3DCGで戦いなアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の3DCGで戦いな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番の3DCGで戦いなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

70.0 1 3DCGで戦いなアニメランキング1位
コードギアス 亡国のアキト 第1章「翼竜は舞い降りた」(アニメ映画)

2012年8月4日
★★★★☆ 3.7 (810)
4901人が棚に入れました
監督、脚本家、二人のプロデューサー――たった四人から、コードギアス』は始まりました。お金も、テレビ局も、出版社も、有名な原作も、何もないところからのスタートでした。それがテレビシリーズとして放映され、さらに続編の『R2』が深夜枠から夕方枠へと引き上げられたのは、多くのファンの応援のおかげでした。
あらためて感謝と御礼を言わせてください。本当に、ありがとうございました。最終回を終えた後、多くの方々から続編を望んでもらいました。それらの声に応えるにはどうすればいいのか。我々は再び集まり、話し合い、単純な「続き」ではなく「拡大」を選択することにしました。今回、その嚆矢として、赤根監督のギアスが実現することを、とても嬉しく思っています。今後、発表されていくだろう「拡大」も含めて、みなさんご期待下さい。

声優・キャラクター
入野自由、坂本真綾、日野聡、松岡禎丞、日笠陽子、藤原啓治、甲斐田裕子、川田紳司、茅野愛衣、石塚運昇、森久保祥太郎、小松未可子、瀬戸麻沙美、東山奈央、早見沙織、高森奈津美、伊瀬茉莉也、松風雅也、三宅健太、子安武人
ネタバレ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

赤根和樹 is come back ! 異国の地でぶつかり合う異邦人同士の血・・・ とりま【本家の事は忘れて下さい^^;】 to the "翼竜は舞い降りた"

実に4年の時を経て再始動したコードギアスシリーズの映像化作品第1弾


そもそもこのシリーズの続編を作って欲しいという声は古くから多数あったのですが、谷口監督をはじめとする旧メインスタッフの方々は完成されたシナリオに“単純な続き”を作るというつもりは無かったようで、今作のように“シリーズの世界観を広げる”という手法にあえて拘ったそうです


現段階で推測できる時間軸を考えると恐らく『無印』と『R2』の中間にあった空白の1年間に当たると思います








舞台となるのはブリタニアの猛攻に苦戦を強いられているにも関わらず、危機感の軽薄な貴族と世論の反応に慎重な政治家によって“荒廃した民主主義”がとられるユーロピア共和国連合
(『R2』中盤でユーロピア連合は著しく衰退していくのですが・・・)


ブリタニアの日本占領によって、国を追われることになったヨーロッパ滞在の日本人達
そんな肩身狭き日本人の若者のみで構成されたユーロピア特殊部隊の一人“日向アキト”
部隊を指揮する幼くも誇り高き軍人であり、頭脳と武勇を兼ね備えた美しい女性指揮官『レイラ・マルカル』
そして敵国ユーロ・ブリタニア内で暗躍し、アキトと同じ姓を持つ謎の男『シン・ヒュウガ・シャイング』


彼らの【守る国無きまま今日を生き延びるための死闘】が描かれるサバイバルアクション映画となっております







事前から告知されている通り、スタッフのほぼ全てが入れ替え
監督と脚本は『天空のエスカフローネ』以来の古巣であるサンライズ作品となった赤根和樹
同じく脚本には「バーディーに中野ブロードウェイを走らせたり」(http://www.anikore.jp/anime/1288)「佐天さんに補習を受けさせた」(http://www.anikore.jp/anime/1394)浅川美也
両者ともこれまでのコードギアスシリーズには一切関わったことはありません


今作でまず初めに目を引くのがナイトメアフレームの戦闘シーンがCGとなったことですね


テレビシリーズでは中田栄治、中谷誠一を中心としたメカ作画を得意とするアニメタの技量によって支えられていたメカニックアクションでしたが、今作の赤根監督は『ジーンシャフト』や『ヒートガイジェイ』などのサテライト作品時代のCGアニメ成長期よりメカ描写には3DCGを用いていたこともあり、上記の赤根作品や『アクエリオン』『マクロスF』など一連のサテライト作品、それと『インフィニット・ストラトス』等でもCG監督を務めた井野元英二が率いるチーム“オレンジ”が全てのメカ描写を担当
(オレンジつってもジェレミアじゃねーおw)


これが大変素晴らしく、テレビシリーズとは全くと言っていいほど異質な凄まじくスピード感に溢れる戦闘描写になっており見どころです!


ただ逆説的に捉えると、ユーロピア下で開発されたという主人公が駆る新型ナイトメアフレームの動きなのですが、これまでオイラ達が観てきたナイトメアという陸戦兵器(あるいは『R2』でのアニメらしいキャラクター性をわざと強調したスーパーロボット感)というそれらの概念を打ち破るような独特なものであります;


ナイトメアの特徴とも言える車輪による高速移動はせず爬虫類のように4足歩行で地を這ったり
スラッシュハーケン(ビルをよじ登ったりするときに打つアンカーです)や脱出装置を使用する描写も無く、世界観を引き継いでる作品にも関わらず違和感を覚えるかもしれません
(『R2』当時からユーロピアのナイトメアは独特の路線で描かれていましたが)


この辺りはメカデザにあきまんさんを起用した影響も出ていると思います


総作画監督にはこれまた旧テレビシリーズとは無縁だった島村秀一
これに関しては当人の技量とは別に、“単にキムタカさんの絵に似せているだけ”のような印象もありまして、セルソフト化の際に細かな(細か過ぎると言ってもいい)修正を加えるなど繊細な作画によって描かれていた旧テレビシリーズで目の肥えたファンにはクオリティダウンに見えてしまうかもしれません;


そして音楽も前作のダブルコンポーザーを潔くやめてJAZZYな楽曲を得意とする橋本一子の一択に
これは単純に好みだと思うのですが、前作なら黒石ひとみさんの幻想的なボーカル曲が流れるような切ないドラマシークエンスで普通にピアノソロが流れてくるのはある意味新鮮でした


前作の主題歌はタイアップ臭がわざとらしかったですが(好きだけどw)真綾と菅野よう子のタッグに託され非常に好印象


キャストには入野自由、坂本真綾、藤原啓治、甲斐田裕子、川田紳司、松風雅也といった赤根作品ではお馴染みの声優陣に加えて
端役に小松未可子、瀬戸麻沙美、東山奈央、伊瀬茉莉也などの若手が配されたことに前作からの時間経過を感じますね^q^








とにかくハッキリさせたいのは【反逆のルルーシュに思い入れのあるファンほど今作には期待を裏切られてしまう恐れがある】ことです
シェイクスピアを意識しつつも、結果的にはフィリップ・マーロウを引用することとなった前作と違い、改めてシェイクスピアと思しきシークエンスを混ぜ込んでみたり({netabare}お墓を建てると亡霊が出て来るシークエンスがそうじゃね?{/netabare})、谷口監督ならばまずやらんであろう『暗転の多用』とか、何から何までが“違う”ニューシリーズ


古きギアスを一時忘れ、「Newコードギアスを楽しんでみたい!」という勇気あるアニメファンにこそ扉を叩いて欲しいものです

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

zunzun さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

OVAだからこそ、多くの人に観てもらいたい力作。

待望のコードギアス アニメシリーズ新作。遅ればせながら先日ようやく視聴し終えました。

個人のレビュー順序から考えると、シリーズの原点である『コードギアス〜反逆のルルーシュ〜』にまず触れておくのが妥当でしょうが、敢えてここは、『コードギアス 亡国のアキト』を。それ程までに私にとっては印象的で素晴らしい作品でした。

と、息巻いていますが、本作、実はまだ未完です。ここでは現在までに公開されている第二章までのまとめレビューとさせて頂きます。

スタッフはTVアニメシリーズの谷口 悟朗監督から、「天空のエスカフローネ」、「ノエイン もうひとりの君へ」の赤根 和樹監督へとバトンタッチしています。個人的にはもうこの時点で胸熱なのですが、現在も愛されているTVアニメシリーズ終幕から第一章公開までに実に4年と時間も経っていたせいか、公開当時の私は他のアニメへ浮気していた事もあり、華麗にスルーしていました。。

...話を戻します。ビジュアル面について、本編に登場するメカニックのうちナイトメアフレーム (KMF) はTVアニメシリーズの『反逆のルルーシュ』『R2』では、ほとんどアニメーターによる手描きでしたが、本作ではオレンジが参加していることもあり、同社によるCG描画になっています。ここが大きなポイントです◎

本作の一番の魅力はOVAだからこそできる突出したビジュアルの美しさにあると私は思っています。一瞬コードギアスシリーズでは無い他作品を観ている感覚に陥る程、美しいです。キャラの作画についてはCLAMPのキャラデザの流麗で繊細な印象を更に活かした出来になっています。年齢別によるキャラの描き分けも素晴らしく、ここがTVアニメシリーズよりも優れている点かもしれないです。美形キャラだけではなく、歳を重ねた渋キャラが綺麗にちゃんと描かれてる。

背景は本作の舞台となるヨーロッパの文化と歴史を感じさせる空気感が上手く表現されています。森や平原、お城に町並みと、どこか上品な雰囲気が漂っていて、本当に素敵です。

そして、CGによるメカの表現がかなり自然で、上記の点と上手く調和を保っていることが一番の驚きでした。。特に冒頭の森での戦闘シーンは必見とも言えるほど美しく迫力があります。とにかく動きまくりで、2度ビックリ。

このビジュアルの衝撃は、個人的に『機動警察パトレイバー the Movie』や『フルメタル・パニック! The Second Raid』を観たとき以来の衝撃でした。とにかく凄いに尽きる。。

とここまで本編のストーリーの内容については触れませんでしたが、ここで少し触れておくと、本作はTVアニメシリーズの『反逆のルルーシュ』『R2』の間のお話で、時系列になっています。舞台はTVアニメ版では存在こそは明かされていたものの、実際にはほとんど登場しなかったE.U.での物語。主人公はルルーシュではなく、イレブンでありながら、E.U.の少年兵である日向アキト。本作での敵もどうやらブリタニアな様子。ヒロインでありE.U.の軍人であるレイラ・マルカルと共に、熾烈を極める強国ブリタニア軍との戦闘へと身を投じていくことになります。

ブリタニアといえば、TVアニメシリーズで描かれた皇帝シャルルの治める大国ですが、この『コードギアス 亡国のアキト』で登場するユーロ・ブリタニアはシャルルの血族では無いヴェランス大公(ユーロ・ブリタニア宗主)が治めるエリア。スタンドアローンで帝国最強にして皇帝直属の騎士であるナイトオブラウンズに匹敵する程の武力を持つ強豪エリア。なので、他エリアと比較しても一線を画している癖の強いエリアなのかも知れません。エリア総督をほぼ血族で固める皇帝シャルルとの関係も気になるところなので今後の展開にも期待ですが、二章の最後にスザクとあの男がE.U.の地に降り立ったことでブリタニア内部でも一波乱ありそうな予感です。

TVシリーズの魅力に、衝撃的な展開を衝撃的な早さで展開していくシナリオが挙げられるかもしれませんが、本作も伏線を幾十にも張り巡らしている印象なので、これからかなり期待出来ると個人的には思っています。大人も楽しめる劇的なピカレスク・ロマンに最高のビジュアル、これほどの力作は他に無いでしょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

タイトルなし

神聖ブリタニア帝国との戦いで劣勢の続くユーロピア共和国連合軍(E.U.軍)は、国を亡くしイレヴンと呼ばれる日本人を集め特殊部隊「wZERO」を設立。日向アキトはナイトメアフレーム、アレクサンダのパイロットとして生きるための戦いを続ける。TVシリーズ『コードギアス 反逆のルルーシュ』後の空白の1年を描く、ヨーロッパで起こったもう一つの、ギアスを巡る少年少女の物語が幕を開ける。


皇歴2010年、ユーロピア共和国連合、通称E.U.と長きにわたる戦いを続けていた神聖ブリタニア帝国は突如、極東の国、日本を占領、エリア11とした。これにより世界各地にいる日本人たちもまた、イレヴンとして亡国の運命を歩むこととなった。それから7年--。劣勢の続くE.U.軍は、正規の国民でないイレヴンを集め、生存率の極端に低い危険な作戦に立ち向かわせるための部隊、wZERO部隊を設立した。故郷と呼べる地もなく、日本人という名も奪われた中で、日向アキトは、wZERO部隊のナイトメアフレーム、アレクサンダのパイロットとして幾度目かの戦場に立つ。というあらすじ。


主人公は入野自由演じる日向アキト
坂本真綾演じるレイラ・マルカルといったいどういう展開を見せてくれるのか


{netabare}
皇歴2017年5月7日(革命歴228年フロレアル(花月)18日)、ペテルブルク奪還のためにユーロ・ブリタニア軍との戦闘に入ったE.U.軍132連隊は、その作戦に失敗したために四大騎士団の一つ聖ラファエル騎士団にナルヴァで包囲され、彼らの脱出路を確保すべく新型KMFアレクサンダを有する「wZERO」部隊が投入される。司令官アノウが兵士らに強要した自爆作戦により、彼らが次々と命を落とす中で戦局は悪化していくが、アノウのやり方に異議を唱えた参謀のレイラ・マルカルによる司令官権限奪取とアキトの獅子奮迅の戦いにより、132連隊の撤退は成功。この戦いにより「wZERO」部隊は「ハンニバルの亡霊」と呼ばれるようになる。
しかし、生還した兵士はアキトのみであった。ナルヴァ撤退作戦後、アキトは少尉から中尉に、レイラは「wZERO」の司令官にそれぞれ昇進。そして、佐山リョウ率いる成瀬ユキヤや香坂アヤノらイレヴンの少年グループがマフィアとの抗争に勝利後、ジィーン・スマイラス将軍誘拐作戦を決行するもアキトの働きによって全員が拘束され、戦闘員が不足している「wZERO」に入隊することとなる。一方、ユーロ・ブリタニア軍では四大騎士団の1つである聖ミカエル騎士団総帥、ミケーレ・マンフレディが側近のシン・ヒュウガ・シャイングのギアスによって自害させられていた。
{/netabare}


主題歌
モアザンワーズ 坂本真綾
第1章から第3章まで
作詞が岩里祐穂、作曲・編曲が菅野よう子というゴールデンコンビ。
坂本真綾様の物憂げな感じの歌声がたまらん。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0

67.5 2 3DCGで戦いなアニメランキング2位
GODZILLA 星を喰う者(アニメ映画)

2018年11月9日
★★★★☆ 3.7 (53)
216人が棚に入れました
アニメーション映画『GODZILLA』(通称:アニゴジ)がついに最終章を迎える。

二万年後の地球で繰り広げられた、<ゴジラ>とそれに抗う人類の物語。最終章『星を喰う者』では、超科学が生み出した<メカゴジラシティ>をも焼き尽くし、地上の覇者となった究極の生命<ゴジラ・アース>と高次元怪獣<ギドラ>が相まみえる。

『アニゴジ』の誕生は2017年。これにより『ゴジラ』は新たな領域へ足を踏み入れた。同年11月公開の第一章『GODZILLA 怪獣惑星』はゴジラ映画史上初の3DCGアニメーション作品であり、その映像体験は大きな驚きと称賛をもって迎えられ、第二章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は、アニメーションならではの<メカゴジラ>の新解釈で観客を圧倒した。

そして最終章では、虚空の神<ギドラ>と破壊の王<ゴジラ>がついに激突。戦いの果てに待つのは、人類への啓示か。

監督は、昨年公開の劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』で邦画年間興行収入ランキング1位を獲得し、確かな演出力を遺憾なく発揮する静野孔文と3DCGの第一線で培われた手腕を『シドニアの騎士 第九惑星戦役』、『亜人』、『BLAME!』で磨きあげ、余すことなくその魅力をフィルムに焼きつける瀬下寛之が務め、両者の最高のコンビネーションは最終章でも見事に発揮されている。ストーリー原案・脚本は、『魔法少女まどか☆マギカ』や『PSYCHO-PASS サイコパス』などで知られる虚淵玄が担当。観る者全てを出し抜く突破力抜群のアイデアに今作でも驚かされるのは間違いない。

制作は米国エミー賞最優秀賞(デイタイム・エミー賞アニメーション番組特別部門最優秀賞)を4度受賞を果たし、直近では「スター・ウォーズ」シリーズの最新アニメーション作品「Star Wars: Resistance」を手掛けるなど、国内外から高い評価を得ている3DCGスタジオ、ポリゴン・ピクチュアズ。


声優・キャラクター
宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、小野大輔、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘、上田麗奈、小澤亜李、早見沙織、鈴村健一
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

『ゴジラ』が食い散らかしたテーマをSFとして総括した力作。

人類&ビルサルド&エクシフの三種族共同戦線が、
怪獣化した地球の奪還を目指してゴジラに戦いを挑む“アニゴジ”三部作の最終章。

昨今の世界における怪獣映画の再興については、
童心に戻って怪獣を楽しむ気持ち半分、斜に見る気持ち半分。
そんな捻くれた私にとっては、『ゴジラ』映画が繰り広げて来たお祭りの中で、
怪獣とは?怪獣退治とは?ゴジラに通用するのは科学か?伝承か?人類はどうあるべきか?
等々、整理されぬまま散乱したテーマを、硬派なSFの枠組みで、
角度を変えて諸要素を考察したりして、再構築を試みた本劇場版シリーズは、
有意義な思索に耽ることができた刺激的なSF映画鑑賞でした。

最終章はバトルそっちのけで時に心象世界も交えた
哲学的な問答が応酬される場面が特に多かったのですが、
私は食い入るように見入ってしまいました。


ただ、やはり明快な怪獣映画として観るのは全くオススメできません。
だって三部作通じて例えば……
{netabare}ビル群や名所を破壊するゴジラの勇姿が観たい。
都市じゃない二足歩行のメカゴジラが観たい。
この世界の物理法則に則った、首だけじゃなく、ちゃんと胴体もあるキングギドラが観たい。{/netabare}
こんな『ゴジラ』ファンとして求めて当たり前の権利すらSFに蹂躙されるw

第一部・人類の知恵と勇気、第二部・マッドな狂気を含んだ科学と
ゴジラに立て続けにぶつけて、
特に第三部に至っては、カルトな狂信を含んだ宗教が出張って来るわけです。

私としては、カルトじみた宗教の描き方にしても、
人類文明が説明できない現象をカルトと断じるのは、
人類がその現象を理解できるレベルにないからである。
さらに進歩した文明は神への信仰による奇跡をも数学的に説明できる。
などとキチンとSF設定として組み上げられており、
それらを骨組みにして具現化した脅威(即ち{netabare}ギドラ{/netabare})には、
背筋が凍る迫力を感じました。

けれどSFに興味ない方にとっては、怪獣プロレス見物に胸躍らせて劇場に足を運んだら、
怪しげな宗教勧誘ビデオを見せられたwといった感じでトラウマにすらなりかねないので、
鑑賞の際は、自らの視聴動機と本SF映画との
折り合いの目処を立てて行くのが必須だと思います。


本三部作を展開した時期も尚早だと感じました。
例えば、魔法少女が消費し尽くされ、ブームも底を打った所へ、
諸要素を逆さに見たり、SFも交えて再構築してみたりすれば、
それはブレークスルーになり得ます。

が、『ゴジラ』の場合は、2014年に二度目のハリウッドリメイクが成功し、
2016年に日本で『シン・ゴジラ』の大ヒットがあって、
2019年公開予定のハリウッド版続編『~キング・オブ・モンスターズ』と
再興した怪獣映画の収穫期へと向かう上り坂の途上。

そこでゴジラの周辺に転がった諸々のテーマをSFとして冷静に振り返っても、
ゴジラに熱狂していく人々にとっては水を差されかねないタイミング。
私も怪獣バトル要素が悉くお預けにされて、
これは興行的には上映前に予告編が打たれた『~キング・オブ・モンスターズ』が
全部持って行くパターンかな?と苦笑してみたりw


とは言え、再興した『ゴジラ』ブームもやがて踊り場に至り下り坂に向かうでしょう。
パーティーの後で、取り残された人々の耳元に、
実はこんな渋いSFゴジラもあるんですよ♪と囁いてみる。
本作はそう言うポジションの映画だと感じますw

だから私としては本作を良作SFとして評価し語り継ぎつつ、
来たるべき終焉の時を待ちたいと思いますw
(但し怪獣映画ファンの端くれとしては、ブームの終わりは勿論来て欲しくないので、複雑な心境ですw)


以下、一部、時事ネタや私見も交えたキワドい感想&考察長文。

{netabare}人類文明の過ちが怪獣を生んだのではない。
そもそも人類は怪獣を生み出すための前座に過ぎなかったのではないか?

冒頭から虚淵玄氏&ニトロプラスとその一味による
逆からテーマを再構築する伝統の捻り技に脳汁を分泌させられた最終章。

前作で提示された決して倒せないからこそ怪獣という視点も交えつつ、
加速するSF設定はやがて、文明とは興隆と栄華の果てに
怪獣を生み出し滅び去ると言う宇宙観に到達。
主人公は無敵のゴジラとの死闘に加え、
エクシフの信仰や宇宙観から滅びの運命を受け入れ、心地よい終焉を迎えるよう迫られ、
心身共に過酷な状況に追い込まれる。
次第に、主人公はゴジラ相手に単純な勝ち負けとは異なる道。
敗北する運命との向き合い方等を自問するようになり……。


世界にとって普遍的な文明論を投げかける一連の流れの中で、
私が異彩を感じたのは、主人公とエクシフの司教が心象世界で対峙する中で、
やがて破滅する運命にある文明のイメージとして、
“ヒロシマ”や“ナガサキ”を連想させる入り組んだ島国と思しき地形に炸裂する
原子爆弾のキノコ雲と言う、ローカルな題材が提示されたこと。

日本人にとっては“ヒロシマ”や“ナガサキ”は確かに進化し過ぎた文明がもたらす
悪夢や破滅の代表的なイメージです。
ところが世界にとっては、ある人は“ヒロシマ”や“ナガサキ”の悲劇の詳細なども知らなかったり、
原爆など大きな爆弾程度の認識だったり……。
さらに一部の戦勝国(と思っている方々も含む)にとっては、かのキノコ雲、
特に日本に上がったそれは勝利確定や解放の祝砲だったりもします。
先日も、キノコ雲に抱くイメージの相違に起因する騒動が持ち上がったばかり……。

さらに本作はエクシフの司教への抵抗として、
モスラがエノラ・ゲイと思しき重爆撃機を撃墜する、
一部米軍遺族等にとっては噴飯物?のイメージも展開。

そして葛藤の末、披露されたラストの、
美化された特攻映画の如き?ゴジラへの単機突撃。

こんなローカルな日本のネタや思考法で、
普遍的なテーマをNetflixを通じて世界へ発信しても、
一体どれ位の方が理解してくれるだろう?と訝しんでいた私ですが、
やがて『ゴジラ』は日本のローカルな土壌から生まれた作品だと、
スタッフは暗に主張したかったのでは?との仮説も芽生えて来ました。


そこで私が思い出すのは初代『ゴジラ』
水爆実験による第五福竜丸・被爆事故から着想を得たという製作エピソードの流布により、
進歩した人類科学文明による環境破壊への怒りを具現化した
反核怪獣映画とのイメージが一般化している初代『ゴジラ』

ですが私がもう一つ重視するのは昭和二十九年という製作・公開年代。
米軍の焼夷弾により東京が焼け野原と化してから間もなく十年。
東京の街を眺めると一見綺麗で、戦後復興も順調に進んでいるように見える。
けれど敗戦の記憶は未だ人々の心に燻り続けている。

どうにか心の荒廃をなだめて、取り繕った東京の街並みが、
ゴジラによって再び破壊され火の海となる惨劇。
展開される地獄絵図はまさに十年前の大空襲の再来!?

これはもう日本人は敗北や喪失に対して狂気するか、達観するか、墜ちるか。
もはや悟りでも開くしかない、いたたまれない心境。

この敗北感の二段重ねもある点こそが、
私が未だに『ゴジラ』映画は初代が原点にして頂点と信じる理由の一つ。

当時鑑賞した900万人超の日本人がゴジラに抱いた原点の絶望感を説明し切るには、
敗北を重ね、追い打ちをかけられたと言う、
二次大戦での敗戦経験も含めた日本人のローカルな心情の表現が欠かせないのではないか?

こうした視点に立った場合、
一度ゴジラに敗れて地球を追われた人類が再戦を挑んでは跳ね返される。
という敗北を重ねる基本設定の上に、
敗れ続ける人々の心境を日本人特有の?敗北感や死生観も交えて、
ラストに向けて最大化させていく構成は、
これも、ある意味、『ゴジラ』の原点をリスペクトして
世界に向けて誤解や白眼視も恐れず発信した、
勇気ある試みだったと私は受け止めています。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

あっけない幕切れ

このアニメ映画は、ゴジラシリーズで初の長編アニメーション映画
として制作された作品である。ちなみに、このアニメ映画は3部構成と
なっており、今作はその三作目にあたる。
地味に、専門用語が多いので、それの事前知識を踏まえたうえで
視聴したほうが、比較的スムーズに理解しやすいと思われる。

前作のラストから続いているので、あらすじは省かせていただく。

全体を通した感想だが、今までの2作を全て台無しにしている
としか思えない中々酷い出来だった。ゴジラよりも人間に焦点を
当てていることはひしひしと伝わってきたのだが、
結果として悪い方向へ進んでいったようにしか思えなかった。

良かったところを挙げるとするならば、ギドラのデザイン位だろうか。
かなりスタイリッシュなイメージがあるが、ゴジラアニメにおいては
これで正解だったと言える。

前作よりも明らかに、ゴジラの出番は少なくなっていた。
怪獣バトル要素はほぼ皆無といっていい。一応、戦闘シーン
は用意されているが、非常に味気なく、見所は一切ないので
睡眠時間に利用する視聴者が続出しても不思議ではない。

私自身劇場で見てはいないが、仮に隣の席に座っていたおじさんが
爆睡をしていたとしてもサイレン並みにうるさいいびきを
かいていない限りは起こすことはしないだろう。

なんせ、ギドラに至っては、ただゴジラの体に巻き付いている
だけなのだ。ゴジラvsビオランテでも似たようなシーンが
あったが、特に違和感なく視聴でき作品に没頭することが出来た。
今作のギドラ戦においては何の感情もわいてこない。
任天堂のゲーム、ポケットモンスターに登場するウツボット
による巻き付きの方がよっぽど怖いように見えるのは私だけだろうか。

(一応)痛そうな雰囲気は伝わってくるが、見方を変えれば
マッサージをしているようにも見えるので、誤解を招く
可能性もある。ギドラがゴジラへ向けて、直接光線を放てば
その点は払拭されるのだが、その辺りは議論しなかったのだろうか。
予算が足りなかったという事でいいのかな?

人間ドラマに関してだが、魅力的なキャラクターがいない上に
掘り下げが全くと言っていいほどされていないため、没頭するのは
困難を極めた。そもそも、冒頭から眠気を誘われる会話が
延々と続くので、人によっては眠眠打破などといった
眠気覚ましドリンクを常備する必要が出てくる。

前作では割と好印象だった主人公だが、今作はそこまで惹かれる
ものがない。最後のシーンも共感しづらいものがあったし。
終始コメディアンを貫くことは難しかったから、あの判断
を下したのかな?と自らを納得させることにした。
要は只のこじつけである。

今後も、虚淵氏脚本のゴジラ映画を作る予定はあるのだろうか?
もし上層部内に一人でもその気があるのなら、止めたほうが良い
とだけ告げておく。
この様な作風を求めているゴジラファンは、相当限られている上に
二度も同じ手が通用するとは到底思えないからだ。
一定のファンはつくだろうが、今まで以上に酷評が
溢れかえるリスクの方が高い。

そうなった時どのような対処をするのか、興味本位で見て
みたくはあるが、今後のゴジラ作品に悪影響を及ぼす
可能性がある。ここで手を引くのが賢明な判断だろう。
虚淵ゴジラはこれっきりにしてもらいたいというのが私からの想いだ。

良くも悪くも虚淵色が非常に強いゴジラアニメとなっているため、
虚淵ファン以外は観ないことを推奨する。
今までのゴジラアニメを心の底から楽しんでいる人なら
特に問題なく見れる作品だと考えている。
私からは無理に勧めない。

先にゴジラキングオブモンスターズを見たのでそっちの感想も。
2014版のゴジラよりも明確なバトルシーンが増え、臨場感ある
仕上がりとなっていた。当然のことながら、こっちのギドラは
光線をきちんと吐いてくれるので戦闘面で
退屈することはなかったように思う。初代のオマージュとも
いえるシーンが挿入されているのも大きなポイントとなる。
やはりゴジラはこうでなくちゃ。

冷静に思い返せば、ストーリーは少しばかしおかしなところがあったが、
それを差し引いても心の底から楽しめるゴジラ映画であった。
機会があればまた一度視聴してみたいものである。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

勝者と敗者、畏怖と憎悪

三部作目

まぁ前作で衝撃の結末でしたからね
まさか死ぬなんて...

Q 前回のレビューであんだけ「次作みるの躊躇う」とか言ってたのに
A 厄介オタクの謎精神により

ということで「なんか知らんけど見なきゃいけない気がする」という使命感にかられ視聴。ここまでくるとツンデレですね
「べ、別にあんたなんか嫌いなんだから!(チケット購入)」
需要が無さすぎる

さて本編へ。
まぁシルエットがあれですから前回のラストのギドラ宣言はそういうことです
ギドラVSゴジラなんてものすごいありきたりですが、実際私は見たことないので「ついにゴジラとギドラの戦いを目にするのか...」と思っていました
{netabare}結果は虚無の王として五感でしか存在しないチート怪獣。勝ち目ないやん終わったと思ったらまさかの眼帯。もうなんでもありかな。{/netabare}
ここまで来たら二部作目も三部作目も変わらないのですが、一応興味を惹かれるシーンはありました。

それは結末。
{netabare}ハルオくんがユウコちゃんを抱えvultureで自爆したシーン{/netabare}
これが意味が分からない
見てない方は是非意味を理解しようとしながら頑張ってみてください。
{netabare}とはいってもある程度の予想はついてるんですよ
「ハルオはGODZILLAを滅ぼすことより苦痛からの解放を望んでいた」ということをメトフィリスに教えられ、一度は否定したもののそれが気がかりだったところを、博士が修復してしまい人間の醜さを再認識し、人間の愚かさの象徴とともに、大切な人とともに、GODZILLAに唯一従わなかった最後の一人として自爆。
人間の歴史をすべて無に帰した

ということでしょう?でもそれって矛盾ありません?
マイナちゃんに「憎むか?」と問いかけたということは少なくとも自分には憎悪の感情があったということであり、返答曰く彼女らには畏怖の感情のみだった
であればわざわざ運命からの解放の送迎者として憎悪の象徴を選ぶでしょうか。
二部にて合理的判断より感情的判断をしたせいで復讐を果たせなかったハルオがなぜ人類を存続させるという合理的思考にいたったのか。もし自己の解放という利己的な理由をメインにしたとしてもvultureを引っ張り出す理由が説明つかない。
論理的思考と倫理的思考を履き違えてるのかな、とも思いましたが最後には笑ってました
果たしてハルオの最期は言か人かどちらに従ったのでしょうかね
{/netabare}


「この星を一番愛していたのは一体誰だったか」ということで締めます

投稿 : 2024/11/02
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