犯罪者で陰謀なTVアニメ動画ランキング 5

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の犯罪者で陰謀な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年10月24日の時点で一番の犯罪者で陰謀なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

77.6 1 犯罪者で陰謀なアニメランキング1位
MONSTERモンスター(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (635)
3518人が棚に入れました
1986年、西ドイツ・デュッセルドルフのアイスラー記念病院に、頭部を銃で撃たれた重傷の少年が搬送されてくる。天才的な手術の腕を持つ日本人外科医・ Dr.テンマは、院長の命令を無視してまでオペを担当しその少年の命を救う。「死」を生む悪魔と「生」を生む医者が出逢ったことで、陰惨な物語の歯車がごとりと廻り始める。
東側の世界では西ドイツ社会を混沌の世界に突き落とすという異常な策謀が進行していた。チェコスロバキア秘密警察のフランツ・ボナパルタらは、子供たちを次々に西側諸国へ送る戦闘要員として教育していく。その過程でヨハンという怪物が生まれた…。
数年後の1995年、テンマと数年ぶりに遭遇したヨハンは確実に巨大な怪物に成長していた。テンマの患者ユンケルスを目の前で何の躊躇もなく射殺するヨハン。自分の中で何かが弾けたテンマは、ヨハンを追いかける。
果たして、テンマはヨハンの殺戮を食い止めることが出来るのか…。ヨハンを衝き動かす『なまえのないかいぶつ』という絵本は何なのか…。ヨハンは何故殺戮を繰り返すのか…。物語はベルリンの壁崩壊後のドイツとチェコを舞台に展開されていく。

声優・キャラクター
木内秀信、能登麻美子、小山茉美、磯部勉、佐々木望

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

浦沢サスペンスの極値

アメリカで大手アメコミ出版社MARVELが過去最高の売上だそうだ。映画だけでなくコミックも売り上げを伸ばし、中でも「Ms.マーベル」という日本でも本国でもマイナーな女性ヒーローをアメリカ社会でもとりわけマイノリティである「イスラム教徒」の少女に選び、最大のヒットを飛ばしたらしい。

トランプ政権下で人種問題や格差問題が浮き彫りになったのにも関わらず、コミックの世界ではある意味自社の王道たる「社会的マイノリティ」を主人公に置くその寛容さと多様性にコミックの新しい地平を切り開いている。

さて、ここで浦沢直樹の「モンスター」だが、浦沢さんの特徴といえば人種の特徴を捉え、深い洞察力とともに国際的な日本人が活躍するというバブル期真っ盛り趣向が特徴であり、「YAWARA]や「マスターキートン」はその時代に描かれたイケイケな日本人の姿だった。

時代は変わり、長引く不況と社会不安が蔓延してからは「20世紀少年」や本作「モンスター」のような世の不条理や闇を描くシリアスな路線に変更し、さらに大人向けを突き詰めていったのである。

こういった内容が濃く、ストーリーがしっかりした漫画は「プルートウ」で最高潮に達し、来年には「プルートウ」のアニメ化が決まったらしい。

コミックの新しい地平と言ってもすでに15年以上経ってしまってはいるが、本作ほどサスペンスとしての完成度、多種多様な人物が織り成す人間模様を描いている作品はないと思う。

アメコミは最近絶好調なだけに、日本の漫画にこういった更なる進歩が求められていると思う。

投稿 : 2024/10/19
♥ : 23

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

長編ミステリーの傑作

随分前に原作を読んで、数年前にアニメ版を観ました。

ベルリンの壁崩壊前後のドイツの社会背景をベースとして、
東西冷戦構造、家族、児童虐待、トラウマ、
果ては病院での権力争いなどをテーマにした作品です。

全75話という長編ですが、
アニメだと音楽や声の魅力もあり
ドイツやチェコの風景にも広がりと奥行きが感じられ、
1日12話ずつ観てしまってたほど引き込まれていました。

ちなみに、デビッド・シルヴィアンが歌う
32話までのED、「for the love of life」
この物語の雰囲気にとてもマッチしていて、好きでした。

投稿 : 2024/10/19
♥ : 35

あややん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

見出したら止められない!

今まで見た作品のなかで恐らく3本の指に入ってると言っても過言じゃない!
とにかく面白い!

最初の4~5話までは進展のない話がだらだら続きますがそこを過ぎると、なんじゃこりゃぁ!70話を超える大作ですが、1話また1話とあっと言う間に見てしまいます。

ですが基本的にずーっと暗めなので大人向けかな。

ちょくちょく入る感動シーンでは涙腺崩壊しましたw

紛れもなく究極のミステリーアニメと呼べるでしょう!

長くてちょっと・・・って思っているあなた、見て損は絶対しません!^^

投稿 : 2024/10/19
♥ : 11

80.2 2 犯罪者で陰謀なアニメランキング2位
BANANA FISH(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (549)
2481人が棚に入れました
ニューヨーク。並外れて整った容姿と、卓越した戦闘力を持つ少年・アッシュ。ストリートギャングを束ねる彼は手下に殺された男が死ぬ間際に“バナナフィッシュ”という謎の言葉を発するのを聞く。時を同じくして、カメラマンの助手として取材にやってきた日本人の少年・奥村英二と出会う。二人はともに“バナナフィッシュ”の謎を追い求めることに──。


声優・キャラクター
内田雄馬、野島健児、平田広明、石塚運昇、古川慎、細谷佳正、川田紳司、福山潤、森川智之、千葉翔也、斉藤壮馬、上田燿司、小形満、村瀬歩

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

80年代少女漫画の金字塔のアニメ化~法の外側~

実は内容は当時からしてもさほど新しくはない。少年売春は萩尾望都や武宮恵子の漫画では頻繁に出てくるし、ドラッグカルチャーは1960年代から続いているのでハードボイルドで危ない話だがそこまで新しかったわけではない。

しかし、「バナナフィッシュ」以前、以後では少女漫画の表現が変わってしまった。

第一に、大友克洋構図といわれるフランスのバンドデシネを応用した画面構成のリアリティの追及である。それまでの少女漫画は舞台が欧米であったとしても細かなディティールまで描くことはなかった。なんとなく欧米風の屋敷だったり、学校だったりと著者の妄想の中での出来事で絵空事でしかない世界観を、バナナフィッシュはニューヨークのハーレム当たりのスラム街とこと細かくその事件の場所や主人公の居場所をできるだけ現実に寄せた。

第二に、骨格のしっかりしたデッサンの整ったキャラクターデザインである。これは思い切り大友克洋の影響が強いが、主人公のアッシュリンクスは美形の少年という設定であるが、目鼻立ちが小さく、顔が四角い骨格をしているのである。それまでの少女漫画の登場人物の骨格や服装は「記号」であり、手塚マンガの様なデフォルメが基本だったものを本作くらいから少女漫画でもリアル志向になる。矢沢あいや、柴門ふみ、よしながふみといった後続の少女漫画家は本作品の影響化にある。

いわゆる、「不良やギャングを題材とした少女漫画」のはしりであり、1980年代当時のポップカルチャーをふんだんに取り入れて進化した。ちなみに少年漫画もヤンキー漫画全盛期の時代でもある。


2話まで視聴。マッドハウスから派生したスタジオMAPPAなだけあって、作画脚本が骨太。2話を見て徐々に漫画を思い出しましたが、この頃の漫画は特に「法律や社会規律」の外側にいる少年を主人公にする漫画が非常に多かった。OVAの「メガゾーン」シリーズもしかり、ヤンキー漫画しかり、「AKIRA」だって「健康優良不良少年」たちが主人公である。
彼らは常に社会から阻害され、貧困の淵に立っており、「ノワール」を生きている。暗闇の中でもがき苦しみながら「生きる」姿に人々は哀れみや共感を覚えたのだろう。

最終話まで視聴:原作からそうだが、この耽美的な女性(成人した)の妄想そのものであるBLの雰囲気と、悪い奴らは必ずノンケでないこと、アッシュとエイジの関係が友情以上のもはや恋人同士なところも含めて好き嫌いがすっぱり分かれそう。そういう意味では「刃牙」の女性版。

投稿 : 2024/10/19
♥ : 23
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

Walk on the Wild Side

ノイタミナ×MAPPA制作。
原作は吉田秋生の少女漫画の金字塔。

原作表紙のデザインが秀逸だなと興味をひき、
タイトルのフォントも素敵ですよね。
いつか視聴したかった作品です。
タイトルはサリンジャーからでしょうか。
あにこれのメインクラスターには、
吉田秋生と言えば「海街diary」かも知れませんね。

NYのソリッドな空気感とキャラ紹介。
バナナフィッシュの言葉の謎もあり、
初回、ラストの引きは上々だと思います。

13話視聴追記。
{netabare}中盤、盛り上がる演出もあるものの、
粛々と物語が進行し続きが気にならない。{/netabare}
ここからの後半戦に期待しましょう。

最終話視聴追記。
終始、一定基準で安定はしており、
{netabare}これはもう好みの問題ではないでしょうか。
永遠に変わらない2人の透明な絆、
素晴らしい余韻を残す万感の終幕でした。{/netabare}

ED曲は世界観に合っていて素晴らしい。

投稿 : 2024/10/19
♥ : 51
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

キース・へリングやバスキアが生きた時代

2019.01.03記


原作未読


書店で平積みされてたり、学校で女子が話題に挙げてたような挙げてないような。20年以上前の記憶です。
タイトルだけは知っていて中身がどんなか知らないものの、吉田秋生先生でノイタミナでという話題性に食いついてみました。

全24話2クール作品です。
舞台はアメリカN.Y。若くしてストリートギャングのボスであるアッシュ・リンクス(♂)は容姿端麗・頭脳明晰・殺人スキルも無問題の完璧超人。イラクで消息を絶った兄が残した「BANANA FISH」という単語を追って動き始める。
同じ頃、カメラマン助手として日本からやって来た青年奥村英二がひょんなことからアッシュと出会い、BANANA FISHを巡るいざこざに巻き込まれながら友情を育んでいく物語です。
けっこうハードなクライム・サスペンスで、コルシカマフィア、華僑の闇勢力、ストリートギャング、はたまた国家機関も出張ってきての組んずほぐれつ。諸悪の根源はBANANA FISHということになるんでしょう。

設定が設定だけに人が死ぬのはしょうがないとして、これでもかこれでもかと不運がアッシュに降りかかるのが本作の特色でしょうか。
30年前なら『おしん』、20年前なら『家なき子』、最近だと『東京喰種』の金木研ばりに過酷な試練の連続です。どうしようもない沼に嵌りこんでいるアッシュをもうこれ以上いじめないでください、となります。
このアッシュに共感できるなら作品にすっと入れると思います。
対する英二は平和ボケの権化みたいな向こうの人から見た“Tipical Japanese”を地でいく青年です。私は苦手なタイプですが、なぜか完璧超人アッシュにとっては安らぎを得られる存在。
生い立ちから歩んできた人生からまるで違う二人がなぜ共鳴し合えるか?
この友情物語を紐解くカギとなります。


私はけっこうながら見でした。
英二がまぬけというか、いや普通そんなんやったら死ぬで!の局面でけっこう素っ頓狂な行動を取ったりでイライラが募り、ストーリーに没入するのを邪魔します。
アウトローが自分に無いものを求めて無垢な存在に惹かれるというモチーフはよくあるため、逆側の無垢な存在がどうアウトローにシンパシーを感じるかの部分で弱い気がしました。

『だから二人は惹かれ合うのね』

ここがもっと欲しかったかな。男同士、女同士、男女でもそれは変わらないと思います。
クライム・サスペンスと友情物語がリンクする作風の中で、前者がなかなか面白いのは事実なものの、後者がしっくりこないと早々に“腐”認定してとりわけ男性視聴者が離脱してもおかしくないでしょう。
逆に両者がかちっとはまるとめちゃくちゃ面白く感じそうです。私はその一歩手前でした。

とはいえ完走はできました。佳作の域にはあると思います。

※メモ//石塚運昇氏遺作



■余談 
地味に良かったのがN.Yの雰囲気。
1985~1994年連載の原作でベトナム戦争帰りの設定だったのがアニメではイラクだったり、スマホがあったりと現代に合わせた調整はしょうがないとしても、ベースとなったであろう1980年代前半の超凶悪な街N.Yの雰囲気がよく出てたのは良かったです。
今と違って観光客が地下鉄に乗るなんてご法度もいいところで、昼間でもサウスブロンクスを歩けるわけがなく、例えばタイムズスクエア近辺のホテルから地下鉄でヤンキースの試合を観戦しに行くことは「死にたいの?」という世界。・・・だったらしい。なにぶんこの時期ガキンチョだったので見聞きした話です。
一方でアートやファッションはとても魅力的だったり。キース・へリングやバスキア。元は落書きの“グラフィティ”は画集を買ったこともあるし、ヒップホップも発祥はこの頃のN.Y。自分がはまったのはちょっと後の東と西でドンパチしてた頃ですが、私には興味惹かれる場所なり時代だったりします。

作中でも地下鉄でドンパチ普通にやるし、建設中ビルや廃墟などいたるところで銃声が響きます。このやさぐれ感はたまんなかったです。

リアルのN.Yで初の黒人市長が出て警官増員したのが1989年。ジュリアーニの登場が1994年。治安は急速に改善してきました。
私の初N.Yが2001年だったのでその頃はもう快適に過ごせましたね。

{netabare}超高層にもかかわらずガラス張りではなく屋外に出られるスポットがあるぜ、とN.Y出身知人のススメで訪れたのがワールドトレードセンター。訪問日は2001年8月11日午前。なんというかね。。。{/netabare}


やっぱり、あんな危ないエリアだったりストリートの悪がきがたむろするところを無警戒でほっつき回る英二って“なんだかなぁ”と思う私でした。


■余談2 ※最終回ネタバレ有
国民的愛唱歌『とんぼ』言わずと知れた長渕剛の名曲ですが、元は本人出演ドラマ「とんぼ」の主題歌です。
{netabare}最終回はヤクザ役の剛が腹を刺されて、倒れた剛をカメラが引きのカットでおさめて終了。図書館ではなくこちらは路上でしたが似たようなカット割りです。{/netabare}

{netabare}ヤクザ剛の役名は “英二” 

すまぬ。これ言いたかっただけです。{/netabare}


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2019.06.02追記
《配点を修正》

投稿 : 2024/10/19
♥ : 53

56.1 3 犯罪者で陰謀なアニメランキング3位
トリアージX(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 3.1 (295)
1596人が棚に入れました
法で裁けぬこの世の悪を悪性腫瘍として選択<トリアージ>し、闇に葬る秘密組織があった――。

その名も「ブラックラベル」。

17歳の高校生・三神嵐は、そのメンバーとして巨悪に立ち向かう。

この物語は、高校生にして処刑人である少年の、選択と覚悟と闘いの記録である。 

声優・キャラクター
赤羽根健治、近藤唯、佐藤亜美菜、緒乃冬華、浅野真澄、白石涼子、久川綾、黒田崇矢、嘉山未紗、安野希世乃、佐藤せつじ、星野貴紀、仲谷明香、野島健児、國立幸、三木眞一郎、大空直美、橘田いずみ、手塚秀彰、味里、野水伊織、幸田夢波

シャベール大佐 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

巨乳とバイクが好きなら楽しめるかも

法では裁けない悪人を闇で殺していく組織のお話。
あまり面白いとは思いませんでした。
ストーリー的には特に語るべきところもなく、おそらくエロとバイオレンスの描写がこの作品の見せ場なのでしょう。女性が悪人に捕まっていろいろと酷い目にあって、その悪人を主人公たちが成敗するみたいなパターンが多くて、まあ観ていてあまり気持ちの良い作品ではありません。
EDでは巨乳の女の子がビキニ姿でバイクに乗って走る映像が流れていますが、まさにそういう世界観こそがこの作品の特徴だと思います。なぜバイクに乗るのにビキニなのかとかいう理由はどうでも良くて、単に巨乳の女の子が好きで、その一方でバイクや銃なども好きで、ならば両方いっしょに描いてしまおう!というような発想なのかなと推測しますが、個人的にはそういう発想自体は嫌いではありません。もしキャラデザが好みだったり、あるいは笑えるギャグなどがあったりしたなら、ストーリーに興味を持てなくてももう少しこの作品を楽しめたかもしれません。

投稿 : 2024/10/19
♥ : 18
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

つまらないので、とりあー(え)じ(ず)、視聴断念です(苦笑)

[文量→中盛り・内容→酷評系]

【総括】
と、いう親父ギャグがつまらないですねm(__)m そうでもしないと、タイトルも思いつかなくて(苦笑)

法で裁けぬ悪人を、ガンガン殺(トリアージ)していく、アクションバトルもの。現代版、必殺仕事人的な感じかな。

まあ、あにこれの(低)評価通りの作品でした。よほど、エロやグロが好きな方以外にはおすすめできませんね。

《以下ネタバレ》

【視聴断念(4話まで)】
{netabare}
OPは最近には珍しい(昔のアニソンっぽい)感じがして、耳に「は」残ります。

まあ、良いところは、絞り出してそのくらいかな。

まず、個人的苦手要素の(露骨な)エロと(無意味な)グロがたくさんあり、キツかったです。もっとも、作画も良くないし、個人的好みを別にしても、駄作かと思います。

似たアニメで思い出したのは、「アカメが斬る」ですが、アカメは最後まで観られたし、評価も高いです。違いは、敵味方のキャラや、行動理念の筋の通り方かな?

トリアージは、特に敵が小者過ぎて失笑レベルでした。つか、敵のあんな行動が法で裁けないなら、日本は無法国家ですね(笑)

味方も、それぞれにかげがある感じで悪くないけど、もう少し掘り下げて欲しかったかな(もしかしたら後半で掘り下げてるかもだけど、そこまで辿り着けないっす)。
{/netabare}

投稿 : 2024/10/19
♥ : 17

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

「トリアージX」このタイトルからもっと違う内容を想像していました^^;

トリアージって、一般には災害医療において、負傷者等の患者が同時発生的に多数発生した場合、傷病者の重症度と緊急度によって分別し、治療や搬送先の順位を決定すること。
平時では最大限の労力をもって救命処置された結果、救命し社会復帰し得るような傷病者も、人材・資材が相対的に著しく不足する状況では、全く処置されず結果的に死亡する場合もある・・・(wikiより)
というのが特徴なので、もっと違う内容の物語を勝手に想像していましたが、色々違っていましたね^^;

この物語は、法律で裁けない悪人を「悪性腫瘍」と位置付け、この世から切除する「ブラックラベル」という組織の一つである「アンプルワン」に所属する隊員達の日常が描かれています。

アンプルワンに所属する隊員は以下の通りです。
三神 嵐(CV:赤羽根健治さん):17歳の高校生。トリアージというタイトルは、彼の過去と密接な関係がありました。
木場 美琴(CV:近藤唯さん):三神より1学年上の先輩。学校では普段お嬢様ですが、もう一つの顔は三神とコンビを組みバイクで敵に特攻する、そんなお嬢様です^^;
梨田 織葉(CV:佐藤亜美菜さん):14歳のアイドル歌手なのですが、アンプルワンでは爆破処理担当という過激な女の子です^^
狭霧 友子(CV:大浦冬華さん):外科医である一方、日本刀を自在に操る近接戦闘者です。
剣 光姫(CV:浅野真澄さん):麻酔医で腕力も強く、青春に憧れる一面を持っていますが、狙撃、尾行、潜入なども得意なようです。
柩 小夜(CV:白石涼子さん):看護婦さんですが、素手で人間を屠れる程の怪力の持ち主なんだそうです。

文字の羅列のみでは伝わりませんが、この作品に登場する女性全員は美形で、殆どの女性が峰不二子ちゃん並のスタイルの持ち主で色っぽいんです(//∇//)
何を食べたらあんなに大きくなるのやら・・・^^;?
と思う一方で真逆の人もいるし・・・「適度」というカテゴリーは無いのでしょうか^^;?
個人的には適度が一番だと思いますけれど(//∇//)
需要が少ない・・・のかなぁ^^;?

悪人を排除することを外科手術と位置付けている事から、大きな意味では医療行為と同意なのでしょうが、やはりタイトルとのギャップは否めませんでしたね^^;
それでも、アンプルワンのメンバーは何故このような活動をしているのか・・・
それはそれぞれの過去の出来事と密接な関係があるのですが、その具体的な内容については是非本編をご覧下さい^^

オープニングテーマは、藏合紗恵子 featuring 流田Projectさんの「triage」
エンディングテーマは、山本和臣さんの「ソレーユ・モア」
どちらの曲もキーの低い曲なので、カラオケで1オクターブ下で歌うのは難しそうですがオリジナルのキーだときっと歌えなそうです^^;

1クール10話の作品なので尺の短さを感じましたが、物語として丁度良いところで10話を迎えたと思います。
と思えるのもラストのテロップに「See you next time!」という記載があったからなんですが^^;
具体的な続編情報は未だ発表されていないようなので、楽しみに待っていたいと思います^^

投稿 : 2024/10/19
♥ : 24

64.9 4 犯罪者で陰謀なアニメランキング4位
Fairy gone フェアリーゴーン 第2クール(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (124)
476人が棚に入れました
かつて妖精は、“兵器”だった―。 この世界には、動物に憑依することで不思議な力を宿す、妖精が存在していた。 妖精が憑依した動物の臓器を摘出し人間に移植することで、妖精を分身として出現 させ、兵器として扱えるようになる。妖精を戦争の道具として自在に操る兵士た ち、彼らは『妖精兵』と呼ばれた。長きにわたる戦争が終結すると、彼らはその役 目を終え、行き場を失う。あるものは政府に、あるものはマフィアに、あるものは テロリストに。それぞれの生きる道を選択する。 戦争から9年の歳月が経つ。主人公のマーリヤは、妖精に関連する事件を捜査・鎮 圧する、違法妖精取締機関『ドロテア』に配属されたばかりの女の子。 未だ不安定な政治情勢の中、戦争によって受けた傷や過去を持つ犯罪者が現れ、 復讐のためテロを起こす。 これは、無秩序な戦後に抗い、それぞれの正義を求め戦う 『妖精兵』たちの物語―。

声優・キャラクター
市ノ瀬加那、前野智昭、福原綾香、細谷佳正
ネタバレ

TaXSe33187 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

あまりにも壮大なお粗末さ

分割2クールの後半戦ということで継続視聴
前半の説明不足感、設定過多、繋がりのない無理な回想の挿入がどれだけ改善されているかがポイントだと思う

1話感想
{netabare}1話は前半で断片的に語られたマーリヤの過去をおさらいする内容
ただしあくまでも「おさらい」なので、新情報と言えるのは妖精郷の説明とレイ・ドーンが焼き討ちを行った理由だけ

前半クールがまるで意味分からん!って人は楽しめたかもしれないけど、理解した上で視聴した側からすると「この回いる…?」という感じ
多分コレ総集編なんかと一緒に動画サイトで公開しておくべき内容じゃない?
続き物、まして裏番組に強力なのがある状況で新規視聴者がどれだけいるかって話だし、前半の焼き増しを1話にする度胸はある意味すごいな、と

押さえるべきポイントは
1.スーナなどの妖精郷がどのような立ち位置なのか
2.マーリヤは何故災いの子と呼ばれるようになったのか
3.レイ・ドーンは何故故郷でもあるスーナを焼き討ちしたのか
というところ

妖精郷の説明に関しては気になる点もある
前半で話に登場しつつ一切意味がなかった「黒の妖精書」にまつわる場所とされている点は今後絡んできそう
また、妖精原体が見えるのはマーリヤの個人能力ではなくスーナの民全員に共通する特異性というのもポイントになりそう

災いの子と呼ばれるようになった理由はちょっと驚くくらい浅かった
両親の死、養父母の死があり、それを受けて「災いの子と呼ばれた」と前半で全て語られていた
まさかそれがそのままの理由だったとは……
しかも正確には両親が死んだだけで災いの子扱いを受けたとか
田舎の因習にはそういうのはあるのかもしれない
ただ、「災いの子」というフレーズは占い師が用いたものなのに肝心の占い師が占いを行う素振りもなく適当に決めつけているだけってのは…
せめてマーリヤの母親が妊娠したあたりで祈祷を行って、そこで「災いの子かもしれない」と告げる、くらいすればいいのに
幸いの子が云々も誕生日に天気がいい!だの親戚が元気!だのやっぱり占いは関係ないってのがあまりにも適当すぎる

レイ・ドーンの焼き討ちの理由に関してはまあ分からなくもない、という感じ
統一戦争の最中にカルオーが妖精兵を量産しようってなると戦禍はますます広がっていくだろうってのは分かる
ただ、カルオーによる統一を良しとせず統一ゼスキア政府に組み込まれていく程の理由にはならないかな
というか妖精成体とそれを作る妖精原体の危険性を肌身に感じていたとして、それを理由に村人を皆殺しにするのはどういうことなんだろう
この辺の理由はちょっと飛躍し過ぎなので今後改めて回想があるんだと思う

結局はただの設定解説になっている妖精郷関連のみが意味を持っていて、マーリヤとレイ・ドーンについては1話まるごとつかっても説明不足
というかマーリヤの父親が死んだとこだけど、なんで身籠った妻がいる男が突貫するのを誰も止めないの?
「俺が行く」と言うのも突拍子がなかったけど、それ以上に二人が引き止めもせず行かせるってもっと分からない
というか妖精成体どうしの争いに介入する理由ってなんなの?っていう…
妖精を守るのが役目、みたいに言っていたけどスーナの森は妖精成体を頂点にした生態系が作られているわけで……
妖精成体が共食いをすると強力になる、ということならまあ分かる
「あの御方」というのが(公式HPによると)妖精の融合体らしいしそういうのがあるのかもしれない
ただ、それならそれで周辺の生態系を乱す危険な成体を狩るのが役目じゃないの?って疑問が生まれる
生態系に積極的に介入するけど命は奪わない、では彼らの仕事の意味がわからない
その割に里に降りてきそうなら生贄を与えて鎮めようだなんて、ますます守り人の存在意義が見えない

そして生贄に捧げるのが幸いの子ってのもよくわからない
普段は崇めて持て囃す相手を神事において生贄に捧げるってのはまあ分かる
ただ、それなら災いの子ってのはどういう意味があるの?という問題が出てくる
災いの子は普段から貶められる代わりに村によって守られるってこと?
それなら幸いの子=災いの子という表裏一体の存在にしてマーリヤに全て背負わせれば良くない?という話になる

村の全貌が見えていないのが疑問の理由だとは思うけど、それならそれで謎多き村らしい描写にすればいいのに
前半クールでちょくちょく挟まれた回想を一本につなげて、繋がらない部分に追加シーンを挿入したような内容
情報整理の回のはずなのに語られた内容は前半と同じだから、前半を腰を据えて見た人ほどつまらなく感じる構成
それでいて追加シーンの解説も描写も不足している点が多すぎて、どこまでが意図された伏線でどこまでがただの描写不足かわからない

面白かったのは前述の妖精郷関連の説明数分間
あとは「死亡フラグ爆立て→即退場」の繰り返しをやったとこはギャグアニメかってくらい笑ってしまった
ついでに挿入歌が邪魔をするようなシーンが無かったのも良いポイント
今後もあの場を乱すだけのカラオケ大会なんかやらないで地味なインストに徹して欲しい{/netabare}

2話視聴
{netabare}これ、もしかしたらギャグアニメだったのかもしれない
レイ・ドーンのパレードを高いとこから頑張って眺めるヴェロニカ
自領ツバルに戻るレイ・ドーンの追っかけをするヴェロニカ
最大の襲撃チャンスをふいにし、警戒が最も厳重な城を攻めるヴェロニカ……

うん、やっぱこれギャグだわ
今まで出番がないことでシリアスなキャラとしてイメージを保ってきたヴェロニカだけど、出番が増えた途端アホの子みたいな行動連発してる
復讐だ何だって言ってるけど、正直この回の行動だけ見るとレイ・ドーンの熱心なファンが追っかけやってうようにしか見えなかった

つーかいくら川?海?側から侵入したとは言っても城内に見張りの兵士ゼロって警備どうなっとんねんと
不審者の見本みたいな格好のウルフランがあっさりレイ・ドーンの部屋まで辿り着ける時点でねぇ…
いくら緊急事態とは言え、むしろ緊急事態だからこそ護衛対象の守りって厳重にするものじゃないの…?

んで、城門で見張りを担当しているクラーラ、セルジュコンビは襲撃が来たのに下に襲撃の規模を知らせないまま攻撃
襲撃が来た時点でフリーに知らせていれば、フリーの妖精が咆哮で衝撃波を発生させて一発で片付いたんじゃ……
結局セルジュでは敵の行動を止められず、城門の中に敵の人工妖精を招き入れてしまう

人工妖精って奏者がいるんだからソイツを優先して叩けば良いんじゃないの?とかそういうのは最早野暮なんだと思う
挿入歌ノルマを達成させるためにはどんなに間抜けだろうが無理矢理だろうが戦闘をしないといけなんだから
そう考えると、登場人物ってノウネイムのカラオケ大会を開くために力をセーブして戦ってるんだから大変だよねって思ったり

フリーとウルフランの戦闘については決着がつかないまま持ち越し
ウルフランについては思わせぶりなだけで何も語らないキャラ付けがかえって間抜けさを生み出している感じ
何を聞いても答えを返さないウルフランに対してフリーが家族の話をした結果「お前が俺を語るな」と言い捨てて逆上
フリーも大概鈍いところはあるにしても、何も語らないから質問せざるをえないわけで、地雷を踏まれた原因はそもそも自分にあるっていう
多くを語らないクールガイを作ろうとしたんだろうけど、ここまで来るとひたすら滑稽に思えてくる

マーリヤとヴェロニカについてはこんなもん
仕事を放り投げてヴェロニカを追いかけるところは、ドロテア入隊のきっかけがヴェロニカを追うことなんだからまあしょうがないかな?と思う
場面的にはフリーが大変なんだからそれどころじゃねえよ!って感じだけど、少なくとも今までの奇行と比べると意味が通る
復讐を止めようとするマーリヤと、それを拒絶するヴェロニカの構図自体は割と好き
ただ、マーリヤが復讐を止めようと思うに至った考えが飛躍しているために説得力が殆どないのは問題かな……

何を以て復讐心を理解するようになったか、そして何を以て復讐を止めたいと思うようになったかが曖昧すぎる
公式Twitterによるとオズの死をきっかけに復讐への共感を得たらしいけど、オズとの絡みはマジで一瞬だけだったわけで…
そしてその復讐は完遂したわけでも無ければ自分の意志で復讐心を抑えたわけでもない
単純にフリーから仕事の達成という形で説得されてやむなく諦めただけ
この辺が脚本時点で詰めきれてないから、そりゃヴェロニカだって反発するよねっていう

多数の違和感をギャグシーンととらえればそこそこ笑える内容だったかな?
ウルフランがアーケイムから離反して勢力が独立しちゃって、後半クールになって更に勢力図と目的が込み入りだしたのが今回の大きなポイント
きっと最終話までに収拾付くことないだろうな、と見ていて察してしまうほどに風呂敷を広げ続けているのはある意味才能だと思う
この広げた風呂敷を、果たしていつごろ畳もうとする形跡を見せるのか今から楽しみ

※今後は多分ツッコミ祭りにしかならないし、最終話まで感想更新はしない
{/netabare}

最終話視聴(総評)
一言で纏めると「力不足」
脚本の力量が足りていないし、当然ながら音楽の力量も足りないので全体的に臨場感不足
ついでに2クール描ききる作画の力量も足りていなかったために中盤以降は露骨に崩れる場面が多かった
演出面についても、キャラの動きや位置関係に違和感があったり、見せ場なのに動きが伝わらないなど残念な部分ばかり目立った

前半クールで用意していた伏線だけではシナリオを動かせず、物語終盤の新情報のみでシナリオが進行する展開は正直呆れる他無かった
その弊害として、使われないまま放置された前半の伏線はシナリオに活かされないまま数分で解決させてしまう雑さがある

挿入歌に関しては後半クールになって数自体がグッと減っていて、その点だけならプラス
そもそも挿入歌がマイナスに働いているって点自体が問題なんだけど、そこはそれ
とは言え登場した挿入歌は全体的に主張が強すぎて「場面を盛り上げる曲」ではなく「曲を押し売りするための場面」に転倒しているのは相変わらず

各部の問題点が多すぎるため、それについては別途書いていくけど、令和を彩る圧倒的なクオリティでこちらの失笑を誘うアニメだった

黒の妖精書について
{netabare}組織や人物の乱立に脚本が振り回されている印象
黒の妖精書争奪戦に参加している組織としては、
ドロテア(+妖精省)
グイ・カーリン
ビター・スウィート
ダミアン(+ヴェロニカ)
妖精省は終盤でゼスキア政府を裏切りアインツ教団として活動することになるわけだけど、争奪戦の段階ではこんなところ

で、この争奪戦の何が問題かって言うと、この組織のうち明確な意図を持って黒の妖精書を求めているのが妖精省くらいだって点
ドロテアは押収して悪用を防ぐ警察機構のため、妖精書を利用する意思がないのは当然だから問題ない
アインツ教団は妖精省を隠れ蓑に、ドロテアが押収した黒の妖精書を研究・利用しようとしていると描かれているのでここも分かる

ただ、グイ・カーリンについては完全に目的が不明なまま
物語中で語られているけど、黒の妖精書は全編揃うことで初めて活用法が判明する書物
これを収集して、果たして何がしたかったのかが全く描かれないままとりあえず「マフィア」の一言で片付けられている
アインツ教団が台頭するまでは物語における中ボスのような立ち位置にも関わらず、というのが余計にタチが悪い

黒の妖精書の内容はこの時点では語られていないため、「よく分からん書物を追っているよく分からん組織」という状態
「マフィアが求めるなんてどんな秘密が…」と思っていたら特に理由を語るようなことはないままグイ・カーリン編は終了
アインツ教団編に移ってみると、どう考えてもマフィアが求めるようなものでは無かった、というオチ
内容不明の書物なんだからある意味当然では有るけど、物語としてはマフィアを絡ませることに意味が全く感じられない

ビター・スウィートについては「父親のあとを継ぐため」というだけ
父親がトゥパールについて調べていたという回想は前半クールに一応存在する
ただ、あの場面は「マフィアの幹部からどうやって妖精書を押収するか?」というシーンの直後
焦点はビターではなくドロテアに移っており、その状態でCパートに時系列も理由も一切不明の回想を入れられたためただただ困惑するしか無かった

前半の出番としてはそこが最後のためCパートの回想は完全に宙に浮いており、入れるべき場面はもっと別にあっただろうと思ってしまう
何より、その回想を踏まえた上でなおビター自身が黒の妖精書を追うには理由が不足しており、ビター自身も特に本筋に絡まない
例えば、アインツが本性を見せたタイミングでトゥパールの研究成果をドロテアに持ち込み、神獣攻略のヒントを与えるなりするべきだろうと

同じことはダミアンにも言える
釈放されたヴェロニカを保護して協力者に仕立て上げ、黒の妖精書を収集・悪用を防ごうと単身動いていた
敵がどこにいるか分からな以上ドロテアや妖精省に加入しないのは理解できる
ただ、このキャラが果たして物語上の意味を持っているのかというと一切そんなこともない

妖精憑きが神獣の素材になるとか、トゥパール消滅が神獣によるものだ、というところは確かにダミアンによる情報
でも、この情報って同じく黒の妖精書を集めていて、父親がトゥパールを調べていたビターでも成立しない?
「以前に見た妖精書に妖精憑きを捧げるという言葉があった」とでも言えば、完全記憶能力と併せてもっと効果的にビターを動かせたはず
結局ダミアンはビターでも代替可能な情報だけを告げて、あとは神獣攻略に必要な情報をもたらすこともないまま役目を終えただけ

つまり、グイ・カーリンはそもそも敵として成立するだけの目的意識がなく、ビターとダミアンは目的に対して役割が不足している
キャラをどれだけ用意しようと、それに見合う役割や掘り下げが出来ないのでは全く意味がない
むしろ人数に比して世界観や物語の薄さばかりを目立たせる結果になってしまっていた
{/netabare}

設定について
{netabare}2クールで成立させられるだけの設定が作れていない
これは「設定が膨大過ぎる」ではなく「設定がボロボロ過ぎる」ということ
組織の数や妖精書・妖精武器・地名の数など量の面で言えば2クールアニメに相応しい、あるいは2クールでは収まらない膨大さを誇っている
反対に質の面で言うと、とても2クールを支えきれるとは思えないほどにスカスカなために話が進むほどに粗が増えてしまっている

例えば「三大マフィア」
グイ・カーリン
アーケイム
ビャクレー
この三組織が大きな勢力を持っている、という設定
そしてグイ・カーリンとアーケイムはそれに相応しいだけの出番を見せている
ただ、組織内部に目を向けるとその実態には疑問符ばかりが浮かんでしまう

グイ・カーリンは四大幹部がそれぞれに力を持ち、牽制し合いつつも一つの組織として纏まり、資産家を取り込むことで政府に食い込んでいる
アーケイムは上下の指示系統を持たず、それぞれのセクションが独立して動くために摘発が難しい
ビャクレーは海運業を主とし力を蓄えていき、地域を取り仕切るようになった組織では有るが違法行為はしない

…ビャクレーは完全に問題外としか言えない設定
マーリヤの所属していた組織だから、あんまり後ろ暗いことをしているとヒロインに傷が作って考えだと思う
ただ、そんな馬鹿げた理由でマフィアとしての設定をグラつかせるくらいならマーリヤの設定を変えろと
せめて「自分からは動かないが縄張りを荒らされたら手段を問わず徹底的に潰す」くらいしないと他の二組織との差があまりにも酷い

アーケイムに関しては設定もさることながら作中の動きが完全におかしい
「シュヴァルツ・ディーゼの反乱に組織一丸となって協力して人工妖精を供与するも、反乱が失敗に終わったことでディーゼと共倒れする形で壊滅」
これがアーケイムの簡単な経緯
で、振り返ってアーケイムの組織としての設定
「上下の指示系統を持たず、それぞれのセクションが独立して動く」

アーケイムの残党狩りをしている際にフリーがこの設定を語っていたが、そのときは思わず画面にツッコんでしまった
「各セクションが独立しているけど、反乱に向けて一丸となってディーゼに協力、その結果総崩れになって壊滅」
完全にギャグでしょ?こんなの

というかディーゼの反乱って人工妖精以外の戦力はハイブランツの領軍とリスカー率いる傭兵団なわけで、人員面の問題は特に起きてないじゃん
その上いくらディーゼに協力していたとは言え、積極的に人工妖精を売りつけているんだから資金面はむしろプラスでしょ?
なんでディーゼと一緒に壊滅まで追い込まれてるんだよ…

例えば、アーケイムの実態がそもそもディーゼの子飼いの組織だったなら分かる
それなら政府に食い込むパイプを失って総崩れになるのも頷けるし、組織が一丸となって反乱に協力するのも納得がいく
ただ、作中の設定だと上意下達の成立しない組織が全体で動くこと自体が既に違和感を生んでいる
その上、有力な顧客とは言えあくまで顧客でしかない筈のディーゼに共倒れするような入れ込み方をするのか?という問題も有る
ディーゼが権力を握ればアーケイムも利益を得られる、というのは分かるが、それを理由に武器商人が一緒に命をかけるかと言うと…

ついでに、この組織にウルフランが潜り込んでいたことも意味がわからない
アーケイムって基本的に武器商人の役割であって、黒の妖精書を求める展開は殆どない
強いて言えばアクセルがティムーンで一回鬼ごっこをしただけ
そしてウルフランの目的は黒の妖精書を集めて「あらまほしき世」を作ることだったはず
アクセルが争奪戦に参加したこと自体疑問では有るんだけど、それ以上にウルフランがアーケイムに潜り込む理由が疑問

ディーゼとゼスキアを争わせて戦力を削って神獣復活を楽に…みたいな意味合いかもしれないけど、あの時点では黒の妖精書は揃っていなかった
というか神獣自体は圧倒的な力を持つし、戦力を削るなんて迂遠なことをする必要性はない
レイ・ドーンを捕縛するために…とも思ったけど、そもそも首都ロンダキアにレイ・ドーンが来たから警備が固くなったんじゃ…?
仮に領都ツバルで襲撃をしていたなら領軍に限りが有るし、妖精兵もレイ・ドーンだけだから簡単に襲撃に成功しただろうに
アーケイムという組織の行動に説得力がなく矛盾に塗れ、それを利用しようとしたウルフランの行動すら理屈が通らない

グイ・カーリンについては黒の妖精書関連で書いたとおり
強いて言えば、イージェイの説明があまりにもなさすぎるって点かな
妖精武器をヴェロニカに渡すために登場したキャラで、独自の思惑や気になる出自などの一切を活かすこと無く退場する不憫な扱い

モルテラントを巡る話やダミアンとの因縁、量産型妖精兵という特殊技術など設定には事欠かない
これらの設定が使われることなく簡単にフェードアウトするとは誰が想像したか…
いや、本当を言うと残り話数と未消化の伏線的にアッサリ退場するキャラだってのは想像ついていたけど

マフィアに焦点を絞って書いたけど、この作品は数を増やせば重厚に見える、という浅い考えで作られた設定があまりにも多い
「三大」マフィア
「七」騎士
「七つの」妖精武器
「五つの」妖精書
「五」公

七騎士はパワーバランスと身体能力の設定を崩す要素
妖精武器は設定と能力が見合わない矛盾した描写
妖精書は原本と黒だけで成立する
五公は作中で既に三人退場しており、退場済みの三人は全く意味がない
とにかく数を増やして名前をつけて、でも扱いきれないのでは物語の世界観を逆に狭く見せてしまう要因になっている
この辺は企画を立ち上げた段階で監督なりプロデューサーなりがストップをかけるべきものであって、内輪ノリの暴走が目に浮かぶ
{/netabare}

演出について
{netabare}見逃されがちだけど、作中の演出についても酷さが目立つ
作画にも絡む部分なのでそこも併せてとなるけど、映像的な演出の下手さが目立つ

前半クールからの問題だけど、画面の色が暗すぎる
暗い場面、暗い室内での戦闘だから画面を暗くするのは分かるけど、それにしても単純に見づらい画が続く
暗い画面が続くなら服装や妖精を用意すればいいのにそれすら暗色系で余計に見づらい

そして後半にいくにつれて気になっていったのが戦闘の演出
妖精と妖精兵が連携を取らない…のはもはや論外だから語る気もない
気になったのは戦闘におけるキャラの動き

マーリヤやセルジュ、あるいは一般兵を除けば基本的に剣やナイフでの近接戦闘がバトルのメインになる
この時、見せ場の動きを遠目の視点で描いていたり、素早い動作をそのまま素早く動かしている

例えば後半クール11話、局長とリスカーの最終局面で、局長は迫りくるリスカーの攻撃を首の皮一枚で受け流してカウンターを決めている
このシーンで、走り寄るリスカーの動きはややスローにして台詞を挿入しているが、局長の動きは一瞬で描いている

もちろん、素早い動きで倒すスタイリッシュさを描く意図は分かるし、スロー再生にすると局長の動きを描いてるのも分かる
ただ、局長の顔アップ、腕アップ、リスカーと交錯とカットが頻繁に切り替わるためにちょっと見ただけでは何を描きたいのか伝わらない
仕方無しにスロー再生で数回繰り返し見て動きを整理していったけど、今度は剣の持ち方を描き間違えているという作画ミスを見つけてしまう始末…

普通に映像的な演出をするなら、
1.迫りくるリスカー
2.局長の顔アップ
3.やや遠目にカットが替わり上半身を見せ、剣を動かす腕にズーム
4.カットが替わりリスカーと局長の剣が交わる動きアップ(ここまでややスロー)
5.横視点にカットが切り替わり、スローを解除して一瞬の交錯を描く
こうなるはず

これを、カメラの動きを作らず全てカットの切り替えだけで演出してるために視覚的に動作を捉えづらい
同じことが最終話のフリーでも言えて、グリフに斬りかかるフリーが顔と剣とでカットが一瞬で切り替わるために何を見せたいのか伝わらない
ここなんか特に、顔と剣とが近い位置に有るのだから上半身アップから顔をなめつつ剣を握る手にズームするだけですんなり伝わるだろうに
映像的な動きと人物の動きを連動させるのが面倒なのは分かるけど、見せ場で動きをケチるせいでとにかく安っぽくなっている

あとなんと言っても忘れてはならないのが人物の位置関係
終盤が顕著だけど、例えばドロテアの隠れ家と首都、神獣を匿う祭壇の位置関係は笑うほど滅茶苦茶
隠れ家は街から車で出ていった先の小高い丘にある
そして祭壇は隠れ家から見ると首都の街並みを挟んだ反対側の位置
この位置関係にあって、首都から車で離れていったマーリヤ達を追って、ヴェロニカとグリフは「徒歩で」隠れ家まで辿り着く
その時点ですでにツッコミどころだけど、そこから更にグリフは「徒歩で」「レイ・ドーンを運びつつ」祭壇に向かっている
加えて言えば隠れ家から祭壇に辿り着くまではマーリヤが気絶から目覚めて少し、という僅かな時間
キャラがあまりにもワープしすぎてギャグみたいになっている

オマケに神獣に向かって走るマーリヤとヴェロニカもおかしなことになっている
隠れ家から徒歩で街に戻ったのに目を瞑るにしても、先の通り神獣はマーリヤ達の向かい側から現れた
当然最初は神獣に向かって正面から走り寄るわけなんだけど、なぜか途中から神獣を追いかける方向に変わっている
一回神獣の後ろに回り込んでから、改めて追いかけっこを始める完全に意味不明な動作になっているんだけど、製作中に疑問は無かったのかな?

終盤は制作現場が混乱していたのか、話数ごとの繋がりも完全に崩壊している
一目でおかしいと気付くのはフリーとウルフランの戦闘シーン
前話でフリーは二刀流で戦いつつもウルフランが短剣でそれをいなされる(この辺の演出・作画もツッコミどころだけど割愛)
そして問答を経て左の剣を納めてヴェロスティール一振りでウルフランに対峙する…という引きでマーリヤ達に場面が切り替わっていた

それが次話になるとガンガン二刀流で戦っている
オマケにウルフランも前話で盾を使っていなかったはずが、話数をまたぐと戦い方が全く違うものに変貌する始末
ウルフランに関しては前話がほぼ受け身だったからまだ分かるけど、フリーは完全にギャグでしょ…
剣を納めて戦って、でも勝てないからもっかい二刀流になって苦戦して、剣を折られたからもっかい一刀流に戻して勝ったの?

というかイージェイ戦あたりでも思っていたけど、なんで強敵と戦うときは二刀流をやめるんだよ…
本気を出す、という分かりやすい演出のつもりだろうけど、そのせいで前半クールのリスカー戦が舐めプのように見えてしまっている
それぞれの話数ごとに戦い方が滅茶苦茶なせいで、フリーの見せ場が全て疑問符で埋め尽くされてしまっている

世界観から作り上げて、部屋の間取りまで考えてあるらしいけど、その割にそれを一切活かせていないという印象しかない
{/netabare}

シナリオについて
{netabare}作者の脳内にある設定・情報量と、キャラクターごとに用意されている設定・情報量とを切り分けることが出来ていない
その辺りを一番大きく感じたのが終盤…というか演出にしろシナリオにしろ終盤の粗が多すぎじゃないか?しかたない事だろうけど

神獣の素材に妖精憑きが必要、そして妖精憑きはマーリヤ、ヴェロニカ、レイ・ドーンの三名
この三名がスーナを巡るアレコレに決着を見せたときにグリフが攻撃、反撃しようとしたレイ・ドーンは怪我により戦えず敗北、素材にされてしまう
この辺の展開は(和解の流れの雑さ・急展開っぷりをむしすれば)特に問題ない
問題はこれ以降のドロテアメンバーの様子

神獣には妖精憑きが必要になる、というのは全員が共有している情報で妖精憑きを守ることがドロテアの任務だった
これに失敗したのはまあドロテアの任務成功率を思えばある意味当然なんだけど、なんで誰も神獣の素材になった人間を気にしないんだろう?
一人は護衛対象、もう一人は同僚、残る一人こそドロテアに直接関係はしないけど、本命として狙われているのはレイ・ドーンなわけで…
つまり神獣の素材は高確率でレイ・ドーンか、それを護衛していたマーリヤってことになる
それなのにドロテアの人間は誰も素材の人間が誰かという想像をしないし仲間の心配もしない
というか任務失敗を思って焦る様子すらもない

ロバート・チェイスに至っては、隠れ家に医者を連れてくると言ってマーリヤから離れて行動していたはず
それなのに神獣が復活したと思ったら医者を連れている様子もなくセルジュ達と一緒に神獣見学をしてるだけ
あまりの鳥頭っぷりに某所ではロバート黒幕説まで出てきてしまうくらいのお粗末ぶり

作者の頭に「素材はレイ・ドーン、マーリヤは阻止しようと頑張っていて、最後は百合パワーで解決」という設定があった
これを各人物に合わせて知りうる情報を振り分けたり、行動に反映させたりという作業を怠ったんだろうと思う
そのせいでドロテアは神獣の発生に対して驚きこそすれ、素材に思いを馳せることをせず、護衛対象や仲間の様子を見に行くこともしなくなった
「レイ・ドーンが素材になったんやなーでも倒す手段ないなー諦めよー」を全員の共通認識として与えてしまったためにおかしなことになっている

脚本家の都合のいいお人形さん、というところからキャラクターを脱却させることが出来ないまま最終話まで進んでしまったのは悲劇としか言えない
{/netabare}

伏線について
{netabare}シナリオに関わる部分だけど、伏線の扱いが全体的に下手すぎる

災いの子というのが全く意味を持たないこと、幸いの子という要素を後半になるまで登場させなかったこと、この辺りは勿体ない
例えば、災いの子の根拠をもっとハッキリ示すのもそうだけど、回想の中でユルゲンに生贄という言葉を語らせるとかすれば良いのに
そうすれば、マーリヤが災いの子というフレーズに拘る理由が「生贄候補だったから」という形でミスリードさせつつ説得力を持たせられた

生贄の概念自体後半クールで突如登場した概念で、その上生贄に関わるのがこれまた後半で登場した幸いの子という存在
災いの子はただ占い師がノリで語っただけで特に理由も意味もない、ではあまりにも馬鹿げている
ミスリードにすらならず、解決したと思ったらぶり返して同じ悩みで話数を無駄に消費して、しかも本筋に絡まないのでは設定自体無くてよかった

あとは大きなもので言うとオズの妖精器官
あれは本当に残念だった
前半クールの伏線の中でも一番楽しみにしていた要素で、あれがシナリオの中核になってマーリヤに牙をむくものと思っていた
それが実際にはアバンタイトルの数分で片付けられる要素だったとは…

オズの妖精については他にも問題がある
それは、「そもそもあの場で登場する意味が全く無い」という点
ミケル・コナーはドロテアから黒の妖精書を強奪するために、オズの妖精を使って護送するリリーを襲撃した
ただ、黒の妖精書ってそもそもドロテアから妖精省に引き渡されるものであって、強奪しなくても普通に妖精省(=アインツ)の手に入る

だからあのシーンって、「普通にしてれば手に入るのを無理矢理奪って無駄に正体を表した」というだけ
ドロテアのその後の話し合いの様子も含めて噛み砕くと、

「妖精省に渡すためのモノを妖精省が違法に奪い取った…せや!黒幕は妖精省やったんや!」

…あまりの馬鹿馬鹿しさに最初に見たときは呆然とした
この場面も襲撃直後の段階では「ウルフランは妖精省を利用しつつ出し抜く形で横取りしたのかな…?」と好意的に解釈しようと頑張った
ただ、次話でウルフランとマルコ・ベルウッドが妖精省で普通に会話をしていて、マルコの指示に基づいての行動だと明かされた
ここまでは退屈と思いつつもまだ若干の期待もあったんだけど、クライマックスに向かう重要なシーンすらこの始末で完全に期待は失せた

この全体に渡ってお粗末な内容を描くためだけにオズの妖精を再利用して、しかもCパート数秒と次話アバン数分で役目を終えるのは無意味過ぎる
そもそもオズって前半での活躍自体ほぼ無くて、その割に死んだ結果大げさな扱いを受けていた
マーリヤのトラウマを掘り返したり、ドロテア一同が敵討ちに燃えたり、視聴者からすると「そんな大事なキャラか…?」としか言えないのに
だからこそ、せめて妖精器官を再利用するタイミングでもう少し掘り下げて、マーリヤが自分の心で対峙すると期待していた

それが実際にはオズの妖精は制御失敗でほぼ自滅、マーリヤも自分の意志で向き合うのでなく、妖精憑きの謎能力を唐突に発現する有様
あのシーンで唐突に「妖精の声が!」と言い出したと思ったら、それが物語の重要なファクターになってしまう
そしてついでのように発現した妖精器官の燃焼能力に関してはあの場面以外とくに活かされること無く終了
というかレイ・ドーンもヴェロニカも普通に妖精の声を聞いていたわけで、オズの妖精と向き合ったとか関係無かった

というか妖精の声ってのは最後の展開に関わる重要な設定なのに、それをあんな場面まで伏線すら用意せずにいたせいで超展開の連続になっている
張るべき伏線を用意し忘れて、その割にオズの妖精という使い道が無いのに無駄に大きな設定が全体をガタガタにした主要因だと思う
よく知らんキャラがなんとなくで殺されて、その死を団結の旗印に利用されて、挙げ句妖精は雑な扱いで適当に処理…オズがあまりに浮かばれない

妖精憑きとはなにか、というのもダミアンが思わせぶりにはぐらかしたのに特に語ることもなかった
中核の設定を隠すことにばかり執心した結果、オズの妖精のように枝葉の設定ばかり増えてしまったのかな
その結果種明かしの時間を取れなかったり、肝になる設定が終盤に集中してしまい超展開めいてしまう結果になったのだから悲惨過ぎる
{/netabare}

オチについて
{netabare}ヴェロニカが死んだとこは特に気にしない
直後にやってきたフリーがヴェロニカと全く同じ行動をとって神獣を傷つけるのに成功したときは思わず笑ったってくらい

問題はウルフラン
別にウルフランも死ぬべき、なんて思ってない
ただ、無罪放免はさすがに頭がおかしいとしか思えなかった
ディーゼの反乱への幇助、アインツ教団によるテロ行動、それ以前にも人工妖精の密売など一つとっても重罪だろうに
なんで里帰りして知り合いと感度の再会なんてやってるんだと

脱獄したアクセルがドロテアに捕まるシーンがあったこともウルフランの扱いとの落差を感じさせる
というかアーケイムを抜けて、教団を抜けたのになんであの服装から変わってないの?
改心したのを描くなら服装を変えて心機一転した姿をせめて描くべきだろうと
洋服あの一着しか無いの?体臭いの?キャラデザ担当、作画班が気を抜いたんだろうけど、あのシーンは全てにおいて違和感しか無い

ヴェロニカが死んでウルフランは生き残る、という構図はともかくこの落差はあまりにも露骨過ぎる
これではカタルシスなど生まれないし、リアリティすらない
無骨で硬派な作りを目指したはずなのに、リアリティのないご都合主義と後味の悪さばかり感じてしまう

あまりにもお粗末なオチは、この2クールに及ぶ物語が壮大な茶番だったと思い知らせる恐るべきインパクトだった
このオチのために視聴を続け消費された時間と、それに耐えた自分という間抜けさだけが残るのはさながら戦後の虚しさといったところかな
{/netabare}

投稿 : 2024/10/19
♥ : 11
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

北アルプス幻想(ファンタジー)

※注)少年はみんな明日の勇者オーイェー、とは一切関係ございません

オリジナルアニメ 分割2クールの後半


昨夏(2019年)初めて富山県に足を踏み入れて、たしか南砺市でも一泊したと思う。言わずと知れたP.A.WORKSさんの本拠地であります。
だからといって本社はもちろんのこと、金沢含めてこの近辺を舞台にした作品をことごとく未視聴の自分は聖地巡礼は一切せず。風光明媚な北陸やアルプスを観光したわけでございます。もちろん山海の幸も堪能しました。つい最近現物を目に焼き付けた以上、自信をもって言えることがあります。


 {netabare}作品で描かれた背景の山々が立山連峰っぽい{/netabare}


前半12話。この度の後半12話。の全24話を観終わって、{netabare}最終回で目に飛び込んできた{/netabare}山々が綺麗なこと綺麗なこと。本作で最も印象に残った風景です。

サブストーリーもメインストーリーも“結果”だけ見ればそこそこ良くて、しかし“過程”がまるでダメという作品。あまり印象に残りません。
このご時世。画が最初から最後手前まで綺麗だったことは敢闘賞に値しますし、原作無しの中世近世を舞台にしたオリジナルファンタジーできちんと結論を出しての終幕というのも評価できます。割いた労力に見合う評価を取ってほしかったがもったいないっすね。



■噛み合わない物語

お話が面白ければOK!辻褄が合って納得できたり、隠されてたものが明かされたり、があれば良かったのですが…

{netabare}・「妖精憑き」が敵の手に渡ることの阻止。マーリヤは任務でありヤバさも重々承知してたはずが、レイ・ドーンをかっさらうグリフを追う気配すらない。死体を引きずっての撤収だからそんなに早く現場を離脱できるとは思えないのに。

これは一例。正確にはキャラの多さも相まって、目の前で起こっていることを追うので手一杯。「あの時こうだったからだよね。なるほど!」とピースがかちっとハマる感覚に乏しいのです。{/netabare}


一方で行動結果だけみれば物語的に良かったともいえるところがあるのでなんとも言えん。

{netabare}・レイ・ドーン公が改心してヴェロニカたちに謝る
・ヴェルの妖精原体がマーリヤに取り込まれるのはアツかった
・なんとか教が破滅に向って一直線というのにぶれてないところ

理由は不明でも、「やってること」「やったこと」だけみればなんとなく合点がいくのです。{/netabare}



■前に出てこないキャラたち

お話の整合性が乏しければ、キャラの魅力で強行突破!という方法も残されてたとは思うのですが…

{netabare}・黒の妖精書を求める理由も希薄なのはご愛嬌。特異な魅力のあったスウィーティーとパトリシアのコンビがフェードアウトしてったのは残念。
・戦争大好きビーヴィー・リスカーも中途半端。リスカーに惚れてる副官もそのきっかけみたいなの触れてれば深みが出てたかもしれないのに。

なんかしら作中でキャラはいろいろやらかすわけで、その行動の説明なりをキャラの口を通してでも回想でもアウトプットがあれば、感情移入も出来たのに。
“キャラの掘り下げ”がない印象。登場人物多くて覚えきれないのも足を引っ張りました。{/netabare}



なんとなく最後まで観たけど面白いというのとは程遠いです。しかしながらイラッとくるのとはまた違う流し見しがちなやつ。
よく分かんないので段々と集中力が削がれていき、とはいえ綺麗な絵だったりするのでついつい点けっ放しにしたまま最終回まで来ちゃった感じでした。

あとマーリヤ役の市ノ瀬加那さんのキャスティングは大正解だったのでは?
自信なさげ女子の演技では頭一つ抜きんでている気がします。




※オマケ

極めて私的なところなので以下は流しちゃってもらって良いのですが、個人的にはアイキャッチや妖精出す時の胸掴んで出す『ドクン』って音でしょうか。
ちょうど放送期間中に心臓に関わる領域で病気を患って入院してたこともあって、気が気でない音でもありました。こっちが“ドクン”とくるがな!みたいな。
また、普段でしたらマーリヤのような『命どぅ宝』を全面に出したキャラって苦手だったりするのですが、受け止め方ちょっと変わったかもしれません。

命あってのものだねですな。
どうぞ皆さん楽しいアニメライフを!



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

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2020.01.26 初稿
2020.02.29 タイトル修正
2020.07.27 修正

投稿 : 2024/10/19
♥ : 33

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ある意味、十文字青脚本っぽい「放り出し」感

オリジナルTVアニメですが、脚本は『灰と幻想のグリムガル』原作者だった十文字青先生です。

第1クール(あにこれの作品登録だと無印の『Fairy gone フェアリーゴーン』を観ていないとまったく意味不明で、話数も第1クールからの連番となっています。いわゆる「分割2クール」という奴ですね。

ということで「どんな感じの話か」というあたりについては第1クールのレビューをご覧いただければと思います。

物語としての主人公はマーリア・ノエルで、その重要な同僚であるフリー・アンダーバー、そしてマーリアと同郷のヴェロニカ・ソーン、フリーの軍人時代の同僚のウルフラン・ロウといったあたりがOP映像で強く目立つようになっています。

一応マーリアのカウンター・パートがヴェロニカ、フリーのカウンター・パートがウルフランというストーリー構造にはなっているのですが、ストーリーのほとんどがマーリア側というかドロテア視点で進んでいるのであまりこの構造が活かされた脚本ではなかったような気がします。

ヴェロニカはまだしもウルフランの心境の変化が良く分からなかった点と、ラストを「神獣」で力業で締めた感じがあるので評価としては「おしい、もう少し頑張りましょう」という感じではあったのですがキャラクターデザインがわりと好みにあっていたので、まあまあ楽しく観終えることができました。

ただ、他人に視聴を勧めるかというと微妙な感じの作品となりました。それでも変な総集編とかなく破綻なく全話が放送されたので、作品としてのある程度のレベルは保てていたといえます。

作画も人物の顔などが「ちょっとこれは…?」という回がありはしましたが、概ねある程度のクオリティーは保たれていたので作画が原因で視聴を断念するということにはならないと思います。

投稿 : 2024/10/19
♥ : 28

64.5 5 犯罪者で陰謀なアニメランキング5位
はいぱーぽりす(TVアニメ動画)

1997年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (22)
166人が棚に入れました
猫又ハーフのバウンティハンター“笹原夏姫”は、人と魔物の法と秩序を守るために“ポリスカンパニー”の社員として、凶悪な犯罪者と戦い続けていた。ある日、夏姫はコンビを組んでいる先輩“バタネン藤岡”とともに犯罪者と戦っていたが、誤って彼にケガをさせてしまい……。

声優・キャラクター
宮村優子、芝原チヤコ、大塚明夫、石野竜三

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

綺麗なお姉さんは好きですか?可愛いケモノ耳っ子は好きでつか(゜∀゜)?w

オイラってヲタとしての道を踏み外した原点なるものがハッキリとしてなく、テレビっ子がそのままおっきくなっちゃった感じの駄目人間なのですがw
そんな中でもハッキリと自分は人と違う道に進んでんだなーって自覚するキッカケみたいのを辿っていくとだいたいこの年代に行き着きます
当時は小学校高学年ぐらいですね(爆


で、コイツはオイラが生まれて初めて見た思い出の深夜アニメでつ
当時はなぜ夜中にアニメがやっているのかものすごく不思議な感覚でした^q^
親に内緒でテレビに噛り付いてたドキドキ感がナツカシスw


原作はエロいことで有名なMEE(みーくん)先生ですが、本作は連載が少年誌だったのでエロいシチュエーションとかは全部オミット、普通のローファンタジー&ドタバタSFアクションに


舞台は退廃としてて廃墟ビルが並ぶ2022年の東京は新宿
魔物やら妖怪やらが人間と普通に共存している世界観なんですが、人間より強いことをいいことに犯罪や人殺しを働く輩も沢山で治安は最悪
民間企業として活動し、毎度ドタバタを起こして世間様をお騒がせしつつも、日夜凶悪犯罪者と闘う賞金稼ぎ達のお話でつ


監督は地獄少女、夏目友人帳の大森貴弘
キャラデザはナデシコ、神様ドォルズOPの後藤圭二
音楽はひぐらし、ガンダム00の川井憲次
と、当時でも今見ても地味に豪華なスタッフが集結


主人公の笹原夏姫にはちょうどエヴァでブレイクしたての宮村優子さん
他にもやはり豪華声優陣


正直お話がメチャクチャ面白いとかヌルヌル動く作画があるとかじゃ無いんです
ただ後藤圭二自身はモチロンのこと、神戸洋行さんとか昔の京アニ勢とかが地味にいい仕事してくれてまして、この「線多め」「影入れまくり」「ハイライト増し増し」な繊細キャラデザのおんにゃのこ達をひたすら丹念に描き続けていくっていう幼いオイラに『キャラ萌えの概念』を植えつけた元凶なんですわ(笑)


猫又の夏姫ちゃんに『猫耳の素晴らしさ』を説かれ、他にも妖弧や人狼などひたすら『ケモノ耳萌え』を刷り込まれて今日のオイラに至るわけですw


ってなわけでオイラは今でもコイツをたまーに見返してみてはアニヲタとしての原点回帰と言うかゼロ点調整を行っているのでつ
可愛いお耳をお探しの方はドウゾ^q^
ご飯三杯はいけることをお約束しますw

投稿 : 2024/10/19
♥ : 13
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