歌手で伝説なTVアニメ動画ランキング 3

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早速見ていきましょう!

72.2 1 歌手で伝説なアニメランキング1位
超時空要塞マクロス(TVアニメ動画)

1982年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (341)
1764人が棚に入れました
西暦1999年、突如宇宙より飛来し太平洋上の南アタリア島に墜落した巨大物体は、全長1,200m超もの宇宙戦艦だった。これにより異星人の実在と彼らの間の戦争の存在を知った人類社会は、宇宙からの脅威に対処すべく地球統合政府を樹立。世界規模の紛争(統合戦争)を経て、墜落艦を改修し「マクロス」と命名する。2009年のマクロス進宙式当日、地球付近に異星人の一方の陣営ゼントラーディ軍の艦隊が出現する。その存在を感知したマクロスの主砲システムが勝手に動作し、戦艦群を撃破してしまう。マクロスの正体はゼントラーディと敵対する陣営、監察軍が仕掛けたブービートラップであり、人類は否応なく宇宙戦争(第一次星間大戦)に巻き込まれることとなった。ゼントラーディ軍の包囲網から逃れるため、マクロスはフォールド航行により月の裏側への待避を図る。しかし制御に失敗し南アタリア島一帯を巻き込み、冥王星軌道付近に到着する。さらにフォールドシステム自体も消失し、通常のロケット推進のみでの地球への長い帰還の旅を強いられる事になる。その途上、南アタリア島住民5万8千人はマクロス艦内に街を再建し、戦争の傍らで普段の生活を営んでいた。アクロバットパイロットの一条輝は戦火の中で出会った少女リン・ミンメイを守るため軍に入隊し、可変戦闘機バルキリーのパイロットとなる。

声優・キャラクター
長谷有洋、飯島真理、羽佐間道夫、小原乃梨子、土井美加、神谷明、佐々木るん、鶴ひろみ、深雪さなえ、蟹江栄司、大林隆介

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

アニメ歴史遺産認定(←個人的な評価です)→ ところで誰か、「監察軍」がどこへ行ったか教えてください…。

本作以降「マクロス」という文字がタイトルに入った作品は多数作られたが、本作と劇場版『超時空要塞マクロス ~愛・おぼえていますか~』以外はまったく別の作品と言っても過言ではない。

以下、本作の凄い点。

その1: 主人公が凡人(← 失礼(笑))
もちろん一条 輝は「そこそこ優秀なパイロット」ではあるが、特に天才的でもないし出自も普通。本作以後そういう作品はそこそこあるが、当時のロボットアニメでは珍しかった。

その2: まともなSF作品である
宇宙人と戦う多くのロボットアニメでの根本的な疑問「なぜ敵異星人の姿は地球人と似ているのか」について、作中で明確に回答を与えた。また人類にとって解決できない技術的課題は、全て宇宙から降ってきた宇宙船からもたらされた「オーバーテクノロジー」であるとして解決された。

その3: 音楽が凄い
音楽担当に巨匠、羽田健太郎を起用した。楽曲の出来がことごとく素晴らしく、個人的には初めて「サントラが欲しい」と思ったアニメ作品。

第27話『愛は流れる』以降の各話が蛇足という意見は散見されるが、これは一度打ち切りが検討された後の再延長という本作の特殊事情によるところもあり、ある意味仕方がないと思う。

ただ、個人的にはこのグダグダな期間のお話も実はけっこう好きだったりする(笑)。

2018.3.15追記:
あるあにこれユーザーの愛・おぼのレビューを読んでいてTVシリーズのことを思い出していてふと思ったのですが、誰かこの作品に出てきた「監察軍」(マクロスが地球に落ちてくる前の、元々の持ち主)がどうなったか、知っていたら教えてください。

2、7、F、⊿のどこにも出てきた気配がないので、私、気になります!
(あ、7で名前は出てきてたか…?)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 43
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

戦時下における“日常”の偉大さを描き尽くした《想定外の感動作》

今も続くマクロス・シリーズの第1作『超時空要塞マクロス』(1982-83年、全36話)は、その本来の最終回である第27話「愛は流れる」まで確り見続ければ、決して「思い出補正」などではない大きな感動と感銘を今でも与えてくれる名作中の名作と、今では私も思っていますが、とにかく初見者には、そこまでたどり着くまでのハードルが非常に高い作品である、とも考えています。

実際、私は、あにこれに来る以前に本作の名高さに惹かれて、おそらく4~5回ほどもその第1話からの視聴を始めたことがあり、一番頑張ったときは第10話くらいまで到達したこともあるのですが、結局は、①制作年代の古さからくる一部の作画の乱れ具合の酷さとか、②特に序盤に目立つ素人声優の起用からくる演技の下手くそさとか、③一部のシーンの演出の古臭さとか、④シナリオの進行テンポの遅さ、に参ってしまい、大抵は最初の数話で断念となりました。

それで、ある時期に“伝説の神回”として名高い第27話「愛は流れる」(※前記)を前後の脈絡を無視して取り敢えず視聴してみたのですが、やはり全然、感動も感銘も受けることができなくて、かなりガッカリした記憶さえあります。

そして、そのあと、今度は本作の劇場版アナザー・ストーリーであり、やはりアニメ・ファンの評価が非常に高い『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』に手を出してみたのですが、こちらの方は、

(1) 確かに作画や演出は、TVシリーズに比べると格段に良くなっている、と思ったものの、
(2) シナリオ自体は、特に感動する(be moved)、とか感銘を受ける(be impressed)といったものではなく、むしろ、
(3) その終盤に、{netabare}ヒロインが歌い出すと敵の大軍が一斉に混乱し無力化してしまう中を、マクロスとその同盟者の軍艦や機体が猛攻撃をかけて敵を一気に殲滅{/netabare}してしまう、という展開(※有名な「ミンメイ・アタック」のシーン)を見て、「何だ?この都合の良過ぎるシナリオは?」と、かえって同作に反感すら覚えてしまうほどでした。

・・・そうやって本作は、私の中では

「名作の名に値しない、古臭くて、いい加減な内容の作品」

というイメージのまま長らく放置してあったのですが、あにこれに参加してレビューを書き始めたことを切っ掛けに、自分がこれまで苦手としていた作品でも我慢して見続けると途中でそうした評価が180°ひっくり返ってしまうこともある、ということに気づき始め、丁度今から2年くらい前に集中的に、《メカ・ロボット系アニメ》の有名作を漁っていた時期に、本作にも改めて挑戦してみたところ、

第23話「ドロップ・アウト」の展開の意外さにのけぞってしまい、そしてその次の
第24話「グッバイ・ガール」まで来て、ようやく“本作の真価”を観た気持ちになりました。

・・・そして、本来の最終回である第27話「愛は流れる」を観終わった頃には、すっかり本作の出来の良さに胸を撃ち抜かれて、「確かにこれは“名作中の名作”だ」「放送当時のファンの感動ぶりが伝わってくるようで、これでは本作が急遽+9話の延長が決まってしまったのも当然の話だ」「本作をこんなにも長く誤解していたなんて、私としたことが何と浅はかだったのか・・・」などと考え込んでしまうほどでした。

実際のところ、私のアニメ視聴経験の中でも、視聴前後でここまで個人評価が180°ひっくり返ってしまった作品というのは珍しくて、例を挙げると・・・

(1) 『とらドラ!』 (2008年) ※恋愛・青春ジャンル ←第19話が転換点
(2) 『アイドルマスター』 (2011年) ※アイドル・ジャンル ←第23-24話が転換点
(3) 『魔法少女まどか☆マギカ』 (2011年) ※魔法少女ジャンル ←第10話が転換点
(4) 『ストライクウィッチーズ』 (2007-8年) ※戦闘美少女ジャンル ←第2期の第8話が転換点
(5) 『シュタインズ・ゲート』 (2011年) ※SFジャンル ←第23話が転換点
(6) 『氷菓』 (2012年) ※青春・ミステリージャンル ←第22話が転換点

・・・以上、いずれも各ジャンルを代表する名作ですが、制作時期はどれも西暦2000年代の終わり~2010年代の初めと新しく、そういう意味で、1982-83年制作と明らかに作画・演出にハンデを抱えるはずの本作の“破格さ”に個人的に改めて大きな感銘を受けました。

それから、本作が《メカ・ロボット》ジャンルだったこともショックで、私はそれまで同ジャンルの作品では、例外的に『コードギアス 反逆のルルーシュ』(2006年、2009年)だけは、序盤から非常に大きな“感銘”を受けて(be impressed)、個人評価も非常に高く付けている(※第1期 ★★ 4.9、第2期 ★★ 4.5)のですが、それは決して同作に“感動”されられ(be moved)たからではありません(※大きな感銘を受けたが感動は余りしていない、ということ)。

ところが、本作の場合は、第23話以降の展開を見ているうちに、どうにも押さえ難く自分の心が震えてしまう(be moved)のを否定できませんでした。
それは、きっと本作が、《メカ・ロボット》ジャンルに該当しながらも、本質的には、登場キャラたちの秀逸な《感情描写系》作品であった所為ではあるのですが、それにしても、同ジャンルの作品で、まさかこういうことがあるなんて・・・全く想定さえしていませんでした。

※以下、初見者の参考のために本作(全36話)をパート別に評価します。


◆パート別評価(1周目)

(1) 前半エピソード (計14話) (第1-14話)  ☆  3.6 ※第14話は前半の総集編
(2) 後半エピソード (計13話) (第15-27話) ★★ 4.8 
(3) 追加エピソード (計 9話) (第28-36話) ☆   3.8 ※人気沸騰により急遽追加された後日譚
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  総合 (全36話)                 ★   4.3 (→2周目★ 4.4→3週目★★ 4.5 に上昇)

※なお、劇場版「愛・おぼえていますか」    ☆   3.7

・・・このように本作は、
(1) 前半エピソードは並みの出来でしかありませんが、
(2) 後半エピソードの途中からそれまで散りばめられた伏線を回収し始めて猛烈に面白くなります。
すなわち、

<1> 第23話の展開に驚いて、本作を見始めて良かったと思い始める。
<2> 第24話で、ようやく本作が確りした《感情描写系》作品と判明、そして、
<3> 第27話(本来の最終話)まで来て、本作のことを、《放送当時の爆発的人気を実感できる、上げ底ではない本当の感動のある名作》である、と感じてしまう。

(3) そのあと追加エピソードまで見切って、
(4) さらに第1話~第27話までをもう一周すると、今度は、本作の一話一話が、その各話タイトルも含めて、シナリオが実に綿密に練られていて、その全ての回が、第27話「愛は流れる」に向けて収束していく様子を見て取れるようになり、本作への感嘆の気持ちが更に増します。

※なお、本作には作画が極端に悪い回がしばしばありますが、調べたら、そういう回は全て外国の制作会社に作画を発注した回のようです(第3・13・20・25・29・32・34話の計7回・・・7/36≒19.44%←このうち、第22・25話は脚本自体は優れているだけに非常に残念)
※そうした作画や演出の乱れをマイナスして本作の個人評点を ★★ 4.5 としました。


◆視聴メモ
{netabare}
・第1話視聴終了時点
作画乱れと声優(主人公の輝役)の棒読みっぷりはやはり気になる。
但し、可変戦闘機VF-1(通称“バルキリー”)は、今見てもなかなか格好良く、当時はこれだけでも斬新で評判になったんだろうな・・・と推測できる出来。
あとED実写は珍しい。
・第2話視聴終了時点
ヒロインのリン・ミンメイがやはり余り可愛くない(作画微妙なことに加えて、性格が実に俗っぽい。そのうえ声優が下手くそ)。
・第4話視聴終了時点
輝&ミンメイが二人っきりで艦内に閉じ込められる話で、本来なら視聴者の心をグッと作品に惹き付ける注目回のはずだが、肝心のミンメイの顔面アップ・シーンの作画崩れがとても残念。
・第8話視聴終了時点
のちの『マクロス7』の艦長&ミレーヌのパパ(マクシミリン・ジーナス)初登場回。
後からもう一度見ると、天才マックスと凡人一条輝の違いが早くも描き出されていて感慨深くなる良内容。
・第9話視聴終了時点
マクロス艦内放送が始まり、ミンメイがミス・マクロスに選出される回。
そして、ゼントラーディ側がこのマクロス艦内放送を傍受し、ブリタイ司令・エキセドル参謀のほか、コメディ担当の一般兵士3名がミスコン映像を見て困惑する様子が見られる注目回でもある。
・第12話視聴終了時点
ゼントラーディ軍(女部隊)エースパイロット・ミリア登場回←後の『マクロス7』のヒロイン(ミレーヌ)のママ。
・第13話視聴終了時点
マクロスが太平洋に無事着水して、最初の航海を終える。
この回のあと、それまでの総集編が入るので、一応ここで前半エピソードの終了と見なせると思う。
・第19話視聴終了時点
兄貴分と慕ってきた先輩パイロット(フォッカー少佐)に続いて、自分を慕っていた後輩(柿崎)をも戦闘で失っい傷心の輝のもとに、急にかかってきたミンメイの言葉が余りにも軽薄で、輝の心が初めて形となってミンメイから離れて行ってしまう様子が淡々と描かれる注目回(※初の ★★(優秀回))。
また、カイフンのTVインタビューを利用した独善的な反戦発言があり、多分ガンダム・ファン(というよりアムロ推しの人々)には嫌がられるシーンかも知れない。
・第21話視聴終了時点
この回と第12話は一条輝と早瀬未沙の二人が艦内に閉じ込められる展開で、第4話で輝とミンメイが閉じ込められる展開と対を成している。
なお、この回での輝とミンメイの心のすれ違い、そして輝と未沙の心の接近、それぞれの描出が見事なことにちょっと驚く。
「こんな生活、好きな人でもいなくちゃやってけないよ。」(輝の未沙への発言)
・第23話視聴終了時点
この回の展開に驚いて、本作を見始めて良かったと思い始める(2度目の★★回)。
・第24話視聴終了時点
ここまで見続けて、ようやく本作が確りした《感情描写系》作品という確信をもつ(前回に続き3度目の★★回)。
・第26話視聴終了時点
(4度目の★★回)。
・第27話視聴終了時点
とうとう本作初の★★★回(神回認定)。
この回のタイトルが初の日本語で「愛は流れる」←この回に向かってシナリオが収束していることがよく分かる出来。{/netabare}


◆制作情報(TVシリーズ)
{netabare}
原作・アニメーション制作 スタジオぬえ、アートランド(原作協力)
シリーズディレクター    石黒昇
シリーズ構成        松崎健一
脚本            石黒昇、富田祐弘、松崎健一、大野木寛、星山博之、河森正治
キャラクターデザイン   美樹本晴彦
メカニックデザイン     宮武一貴、河森正治
音楽            羽田健太郎{/netabare}


◆各話タイトル&評価(3周目時点)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============= 超時空要塞マクロス (1982年10月-1983年6月) =========
{netabare}
第1話 ブービー・トラップ ★ 西暦1999年(異星人巨大戦艦墜落)、統合戦争・統合政府発足、2009年(巨大戦艦修復完了)、進宙式、自動防衛システム作動、交戦状態突入、一条輝(ひかる)VF-1搭乗・発進
第2話 カウント・ダウン ★ 市街戦、輝のリン・ミンメイ救助、巨大異星人との遭遇、マクロス出航
第3話 スペース・フォールド ☆ 空間転移、冥王星軌道へ、フォールドシステム消滅
第4話 リン・ミンメイ ★ 5万人の避難民、輝とミンメイの艦内漂流(12日間)、結婚式と救助
第5話 トランス・フォーメーション ☆ 中華料理店「娘々」開業、敵襲、マクロス変形・主砲発射、輝の入隊決意
第6話 ダイダロス・アタック ☆ 艦内生活2ヶ月経過、決戦前夜、土星軌道の戦(一条軍曹初陣)、早瀬中尉の機転
第7話 バイバイ・マルス ★ 早瀬未沙の想い人、火星基地の伏兵(カムジン隊)、輝の早瀬救出
第8話 ロンゲスト・バースデー ★ 輝受勲・少尉昇進、部下(柿崎&マックス)の指揮、ミンメイへのプレゼント
第9話 ミス・マクロス ☆ ミンメイのミスコン出場、輝の敵偵察機遭遇戦、ゼントラーディ軍のマクロス艦内放送傍受、ミス・マクロス選出
第10話 ブラインド・ゲーム ☆ ゼントラーディ軍の困惑、早瀬中尉護衛任務、敵艦船内戦闘 ※演出の古さは×
第11話 ファースト・コンタクト ★ 輝・早瀬・柿崎囚われる、敵将ボドルザーの尋問、プロトカルチャー、ミンメイ歌手デビュー ※挿入歌「私の彼はパイロット」
第12話 ビッグ・エスケープ ★ マイクロン化スパイ志願者、輝・早瀬の敵艦脱出(※第4話に対応する展開あり)、ミリア(敵女エース)のスパイ配送、帰艦
第13話 ブルー・ウインド ★ 敵情報告、マクロス地球帰還 ※ゼントラーディ・スパイの異文化遭遇回として◎
第14話 グローバル・レポート × ※グローバル艦長視点の総集編(ラスト数分だけ新規シーン){/netabare}

 - - - - - - - ストーリーの小さな切れ目(マクロス地球帰還) - - - - - - -
{netabare}
第15話 チャイナ・タウン ☆ 艦長・早瀬の統合軍本部尋問(早瀬の父)、横浜中華街のミンメイの家族・従兄弟、避難民の離艦禁止命令
第16話 カンフー・ダンディ ☆ リン・カイフン来艦、カムジン隊来襲、早瀬の混乱、輝機墜落・負傷
第17話 ファンタズム ☆ 昏睡中の輝の見た夢 ※以前の映像の使いまわしが多い半総集編×、挿入歌「0-G Love」
第18話 パイン・サラダ ★ 早瀬大尉の輝見舞い、ミンメイの輝見舞い、ミリア機侵入・撃退(マックス活躍)、フォッカー少佐死亡
第19話 バースト・ポイント ★★ ミリアのマイクロン志願、カムジン隊来襲、全方位バリア爆発・柿崎戦死、カイフンの反戦発言、ミンメイとの心の距離 ※挿入歌「シルバームーン・レッドムーン」
第20話 パラダイス・ロスト ★ マクロス地球圏外出撃命令、スパイ3人組のブリタイ艦隊帰還 ※挿入歌「マイ・ビューティフル・プレイス」
第21話 ミクロ・コスモス ★ 映画『小白竜(シャオ・パイ・ロン)』公開、輝・早瀬閉じ込められ回 ※挿入歌「小白竜」
第22話 ラブ・コンサート ★ ゼントラーディ兵士への文化の影響、バトルポッド隊マクロス侵入、市街戦 ※挿入歌「愛は流れる」、作画の酷さは×
第23話 ドロップ・アウト ★★ 敵前逃亡、文化の力、亡命受容れ、戦争終結の糸口 
第24話 グッバイ・ガール ★★ 早瀬大尉地球降下、ミリアとマックスの出遭い、グランド・キャノン ※この回でようやく本作が確りした《感情描写系》作品と確信
第25話 バージン・ロード ★ ミリアとマックスの進展・結婚式、ブリタイ軍への総攻撃命令・艦内叛乱、ブリタイの決断 ※作画の酷さは残念、挿入歌「ランナー」
第26話 メッセンジャー ★★ 停戦交渉(エキセドル来艦)、マクロス&ブリタイ艦隊共闘決定、ボドルザー旗艦艦隊来襲
第27話 愛は流れる ★★★ ミンメイとの決別、地球壊滅、ミンメイ・アタック(ボドルザー旗艦強襲)、未沙救出 ※挿入歌「愛は流れる」他{/netabare}

 - - - - - - - - - - ストーリーの大きな切れ目(2年間経過) - - - - - - - -
{netabare}
第28話 マイ・アルバム ☆ 2年後の地球(進む復興)、不平ゼントラーディ人の暴動発生
第29話 ロンリー・ソング ☆ ミンメイの精神不安定・輝&未沙との鉢合わせ、極秘指令(工場衛生奪取任務)
第30話 ビバ・マリア ★ ブリタイ艦乗艦、マックス&ミリアの赤ちゃん、ゼントラーディ軍工場衛星制圧
第31話 サタン・ドール ☆ カムジンのマイクロン装置強奪、プロトカルチャーの歴史
第32話 ブロークン・ハート ☆ ミンメイ&カイフン拘束、人質救出作戦
第33話 レイニー・ナイト ★ 早瀬と輝の行き違い、クローディアとフォッカーの過去話、仲直り
第34話 プライベート・タイム ★ 輝とミンメイの2年ぶりの逢引き、早瀬の待ちぼうけ、歌えないミンメイ
第35話 ロマネスク ★ ミンメイ失踪・輝宅滞在、カムジンのオノギシティ襲撃・反応炉強奪、聖夜 ※もはやメロドラマ・・・
第36話 やさしさサヨナラ ★ 宇宙移民計画、カムジンのマクロスシティ襲撃、マクロス発進、三角関係の決着{/netabare}
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★★★(神回)1、★★(優秀回)4、★(良回)18、☆(並回)12、×(疑問回)1 ※個人評価 ★★ 4.5

OP 「マクロス」
ED 「ランナー」


◆制作情報(劇場版)
{netabare}
監督           石黒昇、河森正治
脚本           富田祐弘
ストーリー構成、脚色 河森正治
音楽           羽田健太郎{/netabare}

======== 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか (1984年4月) ======

全1話 ☆ 3.7 {netabare}TVシリーズとは同一キャラ・同一時間軸のアナザー・ストーリー{/netabare}、作画は良いがシナリオいまいち ※約115分

主題歌 「愛・おぼえていますか」


◆補足説明 : 本作の感動の本質について
{netabare}
レビュータイトルにも少し書きましたが、やはり、

戦時下における“日常”の偉大さ・尊さ(※そして、その尊さが敵の心をも動かしてしまうさま)

・・・を描き尽くしたこと、がその本質と推測します。
(※なお、作中では、敵側の心を動かしたのは“文化”である、と明示的に語られていますが、ここでは、我々の“日常”とは“感情生活”のことであり、それは即ち我々の“文化(=精神文化)”の塊である、と強引に解釈します)

私の同様の視聴体験(※戦時下においても淡々と営まれていく“日常”=“感情生活”を描き出す作風)としては、本作より暫(しばら)く前に見た『宇宙戦艦ヤマト2199』の例がありますが、本作の場合は、その感動の度合いが桁違いでした。

因みに、本作の監督を務めた石黒昇氏は、本作以前に『宇宙戦艦ヤマト』(1974年制作の旧作)のアニメーションディレクターとして松本零士氏(監督)を補佐する助監督的な経験を積まれた方で、本作の大ヒットの後に今度は本サイトでも非常に評価が高い大長編アニメ『銀河英雄伝説』(本伝1988-89年、外伝1990-92年)のシリーズ監督を長く務められたそうです。

そして、本作の劇場版アナザー・ストーリー『愛・おぼえていますか』で、石黒昇氏と共同監督を務め、それ以降のマクロス・シリーズの制作に携わっていくことになる河森正治氏も、本作の爆発的人気の源泉であるこの「戦場における“日常”の偉大さ・尊さ」の描き込みを、以降のマクロス・シリーズでも確り踏襲して、現在に至るまで同シリーズのヒット作を産み出し続けているのではないかと推測します。

より批判的に、あるいは現実的に考えれば、敵側にそうした「日常の偉大さ・尊さ」を感じ取り・汲み取るだけの“心”がなければ、こういう甘っちょろい話は成り立たない・・・ともいえるのですが、そこは最早、視聴者の側の“願望”として、「敵もまた、こうしたことの大切さが分かる存在であって欲しい」という“祈り”を織り込んだ作品、としか評価しようがないと思います。

現実は現実として、確り見据えながらも(※作中のマクロス・クルーも{netabare}「敵が本気をだせばマクロスや地球はたちまち滅亡する」{/netabare}とハッキリと覚悟しています)、本作に描かれたような“希望”を、やはり心のどこかに持ち合わせたい、という“祈り”にも似た気持ちを、私たちは否定できないし、また否定すべきでもない・・・ということなのかも知れませんね。

因みに、私の場合、本作の完走以前に、続編となる『マクロス7』(1994年)さらに『マクロスF』(2008年)を視聴してしまい、それぞれ ☆ 3.7 (マクロス7)、☆ 3.6 (マクロスF)という余り捗々(はかばか)しくない評価をしていましたが、本作の完走後に再視聴してみると、それぞれ ★ 4.2 (マクロス7)、★ 4.3 (マクロスF)と、評価が跳ね上がってしまいました。

そういう意味でも、やはりマクロス・シリーズ全体の感動の要(かなめ)は、その第1作である本作の視聴経験にこそあり、以降のシリーズで得られる感動は、その第1作での感動とオーバーラップしてこそ生じるものではないか?とすら感じたほどなので、以前の私のように、本作の序盤の展開の緩慢さ等についていけなくて断念された方にはとくに、なんとか第23話まで頑張って見続けて欲しいと思いました。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 23
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

自分にとって一番衝撃的だったアニメ

レビューになっていないような気がしてきました。独り言だと思ってください(笑)


古くて、作画がひどくて、本格的なロボットアニメ・・・。
見る前のイメージだと大体こんな感じだったので、ちょっと躊躇してました。

でも一目見るとみるみるハマってしまい、古くて作画がダメでも面白いものは面白いんだ、ロボットアニメって面白いなと思えるようになりました。

ロボットの魅力とか歌の魅力とかそこらへんはもう語り尽くされていると思うので………
あれ!?あんまりレビューだと触れられてない…。

なんか勿体ないのでロボットとか歌についても書きます。


先ずバルキリーの三段変形。

戦闘機の形態はファイターと呼ばれ、空中戦闘もキチンと描かれているのがロボットアニメとは違った楽しさがあります。
回転しながら攻撃を仕掛けるなど決して地味に見えないように工夫されていました。
あり得ないような軌道のミサイルが画面狭しと飛び回る迫力は劇場版には劣るものの回によっては見応えあり。


ベタな戦闘機形態のファイターと比べてユニークなのがちょうど戦闘機と人型ロボットの中間形態のガウォークです。

戦闘機から手足が生えたような見た目がとても面白い。ガウォーク状態で地上を滑走して闘うシーンは印象的です。


完全に変形した人型ロボット状態のバトロイド、やっぱりこれが一番カッコいいです。

過剰に装飾や装備がないシンプルな造形美、バイファムのロボットなんかも同じく好きです。


戦闘の最中、状況に合わせてこの三形態を使い分けつつ変形するパターンの豊富さがバルキリーの魅力だと思います。


メカとして戦艦マクロスさえも変形するのが凄いところです。

巨大な戦艦が形を変えて人の形を模する姿はインパクト絶大で、そこから繰り出される‘ダイダロス・アタック’なる力業はそれ以上に圧巻でした。

与えるダメージは大きい代わりにリスクも大きく、反撃を喰らうシーンもあったりして。よく考えられたギミックだと思いました。


歌についてもマクロスはよく考えられています。

ヒロインのミンメイは昭和アイドルの松田聖子や中森明菜がモデルになっているとか?実写のアイドルを二次元化するに当たり、歌の雰囲気もそれに近くなってますね。

今見るとぶりっ子にも見える歌い方が新鮮でした。でも飯島真理さんが歌うとあざとさより爽やかさが上を行く感じです。

屈指の名曲『愛は流れる』を始め、『シルバームーン・レッドムーン』『やさしさSAYONARA 』もしんみりとした良いムードです。

個人的に『0-G LOVE』『小白竜』『私の彼はパイロット』も好きで、ずっと聴いています。

ラブソングとしては0-G LOVEが一番良いと思います。
恋に浮かれて体も宙に浮かび上がってしまいそう。そんな明るい恋心を歌った素敵な曲です。


OPの『マクロス』は羽田さんの音楽性が特に発揮されていると思います。
80年代のアニソンでもこの曲はちょっと独特な、硬派な雰囲気でマクロスのリアルロボット路線を強調しているようです。

ED『ランナー』も聴いていて悲しげなイメージがあります。本編のミンメイソングと巧くバランスが取れているかもしれません。


明と暗、両方の雰囲気を併せ持つ歌はマクロスの持つシリアスでコミカルなイメージに繋がっています。




次にどうして自分がマクロスに魅力を感じられたのか、理由をいくつか考えてみようと思います。

かいつまんで言えばマクロスが描いているのは異星人との邂逅と対立、そして相互理解までの闘いの記録。とでも言えばいいのでしょうか。とにかく一つの大きな戦争が軸となっています。

戦争をフィクションで取り上げる場合、その憎しみ合いの醜さや殺し合いの悲惨さが際立つことが多いと思われます。

でもマクロスでは、人々が平和の中で生きる姿・平和のために生きる姿が活き活きと表現されています。

歌です、愛です、文化です。これらはマクロスにおいて重要なキーワードとなります。

悲惨な場面も数あれど、それ以上に救われる場面(例えば恋愛とか)が印象的でした。

例{netabare}
4話「リン・ミンメイ」映画でも使われたミンメイとの出会いのシーン。艦内に閉じ込められた二人は恋人のように戯れ合う。

8話「ロンゲスト・バースデー」ミンメイの誕生日。突然の敵の奇襲でミンメイへのプレゼントを用意できなかった輝は、自分の勲章を渡す。

11話「ファースト・コンタクト」敵艦に居る中で輝と未沙のファースト・キス。ミンメイはアイドルデビューしてライブを披露。

13話「ブルー・ウィンド」マクロス艦内に侵入した三人のゼントラーディ。スパイ目的のはずが、地球の文化の虜になってしまう。
{/netabare}


戦争を解決する、その結末においても希望を感じさせてくれる解釈。
{netabare}
SF的な、いわばガンダム的な問いかけ『争いはどうすれば無くなるのか?』に対してのメッセージは、全ての生物は元は一つであったこと。そして歌は不滅の架け橋であること。それらを説いて戦争の無意味さを知らしめました。
{/netabare}
あらゆる戦記もので、マクロスの明快な結論以上に素晴らしいものはないです。

まず、その強いポジティブなメッセージ性が魅力の一つです。



キャラクターも、堅苦しいのは一部の人間だけで皆そこら辺にいそうな普通の人間だったのも魅かれた部分でしょう。
特殊能力があるとか、隠れた素質があるとかアニメらしいキャラクターよりも親近感を抱くことができます。

むしろそういった典型である、異常に堅苦しい男カイフンと隠れた才能で一躍スーパースターとなった女ミンメイを差別化する計らいもあったのかもしれません。

主人公の輝は確かに美女二人にモテるのは主人公補正かもしれないけど、それ以外では平凡な男です。
ヒロインの内の一人、未沙も美女である以外は至って平凡。アニメキャラにしては地味すぎるくらいです。

軍人であっても休みの日はショッピングやデートに出掛けるというのは、中々他の作品では見られない光景だと思います。

未沙やミンメイ、輝の心情を深く描いてあるので三人の関係は見応えがあります。恋愛としても、人間ドラマとしても。

その他のキャラも良いお話があるんです。

有名なのはフォッカー大尉とガールフレンドのクローディアの繊細な会話劇が光る18話「パイン・サラダ」。
少ない会話で二人の思い出や関係の深さを思わせる凄さ。
マクロスF17話「グッバイ・シスター」のやり取りの元ネタでもあります。。

マックスとミリアの出会いを描いた24話「グッバイ・ガール」。
シリアスな構図を軽快な、コミカルな雰囲気に変えてしまうキャラとシナリオの作りが見事です。

評判の悪い二部(実質的最終話の27話以降)も、派手さはない代わりに心に響いてくる名エピソードがたくさんありました。特に松崎健一、富田祐弘、星山博之ら三名の脚本には目を見張りました。

28話「マイ・アルバム」 - 星山博之
29話「ロンリー・ソング」 - 富田祐弘
33話「レイニー・ナイト」 - 星山博之
35話「ロマネスク」 - 富田祐弘


どれも素晴らしい、情緒あるシナリオです。




後はスタッフ自身の若々しい感性がこれでもかと発揮されていることです。

当時の若手が集まって新しいモノを作ろう!という気概が強く反映されているため、今見ても新鮮味があるという単純な見解もあります。

80年代の作品は特にそういう傾向が強いと思うんですが、とにかく流行りの要素や見せたい要素を惜しみなく詰め込んであります。

流行りだったアイドルをミンメイに重ねあわせ、只のロボットでは飽き足らず自在に三段変形するフォームを採用し、独自のSFストーリーを展開させる。


生まれた頃からアニメや漫画に溢れていた世代、つまりアニメは表現技法の一つではなくアニメはアニメとして存在していて、アニメを作りたいから業界に入ってきた世代。

伝えたいテーマの表現の手段としてのアニメから、アニメを描く上で最大限映えるためのテーマ作りへの変遷・・・みたいな。

ある意味‘新しい’時代のアニメ。

だから今の世代の人間でも特に違和感なく見られるんじゃないでしょうか。


この頃からアニメスタッフとアニメファンの距離が縮まっているというか、アニメを愛する同志みたいな雰囲気を感じます。

作り手という離れた立場から、一緒にアニメを楽しもうとする視聴者目線の立場まで降りてきた感じ。

正に作り手も受け手もアニメオタクで、そういうオタクシンパシー?に魅かれたということもあるかもしれません。



マクロスはあにこれの評価方式で見れば難もあり点数が低くなってしまいますが、間違いなく80年代を代表する傑作アニメです。

最近マクロスと言えばマクロスFの話ばかりですが、戦記ものであり・愉快痛快なロボットアニメであり・情緒豊かな人間模様があり、そういった要素の配分は初代マクロスが一番かと思います。


蛇足
{netabare}
実はマクロスシリーズの中ではマクロス7が一番好きで、初代はその次です。あとミンメイより未沙派です。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 22

88.6 2 歌手で伝説なアニメランキング2位
ゾンビランドサガ(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (1225)
4580人が棚に入れました
いつもの朝。いつもの音楽。いつもの自分。
7人の少女たちの安寧は、突如崩壊する。
死して蠢く、ゾンビによって……

否応なく踏み込んだ世界、そこは“最高×最悪のゾンビワールド”
少女たちの願いは、たった一つ。
「私たち、生きたい。」
これは、少女達が起こす奇跡の物語サガ。


声優・キャラクター
宮野真守、本渡楓、田野アサミ、種田梨沙、河瀬茉希、衣川里佳、田中美海、吉野裕行、高戸靖広

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ゾンビ女子高生はトップアイドルの夢を見るか?。ゾンビでも腐らない物がある。

 2018年冬、「よりもい」に並ぶ軽みと熱さを両立させた傑作が現れた!。その名も「ゾンビランドサガ」(サガがまさか佐賀だとは誰が予想できたろうか)。


 アニメ大賞を受賞した本作については多くの人が既に書いているだろうから、私が本作のポイントだと思った点を。


 本作はゾンビ+アイドルものという冗談のような企画だが、ゾンビとアイドルという一見ありえない要素をちゃんと真剣に取り組んでいる。真面目に見えていい加減な作品が多い中、冗談のように見えて本気を隠している…。これが真の大人の仕事だろう。


 本作におけるゾンビは、「ブレードランナー」のレプリカントなどに連なる、人間と似ているが違う存在を出すことで人間とは?ということを問いかけるための象徴といえるだろう。


 彼等は肉体は死んでいるが、確かに生きてる。彼等ほどに生きている人がどれだけいようか?。

 
 人として生きているかどうか?それは人として産まれ落ちたかどうかでも、人という静止した状態でもない。それは価値と意味の象徴である目的に生を結びつけて、どれだけそれを燃え上がらせることができるか?、意志の力によってどれだけ人たる存在になることができるか?にかかっているのだ。人とは動的な状態であり、人たる存在にもそれ以下にもなりうるのである。



 本作がアイドル物としても素晴らしいのは、「アイドルマスター」と同じく主人公が極限まで追い詰め、なんで自分はアイドルになりたかったのか?、アイドルとは?という本質まで突き詰めている点にある。


 本作の重要な場面でかかる曲が所謂アイドルソングではなく、熱い応援歌である点もアイドルの本質まで突き詰めた結果だろう。アイドルは単にキラキラ可愛くして、みんなに喝采を浴びるだけの存在ではない。


 愛ちゃんの勇姿がさくらに勇気を与えたように、さくらが愛ちゃんたちに勇気を与えたように、熱い輝きを放つ人は勇気と意志の力を信じさせてくれる、「人」を信じたいと思わせてくる存在の象徴だ。



 本作は滅茶苦茶なギャグと、本質的なテーマ性を両立させるという稀有な事をしているだけでなくなによりキャラの魅力という甘み抜きには語れまい。



 個人的には、サキちゃんの他にはない男気と可愛さの両立の見事さ、そしてなにより史上最高のスーパープロデューサー巽光太郎を成立させている宮野さんの演技の素晴らしさが本作の白眉だったと言いたい。


 2期は夕霧姉さんの過去話、維新の志士みんなに関わってるみたいな嘘八百話だと思ったら本当は一番悲しい運命を背負っている〜的な話を是非やって欲しい。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 54
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

佐賀が舞台の屍(かばね)のSAGAに 目尻下がるは人の性

2018.12.24記


よく言われる「3話まで待て!」の上位互換が「初回から神回」とすれば、本作の場合、

 {netabare}「開始1分30秒!括目して見よ!」{/netabare}

最短記録更新です。

ゾンビ×アイドル×佐賀県と斬新な組み合わせ。よくこれで佐賀県民は文句言わないなと思いきや、広報広聴課と県の支援も取り付けてたり、さすが“はなわ”の自虐を受け入れた佐賀県。度量の深さに敬意を表するものであります。
製作会社のMAPPAしかり、音楽会社母体のエイベックス・ピクチャーズの参画も気になります。実写はめ込みの実験的なED「魔法少女サイト」、湘南乃風起用と合わせて、え!?それEDに持ってくる?の「ぐらんぶる」と本作への関与度合いは与り知らぬものの、音楽表現にも期待です。

大筋のストーリーは、生没年もバラバラな7人(体?)のゾンビが集められて、謎のプロデューサー巽幸太郎の指揮下、ご当地アイドルとして佐賀県の窮状を救うぞ!・・・という話。まともに取り合うには躊躇する内容です。これ説明されて「よし!観よう!」ってなりますか?普通はならんでしょう。
・・・そんな期待値の低さを逆手にとって、冒頭の衝撃で視聴者を巻き込み、その後は予定調和を廃したネタを矢継ぎ早に投入し、とかく目の肥えたヲタ層をも唸らせる一品に仕上がっちゃいました。製作陣は作品のバランスを取るのも大変だったでしょうに。お疲れ様でした。

ある種、素材の化学変化が魅力の作品であるため、面白さに触れるとネタバレ必至のレビュアー泣かせの作品な気がします。冒頭の1分30秒超えて、できれば完走なり断念された方向け、以下の続きを見ていただければと。
ちなみに私は、数ある良作群の中のひとつ。傑作には届かないものの1クールで良くまとめた構成力も好印象なお奨めしやすい一品、と捉えてます。
未視聴の方は、ぜひ「組み合わせの妙」なり「作品全体のバランス」に着目してみると面白いかもしれません。



(1)素材の組み合わせの妙→予定調和でないものと王道のもの
■とことん佐賀?
広告費出したん?と思えるくらい佐賀ネタ満載です。
{netabare}通常ロケハンして風景絵に借用+αくらいで聖地化が可能なところ、・・・骨の髄まで佐賀でした。登場人物の佐賀弁、嬉野温泉含めた各スポットの利用、くらいまでならわかります。そこからさらに、アイキャッチでの観光アピール、TV通販ばりの久光製薬サロンシップ(作中は久中製薬サガンシップw)の効能アピール、ドライブイン鳥のローカルCMロケしたり店長さん出演させたり。ここで店長さんの棒読みを非難するのは無粋というものでしょう。{/netabare}

■キャラの配置
生没年バラバラで生じるギャップと関係性がコメディでもシリアスでも活きてきます。
{netabare}平成アイドル(水野愛)と昭和アイドル(紺野純子)との対比は6~7話の柱。アイドル変遷史をダイジェストで見ているかのようでした。
伝説の山田たえ(ロメロ含む)がいることで、後半のゾンビ臭が薄くなる展開の中でも、ゾンビ作品であることを視聴者に認識させてました。彼女なしではただのアイドルものに見えてたかもしれません。
この配置は絶妙だったと思います。
巽幸太郎は唯我独尊w 宮野真守さんさすがだなぁ、としか言いようない本作のMVP。山田たえ役の三石琴乃さんも助演女優賞でしょう。声なき声を使っての表現の幅の広さはさすがベテランです。{/netabare}

■アイドルらしからぬ楽曲
きゃっきゃうふふのキャラソンにずらしを加えて、作品の魅力に仕上げてます。
{netabare}ゾンビの呻き声とデスメタルの相性の良さは言われてみれば納得するがこれは気づかんかった。その昔、マーティン・フリードマンが演歌とメタルの親和性を説いて唸ったのに近い衝撃を覚えました。これ第1話でしたね。
続いてラップバトル。さくら(本渡楓さん)とサキ(田野アサミさん)きちんとそれらしく聴こえてました。お疲れ様です。そこにボイパを被せるのはHIPHOPの王道ではあるものの、アイドルものでは見たことないし、ゆうぎり姐さんが三味線でカットインする編曲も斬新。これが第2話。序盤この2曲で引き込まれたのは私だけではないはず。{/netabare}

■整合性のなさは勢いで不問にする
火葬文化の日本でなぜゾンビ?と誰もが感じる違和感は、きっちり作中で言及しつつ、「よくわからん、まぁいっか」でスルーする。下手に言い訳しない潔さで、ご都合展開のツッコミが入る余地がありませんでした。そもそもゾンビが架空だからね、っていうツッコミはあるかもしれません。


(2)作品全体のバランスの良さ
6話から趣きが少し変わりましたね。脱予定調和から王道への転換です。
{netabare}ゾンビコメディや佐賀推しの度合いを弱めアイドル成長物語にシフトしていきました。己への向き合い方が“死因”だったりするのが本作の特長です。結果、1クールの中で転調してもしっかり纏まめてきましたね。個人的には前半のノリで押し切ってほしかったのですが、好みの判れるところだと思います。
6~7話は純子と愛。8話はリリィ。9話はサキ、とキャラ掘り下げ回でした。本作ならではの死んだ理由と生前の想い(または未練)に向き合う良回が続きます。それに合わせてキャラソンをあててくるのは王道ですが安心できますね。いずれも良曲でした。
転調で違和感を感じることの無いように特別EDを除き、1話からのEDは継続してましたし、キャラ回終わってからED「光へ」が流れた10回はそのレクイエム調の曲が沁みいる感覚を覚えました。
同じく転調の繋ぎとして安定の山田たえ、巽の存在。そして完成度が徐々に上がってく「目覚めRETURNER」は7話が集大成でした。3話と7話を比べると歌の巧拙含めて違いが見えてきます。{/netabare}

成長物語の定番。“トラブル発生”もおさえてましたね。{netabare}さくらの生前記憶は、実際戻ってみたら、なんとも救いようがなく不憫な記憶でした。{/netabare}
ピンチを救うのはやはり仲間。水野愛(種田梨沙さん)が再浮上してきて種田さん好きにはたまらんかったでしょう。私がそうですから。

{netabare}「失敗とか後悔とかを、全然ダメなことだと思ってないからですかね!」
「それって絶対、次につながることですし」
「そういうの全部ふみこえた先に、誰にも負けない私がいると思ってるので!」{/netabare}

上手くコメディ→シリアスへと軸足を移しながら、ステージの山場を2回{netabare}(7話「目覚めRETERNER」エレクトリカルVerと最終話「FLAGをはためかせろ」){/netabare}盛り込むなど、アイドルものとしてもしっかり仕上げたてんこ盛りの全12話でした。

ゾンビ×アイドルの組み合わせに“はあっ?”となったのも今は昔。キャラ掘り下げ回の題材に『死』が絡まざるを得ないこの異色の取り合わせが結果的に効きまくっており、“ゾンビ×アイドル?ええじゃないか!”と完走する頃には考えを改めていることでしょう。



繰り返しになりますが、序盤のカオスさ加減を維持したまま突っ走って欲しかったので、その点は残念です。それでも失速とは感じさせなかったスタッフの力量には感謝!
どう考えても2期を期待させる終わり方で、続きがあるならぜひ観たいです。
ソンビ映画あるあるの“続きがあると見せかけてその後音沙汰なし”みたいなのは、今回に限っては要らないですよ。


{netabare}・幸太郎がさくらの同級生っぽいシーンのあれって何?
・ゆうぎり姐さんの首周りの傷やもちろん伝説の山田たえの掘り下げは壮絶なものになりそうとの期待
・ゾンビバレするのか?あの記者の立ち回りで話は大きく展開しそう。愛とアイアンフリルとの邂逅は想像するだけで切ない{/netabare}

謎の種明かしというより、話をもっと膨らませられるネタが豊富という意味で続編に期待です。



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2019.06.08追記

■どうやらアニメ『神撃のバハムート』の登場キャラ“リタ(CV沢城みゆき)”がモチーフになった、とその後風の噂で聞いた。

■キャラソンもキャッチーかつJPOPへのオマージュがみてとれて好感。
・リリィ曲{netabare}:さだまさし{/netabare}
・サキ曲{netabare}:気志團{/netabare}
さしずめ『目覚めRETURNER』は{netabare}Perfumeだってみんな思うよね。{/netabare}




視聴時期:2018年10月~12月 リアタイ

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2018.12.24 初稿
2019.06.08 追記
2022.06.02 修正

投稿 : 2024/12/28
♥ : 97

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

第1話冒頭のインパクトは過去最強クラス!?

アニメオリジナル作品。

第1話冒頭のアノ場面。
思わず声が出ちゃいましたねぇ(笑)
インパクトありすぎでしょ。

第2話くらいまでは、とても楽しそうに演じておられる宮野真守さん”だけ”が印象的な作品。
”ゾンビ”と”アイドル”という、相容れないモノのギャップを楽しむ作品。
その程度の認識でした。
正直、色物枠だと思っていました。

だけど、【良い意味で】完璧に裏切られちゃいました。
コメディとシリアスのバランスの良い、名作でした。

しっかりとした物語。
安定した作画。
声優さんもとても良かったです。
OP/ED、挿入歌も、申し分ありません。

アイドル育成系としても、史上最強クラスと言っても過言ではないレベルの作品です。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 105

65.3 3 歌手で伝説なアニメランキング3位
LOST SONG(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (149)
558人が棚に入れました
田村ゆかり、鈴木このみ、ダブル主演で描くオリジナル王道ファンタジー。

緑豊かな辺境の村に住むリンはちょっと食いしん坊で元気な女の子。一方、華やかな王都の歌姫・フィーニスは王宮の奥深く、孤独な毎日を過ごしている。2人には他の人間にはない、特別な力がある。傷を癒し、水を作り出し、風を起こすさまざまな奇跡を生む“歌”を歌うことができるのだ。

運命は、歌の力を持つ2人を、それぞれ過酷な旅へ誘う。戦争の影が王国を覆いつくすと奇跡の歌の輝きさえ血の色に染まってゆく。愛する者たちの命が奪われ声なき悲鳴が石牢に響く。

2人の運命が交わり、最後に歌われる歌は絶望か、希望か、それとも……。

声優・キャラクター
鈴木このみ、田村ゆかり、久野美咲、たかはし智秋、山下誠一郎、瀬戸麻沙美、芹澤優、茅野愛衣、小山剛志、鈴木裕斗、小形満、糸博

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

歌で魔法を使うよ!(第8話: 前半しか観ていない人には超展開(笑)。そして物語は怒涛の終末へ…。「怪作」でしたが、私は好きです!)

魔力っぽいものを持った人が呪文詠唱の代わりに歌で魔法っぽい力を使える設定のファンタジーもの。

リンとフィーニスの二人がこの力を持っているようです。第1話冒頭の感じでは少なくとも王国に他の「歌姫」はいないっぽいですが、交戦中の敵国などに同様の能力者がいるのかどうかはわからないまま第4話まできています。

吟遊詩人の竪琴とパーカッション姉妹で、歌以外の楽器演奏が入ってきたので個人的には楽しみが増しました。

わりと面白いけど、エンジンのかかりが遅い感があって、既に切った人がいるかも?

キャラの動きの付け方がちょっと面白い。笑わせにきてるのかな…?

== [全話観終わっての総評] ==(2016.6.26)
終わってみれば結構壮大なファンタジー。今のMAGES.の底知れなさを感じる「怪作」でした。

歌を柱としたストーリー展開している本作品の性格上、音楽面での充実は素晴らしいと言えます。私は多くの楽曲でボーカル付きでも基本的には伴奏楽器の方が気になってしまう人ですが、『LOST SONG』ではボーカルが楽器として機能するような「歌」としての力を強く感じる楽曲が多くて印象的でした。

リンに鈴木このみを起用したのは大正解じゃないでしょうか。この人は基本的には歌手なんですけど、本作での声優としての演技を観ていてミュージカルとかの方面に進んでみても案外面白いんじゃないかと思いました。

ストーリーに関しては、私が一番「こういう話を作れる人は羨ましい」と思う感じの超展開でしたね。私が何か考えると、「あれだけ巨大な衛星が接近したらぶつかる前に潮汐力とかでもう地上壊滅やん」とか余分なことを考えすぎて、こういった展開は回避してしまうと思うのです。

でもその一方で、面白いファンタジー作品にするにはきっとこういった大胆な展開は必須だとも思っていて、一視聴者としては物語を堪能させていただきました。

最後まで、シリアス展開の中にもコミカルな描写はぶっこんでくる演出は健在でしたね。この点は好き嫌いが分かれるかもしれません。(私は好きです。)
== [以下、放送期間中の追記] ==
2018.5.20追記:
第7話: けっこうな勢いで人が死ぬアニメでしたね。まあ、そもそも第1話から死人は出てますけど。今回は鬱展開。

2018.5.29追記:
第8話: 第6話だったかの後の予告映像みたいなものの真相が明らかになりました。うーん、そういう話だったか、作中経過時間長いな(笑)。

ということは第9話以降がようやく本番…?

2018.6.26追記:
全12話を視聴完了。最終回で、サブタイトルではなかったですが無事に作品タイトルを回収しました。

特記事項: 地上波で観ていた人には本編とCMの融合による驚きの演出がありました。こんなことされたら、CM編集できひんやんか…(笑)。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 32
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

失われた歌の力、その結末をたどる物語

【8話まで】
フィーニスとリンのダブルヒロインによる恋もちょっと描いたファンタジー。その認識は間違いなかったのですが、まさかの展開に驚きと見ていてよかった感がある作品になりそうです。

歌の力によって世界を変えるという、とってもファンタジーな話です。キャラも他の作品と比較して、これって言う強調できるものもないでしょう。リンは真っ直ぐで主人公タイプ。フィーニスは優しいお嬢様気質で世俗に巻き込まれてしまうという、どこかで見たような設定でした。

国同士の戦いに巻き込まれるフィーニスと、首都を目指して進んでいくリン。いつか交わって平和になって幸せにで終わりだろうと思っていました。まさかあんな下地があるなんて夢にも思わなかったです。振り返ると確かに{netabare}ヒロイン同士の物語がちぐはぐに繋いでいるし、時間軸の違う伏線ぽいのが散りばめられていました。まさかフィーニスがループとはね…{/netabare}ただし、これは8話を見て、1話から見直してみて分かったこと。うまく作ってたんだと感心です。1話冒頭へのつなぎがシュタゲみたい。あと{netabare}自分の思い描く世界までループというのは封神の女カ(漢字が出ない…)のそれに近いかな。といよりそれだ。{/netabare}

ここまでが壮大な前フリで、残りが本編という、実に贅沢なつくり。というか、序盤で切った人多いだろうな…。刀使巫女といい、BEATLESSといい、これもだけど前フリが長すぎ。終わってから見ていてよかったと感じる作品は嫌いではありません。円盤とかまとまったら一気が良いかもしれません。
とはいえ、残りがつまらなかったお話になりません。楽しみにして残りを見ます。

【視聴を終えて】
物語が本筋に入ってからの流れは秀逸だったと思います。フィーニスとリンの関係、リンの過去、じっちゃんの過去、アルの成長、レオボルト対バズラ、ポニーの正体等々、かなり厚く展開しました。また、絶望と癒しの繋がり、最後の決戦とその後もよく考えられて作られているなと感心仕切りでした。

最後の{netabare}フィーニスの妊婦姿、視聴者の想像を掻き立てる終わり方がなんとも。いったい、誰の子だったんでしょうね。はじめのレオボルトの子、絶望の闇に飲み込まれて時が止まり、リンとの邂逅で再び動き出したというところなんでしょうか。面白い締め方です。{/netabare}

全話視聴して初めて面白いと実感できる作品ではないかと思います。単なる歌ものではなく、人物たちの背景が丁寧に描かれ、時間軸の動きも無駄がありません。1クールをきちんと使い切った良作です。なかなか話題にはなりませんでしたが、隠れた名作として好きな人に伝えられていく感じかもしれません。興味のある方はぜひ、全話一気見をお勧めします。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 20

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

2大歌姫による幻想叙事詩(ファンタジーオペラ)

この作品は、ライデンフィルム×ドワンゴが共同制作したオリジナル作品だったみたいですね。
物語を完走してから公式HPを見に行きました。
本レビューのタイトルに引用させて貰った「2大歌姫による幻想叙事詩」は、公式HPに記載されていたモノです。
この作品で「2大歌姫」に抜擢されたのは、ゆかりんとこのみん…

完走して思うのは、2大歌姫は選ばれるべくして選ばれたお二人だった…ということです。
ゆかりんの実力は言うに及ばず…ですよね。

このみんの実力…声優として主役を演じるのは本作が初めてです。ですが、それでもこのみんが主役の座に就けたのは、歌手としての類まれなる才能にほかなりません。
「さくら荘のペットな彼女」「ノーゲーム・ノーライフ」「Re:ゼロから始める異世界生活」は彼女が主題歌を歌った作品のほんの一端ですが、どれも超人気作品であるにも関わらず、主題歌の旋律が今でも鮮やかに甦ってきます。
さくら荘に至っては、放送されてから6年も経っているというのに…

だからタイトルにも「歌」が入っていることからも容易に想像できますが、本作品では歌をとても大切に扱っています。
その大切さが視聴者にハッキリ伝わってくるのが、この作品の魅力の一つだと思います。

この物語の主人公は、とある村で祖父、姉、弟と一緒に暮らすリン(CV:このみん)という少女…
彼女は歌を歌うのが大好きで、いつか大都の宮廷楽団で歌うのを夢見ていました。
そして彼女は、とても不思議な力を持っていたんです。
その力とは、傷付いた身体を歌で癒すことのできる、まるで奇跡の様な能力…

ですが、彼女の歌の能力は…この時代にとって諸刃の剣でもあったんです。
彼女の能力を喉から手が出るほど欲しい人は決して少なくありません。
従って、存在と能力が明かされた先で彼女を待っていたのは、自身が追われる立場になったことと、周りのみんなを危険に巻き込んでしまうという2重苦だったんです。

一方、この国にはリンと同じ奇跡の歌を歌る女性がもう一人いました。
その女性は、歌で様々な奇跡を起こし、国民から「歌姫」として慕われているフィーニス(CV:ゆかりん)です。
リンとフィーニス…お互いの持つ奇跡の力によって、物語は大きく動いていきます。

リンとフィーニスは、共に奇跡を歌を歌うことができますが、二人の置かれた状況が違っていたことがその後の事態を大きく分けることになります。

一番の違いは二人を取り巻く人の輪です。
リンは逃亡生活を続けながらも、その道程で協力者を得ていくのですが、フィーニスの周囲…ふと気が付くとほんの少し前とは雲泥の差を如実に感じる状況にまで陥っていたのです。
悔しいのは、彼女自身の撒いた種なら諦めも付きますが、国民から「歌姫」の称号で慕われている彼女が、自ら孤立を願う筈なんてある筈がありません。
全ては仕組まれていた罠だった…というのが正解でしょう。

本当の違いはこの先…
前に進もうと一歩を踏み出す時、周りに仲間がいたらその一歩が正しい方向に向かっているかを見てくれています。
だから間違っていたら、ちゃんと間違っているとい言って貰えるから、前に進めるんです。

でも、一人だったらどうでしょう…
迷ったとき、誰も手を引いてくれなかったら路頭に迷ってしまいます。
心に拠り所が無ければ、耳障りの良い言葉が脳内に流れ込むことだって十分あり得ると思うんです。

この違いが引き起こした顛末は…簡単に言葉にできない状況が視聴者を待ち受けていました。
空気を引き裂くような叫び声が、心が折れて…壊れたサイン…
人は罪をどこまで背負えば良いのだろう…?
これまで奇跡で多くの人を救ってきた…その見返りを求めてはいけないのでしょうか?
残酷な仕打ち…怒ってはいけないの…? 嘆いてはいけないの…?
諦めてはいけないの…?

ここで歌姫が2人いる理由が明らかになるのですが、ここから先はハンカチ・テッシュが欠かせない状況に物語が突入していきます。
これ以上無い奇跡を目の当たりにして幸せな筈なのに…乗り越えて嬉しい筈なのに、どうしてこんなに悲しみが溢れるんだろう…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、このみんの「歌えばそこに君がいるから」
エンディングテーマは、ゆかりんの「TEARS ECHO」と「終滅の歌」
どちらも歌姫の名に恥じない楽曲だったと思います。
個人的には明るく躍動感のあるオープニングの方が好きだったかな。

1クール12話の物語でした。
エンディングの受け取り方は、きっと人によって様々だと思います。
色んな思いを馳せられるような構成になっているから…
願わくば、悲しみのまま終わることなく、希望に満ち溢れる明日が迎えられますように…

投稿 : 2024/12/28
♥ : 11
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