残酷で恐怖なアニメOVAランキング 5

あにこれの全ユーザーがアニメOVAの残酷で恐怖な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月01日の時点で一番の残酷で恐怖なアニメOVAは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

63.8 1 残酷で恐怖なアニメランキング1位
コープスパーティー Tortured Souls 暴虐された魂の呪叫(OVA)

2013年7月24日
★★★★☆ 3.4 (429)
2122人が棚に入れました
薄暗い廃校の中で目が覚めた直美と世以子。一体ここはどこなのか?先程まで一緒にいた仲間たちはどこへ行ったのか?何も分からないまま出口を求め歩き出す二人だったが、ふとした衝突で離れ離れになってしまい……呪われた天神小学校での絶望が幕を開ける――

ほーきんす♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

【ネタバレ有】 『ちょうどいいさじ加減の「グロホラー作品」!』

 

 アニメを観る前に、原作が何であるかや、どういった作品なのかは全く知らない、フラットな状態でアニメを観るように心がけているので、この作品も↑の画像のみの情報しかなかった…。

 そのため、観る前は、生徒たちが殺し合いをする、いわゆる「バトロワ(バトル・ロワイアル)」的要素の作品かと思っていた。

 しかし、実際は、閉鎖空間に閉じ込められた人たちが、霊によって無差別に殺される、(グロ)ホラー作品だった。
 

 これは、観た人それぞれがどう感じるかであるから、あまり口をはさむことではないかもしれないが…、このレビュー自体、個人的なものであるのだから書かせてもらう…。

 この手のアニメ作品は、“アニメ作品”であるがゆえに、どうしても作画をリアルすぎる描写にすることができず、作画のみで“グロい”と思うことは難しい…(例えば、“子供たちが縛られて、生きたまま舌を切られる”シーンなどは誰がどう考えてもグロいが、それは作画ではなく、話の展開や設定などの一連の流れによるグロさである)。

 なので、この作品のグロシーン(の画だけ)を観て、本当にグロかった、怖かったなどと思うような人は、良い意味では想像力豊かな人、悪く言うなら(現実においても)ぬるい甘ちゃん性質な人だと思う…(グロ要素で言えば、ハリウッド映画の「テキサス・チェーンソー」シリーズ、ホラー要素で言えば、「グレイヴ・エンカウンターズ」(ちなみに、ホラー映画マニアにまでなると、この作品を低評価する人たちをたまに見かけるが、そういう人たちは、売れた映画ではなく、マニアックな作品をつこうとする傾向がある…)などは、まともに観ることさえ出来ないだろう…)。


 まぁ、そんなことはさておき、この作品を他の作品と比べての純粋な評価をするなら、上記の“グロ要素”、“ホラー要素”、“話の展開”やホラー作品ならではの“落ち”など、どれをとっても「Another」の劣化版であった。

 「Another」は、視聴者が「どういう設定何だろう?」などと、その後の展開などを予想し、それが裏切られる、またその裏切られるタイミングで今までのかんじとは一気に180度切り替わる、ことによって、視聴者に恐怖感を与えることに成功していた。
 しかし、この作品にはそれがなく、キャラが振り返ったところに、急に霊の顔がある…などの怖さ(お化け屋敷的な怖がらせ方)しかなかった。


 (おそらくだが、)この作品の原作はコンピュータゲームであるが故に、ただ単にプレーヤーに恐怖感を与えるというのではなく、いろいろと情報を集めたり、進んでいくうちに物語が展開していく、RPG的要素を含んだ作品にしたのではないだろうか…。
 そのためか、アニメ作品内にも、“さっきまで開かなかったページが、ある出来事の後には開くことができる”など、ゲーム的要素をかんじるシーンがたびたびあった。


 少し批判が過ぎるようなレビューになってしまったので、良かったところをあげると、最後の生き残った3人が、元の世界に帰るためにおまじないをするシーンがあったが、あれはかなり怖かった…。

 というのも…、サトシだけが帰って来れず、サトシの腕だけが元の世界に帰って来たことに恐怖を感じたのではない。
 展開を予想しながら観ている人からすれば分かっていたと思うが、ナオミが紙(の切れ端)を無くしたそぶりを見せるあたりから(もっと言うなら、セイコが最初に「その紙トイレで無くしてしまったみたい」的なことを言うあたりから)、その切れ端が自分のである(実際は、一緒に来た人のならどれでもよい)ことに意味があって、そうでない場合は帰ることが出来ない、ということはおおかた予想できていた。
 
 なので、サトシが帰れなかったことに恐怖を感じたのではなく、(ここからはただの想像である…)もしサトシが、“自分たち以外の切れ端を使った場合死ぬ”ということを予想していて、それでもなお、一緒に  “帰るおまじない”を続けた、のであれば…、最愛の妹がいない元の世界など生きている価値などなく、自分もはじめから死ぬ気でいたのではないか…(おまじないをするかなり前から、サトシは霊の女の子に“自分達の切れ端以外を使った場合”のことを聞いている…)。
 
 もしそうだと考えるなら、ナオミ達に「俺はユカのがあるから大丈夫」などと笑顔で言っておきながら、ユカと同じ世界(=天国)に行こうとしていたことになり、ある意味では、モリシゲと同じように、すでに“壊れていた”のではないだろうか…、と考えてしまう(ちなみに、そのせい(自分の切れ端が他人のであり、おそらくは自分は戻れないだろうとナオミ達に言わなかったこと)でナオミは、腕だけのサトシを見て、結果的に“壊れてしまう”)。

 
 と、まぁ、ここまで深く考えてみたらかなり怖い作品だったなとも感じる(…が、あくまでこれは個人的な妄想である)。
 (それと改めて考えてみると、自分のために命を懸けて戻ってきたキシヌマに対するシノザキの反応や、立ち直りの早さにはある意味恐怖した…。)


 (あと余談だが…)ナオミの声が「佐藤利奈」、セイコの声が「新井里美」(ここまで言えば分かる人には分かるだろうが…)であったせいで、ちょっとしたことに恐怖を感じたり、セイコに当たったりするところが、御坂(とあるシリーズ)ならそんな(精神的に)弱くないだろ…と、考えてしまって、物語に入っていきにくかった(2人の関係も“とあるシリーズ”の関係に似ている…)。

 
 よって、結論としては、あまりグロい系、ホラー系が得意でない人には、ちょうどいいさじ加減の“グロこわ作品”だったのではないだろうか…。

 (終)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

オラこんなパーティ嫌だ(微調整)

30分の4つ。
ロマンホラー。
グロ注意報。

原作あるらしいがやったことは無い。

こっくりさんもどきのお呪いした生徒+αが異空間の小学校に飛ばされて元の空間に戻るため頑張る話し。
こう書くと割りとありふれた設定ではあるが30分×4という構成ということもあり非常にサクサク見れる上に意外と言えば失礼だが話的にも割りと纏まってる印象を受けた。

ストーリーもそれなりに練られてて先は気になるんで最後まで退屈はしなかったしストーリーも訳分からんということもなく比較的分かり易い。
割りと良作なのではないかと。ストーリー部分ね。

グロ描写も最初らへんは、ふーんってな感じで見てられたが中盤?~後半あたりになると、おええええってな感じになって行く。前もどこかで書いた気がするが割りとさわやかなグロはまだ平気だが見てて痛々しいグロは見るに耐えない。例を出すとアナザーとかあの辺。

なのでグロ嫌いならお勧めはしない。最初らへん大したことなくても後々きついかもしれないが人による。

キャラも地味に可愛い&無難なイケメン揃いである。
特に女キャラはあの超麻雀アニメ咲のモブキャラにいかにもいそうな感じで悪くない。一人を除いて。
名前忘れたけどクールなメガネ娘。あの子だけは見た目キャラ的に他とは一線を画していた。
ぶっちゃけタイプだ。出来ればこの子を主役にして欲しかった。
この手の萌えキャラ?の表情の劇的変化所謂顔芸や狂気の行動というギャップはひぐらしに通じるもんがあるが顔芸に限ればひぐらしほどふっきれたものは感じなかったが普通に考えればあちらが異常なだけかもしれん。

まぁそこそこキャラ立ちはしてたようには思う。
思うが、悲しいまでにキャラの格差があるのは構成上致し方ないのだろうか。
パンツ見せるだけに存在してたようなキャラやちょっと目を離した間にいつの間にかいなくなったキャラや結局なんだったのか今でも謎な危ないほうのお兄ちゃんとか主役クラスと思われるキャラ以外のキャラの扱いが多少軽い気がしなくもない。

ではグロなどの物理的恐怖ではない心理的恐怖の描写はどうだったのか。
心理的恐怖ってのは分かり易く言えば和風ホラー的な心霊タイプなやつで物理的なのが洋風ホラーに多いゾンビだの殺人鬼だのあっち系なやつね。
舞台が小学校なんで出てくる霊はやはり小学生が多い。襲い来る霊も例外なく小学生だ。
怨霊なんだから呪いとか念力的ななにかで攻撃してくるかと思いきや清々しいまでに物理攻撃である。
はさみやら首しめやら引きずりやら実に多彩な物理攻撃を見せてくれる。

そういうわけなんで霊的な恐怖というのはほとんど感じない。
むしろ感覚的には洋風ホラーのソレに近い。
色んなグロ描写で誤魔化してるあたりなんて特にそう。恐怖描写がほぼグロ頼りなのが惜しい。

んでは総括。
霊的な恐怖を味わいたいなら他当たったほうがいいがグロ含めての怖さを味わいたいなら満たしてくれそう。
話の流れも基本的に暗く重苦しいがクスッと笑えたりジワッと泣きかけるようなシーンもあって悪くないと思う。

そして最後の締め。ラストの展開も中々味なことをしてくれてる。
正直これは読めなかったのでしてやられたと素直に思う。
かつて欝の代名詞とも言われる洋画ダンサーインザダークのラストを見た時に誇張抜きで数秒思考停止したことがあったがそこまでではないにしても中々来るものがある。しかしこの終わり方は賛否別れるだろう。

期待しすぎずに怖いもん見たさで見るなら思わぬ拾い物になるかもしれない作品。
グロを心から憎むとかでなければ一応お勧め。

それとこれ見て原作気になってプレイ動画なるものを見てみたが結構面白そうだった。
これ見て興味沸いたらそっちも買うよろし。別に制作者の回し者とかじゃないんだからね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 35
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

昔懐かしい学園ホラーアニメ

1996年にフリーゲームとして発表されて以来、長い間愛され続けてきた同名ゲームのアニメ化。しかしこのOVAは後発のWindows版・PSP版辺りの設定をベースに作られているようです。

あらすじ↓
ネタバレレビューを読む


導入部にあたる1話の緊迫感・恐怖感は真に迫るクオリティでした。
ここでの主人公・中嶋直美とその親友・篠原世以子の関係性やすれ違いを交えたホラー演出は、定番であり強烈でした。

しかし2話からは物語の核心に迫る謎解き要素が加わったこと・猟奇的な描写が増えたことで、前半のような身の毛のよだつ恐怖は薄れてしまった感があります。

段々とアクションホラー的・B級ホラー的な方向へ移行してしまって、グロテスクな映像にもかかわらず思わず笑ってしまうようなシュールさは少し残念でした(笑)

最後には今までのネガティブな感情を払しょくするような感動的な幕引き・・・と見せ掛けて落とす様はやはりどこかB級的です。


ストーリー的には全編ホラー満載とまでは行きませんでしたが、やはり『SHUFFLE!』や『未来日記』を制作したアスリードだけあって、恐怖感を煽る工夫が細部に凝らされていたと思います。

しんと静まった校舎の中で不安を感じるような不気味なBGM、恐怖にかられた瞬間心臓が爆発しそうになる緊迫したBGM、寂しげでどこか優しい感動的なBGM…それから猟奇的な場面で用いられる痛々しいSEの数々…。
BGM・SEに関して素晴らしかったです。

登場人物たちの死角を突いたアングルが多かったり、何もないはずの暗所を映したり、寄りと引きを頻繁に切り替えたり…。
あまり技術的な部分は詳しくないですが、カメラワークにホラー的手法が多く用いられていた気がします。

古ぼけた校舎の質感と雰囲気、視界を奪う暗がりの恐怖感、登場人物たちの恐怖や狂気を浮かべた表情など…。
作画面でも秀逸さを感じました。


OP「星屑のリング」もED「蛍火」も普通に聴く分には綺麗な曲ですが、このアニメと合わせて聴くことで悲しさとか寂しさが先に来ます。
OPは特に今井麻美さんが見事に歌い上げているので一度聴いてみてほしいです。


キャストは売れっ子を大量に起用していて原作の人気が窺えます。
今回は喜多村英梨さんと、この中ではベテランに当たる大谷育江さんのお二人の演技が見事でした。
二人の演じるキャラは幼い少女なのですが、普段の無邪気な子供らしい可愛らしさ、一転して極限状態に追い込まれた際の怖さの切り替わりに凄みを感じました。


設定や展開的にちょっと古さというかベタな感じは否めないですが、ただのグロアニメではなくホラーな気分を味あわせてくれたので概ね満足です。
学校の怪談とか好きな方は、一度見てみても損はしない・・・と思います(笑)

追記:書き忘れてましたが過激なグロ表現のためR-15指定となっていますので、視聴の際はご注意ください。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7

74.9 2 残酷で恐怖なアニメランキング2位
DEVILMAN crybaby[デビルマン クライベイビー](Webアニメ)

2018年1月5日
★★★★☆ 3.9 (330)
1056人が棚に入れました
永井豪さん漫画家デビュー50周年を記念し、2018年に新作アニメとして蘇る『デビルマン』。タイトルを『DEVILMAN crybaby』とする本作は、「Netflix」にて全世界190カ国に、日本語のほか9ヶ国語の吹き替え版と、25ヶ国語の字幕版で配信される予定です。

声優・キャラクター
内山昂輝、村瀬歩、潘めぐみ、小清水亜美、田中敦子、小山力也、津田健次郎、木村昴、KEN THE 390、YOUNG DAIS、般若、AFRA
ネタバレ

一言 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

人間を人間たらしめるものって何だろう

一言で言えば、人間の醜く汚く脆く弱い、負の部分に真摯に向き合ったアニメ。


この作品を語る語彙力を持ち合わせていない…いや、語れるほどこの作品を理解しきれていないので長文レビューは控えようと思っていたのだが、、多分一度語ってしまえば長文になってしまうのだろう。

自分はデビルマンという作品を見るのは初めてで、世代も全く違う。
幼少期流行っていたアニメと言えば、おジャ魔女どれみとか、犬夜叉とか、そんな世代です。

まず興味を持ったのは、ほとんどの人が何かしらこの作品に衝撃を受けている点です。神アニメ、とかそんな容易な言葉を使っている人があまりいない。
のにも関わらず、確実に、言葉にしがたい何かを皆が感じて、衝撃を受けている。

衝撃的トラウマ、絶望感、やるせなさ。
そのような言葉に興味をそそられ、視聴。

キャストも深夜アニメでもよく見かける有名な声優で安定感がある。
作画は少し古臭く、ちょっと単調なタッチではあるが、独特の世界観があってよい。
一体どんな話なんだろう。そう思い、一話を見た。


別の意味で衝撃があった。

一話を見たとき、視聴をやめようかと何度か思った。
ネタバレレビューを読む
こんなものがずっと続くなら、自分にはちょっと早すぎる作品なのだ。
やはり保留にしよう。。

そう思いながらも、2話を見て。3話を見て。
この話がどのようになるのか気になってしまって、どんどん見てしまい。
他にも見たいアニメが溜まっているのにもかかわらず、一つの作品を一気見したのは初めてだった。


というわけで、見終えてみて。

冒頭でも述べたように、完璧には理解できていない。
原作も知らないので、伏線などを完全に理解できていないし、なにぶん理解力の低い人間なので、意味を理解しないまま見終えてしまっているシーンはいくつかあると思う。


しかし。何かとんでもないものをみた、そんな衝撃が走った。
見て良かったーとか、神アニメだったー、とか誰かにおすすめしたいなーとか。
そういう感情はない。

ただ、凄い作品を見た。目の当たりにした。

見終えてから数時間、何度か気になるシーンを見直してみたり、感想レビューを片っ端から読み漁ったりした。
それでもまだ、うまく言語化できそうにないが、出来る範囲で述べてみる。(前置きが長くて申し訳ない)



この物語は、タイトルでも述べているように、「人間を人間たらしめるものとは何か」を描いている。
そのために、人間の汚く、醜い部分をこれでもかというくらい見せつけている。
ネタバレレビューを読む
自分にはまだ、この作品の全てを理解することはできないのだろう。
これから先も、理解できるかはわからない。
なんせヘビーで壮大なテーマを扱った作品だから、そう頻繁に見返せそうにない。


しかし、短文でレビューしようとしていた自分が、改めて言語化することによって、視聴直後より理解を深められたこと。また、様々な方の解釈や感想を読んで、この作品と自分なりに向き合えたこと。

何時間もこうして長文にしてこの作品への思いを書いたが、この行為こそ、この作品を視聴した意味があったと思う。



物語の内容ばかり語っていたので、他を簡単に。
BGMが凄く良かった。
終末世界感がひしひしと伝わって来るあの物悲しいBGM。
救われない、報われない、絶望感を掻き立て、さらに視聴者を追い込む。
とても良かった。
OPは不気味な感じがものすごくマッチしてました。ポップで不気味な作風とも合うし、頭にもかなり残る。

そしてキャスト。了役の村瀬さん、この方、女性のような声も出せる方なんですよね。ネタバレレビューを読むいい演技でした。声幅もとても広い方ですよね。
明役の内山さんも、 ネタバレレビューを読む主人公らしい声質ですよね。
そして美樹の藩めぐみさん。 ネタバレレビューを読むそして、美樹の、男勝りなのにヒロインらしい可愛さが表現されていてとても良かった。


やはりアニメは、見るだけを目的とせず、こうして真面目に考えることこそ意味があるのだろうなあ。
美少女が沢山出るアニメも大好きですが、やはり色んなアニメ作品を見て刺激を受けたいですね。

ここまで目を通した方がいるかは分かりませんが…お疲れさまでした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

繰り返される破滅

【少し書き足し修正。大意は同じです】

永井豪のマンガ『デビルマン』を原作としたアニメ。

マンガ連載時に同時放映されていたTVアニメは、「原作」マンガとそのアニメ「化」という関係ではなく、タイアップ=今でいうメディアミックスであったが、途中から、永井豪の作家性が爆発して大きく路線が分れ、まるで別種の物語となったと、多くの証言がある。

本作は、正しくマンガを「原作」として、21世紀の物語として咀嚼し、アニメとして提出したアニメ「化」だ。

「物語」が、完結まで語りきって初めて物「語」となるとすれば、「原作」マンガ『デビルマン』の、初めての「アニメ化」と言えるかもしれない。

もう45年も前に描かれた著名なマンガが原作であるから、あまり「ネタバレ」にはこだわらずに思いつくまま感想を書きたいと思う。

とりあえず忘れないうちに、「飛鳥了」役の村瀬歩の英語が意外に(失礼)上手で驚いたことを記しておきたい。
字幕が無くても何を言っているかちゃんと聴き取れるし、おそらく外国人が声を担当している外人キャラとの会話も、感情を込めたセリフのやり取りとして自然に聴こえる。

別に英語が話せればエライということは無いが、こうしたところで「もっともらしさ」が試練にさらされる。

上手に英語を話せれば、「世界的な」天才科学者という設定が、「英語も話せないのに?」という「減点」をされることを防ぐことが出来るだろう。
たどたどしい棒読みの英語であれば、「減点」を越えて「逆効果」になる。

こうした意味では、作中で頻繁に挿入されるラップが、「もっともらしさ」を拡張しているかどうかは大いに疑問だ。
どのようなプラスの効果があるのか、なんの減点を防いでいるのか、ラップになじみのない視聴者にはよく分らなかった。



原作からエピソードや人物配置を再構成し、ストリーラインを再構築する製作者の手際は、製作者の独自性を表現するというよりも、原作で語られていたものを、現代に抽出してくるための手続きに見える。

序盤から終盤まで、飛鳥了の意図がかなり見えやすく描写していることは、特にこのことを明確に示しているようだ。

映像面では、陰影や細部の描き込みではなく、輪郭線で構成する平面的な絵柄は、本作の「世界」を効果的に表現している。
出来事の連鎖を記述する「叙事詩」的な一般的物語世界というよりも、黙示録=「神話」的な世界を。

マンガ連載時、モダンホラーという「物語」世界から、黙示録=「神話」へと飛躍した永井豪の作家性の爆発的な転換が、当時のいたいけな少年読者たちにトラウマを植え付けた「あの」後半の狂気的な描写の数々を生んだ。
規範やルールや倫理などの「約束事<コード>」を軽く踏み越える跳躍は、永井のマンガ「世界」が、世俗的出来事の記述である「物語」から、<コード>以前の、あるいは<コード>が無化される「神話」へと変質した結果だ。
理性が<コード>に規定されるものならば、<コード>以前の世界は「狂気」に見えるに違いない。

マンガの後半に頻出する、作者を突き動かす「作家性」という「狂気」がほとばしるような歪んだ絵の数々は、整ったデッサン、などという評価など矮小でむなしく感じさせる。

本作もまた、ラノベ的に半端な「現実的」設定を追加して叙事詩的に整えることをせず、原作の「神話」性をそのまま抽出し、黙示録=神話世界として提出することを選んでいるようだ。

プリミティブな原初の「アニメーション」が、震える「線」の連想から、次々と姿を変えてゆく「変化」の愉悦であったように、本作の、どこか不安定な輪郭線の変形で「動き」を表してゆく映像は、人間や悪魔の肉体が放埓に変形する、原初のカオスの記憶に憑かれた「神話」世界に相応しい。

「線」の震えが、パイプから煙、雲、煙突、船、等々へと、「理屈」ではなく「連想」によって変化していく原初の「アニメーション」の記憶が、理性=事実=出来事を律する<コード>以前のカオスである、「神話」世界の肉体変形に絶妙に共鳴する。
「世界」を表現するための「作画力」という意味で、本作の平面的映像は、細密的な書き込みや陰影に彩られた「作画力の高い」絵柄よりも、はるかに上だ。



ネタバレレビューを読む



ここまで言及せずにきたが、本作程度の性表現や暴力描写であれば、深夜帯ならTV放送しても良いのではないかなと思えた。

それらを不快に思う視聴者がいるだろうということは、十分に理解できる。

が、「お笑い」の看板を付けた集団リンチの不愉快な映像は平然と地上波で垂れ流されているのに、本作の「不快」が放送できない理由となるのは、なんだか納得がいかない。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

いろいろ考えさせられた

【あらすじ】
 まだ人間のいなかった地球に君臨していた悍ましき生物、悪魔。人間を駆逐し地球を奪い返そうとする悪魔たちと戦える存在はただ一つ。人の心を持ったまま悪魔の体を手に入れた「デビルマン」だけ。

【成分表】
笑い☆☆☆☆☆ ゆる☆☆☆☆☆
恋愛★★☆☆☆ 熱血★★★★☆
頭脳★★★☆☆ 感動★★★☆☆

【ジャンル】
シリアス、ヒーロー、セックス&バイオレンス

【こういう人におすすめ】
正義とか愛とかについて深く考えたい人。「なんかすげえモンを見せて俺の心をぶち壊してくれ!」みたいなこと考えてる人。深いことはわからなくてもセックス&バイオレンスに無条件で引き寄せられる人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
67.0点。評価上昇途中?

【個人的評価】
すごいガツンとくる。疲れた。けどすごい。けど万人には薦めない。

【他なんか書きたかったこと】
 伊集院光さんのラジオで湯浅さんの名前が出てたのでびっくりして視聴。
 ネットフリックスで見れます。初月無料っぽいです。
 ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/02/01
♥ : 19

64.8 3 残酷で恐怖なアニメランキング3位
ねこぢる草(OVA)

2001年2月21日
★★★★☆ 3.5 (136)
545人が棚に入れました
本作が制作される前に他界した漫画家・ねこぢるによる『ねこぢるうどん』の各場面をモチーフに、幻想的かつ暴力的な世界観を表現したアニメがオリジナルビデオアニメーションになって登場。ある日、ねこのにゃっ太は、病に臥せっていた姉のにゃーこが死神に手を引かれて家を出て行ってしまうところを目撃する。にゃっ太はにゃーこを連れ戻そうと奮闘するも、にゃーこは魂の半分を死神に奪われてしまった。それ以降、にゃーこは生気が抜け、腑抜けたようになってしまう。そんなある日、何気なくでかけたサーカスのテントで、2匹は現実と妄想が入り混じった不思議な世界に巻き込まれてしまう。こうしてにゃっ太は、偶然にも元気なにゃーこを取り戻すための冒険に繰り出すことになったのだった。

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

幻想的な狂気の世界

漫画にしろアニメにしろ商業ベースの作品は
読み手なり、視聴者なり作品を受け取る相手がいて
その相手に受け取ってもらうことを前提に作られるものです

難解であったり、抽象的であったり、舌足らずであったり
どういう意図でその描写がされているのかわかりにくい
というようなことは少なくないですが
どんなコマでも受け取り手に何かを感じ取ってもらうために
コマを割いているわけですから
そこには作る側の意図が見え隠れするものです

そういった中でも非道徳的なシーンや残酷なシーンというのは
性的な描写と並んで受け手側に与える刺激が非常に強いため
うまく使えば受け手の心をぐっと惹きつけることができますが
そこにどんな効果を狙っているのかという制作サイドの下心が
とてもはっきりと露見しやすい部分でもあり
その見え透いた意図に逆に受け手が醒めてしまったりと
いわば諸刃の剣でもあるわけです

ねこぢる作品には非道徳的だったり残酷な描写だったりが
あちこちに散りばめられているわけですが
この漫画からはなぜかそういったあざとさのようなものが
全くといっていいほど感じられませんでした

読み手に媚びているという印象を受ける受けない以前に
むしろ、本当に読み手に向かって発信されているのかすら疑問で
この漫画は誰かに読ませるために作られたのではなく
まるで小さな子供がクレヨンを片手に
自分の思うがままに画用紙に書きなぐった落書きのように
ただ自分の書きたいものを書きたいように書いた
そんな作品のように思えます

この漫画を初めて読んだ時に得体のしれない寒気を感じたのは
作品を彩るいわば狂気とでも呼ぶべきものが
計算され尽くされた演出としての見世物の狂気ではなく
作者のありのままの内面が無添加でさらけ出されているだけ
ということを直感的に悟ったからだったように思います

さて、長くなりましたがここからが本題

このアニメは原作の中でも特に象徴的なエピソードを詰め込んだ
いわば総集編的な内容になっており
原作とは真逆になんだかメッセージ性の高い作品に見えます
しかしアニメ化されたシーンを見ていても
原作のもとになっているエピソードが頭にあると
アニメのシーンから伝わってくるものとは
かけ離れているような気がしてなりません

といってもそれは別に悪いことだけでは無く
映像作品の方向性の一つとしては
間違っていない選択であると思います

例えば父親の描写
アニメの中では昼間からごろ寝して
酒をかっくらってるシーンが少し出てきますが
思いっきり好意的に解釈すれば
今際の際にいる娘につきそうために
仕事を休んで家にいるが
やりきれない思いから酒ビタリになってしまっている
なんて風にもとれますね

でも原作に出てくる父親は
ただのアル中で常に酒を飲んでいて
機嫌が悪いと誰彼構わず暴力を振るい
場合によってはそのまま殺してしまう
という感じでした

この作品で原作をそのまま再現するというのは
強烈な異臭を放つ食材を
生でそのまま客に出すようなもの
本作はそのグロテスクな食材から丁寧に灰汁を取り
クオリティの高い映像美と音楽という
オリジナルのスパイスで味付けされて
大変マイルドな仕上がりになっております

しかしそれは原作の狂気に取り憑かれた
いわば「通」の方からすれば
だいぶ物足りないのではないでしょうか?
この「ねこぢる」を作ったのはだれじゃ!(AA略
となってもおかしくありません

「ねこぢるの湯浅風味」は
見ていても「吐き気がしない」という時点で
大成功でもあり大失敗でもあるのだと思います

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おそらくは原作を読まずにアニメだけを見てこのレビューを読んだり
あるいはこのレビューを読んだあとアニメだけを見ても
このレビューの言わんとするところがよく理解できないと思います
原作者の夫、山野一氏がHPにて1話分だけ無料公開されているので
そちらの方も是非合わせてお楽しみ(?)下さい
ttp://nekojiru.net/kabutomushi1.html

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16
ネタバレ

にゃんた さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

なん・・・だ・・これ・・は

ラブリーなニャンコ姉弟が大活躍!
「にゃっ太」は姉の「にゃーこ」を救うため、冒険の旅へ。
そこで出会う様々な生き物達。緊迫感がありつつも、ホッコリするやりとり。
そんな雰囲気の中でも、しっかりとメッセージが込められていて意外と深みも感じられる!
心癒される、ハートフルニャンコ萌えアニメ!

・・・と思って視聴を開始した私が愚かでした。

エグい。グロい。悪夢。もうカンベンしてくれぃ・・・でも柔らかい。
地上波では放送できない内容。いや、OVAでもアウトじゃないだろうか。
宇宙の隅っこでならOKが出るかもしれない。

もう、どうレビューしていいもんか・・・。
象徴的なシーンのオンパレードで、これすぐには解釈できません。
人間社会への強烈な風刺、価値観の多元性・・・
などが描かれているシーンはいくつか拾えたのですが、
おそらく他の7~8割くらいは見逃している気がします。
エンディングまでメッセージ性の塊です。

制作はJ.C.STAFF。
くぎゅーくぎゅーアニメ作ってる方がよっぽど健全ですよ。
精神に風穴あけられるわよ!
そのふざけた幻想・・・に取り込まれる!!
・・・あーもう何書いてるか分かりません。
2周目に突入すれば解釈もできそうな気がしますが、
しばらく無理です。


「2001年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門にて優秀賞を受賞」(wiki参照)だそうです。
しっかり芸術作品として高評価されております。
あぁ文化庁。日本ってすごい国です。

・・・もうレビューになってない?
ごめんなさいごめんなさい。
気楽なニャンコ萌えアニメだと思って観た私が間違っていました。
あとは、皆さんに丸投げします。宜しくお願い致します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★以下、2周目視聴後の感想を。ネタバレ要素を含みますので、視聴後にお読み頂ければと思います★
ネタバレレビューを読む
本当に深い作品。
初回視聴とは違う意味で
「なん・・・だ・・これ・・は」
という感想を持ちました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 28

お寿司ちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

不条理でシュールでサイケなカタストロフィ

10年位前に見ようと思って、そのまま放置してしまっていた作品。
アニコレの棚見ていて他の方のレビュー読むと、
30分くらいのショートアニメでサクッと見れそうなので早速。

原作者のねこぢる死後の作品にもかかわらず、
過剰で不条理なねこぢる節はしっかり描ききれていた。
その上、単なる輪廻転生ではなく人間存在の宿業までをも、
サイケデリックでダウナーなテンションで紡いでいく映像に圧巻。

とにかく、鬱、グロ表現が過剰。
主人公が、人ではなく動物におきかえることで、
さらに凶暴さを加速させている。

元々、鬱で救いようのないカタストロフィーの連鎖の世界感は、
アニメにすることで、原作漫画以上に、
夢の深淵のようなシュールで幻想的世界観をつくっていた。
(ガロの逆柱いみりとかの漫画をロードムービーに仕立に
したような感じ?)

どうやら、四畳半神話体系でも有名な湯浅政明が、
監督を手がけているようだ。
かなり特殊なものの、映像は本当に素晴らしい。

ただ、技術的な面を除いて、この手の作品は、
気難しく構えてみるのでもなく、
シュールなサイケデリックの文脈で観るべきだと思うので、
「何でこれが、こんなことになるの?」とか、
「なんでこれが、こんな形してるの?」とか、
ゲラゲラ笑いながら面白さを見つけるべきだと思う。
なので、映像自体も、日本より海外の方が需要がありそう。
アングルやレイアウトなどの演出も、10年前のアニメにしては、
かなり先を行っていたんじゃないかと思った。

当時、2001年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で
優秀賞を与えた審査員の審美眼は、色んな意味ですごいと思う。

こういった点から、アートよりのシュール作品が好きで、
サイケな映像を楽しめて、尚且つ、鬱グロに耐性ある方以外は、
面白くもなんともない作品ではないかと。

自分的には、たまたま思い入れもあったので、大当たり。


重症の鬱グロ作品を求めている方なら、
ねこぢるの夫(現ねこぢるy)の鬱グロの最高峰漫画家 山野一
の漫画が最凶なのでオススメです。
「四丁目の夕日」「夢の島で会いましょう「混沌大陸パンゲア」」など、
生きていくのが嫌になるほど人間の負を見せつけられる大名作。

絵もえげつなくて汚いし、人生のトラウマになる悪書なので、
読まないほうがリアルに支障をきたさないと思われます。
山野氏の漫画は、所持してるだけで人格を疑われるレベル(笑)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 18

58.1 4 残酷で恐怖なアニメランキング4位
世にも恐ろしいグリム童話 日本昔話(OVA)

2009年9月21日
★★★★☆ 3.3 (26)
195人が棚に入れました
ベストセラー『本当は怖い世界の童話』をベースに、誰もが知っているグリム童話と日本昔話をオリジナル・アニメ化。長年語り継がれてきた子供向けのストーリーの中で、世にも恐ろしい残虐性が浮き彫りになっていく。

えんd さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

やっぱり

グリム童話をもとにしているだけあって、かなり独特な物に仕上がっていると思います。世界観的には本当にグリムから持ってきているのですが、もとの残酷な描写をしていたりするので、結構ブルーな気持ちになるかもしれないです。

しかし、そういうのが大丈夫な人なら見てもらいたい作品ですね。もとがグリム童話なだけあって話のクオリティが高いです。

全体の感想で言うと作画はまったく安定しませんね。しかしグリム童話独特の雰囲気や臨場感は、しっかりと表現されていて黒のグリム童話というにふさわしいドロドロ具合です。
様々なアニメ表現が使われており、気が付いた全話見終わっていました。とてもいい作品だと思うのでブルーな展開が大丈夫な人は私からお勧めできる作品です。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4

……keniee…… さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

こ… こわい… ((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタ

こわいですよ…

ここまで
怖いと思って観ていた作品が
思い浮かばないですが…

こわいです…

人物の表情
話し方

音…


狙いだとは思いますが…

してやられた感じで…
こわいです

これは 怖い作品がお好きな方にも
あまりおすすめできません

童話(1話め)
ヘンゼルとグレーテル

グロい キツい… 酷すぎる…
そう思いながら
なぜ観てしまったか

怖かったから 先が気になってしまったのです

そんなに怖いのかなって
覗いてみようと思った方には
ハードルが上がってしまっているので
『それほどでもないな…』
と感じられるかもしれませんが

おすすめは いたしません
後味の悪いものですから…
といいながら

観てしまいました

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3

ソーカー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

最強のトラウマアニメ(R-15)

こんなアニメ・・・なんで作ったんでしょうね?
しょうもないホラーアニメかなぁ〜と思ったら・・・
とんでもない内容ですわ・・・マジで怖いw本当にひどいw

複数の童話を紹介する感じで話が進むんですが、その童話は凄惨な内容にアレンジされています
最初のヘンゼルとグレーテル編はマジでやばいです
ヘンゼルとグレーテル編に限って言えば、ホラーアニメとしては最高傑作だと思う

独特の作画でキャラデザ自体がもはや恐怖w
とりあえず一回見て欲しいアニメだけど
これビデオレンタルしてんのかな?w

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7

59.0 5 残酷で恐怖なアニメランキング5位
コゼットの肖像(OVA)

2004年4月11日
★★★★☆ 3.3 (92)
463人が棚に入れました
倉橋永莉 (くらはし えいり) は日本の骨董店「香蘭堂」でアルバイトをする画学生。ある日、香蘭堂に主人から送られてきた「呪われし器物」古びたベネチアガラスのゴブレットから見えた、美しい異国の金髪碧眼の少女に思いを寄せる。永莉は人ならぬもの、その少女、コゼット・ド-ヴェルニュ (Cosette d'Auvergne) とのひそやかな逢瀬を心地良く思うが、一週間後の夜、悲劇は起こる…。

nk225 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

新房演出の源流は、「コゼットの肖像」に息づいている!

現在、新房昭之さんが総監督をつとめる「終物語」が放映中だ。近作の「ニセコイ」や「幸腹グラフィティ」はコメディだったが、<物語>シリーズのような幻想的な作風こそが、新房監督の真骨頂という気がする。
その新房監督が「魔法少女まどか☆マギカ」の「原点」とまで言う作品が、2004年に発売されたOVA「コゼットの肖像」。全3話のゴシックホラーだ。

■“新房演出”のルーツを探る
「コゼットの肖像」は、本当に「まどか☆マギカ」の原点なのだろうか?
まず、わかりやすい例をあげると、主人公の永莉が働く骨董店。左右に分かれた道の真ん中に建物が建っているシンメトリーの構図は、「まどか☆マギカ」の暁美ほむらの家とそっくり同じだ。
永莉の顔をあおりでとらえ、顔の半面を影色で塗りわけ片目だけを印象づけるカットは、<物語>シリーズの阿良々木暦のアップでも多用されている。また、画面の手前に物を置いて黒くつぶしたり、広角レンズで人物を背景の奥に配置したり……と、「まどか☆マギカ」や<物語>シリーズで縦横に駆使された構図が、あちこちに見つかる。
構図の話から入ったが、シーンの途中で、一色に塗りつぶしたコマを挿入してテンポ感を出す演出も「コゼットの肖像」がルーツと言えそうだ。

では、「コゼットの肖像」は、どんな物語なのか。
主人公の永莉は大学生だが、叔父の経営する骨董店の店番をまかされている。ある日、海外にいる叔父から送られてきたグラスを手にした永莉は、その美しさに魅せられ、グラスを介して、少女の幻影を見るようになる。ふとしたことから、そのコゼットという名の少女の肖像画が、店内の倉庫から見つかる。永莉は画家に殺されたコゼットと対話するようになり、やがて2人は恋に落ちる。
途中、永莉がモンスターに変身したり、霊能力者の女性が戦う派手なシーンもあるものの、ストーリーの説明は難しい。物語の舞台は、東京・阿佐ヶ谷駅前をモデルにしており、背景は写実的だ(写真を加工したカットもある)。だが、何の説明もなく、コゼットの生きていた時代のヨーロッパへシーンが飛ぶ。コゼットのセリフは散漫かつ抽象的で、突発的にストーリーの流れを変えてしまう。

■“演出”は、物語の隷属物なのか?
「まどか☆マギカ」は、虚淵玄という堅実なストーリーテラーによって、全脚本が書かれた。<物語>シリーズも、西尾維新の小説に忠実で、きわめて文学的なストーリー構成だ。つまり、どれほど絵画的な構図を用いようとも、いかに跳躍の激しいカットをつなげようとも、そのいずれの演出も、ガッチリと練り上げられた物語世界へと回収される。
「暁美ほむらの家が、常にシンメトリーの構図で描かれるのは、彼女が時間から切り離された孤独な存在だから」「阿良々木暦とヒロインたちの会話シーンに、黒いコマが挿入されるのは、彼と彼女たちの関係の断絶を表している」など、どんな解釈をも許容する。

ところが、「コゼットの肖像」は、そうではない。似たようなシーンが何度も繰りかえされ、場所や時間もあいまいだ。物語冒頭、永莉と友人たちがファミリーレストランで恋愛話をしている。友人の1人がライターを着火しようとするが、「カチッ」「カチッ」と2度、空振りする。そのたび、サングラスをかけた女性の顔がアップで挿入される。サングラスには、雑談する永莉と友人たちが映っているが、彼女はその後、物語にいっさい登場しない。この演出は、どう説明したらいいのだろう?
サングラスの女性のアップの次に、あじさいの写真が挿入される。永莉は窓の外に気がつく。あじさいを見ていたのは、学校帰りの女子小学生たちだ。小学生たちは、永莉らの会話が聞こえているかのようなリアクションをするが、彼らとは何の関係もない。いったい、小学生たちは、何のために登場したのだろう? あじさいの写真は、何を説明しているというのだろう? われわれは、つい映像に「意味」を求めてしまう。演出は「ストーリー」に貢献するものと、決めつけがちだ。だが、「コゼットの肖像」は起承転結もあいまいな、散文詩のような作品だ。なぜ散文詩が美しいのかといえば、語り口に魅力があるからだ。
「意味」や「ストーリー」から解放された映像は、枝からもがれた果実のように自由で、1つひとつが美しい。約40分×3本という変則的なフォーマットで発表された「コゼットの肖像」は、無地のカンバスに描かれた絵画のような作品だ。“新房演出”の様式が固まる前の、みずみずしい創作の源流をじっくり堪能することができる。

「アニプレックスが放つ本格ゴシック・ロマン」が煽り文句のOVA。全3巻。
本作品の監督を務めた新房昭之自身が、本作を「『魔法少女まどか☆マギカ』の原点である」と語っている。また本作には、音楽の梶浦由記、キャラクターデザインの鈴木博文など、のちの新房作品とも縁が深い重要スタッフが多く参加している。
ヒロインのコゼットの声優は、公開オーディションによって選ばれた新人の井上麻里奈が務め、同時に梶浦由記プロデュースによる主題歌「宝石」で歌手デビューも果した。

エンディングテーマ「宝石」

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

新房昭之という人物

【新房監督】
 元々新房監督を目当てに見たわけではないのだが、見終わってみると、この作品について新房監督の個性抜きに考えることは自分にはできない。
 新房監督も、最近のシリーズにおいてはその個性的な作風を作品自体の魅力と撚りあわせ、エンターテインメントとして成立させる努力が見られる。だが、より初期の魂狩やこの作品では、若い個性がそういった抑制なしに弾けている。新房作品をたくさんは見ていないので、もっと堅実な作りの作品が過去にもあるのかもしれないけれど。
 その溢れるエネルギーの結果、この作品ではイメージが氾濫しすぎて、ストーリーが掴みにくい嫌いがある。演出があまりに個人的な反面、説明は少ない。
 しかし、作品テーマと監督の個性の相性はマッチしているように見え、有り余るエネルギーで作りこまれた耽美でグロテスクな作品の雰囲気は素晴らしいと思った。新房監督にはこういう、もう少し硬派で個人的なストーリーをもっと手がけてほしい。

【物語としての難点】
全体的な雰囲気としては好きだが、元の脚本には少しもの足りなさがあるように思う。その点では監督の過剰演出との間に少しズレがあるのではないか。アニメは普通大人数で作るものなので、個性的であると、全体の整合性を取るのはなかなか難しいと思うけれど。

新房監督はその個性的な芸術感覚とともに、割にキッチュなエンターテイメント的要素(例えば中高生が大抵主人公、流血バトル的展開があったり、安っぽい強キャラが出てきたり、可愛らしい女の子が出てきたり)を好む傾向があるように思う。この作品でも、化け物との対峙シーンや、恋愛シーンで、そういう監督の好み(?)を感じた。(コゼットが非現実的に可愛いのは作品のテーマ的に全然ありだけど。)そういう傾向は基本的に自分の好みからずれる。

また前述通り、演出過多で分かりやすい作品とは言えない(一長一短だが)。

【総評】
 物語全体の雰囲気は好印象だった。個人的な主観の世界(夢とか、幻覚)と客観の対比、幻想的な演出はとても好み。自分は地味な題材を好むので、まどまぎ、物語シリーズとかよりは雰囲気は好き。
 やはり新房作品は個性的なれど何か本質に欠ける印象(わざとだろうが)。自分とは何かが根本的に相容れない。それでも本作品は、その若々しいエネルギーによって、最近の作品よりは、何か"本物"を語っているように感じた。

【P.S.まどマギとの関連】
 まどマギとの関連は知らなかった。まどマギとはターゲットが違うと思うので、新房作品全体のファンか、むしろまどマギが面白くなかった人の方がハマるかもしれない。関連性があるのはまぎれもないけれど、この作品が単純に進化してまどマギになったと考えて見るのはオススメしない。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3

ひろたん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ヴェネツィアン・グラスの向こう側に見える少女は何を思う

自分は、作曲家の梶浦由記さんと言えば真っ先に思い浮かぶのがこの作品です。
それだけ他の作品以上に梶浦節が炸裂していると思います。
自分が梶浦さんを初めて知ったのもこの作品です。
おかげで梶浦さん=ダークファンタジーって固定観念がついてしまいました。

この作品は、ゴシックホラーですが怖くはありません。しかし、不気味です。
それは、監督が新房昭之さんなので・・・。
つまりそう言うことなんです。説明不要なぐらい新房節が炸裂しています。


この物語は、主人公がヴェネツィアン・グラスの向こう側に見える少女
コゼットの虜になっていくところから始まります。
主人公は、毎日、コゼットに会うためにグラスを愛でます。
そして、一週間がたったとき、ある事件が起きるのです。
この後、主人公は、コゼットに対する命がけの恋に落ちていきます。

そんなコゼットは主人公に対して何を思うのでしょうか?
話が進むうちにそれも明らかになってきます。
そして、それと同時にコゼットの心も変化していきます。


この作品は、演出が非常に凝っていますので分かり難い部分があります。
しかし、内容やテーマは、とてもシンプルで分かりやすいと思います。
起承転結もはっきりしています。
3話構成で、1話が「起・承」、2話が「承・転」、3話が「転・結」です。
つまり、1、2話が上手く次の話につながる形で終わっています。


ところで、古い洋館やアンティークショップに行ったとき、
デザインや装飾の美しさだけではなく、他に何か感じませんか?
そうです、持ち主の念のようなものです。場合によっては、怨念・・・。
特に念入りに使われた物や人形には、その持ち主を強く感じます。
温かみを感じるものもあれば、どこか陰湿で冷たさを感じるものがあります。
この作品は、そんな見えない何かに主人公が出会ってしまう物語なのです。


また、主人公はグラス越しのコゼットの他に肖像画のコゼットにも出会います。
美術館等で肖像画を観る機会がありますが、ふと思います。
そこに描かれているのは、本当にその本人そのものなのかと。
肖像画は、描かせた人(発注者)や描いた人(画家)の思惑が入ります。
結果的に、本人とは違った人物となってしまうこともあります。
主人公が出会う二人のコゼットは、はたして同じ人物と言えるのでしょうか・・・。


この物語は、アンティークを通じて出会ってしまった二人の時を超えた恋物語です。
クセはありますが面白い作品だと思いました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7
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