戦闘で超人なおすすめアニメランキング 2

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番の戦闘で超人なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

66.2 1 戦闘で超人なアニメランキング1位
八男って、それはないでしょう!(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★☆☆ 3.0 (417)
1515人が棚に入れました
――ある日の朝、目を覚ますと……平凡な若手商社マンである一宮信吾(25)は、僻地に領地を持つ貧乏貴族の八男ヴェンデリン(5)という存在意義さえ怪しい子供に憑依していた。信吾は、家門と領地継承もなく、内政無双の知識もないこの身と己に絶望するも、魔法の才能に恵まれたという一点を突破口に独立を目指す。この物語は、そんな若造が魔法で金を稼ぎ自由に生きる(もちろん世界なんて救わない)、当面は脱ボッチのお話である。

声優・キャラクター
榎木淳弥、西明日香、三村ゆうな、小松未可子、M・A・O、山根雅史、石上静香、ゆかな
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

観終わった

1話感想{netabare}
ん?末子が跡目争いで兄達を謀殺してく話…じゃないのか。
下手に目立つと兄達の面目潰しかねないので昼行灯を演じる…ってことでもない?
貧乏貴族で長男(予備で次男も?)以外は家を出るって、もう既に「八男」設定が死んでるような…まぁこれからか。
ってか兄達の振る舞いを見るに職業選択が制限されてもなさそうだし、主人公は何で不満げなのか分からない。
これが“盾の勇者”だったら想像してたゲームのお約束と違ったという一応の説明があったが、こっちは…あれ?
血縁主義?血統主義?正しい言葉が出てこないけど血筋を重んじる貴族(実際は結構いい加減とも聞くが)である一方、魔法の才能に血筋は関係ないんだそうな。
じゃあ主人公はこの2つの価値観の板挟みになってどうこう…って話なら面白そうだが、どうなんだろう?
最初の方、ハーレムみたいなの築いてたけど、どんなに子供をこさえても魔法が使えるとは限らないんだよね?
まいっか。

それよりも気になるのが…なんか雰囲気が“毛玉のゴンじろー”っぽい。
OPがデーモン閣下だから(ゴンじろーではEDを歌ってた)ってことも関係してると思うが、それだけじゃない気が。
スタッフも制作も全然違うのに、妙にキッズ向けっぽいというかナンというか。
後半のイノシシとか、実は悪い毛に汚染された毛ノシシなんじゃね?とさえ思えたり。
どーなんだろ?“高木さん”でキッズ臭さ抜きを習得したと思ったんだが、なんだかんだでカラーって出ちゃうもんなのかね?{/netabare}

7話までの感想{netabare}
突っ込みどころ多くて何から書いて良いやら…。
「主人公ヨイショがキモい」というのはこの際忘れるにしても、「主人公ヨイショするにしてももうちょい書き方あるんじゃない?」と思ったり。
例えば、エリーゼは竜が退治されるまで被害者の世話をしてたんだよね?
じゃあ聖女と呼ばれる働きっぷりを見せる回想シーンでも入れて、竜の被害の規模や犠牲者の無念とか映せば良いのに。
そうすりゃどれだけ感謝される行いをしたかも視聴者に実感が沸くじゃん?
治療魔法が追いつかず目の前で死んだ被害者を思い出して「あの方々も浮かばれます」とか、遺族から「家族の仇を討ってくれてありがとう」みたいなさ。
作中では「なんとなく成り行きで竜を倒した」ってだけですっごく軽い、これじゃ報酬もあぶく銭みたい。
多分「ボクまた何かしちゃいました?」を演出しようとしたんだと思うけど、な~んか「そうじゃないだろ」と思ってしまう。

「お前タダ者じゃないんだから振る舞いには気を配れ」みたいなことは師匠の師匠から言われてるし、それに気付いてく(成長してく)話なのかね?
だとしても、転生前は成人だったじゃーん?
なんかイマイチ意図が分からんのよね。
アニメスタッフも、原作見て「これのどこがウケたんだ?」というのを理解しないまま手探りでアニメ作っちゃったような感じ。
あくまで感じ、実際は知らん。{/netabare}

最終回までの感想(これだけ読めばいいかも){netabare}
これはこれは…上級者向けというかナンというか。
原作がどうあれアニメの監督や脚本がマトモならどうにかしようと知恵を絞るハズ、という前提で最後まで耐えて見てたのだけど…。
「耐えて」と書いた通りかなりアレな内容で、これを見た後だと耐えられずに途中で切った“防振り~”や“本好き~”が随分マシに思えて来る。
防振りは少なくとも主人公は楽しそうだったし本好きはこの世界の住人ではないと疑われる、これがあるだけ全然マシじゃん、と。
つまりは“八男”はそれらが無い。

誰も転生者を疑わないので師匠すら馬鹿にしか見えない。
そしてとにかく辛かったのが主人公に意思が無い。
いや、意思はあるか、あるのだけど心の中でツッコミを入れるだけで態度に表さない、主張しない。
一番酷かったのは政略結婚を迫られ、心の中では「恋愛結婚じゃないのか」と突っ込んでおきながらこれといって難色を示すことなく言われるがまま婚約を結ぶ。
全部が全部そんな感じで周囲に無関心、ただ流されるだけ周囲にお膳立てしてもらうだけ、それでいて一人前に心の中では突っ込みを入れるので心証が悪い。
せめて心の中で折り合いをつける葛藤とかでもありゃいいのだが、それも無い。
人形というか屍というか、生きてるのがつまらなそうで、死ぬのが面倒臭いから生きてるだけで作中出てくる「語り死人」とは主人公のことなのでは?とさえ思えてきたり。
同期放送の他作品、記憶を失い感情を無くして、それでも何か芯のある“プリコネ”のユウキと対極だなぁ、こっちはコレで健常者だぞ、と。

例外的に自発的な行動はあるにはあるが、それは味噌や海苔、マグロ等の食べ物に関してなだけで、味噌開発などが失敗しても被害らしい被害が出るものでもない、責任を取るまでもない軽微なモノ。
でもってそんな食べ物関連がストーリーに絡むことも、ほぼ無い。
辛うじて海苔がキャラ弁に繋がったくらい?

いっそのこと主人公は画面に一切映さず、「そういうヤツが居る」って体で周囲の人間が右往左往する話にした方がよっぽど面白かったのでは?
と思うくらいの出来だったのだけど、ここまではあくまで10話までの話。
11話からは流れが変わります。

11話で遂に、主人公が自発的に、自分の意思で、行動を起こす

遅ぇw
けどこれ、渡された原作をどうにかマトモに見れるモノにしようとしたアニメスタッフの苦労の結果なのでは?と思ったりしてしまうのだけど、どうなんだろう。
11話は決意をして最終回の12話でその結果どうなったかが描かれ、上記の突っ込んだポイントを主人公が反省する内容になってました。
笑ったのが12話でカタリーナ(婚約者)に「俺のことどう思う?」と尋ね、「近くに居るのに、遠くに居るよう」と答えられた時。
もうこっちとしては「そうそうソレソレ、全部他人事www」と指指してゲラゲラ笑っちゃうちゃうレベル、そういう意味ではそこまでに当てはまる出来事がよ~く描写されてた、むしろ描写しすぎ。
また、12話の王とのやりとりも、アームストロングはじめ「主人公の意思で予め味方の貴族と根回ししてた」ってことなんだけど、それ以前が余りにも周囲が都合よくお膳立てしてくれるシーンが多かったため、その流れのままで解釈しそうになる。
意地悪な言い方しちゃえば10話までの酷い内容はスタッフも分かっててやってたんですよ意図的だったんですよと、そういった言い訳みたいなものに見えなくもない。
10話までのフラストレーションがあったから11話以降にカタルシスを得られただけ(不良が捨て猫に餌やる程度)かも知れないし、フラストレーションパートがアレすぎて、ちょっと上級者向けな気が…。


と、以上が主人公について。
11話からはソコソコ見れた内容だったが、そこに至る10話までは話も演出も酷い。
ストーリー自体、主人公が何をしたいのか分からないのでパっとしないのは当然だけど、パっとしないものをパっとしないまま見せられる。
「巻き込まれ型」とも何か違うんだよね。
3話で舞台が冒険者学校へ移るのだけど、主人公は既に魔法が凄いと周囲に認められちゃってて。
あれ?それ知られるとヤバいから実家住まい時代は隠してたワケで、上京してからバレるまでのイキサツはひとつの見所だと思うのだが…カット?
主人公にとっては興味のない部分だから見せる必要が無かったってこと?だったら10話まで全部カットになるような…。
仲間が増えるのもあくまで「なんとなく」、言い寄る奴らは人柄ではなく力が目当てで、中身空っぽの主人公に対し「きっとヴェンデリンは私のことを○○と思ってるに違いない、○○すれば気に入られるハズ」と疑心暗鬼というか、自分自身の価値観を当てはめて想像・対処するだけの一人芝居を見せられる、何度も。
また8話では、ようやく正式の冒険者となったところで王から書状が来るのだけど、書面には「王国強制依頼」と書かれてて…これどういうこと?
画面には一部しか映ってないけど本文には「○○想定ニヨリ、下記ノ依頼ヲ命ズル」とも書いてある。
「強制」なのか「依頼」なのか、「依頼」なのか「命令」なのか分からない。
王からの命令なんだから「勅」や「上」や「下」って漢字一文字の方がインパクトありそうなものだが…歴史とかよく知らんのだけど、そういう表現ってあったりするもんなのかね?(「自粛要請って言ってるけど命令だよね?」みたいな)
もしくは「冒険者」と「貴族」を両立させてる相手に対してだからこんな表現になったのか?
でもって冒険を達成して多額の報酬や地位を手に入れても冒険者を続けるつもりで、単に他にやることが無かっただけにしか見えない。
報酬額に関しては、本来軍隊がやる規模のものを少数の冒険者で成し遂げたため軍事費(国家予算)レベルの報酬が個人に支払われることになった、と納得できなくはないが、だったら軍と冒険者って何が違うのかもうちょい見せて欲しかった。
そしてヴィルマは…登場する意味あった?何か活躍するシーンってあったっけ?
しかも「食いしん坊キャラ」で、ここでも“プリコネ”と被って「うわぁ」、実際は“超人高校生”の銭勘定大好き幼女奴隷と被る(つまり要らない)。


ってことで総評。
11話まで耐えればそこそこ楽しめるかも知れないけど、とても人にそこまで勧める気は起きない。
物凄く好意的に言えば、「冒険者にさえなれば貴族のしがらみから抜け出せる」を信条に、日本食のみを心の拠所として個人の主義主張を徹底的に抑え、周囲に流されるままやり過ごそうとしたが、実際に冒険者になっても結局貴族のしがらみからは抜け出せないことを思い知らされ一念発起する、という話を目指したのかなぁ?
ただ一念発起するまでの描写がやっぱりどうにも…空虚で抜け殻のような、それでいて心の中では突っ込みを入れる、色盲でもないのに世界が灰色に見えてそうな息をするのも面倒臭そうな主人公とか見ても、ねぇ?
恥ずかしながら私は11話からは「遂に、遂に主人公が立ち上がったぞ!」と結構好きだったりするんだけど、そこまでが辛すぎる。
なんというか、凡庸な異世界転生モノとはちょっと違う部分を出そうとした意思は感じるんだよね。
だけどそのために必要なお約束まで省いちゃったような…。
できれば10話までの「人間未満時代」のツケはもっとデカいものにして欲しかった。
それと貴族だ八男だって要素はそこまで意味のあるものではなかった気がする。
「魔法の才能は遺伝しない(個人主義)」と「親族主義の貴族」がいま一つ噛み合わなかったような?
11話以降の内容から10話までの空虚感はスタッフが意図したものだと解釈してるけど、じゃあなんであそこまで空虚にしたのか真意を探る・考察すると面白いのかも知れない、私はお断りします。
あ、それと主人公がため息をする回数をカウントすると面白いかもしれない、私はお断りします。


余談
アニメ本編がアレだったことの原因として挙がる「OPに予算かけすぎた」って説。
え?逆の可能性は?
「デーモン閣下を使うことを条件にレコ社から出資してもらった」ってことは?
まぁ違うかも知れんけど。
要は予算を出すのと使うのは曖昧な関係で外部から分かるものではない。
他の作品では深夜アニメに対して視聴率を気にしてる人なんかも居て…あのぅ、それ無いから。
どこからそんな発想が飛び出してくるのか私にはちょっと分からない。
あくまで“かぐや様~”の鈴木雅之の様に、「よくアーティスト本人が了承したな」って所が注目ポイントだと思うのだけど、デーモン閣下に於いては“けだまのゴンジロー”やってるし“sin七つの大罪”もそうだし(テラフォーマーズリベンジは知らんかった)、もっと昔なら“MAZE爆熱時空”だったり“うろつき童子”だったりあるワケで、そこまで驚くようなことでもない…ような?{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

憎みきれない好敵手(いせかいてんせい)〈~八男である意味がわからないって、それはないでしょう!~追記あり〉

2020年春アニメ。
原作未読。ウェブ小説原作であること以外事前情報は無しで見始めました。
※レビュータイトルは少々マイナーな90年代ラノベの副題からで、異世界転生物が自分にとって鬼門気味だからぴったりだなと(笑)

【第1話感想】
とりあえず無難な滑り出しでしたね。
{netabare}
アバンで女の子達に囲まれた15歳の姿を見せるのは妥当かと。第1話では子ども時代をある程度は描きたかったのでしょうね。5歳のヴェンデリンが可愛らしいのが良かったです。お兄ちゃんの「怠けていると苦労するよ」って台詞も結構好き。
転生前の一宮信吾がまめまめしくて印象悪くないのは意外だったかな。これで魔法の修業もきちんと描いてくれると嬉しいけど、はしょられるかなw残念だけど。
ハーレムは苦手なので、メインヒロインが婚約者らしいのは期待しています。{/netabare}


【EDの話】
ED良かったです。余韻も楽しめる曲ですし、歌唱の華やかさも引き立っていました。
{netabare}
…OPの奇跡のコラボに隠れがちだけどEDも奇跡のコラボなんですよw
ウェブニュースでこのコラボ知ったときは、方向性も年齢も違いすぎるAKINOさんと新居昭乃がどうなるかと…w
聞く側を圧倒するAKINOさんをメインボーカル、コラボ経験の多い新居昭乃をリードボーカルという感じで合わせているのが上手いです。明らかにこの二人の個性を生かす曲を作ってる。プロデューサーの功績ですね。
個人的には、新居昭乃を久しぶりにアニメで聞けて感謝しかない。しかもこういう華やかな曲を提供されるのは珍しいんですよ。

以下、新居昭乃のことを何となく書いとくよ。
長いので暇つぶしにでも。(以下、恐れ入りますが敬称略。)

新居昭乃はデビュー30余年となる女性歌手。歌唱もコーラスも作詞・作曲・少数ですが編曲も自身のグッズなどのデザインやイラストレーションもする、独特なクリエイターであります。(ちなみにタッグ組んでる編曲家・保刈久明はやなぎなぎ「未明の君と薄明の魔法」(『色づく世界の明日から』ED)が記憶に新しいですね。)
ソロでアニメのOPやEDを作って歌うのはもちろん、90年代には菅野よう子の曲を歌っていたり、ZABADAKや谷山浩子とコラボしていたり、手嶌葵や三重野瞳や悠木碧に楽曲提供していたり、どこかにコーラス参加していたり。
一部の人々を独特の世界に引きずり込み、コアなファン層を作り上げています。
もうお分かりだと思いますが、ファンです。20年来のw



これまで新居昭乃が担当した主なアニソンはこんな感じ。
「星の木馬」…『地球防衛企業ダイ・ガード』ED
「覚醒都市」…『東京アンダーグラウンド』ED
「ユメミル雨」…『ハンドシェイカー』ED
「キミへ ムカウ ヒカリ」…『ゼーガペイン』OP
「金の波 千の波」…『ARIA The ORIGINATION』ED
「Unknown Vision」…『まおゆう 魔王勇者』ED
「花数え」…『魔法使いの嫁』挿入歌
他にもあるので、それなりにアニメを見る人ならどこかで出会っているかも。私は見れてない作品も多くて恐縮ですが…

数は少ないですが編曲もしてます。
『ガサラキ』ED「LOVE SONG」(歌唱・作詞/種とも子)は作曲・編曲が新居昭乃。
映画『西の魔女が死んだ』ED「虹」(歌唱/手嶌葵 詞曲/新居昭乃 編曲/保刈久明)のセルフカバーでは自身の声に合わせて編曲しなおしていたり。なので、新居昭乃版「虹」は珍しく歌唱・作詞・作曲・編曲全てを本人が行っています。

興味があれば何か聞いてみてください。最新のミニアルバム「ツバメ」は新居昭乃らしさとキャッチーさのバランスが良いのでおすすめです。{/netabare}
(2020.4.8)

【最終話まで視聴感想】
出来が良いとは言いにくいけど、個人的には「憎めない作品」でした…って、それはないでしょう!
{netabare}
色々と端折ってるんだろうなとか、側室に立候補する女性パーティーメンバー(しかもヴェルは承諾しちゃうし)ってどうなんだろう?とか、最後に参入したよく食べる女の子は見せ場があまり無くて勿体なかったとか、それなりに引っ掛かりはあったものの無事完走。

とりあえずアニメではヒロインがエリーゼ一強だったので良かったです。2期があるかはわからないけど前提として貴族の社会制度があるわけだし、他の女子は恋愛感情を見せてないし今は細かいことは気にしないでおこう(笑)。

全体的に人情噺としては悪くなかったかと。亡くなった師・アルフレッドの存在がヴェルを支え、エルヴィンにワンエピソードと見せ場があり、賑やかしかと思っていたローデリヒに役割が用意されていたことなど、好印象を残した点がいくつかありました。

私が意外と楽しかったのは主人公が料理上手で、前世から持ち込んだ知識が料理のことしかなく、それが周りの人達を喜ばせることにしか使われていない所(笑)。原作だともう少し色々あるのかも知れませんが、少なくともアニメでは前世の知識が大きなアドバンテージとしては描かれていないのが落ち着いて見られた理由だったと思います。
単純にわいわい食事を囲むシーンを見るのが好きなのに加え、新しい世界での食事シーンを繰り返し描いて、主人公の置かれた環境の変化を見せてくれたのは良かったと思う。

ヴェルは前世のモラルや感覚に振り回されて、兄との直接対決に至るまで新しい生を歩むことに積極的になれずにいました。
貴族という強い立場と足枷を背負って血生臭い肉親との争いを経験して、最後にこの世界で生きる覚悟を決める物語だと考えれば、私はこの作品悪くないと思います。

兄嫁の様子から最後に一波乱あるのかな?と思っていましたが、二人の甥に貴族としての生を保証することでヴェルは彼女との衝突を回避します。この甘さが後々大きな問題になる可能性はありますが、ヴェルが肉親の情を捨てれば兄嫁もまた同じ選択をしたでしょう。兄のせいで疲弊した領地・領民の現状を考えれば必ずしも悪い采配ではなかったと思います。それにヴェルが意図していなかったとしても、彼女を敵に回さないことは足場が固まっていない状況では結構大切じゃないですかね。
何より、子を守ろうとする母は追い詰めると怖いから…。

今季の大変な状況で最後まで予定通りに見られて良かったと思います。最初に感じていたよりも色々考えさせてくれる作品でした。{/netabare}
(2020.7.12)


【八男である意味がわからないって、それはないでしょう!】
結構皆さん疑問に思ってるんですね、八男である意味…。
色々と感想漁ったりして「『八男(=貴族)って、それはないでしょう!』ということだと思う」というような感想があり、ああその通りだなと。
転生当初は貴族に期待したものの自分は跡取りになれない八男で、しかしだからこそ約束されていた冒険者としての自由は、結局貴族の末っ子であることにより失われていく。
それがこの作品の骨子なのだと思います。

個人的に考えたことなど置いておきます。
{netabare}
まず、転生した時点でヴェルは貴族なら良い暮らしができるかも!と期待してますが、食事シーンに見られるように実家は貧しく、貴族の現実を見せつけられます。その時にヴェルは家督を継げないことや見栄を張って暮らさなければならないことを知り、貴族でいるよりも魔法使いとして身を立てることを選びます。
独立したときに日々の食い扶持を稼ぐ技能を身につけておきたいという考え方は、転生前に社会人であったことも影響していますし、家を出る兄に「遊んでいると後で苦労するよ」と言われたことも理由です。野山を駆け回るときの方がヴェルは生き生きしていましたから、家を出る頃には貴族に嫌気が差してもいたのではないでしょうか。
王都に出てからも、王命には逆らえずしがらみも多く、兄弟の結婚式に実家から祝いの品も届かない、そもそもそんな見栄を張らなければならないことにヴェルはうんざりしていました。
それでも、転生前からのサラリーマン気質が抜けないヴェルは波風を立てるようなことはできません。

パーティーを組む時も身分に関わらず「面白そうな子たちだから」という理由でメンバーを選び、パーティーメンバーもヴェルの能力や肩書よりも人柄を見ていこう、と反省している。競技大会でのエルヴィンのエピソードからしても、本当はヴェルは彼らを仲間・友人と思って付き合いたいんですね。なのに結局爵位を与えられて仲間を部下や未来の側室として受け入れることになる(まあ側室の件はヴェルも男の子なんだなあと生ぬるい笑いがこみ上げてきましたけどw)。前世でのサラリーマン気質のためか、本人が優柔不断なためか、貴族の不自由さばかり募っていく。ヴェルの性格からして、楽しく安定した生活が送れれば命懸けの仕事はあまりやりたくはないでしょうし。

極めつけが兄との家督争い。本人は家督を継ぐつもりなど全く無いのに、上からお膳立てされ下からも突き上げられ、外堀ばかり埋められていく。下手に抵抗して自分が処罰されるような事態になれば、自分の仲間達も危険にさらしかねない。
クルトが何故ヴェルに敵愾心を燃やしたのか不明なので私は同情的にはなれないのですが、あれほど領地・領民を蔑ろにしていては国としては他の当主を立てざるを得ないと思います。二人の息子がもう少し成長していれば、長男が継ぐことになったかもしれませんが…。

結果、ヴェルは領民のために家督を継ぐ覚悟を決めますが、それでも出来る限りクルトとその妻子を守ろうとします。一家皆殺しになりかねない貴族の慣例に対して抵抗を試みるわけです。ヴェルにとっては彼らは疎遠になっても肉親なのですから。
ヴェルは一貫して前世の感性…優柔不断さと情が捨てられず、貴族社会に翻弄されているんですね。

結局兄を死なせたヴェルにとっての最後の抵抗が、兄嫁と二人の甥を守ることだったのだと思います。
周りの人達に臭い芝居をしてもらい王に具申して二人分の貴族の任命権を奪い取ったのは、甥二人が成人した暁に貴族に奉じるためです。それは兄嫁が「息子達が貴族として生きていけるなら自分は何でもする」という内容のことを言ったからです。そうでなければ兄嫁は肉親の情を捨て、ヴェルを害してでも二人の息子を守らなければならなくなる。
命が助かっても母子三人で平民として生きていくのはかなり大変な世界だと思いますし、ヴェルが守ってくれなければ住み慣れた土地では恨みを買って酷い仕打ちを受ける可能性もありますからね。貴族であることは酷いしがらみでもありますが、少なくとも私刑からは守ってくれるでしょう。

八男だから面倒くさい貴族をやめて好きなように生きられる!と思っていたのに、結局貴族として生きて行かざるを得なくなる。ヴェルがその覚悟を得るまでの物語だったのだと私は思っています。{/netabare}
(2020.7.23)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 24
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

貴族社会の悲哀をアニメで垣間見れる作品

原作小説は、既刊19巻(2020年3月現在)の内6巻まで既読。
この手の異世界転生のなろう系の作品は、沢山ありすぎて食傷気味な今日この頃ではあるものの、
魅力があるキャラが比較的多く、割と好きな作品のひとつ。

お話は、もうお約束と言っていい。
この手の話に飽き飽きしてる視聴者の1話切りも多いだろう。

個人的に主人公に対し残念に思うのは、同ジャンルの
「転スラ」リムルの、ゼロから国を興すカリスマ創建者としての魅力や
「デスマ」サトゥーの暗躍系最強主人公の魅力には及ばない所か。

本作の主人公は、
類まれなる魔法の才能(ギフト)に恵まれ、
貴族社会に取り込まれ成り上がっていく。
冒険者として自由に生きたいという願望はあるものの
結局、貴族社会の枷から逃れられないのは悲哀とも愛嬌ともいえる。
根っこが商社マンなので、環境への適応力が高いのだ。
そんなサラリーマン的世知辛さ(1話でのアバンタイトルでその片鱗が出ていた。)が漂う作品なので
英雄譚と呼ぶのは憚れる。末子成功譚が適切だろう。

レビュー書きたくなったのは1話を観てアニメの構成に興味が湧いたから。
アニメは全12話しかない中で、原作の忠実な流れを潔く放棄し、アニオリな展開も躊躇せず
最終話に向けて起承転結のある流れに再構成している。

本作は、小説、コミック、アニメそれぞれが独自の流れで話が進むよう。
それぞれの味を楽しむのも一興だと思う。
キャラデザ、OP&EDも好 みでアニメ本作は最後まで完走したい。

<今作の異世界舞台設定>
{netabare}
リンガイア大陸の二大大国の一つ人口約5000万人のヘルムート王国が主人公の国籍。
大国のもう一つは、仮想敵国のヘルムート神聖帝国。
両国は、ここ200年戦争がない平和な状況。

ドイツ語読みの固有名詞が圧倒的に多いのに文字はなぜか日本語。
しかも一部英単語も交じり、ローマ字表記も存在するなど、ご都合主義全開。

人類の天敵の魔物、竜などは存在するが
エルフやドワーフと言ったファンタジーお約束の種族はいない。
社会構造は中世ヨーロッパの封建貴族世界に近い設定。

魔法は存在するものの、それなりに使える魔法使いは5000万人中多くて5万人くらいで
その中でも国家戦略級の上級魔術師は超貴重。
さらに魔法の遺伝性もないので魔法使いの家系など存在しないそうな。
{/netabare}

★第1話「八男って、それはないでしょう!」
{netabare}
初回は原作知らずとも非常にわかりやすく構成されていたと思う。

アニメのアバンでサブ&本タイトル早々に回収。
また初回のアバン冒頭は、小説1巻から5巻の半ばから3分の2までの話をアニメで描きますよ
と予告しているようなもの。

原作では普通にベッドで寝て、目が覚めたら異世界の別人のベッドに寝ていたという流れを、
夜遅くの会社からの帰宅後の食事準備中に居眠りしたら、
長男の結婚披露パーティーの食事中に覚醒に変更。
これは、転生状況を「本好きの下剋上」と被らせない工夫としても有効だった。

さらにアニメ独自に、転生前の豚バラ自炊飯、
転生後のパーティ限定貴族メシと日常の貧乏ゆえの粗末メシを
対比させ主人公の環境変化と置かれた状況を演出。
プラス、兄弟紹介と主人公の状況を短時間で説明するための構成。
このダイジェスト化は、視覚重視のアニメではとても意義があったと思う。

多くの兄弟の存在は、封建的な貴族社会の環境で成り上がっていく話の上ではとても重要だ。
子孫繁栄のため、一夫多妻が貴族では常識の世界。
一夫一婦制の日本の現代常識とは倫理観が根本的に違う。

主人公の父親(45)は、下級貴族で正妻と妾の二人の間に10人の子供がいる。
側室がいないのは、人口800人程度の農業主体の辺境領地では経済力が乏しいから。
以下、()は主人公がヴェンデリンとして覚醒時の年齢

正妻(44)の子
長男(25)、次男(23)、三男(19)、四男(17)、五男(16)、八男(5)(主人公)
妾の(31)子
六男(14)、七男(13)、長女(11)、次女(10)

愛人がいてもそれは周知事項。
妻公認であり、後ろめたいことはない。
以上の内、貴族社会で生きていけるのは、正妻の子6名のみ。
愛人の実家は地元名主ではあるが貴族ではないのでその子たち4名は、
貴族と同じ土俵には立てないし、ヴェルと一緒に生活することもありえない。

以上を台詞と登場キャラで初回の内に
視聴者になんとなく理解させようという工夫があった。
そして尺の残りで、師匠との出会いまで描く。

原作既読者にとっては、声優の配役(ベテラン声優の配置)や
公式HPで登場予定のキャラ表をチェックすれば
アニメでは全12話で何をメインイベントに置くのかは明白だろう。

今回は、ダイジェストではあってもアニメ独自の構成が光り、
導入として良好な回だった。
次回も原作の素材をどう料理するのか楽しみになった。
{/netabare}
★ 第2話「お家騒動って、それはないでしょう!」
{netabare}
どうやらアニメのサブタイトルは「○○○って、それはないでしょう!」で統一されそう。

才能は偉大なる先達に導かれてこそ花開く。
主人公ヴェルにとってわずか2週間とは言え、師匠との修業の日々は一生を決めるものとなった。

原作では、ヴェルは師匠から卒業した後、
12歳で冒険者予備校に入学するため家から旅立つまで
家族は完全放任、アニメのように長男から監視される描写もない。
毎朝食事もそこそこに、書庫で読書、読み書きや計算の勉強。
さもなくば、遠出して人里離れた領地内での魔法の独学の鍛錬。

その成果として、狩りの獲物や採集した食料などを家族に提供。
家の仕事をほとんど手伝わずに済んだのはそんな事情もあった。

師匠に出会うのはそんな鍛錬時で、その時彼は中級魔法も使えるほどに。
師匠との2週間の修業後は、一人黙々と
5歳から12歳になるまでの長きに渡り師匠の教えをベースに
魔法の技を発展応用開発。
攻撃魔法以外にも飛翔、瞬間移動、精製、熟成など様々な魔法の技を磨く。

そのかいあって通常は山越えで片道一か月位以上かかる
人口約20万人の大商業都市ブライヒブルグを
瞬間移動で一瞬で往復できるほどになる。

そして人知れず都市で魔法で採集した素材、狩りの獲物などで商売したりと逞しい日々だった。

以上、今回まるまるカット。
尺の都合とは言えそこはちょっとでも描いたほうがいい。

今後、そんな修業プロセスが見えないと視聴者は、
ヴェルのあまりの成長が唐突過ぎて
話に付いていけなくなるかもしれないからだ。
そこら辺を次回以降どうフォローするんだろうか?

また、師匠から物質的に相続されたもの(今後必要になるものも含まれる)は
アニメ今回ではスルーされた。
別れをドラマティックに、そして生臭いものにしないために必要な演出だとは思うのだが、
次回以降そこらへんどう扱うのか?そんなところも興味深い。

話のテンポはとてもいい。
{/netabare}
★ 第3話「ボッチって、それはないでしょう!」
{netabare}
ボッチだったヴェルに冒険者パーティの仲間が出来る。

辺境のバウマイスター家にとって寄親(保護者)のブライヒレーダー辺境伯家に目を付けられたヴェル。
早速、貴族社会の柵に絡めとられる。

<キャラが原作から微妙にずれてきた>

今回は特に、パーティ結成の流れが原作と大幅に違う。

【原作小説】
ヴェルとエルは入学早々既に気の合う友人に。攻撃の連携も相性がいい。
→二人で組んだ狩りの最中に偶然ルイーゼとイーナを大量の狼から救出
→ルイーゼとイーナはそこで初めてヴェルたちを意識
→皆で食事したりと、四人の交遊が始まる。
→ルイーゼが、ヴェルとエルに無断でちゃっかりパーティ申請書提出
→学校側は4人の実力バランスが良好だと認め申請は問題なく受理される
→ヴェルとエルは「二人とも悪い奴じゃなさそうだし、様子見と言うことでいいか」と事後承諾

【アニメ】
ヴェルは入学後、友達作ろうにも不器用に空回りでボッチのままを気にする。
→エル、ルイーゼ、イーナは既に交友関係があり学内でヴェルに目を付ける
→ヴェルをパーティに組み込むことを目論む
→ヴェルに認めてもらうための狩りの最中、エル、ルイーゼ、イーナは大量の狼に襲われる
→偶然その危機を察知したヴェルは、当然助けに赴くが、友達作りの下心もあった。
→なぜかヴェルからパーティ結成を申し出る

以上、前回からの流れからは無難な改変とは思えるものの
アニメでの弱気なヴェルにどうもしっくりこなかった。

自己紹介で失敗とか、ヴェル特製の山椒を学友に勧めるとか、
アニオリ描写も気に入らない。

原作でのヴェルはボッチであることの自虐感を醸しつつもそこは中身が大人。
ボッチ上等的に達観。淡泊で飄々としていた。

原作では前世の商社マンのセンスで出稼ぎ商売も良好。
相当な蓄財も出来るくらいの駆け引き上手なヴェル。
マイペースで強かな逞しさの魅力があったがアニメではそれが無くなった。

今までの地道な修業プロセスを描かなったこともあり、
シャイな優等生キャラに見えてしまった。
中の人の声質が草食系なのも一因か。

さらにエル、ルイーゼ、イーナの実力の横並び感が増し
ヴェルも認めるエルの剣士や弓士としての実力描写もなく
三人一様に原作より実力が下方修正されてしまった感があった。

元から真面目キャラのイーナはまだいいとしても、
ルイーゼのマイペースで強かな個性までも薄まってつまらなくなってしまった。
原作のルイーゼは、ヴェルを初対面でいきなりヴェル君と愛称で呼ぶような図々しさがあったのに...

今回で物語3.5→3.0、キャラ3.5→3.0に下方修正。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

73.7 2 戦闘で超人なアニメランキング2位
装甲騎兵ボトムズ(TVアニメ動画)

1983年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (208)
1141人が棚に入れました
アストラギウス銀河を二分するギルガメスとバララントの陣営は互いに軍を形成し、もはや開戦の理由など誰もわからなくなった銀河規模の戦争を100年間継続していた。その“百年戦争”の末期、ギルガメス軍の一兵士だった主人公「キリコ・キュービィー」は、味方の基地を強襲するという不可解な作戦に参加させられる。作戦中、キリコは「素体」と呼ばれるギルガメス軍最高機密を目にしたため軍から追われる身となり、町から町へ、星から星へと幾多の「戦場」を放浪する。その逃走と戦いの中で、陰謀の闇を突きとめ、やがては自身の出生に関わる更なる謎の核心に迫っていく。

声優・キャラクター
郷田ほづみ、富田耕生、千葉繁、川浪葉子、銀河万丈、戸谷公次、玄田哲章、広瀬正志、郷里大輔、速水奨、政宗一成、麦人、上恭ノ介、緒方賢一
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

特殊部隊上がりのキリコ君が、俺TUEEEしてモテまくる大勝利アニメ!?

「むせるアニメ」という評判から、きっと、むっさいオッサンがいっぱい登場するダサいロボット・アニメだろう、と思って見始めたら、イケメンPS(パーフェクト・ソルジャー)のキリコ君が俺TUEEEE!してモテまくる作品だった。

・・・何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何を見たのかわからなかった…イデの発動だとかニュータイプだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。(AA略)

「俺TUEEEEアニメ」の代表作といえば、『ソードアートオンライン』(2012年(第1期))ですが、その30年近くも前に、こんな大先輩がいたとは!
・・・って、単に主人公の名前が、SAOのキリト君に似ているだけなんですが。
{netabare}
キリコ    → キリト
フィアナ   → アスナ
ゴウト    → エギル
バニラ    → クライン
ココナ    → リズ
カンユー大尉 → キバオウ
ワイズマン  → 茅場晶彦{/netabare}

・・・と考えれば、だいたい合ってる気がしないでもない(責任とりませんから)。

次のような「一般人の認識」という有名コピペまであるようですし、『ボトムズ』は、きっとアニメファン必見の名作なのでしょう。

--------------------------------------------------- 引用開始 ----
■一般人の認識■
{netabare}
◎ガンダム:安室とシャーがたたかう話
◎エヴァ:パチンコ
◎マクロス:歌う
◎ギアス:知らん
◎ボトムズ:アストラギウス銀河を二分するギルガメスとバララントの陣営は互いに軍を形成し、もはや開戦の理由など誰もわからなくなった銀河規模の戦争を100年間継続していた。
その“百年戦争”の末期、ギルガメス軍の一兵士だった主人公「キリコ・キュービィー」は、味方の基地を強襲するという不可解な作戦に参加させられる。
作戦中、キリコは「素体」と呼ばれるギルガメス軍最高機密を目にしたため軍から追われる身となり、町から町へ、星から星へと幾多の「戦場」を放浪する。
その逃走と戦いの中で、陰謀の闇を突きとめ、やがては自身の出生に関わる更なる謎の核心に迫っていく。{/netabare}
-------------------------------------------------- 引用終わり ---

一般人の認識とは上記のコピペである。
アニヲタの間では有名なロボットアニメに対する一般人のイメージを分かりやすく表したものである…とされている。
http://dic.nicovideo.jp/a/%E4%B8%80%E8%88%AC%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%AA%8D%E8%AD%98

・・・『ガンダム』とか『イデオン』(※ともに富田由悠季監督作品)といった、評判ばかり高くて実際に視聴してみたら結構アレな作品を我慢して見続けるくらいだったら、同じサンライズ制作でも、『太陽の牙ダグラム』、『ガサラキ』と併せて、「ロボットアニメの真の名作」といっても過言ではないこの『ボトムズ』(※この3作は全て高橋良輔監督作品です)を試しに視聴してみる、という選択肢もある、ということで、簡単ながら作品紹介レビューを書いておきます。


◆視聴メモ
{netabare}
・第1部(ウド編)は、ロンリー・ソルジャーの格好良さに感嘆して、作画の古さはマイナスながら、★ 4.0 と評価が高くなる。
・第2部(クメン編)も、東南アジア某国をモデルとした舞台設定に面白味を感じるものの、流石に今度はシナリオの冗長さに飽きてきて、☆ 3.9 と若干評価を下げる。
・第3部(サンサ編)、第4部(クエント編)は、それぞれ特殊な惑星を舞台とした展開に。特に終盤は意外な展開の連続で目が離せなくなる。{/netabare}


◆制作情報
{netabare}
原作・監督       高橋良輔
脚本           五武冬史、高橋良輔、吉川惣司、鳥海尽三
キャラクターデザイン 塩山紀生
メカニックデザイン  大河原邦男
音楽           乾裕樹
アニメーション制作  日本サンライズ{/netabare}


◆パート別評価

(1) ウド編   (第1-13話)  計13話 ★ 4.0
(2) クメン編  (第14-28話) 計15話 ☆ 3.9
(3) サンサ編 (第29-40話) 計12話 ☆ 3.9
(4) クエント編 (第41-52話) 計12話 ★ 4.2
-----------------------------------------------
  総合              計52話 ★ 4.1


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============= 装甲騎兵ボトムズ (1983年4月-1984年3月) ==========

 - - - - - - - - ウド編 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
{netabare}
  ※百年戦争の戦災で出来たクレーター内に造られたヂヂリウム採掘の街ウドが舞台(聖書にある悪徳の街ゴモラがモデル)
{netabare}
第1話 終戦 ☆ 百年戦争終結、キリコ曹長の災難(目的不明の作戦、素体との遭遇、捕囚、拷問、脱走)、ビーコン監視
第2話 ウド ☆ 惑星メルキア、ウドの町、酸の雨、暴走族ブーンファミリー、ヂヂリウム集め、脱走
第3話 出会い ★ 三人組(ゴウト、ココナ、バニラ)との出遭い、装甲騎兵ボトムズ修復・起動、暴走族との交戦、治安警察の介入
第4話 バトリング ★ バトリング契約、AT(Armored Trooper)リアルバトル、コニー少尉殺害、キリコ拿捕 
第5話 罠 ☆ キリコ尋問・拷問、三人組のキリコ救出、オリア大尉隊との市街戦
第6話 素体 ★ キリコが追われる理由、治安警察基地侵入、素体との再会
第7話 襲撃 ☆ キリトと三人組のヂヂリウム略奪
第8話 取引 ★ ゴートと署長のヂヂリウム売買交渉、キリコ搭乗ATvs.謎の赤いAT、キリコ敗北
第9話 救出 ★ 三人組の仁義、キリコ救出失敗、金貨空中散布、市内騒乱、救出成功、仲間意識の発生
第10話 レッド・ショルダー ★ 監視者、集中砲火からの脱出、メルキア戦略装甲騎兵団特殊任務班X1(吸血部隊) ※ラストにキリコの内面独白
第11話 逆襲 ★ PS(パーフェクト・ソルジャー)、キリコ単騎治安警察本部急襲、キリコ機vs.プロト・ワン機、プロト・ワン捕縛 ※同上
第12話 絆 ★ キリコとプロト・ワンの意思疎通、二人の包囲網突破作戦、「フィアナ」奪わる、監視者(軍)の介入
第13話 脱出 ★ フィアナの逃亡拒否、軍vs.治安警察(素体争奪戦、署長死亡、ボロー司祭フィアナを連れての逃走成功)、ウドの街壊滅{/netabare}{/netabare}

 - - - - - - - - クメン編 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
{netabare}
   ※ウドの町を離れて3ヶ月後、内乱のクメン王国が舞台(クメール=カンボジア王国がモデル)
{netabare}
第14話 アッセンブルEX-10 ★ 傭兵初日、ビーコン除去、三人組との再会、ビーラーゲリラの夜襲、PSとの遭遇戦
第15話 疑惑 ★ ココナの店爆破未遂、キリコへのスパイ嫌疑、対PSプログラムの成果
第16話 掃討 ★ ゾンム村奇襲(カン・ユー大尉隊)、村民への尋問、ロシアンルーレット、新たなPS(イプシロン(プロト・ツー))
第17話 再会 ★ キリコ置き去りの撤収命令、キリコ敵拠点へ単身乗り込み、フィアナとモニカのキリコ脱走幇助
第18話 急変 ☆ キリコ帰還、クメン王国とメルキアの停戦協定発効、敵襲
第19話 思惑 ☆ 基地防衛成功、キリコとロッチナ大尉の再会、ムナメラ河遡行作戦開始
第20話 フィアナ × ※総集編1、新規シーンほぼ無し
第21話 溯行 ★ ラモー寺院の捜索・戦闘、バニラの合流
第22話 触発 ★ ゲリラ戦車隊との遭遇戦・撃破、河中の対イプシロン戦、フィアナの捨て身の妨害
第23話 錯綜 ☆ カン・ユー大尉vs.キリコ、フィアナ解放
第24話 横断 ☆ キリコ指揮下の特殊部隊、前後の敵
第25話 潜入 ★ ゲリラへの撤退命令、特殊部隊サンジェルマン宮殿突入、ミニカ死亡
第26話 肉迫 ★ 宮殿攻防戦、政府軍AT部隊降下、カンジェルマン第3王子死亡
第27話 暗転 ★ キリコのボロー司祭尋問、キデーラ戦死、イプシロンVS.キリコ、メルキア軍AT大量降下、宮殿壊滅、ゴン・ヌー死亡、ボロー司祭死亡、カン・ユー大尉死亡、キリコ&フィアナ脱出
第28話 運命(さだめ) × ※総集編2、新規シーン特になく見なくてよい回{/netabare}{/netabare}

 - - - - - - - - サンサ編 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
{netabare}
   ※クメン王国からの脱出後、謎の宇宙航行船に取り込まれたキリコ&フィアナ2人だけの宇宙空間~惑星サンサでの戦い
{netabare}
第29話 二人 ☆ 謎の宇宙航行艦、レッドショルダー(特殊部隊)記録映像、休戦協定侵犯、バララント来襲
第30話 幻影 ★ ロッチナ大尉更迭、キリコ・フィアナ各々の戦う理由
第31話 不可侵宙域 ☆ 艦内戦闘、バララント軍撤退、キリコの様態悪化
第32話 イプシロン ★ フィアナの投降申込み、キリコを狂わせた船(テルタイン)接近、・キリコ助命嘆願
第33話 対決 ☆ イプシロン撃退、惑星サンサ漂着、キリコ回復・離艦
第34話 惑星サンサ ★ ゴウト達との再会、キリコの異常戦闘・回復能力、キリコ捜索AT部隊来襲、レッドショルダーへの恨み(ゾフィー)
第35話 死線 ★ フィアナの様態悪化(液体ヂヂリウム切れによる身体硬直)
第36話 恩讐 ★ ゾフィー&バララント軍の執拗なキリコ追跡、酸素枯渇の危機、補給基地到達
第37話 虜 ★ フィアナ回復、キリコ囚わる、バララント軍指揮官ロッチナ、イプシロン隊来襲・応戦
第38話 暗闇 ★ イプシロンとキリコの対話、三人組の解放
第39話 パーフェクト・ソルジャー ★ キリコVS.イプシロン最後の戦い、PSの同類、イプシロンの敗北宣言・死、クエント星への孤独な出発
第40話 仲間 × ※総集編3、新規シーン特になく見なくてよい回{/netabare}{/netabare}

 - - - - - - - - クエント編 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
{netabare}
 ※ロッチナ大尉に示唆された惑星クエントへ渡り、PSと自らの秘密を探るキリコ
{netabare}
第41話 クエント ☆ 傭兵の町ゴモル、ル・シャッコとの再会
第42話 砂漠 ☆ 3000年前に文明を捨てた星、谷底のクエント人の村へ
第43話 遺産 ★ 長老との対話、手を加えられた者(PS)、神?、シュミッテル兄弟(双子科学者)の追跡、瞬間転移
第44話 禁断 ★ クエントを守る謎の力、シュミッテル隊のゴモル進駐、キリコ&シャッコ瞬間転移、交戦
第45話 遭遇 ★ 再度の瞬間転移、驚異の古代クエント文明(謎の支配者のメッセージ)、フィアナ&ロッチナ大佐との再会
第46話 予感 ☆ バララント&ギルガメス両軍代表会談、フィアナ引き渡し決定、キリコのフィアナ救出作戦
第47話 異変 ★ ロッチナ艦キロコ収容・エネルギー停止、バララント&ギルガメス両軍艦全滅、謎の軍艦接近、キリィとロッチナの再会、ワイズマン(賢者)の意思
第48話 後継者 ☆ 人工星到着、神殿へ、ワイズマンの依頼・キリコの受諾、キリィ死亡
第49話 異能者 ★★ バララント&ギルガメス両軍同盟成立・「神の子達」撃滅作戦開始、包囲網突破戦、キリコの非情命令、生まれながらのPS・異能者キリコの宣言
第50話 乱雲 ★ 惑星クエント帰還、キリコVS.シャッコ、迫るパララント&ギルガメス同盟軍
第51話 修羅 ★ 同盟軍のキリコ追撃、キリコ最後の試練(ワイズマン本拠へ)、ワイズマンとの直接対話 
第52話 流星 ★ キリコの反逆、仕組まれたキリコの旅(ワイズマンの種明かし)、神殺し、惑星クエント爆発、1年後(エピローグ、2人の冬眠){/netabare}{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)33、☆(並回)15、×(疑問回)3 ※個人評価 ★ 4.1

OP 「炎のさだめ」
ED 「いつもあなたが」
挿入歌 「たのまれグッバイ」

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

シス子 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

こ~きりこ~の~た~け~はし~ちすんご~ぶじゃ~まどのさんさも・・・ホレ・・・?・・・デデレコデンだよ、あ○にゃんw・・・なんかよく分かんないけどロボ物:第9弾

視聴するアニメ作品を選択するにあたり
いつも本サイトのレビューを読み
吟味させていただいているのですが
この作品はちょっとばかり違ってました

情報元は「あにこれ掲示板」です・・・

とあるスレッドに貼り付けられていた
主人公「キリコ・キュービィー」の画像を見て

おぉっ!なんかイイ男^^(あえて”イケメン”なんていう野暮な表現はしない)

って
わりとどうでもいいような
側から見るといかにも不純な動機で
視聴を開始しました

そして
レンタルDVD1枚目(4話)であえなくギブアップ(理由は後述)

でも
あるレビュアーさんのレビューを読ませていただき
再度視聴を決意しました

やっぱりレビューは参考になりますね~^^


視聴して最初に
というか終始気になったのは
映像の粗さですね

作画がかなり雑で
しまいには作画崩壊してるのでは?と思うほど
(っていうか明らかに崩壊してる)

特に肝心のキリコの顔がやたらと変化して
お話ごとに
ひどいときにはシーンごとに
顔の角度が変わるたびに
どれが本当のキリコの顔なのか分からなくなるくらいです

キリコ目当てで観てる私にとっては非常に残念でした

古い作品だと
こういうのって仕方のないことなのかな?


さて
この作品
一番の見所は
やっぱりロボット

作中ではAT(アーマード・トルーパー)と呼ばれ
当然キリコも兵士として搭乗するのですが
そのATの扱いがとにかくハンパない

どこかに落ちているのを修理して再使用したり
肩やら脇やら背中などに武装を施して
自分好みの仕様に改造したりと

ATを特別扱いしているという感じが全くしません

自分の持ってる銃火器など武装の中の一つ
っていう感じでしょうか

だから
壊れたときなんかは躊躇なく
捨てる
破壊する
相手にぶつけて葬り去る

さらには
相手のATを奪う
脅し盗る^^
パクる^^

そして
作中でのそんな扱いを考慮してか
ATが
とても現実的で実用性のある仕様で描かれています

高さは約4メートルほどでかなり小さめ

上から・・・
頭があって
腕が二つ
足が二つ・・・

まあ普通の人型ロボットです

特徴として

頭部にはカメラが装備されていて
どのATにも照準や広角などの機能別に
2~3つついている

腕には飛ばないロケットパンチを装備し
火薬の爆発力で相手を殴り攻撃する(殴ったとき薬莢が飛び出ます)

足にはローラースケート
新型ATになるとホバーみたいなものがついていて
ローラーが回転することで
高速移動する

膝や腰の部分に手すりがあり
搭乗者はそれに手や足をかけて乗り込む

操縦するときは専用のゴーグルを装着

コックピットがやたら狭い

モノによっては水に潜ると溺れる

などなど

そのほか
背中にいろいろなオプションが装着出来るようになっていて
パラシュートでの降下や
宇宙空間での運用も可能

足を小さく折りたたんでコンパクトに収納
{netabare}そのままお買い物にもお出かけできて
とっても便利・・・{/netabare}

多分
実際に見てみないと
とんでもないブツを想像してしまいそう^^

見た目はロボロボしていますが
動きはとても人間臭く描かれていてとてもリアルです

操縦は
足のペダルと手のハンドル
そしてカメラが映しだす限られた視界だけ
それなのに
走ったり
殴ったり
しまいには山をよじ登ったり

よくよく考えると
普通では信じられないような動作を
いとも簡単にこなしている
でも
そこがロボットアニメのいいところなんですね^^


お話についてですが
簡単に書くと
キリコにまつわるとても理不尽(?)なお話です^^

謎の女性「フィアナ」との衝撃的な出会いから
そのフィアナを巡る軍と謎の組織の争いに巻き込まれていくという展開

全体的に暗い雰囲気で
特に最初の「ウド」編は作画の暗さも相まって
心が折れてしまいそうです
(だから一度断念したのです^^!)

ただ
キリコのキャラを生かすという意味では
むしろこれくらいの演出のほうが
いいのかも知れません

ストーリー展開は
いい言い方をすれば
そんなに難しくない

悪い言い方をすれば
工夫や捻りが感じられない
といった感じ

はっきり言ってお話自体はあまり面白くない

中盤あたりまでは
フィアナの謎やキリコのキャラ
そして
ATの戦闘シーンで
そこそこの盛り上がりはあるのですが
終盤は
軍や謎の組織の構図が表に出すぎてしまって
内容が重くなってきます

さらには
「天○の○ラ○ュタ」を彷彿とさせる
ファンタジー的な展開もあったりと
全部を観終わっても
しばらくは
「???」でした

ヒロインのフィアナも
「PS」(パーフェクトソルジャー)という
とんでもなく強力な兵士というキャラ設定で
{netabare}「プロト・ワン」や「素体」や「あれ」
「ファンタムレディ」などなど
いろいろな”呼び名”が付いて
特別な存在だったのに
終わりのほうでは
全くなりを潜めてしまいます{/netabare}

当初はキリコとフィアナの
バトル&ラブロマンス的展開で終始するかと
期待していたのですが
そもそもキリコのキャラがそっち方面に向いていない

特に「サンサ」編でのキリコのヘタレっぷりには同情すら覚えるほどです

それを裏付けるお話がこちら

{netabare}謎の宇宙船に意味も分からず乗せられたキリコとフィアナ

「私たち二人だけw」
こんな状況でも不敵に微笑むフィアナ

あからさまな“私を好きにして~w”アピール痛み入ります^^

なのに
そんなフィアナの大サービス発言があったにもかかわらず
無粋なキリコは知らん顔

気がきかね~野郎だ~(怒

と思いきや
キリコが
おもむろに酒瓶とグラスを手に
「やるかいw」

キタ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!!
女酔わせてなにするの~(怒

{netabare}ナニをするの~(笑{/netabare}

がしかし
{netabare}お酒を口にした瞬間
撃沈しました{/netabare}

{netabare}「ゲホっゲホっ(オエェェェ)」(吐いてないよ){/netabare}

{netabare}むせてやがる^^!{/netabare}

{netabare}キリコにとっては
初めてのお酒なのでした~^^{/netabare}

このヘタレ野郎っ!
最低野郎っ!
カッコ悪っ!{/netabare}


話をもどして
良かったと思えたのは
ATでの戦闘
市街地やジャングルや砂漠など
それぞれの舞台にあわせた戦闘シーンは見ものです

ただ
これもお話の展開の煽りというべきか
終盤は
大量のAT(しかも同じ種類のATばかり)の
物量戦がほとんど

まるで
どこかの国の人○解○軍のノリ

大量のATと派手な破壊シーンで
盛り上げようとしているのはわかるのですが
これでは
キリコやフィアナの個人技が
逆に目立たなくなってしまってます

最後は一応丸く収まった感じでしたが
なんだか
とってつけたような終わり方で
正直
消化不良気味でした


さて
いろいろ文句を書き連ねてしまいましたが
全てを通して印象的だったのは「音」「セリフ」へのこだわり

効果音・・・
BGM・・・
声優さん・・・

聴覚にうったえかける演出


まず
いろいろな動きに細かい効果音が付いてます

弾が当たったときの音
当たった後のビリビリする音
ATが吹き飛ばされる音

さらには
ATの蓋(コックピットの扉)がしまる音
ゴーグルを上げ下げする音まで・・・

ゴーグルを動かすだけで
なんであんな電子音(“キュィ”みたいな)が発するのかは最後まで謎でしたが・・・

そして
シーンに合わせたBGM

戦闘シーンのBGMがとてもハマっていて
(っていうかほとんど戦闘シーンばっか)
良かったのですが

一方で数少ない悲しい(?)シーンで流れる
OP曲のピアノソロのインストがとてもいい感じでした

あのダサダサのOP曲が
キリコとフィアナの三文芝居じみたシーンを
こんなに盛り上げてくれるなんて・・・

あんまり感動的でもないシーンでも
この曲が流れると
迂闊にもホロリとしてしまいます

ちなみに
OP曲の「炎のさだめ」
歌っている「TETSU」さんの正体が
「織田哲郎」さんだと知り
こちらもなぜだかホロリとしてしまいました^^

さらに特筆なのが
声優さんが豪華なこと

「クメン」編での
ロッチナ役の「銀河万丈」さんと
ゴン・ヌー役の「玄田哲章」さんの会話は
聞いてたら
まるで洋画の吹き替え版みたい^^

さらには
銀河万丈さんの”次回予告”の「語り」がすばらしい^^

声もさることながら
ポエムのような予告は
それだけでも聞き応えがあります

その次回予告で
とても印象に残ったものを一つ

目を瞑って
銀河万丈さんの声を想像しながら読んでみてください
(あ~目を瞑ったら読めないか^^!)

 {netabare}何故にと問う
 故にと応える
 だが人が言葉を得てより以来
 問いに見合う答えなどないのだ
 問いが剣が
 答えが盾か
 果てしない撃ち合いに散る火花
 その瞬間に刻まれる陰にこそ
 真実が潜む
 次回”イプシロン”
 飢えたるものは常に問い
 答えの中にはいつも罠{/netabare}

続けて
エンディング曲

 {netabare}さみしいときも
 かなしいときも
 いつもあなたがめにうかぶ・・・♪{/netabare}


かっけ~
「なん○も鑑○団」でもこの語りでやってほし~^^


最後に
作品タイトルについてですが
「ボトムズ」っていうのはロボットの固有の名前ではなく
作中では
AT
あるいは
ATに乗る兵士のことを指すスラングのようなものだそうで
「VOTOMS(Vertical One-man Tank for Offence & Maneuver-S):攻撃と機動のための直立一人乗り戦車」(wikiよりコピペ)や
「Bottoms:最低の奴(ら)」(wikiよりコピペ)の意味と紹介されてます

でも
作中では最初のほうで何度か「“ボトムズ”乗り」という呼称が出てきましたが
ほとんどが「AT」で統一されてました

参考までに
「装甲騎兵ボトムズ」のサイトでは
そのタイトルを冠した
日本酒「最低野郎」と
キリコが所属していた部隊「レッドショルダー」を冠した
梅酒「赤肩」が紹介されています

興味のある方は一度試してみては^^

余談で
全く参考にならないけど
{netabare}私
日本酒入ると暴れます~^^
てへ (*≧∀≦*)b{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27
ネタバレ

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

来週もキリコと地獄に付き合ってもらう

本作のレビューは文章の構成上、フルメタル・パニックの一部ネタバレを含みます。その点に留意して読んで頂ければと思います。

{netabare}リアルロボット系では富野監督と並び称される高橋亮輔監督の手掛けたロボットアニメ。同監督の前作ダグラムと比べると、エンターテイメントを意識した作品になっている。雰囲気からすれば、重厚で一見さんお断りな玄人向けのアニメと誤解されがちだが、ストーリーはよく練られているし、キリコとパーティを組むメンバーはそれぞれ癖はあるものの、基本的には明るく優しい人達なので、彼らとキリコの微妙に噛み合ってない絡みも中々楽しい。全52話と4クールものだが、それぞれ4つの惑星を舞台にしたエピソードに区切られていて、その惑星ごとの世界観を楽しめるようになっている。マンネリ感を防ぐ、視聴者に配慮した作りになっているので、かなり評価できるポイントではあるけども、実質最初の2つの惑星は舞台も話も違っていて、オムニバスのようなイメージで楽しめるが、後半の2つの惑星についてはキリコの宿命に関するテーマを前面に押し出してしまっているので、そこまで違いを感じないのが勿体無くもある。若干完結に向けて駆け足になってしまっている空気があるのも、そう思わせてしまう原因だ。この点は少しマイナスかもしれない。

さて、この作品に出てくるロボットは通称アーマードトルーパー(AT)と呼ばれる独特のフォルムが特徴の人型機動兵器である。全高4メートルという、ロボットにしては非常に小型サイズの機動性と汎用性を重視した作りで、パーツを組み込む事で多様な戦闘状況に対応できる他、大量生産を可能とする機体構成のコストパフォーマンスの高さがウリとなっている。勿論この性質は全ての機体に適用されるわけではないが、主人公キリコを初めとして多くのパイロットが愛用するスコープドッグと呼ばれるタイプの機体は総じてこの特徴を備えており、使い捨てロボットと揶揄されながらも、ボトムズの顔ともいうべき存在感を放っている。あくまで汎用機に過ぎない機体をメインに抜擢してきたのは、実際の戦争においても、戦場の主役は一兵士が使用する汎用武器であるというリアリティに基づいた思想から閃いたのではないかと思う。勿論単独の戦力も戦場においては微々たるものである。某SRPGのように改造すれば、それだけで戦場の空気を一変させてしまうものでは毛頭ないということを私は強調したい。某SRPGにおける鬼神の如き強さは私からすれば非常に納得のいかない仕様であるw

主人公であるキリコは完全無欠の兵士という設定で、生身での単独行動によるサボタージュやATの操縦・整備技術を備えた戦闘のスペシャリストである。性格は無口で人付き合いを好まない孤独を愛する男ではあるが、ウドでゴウト・ココナ・バニラと出会ってからは少しずつ心を開いていき、後にクメンでは仲間との再会時に僅かながら笑みを見せるシーンもあった。ボトムズはキリコのこうした内面的な変化の過程を見せる作品でもある。ゴウト達との友情、フィアナとの愛情、そしてイプシロンとの因縁において時折見せる憎悪にも同情にも意地にも似た複雑な感情といい、当初失われつつあったキリコの感情が展開を追うごとに視聴者に伝わっていき、共感を呼び起こしてくれる。圧倒的な戦闘力・剛健質実で無口なハードボイルドな部分ではなく、こうした人間臭さも持ち合わせている所がギャップとしてキリコを魅力的に見せており、そこに惹かれるファンが多いのである。

ここでポイントとして挙げておきたいのは、キリコがスコープドッグを簡単に乗り捨てる様を見て、コイツは機体に愛着が無い人間だ!というレッテルを貼る輩がいる。ネット上の感想でたまに見かけるが、これは大いなる勘違いであり、キリコほど自分の乗ってきた機体を愛するキャラはいないだろうと私は考えている。本作を見てもらえれば分かるが、キリコは少しでも暇が出来ると熱心に機体を整備しているシーンが結構あるのだ。話の展開上、専属メカニックがいない状況が多い中、自分の機体は自分で面倒を見なければならないという不文律に渋々従っているかもしれないが、それでもそこまで念入りに整備するものなのか?と思ってしまう。前述したが、そもそも大量生産・乗り捨てを前提としたインスタント兵器という概念が普通な世界なので、キリコでなくとも、ロボットを使い捨てにするという兵士は割と多かったのである。使い捨て前提の機体を熱心に整備するという心は、自身の命を助ける近道という考え方はあるかもしれない。しかしクメン編でゴウトに新型の機体の融通されるも、キリコは「俺は使い慣れた機体がいい」とあっさりそれを断るのである。戦闘のことしか頭にない冷血な性格であれば、それは自身の命を高確率で生かす手段故の発言・行動と捉えられるが、ゴウト達との関係を見る限りでは、キリコにも機体に対する特別な愛着があると考えて良いだろう。

さて、本作の大ファンとして知られる著名人といえば、フルメタシリーズの原作者である賀東氏であろう。キリコを自身の理想のキャラとして掲げる氏は、相良宗介というキリコに似たタイプの主人公を生み出している。戦闘のスペシャリスト・無口で感情表現に乏しい・ヒロインが危険、若しくは事件に巻き込まれた時に冷静な判断力を失い、戦闘力が低下するといった性質までソックリであるw

そして極めつけとして、アニメフルメタ1期のキャッチコピーが「宗介と地獄に付き合ってもらう!」なのである。このコピーは私がタイトルに冠しているが、ボトムズの1話の有名な次回予告のフレーズであり、この文だけでボトムズを表現しているといっても過言のない名文句である。言い過ぎかもしれないが、ある意味この作品がなければ、フルメタは生まれなかったのではないだろうか。フルメタファンでボトムズを見ていない諸君は是非ともレンタルビデオ屋に足を運んで頂き、キリコと一緒に地獄へ旅立って貰いたい。損は絶対にさせない。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
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