に監禁されているのと等しい。
離脱者までも管理を強化する契機に利用し、権力を司る保安局員が神話的アバターで現れる権威づけは、「真実」を体現する「党」によって指導、管理される、収容所共産国家に酷似している。

我々の社会でも「社会に有用な存在であれ」「社会に貢献できないものには、何も与えることはない」「この当たり前のことを否定するものは、社会から排除せよ」と主張する人が目立って多くなっているようだ。

ディーヴァ社会でも通じそうな主張をするこの人たちが、躍起になって否定するサヨク的なものの根源である収容所社会が、この我々の社会を思わせるディーヴァ社会と似ているのは皮肉なことだ。

だが、当然のことながら、「社会」の外には世界が広がっている。
社会の評価と承認が無ければ「社会内」では存在できないが、外部世界は必ずしもそうとは限らない。

地球に降り立ち、その社会や住人、さらには数百年を「管理」なしで自立進化し続けてきたフロンティアセッターとの出会いにより、内面化されていた「管理」の有効性を懐疑し始めたアンジェラは、「管理」=生存の保証ではないことに気づき、受肉した地球上の存在へと自己を投機する。
繰り返すが、仮想現実社会への正邪の審判ではなく、その「管理」への趣味的な回答として。

ある意味究極の外部「世界」=深宇宙を目指すフロンティアセッターは、一切の評価も承認もなく目的を完遂する。
そう、内面化した「社会の基準」ではなく、この私の、私自身の内部から湧き出してくる「衝動」こそが、世界での生存を支え得る。

外宇宙へと旅立ったフロンティアセッター。首尾よく成果を上げる可能性は極微だし、たとえ成功したとしても文字通り天文学的な時間ののちに帰還したところで、称賛や承認を与える人類は、もはや存在していないだろう。

それでも、陽気に歌いながら、むしろ楽しげに旅立って行く彼の姿は、彼を動かすのは自身の衝動であり、社会の評価や制度化された承認など問題ではないことをよく示しているのではないだろうか。
趣味的に離脱を決断したアンジェラもまた。

このように「楽園から追放」された彼女たちだが、じつは「追放」されたのは仮想現実都市のほうかもしれない。


最後に特記しておきたいのは、無機的でありながら奇妙な人間性を絶妙に感じさせるフロンティアセッターを表現した、神谷浩史の力だ。
固有の風貌も持たず、フレームのデジタルデータの集積が本質である、人工知能という抽象的な存在が、一種の人格をもってスクリーン上に受肉し得たのは、神谷浩史という肉体を通過した声なくしてありえない。{/netabare}

現代の声優の演技は、ここまで高いものになっていたのかと再認識した。

若手俳優やタレント主体のドラマや映画がどう頑張っても、これほどの演技レベルに追い付くには、ちょっと絶望的な差を感じる。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

生来必殺 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

お前の魂、ロックオン

最終進化を遂げた新世代の人類代表エリート捜査官と
地に足のついた旧世代の地球人と所属不明 謎のハッカーとの
奇妙な三角関係で描かれるサイバーパンクの物語。

サイバーパンクとは本来SFというジャンルに属するものであるが
その本質は、サイエンス糞喰らえ!
サイエンス技術の理論的写実性要素に傾倒したリアリティなど金属バットで粉砕!
という風にアンチSFな精神が不可欠な構成要素であるという宿命を有する。

そもそもSFという言葉の定義が曖昧なのが問題だと言えばそれまでだが
サイバーパンク作品において科学主義的屁理屈は必然的、予定調和的に破綻する。
サイバーパンクにおいての科学的な理屈とは、荘厳な趣をもったバベルの塔のような
破壊されるべくして建築された矛盾した装置である。
その一方で、塔崩壊のカタルシスを最大化するためには塔の構造を強固にする必要があるのだが
構造上に全く欠陥がなければ倒壊しないという矛盾も起こり得てしまう。
簡単に倒壊しないが、倒壊し得る構造の塔を設計するのがパンクな作者の腕の見せ所と言えるのだろう。

本作においての「バベル」の描写は至ってシンプル、ありがちな王道的設定。
しかしながら、奇妙な三角関係によって描かれるストーリーが洗練されすぎて驚愕。
もの凄くシンプルに、もの凄く先鋭的に、もの凄くわかりやすく、サイバーパンクの本質が描かれている。
下手に小難しい専門的用語やら、(文学はいいとしても)生物学の学説の引用とかの羅列・・・
今までのサイバーパンク作品は、一体何を描こうと足掻いてきたのか?と虚しくなる程。

地に足の着いたロックンローラーの一言は、理論武装したサイエンティストの弁明より強し。
この脚本家の実力はやはり本物で、台詞がイチイチと印象的で五臓六腑に響きやがるのだ。
{netabare}SF主義を金属バットで粉砕するような描写が正しいあり方であるとは限らないが、反骨魂は絶対に必要な要素である。{/netabare}

サイバーパンクなんて時代遅れな感覚の作品で今更誰からも評価されない
と思い込んでいたがのだが、
本作を見て前言撤回。
本作をきっかけにもう少し難易度が高いものも見てみるのもよいかもと思うに至る。

私見だが、SFとは本来空想科学小説のことを指し
ハリウッド映画が持ち味とする映像的説得力を重視した作風とは
相容れない、例えばフランケンシュタインの物語などがそのプロトタイプと
考えるべきだと断言したい。


攻殻など他作品のネタバレ、批判等々を羅列。閲覧要注意!
{netabare}
攻殻原作者が拘った「GHOST IN THE SHELL」とは何であるか?
アーサー・ケストラーという人が提唱した「Ghost in the machine」
(機械の中の幽霊)という論説にちなんだもので
もともとはギルバート・ライルという人がデカルトのコギト(的人間機械論)を揶揄する意図で
表現した言葉「機械の中の幽霊」をケストラーが逆手にとって
「機械の中の幽霊」はいる!と反論を展開した説に影響を受けた考えであろうと推測。
デカルト的観念論の中でのコギトとは自我というよりも霊魂に近い位置づけであり
それ故にデカルト的観念論に全く理解を示さない立場の人たちはデカルト的機械論の浅はかさを批判。
それに対してネオ・デカルト主義者のケストラーは、より緻密で高度な人間機械論を示すことで反論
物心二元論の霊魂と肉体の連動率がより高い持論を展開した。

「GHOST IN THE SHELL」すなわち、人工的な外殻、機械的な構造の身体、サイボーグであっても
霊魂と連動するのであれば生身の体を持った人間となんら変わらないわけだから
人間の本質はゴーストにあると言い切れるわけで、そうであるからこそサイボーグ技術などの
サイバネティクスという人工的装置が意味を持ち始めると考えられる。
銀河鉄道的機械人間はどこまで行っても機械人間にすぎないという意見に対して
問題の機械人間の非人間的性質は機械伯爵の自我、霊魂のあり方に起因するものであり
すべての機械人間が冷酷で非人間的あると決まったわけではない。
機械のボディも生身のボディも霊魂の指令によって機能するものであるから、という風に。

ネオ・デカルト主義者の願望は霊魂の対物連動率の高さだけに特化していたのだろうか?
劇場版攻殻 GHOST IN THE SHELLで少佐は、人形使いと融合し、ネットワークシステムとも融合し
世界そのものとも融合?しすぎて、軽く人間を超越してるわけだが
イノセンスで還ってきた少佐は確かに人間的ではあったかもしれない。

とは言え、GITSの続編イノセンスの主人公はバトーであるから
バトーが何者であるか描ければそれで十分目的は果たせるのだ。
サイバーパンク的重苦しい空気の中で彼の飼い犬がやたらと無駄に愛くるしく描写されているのは
流石というべきで、ディンゴとフロティアセッターの対話中で見えてくるディンゴの人間性のように
飼い犬という鏡を使ってバトーの(犬への)愛着心が鮮明に描かれている。
ドライにせよとの忠告にもかかわらずドライに行けないバトーの生き甲斐は、飼い犬と
守護天使との再会だけなのかもしれない。そんな彼の魂のあり様はある意味イノセンスなのかもと感じた。

STAND ALONE COMPLEXとは何か?
その厳密な定義についてはここでは敢えて見送りたく思うが
趣旨としては「GHOST IN THE SHELL」という発想を
本家のアーサー・ケストラーが展開した「ホロン」という概念を用いて説明する
複合階層構造的機械論を「STAND ALONE COMPLEX」という言葉に置き換えて
「攻殻魂の存在」を理論的に補強、説得力を持たせようとしたのだろうけど・・・
社会現象とか、社会システム論的な受け止め方をされて、逆効果だった感がある。

全体は個から成り、個は全体に属するのだけど
全体に個と同じあり様の霊魂が存在するという発想は今の感覚的には受け入れられないような気が・・・
{/netabare}

楽園の記憶は魂に刻まれ、空の彼方に回帰を願う
{netabare}
サイエンスフィクション的物語の中でロック魂と仁義だけで奇妙な人間の在り様に
説明がつくという一撃必殺技の切れ味に驚愕。
アンジェラはFセッターの行動原理を人間的な使命感やプロ意識的なものとして
理解するのだが、保安局員とハッカーが相互理解を深める展開には若干無理がある。
自然かつ効率的に敵対するはずの二者の距離感を縮めるための仲介者として
ディンゴの役回りが良く効いていた。
三角関係による魂の共鳴現象、共鳴連鎖により必殺の大技!摩人狩り!?
ではなく、楽園追放から地上に受肉、大地を踏みしめ生きる一人の人間が誕生。

Fセッターは限りなく人間臭く限りなく人間に近いロボットである。
人間的ではあるけれど、人間と同じ霊魂をうちに秘めてはいない。
使命感的なプログラムと少し楽観的な未来予想のシミュレーションを実行することはあっても
フロンティアの夢は見ない。
肉体という牢獄にいながら、無限の宇宙の夢を見るのは人間のみに与えられた能力なのだ。

タチコマやFセッターと草薙少佐やアンジェラの決定的な違いは何か?
それは機械やマシーンが人間の忠実なしもべであり、プログラム通りに動くのに対し
人間は、例えば彼女たちのようにエリート街道を今まで順調に歩んで来たとしても、
その道を離脱して我が道を進む決断を下すことができる点にある。
もちろんロボットが人間に反逆を起こし人間の存在を脅かすようなSFの話は
過去に腐るほどあるのだが、その反逆はプログラムのエラーにすぎず、
プログラムされた目的と別の意図でロボット自身がフロンティアを目指し
ロボットのための文明・社会を作るようなことはあり得ないだろう。
何故ならロボットには人間のように生存本能がなく、歴史や文化を積み重ね
継承することに意味を見出せない存在だからである。

Fセッターは人間と共存する関係性の中でロックを演奏することはあっても
プログラムされた道を放棄してロックンローラーの道を歩む選択はしない。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18
ネタバレ

mrt さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

自分の価値を自分で見極める

電脳化された人類が住まう楽園『ディーヴァ』に
地上から幾度も現れる謎のハッカー……
フロンティア セッターと名乗るそのハッカーを探し出すため
ディーヴァ保安局の三等官アンジェラ・バルザックは、
旧世代の遺物と化した『地上』へと降り立つ

__ディーヴァ__
電脳化した人類の楽園世界
この世界の人類は地上の人間に対して、進化の次のステージに進み肉体という枷から外れた高尚な存在。
生まれた時から1300時間は生身で、それ以後は電脳の魂となる。

__アンジェラ・バルザック__
諦めたことも弱音を吐いたこともない。
負けず嫌いな本作品のヒロイン
ディーヴァ保安局で三等官まで昇進
手柄を立て昇進することが自分の全て。
地上に取り残された人類は滅ぶ事しか出来ない旧世代だと思っている。


__ディンゴ__
旧文明の人類の地『地上』のS級エージェント。
今回の任務におけるアンジェラのオブザーバー
『素行は悪いが腕は確か』と評価されている。
その気になればディーヴァの『特待市民権』を獲得出来るほどの功績を持つ。何度か電脳化のオファーも有ったようだが…………。

__フロンティア セッター__
ディーヴァの治安を混乱させ、市民の不安を煽る存在
旧文明の人類の地『地上』からのハッカーであり、アンジェラからその目的は
『いずれ本格的な破壊工作を仕掛ける為の前段階の準備として、パニックの下地を整えようとしている』と考察されている。

__フロンティア・セッター(ネタバレ♪)__
{netabare} ジェネシスアーク号建設における進行管理アプリケーションに付随する自立最適化プログラムが行った2259341回目の自己診断アップデートの際に出現した概念。
『今から45629日と11時間前に発生しました』と自己紹介する
簡単に言えば、人工知能が自我を持ったということ。
現時点でジェネシスアーク号のプロジェクトを推進している唯一の存在。
本人は人類との平和的な交渉による相互理解を希望している。
ディンゴとは好きな曲が一緒で、何かと相性がよろしくみえる。
ちなみにその曲はもちろんEONIANです。

ジェネシスアーク号は光学明彩で隠蔽してある全長1200mの探査船である。

__フロンティアセッター計画__
地球環境の激変に備え、外宇宙に人類が居住可能な移民先をジェネシスアーク号によって探しだす計画
人類の新たな生存圏を獲得するためのプロジェクトが各国で多数並列に行われていた当時、互いが競争関係にあったため極秘裏に行われていた計画の1つ。
つまりディーヴァ以前の計画のためディーヴァは感知出来なかった。

フロンティアセッターがディーヴァにハッキングをした目的は、ただのプログラムにしか過ぎない自分だけで外宇宙探索に行っても、『居住可能な外宇宙探索に人類を送り出す』という当初の目的が果たせないため、一緒に行ってくれる人類を探していたが、ジェネシスアーク号の再設計による小型化の際に乗組員=『生身の人間』の搭乗スペースが無くなり、地上の人間は誘えなかった。
しかし電子パーソナリティーの生存圏となるメモリーの積載は充分に可能だったため、電脳化されたディーヴァの市民を誘おうと考えた。
更に、ディーヴァが外宇宙探索に意義を見出ださないことを予見し、ディーヴァとの正規の交渉ではなく、そこに居住する市民と直接的に交渉するためにハッキングという手段を選択するしかなかった。
攻撃はおろか、治安を乱す目的すらない。本人は『誠に遺憾』と語っている{/netabare}

以下ストーリーネタバレ
{netabare} 地上に降り立ったアンジェラとディンゴは、フロンティアセッターがディーヴァを易々とハッキングしている事から、ディーヴァとのオンライン接続抜きという状況下でフロンティアセッターの捜査をはじめる。

ディンゴの考えでは、敵がどうやって来たかより、
何をしに来たかが重要であるという。
フロンティアセッターがディーヴァハッキングの際に、必ずある主張を繰り返している事に着目する。
その主張とは
1外宇宙探索の同志となる存在をさがしている
2外宇宙探査船の準備は整っている
というもの。
アンジェラはこれに対し
1(ディーヴァ的にはメモリーの領域の限り資源を創造出来るため、わざわざ外部の宇宙まで出向く事はリスクに見合わない)
2(地上、つまりは旧世代の存在が上位種であるはずのディーヴァに悟られずその様な大規模なプロジェクトを遂行できるはずがない)
と反論する。
しかし、ディーヴァの特性として、1度不要と判断した情報は破棄されるので、ディーヴァの情報は完全ではない。そこに漬け込む余地がある。との見解を示し、続けて

わざわざ地上からディーヴァにアクセスする必要がある存在は、同じく地上から出る必要がある。
よって、ロケットの打ち上げに関わるような動きを警戒するべきだ。
と考え二人はロケット打ち上げに関係しそうな情報を集めはじめる。

そして、分解により亜酸化窒素になる硝酸アンモニウムを物々交換で集める謎の存在を知る。
(亜酸素窒素は液体酸素より扱いやすく、ロケット燃料の酸化剤は理想的なもの。)
二人が物々交換の現場で目撃したのは、遠隔操作されたロボットが硝酸アンモニウムを引き取りに来る光景だった。
衰退した地上にそんな技術を持つ者はフロンティアセッター以外考えられない!
二人は硝酸アンモニウムに仕掛けた発信器をたどり、とある廃墟にたどり着く。
そこに佇む一台のロボット……
そのロボットから発生した音声はこう告げた
『ようこそお出で下さいました。こちらに攻撃の意図は有りません。警戒を解いて下さい。』そして
『フロンティアセッター__その呼称は私に該当します__』……と。
{/netabare}

感想
以下ネタバレ
作品としてのクオリティは非常に高いと思います。この作品なら自信を持って誰にでもオススメできます。
個人的には、肉体についての価値観の違いの描写がとても気に入りました。
肉体を捨て、肉体では不可能な事象を体験でき、更に肉体を持つことによる弊害『疲労、病』等の枷から外れる事は素晴らしいと、ヒロインであるアンジェラは言います。
ディンゴはその主張を受け止め、それでも『メモリー』(個人に与えられる存在の容量)という枷から抜け出せず、より手柄を立てて、より多くのメモリーを獲得する生き方にしか価値を見いだせないアンジェラに対して『メモリーを稼ぐことが全てな、他人に値段を付けられる様な生き方であり、肉体の枷よりもっと嘆かわしい枷だ』と言います。
アンジェラの考えでは、より多くの功績を挙げた者により多くメモリーが与えられるのは当然で、そこに
懸命に努力を重ねたアンジェラのプライドと誇りを感じました。
私はどちらの主張も正しと思いますが、ディーヴァが楽園という存在であるか?という事については否定します。
個人の1と0で造られた魂。その存在の場所を確保するために
暗黙に競争を強いる傲慢な支配者だと思います。
逆にフロンティアセッターは最高ですね。
人類が電脳化された今、彼が自分で得た自我はより洗練された『人』だと思います。
って言うかディーヴァの完全上位互換でしょ。
アンジェラがこれから地上でディンゴとどんな人生を歩み、どのような幸せを手に入れるのかとても楽しみです。
フロンティアセッターには、胸を張って『私は人類だ』と言って欲しいです。
彼の旅路に素敵な出会いが有ることを祈ります(*^^*)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

71.8 2 3DCGで戦闘なアニメランキング2位
正解するカド(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (574)
2466人が棚に入れました
羽田空港上空に突如、正体不明の巨大な立方体が出現する。そこに出発予定だった飛行機が取り込まれてしまう。偶然その飛行機に乗りあわせていた外務省の外交官が、立方体の中でヤハクイザシュクナと呼ばれる正体不明の人?と出会い、日本政府と交渉をはじめるが、、、。

スタッフとして作家・野崎まど、アニメ演出家・村田和也、イラストレーター・有坂あこ、そして『楽園追放』のプロデューサーである野口光一の名前が並んでいる。

声優・キャラクター
三浦祥朗、寺島拓篤、M・A・O、斉藤壮馬、赤羽根健治、伊藤静、釘宮理恵、中博史、斎藤志郎、菊池正美、桐本拓哉、菅沼久義、阪口大助、後藤哲夫、小山剛志、半田裕典、甲斐田裕子、白石涼子
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

真の道(正解)を見つけた、異方と人類

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
近年観ることがめっきり減った、本格派のSF作品。しかも、アニオリ作品のため、リアルタイム視聴ならネタバレがなく、かなり楽しめました。絵はCGの利点がよく活かされ、かなり綺麗な出来に。ストーリーは重厚で、様々なことを考えさせられます。

色々賛否あるでしょうが、私はわりと好きでした。

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
ヤハクイザシュニナ(異方存在)が求めた、「処理しきれないだけの情報」とはつまり、「主観」だったのかな、と。異方存在はどこまでも客観的で、人類は結局主観的です。主観とは、心であり感情であり経験です。ヤハクイザシュニナも、最後は「愛(主観)」を手に入れていました。

異方が去り、人類にもたらされたものは全てリセットされた、ではなくて、「進化へのモチベーション」が残ったというのは、かなり面白い結末だったと思います。

さて、作品全体を振り返ると、1話目~8話目までは、多分、シリアス好き、SF好きなら多くの人が賞賛する展開でしょう。9話目を境に評価が分かれるかと。もっとも、否定的な意見が多数派のようですが。

私は後半も楽しく観られました。色々言いたいことは分かりますし、私も、序盤~中盤の方が楽しめたのは事実です。でもじゃあ、「他にどんなラストにするの?」と問われればこれ以上は思い付かないし、「それとも、最後話まで異方の目的などには触れず、ただただ人類のリアルを描いていれば良かったか」と言われれば、それはそれで批判されていたでしょうし(オチなしで)。

序盤~中盤は、人類の愚かさというか、ありのままを描いていました。実際にワムが提供されたら、世界はどうなるのかな? という想像をさせてくれました。めっちゃ良かったです。ただ、あくまでそれは演出の1つであって、作品の本筋ではありません。作品を作品として完結させるとき、9話目以降の展開も必要だったと思います。そして、おそらく作者が描きたいのも、本当は9話目以降だったはず。

つまりはまあ、前座(社会検証)が大トリ(SF)を食ってしまい、爆笑をかっさらった故の悲劇という感じですかね。これは、前座の芸を素直に誉めるべきであって、大トリを貶めるのは、ちと可哀想かなという気もします。

ただ、ひとつだけ不満を言わせてもらえれば、「それでもやっぱり真道は死ななくて良かったのでは?」ということです。だって、サイヤ人理論(地球人との混血により強くなる)により、ヤハクイザシュニナを圧倒した真道幸花がいれば、力ずくで異方を排除できただろうし、彼女の存在だけで、「ヤハクイザシュニナをビックリさせる」という目的は充分に達成できただろうから、死ぬ意味はないです。(安っぽくはなるけど)瀕死か、幸花によって復活しても良かった気もします。

もし、真道が死ぬことに価値を見いだすのであれば、それは、ヤハクイザシュニナ(友達)に「愛」や「悲しみ」(感情)を教えるということだと思います。であるならば、例えば、「真道の死によって感情(人類の力・主観)を得たヤハクイザシュニナは、異方存在より更に高次元の存在へと進化し、自らが新たな特異点となったため、人類を異方に連れ去る必要がなくなり、地球が救われた(ヤハクイザシュニナは異方に帰った)」とかの方が納得がいきます。

やはり、真道が死ぬメリットは少なく、ただ、「なんか作品のラストを芸術的(悲劇的・印象的)にしたい」という、制作の意図によって殺されたのではないかなと、そんな邪推をしてしまいます。ラストの展開は概ね好きでしたが、その一点だけ、気になりました(交渉官なんだから、交渉で解決してほしいという思いもありましたし)。

私は、アニメであっても、人が死ぬのは嫌いです。そして、もし死ぬのなら、「意味のある死」を与えてあげて欲しいな、と思っています。

まあ、結果、今一番記憶に残っているのは、栗Tシャツだったりはするのですが(笑) なにげに、萌え要素も高い、謎の良アニメでしたねw
{/netabare}

【余談 ~真道とは、真の道。道の文化論~】
{netabare}
「我々(人類も宇宙も異方ですら)は、皆、途中(発展途上)」というのは、この作品の大きなテーマですね。

昔、文化論を研究している教授の講義で聞きましたが、これは、剣道を含めた、「道」(柔道・弓道・華道・茶道など)の文化と共通しています。

武道など、「道」の精神性の特徴は、「自分はいつまでも、未熟者」「常に道中にある」「完成はない」という部分にあり、それが、日本人の謙虚さや向上心、他の文化から学ぼうという寛容さの根元になっている、という趣旨の講義でした。

「真道」という名字は、そういう意味で、「自分を途中だと思うことが、真の正解」だということを暗に言っているのかもしれませんね。

そして、そんな日本人の精神性に無意識に惹かれたからこそ、ヤハクイザシュニナは、日本にカドを出現させたのかもしれませんね。
{/netabare}

【各話感想(アニオリのため、ここも本論)】
{netabare}
1話目
{netabare}
人物にはやや違和感があるものの、「カド」の感じを出すにはCGは良いでしょうね。政治家のスピーディー且つ良心的で適切な行動に、違和感w カドの角の上に立つの、超怖そうw 首相のキャラデザ、小渕さんっぽくない?
{/netabare}

2話目
{netabare}
超科学と、まともな交渉ができるだろうか。人質をとったのは、意図的なのか、偶然を活かしただけなのか。海外の国(特にアメリカ)との調整に、えらい手間取りそう。カドに触った瞬間に生体情報を読み取られ、それに類似した個体を精製、とかそんな感じ? なんか、「ライディーン」って感じ?
{/netabare}

3話目
{netabare}
ハルヒなら喜びそうな展開だな。自然現象を相手にするとは、うまい表現だな。ある程度共通する概念や価値観がないと、交渉は難しい。心の安定、確かに日本は最低生活水準が高いし、良くも悪くも画一的で良心的な考え方をする人が多いとは思う。なんか、「ただより高いものはない」展開になりそう。
{/netabare}

4話目
{netabare}
まあ、アメリカ含め、中東もロシアも中国も、絶対に黙っていないよね。使いすぎれば毒、ね。飛行機の中に1ヶ月は、気が狂うな。いくら国連でも、ここまでスピーディーに制裁決議できるかね。世界に落とす爆弾……次が気になりますね。
{/netabare}

5話目
{netabare}
何の制裁? という疑問を抱くような展開にし、世界の仕組みの理不尽さを表現している。マッドサイエンティストはSFでの必須ですな。道具はただの道具、問題は使う側。人類皆で考える。とことん綺麗事と正論の積み重ね。これは、爆弾だな~。ワムの拡散により、価値のあるものを無価値にする。需要に対して供給過多になれば価値は暴落するわけですから、資本主義を逆手にとったわけですね。ただ問題は、「ワムの供給が無限である」という根拠ですね。例えばワムの存在が前提になった上で全てのインフラを整えても、ワム依存になるだけで、ヤハクィザシュナが、「ワム没シュート♪」って言ったら、全ての秩序が再度壊れるわけで。人類がどこまで異方に依存し裏切られるか? なんて展開にならなければ良いけど。
{/netabare}

6話目
{netabare}
今回は正直微妙。カドの移動にたくさん尺を使ったけど、映像美はもう分かったからという感じ。それに、あの移動方法は、「カドの一部は接地」という条件で、私でもすぐに思い付いたけど、それをヤハクイザシュ二ナが即座に提案しないことに、違和感を感じた。カド接地時にドーンとしてたけど、カドって、質量あるのかな? 眠らない人間か。なんか、ヤハクィザシュ二ナの目的って、人類を異邦存在に作り替えることかな? 新堂母の「寂しくないのかな」が伏線になって。
{/netabare}

6.5話目(ちょっと考察)
{netabare}
総集編をやること自体は、決して褒められたことではないけれど、こういう「アニオリ」で「謎解き(考察)」の要素が強い作品なら一定の価値があるかも(最近なら、「けものフレンズ」とか、そういうアニメ)。基本的に、「総集編に残す」ということは、「今後の展開に関わる」重要なシーンだという確率が高いし、今になって気づけることも多い。例えば、ワム初登場時にヤハクィザシュニナが、「これは異方から電力を取り出す装置だ」と説明した時、他の人はポカーンとしているなか、品輪博士だけがノータイムで、「それってヤバくないですか!?」と反応できてることは、彼女の有能さを物語っている。細かいとこを観られるのは、「こういうアニメなら」良いよね。

次週予告、「私達」には、異方も含まれるのかな? 「カドケーキ」(笑)
{/netabare}

7話目
{netabare}
眠れない、でなくて、眠らないこともできる、ならホントにデメリットが少ないな。少なくとも、経済活動は盛んになるね。多次元世界? そこに干渉できるのが異方なの? だとすれば、寝てるだけの人生の自分もいるということ? 発展と幸福。これに関しては、「世界一貧しい大統領」として有名な、ウルグアイの「ホセ・ムヒカ」元大統領の演説が有名ですね♪ 多分、皆が不安なのは、異方側のメリットが示されていないからですね。まあ、根本的な概念が違いすぎるから、メリットデメリットで動くとは限らないけれど、やはり、人間って自分の尺度でしか相手をはかれないから。
{/netabare}

8話目
{netabare}
報道の自由と責任。最後は個人の判断。まあ、正論と言えば正論だけど、それは例えば、「リスクを説明すれば、危険ドラッグを流通させても良い。後は使う人の自己責任でしょ」と言っていることにはならないでしょうか、極論を言えば。そもそも、サンサンの効果やリスクは、異方側の一方的な説明と、たった3人の感覚というだけのもので、何の検証もされてないのに、「個人の判断」に委ねて良いのだろうか。判断の為の材料は本当に提示できているのだろうか。

テレビ番組風の構成はおもしろい。ちょっとだけ、「呪いのビデオ」感が出ていて、リアル視聴者の我々にも「番組を観ない」という選択肢が提示されているようだった。でも、生放送って、途中(サンサ登場)から見始めた人に対しては、どう責任をとるのだろう?

ヤハクィザシュニナから提示される四つ目は何かな? 「話さなくて良い」かな? 「真道と話したい」という、ヤハクィザシュニナの怪しい表情からも、ニュータイプ的な能力(テレパシー・相互理解)とみたw

もしかしたら、次回予告の「お前は神なのか?」から、生命創造的なこと、例えば「不老不死」「記憶を保有したままの転生」「クローン体の複製(と記憶の共有)」なんかかもしれないけれど、そうすると、サンサ(睡眠不要)の価値が薄れるから、それは無いかな。サンサはあくまで、「人間の時間が有限である」という視点に立った時にメリットがあるわけで、そこが無限にあるのなら、必要のない技術なわけだからね。

しっかし、栗Tシャツは笑えたし、萌えたw かなり硬派なSFをやっているのに、隙間隙間に萌えをぶち込んでくるのが良いですね♪
{/netabare}

9話目
{netabare}
違った~w 質量制御、ね。まあでも、こうやって、予想して発信し、外れるのもまた、アニオリ作品の適時レビューの楽しみ(笑) ここで初めて、異方側のメリットが提示されましたね。なんか少し安心したような、がっかりしたような。底が見えたというか。え~、超展開(汗) なんか急にファンタジーというか、安っぽくなったな。つまりはまあ、異方存在はSimCityで遊んでたわけですね、オートモードにして。
{/netabare}

10話目
{netabare}
前半のバトル&説明は、あんなにいらないな~。沙羅花が、「人類の母」的なポジションじゃなく、「人類のファン」というポジションなのは、なかなかに新しく、良い設定だった。沙羅花が、あざとく萌えさせにくるw 真道VS真道、になりそうな展開。これ、ヤハクイザシュニナが、デレるかどうかになりそうだな。
{/netabare}

11話目
{netabare}
なぜ品輪博士の拉致を、わざわざヤハクイザシュニナの前でやったのかな? ヤハクイザシュニナが、だんたん真道にデレてきたなw あれ? 私は「月がきれい」を観てたんだっけ?(笑) この短期間で、人造フレゴニクスだと? 人類の凄さと怖さですね。交渉の基本は、相手に得をさせること。ヤハクイザシュニナをびっくりさせてやる、という真道の視点は温かくて良いね!
{/netabare}

12話目
{netabare}
つまり、異方とは客観であり、人類とは主観である、ということかな。ヤハクイザシュニナが、デレてる(BL)w まあ、通用しないでしょうね、品輪博士の拉致を、ヤハクイザシュニナが笑って見てたから。人造フレゴニクス以上の手段を用意しているとは思ったけど、なかなかに面白い展開だった。サイヤ人の理論ですねw なるほど、異方が残したもの、人類の進化のモチベーションだね。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 57
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

木を見て森を見ず

物語の前日談の第0話から観始めたので
序盤は、主人公に好印象。

国難対応に関して実写風なリアリスティックだが地味な政治家描写、
かつアニメにしては萌えを極力排除した作風。

初回は若干冷めた目で観ていたが、
徐々にその個性が他との差別化となり惹き付けられた。

そして、5話目(第4話)にして
キャラ設定、ストーリーともよく練られていると感じられ
自分の中ではすごく面白い作品に変化した。
そして期待値Maxとなり、最終話まで次回が非常に楽しみに。

<今作のキャラについて>
{netabare}
演じる声優陣も、特に政府絡みの成人男性キャラ、
派手な主役級よりどちらかというと名バイプレーヤーの
「名より実」のベテラン勢が多い印象。
そのためか、各キャリアの重みがしっかり伝わる。

頼りがいがあり
物事の本質を見極められる
大人、リーダーがちゃんと
全体を引っ張ってくれるのが
安心して観られる一番の理由。

最後まで愚者は出てこない。
そのため不要なイライラやハラハラがなくて観やすい。
逆に観終わると人類はすべてお人好しに見えなくもない。

主人公はもちろんだが、
総理が肝が据わってて意外にも魅力的。

他キャラは徭 沙羅花(つかい さらか)と花森 瞬が
和み担当で楽しかった。

釘宮理恵さん演じる理論物理学者もいい味でて好い。
浮ついているようで有能さも滲み出て好かった。

何より一番謎のヤハクィザシュニナがかなり魅力的。

なんでもお見通しなのに人類の自発的行動を
重んじる様が高次元の神的ポジション。

アニメに出てくる神様キャラは、
妙に人間臭かったり、
裁きや高圧的な押しつけがましい
パターンが多い気がしていた。
これくらい人智がとうてい及ばない位
達観して始終冷静沈着な様が逆に新鮮だったのだが...。

{/netabare}
★ 第5話「ナノカ」
{netabare}
想像の斜め上行く展開だった。

エネルギー問題を根底から覆す
人類へのプレゼント、「ワム」。
その争奪をめぐる話になるかと思いきや
まさかこんなに早くワムが全人類のものになるなんて。

毎回次が非常に気になる。

今のところ全話で脚本を担当する
野崎まど氏の世界にすっかり嵌ってしまった。

さすが小説家。
物語の構成力が素晴らしい。
ポイントがよく絞られて
雑味を下手に醸し出すキャラもいない。

ドヤ顔が清々しく決まった釘宮キャラが
見事に今回の助演女優賞獲得といったころ。
まさかヤハクィの〇を〇〇るとは…。

ヤハクィが日本を選んだのは
国益のみに奔走しがちな列強にくらべ
彼の提案に賢明に対応できる相応しい人材が揃っていると
初めから分かっていたからか?

個人的に、犬束総理は、
理想的なリーダーとしてますます株上昇中。

そしてアニメより洋画などの吹替えで聴き覚えのある
桐本拓哉氏演じる報道関係者も存在感がより増してきた。
{/netabare}
★ 第6話「テトロク」
{netabare}
相変わらず地味な展開ながら、30分があっという間。

真道はカドに取り込まれて以来、
自身が不眠不休で働ける体になっていたことに気付く。

もしかするとヤハクィは、人類に恵みをもたらすだけでなく
利用しようという腹積もりがあるかもしれない。

1クールの折り返しにあたる今回、次週の総集編の後、
第7話からは起承転結の転に移行しそうな気配。

今までは直接物語に絡むことのなかった報道関係者、
NNK報道部ディレクター、言野 匠のチームもこれから
どう絡むのか楽しみ。

ワムだっていきなり誰でも簡単に作れるわけではなかったし
カドの地球上の移動における制約など、
異方のテクノロジーの限界と制約、
その対応法など設定がやはりよく練られてる。

今回は、真道の母が初めて登場したが
女丈夫そうで魅力的なキャラだった。
これから彼の生い立ちも明かされるんだろうか。

そして、後半は羽田空港から狭山湖、およそ60kmの道程を
12時間掛けてのカド移転(当に転がしての移動)描写がメイン。
四方2キロメートルに及ぶ正六面体が移動する様は壮観。

移転に対する政府対応が丁寧に描かれ、
現実味があって派手なアクションシーンが無くても十分面白い。

ただ、ひとつだけ気になったのは
カドに取り込まれた搭乗者は全員帰って来たものの
乗っていた旅客機、ボーイング777型はどうなったのか不明な点。

一機、約150億円の高価な機体なのに、
誰もそれの回収を気にしてないのが物足りなかった。
{/netabare}
★ 第7話「サンサ」
{netabare}
序盤は、国家という単位でのシビアな
政治&人類ドラマとなりそうな雰囲気があった。

日本だけに天より恵みが降り注ぎ
諸外国の思惑が絡みだす。
GATEでもそうだったが、きな臭さはそれ以上に感じた。

しかし、7話まで観るとそうではなく
ヤハクィと当事者の問答の果てを
徹底して描こうとしているような気がしている。

<カドが出現し、ヤハクィが体現してから1か月が過ぎた>

カドに飲み込まれ、異方の影響を受けた真道は
20日間一睡もしていないほどタフになっている。
不眠症というわけではなく、寝ようと思えば寝れるらしい。

その効果を生み出す異方の機器が「サンサ」と呼ばれるもの。
今回は、その原理の説明がメインだった。
「サンサ」は「ワム」ほどお手軽に作りだせるものではないらしい。

今まで傍観者だった報道の言野とそのチームは、
世界的な民間ネットサービス企業からの引き抜きにより
公共の組織の柵から解かれ、より自由にカドを取材する立場となる。
そして体当たりの取材をカドに試みた。

結果、カドの内部に招待され「サンサ」取材のスクープをものにする。
初めてヤハクィと真道と直接対峙できた彼ら、
今後の動向が興味深い。

<ヤハクィ、お祭りという日本文化に触れる>

ヤハクィは大量の読書により人の感情を理解し、
自身も人間らしさを身につけ、
日本文化に対し好奇心あふれるさまが微笑ましい。
ヤハクィが源氏物語を読む姿は、なかなか雅な画であった。

お祭りに沙羅花の浴衣姿、彼女は有能なだけでなく
女性の可愛らしい魅力も描かれ好感度急上昇。

個人的に今作の和みキャラNo.1に。
品輪彼方よどこ行った?以前は貴女が一番でしたのに...

それにしても、あんなでかいカメをどうゲットしたんだろうか?
{/netabare}
★ 第8話「タルネル」
{netabare}
<地味に話が続く中、沙羅花の魅力だけは上がり続ける>

異方存在にお引き取り願おうという沙羅花の要望。
私は前回では女性の勘に基づく危機感かと思ってた。

しかし今回、ちゃんと彼女なりの価値基準に基づくものと判明。
そこんところを彼女の実家と家族まで登場させ丁寧に描写。
彼女が根っからのエリート家系じゃなく
庶民的かつ日本の伝統工芸の匠の家系だったのは予想外で興味深い。

真道家も庶民的で相性が良さそうで
添い遂げられるだけの良きご縁に違いない。
こりゃ二人は結婚した方がいい。
二人のDNAを継いだ子孫は優秀で国の宝となるに違いない。

沙羅花は真道くらい肝が据わって落ち着いた男性がいいに決まってる。
服のセンスをとやかく言わないのも包容力の証。
ヤハクィは二人の縁結びの神的存在。

本筋とは関係ないながらそんなこと考えてた。

6話以降、世界のお友達たちは蚊帳の外で
大した緊張感もなくのんびりしたもんだ。

それでもちゃんと作品として面白く感じるのは
ヤハクィの真意が謎のままであることが大きいと思う。

次回、ずっと謎のまま引っ張ってきた
ヤハクィの真意が明確になりそうな予告だった。

サンサ全世界一斉公開の反響も気になるし
やはり次回も観ないわけにはいかない。

そして、そろそろ品輪彼方ロスからも脱却させて欲しい。
{/netabare}
★ 第9話「ナノミスハイン」
{netabare}
<ヤハクィは、利己的な目的で人類の前に現れたのか>

今回、品輪彼方、久々の登場でうれしかったが
そんなことはどうでもいいほどに話が大きく動き、
本作からますます目が離せなくなってしまった。

<巧い展開に最後まで失望することなく観終えそうな予感>

ヤハクィは、目的のためには手段選ばぬ本性が露顕。
ならば、とてつもない異方存在の力の前では、人類は無力。
では対抗しうるのは同類しかないだろうということ。

まさか沙羅花が今後の展開の大きな鍵となるとは!
{/netabare}
★ 第10話「トワノサキワ'」
{netabare}
壮大な世界観にはやはり管弦楽が似合う。
今回で音楽評価を4.0⇒4.5に上げた。

賛否両論ありそうな展開と思うが、私は嫌いじゃない。

<「ワ'」という異方存在>

序盤で描かれたのは沙羅花の魂の足跡かな?

おそらく宇宙の誕生から観測開始。

そこから98億年後の銀河系に興味を示す。

異方存在の仲間からは自殺行為と言われつつも
40億年前の地球上に単独で管理者として降臨。

以降、様々な生物と共にあった。

人として24年前に生まれて沙羅花という名を両親にもらう。

若くして留学。外務省 国際交渉官となった今、現状に遭遇。

<~ひときわ咲いては散る 花にも負けぬ強さ 伝えてく旅詩~>

40億年の間地球と共にあり、無常なる人類を愛する異方存在、沙羅花。
今回、この物語の主人公は彼女と言ってもよさそうに思えた。

沙羅花(M・A・O)が歌う主題歌「旅詩(たびうた)」は沙羅花の想いそのもの。

旅のスケールのデカさ、そして異方存在の寿命は限りなく神様レベル?!

一度は拒絶されたもの、彼女の思いは最終的にヤハクィに届くのか?
九死に一生を得た真道のこれからとる行動は?

偽物の真道では寂しそうなヤハクィに、彼の心境の変化も感じられる。

あと2話でどう話をまとめるのだろうか。
{/netabare}
★ 第11話「ワノラル」 第12話「ユキカ」
{netabare}
総評として、アイディア先行で、次回への惹きつけは上手いものの
それを視聴者の理解と共感と感動に繋げるための構成力に難があった作品。

終盤近くまではそれを微塵も感じないほどの丁寧な描写が光っていたが
最後の2話で失速した。

<結局、ありきたりな、この宇宙を守るための戦いか>

人類に過分な恵みは、毒にもなり得る。
人類はそれをどう受けとめ、どう対処していくのか?
そこをテーマに、世界各国を舞台にした物語だったら
また違った感想になったろう。

今作は、今までの作品にない何かを期待できる構成が光っていた。

特にヤハクィというキャラが、
人類に対しての本当の目的がわからなかった分、
序盤は、超越した存在で
大慈大悲を感じられるキャラで好感度がかなり高かった。

そして本当に人類に救いをもたらすものであって欲しいと
願ったものの願いかなわず。

終盤は、超越した存在だったヤハクィが人間臭くなりすぎた。
普通に利己的で横暴な侵略者、独裁者に見えなくなっていったのが残念。

脅威や敵方がいないと物語として成り立ちにくいので
それもやむを得ないと思う。

しかしそれならそれで、中盤で化けの皮が剝がれて
最終話の結末に無理なくつなげて欲しかった。
特に第12話の内容を1話分でまとめるには、無理がありすぎる。

結局、終盤の駆け足でキャラの誰にも感情移入も出来ぬまま
起きてしまった出来事を傍観するのみで終わってしまった。

物語評価は11話までは4.5だったもの最終話で急落。
大風呂敷畳むに、強引、かつご都合主義全開で
話がかなり安っぽくなってしまった。

構成力があれば深みや味わい深さのある作品になり得たと思うのだが...。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ネタバレ

HmFDB75691 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

最終話 結局、正解はなんだったんだ?

今期のオリジナルでは一番期待している作品。映画や海外ドラマとまでは言わないが、つづきが気になるものを作ってほしい。


第1話 交渉する話かな
{netabare}
だれが主人公かわからなかったけど、たぶん、飛行機に乗っていた外務省の男だろう。凄腕の交渉官という設定なので、謎の存在と交渉して、地球を救うみたいな話かな。

”カド”は、立方体の名前らしい。このカドが謎の中心になるんだろう。このなかから人らしき者が出てきたときは、ちょっと冷めた。ありふれている感じがした。

作画は全部CGかな。キャラの動きが不自然なのであまり好きではないけど、ストーリーがメインなので気にしない。

いろいろ予想したくなるけど、材料が乏しい。気になるのはタイトル。交渉官が正解を出すならわかるけど、カドになっているのが謎。

少ないデータを頼りに予想してみた。
ネゴシエイターみたいな、かけひきがストーリーのメインになる。カドは地球を滅ぼす存在。これはありそう。人工知能のようなもので、地球についてわからないことを交渉官に尋ねてくる。カドが正解、つまり、地球を滅ぼさずに済むと結論づけるまでの話……第1話を見たところでは、こんなところ。
{/netabare}

第2話 過度な期待を持たなほうが正解かも
{netabare}
期待はしてもいいが、過度な期待はしないほうがいいかも。楽園追放を見てから考えを改めた。作画技術は上がっているけど、ストーリーは後退している気がした。

気になった点を挙げてみる。
まず、カド。ヤハクィザシュニナのような名称でないのは不自然。例えば、クワードゥみたいな感じ。立方体の概念がなかった時代にも出現して、カド(角)と呼ばれたとか。
ただ、人類の進化や文明の発展に寄与したみたいな設定はありふれているので、やめてほしい。

それから、カドにはコピー機能がある。真道が機内から出てきてヤハクィザシュニナが現れたから、真道に関係ある人物と似ている可能性はある。
真道が頭を抱えていたシーンは、大量の情報を頭に叩き込まれたか、もしくはその逆かな。

問題は謎の部分。たぶん、明らかになるのは終盤。真道はカドがなにをするのかわかっている節がある。真道が主人公だと、アンフェアな気もする。かけひきを主軸にするなら、謎は序盤で明らかにしたほうが面白くなると思う。
{/netabare}

第3話 つづきが気にならない
{netabare}
早く次回が見たい気持ちにならない。緊迫感がないせいかな。謎で固めすぎてるのもある。謎の真相→アニメの評価になるので、よっぽど面白い展開を用意してなければ、また低評価のオリジナルアニメになるだろう。

高次元(正確には違うが)の物って、人類では理解不能だと思う。理解できる物が出てきたのが不自然。ほかのアニメでも、ときどき、高次元って言葉が出てくるが、流行っているのか?
あのタマタマを巡って各国が争いながら、正しい使い道(正解)を導き出すっていう展開は、ありふれているかな。
そもそも正解を出すのが人類なら、カド=人類ってことになる。
{/netabare}

第4話 すごいぞ日本みたいになるのか?
{netabare}
各国が欲しがるタマタマを、日本が退けていく展開になるのかな、って思った。そこそこ面白いけど、進むのが遅いので、あきてしまいそう。

気になった点がひとつ。
タマタマを国連の管理下に置こうと各国が考えるのがおかしい。得たいの知れないカドから出てきたものを、なぜ便利な物として捉えてしまうのか。これでは登場人物たちがカドを信用していることになり、設定が矛盾してしまう。

「とりあえず、日本に置いててよ」となるのが正しいと思う。さらに、日本から出さないように厳戒態勢を敷く。使用してみて、日本が無事だったら、うちらも使ってみるかって、なるんじゃない。
カドが得体のしれない物であることを、もう少しきちんと描くべきだと思う。
{/netabare}

第5話 正解するかどうかの話ではない気がする
{netabare}
人類はワムを正しく利用できるか、それとも……みたいなアニメになってるけど、違う気がしてならない。理由は、アニメにするほどの内容ではないから。ワムをうまく使えるかそうでないかの結末で、面白いとは思えない。だから、ワムはブラフか伏線の気がする。

あと気になるのは、主役は交渉官なのに、ほとんど交渉していない。ヤハクは難題を出してはくるけど、交渉とは違う。

予想してみたいけど、データが少ない。品輪彼方(cvが釘宮さんのキャラ)のところに運んだのは、ただの鉄の玉なんだろう。それが簡単にワムになることをつきとめたのかな。総理に見せたのはその逆で、鉄の玉に戻るところ。

注目点はワムではなくカドだと思う。タイトルにもなってるから。カドは無線LANの親機みたいなもので、カドがあるから人類も異方とつながる、とか。
{/netabare}

第6話 眠くなった
{netabare}
カドを転がすだけの話。あんな単調なシーンを見せられたら眠くなるわ。
最後のセリフのとき、「寝てたよ」と突っ込みたくなった。

CG技術は上がってるけど、それを見せるばかりで、ストーリーがおろそかになってないだろうか。
キャラ同士のからみがあって、感動作や傑作は生まれると思う。このアニメは謎(カドやワム)に重きを置きすぎている。ラストで驚かせるのだろうが、それまでの過程をもう少し工夫するとか、キャラ同士のからみをもっと増やしたほうがいい。
{/netabare}

第7話 ひも理論かな?
{netabare}
今回見てて浮かんだのは、ひも理論。詳しくは知らない。
世界は10次元以上でできていて、我々がいる次元からは他の次元は認識できない。紙を広げると2次元だけど、丸めると3次元になるように、形を変えることで他の次元を認識できるとか、そんな感じでいいのかな(適当)。
人間が認識できない次元を認識させていく、そんなアニメかなって思った。

あとは、唯一?のヒロインのごくわずかな色っぽいシーンがあったくらい。さほどストーリーは進んでいない。取材班が来なくても、結局、映像で見せるしかないだろって、突っ込んだ。
{/netabare}

第8話 タイトルがオチ?
{netabare}
沙羅花のファッションセンスは人類のものではないね。きっと沙羅花は異方からきたんだよ(笑)。
すでに異方存在が紛れているという展開もありかなって、沙羅花の服を見ながら思った。

タイトルがオチになってそうな気はする。人類に正解を出させているのに、タイトルはカド。人類=カドだとすると、カドが人類を集約した物体になるのか。それも変な気がするなあ……。
{/netabare}

第9話 予想通り(笑)
{netabare}
やっぱり沙羅花のファッションセンスは人類のものではなかった。感性の違いをあのTシャツで示したんだろう。わかりにくい伏線だった。

宇宙の初期設定(だったかな?)あたりの説明をしているときは、SF風でよかった。目的が情報集めなのはイマイチ。ネットの時代に考えつきそうなオチだった。人工知能を搭載した宇宙船でも飛ばしておけば情報を集められそう。

硬派なSFアニメと見ていたけど、沙羅花が変身して突っ込んで、低次元なバトルアニメになりそう。沙羅花は人類の生活に感化された、みたいな展開なんだろうけどベタすぎる。人類を利用してなにかを集めるというのも、某魔法少女アニメのほうがいい。
{/netabare}

第10話 トワノサキワ'とは?
{netabare}
冒頭部分の説明。
まず、I-年は、インフレーションのIかな。ビッグバンのまえだから、描きようがない。
そのあと、暗くなってから光るのがビッグバン。
ビッグバンから38万年後に”宇宙の晴れ上がり”。
7億年後に最初の銀河ができて、92億年後に太陽系ができる。98億年後の特異点は生命のことかな。
以上、ネットで調べただけなので正確かわからない。

『トワノサキワ'』は、異方存在の便宜上の名前のように思えた。
ビッグバンになるまで、”ワ”と”キ”しかいない。"ワ"は、沙羅花で、"キ"は、ザシュニナか?
よく見ると、菱形と輪っからしきものがある。指輪をはめていたところからも"ワ"が沙羅花だろう。
"ワ"と"キ"が、自他を意識するみたいな会話があり、六つの物体が突入?していく。これが『トワノサキワ'』か?
解析したところで、それがなに、って感じなんだけど。

沙羅花は魔法少女なのか。変身が解けたら裸になるなんて、だんだんひどくなっていく、このアニメ。
真道がいなくなって、ザシュニナが寂しいみたいになっていたような……。
沙羅花の指輪が異方との境界で、ザシュニナはカド。そうなると、正解するのは、ザシュニナの可能性もある。
あと、カドは変形するような気がする。
{/netabare}

第11話 視聴者を驚かせてほしい
{netabare}
カドが巨大化するのは許容範囲だろう。もう少し驚かせてほしかった。
沙羅花が魔法少女になるまでは面白かった。まだ総評には早いけど……。
なぜバトル展開にしたのか、いまだに疑問。

物理学者の品輪彼方だけは進んで異方に行きそう。名前からしてそんな感じもするし。
あとは、タイトルの意味がどういうオチなのか、それが楽しみではある。
{/netabare}

最終話 結局、正解はなんだったんだ?
{netabare}
驚いたけど、めちゃくちゃ。
下町の工場で作ってくれたものはなんだったんだ。こっそり子作りしてそっちが正解なんて……。
異方の力が遺伝されるのもご都合主義と言いたくなる。
沙羅花が魔法少女になった時点で、なんでもありだったから、面白い一発芸を見たって感じ。

タイトルについて考えてみる。
英語では、KADO: The Right Answerとなっている。訳すと、カド:正解となる。カドが正解を出すとはなっていない。
:の記号を=と考えれば、カド=正解。カドの目的が正解と取れなくもない。つまり、人類を異方に連れて行くこと。これがタイトルの意味と解釈して、モヤッとした気分を解消した。どうせなら星界のカドってするほうがかっこよかった。


総評
沙羅花が魔法少女になるまではSFしててよかった。それ以降はアニメらしい展開。つまらないというより、もったいない。せっかくの設定を生かせなかった。
沙羅花は異方のものに異を唱えていたから、人類としては異質な存在になっていた。それを異方存在にしたために、普通になってしまった。人類だからこそ、変なTシャツを着ていて面白かったんだと思う。

伏線を張っていないので驚かせても一発芸で終わり、印象に残らない。最初からもう一度見るという気持ちにもなれない。第3話で沙羅花が子作りを考えていた伏線があったら、評価は変わっただろう。アニメが始まった時点で結末を考えていなかった、そんな気すらした。

視聴者を驚かせはしたが、楽しませるという点では正解は出せなかったと思う。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

67.3 3 3DCGで戦闘なアニメランキング3位
ULTRAMAN(Webアニメ)

2019年4月1日
★★★★☆ 3.4 (107)
374人が棚に入れました
かつてこの世界には〈光の巨人〉と呼ばれる存在がいた。やがて〈光の巨人〉はその役目を終え、遠い宇宙にある自らの故郷へと帰還し、同化していた地球人はそれまでの記憶を失うことで自らの在るべき場所へと戻っていった。ウルトラマンの存在は過去のモノとなり、科学特捜隊日本支部もその役割を終えて、光の巨人記念館へとその姿を変えていた。早田進次郎は多感な思春期を過ごす高校生。だが彼は、自分が驚異的な跳躍力や頑丈な肉体といった人間離れした“普通"ではない力を持っていることを自覚していた。そんなある日、進次郎は父・早田進が、かつてウルトラマンであったことを知る。そしてウルトラマン無き地球に暗躍する宇宙人たちの存在も。進次郎は、秘匿組織として健在する科学特捜隊の井手によって開発されたウルトラマンスーツを着用できる数少ない適合者だった。「単刀直入に言おう――キミにウルトラマンになってもらいたい」

声優・キャラクター
木村良平、江口拓也、潘めぐみ、田中秀幸、諸星すみれ、魚建、牛山茂、竹内良太、花輪英司、関戸博一、津田健次郎、白石稔、曽世海司
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

和洋折衷ウルトラマン

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
ジャンルはアクション。3Dアニメです。

私は、高評価。でも多分、それは私に「ウルトラマンに対する特別な思い入れ」がないからだと思います。

このアニメ、「ウルトラマンが好き」な人は戸惑うかもしれません。その辺を、レビューに書きたいと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
「これはウルトラマンなのだろうか?」という疑問を、私は一切抱きませんでした。なぜなら、そもそもウルトラマンをちゃんと観たことがないからです(何回かは観たことあるよ、名前は知識として知ってるよ、レベル)。

だから私には、「普通に格好良いアクションアニメ」でしかなくて、別に「ウルトラマン」という冠は必要ありませんでした。

「ウルトラマン」というよりは、「アメリカのヒーロー」や、「平成の仮面ライダー」に近いような作風。だから、「和洋折衷ウルトラマン」にしました。

本作の良さとしては、まずアクションの格好よさ。なんか、プロレスみたいだなと思いました。

プロレスの必殺技の中には、「それって効くの?」と思うものが散見されるが、「客はちゃんと盛り上がる」。それは、「粋」という感覚に近く、「効かないとか避けられる」なんて言うのは、「無粋」。

本作も、空手やカンフーアクションのような実用的な動きの中に、いきなり「ウルトラマンらしい攻撃」が入るのが、なんか「ダサ格好良い」。そこは、3Dによる独特のカメラアングルや動きが良い働きをしていて、「ダサ」「格好良い」にしていたと思います。

次の良さとして、ストーリーの面白さ。縦軸として貫くのは、「主人公がヒーローであることを悩み、受け入れるまで」を描くということで、なんか「仮面ライダーっぽい?」と思いました。そこに横軸として、「主人公とアイドルの恋愛」や「星団評議会の暗躍」などがある構成。

特に、「星団評議会の暗躍」は面白くて、誰が黒幕なのか、味方なのかをワクワクしながら観られました。ここは、今後は縦軸になるでしょうし。 

と、私が誉めている部分は、多分、ウルトラマンファンからすると、「邪道」なのでしょう。

プロレス的なアクションは、「ウルトラマンを茶化してる」とも受け取れるし、複雑な世界観は、「爽快さの打ち消し」になるのかもしれない。そもそも、巨大化しないウルトラマンは、もはやウルトラマンじゃないという怒りもあるかもしれません。

私も、もし自分が好きな「ロードス島戦記=キャラがロボットに乗ってモンスターと戦う」とか「ガンダム=モビルスーツ同士でラブコメ」とかやられたら、「ふざけんなよ」「俺の思い出汚すなや」って思うでしょうしね。

賛否両論ある本作。どちらの評価にするかは、やっぱり、観て自分で判断するしかないように思います。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
ウルトラマンのその後として、しっかり面白い。オッサンが格好良いアニメは、良い。

2話目 ☆4
バトル、急に地味になったけど(苦笑) 地面に投げても効かねえだろ。なんかちょっと、ハリウッドだな。変身のところは日本っぽい。トータルて、面白い(笑)

3話目 ☆3
なんか、ヒーロー願望で戦う、某大介を思い出すな(笑) グロのギリギリラインでちゃんと止めてるあたりが偉い。

4話目 ☆4
なんか、やたらプロレス技が目立つ。オスプレイみたいな戦い方だな(笑) 迫力のバトルを満喫。

5話目 ☆3
異星人街。セブンが意外と好意的? 民族差別をするタイプではないのかな。ジャック。帰ってきたウルトラマン?

6話目 ☆4
セブン、強いな。彼は、ただの人間なの?

7話目 ☆3
バトルは流石に格好良いわ。ヒーロー願望か。

8話目 ☆4
なんか、随分とひねくれた話になってきたけど、かなり面白いな。

9話目 ☆4
エース登場。さらに状況が混迷してきたな。

10話目 ☆4
エース。天才技士。本当に、色んな人の思惑が複雑に絡んでる。

11話目 ☆3
なんか、ややコメディタッチ。めっちゃ簡単にバレてるw これはセブンに殺される案件(笑)

12話目 ☆4
星団協議会、ゼットン。誰が敵で誰が味方か。

13話目☆
セブン強い。エース熱い。

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

このCGに魅力を感じないので辛い…話は前半は面白いです。

 まずCGです。IGはどうしちゃったんでしょう?なぜ、この方向でいいと思ってしまったのが分かりません。新しい「攻殻機動隊」もそうでしたね。「ガメラ」とか「ヤキトリ」とかもこういうテイストなので、ネトフリ仕様?なんでしょうか?
 SOLA DIGITAL ARTSというところが共同制作でこっちがCGなのかな?まあ、ただIGということで話を進めます。

 こういう作品って結果的に日本でもアメリカや中国でもあまり話題になってない気がするのですが。アメリカの3DCGって「トイストーリー」とか「ミニオンズ」とか「モンスターズインク」とか結局「デザイン化されたキャラ」なんですよね。それかアナ雪みたいな従来の2Dアニメを立体化した感じといえばいいのでしょうか。

「シドニアの騎士」というかMMDというか、なんかそっから進化した(いや進化が感じられない)みたいな3DCGっていつまで使うんでしょう?これは不気味の谷でもあるし、安っぽくもあるし、手塚的な記号にもなってないし…正直なんでこの系統にこだわるんでしょうか。「楽園追放」がそう言えばこの系統かな?あれが結局一番見やすかったりして。

 結局ヒットした「鬼滅の刃」も「ワンピース」も2次元アニメだったし「スーパーマリオ」は「デザインキャラ」系統です。今、やっているちょっと人気のTV作品…例えば「フリーレン」「陰実」「薬屋」辺りと比べて、どっちが魅力かとか考えないんでしょうか?

 このネトフリが推しているのかIGの技術なのかどうも本作のような3DCGは好きになりません。「PLUTO」みたいなの作れるならそっちで行って欲しいなあ。「PLUTO」の話は評価してませんが、画面は最高でした。

 それと演技ですね、CGの。変身後のウルトラマン等は、人間のCGよりはカッコ良くて見られるんですけど、動きというか演技がカリカチュアライズされすぎたハリウッド映画の役者を物まね芸人が大げさに真似ているような動きです。共感性羞恥が発動するレベルで、ひどいです。

 で、本作のストーリーです。面白いです。初めのうちは。ウルトラマンが去った後に残された地球の話です。メンインブラックの黒メガネをウルトラマンがやっていて且つシリアス版という感じです。アイドルが絡むのでちょっと雰囲気とか世界観は「鉄腕バーディー」も思い出しました。

 アイドルとの絡みがご都合主義だったりしますが、ウルトラマンとは?という定義の問題とか、スペシウム光線の設定とか、ウルトラマンだった早田隊員の呪いと血の話、連続殺人犯、懐かしの怪獣○○○○の立ち位置などで、かなりドキドキワクワクする話でした…途中までは。

 ただアイデンティティ問題とか正義の問題とか、言葉ではなぞっているんですけど、なんか軽いんですよね。SF的なメカの設定も結局なんなのか謎の提示もないまま未来メカで来ちゃったし。セブンとかエースもいいんですけど簡単に登場させすぎて軽ーい感じだし性格造形がありきたりというか…

 CGに拒否感が無ければ、前半はかなり面白いと思います。ただ、後半はほぼドンパチです。
 2期以降で主人公のアイデンティティ問題をやるのかどうかと、アイドルちゃんと恋愛しちゃうのかどうか、は気になりますけど…どうしようかなあという感じです。

 まあ、せっかくネトフリ加入期間なのでこの後、23年の作品の3期まではチェックしたい気もします。が、画面が辛い。2Dアニメ好きにはハードルが高すぎる…

 ストーリーは前半評価で3.5(前半4、後半2.5の辛うじて四捨五入)。ビックネームのウルトラマンの名前を借りてますが、その名前を使った導入は面白いのでいいと思います。
 キャラは…うーん、アイデアはいいです。アイドルの出番が無理やり感はありますが唯一魅力があるキャラとも言えます。4かなあ。
 作画は評価できません、1と言いたいですけど最後まで見た作品なので1.5にします。
 声優と音楽は正直CGが気になりすぎて楽しめません。評価なしの3で。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

俺たちが、ウルトラマンだ

この作品は、あのウルトラマンのフル3DCGアニメです。
グリッドマンがアニメ化された時も驚きましたが、これにはホントにビックリです。
円谷プロの看板作品でこれまで特撮にこだわってきたウルトラマンが、アニメ化されたのですから…

でもウルトラマンの設定が大きく異なっていました。
まず、今回登場するウルトラマンはM78星雲光の国から来る訳ではありません。
物語の舞台は、ウルトラマンが異星人の侵略から地球を守り、使命を終えて地球を去ってから40年後の世界…
そして40年の年月をかけて人類は繁栄の時代を築き上げてきました。

ですが、それは表向きの平和でしかなかったのです。

かつてウルトラマンと同化していた科学特捜隊の早田進は還暦を迎え、今では一人の息子を持つおじいちゃん…
早田進の一人息子である早田進次郎は、生まれながらに特殊な力を秘めていました。
進次郎が高校生になった頃…これまでの平和を揺るがす一大事が起きたのです。

考えてみると、その事件が全てのきっかけでした。
突然謎の敵に襲われた進次郎を助けたのは父である早田進…
早田進は自分がウルトラマンだと告白し、ウルトラマンスーツを纏って進次郎を守ろうとします。
ですが、還暦を過ぎた人間がウルトラマン本来の力を引き出せるはずもなく、あっという間に劣勢に…
父親が傷付いていくのを目の当たりにして、子どもの心が動かないはずがありません。
進次郎もウルトラマンスーツを身に纏い、何とか謎の敵を撤退させることに成功するのですが…

これがこの物語の序章…
進次郎は進に代わる「新たなウルトラマン」になることを要請されるのでした。
これまで秘密裡にしてきた異星人の襲撃から地球を守るため…
こうして進次郎の物語が動いていきます。

生まれながらに秘めた特殊な力…
このフレーズだけ見ると魅惑の塊のようです。
だって、誰もが一度憧れた能力なんですから…

一睡もしなくても疲れを知らない身体…
自宅と行きたい場所とを瞬間的に繋いでくれる能力…
一度覚えたら絶対に忘れない記憶…
こんな能力があったら良かったのに…なんて考えたり?

でも、自分の能力に見合った責任や使命が課せられるのも世の常ですが、進次郎に任せるのは時期尚早だったのかもしれません。
そもそも自分の能力に見合った責任や使命って、高校生に理解できるかと考えると正直難しいと思います。
だって、その頃って自分の事だけで精一杯だから…

能力が高いからウルトラマンを要請される
ウルトラマンは正義の見方だから、悪い敵から地球や人々を守らなくちゃいけない
正義の味方は守るのが当たり前…
そこに落ち度があったら徹底的に責められる…
正義の味方に自ら志願した訳じゃないにも関わらずです。

だから、この作品は進次郎の成長を見守る物語…
彼の正義の貫き方…悪くなかったと思います。

進次郎の事が気になる女の子…すみれちゃん演じる人気急上昇中のアイドル 佐山レナの存在は大きかったです。
地球外生命体とは全く無縁の彼女が、どうして進次郎と知り合い騒動に巻き込まれていくのか…
彼女の出生に関する時期的な矛盾はありましたが、すみれちゃんの熱演に圧倒され気付いたのは後からでした。
物語が面白ければ、結果オーライという事なんでしょう。

現代に蘇ったウルトラマン…フル3DCGの旨味を全てつぎ込んで作られた作品は、往年の名作とはまた違ったテイストが感じられました。
ウルトラマンスーツを身に纏った彼らの格好良さは半端ありませんでしたよ。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は、OLDCODEXさんの「Sight Over The Battle」

クール全13話の物語でした。
毎週の視聴が溜まっていますが、面白くて思わず一気見しちゃいました。
物語としても中途半端なところで終わっているので、続編制作前提なんだろうなぁ…なんて考えています。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19

57.8 4 3DCGで戦闘なアニメランキング4位
ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(アニメ映画)

2019年8月2日
★★★☆☆ 2.9 (81)
132人が棚に入れました
少年リュカは父パパスと旅を続けていた。その目的は、ゲマ率いる魔物たちに連れ去られた母を取り戻すこと。 旅の道中、遂にゲマと遭遇し、魔物たちと激しい戦いを繰り広げるパパス。 しかし一瞬のスキをつかれ、リュカが人質にとられてしまい、手出しができなくなったパパスは、リュカの目の前で無念の死を遂げる―― それから10年。故郷に戻ったリュカは「天空のつるぎと勇者を探し出せば、母を救うことができる」というパパスの日記を発見する。 父の遺志を受け継ぎ、リュカは再び冒険の旅にでることに。 立ちはだかるいくつもの試練、そしてビアンカとフローラ、2人の女性をめぐる究極の選択。果たして冒険の先に待ち受けるものとは!?

声優・キャラクター
佐藤健、有村架純、波瑠、坂口健太郎、山田孝之、ケンドーコバヤシ、安田顕、古田新太、松尾スズキ、山寺宏一
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

親から子へ、そして孫へと受け継がれる使命

この物語の原作は、エニックス社が1992年に発売した『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』のゲームです。
そしてドラゴン・クエストⅤは、ゲーム要素だけでなく、壮大な物語でもあります。
それは、親から子へ、そして孫へと使命が受け継がれる感動作でした。

物語は、主人公のリュカが五歳のときから始まります。
リュカは父親と共に、世界中を旅しています。
旅の目的も、その先に何があるのかも、リュカは知りません。
だが、大きな運命の渦に巻き込まれ、リュカは想像を絶する日々を体験します。
{netabare}
以下はドラゴンクエストⅤについてですので、映画ではカットされている箇所や変更されている箇所もあります。
古い記憶なので間違いもあるかもしれません。

父親が亡くなり10年経って、初めてリュカは父親の旅の目的を知ります。
母親のマーサは、リュカが生まれて間もなく、魔界に連れ去られたのでした。
魔界からマーサを救い出すことができる唯一の人物『天空の勇者』を探し出す。それが父パパスの旅の目的でした。

父の遺志を受け継ぎ、リュカもまた世界中を旅します。
長く、辛い日が続きます。

やがて彼は旅の途中で結婚し、子供ができます。
子供が10歳になったとき、リュカはついに天空の勇者を見つけるのです。

そのとき、リュカはきっと次のように感じたことでしょう。
「どうりで父親のパパスが世界中を旅しても、見つけられなかったはずだ…
 だって、そのときは、天空の勇者はまだ生まれていなかったのだから…
 その天空の勇者が、こんなにも身近な存在として現れるなんて…、夢のようだ」と…

そして、マーサを救い出す新たな旅が始まるのです。


また、心にジーンときた箇所を、いくつか以下に書き記します。好きなところだけ読んでください。

パパスと天空の剣: {netabare}
天空の勇者だけが使用できる『天空の剣』をパパスが見つけたとき、
「なんで私には、この剣が使えないのだ…」と、パパスは悔しがり、嘆きました。

きっとパパスは、天空の剣を使い、今すぐにでもマーサを救いに行きたかったのでしょう。
そのときのパパスの悔しさが、心に沁みました。
{/netabare}


ルドマン家の宿命: {netabare}
サラボナに住む大富豪ルドマンは、実は先祖代々から受け継がれた使命を持っていました。
150年前の先祖ルドルフは怪物ブオーンを封印しました。しかし、その封印は150年ほどしか持ちません。
封印が破られたら、もう一度ブオーンと戦い、封印する必要があります。それは命がけの使命でした。

先祖ルドルフから、まだ見ぬ150年後の子孫ルドマンへ宛てた手紙が、とても辛い内容でした。
ルドマン家が娘フローラの結婚相手を募集した真の目的も、実はブオーンと戦える勇者を見つけるためだったのです。
そう考えると、ルドマンもフローラも、辛い宿命を背負っていたのです。
{/netabare}


ルドマンとフローラ: {netabare}
リュカがビアンカと結婚する際、ルドマンとフローラは、結婚式の準備を全て行い、結婚費用全てをルドマン家で支払いました。
本来はフローラのための結婚式だったのですが、リュカとビアンカのために懸命に準備したのです。

二人は凄く心が大きく、清らかでした。
そして、結婚式の翌朝、リュカとビアンカたちが旅立った後、
ルドマンがフローラに、「もう泣いても良いんだよ」と言うと
フローラはルドマンの胸に顔を埋めて号泣します。
実はフローラは、リュカが大好きで結婚したかったのです。彼女はとても立派な女性でした。
{/netabare}


サラボナの町の人のうわさ: {netabare}
サラボナの町の人たちは、ルドマン家を尊敬していました。
でも、ルドマンが娘フローラのために準備した結婚式を、見ず知らずの旅人リュカとビアンカのために行ったことを知ると、
ルドマンのことを「お人好しの馬鹿」のように軽蔑します。その軽蔑の期間は11年ほど続きます。
でも、11年後に、サラボナの町に災いをもたらしていたブォーンをリュカ達がやっつけると、
町の人たちは、ルドマンのことを「先を見通した凄い人」だと、再び尊敬します。

人の噂というのは、いつも無責任であてにならないものです。自分をしっかりもつこと。それが大事だと思います。
{/netabare}


過去へ帰った際のできごと: {netabare}
リュカはゴールドオーブを取り戻すために過去へと旅します。
旅立つ前に妖精の女王は、「過去に行くのはとても辛いことですが、それでも行くのですか?」とリュカに念押しします。
リュカには大切な目的があったので、「行きます」と元気よく答えるのですが…
でも、リュカが旅立った過去は、父親パパスが亡くなる数日前でした。

リュカは幼い頃の自分に会い、「どんな辛いことがあっても頑張るんだよ」と言い、さらに「お父さんを大切にするんだよ」と告げます。

このときの言葉には、リュカの悲痛な叫びがこもっていました。
そして、リュカが過去から現在へ戻る際、パパスの死ぬ瞬間をもう一度見ることになります。見たくもないものを見せられるのです。
そして現在へ戻ってきたリュカは、大粒の涙を流し、床にうずくまります。声にならない叫び声をあげます。
妖精の女王は、そんなリュカの悲しみを察し、しばらくリュカには誰にも会わせないようにしました。

このときのリュカの気持ちは想像を絶する辛さ、悲しみがありました。思わず私も涙を流してしまいました。
{/netabare}


カボチ村での出来事: {netabare}
カボチ村では、怪物が毎晩現れるため、村人は恐れていました。
怪物は農作物を食べ荒らしはしますが、決して人を襲いません。
それどころか、怪物を見て恐怖のあまり足をもうつれさせ怪我した村人を、怪物は背中に乗せ村まで運んだりしました。
でも、村人は怪物を退治することを決め、お金を出し合い、リュカに怪物退治を依頼します。

リュカが怪物に出会うと、それはリュカが昔飼っていたキラーパンサーでした。
キラーパンサーはリュカを思い出し、リュカと行動を共にします。
それを知った村人は、リュカが自分が飼っている怪物で村からお金をだまし取ったと誤解します。
そしてその誤解は最後まで解けずに、リュカ達は村から追い出されます。

人というのは自分勝手な都合で人に責任を押し付ける無責任な生き物です。
そうならないように日々謙虚に生きることが大切だと思いました。
{/netabare}


ポートセルミで聞いた天空の勇者の正体: {netabare}
港町ポートセルミで、「天空の勇者を見た」という人にリュカは出会います。
でも、その人の話をよく聞くと、その人が天空の勇者だと勘違いしていた人は、リュカの父親パパスでした。
その人は、「あんなに強くて立派な人は世界中探しても他にいない。名前はパパスといっていたな」と、盛んに語ります。

リュカは、天空の勇者の話ではなかったけど、その話を聞いて嬉しくなりました。
だって、見ず知らずの人が、リュカの大好きな父親のことを盛んに褒めているのですから。

この話を聞いたとき、私も思わず頬笑みました。
{/netabare}
{/netabare}

私は昔、このゲームをしたときに、物語の素晴らしさに感動しました。
そして原作の小説を読み、涙を流しました。
原作は、NHKの大河ドラマと比較しても遜色ないほどの素晴らしい内容です。

ドラゴンクエストⅤのゲームをされたことがない方は、映画を見る前に少しでもやっておくことをお勧めします。
映画は約100分ほどしかありません。そして主人公が子供の頃の話は、大幅にカットされています。
だからゲームをしたことが無い方は、物語について行けないかもしれませんし、ゲーム経験者の方が大いに感動するシーンも、あまり感動できないかもしれません。

壮大な物語を語るには、あまりにも短い時間でした。
でも私は、この映画が大好きです。

この映画は、ラストが原作と異なっています。
このラストに関しては、賛否両論がありますが、このラストがあるからこそ、ユア・ストーリー なのでしょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

おもいでブレイカー があらわれた!

→たたく
 にげる
 ぼうぎょ
 どうぐ


 「Filmarksで2点台の爆死映画を今更叩いてどうするんだよ」と言われそうだけど、まぁ観てしまった以上感想を残しておきましょう。この映画は評判がめちゃくちゃ悪くて、一緒に観た2人もボロクソに貶していたし、他の知り合いに感想を聞いても「すげーがっかりした」てな感じで、褒める人が1人もいないという有様でした。かなりやばい。

 大人気RPGゲーム「ドラゴンクエスト5」の映画化作品。この映画がなぜここまで叩かれたのか、お話するには映画後半の重度のネタバレをしなくてはいけません。でも公開されてから随分立ちましたので、もうバラしても良いかなと思います。

{netabare}
 ゲームの内容はご存知の方も多いかと思いますが、軽く説明しておきます。「ドラゴンクエスト5」は主人公は父とともに冒険する幼少期からゲームが始まり、卑劣な敵ゲマの計略によって父親を亡くし奴隷として過酷な日々を送ります。そこから脱出、そして結婚、やがて生まれる子供とともに父親の敵討ちを果たし、果てには世界を救うという、一人の英雄を人生を疑似体験できるという当時としては画期的なRPGゲームだったわけです。

 ゲーム上、結婚相手はプレイヤーが選択することができます。幼馴染のビアンカか、大富豪の娘フローラか。フローラを選んだ方が冒険は楽になるのですが、幼少期はビアンカと一緒にイベントをこなすこともあってビアンカを選ぶ人が多数派のようです。私はフローラ派なのですが、それを告白するとビアンカ派からはいつもゴミを見るような目で見られます。

 それはさておき、もちろん映画でも結婚相手を選ぶシーンがあります。結婚までのイベントが高速で進むのは、2時間の映画であれば観る前からある程度覚悟はしているので、違和感を感じながらも鑑賞に耐える内容かと思います。問題は後半です。突然ボスキャラがネタバレを語り始める。今まで観てきたシーンは現実ではサラリーマンの青年がVRでゲーム体験プレイして懐かしんでいる脳内映像なんだよ、こんなゲームにマジになってどうすんの?いい加減大人になれよwwww 大草原。的な説教を始める。はぁ?何これ。

 要は夢オチというやつで、結局「ゲームは素晴らしいもうひとつの現実だ!」と主人公(=勇者=サラリーマン)の逆切れパワーでボスが消滅して終わり。めでたしめでたし。観客はブチギレたままだから全然めでたくないのだけど。

 山崎監督はドラクエ5をプレイしたことがないのに映画を制作したらしい。なめとんのか。でもまぁそうだろうなと思う。ここまで不快指数の高い映画はなかなかない。何が不愉快なのか。それは「子供の頃ファミコンでゲームをしていた世代の人たちは、当時友達が少なくて、一人でゲームをしていた寂しい思い出しかなくて、恋愛やらスポーツやらでリア充していた人たちに比べて劣等感を抱いているんだろう」という偏見が丸出しだからです。上から目線で「よしよし、ゲームだって立派な思い出だよ」なんて同情されても、そんなの余計なお世話でしかありません。だいいちそんな認識は時代錯誤も甚だしい。

 takarockさんが本作に関して鋭い指摘をしていました。「今の時代、ゲームは卒業するものではない。それを勘違いしている」と。まさしくその通り。大人も普通にスマホでゲームをしているし、むしろゲームは子供との接点になる時代です。山崎監督の価値観は、幼女連続殺人事件(※)が起きてオタクが犯罪者予備軍扱いされたはるか昔の時代のまま止まっているのではないかと考えてしまう。そうでなければこんな映画は作りようがありません。

 平成になってから現実と虚構の価値が横並びになったなんて社会学の話は、映像作品を作る人間なら知っていてしかるべきでしょう。老害は勉強しないから老害になってしまうのでは。

 ドラクエ5の主人公は父親を目の前で殺され、奴隷として働かされ、結婚した後も愛する妻がモンスターに攫われる、自分は石にされてしまう、と逆境続きの超ハードな人生を送る。今から想えば僕たちはそんな逆境を跳ね返す主人公の生き方をカッコイイを思い、自分は偉大な男になれる、なんて世間を知らないが故の少年の全能感みたいなものを、ゲームの勇者に仮託していたように思うのです。

 でもドラゴンクエストユアストーリーの主人公は最初から最後まで俗物でした。モンスターには逃げ腰で恋愛も優柔不断。僕は何を見せられているんだろう。まぁそれは主人公が実際は冴えないサラリーマンという伏線で、結局これが作り手の「俺は子供の頃ゲームなんてしていなかったぞ自慢」だと気付いたあとは、居酒屋で連れとこの映画の悪口を1時間くらい話す羽目になりました。

 世間の評判も散々なんですけど、ドラゴンクエスト小説版の作者が「勝手に私の小説の主人公の名前(リュカ)を使うな!」とゴネたり、制作にかかわったピクチャーエレメントが破産したりと後味の悪い作品になってしまったのが残念ですね。

※1988年に関東で幼女が連続誘拐殺人される事件があり、逮捕後に犯人の部屋が公開される。ビデオテープが山積みになった異様な光景が話題になり、それからマスコミは徹底的なオタクバッシングをはじめる。アニメやマンガ、ゲームに夢中になっているオタクは現実と空想の区別がつかなくなった人間として猛烈に叩かることになった。このマスコミ主導のオタク差別は根が深く、いまだに続いている。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

天空の導かれし大地 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

否定的な意見も好意的な意見も納得出来る。落とし所の難しい作品。

ドラクエ5はビアンカ、フローラ、デボラを全員嫁にする、プチタークとプオーンを仲間にするまで頑張るほどには遊んでました。シリーズの中では8と11の次位には思い入れのある作品。

酷評ばかりの本作だが、言うほど酷いか?ともなる一方でそりゃ酷いなともなる作品。肯定派の意見も否定派の意見も納得できる。

原作をなぞったシナリオに関してはおおむね満足。限られた尺の中でうまく収められているとは思う。とはいえ娘が未登場、幼年期編が駆け足すぎる等尺の弊害で展開が残念になった部分が多数ある。かといって無駄なギャグで間伸びさせるなどカットした分そこを入れる必要ある?ともなる展開も含まれていて、なんとも言えない。

で、例のVRワールドオチと大人になれのアレ。監督としてはいい年こいてゲームなんかやってんじゃねぇよということを伝えたいのではなく「ゲームで遊んだ思い出はずっと心の中にある、ゲームをくだらないものと一蹴するのは間違っている」ということを伝えたかったのはよく分かる。その試み自体はドラゴンクエストという国民的ゲームだからこそうまく取り扱えれば説得力のある物語や、ゲームだからこそ得られる経験
という表現をあらゆるプレイヤーに語りかける形で問うことが可能となることから、その視点での物語構築自体はアリだと思う。

ただ、このために大どんでん返しでメタネタを無理やり持ってきたような感じでそのオチありきで話を進めている感じがしていてドラマ的に盛り上がりが感じられず、作劇に活かしきれていない。終盤の展開の布石にしても映画ではキャラの深堀や話への感情移入はあくまでドラクエ5プレイヤーでないと伝わらない部分もあるため、限られた尺での表現や積み重ねが薄くなる以上ショック度合いや絶望感もなく、怒りや呆れを呼び起こすだけにしかならない。そもそもドラクエにそういう変に説教臭いテーマは求めていないという人もいるだろう、監督の伝え方が下手すぎてむしろ逆に人の好きな物や思い出に冷水をかけられたような気分にさせられるようにも感じられる。監督の意図が伝わらないのもこれでは当たり前だ。伝え方や題材との相性が悪かったのだろう。自己投影出来るドラクエなら自分という存在をキャラメイクで生み出せるスーファミ版3の方が向いてたと思うし…5自体物語が完成されてるのに底にメタバース要素を無理に付け加えるのが野暮だったのかもしれない。試みは面白いがやり方がまずかった。

自分はこの試みは好きだが、かといって叩かれるのも仕方ない作品だとは思う。万一本作があのような悲惨な評価にならなければドラクエにこういう話があっても面白いねとは思うが、本作の場合だと人のふんどしを粗末に扱われたとも見られるような描き方をされているのだからファンからすればたまったもんじゃない。監督の自我やチャレンジ精神が暴走した結果色々と波紋を呼んだ内容になったんだろう。

ただ何度も言うように、伝え方が最悪の形だっただけでこの作品の伝えたいことは分からないでもない。それを理解せずに大人になるのは監督の方だろというのはそれは違う。かといってこの作品が好きな人もこれを酷評してる奴はゴミだとか非リア充だとか言葉が強すぎる傾向にある。思い出を汚されたとは言わなくても描き方が中指立ててるのと同義なほどに酷いのだしそれに怒る気持ちもあって当然だ。安易に非リアとかゴミとかで纏めているが、当の作品の造り手は冷水をかけて観客の熱を強引に冷ましてきたような迷惑者とも言える存在だ。無理やりかけられた側からすれば目の上のたんこぶの他ならない。そのようなプレイヤーの怒りを餓鬼の戯言のように扱って「この映画は傑作、批判するやつがマヌケだ」と似たようなことを抜かして封殺しようとするのはそれこそ「お前らが大人になれ」と言いたい。俺は好きだよとかで止めればいいがそこまで主語を大きくして他人の意見と自分の意見をごっちゃにして喋ることこそ愚の骨頂だ。

肯定派も否定派もこの映画の見方を履き違えたり肩入れしすぎたりするから議論が終わらないのかもしれない、結局見た側がどう受け取るかなんだし、そこはやいのやいの騒いでも決まることじゃないんだから仲良くしようよー…

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

68.0 5 3DCGで戦闘なアニメランキング5位
GODZILLA 怪獣惑星(アニメ映画)

2017年11月17日
★★★★☆ 3.6 (105)
413人が棚に入れました
監督:静野孔文/瀬下寛之、ストーリー原案・脚本:虚淵玄(ニトロプラス)で制作される。

声優・キャラクター
宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、諏訪部順一、小野大輔、三宅健太、堀内賢雄、山路和弘、中井和哉

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

ゴジラ映画として見ても、SF映画として見てもかなり微妙

このアニメ映画は、ゴジラシリーズで初の長編アニメーション映画
として制作された作品である。ちなみに、このアニメ映画は3部構成と
なっており、今作はその一作目にあたる。
地味に、専門用語が多いので、それの事前知識を踏まえたうえで
視聴したほうが、比較的スムーズに理解しやすいと思われる。

内容を一行で言い表すなら、怪獣要素を取り入れた
壮大(?)なSFアニメ映画である。
他の方からも指摘されているように、シドニアの騎士や
BLAME!の雰囲気にかなり似ている。私はまだ、双方の作品を
視聴できていないが、製作会社を見て直ぐに納得した。
このゴジラ映画も、シドニアの騎士、BLAME!と同じ制作会社だったからだ。
ぶっちゃけ、無理してゴジラの要素を付け加える必要
はなかったのでは?まあ、こんなことを書いても仕方ないが。

全体を通した感想としては、色々なものを詰め込みすぎて
脚本家が勝手に迷走しているような印象を受けた。
いい所はあったような気はするが、悪い部分がかなり目立っている。

ゴジラが光線を吐き出しているシーンや、謎の生命体の奇襲シーンは
良かったように思う。但し、光線のシーンにおいては、カメラワークが
非常に悪くなっているケースもあるため、がっかりさせられたのも事実。
後、空中戦がかなり多いので、それを期待していた方はかなり
楽しめたのではないだろうか。劇場で見れば確実に臨場感を味わえる。
空中戦が多い理由に関しては、楽園追放を見れば直ぐに分かるだろう。
楽園追放で味を占めたのが手に取るようにわかる。

なぜわざわざ、光線を持ち出したのかは理由がある。
それは、唯一光線を出さなかったゴジラ映画が存在したからだ。
デザインもゴジラには到底似つかないもので、そこに映っていた
生物は、ゴジラではなく只の巨大なイグアナドンだった。
しかもマグロが大好物というオマケつき。これの二の舞にならなかった
のが一番評価できる部分だろう。

後は、特に褒められるような部分はないかな。
はじめに目立ったのは、序盤で膨大な情報量を詰め込み、
無理に圧縮したことだ。もう少し丁寧に描写しようとは
一切思わなかったのか。「ゴジラの戦闘シーンを早く書きたいぜ!」
という気持ちが先走りすぎたあまり、面倒になったのだろう
それまでの過程を省略したようにしか見えない。

その際に、なぜか唐突な自分語りがでてくるのもかなり辛い。
新海氏への憧れを抱いたのだろうか、とりあえず語らせておけば
視聴者は納得するだろうという魂胆が見える。
意図は理解できるが、止めてくれ。睡魔に襲われるわ。
これのせいで、テンポが非常に悪くなったのは言うまでもない。

そもそも、異星人との交流があるという前提なので
彼らとのやりとりを通じて、地球人が葛藤する場面が非常に少ないのは
致命的だ。少し見せただけで、納得できると思っているのだろうか。
そこをきちんと見せれば、まだ作品にのめり込めるのだが…。勿体ない。

主人公が、ゴジラに対しなぜ復讐心を抱くようになったのかは
かろうじて理解できたものの、それ以外の部分がおざなりである。
しかも、時系列が滅茶滅茶なため混乱が生じやすい。
とりあえず、あの爺さんはなんとしてでも地球に帰りたかったんだねー
というのは納得できるが。別の見方をすれば、尺の都合により
排除されたという考えに捉えることが可能だ。割とどうでもいいが。

主人公以外の登場人物が、地球へ降りる動機について説明されている
とは言い難い。どいつもこいつも、顔が似通っているような
デザインになっているのも原因の一つかもしれない。また、
突然顔を覗かせるパターンもあるので
「誰だお前!?」と突っ込みたくなることも多かった。
基本的には、主人公のお守りをするために降りたと考えた方が自然だろう。

正直な所、主人公もそんな魅力的なキャラクターではない。
ゴジラに対する熱烈な復讐心が伝わるだけで、冷静な判断が出来る
指揮官には見えなかった。他の人間の命を預かる立場なのに
駒感覚で使用しているようにか思えない。そういうのは、ボードゲーム
でやってくれよ。

更に困ったことに、主人公に付属していた側近のお守り役は
彼なら絶対に大丈夫だと確信するあまり、自分の役割をすんなり
彼に委ねているのだ。こいつ、もしや愉快犯ではないのか。
だが、そう考えると理解できる。つまり主人公の圧倒的な
カリスマ性を利用し、地球人を疑心暗鬼に陥れることが目的だったのだ。
そういった命令が、上層部から依頼されていたに違いない。
こいつ中々のやり手だなと、自らレビューを書いていて納得した。

散々主人公に対し、悪いイメージを植え付けてしまっているが
唯一褒められる部分がある。それは余りにも痛々しいセリフだ。
(笑えるセリフが多いため、特に腹筋が)締め付けられるもの
が多く、自然と笑顔になった場面もいくつかある。
一番気に入っているのは「俺はキサマを殺したぞぉぉ」
である。いやー、これには流石に驚かされた。
(涙が出そうになる程笑ったので)素直に天晴れという感情が湧いてきた。
こういった理由から、コメディアンとして見れば
かなり優秀な人物だと判断した。
私としては、指揮官よりもそちらの道を歩んでほしい所だ。

また、ゴジラのデザインも明らかに、2014版のゴジラを
意識しているのは明白だ。ハリウッドへの対抗心を燃やすのは結構だが
変に意識すると大失敗することを忘れてはならない。
マーベルを意識しすぎた余り、大火傷してしまったどこかの
アメコミ映画製作会社と同じ結果にならないことを祈るばかりである。

この1作目を見終わった後、かなり不安な気持ちにさせられたので
2.3作目は期待していない。2作目のレビューも、あにこれを含む
レビューサイトで沢山挙げられているが、評判もよくなさそうだ。
まあ、私もこの作品は表紙からして危険な香りがしたので
劇場で見ていないが。ゴジラ映画の入門として見るのは
ありかもしれないが、強くは勧めない。
この作品に限らず、初代ゴジラ(1954)やゴジラvsビオランテ
などといったゴジラ映画は数多く存在するので、それらの作品も
調べたうえで見るかどうかを判断したほうが賢明と言えるだろう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

nyaro さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.6

日本映画の最大の悪いところ。知能レベルを下げて話を作った気になってる?

 SF映画として設定、舞台などはなかなかいいと思います。問題は「ゴジラ映画」として「ゴジラ」の名を冠するに足るストーリーになっているかです。
 
 ゴジラというのは核のメタファ―ですから、その点で地球を滅亡に追い込むというのでゴジラマインドを継承していると思います。ゴジラVS人類という構図もいいと思います。生物としての側面も設定に組み込まれていましたし、3話中1話のまとめとして、なかなかの結末だったと思います。

 ということで「ゴジラ」の継承作品になっている気がします。まだ1話ですけど。シンギュラーポイントよりもこの点においては各段に上だという印象です。

 ただ、ストーリーですよね。深い話ではないので伏線云々を考える必要なく、ゴジラという恐怖を味わうのにゴジラ映画はストーリーを複雑にしてはいけません。その点ではいいのですが、正直長い。冗長すぎます。SF作品として植民惑星に降下して…というのを描きたいのもわかりますけど、あそこはカットでしょう。というか本作は編集と脚本の工夫で30分程度でまとめないと。

 長く感じるのはキャラクターが描けていないのが原因だと思います。ゴジラは人間ドラマも面白い部分です。
 で、本作のCGの問題は後にするとして、とにかく日本のSFの作品作りで時々見かける手法ですが、キャラの知能レベルを下げ、感情レベルを上げてドラマを作って作品を見せている気になるんですよね。だから余計なキャラがいっぱいでてきます。あの幼馴染のキャラを切れるかどうかでしょうね。

 たとえばエイリアン2とかはまあ続編ですけど、リプリー以外のキャラの個性って前半だけで描き切れていました。それぞれの結末に上手くドラマを作った上で、です。こういうところの脚本の弱さが日本の映画の駄目さだよなあ、と改めて感じます。

 あと日本アニメならマクロス愛おぼえてますか、かなあ。あれは初見段階でTV版見てませんでしたが、キャラに乗れましたし、設定もストーリーも分かりました。なにより面白かったし。

 私はシンギュラーポイントはゴジラ作品としてはダメダメの最低な作品なんですけど、それでもキャラは良かった面もありました。

 ポンポさんで言っていたことだと思います。「切って切って切りまくれ」です。3部にならないと金にならないじゃん、じゃないんです。1部でパーフェクトを目指して作った映画は世界市場がまっています。日本の方法論を全否定する気はないですが、本作の駄目さは、アニメ制作の駄目さ、というより投資家の見る目の無さや戦略性の低さを感じます。

 で、CGがシドニアそっくりですね。それはいいんですけど、本作の短期勝負に合っていたでしょうか。キャラがまったく判別できないし感情移入もやりづらいです。画面暗いし、宇宙船の内部が宇宙船的な空間ばかりだし。宇宙船もどっかから借りてきたようなデザインばかりです。

 シドニアの3DCGの秀逸さは3Dなのにアニメのような出来栄えになっていて、キャラに萌えられるという極めて優れた画面でした。それがどうしてこうなった?という感じです。
 ゴジラもCGならではの迫力が今一つでしたね。ポリゴン感でものすごい違和感でした。

 ということで、1話なので結末が無い状態なのでこれくらいにしておきますが、まあ、この話に1時間30分かけないでほしいなあ。

 アニメ映画の評価としては、かなり低いなあ。日本のアニメ映画って酷評される作品多いし金払っている以上しょうがないですけど、TVアニメと比べるとかなり出来がいいと思うんです。

 それが、本作は日本映画の駄目なところをアニメで見せられたような感じで、まったく作家性を感じないし、キャラ増えすぎだし、尺稼ぎだし。
 本作を何かの1章だとして次作を見る気力が起きるかどうかといえば、起きないですね。ネットでサブスクだから見られますが。

 満足度は12点/100点満点くらいですね。企画とコンセプトはまあまあ、CGの見るべきところがない訳じゃないのでその程度です。
 テレビシリーズ並みの長さがあるなら、テレビアニメみたいな構成で、SFの説明と戦闘シーンに終始するのではなくキャラに焦点を当てた方がよかったのでは?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ゴジラとポリゴン・ピクチュアズの白と黒

これは怪獣映画ではなくゴジラを題材にしたニッチなSF映画だろう。
そんな事前の印象は、三部作第一部である本作劇場鑑賞後、
虚淵玄氏とニトロプラスとその一味による、
宗教色も付加されたSFロボットファンタジー?という
さらなるマニアック路線独走への予感に変わり、私の目は点になっていますw


怪獣映画のアイデンティティである、
破壊表現のための有名都市と観光名所は既に消滅。

人類が誇る火事場の馬鹿力・無限の人海戦術も設定から強制排除。

ゴジラもSF設定内で生き残るためか?
人類の武器である通信連携遮断のために進化を遂げ、
怪獣というより『ヘヴィーオブジェクト』かwという位、
“装備”が科学兵器じみていますしw

長年、生態系の頂点に君臨し続ける、そのガタイは、
国産ゴジラでありながらハリウッド版ゴジラ二作目の如きゴリラマッチョ。

何よりゴジラが吐く熱線の弾速がオカシイ(笑)
どこぞの重力子放射線射出装置なんかを想起させる脅威のレーザービームぶりw
もっとも、リアルに意志を持った飛行物体をキッチリ撃ち落とすには、
これくらいのスピードは必須なのかもしれませんが……。


知れば知る程、怪獣映画としては、興行収入の伸びを阻害しそうな、
コレジャナイ感が強まる一方ですがw
それでも私がわざわざ隣の隣の街まで劇場鑑賞のため遠征したのは、
本シリーズのアニメーション制作がポリゴン・ピクチュアズだから。

私の中で『ゴジラ』史上最も怖いゴジラは未だに、初代の白黒作品。

一方、ポリゴン・ピクチュアズのCG作画は、
白と黒、そこに時折さし込まれる鮮烈な赤。
といった極端な配色に特徴を感じます。

しかも生粋の純白と漆黒はない。
傷の入った不純な白と黒を強調する作画。

正直このスタジオよりリアルでゴージャスなCGを実現する選択肢もあるとは思います。
けれど私を映画館まで足を運ばせたのは、
白黒映画の怪物ゴジラと白と黒を追及した独特なCGとのマッチアップを観たいという欲求。

結果、CGで構築された黒いヘドロの塊みたいな巨大生物が
白と赤が目立つスクリーン内を闊歩する異様を体感でき、その点は満足できました。
ただ、これすらもかなり異端な趣味であることも自覚はしていますw


その他、疑問に思ったのはキャラの描き分けについて。

本作は{netabare}人類も含めた宇宙を旅する三種の人型生命体の共同戦線。
けれど、外観がみな人間っぽいため、どのキャラが人類か宇宙人かしばしば混乱w{/netabare}

このシリーズでSFとして私が惹かれた点は、
文明の進化と滅びや故郷への執着についての、異なる価値観の交錯にあったので、
その会話劇をスムーズに堪能するためにも、
直感的にキャラの生い立ちを判別できるくらいの記号化はあっても良かったのでは?と思いました。


ただ、上記のSF的な問いかけは、続きが気になる引きと合せて、
第一部で作画面での願望を充足してしまった私に、
解答を求めて続編劇場鑑賞の意欲を持たせるのには十分。

来年公開が予定されている第二部以降も、石川県内で興業してくれれば良いのですが……。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 32

70.1 6 3DCGで戦闘なアニメランキング6位
GODZILLA 決戦機動増殖都市(アニメ映画)

2018年5月18日
★★★★☆ 3.8 (62)
288人が棚に入れました
「ゴジラ」シリーズ初のアニメ作品として製作された劇場3部作「GODZILLA」の第2章。ゴジラに蹂躙された地球を取り戻すため決死の戦いに挑んだハルオをはじめとした人類だったが、地中深くから現れた真のゴジラ=ゴジラ・アースに敗退。ハルオは、かつての地球人類の生き残りと目される「フツア」と呼ばれる民族の少女ミアナに助けられる。フツアもかつてゴジラに敗れたと言い伝えられていたが、彼らの持つ金属のナノメタルが、21世紀に対ゴジラ決戦兵器として開発されたメカゴジラを構成する物質と同じものであることが判明。メカゴジラの開発プラントがいまだ残されていることが明らかになり…。

http://godzilla-anime.com/

声優・キャラクター
宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、諏訪部順一、小野大輔、三宅健太、堀内賢雄、山路和弘、中井和哉
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

怪獣退治のジレンマ

ポリゴンピクチュアズの3DCG作画×原案・虚淵玄氏などの陣容でお送りする、
“アニゴジ”三部作の二作目。


そもそも怪獣とは何か?
人知を越えた存在。
人類の力では太刀打ちできないからこそ、怪獣なのではなかろうか。

こうした視座から見た場合、怪獣打倒を決意した時点で、
人類は人間であることから逸脱せねばならないのではないか?

事実、この2万年間、生態系の頂点にゴジラが君臨するこの地球は、
生きとし生けるもの、環境含めて、
ゴジラへの奉仕を前提に、各々生存するため“ゴジラ化”、怪物化し
人類が生誕の地を放棄する前とは大きく変容している。

ましてやゴジラからこの星の主の座を奪還するとなれば、
人類も原型を留めない程の進化が必須なのではないか?

だが、そうやって勝利を手にした所で、
怪獣の如く変貌した人類は、元通り人間の文明を取り戻せるのだろうか?


人類と三種族共同戦線を張る異星の人型種族。

感情を排し論理的思考と合理主義を徹底する黒肌のビルサルド。
宇宙が一心となる予言と宗教的価値観を確信する白肌のエクシフ。

確固たる信念を持つ二種族の狭間で、
故郷奪還戦でも軸を持てず、感情に振り回され、
ブレない決断がなかなかできない地球人類。

大体この星を覆う怪獣自体、地球人の業が生み出したものだと言う……。
ゴジラ殲滅戦でも人間性は見失わないと人類は豪語するが、
そもそも人間らしさとは何なのか?


こうした問いをゴジラ映画をSF設定等で再定義しつつ提示していく。

二作目では、主にビルサルドの合理主義が突っ走る最中で問答が繰り広げられ、
シリーズのテーマや方向性が明確化されて行き、
私の中で俄然、面白くなって来ました。

相変わらず怪獣映画ファンとしてのメンタルは木っ端微塵に打ち砕かれますが(苦笑)
最終三作目も是非、SF映画ファンとして劇場鑑賞に挑みたいと思います。


……ただ、SFと割り切る!と決意していたとは言え、
やはりゴジラへの怪獣映画としての期待は本作でも早々捨てきれるものではなく……。

だって……{netabare} 「人類最後の希望〈メカゴジラ〉が、起動する」とか煽られたら、
残されたビル群なんかを舞台にしたゴジラVSメカゴジラの熱い取っ組み合いとか、
期待しちゃうじゃないですか。

で、蓋を開けてみたら……、
{netabare} 頭部のみの残骸となって尚、ゴジラ打倒の命を捨てなかったメカゴジラ自体が
増殖する〈ナノメタル〉等の活動により決戦“都市化”するという
予想の斜め上を行く超SF展開w

売店に並んでいた、都市じゃない方のメカゴジラグッズとか、
一体何のつもりだったのでしょう(苦笑)
(恐らくはメカゴジラがまだ機動兵器だった前日譚設定の具現化だとは思われますが……){/netabare}

ここまで鮮やかに怪獣映画への期待を裏切られると、
驚きや呆れを通り越して、清々しい笑いすらこみ上げて来ますw


で、次作ではついに……、

{netabare} ゴジラ最大のライバル・ギドラがこのSF問答に巻き込まれるようで……。

さらにはゴジラ映画にて、伝承を受け継ぐ種族とかによく祭られている、
例の飛行怪獣の羽化及び乱入なんかも大いに予想されます。

ただ、ギドラも告知映像を観るに、一応、ギドギドでキングな金色ですし、
ちゃんと三本、クビとか頭とかがあるようですが……。
現状、胴体とかが見当たらない?辺り、{/netabare}
早くも不安でジワジワと笑いがこみ上げて来ますw{/netabare}


私も捨て切れない怪獣映画へ憧れに片脚を突っ込んだ
優柔不断な精神を抱えたまま、
揺れる地球人たちの行く末と導き出した答えを見届けたいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

kazz さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ナノメタルのことを思うと夜も眠れない

アニゴジ2作目。ついにメカゴジラがやってくる!
かと思いきや、登場したのはメカゴジラシティ。
そうきたか!という感嘆と動くメカゴジラを観られない不満の入り混じった複雑な気持ちを抱いて劇場を後にした記憶があります。
本作の劇場公開に先駆けて発刊された前日譚の小説「プロジェクト・メカゴジラ」が傑作だったのも輪にかけて残念。ガイガンを {netabare}死してなお動き続けるナノメタルの塊{/netabare}と化したメカゴジラの妖艶さに期待が煽られていただけに。

それでも何故か繰り返し観てしまうのは以下の不満を整理して言語化出来なかったから。

全てはナノメタルのせいです。ビルサルドのオーバーテクノロジーだ!と言い切れない程度に中途半端な理由付けがされているのでツッコんだら負けとは知りつつも吐き出さずにはいられませんでした。

ナノメタル。一般にはナノスケールの微細組織を持つ合金のことなんですが、本作ではメカゴジラを構成する重要なナノマシンです。まず、なんでこんな安直なネーミングにしてしまったのでしょう。~ウムって付けるとガルビトリウムと混濁するから?
次にwikiには「金属とコンピュータがナノレベルで一体化」とありますが、これは「じゃあそのコンピュータって何でできてるの?」という逆襲のシャアで登場したサイコフレームと全く同じ問題を孕んでいます。逆シャアから30年を経て全く同じ問題を放置したままSFで登場させるってどうなのかな?と思ってしまいました。
ナノメタルの自在変形、自己修復、自己増殖。これに関しては飲めます。金属結合を何かしらのエネルギーで分解・再結合しているのでしょう。問題はそのエネルギーの出どころです。これもwikiによると「動力源はナノメタル粒子間連結組成による発電細胞用機関、体内大量生成から常時蓄電し、行動用電力を随時放出する」とのこと。一体、ナノメタル粒子間連結組成がどういう原理で電力を生成するのかと。そもそも発電細胞は現実では電気ウナギとかが持ってるんですけど、そのエネルギー源は化学エネルギーですからメカゴジラでも何かしら元があるハズなんですよ。というかなきゃおかしい。永久機関の完成です。ビルサルドの持ち込んだ人知の及ばぬ金属元素を利用しているから?ちょっと弱い。まだ2万年の地殻変動で活動再開した富士山の地熱から少しずつ発電・蓄電しながら再起の時を待っていたって言う方が個人的には納得できます。

厄介オタクの戯言を最後まで読んでいただきありがとうございました。
これでアニゴジの呪縛から解き放たれます。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

絶望からの起死回生なるか?

  まさか、平日昼間、初日観れるとは思わなかったです。

 「GODZILLA 怪獣惑星」の続きのお話です。前回、ゴジラを倒したと思っていた矢先、さらに巨大な筋肉ムキムキゴジラの襲撃に合いハルオ達、壊滅させられたように見えた展開からどうなるのかなぁ?です。あの謎の少女は一体?です。

 この映画の画像や劇場CM、ビラなどでも公にされている通り、ハルオ達何とか生きているです。
 その真相、あの少女とのつながりは、見に行ってのお楽しみです。
{netabare} あの少女を通して、前作序盤の歴史で出動もままならないまま、ゴジラに破壊されたメカゴジラ??とその施設???にたどり着くことになるのです。それはどういうことなのか?です。あれからどうなっているか?、{/netabare}驚きビックリ展開は、ハルオたちに何をもたらすのだろうか?です。

{netabare} このアニメを見る前、前作で見たメカゴジラが復活してゴジラと戦うのかなぁと想像して見に行ったです。勝手に思っていたけど、想像との違いに驚かされたです。

 メカゴジラに似ているかもしれないロボット出てきたりしたけど・・・・想像とかけ離れてたです。{/netabare}

 圧倒的な力を見せるゴジラをハルオ達は、目のあたりにしたです。その後、偶然なのか?必然なのか?思わぬ力に出会い、なおもゴジラ倒すために団結するハルオたちです。このアニメのタイトルを正に象徴する意味が、そこから始まるのです。
 ゴジラを倒す共通の目的を持つ仲間の間に何が、起きていくのか?です。

 ゴジラを倒すチャンスがきたとき、信じられない選択を迫られるです。「これでいいのか?」を問われたとき、ハルオの最後の最後の選択で、何を取るのか?が、最大の見どころだったです。その結果、凄まじかったです。
 強力な装備による前作以上にもみえる作戦で、ゴジラを追い詰める戦闘も迫力あったです。

 この続き{netabare}が2018年11月公開予定の「星を喰らう者」へになるけど、有名な何かが出てくるかも???しれないです。モスラかなぁ?何かなぁ?ゴジラより強いのかなぁ?{/netabare}その時が来る頃、分かると思うです。

 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

59.7 7 3DCGで戦闘なアニメランキング7位
ブブキ・ブランキ(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (347)
1563人が棚に入れました
3DCGを中心とした制作を手がけるアニメスタジオのサンジゲン設立10周年を記念したオリジナルTVアニメ。

また、小松田大全さんによる初監督作品となる。

声優・キャラクター
小林裕介、小澤亜李、斉藤壮馬、石上静香、小松未可子、潘めぐみ、津田健次郎、日笠陽子、木村昴、興津和幸
ネタバレ

蟹チャーハン さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

こらもう、わかんねえなぁ。わざと話しをややこしくする制作陣に渇!

七話まで視聴して~

????????

理解しようにもどんどん設定&世界観が変更されていって、
ついていけないっす。

あれれ、レオ子たちは敵じゃなかったの? とか、
ブブキ戦終えて一時的にも使えないはずなのに
「倉庫からイキのいいブブキみつけてきました!」→「おっしゃー! ピストル変身~ 万年筆変身~」
で元通りとか(コアの目玉があればなんとかなる?)、

レオ子ひとりで巨大ロボ始動できちゃうとか
(5人そろう意味あるの?)とか、そう考えると
“そもそも無人で動くブランキは設定上ありなの?”とか~、

うーーーん
これはもうあえて脱落者を誘うための脚本にしか思えない。
最終話までみるとものすごく豪華な視聴者プレゼントが用意されてるとか!?
ないかw

盛大にバケツひっくり返してから謎を収拾していくタイプの
アニメになるんですが、それにしてもやり方がまずい。
たぶん放送が終わる度に視聴者に謎解きならぬ議論をさせて
盛り上げたいんだろう意図はわかるけど、放り投げたままなんで、
よほど魅力的にみえてないとキツイかもしれません。

例えば、ブランキというスーパーロボの存在について、
第一話ではナウシカの巨神兵をイメージした人も多いと思います。
いわば無人で動くロボ。

なのに次からはブブキというパーツが登場し、右手だとか左足だとか
心臓だとかで5人集まって一体のブランキを操縦します。
え? 無人じゃないの??と。

しかし、今度は無人でも動くブランキが登場するし、
半身とはいえひとりで操縦するブランキも登場する。。。
なんなのかさっぱりですw

これをイチイチ詮索したり考えたりするのも無意味なので、
そーいう意味では放送終えてから一気に見た方が
スッキリするかもしれませんね♪

お願い
主題歌の歌詞にもあるように、きちんと丁寧に
エピソードを紡いでください。お願いします

ブレずに生きてくんだ~w

<4話まで見て>
{netabare}
バトルがおもしろくて、4話から力こぶ入る展開に!
俄然おもしろくなってきた気がします。
ここまで評判よくなかったけど、覆せるか?

アルペジオの儲けを全部ぶちこんだなんて言われる
サンジゲンのアニオリ意欲作のはずが、
蓋をあけてみれば“等身が変”とか“CGがキモイ”とか
“ブブキとかオーブとか説明不足”とか、
ダメ出しばかりでいいところなし…。

確かに3話までは世界観も謎のままだしテンポ悪いし、
正直つまらないし、ふふーーーんくらいで見ていたんですが、
4話のバトルシーンは迫力があって、サンジゲンの本気を感じましたね。

“説明もなんも意味なんて関係ねぇ~”
とばかりに作品の魅力にぐいぐい引き込まれてきました。

そうそう、このテンポが欲しかった!

勢いがあるストーリーなら途中で説明に時間割かれても
苦にならないというか箸休めで自然と聞けるというか~。

4話にしてはじめてまともに悪役四天王の登場シーンもあって、
これがみんなおかしいというか濃いキャラそろいで、
子供軍団以上に興味が持てたし続きが気になりはじめました。
このパターンで続きもぜひ!です。
{/netabare}

5話まで視聴して ※ネタバレ含みます
{netabare}
あああ、いかん・・・一話ずつ使っての四天王戦がはじまる模様。

1話で1組ごとのバトルして話数消化していくパターンか。
これ嫌いなんですよね。予定調和しかないから。
せっかく盛り上がってきたのにと思うとすごく残念です。

原作のないアニオリなら自由にやりたい放題やらかせばいいのに~。
シナリオがあるようでないのかな。
中途半端で終わるとサンジゲンのCG紹介作品で終わってしまいそう。

てか、見ていてすごく不自然に思えるところがいくつか~。

たとえば四天王戦(ブブキ戦)は1対1で乱入禁止というルール
だからなのか、仲間が戦っているのに別室へ引き上げちゃったり、
本当に仲間なの???て感じ。

かと思えばルール無視で、今回は堂々と邪魔しに入ったり…
もう設定がばがばじゃないですかw

思うんですが、これシナリオが弱すぎますね。
脚本読んでみんなワクワクしたのだろうか? 
どうしてアルペジオがあんなに人気になったのか、
その魅力とか作り方とか、ここで生かさないでどーするんだぁ~。

あとやっぱCGきもいっす
{/netabare}

<最終回を見終えて一言>
{netabare}
アメリカのブブキチームにロシアも参戦、最後は中国もか。
おいおい、ずいぶんキャラ増えたなぁ~。

もうメインキャラが30人はいるんじゃないか?
記憶力ないんだから、やめてくれ、いじめないでくれ。

ワールドワイドな世界を見せてはくれたけど、逆にシナリオは
つまらない方面へ加速した模様。

これは混乱するだけかな。
それぞれのキャラやエピソードが中途半端でおろそかになって、
どれも薄い印象しか残らないし、すごいことになってる感はでても
視聴者はおいてけぼりパターンだわ。サンジゲンが無次元へ~。

ただ、レオコとアズマのお母さんが同級生だったという
衝撃のエピソード発覚→過去回想
ピストル万とか生臭坊主、荒木師匠、小説家が同じ学校とか)

そこでようやく、この物語の底にあるテーマが見えてきましたね。
ずばり、 レオコを救う! これだったんかぁ。
ずいぶん遠回りさせられた印象。。。

であれば、アメリカもロシアも中国もダメダメ、出しちゃダメですよ。
キャラはもっと減らす! 

個人戦のバトル禁止! くらいの勢いでレオコチームとアズマチームの
関係が対立しながらも徐々に深まっていくエピソードを用意しないと~。
4話目からの天下一武道会は失敗でしたね。
まだ迷走続けてたけど、全体行動してた方がましだった。

ともあれサンジゲンにお金はあるようで、二期もやるそうなんで、
大事故にならないことを願ってます。

ブブキもオーブも、もう捨てましょう。
宝島も堕ちたし、二期からは裸対決で十分。
もっと話しをシンプルにしましょう。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

サンジゲンさんの10周年記念作品なのだそうです。

この作品はオリジナルアニメ作品だったみたいですね。タイトルにも記載しましたが、サンジゲンさんの10周年記念作品なのだそうです(wikiより)。
その記念として完全新作のフルCGオリジナルアニメーションで制作されたそうです。
その拘り・・・作り手の気合を感じずにはいられません。

作品に対して何の知識も無い私が視聴作品を選ぶ基準・・・これは出演される声優さんに尽きます。
この作品も小澤さん、石上さん、小松さん、潘さんらが出演されると知って視聴を決めました。

この作品のレビューを書くのにwikiをチラ見して知ったのが、ブブキ・ブランキは「舞武器舞乱伎」と書くんだそうです。
この作品の設定によると、超巨大生命体は「ブランキ」で、ブランキの身体のパーツを扱う人が「ブブキ使い」となっています。
「ブブキ使い」という言葉の使い方は納得です。各人が装備しているのが「舞武器」そのものなので。
でも、あの超巨大生命体が何故「ブランキ」よ呼ばれるかは正直謎だと思いました。
だって、「舞乱伎」って言葉通りの意味で解釈すると「技」であり形あるものでは無いと思うんです。
なぜあの超巨大生命体の固有名詞が「技」なのか・・・
もしかしたら私が見逃しているだけかもしれませんが、その理由が明らかになるのを楽しみにしています。

物語は天空に浮遊する「宝島」という自然豊かな島から始まります。
そこには一希家の父と母・・・そして双子の兄妹の一家4人が仲睦まじく暮らしていました。
この宝島での母の汀(みぎわ)の任務は眠り続けているブランキ達を監視する事・・・
でもブランキを鎮めるための能力をこれまで酷使してきたため、身体も衰弱していました。
「このまま能力を使い続けていたらママは死んじゃう・・・だからあたしが代わりにやるんだ・・・」
母思いの子供としては実に普通の発想・・・他意は無く母親を救いたい一心・・・
でも、その思いが呼び寄せた現実は・・・地上に厄災をもたらすという厳しいモノになってしまいました。
一希家は母を一人しまに残して地上に降り・・・物語が動いていきます。

この作品・・・誰の目線で物語を見るかで評価が分かれると思います。
かつて同じ時を過ごし・・・それは今も同じですが、ここまでの過程が皆んなバラバラ・・・
王舞の心臓を持つ一希 東・・・宝島に一人残った一希 汀・・・そして、炎帝の心臓を持つ万流 礼央子・・・
最初から色んな切り口でこの作品が見れるとは思いませんでした。
でも、物語の進展に伴い色々見えてくると、様々な視点が持てる事に気付く事ができます。
それぞれの物語が今後どの様に絡んでいくのかが楽しみです。

物語の鍵となる王舞のブブキ使いは以下の通りです。
一希 東(CV:小林裕介さん):王舞の心臓
朝吹 黄金(CV:小澤亜李さん):王舞の右手。手の形をしたライジョウドウ(通称右手ちゃん)
野々 柊(CV:斉藤壮馬さん):王舞の左足。槍型のイワトオシ
扇 木乃亜(CV:石上静香さん):王舞の左手。二振りの剣であるヒメキリ、ホエマル
種臣 静流(CV:小松未可子さん):王舞の右足。狙撃銃型のツラライ

そして東と汀に真っ向から対峙するのが万流 礼央子ら5人組です。
万流 礼央子(CV:潘めぐみさん):炎帝の心臓。
的場井 周作(CV:津田健次郎さん):炎帝の右手。銃をブブキに変化
新走 宗也(CV:木村昴さん):炎帝の左手。指輪をブブキに変化
間 絶美(CV:日笠陽子さん):炎帝の左足。懐中時計をブブキに変化
石蕗 秋人(CV:興津和幸さん):炎帝の右足。静万年筆をブブキに変化

物語の終盤・・・私の中で一気に株が上昇したのが万流 礼央子でした。
極悪非道な物言いや態度に最初はイラッとしたのが本音です。
でも昔の彼女は・・・全然違っていました。
ですが炎帝との出会いが彼女の運命を大きく変えてしまったのです・・・
でもそこには色んな思いが交錯しているので、事は単純ではないんですけどね^^;

奥歯にモノが詰まった様な言い方しか出来ないのが歯痒いですが、この作品は既に続編の制作が決まっていて物語的にも全然途中なんです。
そのため、これから転がる方向によってはこで書いた感想が全然別のモノになってしまう・・・
そんな危うさが感じられる作品なので、随分と浅いレビューになってしまいましたがご了承願います。

オープニングテーマは、鈴木このみさんの「Beat your Heart」
エンディングテーマは、MYTH & ROIDさんの「ANGER/ANGER」
この2曲はどちらも痺れるほど格好良い曲です。巷でも人気がある様ですが激しく納得です。
この曲もアニソンBEST10の上位入賞間違いなしの曲だと思っています。

1クール12話の作品でした。喜怒哀楽にはちゃんと理由があり、人はその理由に基いて行動しています・・・
そしてこの作品はこれからどんな方向に進んでいくのか・・・オリジナル作品なので、続編の放送が始まるまでおあずけですね^^;
現在鋭意企画〜制作中だと思います。
願わくば悲しいキャラが出てこないことを祈っています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

オリジナルアニメ制作の難しさ

CG屋、として数多くのアニメ制作に携わってきた、

サンジゲンの設立10周年を記念して制作された、オリジナルアニメ。

視聴前はかなり期待していた作品だったのだが、

蓋を開けてみると、他の制作会社が同様に直面しがちな問題、

「オリジナルアニメの難しさ」、を改めて感じるものだったように思う。


☆物語☆

ロボット、バトル、SFファンタジー要素で構成されたもので、

ブブキとブランキ、ブランキ使い、という設定や世界観は個人的に斬新で面白いと思うのだが、

肝心の脚本が非常に勿体無いように思う。

とにかく、ロボット&バトルものなのに、物語の方向性や本筋が解りづらい。

視聴者としては、この手のジャンルのものには、単純明快さや痛快さを求めているように思うのだが、

そもそも最初の段階で、多くの視聴者の心を掴むことに失敗しているのではないかと思える。

善と悪、A VS B という対立軸さえあれば良いのに(少々単純化して言ってるけど)、曖昧さを含んだまま、

C や D といった勢力が出てきて、これでは視聴者が混乱するのも無理は無い。


また、その主人公と敵、という対立軸に関しても、非常に違和感を覚える描かれ方をしている。

これは去年観た「ガンダム Gのレコンキスタ」と同様の現象が起こっているように思えてならない。

これらの解りづらさと違和感は、大人の自分でも感じることなので、

子供が観て面白いアニメ、には到底思えない。
(こういうロボットやらバトルアニメって本来子供が好きなアニメだよね?)

どうやら2期があるようだが、巻き返しは果たせるのだろうか。。


☆声優☆

人気と実力を兼ね備えた豪華なキャスティングは非常に好印象で、個々の演技も良い。

個人的な注目としては、レオコ様演じる潘めぐみさん。

「俺物語!!」の凛子役とは全く違った声で、正直同じ人物だとは思えないが、

これからが注目される声優さん、として抜擢されたんでしょうね。


☆キャラ☆

この手のジャンルのものでは主人公、東の魅力が薄いというのは致命的で、

むしろ敵であるはずのレオ子様の方が魅力があるように思える。
(まぁある意味レオ子様も主人公なのだろうが)

主人公グループのメンバーには背後にドラマはあるものの、イマイチその部分で引き込むには弱さを感じる。

アメリカやロシアのキャラは、急にギャグアニメを思わせるような描かれ方をしていたり、

シリアスなんだかギャグなんだか。。やはり物語同様解りづらさがある。

ブブキの右手ちゃんが可愛い、というのはどういうことなんだ。。。


☆作画☆

この作品の一番の見どころは、ハッキリ言って、やっぱり作画(CG)に尽きると思う。

従来のアニメは原画メインでCGを部分部分で効果的に使う、というものが殆どだが、

この作品は殆どがCGで作られている。

しかしながら、ポリゴン・ピクチュアズがやっている、フルCGの作品とは違い、
(この作品も一応フルCGにはなるのかもしれないが)

これまでのアニメのように、違和感を感じることはさほど多くなくなったと感じる。
(もちろん個人差はあるだろうが)

これはキャラの表情など、手描きの紙原画でないにしろ、ちゃんと作画部分があるからで、
(HPには出てないが、エンド・クレジットにはデジタル作画部 原画担当4名が出ている)

従来のアニメとはバランスが全く逆のものになっている。


また、テレコム制作の「ルパン三世新シリーズ」でも見られたような、輪郭線の描き方が非常に特徴的で、

敢えてセル画を意識して仕上げてあるのは、かなり労力を要するものだと思う。

肝心な動きに関しては、お手のもの、と言わんばかりの迫力あるバトルシーンが描かれている。

正直作画の点数評価は他の制作会社のものと比べて、殆ど類を見ないものなので(CGと作画のバランス)、

評価自体が難しい。

今後の期待を込めて敢えて4.5点を付けさせて頂いた。


☆音楽☆

OPは主人公たちを表現したものとしては、アニソンとしてよく出来ていると思うし、

EDは単純に格好良い曲、EDアニメーションと歌詞に注目すると、レオ子様を表現している曲、

と解釈出来るようにも思う。

また、作中のBGMはバトルシーンでは非常に迫力のあるものが使われているのが印象的で、

こちらも作画同様に抜かりなく作っている、と感じた。


まとめ

とにかく設定や世界観は面白いが、解りづらい。
(決してあれこれ直接的な説明が足りない、と言ってるわけじゃない)

声優、作画、音楽に関しては、さすがに力を入れているというのが判る。

1期で感じた違和感や解りづらさも、2期でひっくり返すような展開が待っているなら我慢できる、

と言った感じで、なんだかんだ2期には期待したいと思っている。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
ページの先頭へ