2024年度の社長TVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の2024年度の社長成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年04月26日の時点で一番の2024年度の社長TVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

66.9 1 2024年度の社長アニメランキング1位
トリリオンゲーム(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (64)
232人が棚に入れました
ワルで頭の回転が速い人たらし・ハルと、気弱で人と話すことが苦手なパソコンオタク・ガク。 正反対の二人は、中学時代のとある出来事を機に交友を深めていく。 それから数年。大学生になり就職活動に励むガクは、その性格が災いし面接で全敗。 本命であった大手企業・ドラゴンバンク本社の窓拭きバイトをしていたところ、ハルに一緒に起業しないかと持ちかけられる。 「俺らのワガママは、世界一だ」 この世の全てを手にいれるため、1兆ドルを稼いで駆け上がる、二人の超予測不能な起業サバイバルが始まる!
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ハルの傑出したキャラに型破りのビジネス展開とスピード感で2クールを痛快に疾走!!

【レビューNo.180】(初回登録:2025/4/20)
コミック原作で2024年作品。全26話。


(ストーリー)
中学時代、カツアゲに遭遇した平学(ガク)とその場に出くわした天王寺陽(ハル)。
・ハルは半グレ連中を殴り倒してガクを助ける
・ガクはハッキングにて監視カメラの暴力シーン映像を消してハルを助ける
以来2人は友人となる。
月日は流れ大学の就活時代、ガクは生来のコミュ障のために全ての企業に面接
で落とされてしまう。
一方のハルは超巨大企業ドラゴンバンクに就職が決まっていたが、ガクの元に
現れ、「一兆ドル稼ぐため、一緒に起業しよう」と提案してくるのだった。
こうして2人のゼロからの挑戦が幕を開ける。


(評 価)
・圧倒的に傑出したハルのキャラクター性
 本作はとにかくハルのキャラクター性が傑出しています。
 ・長髪のイケメンで愛すべき”チャラさ”がある
 ・知略に優れ、弁も立ち天才的なコミュニケーション能力を有する
 ・フットワークが軽く行動力の塊
 ・それでいてワルいことにブレーキがなく、勝つためなら手段を選ばない
  用意周到さと簡単に諦めない根性を併せ持つ

 その突飛な発想力で「事業成功までのロードマップ」を描き出すと
 ・本業の方は高いITスキルを有するガクに任せつつ
 ・自分は「金策だ!」「営業だ!」で特攻あるのみ!
 大風呂敷を広げた流暢な語りと断られてもめげずに「ハイ次!」と超ポジテ
 ィブな姿勢が観ていて小気味いいんですよね。

 また目的のためなら仲間を切り捨てることも厭わないハルですが、最後には
 口癖の「クハハ」という笑い声をあげると
 「悪ぃ~♡」
 の一言ですべてが許されるという憎めない愛されキャラがまた秀逸。

 ハルの一挙手一投足から目が離せないという感じですね。
 

・他のキャラも魅力的
 『美味しんぼ』では、ある2人の関係を「柳川鍋」に例えた話がありますが、
 ガクはまさに「柳川鍋」の「ごぼう」のような存在です。
 コミュ障でオタクっぽいし、自信がなさそうでオドオドしてるし・・・
 でもハルとは対照的なキャラであるからこそ2人のコンビは輝きを放ちます。
 それにハルが常人離れしたキャラなので、「足るを知る」常識人で誠実な人
 柄のガクは作品に親近感や安心感を与えてくれるんですよね。
 作中では、いつもハルの「世界一のワガママ」に振り回されて大変そうですがw

 また途中で社員採用される高橋凜々(リンリン)も最高です!
 彼女も要領が悪いゆえに就活では辛酸をなめた一人ですが、「株式会社トリ
 リオンゲーム」のスタートアップに参加すると、持ち前の堅実さや緻密さで
 ハルとガクの至らぬ穴を埋めていきます。
 また採用時にいきなり「社長」に就任させられますが、会社の規模が大きく
 なった後も数字とにらめっこしながらしっかり社長業を全うしていました。
 それに自転車移動の姿が絵になるOLってやっぱ最高やろw

 ハルの派手さだけでなく、ガクやリンリンの地道な努力が報われる様が描か
 れているのも本作の魅力ですね。

 ビジネスの世界は食うか食われるかの非情な競争社会ではあります。
 でも入り口と出口にいるのはやっぱり「人間」なんですよね。
 そんな感じで、ビジネスで彼らに関わっていく他の登場キャラたちも総じて
 魅力的に描かれています。


・意表を突く展開とスピード感が痛快
 肝心のビジネスの話では、「意表を突く展開とスピード感」が本作の魅力と
 なっています。
 作品の性格上「ご都合主義でイケイケどんどん」的なところは否めませんが、
 この手の作品ではしっかり構想が練られていている部類だと思います。

 象徴的なのが「AIネットショップ編」ですが、{netabare}まずは最初の事業として花屋
 のチェーン会社に
 「AIで購入者にピッタリなフラワーアレンジメントをセレクトしてくれる」
 ネットショップの導入提案を行います。
 ・実は見た目だけそれっぽいサイトを作り、裏で(花屋でバイト経験のある)
  リンリンが人力でセレクトしている「ハッタリAI」だった!
 ・試験導入で成果を出したところでこのカラクリを暴露w
  → 今度はチェーン店の熟練スタッフたちを動員して事業を拡大
 ・こうして資金と時間を稼いでいる間に本物のAIを完成させる

 近年のビジネス界では
 「『機を逸した100%』に価値はない。
  不完全でもますは走り出し、時流に乗ること。
  後のことは走りながら考える。」
 といった考え方が主流になってきていますが、まさにこれを面白可笑しく描
 いているなっと。{/netabare}

 また「ソシャゲ編」では、ゲーム作りのノウハウやカラクリなどをしっかり
 解説してくれるので、その辺りも為になって面白いです。

 ちなみに本作のラインナップとしては
 {netabare}【スタートアップ編】
 ・「プロローグ」
 ・「セキュリティ・チャンピオンシップ編」
 ・「AIネットショップ編」
 【メディア帝国編】
 ・「ソシャゲ&タレント事務所編」
 ・「トリリオンTV編」{/netabare}
 までがアニメ化されています。
 (原作はまだまだ続いているようです。)


この世界には巨象「ドラゴンバンク」が君臨していて、ハルたちの前に何度も
立ち塞がってきます。
それでもハルたちは怯むことなく、「全部欲しい!」とワガママに挑戦し続け
「次世代へのゲームチェンジャー」
として大きなうねりを起こしていくのです。
その様をハルの強烈なキャラと矢継ぎ早に繰り出される新展開で勢いよく描い
ていくという、本作はそんな力強さと痛快さを兼ね備えた面白い作品だと思い
ます。

キャラデザは原作画の池上遼一先生色の影響で、ちょっと古くて濃い目で癖が
あるという感じですね。
個人的には馴染みある懐かしさがあり、結構好きでしたが。

投稿 : 2025/04/26
♥ : 9

ひっく さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ハッタリを軸に物語が進む

成り上がり起業ものと聞いて想定していた上限ラインみたいなものがあったんだけど、それを上回ってくる発想と展開が連続で襲ってくるのが面白すぎて、電車の中で声出して笑ってしまった。もちろん変な目で見られた。

とてつもなくぶっ飛んだ行動力とコミュ力、鋼鉄のメンタルと独自の哲学を持つカルトヒーロー・ハル。対照的にナイーブな性格で視聴者に寄り添った代弁をしてくれつつ確かな技術力を持つガク。2人が何も持たない所から半ば詐欺まがいの強引な手段と博打を打ち続けて強大な権力を手に入れていく話。

でもこれだけの説明だと別に…、って感じじゃないですか。これの凄いのがその過程の描き方。ロジカルとマジカルを使い分けながら、絶妙にギリギリ現実でできそうなミラクルを十段乗せ、百段乗せしていく。それを行うハルのキャラ造形も、超人的なのにギリギリ現実にいそうなバランスの魅力を纏っているのが最高に良い。ひろゆきとかホリエモンにわくわくした経験のある人はストライクど真ん中だと思う。僕は続きが気になって身悶え、睡眠時間を削って最新話まで観た。

そして26話の締め方に至るまで、とにかく「一段上、二段上のスケールを見せていきたいんだ!」という一貫した意志を感じた。

池上遼一のケレン味あふれる癖強のキャラデザが賛否分かれるのかもしれないけど、やがて見慣れてくるとジョジョのように含蓄を持ってきて「やっぱこの絵じゃなきゃな!!」ってなってくるので、見た目だけでスルーしないでほしい!

投稿 : 2025/04/26
♥ : 2

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

エキサイティングなオセロゲーム

私の2大好きなドラマは、「恋のチカラ」と「リッチマン、プアウーマン」です。
どちらも古いドラマですが、共通点があります。
それは、ベンチャー起業の社長とまじめで地味な女の子の物語です。
登場人物の構図も同じ。
社長とその右腕でもありライバルでもある二人の創業メンバー。
そして、女の子は、見た目こそ地味だけど、地頭の良さから二人をサポートします。

そして、この作品も基本の人物構図は、同じ。
イケイケどんどんの「ハル」、コミュ障だがプログラムに詳しい「ガグ」。
そして、ド真面目な就活生「凜々」。
ベンチャー企業の物語としては、王道なのだろうと思います。
前述のドラマは、どちらかと言うと仕事と恋愛が半々でした。
この作品は、恋愛要素もありますが基本はマネーゲームです。

と、言うわけで、多少、要素の違いはありますが、私は、そんな物語が大好きです。
弱小企業が大企業をバッタバッタとやっつけていく爽快感良いですね。
まるで、か弱い人間がドラゴンに立ち向かっていく現代の勇者物語です。

この作品もそれをモチーフとしているのか、敵の大企業の名前は「ドラゴンバンク」。
そして、主人公たちは、この大企業に立ち向かうために仲間を集めていく。
鬼が島に鬼退治に行く桃太郎から続く王道の展開ですが、やっぱりこれが一番面白い。


■まるでオセロゲームのような展開

さて、実は、私は、原作を先に読んでいました。
と、言うかアニメ化されているのを知りませんでした。
今、実写映画が公開されています。
ですので、アニメ化もしてほしいなと思っていました。
そしたら、丁度、今、やっていたんですね・・・。

ただ、原作ってちょっとクセがあります。
まず、展開がこれでもかってくらい速い。
本当は、何日もかかるはずの作業や根回しが昨日の今日と言う感じの展開をします。
実際は、何日もかけているのだと思いますが、結果だけが必殺技のようにでてきます。
でも、それが面白い。
まるで、オセロみたいだからです。
今まで不利と思われていた盤面が、ある一石でひっくり返るような爽快感があります。
まさにエキサイティングと言う表現がぴったりの展開がまっています。

しかし、オセロだって、実は、盤面をひっくり返すためにはそれまでの仕込みが大切。
しかも、それは、相手にバレちゃダメです。
この作品では、そんな仕込みから逆転までの一気通貫が気持ちよいです。

さて、問題は、この爽快感がアニメでも再現できるかってことなんですよね。
でも、視聴して思いました、心配は、杞憂だったと。
たしかに、私の場合、原作補正が入っています。
ですので、原作を知らない方が観たらどう感じるかには、心配はあります。
こんな展開ありえないとか、茶番とか思ってしまうかもしれません。
でも、それでいいんです、この作品は。
これは、あり得ない展開の壮大なスケールの茶番劇なんですから。
それに気付けると楽しく観ることができるかと思います。

ところで、この作品の中でダークフォース的な存在の黒龍キリカ(桐姫)。
オセロで言うと、黒か白かどちらか分からない石です。
この石が物語のどの局面で、どう置かれるか。
それによって、盤面がひっくり返ります。
そんなキリカ役を演じるのは、M・A・Oさんで、本当にハマり役ですね。
とても魅力的なキャラだと思います。

■まとめ

この作品は、原作と同様、「ガク」の回想録として進みます。
逆に現在では、「ハル」は、登場しないのです。
では、「ハル」どうなったの?って、一抹の不安を感じさせます。
この物語は、つまり、ゴールのその先を、今、見せることによって、
ただゴールを目指すだけの物語に終わらせてないところが面白いと思います。

投稿 : 2025/04/26
♥ : 11

56.3 2 2024年度の社長アニメランキング2位
魔王様、リトライ!R(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★☆☆ 2.6 (71)
218人が棚に入れました
大野晶は自身が運営する「INFINITY GAME」内のラスボス「魔王・九内伯斗」にログインしたまま、異世界へと飛ばされてしまう。そこで出会った謎の少女「アク」や聖女「ルナ」などのGAMEの配下や異世界で出会った仲間たちと共に着々と異世界での地盤を固めた彼は、現実世界に戻る術を探すべく新たな旅へ踏み出した。「魔王」を中心とした物語が再び動き出す……!
ネタバレ

どどる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

水戸黄門様R

1話はあらすじ。

1期の内容をよく覚えていなかったが、こちらの方が面白かった気がする。
水戸黄門タイプのファンタジーで、悪役がグフフ、ゲヘヘ、ガハハ、と調子に乗って女の子をいじめていると、ちょっと遅れて主人公がやってくる。
この形式のメリットとして、主人公の出番が少ない。男主人公の出番はほどほどに少ない方がいい。
つまり女の子の出番が多い!女の子がいじめられているシーンがやや多い!これは嬉しい。
女の子たちも全般に元気のある負けん気強い子ばかりで、見ていて元気になる。

とはいえ、水戸黄門式の欠点で、次々に困っているキャラのエピソードに乗っかるストーリー形式なので、以前に助けた女の子の出番が少ない。
助さん格さんに当たる準レギュラーの女の子がいないのもさすがに欠点。
あとラノベアニメの2クール目3クール目あたりの共通の欠点で、繋ぎの話だな~という感じはあった。




序盤の感想。
{netabare}
1話で切りそうだったけど、2話以降は相変わらず? おもしろい。

1期と違うのは、やけに隙が少ない楽しさになっている気がする。サマータイムレンダとかハルヒとかそっち系の感じ。
こういうのはスタッフの力がデカいことが多い。

監督の古賀一臣さんは監督作品で目立つのは彼女お借りします1~2期くらいだけど、演出歴を見るとゾイドワイルド、異世界魔王、異世界おじさんなどかなり信頼性の高い作品に関わっている。この人の力なんだろうか。
{/netabare}

投稿 : 2025/04/26
♥ : 1

すっぽんしんちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

シーズン1が面白かったので

続けて観てます。キャラデザイナーが変わったのかな、各キャラの絵柄が1に似せようとしてのでしょうがちょっと変わっていて、どっちかというと顔立ちの区別がなくなってます。
ユウさん、あやしい魅力が失せてます。
あと、シーズン1で琴線に触れていた任侠風というかマカロニウエスタン風のアレンジ構成が消えていて、普通の作りになっていたのが寂しかったかな。
それから、オルガンの相棒ミンクの中途半端なエロシーンより中二病発動シーンをもっと盛り込んで欲しかった。

投稿 : 2025/04/26
♥ : 0

64.2 3 2024年度の社長アニメランキング3位
アクロトリップ(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (65)
180人が棚に入れました
みつけた、熱くなれるもの(魔法少女)をー祖父のもとを訪れた地図子は、街を守る魔法少女・ベリーブロッサムと出会い、たちまち夢中に。 しかし、敵対する悪 の組織「フォッサマグナ」総帥・クロマの攻撃があまりにもパッとせず、2人の戦いは見応えゼロ。もっと、ベリーの活躍を愛 でたい地図子はモヤモヤを募らせていく・・・。 「魔法少女をもっと輝かせたい・・・強いてくれ、苦戦を!」 その欲望(?)が、内気な少女を悪の路に導いてゆく―。

声優・キャラクター
伊達地図子:伊藤美来
クロマ:島﨑信長
ベリーブロッサム=乃苺佳寿:水瀬いのり
マシロウ:河西健吾
大溝芭隆:森久保祥太郎
心亜:花井美春
月:沢城千春
ヒュー:子安武人
おじいちゃん(伊達翠京):相馬康一
クマ怪人:亀山雄慈
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

今思えば24年のアニメで一番印象に残ったのは本作だったかも。

 2025年も1か月が過ぎ2024年の作品で見返したいのは何かなと思った時、真っ先にこの作品が思い出されました。続いて「終末トレイン」かなあ。25年冬が不作なので、見返していたらリアルタイムよりもはまってしまいました。

 本当に面白い。なんでしょうね。地図子もベリーブロッサムもクロマもマシロも皆主体性があるような流されているような感じ。人間の弱さと願望にものすごく人間臭いリアリティがあるんですよね。

 特にベリーブロッサムが可愛いのはあるんですけど、キャラ造形が平凡なようで独特で不思議な魅力があります。それは、何となく生きづらい少女のカリカチュアであると同時に本質でもある気がします。加えて、まっすぐな性格がいいんですよね。ゴミ拾いをしているシーンで不覚にもジーンとしてしまいました。その滑稽なまっすぐさに、エロを排除した視点であこがれる純粋な気持ちはあるんですけど、並列して倒錯的なマゾヒズムも感じるというか…

 それを熱狂的な視線と少し冷めた視線との両方で地図子が見ている感じが素晴らしい世界観を作り出しています。そう、全員に共通するのがこの不思議な同時性というか2面性というか…唯一ぶれないのがおじいちゃんというのが計算なのか偶然なのか。

 全体的にわけのわからないこの世の中の縮図のようななというか…正義と悪のマッチポンプというテーマ性も面白いです。
 作品の構図はまどマギのパロディなんでしょうけど、そこから意味性を排除したことにより、かえって人間にリアリティがあるというか文学性があるというか…

 もちろん「まほあこ」でもあるんでしょうけど、あちらが魔法少女を構造的に分解した上で再構築したようなエロパロディとしての完成度の高さがあるなら、こちらは魔法少女の脱構築が奏功しているというか…その証拠が最終回の温泉回です。あの宴会でものすごく満足したんですよね…我ながら言語化できない分析力の無さにじれったい思いがあるんですけど。

 そしてなぜかアマゾンで全巻ポチッてしまいました。マンガを読んで何かつかめたらもう少し追記します。




以下 以前のレビューです。


正義と悪のマッチポンプに何を見出すのか。非常にいい最終回でした。

 妙に気に入り最後まで見ました。そして、最終回は何も明かしていないに等しいですが、そこが良かった気がします。

 正義と悪のマッチポンプが作品を通じてずっと描かれてきました。悪がいるから正義がいるのか、正義の存在のために悪が必要なのか。オオミゾテクニカという企業が何を考えて悪の組織をやっているかわかりませんが、悪と正義を生み出している謎の正体がその企業にある。これらは資本主義社会そのものと言えるし、世界情勢とも重なります。

 オオミゾテクニカというのはオーディオテクニカのもじりですが、オーディオテクニカが何の企業だかわからないという経験が原作者にあったのかもしれません。
 名前だけは知っている。じゃあ、何してるの?という感覚ですね。有名な企業だけど名前しかしらない。名前も知らないけど重要な企業。そういうなんだかわからない企業社会と、正義と悪がなぜ必要かの意味が重なってくる気もします。

 あるいは、最終回で描かれた皆仲良く宴会している様子です。ここに人間関係というのは、理由がいるのか?という構造も入ってきます。特にベリーブロッサムは何もない女の子です。正義が無ければ、趣味も友人もいなさそうです。その何もないベリーブロッサムに意味のない悪で存在意義を与え、あこがれる少女ダンテ(地図子)というファンであり敵を生み出す。

 母親からの電話をなぜ宴会の途中に入れたのか。そこに地図子の今の内面が見えてくる気がします。

 咀嚼すると味が出てくる非常に面白い話でした。ドキドキワクワクで、エンタメ度が高い話ではないですが、毎回妙に考えさせられました。特にベリーブロッサムの描写が秀逸で、空っぽなのに存在感がの強いキャラ性が何かを象徴している感じがありました。

 それともう1つの構造。創作物における魔法少女ヒロインとは何か?ですね。正義と悪のマッチポンプの問題とも重なりますが、その存在意義や活動に意味が無いような話を皮肉っているともとれます。
 草津であることは、アニメにおけるご当地物の描写を揶揄する皮肉もある気がします。それと草津温泉はエセフェミの問題があった町ですからね。いろんな意味が重なってくる気がします。

 毎週楽しませてもらいました。不思議なよくわからない感覚がありながらも、考えさせられるきっかけがある作品になっていると思います。




1話 メチャメチャ面白いんですけど?目のギザギザだけ気になる。

{netabare} 冒頭の軽トラのキンコンは頭文字Dで有名ですが、1986年に廃止されています。そして、おじいちゃん宅は黒電話です。おじいちゃんの家が古くて質素と言いたいのかなあと思うと、一方で、台所をはじめ部屋は綺麗なのが、ちょっとよくわかりません。
 軽トラのキンコンは80KM以上です。田舎だからスピードが出せるという設定かなと思うと結構大きな街の描写です。医者が不便でイオンに人が居ないのは田舎の象徴ですが、その割にビルが立ち並んでいます。中学校も大きいです。このチグハグさがあって設定が良くわからず、その演出意図(あるいはプロップデザイン?)は微妙かなという気がします。

 ただ、面白いんですよね、滅茶苦茶。話の展開はもちろん、テンポがいいのが効いているいると思いますが、演出が作り出す面白さも大きいので、演出がいいのか悪いのかよくわからないです。
 見ていると、説明がなくてもどこで何をしているかわかる背景描写、無駄な展開、カットの切り替えの工夫などが素晴らしいと思います。レベルが高いのか低いのか、バランスが良くわかりません。

 目のギザギザが気になりますけど、作画については人物の作画は結構ちゃんと動いていて、絵が綺麗なだけの一見作画が良い作品よりも動いていました。

 気になるのがイオンモール?での黒髪のスーツの男と青髪の童女がなんなのかですね。対立組織なんでしょうか。(追記 キービジュアルにいました)
 それとTVでやっている有名な魔法少女をいままでヒロインは知らなかったの?という部分です。そこはローカル局であることを演出でちゃんと見せましょう。それともヒロインとの出会いのころは無名で有名になってきたということなんでしょうか。どんどん強くなっているらしいですからね。

 あまり魔法少女本人のキャラを深掘りする感じではなく、悪の組織内部のワチャワチャを楽しむ話に見えます。魔法少女側の堕落とかも見たいですけどね。これがどんどん右肩下がりになるのか、上がっていくのかが問題です。

 ファン故に魔法少女の苦戦を望むヒロインなどは「まほあこ」を想起する展開ですが、調べると原作連載はこっちのほうが早いんですね。

 制作会社のVoilは新進のアニメ制作会社みたいですが、頑張ってほしいです。{/netabare}


2話 想像以上にくだらないけど、毎週見ます。

{netabare} 想像の10倍くだらないですね。1話で真面目にレビューしたのが恥ずかしいくらいです。

 ただ、面白いんですよね。最近あまり見ないボンボンとかコロコロ的感性ですね。そう、これは完全に感性の問題ですから、何が面白いかというのは難しいです。これを言語化できればなあとは思います。たぶん、毎週1回見るから良いんでしょう。連続で見るような作品ではないですね。 {/netabare}


3話 そこはかとなく面白い…ちょっとベリーブロッサムが気になります。

{netabare} 年齢層が分からない…ということはないですよね。「りぼん」なんですから。全5巻ですから少女・女児向けとしては長いですよね。5年間続いています。
 TV放映だとMXだと22時から、ATーXで23時から。そしてBS日テレは0時30分から。うーん…なぜ作ったのか?企画プロデューサーは何を狙ったのか。それが気になってしょうがないです。

 エロも萌えもありません…いや、ある意味では萌えかも…私はちょっとベリーブロッサムのキャラ造形が気になってしょうがないです。あとじいさんですね。じいさんが超越的な存在…ジョーカーな気もします。

 そして不思議な面白さ…本当に不思議ですけど、そこはかとなく面白いんですよね。本当に不思議です。{/netabare}


4話 悪が無ければ正義はどうなる?いいですね。ぜひ深掘りしてほしいです。

{netabare} 「宇宙戦艦ヤマト」の古代は「さらば…」で輸送艦の艦長をしていました。「機動戦士ガンダム」の1年戦争の英雄であるアムロは半分幽閉状態となりました。つまり、悪がいない力というのは邪魔ものでしかありません。あるいは悪がいるからこそ輝く存在でもあります。言い換えると平和に生きられない英雄たちです。

 これは古代中国から連綿と続いています。為政者にとって力とは恐怖でしかありません。

 アニメにおける正義と悪の描き方はどんどん進化してゆきます。「エヴァ」「デスノート」「まどマギ」。「サイコパス」や「ガンスリンガーガール」はいいところまで行きましたが、正義と悪について言えば内容が残念でした。
 その「サイコパス」と「ガンスリ」を上手く翻訳したのが「リコリスリコイル」だった気がします。見せかけの平和に対するバランスとして悪が必要というのが真島の主張でした。70年代から正義と悪についての描き方は随分と進化しています。

「悪がいなければ正義はどうなる?」これは、深いテーマです。歴代の魔法少女ものでも「悪」が無ければ異能が使える異端者がいるだけです。そしてまた、武器商人の理屈にもなります。そして、力による無理やりの平和は正義なのか。あるいは人間には正義と悪が必要なのか。

 本作のベリーブラッサムはその矛盾を非常によく表現していました。彼女にゴミ拾いをさせたのは素晴らしいと思います。そしてあの表情。なかなか深いなと思います。

 題名が「悪(アク)」の「路(ロ)」を行く(トリップ)ですからね。当然これが主題となるのでしょう。悪路はぬかるんだ道でもあり、また、アクロには「つなわたり」の意味もあるそうです。つまり、地図子の不安定な立場もダブルミーニングがあるのかもしれません。
 そういえば地図子という不自然な名前の意味もどういうことなんでしょうね?

 くだらない話ではありますが、この作品…というよりベリーブロッサムに不思議と引き付けられます。「まほあこ」もこの正義悪の対立構造をベースにしていましたね。やっぱりアニメの爛熟期だけにこういう不思議な魅力がある作品が時々でてきます。 {/netabare}


5話 今季で一番面白い…のか?ベリーブロッサムが可愛すぎる。

{netabare} ベリーブロッサムが可愛くてしょうがないです。ああいういい子は生きづらいですよね。わかります。その断れない性格にちょっとマゾ気質を感じます。あのネコ的なものはキュゥべえなんでしょうけど、何をたくらんでいるのか。

 お地蔵様のシーンとか可愛くてたまらなかったです。あと、猫にミルクを飲ませるのがギャグなのかどうなのかが分からないのもいいですね(本当は猫はミルクでおなかを壊すことがあるのであまり与えない方がいい)。

 また、正義と悪のマッチポンプがいい具合にシュールギャグになっているというか、ある意味哲学的というか…この辺やっぱり「まほあこ」との共通点を感じます。

 すっかりこの作品の魅力に取りつかれてしまいました。今回、バタバタしてまとまりがない話だったんですけど、一番面白かったです。{/netabare}


6話 孤独は何よりも辛い…ちょっと「聲の形」を思い出します。

{netabare}「聲の形」をちょっと思い出しました。孤独というのは何よりも辛い。だから、いじめられていてもコミュニケーションをとってくれるなら、黙って見ている聴衆よりも近い存在である。そこがあの作品の冒頭の意味でした。

 悪事を働く。この正義と悪のマッチポンプが孤独を癒すものだとしたら、つまり、自分の存在確認だということでしょうか。逆に言えば、悪に落ちるきっかけは孤独ということでもあります。正義と悪が錯綜して助け合うのも、同じですね。そこにコミュニケーションがあるということで、それを壊す本来的な悪はノイズでしかありません。

 あるいはもっと言えば宗教テロを起こした彼の集団の人はみんな頭が良かったそうですね。クロマの性格造形に共通点を感じます。

 そして、クロマの発言に真っ赤になるベリーブロッサムは人とのコミュニケーションが苦手なのでしょう。

 クロマもベリーブロッサムもどこか哀愁があります。ヒロインの能天気なファンであることよりも内面的な闇があるというか。猫の正体も何となくわかりましたね。

 浅いようで深い…というのは錯覚かなあ?錯覚だとしても、物語としては面白いです。 {/netabare}


7話 意味が分からないから考えるという物語体験の機能が働いている

{netabare} 浅いのか深いのかまったくわかりません。眞嶋の感情はなんとなくリアリティがある気もしますし、コンプレックスの変形というか人間のエゴとか狡さ、堕落みたいなものも感じます。とはいえ、単なる不条理ギャグの出来損ないに見えなくはないです。

 このまま意味性を持たなければひょっとしたら純文学になる気もしますし、テーマ性があるとすると悪にあこがれる心理を丁寧に描いている気もします。その辺はやはり咀嚼しないとわかりません。

 本作が1クールで結論までたどり着くのかどうかまったくわかりませんが、「わからないから考える」という本来創作物が持つ機能が忠実に働いている気がします。実は物語の体験でこれがかなり重要です。この作品は何がいいたいのか、何を体験したのかを咀嚼することでその作品が記憶に残りますし、自分の人生の一部として内面で活きてきます。

 サラリと全部説明する作品を私が嫌うのは、この物語体験ができないからです。それは浅い深いの問題でなく、受け取り手がどういう態度でアニメを始めとした物語との向き合い方をするのかの鏡となる、というと言いすぎかなあ。{/netabare}


8話 滅茶苦茶の様で整合性があるので、ギャグというよりコメディかなあ。

{netabare} 新キャラ2人出して何をしたいんだろう?という感想を持ちました。もう8話なのに。ただ、やっぱり面白いんですよね。新キャラの使い方はメチャクチャのようで整合性があります。
 つまらないのが面白いとかいう反語的意味や、メタ的視点から見た物語の脱構築というわけではないです。今回は間というかズラしというかそこが上手く機能してたかなあ。

 不条理に近い無意味さはやはりどこかで感じますが、それほど病的なものは感じません。不条理と言えば「ねこじるうどん」「コジコジ」などでしょうけど、ああいう異常性は感じません。その点ではボーダーラインよりもかなり正常に近い変わり者というレベルです。だからこそ安心して見られるという気はします。

 そういうどこか整った感じがあるので、ギャグの面白さよりもむしろエピソードとキャラを楽しめています。したがって、実はギャグではなくコメディの気もします。流れに意味性が強くありますので。{/netabare}


9話 意味がますますわからなくなってきました。

{netabare}  なんだかもう意味がわかりません。面白くないという意味ではないのですが、これで1クールどうするんだろう?という気がしてきました。まあ、素直に面白がっていればいいのかもしれませんけど。

 日常の中にある正義と悪という感じだけは意味としてはありますけど。{/netabare}


11話 レゾンデートル的な問いかけを強く感じます。

 悪とはなにかを地図子は自問自答します。その問いはどうやったら悪に見えるか?という浅い問いかけです。ですが、その直前にベリーと2人で過ごす時間がありました。正義のために悪を行う。つまり、ベリーがいなくなれば悪を行う意味がない。これが面白い構造ですよね。

 それを補強するのが、マシロウです。悪から正義になった。その理由が復讐だとしたら?存在価値・レゾンデートルだとしたら?そう、マシロだけでなく、主要な登場人物にこのレゾンデートルの問いを強く感じます。その行為に意味はあるのか。その意味は誰のものか、ですね。

 1話からずっとこの視点でこの作品を見ていますが、個人としては一般人かそれ以上に道徳心が強い地図子がその立ち場にいるのがいいんですよね。こういうテーマなんだか構造としていれたのかわからないけど、作品の根っこの部分に考えさせるのがいですね。


 
 
 

投稿 : 2025/04/26
♥ : 13
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