2024年度の群像劇おすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2024年度の群像劇成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月22日の時点で一番の2024年度の群像劇おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

67.7 1 2024年度の群像劇アニメランキング1位
先輩はおとこのこ(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (122)
315人が棚に入れました
男だけど可愛いものが大好きで、女の子の姿で高校生活を送る“男の娘”・花岡まこと。 ある日の放課後、まことは、“女の子だと勘違いしたまま”の後輩女子・蒼井咲に告白をされる。 「実は自分は男の子なのだ」と打ち明け、告白を断るまこと。 しかしまことの予想に反し、咲はあきらめるどころか、「男女両方の先輩が楽しめる」とテンションアップ! さらに、「私が先輩の初恋の人になってみせます」と宣言して……。 可愛いものが大好きな、まこと。 まことに恋をする、元気いっぱいの後輩・咲。 まことを近くで見守り続けてきた、幼馴染の竜二。 3人の、恋と友情と、成長の物語がはじまる――。
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

幼なじみはふつうのこ

女の子の恰好をして過ごすまことを中心として、まことに惹かれる幼なじみの男の子と後輩の女の子、3人の心の機微を見事に描いた作品、私は今季1位に推したい
原作未読ですが、アニメのクオリティはとても高いです

この作品の一番素晴らしいところは「不安」の描き方、3人が何に悩んでいるのか、どうして悩んでいるのか、どうしたら救われるのか? それがとても丁寧に描かれているんですね。丁寧な心の描写で、自然と共感できるんです。

3人の心情とお互いにかけがえのない関係性を描くのがとても上手ですね、綺麗な絵、声優の演技、間の取り方、それを邪魔しないでしっかりムードを盛り上げてるBGM、その演出の繊細さに自然と3人の気持ちに共感して何度も涙が出てきました。
3人がお互いに大切に想っていること、悩んでしまう理由、ひかれあう理由、関係性が深まっていくきっかけが丁寧に描かれていて、ずっと3人が一緒にいられたらいいなって思います

~各キャラクターについて~
【まこととまことの父母について】{netabare}
まことは女の子の服は着たいけど、女子になりたいわけじゃないんですよね
お風呂に男子と普通に入ってることから(たぶんお手洗いも)、性自認が女なわけではない(まだ結論が出てないだけかもだけど)
でも竜二の好意にも咲の好意にもドキッとする、恋愛対象は男なのか女なのか?それとも恋愛感情とは別の感情なのか?

この部分を簡単に結論出さずにゆっくりまことの心の変化を描いているのがいいですね、「僕は可愛いものが好きだけど、男になりたいわけでも女になりたいわけでもない、自分らしく生きたい」って、ヒトは男か女の2つに単純に分けられるものじゃないんですよね、女の子みたい?男っぽい? 男だから女の子の咲が好き? 女っぽいから男の竜二が好き?
そんなことは他人が決めることじゃない、僕はかわいいものが好きだ、竜二が好きだ、咲が好きだ
とても共感できるシナリオでした。

例えば3話では男の恰好をしているまことに好意向けてくる羽川さんの表情が描かれてないですけど、4話でまことが羽川さんに謝って、その時に表面的なことだけじゃなくてちゃんと心で向き合ったことで、はじめて羽川さんの顔がちゃんと描かれたんですね。これはまことがクラスメイトの女子Aじゃなくて羽川さんとしてちゃんと向き合ったことの表現だと思う。
まことも「どうせ相手は本当の僕を見てくれてない」と自分から心の壁を作っていて、相手の事をちゃんと見てなかったことに気づいたっていう描写だと思う、こういうところが緻密で好きですね

2話と11話で女の子の服をウインドウショッピングする描写がありますが、2話の時はまだ恥ずかしがってる様子あるけど11話の時は周りの眼を気にせずにお買い物しています、前を向いて生きてきた成果ですね。
これは母親にも言えることで、2話の時に可愛いハンカチを見つけて取り乱してたけど、この時、お母さんは結婚指輪しないのかな?って思ってたら11話では結婚指輪してるんですね。手元が強調されているので意図的な表現だと思うんですが
2話時点では、まことにかわいいものを好きにさせないようにしていて逃げていたのを、まことに向き合っていこうっていう前向きな気持ちが表れていると思います。

疑問に思ったのは、女装が好きなお爺ちゃんと血のつながりがないまことの父はお爺ちゃんと連絡とりあってるみたいなのが違和感あるのと、やけにまことのこと受け入れてるのも違和感がある
これもステレオタイプだけど、男の子の女装趣味って男親のほうが理解ないようにおもうから、理解ある父親ってのが不思議だった
ここまで父親の心理はあまり描かれていませんけど、肩に触れるなどまこととの接触も多い。
もしかしてお父さんにも女装の趣味があるのか、それともまことのことを性的に見てるかどっちかじゃないかな?って思った。
勘違いだったらごめんなさい

「かわいいものが好き、女の子の恰好するのが好き」それははっきりしていたので、過去は周りの眼、それからそういうものを嫌悪する母との葛藤がありました。
母親はまことのこと全然見てない酷い親なのかと思ったらそんなことなくて、ちゃんとまことのことを見てたんですね。
母だって自分のトラウマと息子の気持ちの間で長い間葛藤して、ありのままのまことを受け入れたい気持ちもあるところが中盤でも描かれていました。自身のトラウマも簡単に切り捨てられないからこそ、思い悩んだのでしょう。母だって人なのだから当然です
父のような女装趣味にさせてはいけないっていう気持ち、まことの気持ちに寄り添いたい気持ち。その葛藤はまことのことを第一に思っての事でした。

まこともそんな母の葛藤を知らずに自分の中でありのままの自分を受け入れて欲しいと勇気を振り絞って向き合ったのが心の成長だし、最後は母とまことがお互いに正面から向き合える形で1期が終わってとても良かったです
{/netabare}
【竜二】{netabare}
自分の好きがはっきりしているまことよりも、竜二のほうが複雑だと思った

まことの可愛い見た目に惹かれたのか、まことの人間性に惹かれたのか
相手は男で幼なじみ、自分の恋愛対象は男なのか、女なのか、まことが特別なのか?

彼は他の女子や男子に惹かれている描写がまったくないんですね。
これも恋愛対象が男なのか女なのかあえて描かないことで2期があるならそこを描いていくのかな?って思います
たぶん、まことが特別なだけで、男性女性とか見た目とかじゃなくてまことという人間に惹かれたんだと思いますけど

まことのほうは竜二に親愛の気持ちは強いと思うんだけど、たぶん恋愛対象として惹かれているのは咲だと思う、細かい描写を見て受けた印象だけど。
竜二くんにとってはこの先つらい展開になっていくんじゃないかなー?って思って、これだけいい人なのに悩み多くて大変ですね

タイトルも「先輩はおとこのこ」 つまり咲とまことがメインの話なんですよね。一期だけだと竜二とくっつくようにも見えるけど

この先、咲が先輩への想いにどう決着つけるかわからないけど、竜二とくっつくと「やっぱり性自認も女なの?」ってツッコミになりそうで
シナリオのメタ的にどっちかを選ぶってなったら分が悪いなあって・・・
でもこれだけ繊細な心を丁寧に描いている作品なので、そんな単純な構図にはらないと期待しています。

そんなわけで私は竜二くんを応援してます!

{/netabare}

【咲】{netabare}
圧倒的な孤独を抱える咲ちゃん、この子にも共感できるところが多かった
誰にでも好かれるキャラを演じて明るく振舞ってるけど、ホントは特別な人が欲しいんですよね、自分のことをちゃんと見てくれる。
3人で星空を眺めるシーンとかケガした足を二人が気遣うシーンなどから、まことと竜二が自分にとっての特別になっていくのが丁寧に描写されていますね。
素直に心が温まりました。ずっと二人と一緒にいられたらいいねって

まことと服を交換する描写あるけど、これは日ごろからそういうシチュエーション思い描いてたんじゃないかな? 先輩がこれ着たら可愛いだろうなーっていう感じで
可愛い服を美少女が着ているところを想像するだけで楽しい感覚は男性にもわかりますよね??
2話でショッピングした時に竜二から「大きいだろ」ってツッコミされてたけど、これは間違えたんじゃなくて、たぶん先輩でも着れそうなサイズをあえて試着してるんだと思う、試着する前にふつうはサイズ見てから持っていくし
おそろいの服を着たいとかそういう願望もあったのかも

咲は自分の気持ちが「先輩を性的に好き」なのか「友達として好き」なのか「孤独を埋めてくれる相手」ならいいのかわからず悩んでいました。
竜二も咲のことをちゃんと見てくれていて特別な人と咲は認識しているようですが、竜二に対する態度とは違うのでやっぱり恋愛なんじゃないかな?
二人に対してどういう感情に落ち着くのでしょうね?

一期の間ではその辺がまだ結論出てなさそうだったけど、ここからどう彼女の気持ちが動いていくのか気になりますね
{/netabare}

投稿 : 2025/02/22
♥ : 11

べんちゃん☆ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

もっと評価されても良さそう!

放送中見ていて、「まぁまぁ面白いな」なんて思ってたのだけれども色々他作品見ているうちに保留してました…(^_^;)
が、時間が出来たので再開!中盤から後半にかけてだんだん良い話!?と言うか、わりとグッとくる!?感じになりました。

物語も良かったですが、作画もなかなかで特に背景なんかもリアル(CGぽくなく)な感じでした!
結構良かったので続編気になってたのですが、映画やるみたいですね!

と言う訳で早速、前売り購入しちゃいました!

投稿 : 2025/02/22
♥ : 8

タイガー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

『嫌なわけ…ない』

3人の少年少女恋と友情と成長の物語

可愛いものが好きで女装するまこと
まことを見守り続けてきた幼馴染竜二
特別な気持ちがない元気な後輩蒼井

作画、内容共に高評価◎
まこと可愛すぎるし竜二リアコだし蒼井ちゃんいい子やし、個人的に推せる作品

結構抱えてる事重いけど、元気にさせてくれるワードだったし、たまにすごく考えさせられて泣きそうなったけど可愛さとカッコ良さが爆発しててたまらんやった。私ゎw

op.edも頭から離れない感じで良き◎

どういう目線で楽しむのが正解か男女両方のペアが楽しめるのゎ美味しいなとおもった作品

投稿 : 2025/02/22
♥ : 2

65.9 2 2024年度の群像劇アニメランキング2位
ネガポジアングラー(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (98)
233人が棚に入れました
多額の借金を抱え、さらに医者から余命2年を宣告された大学生、佐々木常宏。 鬱々とした日々を過ごす常宏は、ある日借金取りに追われ海に転落したところを、釣り好きの少女ハナとその釣り仲間の貴明たちに助けられる。 ハナに勧められるまま人生初の釣りを経験し、その釣り仲間とも親交を深める常宏。 ハナや貴明の働くコンビニでバイトも始め、難解な釣り用語や生アミの匂いに苦戦しながらも、徐々に釣りにハマっていく。 手元に伝わるアタリは、生の実感――。 転落し続け世界を見上げるだけの人生は、そう簡単に変わらない。 そんな常宏が釣りを通して見つけたものとは……?

たナか さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ガチ寄り釣りアニメ

アングラー=釣り人
真面目に釣りアニメをするぽい雰囲気

CG釣り描写は美麗でリアル寄りだが、キャラは昭和まんが等身混在のカオス時空で美少女アニメではない作り。こっっちは真面目に作ってんだよ、絶対に性的消費などさせてなるものか、という矜持を感じる。サクサクご都合展開の嫌味を昭和まんがキャラでリアリティラインをぼかしつつ、実は真面目な人間ドラマをやりたい雰囲気。釣りモチーフは啓蒙ではなく、アニメ濫造時代の競合対策カブリ回避の意味合いのほうが強そう。

02
強引な進め方が気にならないレベルには面白い

ひたすら主人公サゲなのはまずはイケメンの株を上げるためか。ここまでやればイケメンアレルギーでも拒否反応が出ないくらいに、派手髪タレ目長身イケメンの嫌味は消えるはず。男からみてもめちゃくちゃいいやつ。釣りプロになる話でもないので成長譚のカタルシスの伸び代確保のためには好感度の初期値を低めに設定するのはしゃーないか。

すでに出来上がってるグループに新規参入する際の、お互いに腹を探りつつ距離を縮めていくこの感じ。いいですねー。若き青春時代を思い返します。モチーフも素人の趣味釣りと地味目。ビックリドッキリエログロちゃぶ台返しで伏線‼️神‼️とか美少女萌えのような深夜アニメでもないしキラキラメルヘンニチアサでもない作風は、今の時代だからこそ可能になった企画かな。でも一応萌えキャラっぽい清楚系女子も置いとく優しさもある隙の無さ。

アクスタ広告動画やシノギなろうとは違う真面目さだがアニメの楽しさもきちんとある。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 1

ミュラー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

釣りを通して人生を見つめなおす良作

めずらしい釣りのアニメ。
生きる希望も無くなったとある青年が、釣りを通して人生を見つめなおす。
それにしても自分に自信のない人間の心理を解像度高く描いているこのアニメ。
共感できるというより、なんか心が痛い、と言った方がしっくりくる。
精神科受診してしまう状況の人間を救うのは大変だろうな。
そしてとてもリアルな釣りの描写。

このアニメで特に良かったのは、常にバックに流れる劇伴。
静かながら非常に心地よい雰囲気を出してくれる。
良いアニメを見たという感想の残る作品でした。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 6

是正 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

自分は絶賛するけど合わない人はいるのはわかる

非情に丁寧に主人公の人物像を描いた上で12話と釣りを通して少しずつの変化を描き切った名作。釣りの魅力は伝わったし、学業と社会的成功のみの視野だけで生きて来た主人公がそれ以外の視野と考え方を持てるようになるまでを丁寧に描いている。
一つの視点で生きるという事はそれがダメになった時に全てがダメと思うようになってしまうし物事を測る基準も一つしかない。それが劇的な変化ではなく、趣味人に押し付けられるように始めた遊びから自分の中の比重が変わっていく姿が見えたのは自分は非常に評価している。

ただ現代社会が舞台な上にテーマが釣りで丁寧に描写してる分劇的な展開が多い作品ではないため刺激が薄い、つまらないといった感想が出るのは理解できる。あと主人公は結構ダメ人間だし。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 2

59.3 3 2024年度の群像劇アニメランキング3位
多数欠(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★☆☆ 2.8 (146)
160人が棚に入れました
多数派が失われる---- 過酷な生き残りゲーム『多数欠』。命運を捻じ曲げる絶大な力を前に、意志をつなぎ立ち向かう少年少女の物語。大人気WEBコミックがついにアニメ化

計測不能 4 2024年度の群像劇アニメランキング4位
劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師(アニメ映画)

2024年12月20日
★★★★★ 4.4 (5)
19人が棚に入れました
2013年に刊⾏された 「⼩説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師」を劇場アニメ化。決闘に向かい消息を絶ってしまった土井先生を捜す上級生と、忍術学園に危機が迫り奮闘する姿を描く。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ギャグこそ平和を継承する長寿アニメ13年ぶりの映画化作品

「朝日小学生新聞」に連載されていた原作マンガや、本劇場版の原作となった小説版(2013)は未読。
1993年~現在も続くNHK・TVアニメ版は5期(1997年)辺りまで視聴。


【物語 4.0点】
落第忍者がギャグでグダグダやって、ドクタケ一味がポンコツ過ぎて野望叶わず。
ダメだコリャwとズッコケて笑っていられる内は世界は平和。
長期アニメシリーズの長寿の秘訣を抽出、再提示した快作。


主人公トリオを始めとした忍者の玉子の落ちこぼれクラス・一年は組が、
先生を困らせつつ笑いを取る学園コメディが基本線の本シリーズ。

が、一方で舞台となった戦国・安土桃山時代の時代考証はかなり緻密。
TVアニメ版も特に初期の頃は、戦乱で荒廃した街、戦災孤児など、
なかなかエグい描写も混在したりして。
基本一話10分完結の学園ギャグショート作品なのですが、
時々ドクタケ忍者隊の陰謀といった学園外の乱世の現実を思い知らせる連続シナリオで引き締める。

このシリーズ構成が私の肌に合っていた当初の4年間は視聴継続。
残虐描写の自主規制が入り、一年い組、“ドクたま”とライバルとなるクラス、集団が登場して学園アニメ要素が強まった頃に、自然と視聴しなくなったと記憶しています。


本作では初期の頃の戦災描写が復活。
“最強の軍師”天鬼とやらを担いで、性懲りもなく出張って来たドクタケ一味の野望を通じて、
改めて兵庫県・尼崎市(旧・摂津国)が舞台だという忍術学園周辺の概況を俯瞰してみると、
『忍たま』の世界って、諸勢力が入り乱れる危険な紛争地帯なんだなと現実を再認識させられます。
ホント織田信長が上洛した頃の畿内の如くグッチャグチャです。


シナリオは失踪した、は組担任・土井先生捜索とドクタケの“軍師”との対決がメイン。
上級生の6年生たちでも歯が立たない難事件。
リアリティを突き詰めれば、落第忍者の、一年は組に絡める要素はない。

が、そこを金に目がくらんだ時だけサーチ力が爆上がりする、きり丸や、
空腹時だけ食い意地が暴走するクラッシャー・しんベヱといった、
キャラクターのギャグのパワーで笑わせつつ強行突破する。

で、最後はこのギャグこそかけがえのない日常と、
{netabare} 土井先生の胃痛を伴うw{/netabare} 冒頭のコメディパートを伏線回収しつつ、
華麗に着地を決め、上映時間90分でまとめ上げる。

例えば終盤、{netabare} しんベヱが監禁されたドクタケ砦の壁を食い意地で食い破る。
撒き散らした涎で、忍者が痕跡を残しちゃだめだろうwと山田先生を呆れさせつつ、ラスボスのアジトにナビゲートするとか。{/netabare}

は組は無能だからこそ予測不能な波乱をもたらす。
常識の枠を笑いで取り外し脚本の自由度を確保しつつ、クライマックスではホロリとさせる。
この辺りの、シナリオ運びの熟練技には舌を巻きます。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・亜細亜堂

近年は深夜アニメの元請けも目立つ同スタジオですが、
元は『忍たま』などの児童向け長期シリーズで実績を積み上げて来た所でもあります。

が、本格的な忍術アクションで魅せた本作では、
ファンタジー、異世界バトルアニメでの経験もより生かされた印象です。

戦火で荒んだ“最強の軍師”の心の闇を示唆する彼岸花などは、
直接的な戦火の荒廃描写以上に、真に迫る物があり。
心情描写もより深夜アニメ寄りとの感想を得ました。

一方で、{netabare} あの金の亡者・きり丸がバイトをやめる{/netabare} と耳にした時に、
驚愕した、は組一同が目ん玉飛び出すコメディ描写など、
古の児童向けギャグ対応もカバー。

総じてエンタメ忍者映画としての幅広い対応力が光ったアニメーションでした。


【キャラ 4.0点】
一年は組・担任の土井先生は戦で家を滅ぼされた天涯孤独の身の上。
落第忍者トリオの一角・摂津の きり丸もまた戦災孤児。
(その貧困の反動だからと言って、きり丸は金に目がくらみ過ぎですがw)
似た境遇を経験した先生は、{netabare} きり丸を寮の長屋が閉まる夏休み中に家に招く{/netabare} など、気にかけて来た。

戦火の中の『忍たま』を再クローズアップするに当たって、
土井先生と、きり丸の関係性の掘り下げが効いていました。

きり丸は(※核心的ネタバレ){netabare} 記憶を失いドクタケの軍師・天鬼に闇落ちした土井先生奪還する{/netabare} キーマンでもありました。


きり丸、しんベヱの、金欲、食欲モンスターぶりがシナリオ打開の飛び道具として活用される一方、
乱太郎は、それすらもない凡人を極めた主人公。
主役が影が薄かろうが、話を成立させる。この辺りもブレないなと、ある意味、感心します。


にしても、諸泉尊奈門(しょせんそんなもん)だの、雑渡昆奈門(ざっとこんなもん)だの、
『忍たま』のキャラは相変わらずネーミングがテキトーで可笑しいですw


個人的には、体当たりで授業終了の鐘を鳴らすマスコット・ヘムヘムや、
「お残しは許しまへんでー!!」の食堂のおばちゃんが変わらず元気だったのにも
懐かしくてホッコリとさせられました。

土井先生も、落ちこぼれ共の相手で胃腸の調子が悪くても、
練り物ちゃんと完食しましょうw


【声優 4.5点】
初期から継続している方も、役を継承した方も、
ベテラン声優としての実力を示す。

乱太郎・高山 みなみさん、きり丸・田中 真弓さん、
しんベヱ役の講談師・一龍斎 貞友さん。
メインキャストを継続する御三方の、
歳を重ねても高音少年ボイスでキャラを維持し続ける確かな実力。

父・大塚 周夫さんから山田先生役を引き継いだ大塚 明夫さん。
明夫さん演じる山田先生を私は初めてちゃんと聞きましたが、
キャスト確認するまで失念していた程、完璧な一子相伝ぶりでした。

語彙力不足で恐縮ですが、長年、生き残って来た声優さんって、
やっぱり上手いな~としか言い様が無いです。


何より今回は土井先生役の関 俊彦さん。
(※核心的ネタバレ){netabare} 柔和なイケボの先生と、冷徹な軍師・天鬼という別人格の演じ分け。見事でした。{/netabare}


【音楽 3.5点】
劇伴はシリーズ通じて楽曲提供して来た馬飼野 康二氏。
本作ではアップテンポな戦闘曲も目立つ構成でしたが、
ベテラン作家が、電子音も交えたアレンジで好対応。

光ったのは、メインフレーズとなった素朴なバラード「一緒に帰ろう」による、
乱世より日常の説得力補強。

ただ挿入歌「愛と正義のドクタケ忍者隊」
その程度のリサイタルで、私は洗脳されませんよ(笑)


ED主題歌は、なにわ男子が「ありがとう心から」でアニメ主題歌初挑戦。
同グループは終盤、光GENJIによる往年のTVシリーズOP主題歌「勇気100%」も挿入歌カバーしてくれて嬉しかったです。

ジャニーズも人類史上最悪レベルの性加害事件などのスキャンダルで不透明な先行きが続きますし、
私も許し難いとは思っていますが、
「勇気100%」は、劇場版次回作がまた10年後とかになっても、
後輩たちに歌い継がれて欲しいと願います。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 11
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