残酷でファンタジーなおすすめアニメランキング 11

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの残酷でファンタジーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年07月07日の時点で一番の残酷でファンタジーなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

92.6 1 残酷でファンタジーなアニメランキング1位
メイドインアビス(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★★ 4.1 (2238)
9236人が棚に入れました
隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。
どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、奇妙奇怪な生物たちが生息し、今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。
「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。
そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、次第に『探窟家』と呼ばれるようになっていった。

アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。
そんなある日、リコはアビスを探窟中に、少年の姿をしたロボットを拾い…?

声優・キャラクター
富田美憂、伊瀬茉莉也、井澤詩織、田村睦心、沼倉愛美、塙愛美、村田太志、坂本真綾
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

縛りプレイで挑む高難易度RPG「世界淵の迷宮」

人類最後の秘境、地上にぽっかりと空いた巨大な縦穴「アビス」の謎に迫る、ホラーあり、バトルあり、サバイバルあり、ミステリーありの冒険ファンタジー。

探窟家見習いの少女リコは、アビスの深淵で行方不明となった母親の消息を突き止める為、少年の姿をしたロボット=レグと共に旅立ちます。

先ず目を引くのが圧倒的な画力で描かれた※背景画。どれ一つ取ってみてもそれだけでアートとして充分通用するレベル。漫画版のモノクロ描写に命を吹き込んだかの様な臨場感豊かな色彩表現にも脱帽。目も心も奪われてしまいました。

反してキャラデザはディフォルメ強めのコミカル調。ちょこまかと動くのは良いのですが、背景とのギャップが大き過ぎるので若干浮いている様に見え、わたしは慣れるまで数話の視聴を要しました。こちらについては漫画版の方がやはり調和が取れていた様に思います。物語が進み、暗くくすんだトーンの画が描かれるシーンが増えてくるにつれて、あるいは私自身の物語への興味が増すにつれて、段々とキャラが背景に馴染んでいった感じです。結局の所、違和感はほぼ解消されました。‥慣れって恐ろしくもありがたい(笑)

世界観については、アビスの自然とそこに住まう生物、SFガジェットから探窟ツール、料理、治療の描写に至るまで、どこを切り取っても深みがあり興味深かったです。動植物たちの丁寧な描写には特に目を見張るものがありました。

キャラについては、知識はあるけれど力の無い楽観的なリコと、力はあるけれど知識のない直情型のレグという、2人の主役の行動や言動が直線的で感情の機微に乏しいので、何となく荒削りという印象が付きまといました。
{netabare}
中盤に登場する熟練探窟家のオーゼンや、後半に登場するナナチの様に、重い過去を背負っているキャラたちと比べて、主人公二人の思考が特に単純なのは、一人が子供で、もう一人がロボなので仕方ない気もしますが、リコの迷いや葛藤の薄さはアビスの恐ろしさを軽視しているかの様に見えるほどで、危なっかしいやら、場面によっては呆れさせられるやらで(危険地帯で楽しそーに話してる場面とか特に)毎回ヒヤヒヤさせられました(汗)

大人たちも大人たちでまた、何故リコ達をもっと必死になって止めなかったのか?など…疑問符を付けたくなる様な姿勢がいくつか見受けられます。探窟家として未熟過ぎるリコとレグを容認した形で見送った大人たち、地上で冒険の出発を半ば黙認したリーダーや、深界二層で二人を連れ戻す機会のあったハボルグ、ライザとの約束に基づいて渋々協力したオーゼンなども、リコの意志を汲んでくれているのは良く分かるんですが、自殺行為を黙認している様でもあり、一人前扱いし過ぎなのではとわたしには思えてしまいました。怪物じみた力を持つ最上級の探窟家"白笛"にしか進入が許されていない下層に2人を送り出す大人たちの心情は理解し難かったです。

一方で後半に登場するアビスの住人ナナチですが、このぬいぐるみうさぎみたいな人物は、優しくて思慮に富み、この1クールの中ではわたしにとって、その友人ミーティと並んで数少ないお気に入りキャラになりました。他のキャラよりもちゃんと血の通った言葉で話している印象があり、落ち着いた佇まいが魅力的です。毛皮に包まれたケモノな外見といい、井澤詩織さんの低く唸る猫みたいな声音といいかわいすぎます(笑)

そしてもう一人焦点を当てたいのがボンドルド。この男の生体実験描写を見て、初回のリコがレグに対して行なった実験(火あぶりとかナイフで突くとか)を思い出した人はいるでしょうか? 実験の為に集めた子供たちを"人間としての運用はしていない"という言葉であっさりと片付け、自他を納得させていたボンドルドですが、この思考傾向はリコに通ずる所があります。リコがレグをただのロボとしてしか見ていなかった時点での行いだったので大目に見たい気もしますが、やっている事はやはり同じ‥もしかしたら原作者のつくしあきひとさんは、この描写を持ってボンドルドとリコ、探窟家(研究家)同士の共通する性質を暗に描いていたのかも知れません(汗)
{/netabare}
またキャラと言えば忘れてはならないのがアビスの生物たち。※2現実の野生動植物を思わせる習性の細やかな描写は、ただ現れて撃退されるだけのモンスター表現とは一線を画していました。生命力と狡猾さが感じられます。世界観の広がりを見せる役割も、旅の障害としての役割も、いずれも十二分に果たしていたと言えるのではないでしょうか? 神出鬼没の死の運び手としての印象も大でした。

構成については、世界観と冒険の動機の説明に当てられた最初の3話を除き、移動、戦闘、拠点到達、休息の繰り返しという、冒険小説やRPG的な王道パターンを踏襲している様で、ストレス無く物語を追う事が出来ました。ただ地続きの旅ではないという事と、レグのワイヤーアームが便利過ぎるのが相まって、時間は割かれてはいるものの"移動"の部分の描写に関してはかな~り淡白な印象だけが残っています。OPで表示される※3奈落見取り図を初見した時には、最下層に到達するまで何クールかかるんだろう? なんて期待と不安のこもった想像していた手前、案外とサクサク進む展開に拍子抜けしてしまったので尚更(汗)

音楽についてはkevin penkinさんによる壮大かつ透明感ある楽曲全てに満点を送りたいです。一話目のOPで流れたUnderground Riverとアビスの風景の音と絵の調和があまりにも神がかっていたので、それだけで涙腺が緩んでしまいました(笑)メイドインアビスの世界が瞬く間に身を覆う様でした。

2話目以降のOPやEDも絵や動きで色々と楽しませてくれて捨て難いものがありましたが、少年漫画然とした明るさはダークな作風に沿わない印象があり、特に話が重くなる後半になるにつれて本編との隔たりが大きくなっていったように思います。私的には前者の方向から外れずに最後まで一貫した世界観を描き切って欲しかったです。

1~3話までの物語の運びが割とスローペースだったので、古典RPGの※4ウィザードリィの様に徐々に探索範囲を広げ、リコたちがレベルアップ(ダウン?)していく堅実な展開を想像していましたが、予想は良い意味でも悪い意味でも大きく裏切られ、いつしか、先が読めずスリリングな展開に目の離せない、同シーズン中でも取り分け刺激的で気になるアニメの一つになっていました。

今後も更なる過酷な試練がリコ達の行く手を遮る事でしょうが、生きてみんなで地上に帰還する光景を夢想しつつ、2期(もしあれば)の冒険にも大いに期待したいと思います。

※1~4
{netabare}
※1:美術監督を務められた増山修さんはジブリ映画のいくつもの背景を手がけられた事でも有名な方。裏方事情に全く詳しくないわたしでも、テレビの特集かなんかでお顔を拝見させて頂いた事があるほど(笑)色彩設定を担当された山下宮緒さん他、作画に関わった全てのスタッフの方に賞賛を送りたいです。

※2:今でこそ、銃声を恐れ鉄の臭いを嫌う、臆病なイメージのある動物達ですが、ヒトが弓矢や槍投げ器などの強力な武器を発明をする以前には、クマやオオカミなどの大型種(今よりもずっと巨大だった)がヒトの天敵として猛威を振るっていた時代があったらしいという話をドゥーガル・ディクソン氏とジョン・アダムス氏による共著「フューチャー・イズ・ワイルド」という本で読みかじった事があります。

恐れ知らずで大型な個体がヒトによって次々と淘汰される一方で、怖がりで小さな個体は身を潜め生存率を高め、現代まで種を存続させたとの見解もあるそうです。危険生物がうじゃうじゃいる未開のアビスの描写に何となく納得(笑)

※3:アビス断面を描いた地図。探窟家の報告によって日々更新されている。

※4:ダンジョンの探索、モンスターとの戦闘、アイテム入手、地上への帰還というサイクルを繰り返し、レベルを上げアイテムを蓄えつつ、徐々に行動範囲を広げ数々の謎に挑む3DダンジョンRPGの金字塔。派生作品が無数にある。
{/netabare}
※:レビュータイトルの「世界淵の迷宮」というゲームは存在しません(笑)「世界樹の迷宮」というゲームの丸っこいキャラデザと美麗な背景の組み合わせがこのアニメの雰囲気とちょっと似ていたので‥。

それともう一つ断っておくと、縛り~は別にやらしー意味ではありません。ゲーム内における設定可能な難易度では満足出来ないゲーマーが、さらに厳しい条件(レベル上げをしないとか特定のアイテムを使わないとか)を自らに課してクリアーを試みるゲームスタイルの事を指します。‥‥なんとまあ、ほぼ同じ意味でした(笑)

投稿 : 2024/07/06
♥ : 78
ネタバレ

おぼ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

テンポが遅い(´・ω・`)/4~7話感想追記(8.27)

原作既読/全13話

音響と作画が本当に凄いです!
これからが楽しみ!

※レビューにネタバレはほとんど含みません。
※最新1話のみ各話レビューから外しています。
※星評価の基準は各話レビューのネタバレ内に記載

( 'ω'o[放送前の期待レビュー]o
{netabare}
まずはこの作品の簡単な説明からです。

舞台は、約1900年前、南ベオルスカの孤島で発見された直径約1000メートル、深さ不明の縦穴である[アビス]です。

アビスには人間の手では作れない、[遺物]がたくさん眠っており、今まで数数の探窟家がアビスの底に降りていきました。

しかし、アビスには[アビスの呪い]というものが存在しており、アビスの下に降りた後、上に登るとその呪いが発動します。
(帰り道に呪いが発動する=1度入ったら深さによっては戻って来れない)

呪いの内容は以下の通りです。

・深界1層→地上
※軽い目眩と吐き気

・深界二層→深界一層
※重い吐き気、頭痛、末端の痺れ

・深界三層→深界二層
※上記+/まともに立つのが困難、幻覚、幻聴

・深界四層→深界三層
※全身に激痛・穴という穴から流血

・深界五層→深界四層
※全感覚の喪失、それに伴う意識混濁、自傷行為

・深界六層→深界五層
※人間性を失う、場合によっては死

・深界七層→深界六層
※人間である以上【確実な死】

というものです。
さらに、アビスには凶悪な生物が多数存在しており、人間の命を脅かします。
(。-ω-。)----------キリトリ線----------(。-ω-。)
探窟家には、それぞれが所有する鈴の色によって
降りていい層が決まっています。
(実力が認められると鈴も変わる)

それぞれの鈴の降りれる範囲は以外の通りです。

・鈴付き
※素人。降りてはならない。

・赤笛
※見習い。深界一層まで行っても良い

・蒼笛
※一人前。深界二層まで行っても良い

・月笛
※師範代。深界四層まで行っても良い

・黒笛
※達人。深界五層まで行っても良い

・白笛
※伝説級。複製できず、それぞれ独自の意匠を持っている。深度制限なし。
(笛の条件は人間が定めたもので、仮に赤笛が1層より下[二層~]にいってもアビスの呪いは発動しません)

まあ、アビスの世界観はこんな感じです。
次は簡単なストーリー説明をします

[あらすじ]
ヒロインのリコは孤児院で暮らす探窟家見習い。アビスへの憧れが人一倍強い彼女は、母のような偉大な探窟家になることを夢見ていた。ある日の探窟で、リコは謎の存在に生命の危機を救われる。その何者かが放った熱線の跡を辿ると、そこには少年そっくりのロボットが倒れており…。(wikiより)

まず、物語はリコとロボットのデクの出会いから始まります。
リコはロボット(デグ)を孤児院に持っていき、他の孤児院のメンバーと共にデグに電気を送り、復活させます。

そこから孤児院でしばらく生活したデグとリコは、ある日、アビスへ潜らなければならないきっかけを見つけ、夜の孤児院を抜け出します。(脱走)

ここでは言いませんが、リコのアビスへ潜る理由がまた泣けてくるんです!
この内容は原作の1巻分なんですが、
1巻のアビス(大穴)への出発シーンで、一気に涙腺をやられました(2巻からアビスでの冒険が始まる)

とりやえずストーリー説明はここで終わります。

ここまで読んで貰えれば分かるように、このアニメ。

作り込まれた世界観が凄い

可愛いイラストの割にかなり重い内容

なんです!

しかも、2巻からはさらに面白さが増し、
3巻からは可愛い新ヒロインが登場します!(ナナチ)

制作は東京マグニチュードのキネマストラシス!
監督はブラックブレットの倉田さんです!

PVの作画クオリティーもかなり高く、
声優もかなりキャラにマッチしていました。

素晴らしい制作陣にも恵まれ、この作品は
きっとかなりの良作になると思います!

皆さん!夏のメイドインアビスに大いに期待しましょう!

補足︰この作品。
前半はないんですが、後半から極度のグロシーンがかなり存在します。
苦手な方は視聴を止めるのをおすすめします( ´・_・`){/netabare}

( 'ω'o[各話レビュー]o
{netabare}
※星評価の基準
---------------- 8×キリトリセン ---------------- 
★★★★★/神
★★★★☆/かなり面白かった
★★★☆☆/面白かった
★★☆☆☆/普通
★☆☆☆☆/微妙
---------------- 8×キリトリセン ---------------- 

[1話]大穴の町/★★★★☆
{netabare}
先日日曜日に先行上映会に行ってきました。

見終わった感想としては、まず音響と作画が凄いです!若干クセがあるものの、アビスの世界を完璧に再現していました。

物語は原作の3話分。
かといって、[1話→2話→3話]ではなく、
[2話→1話→3話]の順でした。

信者はどうせ[原作レイプ死ねとかいうんだろ]
と思ったそこのあなた!

違います!(断言)

原作プッシュアップも完璧で、序盤の少しつまらない(失礼)展開を完璧に打ち消してました!

物語も始まったばかりですし、今後に期待したいです!{/netabare}

[2話]復活祭/★★★★☆
{netabare}
冒頭で[アビスの呪い]の説明がされましたね。
あそこでしっかり説明してくれたのは嬉しかったです。

物語は1話に引き続きまだ序盤(´・_・`)
これからさらに面白くなっていくので見届けたいと思います。(今も充分面白いけど)

EDはほんわかな感じで物凄く好きでした(´▽`)
(OPの映像美も凄かった){/netabare}

[3話]出発/★★★★★
{netabare}
旅立ち会。
原作読んでて展開は知ってるものの、普通に泣いてしまいました。

なんといってもナットが可愛い!
あの、なんというかツンデレな感じがいいんですよね(´ω`*)

これからアビスの中でさらに盛り上がっていくので、切るか迷っている人は6話ぐらいまでは見て欲しいです。

※勘違いしてる人が結構いるみたいですが、アビスの呪いは[帰路]にかかるのであって[行き]にはかかりませんよ。{/netabare}

[4話]アビスの淵/★★☆☆☆
{netabare}
うーん(´・_・`)今回は少しテンポが遅かった印象かな。
原作ファンだからって原作が〜とかいうつもりはないけど、もう少しテンポ良く描いてほしいと感じました。

アニメオリジナルでクモが出てきましたが、これもあまり好感は持てませんでしたね。
アビス独特の奇妙さがあまり無かったと思います。

何がともあれ次回で巻き返してほしいです。{/netabare}

[5話]火葬砲/★★★★★
{netabare}
胸熱展開キタ━(゜∀゜)━!
いいですね!今回は特にアニメオリジナルが素晴らしかったです。

前回と違いテンポが良いにも関わらず、原作で適当に済ませたシーンを丁寧に描いてくれてて感動しました。

次回は監視基地。楽しみです。{/netabare}

[6話]監視基地/★★★☆☆
{netabare}
(゚ロ゚;)エェッ!?これは驚きです。
まさか自分が想定していた進み具合の二部の一しか進まないとは思いませんでした。

マルルク,オーゼンのキャラデザ,声優はとても良かったですが、テンポが悪い!

次回なんとかして下さい!{/netabare}{/netabare}

[7話]不動卿/★★★☆☆
{netabare}
やっぱりテンポがあまり良くないね。
ネットで少し叩かれていた戦闘シーンに特に不満はないけど、もう少し速くやらないと中途半端に最終回を迎える気がします。

後、回想シーンをもう少し丁寧にやって欲しかったかな。(原作はかなり雑なので)

次回は生存訓練みたいですが、どう作ってくるんでしょうか。期待と心配半半で待ちたいと思います。{/netabare}

( 'ω'o[最終レビュー]o
※後日追記

( 'ω'o[観点事のレビュー]o
※後日追記

総合点数【 】

続編の可能性
※後日追記

投稿 : 2024/07/06
♥ : 71
ネタバレ

TAMA さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

星の羅針盤が指し示す場所は… 胸の鼓動は本物、憧れは止まらない、さぁ!アビスへ!

入院してた時にレトロゲーを大量に買い込んでやったのでそれで例えると…
『トル◯コ』『風来◯シレン』等の不思議のダンジョンっぽいテイストでRPG要素が高いファンタジー作品でした。(地図は変化しませんが)
『グラ◯ディア』要素もあったかな。ナナ……ふわふわのぬいぐるみは『聖剣◯説』のキャラで出てきそう。んなぁ~…。


原作・未読。
アニメ・全話視聴。


簡単に言うと現実世界の平地に世界一高いエベレスト(8848m)+ヒマラヤ山脈の広さの山々を逆にして地下穴(アビス)にしたイメージ、といえば想像しやすいかな?(深さは不明。)
そこをある理由で冒険をするストーリーって感じと受け取って貰えれば。かなり簡単な説明になりますが。
『アビス』は深淵や地獄って意味もありますが、作品的に『大穴』や『奈落』って感じかな?
間違ってたらすみません。


大・満・足!!
もうビックリするくらいハマってしまいました。
絵のテイストが可愛らしかったのであまり期待はしてなかったんですが、視聴を始めてみたらドンドン惹き込まれていき、時間を忘れ全話ノンストップで視聴しました。そんで泣きました!笑いました!感心しました!魅力的な作品でした!
OPは聴き惚れました。EDは紙芝居テイストなのが可愛かった。OPの曲終わりの絵はその時のストーリーに関係あるカットに変わるのもニクい演出でした。(数話後に次のカットって感じです。)
あ、EDも所々変わってます。1番分かりやすいのがある話数からふわふわのぬいぐるみが歌に参加すること。
後は探してみて下さいね。


設定も中々面白かったですね。
単純にして分かりやすいものから、凝っててこの後の展開で明かされるのかな?って物があったりと。

…設定…というかレグの構造といえば2話の頭からレグは災難でしたね。ある意味『拷問』だったのでは?(笑)

話を戻しますが1話から最終話まで流れも良かったですね。主人公の『リコ』『レグ』の位置付けや設定も良く、いい具合に伏線も謎も残している。
これを回収や解決するとなると原作は結構長いストーリーになるかもしれませんね。


ちょっと書きたい事がネタバレ含むので先に書いておきます。
この感想を書いてる前に決まってたのですが、メイドインアビスは第2期決定しました!まだ放映時期は分かりませんが本当に楽しみです。
ただ現在(2018:3/22)出てる原作は6巻。今年中に7巻が発売されると予想しても第2期は1クールが限界だと思います。レグの言葉を借りて「度し難い…」。

冒険系が好き、ドキドキしたい、動きのある作品が観たい方にはオススメ出来ます。
逆に前述したものに興味がない、グロい表現や描写が苦手な方にはオススメしません。結構キツイ表現があります。

2期は嬉しいんです。が、ちょっと試し読みしましたところ、『どうやって表現するんだろう?』ってのもあるので少し不安もあります。
憧れがとまらない2人の旅の続き、楽しみにしたいですね。


これより書く感想はネタバレを含みます。なのでまだ観ていない方はこの先はオススメしません。
まぁ超!趣味書き…好き勝手に書いてます。
{netabare}

『上昇負荷』通称『アビスの呪い』の設定は高山病+ファンタジー要素を加えて中々面白いと思いました。
山の病気といえば…

高山病→高所肺水腫→高所脳浮腫。

レベル1↓
山酔い・命に関わる場合がある。
成人で標高2000M(高齢者は1500M)以上の高地で次の症状が1つある。
・食欲低下、悪心、嘔吐等の消化器症状。
・全身倦怠感や脱力感。
・立ちくらみや目眩。
・眠れない、息苦しい、睡眠障害。

レベル2↓
高所肺水腫。
山酔いと合併がほとんど。数時間で急速に進行することも。安静時の呼吸困難、せき、歩行困難、腹部圧迫感、頻脈など。

レベル3↓
高所脳浮腫。
命に関わる重篤な状態。山酔いに加え、運動失調(まっすぐ歩けない等)、見当識障害(日時や場所がわからなくなる)がみられ、放置すれば昏睡からやがて死。
(元・登山家に聞きました。)

これにファンタジー要素を加えて『アビスの呪い』にしたのかな?と思いました。
高山病の地下版と思えば分かりやすいかな?と思います。オーゼンのとこでの3週間滞在(訓練)は理に適ってて上手いなと。

…オーゼンで思い出したけど、マルルクは男の子?女の子?…謎だ!?(笑)

アニメやマンガだから仕方ないんですが、『レグ』はロボットだからよしとして、出来たら『リコ』の装備は肌を出さない様な装備服にしてほしかったです。元・登山家の方に聞いたんですが、「こーいった冒険の場合は何があるか分からない。だから出来るだけ肌を出さない格好で毒物などに触らない様にするのは基本だ」と。

後は地下に潜れば潜るほど元素の存在度が変わる。
全て表現するのは無理でしょうがせめて『火がつかない』とか『酸素が…』とか『地熱が…』など一般的に分かりやすい『危機』を作って欲しかった。

笛の設定やいつでもゲームオーバーになる様なピンチは良かった。ハラハラした。♯5の『リコ』の食事の考え、好きです。
後、私は「よく表現した!」と思うんですが、やはり♯10は無理な方が多かったですね。かなり酷だったと周りの方にも言われました。
でも旅や冒険するとなるとこーいった事も起こる事を想定した知識がないと無駄に傷口を悪化させたり、腕や脚を切り落とす事になったりします。
なので♯10の表現が無ければこの物語はかなりチープな物になったと思います。
オーゼンの「アビスの深部に住む原生生物は、アタシより遥かに狡猾で強かだ」やその他の言葉や行動も薄っぺらくなってしまう。
なので♯10くらいな事がないと重みがないと思います。
この作品がお気に入りになった1つの要因です。

好きなキャラはやっぱり『ナナチ』ですね。
たまたまだけど私のハンドルネームを呼んでくれた…♪(殺されるんだろうけど(汗))
ナナチの言葉で言えば私に「チョロいなぁ〜」って言われるんでしょうね(笑)
CVの井澤詩織さんはケモノ系の声は似合うなぁ…。
もうね、あの毛並みをお手入れして最高にもふもふにしたい!美味しい料理を作って食べさせてあげたい!『んなぁ〜…』を聞きたい!…と色々とヤバい!(主に私が!)
『リコ』とは料理の話がしたい!『レグ』は身体の構造を知りたい!『ナナチ』は…もう書いたか。

まだまだ書きたいけどここまでにしておきます。もしこの好き勝手な文を読んで下さった方が居たらこの場で感謝を申し上げます。ありがとうございます!
{/netabare}

Deep in Abyss…、深い深淵(合ってるかな?)
羅針盤はずっと闇を指したまま逃げ場のない方へ…
アビスに臨む者達に祝福を…

to be continued, next 2nd season〜…

投稿 : 2024/07/06
♥ : 23

72.1 2 残酷でファンタジーなアニメランキング2位
棺姫のチャイカ(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (996)
5761人が棚に入れました
原作:榊一郎「棺姫(ひつぎ)のチャイカ」(ファンタジア文庫)、キャラクター原案:なまにくATK(ニトロプラス)、監督:増井壮一、監督補佐:小森高博、シリーズ構成:待田堂子、キャラクターデザイン:新井伸浩、美術監督:岡本好司、色彩設計:岩沢れい子、撮影監督:福田光、、、、

声優・キャラクター
安済知佳、間島淳司、原優子、斎藤千和、細谷佳正、佐藤健輔、野水伊織、幸田夢波、森嶋秀太、山本和臣、藏合紗恵子、勝沼紀義、ブリドカットセーラ恵美、金尾哲夫、大空直美、村瀬歩、櫻井孝宏、小日向茜、牧野由依、緒方恵美、東地宏樹
ネタバレ

westkage。 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ありがちっぽいベーシックなファンタジー作品なのに、結構ハマってしまった!衝撃の事実っ!!w

本作は榊一郎のライトノベルが原作の作品です。2014年4月から全12話で放送されています。2期は2014年10月から放映予定です。

あらすじ・・・主人公の「トール・アキュラ」は幼少時より戦士としての腕を磨いて育ったが初陣を飾る前に戦乱の世が終わり自らの身の振り方に悩んでいた。一方ヒロインの「チャイカ・トラバント」は各地に散らばって保管されている父の遺体を集める旅をしていた。そんな2人が山の中で偶然出会う所から物語は始まる。チャイカの探し求めるものとは「禁断皇帝・魔王・狂戦王」など数多くの異名を持ち、巨大な魔法帝国「ガズ帝国」を何百年もの間治めていた皇帝「アルトゥール・ガズ」のバラバラになった遺体であった。遺体は1部でも膨大な魔力を秘めているため、チャイカの旅はそれを阻止する組織などとの対立により困難を極めていた。縁あってチャイカと行動を共にしたトールと妹のアカリは、彼女を自分の雇い主とする事で自分の身の振り方・生きがいを見つける事となる。かくして3人の旅は幕を開ける事となる。

総評としては「ベーシックなファンタジーの枠に入る作品ながらも、特徴的で躍動感あふれるキャラクターの存在により面白さが際立つ作品」といった感じです。個性的な世界設定を持っていますが、その1つ1つが解りやすく構築されているので非常に溶け込みやすいです。

主人公とその妹は「乱破師(サバター)」と呼ばれる戦士で一時的に身体能力を高める奥義‘鉄血転化’を使います。奥義には詠唱が必要でセリフは「我は鋼なり、鋼ゆえにひるまず鋼ゆえに惑わず、一度敵に逢うては一切合切の躊躇無くこれを討ち滅ぼす凶器なり」といったもの。なんだか古臭い魔法詠唱みたいですが自己暗示の一種らしく、そう考えれば現実的なセリフっぽく見えて私は結構気に入ってます。カッコいいですね♪

そしてヒロインは「機杖(ガンド)」と呼ばれる武器で魔法を使う「魔法師(ウィザード)」です。ガンドはどう見てもアンチマテリアルライフル(対物ライフル)っぽいデザインですw こちらも呪文の詠唱が必要みたいですが、まあアッサリしてるので見てて痛いほどではありませんw
そしてチャイカちゃん少し喋り方がカタコトなんですね、これが中々可愛いんです☆お気に入りのセリフは「衝撃の事実っ!」です。つい彼女が話すシーンは耳を集中させてしまいます。このキャラ設定は秀逸ですね!

基本的に国同士や人間同士の対立や対決が多いので、モンスターみたいな部類はごく少数しか登場しませんね。対立する相手の人間味も描かれている所が好感を持てる要因の一つかもしれません。
唯一の不満はOPテーマが全然駄目です。コレ大丈夫ですか?と思えるほど自分の中で低評価。

ファンタジーが無理と言う方にはそのまま苦手なジャンルかと思いますが、ファンタジーが好きな私にとっては大変楽しんで視聴する事が出来ました。2期も決まっている作品で1期と物語は続く形で描かれます。1期ではストーリーや登場人物など色々な謎がありましたが2期で明らかになっていくと思います。大きく期待しておりますので、これから楽しみです!

*以下ネタバレレビューにて注意!
{netabare}
ドラグーンのフレドリカが戦闘後仲間になったり・アルベリックジレットが自分の職務に段々疑問を持つようになったりとベーシック作品ならではの先の読みやすい展開もありながら、フレドリカがいきなり脱皮したり・航天要塞がまさかの体当たりであっけなく沈んだりと意外性もほどよくあって良かったです。
また第1話で「謎の影」に語られているチャイカは主人公のチャイカだとばかり思っていたのに、実は蒼のチャイカだったってのはやられましたね。良い仕掛けだったと思います♪

*最後に好きなキャラランキング*
1位「フレドリカ」
ドラゴンの彼女はややデザインがイマイチですがw人型の彼女は本当に可愛いです。わがままな感じもドラゴンならではなんでしょうけど、自由奔放な感じの彼女が魅力的に描かれてますね。

2位「チャイカ・トラバント」
カタコトな言葉遣いと、純粋な感受性を感じさせるセリフがとても可愛いですね。少しウザくなってくるのかなーって最初思いましたけど、そんな事は無く最後まで全然可愛かったですね。

3位「ヴィヴィ・ホロパイネン」
ツンツンした感じが可愛いツンキャラ代表の彼女ですが、最後の描写でなんだかチャイカに変身しているような…。2期での彼女がどうなってしまうのかハラハラする終わりかたでしたね。

{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 44
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

正に紅白つけがた、、、いや、甲乙つけがたい魅力あり(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
観た人には分かるレビュータイトルにしてみました(笑)

ジャンルとしては、ファンタジー、バトル。でも実際はキャラものだったかなと。女性キャラはみんな可愛らしく、バトルもそこそこ迫力あって、視聴時「は」、かなり2期が楽しみな作品でした(苦笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
よし、2期のことは2期に書こう(笑)

最初の2~3話は、かなり楽しんで観られました。特にトールとニコライ(モヒカン巨漢)のバトルは、良かったです。ラノベ原作なのに、厨二的な必殺技も、(トールの界王拳wみたいなやつ以外)はなく、ちゃんと地味に剣技で戦ってたあたりは、剣道部的に好印象でした♪

中盤以降、多少ダレる部分もあったけど、ストーリーは「父親の死体を集める」という点で一貫していたので、とても観やすかったです。(かなり簡単でしたが)所々に謎というか、伏線もあって良かったです。

なにより、キャラが可愛い。

白チャイカは、なんといっても眉毛! 太眉で可愛いって、アニメでもリアルでも貴重です!(アニメ→けいおんのむぎ。リアル→怒り新党の夏目ちゃん)。しかも、ロリ&片言&記憶喪失&魔法使い&天然&ロシア風。要素を詰め込み過ぎだけど、それでもうまくまとまっていました。

個人的にお気に入りはアカリです。私は兄妹なのに恋愛してるやつは生理的にNGなのですが、これは血の繋がりがないからOK! アカリの、トールに対する偏愛というか変愛wは、かなり笑えました♪ 今まであまり観たことないキャラでしたね。

フレデリカもキャラは良かったけど、ちょっとチートでしたね、戦力的に。フレデリカがいなければ、もっと戦闘や攻略に工夫が生まれ、面白かったと思います。まあ、それはフレデリカが悪いのではなく、便利に使った(楽した)作者の責任ですが。それに、ややグロのシーンもあり、萌えには一歩届かず。

赤チャイカは、ツンデレだし、負けず嫌いなのに可愛げがあって、正に紅白つけがた、あっ、間違えた(笑)甲乙つけがたい魅力ですね♪ 赤派、白派で別れて意見を戦わせてるのも、よくわかります。……ところで、あの赤チャイカの武器、かなり好きな武器なんだけど、元ネタやら正式名称がよく分からん。個人的には、ダイの大冒険のヒュンケルや、ラグナロク(ラノベ)のジェイスが使ってたイメージだけど、もっと前からあるのかな?

作品として惜しかったのは、主人公であるトールが薄味だったこと。サバターとか、(原作では違うのかもだけど)アニメではわりと説明不足でいきなり用語が出てくるんで、最初は3Dの青い人と関係あるのかと疑ってしまいました(笑) まあ、忍者みたいなもんだと解釈してますが、この辺り(トールの過去やなぜチャイカにあそこまで肩入れするのか、サバターとは何か)を更に深く掘り下げられれば、もっと感情移入できた気がします(まっ、それやっちゃうと白チャイカをあそこまで掘り下げられませんが)。

早目に2期が発表になるくらいですから、計画はあったのでしょう。だったら、1期でムリに終らせようとせず(ストーリーを追いかけるのではなく)、 じっくり時間をかけても良かったような気がしないわけでもないです。

と、いうことで、あにこれではあまり評価されていませんが、私は個人的に結構楽しめましたよ、1期は(笑)(笑)(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 32

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

チャイカの片言言葉・・・慣れたら可愛らしく感じました^^

この作品は原作未読、事前情報無しで視聴した作品です。

この物語の主人公は、トールという20歳の青年です。彼は戦争でしかその業を活かせないサバターという職種なのですが、戦争が終結してしまい世の中が平和になると・・・無職になって無気力な生活を続けていました。そんなトールを支えるのが妹である同じくサバターのアカリちゃんです。

ある日のこと、無職貧乏生活真っ最中のトールは山に山菜を取りにいきます。
そこで、本作のヒロインであるチャイカと出会うのです。チャイカにはある目的がありました。
それは彼女が一生賭けても達成したい願い・・・それに触れたトールとアカリはチャイカの願いを叶えるために立ち上がり・・・物語が動いていきます。

チャイカの願い・・・それは、誰もが欲するもので良くも悪くも使い道は持ち主次第というモノでもあるので、一度それを手にしてしまったら、簡単に手放せるものではありません。
守るもの・・・
狙うもの・・・
横取りしようとするもの・・・
チャイカの願いはたくさんの人の思いや野望と折り重なっているので、行く先々で危険な状況に陥ります。

それでも3人・・・途中からフレドリカを加えた4人の連携で、何とか危機を回避しながら前に進んでいきます。
このフレドリカの話・・・個人的に大好きです^^
生き甲斐って、人に認めてもらうことだったり、必要としてもらうことだと思います。
人から認めてもらえなくなったり、必要とされなくなったら・・・たとえそれがどんな理由であれ寂しさを感じてしまうと思います。
大切な人である程その空いた穴は大きくて・・・その寂しさを紛らわすための言動・・・分かる気がします。

それとサバターであるトールとアカリの戦闘シーンは格好良かったと思います。特に「鉄血転化」後の2人のバトルシーンは見応え十分でした^^

この作品も・・・になりますが、人間模様が豊かで面白いです^^
トールに対するアカリの気持ち・・・少しズレていますが可愛らしい限りです。
フレドリカは・・・どうしたいのか現時点では良く分かりませんが、所期の目的に変化の兆しが見えなくもありませんね^^
トール達と敵対関係にある相手の中にも、きゅんきゅんする思いを感じ取ることができます。
敵対関係・・・と書きましたが、完全な敵対関係・・・という感じではありません。
その辺りの微妙なさじ加減は、是非本編をご覧頂き感じ取って欲しいと思います。

物語の終盤・・・トール達の目的とは別の次元で蠢く陰謀に巻き込まれる形で超大型兵器が登場します。
その大きさはたくさんの人間が乗っても余りあるほど・・・
その兵器の中でも戦いは続きます・・・色んなことが一気に起こるので、目を離す隙もありません・・・
結果的にその戦いも終焉を迎えますが・・・爪痕はあまりに大きいものでした。

こうして1期目のチャイカの旅は終幕するのですが・・・既に2期の製作が決まっていて、それが何と今秋放送とのこと・・・これは喜ばずにはいられません^^

1期12話のこの作品ですが、結果的に分割2クールの作品になりそうです^^
トール達と敵対する相手・・・でもどこか憎めない一面を持つ人達と、今後トール達がどの様な物語を紡いでいくのか、凄く楽しみです♪

投稿 : 2024/07/06
♥ : 35

87.5 3 残酷でファンタジーなアニメランキング3位
オーバーロード II(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (1076)
5676人が棚に入れました
如異世界に転移して以来、アインズはナザリック地下大墳墓の主として、守護者たちの偉大なる支配者として振る舞う日々を送っていた。一方で、情報収集と資金獲得のため、冒険者モモンとしてエ・ランテルを拠点に活躍。ギガントバジリスクの討伐など、アダマンタイト級冒険者に相応しいとされる実績を積み重ねていく。そんな中、ナザリックへ帰還したアインズは、守護者を統括するアルベドと人間界で得た情報を含めた現状の報告会を執り行う。

声優・キャラクター
日野聡、原由実、上坂すみれ、加藤英美里、内山夕実、加藤将之、三宅健太、千葉繁、沼倉愛美、東地宏樹、楠見尚己、雨宮天、石井康嗣、安野希世乃、逢坂良太
ネタバレ

Dkn さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

デミ(ウルゴス)ちゃんは語りたい!“versionⅡ”

何やら色々書いたんですが、(数千文字くらい)最終回観てどうでもよくなった。

っしゃぁ!!

『ナザリックに栄光あれ!!!!』



リザードマン編と王国編の2部構成でやったオーバーロードⅡ。作画は同社マッドハウスで同時進行の『宇宙よりも遠い場所』『カードキャプターさくら-クリアカード編-』に作画班のリソースを割かれたのかと思うほど悪い回はとことん悪い。無駄な伏線を張りすぎて中だるみしそうな構成も視聴中はイマイチだと感じたものの、最終回ラストに速報で流れたオーバーロードⅢの制作決定を聞き、ある程度納得しました。部分的に淡白で全体的に詰め込んだ印象ですがナザリックの面々が登場している時は概ね好評だったようです。作品の性質上海外のアニメファンにかなり人気らしく国外での評は箔が付きますね。個人的には何度見返しても面白いアニメになりました。


【↓雑記:長文注意】
{netabare}
レビューという名のメモ書きを置いておきます。(タイトル通りデミウルゴスくらいナザリック贔屓で進行。)

至高の御方のひとり、アルベド他数名のNPCを作った「タブラ・スマラグディナ」は、宝物庫に〈エメラルド・タブレット”=古代エジプトで存在したらしい錬金術のノウハウが描かれたエメラルド板〉から引用した――

「かくて汝、全世界の栄光を我がものとし、暗きものは全て汝より離れるだろう」

…の、長ったらしいパスワードを採用したプレイヤーで、アインズをして「設定厨」と称される人。OVERLORDは作者の「丸山くがね」先生自体が設定厨で、鬼のような設定で有名な「TYPE-MOON」の、「月姫」ファンディスクでシナリオ担当をしただけあります。ちなみにこの時、奈須きのこさんの文才を感じ、自分には向いてないと悟り業界を諦めたそうです。その後サラリーマンを経て趣味で投稿していたオーバーロードは趣味と割り切ったからこそかもしれませんが、世界の細部まで作り込み、余白に想像が膨むファンにとって楽しい時間を与えてくれます。掘り下げていくと、書籍版・Web版・※隠し番外編にも作中の情報が散りばめられており、最早宝探しゲームの気分です。

(※“隠し番外編”は、作者がweb版の感想掲示板に読者への返信と共に少しだけ書いたIFストーリーや物語の裏話)

先にも触れましたが、不安材料だったリザードマン編を制作側がやると決めたものの1巻分で1クールやるわけにはいかず、王国編まで終わらせることに。主人公側の活躍を楽しみにしていたアニメ視聴者から非難の声も出ましたが丸々リザードマン編を省略するのは確実にファンから苦言を呈されたと断言できます。制作側の試行錯誤がしっかり見えたと感じたのは一番危惧されていたリザードマン編全編カットor1クール丸々リザードマン編という暴挙に出なかったことで、正直作品の鮮度や制作資金も考えるとこれ以上の構成は無かったし、これがBetterだった訳です。アニメで入った方、もしくは内容が理解できない箇所があったという方はどんな観方をしていたか気になる所で、各シーンや本編感想の前にステータス設定の基本をおさらいしてみます。↓
{netabare}
OVERLORDにはアニメで語られない設定がいくつかあり、ナザリック地下大墳墓は元々が体感型のオンラインゲーム“ユグドラシル”にあった為、ゲーム内のステータス設定に“カルマ値”というステータスが存在し、NPC達の性格付けに大きく関わっています。カルマ値とは「ゲーム内で善行や罪を犯すことで±される数値」で、ユグドラシルではキャラクター制作時に±500で決定されます。人間種・亜人種に当てはまらない“異業種”で構成されるギルド「アインズ・ウール・ゴウン」では、多くのNPCキャラクターが【カルマ値】マイナス…つまり悪性の【属性】ばかりで守護者に至っては極悪も存在します。

ナザリックの面々を悪性順で並べると―――

アインズ・ウール・ゴウン【極悪】【-500】(モモンガ、漆黒の英雄モモン、本作の主人公、萌えキャラ)
アルベド【極悪】【-500】(ヒドイン、守護者統括、モモンガを愛している、書籍版で追加されたヒロイン)
デミウルゴス【極悪】【-500】(守護者一の知恵者、忠義心のお化け、悪魔、仲間に優しいインテリヤ◯ザ)
シャルティア・ブラッドフォールン【邪悪~極悪】【-450】(パッド入り吸血鬼、エロゲ要素満載の変態)
ナーベラル・ガンマ【邪悪】【-400】(モモンの相棒、虫博士、ドッペルゲンガー、ポンコツ、棚ぼたナーベ)
ソリュシャン・イプシロン【邪悪】【-400】(有能ショゴスメイド、たまに太る、人を体の中で溶かすのが好き)
ルプスレギナ・ベータ【凶悪】【-200】(ワーウルフの赤髪メイド、サディスト、三歩で忘れる通称:駄◯。)
アウラ・ベラ・フィオーラ【中立~悪】【-100】(ダークエルフ、双子の姉、シャルティアやユリと仲良し)
マーレ・ベロ・フィオーレ【中立~悪】【-100】(双子の弟、男の娘、心も女の子寄り疑惑?、天然鬼畜)
エントマ・ヴァシリッサ・ゼータ【中立~悪】【-100】(擬態した蟲メイド、…はぁ…エントマちゃんかわゆ…)
ハムスケ【中立】【0】(ジャンガリアンハムスター、モモンの乗り物、♀、婚活中、デスナイトと仲良し)
コキュートス【中立】【+50】(武人、氷属性の蟲、バトルマニア、武器マニア、デミウルゴスと仲が良い)
ザリュース・シャシャ【中立~善】【+100】(トカゲの戦士、旅人、飼っているヒュドラの名前はロロロ)
シズ・デルタ【中立~善】【+100】(自動人形メイド、可愛い物好き、あと数回変形を残しているロボ(嘘))
ユリ・アルファ【善】【+150】(プレアデス副リーダー、デュラハン、お姉さん、メガネっ娘&ボクっ娘)
セバス・チャン【極善】【+300】(プレアデスリーダー、竜人、チバスチャン、紳士、Web版ではハーレム王)

創造主に作られたNPC達は善悪の基準や“そうあれ”と定められた設定の中で“ロールプレイ”をしています。ゲームらしい面白い点ですし、実はユグドラシルがサービスを終了する前から意識が有りプレイヤー達の会話を聞いていたらしく、その時に自由に動き言葉を発することは出来なかったものの記憶にあるらしいです。喋らないNPCを設定する時にはわからなかった、性格付けと設定が乖離し相反する場合も多く、作中ではギャップになっていて魅力になっています。例えばシャルティアは江戸時代に遊女が使っていた“廓詞(くるわことば)”「~ありんす」などを語尾につけて喋りますが素は普通に喋りますし、アルベドはサキュバスで処女。プレアデスのメガネをかけたメイドのユリは、教師である「やまいこ」に創造され、規律正しい姉的な立ち位置と裏腹に“ボクっ娘”であり普段は恥ずかしいので私と言う…など。(やまいこの一人称も僕)ちなみに王都で活躍するセバスとソリュシャンの2人は極善と邪悪のコンビで、ソリュシャンの残虐性をセバスが窘めている構図でした。行動原理をこれらのステータス設定で考えると他の場面やキャラクター達に対しても合点がいき面白いかもしれません。
{/netabare}

《ネタバレ有り感想》

原作を読んでないと気づかない部分も含めのネタバレですが、この先3期が有れば明らかになる謎も多いので、1シーンで完結している情報だけ載せます。

まずはリザードマン編。
{netabare}
前作のラスト、洗脳されたシャルティアとの戦闘から間もない時分、プレイヤーの存在などを考慮し行動するナザリックの面々に新キャラクターが登場します。1話冒頭から犬のメイド長やら“ぷっちょ”みたいな頭をしたバーテンダーに執事助手の弱っちぃペンギンなどファンからすると最高のファンサービスで、とても嬉しい第一話でしたしワクワクもしましたが伏線にしかならないキャラクター達をこんなに登場させて話がまとまるのかと心配な部分でも有りました。(今考えればⅢ期あったからなのですね)原作ファン以外にはわからない部分も多そうで伏線として覚えていられるかはどれだけ本作を真剣に観ているかで変わります。アルベドさんは相変わらず病んでいます。最後に5話までメインとなるリザードマンの長と戦士ザリュースの顔見せをして1話は終わりです。

その後、各集落へと赴き共同戦線を築こうとするリザードマン達とナザリックの面々が交互に登場。この戦いに赴くコキュートスは前述の通りカルマ値が中立の善寄りの為、虐殺や蹂躙といった思考で無く武人として敬意を払い戦いを仕掛けます。これがデミウルゴスやシャルティアなら嬲り殺しでしょう。このオーバーロードⅡでは前半が“善寄り”のコキュートスとセバスが主役のために悪のギルドらしからぬフェアプレイを行うことが多かったですね。なんだかんだ有り、リザードマンが団結しナザリックの新キャラクター達の紹介も終わりました。

5話(笑)シャルティアへの罰(ご褒美)の“アインズの椅子になる”変態プレイと“トカゲックス”というファンの間で作られた新語に笑わせてもらいました。お茶の間に悪影響しか及ぼさない展開目白押しのTHE深夜枠アニメオーバーロードⅡ。その後もシャルティアへの罰を見て歯ぎしりをし壁を壊すアルベドとは対照的に、デミウルゴスの『守護者に座するとは!!』の嬉しそうな声と顔には笑わせてもらいました。アルベドが遠隔視の鏡<ミラー・オブ・リモート・ビューイング>でクルシュ達を見てボソッと一言「羨ましい…」とサキュバスの本能を見せ、閨を共にしてくれないアインズ様とあんなことがしたいと妄想しています。本能だから仕方ないので、アインズ様はいつか男を見せて下さい。(身体無いけど)

ここでも前回の失敗から得たユグドラシルプレイヤーの存在を考慮して動いていて、この先アインズの行動には全て当てはまると考えて良いでしょうね。『氷結の武神』の格好いいサブタイトル通り、死闘(コールドゲーム)を終えた後、コキュートスの進言から己の意志で判断し成長する余地を感じたアインズは喜びます。アインズやギルドメンバーが苦労して制作したNPCたちに対し自分たちの子供であるように接していて、この辺りから守護者に対し成長を促すよう積極的に取り組み始めます。守護者他NPCたちも至高の御方々を神(創造主)や親として崇拝し信頼(信仰)を寄せているので親子のやりとりを見ているようで物騒な話をしていても和みますね。

死から復活した後の朦朧とし舌が回らないザリュースの演技が絶妙で評判が良かったようです。東地宏樹さんはラジオにゲストとして来てらっしゃいましたが、リスペクトを持って演技をしてくださっていたらしく、本作の役者さんはOVERLORDを愛してくれる方が多くて嬉しい。ドラマCDから声優変更が無い珍しいパターンで、付き合いの長くなったレギュラー陣は特に思い入れが強いようです。そしてリザードマン編が終わり次の章へ……カットされていた見せ場など多くありますが構成的にここらで終幕にしないといけません。{/netabare}

ここからは王国編です。
{netabare}
王国編のスタートは、ナザリックの執事『セバス』と、プレアデスのメイド、『ソリュシャン』が活躍します。娼館で奴隷として扱われていた少女をセバスが拾い滞在する屋敷へと連れ帰ります。その後ソリュシャンに彼女の介抱を任せますが、アニメではあえてボカしたシーンがありました。少女(ツアレ)がかかった梅毒や性病、骨折や切られた腱などの傷を癒やしたソリュシャンでしたが、この時ツアレに向かって三日月型の異業種らしい笑みを浮かべ意味深な台詞を言います。

「まずは食べてしまうとしますか」

セバスに“彼女を元の状態に戻すこと”を強調して確認したソリュシャンには狙いが有りました。それはツアレ自身も知らない“お腹にいる胎児を食らうこと”。ソリュシャンはモンスターですが人型なので、下手をすると倫理規定に触れる危険性と、いつ出来た子供なのか娼館であった出来事も連想してしまうのは想像に難くなく、人食が好きな異業種(ショゴス)の描写を察しのいい人と原作既読組が気づく程度にしていました。アニメ版では残酷描写や発言がソフトになっている事が多く、本来なら拷問や人間の使い道と成れの果てまで細かく描写する上、Web版では捕らえた人間を性奴隷として扱うことも当たり前なので、アニメは地上波用の「ダーク(50%)ファンタジー」として作られています。…ですが、これでも顔を歪ませている視聴者は多かったようです。

王都での守護者各員が集まった、報告の義務を怠ったセバスへの糾弾のシーン。これもわかりにくかったですね。アニメからの方はほとんど「?」だったかと。アインズをはじめ守護者各員が集う中、御方への忠義心を試すため、この場でツアレを殺せと言われるセバス。忠義に一点の曇りも無いセバスに選択肢は1つしか無く、自身が招いた最悪の結果に苦しみながら拳を振るいます。これはデミウルゴスが仕掛けたテストでナザリックへの忠義心を試すものでした。創造主である「たっち・みー」と「ウルベルト」の仲が悪かったことや「正義」と「悪」の両極であるセバスとデミウルゴスは反発しあう水と油の性格であることも関係していたようです。ツアレも死なずセバスへの疑いも晴れ、アインズがガルガンチュアを抱えナザリックに戻るシーンで、

「グレーター↓・・テレポーテ~↑ションッ!!」

普段と違うテンションで数人が訝しげな顔に…。実は裏切りの可能性があるセバスの前にナザリックの代表が顔を出すのは如何なものかと、影武者を立てています。影武者CV:宮野真守の能面の彼で、変身能力を持つパンドラズ・アクター。アインズに作られたドッペルゲンガーで〈変身能力〉のあるパンドラズ・アクターはアインズの影武者でもあります。その後、本物が転移してくるというシーンでした。

セバスと行動を共にしているソリュシャンはプレアデスの中でもかなり優秀で、アインズに報告を怠るセバスに心中かなり不満を持っており、彼女はそれでもセバスの言を守り我慢してギリギリまでアインズへ報告をしません。その上で、問題が起きると躊躇いなく裏切りの報告をする有能メイド。事が収束してからの小麦の買い付けで仕事を終え嬉しそうなソリュシャンの顔は密かに好きな部分だったりします。ドラマCDで先行してやったところがいくつかアニメ化したひとつで、出稼ぎに出ているモモンが必要な物が多く出費がかさんで仕方ないと愚痴ります。この資金不足は最終回のゲヘナ作戦において人間から金品を大量に奪い当面の解決に至ります。※ここから王国の人々が出てきますがデミウルゴスちゃんが語っているので人間側には触れません。(嘘です。Ⅲ期への伏線が多くあって、どこが使われるか使われないか不明のためネタバレ防止として触れられませんのであしからず。)

ついにエントマの本性がでました。この戦いは原作から楽しみにしていて、番外編の「ぷれぷれプレアデス」の1期のエンディングテーマ「L L L」をプレアデス達が歌う回(特別編)で少しだけ本性が漏れ出ていました。プレアデスで大きく活躍するのはソリュシャンとエントマですが、他のメイドたちも一期より活躍が多かったかもしれません。丸山くがね書きおろしドラマCDではプレアデスや守護者客員も大活躍なのですが、閑話休題の話ばかりなので大筋にはあまり出てきません。たまに見かける意見で日常系のような回をもっとやってくれという意見も多いようで、だからこそオマケとして存在するファンサービス「ぷれぷれプレアデス」なのでしょう。

最終話直前で姫の狂気を表す作画がイマイチだなと思っていたのですが、12話の最後に出た姫の表情は良かったです。この辺まで来ると特に人間側は3期+その後への伏線が多くなるので感想はやめにしておきます。{/netabare}

【:余談】
{netabare}
東映作品に関わっていた時の“作画は3000枚まで”の制限が役立ったと監督がインタビューで仰ってました。その記事では、「250カットを止められれば50カットをフルで動かすことで躍動感のあるアニメーションが作れるのではないか」という低予算での苦肉の策であり作品をより良い物にしようと思う熱意が語られていました。原作が面白くても、アニメでは全く別の神経をつかうでしょうからアニメが面白くなったのはスタッフ陣の力も大きいのでしょう。次回予告やネット限定配信など、自由度の高さと作品への愛情がよくわかります。オーバーロードに思うことは原作ファンに優しく、ターゲットを限定的な場所へと置いていると感じるところ。興味を持てば持つほど楽しくなっていく作品なので、作品のことを考えている時間が長ければ長いほど印象に残っていく感覚が過去に夢中になったアニメと重なるのだと思います。

前回と同じくラジオもやっていて、2期が決まった時も復活したラジオで初出しでした。情報源や裏話として大活躍しているコンテンツなので興味ある方は聞いてみて下さい。知っている方はOVERLORDにドップリはまっている人でしょうね。仲間です。

そんなラジオでデミウルゴス役の「加藤将之」さんがゲストで来た回はコラボしたメイド喫茶に日野さん含め男3人で行っていました。加藤将之さんはTwitterなどでも作品愛を語っていて原作も熟読しているので理解が深く嬉しい限り。この熱意はオーディオコメンタリーやⅢ期のラジオで再びゲストとして登場した回に聞けますし、もしかするとまた来てくださる気がしますね。間違いなくキャスト陣一番の〈OVERLORD知恵者〉加藤将之さんの話も聞ける「~ナザリック地下大墳墓 定例報告会~」をよろしくお願いします。

同時進行していた「ぷれぷれプレアデス2」も最後まで緩く、原作ファンが喜ぶ設定など入れ込んでいて大いに楽しんでいました。ネットで公開されていた次回予告のノーマルバージョンとスペシャルバージョンも、本編で活躍のあまり無いキャラクターが出演するなど嬉しいものでした。
{/netabare}
最終話:感想
{netabare}
最低の作戦、英雄と崇められる者が実は極悪人というマッチポンプはお見事です。流石のカルマ値【-500】【極悪】ヤルダバオト(デミウルゴス)。ここでは作戦名「ゲヘナ」において使われる魔像や作戦概要などを説明した後、王国側の戦力と適当に戦います。人類にとって強大な戦力かつ重要人物であるイビルアイは、アダマンタイト級冒険者チーム〈蒼の薔薇〉の一員で種族はヴァンパイア。彼女の知識は長寿の為にOVERLORDの根幹を暴いてしまうキャラクターらしく、書籍でも多くは語られていません。作中屈指の人気であり人気投票4位!アニメでも結構活躍しました。Ⅰ期Ⅱ期Ⅲ期と人気投票上位の特に目立ったサブヒロイン達がいて、Ⅰ期がクレマンティーヌ、Ⅱ期はイビルアイ、Ⅲ期は「―――」(お楽しみに~)

打ち合わせ通りの戦いが始まり、メイドのユリとシズが共闘しイビルアイと戦いますが、二人相手にも結構いい勝負をしするイビルアイ。エントマはイビルアイが使う殺虫スプレーのような魔法への相性が最悪だった為大きく不利な状況でしたが、肉弾戦を得意とし防御魔法も貫通させるユリと、銃火器での援護が出来るシズはイビルアイと相性が良い組み合わせでした。ナーベラル曰く、相性が良くても一対一だとユリとシズよりイビルアイが上まわる可能性が高いようです。激戦が繰り広げられる横では戦っているはずのメイド達とナーベラルが仲睦まじく歓談をしており微笑ましい。「人間の名前を記憶できる?」なんて話をしていました。彼女たちは姉妹として作られていて、全員同じ部屋で暮らす仲良し姉妹だそうです。英雄モモンとイビルアイが初めて対面する時、エントマを戦闘不能にしたイビルアイにナーベラルが怒りを隠しきれなかったのは“家族”を殺されたかもしれないと思ったからで、もしヤルダバオトが間に入らずイビルアイがエントマを殺していたなら、ナーベラルが飛び出す前にアインズがイビルアイを殺していたかもしれません。勿論状況把握や利用価値も考え短絡的にならないようにする可能性もありますが、アインズには自分たちが作り上げたNPCに対してそれほど愛情があり、NPCたちもそれぞれ絆の深い者がいます。ユグドラシル(ゲーム)運営が作ったNPCとは思い入れが違うのは理解できますし、ましてや体感型だった所から現実世界になった上、この世界で唯一の仲間(家族)たちなので、考えてみれば当たり前かもしれません。

ヤルダバオトとの戦闘時モモンが使ったのは魔法ではなく魔法力を持った槍と剣でサブウェポン。剣士状態(漆黒の英雄モモン)の時は魔法が使えないため、補助の属性攻撃として携帯しているアイテムでした。この時使った氷の剣“フロストペイン”はザリュースのものではなく、模倣した結果本家の性能を超えた自作物。ヤルダバオトが驚愕に慄いているのは演技ではなく本気でこの剣の存在を知らなかったようです。書籍ではもう少し戦うのですが尺の都合上コンパクトになっています。Ⅰ期の時にハムスケとの戦闘が劇場版で追加されることもあったので、もしまた期間が開いてⅣ期をやるなんてことになったら補完のために劇場版を作って欲しいですね。劇場行きます!!{/netabare}

これにて最悪最低のマッチポンプも終わり続章へと進んでいきます。
{/netabare}
そして――2018年7月から3期がスタート!!

今度はナザリック陣営も大活躍!!!


刮目して待て!!! わたし!(・∀・)←

投稿 : 2024/07/06
♥ : 39

TAMA さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

偉大なる御方に、忠誠を…。2期は守護者達の成長とマッチポンプ、そしてある種は傅き、ある種は野心を覗かせる…

物語には全て面白いと言う事は無いと思う。
この2期は次への準備、料理で例えると食材を集めて調理をしているって言う感じでしょうか。
この作品だけでも目を惹く物はありました。勿論1期を観てないと『?』となりますが。


原作(ラノベ・Web版)・未読。
マンガ・1〜10巻まで。
アニメ・全話視聴。(全13話・30分アニメ)


原作を見てる方から少し表現が足りない場所があると聞かされましたが、それでも楽しめました。
ま、私がこの作品が好きだからフィルターがかかってると思います。なので変な感想になるだろうなと最初に謝っておきます。


■…さぁ、統治の実験だ。と+α。(リザードマン編・♯1〜♯5)

NPCだったキャラが自らの思案を巡らせる…。
経験で戦術や戦略を得られる→成長の可能性→成長は変化→さて、絶対的な忠誠は…?

リザードマン編はコキュートスの変化がとても楽しめました。それどころか、リザードマン達の設定も良く出来ていて入りやすかったと思います。
よそ者を嫌い閉鎖的な社会で階級社会。部族間でも交流は盛んでは無い。
アニメを観た感じではザリュース(リザードマン)以外に農耕や畜産などの技術は無かった様に見受けられた。ザリュースのみ養殖の技術がある。
ザリュースは旅人なので『よそ者』に入る。なので周りの風当たりも強い。
簡単にここまでにしておきます。

いやー…色々と妄想を膨らませてくれました。
勿論ナザリックの為の行動もね。
コキュートスの武人としての心構え、戦うとなったリザードマン達の繋がり、需要があるのかな?リザードマンの☓☓☓、ある意味ご褒美のシャルティアさん!(笑)、と、これ以外にもありますがやはり根幹の設定が良いのかな?存分に陶酔する事ができました。

コキュートスの成長、失敗、機転の効いた判断などもうNPCでは無いと…。その後のコキュートスのアメとムチとは果たして…。そしてコキュートスはどう罪を払拭するのか…。
…普通に観ると主人公ポジションがリザードマンになる不思議(笑)


■…情報収集、のち奴隷と出逢う。その後王国にヤルダバオト降臨!…と言う名の…。(王国編・♯6〜♯13。♯6からOPに多少の変化あり)

セバス無双!むっちゃカッコええ!
こーゆー紳士に憧れる!
セバスフェーズ後、王国サイドに事件発生。

■…まず『セバスサイド』から。
「誰かが困っていたら助けるのは当たり前!」、セバスの『親』と言うか産み出した『たっち・みー』の言葉。愚かな行為と分かっていながらも助けてしまったセバス。親と同じその言葉、その行動に「呪いなのか」と苦悩する。
しかしこの行動がある出来事に巻き込まれる火種となり…
と、こんなとこでしょうか。

この作品は色は『黒』と表現するのが1番合うと思いますが、やはり表現出来ない部分とかあるのでしょうね。ソリュシャンの「食べてしまう…」の意味が分からない人も居たと思います。
『ツアレ』がどんな境遇でどんな酷い事をされたのか、そしてソリュシャンは第1期で人間をどうしたのか、そこら辺から考察すると分かりやすいかもしれません。

そして『ツアレ』のフルネームは…
1期に…

しかしソリュシャンはかなり分かりやすかったですがナザリックの住人は(モモンガ除く?)人間に対して嫌悪感を抱いてるのが多いですね。
だから余計にセバスは自身の行動に苦悩するのでしょう。奴隷以外にも助けたり教えたり…セバスはナザリックでは珍しく『弱者救済』を備えてる様に私は感じました。
セバスのこの行動がソリュシャンの「セバス様に…」の発言に繋がるのでしょう。

NPCでは考えられない行動を取ったセバス。(目立たない様に行動しろと命令されていた)
しかしアインズへの忠誠は確か。セバスは如何に自分の失敗を結果で示したのか…、41人に従う犬か、己の意志を正しいとする者か…さぁ、セバスはどうする?

…グレーターテレポーテーション♪!
ア、アインズ様?どうしたの?って最初は思いました。アレでは分からないよ(汗)
私も教えて貰ってあの行動の意味が分かりました。
アインズ様が作った…(以下略)


■…錯綜する智略・謀略。裏側で蠢くものは…。(王国編・王国サイド)

うわー…、いい顔するわぁ。ラナー王女様。
その顔は麗しき顔か…はたまた化物か…。

…六腕、ギャグか?お前ら。

そして『アルベド』の言葉の意味とは?


…『王国サイド』。
貴族達は派閥争いや帝国の進行の話や自分が得をする様な話ばかりの中、王国の裏側で暗躍する『八本指』。これを放置すれば王国が内部から崩壊すると危惧する『ラナー王女』。
ラナー王女にはチカラが無いが『蒼の薔薇』や『クライム』が協力し事にあたることに…
しかし、八本指以外にも厄介な出来事が発生!
さて、王国はどう動く?


これを初めて観た時、「ラナー王女って怖いな」ってのが第一印象です。確かにそーゆー『顔』をするけどあの『智略』がですね。
ラナー王女が見ている『もの』は一体何なのか、本当に『王国』の為?の考えなのか、今後開示されていくのでしょうね。楽しみで仕方ないです!

しかし『ラキュース』、「キャッ」じゃないよ。
中二患ってらっしゃるのか?と、もしくは至高の御方に作られた設定…なわきゃないか(笑)
最終話近くに『恋する少女』も出てくるなぁ。シリアス展開なのに若干笑わせて貰いました。

『ゲヘナ』部分はかなりのネタバレになるのでここでは書かないようにします。どう書いても私の語彙力では表現不足やかなりのネタバレを踏んでしまうので。

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2期で1番気になったキャラはやはり『ラナー王女』。最後までいい顔をなさる。

『ガゼフ』と『ブレイン』が名前で呼び合ったり、『ブレイン』があるキャラの爪を切ったとこも人間パートとしては良かった。

ストーリーはやはり『セバス』ですね。
王国編の時も良かったですがエピローグ部分も中々…フフッ。結婚退し…あ、ワン☆(ネタです)

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オススメするかどうかは私からは何も言えません。
好きな作品なのでちゃんと評価出来てるとは全く思ってないので。
ダークヒーローや1期が面白く続きが観たい方には良いと思います。ストーリーに好みがあると思いますが。

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この作品ってOP, ED曲も結構作り込んでますね。
OP曲は特にストーリーに関わるキャラが出現するので、原作をまだ見てない私はそこで色々と想像して楽しみました。
後は『歌詞』ですかね。両曲共『心情』を表してるのかな?と思いました。
OPは『アインズ様(モモンガ)』で、EDは『アルベド』かな?って。間違ってたらごめんなさい。

コミケでも感じたんですが海外の人(特にアメリカとかヨーロッパ系)は結構この作品を好きな方が多かったですね。
2期1話のED曲後の原作者『丸山くがね先生』の
お礼文も国内外に向けてでしたし海外人気の方が高いのかな?と感じました。

さて、締めもアニメ版のネタで…


『…喝采せよ!』

『…我が至高なるチカラ(3期)に』

『喝采せよ!!』

(2期13話終了後より拝借)

投稿 : 2024/07/06
♥ : 14

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

1期よりも面白い

デミウルゴス察しが良すぎて勝手に都合よく解釈してくれるのは相変わらず草
アルベドもやっぱり最高だ
モモンとしての活動量も増えてプレアデスのメンバーたちの活躍見られて最高です。

セバスが紳士的で非常にカッコイイなとしみじみ

2期のおかげで3期が非常に楽しみになったのであった

OP
GO CRY GO OxT
ED
HYDRA MYTH & ROID


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. 絶望の幕開け
突如異世界に転移して以来、アインズはナザリック地下大墳墓の主として、守護者たちの偉大なる支配者として振る舞う日々を送っていた。一方で、情報収集と資金獲得のため、冒険者モモンとしてエ・ランテルを拠点に活躍。ギガントバジリスクの討伐など、アダマンタイト級冒険者に相応しいとされる実績を積み重ねていく。そんな中、ナザリックへ帰還したアインズは、守護者を統括するアルベドと人間界で得た情報を含めた現状の報告会を執り行う。

2. 旅立ち
黒雲のモンスターに死を宣告された《緑爪(グリーン・クロー)》。彼我の戦力差は非常に大きいと理解しつつも、ザリュースの進言により戦うことを決意。こちらの戦力を見極めているであろう相手の計算を狂わせる為の策として、過去に壮絶な争いを繰り広げた他部族との同盟を提案する。シャースーリューから許可を得たザリュースは、無事に同盟関係を結んで帰ってくることを誓い、相棒のヒドラ・ロロロとともに《朱の瞳(レッド・アイ)》族の村へと向かう。

3. 集う、蜥蜴人
リザードマンの中で最も屈強な《竜牙(ドラゴン・タスク)》族。その族長ゼンベルは、同盟を求めるザリュースに対して一対一の戦いを求める。戦いに応じたザリュースは、なんとか勝利を収め、心強い味方を得る。そしてすぐにゼンベル、クルシュとともに“一番目の死の供物”に指定された《鋭い尻尾(レイザー・テイル)》族の村へ向かう。そこには、すでにシャースーリューをはじめ、各部族のリザードマンたちが集結していた。

4. 死の軍勢
勝利を収めたことに歓喜するリザードマンたち。敗退したことを深く悔いるコキュートスだが、アインズは敗退そのものを余り気に留めておらず、守護者が戦いから”学び”を得たことに喜ぶ。しかし、敗退した事実に対する罰は必要だとしてリザードマンの殲滅を命じるが、コキュートスの提案とデミウルゴスの助言により、将来的な他種族の統治を視野に入れ、その足掛かりとして支配を目的とした実験を行うべく、再びリザードマン達の元へ行軍を開始する。

5. 氷結の武神
決戦の夕刻、スケルトンの群れからコキュートスが姿を現す。その圧倒的な力を感じながらも、リザードマンたちは意を決して対峙。種の存続を賭けた戦いが開幕する。しかし、想像を絶する守護者の力の前に為す術なく倒されていくリザードマンたち。族長達が放つ渾身の攻撃も、コキュートスには傷一つ負わせることができず、次々に倒されていく。最後の力を振り絞り、シャースーリューとザリュースは一矢報いようとするが……。

6. 拾う者、拾われる者
リ・エスティーゼ王国の王都に滞在し、情報収集を行っているセバスとソリュシャン。ある日、スクロールを購入した帰りに街中を探索していたセバスは裏路地に入り込む。そこで、人目をはばかるように奇妙な布袋が捨てられるのを目にする。その中に詰められていたのは、痛々しい姿の女性だった。救いを求める声に応えたセバスは彼女を屋敷に連れ帰り、ソリュシャンに治療を命ずる。

7. 蒼の薔薇
まだ日も昇らない早朝。ロ・レンテ城内の訓練場でラナー王女付きの兵士・クライムは一人で鍛錬に励んでいた。剣の才能がないクライムだったが、忠誠を捧げる王女ラナーを守る力を得るため、ただ愚直に限界まで剣を振るう。そしてラナーは、親友であり《蒼の薔薇》のリーダー・ラキュースの協力を得て、王国を蝕む裏組織《八本指》に対策を講じようとしていた。

8. 少年の思い
ラナーに命じられ、ラキュースの伝言を届けるべく、《蒼の薔薇》のメンバー・ガガーランとイビルアイのもとへ向かったクライム。ガガーランたちからさまざまなアドバイスを受け、それを胸に刻み込む。その帰路でクライムは、大通りに人だかりができているのを見つける。人混みの先には、暴漢に囲まれたセバスの姿があった。助けに入ろうとするクライムだったが、セバスは一瞬で暴漢を倒してしまう。

9. 舞い上がる火の粉
ツアレを守るため、セバスは犯罪組織《八本指》が経営する娼館へ突入を決意する。協力を申し出たブレインとクライムは、セバスが正面から乗り込み敵を撹乱している間に裏口から侵入することに。裏口の近くで待機するクライムの前に、異変を察して隠し通路から逃げてきたコッコドールが現れる。その護衛は、凄腕が集められた《六腕》の一人“幻魔”のサキュロント。クライムは、彼らの逃亡を防ぐべくサキュロントと対峙する。

10. 王都動乱序章
ソリュシャンの報告を受け、アインズと守護者たちがセバスの屋敷に姿を現す。守護者たちが警戒して見守る中、セバスはツアレに関する報告を上げなかった責を問われる。さらに、ツアレがアインズの前に引き出された。アインズはセバスに対して寛容な態度を見せるが、失態を行動で償うよう告げる。死を悟ったツアレは覚悟を決めて目を閉じる。そしてセバスは--。

11. ヤルダバオト
アインズ・ウール・ゴウンに盾突く行動をした《八本指》を誅殺すべく、ナザリックの精鋭部隊が王都に集結した。指揮官のデミウルゴスの指示のもと、《八本指》の拠点を襲撃する。時を同じくして、ラナーたちも動きはじめていた。レエブン候やザナックの協力も受け、集められた冒険者や兵士たちを編成し、《八本指》の拠点を制圧しようとする。ブレインや冒険者たちとともにそのひとつに向かったクライムは、セバスと遭遇。再びセバスと共闘することに。

12. 動乱最終決戦
イビルアイとヤルダバオトが対峙する中、突如空から降り立ったモモン。イビルアイの求めに応じ、ヤルダバオトに剣を向ける。その圧倒的な強さにイビルアイは衝撃を受け……。一方、セバスたちが乗り込んだ《八本指》の拠点では、クライムたちがツアレを見つけて脱出しようとしていた。しかし、彼らの前に《八本指》警備部門の長であり、《六腕》最強の存在・ゼロが立ちはだかる。ゼロはブレインを強者と認め、一対一の戦いが始まるが……。

13. 最強最高の切り札
悪魔ヤルダバオトによる未曽有の危機。ラキュースや冒険者たちは、次々と現れる恐ろしい悪魔たちに奮戦し、クライムたちは悪魔に捕らわれているであろう人々を助けるべく炎の壁奥深くに潜入していた。そして、人々すべての希望を背負ったモモンが、ナーベとイビルアイを率いてヤルダバオトと対峙する! 激戦の中、建物の陰に移動するモモンとヤルダバオト。モモンは早速ヤルダバオト--デミウルゴスに計画の意図を問いただす。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 7

68.1 4 残酷でファンタジーなアニメランキング4位
うみねこのなく頃に(TVアニメ動画)

2009年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (995)
5161人が棚に入れました
時は、1986年10月4日。舞台となるは、大富豪の右代宮(うしろみや)家が領有する伊豆諸島の六軒島。年に一度の親族会議を行う為に、当家の親族達が集結しつつあった。一見和やかに、久しぶりの再会を楽しむ親族たち。

しかし、島で待っているのは「当主死亡後の財産分割問題」という、親族同士に暗雲を呼び込む議題。かつて当主が、島に隠れ住んでいるとされる魔女ベアトリーチェから、資金調達の担保の為に授けられたとされる10トンの金塊を巡って、長男の横領を疑う親族たち。それに対して、親族たちの困窮を見透かすかのように、反撃に出る長男。さらに余命の迫った当主は、自らの命だけでなく、親族郎党・資産のすべてを生贄として捧げ、最愛の魔女ベアトリーチェの復活を願っていた。

声優・キャラクター
小野大輔、井上麻里奈、堀江由衣、鈴村健一、釘宮理恵、小林ゆう、麦人、小杉十郎太、篠原恵美、伊藤美紀、広瀬正志、小山力也、田中敦子、小清水亜美、船木まひと、上別府仁資、羽鳥靖子、石住昭彦、佐藤利奈、遊佐浩二、茅原実里、大原さやか、田村ゆかり、緒乃冬華、井上喜久子、杉田智和、甲斐田ゆき、斉藤佑圭、米澤円、日笠陽子、吉田聖子、新名彩乃、山岡ゆり、豊崎愛生、喜多村英梨、水野マリコ、廣田詩夢
ネタバレ

★☆零華☆★ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

謎の解答がなかったです。謎の答えが解ると驚きます。

ひぐらしと違って、答え合わせがない作品です。

知らない人がこのレビュー読んだら、(答え合わせって何?)となると思うので説明しますと
ひぐらしとうみねこはミステリーホラー(サイコホラー要素も含む)なので
作中で描かれる謎を登場人物達と共に解いていくことになります。

そして基本的に最後に犯人だったり、謎だったりが解るように作られるのですが
うみねこは最後でも明確な解答を視聴者に教えません。

なので観ている方としては(結局どうなったか教えろよ!)と思うのではないでしょうか?


かく言う私もそうでした。
ですので、私がネットを駆使し調べ、引用した解答をここに書きますね。


{netabare}六軒島連続殺人事件とは、魔法とかではなくて、全て人間が起こして行った事件です。

事の起こりは戦時中、右代宮戦人(主人公)の右代宮金蔵(祖父)が、六軒島で初代ベアトリーチェと出会い、二人の間に娘(二代目ベアトリーチェ)が出来ます。
初代ベアトリーチェは、産後の肥立ちが悪く死亡します。

金蔵は、生まれた二代目ベアトリーチェを死んだ初代ベアトリーチェの生まれ変わりだと信じ
二代目ベアトリーチェとの間にも子供を作ってしまいます。
これが安田紗代(三代目ベアトリーチェ【通称ヤス】)です。
二代目ベアトリーチェは、海岸で崖から落ちて死亡してしまいます。

ヤスは多重人格者で、紗音、ベアトリーチェなど複数の人格を持っています。
嘉音も、ヤスの人格の呼び名の一つです。

※これが【アニメを見ている私達視聴者には複数の人間に見えても、実際には一人の人間】
という叙述トリックになっており
一見人間に不可能に見える連続殺人を成立させています。

そして【ベアトリーチェ】という名称で登場する人物が、実際には三人います。

※これは【アニメを見ている私達視聴者には一人の人間に見えても、実際には複数の人間】
という叙述トリックになっており
一見人間に不可能に見える時系列などを読み解く鍵になっています。

※また、人格をカウントする際には、沙音、嘉音などはそれぞれ『1』にカウントされ
ベアトリーチェは魔女であるためにカウントされません。
物語の中で人数が出てくる場合に【人間の肉体の数】をカウントしているのか
【人格の数】をカウントしているのかが伏せられており
これも一見不条理に見える数字を読み解く鍵になっています。

ヤスは、金蔵が近親相姦の過ちを繰り返さない為に
出生の秘密を隠して右代宮家に使用人として連れてこられ育ちます。
金蔵は、86年の六軒島連続殺人のかなり前に死んでいますが
死ぬ前に碑文の謎を解いたヤスに右代宮家当主の地位や財産を相続しています。

ヤスは紗音の人格で、戦人に恋をします。
戦人はヤスに『白馬に乗って迎えに来る』という約束をしますが
翌年から家庭の事情で親族会議に来れなくなります。

紗音人格のヤスは、戦人がいつまでも迎えに来ない事に傷つき
戦人への恋心を自分の別の人格(ベアトリーチェ人格)に預け
別の恋を探します。

ヤスの紗音人格は、譲治と新しい恋をし、交際を進めます。

しかし、86年に数年ぶりに戦人が親族会議に帰って再会した為に
ヤスの中の2つの人格が、紗音は譲治に、ベアトリーチェは戦人に
別々に恋をしている状態になります。

ヤスは自身の恋に決着をつけるべく
①戦人と結ばれる。
②譲治と結ばれる。
③または誰とも結ばれない。
の三つの結果の可能性がある事件を起こそうとしますが、未遂に終わります。

なぜ未遂になったかというと、ヤスが事件を計画した前日に
戦人の両親ルドルフと霧江が、右代宮家の資産を我がものにせんと
他の親族を次々に殺し始めたからです。
譲治も殺されてしまいます。
ルドルフと霧江は、絵羽に返り討ちに会い死にます。

ヤスは戦人と逃亡しますが、ヤスは自分の恋に決着がつけられなかった事に絶望し
海に飛び込み自殺をしてしまいます。

結局事件の後には、戦人と絵羽の二人だけが生き残りました。

戦人はヤスを助けようとした際に、溺れて記憶と人格を失ってしまいます。
しかしその後、徐々に断片的な事件の記憶を取り戻し、『偽書』を書きます。

この偽書というのは、六軒島連続殺人事件をフィクションとして虚実をない交ぜて【戦人が書いた小説】であり

【私達視聴者が見ているうみねこの各エピソードは、この「戦人が書いた『偽書』という小説」である】

という事が真相であり、解答です。{/netabare}


この様に作中で答え合わせをしていたのなら、うみねこのなく頃にの評価も大分違ったと思います。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 19

ARENO さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

答えの明かされない推理小説

◇◆◇要素◇◆◇
嵐の孤島×洋館×そして誰もいなくなった×連続殺人事件×魔女×推理バトル×相当なグロ描写+まさかのモザイク描写


概要です!

有名作品「ひぐらしのなく頃に」の作者が贈る、最強のミステリ(ゲームが原作)
名作「そして誰もいなくなった」を根本に展開される殺人事件が
魔女によるものか、それとも人間の起こした事件であるのかを
証明していくというもの。
作者曰く、「同じ舞台を何回も巻きもどして繰り返していく、それらを重ねて見る事で一本のシナリオでは見えないものが見えてくる」という“多層世界的”なストーリーです!
最初に言っておきますと、ひぐらし視聴済みな方ならお分かりのとおり
残酷な描写、いわゆるグロシーンが大量に出てきます。
連続殺人が起きるたびに、目を覆いたくなるような惨状が描かれているので
免疫のない方は少々きつめかも。
まあ、あんまりにもなシーンにはモザイクかかってますが…
(モザイクを濫用するアニメも珍しいですね…汗)

ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・・-・-・

その大量グロシーンに目を瞑っても納得できる面白さがあると私は
思います。一時期、ものすごくハマっていました!
正直、原作及び小説ファンな私としては、
アニメではなかなか満足いかないところも多いのですが…


何より、話が難しく何度か見直したくなるので、ちょっとアニメに
不向きだったかもです。
それ以前に、あんな残酷シーンは何度も観れたものではありません泣



先に書いた要素だけを見ると、ありがちなストーリーだとお思いに
なるかもしれませんが。
問題はストーリーではなく、物語の作り方及び、いち視聴者としての
この作品への向き合い方、というものでしょうか。


まず、物語中で起こる不可解な殺人事件。しかし、それがどう考えても
人間には不可能な事件であったとしたら。しかし、魔女の存在など
あるわけがない。人間の仕業としてきちんと説明がつく。
ならば、それはどのように説明できるのか。

ざっとこんな内容です。本来なら、作中の名探偵がこれを鮮やかに
解き明かし、一件落着となります。
でも、それじゃあくまで私たちは視聴者でしかないですよね。
ところがこの作品では、あらゆる考え方、ヒントは出ているのに
答えだけは明かされてないんです。


つまり、私たちが自分で考えた人だけがその真相にたどり着く
ことができるということ。(たどり着けなければ終わりですがww)


ちなみに、難易度はかなりのものです。
私も、友人と一緒に放課後を使って謎解きに挑みました。

結果、碑文一つ解けなかった…悔しい泣

このように、よくある推理小説に飽きてしまった方にはすごく
お薦めであります(*^_^*)


ちなみにですが、いままで推理な面だけを大きく取り上げて
きたのですが、もちろんきちんとしたお話が成り立っています。
特に、キャラクター一人一人にちゃんとしたストーリーが
あるんですね。

誰がどのキャラにどんな思いを抱いているか、など。

でもこれって、推理小説にとって大事な要素の一つです。
「動機」を考える上で重要な。
もちろん、うみねこでもこれは求められます。
だからますます、面倒くさい…ww

そうそう、実を言うとキャストって結構豪華でした。
主人公役・小野大輔そのほか、井上麻里奈、堀江由衣、釘宮理恵、小林ゆう
、鈴村健一、大原さやか、遊佐浩二、田村ゆかり、小清水亜美

うわー、書ききれない…でもそれだけ、本当にキャラの数が多いんです。


最後に…
志方あきこさんの歌うOP「片翼の鳥」は、独特の雰囲気によくあっていて、
一発で好きになりました。「うみねこのなく頃に」(曲名)も
お薦めなので、是非聴いてみることをお勧めします!

ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・・-・-・

以上のように皆さんも、魔女の挑戦状たる謎に挑んでみてはいかがでしょうか。

あ、グロ描写が苦手な方は、本当にお気を付けください。
食事時および就寝直前は控えることをおすすめします。


それでは、長々と失礼しました。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 21
ネタバレ

やぎゃあ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

視聴前に本作の事情を知っておいた方が良い

2021年現在からすると、約12年前のアニメですね(私が視聴したのもその時期です)。現在放送中の「ひぐらし業/卒」の視聴を機に、竜騎士07氏原作つながりで うみねこ熱が再燃したので、当時を思い出しながら情報を書いていくことにします。

本作は事情を知らずに視聴すると、大半の方は憤りを感じたまま終わると思います。

それもそのはずで、「アニメのうみねこ」は未完のまま続編が制作されていません。アニメはEp.4で終わってしまいますが、実際はEp.8まであります(詳しい事情はわかりませんが、当時あまり評判が良くなかったのでまぁ・・・)。

アニメうみねこを アニメひぐらしで例えるなら、ひぐらし(解)が来ないまま ひぐらし(無印)だけで終わってしまったようなものです。

Ep.5以降も各Epごとに「魔女とのゲーム(対戦)」は続きますが、一応Ep.1〜4がいわゆる出題編、Ep.5〜8までが解答編にあたります。厳密にいうと、第5,6はヒントのためのゲームが続き、第7,8のゲームでこの世界の「核心」に迫ります。

また、聞いた話では原作のPCゲームもやや説明不足だったそうで、ストーリーの賛否が分かれたそうですが、マンガ版はいろんな情報を補完して良い状態で仕上がっているそうです。

なので、アニメうみねこは『この物語・この世界観の味見』のつもりで観ると良いと思います。

で、興味を持ったらマンガを読むか、ゲームをプレイして最後までストーリーを追ってみてください。コンシューマーゲームとしてもPS3,4,PSP,switchにて移植リメイクされているので、そちらであれば完全版?のストーリーを楽しめるはずです、たぶん(もしかしたらマンガ以上に情報が補完されていたり、追加エピソードがあるかもしれません)。

ちなみに私は原作は未プレイの、アニメ&マンガから同時に入った口で、完全版?ストーリーに関しては大大大満足しています。

少しだけ言っておくと、『これはファンタジーなのか ミステリーなのか』という命題の真相や、戦人(バトラ)および視聴者が最も混乱したであろう・・・ {netabare}魔法の演出、魔女や悪魔や家具の存在、黄金の蝶や碑文の謎{/netabare} などにどんな意味があったのかも、本当なら続編ですべて語られるはずでした(続編があればですが)。

また、「ファンタジーか ミステリーか」という命題はあくまで出題編における命題であって、解答編ではもっと「別の大事なこと」を伝えようと物語が展開します。ヒントは {netabare}小此木社長が縁寿に送ったアドバイス{/netabare} に関係があります。私はむしろ解答編で描かれるテーマの方が好きです。

アニメで興味を持った方は ぜひ最後までストーリーを追ってみてください。出題編に興味を持ったのなら、最後まで追って後悔はしないと思います。

ちなみに、魔法の描写をどう解釈したら良いかわからずに悶々とし、そこだけどうしても知りたいという方にヒントを残して終わります。

{netabare}あなたがこの物語をファンタジーだと疑っているなら、ありのままを受け入れれば良いです。あるいはミステリーだと疑っているなら、魔法が遂行されている「過程」を無視すれば良いです。

「事件の目撃者」がいないのなら、どちらの言い分も通ります。

大事なのは「事件の結果」を見て、あなたが魔法とトリックのどちらを信じて読み進めるかです。{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 2

73.6 5 残酷でファンタジーなアニメランキング5位
獣の奏者エリン(TVアニメ動画)

2009年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (568)
3639人が棚に入れました
獣ノ医術師である母とともに、闘蛇衆たちの村で暮らす少女・エリン。彼女の母ソヨンはその優れた医術の腕を買われ闘蛇のなかでも特に強い<牙>の世話を任せられていた。ある日、村で飼っていた全ての<牙>が突然死んでしまい、母はその責任を問われ処刑されることとなった。エリンは母を助けようと必死に奔走するも失敗、母と引き離され天涯孤独の身の上となってしまう。その後、蜂飼いのジョウンに助け出されたエリンは彼と共に暮らすうち、山奥で天空を翔る野生の王獣と出会う。その姿に魅せられたエリンは母と同じく獣ノ医術師になることを決意し、ジョウンの昔なじみでもあるエサルが教導師長を務めるカザルム王獣保護場の学舎へと入舎する。

声優・キャラクター
星井七瀬、平田絵里子、内田直哉、藤原啓治、柳原哲也、鈴村健一、谷育子、高橋美佳子、石田彰、楠大典、花輪英司、川本成
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ナウシカ互換、王蟲ならぬ王獣と心を通じ合う少女の物語

本作の原作者・上橋菜穂子氏は、『風の谷のナウシカ』のファンなのだそうで、本作の

①科学的・物質的文明がさほど発展していない、どことなく中世的・牧歌的な作品世界、
②古くからの因習に頑迷にとらわれながらも基本的には善良な市井の人々と、権勢欲や名誉欲にとらわれて争いを起こしがちな政治的・軍事的指導者たち、
③そうした人々の{netabare}蒙昧を次々と啓(ひら)いていく、一見か弱そうだけれども誰にも負けない強い信念を心に宿した{/netabare}一人の少女、
④そして、{netabare}その牧歌的な世界の均衡が人々の妄動によって破られようとする寸前、誰にも懐かず恐怖の対象だった巨大生物と意を通わせたその少女が、ただ一人で世界を救ってしまう展開、{/netabare}

・・・という世界観と筋立ては、やはり同作のオマージュといってよいものと個人的には思えました(※多分、ファン層も重なっているのでは?)。

ただ、『ナウシカ』の方は2時間弱の劇場版作品で、サクっと見れたのに比較して、本作の場合は、全50話(※約20時間)という長丁場で、かつ、下記のように展開がかなり緩慢ということもあって、決して面白くない作品ではないのですが、私の個人評点は ☆ 3.8 と、いまいち高くなりませんでした(※因みに、『ナウシカ』は 未レビューですが ★ 4.0 です)。


◆パート別評価

【1】 {netabare}母ソヨンとのアケ村の日々{/netabare}(エリン10歳まで) ※第1~7話(計7話) ★ 4.0
【2】 {netabare}蜂飼いジョウンとの日々{/netabare}(エリン14歳まで) ※第8~14話(計7話) ☆ 3.5
【3】 {netabare}カザルグ王獣学舎の日々{/netabare}(エリン18歳まで) ※第15~30話(計16話) ☆ 3.6
【4】 {netabare}リョサ神王国の波乱とその結末{/netabare}(エリン18歳以降) ※第31~50話(計20話) ★ 4.0
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  総合        ☆ 3.8 (全50話)

・・・このように、

<1> 【1】序盤と【4】終盤は、それぞれ《分かり易いドラマ》があって、まずまず楽しめたのですが、
<2> 【2】+【3】という長めの中盤(併せて23話)の展開が非常に緩慢で、個人的には退屈な感じを否めず、視聴には難儀してしまいました。

といっても、この【2】+【3】に全然見どころがなかった訳では決してなくて、むしろ《分かり易くないドラマ》つまり《ヒロインの心理的成長》という《内面のドラマ》が、淡々としたテンポで念入りに描かれていて、制作者の意図としては、このやや長丁場を通過することで、視聴者の側にヒロイン(エリン)への愛着をせっせと刷り込んでいって、それを【4】のドラマチック展開での感動へと繋ぎたかったのだと推測するのですが、それがどうも残念ながら、私の好きな種類の刷り込み内容ではなかったようです。

もう少し詳しく書くと、この中盤で描出される《ヒロインの内面的ドラマ》については、

 <1> 彼女と{netabare}王獣リラン{/netabare}との間に次第に感情が通い合っていく過程の描写としては過不足ないものであったとしても、
 <2> 彼女と{netabare}級友や年長者たち{/netabare}との間に友情や信頼関係が育っていく過程の描写 としては何となく違和感ないし抵抗感のあるもののように、私は見えたのでした。

この違和感・抵抗感について、以下さらに分析します。


◆人々の“蒙(もう)を啓(ひら)く”少女への好感度は?

本作全体を見終わっての印象として、このヒロイン(エリン)は、{netabare}のちに「お父さん」とまで慕うことになるジョウンおじさんや、エサル教導師長を始めとする王獣保護所学舎の教導師たち、さらに4年間の学舎生活のうちに友情を深め合ったはずの級友たち、の誰の話も、実際には聞き入れず、肝心な所では常にブレずに不自然なまでに自分の思うところ{/netabare}を真っすぐに貫きとおして、最終的には周囲のひとたち全てに「自分の正しさ」を認めさせる結果に至る、まさに、

人々の“蒙(もう)を啓(ひら)く”少女である。

--------------------------- デジタル大辞泉 --------------------
けい‐もう【啓×蒙】

[名](スル)《「啓」はひらく、「蒙」はくらいの意》
人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くこと。「大衆を啓蒙する」「啓蒙書」
--------------------------------------------------------------

・・・ということで、上記のとおり原作者・上橋菜穂子氏がファンだという『風の谷のナウシカ』を始めとする宮崎駿監督作品のヒロインたちにもこれは言えることと思いますが、その確固とした姿勢から、姿格好は如何に少女っぽく描かれていても、その内面が余り少女らしくない、何だか“説教じみた”“独善的で”“ドグマチック(教条的)な”存在のように見えてしまう点が、本作から受ける違和感・抵抗感の正体ではないでしょうか。

よくファンタジー世界などに転生した少年が無双の活躍をみせる作品のことを「俺TUEEE!」系といって揶揄する方がいますが、本作の構造も、ある意味で「私SUGEEE!」系と言えなくもないような・・・。

・・・というより、「俺TUEEE!」系は、これはこれでエンタメ作品として十分に需要があり「見るとスカっとして気分が良くなる」というプラスの効用があると思いますが、この手の「私SUGEEE!」系(※というジャンルが仮にあるとして)は、エンタメ目的というよりは明らかに「啓蒙」目的(※まだ何も知らない人に《私が正しいと思うこと》を教え込む、という些か独善的な目的)というか「下心」を秘匿した作品にも見えるので、その点をどう評価すべきか?(あるいは、そういう問題意識自体に気づいていない人が多いのか?)

私個人としては、同じNHK製作・放送アニメであれば、本作とよく似た中世的・牧歌的な作品世界を持ち本作よりしばらく前に放送された『ツバサ・クロニクル』(2005-6年)の方が、

<1> ヒロイン(サクラ姫)の心模様や振る舞いのナチュラルさに非常に好感が持てたうえに、
<2> 作品全体としても、変な「啓蒙」意図など微塵も感じず純粋にエンタメ作品として楽しめたので、

・・・本作よりもずっと好印象をもっているのですが、私と同じく両作を視聴してみた方がいるとしたら、その方々の感想も是非一度聴いてみたいところです。


◆視聴メモ
{netabare}
・第1-5話視聴終了時点
ここまで、原作小説にはないオリジナル・エピソード。
・第13話視聴終了時点
野生の王獣をエリンが初めて目撃する回だけど、コレ詰まんなくね?そろそろ視聴し続けるのが辛くなってきたんだが。
主人公兼ヒロイン(エリン)が好奇心旺盛過ぎて、後先考えずにどんどん無謀な行動を起こして周囲を巻き込んでしまう展開は、『メイド・イン・アビス』にちょっと似てるかも?
・第32話視聴終了時点
前後の繋がりもなく大昔のオファロン王国の悲劇的事件のエピソードと見せられても・・・シナリオ稚拙ではないか?
・第33話視聴終了時点
これまでもそういう描写が多かったけど、ヌック&モック二人組がとことん間抜けで能無しに描かれている点が不愉快。
どうやら本作の脚本家は、主人公(兼ヒロイン)や彼女の周りのマトモな人たちと、それ以外のただのギャグ要員たちを完全に峻別しているらしく、それが主人公の独善的な性格と表裏一体の関係である気がする。
・第50(最終)話視聴終了時点
終盤は少しだけ盛り上がったけど、全体として50話でこれだけではシナリオとしては随分と薄味だったとしか言えないと思う。
もっとも、中盤の長丁場でヒロイン(エリン)に愛着を持った人は、この終盤のだいたい予想できた展開(ほぼナウシカ?)でも十分以上に感動できたし満足も出来たのだろうけれども。{/netabare}


◆制作情報
{netabare}
原作小説        上橋菜穂子(講談社刊『獣の奏者』 I 闘蛇編、II 王獣編(2006年11月刊))
監督           浜名孝行
シリーズ構成      藤咲淳一
脚本           藤咲淳一、ハラダサヤカ、後藤みどり、坂井史世、吉田玲子、谷村大四郎、布施木一喜、吉村清子
キャラクターデザイン 後藤隆幸
音楽           坂本昌之
アニメーション制作   Production I.G、トランス・アーツ{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回
*付きは原作小説にないオリジナル・エピソード

=================== 獣の奏者エリン (2009年1-12月) =================

----------- 【1】 {netabare}母ソヨンとのアケ村の日々{/netabare}(エリン10歳まで) ----------

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ OP「雫」、ED「After the rain」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
{netabare}
*第1話* 緑の目のエリン ☆ 大公領アケ村の棟梁の孫娘エリン(10歳)、逃げだした闘蛇の赤子ルル捜し
*第2話* 医術師のソヨン ☆ 武人タイロンの闘蛇治療、エリンの母ソヨン(碧眼の霧の民)
*第3話* 闘う獣 ☆ 真王ハルミヤの甥ダミヤ&大公オラン来村、闘蛇教練の波乱、ルルの耳膜切り(闘蛇に)
*第4話* 霧の中の秘密 ☆ 村娘サジュの姉ソジュの発病、霧の民の村へ、巡回者との遭遇、ソジュ回復・他村へ嫁入り
*第5話* エリンと卵泥棒 ★ 闘蛇の卵狩りの一幕(なかなか見つからない卵、野生の闘蛇の産卵、エリンの卵狩り反対)
第6話 ソヨンのぬくもり ★ 闘蛇の弔い笛(牙の死)、戒めを守る一族(アォー・ロゥ)、母の託し物、監察官の母拘引
第7話 母の指笛 ★ 闘蛇の裁き(ラゴウの沼への投げ込み、野生の闘蛇の群れ、奏者の技、母との決別){/netabare}

----------- 【2】 {netabare}蜂飼いジョウンとの日々{/netabare}(エリン14歳まで) ------------
{netabare}
第8話 蜂飼いのジョウン ☆ 霧の民ナソンの目撃報告、エリンの救助者、エリン回復
第9話 ハチミツとエリン ☆ 生き物の動きによく気づくエリン、エリンとジュオンの取引成立
第10話 夜明けの鳥 ☆ 王族護衛士(セザン)・神速のイアルvs.仮面の男、竪琴の贈り物(イアルより)
第11話 とびらの中に ☆ 好奇心旺盛なエリン、ジョウンの秘蔵本、ムック&モックの腹痛
第12話 白銀の羽 ☆ 夏の山へ、リョザ神王国王女セィミヤ、カショ山の王獣(巨大な羽根、飛行する姿)
第13話 王獣の谷 ☆ チゴの根取り(ジョウン)、野宿、野生の王獣のヒナと王獣
第14話 霧の民 ☆ ※ナソン(ソヨンの元許嫁)視点の第1-13話のダイジェスト{/netabare}

----------- 【3】 {netabare}カザルグ王獣学舎の日々{/netabare}(エリン18歳まで) -----------
{netabare}
第15話 ふたりの過去 ★ 4年後、アサン来宅(父ジョウンの王都の高等学舎復帰の説得)、元教導師長トウサナ・ジョウンの過去、エリンの本当にやりたい事、カザルグの王獣医術師エサル
第16話 堅き盾(セ・ザン)のイアル ☆ 王都へ(エリン14歳)、王国護衛士イアルの過去回想と現状
第17話 狙われた真王 ☆ 真王ハルミヤ60歳の誕生日祝典、大公長男シュナンの王国変革をの訴え(セィミヤ王女)、ダミヤの贈り物(幼獣リラン)、サイガムルの真王襲撃失敗(イアル負傷) ※演出がチープ×
第18話 教導師エサル ☆ ガザルム王獣保護所試験合格、ルームメイト(ユーヤン)、ジョウンからの巣立ち
第19話 カザルムの仲間 ☆ 同級生たちとの交流
第20話 リランという名の王獣 ☆ 人に飼われた王獣への哀れみ、幼獣リランの世話志願、世話掛かり交代(トムラからエリンへ)
第21話 消えそうな光 ☆ 懸命の幼獣介護(王獣規範、光と竪琴) ※獣医さん向けアニメ?
第22話 竪琴の響き ☆ 負傷したイアルの介抱、真王派と大公派の対立、リラン回復
第23話 カザルムの誓い ☆ エサルの懸念(王獣規範への違反、エリンが政治的に利用されてしまう惧れ)、エリン&リランの秘密を守る誓い
第24話 嘆きの歌 ☆ 辺境の大公軍と「牙の民」の長期抗争、シュガン&ヌガン兄弟の誓いと行き違い
*第25話* ふたりのおつかい × ヌック&モック二人組コメディ回 ※本編と無関係のため見なくてよい回
第26話 リランの心 ★ 学舎の夏休み(試験勉強、ユーヤンの恋話、リランとの交流深化)
*第27話* ヒカラにおちて ☆ 不思議な夢(母との会話、ジョウンとの再会、エリンの迷いの作り出した霧)
第28話 ジョウンの死 ☆ ジョウン死亡通知、エサル教導師長の過去話
第29話 獣の牙 ☆ エリン大怪我、リランとの真の通じ合いの願い
第30話 四年目の冬 ☆ ※エサル教導師長視点の第18-29話のダイジェスト、ED「きっと伝えて」{/netabare}

----------- 【4】 {netabare}リョサ神王国の波乱とその結末{/netabare}(エリン18歳以降) ---------

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ OP「雫」(*別ver.)、ED「きっと伝えて」 ~~~~~~~~~~~~~~
{netabare}
第31話 光の空 ☆ 学舎最上級生エリン(18歳)、教導師キリク(仮面の男)赴任、リラン飛翔
第32話 大罪 ★ エリンの編み出した「奏者の技」、巡回者ナソンの語る大罪(闘蛇を操った霧の民の祖先、オファロン王の逃亡、アフォンノアの谷の祭司ジェ、王獣暴走、オファロン王国滅亡、戒めの起源) ※作品世界の重要設定が明かされる注目回だが、説明の切り出し方がいかにも唐突でイマイチ△
*第33話* 飛翔 ☆ リランの飛翔訓練、キリクの語る王祖ジェの物語
*第34話* イアルとエリン ☆ チチモドキを盛られた成獣、イアンとの不意の再会(解毒剤運び)、成獣回復
第35話 あたらしい命 ☆ 怪我した野生の成獣エク、エサル教導師長の過去話、リランとエクの交合
第36話 卒舎ノ試し ☆ リラン懐胎、真王への報告、学舎卒業(エリン首席、ユーヤン&級友たちとの別れ)
*第37話* 誕生 ☆ エリンの教導師着任、唯一の新入り女学生シロン、リラン出産(アル) ※産卵ではなくて出産→鳥類ではなかったの?
第38話 真王ハルミヤ ★ 真王のカザルム行幸、竪琴と王獣規範違反発覚、真王の意外な発言
第39話 闘蛇の襲撃 ★ 御座船への闘蛇隊襲撃、エリン自身の意思によるリラン出撃、リラン暴走、王祖ジェの再来 
第40話 かげりゆく国 ★ 真王意識不明、ダミヤ手当、印のない闘蛇、エリンのイアン手当とイアンの打ち明け、エリンの打ち明け
第41話 真王の真実 ★ 真王回復・エリン晩餐招待、エリンの王都行き拒絶、王祖ジェと王国300年の秘密打ち明け、王国騒乱の謀略進行、真王急逝
第42話 セィミヤの涙 ★ セィミヤ登極、ダミヤ策動、シュナン拝謁・求婚
第43話 獣ノ医術師 ★ 王都からの召喚命令、リラン再暴走・初めての音無笛、キリクの迷い、失われた左手の三本指、王都へ
第44話 アクン・メ・チャイ ★ 王獣部隊設立の依頼(ダミヤ)、エリンの拒絶の方便(「本来あり得ない血の交わりから生まれた子」しか王獣を操れない)、ダミヤの卑劣な条件提示と微かな希望
第45話 かごの鳥 ☆ キリクの過去、ダミヤのイアル呼出し、イアルvs.キリク、キリクの思いとどまり
第46話 ふたりの絆 ☆ エリンのイアル介抱、二人の接近
第47話 清らかな夜 ☆ ナソンのエリン引き留め拒否、エリンのエィミヤ直訴
第48話 リョザの夜明け ☆ 降臨の野(タハイ・アゼ)の真王軍・大公軍対峙
第49話 決戦 ☆ セィミアの選択(青旗)、ヌガン軍の不意討ち(大公死亡、シュナン絶体絶命)、エリンの決断(リラン飛翔)
第50話 獣の奏者 ★ ヌガン軍壊滅・シュナン救助・エリン負傷、リランのエリン救出、ダミヤ斬死、後日譚(セィミア&シュナン婚儀、王国安定、エリン&イアンの息子ジェシー){/netabare} 
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)14、☆(並回)35、×(疑問回)1 ※個人評価 ☆ 3.8

投稿 : 2024/07/06
♥ : 17

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

エリンの芯の強さと優しさ…人のぬくもりが感じられる物語で何度も目頭が熱くなりました。

この作品の原作は未読です。機動戦艦ナデシコを視聴した後、感動できる作品が視聴したいと思い、あにこれで探していた時にこの作品と出会いました。
「1位 もっと評価されるべき:212人」「3位 泣ける:95人」「4位 NHKの本気:87人」
これだけ成分タグで評価されているならきっと面白い…と思い視聴に踏み切りました。

この物語の主人公は少女エリン…エリンは母と二人で闘蛇衆の村で暮らしていました。
闘蛇は巨大なトカゲの様な姿をしており、馬代わりとして人が操舵しながら戦場で活躍する獣です。

エリンの母ソヨンは獣の医術師でしたが、特に技術に秀でていたので闘蛇の中でも大公家から預かっている牙と呼ばれる獣の世話を一任されていました。

相手は獣…決して人には慣れる事の無い生き物なのですが、力では全く歯が立たない闘蛇を意のままに操らなければ、戦場での活躍はおろか食事や寝床の掃除など日常の世話も満足にできません。

人は獣を服従させるのに…音無し笛という道具を用いるのです。この笛が発する音色は人間には聞こえないのですが、獣を硬直させ自由を奪う事の出来る人にとって唯一無二の道具でした。
そう…人間は音無し笛を使って獣を恐怖で縛り付けて服従させていたのです。
その他にも人が獣を飼うために様々な掟が定められていました。

こうして一旦人に飼われた獣は野生の獣の路線からどんどん外れていってしまうのです。
ですが、掟を破れば大罪…人も獣もがんじがらめになっていたのです。

好奇心旺盛なエリンは、時間を作ってはソヨンの世話の手伝いをするようになります。
年端もいかないエリンは、母親と一緒に居られることの嬉しさと自分もソヨンの様な立派な獣の医術師になる事を夢見て、一生懸命母を手伝い吸収しようとします。
こんな慎ましく…でも新しい発見の毎日がずっと続いていくのだと思っていました。

そんな矢先、大公様より預かった牙が全滅してしまう…という大事件が起こってしまいました。
そしてその責任の矛先は…世話係りだったソヨンに向くことになるのです。
縄で縛られ、連行される母親を見てじっとしていられるエリンではありません。

父を早くに亡くして母と二人暮らし…お互いたった一人の家族なんです。
大切…なんていう言葉なんかでは決してくくれない関係…
だってどっちが欠けても一人ぼっちになってしまうのだから…

頼れる人がいない…
住む家がない…
明日食べるモノがない・・・
エリン達にとっての一人ぼっちはこんなにも残酷な宣告を受けたのと同じなんです。

日の出を目前に控えた闘蛇の群れの住む池…
日の出と共に活動を開始する闘蛇の最初の行動は空腹を満たす事…
何の躊躇も無く池に飛び込んだエリンの目の前には母ソヨンの姿が…
ここから暫くは画面に釘付けでした…
親の役割と子の努め…決して涙無しでは見れないシーンであると共に、決して忘れられない出来事が繰り広げられ…物語が大きく動いていきます。

この物語はエリンの成長を綴っていますが、エリンに手を差し伸べる人たちの優しさが心に染み入る作品です。

蜂飼いのジョウン…最初にエリンが聡明である事に気付き色んな学問を教えてくれました。
教えたことを貪欲に吸収するエリン…きっとジョウンにとっても教え甲斐のある子供だったのでは無いでしょうか。

この頃です…ここには大公領の闘蛇と同じ立ち位置にいる王獣の存在を知ったのは…
もともと獣の医術師を夢見ていたんです…王獣と聞いて気にならない訳がありません。
こうしてエリンはカザルム王獣保護場に身を移す事となり、これが彼女の人生の大きな転機になるのです。

エリンをカザルムで優しく出迎えてくれたのは教導師長のエサル…
エサルもまた、エリンの才覚を見抜いた一人でもありました。

エリンには確かに獣の世話をする才覚があったのだと思います。
でもそれは彼女を構成するほんの一部分にしかすぎません。
私なら間違いなく途中で白旗を掲げている…どんな時でも彼女は全力投球を止めないんです。
「猛獣一直線」と物語の中でクラスメイトに言われていましたが、正にその表現が一番しっくりくると思います。

エリンが常に背水の陣であった事は否めませんが、ある時傷付いた王獣リランが運び込まれ、世話係りに大抜擢される頃からそんな事はとっくに忘却の彼方…
エリンの全力が決して人には懐かない王獣の目にはどの様に映るのか…
エリンの受けた決して消えない痛みの先に何が待っているのか…
気になる方は是非本編をご覧ください。
全50話の中で人同士…或いは人と獣の繋がりがとても丁寧に描かれています。
「NHKの本気」の成分タグ…決して伊達ではありませんでした。

原作は、「I 闘蛇編」「II 王獣編」「III 探求編」「IV 完結編」の全4巻で構成されていますが、アニメでは「I 闘蛇編」「II 王獣編」が描かれています。
もともとは王獣編のラストが究極だったのでそのまま完結する予定でしたが、周囲から続編を望む声が多数寄せられたため「III 探求編」「IV 完結編」が刊行されたとの事です(wikiより)。
…この様にwikiに記載されている通り、王獣編は友愛と慈しみに溢れたラストが視聴者を待っていてくれます。

それと、この作品…主題歌も心に染み入る曲がチョイスされていました。
特にお気に入りだったのが、オープニングテーマでスキマスイッチさんの「雫」と、挿入歌でcossamiさんの「青い星」の2曲です。
この2曲が流れる度、涙腺が熱くなったといっても過言ではありません。

お気に入りの棚行決定作品がまた一つ増えました^^

投稿 : 2024/07/06
♥ : 20
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ならではの大作。。稀有な宿命を背負った少女のNHK大河ファンタジー。

NHK教育テレビ放送開始50周年記念番組。2009年放送。全50話。
原作はファンタジー小説『獣の奏者』(けもののそうじゃ)。

原作者でありアニメーション監修を務めた上橋菜穂子さんは発表記者会見で「21世紀のハイジを目指した」と発言したとか。

なるほど、スキマスイッチの主題歌『雫』で始まる世界には大河ドラマのような大作の雰囲気があります。
そしてEDは日常感ある落ち着いた曲で、世界観に浸ったまま枕につくことができそうな心地よい曲。

ざっくりいうとNHKらしい。。
そして優しい母と娘の情愛がいい。
絵も、粗さはあるけど優しい雰囲気。
曲や挿入歌も優しい。

エリンは応援したくなる。
一人の少女の成長をじっくり観られるアニメはそうそうない。
そういう意味では確かにハイジを目指したという言葉はうなずける。

~{netabare}
エリンのcvは・・星井七瀬さん?
歌手、女優業がメインで声優をやったのはこの作品だけのようです。
幼女から成長するヒロインとして、声が合っていたと思うし好感が持てました。
後半でのシリアスな演技は慣れた声優さんとはまた違った雰囲気が出てました。。それが良かったかどうかは人によって好みが分かれそうですが^^;

気になった回だけちょっとかいつまむと。。

第7話
 エリンの母親ソヨンの処刑回。
 言うまでもなくとんでもなく酷く非道な
 話ですが、この物語の中核でありその後の
 展開の起因となる出来事であることを
 考えると、ある程度の残酷さも致し方ない
 ところでしょうか。
 ただ、エリンは助けに行ったのに
 闘蛇に乗ったまま逃げるのは、
 ちょっと違和感。
 ソヨンによって闘蛇に結び付けられた
 とか、エリンが降りられなかった理由付
 が欲しかった。。

 闘蛇が大量死した原因も描かれず、
 喉に魚の骨が引っかかったように
 スッキリしない。

最終話
 シュナンをリランに乗せる必然性が
 あったのか、ちょっと理解に苦しみ
 ました。
 シュナンの部下がエリンを敵と誤解した
 だけだからシュナンが部下にやめろと
 いえばいいだけ、では?
 そう行動させた制作の意図が不可解でした。

 おかげでエリンが矢で射抜かれ。。
 事なきを得たからいいものの、
 「そんなバッドエンドはやめてくれ!」
 と心で叫んでしまいましたw
 (冷静に考えれば、ヒロインが死んで
  終わりなんてNHKでそれはない
  ですねw)

 あと、ちょっと細かいけどエリンに
 刺さった矢がいつ抜けたのか。。
 リランにくわえられた姿勢では
 矢がささったままは不自然かとw

 そして最後のエリンの息子とのシーン、
 傍らにイアルを佇ませてくれたら・・
 そして幼なじみサジュとの再会も描いて
 くれたら・・
 もう少しスッキリし、満足度も上がったかと。。

 ラストは個人的にはエリンの満面の笑みで
 締めて欲しかった。
 山リンゴもいいけど。。
{/netabare}~

全50話で、その長さに二の足を踏んでいましたが、
観始めると続きが気になり、
長く続くことがむしろ嬉しく感じました。
半分を過ぎると、終わりに向かっていいくことに
むしろ少し寂しさを感じました。

いわゆる、どこかの世界のいつかのファンタジー物語。「うたわれるもの」に世界観が近いような気がしました。

観て良かったと思います。

 (2020年9月Huluにて初視聴)

投稿 : 2024/07/06
♥ : 7

78.8 6 残酷でファンタジーなアニメランキング6位
キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (752)
3296人が棚に入れました
主人公の人間キノと言葉を話す二輪車エルメスは、目的もなく、世界をあちこち旅している。世界のあちこちには個性豊かな国があり、人々は自分たちなりの法や常識をもって暮らしていて、キノとエルメスはそんな国々を訪れ、基本的に3日間だけ滞在し、また次の国へと旅立っていくのだ。そんなキノとエルメスの旅の話は、時に優しく、時に哀しく、時に滑稽で、時に胸に突き刺さる。そして、珠玉の物語たちは、一言では言い表せない鮮烈な光景を読者に見せてくれるのだ。“美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい"世界を。

声優・キャラクター
悠木碧、斉藤壮馬、梅原裕一郎、松田健一郎、佐倉綾音、Lynn、興津和幸
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

思考実験の国を巡る、ならず者の旅、キノの旅、シズの旅

ライトノベル「キノの旅」のアニメ化作品。原作は時雨沢恵一さん。映像化は2003年のテレビシリーズ、短編映画2作を経て、今回で4作目。

本作「キノの旅 -the Beautiful World-」で主役を務めるのは、前作に引き続き、キノとエルメス、一人と一台のコンビの他に、前シリーズのコロセウム回で登場したシズと陸{netabare}とティーを加えた2人と一匹のトリオ、(通称)師匠と相棒、フォトとソウの4組。{/netabare}

一貫してキノの旅のみを描いていた旧作と比較すると、今回は"キノの旅"が全体の約2/3を占め、そこに別の旅人達のお話が変則的に差し挟まれる構成。そのためロードムービーの色は薄くなり(元々それ程強くは無かったけど)オムニバスないしは短編集といった、原作により近い体裁を取っているという印象を受けます。

全12話中3話が旧作のリメイク、それ以外の9話の内4話+がキノ以外を主人公に据えたお話になっています。以下にサブタイのリストを載せときます。(リメイクはサブタイの頭に"Re:"付記)
{netabare}
第1話 人を殺すことができる国(キノ)
第2話 Re:コロシアム(キノ)
第3話 迷惑な国(キノ)
第4話 船の国(シズ)
第5話 嘘つき達の国(キノ)
第6話 雲の中で(フォト)
第7話 歴史のある国(師匠)
第8話 電波の国(シズ)
第9話 いろいろな国(キノ、シズ)
第10話 Re:優しい国(キノ)
第11話 Re:大人の国(キノ)
第12話 羊たちの草原 (キノ)
{/netabare}
リメイクは「コロシアム」「優しい国」「大人の国」の3本。キノの旅の起点であるエピソードの「大人の国」は、新作から見始めた人たちの為にどうしても除けないとしても、残念ながら他2つについては再構築の意義があまり感じられませんでした。アンケート結果に従って再アニメ化が決定されたそうなので仕方ない気はしますケド…。

各話についてのあれこれ
{netabare}
リメイクに対する不満を挙げればあれこれありますが、取り分け残念だったのが2話「コロシアム」。こちらは元々活劇描写の多いお話なのですが、それだけに作画面の劣化がひどく目立ちました。旧作と比べてキャラが全然動きません。また、前後編の2話に渡って描いたお話を無理矢理1話にまとめているので、これも物語の質を下げる原因になりました。時間的な余裕が無いので、キノ、シズ以外の人物-王、コロシアム参加者、門番(被支配者層)-の心理描写が丸ごと端折られており、台詞に重みが乗らず、結果、淡白かつ殺伐とした印象だけが残る薄味なお話になってしまいました。

6話は狂気に近い利他的精神を持った奴隷フォトが人間性を取り戻していくお話。主人公が特異な風習を持つ国を訪れるという毎度のパターンからは外れるものの、フォトを旅人とし、それ以外の登場人物を訪れた国の住人と見なすと、本質的には似た形式の話と捉える事が出来ます。自由をぎこちなく受け入れていくフォトの姿が、「大人の国」の女の子の姿と重なりました。今回のテレビシリーズでは最も印象に残るお話でした。

劇中に登場した毒草は多分トリカブト。ここで描かれた様に、開花前の状態では(葉の形状が酷似している為)ニリンソウやサンリンソウとの見分けが難しく、その致死性のある神経毒と共に、とても危険な事で有名です。トリカブトの花の特徴は名の由来となったとされる鳥兜に似た形状。山中等でなくとも(わたしは見た事無いけど)公園とか、その辺の道端とかにも群生している事があるそうなので、特に小さなお子様をおもちの方はくれぐれもご注意あれ。野草好きのわたしでも大事を取ってニリンソウにはあまり手を出さない様にしています。

7話は"師匠"とその相棒のお話。人伝に聞いた話という体裁をとっているので、他のお話と比べて明らかに話が出来過ぎていて、より寓話的、もとい精細さに欠ける与太話っぽいテイストではありますが(笑)ならず者ストーリーテラーの語るお話として相応しい雰囲気が出ていたと思います。

昔話というのは大抵そんなものですが、わたしは特にミュンヒハウゼン男爵の「ほら吹き男爵の冒険」をモチーフにして作られた映画、テリー・ギリアム監督の「バロン」を思い出しました。つまり、真実など、どこ吹く風、世の言い伝えは全てまゆつば、それならば、人は真実よりも自分の気に入った嘘を信じるという(笑)なかなか皮肉の効いたお話になっているのでした。

8話「電波の国」も7話と同じく、やはり真実よりも都合の良い嘘を選ぶお話。4話の「船の国」も似たテーマを扱っていますが、ひとたび流布した(ほら)話や長年続いた悪習は、払拭したり撤廃したりする事が非常に困難であるという事を寓話的に描いたお話になっています。~という言い伝え、~は常識、~は安心安全(汗)など、多数派がその様に唱えれば、その情報の内容がいくら不条理なものであっても、人は容易に騙されてしまうという事を示唆しています。

現代においては、マスコミによる情報操作、都市伝説、(インターネット)プロパガンダ等がその類と言う事が出来ますが、ここで描かれるのは"※国"という狭い社会の中でのお話。

家族、学校、職場、サークル、宗教団体等の様に、閉鎖された社会の中では、嘘が是正される機会が少なく、その中での"常識"は偏りの激しいものになりがちです。本作で度々描かれる、内輪の常識が外の世界では(その逆もまた然り)通じない、延いては丸っきりのお笑い種だなんて、悪夢みたいな冗談みたいな光景、皆さんの周りには無いでしょうか? わたしは良く目にします。そう言えば、このあにこれも一種の内輪でしたね(笑)

※:本作では都市国家の様な小国家をただ単に国と呼ぶ。

9話「いろいろな国」は小説で言う所のショートショートを幾つか集めた回。コメディ色の強い小話が殆どですが、その中の一つ「徳を積む国」のみは皮肉の効いたいつものテイスト。かつて殺人を望んだ男が、その願いを叶える為に善行を積み続けた結果、善人そのものの様になってしまったと言うお話。ウソでもホントでも、行動が精神に、精神が行動にと、フィードバックを繰り返す内に、両者の境が曖昧になり、それが本質になってしまうという事はままあるもの。模倣という行為の本質を掠めた、微笑ましくなる様な、怖ろしくなる様な、若干嫌~な後味を残すお話でした。(褒め言葉)

10、11話はリメイク。「コロシアム」程がっかりする事は無かったものの、やはり私的には旧作の描きの方が心動かされるものがありました。「優しい国」ではキノが感情を顕にする貴重なシーンが省かれてしまっていた点がとても、「大人の国」では(一代目)キノのキャラデザが刷新されていた点がちょっとだけ残念でした。別にイケメンにしなくても良かったのに(汗)

最終12話は全話中最悪の印象を残す回となりました。理由は以下に。

一つ目。クルマで撥ねられた羊がゴムまりの様に飛ぶシーン。描写を誤魔化す事で殺戮行為をコメディにしてしまっている点が非常に不快でした。キノの残虐行為にワンクッション置く意図が明白で、却って見苦しい表現になっていたと思います。救うにせよ奪うにせよ、命を軽々しく扱う(作中人物ではなく制作者が)描写はわたしは嫌いです。旧作2話にはキノが狩ったウサギの皮を剥ぐ前に脱帽し、一礼するシーンがありますが、こちらとの演出の違いに大きな差がある様に思いました。

二つ目。設定上では品種改良によって異常なまでに闘争心を高められたという事になっている羊たちが、なぜ内輪もめもせず、群れを作り、十年もの間、平和に暮らしていたのかという点が疑問でした。闘技場の様な狭い場所に押し込められていた時分にはあった、過度なストレスから開放されたからと解釈すれば良い気もしますが、それならば元々同族同士で争う様に改良された羊なのに、人間にのみ襲い掛かるのは何故?という別の疑問が生まれます。

羊たちの行動原理の根底にあるのが"人間への恨み"としてしまえば、ファンタジー的にはそれで結構ですが、そうすると品種改良云々という科学的な話とどこか噛み合いません。両者を都合よく合成した作り話という印象を受けました。

踏まえると作中後半にある「何故闘う?」というキノの問いは、羊たちに向けられた言葉ではなく、争うにたる合理的な理由も無いままに争いを続ける現人類(視聴者)に向けられた、作者の代弁とも取れる問い掛け(第四の壁を越えたメタ的な)だったと解釈出来るのではないでしょうか? この台詞に辻褄合わせする形で物語が組まれたのかと思うとかな~り興醒めしてしまいました(汗)

最後。エピローグのシーンについて、上とはまた別の意味で取って付けた様な印象があり、蛇足に感じました。元々数冊の本からの抜粋で全体が作られているアニメなので、特にエンドマークに相当するエピソードを入れる必要は無かったのではないかと思います。3期への布石とも取れますが、内容は取り留めの無いものだったし…。
{/netabare}
キャラについて、キノのアウトロー的な面、奔放な性格はそのままに、外見的描写はあからさまに女性寄りになり、旧作にはあった中性的な雰囲気が弱くなりました。コートを着用しないシーンが不自然なほど多くなり、体のラインをこれ見よがしに目立たせている風にさえ見えます。作中9話でもちらっと触れられていた様に、性別を隠す事は道中の無用なトラブルを避け、延いては自己防衛の有効な手段ともなり得るので、それを敢えてしないキノが何だか旅人として間抜けに見えてしまいました(汗)物語と演出の間の矛盾を感じます。

また、キャラデザ全般についても大きな変化があり、旧作とは異なり、よりラノベ的な、端正な顔立ちのキャラが多くなり、それぞれの個性が薄くなった印象を受けました。シズ、師匠、相棒あたりなんかは特に顕著で、理想的な顔立ちを追求すると、皆同じ顔立ちになってしまうと言わんばかりにそっくりさんで無個性でした。髪型と服装以外の外見的特徴で個々が区別が出来る様にして欲しかったです。「世界は美しい、ゆえに美しい」ではなく、「世界は美しくない、ゆえに美しい」が本作のキャッチコピーでもありますので(笑)

総評として、旧作と比べて全体的に雰囲気が明るく、キャラデザも今風、アニメが時代を映す鏡として機能している事を如実に表す作風の変化を感じました。命のやり取りなど殺伐としたシーンが度々描かれる作品なので、この変化は手放しでは受け入れ難いものがありました。構成の不備が第2話「コロシアム」と第12話「羊たちの草原」にあった事も残念です。

心待ちにしていた再アニメ化だったので、期待度が大き過ぎてがっかりしてしまう箇所もいくつかありましたが、なんだかんだで前期では取り分け楽しみなアニメの一つになっていました。原作ストックが山の様にあるので、次回のアニメ化に際してはリメイクエピソードを除外して、もう少し雰囲気暗めに作って欲しい(笑)というのが一視聴者としての願いです。

いつかまた始まる旅人の物語に期待を込めて!

投稿 : 2024/07/06
♥ : 52
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

流れの革命家ごっこ

2話までの感想
{netabare}あっれー?こんな作品だったっけ?
あっれーーー?
ま、まだ2話だしね、今後の挽回に期待。{/netabare}

3話までの感想
{netabare}↑の感想ではあんまりなので2話の感想から。
敵を倒して──イヤな奴をやっつけて気分爽快って内容な場合、相手のやろうとしてたことを挫(くじ)くのが最も爽快であり、じゃあ相手のやろうとしてたこと(=意思)が見えないのであればそれは物足りないこととなる。
将棋…でなくてもでも勝負事でよく言われるのは「相手の最も嫌がる手を打つ」であり、じゃあ何を最も嫌がるのかってのは相手の意思を読まなければ(エンタメだったら見えてこなければ)ならない。
これといった理由を書かずとも納得させることができる「一番嫌がること」は死ぬことで、ぶっ殺せばそれで爽快ってのはある意味正解ではあるけど、それだけではやっぱり手抜き感を覚えてしまう。
そんなんだったら敵はモンスターにでもしとけばよく、人間である必要性が無い。
要は主人公側の意思だけでなく、それぞれの立場のそれぞれの意思(それが正しいかどうかは関係ない)が描かれてなければ面白いとは思えない。

で、2話の王様って、単に気が触れてただけちゃうん?
保身のために国民を蔑(ないがし)ろにしてたなら「保身=死にたくない←嫌がること」としてぶっ殺してザマァとなるが、ただ狂ってた奴を殺したのであれば「楽にしてやった」だけにしか感じない。
別に国のためを思ってああいう制度を入れたワケでもなさそうだし、国が滅んだとしてもやっぱりザマァにはならない。
むしろ国を思ってた者にとってはトンだ迷惑であり、そしてそういう立場のキャラが登場しないことに違和感。
王子がそうなんじゃないのかよと思うのだが、王子も王子で国はもう諦めてるみたいだし…。
教条染みた内容であるが「○○党は出来が悪いから××党に“試しに”政権執らせてみよう」ってことをして手痛い目に遭った経験を知る者なら「トップを挿げ替えれば良くなる」という発想には至らないでしょう。
あの事件が起きる前ならまだアリだったのかも知れないが、今となってはどうしても時代遅れのような…。
これはもう作者も「あの頃は若かったな」と苦笑いしてそうな予感…いやどんな人となりか知らんけどさ(※)。

そして3話は…ああ、うん、まぁアレか。
政治的な話はあんましたくないのだけど、領土の概念がハッキリしてないのでテーマとしてイマイチのような。
それこそ移動する国は摩擦を起こしたくないのであれば自分とこの領土を決めてその中でグルグル回ってれば良いだけ。
城壁を築いて通せんぼも、某島の実行支配を揶揄ってるように思えるが、先にも書いた通り領土の概念、領有権が不明なのでナンともかんとも。
こういうのって当事者同士でどうこうだけでなく第三国にどう映るか(バックに何が着いてるか)ってのが問題で…999だったら星系レベルで離れてるから気にならないけど、キノの場合は…ねぇ。


1話から通して謎なのは、国であることの必要条件、城壁外の統治・治安、城壁は無尽蔵に広げていっていいの?等。
恐らくリアルでは海なところを森にして比喩ってるんだと思うけど、それにしたって実際には領海があるし、何処の領海でもないのなら好きにしていい(海洋投棄など)ってことでもなかろう。
「城壁の外はどの国の支配下にもしてはいけない」って取り決めでもあるんかな?その場合も結局は国際合意の元でしか無いワケだが…。
例えば城壁の外で金脈見付かって、その鉱脈の所有権巡っての争いとか…今後そういう話来るのかな?
他の国との経済交流など必要なく自給自足で各国が独立して存在できるとしたら、どれだけ身勝手に振舞えるだろうか?というシミュなんかね?



今の時代に軍のコンピューターが「地球ノ環境ノタメニハ人類ハ不要ダ」とかいって暴走する話なんかやったら「古っ」ってなると思うんだ。
科学万能説も、あるいは科学万能説に警鐘を鳴らす作品も、今となっては古臭いと思うのだが…。
だからといって昔そういう作品が多く作られたのはくだらないってワケではなく、キノについても似たようなもので…別に作者批判ではないのだが、人によってはそう見えちゃう?{/netabare}

4話感想
もうどこから突っ込んでいいやら分からない。
下書き書いたらめっちゃ長文になってしまって誰も読まない予感。
次回以降どうにかうまくまとめて書ければいいのだが…。

8話までの感想
{netabare}真面目に書いたらすごく長くなってしまって誰も読まなさそうだし、簡単に。

5話、ああ、木枯し紋次郎のディスりね。
7話、安田講堂かあさま山荘の映像見て思い付いたのかな、連合赤軍大勝利で機動隊が大惨敗ねぇ…。
8話、ラマルク主義批判か…まぁそれはいい。
ただ、シズは真実をいきなり市民に明かすのではなく、国のトップにだけ明かし、どう報道するかはお任せしますって行動は思いつけないのか。
この「間違ってないから正しい」と、必要な過程を何段も飛ばす行為は船の国でやらかしたのと一緒、まるで成長してない。

作劇に於いて、他の作品や出来事を見て「オレだったらこうする」って書くのはよくあることだと思うが、だからといってテーゼまで描き切れないのであればアンチテーゼじゃなくてアンチでしょ、ってのは何かの感想で書いた気がするが、キノは正にそれを感じる。
「あてつけがましい」って言葉が一番シックリ来るかな。
こうなってくるとマグリットもディスってるんじゃないかとさえ思えてくる。
他にも色々言いたいことはあるけど、それは最後まで見てから(書かないかもしれないし、気が変わるかも知れない){/netabare}

断念{netabare}
8話で断念。
いつか見るだろう見るだろうとずっと「今観てる」状態のままでしたが「途中で断念した」にします。

↑でも書いた通りグチグチと小姑みたいな小言は長々とあるのですが、それは割愛するとして、その一方でゲゲゲの鬼太郎第六期が始まりまして。
それを見て「ああこれだ」と思ったのでこちらの〆の感想を書くに思い至った次第(あんまり他作品と比較するのは良くないんだけどさ)。

鬼太郎の方を先に書くと4話、妖怪の森へ少年が迷い込み、持ち出し禁止の木の実を持ち出して森の主が激怒するって話でして。
オチは木の実を返して謝罪して「どの世界にも侵してはならぬ掟がある」と説教されてエンドですが、自分の価値観的にはこっちでして。
これがキノだと山の主をスタイリッシュに銃殺して、エルメスが「木の実は本来タネを遠くに運ばせるもので、森の外へ持ち出したっていいのにね」と知ったような口聞くんかなぁ、と思ったり。
つまりはその世界の歴史文化風習を踏みにじるのがカッコイイと思ってるみたいで、自分にはどうにもダメでした。
「それぞれの国はバカにしやすいようにバカな風習しか書けない」ってのが透けて見えるけど、例えそうだったとしてもそれが歴史としてそうなってるのならそうならざるを得ない沿革があったんでしょう、と自分は思ってしまうので。
女人禁制の土俵に女性議員登らせてニヤニヤしてた政党もあるくらいなので、そういうのを支持する人も居るってのは分かるけど、ちょっとねぇ。

まぁなにより何話だったか町の英雄の遺品をディスったこと、元々“誰かが整備した道路”が無ければ役立たず、その程度でしかないバイク如きがその“誰か”に感謝することなく常に上から目線なこと。
住所不定無職が地に足ついて生活してるカタギに知った口聞くのがどうにも耐えられませんでした。
(木枯し紋次郎はカタギの人が道を歩いてたら自分は端っこを歩くと仰ってますぜよ)
よく銀河鉄道999に例えられるけど、あれは「あんなトンでもない路線を敷ける鉄道会社が発行した切符を持ってる」ってのが身分保障になってるワケで、それすらないキノは賊と同じなワケで…。{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 10
ネタバレ

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

世界の静けさ。人の、醜さと脆さと強さ。第1級のファンタジーとしての雰囲気、名作に成りそうな風格が漂う、制作陣の本気がそのまま直球で伝わってくる作品で、

世界は美しくなんかない。
そしてそれ故に、美しい。
というキャッチコピーそのままの物語が展開して行きそうで、
一話にしてすでに、名作の予感さえただよっています!

前作未視聴、原作未読、前知識なし、で視聴に及んで、
これは素晴らしいファンタジーだ。と、視聴後はしばし、
その空気感にたゆたってしまいました。

もちろん、ファンタジーといっても、
ドラゴンが空を舞っている訳でもなく、
エルフやドワーフが出て来る訳でも、
魔法が飛び交う訳でもないけど、
まさに寓意に満ちた、ホントの意味での優れた「ファンタジー」で、
一発でその秀逸な世界観に心をもっていかれたのです。


鑑賞しながら思い起こしていたのは、「星の王子さま」のことでした。

ご存知の通り、王子さまは、作中で寓意に満ちた話を、
遭難した飛行士である「私」に話してくれますが、
星から落ちてきたって話も、さまざまな寓話も、
すべて王子さまが話して聞かせたことだけで、
ただの「脳内ファンタジー」なのかも知れません。
そして、砂漠で二人きりの時間を過ごす間、
なんのファンタジックな出来事も起きません。

でも「星の王子さま」は、まごうことなき最上質のファンタジーで。

キノの旅は、凄く、それに似た匂いがしたのです。



相棒のオートバイがしゃべるってことを除けば、
アニメとしての、いわゆるファンタジー要素は何もない。
機械がしゃべるってことだって、
それで自律起動したり勝手に走りまわったりすることもなく、
ただキノとお話しできるだけ。
これだって一人旅の寂しさ故の脳内会話だったってことにしてしまえば、
全ては現実世界と何も変わらない。



でも実際に、この一話だけで、一級のファンタジーとして成立している。

それは、おそらくは、物語の世界のあり方が、
そこだけが私たちのいびつな現実世界と違って
少しだけ違う方向に歪んでいること。
そしておそらくは、それぞれの都市国家が、
独自の文化をもち、独特の風習に倣って存立していること。

キノ自身は定住する場所をもたない旅人であること。

その前提条件があって、その上で、人と人が係わりあうことが、
凄くデリケートな出来事として存在すること。
そういった、人の在り方と、人に対する視線が、
ファンタジーとして見事に結晶していることが、この物語の魅力な訳です。
生き残る術として、夜ごと銃の訓練を怠らず、
寝るときには銃を握って胸に抱いて眠る。
そういう世界に生きていて、なお、都市から都市へ、
流れ続けて生きていく。
この少年の生き様は、それだけで寓意に充ち満ちた、
美しくなんかないからこそ、美しい。
そんな魅力的な話として心に刺さったのです。


第2話視聴。
第1話に比べると、先が読めてしまう展開ではあったんだが、
驚いたのが{netabare}キノが女の子だったってこと。これ、前知識ゼロの私だけで、どうやら周知のことではあるみたいなんですけど。でもこの、明かし方も、犬のリク君にエルメスが「スケベ犬!」と怒鳴って、そのあとリク君がシズに耳もとで囁いて、シズの呼びかけ方が、「キノ君」から「キノさん」に変わってってところまで気づけませんでした。その前に、キノがシズの、同行しようという提案に対して「知らない男に付いていっちゃいけないって言われてるんで」って発言で気づかなきゃいけないところなんですけどね。{/netabare}
そして、世界は美しくなんかない、と、キノが珍しく抑えられない程に怒っていたのが、{netabare}本来なら自暴自棄になっていてもおかしくない状況で、夫を喪ったばかりの、美人で、うら若き未亡人に、にこやかな笑顔で騙されて「コロシアムの国」を訪れていたこと。そういう目に会っていたからこそ、コロシアムの国を目指すときのキノが妙に弾けて道を急ぎ過ぎていて、その反動で、未亡人の所業にやり切れない憤懣を抑えられず、怒りを国王に、ひいては国王とともに堕落していった国民皆に向けていたことに、納得がいきます。{/netabare}


第11話視聴。
{netabare}これまでは、淡々と、様々な国が描かれ、その国と係るキノ、ときにはシズのエピソードが綴られてきて、
悪くはないんだけど、なんか作品世界としては広がりがなくて物足りないかな、なんて思い始めてきたところで、
この11話。

キノの誕生秘話が明かされました。
「滑稽な悲劇」とでもいうべき様々な国の成り立ち方を傍観して、ときに加担してきたキノたちにとって、
自分の出自に関する、悲劇的な現実が提示され、
世界の醜さ、残酷さが、冷厳に提示されます。
世界と係る当事者である以上、滑稽に映る国についても、
キノには悲劇なのだと、思い知らされます。
タメが長かったけど、やはり凄味がひと味違う作品だと痛感しました。{/netabare}

最終話視聴。
{netabare}ラストを締めくくるにふさわしい、素晴らしいエピソードだった。
世界の残酷さとともに、
自然や生物の残酷さも、無辜の人々の善意の残酷さも、
主人公キノの残酷さも、すべてを余すことなく描き切ってくれた、
という満足感とともに、
あらためて、世界が、美しくないからこそ愛おしいのだと、
そう感じられる話だった。
途中中だるみかとも思えるエピソードもあったが、
ローファンタジーなりのリアリティを追求したからこそ、
こういうはなしになったのだ、と、
十分に満足のいく仕上がりだった。{/netabare}
「10月クールTVアニメ 早めの折り返しBEST10」1位→https://www.anikore.jp/anime_rankings/view/46297/

↓「最速!2017秋アニメBEST10」にランクイン↓
https://www.anikore.jp/anime_rankings/view/46224/

投稿 : 2024/07/06
♥ : 48

65.7 7 残酷でファンタジーなアニメランキング7位
棺姫のチャイカ AVENGING BATTLE(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (605)
3225人が棚に入れました
航天要塞ソアラでの戦いから1ヶ月後、亡き父・禁断皇帝の遺体を求め、チャイカ、そしてトールとアカリ、フレドリカの一行は旅を続けていた。
次なる遺体の所持者は、皇帝を討伐した八英雄のひとり、クローディア・ダッジ。
彼女は優秀な魔法師(ルビ:ウィザード)であったが、いまや広大な葡萄園とワイナリーを経営する女主人となっていた。遺体をかけて勝負を挑むチャイカだったが、その圧倒的な実力差に、なすすべもなく完敗。
「完璧なる敗北…」落ち込むチャイカに、クローディアから意外な提案が……!?

声優・キャラクター
安済知佳、間島淳司、原優子、斎藤千和、佐藤健輔、野水伊織、幸田夢波、森嶋秀太、山本和臣、藏合紗恵子、勝沼紀義、ブリドカットセーラ恵美、金尾哲夫、大空直美、村瀬歩、櫻井孝宏
ネタバレ

あしすと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

アニメ視聴者のことを第一に考えたとても良い作品だと思います

原作未読です。

このレビューは「棺姫のチャイカ」の1期2期を総合した感想です。



タイトルの通り、とても「良い作品」だと思います。

ラノベ原作という制限の中で、分割2クールというメリットを最大限に活かしてアニオリ展開を交えながら、ストーリー展開で視聴者を置いてけぼりにすることなく完結まで描き切った作品。


やっぱりアニメを制作する上で、最初から完結させるつもりがない作品を世に送り出すというのは、アニメ好きライト層に親切ではないと思います。

伏線をばら撒きまくって最終回ラストに思わせぶりなシーンを入れたりしているのに、「続きが気になるなら原作で」「円盤が売れれば2期もあるかもね」というのには好感が持てません。

もちろん原作有アニメのビジネスモデルとして、そういう売り方が主流になっているだろうことは分かっていますが、
それにしたって最終回ラストに思わせぶりなシーンを入れるくらいなら、アニオリENDにして続編がなくてもモヤモヤしない締め方をするくらいの誠意を見せてほしいというのが個人的な感覚です。


※ちなみに、完結しないのが嫌なら原作無しのオリジナル作品を見ればいいという話にもなりそうですが、私はラノベ・青年漫画原作のB級バトルファンタジーが好きなんだからしょうがないんです(笑)

オリジナルアニメって、ほとんど全てが「何か爪痕を残そう」という感じの意欲作ばかりで、良くも悪くもB級感がないのが個人的にあまり好きではないんですよね(笑)

もちろんそういうオリジナル作品も見ますが、あくまでも自分が最も好きなジャンルはB級感溢れるバトルファンタジーラブコメかギャグラブコメなものでw




そんな中での、この「棺姫のチャイカ」
ラノベ原作で完結したアニメ作品なんてほとんどない昨今、しっかりと完結させた作品です。


ぶっちゃけ、キャラ萌えが重要な自分にとっては、キャラはあまり魅力的ではありませんでした(笑)

チャイカはデレないキャラすぎて萌えなかったですし、アカリのクーデレ(?)はシュールで難易度高すぎましたw


とはいっても、ストーリーはかなり良かったと思います。

ダメなラノベアニメの共通点として、
①原作からカットする部分が悪く、ストーリーが繋がらない
②カットをしないようにするために詰め込みすぎて、結局ストーリーがよく分からない
→その結果、原作を知らないアニメ視聴者置いてけぼり、ということがあります。

しかしこの作品は原作をうまく再構成してアニオリENDにしたらしく、置いてけぼり感を感じることがありませんでした。

{netabare}欲を言えば
・エピローグが短すぎた
・記憶を代償にした白チャイカのエピローグをもっと描写してほしかった
・10話でこんなに上手くまとまるなら、もっと余裕をもって12話やってくれても良かった
…とは思いましたが、まぁ無い物ねだりですかね。{/netabare}



今の時代において、3クール・4クールやるというのはよほどの人気作じゃないとおそらく無理でしょう?

というか、人気作でも
・続編は円盤が売れにくい
・一度人気になっている以上、続編を作っても原作売上は伸びにくい
という理由があるのか、全然続編作られないし。

でも日常ラブコメものならともかく、バトルものを1クールで完結させるのはさすがに不可能ですよね。


となると、やっぱり2クールでのアニオリENDってすごく理にかなっていると思うんです。

このチャイカのように、単に分割2クールというだけではなく、そこで完結させる。

この作品に限らず、原作読者にはアニオリ展開に忌避感があるパターンが多いと思いますが、そこは現実的に考えて「どうせ続編なんて出来ないんだから、モヤモヤENDになるくらいならアニオリENDになったほうが綺麗にまとまって良かった」と割り切る。

ラノベ・青年漫画原作アニメが好きな自分にとっては、このような作品がもう少しだけでも多くなってほしいと思うわけです。



正直言うと、この作品は自分のストライクど真ん中というわけではありません。

しかし、ストーリーそのものというよりも「ラノベ原作バトルファンタジーアニメを完結させた」という構成において、もっともっと評価されるべき作品だと思います!

投稿 : 2024/07/06
♥ : 13

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

存在に対する執着と翻弄されるチャイカ・・・物語の結末は如何に?

この作品は「棺姫のチャイカ」の2期に相当する作品です。物語に繋がりがあるので、1期を未視聴の方はそちらからの視聴をお奨めします。

1期は、親を弔いたいというチャイカの純粋な気持ちにサバターのトールとアカリ、途中からドラグーンのフレドリカが応え、旅を続けて来ました。
ですが、この純粋な気持ちで起こしたチャイカ一行の行動とは別に、見えない力に引っ張られるようにして運命の渦に巻き込まれていきました・・・
そして大きな傷痕を残して物語が終わって・・・物語は2期に繋がっていきます。

存在に対する執着・・・これは遺産という形に姿を変え周りを巻き込みましたが、物質に対する執着は人それぞれ・・・頑なに固執する者、自分で新しい道を切り開いている者・・・
トール達は、旅のなかで様々な人に触れることになるのですが、この展開はとても丁寧に描かれていたと思います。

そして、途中で様々な横やりが入って順風満帆に旅を続けられず、後手を踏んでしまう展開は1期から健在なのですが、物語の核心にせまっているからか1期とは横やりの質が異なっています・・・

これまでは、収集に焦点を置いて物語が展開されてきましたが、2期では収集のその先にあるモノが何なのかが描かれていて、話数を積み重ねるたびに全容が少しずつ明らかになっていくので見応えも十分です。

チャイカ・・・彼女はこの旅で多くを吸収しました。
人に頼ること・・・
守り守られること・・・
想いに対して常に真摯であり続けること・・・
こうした彼女の考えや生き様が、周りを救い・・・結果的に旅が続けられたのだと思います。

物語の終盤・・・役者が揃い物語最大の見せ場が訪れます。
起こってはいけないことが起きたら・・・その道筋は修正されなければいけません・・・
もちろん一筋縄で・・・なんて訳にはいきません・・・
これまで大切にしてきたモノだって差し出せる・・・その覚悟はできている・・・
それでも傷だらけになって・・・ボロボロになっても前へ進もうとするトールとチャイカ達・・・

こんなにも感動的な展開・・・なのですが、ラストの尺は正直短さを感じずにはいられませんでした^^;
そもそも何故10話で終わってしまったのでしょう・・・^^;?
あと2,3話あったら、間違いなく感動の度合いも高まったでしょうに・・・
1期は12話ありました・・・2期も同じ尺話数だとばかり思っていたのに・・・(;_;)

でも、ラストの展開の早さを除けば、総じてしっかり練られた作品だったと思います。
ラスト・・・も良かったと思います^^
いつまでも皆んな仲良く・・・そうあって欲しいと思えた作品でした^^

投稿 : 2024/07/06
♥ : 32
ネタバレ

westkage。 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

王道過ぎる展開に食傷気味。1期で育てたキャラクターの良さをもっと活かす2期であって欲しかった☆

本作は榊一郎のライトノベルを原作とした作品です。テレビシリーズ第2期にあたる作品の為、前作からの視聴を推薦します。2014年10月から12月にかけて放映されました。今期では彼女らがどんな活躍をしてくれるのか…期待に胸を膨らませての視聴開始でした。

総評として「王道過ぎる展開に食傷気味。1期で育てたキャラクターの良さをもっと活かす2期であって欲しかった」…といった感じでしょうか。
‘正義(主人公)は必ず勝つ’これは我々が幼少期から「戦隊物・ヒーロー物」のようなノンフィクションを見続けてきた結果、決して覆ることの無い定義として脳に記憶されている事柄です。つまりいくら「物語を楽しみたいから視聴前からのネタバレは避けたい」と言った所でアニメである以上、我々は「見る前から結末(着地点)が解っている」と言っても過言ではありません。逆を言えば「結末は解っているけど楽しみたい」という視聴者の心理でもあるのです。簡単に言えばハラハラドキドキの展開ってヤツですね。
今作にはコレが決定的に足らなかった。
1期の放映当初から2期が決まっていた今作を見るにあたって1期は1つの物語の前半を見るような気持でしたので王道的な展開には苦痛を感じませんでした。むしろ素直な展開が多くて視聴しやすいくらいです。チャイカを初めとする登場キャラクターも魅力的でしたしね。しかし2期では前期の王道的なストーリーが淡々と続いていくのみで「どうなってしまうのか」とハラハラさせてくれる演出に欠けている印象を受けました。
・水戸黄門で最後に印籠が出て終了。
・刑事ドラマで「~ちゃんが復讐を願っていると思いますか!」というセリフに泣き崩れる犯人。
…あー、それね。
という定番の物語では、もうコアなアニメファンを満足させる事は出来ません。もう少し物語に意外性を持たせる事が出来れば、評価も変わったのではないかと思います。

しかしそう考えると最近のアニメって物語に対して貪欲ですよね。
良い傾向だと思います。
逆にドラマなんて、いまだに黄金パターンの作品が多いような気がします。
昔は「アニメなんて子供騙し」と言われていましたし、今でもそう思う人は多いでしょう。
そんなアンチアニメ派に私は声を大にして言いたいのは「どちらが子供騙しですか」と言う事ですね☆

*以下はネタバレになるため閲覧注意です!
{netabare}
この一言に尽きると思いますが
「・・・ボス弱過ぎ」
黄金RPGドラゴンクエストのボスでももっと粘るぞっ!ww
{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 28

62.2 8 残酷でファンタジーなアニメランキング8位
アスラクライン(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (369)
2433人が棚に入れました
高校1年生を期に一人暮らしを始めることにした主人公・夏目智春。彼は3年前から自称守護霊で幼馴染の美少女水無神操緒に取り憑かれていた。
智春の兄、夏目直貴が暮らしていたオンボロ屋敷・鳴桜邸(めいおうてい)に引越した日、鳴桜邸に二人の美女が来た。兄、直貴から託されたという銀色のトランクを届けにきた黒のスーツの美女・黒崎朱理、そしてその晩、トランクを奪いに鳴桜邸へ忍び込んだ巫女装束の美少女・嵩月奏。この銀色のトランク「イクストラクタ」を手にした事を契機に、智春は世界の隠された真実と向かい合う。(

声優・キャラクター
入野自由、戸松遥、野中藍、田中理恵、森久保祥太郎、佐藤聡美、矢作紗友里、下野紘、豊崎愛生、こやまきみこ、石住昭彦、日笠陽子、甲斐田裕子、間島淳司、喜多村英梨、中井和哉、大原さやか、石塚さより、高木礼子、織田圭祐

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

中途半端な描写・・

2005年7月から電撃文庫で出版されていた、三雲岳斗による
同タイトルのラノベ(※ジャンルはハイスクールパンク)を
元にした、あきづきりょうの作画による漫画のアニメ作品。

2009年4月から6月まで放送。全13話。
2009年10月から12月まで第2期が放送された。全13話。

飛行機事故がきっかけで同じ飛行機に搭乗していた幼馴染
の「操緒」に自称守護霊として取り憑かれた「智春」の物語。

物語の語り部として、基本的に「智春」の一人称視点で物語
は進んでいく。1話目から諄くてハーレム満開な危険な薫りがするので・・そこから先に辿り着くまでがネックかな?

世界観の捕捉より厨二の知ったか風の小賢しい理屈が先行
するので・・原作を知らない人には設定の専門用語が多く
てドン引きか・・3話目でも意味不明のまま登場人物が増え
続けて重々しく派手な超展開の連続で・・シリアスものと
思えばナンセンスで巫山戯た描写が多く苛々する展開。

シリアスの中に巫山戯て余裕打った台詞を入れるのが大物
の余裕の証みたいな・・滑稽で稚拙な描写が多い・・
メカっぽいファンタスティックな機巧魔神が出て更に方向
が見えにくく説明不足だらけで大変・・最近の理不尽もの
のアニメの世界に本当に入り込んでしまい・・作画の微妙
な臨場感なので・・説明台詞だけ押し付けられた感じ・・

ただ・・映像自体はラキスケとイチャラブとにやにや系。
両極端にバトルの連続・・色とバトルの二点突貫型・・

正直に言う・・OP/EDを聴く限り期待して視てしまうだけ。
この音楽の世界観の拡がりに期待して見続けた・・
OP「Spiral」歌 - angela/ED「Link」歌 - angela

難しそうなこのアニメ専門用語で誤魔化してるが・・
大雑把で緻密さも何もない厨二無双設定ばかり・・wiki
視る限り原作の良い所は全てカットされている模様・・
解釈の違いというよりセンスが無い。演出センスも酷い。

1度目の視聴は3話途中・・2度めは8話くらい・・3度めで
完走・・可也のスロースタートで中々面白くはならない。

露出エロバカ演出ハーレムアニメ同様のキャラと演出で
同じ事をやってるけど矢継ぎ早の濃いバトルと登場人物
の怒涛の連続投入というくらいが多少の違いかな・・

メカデザとか結構いいので・・これだけバトル中心なら
もう少しマトモな動きとか臨場感とか出して欲しかった。



夏目智春(入野自由)洛芦和高校1年7組の生徒。
至って平凡だが幽霊憑きにしてつくづく運の無い不幸体質。
幽霊憑きと噂され、周囲から敬遠されたため友人が少ない。
誰にも優しい優柔不断な性格故、「ヘタレ童貞」扱いされる。

水無神操緒(戸松遥)智春の幼馴染で美少女の幽霊。
喜怒哀楽がはっきりしていて、ズケズケと物を言う性格。
智春の言動に対し常にツッコミを入れる。かなり嫉妬深い。

嵩月奏(野中藍)
智春が鳴桜邸に引越した日の晩、彼を襲撃して来た美少女。
容姿端麗成績優秀で頭の回転も早いが、喋りはトロく天然。


科學部・第三生徒会・王立科学狂会関連
黒崎朱浬(田中理恵)洛芦和高校2年4組。科學部部長代理。
夏目直貴の知人として智春に銀色のトランクを押し付けた。
可也傍若無人な性格。智春と同じ事故で重傷を負ってる。


第一生徒会・神聖防衛隊
佐伯玲士郎(森久保祥太郎)洛芦和高校2年4組。
洛高第一生徒会会長で機巧魔神「翡翠」の演操者。
誇り高く自信家で気品のある微笑みの眉目秀麗な二枚目。

志津間哀音(佐藤聡美)
「翡翠」の副葬処女。佐伯兄妹の従姉妹で、幼馴染。

アニア・フォルチュナ(矢作紗友里)洛芦和高校1年7組。
ルーマニア出身で運命確率を操作する「運喰らい」の悪魔。

樋口琢磨(下野紘)洛芦和高校1年7組。科學部
基本的に女好きのお調子者。重度のオカルトマニア。

大原杏(豊崎愛生)洛芦和高校1年7組。陸上部。
智春のバイト先大原酒店の一人娘。明るく社交的な性格。

佐伯玲子(こやまきみこ)洛芦和高校1年7組。
典型的な「委員長」で規律に厳しい。兄同様プライドも高い。

倉澤六夏(喜多村英梨)洛高3年生。第二生徒会会長。
自己中心的でキレやすく性格に少なからぬ問題がある。
悪人面ではあるが美人の部類。重度の守銭奴。

真日和秀(間島淳司)洛高1年9組。第二生徒会会計。
智春を襲撃したり共闘したり、飄々とつかみどころのない。

橘高冬琉(甲斐田裕子)洛高の3年生。現第三生徒会会長。
常識的な理由で非常識な人間を圧する、通称「人斬り橘高」。
常に帯刀している点を除けば穏和な常識人。

潮泉老人(石住昭彦)奏の母方の祖父。鳴桜邸の大家。
潮泉律都(日笠陽子)奏の従姉妹。黒科學に精通。
加賀篝隆也(中井和哉)有名なギタリスト。
クルスティナ・フォルチュナ(大原さやか)アニアの姉。
雪原瑤(石塚さより)関東学生連盟の武装生徒指導員。
千代原はる奈(高木礼子)GDの一員。「亜鉛華」の演操者。
里見恭武(藤田圭宣)GDの一員。「蒼鉛」の演操者。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

世界の隠された真実と向き合う物語・・・登場人物の心意気に感動した作品でした^^;

この作品は、分割2クールの前半に相当するものです。
この作品の主人公は、この春高校に入学する夏目智春(なつめ ともはる)。彼は所謂普通の学生なのですが、3年前の飛行機事故で、同乗していた幼馴染の水無神 操緒(みなかみ みさお)を亡くしてしまい・・・それ以来、彼女は守護霊と称して智春に取り憑き、色々とツッコミを入れる明るい性格の幽霊と一緒に暮らしています。

高校入学直前、突然一人暮らしを余儀無くされた彼がオンボロ屋敷に引っ越してくると、智春の兄から預かったという銀色のトランクを、大切な物だから・・・と言って渡されるのです。
しかし、そのトランクには蓋がなく開け方が分からなかったので取り敢えず片付けておくのですが、その夜、巫女装束の侵入者が奪いに押し入ってきたのです。
ですが、トランクを奪いに来たのは巫女装束の彼女だけではありませんでした・・・
こうして銀色のトランクをめぐり物語が動いていきます。

そのトランクは機巧魔神(アスラ・マキーナ)と呼ばれるもので、動かすためには副葬処女(ベリアル・ドール)という生贄が必要となります。副葬処女は実体を持たない射影体・・・智春の場合は操緒ちゃんになるので、「生贄」という表現は適切じゃありませんけど・・・^^;
副葬処女は、演操者(ハンドラー)と呼ばれる機巧魔神を召喚できる人間の願いを叶え続けるのですが、機巧魔神を動かす対価として支払わなければならないのは、決して無くしも減らしもしたくないモノでした・・・
だから、機巧魔神は決して容易く動かせるモノではないのです・・・

もう一つ、この世界には悪魔が存在します。決して人間に害を与える存在ではなく、魔力が使える存在・・・という言い方の方が合っているような気がします。
悪魔は魔力を使えるのですが、こちらにも使用に伴う代償を支払う必要があるのです・・・
契約者と契約している場合は、魔力の使用によって契約者が契約悪魔への愛情を徐々に失ってしまいます・・・
そして、誰とも契約せずに魔力を使い続けると、非在化という現象が発生します。
軽度な非在化はそれほどでもないのですが、重度に進行すると身体が硝子の結晶のように変化してしまい、やがて消滅・・・死亡に至ってしまいます。
この魔力も出来れば使いたくない力です・・・^^;

強い力があります・・・でも、その力を使うには対価が必要です・・・
それじゃ、そこまでして本当に強い力を使わなければいけないのでしょうか・・・

主人公で機巧魔神の演操者である夏目智春には、副葬処女として水無神 操緒が、そして悪魔である嵩月 奏(たかつき かなで)が、智春のために自らを顧みることなく身体を張る姿を沢山見る事ができるのですが・・・
頑張っている分だけ、対価が彼女達から削り取られていると思うと、正直だいぶ心が痛みました^^;

心が痛む原因として2人のヒロインが良すぎた事・・・があったと思います。
操緒ちゃんのCVは戸松遥さんでした。操緒ちゃんのキャラの立ち位置はSAOのアスカ・・・キリトと仲の良い時のアスナによく似ていると思いました・・・戸松さんがこの立ち位置のキャラを演じたら完璧だと思っていましたが、まさに期待以上でした^^
流石戸松さんです♪
そして、奏ちゃんのCVは野中藍さんでした。奏ちゃんのキャラは人見知りで話しが苦手な性格の持ち主なのですが、一本筋の通った性格の彼女がうまく表現されていたと思いました。

でも、心が痛むのは主人公に対してだけじゃありません。
物語の中には、機巧魔神も悪魔もたくさん出てきます・・・それぞれが、それぞれの想いを胸に秘めて闘いが繰り広げられたり、仲間を助けようとします・・・
本当に失いたくないモノに対する後悔にならない後悔・・・大切なモノが掌からこぼれ落ちる様・・・そして2度と戻ってこない過去・・・
振り返ってみると、悲しみに満ち溢れた作品だったように思います。

それでも、「守りたいから・・・」という理由で自分の身に何が起こるかを知っていながらも頑張る彼女達の姿は、もう涙無しでは見れませんでした^^;

この作品は1期13話でしたが、分割2クールの後半が楽しみで仕方ありません。
もし、後半も面白かったら「お気に入りの棚」に是非入れたい作品になると思います^^

投稿 : 2024/07/06
♥ : 28

Ssoul30 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ギャルゲーの主人公みたいな主人公がちょっとむかつきますね。うらやましいな。

ストーリー

この作品の主人公、夏目 智春は高校入学を機に一人暮らしを始めることにしました。その一人暮らしを始めた所は智春の兄の夏目直貴が暮らしていたオンボロ屋敷の鳴桜邸っと言う所です。しかし、智春が引っ越してきたその日にある二人の少女がやって着ました。直貴から託されたという銀色のトランクを届けにきた黒のスーツの美女の黒崎朱浬とそのスーツを狙う巫女装束の美少女の嵩月奏でした。はたして、そのトランクになにが入っているのだか・・・

私の感想。

この作品は結構おもしろかったですね。はじめはどうかと思いましたが見ていくうちに少しずつおもしろくなっていきました。はじめこの作品がなぜあまり気に入らなかったと言いますと、やっぱりキャラクターデザインですかね。なんていいますか、今まで見た事が無いキャラクターデザインだったのですが、そのキャラクターデザインは最後にはかなり気に入りました。

そして、この作品の戦闘シーンが結構迫力が合って面白かったです。とくに機巧魔神を使った戦闘がかっこよかったです。普通の人間の戦いと違って迫力が違いました。

そして、何よりこの作品がおもしろかった所は主人公の夏目 智春の性格でしょうか、なんであれほどいろいろな女性から行為を向けられるのでしょうか・・ 作品としてはかなりおもしろいですが、(そして、私好みの作品ですが、)なんだか超うらやましくてむかつきます。私も人生の中で一度はああいう出来事は無いでしょうか・・・

私がこの作品の中で一番気に入っているキャラクターは嵩月 奏です。なぜなら、彼女のオッドアイな所がかなり萌えポイントだと思います。ってかかなり萌えました。オッドアイ可愛いですね~ 萌えですね~ 

Ssoulのワンポイントピックアップ!!
「このコーナーではこの作品のおもしろい所、注目してほしい所などをピックアップし、説明したいという事です。」

この作品はかなり結構世界観がはじめは世界観がまったく意味が分かりませんががんばってある程度まで見てください。おもしろいので、是非見て下さい。噂ですともう2期があるっという事なのでそのほうもかなり楽しみです。

オープニング

「Spiral」
なんだか渋いっていうか、なんだか女性ボーカルな曲なのですがかっこいい曲です。キャラクターデザインもかっこいいですし、ネタバレもほどほどでいいですが、曲がかっこいいです。全体的にかっこいいです。

エンディング

「Link」
オープニングと比べて静かで穏やかな曲です。しかも結構かわいい曲です。ヒロインたちが可愛いです。そして、バックに移した画像がかなりかっこいいです。この作品の曲は何でこんなにかっこよくしているのでしょうか・・

投稿 : 2024/07/06
♥ : 15

67.1 9 残酷でファンタジーなアニメランキング9位
ロミオ×ジュリエット(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (317)
1840人が棚に入れました
舞台は空中浮遊大陸ネオ・ヴェローナ。14年前のモンタギューの反乱によってキャピュレット一族は虐殺された。唯一の生き残りジュリエットはキャピュレット家の親衛隊隊長のコンラッドの手によって助けられ、ウィリアムの劇場で男として育てられる。それから14年後。ジュリエットは「赤い旋風(かぜ)」と呼ばれる剣士の姿でモンタギューの圧制に立ち向かうが、憲兵隊に追われている所を親の仇である太閤モンタギューの息子である、ロミオに助けられる。その後2人は、偶然にもネオヴェローナで開かれた舞踏会で再会し、恋に落ちる……。

声優・キャラクター
水島大宙、水沢史絵、鳥海浩輔、野島裕史、松来未祐、広橋涼、大原さやか、石井康嗣、置鮎龍太郎、川澄綾子、立花慎之介、柿原徹也、久川綾、藤原啓治、井上和彦

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アイリスの香り・・

2007年4月4日 - 9月26日TV放送された。全24話。
原作"William Shakespeare"の戯曲「ロミオとジュリエット」

空中浮遊大陸ネオ・ヴェローナという中世14世紀のイタリア
の都市ヴェローナにファンタジー要素を加えた世界観を舞台
に、宿命に翻弄される二人の愛を描く。


感想。

アイリスはフランスでは王室の紋章で国花。
ギリシャ・ローマの神話に略同一のアイリスの由来が有る。
花言葉は愛・優しい心・あなたを大切にします・優雅 等。
白百合なら純潔・威厳・無垢・甘美、無邪気・清浄 等。

原作は悲劇とされていが、実際は過剰な冗談や乱暴な語句や
猥談的会話等も含むFarce(卑俗的笑劇)要素が強い作品。
そういう意味では現代風にアレンジされたコミカルな描写等
も、それなりに解釈がハマっているのかもしれない。

出逢い方や設定等が逆になっていたり協力者等に捻りがあり
原作を知っていてもやや先読みが利かず充分楽しめる内容。

皇帝派と教皇派の部分を"キャピュレット家"をクーデターに
よって"モンタギュー"が滅ぼしたという部分が最大の違い。
貴種流離譚風にアレンジしてモンタギューを私怨や権力欲で
民への圧政等悪人色を強め、エスカラスはファンタジー要素
として組み込まれている。

其処に「赤い旋風」と異名をとる圧政から庶民を守る見方の様
な怪人を気取るオーディン(ジュリエット)を描くなど物語の
序盤のジュリエットがモンタギューと対立せざる得ない状況
やロミオとジュリエットの悲しい出逢の印象を深めている。

またパリスに該当するハーマイオニがロミオの婚約者。
ティボルトの立ち位置役割に捻りを加え謎めかせてる。

OP他音関係は良いけどEDは・・少々インパクトが強引。
6話は矢張り印象的。其の侭抑揚が大きく7話以降も1クール
の区切り良い所まで一気に話が進んでいく感じで見易い。
9話での伏線などは如何にもファンタジー要素かな。

GONZOの作品の中ではキャラデザが結構好みで見易い感じ。
3Dは特化してもキャラデザ等の作画は水面ギリギリかも?
表情や視線移動なと細い所は気を使う傾向はあるかな。

声優は人気より実をとった傾向でそれなりにはまってる。
どれも特別は無いけどバランスがとれている感じがした。
後半は感動系の美化描写が多いのでやや弛みがあるけれど
2クール目のEDは結構良い。

クライマックスはファンタジー風に捻った形で視る人の
好みが分かれそうだけど概ね「ロミオ×ジュリエット」を
大きく崩す事無く綺麗に纏めた感じ。



OP「祈り〜You Raise Me Up」歌 - LENA PARK
原詞 - Brendan Graham / 日本語詞 - 御徒町凧
作曲 - Rolf Lovland / 編曲 - 坂本昌之・武部聡志

ED「サイクロン」歌 - 12012
ED「Good bye, yesterday」歌 - Mizrock


キュピレット家

ジュリエット:水沢史絵
キャピュレット家唯一の生き残り。仮面の怪人「赤い旋風」。
役人などの横暴に正義の味方モドキの行いをしていた。
16歳になるまで自身の生い立ちを全く知らされずに育つ。
身分を隠す為に普段は男装し「オーディン」と名乗っていた。

キュリオ:鳥海浩輔
フランシスコの親友。ジュリエットの剣の師でもある。
14年前の事件で父親を亡くした。口下手だが優しい性格。

フランシスコ:野島裕史
キュリオの親友で弓の名手。冷静で頭はいいがやや毒舌。
キュリオと同じく14年前の事件で父親を亡くしている。

コーディリア:松来未祐
ジュリエットの姉のような存在の優しい女性。
14年前の事件で両親を亡くした。炊事洗濯等家事が得意。

アントニオ:広橋涼
コンラッドの孫で、仲間内の連絡係もこなす。
ジュリエットと仲がよく、行動を共にすることが多い。

コンラッド:宝亀克寿
キャピュレット家の元親衛隊長。
14年前の事件でジュリエットとコーディリアを救い出した。
ジュリエットを育て、打倒モンタギューの機会を待つ。

ティボルト:置鮎龍太郎
黒い竜馬を駆り、腰に帯びた2本の剣をで戦う二刀流剣士。
敵を同じくする事で度々キャピュレット家に協力する。
キャピュレット残党とは距離を置き独自に行動している。


モンタギュー家

ロミオ:水島大宙
モンタギューの息子。ティボルトとは異母兄弟に当たる。
正義感が強く優しい性格。父の悪政に反感と抱えていた。
父が強引に定めたハーマイオニという婚約者がいる。

ハーマイオニ:大原さやか
ボロメオ侯爵家の一人娘。ロミオの政略的な許婚。
彼女自身はロミオのことを好いている。薔薇が好き。

モンタギュー:石井康嗣
ロミオとティボルトの父であり、現ネオ・ヴェローナ大公。
自らの権勢にしか興味がなく、民に圧政をひく暴君である。

ポーシア:久川綾
モンタギューのやり方に反感を持ち、現在は修道院にいる。
ロミオの母。別れた後もモンタギューからは愛されている。

マキューシオ:柿原徹也
ロミオの従兄弟。モンタギューに心酔してる。
野心家であり、成り上がるためには何でもする。

タイタス・ド・マルケージ:浦山迅
マキューシオの父親。ろくに勤めも果たさず享楽に興じる。
モンタギューの過去の素性を知る人物。

テューバル:齋藤龍吾
モンタギュー家の親衛隊長。

セリモン:麻生智久
憲兵隊長。モンタギューの圧政の手先で暴力を振るう。

アブラム:飯田浩志
ヴィットーリオ一家の暗殺を命じられた親衛隊員。


その他市民など

エアリエル・ファルネーゼ:鳳芳野
ファルネーゼ家の当主。息子であるウィリアムの劇場に
ジュリエットたちを匿っている。残党一派の最大の後援者。

ウィリアム・シェイクスピア:井上和彦
エアリエルの息子。芝居小屋のオーナーで売れない劇作家。
ジュリエットたちからは「ウィリー」と呼ばれている。
洞察力に優れており、オーディンの正体を見抜いていた。

エミリア:川澄綾子
芝居小屋の女優。貴族に見初められて玉の輿に乗るのが夢。

ヴィットーリオ・ド・フレスコバルディ:宮下栄治
ペンヴォーリオの父親でネオ・ヴェローナ市長。
コンラッドの親友。優しさを持つ良心的な人物。

ペンヴォーリオ 立花慎之介
ヴィットーリオの息子。ロミオの親友で優しい性格。

ランスロット:藤原啓治:ジュリエットたちの協力者。
町医者として民衆の暮らしを良くしようと活動している。
その志に賛同してくれる妻(声 - 園崎未恵)と、2人の娘
(声 - 岡本奈美、設楽麻美)がいる。

オフィーリア:岩男潤子
大樹エスカラスを守る庭師。額と頬に刺青の様な紋様がある。
少女の様な姿だが、唯一、モンタギューと対等に話せる。
「永遠の実りはない」とモンタギューに警告をしていた。

8回ほど再視聴。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 4
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

面白かったし好きだけれど、惜しい点がいくつか・・・

2007年4月~2007年10月放送のTVアニメ。
もともとタイトルやあらすじからはあまり興味が湧かなかったのですが、家族が某動画サイトでタイムシフト予約していたものを一緒に視聴しました。

シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」をオマージュしたオリジナルアニメです。全体的にクオリティは高いほうだと思います。
テーマはズバリ「愛」ですね!
好きな部分が意外と多くて、全体としては良かったです。でも勿体無いと思う部分も同じくらいありました。

あと馬。馬かわいい!!
竜馬のデザインがカッコよくて、しかも動きや飛び方が凄く凝っていて好きですね。2000年代後半でこんなに動物に凝ってるアニメはあまりない印象(思い込みかもですがw)なので感激しました。

他の方のレビューでも書かれていますが、音楽が素晴らしく、使い方も違和感が全くなくてとてもよかったです。
声優さんの演技や配役も良かったですし、若手とベテランのバランスも良くて落ち着いて聞いていられました。

作画で意外だったのがバトルシーンに力を入れていた事ですね。ラブストーリーメインだと思っていたので少し驚きましたw
心理描写や仕草も細かくて、見ているだけで本当に楽しかったです。シンプルで特徴のわかりやすい良いキャラクターデザインで、シンプルだからこそ良く動かせているのかもしれませんね。
ロミオとジュリエットはもう少し華やかな印象の方が良かったかも。少なくともジュリエットは男装とドレス姿で顔の雰囲気を変えた方が…化粧はしているでしょうから。

キャラクターは地味ですが良い個性を持っていて、しっかりと作られていたと思います。小さな台詞などから背景を考えるのも楽しかったですね。

物語は全体の流れとしては割と自然でした。好きな所も多かったです。
ただファンタジー要素がちょっと邪魔というか、しっかり組み込めてないというか…(汗)
私の感じた良かった点と問題点は下にまとめますので、興味があれば開いてください。


【良かった点】
{netabare}
原作に持っている私のイメージは「家や身分を捨て、死んで結ばれる」という感じなんですが、本作では「互いへの愛を原動力に、それぞれが家や身分を受け入れた上で乗り越える」という、一歩踏み込んだ内容になっていた印象です。
これはすごく好きな部分でした。

ロミオはモンタギューの子息である事を受け入れ、その責任として父親を殺そうとしましたし、父が死んだ時点でキャピュレット家に大公の座を返上しています。
ジュリエットはキャピュレット家の当主としての責任を果たしましたし、その後は市民にネオ・ヴェローナを託すのだろうとはっきり感じられる描写でした。幼い義侠心で始めた「赤い旋風」も、最終的に市民をまとめる旗印にまで昇華させています。
市民にとってはそれが本物でも偽者でも構わなくて、そういう存在がいる事が重要だったわけですし、身代わりに死んだランスロットもここでしっかり報われているのですよね。

それから農村の教会でロミオとジュリエットが再会したとき、ジュリエットが「薔薇がいいわ」と言ったことに感動しました。
薔薇はモンタギュー家の紋章のモチーフですから、モンタギュー家を含めロミオのすべてを愛するという心のあらわれとして、直接的ではないけれども明確でわかりやすい意思表明になっていたと思います。

物語後半の演劇による情報戦という発想も面白いですし、とても良いなと思いました。旗印としての「赤い旋風」への流れも自然になり、ウィリアムもメタ要素に終わりませんでした。
{/netabare}


【気になった点】
{netabare}
中盤の二人の逃避行が未熟さの現れであることは良いのですが、何が未熟でどう成長するかが明確に描写されていないのが勿体無いです。メンタルとフィジカルの成長ははっきり見られましたが、心理の変化などでもう少し踏み込んだほうがよかったのでは?
特にジュリエットは、逃避行の後はなし崩し的にキャピュレット家の当主に戻ってしまい、どうしてその決断に至ったのかがよくわからなかったです。

ジュリエットに比べロミオに活躍が少ないのも勿体無かったですね。そればかりか、存在感ではティボルトに食われてしまった印象もあります。
ティボルトとの人間関係が物語のキーになるかな?とか、鉱山や農村での行動がエスカラスに絡んでくるかな?とか思っていたが、そんなことはなかったぜ!

それから一番大きな問題点だと思ったのが、「エスカラスが滅べば世界が滅ぶ」「二つの家の愛と確執、市民の革命」というストーリーラインが2つあり、しっかり絡んでいなかったことです。

上で述べたように、「自分に課されたものを全て受け入れた上で、それを背負うか捨てるか、自分の意志で選択した上で結ばれる」という方向性をラスト前まで私は感じていました。
なのにラストで急にエスカラスの件が出てきて、これではロミオの死によってエスカラスに命を捧げることをジュリエットは「結果的に」受け入れただけではないかと…
「ロミオとともに生きること」と「大切な人達を守るために自分の命を捧げること」のどちらを選ぶかという点では、自分で選択したわけではないですよね。
要はロミオが死ななかったらジュリエットは同じ選択はしなかっただろうと思うんですよ。

ハッピーエンドが良かったとかバッドエンドが良くないとかいうことではなくて、そこまでせっかく積み上げてきたものがぼやけてしまったことが私には勿体無くてしかたないという;;{/netabare}

私としては本作は面白かったですし好きですが、勿体無いの一言に尽きますw
ボーイミーツガールや恋物語が好きな方、映像と音楽が作り出す雰囲気を楽しみたい方は視聴しても良いかもしれませんね。(2016.4.27)

投稿 : 2024/07/06
♥ : 9

めじな さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

感想(希望・祈りは時を超える)

全24話。恋愛・ファンタジー・アクション・感動もの。

原作は名シーンのセリフ以外知りません。

まず、この作品はOP曲が最高に良いです!
世界的な名曲「You Raise Me Up」のカバー曲。
この作品にメッチャ合ってて、聴いているだけで涙が出そうになります。
映像もこの作品の雰囲気が良く出てると思います。
BGMもかなり良かった。

次に世界観も良い。
中世ヨーロッパのような世界にファンタジー要素をうまく取り入れています。

作画もなかなか良かったと思います。

あらすじ
14年前のモンタギューの反乱により、キャピュレット王家は失墜した。唯一生き延びたジュリエットはモンタギューと戦うことを決意する。

ストーリーは前半はハラハラ・ドキドキの展開でかなり良く、観ていて引き込まれました。
演劇を観てるようなカンジの演出でホントに素晴らしかった。
それにジュリエットがカッコいい。

次に、ロミオとジュリエットの二人の出会いは胸がキュンキュンしますw
これを観ると恋愛ものを観てるんだな~という気持ちにさせてくれます。
二人の出会いから始まる純愛良いですよ~。
7話は特に良いですね。最高でした。

中盤は前半とは異なりテンポもゆっくり。
この展開はSAOのキリトとアスナそっくりだな~と思うエピソードもありました。
ここは個人的にこの作品にはいらないと思います。
このあとは、恋愛と呼ぶにはあまりに過酷で切ない展開が待ち受けています。
また、前半から途中に色々なところに名セリフがあります。
このセリフ知ってる、ここでそれか~とよく独り言いってましたw
次に、途中色々なキャラが出てくるのですが、情のあるキャラが多くて心にジワリときます。

後半はラストに向けてストーリーにファンタジー要素が強くなり、話が急展開します。
このあたりはギャップがありました。
それに、泣ける名シーンがあります。ラストも切ないです。。
でも、良いカンジに締めくくられていると思います。
心が温かくなりました。

こういう純粋な恋愛もの結構好きです。
原作を知ってたらまた違った見方になると思うのですが、
私はこの作品の二人の禁断の切ない純愛ストーリー良かったです。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 19

69.5 10 残酷でファンタジーなアニメランキング10位
魔法少女サイト(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (393)
1483人が棚に入れました
学校でクラスメイトからのいじめを受け、家では実の兄からの虐待に耐える日々を送る中学生の朝霧 彩(あさぎり あや)。いつも死ぬことばかり考えていた彼女は、ある日、不気味なWEBサイト「魔法少女サイト」と出会い、魔法の力を秘めた”ステッキ”を手に入れる。彩は魔法の力を手に入れたことで、同じくステッキを持つクラスメイトの奴村露乃(やつむら つゆの)、そして他の“魔法少女”とともに苛烈な運命に巻き込まれていく――。

声優・キャラクター
大野柚布子、茜屋日海夏、鈴木愛奈、芹澤優、山崎はるか、岡本信彦、鈴木達央、中尾隆聖、安里勇哉
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

もう御兄様しか見えない(笑)

[文量→中盛り・内容→酷評系]

【総括】
「魔法少女まどか☆マギカ」から始まった、新たな魔法少女モノの系譜。「マギカ」は創設者としての見処やインパクトがあったし、「ゆゆゆ」や「まほいく」も、それなりに見処があった。

ただ、本作は、、、御兄様にしか魅力がなくて(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
残酷な設定を用意した、デスゲーム系ですね。詳しくは「王様ゲーム」のレビューに書きましたが、知的な要素を組み立てられない、ただの残虐なショーになってしまえば、デスゲーム系は見る価値がなくなります。

本作でも、「オカシイ」という点が多々ありました。ありすぎました。

まず、本作の発端となる、朝霧へのイジメですが、あんな学校は流石に有り得ないでしょ(苦笑) 机の明らかな落書きを見過ごして自殺でもされたら、学校や教師のリスク高すぎるでしょ。バレないようなイジメなら見て見ぬふり教師もいるかもしれないけど、流石にあんなあからさまなイジメなら見過ごされないと思いますよ、このご時世。

にじみんとのクダリもオカシイ。普通に「塩井に情報を吐かせてから殺させる」という条件で、にじみんと取り引きしたらいいと思うし。もしくは、(作中でも言っといたように)時間止めてパンツ奪い、自分で使ったら? それをしない理由が「他人のパンツを履きたくない」って、いや、そんな場合か?(呆)

あと、 ヨーヨー、超弱い(笑) あれなら、銃の方が強くない? てか、奴村のステッキだけが破格の強さ。範囲無限、制限時間なし(任意解除)なら、離れた所で使えば最強じゃん。朝霧とのコンボを使わなくても(カッター使えたし、物体の移動は自由に出来そうだから)時間かければ運んだり拘束できるし。

朝霧と奴村がマンションの瓦礫からステッキ探してたけど、あれだけのマンションなら生き埋め多数だろうし、レスキューさん達が夜通し作業してるでしょ。夜だから帰るとか、やる気ない公務員か(呆)

使えば寿命が縮むハイリスクなステッキを、自己紹介がてらに軽く使う(まあ、信用させるためってのはあるかもだけど)とか、安易か。

テレパシーで(命を削ってまで)皆に一斉に連絡、、LINEでよくね?

兄貴大活躍は良いけど、声で操るだけならヘッドホンとか遠距離射撃とか、いくらでも対処できそうだけど。

対管理人戦。ステッキが効くなら、奴村のステッキ(時間停止)が最強なんだから、寿命に余裕ありそうな奴が使ったら良いやん。てなことに作者も気付き、奴村を無駄死にさせてまで管理人に奴村ステッキを壊させる始末(スマホ囮にヨーヨー使うより、スマホで止めてヨーヨー使えば良いだけ)。というか根本的に、管理人は自分が殺されかねない強力なステッキを魔法少女にあげなければ良いのでは? ステッキを独占しているなら、全員に弱いステッキをあげれば(殺しあわせる)条件に差がでないし。それとも、自分の担当が勝ち残れば、管理人にも旨みがあるのかな?

朝霧のステッキ(瞬間移動)、最後に「命(寿命)」まで移動できるっつうチートっぷりが発覚。じゃあ、その辺の適当な奴でも捕まえて、魔法少女に命(寿命)を移しまくれば、みんな不老(寿命問題解決)じゃん。ステッキのリスク回避。作品が根底から覆る技。朝霧はそれをやらないだろうけど、塩井あたりならガンガンやりそうじゃない?

まあ、その他も多数。

デスゲームの残虐性や心をえぐる感じとしては、「魔法少女育成計画」に及ばず、魔法少女が己の悲劇に立ち向かう熱さでいえば、「結城友奈は勇者である」に及ばず。ジャンル違いですが、能力バトルのおもしろさでいけば「サクラダリセット」に遥かに及ばず。

強いて本作の際立つ個性としては、やはり兄貴の面白さだけですかね。最後に、開けてはならない扉も開けられていたようですし(笑) もう途中からギャグアニメと思って見ていたから、グロさは気にならす。

とにかく、申し訳ないのですが(これが原作通りなら)原作者の力量不足を感じました(アニメスタッフのせいかもしれませんが)。とりあえず、残酷で深そうな設定だけ用意して書き始めたものの、細かな部分でソレを物語として成立させるだけの力はなかったように思います。

厳しい言い方だし、「じゃあお前が書いてみろ」と言われればそれはムリなんだけど、命を軽く粗末に扱う作品に対しては、感情的になってしまいます。申し訳ないのです。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
そんな学校、ねぇよ(苦笑) 机の明らかな落書きを見過ごして、自殺でもされたら、学校、教師のリスク高すぎるでしょ。バレないようなイジメなら見て見ぬふり教師もいるかもしれないけど、流石にあんなあからさまなイジメなら見過ごされないよな、このご時世。犯罪者集団じゃねぇか。こんな表でレイプしたらバレるだろうし、線路にモノ(猫)を置いたら、防犯カメラに映らない?

まあ、もはやよく観る魔法少女モノ。

2話目
兄貴の顔(笑)

3話目
エンディング(笑)

4話目
全くの正論(笑) てゆーか、普通に「塩井に情報を吐かせてから殺させる」という条件で、にじみんと取り引きしたら? もしくは、時間止めてパンツ奪い、自分で使ったら?

5話目
あのヨーヨー、弱くね? 普通に銃とかの方が強いんじゃ? 朝霧の銃もあんだけ回避されるなら、マジで、奴村さんのステッキだけが破格の強さだと思うんだけど。兄貴、ギャグキャラ(笑)

6話目
にじみん、それで良いのか? 生き残るのが一人なら、共闘も意味を成さないよね。あれだけのマンション、埋っている人も多いだろうに、絶対に、レスキューが夜通し作業してるよな。

7話目○
ジジイ、ギャグかよ(笑) 寿命間際の塩井と強ステッキ持ちのにじみんの二択なら、間違いなくにじみんだろ。このギャグテイストなら、まだ観られるんだけどな。リスクが高いのに、自己紹介のために魔法使うなよ。テレパシーを使い、みんなに一斉に連絡、、、LINEでよくね?

8話目
唐突なサービスシーンにギャグテイスト。監督代わったのかというくらい。

9話目
兄貴、大活躍だな。いやだから、声聞こえないところから遠距離射撃とか、ヘッドホンとか。魔法には優先順位はなく、後だしジャンケンなんだな。次回予告が楽しみw

10話目
だったらもっと、にじみんとの友情をちゃんと描いておかないとね。今回の兄貴、つまらん(笑)

11話目
いやだから、寿命に余裕がある奴が強力なステッキ使えば? 身体強化とハンマー、ダブルで使ったら? 管理人、ステッキ(スマホ)を狙い撃ちするより、奴村を狙い撃ちしたら?

12話目
海にくるクダリだけは好きだったな。瞬間移動、そんなことも出来るの? じゃあ、その辺の適当な犯罪者でも捕まえて、魔法少女に命(寿命)を移しまくれば、不老じゃん。2期、あっても見ないかな~。
{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 23
ネタバレ

一言 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

登場人物にサイコパスが多すぎる

一言で言えば、胸糞展開まみれの魔法ステッキアニメ。


まどマ●、ゆ●ゆ、まほ●く、など、最近はもう珍しくなくなった魔法少女ものには鬱展開がつきものというパターン。
この作品はどんな鬱展開が待っているのかと思ったが、別のベクトルで鬱…。

そしてこれは「魔法少女もの」ではない。
まず、魔法少女には鉄板の変身がない。当然、専用の服もなくそのまま。
また、何か使命を課せられているわけではなく、ステッキは自由に使っていいというふわっとした理由で与えられる点もあまり魔法少女っぽくない。
(魔法少女サイトというより、魔法ステッキサイトのほうがふさわしい気がする)

この作品の強く出てる個性は、主人公の酷すぎる環境。
学校での虐められている環境もそうだけれど、クソ兄貴が本当にクソ兄貴…。
正直ここまでの胸糞キャラは久しぶりにみたレベルのクズっぷりの兄貴。。
一番ひどいのは1話で、ちょっと視聴し続ける自信をなくすレベルで残酷な描写と目を覆いたくなるような可哀想な展開が多い。
まあでもピークは1話なので、興味がある人は視聴をお勧めする。

次に顔芸。
興味のある人はググってみてください。

全体として、面白いです。
人は選ぶと思うけど、登場人物が本当に酷いのでそういう意味で飽きさせません。
どうなってしまうのか気になって視聴がやめられない感じ。


でもちょっと、もやった部分を書くと…。
{netabare}
まず、潮井(ピンクメガネ)は、たくさんの魔法少女を殺して、奴村さんと朝霧さんを本気で殺そうとまでして、かなりかなり酷い言葉(ごみとかくずとか生きてる価値ねえよとか…)で朝霧さんを罵っていたんですが…。

しれっと顔で同じチームにいるのが本当に謎。
というか違和感でしかないし個人的に許せない…。
本当にクソ兄貴といい勝負のクズ。
こいつを何故生き残らせたのか本当に作者の意図が分からない。

何かすれ違いがあった上での殺しだったとか、理由があっての殺しならともかく、完全にステッキをたくさん奪うという個人的な目的の為で、完璧に殺人鬼。
本当にこいつだけは何故生きて居るのか謎。
まだ悪役として居続けるなら筋が通るけど仲間になる展開は分からない。
原作でその辺掘り下げがあるんだろうか…?


特に、にじみんが死んだときにしんみりしてるのも意味が分からない。
いやいや、あんたにじみん殺そうとしてただろう…。
しかも、借りてたCD壊してごめんなみたいな軽いノリで、友達殺してごめんなって…。ふざけるのもいい加減にしろと。。

あと、「私達を頼れ!信用しろ!」ってアツくなりながら言うセリフにはちょっとギャグを狙っているのかと思うほどだった。
そんな台詞このキャラに言わせるなよと。。。

もうサイコパスとしか思えない。
原作もこの通りならちょっと作者に問い詰めたいレベル。
問い詰めたいと言えば、あんなにキレてたにじみんが潮井と普通に水遊びして楽しんでた描写があったのも謎。


あとはサリナ。
朝霧にも原因が多少あるとはいえ、あそこまでひどい苛め、法アウトな犯罪しといて、友人殺されたと勝手に思い込んで執拗に追い掛け回す…、本当に個人的に嫌いなキャラクター。クソ兄貴と同等レベル。

ステッキを手に入れてから、朝霧たちに復讐()と称して色々やりあったシーンがあったけど、あそこも本当に聞くに堪えないくらいの酷い罵詈雑言を投げつけてたが…問題なのはその後の展開。
管理人にイラついたからって理由で朝霧たちに協力するの、安直というか心変わりすぎない?
まるで理解できない…。

いじめぬいて、復讐()もしようとして、ほぼ殺そうとしてた相手に協力するのは何なのか…。
いきなり冷静で物分かり良くなるのも意味がわからん…話が通じないタイプの人間だったでしょ君…というツッコミどころが満載だった。

そしてここまでくると朝霧さんにもいよいよ感情移入しにくくなる。
あんな頭のおかしくなりそうな苛めをうけて、殺そうとして来た相手を何故受け入れられるのか…。
朝霧+奴村VS潮井+サリナVS管理人の三つ巴展開の方がキャラの行動理由が理解できると思うのだけども…。
{/netabare}

というわけでキャラクターの言動の矛盾がちらちらあって本当に気になった。
そこが本当に惜しい作品。

{netabare}
だから、最後にサリナと潮井が生き残っているのが違和感で、仲間だねって微笑み合ったり照れてたりするのが本当に意味が分からなかった…カタルシスを感じられなかった…。
やっぱりね、敵と仲良くなるならそれなりの理由や納得のいくその行為に至った背景、過去が欲しいよね…っていう批判もとい愚痴でした。

奴村さんだけは行動に一貫性があった。この作品の良心。
{/netabare}

でも、作品としては十分に楽しめました。
{netabare}
最後はなんかハッピー百合エンドみたいな感じだったけれど、原作はもっともっと残酷らしく、この展開はアニオリらしい。
原作は気になるけど、サリナと潮井の扱いがアニメと同等なら、ちょっともやもやしそうなので買わないかも。

あと最後にもう一つ批判するとしたら、実写EDはいらなかった。。
そんな特殊すぎるED回をつくるより、にじみんが死んだ回で泣ける特殊EDに差し替えてほしかった。死んでるのにゼンゼン~トモダチ~って合ってなさ過ぎる。。
{/netabare}


色々思うところはありましたが、二期があるなら見たい作品です。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

抗わず生きるか、抗って死ぬか

この作品の原作は未読ですが、「魔法少女」という単語に反応したんでしょう…
そにれ声優さんも視聴に向けて背中を押してくれました。

主人公である朝霧彩を演じたのは大野柚布子さん…昨年「このはな綺譚」の柚でたくさんの感動を与えてくれた声優さんです。
その主人公を隣で支え続けた茜屋日海夏さん…「終末のイゼッタ」での熱演は記憶に新しいです。
他にも芹澤さん、原由実さん、M・A・Oさん、本渡さんにLynnさん…
毎期たくさんのアニメが放送されているにも関わらず、これだけの声優さんが揃うんですよね。

日本のアニメのクリエーションの高さに一翼は、絶対声優さんが担っていると思いますし、改めて厳しい世界なんだと痛感しています。

この物語に登場する少女は総じて不幸を背負っています。
そして彼女たちの背負った不幸のレベルが半端なく高いのが特徴です。
物語が始まると、目の前に映し出されるのは学校内で一人の少女に向けられた憎悪と敵意しか感じられないいじめの数々…
特定の人が本人に分からない様に…若しくは直接手や口をだし、周りの人たちは見てみないフリ…
だって、もし庇う様な素振りを見せたら、次の標的は自分になるのがみんな分かっていたから…

正直1話目から視聴が辛かった作品に出会ったのも久しぶりです…
でも朝霧彩に課せられた試練はそれだけじゃありません。
彼女が精神的に…肉体的に休む暇が与えられない程、時と場所と手を変えながら次々といじめと称する暴行が繰り返されるんです。

確かに他人と接するのが苦手なので、受け答えが十分じゃない事があったのは事実です。
ですが、それはいじめの理由にはなりませんし、それを継続する理由にすらなる筈がありません。
そして、これも定石ですが、いじめってどんどんエスカレートするんですよね。
そしていつの間にか取返しのつかないところまで行ってしまう…

そんな極めつけの不幸を水際で止めるのが、魔法サイトの管理人…
都市伝説だと思っていたそのサイト…実は実在していたんです。
「不幸だねー、不幸だねー。 そんなキミに魔法の力を与えよー。」
こんな台詞と共に少女の前に姿を現し、魔法のステッキを与えるんです。

何故サイト管理人が不幸な少女に魔法ステッキを与えるのかは不明です。
ですが、彼女たちにとって心の拠り所になることは間違いないと思います。
この魔法ステッキ…効能はそれぞれなのですがとっても便利なんです。
そんな素晴らしいステッキ…隆使う代償が無い訳ありませんよね。

自分の身を守りたい…
不幸のどん底から抜け出したい…
自分を不幸に貶めた奴に復讐したい…

そう思うのも無理はありません。
だって魔法のステッキは、これまでの絶望的な状況を打破できる唯一無二なのですから…

ところが、物語は思わぬ方向に転がっていくことになります。
まず、魔法少女狩り…
管理人から貰ったステッキを持つ魔法少女を殺害してステッキを奪う少女の存在が明らかになるのを発端に、次々と奇妙な事件が起こり始めるのです。

結局不幸から抜け出せないの…?
そう感じた魔法少女は徒党を組み、足元まで迫っている絶望的な状況に抗おうとするのですが、事はそんなに簡単ではありません。

それに人の好意に付け込む輩まで登場し、物語の鬱っぷりは中盤で最高潮です…
その鬱っぷりは終盤まで持続するんですけどね。
絶望に歪んだ表情ととめどなく流れる涙…それが堪らなく好きな人も世の中にはいるんだそうです。
いつでも自分を正当化…何をしても自分は間違えない…自分は正しい…自分は絶対…って、もうそれ自身勘違いでしかありませんから…

でも彼女たちはこの状況を打破するには必死に抗わなければならないことを、分かっていました。
少女の必死の抗いは絶望に届くのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、i☆Risさんの「Changing point」
エンディングテーマは、山崎はるかさんの 「ゼンゼントモダチ」
オープニングについては、9話でちょっとしたサプライズがありましたが、
正直あまり嬉しいサプライズでは無かったのでこのくらいで止めておきます。
まぁ、インパクトはありましたけどね。

1クール全12話の物語でした。
これまでも鬱系の作品は色々みてきましたが、鬱っぷりだけなら間違いなくトップクラスの作品だと思います。
視聴していて心が痛みが半端じゃありませんでしたから…
そしてこの作品も続編への繋がりを…というより、この作品の闇はこんなモノじゃないと視聴者を諭すような…そんな幕切れだったと思います。
続編…宜しくお願いしますね。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 19

74.9 11 残酷でファンタジーなアニメランキング11位
銀河鉄道999-The Galaxy Express 999(アニメ映画)

1979年8月1日
★★★★☆ 4.0 (177)
920人が棚に入れました
身体を機械にかえて、人間は死なないですむようになった。そんな時代にも、やはり貧しい人々は存在する。彼らにとって、機械の身体は高価なものであり、買うことができなかった。そんな中、一つの噂が流れる。銀河鉄道999に乗れば、タダで機械の身体を貰える星に行けるというのだ。少年・星野鉄郎は母と二人、噂をたよりに銀河鉄道の停車駅、メガロポリスに向かう。その途中、二人は機械伯爵による人間狩りに遭い、母は殺されてしまう。メガロポリスのスラムに居着いた鉄郎は、銀河鉄道のパスを手に入れる機会を伺い、実行に移すも失敗に終わる。しかし、そのとき知り合った謎の美女メーテルから、鉄郎は銀河超特急999号のパスをもらい受けて、メーテルとともに地球を旅立つのだった。

声優・キャラクター
野沢雅子、池田昌子、一龍斎春水、肝付兼太、井上真樹夫、田島令子、富山敬、小原乃梨子、柴田秀勝、藤田淑子、槐柳二、坪井章子、納谷悟朗

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

世代じゃないけど楽しめた!

名作とは知っていながら、世代じゃないのでスルーしていた作品の1つ。
おススメされたこともあり観てみることに。

1979年の劇場公開作品。30年以上も前の作品です。
古いですね~w まだ私が生まれてもない時代ですよーw

さすがにここまでギャップがあると腰が引けちゃいますよね。
でもでも、実際見てみると物凄く楽しめました!
この作品に関しては殆ど情報を入手せずにピュアな状態で挑みましたw
なんで、名作だからといって変に贔屓目でみているとか、そんな事は無いですよ?断っておきますがw

で、銀河鉄道といったら宮沢賢治が先に思い浮かんじゃうですよねー。
なんで、哲学的で芸術的な印象をこの作品にも勝手に抱いていました。
でも、観てみると全然イメージと違っていてびっくり!
第一級SF超大作といった感じですw
なんだろ、スターウォーズ?みたいな。(この例えもちょっと古いんですけどw)
ストーリーは簡単にいうと、
主人公「星野鉄郎」が「機械伯爵」に母を殺され、その復讐を誓う。そのために永遠の命と圧倒的な力を持つ≪機械の体≫を手に入れるため、謎に包まれた女性「メーテル」の導きのもと、機械化母星の存在するアンドロメダを目指し‘銀河鉄道999’に乗り旅をする…というお話。

…なんですが、ここから話が二転、三転しますw衝撃のラストですww
ある程度先は読めても、ラストまではなかなかw
話が巧く練られており非常に楽しめました!
ただの派手なアクションものとも違い、しっかりと奥深さもあるんですよね~。
哲学的要素も散りばめられてはいるんですが、とても解り易く表現されており、
「子供にも伝わる」…そういう素敵な工夫がなされています。
映像で、鉄郎の台詞で、それを囲む大人達の台詞で、そして時には歌に乗せて…。
特に、酒場での女性の弾き語りの歌!…染みましたw疲れた大人にはゴダイゴの歌よりこっちの方が効くんじゃないかな?w
アニメという、表現媒体をフルに活用した素晴らしい演出でした。もちろん絵も綺麗。
特に女性の描き方が特徴的ですよね~。
人間離れしてるというか…完全に理想化されたモデルです。
あのカラダのラインは芸術的に見えさえしますね。
建造物の崩壊シーンには目を見張るものがあります(崩壊シーン萌えな方必見!…少なくとも私は萌えましたw)
松本零士、りんたろう、金田伊功、野沢雅子…などなど、今となっては伝説級のスタッフのアツい共演。
あの時代で、このクオリティで二時間超の作品を作るのって…どれだけの労力を要したんですかね~。驚嘆しますよ。
テンポも速すぎるwというくらいスピーディーで、視聴者を退屈にさせません!

この作品のテーマは「少年の旅立ちと成長」です。
序盤で、999号に乗り、Taking Off Over the Galaxy(歌:ゴダイゴ)の「誰も行かない未来へ~♪」
な歌詞に乗せて広大な宇宙へと旅立つわけです。
ロマンを感じずにはいられませんよねw
若者の抱く‘無限の可能性’というヤツを夢いっぱいに表現しています。
義務教育を終える3年くらい前までなら純粋な気持ちで観れた気がしますw
今となっては~…切ないっ!!ちょっと捻くれて観ちゃうかな?w
あと、やっぱり時代を感じました。
宇宙を舞台にした作品って今も昔もたくさんありますが、最近は割と現実的なテーマに触れた作品が多い気がします。
あの頃って若い世代だけではなくある程度の年齢の大人にも今よりは夢があったんじゃないですかね?
日本がイケイケな時代だったというのもありますが、機械分野の技術的な進歩が目覚ましく、未来に対する大きな期待があったのだと思います。
そういった意味では、伸びしろの期待できない現代の世の中ってどことなく寂しいものがありますよねー。夢を見れなくなったというか…。
まあ、どんな時代であっても努力なしには夢は実現できないものですよね~。
その努力を惜しんでアニメを観ちゃうからダメなのかなw
ああ…だんだん鬱に…。(´;ω;`)

最後に一つだけ言わせてほしいのが、鉄郎がまさか15歳とは思いませんでした!w
しぐさ、行動が少し幼い気がします。あとメーテルとの身長差が…。
劇中、その設定に気付かず観ていたので、二人の恋愛に始終違和感を感じてしまいました。
感動するエンディングでさえもそのせいで若干ついていけませんでした。
なんで、これから視聴する方はその年齢を知っておいた方がいいのかもしれませんw

でも、そんな細かいことなんてどうでも良くなるようなエネルギッシュで爽やかな素晴らしい作品で、
数多くのファンがいるのも納得できました^^
子供ができたら観せたい作品の1つになりました。良い子に育ちそうw

世代じゃないからといって敬遠するものじゃないですね~。
私もこの銀河鉄道999のおかげで、過去の名作巡りの旅に駆り出されることになりそうですw

投稿 : 2024/07/06
♥ : 29
ネタバレ

ぶらっくもあ(^^U さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

さらば少年の日よ

昭和期劇場公開されたアニメ作品の中で、
私的お勧め感トップクラス、
シナリオ、音楽、サービス精神、見事という他はない、
よくぞこれだけのものを2時間弱にまとめたものだなと、

銀河鉄道999という事で主人公は当然星野鉄郎、
何をアタリマエな事をと思われるかも知れないが、
キャプテンハーロックやエメラルダス始め、
松本零士氏作品オールスター的キャラ複数登場し、
其々単なるゲストキャラではなくキャラ立ちも半端ない、
{netabare}
特にキャプテンハーロック等登場シーンからカッコいい、
ハーロックはTVアニメ版も大好きだったが、
本作でのハーロックはアルカディア号デザインと共に格別、
トチローも登場しアルカディア号心臓部含む根幹的物語も内包、
もうゲストどころの騒ぎではない、
{/netabare}
ヘタすれば物語統一性単一性欠きかねないが、
徹底した主人公視点駆使し原作999エピソード主軸に、
旅の過程で全てのキャラエピソードや出会いを、
主人公の成長物語として鉄郎中心に必然性保ちつつ、
自然に語られてるのが素晴らしい、

ヤマト革命から端発した70年代後半アニメブームにより、
様々なアニメが劇場にて公開される事になったが、
当初はTVアニメ使用フィルムの再編集的作品も多かった、
999は同時期TVでも原作本沿った形で毎週放送されてたが、
この劇場版999はTV流用無しのオリジナルで、
主人公鉄郎のキャラ画も原作或いはTV版より、
(5歳程)青年的に描かれている、
当初この鉄郎デザイン若干違和感もあったが、
本作フィナーレ迎える頃は、
自然気にならなくなったと言うより成程なと、
というのも、
{netabare}
序盤当初鉄郎にとってメーテルは母親の幻影、
道中冥王星付近で寒がる鉄郎メーテルに抱衣され、
思い出すのは母親の温もり、
{/netabare}
少年が、
{netabare}
様々な出会いや物語初期主人公目的であった、
母の仇打ち成し遂げ。
いつしか人間の機械化そのものに疑問持ち、
目的は終着駅である機械化惑星破壊へ、
真摯さが顕著になってゆく鉄郎の目、

鉄郎が辿りついた終着駅機械化惑星の名前はメーテル、
(ここからのラストまでの一連のBGMは神がかってる)
崩壊する惑星メーテルからの脱出シーンは今観ても圧巻、
戦火の中轟進するアルカディア号
999脱出路の盾となるエメラルダス号
一貫して流れる(BGM惑星メーテル)
メーテルの手を引き999目指し駆ける鉄郎は、
{/netabare}
いつしか大切な人を守るひとりの男になり、
{netabare}
原作上悲しいキャラだったガラスのクレア、
劇場版では助かったと思ったんだけどな、
思い出してしまった、、、
(BGMガラスのクレアフルオーケストラバージョン)

旅のおわり、
メーテルの別れの言葉
「私はあなたの心の中の幻影」
メーテルを乗せ走り出す999を追い駆けだす鉄郎、
(BGM別離そして旅立ち)

さらばメーテル、さらば銀河鉄道999
{/netabare}
さらば 少年の日よ、

というのが、
機械化人間等に象徴される人間性欠如への警鐘と共に、
本作のテーマな故、

放映当時の事だけど本作が凄かったのは、
TV版勿論原作においても表記されない物語クライマックスが、
見事なかたちで描かれ切っていた事、
原作先んじて或いは離れて物語構築し、
ともすれば台無しになった作品も多いが、
本作の場合は、
この劇場版一作こそ正道と言わしめるくらい完成されてた事、
TV版宇宙海賊キャプテンハーロックや同銀河鉄道999通し、
制作会社として関わってきた東映動画の本気度が窺える、

松本零士著作品という事であればその代表作は各人様々であろうが、
映像化された松本零士作品という事であれば、
本作は間違いなく代表格だと感じる。

1979年度劇場公開作品
原作 松本零士 監督 りんたろう 監修 市川 昆 
音楽 青木望 作画監督 小松原一男 制作 東映動画

投稿 : 2024/07/06
♥ : 36

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

評価修正 歴史的意義や絵の美しさはあるが、奥行きは現代アニメに劣る。

追記 歴史的意義を排して、アニメ映画として考えた場合の評価について

 アニメ映画は2016年の3本の素晴らしい劇場アニメ以降、乱造されている印象もあります。が、例えば評判の悪い「打ち上げ花火…」とか「君の膵臓を…」「バブル」「ひるね姫」などと比べてさえ、本作とどちらを評価すべきか、という点で考えてしまいました。

 本作は、冒険活劇、少年の成長ストーリー、それぞれのキャラの重厚感などはさすがだと思います。作画もセルアニメとして素晴らしいですし、色彩は最高峰でしょう。
 ただ、現代的面白さ、キャラ造形、感情移入、テーマ性などを2016年以降のアニメの水準と比較して考えた場合、私は圧倒的に最近のアニメ、特にアニメ映画の方が面白いしテーマ性も感じることが多い気がします。

 単純に2016年の「君の名は」「聲の形」、それ以降の「ポンポさん」「ジョゼと…」「岬のマヨイガ」「地球外少年少女」などのアニメと999にどちらを見るのに時間を割きたいか、先に出したアニメの他、2000年代以降に素晴らしいアニメは沢山あります。

 本作について、冷静に今見て感じる映画的な奥行については、残念ながら少年を意識したアニメ作り感が濃厚で、古さが隠せません。
 ガンダム以前のアニメはヤマトなども含めてやはり古すぎて見ているのが辛いです。
「ローマの休日」は教養としての価値は認めても、今更もう一回見ようと思わないのと一緒です。

 ということで5点満点から評価再調整です。100点満点ですと65点でも付け過ぎかなあ。重ねていいますが歴史的価値、当時としての水準の高さはもちろん認めています。




以下 初回レビュー時の評価です。
メーテルと宇宙の黒さが美しい。2度と作れない奇跡のアニメ。

 映像。宇宙が黒いんですよね。すごく。漆黒。まさに深淵。だから、メーテルの金髪がより美しいし、999の黄色く光る窓が一直線に流れて行くのが、幻影的で。キービジュアルを見ていただければ言っていることはわかると思います。
 自然や都市を写真で切り取ったような美しさばかりを最近見ますが、アニメとしての美しさを堪能するって、こういうことなんだなあ、と思います。

 主題歌。42年前の曲です。こんなに歌い継がれていくアニメの主題歌ってこれからでるんでしょうか。壮大で、力強くて、未来的でもあるし、懐かしくて切なくもある。

 メーテル。青春幻影というのにふさわしい。ここまで儚くも美しい女性キャラは他に類を見ません。2作目になりますが「さよなら」のエンディングのメーテルの髪の作画は異常です。なんなんですか、あの作画は?ちょっと今のアニメでもあれには追い付けてません。といいますか、今のアニメの進化の方向だと、永久に再現できないでしょう。

 ストーリー。出会いと別れ。まさに一期一会ですよね。だからこそ、そのときそのときが命がけなのでしょう。だから成長できるのでしょう。そして、それが旅なのでしょう。
 そう。地元を離れよ。知己を捨てて、新しい出会いを求めよ。別離の悲しみを経験しない少年に成長はない。
 今を批判的に語る必要はないですが、少し内向的保守的になった自分から見ると、自分ではもうできないからこそ眩しく感じるし、憧れてしまいます。

 カット割りが短く、エピソードも少し細切れなところに古さを感じますが、驚異的な美しい映像で、古いどころか、今のアニメの安っぽさ、劣化を感じます。
 「旅立つこと」が「別れ」だった旅客手段も情報通信も発達していなかった時代だからこそ作られた奇跡のアニメ映画でしょう。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 9
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