ぴかちゅう さんの感想・評価
4.0
「かぐや様」としてありか、「かぐや様」としてなしか
意識的に本編では、サービスシーンやパンチラを自重している「かぐや様」。サービスシーン等を入れることで、女性読者や一部男性読者からの支持を失うことを考えると、ラブコメの中身で十分勝負できるこの作品において、サービスシーンを入れないことは、より広範な読者の獲得につながってきたのだろうと思います。
そんな「かぐや様」のOVAとして、「ダークネス」と銘打って、あえてサービスシーンを満載したのが、こちらの作品になります。同時収録の「かぐや様は食べさせたい」はサービスシーンは興味ないけれどもOVAを購入した層向けに入れてある、と考えることができそうです。
「ダークネス」特にvolume1はまともなストーリー展開はありませんし、「かぐや様は食べさせたい」は、原作のエピソードに基づいていますが、独立エピソードのため、全体として、このOVAを視聴しなくとも「かぐや様」本編を見る上で支障はありません。本編は好きだけれどもサービスシーンなど見たくない人は見なくてよいような仕様にした、ということでしょうね。
サービスシーンを好む男性読者の希望をたまには尊重してあげようという動機から作成された、と読むのが素直な解釈になるでしょう。他方、やや皮肉な見方をすれば、何のストーリーも展開されないサービスシーンをあえて入れることで、サービスシーンの無意味さ(本編でサービスシーンを入れない意味)を示したかったという解釈もしてみたくなりますね。「ダークネス」のなかでも指摘されているように、インターネット等が発達した近年において、サービスシーンなどよりもっと過激な映像・イラストが簡単に手に入る時代に私たちは生きています(「かぐや様」の登場人物についても、著者本人はかかわっていないにしても、(非公式の)同人誌などで、過激なイラストを入手することは簡単だろうと推測します)。そういうなかで、いくら「公式」のお墨付きがついているとはいえ、この程度の「サービスシーン」は、たいした読者サービスでもないし、意味ないんじゃない、ということを、あえてサービスシーンを作ることで示そうとした、とか、そういう可能性も、頭脳戦(笑)であれば考えるべきかと笑
ちなみに、このOVAは、配信サイトでは、2期の最終話の後に収録されています。私もずっと気づきませんでした。。。