群像劇で親友なTVアニメ動画ランキング 2

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79.8 1 群像劇で親友なアニメランキング1位
荒ぶる季節の乙女どもよ。(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (608)
2273人が棚に入れました
あなたの“はじめて"を、わたしにください――。高校の文芸部に所属する小野寺和紗たち女子5人。「死ぬ前にしたいこと」という話題で沸いたある日、部員の一人が投じたある一言……。その瞬間から、彼女たちは“性"に振り回され始める。

声優・キャラクター
河野ひより、安済知佳、麻倉もも、黒沢ともよ、上坂すみれ、土屋神葉、福山潤、広瀬裕也、咲野俊介、戸松遥、花江夏樹
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

純潔の染まる色

アニメーション制作:Lay-duce
監督:安藤真裕、塚田拓郎、
原作・脚本:岡田麿里、音楽:櫻井美希
キャラクターデザイン・総作画監督:石井かおり、

少年少女たちの心をざわつかせる季節。
思春期特有の性的な悩みや思考を、
文芸部に所属する5人の女子高生の視点を通して
鮮やかに切り取ってみせた岡田麿里作品。

一人ひとりのキャラクターの心情を
女性脚本家らしい視点で論理的に解き明かしていく。
繊細な心理描写のリアリティは、
真似のできないオリジナリティがある。

昔は岡田麿里作品といっても、どこかぼんやりとした
「キャラに寄り添った作風」くらいに考えている人が
私も含めて多かったと思うが、自叙伝の出版によって、
作風の裏にある独自性の由来が明らかになったことで、
より作品が理解しやすくなったかもしれない。

岡田麿里の脚本は、徹底的な「他者に対する視線」と
でも言うべきものから成り立っている。
言わば、最近ブームの「なろう系」とは対極にある。
「他者」を客観視しながらも、集団のなかにあるときの
思考や交わりを丁寧に描くことで、アニメの世界にあっても
圧倒的なリアリティを感じさせる。
それは、小学生時代に「他者」になろうとした
経験によって形作られたもので、脚本家としての彼女の
原点のひとつなのだろう。

前置きが長くなったが、この作品もそういう岡田麿里の
視線が随所に感じられる。
しかも、アニメのためというよりは、
漫画原作がスタートだったため、最初から最後まで
しっかりと構成された物語となっており、
完成度は抜群に高い。
私にとっての岡田麿里作品は、細部はとても面白いのだが、
最後の締めになると、いつも何か物足りなさを感じさせたが、
今作は、ラストまでとても上手くまとめられている。

いちばんの特徴は女子高生5人全員が大人に向かって
変化する心の動きをつぶさに見せている点だろうか。
ストーリーの中心は小野寺和沙が「男子」を
受け入れられないと感じつつ苦悩し、最後にはその感情が
変化するというもの。そんななかで5人全員の
心の動きを追いながら、感情の変化を視聴者に
しっかり見せている。

例えば、文芸部部長の曽根崎り香が恋をしたことで、
眼鏡を外して、男に対する考え方が大きく変わるところや、
菅原新菜が大人ぶりながらも徐々に本心を表現していく
過程をコミカルにしかも丁寧に見せてくれる。
心の変化の機微をしっかりと描いている。

{netabare}キャンプファイヤーの影踏み、
り香に対する天城のレポート、
百々子の男を嫌いになる過程、
新菜の歪んだ感情と素直な感情、
ひと葉の野望から生まれた恋、
和沙の恋と友情の間で揺れる思い。{/netabare}
女子高生たちの心模様を実に上手く表現している。

{netabare}り香の退学を撤回させるために起こした
文芸部たちの人質立てこもり事件。{/netabare}
和沙たちは、自分たちが「青」の世界に
いることに気づく。
そこは、心地良いものだった。
「青」の中にいる少女たちは、大人になるために
自らの色を求めて必死に生きる。
時が過ぎ、環境が大きく変化したとしても、
彼女たちがこの季節を忘れることはないだろう。
(2019年11月3日初投稿)

投稿 : 2025/01/11
♥ : 81
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人生で最もへたくそな時期に捧ぐ

岡田麿里氏が原作から絡んで脚本やって、な作品。原作は未読です。

タイトルからして生々しく、しかも思春期男女(特に女)の心理描写には定評のある岡田氏の作品。

「岡田作品は苦手だけど荒乙は面白い」との推薦を複数いただいてて、楽しみにしてました。


作品自体は思春期の“性”をテーマに、右往左往する文芸部の女子高生5名が各々の答えらしきものを見つけるまでを追った青春群像劇です。

 吾輩は○○である 名前はまだない

整理しきれぬ名付けもできぬ感情は存在し、その多くは経験の蓄積によって落とし所が見つかるもの。

青春群像劇では私たちがかつて通過してきたであろう感情や衝動なりを作品の中に見つけて、自分の思考パターンや嗜好のルーツとなった立ち位置を確認する作業でもあります。
高校を卒業すれば進路はバラバラ。得られる経験も分岐して汎用性に乏しいことが、高校卒業以降を追った作品が少ない理由なのかもしれません。

そして汎用性があるようなないような題材が今回のテーマ。
“性”に対する考え方は個人によって差が相当あるもの。

そんな本人にしかわかり得ぬ感情。いや本人でさえわからない感情について同じようにバラバラだろう相手の感情とを擦り合わせる難儀なことを人生で初めてする作業が思春期世代の恋なんだと思います。

個人差があるのは当然で、ひとつの事象とっても男女で考え方も捉え方も違うことを想像できなかったり、違いはあると自覚しても何がなんなのか袋小路に迷い込んだり。
例えばこの連載は別冊マガジンですが『別マ』と言われて男子は『マガジン』を女子は『マーガレット』を想像し、お互いの前提がずれてる中言葉のキャッチボールを交わしてるうちに悶々としてしまう。
ほんの少し先になれば『マガジン』も『マーガレット』もあるって気づくものです。それがなかなかそうはならないもどかしさを作品で表現することは難儀なことでしょう。


前置き長くなりましたが、つまり、

 これまで数多語られてきたけどまとめられんのかいな?

好きだ惚れたから一層も二層も踏み込んで、本来同じカテゴリーなのにあえて切り離すことで物語を作りやすくしていた“性”なるものに焦点を当てちゃった本作。
個人差が激しいネタについて、きっとそんな時期を通過したであろう私たちにリアルな質感をもって届けてくれるかに着目したわけであります。

結果、文芸部員5名それぞれに異なる立ち位置を与え、かつそれぞれに対となるパートナーをあてがい、パズルのピースをはめていくようなストーリーに仕上がっていました。男はあくまで彼女たちを輝かせるための舞台装置。主役はあくまで乙女たちです。
よくパズル組めたな~。率直な感想です。一覧は以下。当然1対1とは限らないのですが詳細は本編参照。


【文芸部員】
小野寺和紗(CV河野ひより)
菅原新菜(CV安済知佳)
曾根崎り香(CV上坂すみれ)
須藤百々子(CV麻倉もも)
本郷ひと葉(CV黒沢ともよ)

【パートナー(仮)】
典元泉(CV土屋神葉):{netabare}対和沙要員{/netabare}
天城駿(CV広瀬裕也):{netabare}対曾根崎先輩要員{/netabare}
山岸知明(CV福山潤):{netabare}対本郷先輩要員{/netabare}
三枝久(CV 咲野俊介):{netabare}対菅原氏要員{/netabare}
杉本悟(CV花江夏樹):{netabare}対もーちん要員{/netabare}


実のところパズルが組み立てられた時点でおおむね満足しています。いいもの見せてもらいました。
リアルな質感があったかどうかは個人差によるものはあるでしょう。具体的にはこんなところが良かったなぁと私が思ったところは以下、


■OPを飛ばしちゃダメ

曲中に文芸部員たちの独白みたいな合いの手が入るわけですが、全OP一定ではなく変わっていきます。
作品世界をよく表したOPなので飛ばすのももったいないのもありーの、その回冒頭から集中を促す効果がありました。


■結局全員荒ぶる

キャラの掘り下げが全員できてたという意味ではなく、5名ともきちんと荒ぶってました。


■ざわつく

岡田脚本の特色なのか、円満にしときゃいーのにそれ要るかな?ってネタを挟んでおり、またそれがリアルな質感がありました。
安心安全なピュアピュアな恋愛を期待するのも野暮というほどさらりと毒を盛り込んできます。

{netabare}・部長の彼氏がちゃっかり前カノのおっぱい揉んでる事実
 ⇒経験者じゃないと曾根崎先輩を攻略する前に心が折れてたかもしれないという仮説
・あの杉本が女を連れている(最終話ED)
 ⇒地獄へ落ちろ!との視聴者の期待を嘲笑うかのようにしっかりキープ。なんだかんだ動く奴は強い
・本郷ちゃんが報われない
 ⇒いい子なのにね{/netabare}



最初はインパクトのある下ネタという飛び道具を織り交ぜながら、「おいおい大丈夫かよ」とくぎ付けになり、適度に乙女たちが荒ぶりながら最後の最後でぶつかり合ってという青春ど真ん中をいく良作でした。
端的に言えば序盤から終盤{netabare}10話{/netabare}までのわりと緻密な展開と打って変わっての後半の勢い。
慌てて畳んだ感が無くもないと言えますが、ここは『荒ぶる』感が出ていたと好意的に解釈してます。
{netabare}もう2話時点で和沙が自分の気持ちに気づくとか、5話で最も縁遠そうな部長がくっつくとか、その後どうするの?を長めに取る構成は良かったです。{/netabare}

個人差ありまくりの“性”の捉え方に関して、本作でのそれについてはノーコメント。
ただしきっと、登場キャラのうちに「あ、これ私だ!僕だ!」な子だったり言動行動が見つかるのではないか?と思えるほど網羅性は高いように見えますね。
現在進行形の方はがっつり共感して。はるか彼方の御仁は軽くキュン死しながら悶え狂いましょう。私も悶えました。おすすめです。




※ネタバレ所感

■パズルのピースについて
ほうぼう荒ぶっておきながらしっかり着地できたのって、主演女優5名と対になった野郎どもとが似たもの同士だったからではないかと思います。

・和沙VS泉
 {netabare}上半身と下半身が別の生き物同士

最終回でお互い似たもの同士だよねと分かり易く描かれてました。典型的な思春期のアンバランスさを体現した二人で主役にふさわしかったと思います。

{netabare}「泉。私ね。これからも不安になると思う。でも泉と同じ気持ちと同じ言葉、私はちゃんと持ってるんだって!分かったから…不安になっても、それを思い出せば…きっと大丈夫」{/netabare}
このセリフを言えたからこその主役でしょう。不安になると言葉に出せた時に大きな成長を感じました。{/netabare}


・曾根崎先輩VS天城
 {netabare}素直な者同士

お互い耐性ないので基本ちょろいです。考えてるようで実はそうではありません。よく言えば真面目で一途といったところでしょうか。浮気は絶対許しません。{/netabare}


・本郷ちゃんVSミロ
 {netabare}言葉先行で行動に移れない者同士

若さゆえに本郷ちゃん頑張りますが失敗重ねてるうちにそのうち諦観しそう。ミロ(三枝先生)がそのなれの果てかしら。言い訳先行でまたそれがもっともらしく聞こえるタイプ。
そんな本郷ちゃんが最も荒ぶってるように見えるというのが“荒ぶる季節”のアンバランスさを表わしてるようで心地よいです。{/netabare}


・菅原氏VS三枝
 {netabare}持てる者かつ特殊フェチ同士

周囲から羨ましがられてます。周囲からの見られ方と自身の嗜好にギャップがあるのが悩みどころ。医者や高級官僚がSMにハマるみたいな倒錯性を感じます。ちがう?{/netabare}


・もーちんVS杉本
 {netabare}相手が見えてないもの同士

自己中とも言います。杉本は言うに及ばず、もーちんもなかなかの猛者です。「なんで自分の思うとおり動いてくれないんだろう?」が先にあると恨みつらみが積み重なっちゃいますよね。{/netabare}



合ってるかどうかは知りませぬ。それは違うさーというのも笑いながらツッコんでみてください。



最後に、、、
なんだかんだ本郷先輩の今後が気になるところです。

{netabare}「止まらない電車に乗っちゃったんですよ我々は!」
ブルーハーツの伏線回収お疲れ様でした。{/netabare}

{netabare}あと真っ白になったと言い残して燃え尽きてましたが息してますよね?
自分で蒔いて自ら回収とはさすがです。

ぜったい素敵な女性になっておくれよー(^_^)/~{/netabare}



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

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2019.09.28 初稿
2020.04.10 タイトル修正/修正

投稿 : 2025/01/11
♥ : 72
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

揺れる思い、荒ぶる乙女心

原作 岡田麿里・漫画 絵本奈央。

文芸部に所属する女子高生が、
思春期特有の「性」の悩みに振り回される。
お年頃な乙女たちの青春群像コメディ。

大胆で繊細なテーマですが、
コメディタッチで描かれているため嫌味がない。
小さな共感とクスッと笑える展開が、
どこかにきっとあるだろうと思います。

4話視聴追記。
時代錯誤的に誇張された表現が微笑ましいと、
お気楽に見ていたのですが、
少女たちのあるべき葛藤が群像的に顕在化し、
ちょっと待てと…襟を正し始める。
{netabare}通過儀礼により失くしたものを問いただし、
失ったものの賞味期限を確かめているようだ。{/netabare}

これはただのコメディではなかった。

11話視聴追記。
揺れる思い、荒ぶる乙女心。
終幕に向け大きく動き始める青春群像。
{netabare}現状を維持するための行為が、
むしろ現状を理想から遠ざけてしまう。{/netabare}
青春のもどかしさが上手く表現されている。

最終話視聴追記。
新しく芽生える感情、
まだ名前も知らないその感情に、
振り回されては抗する乙女たちの純情。
全てに不器用だった私たちの青春と共鳴し、
様々な素敵な色を見せてくれる。
最後の台詞までセンスがあり楽しめました。

素敵な恋の季節の物語でしょう。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 71

74.3 2 群像劇で親友なアニメランキング2位
フルーツバスケット The Final(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (143)
574人が棚に入れました
母親を亡くした透はテントで一人暮らしをしていたが、その場所が由緒正しい『草摩家』の敷地だったことが縁で草摩由希、草摩夾と一緒に住むことに。ところが、草摩家は何百年も前から忌まわしき『呪い』に縛られていた。由希、夾、そして草摩家の皆と交流を深める透は呪いを解こうと奔走するも、解決の糸口は全くつかめない。それどころか、草摩家の当主である草摩慊人が女性だったという最大の秘密を知り言葉を失くしてしまう。『神』の慊人と『十二支』の皆をつなぐ“絆”、それは儚く脆い悲しみの螺旋……。しかし、終わらない宴はない――誰もが忘れた最初の記憶、最初の約束。その向こうで由希を、夾を、そして透を待っているものとは……。
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

手のひら返して途中脱落者の帰還は可能です

原作未読


唯一無二の価値…
昨今の諸般事情を鑑みて、昔の少女漫画しかも一度アニメ化もした作品のリメイクにあらかじめ完結までの5クール分もらえた事は奇跡としか言いようがなし。

中身内容の論評以前に作り手の情熱に頭を垂れたい逸品です。
冒頭あえてそんな話をしたかというと理由があって…

 フルーツバスケット1期(25話) 3.6点
 フルーツバスケット2期(25話) 3.4点

普通orつまらないの境界を3.5点にしてる私にとってFinalに至るまでの評価は決して高くありません。
完走してみたらこれまでの負債をFinalでがっつり返して少しお釣りができたな、が正直な評価です。名作の誉れ高い作品の完結部分に該当するFinalはお世辞抜きで良かったです。

 原作未読で楽しめた方どれだけいらっしゃったでしょうか?

ドタバタしていた立ち上がりから徐々にトラウマを小出ししてきた1期。
そのトラウマが主成分となって陰鬱なテイストが続く2期。

原作未読で結末を知らない私の場合、鬱状態キャラの数多さとなによりその理由がイマイチ見えてこないまま進行する物語がつらかったです。持ち返すFinalまでの我慢比べは必要かもしれません。つまり

 キャラたちのトラウマ(“呪い”込み)どうなりましたか?

待たされた分否が応でも高まる期待値に対する回答っぷりは極めて良かった。

{netabare}アキト含みで十二支の呪いが生じた背景の説明やその後の顛末はもちろんのこと
 1.透くんのお母さんをきっちり拾う
 2.物語のきっかけ由希の透くんへの想いにもきっちりケリをつける{/netabare}

物語のぶっとい本筋からして捨てちゃっても文句言われなさそうなところに焦点を当て、しかも本筋をさらに豊かにする挿話。

総括するとこんな感じ ↓
・結末知っとかないと途中きついかもしれない
・長編を楽しむ心の余裕が必要
・お釣りはくる!俺を信じろ!?


戻りますけど、全部やると決めての63話が唯一無二の価値です。スポンサーのご意向を伺い刻んで刻んでの結果として4期5期じゃないですからね。それだけで良いんじゃないかしら。
最後に盛り返す展開は鉄板。作中の高校生活3年間と同じように放送期間もたっぷり2年強かけながら、山あり谷ありマンネリありの高校生活を疑似体験できたかのような貴重な経験でした。



※閑話休題

{netabare}だからこそ最終話。高校卒業後での新居アパートのシーンがまぶしくそして寂しく見えるのよ。{/netabare}

それとOPアニメーションは綺麗でしたね。これだけ美しい日本家屋を初めて見たかもしれません。



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

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2021.07.20 初稿
2022.06.04 修正

投稿 : 2025/01/11
♥ : 28

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「原作アニメ化」への期待を裏切らずに完走したアニメ

とりあえずこのレビューではあんまり中身の話はしてないです、ごめんなさい。


漫画やライトノベル原作のアニメ化の報を聞くとき、原作を知る人はまず考えると思います。「いったい原作のどこまでがアニメ化されるんだろう?」と。

そして多くの場合、アニメ化が企画されるときにはまだ原作は完結していません。そして昔のようにゴールデンタイムの放送で約50話(1年間)くらいの尺が与えられることも珍しくなかった時代ならいざ知らず、近頃のアニメ化では1クール12、3話が当たり前で長くても2クールしか与えられず、その先のアニメ化は不透明なことが多いです。

この『フルーツバスケット』も最初にアニメ化された際には原作は完結しておらず、2クールでアニメオリジナルの最終話によるアニメ化でした。

しかしアニメ化と聞いて人は夢見るのです。原作の結末までがアニメ化されることを…。


聞くところによると本作の制作陣は原作漫画や旧作アニメの熱心なファンであり、企画時より「原作の最後までをアニメ化する」という決意を以って制作にあたったらしいです。

実際、1期目放送決定時から「今回は原作の最後までがアニメ化される」というニュースはありました。

そして安定した制作体制の維持のためもあってか分割でという形ではありましたが足掛け3年、この「The Final」13話を含む全63話を以って志は果たされたのです。

多くの作品が夢想して果たせない結果を残した制作陣そしてキャストの皆様ありがとう、そしてお疲れさまでした。


以下、余談。

その1:
神様とそれを取り囲む十二支の絆、そして変身というオカルト感満載の設定がある本作ですが、そんな草摩家の面々をもものともしない異能を持つ存在が花ちゃん(花島 咲)です。

草摩の問題が目立つ中で密かにこの人の苦悩も相当なものじゃないかと思います。ちなみに本作で「推しキャラ」というものを挙げるとすれば彼女です。

その2:
ED主題歌の入りで透くんと今日子さんが写った写真が入った写真立てと十二支のマスコットみたいな奴が並べて飾られているカットがあるのですが、本編に合わせてこの様子が微妙に変わっていくのが、芸が細かかったです。

表装ガラスが割れてる写真立てとか、なかなかに痛々しかったですね。

その3:
旧作から間が開きすぎたので、新作でのキャスト変更は妥当な判断だったと私は思っています。

その4:
「原作カットが残念」とかいうのは、完結までのアニメ化を果たせなかった多くの作品から見れば贅沢な悩みです。いや、確かに残念だけど(笑)。

投稿 : 2025/01/11
♥ : 26
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

この作品に出会えて良かった

原作未読 全13話

1st seasonが全25話、2nd seasonが全25話、そして今回のThe Final 全13話でトータルで63話、長いようで短いような時間でした。

お話はいよいよ核心に迫ります。
{netabare}
由希も最後言っていましたが、大きく深く暖かく包み込むような、十二支の呪いで荒んだ心を溶かしてくれる透はみんなのお母さんみたいな存在でしたね。

慊人と透のシーンは壮絶でしたね。私なら2〜3発殴るかもしれないw傷つけた慊人も例外ではなく、包み込んで透の優しさが溢れていました。
{/netabare}
とても良い終わり方でした。みなさんとても良い顔をしていましたね。
{netabare}
惹かれあったそれぞれ2人が歩み出していましたね。夾&透、由希&真知、紫呉&慊人、潑春&依鈴、綾女&倉前、燈路&杞紗、はとり&繭子、紅野&魚谷と沢山のカップルが誕生しましたね。一番驚いたのが花島と藉真のカップル?、想像できませんでしたw

それぞれのその後のこともちょっと観たかったのですが、尺の問題もあり仕方がありませんね。想像に任せましょう。

夾と透がいきなりお爺ちゃん、お婆ちゃんになっていたのは飛びすぎ!と一人突っ込んでしまいましたw 毎話変わるフォトフレームのシーン、最後は賑やかになっていましたね。
{/netabare}

OPはWARPs UPさん、GENICさんが歌っています。

最後に、現在YouTubeで放送終了記念サンクスムービー(6分ほど)が公開されています。キャストの声優さんたちのコメントが観ているとまたウルウルしてしまいます。その中で大きな発表がありました。{netabare}何と透の両親のお話が2022年に制作決定!、また舞台になるそうです。まだまだ続くみたいですね。{/netabare}

投稿 : 2025/01/11
♥ : 22
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