2022年度の東京アニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の2022年度の東京成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月08日の時点で一番の2022年度の東京アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

78.0 1 2022年度の東京アニメランキング1位
すずめの戸締まり(アニメ映画)

2022年11月11日
★★★★☆ 4.0 (289)
1041人が棚に入れました
九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、
「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。
彼の後を追うすずめが山中の廃墟で見つけたのは、
まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、
古ぼけた扉。
なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが...

やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
その向こう側からは災いが訪れてしまうため、
開いた扉は閉めなければいけないのだという。

――星と、夕陽と、朝の空と。迷い込んだその場所には、
すべての時間が溶けあったような、空があった――

不思議な扉に導かれ、すずめの“戸締まりの旅”がはじまる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

扉とロードムービーの効果により格段に見易くなった新海誠監督作品(追記:“最後の戸締まり上映”いってきました)

半年のロングランの末、5/27(土)の終映に向け、
“最後の戸締まり上映”と銘打ったラストスパートを仕掛けてきた本作。
ラスト2週は新規来場者特典に加え、後々の映像ソフト化、配信も睨んで、
のべ273カット(全体の1割くらい?)に調整を施したリテイク版を上映。

私も『君の名は。』同様、2回目の鑑賞を終映直前、小さなスクリーンで、観客私も含め2名。ほぼ貸し切り状態で行ってきました。

公式が発表している主な修正箇所としては……
光、水しぶき等のエフェクト強化。
新幹線内の乗客にマスク装着を追加。
(本作の舞台は2023年9月頃。震災だけでなく、コロナ禍をも歴史として記憶しておきたいとの監督の意向を反映し、数カ月後のマスク装着率をぷち未来予測)

など事前に言われなければ分からない微細なクオリティアップ。

私が一番、変化を感じたのは音響。
本作の劇伴は、繊細な心情曲中心のRADWIMPSと、パワー型の戦闘曲中心の陣内 一馬氏の共作体制。
一回目の鑑賞では、両氏のBGMの“段差”が引っ掛かっていましたが、
リテイク版ではBGMの入り方も調整されたのか、より切り替えがスムーズになった印象。

再見して改めて思うのは、本作は賛否を恐れず時代を切り取りに行った価値ある挑戦だったということ。
興行も残り10日余り。
まばらな客席で、静かに、あの震災について、過ぎ去った日本の“青年期”について、
思いを馳せてみるのも一興かと思います。




以下2022/12/14初回投稿レビュー。

IMAXで劇場鑑賞。

【物語 4.5点】
危なげなし。

内容は新海誠監督作品の再生産、集大成。
今回は骨格となる設定が強固で安定感がある。

従来作では、ここはファンタジー志向なのか、リアル志向なのか。
どう構えたら良いか分からず、暴投&捕逸(パスボール)が散発する傾向もありました。

しかし本作の場合は、道中の日常シーンは旅情と人情。廃墟の扉が開いたらファンタジー。
場面の切り替えが設定で信号化されており、折り合いが付きやすい。

ファンタジー体験で一皮むける青春ジュブナイルでもある同監督作。
これまでは、そこでいきなり主人公&ヒロインの深層心理をぶつけてくるなんて危険球w
という場面も散見されました。
けれど今回はロードムービー。
旅先の出会いを通じて徐々に心が解きほぐされる。
手順を踏んだ上で主人公たちが囚われている、語り辛いトラウマを明示し浄化する。
同ジャンルには確立された文法があります。
あとはそれに則り手順を追って心情描写すれば、とっ散らかる心配はありません。
私は終始、首肯しながら完走できました。
普段はフォアボール出しながらも何とか……というピッチャーがスルスルと無四球完投して驚かされた感じw

このロードムービーはヒロインだけでなく時代のトラウマにも果敢に挑んで来ました。
ネタバレレビューを読む
本作は日本人が時代を鎮魂する物語でもあるのです。


【作画5.0点】
光を反射する埃まで描き込む緻密さは健在。
旧来こうした情景描写は、人の気持ちなどお構いなしに過ぎ去る四季の冷酷さなどを反映して来ました。
ところが今回は監督が小説版でも言及している通り、旅先の生活空間に漂う“匂い”を重視。
全体的に部屋の空気が温かいです。
“飯テロ”も料理の描き込みによる力業ではなく、空間全体で丹念に誘導。
ネタバレレビューを読む

躍動する小物も印象的。
椅子にされてしまった「閉じ師」は言うに及ばず。
ヒロインが走り抜ける際に倒れる小物など、
物にもアクション演技をさせることで映像にリズムを生み出しています。


【キャラ4.0点】
ヒロイン・鈴芽が、道中、働く同世代少女や年上のお姉さんに触れ合うことで自分と向き合っていく。
スタッフ公言通りの『魔女の宅急便』をオマージュしたキャラ設定。
叔母の環(たまき)さんはオソノさんポジションでもあるのです。
ただオソノさんは妊婦でしたが、環さんは鈴芽にいい加減、彼氏作ってくれないかな~とウザがられる育ての母。
そういう意味でも、環さんに片想いの稔さんはアタック&ゴールを決めるべきなのですw

『魔女宅』と言えば猫。
ですがダイジンはジジというよりキュウべぇと言っても過言じゃない倫理観を共有できないタイプw
このわけがわからない感じが段々と病み付きになってくる不思議もQBw
余計なお世話ですがダイジンを楽しげに演じる子役の将来が心配になりますw
ヒロイン心情などに関しては割りとスッキリと完結する本作において、
ダイジンは残された謎の象徴であり、考察の起点となるキャラクターでもあります。
ただし私はネタバレレビューを読むの方が好きです。

【声優4.0点】
ヒロイン・岩戸鈴芽役には若手女優・原 菜乃華さんを1700名超の中から抜擢。
「閉じ師」の青年・宗像 草太役にはSixTONES・松村 北斗さんをオーディション選抜。

近年、映画界では実写とアニメの中間領域開拓が進展。
その中で、声優より俳優の方が合っていると感じる作品も出て来ています。
湿度高めの旅情、家族愛などを描くこのロードムービーもまた、
濃厚なキャラを提供する声優より、湿っぽい実写邦画・ドラマ出演経験のある俳優の領分という感じがします。

加えて松村 北斗さんに関してはジャニタレとしてのコメディ対応力も買われての起用。
椅子キャラギャグの瞬発力でタレント能力も引き出されていたと思います。

声優関連ではTVアニメ版『映像研』の伊藤 沙莉さんがルミ役で出演してますが本職は俳優。
新海監督も好きな花澤 香菜さんも出ますが、彼女もキャリアのスタートは子役。

この作風に対して“ちゃんとした声優”を出せというのは筋が違うのかなと感じます。
むしろ今後、声優界が、こうした俳優・タレントの縄張りに、割って入れる役者をどれだけ生み出せるかということなのだと思います。


尚、神木 隆之介さんは今回も出ます。
瀧くんとは違う性格のキャラボイスだったので、事前情報なしで挑んだ私には分かりませんでした。
『シンエヴァ』で奇襲して来た時も驚かされましたが、この人、潜伏するの上手いですねw

【音楽4.0点】
劇伴はRADWIMPSがピアノ&ストリングスで心情曲を。
新海作品は初となる陣内 一真氏が金管や和楽器でアクション、ホラーテイストなど、
ラッドに不足するパワーを補う共作体制。
陣内氏がジャズでスウィングするコメディシーンも中々斬新ですが、
従来作に慣れたファンは面喰らう可能性も。

風味の異なる両者のBGM切り替えもまた日常&非日常のスイッチとして機能。
ただ私はこれが最適解ではないとも感じました。

ラッドの繊細な音色で掘り下げる心情も捨て難いのは分かります。
ですが個人的にはラッドは歌に専念して、
劇伴は信頼できる方を決めて一任するのが良いと思います。


EDを始め主題歌&劇中歌はRADWIMPSが続投。
その中で、作品を象徴する「すずめ」には女性ボーカル・十明をSNSから発掘して迎える。
SNSを通じて見る日常も織り込まれた本作らしい起用。

昭和の懐メロが流れるのも特徴的なこのロードムービ。
露骨だなと思ったのがネタバレレビューを読む
タイムリーヒットだったのがネタバレレビューを読む
こんなストレートに状況を捉えるヒット曲があるなんて昭和の歌謡界は奥が深いですw

投稿 : 2025/03/08
♥ : 42

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

映像、音楽、ストーリィ展開、全てに満足しました

新海監督の映画を多く見てきましたが、この映画が最も素晴らしかったと思います。
映像、音楽、ストーリィ展開、全てに満足しました。

但し、東日本大震災や阪神大震災が物語に含まれていますので、見たくない方もおられると思います。
映像や音響効果が、あまりにも迫力ありすぎるのです。
被災者の方が見られる際は気分が悪くなられるのでは…、と危惧しています。


主人公の岩戸 鈴芽(いわと すずめ)は宮崎県に住む女子高生。
ひょんなことから(実はすずめが年上の美男子が大好きなので)、すずめは青年(?)と一緒に愛媛、神戸、東京、そして東北へと旅をします。
旅をすると言っても、恋愛要素は全くありませんので安心してください。

旅の目的をすずめは理解しているつもりでした。
でも、旅の真の目的をすずめが理解したのは、旅が終わるときでした。
実はこの旅には、深い意味があるのです。

旅の途中ですずめは、いろんな人から優しさを分けてもらいます。
その優しさは、とても心地よいものでした。
そして知らず知らずのうちにすずめは、大きな愛情を各地の人々に与えていたのです。

だから、この物語は優しさを与え合う物語でもあるのです。

そういえば東日本大震災のとき、日本じゅうの心が一つになりました。
誰もが募金をし、たくさんのボランティアの方々が被災地で活躍された…
確かにあのとき、日本中の人々が優しさを分かち合ったと思います。


新海監督の映画だけあって作画はこの上なく美しい。そして迫力があります。
それに今回は音響効果も抜群で、開始10分ほどで映画に没頭しました。
しかも物語の内容も、丁寧で奥深い考慮がされていました。

この映画は多くの人にお勧めします。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 40
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

あの日の星空(追記しました)

[2023.9.30追記]
2回目鑑賞したのであらためて感じた・思ったことを書きたいと思います。

ネタバレレビューを読む

[2023.9.24初見感想]
劇場公開時、あの新海監督最新作ということで宣伝はよく見かけてたし、君の名はも天気の子も劇場で見たので、見ようか迷いましたが、結局見に行かず、今回配信で見ました。

作画、相変わらずすごく綺麗ですね!
雨や水のシーンが多いのも新海監督ならではかも。

緊急地震速報は心臓に悪いです・・
お話の中のことってわかっていてもドキっとしてしまいます。

メインテーマ曲のルールー・・とかルージュの伝言とか白猫とかジブリっぽいなぁって。
これたぶん狙ってますよね。
いままでの新海監督作品に比べて尖った部分が少なくなってきた感じがしました。
悪いことではないですけど、個人的には初期作品みたいなのも見たいなぁ。。

すずめのネタバレレビューを読むシーンがとても胸にきました。

もうあれから12年経つんですね・・

震災の記憶はおぼろげになってきていますが、強く印象に残っているのはあの日の星空がすごく綺麗だったこと。
普通は街のあかりで星はほとんど見えないのですが、満天の星空でびっくりした記憶があります。

震災では知り合いが亡くなりましたし、私自身も色々と大変でしたけど、なぜか一番覚えているのはあの星空なんですよね。
そうやって人は前に進んでいくのかな。。
私もすずめも。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 37

68.0 2 2022年度の東京アニメランキング2位
バブル(アニメ映画)

2022年5月13日
★★★★☆ 3.6 (84)
284人が棚に入れました
世界に降り注いだ泡〈バブル〉で、重力が壊れた東京。
ライフラインが断たれた東京は家族を失った一部の若者たちの遊び場となり、ビルからビルに駆け回るパルクールのチームバトルの戦場となっていた。
ある日、危険なプレイスタイルで注目を集めていたエースのヒビキは無軌道なプレイで重力が歪む海へ落下してしまった。
そこに突如現れた、不思議な力を持つ少女ウタがヒビキの命を救った。そして、2人にだけ特別な音が聞こえた・・・。
なぜ、ウタはヒビキの前に現れたのか。2人の出会いは、世界を変える真実へとつながる。
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

美しい廃墟

荒木哲郎×虚淵玄、WIT STUDIO制作、
劇場公開前、先行独占配信。

世界に降り注いだ未知の泡で、
重力が乱れ、水没し廃墟と化した東京。
特殊な才能を持つ少年とその仲間は、
不思議な少女と運命的な出会いをする。

疾走感溢れるパルクールの表現と、
縦横無尽のカメラワークが気持ち良い。
美麗な泡の世界と重力の歪み、美しい廃墟。
見応えある映像美を、堪能できます。

ただ物語は人を選ぶでしょう。
ネタバレレビューを読む

とはいえ、公式にもある、
重力は壊れた、好きに跳べ、には、
その表現に相当な説得力があります。

再生と崩壊を繰り返す街の風景や、
ネタバレレビューを読む

お時間のある方は確認して下さい。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 27
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

【コメント辛目】若者の無茶を危険だと止めずに見守るのが大人の役割

劇場版公開前に武田 綾乃氏(『響け!ユーフォニアム』原作小説など)のノベライズで物語を押さえた上でのドルシネ鑑賞。

【物語 3.5点】
アニメーションの力を信じる余り、説明を削ぎ落とし過ぎて、鑑賞者が落下(フォール)する恐れ。

プロデューサー・川村 元気氏が荒木 哲郎監督作を一般層にも認知させたいと立ち上げた企画。
「降泡現象」により重力崩壊&水没した東京を舞台に、
近年のアクション映画で定番となったパルクールを、
より過激に競技化した「バトルクール」を軸に鑑賞体験をアトラクション化し、万人受けを狙う。

その上に現代版『人魚姫』を展開するが、
脚本・虚淵 玄氏によるSF設定の根幹も、主人公&ヒロインが恋に落ちる過程も、
言葉にせずにアニメーションで伝えようとするため、
一般受けを目指しながら、結局、何気ないカットから考察するマニア層じゃないと喰らい付けないミスマッチ感。

例えば泡(バブル)の正体についても……(※核心的ネタバレ)
ネタバレレビューを読む
などと小説版では詳述されますが、劇場版では映像での示唆が大半。

【作画 4.5点】
アニメーション制作・WIT STUDIO

浮遊する瓦礫や列車を飛び回り、時に足場が崩れたり、
泡(バブル)に至っては、踏んでみるまでどの方向に重力が働くか、弾けるか分からないスリル。
さらに水面に落ちたら生きて帰れない渦潮「蟻地獄」。
そこをパルクールでとなると高度なカメラワークが必須。
が、ここはWITも勝手知ったる立体機動。
自主練でスキルを積み上げたヒビキ、猫を彷彿とさせる野生児・ウタとスタイルを描き分けつつ、
東京のビル群をかいくぐる「バトルクール」映像はスクリーンで体感する価値あり。

ヒビキ&ウタが一言も交わさなくとも、共にパルクールで汗を流す内に、
恋に落ちていくアクション動画も、アンテナを張った人には感知できる。


泡(バブル)、球体、細胞、目玉焼き、星々、泡宇宙。

渦、巻き貝、ヒマワリ、ブラックホール、銀河系。

相似形による考察材料の明示はできているので、
誘導に従い思索すれば、方向性は間違えないとは思います。

【キャラ 3.0点】
水没した東京に不法滞在し「バトルクール」に興じる若者たち。
それは外の世界での生き辛さ故。

が、その若者たちの生き辛さに具体性が乏しく共感度がイマイチ。
唯一、主人公ヒビキについては、ネタバレレビューを読むと回顧されるが、
生き辛さというより、先天性疾患からくる特殊例という誤解が生じやすいキャラ設定。
注意深く見ればラスト……ネタバレレビューを読むから、
ヘッドフォンも外部の音を遮断するというより、
周囲とのコミュニケーションを絶つためのツールだったと察知はできますが……。

若者たちの乱心を「バトルクール」の競技ルール整備を通じて発散させたのが
元カリスマ・パルクール競技者のシン。
レビュータイトルは若者の無謀を見守るシンの語りから。
マコトさんとの会話シーンは小説版だとさらに深いのですが、
劇場版では最低限のやり取りに削減。う~む……w

【声優 3.5点】
メインは俳優タレント陣。

脇は宮野 真守さん、梶 裕貴さん、畠中 祐さん、千本木 彩花さん。
荒木監督作品の主役声優同窓会の様相。


ヒビキ役の俳優・志尊 淳さん。
自己表現が苦手だけど、詰まった心情が滲み出る声色を最大限活かそうと、
クライマックスの収録にて、実際にネタバレレビューを読む動作を入れながらアフレコするなど、
俳優としてのチャンネルから演技力を引き出そうと苦心。

ウタ役のシンガーソングライター・りりあ。さん
演者とEDも含む歌い手の一致。
さらに声優初挑戦の彼女が演技を体得していく過程と、
野生児から言葉を覚えていくウタちゃんの生態とのリンクを狙った思い切った抜擢。

その他、マコト役の広瀬 アリスさんも大人の味を出そうと奮闘してはいましたが……。

正直、例えば主演・畠中さん、ヒロイン・千本木さんの『カバネリ』夫妻じゃダメなんでしょうか?
との私的欲求を払拭するまでは至らず……。
千本木さんのウサギ役の少年ボイスが明快で、マスコット感が良好だったので尚更そう感じました。

【音楽 4.0点】
劇伴担当・澤野 弘之氏。
相似形を並べる作画同様、シンプルに4音で構成された学校のチャイムから発想したという
泡(バブル)のハミングをメインフレーズとして各楽曲、楽器に割り振り一貫性をフォロー。
長尺パルクールでは、適宜、楽器パートを抜いたり付加したりしながらメロディを繋ぎ、没入感を持続。

劇場版OP主題歌はEveがUta(りりあ。さん)をゲストボーカルに迎えた「Bubble」
トランスをアレンジした疾走感溢れるメロディの中に物語の核心を捉えた歌詞を乗せる。
動画配信中のAMVの作品要約が優秀なのも相変わらず。

ED主題歌はりりあ。さんのネタバレレビューを読む
本編完走してから曲名知って欲しい気もするので敢えて伏せておきます。


【感想】
鑑賞中、大人たちが若者の無茶に向き合う関係性を見ていて、
日本の都市における子供の遊び場、公園の少なさを嘆くニュースを思い出しました。
泡(バブル)は最後、ネタバレレビューを読む
共同体に冒険する異分子が発生した時、受け入れて新陳代謝できねば社会はやがて壊死する。
破壊と再生の物語から、そう問われているようにも感じました。


【余談】
本作もまたコロナ禍により難航した企画。
緊急事態宣言で東京の街中から人が消えたのも、東京五輪の感染対策にバブル方式が採用されたのも本作の企画後。
ついでにEveが『呪術』OPで一発当てたのも本作タイアップ決定後だったそうで。
現実の数奇を感じるエピソードです。

それよりも私は、アニメーションによる伝達能力の過信、相似形多用による迷宮入りのリスクなど、
川村 元気氏が新房 昭之監督作品を一般層に紹介し損ねた印象の『打ち上げ花火~』のデジャブが(苦笑)
私も小説版先に読んでなければ危なかったと思いますw

投稿 : 2025/03/08
♥ : 23
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人魚になった長門有希。素直に見るとかなり面白いです。

 23年9月 3回目の視聴をしました。人魚姫のオリジナルをちょっと調べたところ、王子を殺せば人魚に戻れる、という設定があるようですね。そう考えると、ラストシーンの説明はわかるような気がします。

 そして、世界に降り注いだ泡は反文明的なものの象徴、そして、聞こえすぎる主人公の「聞こえすぎる」とは、おそらく本質が分かるということか、人の気持ちがわかるということでしょう。
 ウタの歌が聞こえたはボーイミーツガールの構造ですが、ポイントはなぜウタにアイデンティティが生じるとそこが特異点のようになるかです。

 メタ的にみれば、世界でいち早く「バブル崩壊」が起きて失われた30年=時が止まったのが東京ですから、そのレイヤーでみれば分かりやすいアナロジーです。
 が、文明の終わりをウタが守ったととると、宇宙意思が地球を滅ぼそうとしたけど、ウタとヒビキが出会うことで地球を守った…でも、いずれは滅びるけど、今はもう少し時間を貰ったととも取れます。

 ただ、そういう考察は一回忘れて、長門有希(「涼宮ハルヒの憂鬱」のキャラ)=情報統合思念体の対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースが、人魚=ウタであると、素直にとるのが自然な鑑賞の仕方かなあとも思います。1回目は綾波レイとの類似性を考えましたが、設定とキャラ的には長門有希です。

 滅びと再生のサイクルという大上段の設定があるし、泡沫(うたかた)という言葉の通り、命など宇宙から見れば微々たるものですが、それでも恋愛はしようよ、ということ。いつかどんな形かわかりませんけど、ウタとヒビキはどこかで再会するでしょうという、ある意味ハッピーエンドの人魚姫とも言えます。

 そしてこうやってとらえると、東京が再生してもおかしくないでしょう。文明など所詮は泡沫です。

 あまりテーマにこだわりすぎて「宇宙人魚姫」という恋愛物語を忘れてしまうとこの本作をとっつきにくく、つまらないものと捉えてしまいまそうです。せっかく人魚姫を強調しているのだから、素直にそう見るとかなり面白い映画だと思います。
 もちろん含意としていろんな考察はできますし、その方面から見るのも正しいとは思います。2回、3回見ても十分深さがあると思います。

 評価は22年5月で4.0でしたが、4.3に。ストーリーを3.5から4.5に。キャラは4.0から4.5に。作画・声優・音楽は評価変えず。
 


 以下 1回目のレビューです。

 泡と渦は破壊と再生。未来の人魚姫は綾波レイ?

 ネトフリにやられて悔しいですが、迷いに迷って再び会員に…うーん。まあ、先に結論をいうと悪評が多かったですが私はかなり面白かったです。ですので、良しとしましょう。ということで1回目視聴しながらの感想です。

 新海誠との類似性の指摘もありますが、どちらかといえば、本作の映像的な見どころは構図の取り方だと思います。そして映画的な意味においてはまったく似ているように見えませんでした。

以下ちょっと項目ごとに整理してみました。

ネタバレレビューを読む

雑感
 本作の廃墟は映画の流れで言うとどうでしょう。
「君の名は。」のように東日本大震災を象徴しているのではないと思います。環境破壊の「天気の子」はあるかもしれません。でも私はどちらかといえばシンエヴァ…3次元への回帰。つまり恋をせよということ。そして文明と経済という価値からの脱却だとおもいます。

 音に過敏ということは人と違うということ。生きづらい世の中をバブルが救ってくれた。静かな東京つまり文明からの脱却で居場所が出来た。道具を持ったアンダーテイカーに勝つということは肉体への回帰ということ。ボーイミーツガール…コミュニケーションで心が芽生える。

 アンダーテイカー=墓堀りですね。既存の価値観にうずもれて行く。機械に頼る。経済重視。勝つための手段を択ばない。動画に投稿すアピールする。未来がないということ。現代的な価値観の否定ですね。

自主性重視。大切なもののために命をかける。

 草食化とポリコレで恋愛が出来なくなった。触れる事が出来ない男女。アナユキではないですね。肉体で触れ合えない。純粋な恋ですけど悲劇でもあります。シザーハンズとか死神坊ちゃんと黒メイド的かなあ。

 そして、自信を失った日本は経済や文明という既存の勝ちから離れることで居場所ができる。

 まあ、ちょっとBL的な演出が余計かなあという気もします。

 新海誠が「君の名は。」で、2011年の東日本大震災でいままでの世界系的な物語や別れによる涙を否定しました。「天気の子」で東京の終わりと「青春の衝動」を描きました。
 ここにシンエヴァ的な2次元からの卒業=3次元へ。

 本作は東京が終わった後の新しい価値観はなにか?経済と文明ではなく肉体と自然への回帰。そして女の子を迎えに行け…というふうに理解しました。

結末
ネタバレレビューを読む


 作画はもちろんこのレベルの映画ですからほぼいう事はありません。演出はViVyぽかったですね。


 欠点としては、ストーリー内の時間の幅が短くて、ちょっと壮大感がなかったですね。あとウタへの感情移入できるエピソードがせめてもう1個あればなあ…。

 いろんな映画のオマージュは沢山ありますが、それは現代においては仕方がないです。けど、少なくとも新海誠の下手な模倣ではないと思います。ストーリーは面白いし、テーマ性もアップデートしていると思います。

 映画見ながらレビューしたので、ネトフリ会員中にもう1回見ると思います。




で、追記です。2回目…とはいっても気になった部分を重点に。

ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/08
♥ : 19

73.3 3 2022年度の東京アニメランキング3位
名探偵コナン ハロウィンの花嫁(アニメ映画)

2022年4月15日
★★★★☆ 3.9 (76)
336人が棚に入れました
渋谷ヒカリエでとある結婚式が執り行われていた。そこには、ウェディングドレスに身を包んだ警視庁・佐藤刑事の花嫁姿が。コナン達招待客が見守る中、突然乱入してきた暴漢が襲い掛かり、守ろうとした高木刑事の身に危機が─!?。事態は収束し高木は無事だったが、佐藤の瞳には、3年前の連続爆破事件で、想いを寄せていた松田刑事が殉職してしまった際に見えた死神のイメージが、高木に重なって見えていた。
時を同じくして、その連続爆破事件の犯人が脱獄。果たしてこれは偶然なのか?安警察の降谷零(安室透)が、松田を葬った犯人を追い詰める。だが、突然現れた謎の人物によって首輪型の爆弾をつけられてしまう。爆弾解除のため安室と会ったコナンは、仮装爆弾犯「プラーミャ」との間で起こった過去の事件の話を聞く。やがて、捜査を進めるコナンたちを狙う不穏な影が─。
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

最近のコナン映画の中では面白い方

ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/08
♥ : 3

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

勝利のカギは、サッカーボールだ!

 前作はクエンチと呼ばれる煙だったけどまたもや、爆発が起きる劇場アニメに戻った展開が起きるです。今回は悪い奴の罠から始まり、警視庁前、渋谷を舞台とする連続爆破が起き、とんでもない方法で行われようとする爆破を阻止するコナン達の活躍を描いたお話だったです。
 降谷零(安室さん)や同期の他三人を中心に、以前のTV放送にあった爆破事件のつながりでさらに一方においても、表ざたにしなかった事件の絡みを見せてくれたです。佐藤刑事、高木刑事の活躍も見逃せないです。
 また降谷の同期の一人が、コナンと接点があったことが爆破を阻止した大きなカギとなったのです。やや、スリリングな展開だったけど、私には不自然な点から犯人が誰だか想像し、その通りであったことが意外性に欠けたようにも見えたです。

 祝辞と思われた光景がやっぱりこうだったかと一転したり、その一方で罠にはめられる降谷零、事件に巻き込まれるコナン、どうなることやら次々と展開が大きくなっていったように見えたです。

 二種類の液体を混ぜることで起動する手口の爆弾が、最後まで付けまわることになるのです。渋谷でそんなことが可能なのか?驚きの仕掛けを見たです。それをどうやって切り抜けたのか?見に行ってのお楽しみです。
 渋谷のハロウィン、かぼちゃの仮面が、誰にでも印象に残った光景を見たです。相変わらず劇場版コナンは、派手な演出が施されていると感じたです。降谷零の同期が、佐藤刑事、コナンにどうリンクしているのかが?面白みの一つかもしれないです。

 やや、心残りがあったとすれば私の都合上、渋谷で本当は見たかったけど、今回最寄りの劇場で見るしかなかったことでしたです。
 渋谷の建物が、リアルに再現されていたと思ったです。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 2
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