3DCGで戦争なおすすめアニメランキング 6

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの3DCGで戦争な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番の3DCGで戦争なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

78.7 1 3DCGで戦争なアニメランキング1位
蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1401)
7057人が棚に入れました
2039年、人類は温暖化に伴う急激な海面上昇により、地上での版図を大きく失った。
それに呼応するかのように、霧を纏う謎の軍艦群「霧の艦隊」が世界各地の海洋に出現、搭載した超兵器で人類の艦を攻撃し始めた。
人類は持ちうる戦力を投入し、最終決戦「大海戦」に臨むも、「霧」の圧倒的な武力の前に脆くも敗れ去った。
すべての海域、運搬経路を「霧の艦隊」によって封鎖され、政治経済は崩壊、人類は疲弊の一途をたどっていた―――――――
「大海戦」から7年。
士官候補生・千早群像の前に現れた「霧の艦隊」の潜水艦「イ401」。
敵であるはずの「イ401」、そのメンタルモデル「イオナ」との出会いは群像に、そして人類に何をもたらすのか?
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

アルペジオ2周目の感想 & 「艦これ」との比較

(※アルペジオ劇場版が公開された2015年当時の投稿内容です。)

①1月末から総集編映画が公開され、その後に完全新作の続編映画の年内公開が控えていること(10月3日封切り予定)
②本作と同様に旧日本海軍艦艇をモチーフとした話題の新作アニメ『艦これ』がTV放送中であること(加えて両作はコラボしていること)
③最近視聴した、本作と同じ監督(岸誠ニ氏)&シリーズ構成(上江洲誠氏)の組み合わせのTVアニメ『結城友奈は勇者である』(2014年秋)が、予想外の良作で、このコンビの作品に俄然興味を持ったこと

・・・以上3つの理由から、本作品について2013年秋のTV放送時以来、2周目となる全話視聴を行い、レビューを全面的に書き換え、併せて「艦これ」とのコア・コンセプトの違いを考察してみました。


◆各回の評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

========== 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- (2013年9-12月) =========
{netabare}
第1話 航路を持つ者   ★ 航海の目的、イオナとの出逢い
第2話 嵐の中へ     ★ 対タカオ戦
第3話 要塞港、横須賀 ☆ 軍との対峙
第4話 横須賀急襲    ★ 対キリシマ・ハルナ戦
第5話 人ならざる者  ☆ メンタルモデルと人の接触
第6話 ともだち    ★ メンタルモデルと人の接触(続き)
第7話 硫黄島      ★ コメディが面白い回
第8話 人形の家    ★ 兵器が「愉しい」という感情を持つな
第9話 決死の脱出行  ★★ 対コンゴウ戦1、ED後に急展開
第10話 その身を捧ぐ  ★★ イオナ・タカオに生まれる恋情
第11話 姉妹      ★★★ 対姉妹艦(イ400・402)戦
第12話 航路を拓く力  ★ 対コンゴウ戦2、余韻を残すラスト{/netabare}
----------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)2、★(良回)7、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.3


※上の★表記のように、本作は外れ回が少なく(全12話で☆は2回)かなり濃い楽しみ方が出来ました。
※特に終盤の第8話後半から第11話までの展開は見事だと思いました。
※最終回(第12話)は本作としてはイマイチの感がありましたが、それでも悪くない出来と考えます。
※まとめると、現時点では自分にまだ上手く表現し切れない特有の面白さがある作品と考えますが、以下のように考察を進めて、なるべく明瞭に本作の美点と欠点を抽出していきたいと思います。

◇各話内訳
{netabare}
バトル回=計5話(第2/4/9/11/12話)
メンタルモデルと人との交流回=計5話(第1/5/6/8/10話)
その他の回=計2話(第3/7話)
{/netabare}

◇登場するメンタルモデル
{netabare}
※全部で以下の9体

大戦艦コンゴウ ※他のメンタルモデルとの間に感情発生
大戦艦キリシマ ※蒔絵との間に感情発生
大戦艦ハルナ ※蒔絵との間に感情発生
大戦艦ヒョウガ ※他のメンタルモデルとの間に感情発生

重巡洋艦タカオ ※群像との間に感情発生
重巡洋艦マヤ ※感情プログラムは実装されていない

潜水艦イ400 ※他のメンタルモデルとの間に感情発生
潜水艦イ401(イオナ) ※群像および他のメンタルモデルとの間に感情発生
潜水艦イ402 ※他のメンタルモデルとの間に感情発生

※その他にメンタルモデルを持たない艦艇が多数登場(ナガラ級軽巡洋艦、アイオワ級などアメリカ方面の霧の艦隊)
{/netabare}


◆内容考察

(1)本作の他にない美点
{netabare}
・フル3DCGIによる迫力の艦隊バトル描写
・バトル描写と並行して、メンタルモデル同士の謎空間での緊張した対話を描出している点(非常に斬新な印象を受けました)
{/netabare}

(2)明白な欠点
{netabare}
・メンタルモデル同士の対話の描写が秀逸なのに比較すると、人間とメンタルモデルの交流の描写が
 ①余り洗練されておらず、少し古臭い(蒔絵とハルナ・キリシマの交流)か、
 ②感動できるが、初見では分かり辛く、ハイライト(第10話)に後述するようにせいぜい半分程度の理解に留まってしまい、非常に惜しい(群像とイオナ・タカオの交流)こと
・シリーズ構成が甘いこと、特に
 ①第1話が分かり辛く、余り後の話に上手くつながっていない点
 ②軍との関係の描写がストーリー全体から見るとほとんど無駄になって浮いている点
 ③さらに最終第12話の盛り上がり方・まとめ方がイマイチで期待外れだった点
・ナノマテリアルが万能すぎて(それさえあれば、どんな物体でも自由に再生できてしまう)、設定の縛りの無さに時々白けてしまう点
・タカオ、マヤのギャグ設定までは良いとしても、ヒョウガのギャグ設定が作品に不必要に安っぽい印象を与えてしまっている点(ギャグが滑っていてこれもかなり白ける)
{/netabare}

(3)現時点で評価保留の点
{netabare}
・《論理思考ルーチン》に過ぎないメンタルモデルに、《論理》を超越した《感情》や《意思》が生まれてしまう、という《心身問題》を本作はどのくらいの深度で描いているのか、その深さや意味合いが自分の現時点の知識では掴めない点

※興味はあるけれども現時点では私には確り調べる意欲が欠けています→詳しい方がいたら簡潔に教えて欲しいところです(以下は参考サイト)

¶心身問題(mind-body problem)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E8%BA%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C

¶心の哲学(philosophy of mind)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E3%81%AE%E5%93%B2%E5%AD%A6
{/netabare}


◆本作のハイライト

※現時点では以下の2点と考えています(ただし今後、第12話も追加する可能性が高い)。

◇第10話『その身を捧ぐ』
{netabare}
10分過ぎ、艦内気温が低下し群像の呼吸が乱れているいることに気付いたイオナが、「私は擬似的に代謝機能を再現して体表温度を上げることは可能」といって自分の両掌(てのひら)を見つめて、その後、少し戸惑った表情で群像に視線を移し「だけど・・・」とつぶやくシーン
群像が、あれっと少し驚いた表情を浮かべて、それからフッと笑って「そうだな。エネルギーは節約すべきだ。救命キットからブランケットを持ってきてくれないか」

*つまり、イオナは自分が群像と抱き合えば、艦内気温を上げなくても群像の体を温めることが出来ることに気付くが、同時にそうすることを躊躇(ためら)う感情が彼女に生まれており、群像もそれに気付いて「ブランケットを・・・」と婉曲に彼女の行動を脇に逸らしている。
*イオナのこの躊躇(ためら)いは、メンタルモデルらしからぬ乙女の羞恥心ないし淡い恋情の発生と解釈できる。
*そして、これが、16分過ぎに来る「嫌(いや)。私は、私は一人になりたくない」というイオナの発言と行動につながっていく。

→しかし第1回目の視聴時は、私はそこまで気付かず、この後に来るタカオの群像への切ない恋情だけを認識できていた。

*タカオ「全く、本当にあんたってば。これじゃ・・・私の入り込む隙間なんて、どこにも無いじゃない」は、イオナの恋情のもたらした行動に気付いた彼女が意を決してつぶやいた言葉。
*「自らを犠牲にして他者を救う、それは本来、霧には有り得ない行動。まさかイオナ姉様がそんな選択をするとはね。そしてあんたも」(ヒュウガ)「それが艦長の、千早群像の望みならば」(タカオ)

→つまり、イオナに発生した群像への恋情(※但しイオナ自身はそれが恋情であるとは気付いていない)が彼女を自己犠牲へと向かわせ、そしてその行動がさらに、タカオの恋情を募らせて、その第二の自己犠牲をもたらした、と解釈できる。

*タカオの恋情はともかく、イオナの恋情は視聴1回だけでは分かり辛いと思うので、この回の評価を★★としました。
{/netabare}

◇第11話『姉妹』
{netabare}
20分近くで、イオナが姉妹艦を喪失してしまうシーン
*メンタルモデル同士の心理的なやり取りの描写が秀逸。
*ここの演出は第10話よりもずっと分かり易く優れていると思うので、この回の評価を★★★としました。
{/netabare}

※なお、第12話『航路を拓く力』は、現時点では残念ながら、第10話・11話に比べると内容が幾分雑で感動が少ないように感じてしまいました。
→本作の私の全体評価を、もう一つとした原因のひとつ。
→ただし、この回については、前記した◇(3)現時点で評価保留の点、に直接関係する箇所なので、時間を置いて再々視聴し、考えを整理したいと思っています(その際には評価が変わる可能性が高いです)。


◆『艦これ』とのコア・コンセプトの違い

・アルペジオの艦は、{netabare}
 ①旧日本海軍艦艇の艦容そのままの外形を保ちつつ、
 ②別に、メンタルモデルという人型の制御ユニットを持っている。{/netabare}
・このメンタルモデルは、{netabare}
 (1)「人間のような感情を持つことなど、兵器である自分には不要かつ異常である」と自己定義していたはずなのに、
 (2)人間ないし人間に感化された他のメンタルモデルとの接触によって次第に、「後悔」「恋慕」「憤怒」「愛惜」といった人間的な「感情」{/netabare}に目覚めていってしまう。
(※ここが本作の最大の注目点)

・これに対して、艦これの艦娘(かんむす)達は、
{netabare}その身にまとう艤装(ぎそう、船の装着物のこと)を別とすれば、最初から生身の人間と変わらない極めて豊かな喜怒哀楽の感情に溢れた存在{/netabare}として描かれている。
・ただし、艦娘たちは、
{netabare}あくまで「先の大戦当時に実在した軍艦の擬人化」であり、自身が軍艦であることを自明とする発言や行動をとっていて、なおかつ、先の大戦での個別エピソードに由来する悲劇的な運命を背負わされていること、{/netabare}がストーリーの端々(はしばし)から予感される描き方をされている。
(※ここがアルペジオとの最大の違い→アルペジオの艦は、{netabare}ただ単に日本海軍艦艇の外形を模倣しているのみであり、それとの内面的ないし運命的な繋がりは切断されている{/netabare})

・以上まとめると、『アルペジオ』も『艦これ』も、{netabare}
 ①先の大戦当時の日本海軍艦艇をモチーフとして、
 ②人間側ではなく、擬人化した艦側の《悲劇》を描き出す作品{/netabare}
と要約できると思いますが、
その描き出される{netabare}《悲劇》{/netabare}が
 ①『アルペジオ』の場合は、{netabare}艦(メンタルモデル)が人間的な感情に不可逆的に目覚めていく点{/netabare}にあるのに対して、
 ②『艦これ』の場合は、{netabare}艦(艦娘)が先の大戦でのエピソードを運命的に踏襲してしまう予感に満ちている点にある、{/netabare}
と考えます。

・このどちらに、より心惹かれるか(あるいは惹かれないか)、は個人の好みによると思いますが、私個人は現時点では、後者(艦これ)の側に、より強く心を惹かれています。

・いずれにせよ、1月末公開のアルペジオ劇場版総集編およびその後10月初めに公開予定の完全新作続編が楽しみです。


◆追記:続編映画の評価

(1)劇場版蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-DC   ★  4.0
(2)劇場版蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-Cadenza ★★ 4.5

※(1)は、約2/3がTV版の総集編、残り1/3(正味30分強)が新規の展開
※(2)は、フル新作で、TV版のコンセプトを引き継ぎつつ、この手の作品に求められる要件を十分に満たしてストーリーを完結させている。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 73

るぅるぅ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

魅せる戦艦バトル作品

ジャンル:SF戦艦バトルアニメ
製作会社;サンジゲン
監督:岸 誠二

久し振りに何も考えずに カッコイイ!!! と褒めたくなるほど夢中で楽しく観れた作品。小難しいことを考えず4話まで観て判断してもらえると嬉しい。正直、1話は概要で不安要素たっぷりです(苦笑) 基本的に戦艦バトルがメインとなるドンパチ合戦の作風に加え、キャラを含めほぼフルCGの映像美になっている。さらに艦これブームも相まって期待値は上げられた。実際、BD売上も1万枚と好調なスタートとなっているようで私的ながら嬉しい限りである。超重力砲連射の勢いで2期作成して欲しい気持ちがいっぱいです(笑)

先ほど述べた艦これ(正式名:艦隊これくしょん~艦これ~)と比較される理由の多くは、萌キャラとの一体感ある構図が類似している。戦艦の名前と同じキャラ名に加えキャラデザの違いといった比較要素も多いと思います。実際、どちらのキャラデザが好みかはユーザー次第ではあるが、これはこれ、それはそれと楽しんだもの勝ちと感じている。

あえて区別するなら、
艦これ:萌キャラだけに留まらずミリオタ向けに作られており戦艦の名称・由来といった綿密さ、自分の戦術を楽しむ

アルペジオ:萌キャラどんぱちフルCG戦艦アニメ

という具合です。そもそもアニメとブラウザーゲームと路線が違うが、今年夏アニメ化される艦これの出来栄えに期待しつつアルペジオを超えるクオリティになるのか怪しいところではある。

ストーリーはシンプルで、霧と呼ばれる謎の艦隊から人類の危機を救う為に未来を模索する千早
群像と霧の裏切り者である401イオナの航海。その行く先を阻む霧の刺客達もイオナと群像に影響され自我を持ってしまう。戦艦に芽生えた感情という不確定な思考ルーチンは、何の為に獲得するのか未だわからない道筋となっている。

戦う萌キャラにしか見えないが、突如、人型に擬似化された戦艦AIという設定・人類を滅ぼす目的、アドミラリティ・コードとは何を指すのか?その意志はどこにあるのか?と伏線ばかりではあるが、最終的には人類と未知の人種(戦艦)を受け入れる共存を描く王道な作りを漂わせている。
その過程において、意思とは何か?人間とは何か? 個としての尊厳を問う哲学的な側面を描きつつ切っても切れぬ科学と人を結びつけたヒューマンドラマ性を植え付けている。
原作とアニメ版では改変されているらしいが、1クールで終わらすには勿体無い作品だと感じる。

それもストーリー展開はテンプレではあるが、戦艦バトルシーンは心熱くさせる絵の魅力が一番の見所となっていた。それだけに同じカットを無駄に観ていたら、気づくと2週目していた(笑)
最近はCGを使うアニメが多いなか違和感もなく目立った粗さもなく溶け込んでいたと感じる。
特に超重力砲発射シーンは圧巻。私の下手な文章で説明するよりPVを観る方が確実と思う(笑)
是非、観てから判断して欲しい。

ドンパチ合戦の構図が多いのだが撃ち合いシーンを盛り上げる要素として戦術の描き方がシンプルに魅せることで、ここから熱い展開が来るぞ! と観ている方も夢中になってしまう。
基本的に 潜水艦 VS 大戦艦 とのバトルで勝てる可能性はない。危機的状況から覆す博打勝負となる。王道ではあるがワクワクドキドキ感が絶えずズルズルと観てしまう中毒性がある。
相乗効果としてBGMの使い方もセンスも巧く一体感が生まれていた。

また、各話のシナリオ構成も戦艦バトルを見所にする尺の取り方にしている。
多くの作品は1話のバランスとして起承転結で物語運びをする構成にしている。視聴者に結にあたる次回への引きとして、来週も見て欲しい為である。要は気になる終わりにして来週も見てね と、モヤモヤ感を与える。実際、好きな作品ほどこれは効果覿面となるが、その続きに拍子抜け・期待ハズレといった感性を与えることにもなる。そこで打切る判断材料になる。

だが、アルペジオはどうだろうか。1話に結をいれない構成にしている為、起承転となり引きが弱くなっている。当然、単調な物語運びとなるのだが見せ場である戦艦バトルに1話まるごと使う構成にすることで見応えが生まれる。1話 起承転 2話 結 と2話セットにしている。
ただ、序盤の物語の掴みがわからない為に不安を抱くが、加速していく4話辺りから引き込まれる。
超展開要素もあるが展開として妥当だと思う。 ただ、戦艦同士の融合には唖然としたが、カッコイイから許してしまう気持ちとツッコミしかなかった(苦笑) この辺りは派手さを魅せる意味もあるが、危機感の装置にもなっており、最後の悪あがきを誇示している。特撮によくある敵の巨大化演出みたいなものと解釈するといいかもです。

また、政治・経済といった戦略的な深みとなる演出をほぼ省くことで、戦術の見せ場である絵を重視した見やすい作品に仕上げている。萌キャラに戦略的な深みを備えれば銀英伝に次ぐ作品・・・と無謀かな(苦笑)  ただ、このクオリティの高さでリメイクやこれから発信される作品に転用できれば、もっと充実する作品が増えることは確かだろう。

キャラ設定。
自我が芽生え意思を持つという共通事項をベースして個性を植え付けている。思考ルーチンが乏しい為、興味対象に沿った行動心理が優先になっており、全体的に単純だけど許せるバカという可愛げあるティスティングにしている。無機質な戦艦であると同時に成長段階の子供といったギャップがコメディ要素を膨らませ愛着を持たせている。あえて心情描写を掘り下げる展開はないので気楽に観れる。

私の好きなキャラは、ちょろインなあの子です(爆)
最近ちょろインな子がツボですね~某アニメではちょろインしかい出てきませんが(苦笑)

少し内容が逸れたが萌要素も過不足なく織り込んでいる。
ベタなキャラ設定と感じるかもしれないが、これぐらい良い案配と思う。
それも最低限のキャラ立ちすることでバトルに箔をつける意味を成している。

それだけにキャラ・序章に近いストーリー展開は全てはバトル演出を盛り上げる為に構成していたと感じる。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 46
ネタバレ

ほったっる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

留守番嫌いっ、お出かけ好きっ、一人はさみしっ、二人は楽しっ、私はマーヤ、友達コンゴウ!

原作未読

絶賛ハマっている「艦これ」のコラボイベントから興味を持って観たアニメです。

突如現れた圧倒的力をもつ霧の艦隊が世界の海を制圧し、世界が遮断されてしまう。(通信も妨害されている)陸に直接攻撃してくることはないが、人類も霧の存在に危機を感じている。
主人公の千早群像は霧でありながら群像に従う伊401と出会い、政府にも霧にもつかず、現状を打破する力を求め、霧に対抗するカギとなる兵器をアメリカへ届ける依頼を引き受ける。

とまぁ、話だけ聞いても「ん?」となるような内容ですのでつべこべ言わずに見た方が早いかと・・・笑

ざっくり言うと、人類の存続をかけて艦が擬人化した女の子と一緒に、これまた艦が擬人化した敵と戦うという感じですね。(適当)

つまんねーこと言わずに要点だけまとめていきます。
このアニメはとにかくかっこいいのです。

かっこいいところその1:音楽
OPからかっこよすぎます。特に蒼き鋼のクルーが海を眺めているシーンはしびれます。イオナがいつもの定位置でのそのそしているのもかわいいですね笑
OPだけではありません。戦闘中を始め、BGMが本当に最高。戦闘がBGMでより一層、緊迫感を増していきます。

かっこいいところその2:艦
すべて3DのCGで描かれているため、登場する潜水艦や重巡洋艦、戦艦がかっこよく描かれております。そのため、登場人物がかくかくしているように思えますが、そこに目を瞑らずともなおあり余る圧倒的な作画と言えます。潜水艦の修理シーンや補給シーンなどでそのすごさを体感できるはずです。特に霧の最強兵器とも言える超重力砲が出るシーンは圧巻です。

かっこいいところその3:専門用語
戦闘シーンではなにやら難しそうな言葉が飛び交っています。ATフィールドならぬクラインフィールドや、浸食魚雷や超重力砲、アクティブデコイ。戦闘中はとにかく忙しそうなので、聞いてるだけで「お・・・お、おお、なんかすげぇ」という感じになります。(結局稚拙な感想で申し訳ない)

かっこいいところその4:構図
ここはネタバレを含む私なりの考察なので長くなります。読むのは面倒だと思いますので、一応隠しておきます。
{netabare}
一見するとこのアニメはSFもののような気もします。
しかし構図で言えば現在の世界となんら変わりはないと私は考えます。

アルペジオでは「人類」と圧倒的力をもつ「霧」が対立しています。
その霧に対抗するために、人類は振動弾頭と言う最先端の兵器をデザインチャイルドという倫理的にも問題がある手法で開発に成功します。
そして主人公である群像はこういった旨の発言をします。
「振動弾頭が人類の未来であり、これがあれば霧と対等になれる」※原文ままではありません

これを聞いたときにすぐに連想したのが、現在の「核兵器」です。
核兵器が開発されて以来、どの国も核兵器をもつ国に対抗するために核の保有を行ってきました。最たる例がご存知、冷戦です。
一体、なんのために核の保有が増えていくのか。それはやはり「対等になるため」でしょう。

私は大学で中国人留学生と核に関してのディスカッションをしたことがありますが、彼ら曰く
「中国は核兵器を保有できたからこそ、アメリカのような先進国と初めて対等になり、外交ができるようになった」
との旨の意見をいただきました。
すでに力の差がある状態で外交なぞできないというのが彼らの言い分です。

実際、そうなのかもしれません。
例えば北朝鮮も核兵器を持っているということをちらつかせ、先進国に支援物資などをねだっております。つまり核兵器と言う力で他の先進国と対等になり外交を行えると考えていることが窺えます。
これがもし、北朝鮮のようなならず者国家が核兵器を開発できていなかったら、世界は大して相手にしていなかったでしょう。
これは外交と言うより一種の脅しに近いかもしれませんが、実際、核兵器をもったことで(あるいは持つように見せかけることで)世界は北朝鮮について真剣に考えるようになったのは間違いありません。
もちろん対極的な方法としては、核を放棄し、支援を真摯にお願いするという平和的な方法も行えますし、それも実現可能なのかもしれません。
このような素晴らしい方法がありながら、悲しいかな、人間は「抑止力」なる兵器を持たずには相手との議論を行うことができないという考えが一般的なようです。その考えも無理はないでしょう。過去の戦争などを見れば、人類は「力」に頼ってしまう弱さをもった生物なのだとわかるはずです。(あ、なんかキザだ)

それ以前に、そもそも交渉というのは立場が有利なものが有利に事を進めようとするのが、ごく自然のことなのです。

本作における千早群像も敵のメンタルモデルと和解するために最大限の努力はしますが、最終的には敵を沈めることを厭いません。
彼は振動弾頭を手に入れ、霧と人類が対等になり、そこで初めて霧と和解できると考えているかもしれません。
もし振動弾頭が量産されるようであれば、霧も容易に攻め込むようなことができなくなり、和解のためのテーブルに座ってくれるかもしれません。

まぁこれは全て私が勝手に考えたことなので、軽く流してください笑 正直、知識も乏しいので。
{/netabare}

見所は戦闘シーンに留まらず、ちょっとした日常パートのようなものもあります。
関連して言えば、このアニメの良いところとして、いちいち山場をつくろうとしていない所が挙げられるかもしれません。
日常系でもない限り、どうしてもアニメは1話で1つの山場を作りたくなりますが、本作品では話の最後に山場が来て、次週最初から最後までクライマックス!といった展開が結構あります。

日常パートではギャグ展開も見られ、和みもあります。
{netabare} どの艦も戦闘するまでは気難しそうな子ばかりですが、一度負けると一人残らずギャグ要員になっているのはおもしろいですね笑
コンゴウはさすがに除きますが{/netabare}

とにかくかっこいい本作品。ぜひご視聴ください。

原作も読みたいなー。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

70.6 2 3DCGで戦争なアニメランキング2位
revisions リヴィジョンズ(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (309)
1134人が棚に入れました
「これは予言よ。あなたたち五人に、いつか大変な危機が訪れるの。そのときみんなを守れるのはあなた」幼いころ誘拐された過去をもつ高校2年生・堂島大介は、幼なじみのガイ、ルウ、マリマリ、慶作とともに、不可思議な現象──「渋谷漂流」に巻き込まれる。渋谷の中心部が跳ばされたのは300年以上先の「未来」。そこで待っていたのは、広大無辺な荒野と森、点在する廃墟……そして、未来人「リヴィジョンズ」と彼らが操る巨大な機械の化け物だった。理由もわからぬまま化け物に蹂躙されていく渋谷を助けようと現れたのは、誘拐事件の大介の恩人と同名で瓜二つの少女・ミロ。彼女は、大介たちだけが操縦できる人形兵器「ストリング・パペット」を提供し、渋谷を守れと促す。誘拐事件の恩人──ミロによる予言「仲間を守る運命」を信じて生きてきた大介は、ついに訪れた危機と手に入れた力に歓喜する。しかし、幼なじみ5人の絆は誘拐事件の影響でバラバラとなっていた。孤立した街。未知の敵。未確定な過去と運命の予言。

声優・キャラクター
内山昂輝、小松未可子、島﨑信長、高橋李依、石見舞菜香、斉藤壮馬、日笠陽子、田村ゆかり、櫻井孝宏、遠藤綾、てらそままさき、飛田展男、寺崎裕香、大塚芳忠
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

堂嶋大介は認められたい

【概要】
 2019年冬。全12話のオリジナルアニメ。3DCGで制作されたSFサバイバルアクション。監督はコードギアスなどで知られる谷口悟朗。

 このアニメの良い所。それは

一、THE ORAL CIGARETTESのOP曲「ワガママで誤魔化さないで」
二、ミロのケツ
三、ルウのケツ

-- 以上 --

 高名な監督が手掛ける作品ということで期待していたんだけどな。まさか「刻越えのデリダ」に匹敵する、時間もの失敗作オリジナルアニメを2クール連続で引くとは思わなかった・・・

【3DCGアニメ】
 revisionsは全編3DCGで制作されている。クオリティは高いと思うのだけど、実は3Dの日本アニメはrevisionsに限らず、逆に海外で人気がない。最近で国外でも好評だった3DCGアニメは「宝石の国」くらいじゃないだろうか。

 どうも海外のアニメファンは日本の伝統的なセルアニメーションの持つテクスチャに魅力を感じているようで、日本以外でも制作されている3DCGのアニメならわざわざ異国の映像作品を観ようとは思わないのかもしれない。+Ultra枠は世界を見据えた作品をラインナップをするという方針だったのだが、前作のINGRESS、そして本作と3DCGアニメはどちらも不評でフジテレビ制作サイドの戦略ミスのように思う。(さすがにまずいと感じたのか次作のキャロル&チューズデイは2Dらしい)

 3DCGは日本のアニメの特色が失われるというやや感傷的な理由だけではなく、最初のモデル作成に手間がかかるため、あまり多くのキャラやセットを用意できないという欠点がある。本作においては渋谷を舞台にしておきながら、実際に画面に映るのは学校、市役所、そして荒野と設定を活かせていないし敵キャラも親玉の3体を除いて量産型で面白味に欠ける。アーヴ側の人間がミロ1人しか登場しないのは3DCGの足枷によるもので、未来人の二大勢力が3人と1人で代表して争うというなんとも寂しいことになっている。設定は壮大なのに小じんまりした映像になってしまったのは残念である。

【SFサバイバル群像劇】
 公式での謳い文句によるとrevisionsはジュブナイル(青春)+パニック(災害)+アンサンブル(群像劇)とのことなのだが、色んな要素を寄せ集めた結果、1クールで処理できず中途半端に終わるというありがちな失敗をしているように感じた。

 {netabare}まずこのアニメは青春群像劇とは言い難い。5人の高校生がメインキャラクターだが視点は随分と偏っており、基本的に主人公の堂嶋大介+他の誰かという組み合わせでしか話は進まない。大介の「ヒーローになりたい」という葛藤が常にお話の中心で、暴走気味の主人公と他のキャラの意見がぶつかる場面が執拗に描かれる。未来の渋谷でどう生き延びるかという状況で、一般人からするとどうでもよい、大介と他の人間との衝突ばっかりやっているのだからうんざりする。視聴者からしてもどうでもいいことだ。

 一見優等生に見える他の4人にも決して欠点がないわけではない。ガイは優秀であるがゆえに人を見下しがち、ガイの双子の妹ルウも同じく優秀だが感情的、マリマリはおっとりした性格だがピンチ場面ではの優柔不断、慶作は典型的な「いい奴」なのだが、彼には悩みがある。慶作はマリマリが好きなのだが、お人良しすぎてマリマリへの恋心を打ち明けないまま大介に譲ろうとしている。マリマリは大介をちょっと意識しているのだ。

 こうしたお話のネタがあるのにも関わらず、全12話を通して5人の関係性はほぼ変化がない。ただ大介が自身のヒーロー願望とどう折り合いをつけて成長するかというだけのお話で、5人のキャラクターの心情が交錯することはあまりなく、大介がルウ兄妹と絆を修復して終わりだ。青春物として単調であまり面白いとは思えなかった。仲直りする場面でMiyuuの歌声が響けば視聴者は感動してくれると思ってないだろうか。挿入歌で誤魔化さないで!

 災害(サバイバル)としてはさらに厳しい。revisionsは未来人の思惑によって渋谷を街ごと未来に転送される、という設定である。渋谷の街の外は見渡す限りの荒野が広がっており、化け物に成り果てた未来人revisions(リビジョンズ)が襲い掛かってくる。ライフラインを絶たれた現代人がいかにして生き延びるのか、という問題は当然力を入れて描写すべき事柄だ。

 ところが、このアニメは人々の生活が全くと言っていいほど描かれないのである。食料も水もどうやって調達しているのか不明。電気は都合よくリビジョンズと敵対関係にある未来人アーヴがモビルスーツ用の電源を供給してくれる。災害時の生活の描写がなければ臨場感に欠けるし、だいいち面白くない。せっかくの面白くなりそうな設定をなぜ活かそうとしないのだろう。しかし次第に人々が不安でイライラしていく様子だけはちゃんと描かれる。何だこの本末転倒な感じは。第6話でムラついた保健室の先生がいきなり主人公を性的に誘惑してくるが、結局何のフラグでもなかった。大人の色気で誤魔化さないで!

 さらに言うとSFとしても褒められたものではない。最初のうちは量子脳という概念を持ち出して渋谷の街を未来に転送した状況を何とか筋道を立てて説明しようとしていたが、最終的にラスボスは時間の概念を超越した存在になり、完全にロジックを放棄してしまう。第一話のミロが5人それぞれに告げた予言も伏線として回収されず、一体あれは何だったの?感が果てしない。ラストバトルはどこで戦っているのかもよく分からない。そして謎の友情パワーで打開。何だ、このジャンプの打ち切り漫画みたいな終わり方は。デウス・エクス・マキナで誤魔化さないで!
{/netabare}

【主人公】
 さて、ここからが本題。本作一番の問題点、それは皆から「うざいうざい」と叩かれる主人公、堂嶋大介のキャラクターである。

{netabare}
 幼い頃、主人公の大介は誘拐事件に合い、不思議な女性・ミロによって助けられる。ミロは大介に「あなたたち5人にいつか大変な危機が訪れる。忘れないで。あなたがみんなを守るのよ」と予言を残して去る。

 その日の出来事が忘れられない大介は俺が皆を守らなければならないという強迫観念に囚われ、問題児になってしまう。独善的な正義感を振りかざし、街のチンピラに絡んで相手に怪我をさせても悪びれる様子はない。仲間からありがた迷惑だと批難されても「だってあの時ミロはみんなを守れって言ったじゃないか!」と逆ギレする。冒頭から印象最悪のキャラだ。

 さて第1話の終盤に話が大きく動く。未来人の力で渋谷転送が起こり、非常事態になると大介は「やっぱり俺が正しかったんだ!」と犠牲者が出ている状況にも関わらずニヤニヤしている。そして未来からやってきたミロからパワードスーツ「ストリングパペット」を受け取ると彼は憧れのヒーローになれたと狂喜乱舞する。しかしパペットはもう2体あり、他の4人も操縦できることが分かると大介は手柄を横取りされてしまうとばかりに露骨に嫌な顔をする。その後も人命よりも自身の功名心を優先する態度を取り、あらゆる人達の反感を買う。

 はっきりいってここまで悪く描かれる主人公は珍しい。だが、周囲の人間が彼を白眼視していることも強調されるため、「大介のヒーロー願望はやがて挫折し、そこから成長して真のヒーローになるお話だろう」とは容易に想像がつく。一応視聴者への目配せはできているのである。が、だからといって温かい目で彼の成長を見守ることができることができるかというと疑問だ。

 不人気主人公・大介クンは、要するにひたすら

 認められたい認められたい認められたい認められたい
 認められたい認められたい認められたい認められたい
 認められたい認められたい認められたい認められたい
 認められたい認められたい認められたい認められたい

と言っている。これは最近よく聞く「承認欲求」というやつである。承認欲求は誰しもが持つ欲望で、例えばレビューにサンキューを押す行為はレビュー自体の評価をするというよりはむしろサンキューを送り合うことで参加者の承認欲求を満たし、SNSを活性化させる意味合いが強い。ご存知の通り他のSNSにも同様のイイネ!機能はだいたい用意されており、このイイネ!(=他者からの承認)を集めることは現代人の関心事になっている。

 ならば彼の「認められたい」という思いはある程度共感できるのではないか?と思うが残念ながらそうは感じなかった。本作の設定はそもそもがおかしいんだよな。堂嶋大介はヒーローになろうとして問題行動を度々起こし、皆の評価を大きく下げている。これは逆で、メサイア・コンプレックスというのは他の何らかの要因で周囲の評価が低くて、すでに固まってしまった自分の評価を一気に挽回しようという思いに駆られ、自分がヒーロー的な活躍をすることに執着するんだよ。要するに一発逆転を狙っているのである。

 大介のようにわざわざ自分で状況を悪くしているだけの人間には違和感しか感じない。大介は無理にヒーローになろうとしなけば何も問題もない高校生だ。大介の設定を再確認すると、虐められているわけでもなく、友達もいるし、貧乏でもなく、隠れ巨乳の幼なじみが好意を抱いているという状況にある。彼がヒーローになりたいと意固地になる理由は何なのか全く伝わらない。(両親がいないのかと思ったらみんなを守りたいからと勝手に親元を離れたらしい。アホか。)

 あのさ、人はみんなコンプレックスを抱えて生きているんだよ。ブサイクだとかデブだとかワキガだとか頭が悪いとかハゲだとか皮膚炎だとか貧乳だとか性にまつわるエトセトラとか。それなのに特にコンプレックスもなく生きている人間が、勝手なヒーロー願望に駆られ、承認欲求を求めて自滅するアニメを観て共感できるわけがない。うざい・うざくない以前に人間として理解できないし、僕ははっきりいってこんな主人公に興味がない。
{/netabare}

 インタビュー記事(※)で谷口監督は「共感できる主人公である必要はない。」と発言していたが、本当にそうなのだろうか。もしかして制作スタッフは承認欲求が悪だと勘違いしてはいないだろうか。「もっと褒めてほしい」「評価されたい」という思いは人の誰しもが持つ基本的な感情であり、モチベーションの源として必要なものだ。問題なのは承認欲求が一向に満たされない状況にあるのであって、そこに説得力がなければいくらドラマチックな展開を先に用意しても心に響かない。大介のヒーローになりたいと渇望する気持ちにもっと共感できればこのアニメの評価は全く違ったような気がする。


※https://jp.ign.com/revisions-anime/31881/interview/revisions-cg

投稿 : 2024/11/02
♥ : 35
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ワガママで誤魔化さないで

1話感想{netabare}
自分も結構気軽に「なろう系」って言葉使っちゃってるけど、最近はそれの主流も変わってきてるみたいで、さえないクズ主人公がイケメンクラスメートと異世界行って、そこでは主人公が大活躍して、今まで自分を馬鹿にしてたクラスメートをいびり倒すってのが流行ってるらしい。
まぁ、のび太がジャイアンやスネ夫を滅多刺しにして出木杉クンから神のように信奉され靴なめさせてしずかちゃんを犯すのが流行ってるらしい(犯すと「さすが、さすが」と賞賛される)。
そういう系の作品がアニメ化され出したらキツいなぁと思ってたのだけど…あ、先手打ってきた?
この作品、主人公は暫くの間「のび太が調子に乗ってる段階」を続けるんじゃないかな?
途中で挫折なり「これじゃアカンわ」と立ち止まる展開になる…と思うのだけど、そうではなくずっと調子乗りっ放しで行ったら笑える。
1話じゃまだ分からないですけどね、なろうに阿(おもね)るかカウンター決めるか、今後の展開が気になります。
自分はカウンター決めると思うんだけどなぁ。
ただ、こういう作りは“鉄のラインバレル”がそうだったけど、当時ですら「主人公が調子に乗ってる(後でしっぺ返し食らうのがバレバレなのに)」段階で「主人公気に入らない」として見るの辞めた人が続出だったような…。
主人公は子供の頃、あんな状況でそんなこと言われたら「神から啓示を受けたレベル」で陶酔しちゃってもおかしくないかなぁ~とは思うのだが…それでもダメな人はダメなんかな。{/netabare}

3話までの感想{netabare}
やっべニヤニヤが止まらないw
ニヤニヤの根拠は「コイツ鼻っ柱折られるんだろうなぁ」を感じるから…とはいえ本当にそんな展開になってくれるかどうかは未来予知能力の無い私には確証が無い。
と思ったら、これって先にネトフリで全話配信されたやつなのか。
なるべくネタバレは見ないように警戒してるけど、どうやらそこら辺は安心して良いっぽい。
但し吠え面かくハメになるのはずっと先らしい…のだけど、片鱗は早くも3話で見せ始めてるかな?

自分語りしてもしょうがないのだけど別にカッコつける気もないので言っちゃうと、主人公の言動に身に覚えが無いワケではない。
クラスで出し物するってのに練習でクラスの連中はヤル気が無く「コイツらつかえねー」と下に見てたんだけど、いざ本番になったら皆しっかり演技して、練習の時必死こいてた自分を振り返って「あれ、オレなに思い上がってたんだ?」と自己嫌悪したこと、あるあるw
他にはにわか知識をひけらかしてたら、その相手が実はその道の専門家で釈迦に説法してたと後から知って顔から火が出る思いになったり、あるあるww
大抵の人はそういう経験(下だと思ってた人間が自分よりよっぽど上等だと思い知らされる経験)って多かれ少なかれあると思うのだけど、「オレも若かったなぁ」と笑って話せるくらいでないとトラウマ抉ってキツい、のか?
自分はアレだなぁ、逆にそういうのがクセになってそういう作品を好む傾向にあるのかも知れない。{/netabare}

6話までの感想{netabare}
ああもう主人公が可愛くてキスしたいレベル、性的な意味じゃなくて孫を可愛がるお爺ちゃん的視線でね。
5話、電力はカドだし敵がまさかの…ベタすぎて「まさかそんなありきたりな展開はないだろー」と思ってたハダカデバネズミ展開。
もう何万回使い古されたネタだ?
ちょっと前にやってた“グリッドマン”でも「まさかそんなことはないだろーハハハ」と流されたネタで、ここまで直球なのはむしろ「もうひと捻りなにかありそう」とさえ思える。
なにより6話。
まぁ、こうなるわな。
ってか…う~ん、ここぞとばかりにこの作品を警棒にして他作品を殴るようなマネするのもアレですが、さっき例で出した“グリッドマン”もその意思を感じたのだけど、生温い異世界転生モノに「こりゃちょっとアレじゃね?」と思ってるクリエイターはそれなりに居るんじゃないかな。
元居る世界に帰ろうとも思わない、現地の人はあくまで自分を賞賛するための道具としか思ってない、自分と同じ立場の人間がもし居たとしても自分より劣ってることを望んでる、等々のソレ系。
クリエイターがそういうのを不快に思ってるかどうかまでは知りませんが、最近そういうのが流行ってるのであるならそのカウンター作品を作りたくなるのはある意味健全とも。
まぁ自分は不快でしょうがなかったんですけどね、ここまで直截に「言ってやりたかったこと」を出してくるとはなぁ…ゲシュペンストのメッセージね。
ってかちっと書き出してみたんだけど、ここまで辛辣に書けるのは5chでもそう居ないんじゃない?さすがプロだなーと感心するレベル。
そこまで言っちゃって大丈夫?とさえ思えるんだけど、だ、大丈夫だよね?
しっかしまぁ…これでゲシュペンストの言ってたことは大間違い・ただの精神攻撃だったで終わったらちょっと寂しいかな。
逆に主人公開き直って「ああそうだとも、オレはこの世界で一番偉いんだ、喝采せよ」とか言って終わったら皮肉利きすぎてて笑い死ぬかも知れん。

一方でユミコ先生がコワイ。
極限状態に追い込まれてヘンな宗教に目覚めちゃったみたいな…自分の本性に向き合ってるのか目を逸らしたがってる(正当化したがってる)のか、どっちなんだろうなぁ。{/netabare}

8話までの感想{netabare}
キターーー、遂に鼻っ柱折られる展開に。
散々オレが守るオレが守る言ってたのに守ることができずに意気消沈、ヒャッホウ。
ところで──
あんま言わないようにしてたんだけど、すっごく富野臭くない?
反省房入りしたり、「ボクが一番ガンダムを上手く使えるんだ」みたいなこと言わせたり、目の前で母親殺されたり。
おかげで8話でケイサクの母が殺された時はキターーーと思ってしまったし、その後の激怒パンチではカミューラランバンの仇!と言って欲しいと思ってしまったり(実際のカミューラランバンでは感情露わにしてないけど)。
一方ワザとケイサクを煽ってチハルを始末しようとしたニコラスの謀反だと思うのだけど、この展開はどっちかっつーと戦隊ヒーローモノの方が近い?
折角待ち望んだヒトの体を手に入れた瞬間死亡って…RPGの復活した瞬間勇者に倒される大魔王かな?
実際あそこで死んでくれなかったら人工量子脳によって渋谷が固定されてたんだろうし、復活させてはいけない大魔王的ポジよね。
更にケイサクが消えて腕だけ落ちるところは「アブドゥルー!」と叫びそうになった。
…うん、ご免なさい、既存作品ばかり挙げちゃって非常にヲタ臭くてキモいと思われてそう。
だけど作ってる側はそういうの狙ってるんじゃないかなー?
意図的に「どこかで見たアレ」をブッ込んでるような気配を感じる、ハダカデバネズミもそうだし。
なんかの作品で似たような意図を感じる作品があったんだけど思い出せない、あっちはそれが鼻についたのにこっちはそれがむしろ楽しい。
これの違いは何だろ?と考えると、明らかに知っててワザとやってるのと、知らずに似通ってしまったことの違い…なのかなぁ?
単に自分が富野好きだからか?
よくよく考えるとこれがダメそうな方はイデオンもダメそうだし。{/netabare}

最終回まで見ての感想{netabare}
ネタバレは見ないようにしてはいたのだけどちょろっと見てしまい、そこでは「主人公はダイスケではなくケーサク」みたいなことが書かれてて、「え、そんなこと可能なん?」と、どんな展開ならそうなるのか想像できずに居たのですが──。
ナルホドそういうことか。
あはは、確かにこりゃあ主人公はケーサクだw
こういう話好きですよ、運命の星の元に生まれたワケでもない「馬の骨(ダイスケ)」が世界を救うって話。
ゲームwizardryではワザとボーナス値の低いキャラを育成したもんです。

最初に最終回の感想書いちゃったけど、10・11話くらいでは非常に勿体無いという感情に襲われました。
ダイスケが鼻っ柱折られてやっとマトモになった後の描写や、黒岩が死んで指揮系統が混乱とか、渋谷住民の不安が不満に変わって治安悪くなるとか、単純にサバイバル要素とか、もっとやってくれよ!と。
くそう、2クールあったらそこら辺ねっとりじっくりどんよりやってくれたのかなぁと思うとホント勿体無い。
この感情って前にも経験したことあるなぁと思ったら…ああ、“ID-0”だ。
監督同じじゃーん!
“コードギアス”が有名だけど、1クール作品を作る場合こういったのが持ち味なのか?
「あれ?そのネタ掘り下げればスゲー面白そうなのに流しちゃうの?」って感じの。
ぐぬぬ、なんか悔しいなぁ、この監督には2クール以上の仕事回して欲しいなぁ。

タイムトラベルの話って同期放送で自分が見てる分だけでも“えんどろ~”“デートアライブ3”でも扱ってて「ホント好きねぇ」とちょっと飽きてるキライがあるかも?
それに結局は誰が記憶保持能力者(リーディングシュタイナー持ちって言った方が通じやすそう)かでどうとでもなっちゃうというか。
物語の核になる部分なのに余り興味は沸かなかった。
最後のホウチュウの叫びは「お前ガノンかよ?」って感じだったし、ムキューの本体は“ファンタスティックプラネット”だし、最終回のCパートはもうホラー作品の定番。
わざと既視感を刺激するような作りを狙ったんじゃないか?と思ってるのだけど見当違いかなぁ?
よく言われてるダイスケの性格だけど、やっぱり自分は気にならない。
後で更正されるのは明白だし、周囲のキャラもちゃんとウザがってたし。
それよりも「どう見ても難アリの性格なのに誰も(作者含め)おかしいと気付いてなさそう」って作りの方が個人的には苦手。

同監督が1つ前に手掛けた“ID-0”と比較すると、あっちでは意図的に民衆を画面に映さないようにしてましたが、こっちでは普通に映してましたね。
個人的にはこっちのが良いかなぁ、もっと掘り下げてくれたら更に良かったんだけど…。


総評
2クール以上やってくれぇ!{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

僕と君との我慢比べ

オリジナルアニメ


とりあえず初回を観て、馴染みの渋谷だし、思ったよりCGのカクカク感も薄いし、ロボットは置いといて巻き込まれパニックものとして引き込みも良かったので視聴を決めてます。
後から、監督さんが『コードギアス』作られた方と知った感じ。あらすじは省略。
とにかく主人公がウザいで有名な本作。どんだけウザいか覗いてみよう!と野次馬根性丸出しのきっかけでよろしいかと思います。そして、できるだけ心に余裕のある時期に視聴することを推奨します。


主人公についてはなんかもう書くのも嫌(笑)
そこで、

1.主人公がどうしようもなく魅力のない場合の身の処し方

私の場合こうである。

 A こんな奴でも受け入れるキャパの広い俺氏!をきどるために観る
 B さようなら

このAとBの境界に明確な基準を設けられたら良いのに、たいていは気分だったりします。それと心の余裕。踏ん張りの一つ指標になるのは、主人公のマイナスを他のキャラのプラスで補うことです。
{netabare}しかしながらまりまりがダメでした。1話で同級生殺されてるのに、第6話で「化け物が元人間だから戦えない」と号泣。いやいや手を打たなきゃこちらがやられますから(゜o゜)
そしてそんなどうでもよい理由で揺れるゆかいな仲間たち。どうせギリギリになって覚悟決めるんでしょ?だったら手遅れになる前にやりなさいよ、と。{/netabare}
そんなわけで他のキャラもダメでした。

{netabare}ところが・・・ “ヒーロー気取りのバカw” 落書きの内容が視聴者の声を代弁します。{/netabare}

ここまでのキャラ設定にした意図を勘ぐりたくなってきます。ちょっと様子見しよっかな。マイナス×マイナスがプラスに転じるところを期待しました。


2.見せてもらおうか!この者らの末路を・・・

なんか良いお話で終幕しました。むしろクールアニメ平均点よりちょい上くらいの面白さです。
堂島大介くんとゆかいな仲間たちについても、「これを機会に立派な人生を送ってほしい」とエールを送りたい気分。我ながら見事な掌返しです。
終わりよければなんとやら…という作品に見えますので、「いつこの子が鼻っ柱を折られるんだろう?わくわく」くらい余裕をもって臨まれるとよろしいかと思います。

{netabare}転機は第8話。{/netabare}大介くんへの我慢の臨界点に達する頃合いで転機が訪れます。その後、やられた→反省した→改心した、のありきたりな展開とも少し違っていたのが好感でした。
最初から許容できる方はともかく、

 “主人公のウザさとの我慢比べ”

という新しい価値観を提示してくれる作品ではないでしょうか。
内容ほとんど触れずにごめんなさい。それなりに考察しがいのあるストーリーだよというのだけ触れときます。
自分にとってはキャラアニメでした。退屈ということはなくしばらく心がざわつき続けますので興味本位で手に取って良い佳作だと思います。



※レビューは以上でおしまい。以下長めの余談。

3.あっち系の人への挽歌

谷口悟朗氏の『コードギアス』はあにこれでの評価も高い作品で、とくに違和感なく楽しみました。
一方で、作品設定その他政治臭が強いとの声もあり、右だ左だの意見も散見する作品だったみたいです。そんな付帯情報が頭の隅にあってとうに忘れてたのですが、その記憶を呼び覚ますナイスな人物がおりました。そうなると、あれもこれもと繋がってきて、本作を鑑賞する裏の楽しみにもなってたのでご紹介します。

{netabare}その方は渋谷区長:牟田誠一郎

彼と渋谷警察署長黒岩との対比も興味深いものでした。{/netabare}


※政治色強めのネタなのでつまんないですよ。開陳ご注意!
{netabare}やめるなら今のうちですよ。いいですね?忠告しましたからね?{/netabare}


{netabare}リアルでの渋谷区長もポリコレ傾倒していて、条例で憲法違反の同性婚認めちゃうような方です。あれ知り合いのホモ・レズ・バイも軒並み迷惑がってるからね。頼むから掘っ・・・いや放っといてくれというものらしい。
そしてアニメの渋谷区長牟田誠一郎は小者感が際立つキャラで、さっそく第2話から腐臭をさらしてくれてました。言行録で辿ります。

■「君。本部って付けてよ。」「みなさん。我々災害対策本部はここに渋谷臨時政府の樹立を宣言します!」

小者であるが故に肩書にこだわる。そして権力志向が強い。いつぞやか箔をつけさせる目的で大臣の交代サイクルが異様に速かった3年間が日本にもありました。代議士なら大臣目指すことは悪いと思いませんがGOサイン出す内閣が全く制御できてませんでした。某党の元大臣・元副大臣の多さはもはやギャグのレベルです。
「書いたらもうその社は終わりだから」と踏ん反り返った大臣もいました。これ自〇党の政治家だったら社会的抹殺だけでは済まされなかったことでしょう。“偉ぶりたい”が根っこにある者に権力を渡すとろくなことがありません。


■黒岩「問題は覚悟無き主義者共。人権とか戦争反対とか愛とかそんなものは平和時の祭りに過ぎない。そいつらを黙らせ内部の守りを固めたいですね」
牟田「あ…私リベラルでして…」

あ、自己紹介してくれました。この瞬間、牟田に対しての“実は老獪な人物かも?”のセンが完全に消えます。
天賦人権説は夢想論。枠組み(国家)なきゃ無理でしょう。シリアとかどこぞの半島で同じこと言ってください。黒岩のこのセリフは正しい。
そして゛リベラル”という単語。゛左翼”がネガティブ語になってリベラルと呼び変えるようになって久しい現在。逆側も右翼と言われるのを嫌って保守と言ってます。お互い「パヨク」「ネトウヨ」と罵り合ってる状態です。まあ一般人にはどうでもよいことですね。
最近はリベラルを自称するにも息苦しくなって、立件…いや立憲〇〇党の党首が我こそは保守だと言い出す始末。いやあんたら社〇党からの流れでしょうに。左翼受難の時代です。


■「これは極めて高度な政治判断というものですよ」

と言いつつ何も考えてないですね。これは左右問わずかな?
同義語に「もっと話し合いをもって」があります。何を?がなければ問題外です。


■「これにより全渋谷被災者が元の時代、2017年へ帰還するための交渉のテーブルに着けることになったのです!」

判断材料が乏しい時に敵性勢力から与えられたエサに飛びつくのでは交渉にならない。材料が無いなら無いで出来得る限りの仮説を立てる必要があるものの牟田にはその形跡が皆無。せめて自陣の現有戦力なら把握可能でしょうに。人を使う立場にいてはダメな人物というかもうこれは知性の問題と言ってよろしいかと。


■「ま…待ってください!必ず来ますから!約束通りリストにあった人だけは元の時代に戻してくれるんでしょうね!?私は戻れるんですよね!?」

結局これ。
・根拠なく自分だけは大丈夫、と思ってる。保身第一。
・交渉できない相手との交渉にこだわる{/netabare}


モデルとかはいるんでしょうか?お遍路行ってたあの人かな!?
露骨にあっち系(のとりわけ政治家)をこき下ろしてるため、スラップ訴訟が大好きなあっち系の人から「差別を助長するな」と訴えられないか心配です。
こうやって主人公のウザさの影で、裏の楽しみを堪能してたので飽きることはありませんでした。


{netabare}「いつか来るその時のためだけに過ごしてきた」と猛省するのは牟田ではなく大介です。{/netabare}

{netabare}その時が来て浮かれる気持ちはわからなくもありませんが、高揚感だけで具体的なことは考えてない。彼は手段と目的を取り違えていたのです。ただしその過ちに大介は気づいて行動を変えました。
手段の目的化について現実世界では、ノーアイディアなのに「一度私達に犯らせてください」で「政権後退」してしまった事例がまだ生々しい。
これ以上多くは言いませんが、有権者は学習したのに当人たちがね、1ミリも変わってませんね。長くなったのでこの辺で止めときます。{/netabare}


こうなるとリアルの彼らは大介未満という結論に落ち着きます。そりゃ票は取れません。
事実は『revisions』より奇なり。そんな変態的な捉え方をして遊んでました。繰り返しになりますが、キャラクター以外で特筆すべきものはない作品。


-----
2019.09.01追記
≪配点を修正≫ -0.1

視聴時期:2019年1月~2019年3月地上波放送

もともと地上波に先駆けてNetflixで先行配信してたものらしいです。

ついでにオマケで言っとくと、民〇党系列ど左翼の知人がリアルで県議会議員やってます。話の通じるあっち系の方は大歓迎ですよ。


2019.03.29 初稿
2019.09.01 追記/配点修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 47

66.8 3 3DCGで戦争なアニメランキング3位
青の6号(OVA)

1998年10月25日
★★★★☆ 3.5 (184)
994人が棚に入れました
近未来。地球の人口は膨れ上がり、環境は劣悪を極めていた。世界各国は人類最後のフロンティア=「海」に希望を求め、新たな世界を築こうとしていた。そのために設立されたのが、会場及び海中の安全を守る超国家組織「青」。各国は協力して自国の潜水艦を「青」に派遣することになった。日本の自衛隊から「青」に送られた潜水艦も6号艦として「青」の任務に就くことになった。しかし、そんな折、海洋開発のリーダーでもある天才科学者ゾーンダイクが突然反旗を翻し、凶悪なテロで世界を恐怖に陥れる。海洋テロ結社を築き、人類殲滅を宣言したゾーンダイクの野望とは?ゾーンダイク率いるキメラ兵器たちと、それを阻止せんと立ち上がる「青」の潜水艦隊。人類の存亡を賭けた戦いの火蓋が、今、切って落とされた!
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

GONZOの名を世に知らしめた名作

観始める前はSF・艦隊と聞き、ハードボイルドで哲学要素があり、社会に問いかける攻殻機動隊のようなイメージを連想していたのですが、小難しい話はなく、抽象的な世界を徐々に明らかにしていき最後に大きなテーマを抱えて待ち構えている構成で見ごたえがありました。

映像に関しては、1998年の作品と言うことですが、デジタル制作なので映像が観やすく、絵柄も落ち着いた感じなので古さは全然感じませんでした。
それどころか、優秀なアニメーターさんたちが携わっていることもあり、話数が進むにつれてどんどん迫力のある映像になっています。
今見ても見ごたえのある映像になっているかと思います。


物語
前述したように、抽象的な世界から始まり徐々に情勢が明らかになっていくので1話はよくわかりません。
2話は状況説明が主となります。
丁寧に世界を構築したおかげで3話4話の惹き込みはすごいです。
難しい話になりそうだったのでメモを取りながら視聴していたのですがいつの間にかメモを取ることを忘れていましたw

1話BLUES
あらすじ
戦いに飽きて隠遁生活を送る身勝手な主人公速水は、戦艦"青の6号"の乗組員である紀之真弓を助け操舵手に復帰する。そして久々の出撃で人類の敵である半獣達の一人、赤い目のミーティオを助けたのだった。

タイトルBLUESは憂鬱な気持ちを歌で表現する突飛なメロディの曲です。
ということは、キャラが憂鬱な気分に浸っていたということでしょう。
まずはヒロインの紀之真弓。青の6号の命令で速水を探しに来ましたが、身勝手な彼の態度はさぞかし憂鬱になったことでしょう。
次に主人公の速水、戦いに飽きたというそぶりでしたが、出撃時には前へ出るなど、案外隠遁生活にも退屈していたのかもしれませんね。

もちろんEDや挿入歌のブルース?ジャズ?な音楽にも注目です。

2話PILOTS
あらすじ
{netabare}基地に戻った青の艦隊たち。そこで行われたミーティングにより切り札として核爆弾を使うことが提案される。
その後速水は基地内で敵につかまり獣人に改造されてしまった昔の仲間と遭遇する。敵への復讐心を強めた彼は命令を反し一人で出撃、あえなく撃沈される。{/netabare}

1話では殆ど良くわからなかった敵の全貌、見方の内情が分かります。
タイトルのPILOTS、複数形ですから意味は
操舵手、艦長、種火、案内棒辺りが入るかなあと思います。
タイトルが物語にしっかりと食い込んでいるのがすごいです。

3話HEARTS
{netabare}あらすじ
撃沈された小型機から脱出した彼を助けたのは、以前助けたミーティオだった。速水はミーティオや巨型の人工生物ムスカと接するうち、獣人を作り戦を始めたユング・ゾーンダイクの真意を確かめたくなる。

HEARTSの意図について
最初はミーティオの恋心だけかなあと思っていたのですが、観ているうちに紀之真弓の恋心と、ゾーンダイクの心の内と言う意味でも使われているかもしれません。

海と陸それぞれのヒロインと共の立場から観てきた速水はいったいどんな結論を出すのか楽しみです~
ミーティオは魚を加えて速水に差し出すシーンが可愛いですね

それから、速水が海では助けられてばかりだということを繰り返し言っていましたが、振り返ると結構助けたシーンも多いです。ここは共生というテーマにもつながっているのかもしれません
{/netabare}

4話MINASOKO
{netabare}あらすじ
青の艦隊はいよいよ切り札の使用に乗り込む。
しかし、切り札を使ってしまえば敵だけでなく見方も巻き込んでしまう。そこで戻った速水はユング・ゾーンダイクの元へ赴き、真意を確かめたうえで実行してほしいと青の6号の艦長に頼み込む。
見方の援助のおかげで無事ゾーンダイクの元へたどり着いた速水は争いでは何も解決しないと悟り、ゾーンダイクからも希望を託され、青の艦隊に停戦を求める。
そして、獣人側の指揮をとっていたベルグと話し合いをして敵側も収めたのだった。

MINASOKO
水底に沈んだ銃が哀愁を漂わせています。
そして敵は人間を憎んでもゾーンダイクが帰ることはないと悟り、落胆して海の中へ消えました。
悲嘆にくれるベルグと速水への恋心を抑えベルグと共に海へ戻ったミーティオちゃんが気がかりですね。
戦いは終わっても共存は実現していないテーマの深さが浮き彫りになりました。{/netabare}


作画
1話ずつ制作しているみたいなので、最初はOVA初のデジタルアニメで手探りという感じだった作画が、話数を追うごとにグレードアップしていくのが目に見えて面白いです。

中でも一番の成長を感じたのはエフェクトでした。

1話の爆発はゲームの一マスに生えた草みたいで面白い形をしていたのですが、2話3話とナチュラルになり、形も変えてきているので話毎に見比べるのが面白かったです。

水の描写はかなり綺麗でした。場所によってはCGを使われているところと、手書きにエフェクトをかけたところがあったのかな?
1話の廃ビルから見下ろした水の景色がとても綺麗でした。

動きはCG手書き共に良かったですね。
CGでは2話の小型船が水面を滑走するシーン、迫力がありました。
手書きでは、ベルグがはやみんに殴り掛かるシーン、迫力があります。
ゾーンダイクがシャツのボタンをはずすシーン
それからベルグが沈んだ後、はやみんが「イーストセブンからイリアンジャヤ、何人も手にかけてきた、だけど、だけど初めてだったんだ。明るいところで、正面から」フッと笑いながら震えるシーン、そんなはやみんを紀之真弓がそっと抱きしめるシーン芸が細かいです。

音楽
主題歌の「みなそこに眠れ」
ジャズ?ブルース?な独特なテンポと色気のあるウィスパーボイスがいい味を出しています。
戦闘BGMも基本的にこんな感じです。
ピンチなシーンでもアップテンポな曲が流れるので、やや緊迫感にかけますが、カウボーイビバップでも同じような使われ方をしていますし、そういうテイストが楽しめる方は同様に楽しめると思います。


正直こんなに楽しめる作品だとは思っていませんでした。
あにこれの評価も賛否両論ありましたし。
残念なところはなくはないけれど、それ以上に良さが詰まった作品だと思います。
不朽の名作との呼び声の高さは妥当ではないでしょうか。

全4話、1話辺り30分ほどのアニメですので、是非見てみて下さい。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12
ネタバレ

che さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

Thou shalt love thy neighbour.

ワンコさんと良いアニメなのに酷評が多いよね、という話が出まして、
でも僕はこのアニメ好きなので、出来るだけ色々な人に観てもらおう思い、啓蒙も兼ねてちょっと書き直しました。
啓蒙出来る内容になってるかは別として、、、w

OVAだけあって、作画も内容も音楽もレベルが高かったと思います。
今時珍しくもないですが潜水艦等がCGで当時としてはかなり先駆け的だったような記憶があります。
作画も奇麗だし、音楽が特にアップテンポなJazzyな感じでcoolとても良かったです!

物語は、一人の狂気の学者が、南極の氷を溶かし始め、世界の大半が海に没してしまった地球が舞台です。
そこで人類は、謎の海洋知的生命体と生き残りをかけ争っているというのが概要です。
「青の6号」は主人公が乗り込む潜水艦の名前です。
潜水艦での海の中の戦闘なんですが、青の6号は最新鋭潜水艦で結構アクロバティックなマニューバを見せてくれるので面白かったです。
あと、海の中という特殊な空間での戦闘と言うのも僕は面白かったです。
テンポもよく、何より4話しかないのですぐに見れるしオススメですよ。

まあ、戦闘もいいけど、最後の科学者、ゾーンダイクだっけ?
の話は中々考えさせらる物があって僕は其れが有ったからこそこのアニメは面白いと言う評価になりました。
{netabare}
結局ゾーンダイクが南極の氷を溶かし出したのは、身勝手な理由なんですが、まあそれは置いておいて。
人類と戦いを繰り広げていた知的海洋生物(人間並みの知能だと思う)たちも彼ゾーンダイクに作られた存在なのですが、
彼らが人類と戦っていたのは結局ゾーンダイクの指示などでは無く、彼等の意志で彼等の父であるゾーンダイクのために戦っていたんですね。
ゾーンダイクは別にそんな事を望んではいないのですが、幼い彼等はそれが父のためなると思い戦いを始めた訳です。
最後にゾーンダイクの元に辿りついた、主人公2人との会話の中でこんな事を言っていました。

ゾ なぜ彼等(海洋生物)と戦う?

主 先に攻撃してきたのは彼等よ!

ゾ なぜ彼等と手を取り合おうとしない?

主 先に攻撃を仕掛けておいて、沢山の人を殺しておいてそんな事が出来るわけがない!

ゾ 彼等は幼いのだ、彼等は人類からみれば弟の様な存在だ、なぜ彼等を許し、手を取り合おうとしない?

こんな感じの内容だったと思います、すいませんハッキリとは覚えてないですがw
もちろん会話には続きがありますが、心に残ったのがこの辺りだったので、覚えていた感じです。

{/netabare}

アリエッティのレビューでも触れましたが、人類は他の種
とは本当に共存できない悲しい種だなと、このアニメを観た時初めて思いました。

彼等の先制攻撃で人類は確かに死んだかもしれませんが、それは人類の0.1%にも満たない数だと思います。
人類は彼らを許すことを考えなかったんでしょうか?
僕はそうではないと思うんですよ、きっと怖かったんだと思います、人類以外の正体不明の知的生命体が現れ攻撃してきた事、これがきっと人類にはどうしょうなく恐ろしかったんだと思います。
だから、反撃したんだと思います、そうやって死体の数と、憎しみが、比例し終わらない泥沼の戦争ってのが始まるんだと思います。

ある日の夜、一人歩いていると、UFOが下りてきて、宇宙人が下りてきました。
貴方の懐には、デザートイーグルがありますw
宇宙人にだってでっかい風穴が開くマグナムです。
貴方はその銃を抜かず、右手を差し出す事はできますか?
、、難しいですよね。
僕なら、いきなりぶっ放したりはしないと思いますが、銃は抜いてしまうと思います。
でも僕は、「右手を差し出す努力ができる人間」で有りたいと思います。

きっと人類に出来る限界は「その程度」だと思いませんか?
でも「その程度」できっと今より随分まっしな世界になると僕は思んですよね。
ま、そんな事を考えさせられたアニメでした。
さて皆さん、興味がでたかな?面白いアニメだから皆見てね~!


因にタイトルは「汝の隣人を愛せよ」という聖書からの引用です。
僕は無宗教ですが、イエスさんは偉大ですよね。
今より、もっと荒んだ時代にこんな言葉を人々に説いたんだから。

こんな人にオススメ

海の人
メカの人
人間の人
考える人
ダウントリム一杯に夢が一杯な人

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

1967年少年サンデー連載漫画が原作。

1967年~少年誌に連載されていた漫画を元にGONZOにより
1998年10月25日 - 2000年3月25日に全4話のOVA化された。
OVAとしては世界で初めてのフルデジタルアニメ。

航海の安全を守る組織「青」所属の潜水艦、「青の6号」と
国際テロ組織「マックス」との攻防を描く。海洋もの近未来SF。
原作は海洋冒険漫画となっている様ですがアニメを見る限り・・
マッドサイエンスもの・・冒険と言える部分が有るのか不明・・
作風が全く違うし製作時期が少し後になるけど冒険という意味
ではタイドライン・ブルーの方が良く出来ていると感じた。

原爆・生体兵器・人造生命体・・それらを絡めて人の醜さを
表現しつつ・・見境ない復讐と屁理屈・・そして復讐の連鎖。

なので・・大袈裟に派手に描いた割にはラストは・・へっ?・・
言いたいことは解っていたし 一応伝わるけど・・
4話で約2時間・・多少編集で削れば劇場版アニメ程度の時間?
でも・・そう考えるとエンターテイメント性に欠けている気が。
1967年に既に刊行されていた原作という部分にのみ素直に驚く。
この作者は凄いな・・海洋ものやSF絡みの著作が多いのかな。


全般には泥臭くアナクロな感じかな? 派手な3DCG等の戦闘
シーンなどはあるものの・・地味で盛り上がりに欠ける感じ。
そしてアメリカならそういう作品でもエンターテイメント性に
長けた面白い作品にしてしまうんだよね・・アニメぐらいは
頑張ってほしいな・・・日本のSFも・・

キャラデザはシリアスな作風を意識した作品の標準的デザイン
が8割以上 一部如何にも漫画的な個性の強いデザインも混在。
主人公は少し少年誌風でヒロイン他一部の女性キャラはアニメ
という感じのデフォルメ・・どうも3種類のデザインがあるよう。
ミュータントは実在する動物をベースに人造人間化された感じ。
眼が大きめのヒロインとか・・シリアスな作風だけに・・微妙
に感じた・・それほど大きいわけではなけど異質に感じた。

メカデザは如何にも近未来的な物が2タイプと生体兵器のような
物とで3種類あるようですが 世界観上違和感は感じない。
どの程度漫画のデザインを取り入れているのか不明ですが もし
このOVAが原作のデザインを重視したのなら漫画連載当時は相当
洗練されたデザインをしていたのかも?OVA作成時期のデザイン
なら・・それなりかな・・

声優は・・紀之真弓(ゆかな)が少し熱演気味のピーキーな印象で
他に数人聞き覚えのある声が居た・・ブライトとかひとみとか泥舟。
全般的に普通にキャラにあてはまってる感じでゆかなさんだけ極端。

作画は・・メカなどの3DCGとキャラとエフェクトで可成り違和感。
凄く拘って力が入っているのは解るけど・・癖の強い3Dとキャラ
の色彩や質感が融合していない・・エフェクトも凄くリアルを追求
したと感じさせ綺麗な仕上がりだけど・・同様に違和感が強い・・
カートゥーン処理ではなくリアルな質感などを追求した3Dだからか?
キャラなど如何にもアニメな色彩との折り合いがつきにくいのか・・
確かに凄いと感じさせる部分もあるけど・・あくまで単体として・・
作品全体としてみると・・何だかぎこちない動きが多い・・
1998年制作という部分ではそれなりに最先端でハイレベルなのかな。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

70.0 4 3DCGで戦争なアニメランキング4位
コードギアス 亡国のアキト 第1章「翼竜は舞い降りた」(アニメ映画)

2012年8月4日
★★★★☆ 3.7 (810)
4901人が棚に入れました
監督、脚本家、二人のプロデューサー――たった四人から、コードギアス』は始まりました。お金も、テレビ局も、出版社も、有名な原作も、何もないところからのスタートでした。それがテレビシリーズとして放映され、さらに続編の『R2』が深夜枠から夕方枠へと引き上げられたのは、多くのファンの応援のおかげでした。
あらためて感謝と御礼を言わせてください。本当に、ありがとうございました。最終回を終えた後、多くの方々から続編を望んでもらいました。それらの声に応えるにはどうすればいいのか。我々は再び集まり、話し合い、単純な「続き」ではなく「拡大」を選択することにしました。今回、その嚆矢として、赤根監督のギアスが実現することを、とても嬉しく思っています。今後、発表されていくだろう「拡大」も含めて、みなさんご期待下さい。

声優・キャラクター
入野自由、坂本真綾、日野聡、松岡禎丞、日笠陽子、藤原啓治、甲斐田裕子、川田紳司、茅野愛衣、石塚運昇、森久保祥太郎、小松未可子、瀬戸麻沙美、東山奈央、早見沙織、高森奈津美、伊瀬茉莉也、松風雅也、三宅健太、子安武人
ネタバレ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

赤根和樹 is come back ! 異国の地でぶつかり合う異邦人同士の血・・・ とりま【本家の事は忘れて下さい^^;】 to the "翼竜は舞い降りた"

実に4年の時を経て再始動したコードギアスシリーズの映像化作品第1弾


そもそもこのシリーズの続編を作って欲しいという声は古くから多数あったのですが、谷口監督をはじめとする旧メインスタッフの方々は完成されたシナリオに“単純な続き”を作るというつもりは無かったようで、今作のように“シリーズの世界観を広げる”という手法にあえて拘ったそうです


現段階で推測できる時間軸を考えると恐らく『無印』と『R2』の中間にあった空白の1年間に当たると思います








舞台となるのはブリタニアの猛攻に苦戦を強いられているにも関わらず、危機感の軽薄な貴族と世論の反応に慎重な政治家によって“荒廃した民主主義”がとられるユーロピア共和国連合
(『R2』中盤でユーロピア連合は著しく衰退していくのですが・・・)


ブリタニアの日本占領によって、国を追われることになったヨーロッパ滞在の日本人達
そんな肩身狭き日本人の若者のみで構成されたユーロピア特殊部隊の一人“日向アキト”
部隊を指揮する幼くも誇り高き軍人であり、頭脳と武勇を兼ね備えた美しい女性指揮官『レイラ・マルカル』
そして敵国ユーロ・ブリタニア内で暗躍し、アキトと同じ姓を持つ謎の男『シン・ヒュウガ・シャイング』


彼らの【守る国無きまま今日を生き延びるための死闘】が描かれるサバイバルアクション映画となっております







事前から告知されている通り、スタッフのほぼ全てが入れ替え
監督と脚本は『天空のエスカフローネ』以来の古巣であるサンライズ作品となった赤根和樹
同じく脚本には「バーディーに中野ブロードウェイを走らせたり」(http://www.anikore.jp/anime/1288)「佐天さんに補習を受けさせた」(http://www.anikore.jp/anime/1394)浅川美也
両者ともこれまでのコードギアスシリーズには一切関わったことはありません


今作でまず初めに目を引くのがナイトメアフレームの戦闘シーンがCGとなったことですね


テレビシリーズでは中田栄治、中谷誠一を中心としたメカ作画を得意とするアニメタの技量によって支えられていたメカニックアクションでしたが、今作の赤根監督は『ジーンシャフト』や『ヒートガイジェイ』などのサテライト作品時代のCGアニメ成長期よりメカ描写には3DCGを用いていたこともあり、上記の赤根作品や『アクエリオン』『マクロスF』など一連のサテライト作品、それと『インフィニット・ストラトス』等でもCG監督を務めた井野元英二が率いるチーム“オレンジ”が全てのメカ描写を担当
(オレンジつってもジェレミアじゃねーおw)


これが大変素晴らしく、テレビシリーズとは全くと言っていいほど異質な凄まじくスピード感に溢れる戦闘描写になっており見どころです!


ただ逆説的に捉えると、ユーロピア下で開発されたという主人公が駆る新型ナイトメアフレームの動きなのですが、これまでオイラ達が観てきたナイトメアという陸戦兵器(あるいは『R2』でのアニメらしいキャラクター性をわざと強調したスーパーロボット感)というそれらの概念を打ち破るような独特なものであります;


ナイトメアの特徴とも言える車輪による高速移動はせず爬虫類のように4足歩行で地を這ったり
スラッシュハーケン(ビルをよじ登ったりするときに打つアンカーです)や脱出装置を使用する描写も無く、世界観を引き継いでる作品にも関わらず違和感を覚えるかもしれません
(『R2』当時からユーロピアのナイトメアは独特の路線で描かれていましたが)


この辺りはメカデザにあきまんさんを起用した影響も出ていると思います


総作画監督にはこれまた旧テレビシリーズとは無縁だった島村秀一
これに関しては当人の技量とは別に、“単にキムタカさんの絵に似せているだけ”のような印象もありまして、セルソフト化の際に細かな(細か過ぎると言ってもいい)修正を加えるなど繊細な作画によって描かれていた旧テレビシリーズで目の肥えたファンにはクオリティダウンに見えてしまうかもしれません;


そして音楽も前作のダブルコンポーザーを潔くやめてJAZZYな楽曲を得意とする橋本一子の一択に
これは単純に好みだと思うのですが、前作なら黒石ひとみさんの幻想的なボーカル曲が流れるような切ないドラマシークエンスで普通にピアノソロが流れてくるのはある意味新鮮でした


前作の主題歌はタイアップ臭がわざとらしかったですが(好きだけどw)真綾と菅野よう子のタッグに託され非常に好印象


キャストには入野自由、坂本真綾、藤原啓治、甲斐田裕子、川田紳司、松風雅也といった赤根作品ではお馴染みの声優陣に加えて
端役に小松未可子、瀬戸麻沙美、東山奈央、伊瀬茉莉也などの若手が配されたことに前作からの時間経過を感じますね^q^








とにかくハッキリさせたいのは【反逆のルルーシュに思い入れのあるファンほど今作には期待を裏切られてしまう恐れがある】ことです
シェイクスピアを意識しつつも、結果的にはフィリップ・マーロウを引用することとなった前作と違い、改めてシェイクスピアと思しきシークエンスを混ぜ込んでみたり({netabare}お墓を建てると亡霊が出て来るシークエンスがそうじゃね?{/netabare})、谷口監督ならばまずやらんであろう『暗転の多用』とか、何から何までが“違う”ニューシリーズ


古きギアスを一時忘れ、「Newコードギアスを楽しんでみたい!」という勇気あるアニメファンにこそ扉を叩いて欲しいものです

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

zunzun さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

OVAだからこそ、多くの人に観てもらいたい力作。

待望のコードギアス アニメシリーズ新作。遅ればせながら先日ようやく視聴し終えました。

個人のレビュー順序から考えると、シリーズの原点である『コードギアス〜反逆のルルーシュ〜』にまず触れておくのが妥当でしょうが、敢えてここは、『コードギアス 亡国のアキト』を。それ程までに私にとっては印象的で素晴らしい作品でした。

と、息巻いていますが、本作、実はまだ未完です。ここでは現在までに公開されている第二章までのまとめレビューとさせて頂きます。

スタッフはTVアニメシリーズの谷口 悟朗監督から、「天空のエスカフローネ」、「ノエイン もうひとりの君へ」の赤根 和樹監督へとバトンタッチしています。個人的にはもうこの時点で胸熱なのですが、現在も愛されているTVアニメシリーズ終幕から第一章公開までに実に4年と時間も経っていたせいか、公開当時の私は他のアニメへ浮気していた事もあり、華麗にスルーしていました。。

...話を戻します。ビジュアル面について、本編に登場するメカニックのうちナイトメアフレーム (KMF) はTVアニメシリーズの『反逆のルルーシュ』『R2』では、ほとんどアニメーターによる手描きでしたが、本作ではオレンジが参加していることもあり、同社によるCG描画になっています。ここが大きなポイントです◎

本作の一番の魅力はOVAだからこそできる突出したビジュアルの美しさにあると私は思っています。一瞬コードギアスシリーズでは無い他作品を観ている感覚に陥る程、美しいです。キャラの作画についてはCLAMPのキャラデザの流麗で繊細な印象を更に活かした出来になっています。年齢別によるキャラの描き分けも素晴らしく、ここがTVアニメシリーズよりも優れている点かもしれないです。美形キャラだけではなく、歳を重ねた渋キャラが綺麗にちゃんと描かれてる。

背景は本作の舞台となるヨーロッパの文化と歴史を感じさせる空気感が上手く表現されています。森や平原、お城に町並みと、どこか上品な雰囲気が漂っていて、本当に素敵です。

そして、CGによるメカの表現がかなり自然で、上記の点と上手く調和を保っていることが一番の驚きでした。。特に冒頭の森での戦闘シーンは必見とも言えるほど美しく迫力があります。とにかく動きまくりで、2度ビックリ。

このビジュアルの衝撃は、個人的に『機動警察パトレイバー the Movie』や『フルメタル・パニック! The Second Raid』を観たとき以来の衝撃でした。とにかく凄いに尽きる。。

とここまで本編のストーリーの内容については触れませんでしたが、ここで少し触れておくと、本作はTVアニメシリーズの『反逆のルルーシュ』『R2』の間のお話で、時系列になっています。舞台はTVアニメ版では存在こそは明かされていたものの、実際にはほとんど登場しなかったE.U.での物語。主人公はルルーシュではなく、イレブンでありながら、E.U.の少年兵である日向アキト。本作での敵もどうやらブリタニアな様子。ヒロインでありE.U.の軍人であるレイラ・マルカルと共に、熾烈を極める強国ブリタニア軍との戦闘へと身を投じていくことになります。

ブリタニアといえば、TVアニメシリーズで描かれた皇帝シャルルの治める大国ですが、この『コードギアス 亡国のアキト』で登場するユーロ・ブリタニアはシャルルの血族では無いヴェランス大公(ユーロ・ブリタニア宗主)が治めるエリア。スタンドアローンで帝国最強にして皇帝直属の騎士であるナイトオブラウンズに匹敵する程の武力を持つ強豪エリア。なので、他エリアと比較しても一線を画している癖の強いエリアなのかも知れません。エリア総督をほぼ血族で固める皇帝シャルルとの関係も気になるところなので今後の展開にも期待ですが、二章の最後にスザクとあの男がE.U.の地に降り立ったことでブリタニア内部でも一波乱ありそうな予感です。

TVシリーズの魅力に、衝撃的な展開を衝撃的な早さで展開していくシナリオが挙げられるかもしれませんが、本作も伏線を幾十にも張り巡らしている印象なので、これからかなり期待出来ると個人的には思っています。大人も楽しめる劇的なピカレスク・ロマンに最高のビジュアル、これほどの力作は他に無いでしょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

タイトルなし

神聖ブリタニア帝国との戦いで劣勢の続くユーロピア共和国連合軍(E.U.軍)は、国を亡くしイレヴンと呼ばれる日本人を集め特殊部隊「wZERO」を設立。日向アキトはナイトメアフレーム、アレクサンダのパイロットとして生きるための戦いを続ける。TVシリーズ『コードギアス 反逆のルルーシュ』後の空白の1年を描く、ヨーロッパで起こったもう一つの、ギアスを巡る少年少女の物語が幕を開ける。


皇歴2010年、ユーロピア共和国連合、通称E.U.と長きにわたる戦いを続けていた神聖ブリタニア帝国は突如、極東の国、日本を占領、エリア11とした。これにより世界各地にいる日本人たちもまた、イレヴンとして亡国の運命を歩むこととなった。それから7年--。劣勢の続くE.U.軍は、正規の国民でないイレヴンを集め、生存率の極端に低い危険な作戦に立ち向かわせるための部隊、wZERO部隊を設立した。故郷と呼べる地もなく、日本人という名も奪われた中で、日向アキトは、wZERO部隊のナイトメアフレーム、アレクサンダのパイロットとして幾度目かの戦場に立つ。というあらすじ。


主人公は入野自由演じる日向アキト
坂本真綾演じるレイラ・マルカルといったいどういう展開を見せてくれるのか


{netabare}
皇歴2017年5月7日(革命歴228年フロレアル(花月)18日)、ペテルブルク奪還のためにユーロ・ブリタニア軍との戦闘に入ったE.U.軍132連隊は、その作戦に失敗したために四大騎士団の一つ聖ラファエル騎士団にナルヴァで包囲され、彼らの脱出路を確保すべく新型KMFアレクサンダを有する「wZERO」部隊が投入される。司令官アノウが兵士らに強要した自爆作戦により、彼らが次々と命を落とす中で戦局は悪化していくが、アノウのやり方に異議を唱えた参謀のレイラ・マルカルによる司令官権限奪取とアキトの獅子奮迅の戦いにより、132連隊の撤退は成功。この戦いにより「wZERO」部隊は「ハンニバルの亡霊」と呼ばれるようになる。
しかし、生還した兵士はアキトのみであった。ナルヴァ撤退作戦後、アキトは少尉から中尉に、レイラは「wZERO」の司令官にそれぞれ昇進。そして、佐山リョウ率いる成瀬ユキヤや香坂アヤノらイレヴンの少年グループがマフィアとの抗争に勝利後、ジィーン・スマイラス将軍誘拐作戦を決行するもアキトの働きによって全員が拘束され、戦闘員が不足している「wZERO」に入隊することとなる。一方、ユーロ・ブリタニア軍では四大騎士団の1つである聖ミカエル騎士団総帥、ミケーレ・マンフレディが側近のシン・ヒュウガ・シャイングのギアスによって自害させられていた。
{/netabare}


主題歌
モアザンワーズ 坂本真綾
第1章から第3章まで
作詞が岩里祐穂、作曲・編曲が菅野よう子というゴールデンコンビ。
坂本真綾様の物憂げな感じの歌声がたまらん。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0

67.5 5 3DCGで戦争なアニメランキング5位
GODZILLA 星を喰う者(アニメ映画)

2018年11月9日
★★★★☆ 3.7 (53)
216人が棚に入れました
アニメーション映画『GODZILLA』(通称:アニゴジ)がついに最終章を迎える。

二万年後の地球で繰り広げられた、<ゴジラ>とそれに抗う人類の物語。最終章『星を喰う者』では、超科学が生み出した<メカゴジラシティ>をも焼き尽くし、地上の覇者となった究極の生命<ゴジラ・アース>と高次元怪獣<ギドラ>が相まみえる。

『アニゴジ』の誕生は2017年。これにより『ゴジラ』は新たな領域へ足を踏み入れた。同年11月公開の第一章『GODZILLA 怪獣惑星』はゴジラ映画史上初の3DCGアニメーション作品であり、その映像体験は大きな驚きと称賛をもって迎えられ、第二章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は、アニメーションならではの<メカゴジラ>の新解釈で観客を圧倒した。

そして最終章では、虚空の神<ギドラ>と破壊の王<ゴジラ>がついに激突。戦いの果てに待つのは、人類への啓示か。

監督は、昨年公開の劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』で邦画年間興行収入ランキング1位を獲得し、確かな演出力を遺憾なく発揮する静野孔文と3DCGの第一線で培われた手腕を『シドニアの騎士 第九惑星戦役』、『亜人』、『BLAME!』で磨きあげ、余すことなくその魅力をフィルムに焼きつける瀬下寛之が務め、両者の最高のコンビネーションは最終章でも見事に発揮されている。ストーリー原案・脚本は、『魔法少女まどか☆マギカ』や『PSYCHO-PASS サイコパス』などで知られる虚淵玄が担当。観る者全てを出し抜く突破力抜群のアイデアに今作でも驚かされるのは間違いない。

制作は米国エミー賞最優秀賞(デイタイム・エミー賞アニメーション番組特別部門最優秀賞)を4度受賞を果たし、直近では「スター・ウォーズ」シリーズの最新アニメーション作品「Star Wars: Resistance」を手掛けるなど、国内外から高い評価を得ている3DCGスタジオ、ポリゴン・ピクチュアズ。


声優・キャラクター
宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、小野大輔、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘、上田麗奈、小澤亜李、早見沙織、鈴村健一
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

『ゴジラ』が食い散らかしたテーマをSFとして総括した力作。

人類&ビルサルド&エクシフの三種族共同戦線が、
怪獣化した地球の奪還を目指してゴジラに戦いを挑む“アニゴジ”三部作の最終章。

昨今の世界における怪獣映画の再興については、
童心に戻って怪獣を楽しむ気持ち半分、斜に見る気持ち半分。
そんな捻くれた私にとっては、『ゴジラ』映画が繰り広げて来たお祭りの中で、
怪獣とは?怪獣退治とは?ゴジラに通用するのは科学か?伝承か?人類はどうあるべきか?
等々、整理されぬまま散乱したテーマを、硬派なSFの枠組みで、
角度を変えて諸要素を考察したりして、再構築を試みた本劇場版シリーズは、
有意義な思索に耽ることができた刺激的なSF映画鑑賞でした。

最終章はバトルそっちのけで時に心象世界も交えた
哲学的な問答が応酬される場面が特に多かったのですが、
私は食い入るように見入ってしまいました。


ただ、やはり明快な怪獣映画として観るのは全くオススメできません。
だって三部作通じて例えば……
{netabare}ビル群や名所を破壊するゴジラの勇姿が観たい。
都市じゃない二足歩行のメカゴジラが観たい。
この世界の物理法則に則った、首だけじゃなく、ちゃんと胴体もあるキングギドラが観たい。{/netabare}
こんな『ゴジラ』ファンとして求めて当たり前の権利すらSFに蹂躙されるw

第一部・人類の知恵と勇気、第二部・マッドな狂気を含んだ科学と
ゴジラに立て続けにぶつけて、
特に第三部に至っては、カルトな狂信を含んだ宗教が出張って来るわけです。

私としては、カルトじみた宗教の描き方にしても、
人類文明が説明できない現象をカルトと断じるのは、
人類がその現象を理解できるレベルにないからである。
さらに進歩した文明は神への信仰による奇跡をも数学的に説明できる。
などとキチンとSF設定として組み上げられており、
それらを骨組みにして具現化した脅威(即ち{netabare}ギドラ{/netabare})には、
背筋が凍る迫力を感じました。

けれどSFに興味ない方にとっては、怪獣プロレス見物に胸躍らせて劇場に足を運んだら、
怪しげな宗教勧誘ビデオを見せられたwといった感じでトラウマにすらなりかねないので、
鑑賞の際は、自らの視聴動機と本SF映画との
折り合いの目処を立てて行くのが必須だと思います。


本三部作を展開した時期も尚早だと感じました。
例えば、魔法少女が消費し尽くされ、ブームも底を打った所へ、
諸要素を逆さに見たり、SFも交えて再構築してみたりすれば、
それはブレークスルーになり得ます。

が、『ゴジラ』の場合は、2014年に二度目のハリウッドリメイクが成功し、
2016年に日本で『シン・ゴジラ』の大ヒットがあって、
2019年公開予定のハリウッド版続編『~キング・オブ・モンスターズ』と
再興した怪獣映画の収穫期へと向かう上り坂の途上。

そこでゴジラの周辺に転がった諸々のテーマをSFとして冷静に振り返っても、
ゴジラに熱狂していく人々にとっては水を差されかねないタイミング。
私も怪獣バトル要素が悉くお預けにされて、
これは興行的には上映前に予告編が打たれた『~キング・オブ・モンスターズ』が
全部持って行くパターンかな?と苦笑してみたりw


とは言え、再興した『ゴジラ』ブームもやがて踊り場に至り下り坂に向かうでしょう。
パーティーの後で、取り残された人々の耳元に、
実はこんな渋いSFゴジラもあるんですよ♪と囁いてみる。
本作はそう言うポジションの映画だと感じますw

だから私としては本作を良作SFとして評価し語り継ぎつつ、
来たるべき終焉の時を待ちたいと思いますw
(但し怪獣映画ファンの端くれとしては、ブームの終わりは勿論来て欲しくないので、複雑な心境ですw)


以下、一部、時事ネタや私見も交えたキワドい感想&考察長文。

{netabare}人類文明の過ちが怪獣を生んだのではない。
そもそも人類は怪獣を生み出すための前座に過ぎなかったのではないか?

冒頭から虚淵玄氏&ニトロプラスとその一味による
逆からテーマを再構築する伝統の捻り技に脳汁を分泌させられた最終章。

前作で提示された決して倒せないからこそ怪獣という視点も交えつつ、
加速するSF設定はやがて、文明とは興隆と栄華の果てに
怪獣を生み出し滅び去ると言う宇宙観に到達。
主人公は無敵のゴジラとの死闘に加え、
エクシフの信仰や宇宙観から滅びの運命を受け入れ、心地よい終焉を迎えるよう迫られ、
心身共に過酷な状況に追い込まれる。
次第に、主人公はゴジラ相手に単純な勝ち負けとは異なる道。
敗北する運命との向き合い方等を自問するようになり……。


世界にとって普遍的な文明論を投げかける一連の流れの中で、
私が異彩を感じたのは、主人公とエクシフの司教が心象世界で対峙する中で、
やがて破滅する運命にある文明のイメージとして、
“ヒロシマ”や“ナガサキ”を連想させる入り組んだ島国と思しき地形に炸裂する
原子爆弾のキノコ雲と言う、ローカルな題材が提示されたこと。

日本人にとっては“ヒロシマ”や“ナガサキ”は確かに進化し過ぎた文明がもたらす
悪夢や破滅の代表的なイメージです。
ところが世界にとっては、ある人は“ヒロシマ”や“ナガサキ”の悲劇の詳細なども知らなかったり、
原爆など大きな爆弾程度の認識だったり……。
さらに一部の戦勝国(と思っている方々も含む)にとっては、かのキノコ雲、
特に日本に上がったそれは勝利確定や解放の祝砲だったりもします。
先日も、キノコ雲に抱くイメージの相違に起因する騒動が持ち上がったばかり……。

さらに本作はエクシフの司教への抵抗として、
モスラがエノラ・ゲイと思しき重爆撃機を撃墜する、
一部米軍遺族等にとっては噴飯物?のイメージも展開。

そして葛藤の末、披露されたラストの、
美化された特攻映画の如き?ゴジラへの単機突撃。

こんなローカルな日本のネタや思考法で、
普遍的なテーマをNetflixを通じて世界へ発信しても、
一体どれ位の方が理解してくれるだろう?と訝しんでいた私ですが、
やがて『ゴジラ』は日本のローカルな土壌から生まれた作品だと、
スタッフは暗に主張したかったのでは?との仮説も芽生えて来ました。


そこで私が思い出すのは初代『ゴジラ』
水爆実験による第五福竜丸・被爆事故から着想を得たという製作エピソードの流布により、
進歩した人類科学文明による環境破壊への怒りを具現化した
反核怪獣映画とのイメージが一般化している初代『ゴジラ』

ですが私がもう一つ重視するのは昭和二十九年という製作・公開年代。
米軍の焼夷弾により東京が焼け野原と化してから間もなく十年。
東京の街を眺めると一見綺麗で、戦後復興も順調に進んでいるように見える。
けれど敗戦の記憶は未だ人々の心に燻り続けている。

どうにか心の荒廃をなだめて、取り繕った東京の街並みが、
ゴジラによって再び破壊され火の海となる惨劇。
展開される地獄絵図はまさに十年前の大空襲の再来!?

これはもう日本人は敗北や喪失に対して狂気するか、達観するか、墜ちるか。
もはや悟りでも開くしかない、いたたまれない心境。

この敗北感の二段重ねもある点こそが、
私が未だに『ゴジラ』映画は初代が原点にして頂点と信じる理由の一つ。

当時鑑賞した900万人超の日本人がゴジラに抱いた原点の絶望感を説明し切るには、
敗北を重ね、追い打ちをかけられたと言う、
二次大戦での敗戦経験も含めた日本人のローカルな心情の表現が欠かせないのではないか?

こうした視点に立った場合、
一度ゴジラに敗れて地球を追われた人類が再戦を挑んでは跳ね返される。
という敗北を重ねる基本設定の上に、
敗れ続ける人々の心境を日本人特有の?敗北感や死生観も交えて、
ラストに向けて最大化させていく構成は、
これも、ある意味、『ゴジラ』の原点をリスペクトして
世界に向けて誤解や白眼視も恐れず発信した、
勇気ある試みだったと私は受け止めています。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

あっけない幕切れ

このアニメ映画は、ゴジラシリーズで初の長編アニメーション映画
として制作された作品である。ちなみに、このアニメ映画は3部構成と
なっており、今作はその三作目にあたる。
地味に、専門用語が多いので、それの事前知識を踏まえたうえで
視聴したほうが、比較的スムーズに理解しやすいと思われる。

前作のラストから続いているので、あらすじは省かせていただく。

全体を通した感想だが、今までの2作を全て台無しにしている
としか思えない中々酷い出来だった。ゴジラよりも人間に焦点を
当てていることはひしひしと伝わってきたのだが、
結果として悪い方向へ進んでいったようにしか思えなかった。

良かったところを挙げるとするならば、ギドラのデザイン位だろうか。
かなりスタイリッシュなイメージがあるが、ゴジラアニメにおいては
これで正解だったと言える。

前作よりも明らかに、ゴジラの出番は少なくなっていた。
怪獣バトル要素はほぼ皆無といっていい。一応、戦闘シーン
は用意されているが、非常に味気なく、見所は一切ないので
睡眠時間に利用する視聴者が続出しても不思議ではない。

私自身劇場で見てはいないが、仮に隣の席に座っていたおじさんが
爆睡をしていたとしてもサイレン並みにうるさいいびきを
かいていない限りは起こすことはしないだろう。

なんせ、ギドラに至っては、ただゴジラの体に巻き付いている
だけなのだ。ゴジラvsビオランテでも似たようなシーンが
あったが、特に違和感なく視聴でき作品に没頭することが出来た。
今作のギドラ戦においては何の感情もわいてこない。
任天堂のゲーム、ポケットモンスターに登場するウツボット
による巻き付きの方がよっぽど怖いように見えるのは私だけだろうか。

(一応)痛そうな雰囲気は伝わってくるが、見方を変えれば
マッサージをしているようにも見えるので、誤解を招く
可能性もある。ギドラがゴジラへ向けて、直接光線を放てば
その点は払拭されるのだが、その辺りは議論しなかったのだろうか。
予算が足りなかったという事でいいのかな?

人間ドラマに関してだが、魅力的なキャラクターがいない上に
掘り下げが全くと言っていいほどされていないため、没頭するのは
困難を極めた。そもそも、冒頭から眠気を誘われる会話が
延々と続くので、人によっては眠眠打破などといった
眠気覚ましドリンクを常備する必要が出てくる。

前作では割と好印象だった主人公だが、今作はそこまで惹かれる
ものがない。最後のシーンも共感しづらいものがあったし。
終始コメディアンを貫くことは難しかったから、あの判断
を下したのかな?と自らを納得させることにした。
要は只のこじつけである。

今後も、虚淵氏脚本のゴジラ映画を作る予定はあるのだろうか?
もし上層部内に一人でもその気があるのなら、止めたほうが良い
とだけ告げておく。
この様な作風を求めているゴジラファンは、相当限られている上に
二度も同じ手が通用するとは到底思えないからだ。
一定のファンはつくだろうが、今まで以上に酷評が
溢れかえるリスクの方が高い。

そうなった時どのような対処をするのか、興味本位で見て
みたくはあるが、今後のゴジラ作品に悪影響を及ぼす
可能性がある。ここで手を引くのが賢明な判断だろう。
虚淵ゴジラはこれっきりにしてもらいたいというのが私からの想いだ。

良くも悪くも虚淵色が非常に強いゴジラアニメとなっているため、
虚淵ファン以外は観ないことを推奨する。
今までのゴジラアニメを心の底から楽しんでいる人なら
特に問題なく見れる作品だと考えている。
私からは無理に勧めない。

先にゴジラキングオブモンスターズを見たのでそっちの感想も。
2014版のゴジラよりも明確なバトルシーンが増え、臨場感ある
仕上がりとなっていた。当然のことながら、こっちのギドラは
光線をきちんと吐いてくれるので戦闘面で
退屈することはなかったように思う。初代のオマージュとも
いえるシーンが挿入されているのも大きなポイントとなる。
やはりゴジラはこうでなくちゃ。

冷静に思い返せば、ストーリーは少しばかしおかしなところがあったが、
それを差し引いても心の底から楽しめるゴジラ映画であった。
機会があればまた一度視聴してみたいものである。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

勝者と敗者、畏怖と憎悪

三部作目

まぁ前作で衝撃の結末でしたからね
まさか死ぬなんて...

Q 前回のレビューであんだけ「次作みるの躊躇う」とか言ってたのに
A 厄介オタクの謎精神により

ということで「なんか知らんけど見なきゃいけない気がする」という使命感にかられ視聴。ここまでくるとツンデレですね
「べ、別にあんたなんか嫌いなんだから!(チケット購入)」
需要が無さすぎる

さて本編へ。
まぁシルエットがあれですから前回のラストのギドラ宣言はそういうことです
ギドラVSゴジラなんてものすごいありきたりですが、実際私は見たことないので「ついにゴジラとギドラの戦いを目にするのか...」と思っていました
{netabare}結果は虚無の王として五感でしか存在しないチート怪獣。勝ち目ないやん終わったと思ったらまさかの眼帯。もうなんでもありかな。{/netabare}
ここまで来たら二部作目も三部作目も変わらないのですが、一応興味を惹かれるシーンはありました。

それは結末。
{netabare}ハルオくんがユウコちゃんを抱えvultureで自爆したシーン{/netabare}
これが意味が分からない
見てない方は是非意味を理解しようとしながら頑張ってみてください。
{netabare}とはいってもある程度の予想はついてるんですよ
「ハルオはGODZILLAを滅ぼすことより苦痛からの解放を望んでいた」ということをメトフィリスに教えられ、一度は否定したもののそれが気がかりだったところを、博士が修復してしまい人間の醜さを再認識し、人間の愚かさの象徴とともに、大切な人とともに、GODZILLAに唯一従わなかった最後の一人として自爆。
人間の歴史をすべて無に帰した

ということでしょう?でもそれって矛盾ありません?
マイナちゃんに「憎むか?」と問いかけたということは少なくとも自分には憎悪の感情があったということであり、返答曰く彼女らには畏怖の感情のみだった
であればわざわざ運命からの解放の送迎者として憎悪の象徴を選ぶでしょうか。
二部にて合理的判断より感情的判断をしたせいで復讐を果たせなかったハルオがなぜ人類を存続させるという合理的思考にいたったのか。もし自己の解放という利己的な理由をメインにしたとしてもvultureを引っ張り出す理由が説明つかない。
論理的思考と倫理的思考を履き違えてるのかな、とも思いましたが最後には笑ってました
果たしてハルオの最期は言か人かどちらに従ったのでしょうかね
{/netabare}


「この星を一番愛していたのは一体誰だったか」ということで締めます

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

69.7 6 3DCGで戦争なアニメランキング6位
RWBY Volume3(日本語版)(OVA)

2016年12月21日
★★★★☆ 4.0 (30)
286人が棚に入れました
人類は元来持っているその強さと賢さによってダストという力を発見する。ダストによってグリムという脅威である存在を退けることに成功した人類は、ついに訪れた平和な時間を謳歌していた…。15歳の少女ルビー・ローズ(Ruby Rose)はグリムを退治する存在であるハンターに憧れ、ハンター養成所であるビーコン・アカデミーへと入学を果たす。ビーコンにてチームRWBY(ルビー)のリーダーとなった彼女に様々な苦難が襲い掛かるが、そんな苦難を仲間と乗り越えていくとともに徐々に成長していく。

声優・キャラクター
早見沙織、日笠陽子、嶋村侑、小清水亜美、下野紘、伊藤静、洲崎綾、斉藤壮馬、前野智昭、中島ヨシキ、潘めぐみ、川澄綾子、甲斐田裕子、三木眞一郎、井上麻里奈、緑川光、中村悠一、井上和彦、浅野真澄、てらそままさき、平田広明、堀内賢雄、井上喜久子

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

When! It!! Faaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaalls!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

2015年秋~2016年冬に掛けてyoutube他web上にて公開された米国Rooster Teeth社の3DCGアニメ『RWBY』の第3シーズン全12話
(現在も無料公開されています)
『vol2』に引き続き日本語版が制作されました
ちなみに前作までのあらすじとか無いので『trailer』『vol1』『vol2』までの視聴は最低でも必須です


2015年1月、我々『RWBY』ファンを深い悲しみが襲いました・・・
シリーズの産みの親であるMonty Oum監督が急逝されたのです
当然、製作現場では混乱があったようで、一時期は『vol3』の完成も危ぶまれました
しかしMonty監督の意志を受け継いだRT社スタッフの尽力によって『vol3』は日の目を向かえることが出来たのです


まず、勘違いの無きように留めておいてほしいのですが、Monty監督夭折の前に全体のシナリオ構想は既に完成していたようです
監督が亡くなったことでストーリーが迷走する、といったことは無いようですのでご安心を


しかし今作、アクションシーンのモーションに関してはやはり試行錯誤が見受けられます
『RWBY』のアクションシーンは、Monty監督のセンスの賜物によるものだったことが改めて思い知らされるわけです
具体的にはエピソード毎でアクションシーンの演出がだいぶ異なってくるのがこの『vol3』です
物語は『vol1』の時から散々言われていたヴァイタルフェスティバルのトーナメントに突入し、ほぼ毎話に戦闘シーンがあります
その演出や動きのテンポ感が話数によってだいぶ違うのです
どうも複数の制作班が同時並行式に制作しているようですね


ですがご安心を
物語の終盤に差し掛かる頃にはMonty監督をも凌駕せんというアクションをRT社のスタッフ達は見事にモノにしてきます
さらに技術的な向上もありエフェクトやカメラワークの類に至っては『vol1』や『vol2』を上回る完成度です
キャラクターは一気に倍に増え、モブや背景のディティールも作り込みもさらに細かくなっていく
(ちなみに動く必要の無いモブがモデリングではなく作画なのは『アルペジオ』でもやってましたね)


また、既に本国版BDを購入したファンの報告にはあったのですが、WEB版からBD版へのマスタリング時に施されたリテイクがかなり大量にあります
主にアクションシーンでのブラーの掛け方などのエフェクト類が綺麗に掛かっており、WEB版でイマヒトツかな?と思っていたシーンも迫力やスピード感が増していてほとんど別モノと言っていいです
オイラはCrow vs Winter戦やRWBY VS FNKI戦の印象がだいぶ変わりましたよ
楽曲の差し替えというか、少しアレンジとマスタリングとタイミングを変えたのも良かった
正直WEBで無料で観られるからいいや、で済ますのはもったいなさ過ぎます


ああ、ちなみに公式発表されてませんがチームFNKIの一人でローラーブレードとサイリウムヌンチャク(笑)で戦うNyan Cat(というYouTubeで謎の世界的ヒットを記録したボカロ曲)を擬人化したNeonタソの吹替声優は『響け!ユーフォニアム』で夏紀先輩を演じた藤村鼓乃美さんなので注目して欲しいところです


あとこれはvol1、vol2のページに書き忘れたのですが、この日本語吹替版は現在視聴可能な世界中全てのWEB版、米国公式BDパッケージ含めたどのどのバージョンの『RWBY』よりも高画質に収録されております
音声に至っては5.1ch化されており、吹替版はさらにリマスタリングされています
原語ver派もこの日本語吹替版BDは入手の価値あるわけです


お話も大きく動き、起承転結で言えば転、序破急で言えば破、『スターウォーズ』で言えば『シスの復讐』です
劇場でオイラは後半1時間涙が止まりませんでした;;
散々名前だけが語れていたCrowおじさん、Winterお姉さま、Taiyangパパも遂に登場します
そして、前作でビーコンにまんまと潜入したCinder一味がいよいよその悪しき計画を実行に移します
前作にも増してエピックでスペクタクルな展開にご期待下さい


ちなみに原語版は10/22よりいよいよ『vol4』の公開がスタートします
この機に『vol3』までチェックしていただければ、この『RWBY』というビッグウェーブに乗ることが出来るのです
乗るしかねぇ!この波にぃっ!!!


Ruby Rose(ルビー・ローズ)早見沙織
Weiss Schnee(ワイス・シュニー)日笠陽子
Blake Belladonna(ブレイク・ベラドンナ)嶋村侑
Yang Xiao Long(ヤン・シャオロン)小清水亜美
Jaune Arc(ジョーン・アーク)下野紘
Nora Valkyrie(ノーラ・ヴァルキリー)洲崎綾
Pyrrha Nikos(ピュラ・ニコス)豊口めぐみ産休の為→代役 伊藤静
Lie Ren(ライ・レン)斉藤壮馬
Ozpin(オズピン)井上和彦
Glynda Goodwitch(グリンダ・グッドウィッチ)浅野真澄
Sun Wukong(サン・ウーコン)前野智昭
Penny Polendina(ペニー・ポレンディーナ)潘めぐみ
Roman Torchiwick(ローマン・トーチウィック)三木眞一郎
Cinder Fall(シンダー・フォール)甲斐田裕子
Neptune Vasilias(ネプチューン・ヴァシリアス)中島ヨシキ
Emerald Sustrai(エメラルド・サストライ)井上麻里奈
Mercury Black(マーキュリー・ブラック)緑川光
Coco Adel(ココ・アデル)伊藤静
James Ironwood(ジェームズ・アイアンウッド)てらそままさき
Adam Taurus(アダム・トーラス)中村悠一


↓『vol3』からの新キャラ&吹替キャスト↓
Winter Schnee(ウィンター・シュニー)川澄綾子
Qrow Branwen(クロウ・ブランウェン)平田広明
Taiyang Xiao Long(タイヤン・シャオロン)堀内賢雄
Salem(セイラム)井上喜久子


ちなみにオイラのイチオシはココ姐さん、それとちゃんニオことニオポリタンです^^b

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9
ネタバレ

lll1 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ここまでが序章

 「Volume1」と「Volume2」は視聴済みです。
  ()内の文は、別に読まなくても構いません。

 この「Volume3」はRWBYにおける転機です。アカデミーでわいわいやっていただけでしたが、ようやく物語が大きく動き出します。1と2観てハマらなかった人も3までは観て欲しいなと思います。

 一番伝えたいことがネタバレになってしまうので、最後に書きます。

 日本風のアニメーションを作ろうということで始まった今作。影響を受けている描写は随所にみられる。RWBYの好きなところをいくつか紹介します。

 まずは、キャラクターです。非常に魅力的です。個性がそれぞれにしっかりあるし、心理描写も"心の声"を使わずにしっかりと表現できています。
 (けっこう色々なレビューで言ってると思うけど、"心の声"大嫌いなんですよ。例外もあるけど、登場人物の考え・思いを説明する必要なんてない。登場人物の心理は人物の行動だったり、仕草、セリフ、表情なんかから、視聴者が読み取っていくべきもの。漫画はそれが制約されてるから、頻繁に使われるけど、映像は別。動きや声があるんだから、それで表現するべき。わざわざ入れてテンポ崩したり、説明的にするのは好きじゃありません。)
 登場人物の数は多いけど、視点はしぼってるから、割とまとまりはとれてます。覚えるべき重要人物の数はさほど多くないです。男性キャラクターも多くて、そしてまた、大人も多いのがとても良い。

 次にアクション。良かったです。けど、私自身が飽きてきたのかな。1や2程の驚きを感じなかった。でも、良かったです。

 そして、日本のアニメの真似をしてほしくなかったところが一つだけあります。盛り上がるシーンでボーカル付きの音楽をかなり流すところです。あんまり好きじゃない。重要なセリフとかは言ってないシーンだから良いんだけどね。(日本のアニメ、セリフとボーカル被せるから・・・)

 音楽は、そこまでかな、聞いてて良いなって思えるのは特にない。まぁ音楽は、完全に個人の好みだと思ってます。音楽の評価をマイナスにするときは相当な理由があったときだけです。

 声優は英語か吹き替えどちらを評価していいのか、わからないので、意見を述べるだけで。英語版はね、監督や脚本家、プロデューサーなんかがやってるから、あまりよろしくない。向こうの声優さんもやたら声作ってて気持ち悪いし。
 吹き替え版は良いと思います。早見沙織とか、似たような役しかやらないから、ルビーの演技は普段と違ってて好きです。日笠陽子は、今作では似たような役ですね。どれ観ても日笠陽子はワイスみたいな役やってるから、最近ちょっと嫌になってきた笑。

 最後にネタバレ。ストーリーについてです。
 {netabare}
 単刀直入に言うと、死人がでます。今まで、RWBYを観てても、「どうせ生き残るんだろうな」とか「なんやかんやで敵逃げるんだろうな」とか思ってて、緊張感が無かった。
 しかし、今作ではそれが生まれました。素晴らしい。

 ストーリーは、まぁまぁって感じです。スタッフ曰くまだ序章なんでね、登場人物死んで、ようやく、主人公側も敵側も本格的に動き出すよってところです。
 これからに期待。
 {/netabare}

 最終評価は 6 / 10点です。

 DVD借りてもらうと、特典結構あるので、興味があったらどうぞ。ただ、本編最後まで観てから、特典観てね。めっちゃネタバレしてるから。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
ネタバレ

しゅりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

衝撃のVol.3

アメリカ発の3DCGアニメ、RWBYのVol.3
2016/12/3(土)より2週間のイベント上映とのことで、
レビューの投稿が遅くなりイベント上映は今日入れて3日残すのみという
こんなタイミングで言うのも申し訳ありませんが、もし可能であるならば
劇場での観賞をおススメしたいアニメです。
なぜならこのボリュームのアニメを劇場で観賞する機会など
そうそうないからです。

前作Vol.2でも150分を超えていた上映時間ですが
Vol.3は180分に届かんとする内容になっています。
予告の時間など含めれば確実に3時間以上劇場の席に座っているという状況は
アニメ映画としては珍しいのではと思います。
その分、お手洗いなどは万全に済ませて視聴したいですね。
ちなみにVol.2では声優さんの台本が他のアニメに比べてやたらと厚いという
エピソードがありましたが、Vol.3はさらに内容が多いために台本が2冊になったのだとか。


物語としてはVol.1から話に出ていた
ヴァイタル・フェスティバル・トーナメントという
ハンターを目指す学生たちのトーナメントと
その裏で暗躍していたシンダー達の起こす大事件がメイン。
トーナメントのお祭り騒ぎとその裏にある陰謀というのが
何とも80年代以降に少年ジャンプで連載されたバトル物の漫画らしい感じです。


本作Vol.3はその完成前にRWBYのクリエイター、モンティ・オウム監督が亡くなられるという
悲しい出来事があったと伺っていますが、それを乗り越えて
このような大作を制作されたRT社制作陣の皆様には心より敬意を表します。
モンティ・オウム監督の不在によりVol.1、Vol.2とは
戦闘シーンの描写にだいぶ変化があり、本国のWEB公開時の
トーナメントにおける戦闘シーンはちょっと物足りないものがあったとは感じています。
ただ、WEB公開時でも本編後半の戦闘シーンは十分な迫力があったと感じられましたし、
今回の日本語吹き替え版にあたり、全体の戦闘シーンがかなり修正されているようですので
そこは余裕があれば一度見比べてみたいと思っています。


吹き替えについては主人公ルビーの叔父、クロウを演じる平田広明さんの
おじさんっぷりがとても聴きごたえがあり好印象です。
個人的に吹き替えで一番好きな台詞は前野智昭さん演じるサンの台詞
「もう、いい加減にしてちょうだい」なのですが...
もちろん全体を通して声優陣の名演が光る内容となっており
吹き替えの日本語演出をされた打越領一さんのセンスには度胆をぬかれます。
本作は個人的に劇中音楽がVol.1~Vol.3で一番聴きごたえのある
シリーズだと思っていますので、吹き替えと合わせて耳が幸せな気分です。
{netabare}ただ、サウンドトラックで音楽を聴かれる方がいらっしゃいましたら
先ほどのサンの台詞直前の戦闘時に流れる「I May Fall」という曲は
なぜか「Vol.1」のサウンドトラックに収録されていますので
気に入った方は気を付けていただければ。{/netabare}


Vol.3のストーリーによってRWBYの序章は終わり、Vol.4からは
また新しいストーリーが描かれていきます。
Vol.3の後半はそんな序章の終わりに相応しい衝撃を持っていますので
ご興味ある方は是非ご覧ください。
そしてVol.4以降も日本語吹き替え版で視聴できるよう期待しましょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
ページの先頭へ