脱出でファンタジーなアニメ映画ランキング 4

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の脱出でファンタジーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月25日の時点で一番の脱出でファンタジーなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

90.7 1 脱出でファンタジーなアニメランキング1位
天空の城ラピュタ(アニメ映画)

1986年8月2日
★★★★★ 4.2 (2362)
14239人が棚に入れました
ある夜、飛行中の飛行客船を、航空海賊の一団が襲撃する。政府特務機関に捕らわれ客船に乗っていた少女シータは、混乱に紛れて特務機関の指揮官であるムスカ大佐を気絶させると、彼の懐から青い石のペンダントを奪い取る。窓を伝って逃げようとするが、海賊に見つかり、驚いた拍子にシータは客船から転落してしまう。雲間を落ちていく中、気を失った彼女の胸にかかっていたペンダントの青い石が突然光を放ち、シータは光に包まれゆっくりと降下していった。鉱山町で働く少年パズーは、青い光とともに空からゆっくりと降りてきたシータを助け、自宅にかくまう。一夜明けパズーは、シータの行方を追う空賊や政府からシータを守り逃走を図る。

声優・キャラクター
田中真弓、よこざわけい子、初井言榮、寺田農、常田富士男、永井一郎、糸博、鷲尾真知子、神山卓三、安原義人、亀山助清、槐柳二、TARAKO
ネタバレ

Yulily さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

「天空の城ラピュタ」天空のジブリ大博覧会に行って来ました

私が あにこれで5つ星を付けている宮崎駿 監督作品「天空の城ラピュタ」「風の谷のナウシカ」この2作は同点首位、監督のなかでも1、2を争うほど好きな作品です。

映画公開から何十年もたちますが全く色褪せない名作ですね。
日本アニメ映画を代表する冒険ファンタジーではないでしょうか。

思い入れがあるシーンは幾つもあります
物語の幕開け…

ヒロインのシータが飛行船から落下
一瞬の静寂の音を聴き
ピアノ旋律で始まる音に引き込まれます...
ラピュタの文明や衰退の絵が印象的でイメージを掻き立てられます。

序々に盛り上がる その旋律に心揺さぶられ、高まる期待で胸がいっぱいになる
そんな始まりを告げるにふさわしい曲です。

天空の城ラピュタ
ラピュタという伝説の空中都市に憧れた幼きあの日を思い出しました。

目の前にある大きな入道雲、その雲の向こうには きっと何かがそこにあるのではないか
そんな風に思って空を眺めたものです。
今では、入道雲を見る度に作品を思い出して また会いたくなります。

ラピュタを背景に流れる「君をのせて」
物語を回想させるのに これ以上の曲は無いかもしれません…

父さんが残した 熱い想い

母さんがくれた あのまなざし

地球は回る君を隠して

輝く瞳 きらめく灯火

地球は回る 君をのせて

いつかきっと出逢う 僕らをのせて...


幾度もこの作品を観てきましたが
興奮と感動へと いつでも連れていってくれるのです。

熱い想いが この作品のメッセージ
出会えたことに感謝します。


ネタバレはありませんがレビューではないので閉じます。
【三鷹の森ジブリ美術館 2015.2.28】
{netabare}
今回は美術館内での天空の城ラピュタの部分だけ書きます。
ジブリ美術館は主に天空の城ラピュタと となりのトトロの展示が多いように思えます。

太陽が降り注ぎ、青空が眩しいこの日、美術館の らせん階段を登る私 この瞬間はいつも心が高鳴るのです。

その理由は屋上にロボット兵が待っているからなんです♪
圧倒的な存在感で この美術館を見守っているかのようです!

外なので写真撮影が出来るこの場所。大人気なロボット兵との2ショットは一瞬の駆け引きです♪

離れた場所にはムスカがラピュタを操っていたあの石も置かれています。

一番好きな場所は監督の作業机のある部屋です。
コルクボードに貼ってあるシータやパズー、監督の構想段階のラピュタには目が釘付けになります!

天井から吊るされていたのはパズーが持っていた羽ばたく模型飛行機
幼い頃、空を飛ぶ事に憧れを持っていた監督。
パズーは監督だったのでしょうか…

館内の壁を飾るワンポイント
光のキラキラ ステンドグラス**

私が見つけたのはラピュタは「シータとパズーにタイガーモス号の」「天空の城ラピュタ」の2枚でした♪

お花、花瓶etc♪美術館のあちらこちらに夢がつまっています。
そんな夢のファンタジー空間でした♪
{/netabare}
【ジブリの大博覧会 2016.7.28】
{netabare}
強い陽射しが肌に じりじり感じる夏の日
天空のフロアで開催している『ジブリの大博覧会~ナウシカからマーニーまで』
六本木ヒルズ52階へと行ってきました。

やっぱり私、宮崎駿WORLDを感じられる場所って大好きです♪
同じジブリファンに会えるのもなんだか嬉しいし

入口からこれまでのジブリ作品のポスターがお出迎え
どの作品も見慣れたポスターです。

そこを抜けると部屋があり
入場者をカウンターから待つトトロが
『え、・・かわいい~♡』
後ろに秘密そうな場所があったので覗きに行ってみると、、
暗めの階段の先には まっくろくろすけがいっぱい♪

つい見逃してしまうような、このさりげなさ
これはきっと・・監督の遊び心ですね。
ファンタジックな空間に胸のどきどきが止まりません。

壁一面に展示しているポスターの原案や新聞の広告

棚や壁いっぱい、そして天井にまで ジブリグッズが並べられた展示部屋はまるでおもちゃ箱の中にいるみたい

時間を忘れて お気に入り作品の もしかしてかなりレアなんじゃないかな~?と思うグッズを探してみました♪

結果。「天空の城ラピュタジュース」を見つけた時はなんだか嬉しくなりました♪

そして次の部屋にはなんと
リアルサイズ?のネコバスが愛嬌のある笑顔で待っています。
額の行き先が「六本木」になっています。
この場所が目的地みたいですね。
あれ?よく見ると「木」の文字が上下逆さま~

取り敢えず毛並みを触りながらふわふわなネコバスに乗車します。

そして、座る!!
『わぁ~、、、』って声が出るくらいに
沈んで、やわやわむにゅむにゅもふもふ
そんなネコバスの柔らかい座り心地♪
何度も遊んじゃいました・・♡


そして最後は「空飛ぶ機械展」
大きな天井の高いホールには

「天空の城ラピュタ」に登場する巨大な船の模型が飛んでいます。
写真OKということでパシャパシャ
もう、大満足。

トトロに癒されたり、素敵なスケッチやネコバスに遭遇したりドキドキが沢山
そんな贅沢ジブリ時間
お土産とパンフレットを手にいれて
夏の素敵な思い出のひとつになりました。

最後に…
ミュージアムカフェ
パズーのあの目玉焼きの乗ったパズーパン(勝手に命名)や
記念パフェがあるので召し上がった方は報告&感想欲しいです♡

是非、心響くジブリの歩みを振り返る旅には天空の大博覧会へ。
9月11日(日)まで開催しているみたいですよ。

今日も読んでくれてありがとうでした*^^*
{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 113
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

地球は回るよいつまでも

<2019/8/30 追記>
金曜ロードショー観ました。
やはり名作中の名作。
ジブリの最高峰だと思ってます。

<2018/8/26初投稿>
今から32年前、友人から「これを観ないと人生損する」と強く勧められ、映画館で観ました。
今思うと映画館で観といて良かった。
結局二番館、三番館に転げ落ちたの追いかけて5回観に行きました。

言わずと知れた名作です。
極めてオーソドックスなボーイミーツガールですが、そのカテゴリの中では最高峰じゃないでしょうか。

まずキャラクターが魅力的。

主人公パズーは鉱山で働く好奇心旺盛で快活な男の子。
声は後の「海賊王になる」の人。
挫けそうになるけど挫けない。
たまに名探偵じゃない方のコナンばりのアジリティを見せつけます。
年に一度、ツイッターのサーバを落とすスーパーハカーという噂も。
そしてラピュタパンの発明者。

シータは楚々として誠実、優しく芯の強い、でも怒らすとたぶんむちゃくちゃ怖いであろう典型的な宮崎ヒロイン。
普段は山間部で畜産業に勤しんでます。
ヒロインは空高くから落っこちてくるものだという固定観念を日本人に植えつけた人でもあります。
コナンの彼女とよく似てる気がする。
パズーと組んで年に一度ツイッターに御迷惑をおかけしている。

空の海賊の頭領ドーラは{netabare} ク○ババ○枠、じゃなかった「いい女」枠の肝っ玉ばあちゃん。
豪傑な悪役として最初登場しますが実は気っ風の良い優しいク○ババ○。{/netabare}
毒蝮三太夫と気が合いそう。
若い頃はシータとそっくりだったらしい(人間ってそういうもんだよ)。
特技はホンジャマカの石ちゃんより美味しそうに肉を食べること。

ムスカは{netabare} 寺田農さんの声がハマりすぎるくらいハマってるThe・悪党。
ツイッターと並ぶバルスの被害者。
コナンの敵役とキャラ丸かぶりだけど、なだぎ武のモノマネのおかげで知名度はこちらの方が上。
「見ろ!人がゴミのようだw」「眼がぁー眼がぁー」は名言として今も日本人の心に刻みつけられています。
合掌。{/netabare}

なんと濃ゆい皆さんでしょう。
ステレオタイプなはずなんですが、味付け加減が抜群で魅力的になってます。

1900年代初頭のヨーロッパのような味のある世界観ですが、街中というか平地はあまり出てきません。
切り立った渓谷の上とか、空中船の上とか、ラピュタの上とか高いところがメインなのですが、これらが本当に高く見えて絶景!
高所恐怖症の私は映画館で観ててちょっと怖くなってきたの覚えてます。
VRで観たら大変かも。
でもVRで観てみたい気も。

飛行機や飛空船は宮崎デザインの集大成みたいな感じ。
こういうの本当に好きです。

ストーリーの内容紹介は省きますが、物語はシンプルに展開されつつも、ゆったりした日常と緊迫した場面のメリハリが効いていてひと時も眼が離せません。

フラップターに乗った{netabare} パズーとドーラが、燃え盛る要塞に突っ込んで塔の上から囚われたシータを助け出す{/netabare} シーンは毎度毎度背筋がぞわーーーーーとします。
この時の劇伴も最高に好きです。

映画館で観られて本当に良かった。。

というわけで私の中では文句なしの満点評価です。

<おまけ・・・都市伝説について>
ラピュタでよく言われるエンディングでの都市伝説。
スタッフロールが流れる中、{netabare} パズーがシータをゴンドアの家に送るシーン{/netabare} を見た記憶が私もあったんですよね。
なのでレンタルビデオや金曜ロードショーで観た時、あれ?となったんですけど。
そんなシーンは最初からなかったらしいのですが。
結構はっきり意識にあったので、なんか不思議な感じです。

<2018/7/28追記>
今日、関東は夕方ごっついゲリラ豪雨がありました。
その豪雨を降らした雲がラピュタの「竜の巣」のようだと話題になってますね。
ネットで調べたらまさに「竜の巣」でした。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 82

ぱるうらら さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ラピュタはジブリ最高傑作。

このアニメ(映画)は、私にとってジブリ最高傑作であると思います!
どんな世代でも見ることの出来るであろう最高の世界観・話の設定そして演出を私達に見せてくれたラピュタ…。
この作品こそ、例えどれだけ時が経ったとしても後世に名を残すことだろう。と言うより語り継ぐべき映画だと思います!


私が『天空の城ラピュタ』から思った事は...
人間は科学技術を発展させることで生活の快適さを求め(例えば、新しい資源を求めるため宇宙へ向かい、地上から離れたり)富・名誉を得ようとするが、それが人間たちの醜い争いや自然破壊につながってゆく。
そしてヒトは新天地(ここでは空)や大きな力に目が眩み、それらを手にしようとする。
競争で一歩先に進み、大きな力を手にしたヒトはその力を振るって暴走し、邪魔なもの(人間や自然)を何でもかんでも傷つけてしまう。
しかし、どれだけ大きな力を手にしたとしても、大地を離れ、武器を取り、ヒトを傷つけ、力に溺れる者は滅びてしまうのである。
つまり、人間は地上で自然や生き物たちと共存して生きていくものだということです。
もっと簡単に言えば、『自然を大切に、皆仲良く』です。

「土に根を下ろし 風と共に生きよう 種と共に冬を越え 鳥と共に春を歌おう」というシータが詠い上げた詩から連想しました。

制作者の意図は、もっと簡単に『愛』や『絆』、『命』をこのアニメのテーマにしようとしたのかもしれませんが…。


私がこのアニメで素晴らしいと思った事は、天空に漂う古代都市が存在するという設定。そしてその都市の外見・内部;空中廊下やラピュタの中心部に位置する大樹、その巨大な根、苔の茂り具合、ラピュタ内部の正方形の石が漂うあの空間等々。
また、主人公達が途中から乗船することとなった空賊たちが所有するあの飛行船も、そのもののデザインや生活が出来るスペースがあるという設定が非常に良かったです。
私は空にまつわる設定が大好きです。LAST EXILEもしかり...。 そう、宙は男のロマンなのです。

ムスカの名セリフも若干残虐性がありますが、記憶に残るとても印象に残る台詞でした。
「見ろ、人がゴミのようだ!!」これはおそらく二度と忘れない台詞でしょう。
ムスカの代名詞とも呼べるこの台詞は例えラピュタを見たことがない人でも一度は耳にしたことががあるというほどの知名度。それだけこの言葉にはインパクトがあるのでしょうね。



私的には今のところはまだラピュタに勝るジブリ作品はないと思っております。
ジブリの中ではもはや旧作に位置づけられる『となりのトトロ』、『蛍の墓』、『魔女の宅急便』など、そして2000年代に入り『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』等も素晴らしい作品だと思いますが、やはり『天空の城ラピュタ』が一番です!!


ジブリ作品の中での最も古いこの『天空の城ラピュタ』。
12月10日の再放送をしっかりと視聴したのですが、やはりいつ見ても素晴らしい出来のアニメ映画であるな、と視聴する間も口を開け感嘆しながら見ていましたw

これからもラピュタに続くような新たな名作をスタジオ・ジブリには作って欲しいものです。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 44

73.2 2 脱出でファンタジーなアニメランキング2位
猫の恩返し(アニメ映画)

2002年7月20日
★★★★☆ 3.7 (725)
5339人が棚に入れました
何となく日常を過ごす、ごく普通の女子高生・吉岡ハルは、ある日、車に轢かれそうになった猫を助ける。助けられた後、その猫は日本語で礼を述べ、二足歩行で歩き去る。実は、彼は猫の国の王子・ルーンだった。

次の日、猫の国から、王子の命を救ったお礼の品が届けられるが、猫じゃらし、マタタビ、ネズミといった、猫しか喜びそうのない代物ばかり。文句を言うハルに、それならば猫の国へご招待致しますと使者は答え、突然現れた猫の集団に、ハルは連れ去られてしまう…。

声優・キャラクター
池脇千鶴、袴田吉彦、渡辺哲、斎藤洋介、山田孝之、前田亜季、佐戸井けん太、濱田マリ、岡江久美子、佐藤仁美、丹波哲郎

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「みんな大切な自分の時間だったんだ。」

ジブリ作品「耳をすませば」の主人公・雫が書いた物語という設定で、猫の男爵・バロンが登場します。

バロンが猫でよかった。

かっこよすぎて、キザで、あれが人間だったら惚れるを通り越してあきれてしまっていたわ(笑)

1時間半ほどの作品でした。


●ストーリー
女子高生・吉岡ハルは、ある日車にひかれそうになった猫を助ける。

猫を助けた恩返しに…と、猫の国へ招待されることになる。

猫の国へ行きたくないハルは、謎の声が教えてくれた猫の事務所を訪ね、助けを求める。


ストーリーはよくできていて、飽きることなく最後まで楽しく見ることができました。

バロンがかっこよすぎね!

スーツに帽子、ステッキという紳士な身なり。
どんなときも冷静。
ダンス完璧。
剣の腕前は一流。

あんな猫と一緒だったら、どんな出来事に遭遇しても、そりゃわくわくどきどきするだろうなあ。笑


●キャラクター
主人公・ハル。

さっぱりした素直な性格で、私は好きでした。

あまり物事を深く考えないので、見ているこちらも気楽な気持ちで見守ることができました(笑)

猫たちも個性豊か。ナトル(王様の第2秘書)かわいいよ。

しかしハルよ、優しい子なのはわかったけど、

小学校からの帰り道にビスケット食べているのはおかしいぞww


●まとめ
1日だけの、ひそかな冒険。

そんな不思議な世界を1時間半、ゆったりと楽しむことができました。

ちょっと現実逃避したいときにおすすめかな^^

投稿 : 2024/11/23
♥ : 20

白猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ジブリ隠れた名作!

大作の多いジブリの中で隠れた名作だと思います。
色々突っ込みどころはおおいのですが、気にならず一気に見てしまう楽しさ。

どんどん進むストーリーに最後まで一気に見てしまいました。
「え~」っていう突っ込みどころが面白い。

「娯楽作品ってこういうのだよね」っていう楽しませてくれる作品でした。

短く軽い作品ですので、ぜひ見てみてください。
書いてたらもう一度見たくなってきました^^

投稿 : 2024/11/23
♥ : 5

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

これぞファンタジー

知名度がやや低め?なのがとても残念。
監督は宮崎氏ではなく、森田宏幸氏。

これぞファンタジーの王道☆なストーリー展開で、
「耳をすませば」の主人公、月島雫が書いたストーリー
という裏設定があるのです。
なので当然、猫の男爵バロンも登場します。

猫好きにもファンタジー好きにも、
たまらない作品だと思いますし、実際美しいです。
そして何しろ、主役の猫の気品といったら・・・

大人から子どもまで、世代を超えて愛されるジブリ作品の中、
もっと評価されて良いアニメ映画だと思いました。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 19

68.8 3 脱出でファンタジーなアニメランキング3位
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(アニメ映画)

2017年8月18日
★★★★☆ 3.3 (463)
1784人が棚に入れました
物語の舞台は、夏休みのある一日。花火大会をまえに「花火は横から見たら丸いのか?平たいのか?」の答えを求め、町の灯台から花火を見ようと計画する少年たち。一方、クラスのアイドル的存在・なずなに想い寄せる典道は、時間が巻き戻る不思議な体験のなかで、なずなから「かけおち」に誘われることに……。何度も繰り返す一日のなか、なずなと典道を待ち受ける運命は? そして、果たして花火は下から見ても、横から見ても丸いのか?

声優・キャラクター
広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子、花澤香菜、浅沼晋太郎、豊永利行、梶裕貴
ネタバレ

YwJje43950 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

打ち上げ花火 ”もしも玉”

{netabare}”もしも玉”というものが時系列的に一番最初に確認されたのは、なずなの、死んだ父が海で手に持っていたところだったと思うんです。
取り敢えず1回観ただけなんだけど、この”もしも玉”とは何だったのか、というのが掴めない。メタファー的な意味でね。
それがあると、最後の方の、歪んだ、されど理想的なあの空間と、その崩壊・消失に意味を持たせられる気がするんだけれど。
頭良い人に何かしら、良い感じのをこじつけて貰いたいところだ。皮肉じゃないよ。
より良い解釈を示して欲しいという、頭の良い他人の頭で感動したいという、楽したいという気持ちです。いちから解釈するには、少々難解な部分の多い作品だからね。

岩井俊二が脚本の会議段階で提案した”もしも玉”というアイデアは、元々のオムニバステレビドラマにおいて前提とされた『If もしも』という、物語の基礎の説明という役割を担わせるという目的があったようだ。
パンフレット内の”もしも玉”に関しての言及といえば
『いろんな人たちの”もしも”っていう思いが凝縮された何かなんだろうっていうところに固まっていって、玉ということで花火と対極としてひとつのシンボルにもなる...』
というものと、他には劇中のあらゆるキーワードの紹介をしているページ。
私としては、最終的に2人が行き着いた閉鎖されている感のある例の歪んだ世界では、まるで”もしも玉”の中にいるかのようではなかったか?と思ってたんですけど、その【キーワード集】を読むと、制作側もやはり、なずなと典道の行き着いた歪んだ空間のデザインは、”もしも玉”の中に居るようなイメージでコンテを描いたとのことだ。
ただ、『(そうすると)きれいかなと思って、...』という、文脈なんですけど。
花火と対極的な玉の形をもって、”もしも”という思いが凝縮された、”もしも玉”。
なずなの父は、生前使っていたのかな。
それとも、父の思念的なものが生んだのかな。
劇中、これに関してヒントはあったのだろうか。
ここまで書いておいてなんだけど、1回観て分かるほど私は頭よくないよ?


ところで、あの歪んだ空間は、まるで”もしも玉”の中であるかのようだったけど、あの町を囲うドーム状の歪んだ壁は、典道の空想・妄想の限界なのではなかろうか。
言い換えれば、典道の”もしも”の限界だったのではなかろうか。
町の外の事を、子供の彼らはまだ何も知らないからね。
そういうふうに意味付けるとどうだろう。
出来事の順番を忘れたけど、どこかのタイミングでドーム状の歪んだ壁は消失した。
彼は、周りより一歩先に大人に近づいたという事かな?
だから最後のシーン、クラスに典道は居なかったのかもしれない。
追記:海中のシーンで、2人の顔が大人になってるというツイートを見まして、確かめたい気持ちが強まりますよ〜。
あと、コレうろ覚えだったもんで書かなかったんですけど、劇中、電車に乗って、海の上を走って、結果何処へ行きましたっけ?
何処にも行けずに戻ってきたと記憶しているのですけれども...。
これってやはり、上で書いた”もしも”の限界によるものではないかなと思うのです。
”もしも玉”が砕けて、彼らに降り注ぐのは外へ飛び出していった彼らの可能性。
やっぱりあの夜って、彼らが大人になる劇的な瞬間だったのでは?
あぁ、記憶力よ。もどかしい。
追記2:”打ち上げ花火”と同じくシャフトの作品である、”まどかマギカ”の、劇場版、”叛逆の物語”ってあるでしょう?
{netabare}劇中の、ほむらの生んだ魔女空間と、”もしも玉”の空間とは似てるっていうレビューを読んで、正直、あまりピンときてなかったんですけどね、コレの意味が遅ればせながらようやく分かりました。
そういえばアレも、バスに乗って街の外へ行こうと試みて、行けなかったんですよねぇ。
何故なら、ほむらはその行き先の街並みを知らないから、再現のしようもないという。
たしかに、”もしも玉”空間とそこは同じですよね。
{/netabare}

打ち上がった”もしも玉”が花火のように破裂して、その欠片に、選択によってはあり得た”もしも”の世界が映り込む。
その一欠片を手にした事で生じるのは何だったか。
海の中での一連の出来事の意味は?
今作品の最初のほうのシーンで、なずなが玉を拾ったのと、歪んだ空間内のラストとが同じ場所であることは何を意味するか。
あの脱ぎ捨てた服だって、思い返すと最初のほうに伏線があった気がするぞ?
いやぁ、うろ覚えだ!1回観て語れるようなものではないわ!

追記:あにこれのレビューを改めて読んでいたら、ストライクさんの、今作のラスト、典道がクラスに居ない事についての解釈、良いなぁなんて思いました。
”男の典道は、願望の世界に浸るロマンチストなのかもしれない。”
でも、それだとハッピーエンドでは無いよなぁ...
典道のほうはその夏の恋に囚われちゃうって事でしょう?
"秒速5cm"的な関係でしょう?言いたいこと分かります?
やはり私としては、”もしも玉”空間の壁が砕けて外の世界へ飛び出していった彼らの可能性が降り注ぐあの演出を思い出すと...
でもね、いずれにせよ私の中で正直、未だに完全に納得いく解釈は得られてないんですよね〜。
まぁ、このよく分からない感じも好きですけどね、夢見心地で。

グダグダと書きましたが、この作品について簡単な感想としては、
シャフトには向かない題材ではないか、という事。
これは正直観る前から思っていた。
だからある程度、滑る覚悟はしていたりもした。
実際、賞賛するようなものでは、たしかに無かったと思う。
話が難しい以前に、例えば不自然なCG。冒頭の自転車等の動きなんか気になってしまった。
元の作品の人気、アニメとしての粗もところどころ見えてたし、また、分かりやすい感動!の物語を求めていた、脳の動かない人の多さも、大衆に向けた広告があっては仕方なく。
批判の多さも妥当かと思う。
でもね、ネット上のこの作品に対する批判はどうも(この作品に限らないけど)誠実でないものが多い。
後半の展開が原作と違うという点がお気に召さず、ただ叩きたいだけの価値のない批判をしてるブログが、少なくとも今、私がこの文を書いている時は検索上位にあったりして、嘆かわしい限り。{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 13
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

蠱惑の球面

元ネタである岩井俊二監督のスペシャルテレビドラマは視聴済み。

球とは実に不思議な形をしています。
どの角度から見ても見える形は同じですが、
見えてる面は視点によって全部違う。

その上、光の加減まで考慮すると球はさらに神秘的。
特に例えばガラス玉のような透過性の高い球体ともなれば、
光の屈折まで加味されて見る視点によって輝き方が目まぐるしく変わる……。
そして、その透き通った球体は、あらゆる光を集めると共に、
球の境界を隔てた人々の視線や思念、願望をも惹き付け誘惑するのだ……。


本作は原作にもあった花火の見え方のウンチクによる好奇心刺激に加え、
シャフト作画によって全編に散りばめられた円柱、球形への違和感、興味。
それらが心を浮つかせる夏の空気、ヒロイン少女の魅惑的な美しさ等により加速され、
常識や倫理の壁をも超越して行く、真夏の青春アニメ映画。

主人公少年らと共に気持ちよくジャンプするには、
映像全体が醸すムードに憑かれることが必須で、ハードルはやや高めですが、
私としては夏に劇場鑑賞チャレンジした甲斐があった作品でした。



本作は単純に興味を持って観る。のとは別に色々な動機での鑑賞があり得る作品ですが、
以下、それぞれの立場からの見え方を想定してみると……。


①岩井俊二監督作のリメイクを期待して本作を観る。

……これは正直かなり失敗するリスクが高いと思われます(苦笑)

{netabare}私が思うに原作ドラマは脚本、シナリオ等により賞賛されているだけでなく、
90年代当時の子供の世界。その再現性によるノスタルジーにより、
年々、思い出としても美化され続けている作品。

(例えば{netabare}本アニメ映画だと少年宅でプレイされるゲームは『キラキラスターナイトDX』という
2016年発売のファミコン用新作レトロゲームという恐ろしく懐古狙いなマニアックぶりですがw
原作ドラマではスーパーファミコンの『スーパーマリオワールド』という大衆向け定番作 {/netabare})

それら当時の流行も取り込みつつ、しょーもない冗談や下ネタを言い合うw
ガキの会話あるあるな掛け合いが醸す、子供の世界にリアリティや説得力があります。
こうした子供の世界に背伸びしてる感を纏わせつつ、
大人の都合と対峙させることにより、物語の推進力と共感度をアップ。
さらに当時15歳の美少女だったヒロイン役・奥菜恵さんを画面に閉じ込めた希少性と相まって、
今なおタイムカプセルのような輝きを放ち続けている原作ドラマだと思います。

対して本作は後世、思い出となり得るような同時代性の強調は控えめ。
(例えば{netabare} スマホが出て来ない時点でタイムカプセルにはなり辛いですし、
松田聖子さんだの観月ありささんだの叫んでいる時点で
原作の時代に対するオマージュの方が勝っています{/netabare})

むしろ本作は花火の見え方というSFファンタジー世界展開の着火点により注目し、
そこからオリジナル要素も広げていくシャフト作品。

加えて本作では何故か主人公少年らを原作ドラマの小6から中1に設定変更していますが、
原作の掛け合いの流れも引きずっているためでしょうか?
少年少女たちの言動が今風でない感じがするだけでなく、
微妙に小学校卒業してない感じが、
原作ドラマ視聴後だと目につきやすく、それらがストレス要素になりかねません。{/netabare}

いずれにせよ、リメイク期待組とのキャッチボールは波乱含みのようです。

もしも原作ドラマ未見で、ドラマ観てから本作観に行こうと検討されている方がおられたら、
私としては是非、そのまま、よそ見をせずに映画館に直行することをオススメします。


②『君の名は。』川村元気氏のプロデュース作として、前年の感動再現を期待して観る。

……これも大分、失敗するリスクが高いと思われます(苦笑)

{netabare}特に『君の名は。』を気軽なエンタメ作品として楽しんだ方は、
それを期待して本作を観ると事故る可能性がいっそう高まると思われます。

『君の名は。』は何となく観ていても状況は説明してくれるライトな作品でありつつも、
深読みしても得るものがあるコアな作品でもあった、
間口の広いヒット作だったと私は考えていますが、

本作の場合は作画や表情、ちょっとした台詞の違いなどを深読みしに行かないと、
状況すらも把握し難く、物語の迷宮入りと共に、失意の途中下車に追い込まれかねません。

逆に些細な違和感から考察を巡らすことができる方なら価値を見出せると思います。{/netabare}


③シャフト、新房昭之監督のファンとして本作を観る。

……これはまだ割と期待できそうです。

{netabare} そもそも背景絵等が醸すムードが作品を牽引する構造である以上、
まず本作でも相変わらず癖がある作画、構図等に興味を持って鑑賞し続けることが、
作品と折り合うための必須条件。

何じゃ!?このワケわからん絵は~~wとなるか、
あっこれやっぱりシャフトだ(笑)イヌカレーだ(笑)とニヤニヤできるかは、
本作でも満足度を左右する重要な分岐点になると思われます。

但し作画レベルは背景画等については良好ですが、
人物描写、特にキャラ造形の安定度等については標準レベルなので、
至高の劇場版作画を求める等の過度なハードル上げはオススメできないと思います。{/netabare}



以上、色んな角度から長々と書いてしまいましたがw

簡潔にまとめると本作は普段あまりアニメを観ない層にはあまりオススメできませんが、
コアなアニメファンや、あにこれユーザ等には、
合う合わない、好き嫌いも含めて、是非、感想、考察を聞いてみたい作品だと思います。

例えば核心部分について、私見を述べると……

{netabare}あの夏、最後、典道は平行世界に飛翔したまま戻って来なくなった。
なずなは元の世界に戻って転校し、典道を待ち続けている……。
というのが私の解釈と言うより願望?ですが、如何でしょうか?

典道も平行世界から一応、戻っては来たけど……という見解が多そうかつ、
妥当性も高そうなラストではあったのですが……。
「もしも玉」と平行世界の妖しさに取り憑かれた私としては、
あっさり元の世界に戻って来るのは何か勿体ない感じもするんですよね……。{/netabare}

みなさんの評価、感想……お待ちしております♪

投稿 : 2024/11/23
♥ : 41
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

名作ドラマのアニメ化…心揺さぶる青春恋愛ファンタジー

【視聴前】
この夏の楽しみ、それは終物語の続編とこの映画です。共通点は「シャフト制作」というところです。

岩井俊二の名を世に広めたことで知られるこのタイトル。もう20年以上前になるわけか…。衝撃だったのは主演の奥菜恵。こんな可愛い子がいるんだ…というくらいビックリしたのを覚えています。あれから…時は残酷であるの見本としか言いようがありません。

名作映画のアニメ化というと、時かけを思い出しますが、あれは原作ありでさらに中身は全く違うものになっています。これは作品をなぞりながらだというのでこれまでにはないパターンと言えるかもしれません。予告編見ましたが、絵がシャフトだなと感じます。というより、主人公、どこからどう見てもガハラさんだよね…。それもそのはず、キャラデザインは同じ人だった。作中、首を変な方向に曲げたら…。

新房×シャフトなので内容も絵も心配はしていません。自分好みの面白い作品のはずです。が、心配なのは中の人、主役の二人です。予告編ですでに「あれっ?」となっています。特に広瀬すず。すでにキャラデザインと声が合っていないし…。

【視聴後】
この映画を見る前にもう一度実写を見たいと思いレンタル探したけど、もう20年以上前の作品だけになかなか探しきれず…。諦めかけていた時、偶然にもスカパーの日本映画チャンネルで放映していたのでじっくり見ることができました。そしてこの作品を鑑賞。実写を丁寧にオマージュしているなというのが最初の感想でした。アニメ化にあたって、スタッフは実写を細かく分析して、アニメでも通じるところはそのままに、また、原作のイメージを壊さないことを念頭に置いていたのかなと思います。そして、その上で現代の言葉や風景、風俗に当てはめていたと感じました。面白かったのは{netabare}スラムダンクをワンピースにしていたのに、なぜか「観月ありさ」は残したところ。今なら「広瀬すず」でも良いじゃないかと思いますが、これはスタッフの遊び心か、なんなのか判りかねます。{/netabare}

名作と言われる原作ではなかなかアニメになりにくいです。あれは素の子供たちがそのままの姿で演じ、幻想的な部分になり勝ちなところは現実の描写で伝えようとしているとこが良いわけです。が、アニメにするならさらにプラスアルファが必要と思っておりました。そこをうまくファンタジーでまとめたと思います。{netabare}原作では典道となずなは駅舎から帰ることになります。ここからなずなが引っ越すのか残るのかは曖昧なままで終えることになります。アニメでは駅からが本番になっていきます。でも終わりは原作のように曖昧なままで終えるのですが…。{/netabare}それから原作と決定的に違うのは恋愛要素を強めた点。典道となずなの関係は原作では恋しているのかなんなのかをなずなの表現だけで想像させる作りになっています。{netabare}祐介と典道に水を掛けるシーンでのなずなの表情がまさにそれ。アニメでも見事に表現されていました。{/netabare}この辺りは「君の名は。」の影響が大きいような感じもしましたがさて…。

作画はきれいなシャフトという感じです。シャフトの不可思議な描写は控えめにしてます。感心したのはとにかく水の描写がきれいです。ホースからの水の出方が美しすぎて見とれました。それと、なずはどっからどう見てもガハラさんです。ガハラさん好きの自分が言うのだから間違いありません(苦笑)。シャフ度ぎりぎりに抑えた首の角度にしびれました。でも…中学一年生には見えない…。とはいえ、原作のなずなは小学6年生で奥菜恵だったからなぁ…あれも小学生には到底見えなかったし…。それと問題の中の人。広瀬すずは声質はなずなに合っていたと思います(視聴前の前言撤回します)。例え棒でも声が合っていれば納得してしまうので個人的にはOKです。心配していた典道は…う~ん、頑張っていたと思います。でも中学一年生の声ではないよね。周り固めたのがシャフトでお馴染みの方ばかりなので、劣ってしまうのは仕方ないです。

個人的にこの作品は気に入りました。シャフト好きな人(特にefのような作品が好きな人)には合うのではないかなと思います。できれば原作も見ておくとより楽しめるのではないかと思います。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 43

72.7 4 脱出でファンタジーなアニメランキング4位
泣きたい私は猫をかぶる(アニメ映画)

2020年6月5日
★★★★☆ 3.7 (140)
662人が棚に入れました
見つけた、君に会える魔法――自由奔放、ちょっと変わった中学2年生、笹木美代(ささき・みよ)。クラスメイトから「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれ、学校でも家でもいつも明るく元気いっぱい。ムゲ熱烈に想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人(ひので・けんと)に毎日果敢にアタックを続けるが全く相手にされない。めげずにアピールし続ける彼女には誰にも言えないとっておきの秘密があった・・・。大好きな日之出のそばにいられる唯一の方法、それは猫になって会いにいくこと。≪人間≫のときには距離を取られてしまうが、≪猫≫のときには日之出に近づける日々。猫として長く過ごすほど、いつしか猫と自分の境界があいまいになっていく。このままずっと、彼のそばにいたい。でも、《私》に戻ることができなくなる――「猫」の世界を通して繰り広げられる、私をみつける青春ファンタジー。

声優・キャラクター
志田未来、花江夏樹、寿美菜子、小野賢章、千葉進歩、川澄綾子、大原さやか、浪川大輔、小木博明、山寺宏一
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

既視感がある猫物語

絵柄が幼いので、あまり期待せずに観ました。
しかし、巧みな物語構成に徐々に夢中に。
それは各キャラの背景が描かれていたからかな。
人猫関係が有機的に結合し、クライマックスへなだれ込む。
見応えがありました。

恋愛ファンタジーストーリー。
破天荒な女の子ムゲはちょっとクールな日之出が好き。
でも、日之出はムゲのアタックをむげに断る。
だから、ムゲは猫に変身し、日之出に会いに行く。
しかし、ムゲはデブ猫の陰謀にハマり・・・という感じの物語。

私のもっとも好きなのは{netabare}エンドロールの映像です。
暖かい余韻に浸れて清々しい。
日之出のお姉ちゃんが可愛そうとか。
ヨリちゃんの照れ顔が可愛いとか。
本筋と関係ないところが楽しいです。{/netabare}

ムゲの声は志田未来さん。
本業ではないけど、役に合っていたと思います。
並みいる声優陣に引けを取りません。
こっちの世界でも十分やっていけるでしょう。

背景は常滑に似ているなあと思ったら本当に常滑でした。
遠い昔に同級生の実家へ遊びに行った街。
狭い路地を上った先は・・・「猫の森?」
谷山浩子好きの同級生のことを思い出しました。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 18

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

見つけた、君に会える魔法…

サトジュンと岡田麿里さんがタッグを組んだオリジナルアニメ…
と聞けば気になりますよね。

ですが、私にとって結果的にラッキーでしたが、劇場での視聴を楽しみにしていた方には残念だったのではないでしょうか。
コロナウィルスの影響により、前売券の発売延期、公開日の延期…
そして劇場公開せずNETFLIXでの配信に変更されたからです。
私はNETFLIXに入会しているので視聴できましたが、多くの方々が入会している訳では無いと思うので…


私はあなたの力になりたい。好きって言われたい…

笹木美代(ささき・みよ)は、いつも明るく陽気な中学二年生の女の子。
空気を読まない言動で周囲を驚かせ、クラスメイトからは「ムゲ(無限大謎人間)」という
あだ名で呼ばれている。
しかし本当は周りに気を使い、「無限大謎人間」とは裏腹に自分の感情を抑えて日々を過ごしていた。
そんなムゲは、熱烈な想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人(ひので・けんと)へ
毎日果敢にアタックを続けるが全く相手にされない。
めげずにアピールし続ける彼女には誰にも言えないとっておきの秘密があった・・・。

それは、猫の姿になって 大好きな日之出に会いにいくこと。

実はムゲは、ある夏祭りの夜お面屋にいた猫の店主から、「かぶると猫へと姿を変えることができる」という
不思議なお面をもらって以来、猫・太郎として日之出の家に通っていたのだ。
普段はクールに振舞う日之出だが、太郎にだけは素直な気持ちを打ち明けることができ、
いつしか太郎は日之出の支えになっていた。
≪人間≫のときには距離を取られてしまうが、≪猫≫のときには近づけるふたりの関係。
ムゲもまた、猫でいれば周囲との関係に悩むことない自由さを知り、次第に心地よさを覚えていく。

猫として長く過ごすほど、いつしか猫と自分の境界があいまいになるムゲ。
ある日、再び現れた猫店主から、猫の“お面”とムゲの“顔”を交換し、
≪人間≫を捨て≪猫≫として生きるよう迫られる・・・

このままずっと、彼のそばにいたい。でも、《私》に戻ることができなくなる――
自分が誰に支えられているのか。大切なものに気がつくとき、二人の世界が変わり始める。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

始まって直ぐ、サトジュンワールドにジブリ感がプラスされた感じがしました。
ネコと摩訶不思議な空間との組み合わせは、まさにARIAそのものです。
それに「千と千尋の神隠し」の世界観が雰囲気を助長してくれている感じ…
もう期待感が右肩上がりです。

気になるあの人は今、何をしているんだろうか…?
誰でも一度は気にしたことのあるシチュエーションだと思います。
勿論、自分では会いに行けないし、仮に会ったとしても教えて貰えないかもしれません。
そもそも、会いに行くための口実がなかったり、嫌われたくないからあと一歩が踏み出せず躊躇してしまう…

青春のど真ん中って感じが羨ましくもありますけれど…

でも、それが「自分とは全く違う何か」でなら、見せて貰えるかもしれない…
見てどうするか…それはきっと実際に見てみなきゃ分からないと思いますが、この作品の根底にはそんな「もしもワールド」が息づいていました。

この作品で秀逸だと思ったのは人との関わり方です。
最初は、ムゲが日之出の力になりたいと思い動き出しますが、人との関係性ってそんな一方的じゃないんですよね。

お互いが支え、支えられている…
何かをしてあげたいという気持ちは交錯する…
そんな心情が巧みに描かれているんです。

そして物語を彩る主題歌 ヨルシカさんの「花に亡霊」も抜群だったと思います。

作画も綺麗、キャラはしっかり動くし背景も繊細且つ緻密で申し分無しでした。
日本のアニメーションの素晴らしさが感じられる作品だったのではないでしょうか。
私はしっかり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 19

さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

期待通りのものが出てきて大変満足

正直、劇場で観たかったですわ…

Netflixだけで配信とかマジかよと思いつつ登録しましたよ。
まあ、普通に映画館で観るより安いっすけど、最近の映画館は音響や画質凄いっすからね。
IMAXで観てたらきっと泣いてました。

さて、タイトルの件について、
「泣きたい私は猫をかぶる」
オリジナルものならティザーを見て、どんな話だろうと想像するじゃないですか。アニメ映画で猫、それにスタジオコロリドの作品系統で言ったら、「猫の恩返し」のようなものを期待するじゃないですか。
いやー、まさに期待していたものが出てきたという感じで、個人的には大変満足しております。

新宿に麺屋翔という行列のできる大変おいしいラーメン屋があるのですが、そこで初めて塩ラーメンを食べた時のような感動がありました。
見た目はシンプルな塩ラーメンなのですが、一口スープをすすると確かに塩ラーメンの王道にも関わらず、コクがあって箸が止まらなくなるんです。


しかしスタッフリスト的に、もっとマリー感とかサト順感が出るかと思ったのですが、見事に調和がとれて子供から大人まで楽しめるような丸くて柔らかい映画になってましたね。もしかしてこれが柴山智隆監督の色なのでしょうか?
マクドナルドのCMとかも手掛けられてるんですよね…確かにあのような爽やかな感じが作品に漂っています。

背景の色使い素敵でした。
ペンギンハイウェイから洗練されて落ち着いた空気感を持つようになりましたね。
写実的な背景と異世界の混ざり合った感じが面白かったり…

そうそう、主演の志田未来ちゃん、声をあてるの上手かったです。
しんちゃんでゲスト声優してた時は、正直あんまり上手くないなと思っていたので意外でした。
あれ、もしかして、志田未来ちゃんに反応すると年代がバレる?
逆に私はヨルシカって、先月初めて知ったぐらいなんですけど…
え、時代に取り残されてる感が強くて急にもやもやしてきたぞ…

えっと、うん。良い作品です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 14
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