爽やかで秘密なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の爽やかで秘密な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年04月08日の時点で一番の爽やかで秘密なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.8 1 爽やかで秘密なアニメランキング1位
ルパン三世 カリオストロの城(アニメ映画)

1979年12月15日
★★★★★ 4.2 (1256)
8161人が棚に入れました
人口三千五百、世界一ちっぽけなカリオストロ公国の田舎道をボロ車でドライブしていたルパンと次元はクラリスという美女を助けた。彼女はカリオストロ公国・大公家に残された最後の娘で、カリオストロ伯爵は彼女を強制的に妻に迎え、公国の権力をひとり占めにしようと狙っていた。クラリスはルパンに助けられたが、再度捕えられてしまう。

声優・キャラクター
山田康雄、増山江威子、小林清志、井上真樹夫、納谷悟朗、石田太郎、島本須美
ネタバレ

アニメアンチ2号 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

ハート💛泥棒とロリコン伯爵の秘密

泥棒さんはカリオストロの姫君の大切なもの「💛」を盗んでいきましたが
実在したカリオストロ伯爵という存在を踏まえた上で『「💛」泥棒』という
行為の意味について改めて深堀りしてみたく思います。

ロリコン伯爵と姫君の婚姻の儀式をわざわざローマカトリック教会の大司教を招いてまでして
大々的に描いたことには当然の如く深い意味が込められていたと考えることができます。

{netabare}婚姻の儀式に際しロリコン伯爵は正装を身に纏うわけですが、この正装こそが
ある意味大正解の大当たりで、この作品の本質を見事に表していると言えましょう。

ロリコンとはロリータコンプレックスの略でありまして、少女趣味や少年趣味
みたいな意味合いがあります。

有名なところでは織田信長、空海、ジャニーズ先生などが少年マニアでありました。
海外ではこの手の類を「ペドフェリア」即ち「小児性愛」と呼びます。

海外の貴族だとか大富豪だとかハリウッドのセレブだとか、所謂上級国民的な
方々は漏れなく「ペドフェリア」であるなんていう噂もあります。

本作の「ゴート」のロリ伯爵も恐らくはこの「ペドフェリア」に該当する
のではないかという推測が成り立つわけであります。

ゴート札の「ゴート」とは「山羊」のことでありまして、
山羊と言えば【スケープゴート】に繋がるものであります。

山羊は「贖いの儀式」の【犠牲】として捧げられるものであり、
この際に2匹で一対の山羊が用意されまして、1匹を犠牲として屠り、
もう1匹にはその「角」に犠牲の山羊の血を塗りまして遠方へと追放します。

「追放の山羊」のことを【アザゼル】と呼びまして血に穢れた忌むべき存在
【サタン】に属すものとされ、もう1匹の方を天に召された「白い山羊」と
いうようにして「一対の山羊」は対照的な扱いを受けます。

「白い山羊」は「カリオストロの姫君」であり、
「黒い山羊」(または「血染めの山羊」)に相当する
【アザゼル】はロリコン伯爵であります。

ロリコン伯爵が公式な婚姻の儀式で「山羊の仮面」を身に着けるという変態
コスプレの醜態を惜しげもなく恥じらいもなく堂々と披露するわけですが、
この変態貴族様の趣味趣向の意味するところは「ヴェネツィア」発祥と言われる
【マスカレード】であると考えられます。

【マスカレード】の「ロリコン貴族様」でありますから、
変態性がかなり強調されているということになります。

【イニシエーション】においては当然「花嫁」も【マスカレード】を装着するのが
お約束でありますが、幸いにも囚われの姫君にあっては「それ」の描写がなかったのが
唯一の救いであった言えるのかもしれません。

儀式が行われた「礼拝堂」の地下には「ゴート札(偽札)」の工場がありまして、
そのような形で儀式の裏側に込められたとある思想性が暗示されるわけであります。

お金とは元々はコインでありましたが、紙幣もそれに準じており同じような
意味合いがありまして、例えば福沢諭吉の肖像画がプリントされているように
そもそもは神の権威を価値として表すものでありました。

福沢諭吉という人物のカリスマ性を利用して、なんとなく信用できるような
イメージを付け加え、1万円紙幣に価値を担保させようという魂胆がそこに
仕込まれるわけであります。

1万円札様、福沢諭吉様の価値を「信じる」ものには1万円分の価値が与えられ
福沢諭吉様の価値を「信じない」ものにはただのプリント付きの紙切れとなります。

今では不換紙幣となった只の紙切れに価値を与えている仕組みが
「信用創造」という【偶像崇拝】のシステムでございます。

缶ジュース1本が100円で買えなくなったのは、缶ジュースの付加価値が
上がったからではなく、「¥」の信用が落ちて「¥」の価値が下がったからであります。

「¥」に価値があると信じる人が多ければ多いほど缶ジュースの値段は下がりますが
「¥」に価値があると信じる人が少なく、$やゴールドやビットコインに
価値があると信じる人が多ければ多いほど、それらの価格は上がるわけであります。

「貨幣の神」とは【偶像崇拝】を示し【アイドル信仰】を意味するものであります。

そうしてまして本作のカリオストロ公女殿下とはまさにこの【アイドル】を表す存在であり
従いまして【偶像崇拝】のルーツとなる宗教思想の関係性から【神殿娼婦】即ち
【大淫婦バビロン】の化身であるという結論が導き出されます。

「天空の城ラピュタ」の「シータ+ムスコ大佐+パズー」の「三位一体の神」の関係性と
同じように本作でも「生贄の姫君+ロリコン伯爵+宙を舞う泥棒さん」で「三位一体の神」
を示しているということになります。

【大淫婦バビロン】をルーツとする「神殿娼婦」には儀式の「祭司」と「生贄」
という2つの意味合いがありますが、片割れの山羊を暗示する指輪の所有者であることから
彼女は天に召される「生贄」であることが確定するわけであります。

もう一方の片割れの山羊は血塗られた山羊=【アザゼル】でありますが、これを
ルーツとする神が【テンプル騎士団】の祭壇に祀られていたと言われておりまして
その名は【バホメット】と呼ばれる「サバトの黒山羊」であります。

この「黒い山羊」はそもそも【フェニキア人の神=鬼神バアル】に由来するもので
【ニムロデやオシリス】が失った男根「🍄」を補完した両性具有の神という特徴を持っています。

「🍄」が強調された【両性具有の神】故に【テンプル騎士団】は【ソドミー】=同性愛の罪
の疑惑がもたれており、【マスカレード】が変態祭りであるということの謂れでもあります。

【ボアズとヤキン】=「♂と♀」の原理が融合されるだけでなく両性具有の性質も組み込まれ
「♂」+「♀」+「♂♀」=「三位一体」のすべての要素が一つになった至高の存在を
想定するものでありますので、LGBTや近親相姦の関係性が【イニシエーション】
において示されるということになります。

「天空の城ラピュタ」のシータが【アシュタルト】の役を負っていたのと
同じようにカリオストロの姫君も神殿娼婦の役目を果たすのであります。

「進撃の巨人」の調査兵団における兵士には
「心臓を捧げよ!」ということが求められます。

これを【イニシエーション】として考えると「心臓」=「命」を
【ティターン】=【巨神】に捧げるという儀式を暗示していることになるかと思います。

「心臓=💛=命」と表すことができ、また「心=💛」という関係性から
「心=💛=命」というように考えられますので、
「💛」泥棒とは、命を盗んだり、命を横取りしたと解釈できるわけであります。

そもそも姫君は「カリオストロ家の花嫁」でありました。
花嫁は「犠牲の山羊」の役割を担う、神殿娼婦であったわけです。

従いまして花嫁の「💛」は神への捧げものであるということになり婚姻の儀式において
【アザゼル】の黒山羊ないし【バホメット】に引き渡すべきものとなります。

それを横取りしたのが泥棒さんということであります。

泥棒はとんでもないものを盗んでしまいましたので、その奪還こそが
最重要課題となるわけであります。

そういうわけで後の「天空の城ラピュタ」や「となりのトトロ」などで
花嫁の【イニシエーション】が繰り返し執り行われるようになるわけであります。

調査兵団と同じように魂は「神の御許」に還さなけらばならないということが
「魂のルフラン」の歌詞「私に還りなさい…」においても示されております。

カリオストロの花嫁の「💛」は大変価値のあるものでありますから、
その価値に見合うように大切に保管されるわけであります。

ある意味監禁されるのでありますがその部屋は「星室庁」でお馴染みの「星の間」でございます。

「星室庁」とは「絶対王政」や「王権神授説」を暗示するものでありますから
「星の間」に仕舞われた花嫁とは神の所有物であるという意味合いがある
というように考えることができます。

また天井に描かれた星空から「プラネタリアン」という作品が示す「星の種族」が
想起されるわけですが、天体観測が生き甲斐の【バビロン、シュメール文明】と
その後継者である【フェニキア人】に繋がるということが見えてくるわけであります。

山羊の仮面を装着した伯爵が纏っていたのが「紫色」のマントであり
そのマントの下に隠された上着の色が「スカーレット」であったことも
【フェニキア】(=「紫色」)を暗示していたものと解釈することができます。

カリオストロ伯爵とは実在した人物でありますが、小説よりも奇なりの彼は
実に【フリーメイソン】でありました。

この伯爵の肩書は「錬金術師」でありますが、「錬金術師」とは【黒魔術師】のこと
でもありますから、彼は本物の【フリーメイソン】ということになります。

本物の【メイソン】とは【フェニキア人】の知恵を引き継ぎ【占星術や数秘術】
に精通しており、従いまして「星の種族」特有の【イニシエーション】についても
熟知していたと考えることができます。

「エジプト・メイソンリーの会合では、少年少女を霊媒に降霊術をとり行った」
という逸話がこの伯爵にはありまして、メイソンの会合で降霊術とは即ち
【イニシエーション】を意味しているのだということになるわけであります。

そんなわけで本作のロリコン伯爵に妙な性癖があることのルーツについても
【メイソン】との関係性により明らかになるわけであります。

本作において描かれるロリコン変態の伯爵とは、かつてはハプスブルク家の家臣
であった貴族たちの正体について暗示する要素があるものと推測することが
できますが、そういう種族が集う拠点とはどこの国なのかと言うならば、
それは「スイス」ということになります。

偽札工場=金融業のルーツでもありますが、水没したローマ遺跡が暗示する
【アトランティス文明】の後継者である種族が集う国=スイスのことを
「カリオストロ公国」として表現しているのであります。

中世から近代にかけて金融業の礎を築いた貴族、あるいは金融マフィアの起源となる眷属が
かつての神聖ローマ帝国の領土内に生息していたわけですが、それがスイスに拠点を移し
一方で金融業はイタリア、スイスからオランダやシティオブロンドンへと
世界に拡大させていきます。

基軸通貨「$」も「¥」もその他も、その創始者は同じ貴族様であります。

「ゴート札」とは「偽札」のことですが、
そもそも本物のお札=紙幣なんてものは存在するのでありましょうか?

「日銀券」とはただの紙切れでありますから、例え本物でも紙切れは紙切れでしかありません。

ある時は¥1,000で買えた米が、いつの間にか¥3,000となり、次に行った時は
¥5,000出しても¥10,000出しても買えないという手品みたいな話のトリックが
ご理解いただけますでしょうか?

すべては「信用創造」という詐欺師の口上、
【偶像崇拝】のマーケットメイカーの仕業であります。

NISA口座に金を預けるとお金が増えると政府が言ったとして、
それはどういう仕組みなのでしょうか?

中央銀行とはせっせっとお金を擦り散らかすのがお仕事ですが、
それをやり続けると信用がなくなることは歴史が証明しています。

頭のいい金融業の創始者様たちは紙幣の意味を知っています。

最終的にどうなるのかと言えば、ルパンが冒頭のシーンでばら撒いたのと同じ
運命が「偽札」には訪れます。

【偶像崇拝】の信者たちがせっせっと集めた紙切れが「偽札」だと認識できる時
いったい何が起きるでしょうか?

【バビロン、シュメール】から続いた人類史も紙幣の終わりとともにいよいよ
幕引きを遂げる最終局面に至りました。{/netabare}

裏設定を駆使することしか能がないアニメ業界も悉く淘汰される
【グレートリセット】の瞬間が間もなく訪れるでしょう。

糞アニメに興じている場合ではなく悔いなき人生のために
価値のあるものに時間を費やしましょう。



【グレートリセット】の最終局面に際して
すべての人々の幸運をお祈り申し上げたく思います。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 2
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

その瞳とカラクリに心を奪われる

近年、リマスターだ4Dだと上映企画が催される本作。
今回は作中のクラリスの結婚式が9月13日だからと企画された期間限定上映。
ネタには全力で乗って応えるのが礼儀だと私は13日夜に行って来ました。
因みに本作は金ローでしか観たことなかったので劇場鑑賞は初めて。


【物語 4.5点】
宮崎 駿氏、初の長編アニメーション映画監督作品。

プロットは闇の世界で生きる怪盗ルパンが、
欧州の小国・カリオストロ公国に蠢く巨悪から、
野望に汚されつつあるヒロイン・クラリスを光の当たる世界へ連れ出そうとする構成。

次元のマグナムが通じない公国の暗殺部隊など、
序盤からカリオストロ城が難攻不落であることを印象付ける。
それ以上に偽札を通じて歴史の中で暗躍してきた公国の巨悪の影響力は世界的なもので、
一介のこそ泥如きがどうこうできる物ではない。

そこを城に潜入中の藤子、平生の敵である銭形警部も含めた、
“役者を揃える”ことによりルパンのターンに引き込んで、ひっくり返していく展開が痛快。


ルパンが完全無欠の大怪盗ではなく、結構ヘマをやらかしつつ城を攻略していく綱渡り感もスリリング。


【作画 4.5点】
昭和時代の宮崎 駿監督作品あるある。
冒頭の小柄なフィアットの車内に大量の札束を押し込むカットからして、物理法則無視したエンタメ重視。
にも関わらず、機械の造形は、盗みの小道具から車、飛行機に至るまで、
パーツひとつひとつから精巧に再現、構築し、シーンに説得力を与えます。

で、丹念に組み立てた乗り物は大体バラバラに壊すw
何でも分解したい少年にとっては堪らない描写。
作画するアニメーターも堪ったもんじゃないでしょうがw

このカラクリ感が湖上のカリオストロ城に至るまで徹底しているのが素晴らしいです。
水を汲み上げるために敷き詰められた歯車、張り巡らされた罠、可動式の渡り廊下……。
ラストの{netabare}「ドロボーは湖の水を飲み干すことだってできるのに」{/netabare}を有言実行する大仕掛は圧巻です。

壁走りも交えて車体が分解されるカーチェイスなど、
主人公がもう一回やれと言われても絶対にできないギリギリアクションw
このリアルを越えた心躍るエンタメ性の追求。
昨今メディアにジブリの後継?と押されている方々の作品に不足している要素です。


【キャラ 4.5点】
主人公ルパンは宮崎駿監督も関わったTVアニメ版1stシリーズ準拠の緑ジャケット。
(私は第2シリーズ再放送の赤ジャケット・ルパンで育ったので緑ルパンは今でも馴染めませんw)
歴代ルパンの中でも、私はこのルパンの瞳が一番カッコいいと思っています。
普段はひょうきんで掴みどころのない目をしているのに、
ここぞという時にはグッと精悍な眼差しになる所が痺れます。
あんな目で見つめられたらクラリスの心も奪われますよ。
ラストの{netabare}自分は闇の世界で生きているから、クラリスを連れていけないと悟った哀しい{/netabare}眼もそそられます。

目つきが良いのはライバル・銭形警部も同様。
本作では宿敵ルパンとの共闘も通じて、
巨悪を隠蔽しようとする上層部に対して、
人として譲れない矜持などルパン一味とも共有している価値観を示す。
最後の有名な「とんでもないものを盗んでいきました」の件も、
{netabare}クラリスとキッパリと袂を分かちたい{/netabare}ルパンの真意を汲んだアシストプレイとも解釈できて、
粋なことするよな……と感慨を覚えます。


敵役のカリオストロ伯爵。
クラリスへの仕打ちなど悪逆非道な良好な憎まれ役。
申し訳ないですがクライマックスの{netabare}時計台の針に挟まれて圧死する最期{/netabare}には、
不謹慎ながらいつも笑ってしまいますw


【声優 4.0点】
ルパン担当の故・山田 康雄さん。
高めのボイスで、ギャグや女たらしの中に、たまにハードボイルドを織り交ぜる独特のバランス。
クラリスを笑わせた{netabare}手品{/netabare}の件もこの初代ルパンだからこそできる芸当かと。

ヒロイン・クラリス役の島本 須美さん。
ルパンをおじさま、ドロボーさんと清純な声で呼ぶ演技で、
このお姫様は裏世界の闇に染めちゃいけないとの使命感を視聴者とも共有させます。


伯爵腹心の部下で、公国の汚れ仕事担当「カゲ」のリーダー・ジョドー役の永井 一郎さん。
低めにコントロールされたボイスでルパンを狙撃し重傷を負わせるなど手強い仕事人を表現。
最後に{netabare}観念して五ェ門に介錯を求める{/netabare}辺りには潔い“武士道”も垣間見せます。


【音楽 4.0点】
担当はお馴染みの大野 雄二氏。
基本はフルート、木琴も多用したシリーズ音源のピックアップ。
が、OP主題歌及びEDには「ルパン三世のテーマ」ではなくボビー歌唱の「炎のたからもの」を作曲し提供。
長閑な異国情緒と、どこか寂しさを感じるこのバラードソングは、
作中でもバリエーションとしてBGMに織り込まれる。
この楽曲構成が、ルパンとクラリスの住む世界の違いと、それ故の哀愁を際立たせます。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 32

やまだ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

やっぱりベタが好き

時代を超えて愛される名作。

大泥棒、サムライ、ガンマンとコテコテベタベタなまんがキャラであえてハードボイルドなダークヒーローものをやるってのが原作のオリジナリティ。ルパンの殺しも辞さないクールさと仲良し仲間でなくお互いのメリットで組む傭兵のようなフラットな関係の手下たちと魅せるダーティーなヒロイズムはまさにオトナ向け作品。しかしTV放映当時はアニメは子供が観るものという時代。TVシリーズ序盤は「大人向けアニメをつくる」という異例のチャレンジで原作者も認めた作風ではあったが当然視聴率的には大コケ。子供達からすれば当時主流の派手なメカも出ないし武器がハンドガンのみなんて地味も地味。リアル風等身が目新しかったくらいでドカーンボカーンと派手なファンタジーアニメを観慣れた子供達にフックする要素がまるでない。これではいかんとスポンサーが慌ててキッズ向けに路線変更を画策し宮崎駿に白羽の矢が立つことになる。これまでのキャリアで培った演出技法を持ち込みガラッと作風を変えるも間に合わず初シーズンは打ち切り。本放送では一部の評価しか得られなかったが再放送で人気爆発したのはガンダムも同じだが事情は全く違っていた。

宮崎駿自身の企画ならまずチョイスされないであろうダークヒーローもの。完成された世界観の下地があったからこその奇跡のケミストリーが生まれ日本アニメを代表するビッグタイトルに成長した。キャラの設定や配置はかなり変えられているが、自身の企画ではまずできない現在の新人がこれをやろうものなら失笑どころか業界追放レベルのベタにも程があるわかりやすいキャラデザインを更に活かす作風へ。おちゃらけた昼行燈キャラが本気を出せば俺ツエーという時代劇でも飽きるほどに溢れている日本人の遺伝子に脈々と刻まれた伝統的な紋切り型のキャラクター造形。だれがどう見ても悪役にしか見えない容姿のラスボスがしっかりイキってヘイトを集める勧善懲悪。キッズ作品ではバトル作品以外の主役の殺しはご法度なため実は意外と人情家設定という原作を根本から否定したともとれない大胆な変更も施し、園児でも初見で楽しめる完全なる全方向全年齢万能アニメに仕立て上げた。これ以降ルパンはキッズアニメ映画の代名詞へと上り詰め、むしろ原作がアニメに寄せていくまでになる。

当時の原作ファンは激怒しただろう。自分たちの愛する数少ない希少なオトナ向けアニメがこともあろうによくあるガキ向けアニメにされてしまったのだから。「ベタなまんがキャラでダーティーヒーローをやるのがいいのにベタなキャラでベタな話をやるとかマジでセンスなさすぎ。所詮ポッと出の知らん監督。こいつはなんにもわかってない。」ただ要請に従って仕事しただけでそもそも自分たちの企画ではない。その当時からしてベタベタコテコテの古臭い古典的なキッズアニメに迷いなく振り切って制作された本作は「今時こんなベタな話されても…」「「重厚なテーマも無く浅い」「まあ…面白いっちゃ面白いけどそれだけ」「既視感ガー」「捻りガ―」「成長ガ―」「感情移入ガー」といった現在でもよく見るオトナが上から目線で観たキッズアニメにありがちな評価で当然ながら脚光を浴びることなく凡作の烙印を押されることになる。

ただやはり大人も子供もやっぱりベタが好きなもの。その後の展開は周知のとおり。爆死寸前のマイナー作品を国民的作品に仕立て上げた手腕は時代が証明してしまった。当時叩いてた原作ファンもほとんどが鳴りを潜めるか、掌を返すほかなかっただろう。

子供の頃に散々観ている者でさえ観返す度に新しい発見に出会える熟練の演出技法の数々に「これいつの作品だよ…」と驚愕させられる不動の名作。

「魅せるアニメーション」とはこのこと。
画面で語る駿イズムが堪能できるキッズアニメの傑作。

新人がベタな作品を目指すと猛烈な勢いでブッ叩かれる現代。
大御所は総監督とか総指揮とかの名誉職での名前貸に収まって
今後を見据え後継を育てる地盤を作っていって欲しい。


余談
作品のファンは何時までも愛を注ぐがアンチは飽きて次のターゲットに移行するもの。エヴァもまどマギも現在名作との評価を疑う者はいないが当時は各地で紛争が勃発。だがアンチにまで波及してこそ名作の資格を得るもの。鬼滅はどうなるか…時代の証明を待つのみ。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 29

66.2 2 爽やかで秘密なアニメランキング2位
コクリコ坂から(アニメ映画)

2011年7月16日
★★★★☆ 3.6 (563)
2849人が棚に入れました
船が遭難し、行方不明となった船乗りの父と、仕事のためにアメリカに渡ったカメラマンの母を持つ小松崎海は、母の留守中、小松崎家を懸命に切り盛りしていた。そのころ、海たちが通う港南学園では、新聞部部長の風間俊と生徒会長の水沼が起こす騒動によって、生徒と教師が翻弄されていた。突如として新聞部によって発表される「ミスター・ミス港南」、物理法則をめぐる風間と水沼の賭け、制服廃止運動をめぐる風間と水沼の対立…。こうした一連の騒動を海は冷ややかに見つめていたが、制服廃止運動の敗北の責任を風間が一身に負わされるのを見て、いつしか海は風間を擁護する声を上げるようになる。

声優・キャラクター
長澤まさみ、岡田准一、竹下景子、石田ゆり子、風吹ジュン、内藤剛志、風間俊介、大森南朋、香川照之

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

エスケイプも時には必要ね♪(* ̄  ̄)b

■コクリコ坂からを観る前に…d(゚ー゚*)ネッ!
この作品は、原作:佐藤哲朗、作画:高橋千鶴さんの漫画が元となったのジブリ作品☆彡
舞台は横浜、年代的には1963年で戦後から10数年たった頃のお話ですね♪

港が一望できる見晴らしの良い丘にある下宿屋「コクリコ荘」、それが主人公「松崎 海」(愛称:メル)のマイホームなんです♪
海外で仕事中の母の代わりに、妹の「空」、弟の「陸」の面倒をみながら、下宿人と共に賑やかに暮らす毎日。
そんなメルには欠かせない日課が…(*゚・゚)ンッ?
コクリコ荘から掲げれれている旗…「安全な航海を祈る」というメッセージの信号旗…
朝鮮戦争時に行方不明となった父に向けてその旗を掲げること…それがメルの日課なのです。

そんな忙しい毎日を過ごすメルが通う高校では、時代の風潮から学園紛争が起きてましたΣ(゚□゚(゚□゚*)ナニーッ!!
文化部の部室代わりになっている、伝統と歴史と想いのこもった「カルチェラタン」という建物の取り壊しに学生たちが猛反対!!
その反対運動の中心人物「風間 俊」がメルと出逢い、物語は急展開を迎えていくのでした…


■総評
「コクリコ坂から」は1960年代を知らない私達にも、当時の時代背景がわかるようにコンパクトにまとめた作品だったと思います。
むき出しの蛇口や、手動の印刷方法など、物語の端々からノスタルジーでインパクトある描写が目に飛び込んできます♪
また、すこしでも関わりを持った仲間に対しては、家族や学校という垣根を取り払って、誰とでも別け隔てなく接する事が出来る温かい人間関係もこの時代の魅力なのでしょうね!
いまの時代だとお節介に思われてしまうような行動や発言が、素直に受け入れられている描写が数多くあるのも見所なのかな?って思います。
とにかくこの作品からは、戦後10年ちょっとで戦前以上の復興を遂げた、バイタリティー溢れる日本人の気質みたいなものが映像を通して感じられました♪

でも、ちょっとわかり辛いというか、説明不足なシーンが目立った作品でもあったと思うのです。
まず、いきなり主人公の名前で混乱しましたw海?メル?(*゚・゚)誰?wって感じでしたね♪
フランス語で「海」が「ル・メール」って読む事からそんな愛称がついたみたいですけど、わからないよぉ…(^=^;
また「カルチェラタン」についても、学生達にとってどんな建物なの?どれだけ大切な場所なの?って事がぼやけていて、映像とストーリーから読み取って貰える事が前提みたいなシナリオになっていたように思えました…c(゚^ ゚ ;)ウーン
ある程度の年配の方なら学園紛争や学生運動を知ってるでしょうし、連想することも容易だとは思うのですけど、それを知らない世代にとっては「何こんなに熱くなってるの?」って思われてもしょうがないような気がします(^o^;
そもそも「コクリコ」っていう言葉もフランス語で「ひなげしの花」っていう意味みたいですけど、どのような意味でタイトル名にしたのでしょうかね?
この時代のフランスとの関係も気になりますね(^ー^* )フフ♪

それと個人的には声優さんのキャスティングには疑問をもちました…c(゚^ ゚ ;)ウーン
俳優さんや女優さんは演技力に長けているかと思いますけど、やっぱり第一線で頑張ってる本職の声優さんと較べてしまうと見劣りがしてしまう気がします(^=^;
宣伝としてのキャスティングととられてもしょうがないかなって思いますし、純粋にアニメを追求するのであれば、キャラを活かせるキャスティングをもっと考えて欲しかったとも思います。

いろいろ不満はありますけど、作品全体を通しては上手にまとめた印象です♪
観る人を選ぶ作品かもしれませんけど、生きるエネルギーを貰える作品なのでヤル気が出ないなって時にまた見てみたいと思います(*^▽^*)


■MUSIC♫
主題歌『さよならの夏 〜コクリコ坂から〜』
 【歌】手嶌葵
 ゲド戦記でも歌ってくれていた抜群の歌唱力を持った手嶌葵さんですね(*^^*)
 憂いを感じさせる中にも、力強さや包容力を感じられる物静かで素朴なナンバーです♪

挿入歌『上を向いて歩こう』
 【歌】坂本九
 改めて歌詞を見るとものすごく力強さを感じました!

挿入歌『朝ごはんの歌』
 【歌】手嶌葵
 楽しく朝ごはんを作る姿が浮かんでくるような明るい曲です♪

挿入歌『初恋の頃』
 【歌】手嶌葵
カントリーミュージック風の曲に甘酸っぱい初恋の歌詞を乗せたナンバーです♪

挿入歌『紺色のうねりが』
 【歌】手嶌葵
 学校やコンクールの合唱曲にもなりそうな穏やかなナンバーです♪


2012.09.23・第一の手記

投稿 : 2025/04/05
♥ : 48
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

恋愛部分は楽しめました。一方青春(学生運動)の方は消化不良。

このタイミングで投稿ということは金曜ロードショーで見たということがバレバレですね。一回しか見ていないので、ざっくりと書いていこうと思います。

あらすじは公式サイトをみて下さいね。
{netabare}
【美術】

主人公達が東京に行くシーンがあるのですが、そこでの町の色の多種多様さが凄かったですね。こんなにワンシーンが凝ってるのは中々見れないなあと。
また、主人公達が守ろうとしている館も雑多としていて、背景を見るのが楽しいです。

【声優】

声優さんではなく役者さんが演じているのですが、ジブリ作品はそういうものだと思っているのであまり気にはなりませんでした。

【キャラ】

よくある恋愛物であり、外面は今の日本人に合わせた性格のキャラが多いですね。ただし、学生運動という歴史を題材にしていることから、当時のちょっと過激な感じを持っているのも伺えます。

そうみると、この作品は学生運動を知らない人達(恐らくほとんどの若い人は学生運動にマイナスイメージをもっているのでは?)に、当時の人達に共感を覚えさせることで、学生運動に対する新たな視点を与えようとしているように見えました。(私も学生運動を知らない人間です)

またキャラクターデザインといいますか、海さんについて。おさげのときが、現代人にとってはあまり可愛くないのですが、家で髪をおろした時の海さんが、やたら可愛い(人によると思います)。これがノイズなんですよね。なんというか、この可愛さは狙ったの?的な印象を受けます。どうせなら、おさげの時もかわいく見えるようにしてほしかったか、家でもそこまで可愛く見せる必要がなかったんじゃないかなと。
【音楽】
いきなり坂本九の「上を向いてあるこう」が流れるシーンについては、意図がよくわかりませんでした。他はあまり記憶にのこってないかな。

【物語】

まず、見てればわかりますが、恋愛と学生運動という二つの要素があります。ふたつを分けて考えていきます。

まず、恋愛。こちらは見てて苦痛ではありませんでした。細かい表情の変化は強みでもあり弱みでもありました。
お互いを意識し始めて、近くによられて海が目をそらす、そんなシーンがあります。あるあるな表情の変化です。でもこれはあるある過ぎて(テンプレートになってしまっている)、よく考えると細かいとは言えない。
海が避けられていることに気づき始め、不審がる顔をしたり、はっきりと言わないことにイライラしている顔だったりとかは、それなりに見れることができたと思えます。
しかし、感情の爆発したような感じ、そういう部分の表情があまりに乏しいかな。青春物であるなら、大人と子供の中間を描いてほしかった。そこで、海が母親の前で泣くシーンがあるのですが、親と子のシーンで子供が子供っぽさを出すのはある程度成功していると思います。
ただ、外側で子供が大人になる描写、そこに何か足りなさを感じました。多分演出の問題かな。東京からの帰り道、海が男の子に自分の告白するシーン、あそこにもっと、海の感情の爆発したような感じが出ていれば、もっと面白さを感じれたかもしれない。


ては次に学生運動。取り壊しを防ぐために館を綺麗にしたり、直談判をしにいったりするわけです。
何がよくなかったか。綺麗に掃除しました!その後に、館の取り壊しが決まったぞ!という知らせの唐突さが目につきます。この試練の与えかたは良くないでしょう。なにかしらの逆境を与えたかったのはわかりますが、もっと最後の逆転が映えるように、逆境の与えかたも上手くしてほしかったです。

そして、この学生運動の最も疑問点は、大人が優しい。その点です。まず、館の補修作業をしてくれた人達。大人達は積極的に学生運動を助ける。本当にそうだったのでしょうか?世間の目はきにならなかったのでしょうか?そういった説明描写がほしかったですね。
極めつけな優しい大人は理事長です。学生運動を全肯定。主人公達がやること、やったことを全肯定。唐突にこのキャラが出て来て万事解決!これが、学生を育てる人間として正しいのでしょうか?学生は全てを肯定されたら、成功しか学んでいません。失敗のない成功、反省のない成功に私は疑問を感じました。
{/netabare}

以上になります。全体的には受け入れ難いものが多くありました。娯楽作品としてみても、学生運動が入るかぎり少し社会的な部分があり、あまり見返したいとはおもえません。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 36

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

コクリコ坂とカルチェラタン…海と俊。何が言いたいの?

 コクリコ坂の象徴って、信号旗の「迷わずに帰ってこられますように」という海のメッセージか、女たち…だけではないですが、待つ場所みたいな感じなのかなあと思います。海(人名の方。基本ずっとヒロインのことです)が切り盛りしているので、海と女を象徴しているのでしょう。

 そして、カルチェラタンは学生たちの伝統…一応古き良きものという感じなんでしょうか。俊が中心の存続運動です。男性の部室ですから俊と男性を象徴しているのでしょう。

 そこに海と俊の恋愛ですから、この2つの建物がどういう意味を持つのか、あるいは2人の象徴にならないと話にはならないと思います。そもそも建物2つがこの映画のストーリーそのものですし、タイトルですし。
 が、なんというか、とっちらかったストーリーを見せられるだけで、こういうお膳立てが機能していない気がするのですがどうでしょうか?

 海視点で何かを待っている…そのためにコクリコ坂を守っているというのが話のボディなら題名の意味はわかります。ただ、コクリコ坂という下宿はちゃんと海という少女を象徴していたか?ですね。
 旗の話はいい話であっても、そうなると保守的で待っている女が海ということ?

 それともう1点。海のカルチェラタンの協力の仕方が、掃除でした。女子の協力が掃除でその結果なぜ皆が存続になったのかという部分に分厚い物語がありません。がんばって皆で協力したから?だとすれば古い部室棟である意味はないです。建物である必要すらありません。
 少なくともそれはないとまずいでしょう。さらにそこに海と俊の関係性がのっからないと、話になっていません。

 さらに、あまり権利的なことは言いたくないですが、海は料理と掃除の女?我慢強くて古風で?となる気がするのですがどうでしょう。しかもカルチェラタン存続協力の理由が俊に恋心を抱いたから、ですから。

 まあ、結果的に動きますけどね。男連れてったら駄目でしょう。あそこは海一人で乗り込むべきでした。そこは主体性を見せた気もしますけど。
 いや、それよりもむしろ説得内容でしょうか。掃除したから…かあ。なんか、価値のベクトルはそれであってたかなあ?
 せめてカルチェラタンの存続に関しては、海はもうちょっと何かが欲しかったなあ。あるいはコクリコ坂とのつながりとかかなあ。

 あるいは時代の変化=海と俊のしがらみからの脱却が言いたいなら、コクリコ坂もカルチェラタンも取り壊される物語で、2人が解放されて結ばれるほうがよほど意味性がありました。
 せめて2つの建物に物語と重なる父、父性、家族があればいいんですけど。

 もちろん舞台が昭和30年代ですから、その意味では古風な少女の物語もいいし、現状肯定だけがアニメじゃないのでいいと言えばいいんですけど、やっぱり「コクリコ坂」「カルチェラタン」「海と俊」そして時代を引きもどした意味性がまったく絡まない、ストーリーのためのストーリーに見えました。


 本来なら、読み取れてない部分がないか確認するんですけど、正直見返すのが苦痛なくらい私には面白くないです。恋愛に注目すると少しだけ何かが有りますけど。
 そう…圧倒的エンタメならテーマなど吹き飛ばしてもらっても全然いいんですけどね。この映画の設定でテーマも文学性も薄いのはまずいでしょう。

 そして、映画の冒頭20分くらいでしょうか。海の日常が動き出すまでに時間かけすぎです。尺伸ばしあるいは映像を見せたいだけの制作者のエゴに見えて退屈でした。90分の映画なのに…1分1分をもう少し大切にしてほしいです。

 ということで、悟朗さん作品。残念ですが…という感じですね。ただ、駿作品でないわりに絵はキレイだった気がします。昔の映像も悪くないですね。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 6
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