恋愛おすすめアニメランキング 948

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの恋愛成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月01日の時点で一番の恋愛おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

63.0 1 恋愛アニメランキング1位
星降る王国のニナ(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.1 (61)
162人が棚に入れました
フォルトナ国城下で孤児として暮らしていたニナは、星の神のごとき深き青――瑠璃色の瞳を持っていた。 事故で亡くなったフォルトナ国の王女アリシャと同じ色の瞳ゆえ、第二王子アズールに見出され、ニナは王女に成り代わることを求められる。 身代わりの星の巫女として、王女として、与えられた使命――それは三月のあと、大国ガルガダの第一王子セトに偽りの花嫁として嫁ぐこと。 運命に翻弄されながらも、誰かに必要とされることに喜びを感じるニナ。そのまっすぐな瞳が見ているものとは……。 愛する人を守る決意をしたとき、それぞれの運命が大きく動き始める!!
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

暗闇の中でも星を見つける瑠璃色の瞳

フォルトナ王国城下町で孤児として暮らす少女ニナが、
王子アズールに、事故死した王女の身代わりの姫として見出され王宮入り。
王子と関わり合う内に惹かれ合ったり、さらなる波乱万丈に巻き込まれていく。
同名少女コミック(未読)の連続アニメ化作品(全12話)


【物語 3.5点】
逆境の暗闇の中でも、へこたれないヒロインのような者にこそ、光は訪れる。
そんな女(ひと)にこそ、頑なだった王子の心も開かれる。
本作はこれまで少女コミック界隈などで何度も生産されてきたテーマの再提供。
安心感はあるが意外性は少なめ。

毎話、王道要素がテンポ良く展開される構成は小気味良い。
EDアニメーションで、めくる本のページが影絵になっていて、
話数を重ねる度、影絵が各話の象徴的なカットを描いた挿絵として着色され、
波乱に満ちたヒロインの足跡を振り返る仕掛けとなっていますが。
1クールでよくこれだけのイベント量を消化できたなと感心します。

が、ハイテンポの代償として、じっくりと心情描写する機会が損なわれた感も。
試練に恋にと葛藤するヒロインの心情は、視聴者が読み取る間もなく、
モノローグで語られあっさり答え合わせ。
もっと色々、本音を想像させてドキドキさせてよと思うこともしばしば。

よって、私は本作を一日の締めなど、極力、心身が消耗した、
考察ばかりしたくなる深夜アニメ脳すらも死んでいる状況を選んで視聴しました。
すると、直球テーマによる浄化効果も相まって、醜さぶちまける系の他の深夜アニメ視聴も含めた日々のストレスが緩和され、
なかなかの入眠効果が得られました。

異世界ファンタジー版の「世界名作劇場」、童話絵本でも眺めるような距離感で行けば、
スッと折り合えるかと思います。


【作画 3.5点】
アニメーション制作・シグナル・エムディ

デジタル作画制作の推進を目的にIGグループが設立して10年になる子会社。
星空のようなニナの瑠璃色の瞳など描き込んで来る部分もありますが、
基本的には限界突破する程の作画カロリーは費やさず、無難に完走しましたという印象。

ニナも、思ったことが口やモノローグだけでなく、すぐ顔に出るので、
分かりやすかったですが、読み解きがいがないと思ったりしたのも脚本同様。
ニナは、髪型も色々と変わりますし、ちびキャラ含めた掛け合いや顔芸も多彩だったので、
見ていて退屈はしませんでしたが。
あと鳥の方のニィナとか。

グロ方面では、{netabare} 会話即セトに斬られたニナ{/netabare} などソコソコの衝撃シーンこそありますが深夜アニメでは控えめなレベル。
ロマンス部分も乱暴や夜伽を示唆する展開などがあったりもしますが、
実際に描写されるのはアニメ化部分ではキスまで。
私は配信組でしたが、TV放送は刺激を求められる深夜アニメではなく、安全安心なEテレ夕方枠とかでも良かったのではとも感じます。

ただ、そのキスに“好き”が入ってるか否かなど、
キスの意味の使い分けについては大事に描写されていて好印象でした。


【キャラ 3.5点】
明快だが予想通り過ぎると思うことも。

序盤フォルトナ王国で一番ヤベェ奴は悪女オーラ全開な王妃様ではなく、
{netabare} 穏やかな表情の無能サイコパスの国王の方{/netabare} だったというのも、
すぐにピンと来ましたし。

唯一、一本取られたなと思ったのが、終盤、{netabare} ニナの侍女ヒカミ。
異国ガルガダまで付いて来て、何か仕掛けてくるまでは分かりやすく匂わされていましたが、
性別まで偽っていたとは。{/netabare}
ただ、これも、やられてみれば、よくあるサプライズなんですけどね。
私も終盤までには、このアニメは、深読みせず無心でストーリーに身を委ねようと決めて、折り合った頃だったのも一因かなと。
制作者の掌の上で気持ちよく踊らされることができました。


フォルトナ王国の第二王子・アズール。
{netabare} ニナとは王族の身代わりとして連れて来られた者同士でもある。{/netabare}

ガルガダ王国の第一王子・セト。
{netabare} 数々の敵国を滅ぼして来た無感情な殺戮マシーン。{/netabare}

ニナはやがて二人の王子と両国を股にかけた三角関係を構築していくことになりますが、
二人の王子がデレるポイントも分かりやすくてくすぐったかったですね。

因みにファンの間ではアズール派かセト派で盛り上がっているそうですが、
私は断然セト派ですね。
{netabare} 殺戮マシーンが姫との愛を通じて人間の心を獲得していく過程。{/netabare}
このパターン。私は何度提供されても美味しく頂ける好物ですので。


【声優 4.0点】
主演ニナ役の田中 美海さん。
デビュー作のアイドルグループ「Wake Up, Girls!」片山実波役を務めていた頃から妹ポジション。
その後も様々なタイプの妹、年下役として、WUGメンバーの中でも一番堅実にキャリアを重ねて来た方。

ニナはスラム暮らしの頃は少年の格好と言動で身を守っていたため、
素の口調は粗暴なボーイッシュ。
心情を網羅するモノローグには乙女心も滲み出て。
王国の公の場では姫を騙り上品な言葉遣いで堂々と。
多彩な年下属性が求められる役柄でしたが、
みにゃみには対応できるだけの引き出しが培われていました。


アズール王子役の梅原 裕一郎さんは落ち着いたイケボ。
セト王子役の内山 昂輝さんは気だるげ成分配合のイケボ。
ボイスドラマから続けての指名となった一線級のお二人を相手に、
田中 美海さんが掛け合いで堂々と渡り合う。

正直、私は少女マンガはあまり守備範囲ではないですし、
お話にはハマりきれない懸念もありましたが。
みにゃみの成長に目を細められればそれで良いと割り切ったのが視聴動機でしたし。
得る物は得られたという点では満足できるアニメ鑑賞ではありました。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は田渕 夏海氏。
メインテーマとなる「瑠璃色の瞳」を始めピアノサウンドが牽引するピュアな曲風が中心。
癒やし目的で流しても効果ありそうな音源です。

主題歌はOPが坂本 真綾さんの「nina」
EDがムフルム王子役も務めた東山 奈央さんの「星の伝言」
ビブラートをあまり当てない純度の高い伸びやかな声優アーティストのボーカルが世界観にマッチ。
特に「星の伝言」は一日のEDとして聴いても綺麗に落ち着く逸品です。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

恋愛脳傾城玉藻の前二股吶喊好色一代スラム女

 最終話(12話)まで観ました。2025.01.03

 やべぇーアニメです。主人公のニナはタイトル通りのアバズレです。

 いくら何でも無理があります。スラムで生き延びてきた瞳が青いだけの小娘を拐ってちょっと教育して、敵対王国に死んだ姫の代わりに嫁として送り込む…。

 バレるバレない以前に最下層民なんて信用出来ないだろ…。アズールはアホなのかな?王昭君の悲劇があり得ないのと一緒で、格上の国に喧嘩売ってるのと変わりません。

 そして、ニナは超恋愛脳でアズールに惚れて、アズールもニナに惚れて何だかんだで任務を遂行しようとしますが、送られた国の王子のセトに惚れます。

 セトからも惚れられて…。もはや妖怪玉藻の前レベルの化け物です。身体も貧弱で教養も無い女に王子二人が簡単に落ちるか?なろうハーレム男主人公より説得力がありません。王子二人は女に免疫が無い童貞中坊なのか?

 そして、ニナは後先考えずに恋愛脳的吶喊行動を起こし、周囲を引っ掻き回します。何のために嫁に行ったのかな?アズールも未練タラタラで、コレでは最終的にトロイ戦争しか道無くね?イケメンを天秤にかけてるの?傾城の悪女だろコイツ…。

 結局アニメは良い所で中途半端に終わります。原作が完結しているのか不明ですが、アズールとセトが穴兄弟になって、ニナを媒介にした二国間同盟を締結するしか道が無い様な…。

 どちらにしても戦乱の未来しかありませんね…。ニナさんは歴史に残る悪女になれそうです。無自覚な分、某アリシアより悪辣ですね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 2

tomledoru さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

きっと,話がこれから面白くなると思います。

ここまでの話は,隣の王国の友好の為に嫁ぐまでの話ですが,そこまでは大して面白くないので,評価も低いのだと思います。

しかしながら。中盤に入って。

隣の王国に。お妃候補として赴任して,隣の王国の冷酷で,傲慢な第一王子に,正々堂々と立ち向かっていく姿は本当に心が打たれるものがあります。

もともとの前提が。王女様の入れ替わりということもあって。下町育ちの。気性の強いところがありますが,ヒロインにはそういう,がんとした魅力があります。

最近流行りの背景で。中世ヨーロッパの国と国の存亡をかけた,駆け引きのような半ば道具として,ヒロインは描かれていますが。

人間そのものの気性や性格で。話しをだんだんと盛り上げて行ってるところは,絶対評価すべきだと思います。

いうなれば、これからもっと評価される作品になると信じています。

最近流行りの魔法ものや。ダンジョンもの。転生。魔王,戦いや冒険者といった良く言えば「スパイス」悪く言えば「小道具」を使わなくても。

充分面白いアニメーションが作れるという。最近の手本になる作品になると予感しています。

魔法物のアニメーションだったら?せめて「葬送のフリーレン」くらいの傑作を作ってもらいたいものです。

ヒューマンドラマのみのファンタジーアニメとしては,私は秀逸だと思っています。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4

67.9 2 恋愛アニメランキング2位
義妹生活(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (166)
453人が棚に入れました
高校生・浅村悠太は父・太一の再婚をきっかけに、同い年の少女・綾瀬沙季とその母・亜季子と一つ屋根の下で暮らしていくこととなる。 互いに両親の不仲と離婚を経験しているがゆえに、男女関係に慎重な価値観の二人は、義理の兄妹として適切な距離感を保とうと約束する。 「私はあなたに何も期待しないから、あなたも私に何も期待しないでほしいの」 考えを述べあい、すり合わせを重ねることで、互いを理解していく悠太と沙季。 新たな生活に居心地の良さを感じはじめた時、二人の関係はゆっくりと、しかし確実に、変化をはじめて………… これは、いつか恋に至るかもしれない物語。 “他人”が“家族”へ、そしてその先へ。 少しずつ変わりゆく日々を映す、恋愛生活物語。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

キャラ全員が同じ人みたいな印象。終わってみれば演出が不快です。

 最後まで見られたのでその点は評価してもいいかなと思います。で、評価ですが本作で気になったのは2点。演出に内容(心理)が伴っていない気がしたのと、1人の独白をずっと聞いているような印象です。特に演出については作品を正確に読み取らせようという姿勢ではなく、ミステリアスなイメージ作りでしかなく正直これはどうよ?と思います。

 あのサイコロの目というか点字みたいなサインが何だったのかも私は読みとれていませんでした。沙季は音楽を聴いている=心を閉ざしている、現国が分からない=人の心が読めないという自閉症的な感じはしたものの、それがストーリーとリンクしているだろうか、突然悠太と同じアルバイトに面接に行ったり髪を切る衝動と結びつくだろうか、完璧主義と行動は言行不一致ではないだろうかなどと考えてしまいました。
 また、ジェンダー云々の発言も彼女の何を意図していれたセリフなのかはわかりますが、彼女を形作っている情報とか知識とはそぐわない気もしました。まして母親の水商売を旧父に対して論理的に擁護する立場ですからね。

 で、最後にギブアンドテイクかあ…人に聞くのが正しい勉強法でもないし、この辺はまだ沙季が幼く何もわかっていないと言いたいのか、物語としての主張なのかもよくわかりませんでした。

 最後の悠太の語りで結末はまとまった気もしますが、悠太と沙季がなぜ惹かれあったのかがやっぱり読み取れませんでした。同じ時間同じ空間を過ごしたからというには短すぎる気もするし、同類の親近感なのか、ルッキズムなのか、相手の弱さが愛おしいのか、家族という障壁が燃え上がらせたのか。その辺がよくわからない…というか、沙季も悠太も口で説明しかしてない気がしました。言葉と内面の不一致があってこそのラブストーリーだと思うのですが。そこがこの後、破局する物語ならわかるんですけど現状では保留という感じですね。

 一番気になったのが、この作品ってキャラの価値観の相対化ができていない気がします。やっぱり1人の人間が考えた道徳や恋愛観、社会、家族、男女などの一つの視点で見た世界観の中で、男女を配置して原作者の代弁あるいはコマとしてキャラが説明しているだけに見えました。大人の意見が大人に聞こえない、変わった人間設定の人間が変わっていない。准教授のところが顕著でしたが、やっぱり全部1人の口から出たセリフをキャラだけ変えて説明されているような印象が、特に後半では感じました。

 恋愛ものとしては「隣の〇〇」的なものの一種かな、という印象です。これは「都合の良く美少女と突然同居したら?」という作品です。原作をある程度読んだのでその印象は間違っていないと思います。演出の妙で心理劇のような印象を作ったのは、制作陣の上手さでしょうね。この作品をよくここまでもったいぶって作ったと思います。ただ、それは視聴者を裏切ったことにもなる気がします。

 テーマとして家族とは何か?も全く描けておらず、障害と義務としてしか機能していませんでした。そして障害としても低すぎるでしょう。それは父母を全く描けていないからだと思います。演出で重い感じを出していますが、雰囲気だけの演出はストーリーの邪魔にしかなりませんので、その点は一番頭にきています。

 なお、最終回の作画って結構崩れてました?別の作品かなと思うようなところがありましたが。

 点数はストーリーとキャラは2.0。演出はだましに近い気がするので作画に入れて1.5…ですが前半の作画は良かったので2.5にします。無音を使ったのはよかったので音楽は3.5にします。





11話までと原作4巻まで読んでのレビュー

 この原作の評価は、1人が考えた想像上の会話を聞かされている…という感じでした。「ゆっくり動画」の魔理沙と霊夢と言えばいいんでしょうか。情報や主義主張を語るだけでなく、一応プレゼンテーションとして会話劇にするという感じです。スマホでアフェリエイト狙いの冗長なブログとかとも共通しています。

 つまり、キャラが活き活きしていない気がします…というと情緒的すぎますかね。キャラが「ゆっくり」と同じように作者1人の言いたいことを代弁している様子が透けて見えるといえばいいんでしょうか。
 その印象の証拠として准教授が分かりやすかったですね。准教授と女子高生の会話への流れ、出会いすべて不自然です。なにか説明の場面を無理無理つくるために、ぽっと登場させたキャラであることが見え見えというべきでしょうか。
 で、准教授との会話が特に顕著なんですけど、知識人である大人と高校生の会話に見えないんですよね。「ちょっと勉強したんですけど聞いてもらえますか?」という説明を会話風にされている気分です。驚きも感動もない一般人の主義主張です。
 それを単に問答形式に2つの人間に分けただけで、会話にキャラ造形が透けてきません。言葉にバックグラウンドが感じられません。つまり作品のキャラがキャラ化できていないといえばいいんでしょうか。

 で、アニメなんですけど、恐らく監督か演出かわかりませんが、そこはちゃんと見抜いたんでしょう。軽くなりすぎる。キャラが活きない。だから、悠太の方の1人称を3人称の視点にして、意味深長な演出で心情がある風な演出にしたんだと思います。そうすると「深いかも?」という錯覚になるんだと思います。私もそうでした。

 義理の妹、兄を好きになる。それだけならアダルトコミックと変わりません。どんなテーマが入れられるか?ですが、うーん…ちょっと父母の言動といい、准教授といい「私の考えた主義主張」的な浅さがあるかなあ…やっぱり家族を解体させて、改めて付き合うとか何かが無いとなあという気がしました。原作評に近くなってしまいましたが、こんな感じでしょうか。

 一応もう1話でしょうから、12話を見て修正点があれば追記します。









1話 見てると息苦しくなりますが、それが2人の気分なんでしょう。

{netabare}  見てるだけで息苦しくなりますね。それが2人の気分を表していて、つまり演出意図だと思いますので、その点ではうまく描けていると思います。ちょっと主人公・ヒロインの言動が理に走りすぎかも、と思わなくはないです。今のところまだまだ原作者がキャラに乗り切れてないかな、という部分でしょう。

 ヒロインの目の中が賑やかすぎるのがちょっと違和感を感じますし、キャラデザは可愛いし作画もいいですが、正直「最近のラブコメヒロイン」のバリエーションでしかありません。その点で言っても記号的です。
 ここから感情が表現されて、作者の描きたいことが見えてきて、キャラの裏がみえてくるかどうかですね。そう…思いっきりドロドロして欲しいです。

 この時間競合する作品がないので、ちょっと見てみようかなと思います。作品がどう展開するか気になるので、3話までは確認して継続するかどうかでしょう。{/netabare}


2話 え、これは考察しろって言ってる?最後の方のあのシーンは何?

{netabare} あれ、何か超能力的なものがあるの?最後の方は何?雨が降るのが分かるというのと何か意味がかかっている?という感じでの最後でしたね。

 正直言えば全部セリフで説明してくれるので、せっかくいい雰囲気なのにちょっともったいないかなと思います。2人の距離がいきなり近すぎるのも若干不自然です。

 まあ、売りがどうのこうのというのは作品を重くする常套手段なので、うまく描かないとチープになるなあ、とは思います。見た目の問題も完璧に綺麗にするというのは、女性心理としては創作の中では意外性はありません。独立志向、家庭が嫌で独り立ちを急ぐ少女に普通にありそうです。

 が、何か仕掛けがあるならそこは作品の本質じゃないのでしょうか。あの壊れたイヤホンについて何か考察しろ?ということでOK?まあ、気になりますね。これは見ちゃう奴かな?{/netabare}


3話 面白いし雰囲気いいですが、全部セリフで説明しちゃった?それはどうなの?

{netabare} 2話の最後のトラックのシーンの意味がつかみかねていますが、タイムリープ的なものでなく、心ここにあらずだったのか、周囲が見えていないというアナロジーなのか。完璧であろうとしても実は隙があるとも読み取れます。

 通常、日付が丁寧に表示される作品は、推理ものかタイムリープものが多いので、その線で見てみましたが、3話の後半だと追想のためのタイムスタンプでしかないということみたいですね?

 会話のとき音声にエコーがかかったときは、ちょっとSF的なものを妄想しましたが、道路橋の下のシーンということだけでしょうか。印象的にはなりました。
 
 そして、その後半の追想の内容なんですけど、私は全く反対にとらえていたので意外でした。息苦しい家族生活とわかりすぎるほど自分のことがわかる義理の兄。拒絶のためのいい子だと思ってしまいました。それがジェンダー論と完璧な行動と容姿を保つ沙季のハリネズミのトゲ(つまりATイールド)だと思っていましたので。

 ですが、逆でした。想像よりも浅い方に行ったかなと思わなくはないです。ただ、ジェンダー論とかミソジニーとかその辺をどう使ってくるかです。ステレオタイプ的な見方で申し訳ないんですけど、この性格造形って、元父となんかあった?と思わなくはないです。そこまで鎧をまとうための完璧主義になるって…何かあったんじゃない?ということです。

 一方で、ジェンダーで男女の決めつけを嫌がるのに、母親の水商売を職業として受け入れるし、容姿を「女として」完璧にするところに矛盾は感じますけど。

 結構面白いし、雰囲気も独特のものを作っているし、方向性が分かるようでわからないのもなかなか良いですが、ヒロインの内面をあの形で見せるのはあまりよくないなあ…いわゆる「創作物」で一番大事なのはそこ…内面や感情の動きを説明しないで感じ取らせることではないかな、と。

 もうちょっとストーリーと演出で見せてほしいかも…ただ、ちょっとズルイですけど、沙季の叙述トリックかも…ちょっといくらなんでも説明しすぎですよね?もう1段奥に何かあることを期待して視聴継続ですね。

 そうそう、悠太の性格の裏にあるものがもっとドロドロしてそうですけどね。でも、やっぱり男にはあんまり興味がないかな。実はゲイでしたとか?むしろ女でした…もあり得そうですけど小説じゃないからそれはズルイか。 {/netabare}


4話 気になるのは音とイヤホン。なぜ、沙季のシーンだとBGMが消える?

{netabare} ヒロインのアウトラインが見えてこないです。思ったことを言うという性格でしたっけ?他人の気持ちが分からないということでアスペルガーなんでしょうか。イヤホンは音に過敏なのでしょうか?だから、トラックに気が付かないほどイヤホンから音楽を鳴らしていた?

 にしては悠太に対する距離の詰め方が急だなあというのと、新生活への適応力が高いなあということです。友人を連れてきたり、自分から裸で押し倒しかけるようなのってキャラがぶれている気がします。

 2重人格…ということではないと思いますが、結構不自然な感覚が強いです。沙季のシーンだとBGMが消えるので聴覚障害なのかな?とも思いましたが、横を向いて会話しているシーンがあるのでちょっと違います。先輩からもらった曲は多分意味が違うのでしょう。ここを見ると共感覚とかサヴァン症候群とかの可能性も考えてしまいますが、まあ、答えはわかりませんがやっぱり気になるのは音とイヤホンですよね。

 それと悠太が高額バイトを探しているという状況がイマイチ納得がいきません。自分でも探さないのはなぜでしたっけ?1か月も放置していたの?

 なお、現国のテストの点の取り方は気持ちが分かるかどうかじゃあありません。気持ちが分からないという状況に対して、あくまで読解力だしテスト上の技術だという指導が必要な気がします。沙季は人の気持ちがわからない、とエピソードで説明したいのはわかりますけどね。

 演出で気になったのが、冒頭に近い部分でソファに座っていた沙季が立ち上が手ふらふらと悠太に近づいてゼロ距離で「現代文を教えて」という行動がちょっと性格造形的にも良くわかりません。そういう娘でしたっけ?また、完璧主義なのに事前に対策をとっていない理由もわかりませんでした。

 一見、深い内面を描いているように見えますが、どうも全体…というよりヒロイン沙季の性格造形がチグハグしている気がします。やっぱりここが2重人格とか、何か別のものがあると「おお」となるのですが。

 文句ばっかりいってますが、沙季をどう描きたいのか?という点に興味があります。OPなどを見ると「子供のころ」というのも何かのキーになってそうですし。一体どんな物語にしたいのかが気になりますし、ちょっと楽しみです。{/netabare}


5話 なんか変なフラグが立ちました?あまり方向性が見えませんねえ…

{netabare} 先輩の告白については、偶然映画と自分の置かれた状況が一致したととる取り方と、どこかに連れて行ってほしいというおねだりの両方が考えられます。演出から判断すると不穏な方な気もしますが、この作品は辛気臭い演出が多いのでわかりません。そこは保留しますがいずれにせよなんらかのフラグが立ちましたね。

 それから悠太って、父親と同じように女性恐怖症だった…というか父親は克服したから結婚したんでしょうけど。わざわざ3話のあのシーンを入れたってことは彼は女性嫌悪か少なくとも女性が苦手という意味でとっていました。

 それなのに女性の先輩とレイトショー=デートに行くんだ…というのが意外でした。矛盾にも見えますが、どう理解すればいいのでしょうか?

 話の方向性が見えないですね。どうなって行くのでしょう?

 それと追試の対策には新しい参考書もましてや本も必要ありません。学校の教科書と参考書と小テスト・配布物を見直しましょう。{/netabare}


6話 最後の点字みたいなの何?もともと沙季は正常な人に見えませんが…

{netabare} 距離を近づけるだけだとイマイチかなという気はします。やはり沙季にもう1段何かの秘密がないと話としては成立しません。

 兄悠太の心の移りとか変化が少々急で不自然なように見えるのは、沙季の描写が少々作りすぎな気がするからかな、とも思います。

 幼少のころの思い出らしきものの心象風景と音・イヤホンの使い方から何か読み解けないかとは思ったりしますが、別にこのまま見てればいいかなとも思います。
 と、思ったら、最後の瞬間の点字のようなのは何?一応点字表をみると「め」が六個の点で「っ」が左中央に1個の点(付け焼刃で調べました)なので、「めっ」に読めますが本当でしょうか?

 目が見えない、耳が聞こえない…どちらも描写から判断するとちょっと不自然なんですけど、沙季がどうも視聴覚あるいは心理的に何かの異常がないとちょっと不自然な描写なんですよね。その辺どうなんでしょう。

 もうここまできたら、このままダラダライメージだけで終わらせても作品になるような気がしますけどね。文学的に作りすぎましたね。文学ということは、正直この作品は恋愛が成就するとお話にならないと思います。義理の兄妹故に悲恋で終わらないと正直今までの積み上げが無駄になると思います。折り返しにきましたので今後ですね。{/netabare}


7話 一番いやな予感がする話の展開になってきました。だとしたら馬鹿にされた気分。

{netabare} 前半の沙季のモノローグは全カットでいいです。本屋のバイトの面接のシーンその他でそんなのは読み取れます。それと最後の一言も。

 正直、義妹と結ばれるだけの話なら、もういいかなと思ってきました。なぜ、高額バイトを欲したのか?人の心がなぜ読み取れないのか?意味深な演出や記号はなんなのか。そういうのが、単なる「雰囲気づくり」の可能性がでてきました。

 だとしたら、こんなに馬鹿にした話はありません。思わせぶりな心象風景やらエピソードやら入れておいて、意味がないというのはあってはいけません。それは視聴者に対する裏切りです。
 さらに、全部説明してしかも「嫉妬」まで単語にするってなんなんでしょう?本屋の先輩の話はどうするの?

 うーん、あと1話チェックします。もし、義妹と結ばれてチャンチャンならこんなバカにした話はありません。最後「妹」をとるならドラマですけど。{/netabare}


8話 悠太の気持ちが見えないのが結論に活かされるかですけど…なんかなあ…

{netabare} うーん…1話の「相手に期待しない」を今更持ち出しますか。なんていうんでしょう雰囲気は作っているんですけど…
 すでに沙季は2回にわたり心情を日記で吐露する場面があったので、視聴者視点としては、悠太の戸惑いというか四苦八苦に乗れないんですけど、その辺物語としてどうなんでしょう?

 沙季が頑張りすぎている…ように見えないのもちょっと何が描きたいのかわかりづらいポイントです。視聴者からは悠太が頑張りすぎているようにしか見えないと思うのですが。

 沙季がヤキモチを隠すために反発しているだけなら、こんなダラダラ場面を見せることはないです。ビーフシチュー=悠太ってことを言いたいために1話かけたということ?
 演出や言動で内面を推し量る描きかたを沙季についてはしていないので8話は本当に茶番に見えてしまいます。
 一方で、言葉ではなく、過去の沙季から今の沙季につながる心情の変化が読み取れないんですよね。

 考えられるのは、悠太が沙季をどう見ているかだけは視聴者に隠しているポイントです。沙季の気持ちに反して悠太にとってはやっぱり家族だ、という物語なら今描いているのが目くらましとして機能するのでわからなくはないですけど。

 どうする気なんでしょう?本屋の先輩はどうするの?栞を拾ってくれた女の子は何?物語ならそういうところを放置してはいけません。それが悠太を描くのに役立たなければ物語になりません。

 結末をどう描くかは気になりますが、最後がっかりさせないでほしい。沙季の気持ちに反して悲恋なら成立すると思います。お願いですから安っぽいハッピーエンドだけは勘弁してください。

 そうそう、白河三兎氏の『私を知らないで』が……以下この小説のネタバレなのでを気を付けを。結構ストーリーの根幹です…{netabare}義理の姉弟になる悲恋です。恋愛感情がなかった幼さで、不幸だった女の子を救うために義理の姉弟になる話です。あとから恋愛感情に気が付きますがその女の子は主人公の友人と結婚します。 {/netabare}この結末が素晴らしかったのでどうしても比較してしまいます。{/netabare}


9話 居心地の悪い家族ゲームと恋愛に似た醜悪な何かを見せられている気分。

{netabare} 沙季が悠太に恋愛感情を抱いているという風に見えますが、私には理解できません。作品を通じてその描写をしている感じがまったくありません。あるとすれば、日記ポエムです。もちろん説明的な表現はありますけどね。それは心情の変化の描写ではありません。昔の家族から今の家族に移って、沙季は何が変化したのか?何故変化したのかさっぱりわかりません。

 それが悠太の行動とかやさしさだとしたら、笑ってしまいます。悠太は家族を演じているにすぎないように表現しているからです。偽物の悠太に惚れた気持ちが本物であっては恋愛物語にはなりません。

 まあ、何となく途中から演出と雰囲気は凝っている風ですけどありきたりな話になるのかな、と思っていたらやっぱりそうなんでしょうか。だとすれば昭和の少女漫画でしかありません。演出や場面が、心情の変化とリンクしていないならそれは不要な尺のばしでしかありません。高額バイトはなんだったの?

 居心地の悪い家族ゲームも何のために描いたのか。人間関係が崩壊する場面を描かなくていいのか。義理の母親に裏の顔はないのか。このままではキャラが全員、記号どころかコマに見えます。

 悠太からみた義理の母の気持ち悪さが感じられるので形だけの家族ゲームの総括をするか、父親のせいで男を信じられない沙季の恋愛感情が偽物であるとか、そういうものを期待しているのですが、どうもそういう感じじゃない感じです。

 正直このままくっつくなら「俺ガイル」で陽乃が言っていた醜悪な何かでしかない気がします。徹底的な破壊がどこかにないと、偽物の恋愛感情になるというところまで行きつかなければ、男女の性欲を否定した冒頭の話が単に純愛風味にするための言い訳になってしまいます。だったら、あそこで1回やってしまった方がまだ自然なストーリーでした。

 性的なものも描かない、家族ゲームも総括しない、悠太の裏も見せない、沙季の依存というか幼さ故の完璧主義の果ての身近ですませる恋愛で終わるのでしょうか?

 うーん、なんというか…だらだらずっと日記ポエムで恋愛感情を描写しているつもりなら、もういいかなという気がしてきました。9話ですから微妙ですけど、あと3、4話ですよね?うーん…思っていた100分の1くらい浅いなあ…

 まあ、すこし1話から振り返ってみて私の考え違いがないかチェックすべきかもしれませんが…あのかったるい演出に似たものが単なる雰囲気づくりなら時間の無駄ですからね。何とも… {/netabare}



9話まで中断時レビュー
「意味深長っぽい演出に騙された気分です。「義妹がいることとは?」の心情描写が薄すぎ」

原作1巻を読みました。本作を見ていて感じた違和感、主人公の視点はどう考えればいいのかがわからない理由がわかりました。1人称の小説を(神の視点ではなく悠太カメラの)3人称にしたんですね。そこが謎めいた演出につながって独特の雰囲気になったと。

 原作を読んだ印象は、キャラに実在感がなく、理屈をずっとしゃべっているだけに見えました。1巻が短くて夜這い的なところまででした。その先も入手してしまっているので読むかもしれませんが、今のところどうしようかなという感じです。

「お互い期待しない」のに「高額バイトを探して」と沙季が依頼する部分が代表ですが、いきなりお互いが干渉しあうんですよね。「期待しない」と「金で済ませる」をつなげれば、ドライな関係でいようということかもしれませんけど。

 ただ、完璧主義な人間がこういう言動をするのかなという違和感がやっぱり特に沙季側にあります。身体を売るなら売るで割り切って一人でさっさとやるでしょう。母がバーテンダーとはいえ夜職に理解があるなら「期待しない」義理兄に相談はしないし、まして身内に身体を売るなどという発想にはならないでしょう。
 ジェンダー論を勉強してそこにも完璧であろうとするなら、家父長制に反対すると思います。そして、母の再婚に抵抗しないところでジェンダー・フェミニズムの勉強も中途半端なんだと思います。英語の勉強=自立の準備という思考が安易です。悠太の身売り反対の理屈なんて正直言えばガキのたわごとで、童貞の妄想でしかないです。

 結果、自立というのが甘えにしか見えないです。単純に考えればあとわずかで18歳です。そこから独立するのに高額バイトで準備とか必要ないです。その沙季の甘えが描きたい部分かもしれませんが、それは読み手の妄想で表現されている部分からは読み取れません。沙季がどうやって変化していくのかが日記だけです。3人称にするならそこを丁寧に描いてほしいし、原作の弱いところなので補強しても良かったと思います。

 そして、じゃあ、本作が悠太のことが描けているかといえば、やっぱり聖人というか「僕の考えた理想のすごいキャラを形にしました」的な存在な気がします。この点は原作の方が義妹がいる戸惑いは描けていると思います。そう、義妹がいる戸惑い…どうやってふるまうかの思考ですね。これは1人称ならではです。
 これがあるので原作はまあまあ読めます。会話は説明くさいですけどね。本作は「義妹生活」のテーマであるだろう肝心な「義妹がいることとは?」がぽかっと欠落している気がします。ですので、原作勢は楽しめてもアニメ勢だと何が描きたいのかわからなくなっています。

 また、両親も本作よりかなりライトなノリでこの2人については家族問題の視点はほぼないといっていいでしょう。あとででるかもしれませんけど。

 いずれにせよ、本作に興味をもった演出のやり方ですけどそこに意味性はなく、意味深長に描いていますが単なる雰囲気だと判断しました。沙季の心情を丁寧にすくって音楽や場面が考えられているかと言えば、私はそうなっていないと思います。

 後付けで原作を読んだので余計頭にくるんだと思います。逆なら評価は変わるかもしれませんけど。
 たぶん買ってしまった原作を読んでしまいますのでレビューはこれくらいにして、結末後に追記するかもしれませんが、9話までですと正直期待外れもいいところでした。全部説明してしまっているラノベ故に、文学っぽい演出で心情を表現したいという意図はわからなくはないですが、演出意図に込められているものがほとんど読み取れません。その薄さ故に終わったときに1クールのアニメ作品として成立するかは微妙な気がします。結末は確認します。

 ただ、これは私の印象ですが、悪くとれば原作の1巻1巻の短さをカバーするために演出で引き延ばしたようにも見えました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「幸せな家族のやり直し」と「兄弟姉妹の恋愛」

三河ごーすとによる原作小説は、『MF文庫』(KADOKAWA)で刊行中(既刊11巻、原作未読)。
アニメは全12話(2024年)。監督は上野壮大。制作は、『ログ・ホライズン』シリーズ、『この素晴らしい世界に祝福を!(1、2期)』などのスタジオディーン。
(2024.10.23 投稿)

完全にタイトルからスルーしていた作品。どうせ親の再婚で年頃の連れ子同士が突然一つ屋根の下、お決まりのラッキースケベ展開なんでしょう?と思っていた時期が私にもありました(笑)
各レビュアーさんから、そうじゃないらしいとの情報を得て、さっそく視聴を開始することに。

予め確認しておきますが、血のつながりのある兄弟姉妹の結婚は、日本ではできませんが(※片親のみ血のつながりがある場合は、スウェーデンだけOKのよう)、連れ子同士の義理の兄弟姉妹の結婚は、血のつながりがないので、法律上、何の問題もありません(なお、血のつながりがある場合も、法律上の婚姻ができないだけで事実婚や恋愛まで禁止するものではありません)。

なので、個人的には、義理の兄弟姉妹が恋愛関係になるのはインセスト・タブーでも何でもないと思っているので、世間体があるとしても、「禁忌」というほどの忌避感はないんですよね(※本作に登場する奈良坂真綾(CV.鈴木愛唯)も、「3か月前まで他人で、兄弟姉妹だからといっても「義理」なんだから、恋愛関係を避けることもない」と言っていたので、私だけ変ということではないと信じたい(笑))。

もっとも、本作は、インセスト・タブーを理由として、お年頃の男女が自分たちの恋愛感情を押し殺そうとしているというお話でもないと感じたので、私の感想を書いていこうと思います。


【「幸せな家族のやり直し」と「兄弟姉妹の恋愛」(※ネタバレありの感想)】
{netabare}離婚の際、向こうに離婚の主な原因があるにもかかわらず自分勝手に幼い子供の養育を押し付けられても、それを快く引き受けてしまう人の好い親である浅村太一と綾瀬亜季子。
(※「人のいい人畜無害な男性役」(例えば、『イエスタデイをうたって』魚住陸生役)において私の中で定評のある小林親弘さんと、「幸の薄い女性役」(例えば、『わたしの幸せな結婚』斎森美世役)において私の中で「殿堂入り」を果たしている上田麗奈さんは、はまり役でした。)

もっとも、だからこそ、本作の主人公である浅村悠太(CV.天﨑滉平)と綾瀬沙季(CV.中島由貴)は、親という存在一般に絶望し期待しなくなると同時に、人の好い親の方にはついていこう、そして、こっちの親には、これから幸せになって欲しいと心底思ったことでしょう。

そんな親たちが再婚すると言ったとき、前回の結婚であんなにつらい想いをしたのに、また結婚するの?でも、こっちの親には感謝もしているし、幸せになって欲しい、私のせいで幸せになれないのは嫌だから早く家を出ようとは思ってた。それが少し早くなるだけ。と子供たちは思ったことでしょう。

しかし、初対面での太一の思いやりを感じるさりげない行動(※姓を別にした表札の準備、結婚指輪をしていないなど)に父親を期待してしまった沙季。息子も優しそう。諦めていた幸せな理想の家族が手に入るかも…
だけど、期待して裏切られるのは、もう嫌だという予防線から、悠太に「私はあなたに何も期待しないから、あなたも私に何も期待しないでほしいの」と言い放ってしまう沙季。

色々こじらせた結果、とても「面倒くさい女」になってしまった沙季(笑)。自らの美貌を過剰に周囲にアピールしなければ、確実にクラスカースト最底辺。

そして、沙季のさらなる誤算は、全く期待していなかったはずの義理の兄である悠太が「沙季のことを理解しすぎる」というところ…


本作は、一度幸せな家族を作ることに失敗した親子同士が出会って、前回の家族生活では手に入らなかった幸せな理想の家族を今度こそ手に入れられると期待したのだけれど、あろうことか幸せな理想の家族ならあってはならない兄弟姉妹が恋愛関係になってしまった。

そうすると、幸せな理想の家族を手に入れるためには、例え義理であっても兄弟姉妹が恋愛関係になってはいけないということになる。

もっとも、これは、前回の失敗した家族を初めからなかったことにして、今の家族で家族をやり直すのだという「虚構」を「現実」にしようとすることからくる「禁忌」(縛り)なのだとも思うわけです。
(※私がそう考えるのは、オープニングで悠太と沙季が実際に在りえないはずの一緒にバスに乗って、どこかへ行くシーンを描いていたこと。そして、沙季が幼いころの浅村親子の海での会話を録音したテープを聞きながら、自分もそこにいるような妄想をしていたことなどから。)

沙季があんなにこじらせてしまった原因は、前の不幸な「家族」なのですから、年相応の本来の素の彼女を取り戻そうとするなら、幸せな「家族」をやり直す必要がある。そして、それは育ててくれた親が望む幸福でもあります。

したがって、「理屈」で考えるなら、今までの過去を全てありのままに受け入れてしまえるのならば悠太と沙季は恋愛関係になることはできるでしょう。
しかしながら、手に入らなかった理想の家族、そして、本来の自分という虚構をあくまで追い求めるとするなら、二人が恋愛関係になることは許されないということになるでしょうか。

本人の気持ちは本人が一番わかっていると同時に、一番わかっていないのも本人なんてことはよくあること。二人は、これから上手く自分たちの気持ちを整理できるんでしょうか。2期に期待したいと思います。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

タイパ重視のこのご時世に・・・ある意味挑戦的な作品

【レビューNo.148】(初回登録:2024/10/20)
YouTube漫画原作で2024年作品。全12話。
ここのレビューでも散見されますが、タイトルからすると
「コメディ色の強いご都合主義のいつものやつ」
って思いますよね(笑)
リアタイで視聴していた時は「切るほどでもないが・・・」でダラダラ完走
したって感じでしたが、見返すと意外と悪くない作品だったかも。


(ストーリー)
「”義理の兄(妹)”はただの他人だ」
高校2年生・浅村悠太は父親の突然の再婚により、義妹となった派手な見た目
の同学年の綾瀬沙季と出会う。
2人は
・前の両親の不仲を見てきたために共に男女関係に慎重になっている
・今の両親に心配をかけて家庭を壊したくない
という思いから、都度”擦り合わせ”を行い、「適切な距離感」を保つことを
約束しあうのだった。


(評 価)
・タイパ重視のこのご時世に・・・ある意味挑戦的な作品
 同クールに70本程度放映されるのが当たり前となったこのご時世、それこそ
 3話切りどころか1話切りされる恐れもある訳で
 ・序盤からテンポよく畳みかけたり、キャッチーな展開をブチ込む
 ・目を見張る映像美やヌルヌル動く作画など
 最後まで視聴してもらうために各作品も頑張っているようで。
 しかし本作はこのタイパ重視の今の風潮に逆行したような、ある意味挑戦的
 な作品だったのかなっと。

 特徴的なのは作画のカメラアングルですね。
 本作の悠太と沙季の会話劇(擦り合わせ等)なのですが、同じような引きの
 画がメインになっているんですよね。
 イメージ的には家に仕掛けられた隠しカメラで覗き見や観察するみたいな。
 この定点的な視点で、2人のやりとりから距離感等が変わっていく様を淡々
 と積み重ねていくという何とも地味な作品ではあります。
 色調も抑え気味ではありますし。

 その辺りの制作陣の意図に気付けば面白みもでてくるのですが、私もリアタ
 イ時は半分脳死で観てたので微妙な作品だなっと。
 たまたま見返す機会があったので、再視聴したらそういうことかと評価を改
 めたのですが、このご時世になかなか思い切ったことやってるよなっと。


・セリフ回しのセンスがちょっと合わなかった
 個人的に初見で没入できなかったのは、沙季に好印象を抱けなかったのが大
 きいと思います。
 最初の悠太との会話が
 {netabare}「そのユーモア、話し方、表情どれにも強い熱を感じない。~(中略)~
  私はあなたには何も期待しないから~(中略)~この意味あなたなら正確
  に理解できるよね。」{/netabare}
 これがラブコメ感あるツンデレなら可愛げもありますが、初っ端から地雷臭
 のする女だなっと。
 その後も
 {netabare}「こういう”擦り合わせ”ができるの地味に助かる。」{/netabare}
 とか何かと「面倒臭い女」という印象が序盤で定着しちゃったんですよね。
 この辺りは悠太のセリフ回しにも引っ掛かるところがあり、どうも原作者と
 の相性が悪いみたいですね。

 また作品の性格上モノローグが多いのも、「面倒臭い女」と感じる一因の
 ように思いますね。
 あとギャルの恰好をしているのは「社会を渡っていくための武装モード」
 とかいう謎理論も何なんだと。


・義兄妹の恋愛模様は・・・
 こういう題材を扱っていれば当然「義兄妹の恋愛」というのは避けて通れず、
 というかそれがメインだったりするわけで・・・
 本作も上述のように地味な積み重ねから、現時点での2人の”擦り合わせ”を
 描いて終わります。
 作品を通じて感じたのは、「2人の温度感」的なもの描きたかったのではと。
 はじめはぎこちなさがあり低温だったものが、徐々に温度が上がっていき、
 最後は触れ合って2人の体温で終わるみたいな。
 感覚的には「ピュアラブストーリー」というより
 ・「俺は本物が欲しい!」(by比企谷八幡/俺ガイル)
 という人の関係性の根源的なものを描きたかったのかなとも感じましたね。

 ただ総じて理屈っぽさが鼻につき、個人的にはあまり好みな描き方ではなかっ
 たかな。


率直なところ初見ではあまり刺さらなかったものの、腰を据えて見返してみれば
いろいろ気づきのある作品だったかなっと。
ただこれだけアニメが大量に制作される時代ですからね。
序盤からしっかり視聴者の心を掴む工夫がないと、せっかくのよさも伝わらない
のでは?とも思いました。
あと2人の会話劇以外のエピソードとか全体的に弱いのかなあ。


OP『天使たちの歌/fhána』
・OPから作品への期待感を高めるfhánaのこの安定感よ!
ED『水槽のブランコ/Kitri』
・これは作品の余韻をきれいに昇華してくれる良曲

 
(追 記)
これを言っちゃうと身も蓋もないのですが、両親も子供が高2なんだからこんな
微妙な時期に再婚せずに、高校卒業まで待てなかったんかいっと。
コメディ強めの作品ならそのドタバタ劇も笑って許せますが、シリアス度が高い
本作だと、その辺が引っ掛かってきたかな。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13

67.6 3 恋愛アニメランキング3位
2.5次元の誘惑(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (193)
417人が棚に入れました
「リリエーーール!!!」 3次元の女子に興味無し! 漫画研究部部長・奥村は今日も部室でひとり、画面の向こうに映る愛してやまない2次元のキャラクター・リリエルの名を叫んでいた……。 そんな奥村のもとへやってきたのは「リリエルになりたい」という3次元女子・天乃リリサ。彼女は、漫画の中に登場する女の子のエッチで可愛い「衣装」が大好き。 そして、奥村に負けないくらいリリエルを愛する仲間(オタク)だった! 奥村に秘密の趣味がコスプレであることを明かしたリリサは、コスプレの写真や動画が詰め込まれた「ROM(ロム)」のコレクションを見せて伝える――。 「私っ……これを作りたいんです!!」 ふたりきりの部室で始まるコスプレ活動! リリサが変身(コスプレ)したリリエルは奥村が衝撃を受けるほど本物(リアル)で!? 熱意に押された奥村もカメラを手に!? 真摯に熱くコスプレに向き合う彼らが、「何かを熱烈に愛している」全てのオタクへ贈るコスプレ青春ストーリー、開幕!!
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

11話 アニメのクオリティ不足。話も挫折が無さすぎ。中断します。

1話 ヒロインのコスプレ姿に全集中?ご都合主義妄想展開だけど面白そう。

{netabare} なんと言ったらわからないくらいのご都合主義。童貞妄想全開サイコーだぜ…という感じです。まあ、導入なので評価はこれからかな、というスタートでした。

 ヒロインは結構可愛いです。ポイントはそこですね。作画や背景美術は必ずしも高レベルではないですが、ヒロインのコスプレ姿が非常に丁寧で作画もいいし、お前らこういうのが見たいんだろ?というニーズを拾い上げている気がします。キャラ造形も、無垢系無自覚エロオタクで、コスプレの露出に羞恥心はないけど恥ずかしがる…というのが最高ですね。そう、ヒロインの描写に全集中といってもいいかも…少なくとも1話はそんな感じでした。

 当然「着せ恋」と比較したくなるわけですが、本作の方が相当軽い感じです。ヒロインもギャル系の「着せ恋」に対して、本作はオタク系なのでその対比も面白そうです。女原作・男原作の差なんでしょう。

 主人公は一応個性はあるっぽい無個性男子なのも王道ですね。そしてどうやらハーレムものっぽい雰囲気もありますね。

 部活ものっぽいし、ビッグサイト系のコスプレものらしいし、凝った部分はなさそうなので、普通にニヤニヤしながら見せてもらいます。
 OPEDを見る限り登場人物が多そうで話がごちゃつかなけばいいのですが…という不安はありますが、一方でヒロインと主人公のイチャイチャで終わらないストーリー展開も予感させます。
 テンポや演出は過不足無い感じで雰囲気的に思っていたよりも面白そうな気がします。

 そうそう、本サイトのキービジュアルはちょっとなあ、という感じですが、本編はそれよりも全然いいです。(訂正 キービジュアル大きな画像だと頑張ってました…が頭と体のバランスというか…ちょっと違和感は残りました。なんでしょうね?){/netabare}


2話 ダブルヒロインのエロ作画に命をかけられないなら、断念候補です。

{netabare} テンプレハーレムものの構造?美少女幼馴染モデルって…コスプレはどこ?と思わなくはないですが、EDを見る限り2人のメインヒロインの三角関係でまだ今はキャラ紹介かな。これでモデルの子もコスプレになるのかどうかですけど…その先は考えてもしょうがないので保留です。

 で、肝心の作画…いや、はっきり言って美少女の作画がなあ…モブとかは手抜きで全然いいです。いっそ黒塗りとかシャフトみたいな線でいいです。ですが、せめてヒロインには200%の力で取り組んでほしい。あるいはエロ…立体の魅力です。裸体の表現はもうちょっと何とかなりませんか?骨みたいで全然魅力がないです。この作品の本質は魅惑されるような2.5次元の魅力のはずです。それを視聴者が共有するためにはそこは譲ってはいけません。

 正直話は面白くないことはないです。そもそも期待してませんし、その低い期待よりは少し上かなとも思います。ですが、作画です。美少女エロ作画が本作の命だと思いますが、制作者はどう考えているのでしょう?むしろそのためにあらゆるリソースを投入してください。

 ダブルヒロインの作画が悪いなら次週切ることになりそうです。(最後の1,2分は作画まあまあだった?一応労力・リソースの配分はしてるみたいですけど…){/netabare}


3話 話が動きだして面白くなってきました。でも衣装は普通そうやって引っ掛かりませんよね?

{netabare} 話が展開して思っていたよりも面白かったです。コスプレの衣装づくりに重点を置かないことで「着せ恋」との差別化はできてますね。普通1晩じゃ出来ないでしょう。リアリティを重視するなら自分用に作った衣装の直しとかでしょうけど、そうしないのはそこは設定で乗り切る、という宣言なのでしょう。
 本作はプレイ…写真撮影に主眼が置かれる感じ…というと作品の説明ではその通りなんですけど、その裏にもう1本本筋がありそうです。

 エロコスプレで魅せるのでしょうけど、その裏にラブコメのラブ要素をコスプレの対象となる作品にオーバーラップさせていました。それで主人公が現実とコスプレの間で自分の心情が理解できない感じとか、そんな展開になりそうです。
 リリサがタイトルにもなっているヒロインである以上はリリサエンドなんでしょうけど、まあ、1クールではどこまで行くかわかりません。

 そうそう「衣装がからまっちゃって」「胸パーツが引っ掛かって」はやりすぎですけど、まあ、その手のサービスも忘れないということですね。やりすぎなければその微エロをコメディにしている感じで良いのではないでしょうか。

 作画は相変わらずの紙芝居でしたが、比較的女子の描写は頑張っていたのでそこも2話よりも良かったです。この感じなら十分に視聴継続ですね。来週もさらに展開があるみたいなのでちょっと楽しみになってきました。{/netabare}


4話 失敗イベントの出来や来週への引きが良かった。面白いですが作画がなあ…

{netabare} 話が動くとやっぱり面白いです。初めてのイベントで失敗というドラマと客観的な評価を得るエピソードですね。単純な流れですが失敗が上手く「みんなのイベント」という感じがちょっといいエピソードになりました。

 全体的にオタクあるある的な服選び、居場所、女性のリードのような流れも上手く描けていたので、今回も面白いという評価で良いと思います。来週の引きに期待できそうですので、1クール目の前半のピークは5話になるのでしょう。
 今時まだCD-ROMなんだ…と思わなくはないですけど。デバイスをみんな持っているのでしょうか?

 で、やっぱり作画です。動かないなあ…本当にもったいない。この作品2クールだそうで。だったら、もっと予算使ってクオリティ上げないと後半にまで視聴者が残るか心配です。
 話は面白そうなのに、一番大事なコスプレの魅力が表現できないまま終わりそうです。早急に改善した方がいいと思います。{/netabare}


5話 右肩上がりで面白くなってきました。

{netabare} やっと始動という感じですね。エロ関係で来るのかなあと思っていたら、ちゃんとコスプレで行くんですね。これなら十分面白いです。今週はリリサの作画も可愛かったし。

 初イベント、小さな失敗、レイヤー仲間のコミュニティと交流など、やはり「着せ恋」と話の構成が重なるところがありますが、一つのキャラを推して行くとか、恋愛がコメディ寄りになっているなど、差別化はできていると思います。ROMという軸もありますし。

 右肩上がりで面白くなっているのでここから先も期待が持てそうですね。{/netabare}



6話 サブの男が活躍する作品は期待できそう…と思ったら四天王と廃部問題かあ…

{netabare} それとサブに目立つ男キャラを入れられる話はちょっと期待できますね。カメラマンとして主体的にかかわっていくというのはいい視点だと思います。

 ですが、四天王とは…そうきましたか。バトル展開になるの?たぶん1話冒頭に出てた子たちですよね。

 で、部の要件問題かあ…そのテンプレはいるの?キャラを増やす伏線でしょう。ヒントになるのはEDのキャラ集合のシーンでしょうね。美花莉が入部して、メガネの先生が顧問になって…あと1人新キャラかな?生徒会の女性2人が結構中心の目立つ場所に配置されていたので入部するのでしょうか。

 で、その集合シーンの配置なんですけどメガネの美人先生の立ち位置がコスプレのアダルトチームと並列なんですよね。しかも特大のサイズで。つまり先生はかなりの主要キャラになるのでしょう。だから、廃部ではなく顧問&部活存続と見当が付きます。

 まだ世界観というかキャラが展開しきっていない導入が続いている感じです。

 それにしても、作画さえレベルが高ければなあ…もっともっと注目作になったと思います。{/netabare}


7話 さわちゃん先生そのままでしたけど、まあいいでしょう。

{netabare} まゆら=先生は想像よりもコミカルなキャラでした。もっと真面目な感じをイメージしてました。ですが、重くなるのかなと思っていた展開が軽めの話でいきそうですね。本作ではその方がいいでしょう。序盤で無駄に重くする必要はありません。

 顧問就任の経緯は美人新任で、モテモテで人気があって、過去の記録で脅されて…というのが「けいおん」のさわちゃん先生の設定そのままの気もします。オマージュというにはちょっと似すぎている気もしました。
 そもそも「けいおん」がオリジナルかもわからないのでそこはいいでしょう。キャラとしての人間関係の広がりという点では本作の方が工夫がある気がします。

 結局リリサが古参のコスプレイヤーを次々と篭絡していく話になるのでしょうか?{/netabare}


8話 視点は面白いですが、不安要素も。あとは作画だなあ。

{netabare} 面白い視点でした。コスプレはサブカルチャー=メインじゃない故に人からは認められない趣味という視点ですね。もうえなこさんなどの活躍でメインに近づきつつある気配はありますので、古い認識の気もしますが、まだまだ実際にコスプレを人前でするというのは一般的というにはほど遠いのも事実でしょう。

 趣味に貴賤はない。一般的ではないけど真面目に人生をかけてやっているから部活として認めてもらいたい。一見正しいように見えます。

 が、本作のROMを販売は、いくら趣味に貴賤はないにしても、女性が主体的に肌をさらして、それを販売しお金に換える行為でもあります。奇異に、不快に、部活動としてふさわしくないと思う人がいるのも事実でしょう。

 本作は、企業活動としてプロのコスプレイヤーを出すことで、その辺も見せていました。この娘はまさにえなこさんでしたね。えなこさんはきわめて頭がいい冷静な印象がありますので、ちょっとキャラが違う気がしますけど、オマージュはしているでしょう。
 コスプレが女性の性的な部分で注目を集め利益を得ているという性消費の側面があるという事実をどこまで描くかですね。

 キャラ愛かコスプレという行為そのものを愛することの違いは何か、という視点もありました。

 と、問題提起はいっぱいあるんですけど、どう展開するんでしょうか。面白いとは思いますが、理に走っている気もします。物語になるか説明になるか。楽しみであると同時に不安でもあります。また、あのロケットの中の写真が奥村に見えなくはないのですが、幼馴染的な展開も予想されその辺はどうなることやら。
 
 あと、やっぱり作画なんとかしてください。今週はちょっとひどかった気がします。{/netabare}


9話 演技過剰、説明過多。闘志は内に、以心伝心、涙は秘めるが大事では?

{netabare} 演技過剰、説明過多なんですよね。これをやるから2流になります。まあ、私は原作者でも制作の専門家ではなく視聴者側からの意見なので、作っている側の理屈もあると思います。しかし、見ている側からすると過剰なものはこちらの気持ちを萎えさせるということは言いたいです。

 別の言い方をすれば、過剰なものはこぼれ落ちるだけです。拒否反応でフィルターがかかります。闘志は静かに、涙は描かず、相互理解は以心伝心。その方が受け入れやすくなるし、行間も読めますので情報以上のものが伝わってきます。

 展開は面白いとは思いますので、その辺の文句はありませんが、不満点はそこですね。あとは作画なんとかして。{/netabare}


10話 バトル形式の勝敗をカメラ小僧の数で表現してるのは面白い。ただ、アニメのクオリティが辛い。

{netabare} バトルマンガの形式を囲みの数でやるんですね。そこにリアリティがあるかは別にして発想としては、一つの工夫かなと思います。数による可視化は安易で本当はクオリティの表現ではなく大衆迎合なんですけど、昨今の「いいね数」をはじめ「数=質」あるいは「数=勝ち」という理屈をとる人もいますので有りなんでしょう。アニメ(マンガ)ではわかりやすいのでしょう。

 SNSとも組み合わせやすいし、そうなると「パリピ孔明」をはじめ「音楽もの」「配信者モノ」の再生数などとも同じマインドなんでしょう。本来そこに質の評価は何もないんですけどね。

 あとは753のコンプレックスからの自己表現・自己実現の手段としてコスプレに走ったのは、前回のコスプレ愛についての言説と相反する気もしますが、そこにリリサへの嫉妬のような感情を入れることで、内面の描写は良かったと思います。

 ただなあ…話は面白いんですけどアニメ作品として見ると、やっぱりアニメのクオリティが低すぎて辛いです。異世界転生ならそういうものだと流せるんですけど、美しさが重要な作品ですからね。

 要するにカメラ小僧の感動=我々の感動にならないといけないわけで、その点でこの作品で外してはいけないのが、美少女コスプレのアニメ表現としての完成度です。それがこのクオリティだと辛いなあ。
 うーん…ちょっと休もうかなという気がしてきています。毎週レビューするような中身でもない気がしてきましたし。

 中断にはしませんが、3,4話…あるいは最後終わったらまとめてみようかなという気がしてきました。本当は原作の方がいいかなという気もしていますが…うーん。いつのまに断念にする可能性もありますね。{/netabare}


11話 話ではなくアニメとしてのクオリティ不足。中断します。

 話は悪くないんですけど、11話のクオリティで力尽きました。あと、少し原作を読む機会があったんですけど、このクオリティでは明らかに原作者はお気の毒だと思います。ヒロインのコスプレのすごさが全然伝わってきません。故に10話11話の話に説得力が全くないです。

 ただ、手放しでストーリーが褒められるかというと、やっぱり善人ばかりの暖かい世界の話はちょっと飽きますね。
 753のキャラをもっと工夫できなかったのかなと思いますし、部活がそのまま継続というのも挫折がない一直線の物語だということもあります。つまり、今後の展開はあきるかなというのが中断の理由です。

 それと1クールじゃなきゃ12話は見ますけど、2クールなんですよね?あと1クール見る気にはなれません。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

『着せ恋』と比較されがちだが、少年誌らしい切り口で差別化は図られていた

【レビューNo.159】(初回登録:2024/12/22)
コミック原作で2024年作品。全24話。


(ストーリー)
ある高校の、たった一人しか部員がいない漫画研究(漫研)部部長・奥村正宗
は、昔母に捨てられたことがトラウマになっており、3次元女子が好きになれず、
2次元キャラへ愛情を向けるようになっていた。
そんな彼ののもとに、新入生の天乃リリサが入部してくる。
共に漫画のキャラクター「リリエル」が好きな二人は意気投合し、リリサの趣
味であるコスプレ撮影を始める。
また奥村の幼馴染で現役人気モデルの橘美花莉が登場、彼女は奥村にずっと好
意を抱いていた。
そして「コスプレ=奥村攻略の近道」と考えた美花莉もコスプレに関わるよう
になっていく。


(評 価)
視聴前に抱いた率直な感想は
「コスプレ分野には『着せ恋』という強敵がいるのに大丈夫なんか!?」
という心配ですね。
正直「コスプレという世界の奥深さや面白さ」という点に関しては、『着せ恋』
には及ばないかなという印象ですが、本作は本作で少年誌らしい切り口で差別
化は図られており、違った面白さがあるのかなっと感じました。

・王道的なバトル展開や仲間との熱い友情のドラマ
 「いかにも少年誌連載(少年ジャンプ+)らしい」
 と感じたのは、リリサ自体は
 「好きなコスプレをやれるだけで幸せ」
 という無欲なキャラなのですが、周りの状況は
 {netabare}・「コスプレ四天王!」
  → 一人欠員が出た、NEXT四天王は誰なのか!!
   (また「次に来る5人の新星レイヤー」のランキングとか)
 ・イベントの写真撮影会、囲みの輪が大きいのはどっちだ!!
 ・「拙者はこのコスプレイヤーに惚れこんだ!2人で頂点を目指すでござる!!」
 なんやかんやとバトル展開的な要素が盛り込まれているんですよね。
 リリサにその気がなくても、彼女の注目度が上がっていけば自然とその渦中
 の人物となっていきますし、彼女を推している奥村にも
 「リリサの『リリエル』にもっと多くの人が注目して欲しい!」
 という望みも生まれてきますし。
 こういう視点がいかにも少年誌っぽいなっと。{/netabare}

 また後半クールから活動仲間が2名増えますが、
 {netabare}・コミュ障であったためすれ違いを繰り返すも、最後には勇気を出して分か
  り合えたNONOAの物語であったり
 ・父親を捜すためにコスプレを始めたアリアに皆が協力する展開だったり
 こういうところにも少年誌らしい友情の熱さを感じるんですよね。
 またアリアの物語には実は奥村の過去も関係していて、こういうもう一段掘
 り下げたところに原作者のセンスを感じましたし。{/netabare}

 「コスプレ」というニッチな分野を扱いながらも、少年誌読者層ウケしそう
 な要素を上手く取り入れているなという印象ですね。


・ラブコメ要素は意外と適切だった!?
 2話でいきなり「奥村先輩ラブ♡」の美花莉が投入されますので、
 「早くも(ご都合主義的な)三角関係ラブコメ勃発か!?}
 と、やはり安っぽい作品なのかなって否定的にみてたんですよね。
 序盤は結構ラッキースケベ的な展開も放り込んできますし。

 しかし3話で2人のコス併せをすると、以降は
 {netabare}・リリサの初イベントだ!
 ・奥村のカメラマンレベルアップだ!
 ・「漫研」の存続ピンチだ!
 結構コスプレ活動が忙しく、ラブコメ度はかなり薄くなります。
 それに後半は上述の通り、新キャラとの友情物語がメインになりますし。
 そういう意味ではちょっと意外な構成でしたね。
 ラブコメとして大きく動き出すのは、終盤
 ・アリアの物語で自分のために奔走してくれた奥村にフォーリンラブ♡
 ・最終話でドカーン
 って感じですね。{/netabare}

 この最終話がかなり秀逸で、ヒロイン側の心情だけでなく、奥村の心も動か
 してきます。
 {netabare}奥村は上述の通り、過去のトラウマで3次元女子を拒絶していたのですが、
 そんな奥村に顧問の羽生がアドバイスを送ります。
 「お前に関わろうとする人間を恐れるな。」
 「心はたった一人の中に生まれない。自分以外の誰かがいて初めて生まれるんだ。」
 等、ある意味原作者の哲学を代弁しているような感じがあり、結構心に響く
 んですよね。
 この会話劇で作品が一気に引き締まって終わるという感じですね。{/netabare}


まあ根本的な話として
{netabare}・(紆余曲折があったにしろ)高校の部活としてコスプレが許容されているの
 はどうなんだ!?
・しかも顧問は実は伝説のコスプレイヤーだった!!{/netabare}
とツッコミどころもありますが、この辺も前半パートのエピソードとして一応
丁寧に描かれていますし、後半はキャラを増やして世界を広げて上手く展開し
てきたなと思います。
最終話もしっかり作品を引き締めつつ、ラブコメも進めて今後に期待を持たせ
る形で終わりますし。

ぶっちゃけ
「『着せ恋』との格の違いを晒して惨敗するやろ」
という事態も想定していましたが、「王道の少年漫画展開」で予想以上に健闘
してたかなという印象ですね。
やはり連続2クールで、後半ギアが上がってくる展開まで一気に観せてくれた
ことが大きいですね。
順当に2期も決定ということで。

ただ作画は『着せ恋』のクローバーワークスがハイレベルだっただけに、どう
しても見劣りしてしまいますね。
まあ比較なしでもヒロイン達はもう少し頑張って欲しかったというのはあるん
ですが。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

忘れていた、コスプレは楽しいってことを!

アニメとしてのデキは決していいとは言えないし優しい世界過ぎてリアリティがない
ラブコメとしては掛け合いが微妙だし、オタク男子の妄想?って感じの都合の良さ
万人に評価されるアニメじゃないけど、私はとても楽しめています

コスプレ愛が詰まった素敵な作品、やっぱり「好き」をひたすら追求した作品は素晴らしい!
万人に刺さる必要なんてないんです、好きな人にクリティカルヒットすればそれは最高の作品だ
最初はただのえっちなハーレムアニメに見えたけど、思ったよりずっとマジメな話でした
これだけ真剣にコスプレをテーマに描いた作品はなかなかない

まず、コスプレやリリサを上げるために誰かを下げようとしないところが好感持てます
レイヤーさんも生徒会長もいい人ばっかりだし
先生の対応が神すぎて子どものやりたいことを尊重しつつ、リスクから守ってあげるのがカッコいい大人だと思います
こんな優しい世界ねーよってのもわかるけど、現実の厳しさよりもコスプレの楽しさをこの作品は描きたかったのでしょう
ランキング1位を狙うとか、勝ち負けとかどうでもいいことだけど、誰だって比べられて負けなんて気分悪いのは当たり前
でも、大事なのは楽しむこと「コスプレは勝負じゃない」「レイヤーはみんな同じものが大好きな仲間」こういう作品のコンセプトが好き

リリサは衣装へのこだわりももちろん、作中の細かいシーンを全部覚えていて、一つ一つポーズから表情まで忠実に再現していくのが素晴らしくて
私が一番好きなタイプのレイヤーさんですね、ほとんどのレイヤーは有名なフレーズとかシーンの再現をいくつかできればいい方なんだけど
原作の細かいカットを一つ一つのポーズに取り入れれるのは本当に愛がないとできない、リアルでこんなレイヤーいたら絶対好きになる

ただコスプレ楽しいー!!ってだけじゃなくて、コスプレが好きなのにできなくなる事情、プロレイヤーの事情、レイヤーの抱える悩みも余すことなく描かれていました
レイヤーさんって人によってだいぶスタンスが違うんですよね、仕事で良く知らないコスをするのも、好きなキャラを徹底的に追及するのも、最新のアニメをみたらすぐやりたくなるのも、形は違うけど、コスプレを愛する気持ちは一緒だと私は信じたいです
{netabare}
「コスプレだって芸術なんだから、もっと自由でいい、私はどんな信念を持ったコスプレも等しく愛している」ってセリフがすごく心に刺さった
レイヤーなら必ず抱える悩み「いつまでもできるわけじゃない」「コスプレへの偏見が怖い」にもしっかり向き合って「好き」を堂々と主張する良いシナリオだと思います
「誰だってなりたいキャラクターになれるのがコスプレの良さ」って言葉もいいですね
{/netabare}
もちろん似合うキャラクターになるのがベストだけど、好きなキャラクターになりたい!って気持ちが一番!
好きなキャラクターになりたい! 好きなキャラクターを撮影したい! グッズ買って応援したい! 人に伝えたい! 自分だけでこっそり楽しみたい?
表現の方法なんてなんだっていいんです、一番大事なのは愛する気持ち、「好きなだけ」でいいんです

【レイヤーあるある?】{netabare}
リリサが古いアニメのコスプレしてコスプレ会場でみんなの注目をかっさらいましたが、コスプレあるあるですね
最新アニメのコスはもちろん大人気なんだけど、古いアニメでも細部までこだわりきった衣装は同じレイヤーさんやカメコのかたにはわかるのでわらわら人が集まってきます

男装レイヤーさんは更衣室で着替える時にすごく気を遣う方が多いみたいです
作中のように女子更衣室に男性が入ってくるように見えて着替えてる女子が落ち着かないのもそうだけど、イケメン男装レイヤーさんの女性ファンは多いので
ファンの夢を壊しちゃいけないから着替えには気を遣うって人もいます
レイヤー同士のレイヤーあるあるの話面白かったし、カメコさんの写真の専門的な話も参考になりました、ただ撮影するだけじゃないんですよね
コスプレって用意するものすごく多いし、会場によって細かいルールが全然違うしルールの数も多いので「これわすれた!!」はレイヤーあるある
更衣室は激混みでできるだけ速やかに退場するのがマナーだけど、トラブルがあったら助け合うのもレイヤーのたしなみ、レイヤーのリアルをすごく良く描けていると思います
レイヤー同士のコミュニティってニッチだから気が合う同士は凄く仲が良くて、イベントで仲良くなると一気にコミュニティが広がります、レイヤー同士の交流はレイヤーやってて良かったと思える瞬間の一つですね(交流が嫌いなレイヤーさんもいるけど)
{/netabare}

【一晩でコス衣装作る?!】{netabare}
ミリエラの衣装を1晩で作ってたけど、布面積よりも細かい装飾多いほうが難しいし時間もかかる
リリサの3話のセリフから、見た目だけじゃなくて角度による見え方とか細かい質感までこだわっているようですし
ウィッグもブーツも特殊だから既製品をベースにするにしてもすごく時間かかると思う
かなり難易度高い衣装だと思います、必要な材料を調達するのも大変だし、一晩じゃ無理ですね
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17

67.7 4 恋愛アニメランキング4位
先輩はおとこのこ(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (119)
305人が棚に入れました
男だけど可愛いものが大好きで、女の子の姿で高校生活を送る“男の娘”・花岡まこと。 ある日の放課後、まことは、“女の子だと勘違いしたまま”の後輩女子・蒼井咲に告白をされる。 「実は自分は男の子なのだ」と打ち明け、告白を断るまこと。 しかしまことの予想に反し、咲はあきらめるどころか、「男女両方の先輩が楽しめる」とテンションアップ! さらに、「私が先輩の初恋の人になってみせます」と宣言して……。 可愛いものが大好きな、まこと。 まことに恋をする、元気いっぱいの後輩・咲。 まことを近くで見守り続けてきた、幼馴染の竜二。 3人の、恋と友情と、成長の物語がはじまる――。

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

まこと君とは一体何だったのか?トランスジェンダー的な問題をギャグに落とし込むのは、やはり無理がある…。

 最終話(12話)まで観ました。2024.10.03

 8話あたりから咲はめでたく空気になりました。母親と義母(咲の婆ちゃん)との間に確執があり、家族が微妙な感じなのですが、そんなん珍しくもありません。高校生にもなって、何を言ってんのか!

 咲が空気になったのは、まことのせいでもあります。結局まことは何者なのかが、上手く描けていないため、周りの人物達もボヤケてしまっています。

 性自認は男性?女性?性指向は?竜二と付き合ってみたり、咲に手を出そうとしたり、バイセクシャルなの?

 まことは、高校生活の最初の方で、女性として生活しており、男だとバレて女子コミュニティから排除された描写がありましたが、女子生徒を危険にさらした高校の責任はどうするんでしょう?高校を騙して女の子として入学したの?高校は実は男の子でしたで、そのまま在籍させるの?猥褻目的で女性に化けていた可能性もありますよね?恐らく、こんな簡単な話では済まないと思います。

 まことの祖父が出てきたりしますが、この人も性自認や性指向が謎です。可愛いもの好きで化粧したり女装したりしますが、趣味レベルなの?

 このアニメは、非常に色々なモノから逃げています。ヤバくて、描写出来ないなら、そもそも題材に選ばなければ良かったのです。

 まことは高校生なので、トランス女性になるとかそういった話はまだ無い様です。まことの性的対象が不明なのも、未熟な高校生だから!で逃げています。まことは結局、トランスジェンダーなのかさえ怪しいです。

 実に換骨奪胎したアニメです。原作もそうなのかもしれませんが、端から覚悟が足りていません。昨今のLGBTQを巡る社会情勢や議論等をつまみ食いしただけの、社会問題ファッションアニメでしか無かった様です。

 好きな物を好きでいたい!まことが結論として言っていることは魔法少女マジカルデストロイヤーズのオタクヒーローと同レベルの浅さを感じました。

 母親も、「息子がアブノーマルだったとは、こういうことだ!」と叫びながら、ランバ・ラルなみにガラスを突き破って自爆するくらいの気概が欲しかったです。

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 4話まで観ました。2024.27.30

 どうも、デフォルメパートで分かり易い感情表現(興奮して鼻血を出したりするテンプレ表現)を多用するせいで、LGBTQに寄り添った意識高い系アニメとは、一概に言えない感じがします。

 まこと君がトランスジェンダーなのは間違いなさそうですが、性自認と性的な嗜好がボヤかされているので、単なる女装好きっぽくも見えます。

 私は自分と可愛い物が大好き!女は可愛い!私は可愛いので女装したい!三段論法的な邪悪さも感じます。

 また、まこと君は性的に中性的で、美少年兼美少女なので親友の竜二も単純にゲイと言うわけではなさそうです。

 まこと、咲、竜二の関係も、咲がドチビの性的に未成熟な少女として描かれているので、三角関係が成立しておらず、まこと君の性的魅力(フェロモン)に惹きつけられている蟲2匹といった関係性です。

 物語が進展して、竜二が咲を意識する展開になれば、話は変わっていきそうです。そうはならないかな?

 何となく敷居が高そうでしたが、まぁ、深いことは考えずに気楽に観ても大丈夫そうです。

 しかし…まこと君、トイレやシャワーはどうしてるんでしょうね?高校にはトランスジェンダー専用のがあるんでしょうが、外ではどうしているのか?その辺も曖昧にしています。

 お馴染みの新宿二丁目のゲイ達は、見た目が邪悪で禍々しい連中です。醜男が女装して醜女になっていると、警戒されるのに、美少年兼美少女だと許されるんか?

 この作品に通底するルッキズム臭は、キャラクターがアニメとして動くと更に強調されますね。咲の反応でもそうですが、見た目が良ければ女子風呂、女子更衣室等々に入ってきてもラッキースケべでOK!的な…。

 咲も別に深いキャラではなく、単なる面食いでメス犬ムーブをかますビッチに見えなくもないのが残念です。

 ガワだけでなく、キャラクターの掘り下げがもっとあることに期待しています。

 特に咲は吶喊色ボケアスペの変態娘にしか見えないので、今後のキャラクターとしての成長に期待大です。

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  3話追記 2024.07.29

 4話をレビューする前に、昭和の知識で誤ったレビューを更新しなければなりません。

 まこと君と蒼井咲が衣装を交換することに対する違和感は、私のファッションセンスが古いから感じる可能性はもちろん否定出来ません。服飾の専門家ではありませんので、認識の限界はあります。

 しかし、ユニセックスやフリーサイズというのは、そんなに万能な概念ではありません。

 男女兼用の衣服は、身体の線を出さないワイドシルエットが中心の様です。これは、民族衣装的な発想です。これなら、少ない資源で色々な体形の使用者に適用出来ます。

 しかし、作中で咲の着用しているドレスは、どう考えてもワイドシルエットではありません。身体の線を強調するデザインっぽいです。

 また、フリーサイズと言っても、まこと君はバスケで活躍出来る位の身体能力を持っている描写がありました。おそらく、身長も人並みにあるのでしょう。

 バスケは身長依存スポーツです。NBAでは2メートルでも低身長と言われている昨今、日本の高校生が授業でやっているバスケであっても、活躍出来るなら平均身長以下とは考えにくいでしょう。まこと君はチビのヒョロガリではありません。

 さらに、竜二は咲をちびっ子と呼んでいます。男性はあまり女性をチビとは認識しないのですが(男性より基本的に身長が低いから)それでもちびっ子と称しているのだから、女性の中でも小さい個体なのでしょう。

 そんな性差も体格差もある個体同士が着衣の交換が出来るとは思えません。

 また、オシャレの基本は身体のサイズに合ったものを着用することにあります。着用出来れば良いというものではありません。

 サイズが合っていなければ、チャップリンの生み出したキャラクター、小さな放浪者の様なギャグキャラになります。

 このキャラは、一応、紳士のスタイルだけど、靴もズボンもブカブカ、上着はピチピチの何かおかしい人物、道化の極みとして、今でも世界中で愛されています。

 当然、そんな描写は作中にありませんので、すさまじい個体差があっても似合う衣服を咲は着用していたことになります。

 こんなオーパーツみたいなのが、実在するんでしょうか?車が空を飛び、メタンが吹き出す軟弱地盤の地獄の大地にカジノや万博会場が作れる今の技術力なら、ラフォーレ原宿付近には実在しているのかもしれませんが…。

 しかも、咲は逃げ上手の若様の諏訪頼重ばりに未来を拾って先輩とドレスを交換することを予知して備えていたんでしょうか?

 普通は自分のドレスを他人(しかも男)が着るなんて想定しないはずですが?

 しかも、ユニセックスの難しい点は、チャップリンを引き合いに出すまでも無く、男女兼用でどちらにも合う、ダサくならないデザインを追求しなければならない点にあります。

 そのため、普通の衣服よりデザイン料が上乗せされ、値段が高くなりがちです。咲はワザワザそんなのを用意してたなんて、もはや出演するアニメを間違っています。

 アベンジャーズに日本代表のサイキッカーとして登場した方が、活躍出来ます。スーサイド・スクワッドでも良いですね。

 で、なければ咲は極虎一家の枢斬暗屯子さんみたいにワイルドセクシー系女子なんでしょうね。この辺が少女漫画的なルッキズムなんだよ!小柄な可愛い系女子が舐めんじゃね〜!(# ゚Д゚)

 レビューはあくまで作品に対する個人的な見解であり、本来的に正解や誤りはありません。レビューアーがそう感じたら、そうなのです。

 作品に対する愛は理解しますが、過度な擁護は自由な感想
の表明を萎縮させ、結果的に作品の魅力を減じる結果となるでしょう。

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 3話まで観ました。2024.07.24

 ラストは違和感を感じます。性自認は各自の自由だとしても、肉体は言うことを聞きません。

 感動的な海岸でのラストシーンですが、現実ではギャグになります。先輩は絶対に蒼井咲のドレスを着ることは出来ません。

 どんなに華奢な男性でも、肉体はドッペルイクスとは違います。赤ん坊の頃から男子は肩幅があって、逆三角のフォルムのため、どんなにビッグサイズの女性モノ衣装でも、第二次性徴以降は肩が入りません。

 蒼井咲がラッキーシモノビッチみたいに肩幅1メートル超えの女子高校生なら話は別ですが、あり得ない描写に、所詮はこの程度、少女漫画的なルッキズムなのか…と感じます。

 精神と肉体との折り合いがつかない状態が悲劇なのです。現実味が薄いのはフィクションなので仕方ないですが、過度の期待は禁物の様です。

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 2話まで観ました。2024.07.18

 なかなかコミカルで面白い雰囲気はあります。主人公につきまとう後輩の蒼井咲も、一線を越えた嫌がらせはしてこない、わきまえた女子ですし、親友の大我竜二も良い青年です。

 2話では、3人で遊びに行ったりするのですが、なんか良い感じです。

 ただ…、肝心なのはこれからですね。主人公はこれからどんどん男になっていきます。私も経験ありますが、自分でもわかるんですよ…。男として肉体が完成していくのが…。

 私はトランスジェンダーではないので、筋肉がゴリゴリついていく自分の肉体がとても愛おしかったですが、主人公にとってはどうなんでしょう?

 また、親友と後輩は所詮他人なので、ジェンダー規範を逸脱した主人公に好意的ですが、これから関係を深めていくと、主人公の母親みたいに闇堕ちするのでは?

 これからどうなるのか、とても楽しみです。

………………………………………………………………………

 初回観てのレビューです。2024.07.06

 コミカルな感じで、ギャグとしては中々面白そうです。ただ、虎の尾を踏む危険性があります。

 後輩は、モラトリアム期女子に発病しがちなライト百合っぽいですが、先輩はガチのトランスジェンダーの様です。

 多様性への理解が進んだとは言え、女装して登校するのはかなりのプレッシャーです。周りのノーマル達がどんな酷いことをしてくるか分かりません。単なる二重人格のサイコパスや女装趣味で片付けられる問題ではありません。

 最近、会社同僚の女性社員が男性になりました。胸と子宮を手術で除去し、男性ホルモンを投与してやっと、裁判所に性別変更を認められたそうです。

 この方は地方出身なんですが、上京して初めてカミングアウトしたそうです。他人に基本的に関心を示さない東京じゃないと、場合によってはトランスジェンダーは死を意味します。

 肉体が男性ならリンチ、女性なら輪姦される危険が高いそうてす。性的、社会的に世間様から期待される役割から離脱する人間を田舎の地域社会は許しません。

 男性支配の強い社会だからなのか、田舎の同調圧力なのか不明ですが、LGBTQが普通に生きられる地域は日本でも限られています。

 我が社でも、一部の幹部が扱いに困ると嫌がってひと悶着ありました。一応、先進的な取り組みをしている事業所っつーことになっているにも関わらずですよ…。

 ふたなり男の娘AV をライトにした様な、ちょっとエッチな感じの作品にする気なのかもしれませんが、危険すぎます。

 こんな地雷を上手くアニメ化出来るのか?すごく気にはなります。

 注 最初のレビュー時は、性同一性障害と記述しましたが、否定的なニュアンスがあるので、トランスジェンダーに修正しました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 2
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

幼なじみはふつうのこ

女の子の恰好をして過ごすまことを中心として、まことに惹かれる幼なじみの男の子と後輩の女の子、3人の心の機微を見事に描いた作品、私は今季1位に推したい
原作未読ですが、アニメのクオリティはとても高いです

この作品の一番素晴らしいところは「不安」の描き方、3人が何に悩んでいるのか、どうして悩んでいるのか、どうしたら救われるのか? それがとても丁寧に描かれているんですね。丁寧な心の描写で、自然と共感できるんです。

3人の心情とお互いにかけがえのない関係性を描くのがとても上手ですね、綺麗な絵、声優の演技、間の取り方、それを邪魔しないでしっかりムードを盛り上げてるBGM、その演出の繊細さに自然と3人の気持ちに共感して何度も涙が出てきました。
3人がお互いに大切に想っていること、悩んでしまう理由、ひかれあう理由、関係性が深まっていくきっかけが丁寧に描かれていて、ずっと3人が一緒にいられたらいいなって思います

~各キャラクターについて~
【まこととまことの父母について】{netabare}
まことは女の子の服は着たいけど、女子になりたいわけじゃないんですよね
お風呂に男子と普通に入ってることから(たぶんお手洗いも)、性自認が女なわけではない(まだ結論が出てないだけかもだけど)
でも竜二の好意にも咲の好意にもドキッとする、恋愛対象は男なのか女なのか?それとも恋愛感情とは別の感情なのか?

この部分を簡単に結論出さずにゆっくりまことの心の変化を描いているのがいいですね、「僕は可愛いものが好きだけど、男になりたいわけでも女になりたいわけでもない、自分らしく生きたい」って、ヒトは男か女の2つに単純に分けられるものじゃないんですよね、女の子みたい?男っぽい? 男だから女の子の咲が好き? 女っぽいから男の竜二が好き?
そんなことは他人が決めることじゃない、僕はかわいいものが好きだ、竜二が好きだ、咲が好きだ
とても共感できるシナリオでした。

例えば3話では男の恰好をしているまことに好意向けてくる羽川さんの表情が描かれてないですけど、4話でまことが羽川さんに謝って、その時に表面的なことだけじゃなくてちゃんと心で向き合ったことで、はじめて羽川さんの顔がちゃんと描かれたんですね。これはまことがクラスメイトの女子Aじゃなくて羽川さんとしてちゃんと向き合ったことの表現だと思う。
まことも「どうせ相手は本当の僕を見てくれてない」と自分から心の壁を作っていて、相手の事をちゃんと見てなかったことに気づいたっていう描写だと思う、こういうところが緻密で好きですね

2話と11話で女の子の服をウインドウショッピングする描写がありますが、2話の時はまだ恥ずかしがってる様子あるけど11話の時は周りの眼を気にせずにお買い物しています、前を向いて生きてきた成果ですね。
これは母親にも言えることで、2話の時に可愛いハンカチを見つけて取り乱してたけど、この時、お母さんは結婚指輪しないのかな?って思ってたら11話では結婚指輪してるんですね。手元が強調されているので意図的な表現だと思うんですが
2話時点では、まことにかわいいものを好きにさせないようにしていて逃げていたのを、まことに向き合っていこうっていう前向きな気持ちが表れていると思います。

疑問に思ったのは、女装が好きなお爺ちゃんと血のつながりがないまことの父はお爺ちゃんと連絡とりあってるみたいなのが違和感あるのと、やけにまことのこと受け入れてるのも違和感がある
これもステレオタイプだけど、男の子の女装趣味って男親のほうが理解ないようにおもうから、理解ある父親ってのが不思議だった
ここまで父親の心理はあまり描かれていませんけど、肩に触れるなどまこととの接触も多い。
もしかしてお父さんにも女装の趣味があるのか、それともまことのことを性的に見てるかどっちかじゃないかな?って思った。
勘違いだったらごめんなさい

「かわいいものが好き、女の子の恰好するのが好き」それははっきりしていたので、過去は周りの眼、それからそういうものを嫌悪する母との葛藤がありました。
母親はまことのこと全然見てない酷い親なのかと思ったらそんなことなくて、ちゃんとまことのことを見てたんですね。
母だって自分のトラウマと息子の気持ちの間で長い間葛藤して、ありのままのまことを受け入れたい気持ちもあるところが中盤でも描かれていました。自身のトラウマも簡単に切り捨てられないからこそ、思い悩んだのでしょう。母だって人なのだから当然です
父のような女装趣味にさせてはいけないっていう気持ち、まことの気持ちに寄り添いたい気持ち。その葛藤はまことのことを第一に思っての事でした。

まこともそんな母の葛藤を知らずに自分の中でありのままの自分を受け入れて欲しいと勇気を振り絞って向き合ったのが心の成長だし、最後は母とまことがお互いに正面から向き合える形で1期が終わってとても良かったです
{/netabare}
【竜二】{netabare}
自分の好きがはっきりしているまことよりも、竜二のほうが複雑だと思った

まことの可愛い見た目に惹かれたのか、まことの人間性に惹かれたのか
相手は男で幼なじみ、自分の恋愛対象は男なのか、女なのか、まことが特別なのか?

彼は他の女子や男子に惹かれている描写がまったくないんですね。
これも恋愛対象が男なのか女なのかあえて描かないことで2期があるならそこを描いていくのかな?って思います
たぶん、まことが特別なだけで、男性女性とか見た目とかじゃなくてまことという人間に惹かれたんだと思いますけど

まことのほうは竜二に親愛の気持ちは強いと思うんだけど、たぶん恋愛対象として惹かれているのは咲だと思う、細かい描写を見て受けた印象だけど。
竜二くんにとってはこの先つらい展開になっていくんじゃないかなー?って思って、これだけいい人なのに悩み多くて大変ですね

タイトルも「先輩はおとこのこ」 つまり咲とまことがメインの話なんですよね。一期だけだと竜二とくっつくようにも見えるけど

この先、咲が先輩への想いにどう決着つけるかわからないけど、竜二とくっつくと「やっぱり性自認も女なの?」ってツッコミになりそうで
シナリオのメタ的にどっちかを選ぶってなったら分が悪いなあって・・・
でもこれだけ繊細な心を丁寧に描いている作品なので、そんな単純な構図にはらないと期待しています。

そんなわけで私は竜二くんを応援してます!

{/netabare}

【咲】{netabare}
圧倒的な孤独を抱える咲ちゃん、この子にも共感できるところが多かった
誰にでも好かれるキャラを演じて明るく振舞ってるけど、ホントは特別な人が欲しいんですよね、自分のことをちゃんと見てくれる。
3人で星空を眺めるシーンとかケガした足を二人が気遣うシーンなどから、まことと竜二が自分にとっての特別になっていくのが丁寧に描写されていますね。
素直に心が温まりました。ずっと二人と一緒にいられたらいいねって

まことと服を交換する描写あるけど、これは日ごろからそういうシチュエーション思い描いてたんじゃないかな? 先輩がこれ着たら可愛いだろうなーっていう感じで
可愛い服を美少女が着ているところを想像するだけで楽しい感覚は男性にもわかりますよね??
2話でショッピングした時に竜二から「大きいだろ」ってツッコミされてたけど、これは間違えたんじゃなくて、たぶん先輩でも着れそうなサイズをあえて試着してるんだと思う、試着する前にふつうはサイズ見てから持っていくし
おそろいの服を着たいとかそういう願望もあったのかも

咲は自分の気持ちが「先輩を性的に好き」なのか「友達として好き」なのか「孤独を埋めてくれる相手」ならいいのかわからず悩んでいました。
竜二も咲のことをちゃんと見てくれていて特別な人と咲は認識しているようですが、竜二に対する態度とは違うのでやっぱり恋愛なんじゃないかな?
二人に対してどういう感情に落ち着くのでしょうね?

一期の間ではその辺がまだ結論出てなさそうだったけど、ここからどう彼女の気持ちが動いていくのか気になりますね
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11

tomledoru さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

とっつきにくいテーマですが奥は深いと思います。

「先輩は男の子」

とある男子高校生が女装趣味があり,可愛いものが大好で,それを身に着けるという設定です。 それを貫くという話なんです。

結論から言うと,女性の男性化は,現在のジェンダーの柔軟化に伴い,世間でも割と敷居が低いのですが,男性の女性化とてもハードルが高いのです。

カウンセラーの立場でものを見ると。 意外と男性で女装癖の方はいるものです。しかし、他人にバレないようにしているのが普通で,結婚している方もたくさんいます。

それがばれて離婚問題に発展したこともある事例を知ってますが,つまるところ、個人の趣味趣向の範囲なんで,それで離婚できるとは限りません。

ここで勘違いされて方がたくさんいると思うんですが,同性愛と。 女装趣味と,男性であるにもかかわらず、心が女性であるということは全く違うということです。 女装癖があっても,性的な対象は女性であることがほとんどです。

私も保育園時代に思いました。 どうして女の子の下着とか洋服にアクセサリーがあって特別なんだろう? なんであんなに可愛いキラキラしたものをつけてるんだろう? と。ちょっとうらやましいなあと思ったことはあります。

それで一度だけ,駄菓子屋さんで,おもちゃのヘアピンを買って大切にしていましたが使い道がなく,結局、同い年の近所の従妹にあげてしまいました。 男女では服装が違うことは、刷り込みによって何も感じなくなってしまっていました。

女子の制服は,ブレザーとズボンまたは,学校によってはオリジナルの上着もあって,セーラー服とスカートの両方から選択できる所はとても多くなりましたが,男子の制服には,選択の余地がありません。

ランドセルの選択についても同じです。 女の子は何色を選んでも、それほど違和感がないのに対して,男の子選ぶ色は,限られているという概念が世の中には流布しているようです。

乳児から幼児にから小学校~での洋服選びをする時に女の子の物のほうが選択肢が多くて,男の子用は全体の三割位という数しかないです。やはり洋服の選択についても女の子有利ですね。

これは当然、商業的な利益を追求するためですが,大人になっても。 レディースの服の方がメンズの服よりも相当に数が多くて選択肢も多いです。

男子にセーラー服の選択制を認めている学校はいくつあるのでしょうか?私は見たことも聞いたこともありません。ジェンダーフリーを唱えるならば明らかな逆差別です。

もともとはセーラー服に,ズボンというのは,米国アニメの「ポパイ」のように大方「海軍」の水兵さんのユニフォームです。伝統的な黒っぽい男子学生服は「陸軍」の制服です。学校というところは,軍隊のなれの果てなんですよ。

女性が男性に取って代わってどんどん社会に進出することで,日本の経済を活性化するので,政府としては大変ありがたいことなんですよね。 しかしながら,

一方で少子化対策と銘を打って男性の育児休業やら,妊娠した女性への援助や補助など段々と拡充はしていますが,それらは必要充分であるとはまだまだいえません。 それはテレビや新聞が語っている通りです。

私が現役だった数年くらい前までは,私の知ってる限り,周りで男性が育児休暇を取った人間は一人しかいませんでした。 今でも将来に影響があるとか、昇進に支障がきたすとかという妄想があるのか,そう考えるのでしょうか?

女性の育児休暇についても。 とりにくいという話をまだまだ耳にすることがあります。 政治の面では,本気で出生率を改善しようというつもりはないのではないかと私は勝手に思ってます。

私の娘たちは平成一桁生まれなんですが,給料から税金やら社会保障費などを引かれると,手取りのお金が少ないと言って嘆いてました。 これでは子供を産もうと思っても産めないわけですよ。 結婚すらできないです。若い世代ほどお金はありません。

これからは(生成)AI+ロボットの時代ですので,百年も経ったら,人間が働く場面は限られてくるのではないかと勝手に思ってます。 これは妄想ではなくて,ユーチューブなどの情報源,最近テレビで放映されたドキュメンタリーや○○○スペシャルなどの番組からと,平成の中頃,大学院で学んだことをもとに推測して言っているのです。

政府は,少子化問題と経済の発展を天秤にかけたなら,必ず経済発展をとると思います。 人生百年時代というのも眉唾ものです。確かに長生きする人は増えました。つまり健康寿命が尽きるまで働けということなんでしょうね。

私の周りには,ワーカホリックやいろいろな病気で六十代までに亡くなった人間が,中学の同級生二百四十人の一割足らずいます。 「人生百年時代」は,当面人手不足解消するための,政府のプロバガンダ的なスローガンと言ってもよいと思います。年金の先細りが見えていますし。

男性が女性化することに対して社会的に認められないのは,一昔前までのアメリカの男性像,つまるところ,ハリウッド映画に出てくるヒーローのような男性が素晴らしいと,いまだに社会全体に根付いているに違いありません。

理想の男性とは,会社などでバリバリと働き,良い成績を上げ,出世し,高い収入を得て,一方,家庭では,良き夫,良き父親として家族を支えて,娯楽を提供する。

さらには,いざというときには体を張って,妻や女性や子どもを守るという,まるで「スーパーマン」を絵に描いたような男性が,真に男らしいという神話を作り上げているのです。

実はこの神話は,明治時代以後に作られたものであって,男性が男性であることから逸脱するのは,情けないとか,「差別用語ですがあえて」女々しいとか,男らしくない,とかという言葉で虐げるわけです。

これでは男性は逃げ場がなくなってしまいます。 事実。 年間の自殺者が二万人から二万五千人いますが,その七割は中年から壮年の男性です。 女性の割合は三割ほどです。

新聞でよく取り上げられる学生とつく年代の自殺は年間で,百人から二百人程度です。 割合としてはとても少ないのです。これはゼット会出版の「九十年代の青春」という本に基づいています。

未来があるのに惜しい,いじめが絡むことが多いということで,マスコミが大々的に取り上げるので、いかにも多いように感じる、そういう仕組みになっています。男性が男性であることをやめるのは命を絶つくらいにつらいことなのです。

もちろん女性も。 社会に進出して男性に取って代わって仕事をするので,そういった役割の人たちは相当のストレスを感じていると思います。

男性と同じ責任やノルマを持って仕事をしていれば,男性原理の神話に憑りつかれて,行き詰まれば死ぬしかないでしょうね。 落伍者のレッテルを貼られるの屈辱ですから。 大人の自殺は自己責任という冷たい社会でもあるのです。

ましてや。 結婚して子育てをして。 なおかつ仕事も続けたいという人は。 想像絶する苦労と苦悩が待っているのだと思います。

それは今の社会の原理が自由主義,資本主義経済という枠組みの中で,働けば働いただけ,能力をあれば能力があるだけ収入が得られるという夢物語を語っているからに違いありません。

しかし,それは男女がお互いに歩み寄った結果ではなくて。 男性原理の社会の中に女性が入り込んでいったという現象に他なりません。 私はもっと,優しく包み込むような,命を生み,そしてはぐくむという女性原理の社会「世の中」ができないものかと常々思っています。

中には男であるという本能丸出しにする「ふとどき者」もいて困りますが,男性が保父さんや幼稚園の先生になってもいいと思いますし,男性の看護師がもっといてもよいと思います。もちろん主夫もOKです。

男性の介護職やケースワーカー。 障がい者や性的少数者へのサポート,様々な悩みを持っている方へのカウンセラーに,男性がもっとなっても良いと思ってます。最近は男性の逆ハラスメントがたくさん報告されています。

長文読んでいただいてありがとうございました。謹んで感謝いたします。私の専門分野なんで。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4

79.9 5 恋愛アニメランキング5位
寄生獣 セイの格率(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1616)
7777人が棚に入れました
ある日、空から多数の正体不明の生物が飛来してきた。その生物は鼻腔や耳介から人間の頭に侵入し、脳に寄生して全身を支配し、他の人間を捕食するという性質を持っていた。寄生後も見た目は人間そっくりに擬態する、彼ら「パラサイト」は、高い学習能力から急速に知識や言葉を獲得し、人間社会に紛れ込んでいった。
平凡な高校生である泉新一は、一匹のパラサイトの襲撃を受ける。間一髪で脳の乗っ取りは免れたものの、パラサイトは新一の右腕に寄生、同化してしまう。右手にちなんで「ミギー」と自ら名乗るパラサイトと人間の奇妙な共生生活の幕開けである。

声優・キャラクター
平野綾、島﨑信長、花澤香菜、沢城みゆき、安野希世乃、前田玲奈、田中敦子、吉野裕行、KENN、芹澤優、鈴木琢磨、村瀬歩、石田彰、水島裕、二又一成、井上和彦、青柳尊哉、浪川大輔
ネタバレ

ユキオウ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ある日人間でも化け物でもない僕の戦いが始まる。

原作既読、20年以上前の作品のアニメ化になります。
現代に合わせた時代設定、キャラデザの一新など新規ファンにも受け入れやすい点が多く見られます。
※グロ描写が苦手な方は視聴をオススメしません。

■あらすじ
どこにでもいる高校生の泉新一はある日宇宙から来た謎の寄生生物に右手を寄生されることから始まる。
『人間』・『寄生生物』・『新一とミギー』と大まかにこの三者との間に物語は進行する。

■作品紹介
この物語は特殊な主人公がリアルな日常でSFサスペンスの世界に引き込まれてしまったらどうなるのか!?といった感じです。
主人公の新一が人間代表だと思いきやミギーという秘密兵器を所持しある意味最初からラスボス的な立ち位置なのが面白いです。
規模が大きくなってしまう物語が多いなか、主な場面は一つや二つの市内で行われる話なので登場人物の心理描写がとても丁寧ですし何よりも魅力的に感じると思います。

■OP、ED評価
{netabare}
OP ☆2.5
♫Fear, and Loathing in Las Vegas/Let Me Hear
現時代的で派手なロックバンドの音楽。
マッドハウスのアニメとFear, and Loathing in Las Vegasは相性が良い。
アニメの構成は曲と合うようにスタイリッシュなんですがビジュアル的に普通な人が多いのでクールな演出がアンバランスになっている印象。
新一がアメコミヒーローみたいなのも残念です。

ED ☆4.5
♫三浦 大知/IT'S THE RIGHT TIME
OPと反して白を基調とした良い浄化ENDです、これを見て泣く回もあっていいと思います。
定番といえば定番な感じですが平穏な日常を淡々と映し出すこのシンプルさが素晴らしい。
{/netabare}

■各話あらすじとレビュー

【第1話】
{netabare}
『変身』
新一と寄生生物の出会い。
各地で寄生生物が活動し始める。(全国ニュースで残酷な殺人事件のニュースが話題に)
宇宙から来た生物であると右手が説明、新一の血液を養分に生きている為、共生することになる。
登校中、仲間がいると右手は察知する。
そこには飼い犬に寄生した生物と戦いを繰り広げる。
右手は生物の心臓をもぎ取り、勝利する。

右手の生物の声に違和感、見ていけば慣れるとは思いますが…よく言えばキャラっぽさが増した感じはするので親しみはあるのかなと。
☆3.5
{/netabare}

【第2話】
{netabare}
『肉体の悪魔』
不良に絡まれる女性、助けた男性は寄生生物だった。
言語を覚え、右手に寄生した生物は自らを“ミギー”と称する。
ここまで地球の社会を研究し悪魔に一番近いのは人間だと言うミギー、寄生生物によって凶悪事件が発生するなか、人間のために戦いたいと決意する
新一であった。
街中で寄生獣と遭遇、人気のない空き地で対決。
ミギーは敵の誘導を無視し、撃退する。
新一と村野さんがデート。(村野さんは真一の異変を感じる?)
暗闇の一室で向き合う裸体の男女(男性はアバンで登場した寄生生物)

右手の生物にめでたく名前がつきました!覚えやすい!
グロい戦闘が続く中、臆せず戦う新一は勇敢ですが脳を侵食されてはいはいないもののミギーの影響は受けているようです。
村野さんとデート中に絡まれた不良を食ってやるぞと鬼気迫る表情でひれ伏せます、新一どうなってしまうんだ…
最後に登場した男女はただものではないですね。
一人は寄生獣確定なこともあって新一が学校で散々ミギーにいじられた生殖機能のことが伏線になってたようです。
シリアスな中にギャグっぽい要素も入っているのでただグロを当てつけられているわけではない気がします。
☆3.5
{/netabare}

【第3話】
{netabare}
『饗宴』
満員電車の車内で痴漢に気づいた妊娠中の女性は停車した駅で常人の力ではない勢いで車外に痴漢を突き飛ばす。(前回の最後に現れた女性である)
その女性は3年3組の副担任(村野さんのクラス)に配属されることとなる名前は田宮良子。
ミギーは人間社会に溶け込んでいるため、公の中で殺意はないと推測する。
放課後、田宮に呼び出され詳しい話を外でしたいとのこと。
喫茶店でA(寄生生物)と言う男と現れる田宮、生殖行為をしたものの、人間の子が生まれることがわかり私達は生物なのか何なのか気になると述べる田宮。
Aは新一を生かしておくと危険であると言いその場を去る。
翌日に白昼堂々新一の学校に侵入するA。
皆が避難するなか、Aに向かう新一。
ミギーは我々の違いは何かと問い、新一に一緒に効果的に戦えと指示する。
そこにAが登場。(新一が廊下に設置した机のバリケードは役に立たず、窓ガラスを突き破って外から侵入される)

新キャラの田宮良子は今後のキーパーソンになりそうです。(寄生生物にしては物事を論理的に考えてます)
彼女と一応協力関係になりますが展開次第で敵対することになることでしょう。
寄生獣にもそれぞれ性格の違いがあるようです。
次回はAとの戦闘が始めから繰り広げられると予想されるので序盤の重要な回になるかもしれないです。
☆3.5
{/netabare}

【第4話】
{netabare}
『みだれ髪』
戦うミギー。
ミギーは我々ができるのは分業だと言う。
机の足をAに刺すミギー、重傷を負い移動し身体を変えようとするA。
ガスボンベを爆発させAを殺した田宮。
教員としての居場所に限界を感じ田宮良子を辞めると言う田宮。
人間を食べるのは何かしらの命令を受けているのだと言い、この種(人間)を食い殺せと命令されたとも言う田宮。
そんな田宮は子供は産むと宣言。
新一が僅かに混じっていると察する田宮。
田宮の実母にバレる田宮。
分離していられるのは3分だと実験するミギー。(理屈では頭から頭へ移動できると解釈)
両親に悩み事があると感づかれる新一。
母親と幼少期の新一(回想)
キッチンで新一をかばい、火傷する母の姿を思い出す。
食卓で涙するお母さん、秘密が言えないので嘘をつく新一。
旅行に行く父母。

家族の絆を描いた回でしたがやはり寄生獣と合い対する場面での精神的な怖さがあまり伝わってこないのが残念です。
蛇足ですが原作の意味不明なものへの恐怖感というかジャパニーズホラーの冷たい恐怖というよりアメリカンホラーっぽい感じで作り手の「どうだ怖いだろ!」って見せられている感じがイマイチです。
ホラー苦手な人に対してはこの作品の表現はより大衆向けだと思いますので、多くの人が見るのには支障は来さないレベルではあるので見易いとも言える点なのかもしれません。
☆3.5
{/netabare}

【第5話】
{netabare}
『異邦人』
夜ドライブ中の男女(女は寄生生物)、事故に会い男に頭への移動を試みる寄生生物。
脳に変化がありそうな新一。
長井をボコボコにする不良グループ。
ミギーには献身の心が特にわからないという。
新一をボコボコにする不良リーダー(ミツオ)。
新一の狂気に気づく不良グループ女の子加奈。
最近幅を利かしていると話す上条。
放課後またミツオ達に絡まれる新一と村野さん。
勝ち目のない戦いを避けろと助言するミギー。
一方的に殴打される新一だが上条と長井達が大勢連れて参上。
新一と村野さんのニヤニヤするシーン。
村野さんを見送る新一の背後に加奈が現れる。
村野さんより感覚が鋭い加奈。
―旅行先の両親、母が寄生生物に殺される。
重傷の父が公衆電話から化物が母を…と言う。
新一は寄生生物のことだと察する。
夜が明け、母さんかと思ったら寄生生物だった。
ショックで気が動転する新一に母(寄生生物)は胸を貫く!!

君嶋加奈が登場、重要なキャラになりそうである。
カーチャン…
人間と寄生生物に対しての新一の葛藤による苦しみがひしひしと伝わる回でした。
最後のシーンのBGMががっかり過ぎる、序盤はいいんだけど音数が増えて電子音が多くなっていくとくクオリティの高い作画と声優の演技をぶち壊してる気がしてならないです。というかむしろ無音にしてもよかったのでは。
☆4.0
{/netabare}

【第6話】
{netabare}
『日はまた昇る』
倒れる新一、去っていく母。(寄生生物)
心臓と同化を試みるミギー。
学校では新一の心配をする村野さん達。(新一がモテモテ)
新一を看病するミギー、目覚める新一。
母が寄生生物になったことが事実だと意気消沈する新一。
桜崎病院から電話があり父がいると連絡が入り向かう新一。
警察から事情聴取をされる父。
父と対面する新一。
化物に殺されたのは夢だと意地を張る父。
病院のすぐ裏の民宿に宿泊する新一。
新一の修復でミギーの体質が変わり一日のうち4時間完全に眠ることとなる。
新一ここでも民宿の娘にモテる。
寄生生物を察知し、浜辺で発見する新一。

新一がモテモテ過ぎて羨ましいですね。
ミギーが眠っていたのでより新一の一人語りが多い回でした。作画の休憩といったところかもしれませんが要所での原作を意識した作画のカットが印象に残ります。
☆3.5
{/netabare}

【第7話】
{netabare}
『暗夜行路』
脳が生き残っている人(寄生生物)に会う。(口に寄生、寄生生物の声がミギーのようにかわいい)
崖から飛び降り自殺をしようとした宇田守に寄生するパラサイト。(宇田さんはいい人そうです、良かったね新一)
心臓の治癒でミギーの30%が全身に散っていることを新一は知る。
流れない涙にそのことを実感する新一。
寄生獣が現れたと電話する宇田さん。
向かう新一、刃物に変化し眠ってしまうミギー。
新一母に会ってしまう宇田さん、あっさりとやられる。
新一登場!(タイミングが遅かった!)
人間離れの動きをする新一。(寄生生物30%配合されているだけはある)
トドメを刺す宇田さん、新一は母に寄生した寄生生物を倒す。
家に帰る新一と父。

宇田さんが登場しました。彼も寄生獣に身体の一部分だけ寄生された人間、涙もろく人情味溢れる存在です。
テレビで言葉を覚えたパラサイトは声が荒っぽくどこかかわいい(笑)
新一に母を殺させないよう手を下す宇田さんに人間らしさを感じます。
帰ってきた新一がイメチェンしてました。
新一の変化と今後の展開に拍車をかける回。
☆4.0
{/netabare}

【第8話】
{netabare}
『氷点』
田宮と食人中の謎の寄生生物、新一を監視しろと言う田宮。
新一が気になる加奈、新一にいちゃもんつけるミツオ。
対マンで楽勝になった新一。(雰囲気がずいぶんと変わってしまった)
新一を不信に思う村野さん。
飲んだくれの父。
涙が出なくなり人として何かを失ったという新一。(聴覚が鋭くなる)
助けを呼ぶ声、事故により瀕死で車道に横たわる犬だった。
ゴミ箱に犬を捨てる新一(無慈悲)とガチ引きの村野さん。
校舎内でミギーは田宮以外の寄生生物を察知。
島田秀雄と名乗る。
田宮は別の名前になっており、寄生生物でも人間として生活していると語る島田。
新一を待っていたら島田に捕まる新一。
テレパシーを感じるという加奈。
島田に惚れる裕子。
やはり女を食べていた島田。
飲んだくれの父。(Part.2)

島田秀雄が登場、自分は人を襲わないと言っていますが田宮より信用できなさ過ぎです。
新一がどんどん化け物になっていってます、自分が否定していた寄生生物になりつつあるのでしょうか。
村野さんもショックが大きいようです。
加奈の方は新一に運命を感じているようですが島田に捕まえられそうになるなど危なっかしい印象。
☆3.5
{/netabare}

【第9話】
{netabare}
『善悪の彼岸』
島田につけられる加奈、そこにミツオが登場。
公園のトイレで島田にボコボコにされるミツオ。(いつも殴られてる)
家で警察と話をする新一の父。(寄生生物の似顔絵を描いたスケッチ)
寄生生物は何のために生きているのか探していると語る田宮改め田村。
警察の兄に人相を聞く裕子。
島田に殺意があると察知するミギー。
新一の力にビビる矢野さん。
前と変わった新一にショックな村野さん。
生物として進化した新一。
顔を変える島田を目撃する裕子。
兄にスケッチの件を聞くが自分が見た光景について言わない裕子。
直接島田と話して聞いてみようとする裕子は理科室に島田を呼び出しまんまと引っ掛かる。
島田の殺意に気づき、席から立ち上がる新一。

裕子回ですね、島田を探って成果が出ましたが事態は悪い方向に。
最後の島田の変身シーンに良い意味で恐怖しました、なぜAはあぁならなかったのか残念です。(ここの音楽は良かったです。)
☆4.0
{/netabare}

【第10話】
{netabare}
『発狂した宇宙』
裕子を襲う島田は裕子に酸を掛けられる。
裕子の決死のダイブ。
顔を潰され感覚が狂う島田は無差別に人を襲う。
3階では人が沢山惨殺されていた。
一瞬人間としての感覚が戻る新一。
無事だった村野さん、島田に瞬殺されてしまうクラスメイト2名。
村野さんを学校から救い出す新一。(リアル超人)
警察に発砲されながら徘徊する島田。
向かいのビルから屋上に立つ島田に石を遠投し倒す新一たちであった。(正確すぎるコントロール)
毎度のように悩む新一。
島田がされる解剖。
考える筋肉だと言う研究者。
政府は公表しなかったが髪の毛を抜きあう挨拶を影で情報操作した。

案外だけれど裕子の予防策もあってか島田は割とあっさりやられてしまった。
村野さんと話せるようになった新一。
ようやく政府が寄生生物を認識し、国家規模での対策が始まりました。
もともとこの世界の日本の治安は悪かったようでだいぶ被害者が出てからの開始になった気がします。
対応の遅さは本物の政府っぽさが出てますね。
☆4.0
{/netabare}

【第11話】
{netabare}
『青い鳥』
髪の毛の挨拶でバレて人を食べる寄生生物。(無慈悲)
化物に襲われ、新一に助けられる夢を見る加奈。(なかなかロマンチスト)
新一の髪の毛を抜いてみるが何も起こらない。
加奈と話す村野さん。
ヤクザの事務所に乗り込むタンクトップの寄生生物、いとも簡単に構成員達を倒していく。(笑顔に恐怖を感じます)
拳銃や刃物を持った人間とどこまで相手にできるか実験するためだった。
ボスと話す先ほどの寄生生物。(新たなグループの登場)
新一と村野さんのデート。(微笑ましい。)
ところどころ新一に悲壮感を感じる。
キスする新一と村野さん。
村野さんへの想いで人間としての自分を感じる新一に対して、以前と違う新一を悲観し涙する村野さん。(こっちが切なくなる)
加奈に呼び出される新一は選挙活動をする寄生生物達と出くわす。

戦闘がないと話がもっさりした感じなのが否めません、少しテンポが悪いなぁとか思います。
政界に進出する寄生生物が現れました、人間社会を理解して成長していることはなかなかの脅威です。
☆3.5
{/netabare}

【第12話】
{netabare}
『こころ』
前話と同じ夢を見る加奈。
情報を把握するために政治家になろうとしていると話す新一とミギー。
寄生生物の成長を探す新一とミギー。
加奈と出くわし自分以外に反応する者はいるのかと聞く新一。
ミツオ登場。
加奈への情で俺を殺すなと言うミギー。
―夜、寄生生物を察知する加奈。
加奈にミギーの秘密を打ち明ける新一。
新一だけを嗅ぎ分けられるという加奈。
寄生生物の選挙候補者(広川)が当選する。
ストーカー化する加奈。(こええ)
本物のストーカーっぽいミツオ。(こええ)
加奈の能力が強まり寄生生物が探知する信号を放つようになったと言うミギー。
加奈のヤンデレ化が深刻というかこの娘完全にストーカーじゃねーか。
電話スルーの加奈。
廃墟で寄生生物を見つける加奈。
新一が来た瞬間、胸を貫く。
新一無双…したものの、加奈は亡くなる。
悔やむミツオ、人間じゃねぇと言うミツオ。
人間じゃねぇよと返す新一。

人間で新一の理解者になるかもしれなかった加奈が亡くなってしまいました。
今後新一の味方となってくれる人が出てきてほしいですね、最後のミツオとの場面は前半のベストシーンだと思います。
☆4.5
{/netabare}

【第13話】
{netabare}
『悲しみよこんにちは』
学校の帰り道に新一と村野さんをつける謎の男性。(田村が手配した探偵だった、名は倉森)
田宮良子=(田村玲子)達、寄生生物グループの会議。(新一の件は私に任せろと言う田村)
いつの間にか子供を産んでいた田村。
加奈の事件の件で噂になっている新一、村野さんの不信感が増す。
探偵に新一の変化を聞く田村。
村野さんにした行動などがようやく普通じゃない行動だと気づく新一。
ずっとつける倉森探偵。
新一は事件現場に向かう。(人間としての悲しみを思い出し、忘れずにいるためだった)
倉森探偵に撮られる新一とミギー。
新一は人間としてミギーの倉森探偵の殺害を阻止する。
倉森探偵の正体がつかめずピンチになる新一とミギー。
村野さんと話をするため夜の公園に呼び出す新一。
新一の心を心配する村野さん。(可哀そう)

神回でした、新一の葛藤と何も知らない村野さんとの悲しいやりとりが胸に刺さります。
寄生獣の奥深さを表しているというか…主人公の肉体は一つなんですが同時に二つの異なった生命を宿していて片方には感情がない。
感情を捨てる世界で人はどうなるのかといったらある意味これは戦争に赴く兵士なのでしょう。新一のたった一人の孤独な戦いのようでただ悲しい。
☆5.0
{/netabare}

【第14話】
{netabare}
『悲しみよこんにちは』
村野さんに別れを告げる新一。
敵は案外小規模だと言うミギー。
宇田さんに協力を頼む新一。
宇田さんは自分に寄生している生物の名をパラサイトからジョーに変える。
田村と話す倉森探偵、新一の右手の異変に気づく。
笑う田村。(気持ち悪い)
帰宅する倉森探偵(夜中にうなされたりと結構精神的ダメージがきてる)
世間をアッと言わせると妻に話し意気込む倉森探偵。
新一達は倉森探偵を捕まえる。
話を聞き落ち着く倉森探偵だが、あまりに不可解で懐疑的にはなる様子。
ミギーが珍しく倉森探偵を人道的に諭す。
お前は寄生生物(田村玲子)に依頼されたのだと言うミギー。
大学で講義を受ける田村。
愛のように思えるのは利己的遺伝子、しかしこの説は例外もあると講義する大学教授。
寄生生物は闇雲に人を殺さず共存する予定だと言う新一。
子供を実験材料にしようとする田村。
占い師にアドバイスされるがその相手は殺したと言う新一。(表情がこええ)

新一達はようやく倉森探偵とまともに話します。
田村は人間を少しずつ理解し成長はしているもののあくまで自分の存続のためだであり、寄生生物側である。
新一は人間側のためにどう動くのか気になる回でした。
☆4.0
{/netabare}

【第15話】
{netabare}
『何かが道をやって来る』
田村と外から出てきた寄生生物をつける倉森部下。
地下駐車場で殺害されていた女、捕まる倉森部下。
力を貸してほしいと言う倉森探偵。
女性が寄生生物の胸を貫かれる。
広川(市長)によって組織的に人食いが行われているのを知る。
寄生生物をまじまじと見て戦意をなくす倉森探偵。
普通の人間じゃないと言われる新一。
1匹ずつ倒そうと考える新一。(1人でも人間を救いたいと考える)
広川らは新一の殺害を決議する。
後藤と三木が登場。
夢で寄生生物から鏡で自分の姿を見せられる。(鏡の新一は化け物)
学校で3匹を察知する新一達。
眠ってしまうミギー、タクシーに乗り逃げる新一。
寄生生物に狙われる新一。
3匹の寄生生物で構成される三木との戦闘になる。

倉森探偵の協力も借りられず結局一人で戦うことになる新一。
倉森さん新一達にプラスになりそうにないなぁ。
三木は今までの敵よりも強そうなので次回が楽しみな展開。
☆4.0
{/netabare}

【第16話】
{netabare}
『幸福な家庭』
家族を寄生生物に殺害される倉森探偵。
三木との戦闘に入る新一とミギー。(がっかり戦闘BGM、生死分けた戦いで軽
過ぎる)
刃の多さに苦戦する新一達、寄生範囲の広さが気になると言うミギー。
寄生部分は頭と両腕部分だけではなかった。
頭が他部分を統率しているため頭が弱点だとわかったミギー。
頭を切断したが本当は5匹宿っていたことがわかる。
5匹を統率していたのは後藤だった。
トラックに乗り逃げる新一、足を変形させ追いかける後藤。
対向車線のトラックと衝突させ後藤から逃げることに成功する新一。
警察と面会する倉森探偵。
生き抜くことを理由に泥棒するミギー。(新一は食事と服を購入)
家から逃げろと父に頼み了承する父。
警察に敵を田村だと密告する倉森探偵。
前話を合わせて夢で16回新一と会い会話するミギー。(意味深である)
―寄生生物グループのアジト
倉森探偵を殺さず家族だけ殺した男女(寄生生物)を田村はミスだと指摘する。
田村を本当の仲間か疑い、危険視する男女。
新一を心配する村野さん。(定期)
田村を狙う倉森探偵。
味方の殺意、敵意を察知し3匹の寄生生物に囲まれる田村。

前半の三木との戦闘はなかなかスリリングで迫力のある作画が印象的でした。特に三木の首を刈るシーンは見どころ。
三木は3体ではなく、本当は5体編成で統率を取るのは後藤なのは驚くポイントですね。(名前でネタばれ感は否めませんが)
家族を殺され復讐する倉森探偵はどこまでも普通の人間だなぁと思いました。寄生生物に関わってしまった彼はどうなるのでしょうか。
また、窮地に立たされた田村、今後も寄生生物との戦いを控える新一、自宅から逃げることを余儀なくされる父、新一をけなげに待つ村野さんと登場人物の運命やいかに。
☆4.5
{/netabare}

【第17話】
{netabare}
『瀕死の探偵』
広川や後藤とは違う田村を囲った寄生生物達。
寄生生物にも性格や能力の個体差があることを実感する田村。
半分を分離し攻撃する田村、1匹を誘導する。
2匹を倒し、寄生生物の殺意を利用し誘導した1匹も倒す田村。
帰宅する田村は倉森探偵に子供を誘拐されたことを知る。
(幼児用ベッドに貼り紙“お母さまへ 明日午後5時 ひかり第一公園 名探偵ホームズ”)
人間と寄生生物の中間にいる新一に渡したいものがあるので午後5時20分、ひかり第一公園へ来てほしいという田村。(新一の家から電話)
新一の家の前で田村と話すいつものように待っていた村野さん。
田村の家へ潜入する警察は貼り紙を見る。
―翌日、ひかり第一公園
田村の子を抱える倉森探偵と田村。
田村の波長を察知するがこれまでと違うと言うミギー。
倉森探偵が子供を高台から落とすのを阻止し倒す田村。(子供に対する愛が芽生え始める)
田村を追う村野さんも公園に来た模様。
倉森探偵を見つけた警察。
新一達のことを秘密にして亡くなる倉森探偵(あんた名探偵だよ)
田村と会う新一。

倉森探偵はどこまでも普通な人でした、死に際に名探偵になったのはある意味彼としては大往生なのかもしれない。
田村にこれまでなかった感情が生まれてきているようです、今のところ寄生生物として一番進化している印象。
次回田村が新一に渡すものは何か、警察といよいよ顔を合わせるのかと面白い展開。
☆4.5
{/netabare}

【第18話】
{netabare}
『人間以上』
人間を38人殺したという田村。(寄生生物の中では希少な数字)
寄生生物は必ずしも人を殺さずに生きていけると話す田村。
我々は人間の子供だ、一つの家族だと言う田村。
後藤とは戦うなと言う田村。
笑う田村。
平間さん(警察)に囲まれる新一と田村。
発砲する平間さん、部下の警官も発砲する。
子供を守る田村。
この世に何のために生まれてきたのか今まで考えてきたと言う田村。
新一にありがとうと言い戦わず死ぬ田村。
母の死に泣く子供。
久しぶりに涙を流す新一、以前の新一が帰ってきたと言う村野さん。
囚人の浦上が登場、面会室で新一と対面し他の人間との違いに気づく。
「俺の目を真っ直ぐ見ろ。」と言う浦上。

田村がここでこの世を去ります、他の寄生生物の中では最も好奇心旺盛だった印象です。それ故、寄生生物であることに疑問が多かったのであるしある意味感情を持つ人間に憧れたんだと思います。
新一も顔を母に変えてまで訴える田村に心を開き、人間の感情をまた思い出すことに至ったのでしょう。
浦上は新一の正体を知るのでしょうか、というかなかなか声が合ってる。
☆5.0
{/netabare}

【第19話】
{netabare}
『冷血』
浦上を見て人間だとわかる新一、眠るミギー。
浦上は人間と寄生生物を見分けられる。(今まで犯した殺人などで人間の品質を理解できるため)
他の生物と同様、多種と同種を見分けられる能力がある。(野生の勘)
新一を紛らわしいと言う浦上。(目の奥に何か潜んでいると疑う)
警察の実動部隊の指揮を取る山岸が登場。
害虫駆除をすると言う山岸。(完全に殺る気である)
―話す広川と後藤。
新一帰宅を狙って校門で待つ平間さん。
実動部隊の会議で話す新一と山岸。(火炎放射機が効果的だと話すミギー)
市役所で寄生生物をあぶり出す実動部隊。
ミギーは新一に寄生生物が相当な数潜んでいると言う。

浦上が良いキャラしてますね。(畜生だけど)
敵の本部に突入といったところでしょうか、話数的にもそろそろ人間と寄生生物の決戦が始まります、新一とミギーはどうなるのか!
☆4.0
{/netabare}

【第20話】
{netabare}
『罪と罰』
寄生生物を1匹射殺する実動部隊、浦上を使えと指示する平間さん。
2階に市民がいるからと逃げる広川達(寄生生物)。
装置が破壊され人間と寄生生物の差が分からなくなり人間にも被害者が。
敵の殲滅が目的だった為、次々寄生生物を倒す実動部隊。(市民にも被害)
後藤を見て逃げる浦上。(そりゃ怖い)
散弾で蜂の巣になっても血が出ない後藤は吸収した散弾を跳ね返し実動部隊を射殺する。(レベルが違い過ぎる)
議会場に立つ広川を実働部隊は発見する!

装置が破壊されました、予想はできた方も多いと思います。
実動部隊と寄生生物との戦いで市役所が血みどろに…全話で村野さんが言ってたなぁ。
後藤と広川が満を持して登場、圧倒的な力に人間側はどうなるんだ!
…新一とミギーの出番少なかったね。
☆4.5
{/netabare}

【第21話】
{netabare}
『性と聖』
広川を駆除しろと指示する山岸。
今回は君たちの勝ちだ、間引きしろ、人間は多過ぎるのでピラミッドの上に立つのは寄生生物だと言う広川。
「人間どもこそ地球を蝕む寄生虫!…いや、寄生獣か。」と言う広川。
射殺された広川は人間だった。
計画は全て終わったと言う後藤。
刑事を打つ浦上。(逃げようとする魂胆)
戦いこそ目的だと言う後藤。
役目は終わったと言うミギー。
その気になれば人間の勝ちだと言うミギー。(新一は何か変だと言う)
後藤無双。(ここはヤツの巣だと解説する山岸)
部下を倒した後藤と一対一になる山岸。
単なる野生生物だと語る後藤、山岸を倒す。
お前を殺すと言い逃げていく後藤。
新一にまだ何か隠しているだろと言う平間さん。
別れを決意する新一、街中でミギーが眠るのに恐怖する新一。
村野さんを抱きしめる新一。(つらそう)
どこか逃げようか考える新一。
夜の公園で新一会う村野さん。
結ばれる二人。
生きようと決意する新一。

なんと広川は人間でした、あとタイトルの意味が明かされます。
タイトルの意味は始め原作を読んだときなど寄生虫と人間が混ざったような敵が出てくるからだろって思ってたんですけど劇中の人物のセリフで出してきたのはビックリですよね。
新一に関しては散々の恐怖の中でも村野さんへの愛は変わらない、愛する人のために生きようとするあたり人間って悪くないよねって思います。
☆5.0
{/netabare}

【第22話】
{netabare}
『静と醒』
後藤の気配を察知するミギー。(ミギーが車を運転して新一達は逃げる)
一か八かの方法を思いつくミギー、崖から車を突き落とすが後藤は生きており失敗する。
戦は勝機だと打ち合わせするミギー。
後藤の頭を切り離せと指示するミギー。
作戦を失敗する新一とミギー、ミギーが死ぬ。
山で見ず知らずのお婆さん(美津代)に会う。
助けてくれる美津代さん、不法投棄が深刻だと現場を見せる。
新一の夢でミギーは生きていると言うミギーの細胞。
最近妙なことが起きていると言い美津代さんの家に来る住民達。
地元の警察が現場検証する。
美津代さんに俺の責任だと言う新一。
軽々しく命を使うとか言うなと諭す美津代さん。
できるだけ多くのことを考えろ、決して諦めず臨機応変にと最後に言う美津代さん。
鉈を持っていく新一。

ここまで一緒にやってきたミギーと別れ、新一は参ってしまいますが山で美津代さんに会ったことで後藤と無謀でも戦う決意をするんですね。
後藤強い、純粋に戦いを楽しんでいる彼が生物の究極体(身体のみ)みたいに思えます。
ミギーは夢で生きていました、また再会はあるのでしょうか。
☆4.5
{/netabare}

【第23話】
{netabare}
『生と誓』
暗闇の中、五感が研ぎ澄まされる新一は後藤の寝込みを襲う。
考えを巡らせる新一は木の上から木の枝を刺そうとするが失敗する。
後藤にブッ飛ばされ生死の境で弱点に気づく新一。
不法投棄現場にあったゴミを後藤に突き刺す。
後藤の攻撃をガードした瞬間、後藤の中に吸収されたミギーが蘇生する。
後藤の体内にいた三木や他の寄生生物の反乱を促すことに成功する。
後藤はこの種を食い殺す怒りで戦闘マシーンと化したのだと解説するミギー。
ゴミにシアン化水素が含まれていたのが勝因だそう。(猛毒)
天に任せると言いその場を去る新一。
地球のためにと言う人間が嫌いだというミギー。
後藤に対し君は悪くないと言いやっぱり倒す新一。
帰ろう…新一は街へ帰る。

ミギーは生きてました、良かった!後藤戦一番面白い話だと思います。
新一が後藤に手を下すシーンは人間でいる以上、同種の敵は倒さねばならないという生物としての運命を感じました。
まだ彼には守らなけらばならないものがあるからでしょう。
☆5.0
{/netabare}

【第24話】
{netabare}
『寄生獣』
序々に人間社会と溶け込んでいた寄生生物達。
夢の中で永眠すると新一に話すミギー。
起きたら自分のことは忘れて欲しいと去り際に言う。
目覚めた新一は忘れるわけないだろ!!馬鹿野郎!!と一喝。
―新一、村野さんとデート
新一の意見。(ここはこの作品のテーマを話してると思います)
浦上を街で見掛ける新一、村野さんが捕まる。
―ビルの屋上
人間と寄生生物が混ざった中間の立場の新一に意見を聞こうとする浦上。
浦上を化物以上の化物だと言い放つ村野さん。
浦上を制し、ビルから落ちる村野さんを救おうとする。
失敗かと思いきや村野さんを救出。(おそらくミギーのおかげ)

エピローグ回、ラスボスは寄生生物の後藤ではなく人間の浦上というのが面白い。
新一の悟りを開いたような話にこの作品を通しての岩明均先生の考えを聞いているようでした。
最後の最後で村野さんが新一への答えを出していたりと終わり方としては申し分ないと思います。
☆5.0
{/netabare}

■総評
{netabare}
―重複しますが原作、新規ファンにも入りやすいキャラクターデザイン。
・原作ファンには違和感があるかと思いますが設定が現代に変更されている点や実際のアニメの作画から見て個人的には納得のいくレベルでした。
時折見せる原作のシーンをそのまま抜き取ったような演出は嬉しかったです。

―ミギーの声優の方が女性なのは意外でした。
・生まれて間もない生物ですしマスコット的な立場ではありますが、能力的に乏しい主人公を冷静に諭しながら戦っていくポジションなので落ち着いた大人な男性の声にして欲しかったのが個人的に正直な思い。
・プロデューサー中谷敏夫氏のインタビュー記事にこの件が書いてありました、周囲をわかっていたようでの配役みたいです。
・平野 綾さんの演技は良かったと思います。

―原作とストーリーはほぼ一緒なので安定して楽しめました。
・しかしながら原作の力が大きく、アニメとしての出来(構成、演出など)はもう少しどうにかなったのではないかと思ってしまいます。

―戦闘シーンの緊迫感がいまいち湧かない箇所がある。
・音楽のKen Arai氏の楽曲にエレクトロの要素が強く合ってない箇所が見られるのが残念、音楽プロデューサー・音響監督にはがっかり。
・どんな傑作でも音響は重要なんだと示してくれる作品だと思います。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

原作読んだ?

 全24話。マンガ原作。原作既読。

 この作品に限った話ではありませんが、私はもともとアニメ派ではなくて、マンガ派です。マンガ版寄生獣にももちろん注目していました。マンガ版寄生獣は、連載物の宿命か右往左往してしまったところはあるんですが、それでもマンガとしての完成度は極めて高いです。構成力は素晴らしく、無駄なコマもありません。歴史に残る一作と言っても決して過言ではないと思います。

 アニメを見るようになって痛感するのは、やはりマンガとアニメはメディアとして違うということ。マンガとしての面白さが、アニメとしての面白さにリンクしないところがある。その点では、私は必ずしも寄生獣のアニメ化を期待していたわけではありません。実写映画化もしかりです。
 ただ、映像化権が米国にあり、どんなキワモノが出てくるのか分からなかった期間を考えると…。時を経て日本に権利が戻り、実写映画化され、メディアミックスとしてアニメ化されたこの現状の方が良いのかもしれないな、なんてことも思いますけどね。

 以下、長文になってしまったので、お暇なときにどうぞ。


環境問題?:{netabare}
 寄生獣が環境問題への警鐘からスタートした話であることは間違いありません。そして、「人間と自然」という対比を用意し、自然側に寄生生物を置いていたことにも異論はないでしょう。ですが、最後までこの主題が継続されていたという指摘には強い疑念があります。

 マンガ版寄生獣の最終巻、作者のあとがきでこのような指摘がされています。後藤の最期についてです。
 作者は、後藤を「『美しき野生』『偉大なる大自然』の代表選手」とした上で、当初後藤は「死ぬ予定ではなかった」と述べています。後藤の敗北後、「新一はあのままスタスタ帰ってしまう」のだそうです。
 また、その後の後藤についての当初案も書かれています。「完全復活したものの、汚染された日本を嫌い、(中略)美しい自然をめざし飛び去ってゆく」という案。そして、「完全に復活できず、人間に無害の別の生き物として山の中でひっそり生き続ける」という案です。
 両案のいずれにも共通するのは、「偉大なる大自然」が存在し続けているということです。これなら「人間と自然」の対比は生きていますし、「自然が人間から乖離してしまう」第一案も「自然が人間のせいで変容してしまう」第二案も、環境問題への警鐘に対する答えとしての合理性は担保されます。

 ですが、作者は最終的に、新一の手によって後藤が殺されるという結末を選択しました。果たして、これが環境問題への警鐘として成立していると言えるのでしょうか?
{/netabare}

人間とは似て非なるもの:{netabare}
 寄生獣における「人間と寄生生物」の関係で、「人間と自然」の対比以外にもう一つ重要なことがあります。それは、寄生生物が「人間とは似て非なるもの」として存在しており、「人間と人間とは似て非なるもの」という対比がなされているということです。

 このような対比をさせる作品は数多くあります。対比先は、アンドロイドや宇宙人など様々です。これらの作品は、「人間とは似て非なるもの」を観察することで物語が進みますが、これらを明らかにすることを着地点としていることは、まずありません。そのほとんどは、「人間」との同異点を探ることで「人間」を明らかにすることを目指しています。

 寄生獣も最終的にはこちらの話にスライドしました。
 「人間と寄生生物」の対比が「人間と自然」であったのなら、自然の代表である後藤を殺すことは出来ません。それは対比の否定につながり、論理破綻を来すからです。作者が用意していた当初案のような結論にならざるを得ません。
 ですが、「人間と寄生生物」の対比が「人間と人間とは似て非なるもの」であったのなら、それは可能になります。観察さえ終了してしまえば、「人間」を明らかにするのに、「人間とは似て非なるもの」の存否が影響しないからです。

 この結末変更について作者は、このように述べています。
 寄生獣の開始時は「『愚かな人間どもよ』という人間が滅多やたらにはいなかった」が、「世の大多数の人が同じようなことを言い始めてくると」「作品内で復唱するのが何やら気恥ずかしいのだ」。「ともかく次には『愚かな人間どもよ』と人間が言うなよ、と言いたくなってくる」。
 つまり、寄生獣という作品は、環境問題への警鐘としてスタートしたものの、ここへの安易な着地を嫌い、「人間が言うなよ」との主張に変化したのです。その結果が、「人間」を語る作品へのシフトとして現れました。

 このシフトは、二つの示唆をもたらします。
 一つ目は、「人間と自然」の対比が終わることで、「自然」としての寄生生物の正体については、追及されなくなるということです。事実、寄生生物の卵やヘビのような幼生体などには、最後まで説明が加えられませんでした。「人間」を明らかにする作品においては、それが意味を持たないからです。
 二つ目は、「人間とは何か」を改めて語る必要が出てきたということです。

 この二つ目の論点を進めるために登場した人物がいます。彼が寄生獣という作品を締めくくりました。
 「人間」の浦上です。
{/netabare}

人間:{netabare}
 「人間」について考えるというのは、目指すべき人間像を探ることに同じです。「良い人間とは何か」「理想的な人間とは何か」などのようなものです。この説明の仕方に作者の特性が強く出ていました。
 原作者の岩明均(敬称略、以下同じ)は、対比を用意することで物語を説明していくタイプの作家です。このレビューもこれに準じて書いています。そして、岩明均は、対比の両側を説明しないという特性を持ちます。「裏側を書くから表側は考えてね」というスタンスです。

 「人間」について考えるとき、「良い人間と悪い人間」または「理想的な人間と現実的な人間」という対比が想定されますが、「良い人間」や「理想的な人間」を直接には描こうとしないのです。最後に描かれたのは、「悪い人間」と「現実的な人間」です。すなわち、「悪い人間がもたらす忍び寄る現実」、ここを浦上が担っていました。「人間」を明らかにする作品になったからこそ、その裏側にいる浦上が物語を締めくくることになったのです。
 そして、「良い人間」と「理想的な人間」への説明というのは、最終的には欠落されます。これが読者への問題提起として残るということです。

 なお、この作者の特性は、人物配置にも色濃く表れています。
 強い思想を打ち出した登場人物には、寄生生物としては田村や後藤、人間としては広川や浦上がいます。これらを対比先に置くことで、新一とミギーの立ち位置が定まっていました。
 ですが、どこを見ても表れない人物像があります。「共存を願う人間」です。主人公やヒロインですら共存への奔走を見せませんでした。この最後まで隠された部分、これが原作者の思いとしてあるのかもしれません。もちろん、単なる綺麗事嫌いの可能性もありますけどね。
{/netabare}

 ここまでが前提の話です。
 寄生獣では、対比のシフトが行われ、「人間」の話にスライドしました。そして、その過程において、「生物とは何か」にまで踏み込みが行われています。
 このシフトの起因と踏み込みの原因というのは、同じところに答えがあります。それが、第三部の主題となっていた「母子関係」です。


四部構成:{netabare}
 寄生獣の構成を検討してみると、四部構成であることが分かると思います。

 第一部は、マンガ版第3話/アニメ版第2話までに該当します。作者も「わずか三回にして終わるところが…」と述べていますから、とりあえずの結末を迎えていることが見て取れます。
 ここまでの話が骨子となり、ここを繰り返すことで後の物語が展開しているのも分かると思います。例えば、子ネコを助ける話は、子イヌを助ける話として再登場しています。バトルを通して新一とミギーが変化していくという定型が作られたのもここです。

 第二部は、母親の敵討ちである伊豆の一件が終わるまでです。マンガ版第16話/アニメ版第7話までです。この一件で、新一とミギーはその一部が融合することになりました。
 新一とミギーは、人間と寄生生物の間にいたわけですが、これ以前の話では「分離した状態」にありました。この伊豆の一件を経て、「融合した状態」で語り始めることになります。人間と寄生生物の境界があいまいになり、二人の思考が相手側に寄っていく決定打となりました。

 第三部は、田村との公園のシーンまでです。マンガ版第17話/アニメ版第8話からマンガ版第48話/アニメ版第18話途中までに該当します。マンガ版では第17話よりも第18話の方がより大きな意味を持ちます。

 第四部は、作品全体のエンディングです。浦上が登場し、後藤との決着がつき、「生物とは何か」が言及され、再度浦上登場することで幕が引かれました。

 以下では、第三部だけを見ていきます。
{/netabare}

第三部のオープニング:{netabare}
 第三部のスタート時、新一は大きな問題を抱えていました。それは、母親を亡くしているのに泣けないということ。
 胸に開いた穴を埋めるために新一とミギーは融合したわけですが、身体の穴が埋まる代償として、心の穴を抱えることになってしまったのです。この「心と身体」の対比に基づくのが、第三部の主題である「胸の穴」の問題です。ベンチマークには「涙」が採用されました。

 この第三部のスタート(マンガ版第18話)では、「胸の穴」に関する論理的な整理が行われています。第三部の問題提起であり、第三部のエンディングへのフラグ立てでもあります。これを確認してみます。

 マンガ版第18話は、新一が「涙」を流すところから始まります。泣けないと言う新一は、田村との公園での一件の前に、実は泣いているのです。もちろん「心の涙」ではありません。目にゴミが入ったから反射的に「涙」が出たという「身体の涙」です。つまり、泣けないことは身体の問題ではない、心の問題だ、という説明がされているのです。この描写に1ページ以上も割きました。通常では考えられないほどに強調されています。

 そして、心の問題と言えども心の全てに及ぶのではない、という説明が入ります。
 聴覚の鋭くなった新一が市井の音に耳を傾けるのですが、その過程で村野の心音を聞くことになります。3コマも使って村野の胸元を順にアップするという強調がなされ、その後に新一の照れる表情が1コマ入ります。
 つまり、新一が、少女の胸元に注目してしまう一般の男子高校性であることと、恋愛においては非情になっていないことが説明されているのです。変わらぬ心があることの説明です。

 最後に、変わってしまった心の説明がされています。ここで、第一部をリフレインする子イヌが登場します。子ネコを虐待から助けていた新一が、子イヌの死を「肉の塊」と表現しました。これにより、心の問題が「死」の一点に収束していくことになります。子イヌの話の重要性は言わずもがなでしょう。

 このような三段階の説明がなされたことで、新一の抱えていた問題が心の問題であり、その中でもとりわけ「死」への態度であることが明らかにされました。
{/netabare}

第三部のエンディング:{netabare}
 第三部のエンディングは、田村との公園のシーンです。新一が田村の「死」に触れることで、「心と身体」の問題が解決され、「涙」に至りました。ここで用いられたのが「母子関係」です。

 「母子関係」には、「田村→田村ベイビー」と「新一ママ→新一」の二つがあります。田村が新一ママの姿を取ることで、この二つの母子関係が混ざり合います。そして、「田村→新一」という疑似母子関係が成立しました。これによって、新一が体験した母子関係の喪失が疑似的ながらも回復し、新一の心の「胸の穴」が回復します。さらに、田村ベイビーの涙、すなわち、子供側の涙に触れることで、子供である新一もまた母親の死を許容し「涙」を流すことができました。
 これが第三部のエンディングの内容です。


 では、前述した「人間」を明らかにする作品へシフトした起因と「生物とは何か」にまで踏み込めた原因としての「母子関係」について話を進めていきます。

 この第三部で、「母子関係」が広がりを獲得しました。なぜなら、「田村→新一」という非血縁に基づく母子関係の成立を許容したからです。起因と原因になっていたのは、この「広がりを持った母子関係」のことです。

 「人間と寄生生物」における「人間と自然」の対比は、両者の対立構造です。田村はこの対立構造から離れ、寄生生物を弱者に置きました。人間と寄生生物の間に、庇護と被庇護の関係が生まれたのです。ここには「広がりを持った母子関係」が成立していますから、「人間と寄生生物」の関係は、対立構造から「母子関係」へと置き換わります。
 つまり、第三部で「母子関係」の成立を準備したからこそ、「人間と自然」の対比が持つ意味を減退させることができ、「人間」の話へとシフトさせることができたのです。

 ここで用いられた「強者であると認識していたものが弱者でもあった」という論理展開は、「人間」にも同様に機能します。例え「人間」が寄生生物の親であったとしても、また別のものの子である可能性があるのです。この論理展開は、他の生物にも同様に連鎖をしていき、すべての生物が親であり子である可能性を持つことになります。
 ここで、タイトル回収がされます。寄生獣とは、序盤では「寄生生物」のことです。中盤では「人間」のことです。最後には、寄生し寄生される「すべての生物」、親であり子である「すべての生物」、寄り添い合い生きる「すべての生物」、となりました。「生物とは何か」、それは「寄生獣」であるという結論です。
 「母子関係」なくして、「生物とは何か」にまで踏み込めなかったということです。
{/netabare}

おわりにかえて:{netabare}
 なぜ私が第三部のオープニングの話を詳しく書いたのかを、もう少しだけ説明させてください。

 おそらく、多くのアニメ版視聴者は、「母親が死んだ事実」と「涙が出ない事実」の間を「心の問題である」とごく自然に解釈したことと思います。ですが、それが主観に基づいていることを理解して欲しいのです。
 もし、「寄生生物は泣かない」のであり、「寄生生物と融合したから泣けない」のであれば、それは「身体の問題」になるはずなのです。作者はその可能性を理解していたからこそ、わざわざマンガ版第18話を用意して、「死に対する心の問題であること」を丁寧に説明してくれたのです。そしてこれが、「他の生物の死を悲しめるほどに、心に余裕がある生物」との人間賛美となり、「『愚かな人間どもよ』と人間が言うなよ」という主張につながるのです。

 ですが、アニメ版ではマンガ版第18話の再現を盛大にやらかしてしまいました。
 目にゴミが入り涙が出るシーンはカットされています。「心の問題なのかな」という新一の独白に頼っているだけです。客観的な説明なくして、なぜ身体の問題であることを否定できるのか、はなはだ疑問が残ります。
 胸元に照れる新一の表情もカットされてしまいました。トラック音に驚いた後の照れる表情だけがあります。これでは胸元に注目していたことへの照れ隠しではなくて、トラック音に驚いたことへの照れ隠しになってしまいます。それが、一体どれほど重要なのでしょうか?

 作品内での客観的な説明がなければ、視聴者は主観的な判断をするしかありません。それは当然のことですから、私には視聴者を責める気など微塵もありません。責めるべきは、作品への理解が乏しかった監督に他なりません。

 マンガ版第18話のサブタイトルは「人間」です。「寄生獣」という作品において、なぜここが「人間」というサブタイトルを冠しているのか、そこにある原作者の意図を汲むべきだったと思います。理解が及ばなかったのなら、忠実な再現を目指すべきでした。アニメ版寄生獣は、表面上は上手くなぞりましたが、作品全体への理解に懸念を感じてしまいます。少なくとも、原作マンガをきちんと読めているとは思えませんでした。
 私が第三部のエンディングとして整理している田村との公園でのシーンについて、Aパートで終わらせているアニメ版は構成としておかしい、と指摘している方がいらっしゃいます。そのような指摘も極めて妥当なものだと思います。

 もちろんこれらの論理性の欠如だけをもって、アニメ版が駄作であるなどというつもりはありません。良いところももちろんありました。特に、細かな象徴物はかなり機能しています。携帯電話とか髪の毛とか洋服などのデザイン文字とかですね。それぞれに意味を持った良改変だったと思います。

 ただ、アニメ版を視聴した際に、少し残念に思ったのは確かです。マンガ版はおそらく歴史的な一作としての地位を獲得しているものと思います。環境問題への警鐘としてではなく、マンガとしての質の高さゆえです。ですが、それほどの価値をアニメ版からは感じることができませんでした。メディアとしての違いなのか、論理性の欠如のためなのかは別論に譲りますが、マンガ版の良さを再認する結果となってしまったと感じています。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 14
ネタバレ

ラ ム ネ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

生物として人間は何が普通なのだろうか。人間として生物は何が普通なのだろうか。

 内容は至ってシンプルである。感想はひと言で「なんか普通」である。傲慢じゃない。「なんか普通」だから、面白いとも思えない。純粋な物足りなさ。しかし実写映画化にアニメ化とは、急に流行り始めたものだと思う。まるで生態系の崩壊が”急に”来るように。

 つまり、(と言って要約に入る。)…しかし要約する必要性はない。全て作中で語られるから。 ああ、じゃあ何も書かなくていいのか。

以降はネタバレです。

要するに…、{netabare}

 生態系には天秤があり、それは環境資源に比して均等に保たれようとする力が働いている。つまり、バランスを保とうとする力がある。一つの生物が偏って増大すると、その生物は下位の食糧(肉食動物は草食動物、草食動物は植物など)を食らいつくし、結局食べるものがなくなって、自らの種も激減し、食らい尽くした食糧が回復するまで、その生物種も増えることはない。
 北米で実際にあった捕食者のいなくなった鹿が好例である。狼が絶滅し、捕食者のいなくなった鹿は増大し、木の皮や若木などの食糧を食い尽くし、食べるものがなくなって激減し、山原は荒れ果て、他生物にも危害を与え、自然の回復には多くの時間を費やした。   
 人類も全く同様で、近代化に伴って人口は増大し、凡庸な欲に生物資源を使い潰し疲弊することによって、やがて膨大な需要に生態系からの供給が行き届かず、人類側が激減する、というシナリオだ。歴史的に見ても、どうやら現代のここらが古き良き時代であることがわかる。

 一つの生物種数が偏って変化すると(然も、人類という規模の違う並半端な偏り方である)、バランスを保とうとする生態系側から種数を変化させないようにに規制が掛かる。しかし人類は、農作を覚え食糧を備蓄するようになり種数を増やし、産業革命やエネルギー革命やらを起こし種数を増やし、何段階かに分けて種数を増やしてきた。必ずしも右肩上がりが平均ではなく、革命や発展があって、そこから種数をぐっと増やして来たのである。つまり、生物資源からより効率的なエネルギー供給を得られる技術を、段階的に確立させ、それに伴って人々の生活は裕福になり、人口爆発が起こった。端的に言えば、人類は生物資源を濫用することで発展して来たのである。
 段階的に増えたので、技術革新前は人口グラフが横棒だったのである。人類もまた一生物でしかないことがわかる。
 寄生虫(パラサイト)の出現は、自然界側からの人類種数増幅の規制であると見て取れる。しかしそれは、作中に見られるように、人類にとっては撃滅可能なパラサイトという小さな規制である。それは新型ウイルスなどと全く変わるものではない。バランスが偏ることで、環境や人体に変化が生じることで、今まで見過ごせてきたもの見過ごせなくなったり、見えなかったものが見えるようになったり、現れなかったものが現れるようになっただけの話である。
 そして、本作品の物語を物語たらしめる(面白くする)要素は、主人公の人間とその右腕に寄生したパラサイトとのコミュニケーションだが、第一に上記からわかるように、パラサイトの出現が未来の人類激減による混乱期を示唆するという点である。パラサイトは人間の脳に寄生し、四肢を支配することで、コミュニケーションをとることも出来るのである。しかも、知能まで高めることができるので、「我々パラサイトは何の為に生まれたのだ?」「我々パラサイトはなぜ人間を食らうのか」などと、本来は意志の疎通ができないはずの人間種数を規制する自然界側を見取ることができるのである。つまりは、ウイルスと話しているようなものである。まあ、こういう環境破壊風刺モノは、自然界側の発言者と人類側の発言者の対話、という構図がわかりやすいのだろうと思う。本来、話せないものと話せる、ということがこの物語のいい要素だ。
 第二に、人間視点として、虫が寄生した人間が、寄生されてない人間を食べることで、いつもは搾取側の人間が、搾取される側になったのであることだ。搾取される側になったという問題が現前にある人間模様が物語となったのである。 (編集ここまで、以降だらだらと)

第二のこれを掘り下げると、
 まず、「人間を殺すなんて!人の命は尊いんだよ!」と主人公が叫ぶシーンがあるのだけれど、誰が「人の命は尊い」だなんて決めたのでしょう。「人権」でしょうね(民主主義の一角として)。「人の命は尊ぶべき」なんて、民主主義思想を創造した昔の西欧の賢人たちが、「これって人類の普遍性にしちゃっていいんじゃね?」と定めたものでしかないんです(注意、ニュアンスは違うかも知れないけど)。「人間を殺すな!」って言っているわりには、人間は他の生き物を殺しまくってる。人類によって、過去にない圧倒的スピードで生物種は絶滅していっています。それで、人間を殺すな、とかまだ言うの?つか早く殺させてくれる?というパラサイト側からの提言は通用しますよね。いや、通用はしてほしくないのか苦笑 ありえるよね。
 産んだ子が死んで、悲しむのは人間。だけど、アフリカのどこかの先住民は、ある話で、死んでも産まれても、それを何年も育てることになっても、別に劇的な出来事ではないそうです。だって、周りに共存している野生動物だって、みんな同じ、よく死んだり、よく産まれたり、育てたり巣立って行ったり、日常的にやっている。産まれた、だから育てる。病気で死んだ、悲しいけど、よくあることだ。驚くほどのことかい?と先進国の旅人に訊いたそうです。この発展し成熟した社会の下では、無いように見えますが、本来、死生というものは日常的にありふれていて普通のことなんです。
 話しを戻すと、こうしたところから、本来の死生観というものに考えさせられるところがあります。人間というのは、偏っていて、偏っていることすら知らないことが結構多くあるのです。理解していると思い込んである観念に縛られて生きていると、不条理なことってありますよね。理に適っていなくて、考えないから、不幸なんでしょうけど。

 本作が物語になったのは、上に書いたように、パラサイト側の人間理解にもあるでしょうね。
「人間社会というのが、ひとつの生命体だ」みたいな台詞もありました。
 まあ、これもシンプルで、一匹では無力で何もできないから、弱さを補い、なお効率化を図って、群れた。群れて社会ができた。蟻一匹じゃしょぼいけど、数百万だったら森ぐらい呑み込めるよね(グンタイアリ)、と大まかに同じ。
「パラサイトと人間はひとつだ。我々(パラサイト)は弱い、だからいじめるな」みたいなのもあったかな。
 これは、人間は無意識の内に生物とは単体だと思い込んでいるのが、全ては繋がっていて、生命という全体性の内に内包されているのだ、ということ。
 生態系の崩壊が急に来ると書いたのはここから押し広げられます。蜂が絶滅したら、花は受粉できなくなって…みたいに。そしたらもう連鎖的に襲われるでしょうね。

 無敵のパラサイトを手こずって倒して、とどめを刺そうかと迷う主人公は、守りたい大切な人たちを思い出し、「それでも人間は生きたいんだよ」と、そのパラサイトを殺すことを決意します。

 もっと突き詰めて意味深いこと描けないかと思うけど、それは傲慢かも知れませんね。それでは世間に伝わりにくいだろうし。実際、環境汚染やら気候変動やら生物多様性減少の課題とかの中から、個人のパーソナリティーに訴えかけるべき倫理道徳って、はなはだ単純なもので、警報としてはこのくらいが丁度いいのかも知れません。作品価値を上げるなら、濃い内容でもいいかもしれないけれど、もしそれが世間に伝わりにくいからってやらないのは、制作段階で作品の未熟を認めつつ見過ごす行為だから、未熟でしょ。まあ、風の谷のナウシカの原作を読んでしまったら、ねえ。うん、警報としていいかもしれません。

 良作ではあるけれど、ピンとこない。市長が人間だったところが、一番よかったです。「おおー」ってなります。

 実写版の方が迫力はありますかね。内容は削られていますが、荒削りではないし、原作を映画二編に収めたのだから多少は仕様がありません。役者さんとアニメだと、やっぱり響き方として実写がいいです。原作は、台詞の伝わり方がいまいちでした。

 論理的をやめて、今回はちょっとだらだら書いてみました(編集で最初の方は推敲しましたが)。だらだらしていられるのも今の内、なんでしょうかね。…なんて諦観しているわけじゃありませんよ。なんとかなると言って誰かに任せっきりで何もしないのは、違う気がしますからね。器量がなくても草の根活動ぐらいできるんじゃないんですかね。どうにもならないから、はじケル?野性生物の人類は、端的に言えば、理性生物に進化できればいいのですよね。できなかったとしても、幕には下り方ってもんがあるでしょう。何が格好良いのでしょうかね。カジュアルスタイルが格好良いんでしょうかね。化粧に香水にキャメルのコートで恥じらい隠して、同じようなイントネーションで話していれば格好良いんですかね。
 要するに、この物語を見て、風刺を理解し、自分のこととして身に据えれば、「そんなことしてる暇なんかあるの?」とグサリと刺されることになるんでしょう。それでも弁償したい人は、例えば「それでも人間は生きていたいんだよ」の台詞に勝手な救いを求める。でも、その台詞は文脈の意味合いがそもそも違いますよね。ギリシア哲学に於ける「善」の定義とは、自分にとって都合のいい選択のことなんです。そろそろ、人間は善悪判断(倫理観)の範囲を、人間界から生物界へと広げなくてはなりませんね。だって、それができなきゃ滅ぶんだから。
 全ての生きとし生けるものに包括された一つの種としての人間、その人間にとって、一体何が格好良いんでしょうね。 {/netabare}

以上、今日は気分が悪くて皮肉屋でした笑 ほら、不条理なことが、ね。わかるでしょ?私情を持ち出すなんて未熟者ですね、人類は。※責任転嫁(笑)

2015/5/14「生物として人間は何が普通なのだろうか。人間として生物は何が普通なのだろうか。」投稿。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7

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狼と香辛料 merchant meets the wise wolf(TVアニメ動画)

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★★★★☆ 3.6 (182)
724人が棚に入れました
若き行商人クラフト・ロレンスは、荷馬車を引く一頭の馬を相棒に、街から街へと商品を売り歩く日々を送っていた。 ある日、黄金色の麦畑が広がる小さな村を訪れた彼は、耳と尻尾を有する美しい少女と出会う。 「わっちの名前はホロ」 自身を“賢狼”と呼ぶホロは、豊穣を司る狼の化身だった――。 彼女の「遠く北にあるはずの故郷・ヨイツの森へ帰りたい」という望みを聞き、ロレンスとホロは北を目指す商売の旅の道連れとなる。 だが行商人の旅には思いがけない波乱がつきもので……。孤独だった行商人と、孤独だった狼の化身を乗せた馬車が、今、騒がしく走り始める。
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

2008年版より雰囲気を重視した作品に

『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙』の支倉凍砂による原作小説は、『電撃文庫』(KADOKAWA)から刊行中(既刊24巻、既読)。第12回電撃小説大賞銀賞受賞、第2回ラノベ好き書店員大賞。
アニメ1期は全25話(2024年春夏)。総監督は、『まおゆう魔王勇者』、『狼と香辛料ⅠⅡ(2008年版)』などの高橋丈夫。監督は、『女子高生の無駄づかい』、『私の百合はお仕事です』のさんぺい聖。制作は、『異種族レビュアーズ』、『異修羅』などのパッショーネ。2期の制作が決定(以上、Wikipedia参照)。
(2024.1.9 投稿)

本作は、本作の総監督である高橋丈夫さんが監督として制作した『狼と香辛料ⅠⅡ(2008年版)』のリメイクになります。

かなり前に2008年版を観て、それが面白すぎて小説を全巻揃えてしまったという過去があり…本作の評価にあたって「思い出補正」がかかっていないかを検証する意図もあり、今回のレビューを書くにあたって「2024年版」、「2008年版」、「小説」を1話ずつ同時並行で見るという暴挙に…

当初は名案だと思ったのですが、直近観たアニメを実質3回観直しているようなものなので、『涼宮ハルヒの憂鬱』の伝説の「エンドレスエイト」を自作自演しているようなもの…ということに途中で気づきました(笑)

大筋同じで細かい違いがある程度なので、物語が面白くても流石に飽きるぞ!(笑)というわけで、思いの外、時間がかかってしまいました。


【あらすじ】
本作は、14世紀くらいのドイツ辺りをモデルとして、行商人のクラフト・ロレンス(CV.福山潤)と、その旅先で偶然に出会った狼の耳と尻尾を持った「花魁言葉」で話す少女の姿をした「ヨイツの賢狼」ことホロ(CV.小清水亜美)が、ホロの故郷であるヨイツを目指して一緒に行商をしながら旅をするというお話。

基本的には、旅をするうちに思いがけず知ることになった儲け話に首を突っ込んで「経済的リスク」という名の痛い目を見ながら、ホロとロレンスの機転でその窮地を脱し、二人の仲が次第に親密になっていくというのが既定路線。


【本格的な経済の勉強にもなってしまうラノベ作品】
「14世紀くらいのドイツ辺り」と若干時代と地域に幅はあるものの特定できるくらいには、食い物、着るもの、農村、教会、交易所、酒場、祭りなど雰囲気作りがしっかりとなされています。
(※本作に出てくる「北の大遠征」は「ドイツ騎士団」がモデル。教会や修道院は専門家じゃないので自信ないですがロマネスク建築でしょうか。この辺のしっかり調べて描いていることがうかがえる作画を高評価)

したがって、花魁言葉を話す狼の獣人(とその同類の存在)という超ファンタジー要素以外は、当時のドイツを実際に旅しているような雰囲気を味わえます(※衛生面を除く)。


また、「ライト」ノベル原作なのに、ロレンスが行う商いを通じて、為替、両替、債権譲渡、信用取引など本格的な経済の勉強にもなってしまうというのが本作の売りでもあります。

もっとも、ロレンス役の福山潤さんが指摘する通り、「本作は情報量の多い経済をテーマとして扱っており、気を抜くと演じる側が情報の波に流されてしまう」のは、視聴者も同じ。

なので、本作を観るにあたって、まじめな経済の話だ!と過度に身構える必要はありません。
経済の話については、すべて理解する必要はなく何となく得するのか損するのかさえ分かれば大筋は理解できるので、まずはホロとロレンスの会話を気軽に楽しむのが吉だと思います。
(※私も、今回、散々観直してようやくわかったこともあります(笑)あと、一応散々見返した成果として分かりにくそうなところについて下に解説を書いてみました。)


【花魁言葉を話す狼の獣人ホロ】
本作の一番の魅力は、何といっても花魁言葉を話す狼の獣人であるホロ。

キャラクターの魅力が突き抜けていて経済の話が添え物になっているという点は、キャラクターの魅力が突き抜けていてミステリーが添え物になっている『薬屋のひとりごと』の猫猫と同じ構図。とにかくキャラクターの魅力だけで話を突き進めていくことができる稀有な作品です(※賢そうなことを言ったり、ロレンスをたしなめるようなことを言ったりしておきながら、後ろから見ると、しっかり尻尾を振っているところが愛おしい(笑))。


ホロは、大酒飲みの大喰らいで粗野な面がありつつも、基本的には気高い狼で誰もが振り返るほどの美人であり、人の嘘を見抜ける「賢狼」なのですが、ロレンスが他の女の影をちらつかせる度に、「わっちと違って、あの娘のようなかわいらしい娘が好みなのかえ」などといってロレンスにウザ絡みする意外と嫉妬深い一面も(※本当に「賢狼」か(笑))

もっとも、これには、当時の小麦の栽培方法の発展などによって豊作の神と崇められた彼女が次第に不要とされていったというもの寂しい事情や、次第に判明していく故郷ヨイツの現状が影響していると思われます(※この辺りのホロの寂しさは、2008年版より2024年版の方がより強調されて演出されていると感じました)。

また、「狼のつがいは、基本的に一生涯にわたって別の相手とペアを組むことがない」ということを知ると見方が変わってくるかもしれませんね(※言い方の問題なんです。嫉妬深いんじゃなくて愛情深い生き物なんです!(笑))。


というわけで、本作は、商売は別として、基本的に人の良さ以外に取り柄がなく女性関係については全く気の利かない、なんならそっち方面でも「できる男」と勘違いしている節すらあるロレンスを、老獪な賢狼が自分好みのモテる男に再教育していく過程をニヤニヤしながら生温かく見守る作品となっております(笑)


【「人狼裁判」(※余談)】
村人の中から人狼を見つける「人狼ゲーム」というゲームがありますが、かつてキリスト教圏では、魔女裁判と同様に、市井に潜んでいる「人狼」を探し出し、自白を強要した挙句、形ばかりの裁判をして処刑したという「人狼裁判」の歴史があるようです(※Wikipedia「人狼裁判」参照)。

というわけで、本作でもカトリック教会が悪者として描かれていますが、ホロみたいな存在は、当時の教会に突き出されると確かに処刑されてしまうようです。


【声優】
ホロとロレンスの声優は、2008年版と変わらず。

ただ、本作と2008年版では、ホロの演技に若干の違いを感じました。本作の放送前のアニメジャパンで、小清水さんが様々な経験を経て、2008年版ではなかった数百年という悠久の時を生きてきたホロという存在を演じる取っ掛かりみたいなものが今回はあったと言ってたんですよ。

おそらく2008年版はホロの少女という見た目に寄せた演技。本作では、『江戸前エルフ』で演じた不老のエルフ・エルダのような内面の精神性に寄せた演技に変わっているということだと感じました(※『もののけ姫』で美輪明宏さんが演じた「モロ」が近いか(笑))。

それに伴って、福山さんのロレンスの演技も、2008年版に比べて大人っぽくなってます。同じキャストでも、相手の演技によって相方の演技も変わる。実に面白いですよね。

対して、羊飼いノーラ役の中原麻衣さんの声の高さに16年という時の流れによる変化が全く感じられず、変わってないことにびっくりしました。流石、声優。


【より雰囲気を重視した作品に(※2008年版と2024年版との違い)】
{netabare}そもそも私が2008年版と2024年版の両方を観直そうと思ったのは、2008年版の方が分かりやすく、2024年版は分かりやすさより雰囲気を重視していると感じたことが思い出補正ではないことを確かめたかったから。

結論からいうと、思い出補正ではなかった。
例えば、2008年版では、顔に指を広げた手を当てて狼の長いひげが生えているという表現をする際に点線を表示して補助線を引いていたのですが、2024年版では、その補助線がなかった。また、細かいですが橋の上で金貨と銀貨を両替していた男の演出が2008年版の方がわかりやすく「いやらしかった」です(笑)
2024年版は、基本的に2008年版の流れにそっていて、2008年版よりさらに原作の雰囲気を重視してリメイクされている印象を受けました。

あと、大きな変更点は、2008年版ではパスロエ村の麦売買の交渉人であるクロエ(CV.名塚佳織)が2024年版ではヤレイ(CV.杉田智和)になっているところ。

ヤレイが原作通りなのでクロエが2008年版のオリジナルなのですが、その改変意図は明らかで、ホロとロレンスの恋愛関係に分かりやすく特化したかったからでしょう。当時、女性が商いに関与することは珍しいことなので、男性のヤレイの方が雰囲気重視ということになります。また、2008年版では、ノーラにロレンスが誘うからこそロレンスが立てた計画にのるのだとわざわざ言わせているので、この辺りも恋愛関係重視の演出がみえます。

個人的に2008年版と2024年版で一番違いを感じたシーンは、2024年版第16話のエンディング後のCパート。ホロがヨイツの現状を隠していたロレンスに怒って感情を爆発させるシーンです。
同様のシーンは2008年版にもあるのですが、2024年版の方がホロのもの寂しさがより強く表現されていると感じました。
(※アマーティ編が終わった後のネタばらし的な会話で、「賢狼」であるはずのホロが感情に任せて行動していたようにロレンスに思われていたので、そのことをホロが怒っていましたが、ホロにあんな態度をとられたらロレンスが不安になるのは、むしろ普通かと(笑))


というわけで、2024年版は、2008年版より原作の雰囲気をより重視した大人向けの作品になっているということは言えそうです。
あと、2008年版は、2024年版と違って、2期の第7話以降の話が小説の4巻をすっ飛ばして5巻の内容から始まっています。{/netabare}


【2008年版と2024年版との構成の違いと、分かりにくそうなところの解説】
{netabare}●2008年版第1期
・第1話~第6話:パスロエ村からパッツィオ編(恋敵役:クロエ)
※『狼と香辛料』というタイトル回収編。
銀貨は、その価値を担保する銀の含有量が100%ではないため、銀の含有量が多い銀貨の方が価値が高い。
ここでいう銀貨の「切り下げ」とは、銀貨に含まれる銀の含有量を下げる、つまり既存の銀貨を鋳つぶし不純物を混ぜて、さらに多くのより質の悪い銀貨を大量発行すること(※一時的に王家が使えるお金が増える)。しかし、トレニー銀貨を発行していた王家には、そもそも銀貨切り下げのための銀貨自体が手元になかったので、切り下げをするための銀貨をトレニー銀貨を集めていたミローネ商会パッツィオ支店から買った。
ただ、その際に法外の取引手数料を王家から吹っ掛けられたので、切り下げ前のトレニー銀貨を王家に売ったことによる利益はミローネ商会にほとんどなかった。しかし、その取引の際に、おまけ的に小麦を取引する権利を王家から譲ってもらっており、その権利をミローネ商会がパスロエ村に売ったお金が最終的にロレンスのところに入ってきた。

・第7話:パッツィオでホロの新しい服を購入する回
・第8話~第13話:リュビンハイゲン編(恋敵役:ノーラ)
※香辛料を売る際に秤の不正をされたため、これをばらされたくなかったらと暗に脅して、ロレンスは自分が持っている現金の倍相当の武具を買う契約を締結した(ここでいう「信用買い」)。
この契約において、ロレンスが持っていた現金以上の部分は武具を買った商会に対する借金。そして、武具の暴落により、この借金を回収できる見込みがなくなったので、借金を回収する権利(債権)がロレンス同様に武具の暴落で大損こいていたリュビンハイゲンのレメリオ商会に何らかの商品の対価(代替)として譲渡されたよう。
ちなみに、即座に回収できる見込みの少ない債権が罰ゲーム的により立場の弱いものに譲渡されて泣きっ面に蜂状態になることは、現代でもよくある。


●2008年版第2期
・第1話~第6話:クメルスン編(恋敵役:アマーティ)
※ここでいっている「信用売り」は、アマーティとロレンスとの間で黄鉄鉱を売り渡す旨の契約締結時に、黄鉄鉱の現物をロレンスはアマーティに渡さない(ので渡すことを信用した取引)が、契約締結時の価格で黄鉄鉱を翌日に渡すという内容の契約を結んだ。
したがって、当該契約締結の翌日に黄鉄鉱の値段が上がれば「安い価格で黄鉄鉱を買っていたことになる」のでアマーティが得をし、下がれば「高い価格で黄鉄鉱を売ったことになる」のでロレンスが得をすることになるという勝負であった。
そして、アマーティは、ロレンスから契約締結時の価格で黄鉄鉱をもらうという契約内容を証書という形で保証されていたが、黄鉄鉱の価値暴落後は、ほぼ価値のなくなった黄鉄鉱をもらう内容の証書自体の価値がなくなってしまった。

・第7話~第12話:レノス編(敵役?:エーブ)


●2024年版第1期
・第1話~第6話:パスロエ村からパッツィオ編(敵役:ヤレイ)
・第7話~第13話:リュビンハイゲン編(恋敵役:ノーラ)
・第14話~第19話:クメルスン編(恋敵役:アマーティ)
・第20話~第25話:エンベルク、テレオ編(エヴァンとエルサ)

※2008年版は小説の1,2,3、5巻、2024年版は1巻から4巻まで{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

Spice & Sugar and Everything Nice.

原作旧作知りませんが、とても面白かったです!
リアルでもある経済や取引の話を基にしていてとても興味深いし、ロレンスとホロの徐々に信頼が確かなものになっていく関係性が尊くて人間ドラマとしても魅力的
商材の価値を嗅ぎ分ける狼をパートナーにするコンセプトと、商材の取引を香辛料としたタイトルのセンスが秀逸、主題歌も良曲

権力者や商会の思惑、攻防、駆け引きがあって陰謀渦巻く複雑な構図の中で、力を持たない商人が賢狼ホロと知恵を出し合って渡り合っていくストーリーがとても面白い
各勢力の関係や思惑、儲かる仕組みが単純じゃないので、何となく見ていると何が起きているかわからないけど、とても丁寧に描かれているので頭の中で整理しながら見ていればちゃんと理解できます。
真剣に見ていないと頭に入らないので、思わず真剣に見てしまうことで物語への没入感と、構図が頭の中で整理されていくのが気持ちいい

とても素敵な作品ですね

1~6話について思ったこと {netabare}
まず良かったのは毛皮を売る時のホロの交渉術、ただの詐欺じゃなくて短い時間の中で交渉のテクニックが満載でとても見ごたえがありましたね。
ロレンスとの商談に口をはさむタイミングに畳みかけるような売り込みで相手から冷静さを奪い、商品価値を相手に信じ込ませるテクニック、相手に考える時間を与えない切り上げ方、老練さを感じさせられました。
それでも疑り深い人はこういうテクニックを駆使されるとむしろ警戒心が強まって逆効果になりかねないけど、それはそれとして見ごたえのあるシーンでした

続いて「貨幣の銀含有量が上がる」とうその噂を流して実際には下がるという詐欺の話になって序盤の山場を迎えます。
話はとても面白いです、でもたぶんこれ実際には騙される商会そんなにいないんじゃないかな?
大きな商会は当然、世の中の金の動きには敏感なので、王国の財政が良くないのではないか?というのを主要商材の流通量の変化などで肌で感じていると思うんです、新しい銀貨ほど銀の含有量が減っている情報もつかんでいても不思議じゃありません。新しい銀の採掘のめどが立ったならともかく、そんな中でみすぼらしい格好した得体の知れない男からの銀の含有量が上がるという情報を信じるでしょうか? 情報源は? これほど有益な情報ならもっと大商人を相手にすればいいのに個人に持ち掛ける理由は? 他の商人にも同じ情報を渡している可能性は? 情報の重要性の割に要求する対価が少なすぎないか? こんな有益な情報わたした後にゼーレンが消されるリスクを考えてなさそうなど、疑わしいことは多い。
アニメの描写でもゼーレンは最初から胡散臭いように見えました。
商会の手練れなら情報の裏はとると思いますし、実際には下がる可能性も考慮すると思います

ヤレイと村のホロに対する考えの変化もちょっと納得は難しいかな?
宗教が絶対権力を持っていて科学があまり発達してなさそうな近世~中世欧州的な世界観で、ホロを実際に見たという証言もある中、商人との交渉がうまくいって豊かになったからといって、豊穣の守り神を蔑ろにするように村の意見が傾いていくでしょうか?
商人との交渉がうまくいくことと、豊作か凶作かの因果関係はないはずです。
作物が取れなければ交渉する材料もありません。それなのにいきなり豊穣の神を村の敵みたいに扱う村? 不思議です。 本当に神がいたら永遠の凶作にされても不思議じゃありません。いるかいないかわからないのにそんな恐ろしいことができるでしょうか?
21世紀の今ですら大昔の迷信を信じている人もいるくらいなのに
{/netabare}

7話~12話
{netabare}
今度は信用買いの話みたいですね
後半の話はそこまで複雑じゃなかったかな?
レメリオ商会に裏切られたけど、レメリオ商会と対立するんじゃなくてうまくやりくりしてレメリオ商会も救ったし、利害関係は無視してノーラも救ったのは綺麗にまとめたなって思いました

{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 18
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

3話 どうしましょうね?旧作の2期を見ながら考えましょうか。

第1話 3DCGの技術的な挑戦が大きい?それとも海外を意識した? 

{netabare} 試しに旧版と本作を同時に見たら、冒頭に少女が出てくる以外、14分くらいまでほぼ同じ話、構成でしたね。場面とかセリフで30秒も差が無い感じでした。
 ただ、驚いたのが旧知の人って、旧版はクロエっていう女性でしたがヤレイっていう男なんですね。この違いがありました。

 そして14分以降キャラの関係で若干違いがありますが、旅立つところ以降は一緒でした。で、あれ小説どうだったっけ?と思い以前買った小説版を引っ張り出したら、この場面が丸々ないんですね。馬車でホロがオオカミであることを確認したらそのまま旅立ってました。

 まあ、そういう細かい違いがあるみたいですけど、大筋は同じですね。雰囲気や作画は当然ですが、旧版の方が圧倒的にいいです。しかし、本作はホロが可愛いですね。

 それと何といっても3DCG技術でどこまで演技ができるか情緒的な画面を作れるのかが見ものでしょう。
 今回のリメイクの見るべきところは、もし解釈が旧版と同じであれば、これに尽きるのではないでしょうか。その点では遠景の手足にまだ違和感があるものの短時間でかなり進化したなあという印象でした。
 海外セールスを狙ってしっかりした作品を選んだ、という意味もあるのかもしれませんけど。

 せっかく小説を引っ張りだしたので、以前の疑問を含め読むかもしれません。ストーリーが旧版と同じならいちいちレビューはしませんが、気が付いたところがあれば、随時。 {/netabare}


2話 リメイクの意味が薄いなら飛ばし見か放置かもしれません。

{netabare} 1話のヤレイの登場シーン以外は、原作にほぼ準拠という感じで進んでいるようです。ただ、ロレンスって開き直ってホロと馬車の上で一緒に寝ているんじゃなかったでしたっけ?

 原作を改めて読んでいますが、なぜ家に数巻あるのに原作を覚えていないのだろう?と思ったら、1期の銀貨とかこの後出てくる武具の話とかの内容が理解できなくて、そこだけ集中的に読んでいたみたいですね。

 ですので、2巻までで放置してたみたいです。今回読み返し始めました。面白いことは面白いですが、経済的な部分の謎解きをしないで話が進んでしまい、どいうことなのかエピソードの最後の方まで説明がないので、頭を使ってしまいます。そうすると感情が引き戻されてメタ的な気分になるんですよね。そこが没入できない原因だったかな。

 むしろ長寿のホロが北にかえる旅路の話…商人との信頼関係を結びながら…そして…という話の方が面白いです。その部分は「フリーレン」をちょっと思い出します。

 それと、やっぱり雰囲気は旧作の方がいいです。作画で見るべきところもないし。話が原作・旧作準拠でリメイクの意味が薄いようなら飛ばし見か放置になる気がします。{/netabare}



3話 どうしようかなあ…どうしましょうね?旧作の2期を見ながら考えましょうか。

 もちろん前作を最後まで(1期だけ)見ているので、話が面白くないということはないです。リンゴのシーンも良かったです。

 ですが…うーん、同じすぎ?例えば「キノの旅」などのリメイクを考えると新旧見比べる意味があるのですが…ただ、まあ雰囲気は慣れてくればそれほど違和感もなくなってきた気も…

 それと今回の部分で、以前はスルーしてたんですけど原作を読み返して気になったのが、テンの皮(革?)の時の匂い問題なんですけど…あれは取引上の口の上手さなんでしょうか?なんとなく詐欺というか騙しだと思うんですけど…そう言うものなの?とちょっと引っ掛かりましたね。

 どうしましょう?継続にしとこうかなあ…とりあえず旧作の2期が先かなあ…一応、中断にしておきます。違いを確認するためにチェックはすると思いますけど。

 EDを初め音楽は結構気に入りました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 14

63.3 7 恋愛アニメランキング7位
ささやくように恋を唄う(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (73)
228人が棚に入れました
高校入学初日、新入生歓迎会でのバンド「SSGIRLS」の演奏を見た新入生の木野ひまりは、ギターボーカルを務めていた朝凪依に憧れ、彼女に‟ひとめぼれ”をする。 その気持ちを伝えられた依は、ひまりに‟ひとめぼれ”という名の恋心を抱くことに。憧れと恋心。同じ‟好き”でも異なる気持ち。 すれ違うふたりの関係に、バンドメンバーの想いも絡み合い…。ふたりの‟ひとめぼれ”は、やがて鮮やかな青春を奏で始める——

声優・キャラクター
木野ひまり:嶋野花
朝凪依:瀬戸麻沙美/笹倉かな(歌)
水口亜季:小松未可子
筒井真理:小原好美
橘香織:加隈亜衣
泉志帆:根本優奈/水上スイ(歌)

猫好き さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

これは誰向けの百合なんだろう???

原作は百合姫で未読。百合姫物はこのところ非現実的ギャグ系ばっかりで辟易してたし、男の子の妄想の入ってない無いBL/百合は好きな腐女子な私なので楽しみにしてる

お話の方はガチレズ(女子に一目惚れするのは間違いなくガチ)の先輩とストレートの後輩(この年齢で無自覚ならストレート)の恋愛。この状況、ビアンの間で片思いとして本当に多いみたいだけど、ほぼ上手く行かないからこそ、上手く行ってほしいファンタジーとして成立する

それに音楽やってるカッコいい先輩と可愛い後輩とか腐女子萌え要素は高い。あとクラス内で百合恋バナを大っぴらにしてる女子高生なんて、私の頃には考えられなかったからその点もいいんだよね

とはいえ作画はかなりイマイチなのがマイナス。キャラ顔は綺麗でいいんだけど、止め絵が多くて紙芝居みたいなところが多い。日常恋愛ものは、元から動画にこだわる要素は少ないとはいえ、これだとボイコミに毛が生えた程度。もっと主人公たちの魅力を伝えてもらうには、表情や細かなしぐさに気を使って彼女たちの美しさを見せて欲しい

特にこのお話は主人公が音楽やってるんだから、せめて演奏シーンくらいは気を入れてほしい。でも一話目のバンドシーンからして今一つ。一目惚れするほどの演奏のはずなら、もっとエモーショナルな演奏シーンにして私も惚れさせてほしかった

特に今期はガールズバンドクライ、夜のクラゲは泳げないとか女子バンド物の出来が良いし、おまけに響けユーフォニアム3とかすべてのシーンが美しい音楽物もあるので、それらと比べちゃうとでどうしても見劣りしてしまう

お話そのものは嫌いじゃないけど、本当、作画だけは何とかしてほしい

第三話

うわっ。ひまり、めんどくさい後輩。これ一番迷惑な子。恋愛なんて目が合った瞬間に付き合うかどうかなんてわかるけど、とりえず好きなんでいっしょに居てみようって、キープと変わらないでしょ。そもそも、何かいいお話のように描きたかったみたいだけど、お母さんのアドバイスを全く聞いてないじゃん。お母さんはその時は分からなかったからきちんと断ったでしょ。それでもお父さんがアプローチ続けたから好きになったわけで、生殺しにしてたわけじゃないじゃない

ヨリ先輩も止めなよ、この娘は。二丁目とかイベント行ってかわいい子探しなよぉ

第六話

総合評価ダウン・およびレビュータイトル変更

ひまりが好きなのか分からないから、恋人って何するか分からないへ変わっただけで当初のもやもやが未だに続いていて、もういいやって気になって来た。そもそも、これいったい誰向けのアニメなのか心底分からない

恋人って何?ってそれはセックスしたくなるかどうかよ。それ以外は無いの。もちろんそこに至る過程でのイベントはいろいろあってお互いはらはらどきどきの駆け引きやらなんやらがある。でも、「恋人何するの?」でうだうだ悩むならそれは恋愛では無くてただのあこがれ。その点は相手が同性でも異性でも同じこと。少なくとも私はそう思う

気になるのはこれはいったい誰向けの百合なんだろうってこと。ヨリ先輩の年代でストレートに恋しちゃって大変な目にあうのはよくあることだけど、それにしてもこんなに引っ張っていいのかなぁ?見てて面白い?少なくとも私はげっそり

これ、男の子の漫画ではよく見かけるパターンだけど、女はそんなの待ってられないから次に行くのではないかと私は思う。もちろん私はすべての女たちの代表では無いけど、それにしても一体誰向けの百合なのかだんだんわからなくなってきた

第八話

ひまりの天然くさい恋愛能力ゼロな点はもうどうしようもないと見限ることにした。頭をなでてあげる、やきもち焼く?笑わせないで、あれが受けるのは最初の三日くらいよ。これでOKと思うのは男の人向けのお話、百合だからでしょう。

でもでも、それ以外のヨリ先輩を慕うアキやシホの拗らせ具合がいい感じになって来た!こっちの二人の話を中心にしてほしいと思うなぁ。まだ、その方が現実感が沸くと思う

投稿 : 2025/02/01
♥ : 0
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

2話 私の読解力不足でよくわからない。撤退します。

1話 ひまりがヒロインだと崩壊するでしょうね。ヨリ視点だと思います。

{netabare}  一応、ヒロインはひまりという1年生なんだと思いますが、この娘に感情移入するとちょっと厳しいかもしれません。歌い手であるヨリから見た恋愛の対象で、よくわからない存在で内面がないですからね。キャラとして、ウザがらみワガママ系で脇から傍観すると少しも可愛くないからです。この子をヒロインにしたら恋愛ものとして成立しないでしょう。作品が崩壊すると思います。

 むしろヨリという歌の人のマインドが、引っ込み思案で歌でしか想いを表現できない、と思った方が作品の中には入り込みやすい気がします。それが原作者、制作者の意図かは不明ですけど。

 この関係性の構築の仕方は、なんとなくですけど、作者は男性なのかな、という気もします。

 そもそも髪型のセンスとか、アクセサリーの描写、制服着崩し方、女子たちの集まった雰囲気が、原作は知りませんが結構リアリティがないですよね。これは男の妄想女子高生の気がするんですけど、間違ってたらごめんなさい。
 ということはどこまで深く「百合マインド」を描けるかは、あまり期待しないで視聴した方がいいかもしれません。

「ささやくように」なのにライブで一目ぼれして、アコースティックギターで歌を歌っているのに、そこのズレに言及が無いのもちょっと違和感と言えば違和感かなあ。つまり題名からどんな話になるのかが今のところ想像が出来ません。

 いろいろ言いましたが「百合もの」は研究中ですし、バンドものも24年春期は比較しながら見てますので、視聴候補の一つです。ただ、期待値は低いかなあ…

 ボーカルの人のバズリ期待の作品ではないことを祈ります。 {/netabare}


2話 私の読解力不足でよくわからない。撤退します。

 ストーリーどころかエピソードがありません。場面がただ切り替わるだけの気がします。結果として、心の移り変わりが全く理解できませんでした。まあ、恋愛状態になった以降のごたごたが描きたいので、そこまで省略したのかもしれませんけど。

 なんらかのリテラシーがあれば読み解いて面白いと感じる人がいるのかもしれませんが、私にはちょっとその読解力がないみたいです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5

大重 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

これは良い百合。恋愛ものとしてキュンときた。作画、スケジュールに難はありましたが

1話 3.8 これは良い百合。恋愛ものとしてキュンときた

百合はイマイチ。
なぜなら女同士であるという必然性が無い作品が多いから。

しかし本作はかなりキュンと来ましたね。
まず作画クオリティは高めで良いですね。

主人公… どっちだ。下級生の方は、ファンという意味で一目惚れと使ったのですが、上級生の方は恋愛的な意味で一目惚れ。
で、上級生の方は自分が勘違いした、と思いつつ、下級生の子が好きだからと積極的に近づいていく。
格好いい先輩だと思って欲しいと努力したり。
そういう所が、普通に好きな子に振り向いて欲しくて努力する感じで良いですね。
下級生の方はファンだから当然嬉しいし…。

と、ちょっとすれ違った状態から始まります。
上級生が堂々と踏み出せない理由として、女同士だから、というのも挙げられる。

女同士だから、常識的に考えたら恋愛的な意味で一目惚れってのは無い。
だから自分は勘違いしたと思う。

つまり私の嫌いな、女同士の必然性が無くて当たり前に女同士が恋愛する世界観ではなく、女同士だからという戸惑いがガッツリあるわけです。
これこれ、こういうのですよ。
こういうのは、百合でもぐっと好物になります。良いじゃないですか。

というわけで本作は気に入りました。
一応まだ観たいにしておきますが… 本当に観たいですね。

全話感想
どろどろした人間関係の面倒くささがあり、そこが良い、と思って見ていたのですが…
まあ、作画はどんどん酷くなっていって大丈夫かいな? というところに、長期間終了。
その後スタジオが倒産したとか? 色々あったようですが。でも、完結編をやっただけでも良かったんじゃないですかね。

カップルが中盤あたりで成立して、以後はその周辺の人々を追っていくスタイルのラブコメ、多い気がする。

まあ点数的には減らさざるを得ないですが。内容は悪くなかったかと。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 0

92.6 8 恋愛アニメランキング8位
STEINS;GATE [シュタインズ・ゲート](TVアニメ動画)

2011年春アニメ
★★★★★ 4.4 (16742)
51021人が棚に入れました
舞台は「ニュージェネレーションの狂気」による渋谷崩壊から1年後の秋葉原。秋葉原を拠点とする総勢3人の小さな発明サークル「未来ガジェット研究所」のリーダーで、厨二病から抜け出せない大学生の岡部倫太郎はサークル仲間と日々ヘンテコな発明を繰り返していた。2010年7月28日、岡部は単位取得のため同期にして友人の橋田至と共に向かった講義会場で、弱冠18歳でアメリカの科学誌に学術論文が掲載された天才少女、牧瀬紅莉栖と出会う。しかし、彼はその数時間前にラジオ会館の8階奥で大量の血溜まりの中に倒れる彼女を見ていた。そしてそれを橋田へ報告した携帯メールは、何故かその1週間前の日付で受信されていた。その直後、ラジオ会館ビル屋上に人工衛星らしきものが墜落しており周辺が警察によって封鎖されていたことに気付く。検証の結果、発明品の一つである電話レンジ(仮)が偶然にも携帯メールを過去へと送るタイムマシンとしての機能を備えていたことが判明する。そしてその偶然が全世界の未来を左右する出来事になると、世紀の大発明に浮かれていた「この時の」岡部自身は知る由もなかった……。

声優・キャラクター
宮野真守、今井麻美、花澤香菜、関智一、田村ゆかり、桃井はるこ、小林ゆう、後藤沙緒里、てらそままさき、山本彩乃、小形満
ネタバレ

kochiro さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

Steins;Gate/Zero

『人間は脳の10%しか働かせていない』

これは天才科学者のアインシュタインが「我々人間は潜在能力の10%しか引き出せていない」と言ったことが間違って広まってしまったのだという説もある。

しかし、脳科学によると、脳は物理的に10%が情報伝達を司る「神経細胞」であり、残り90%は「グリア細胞」と呼ばれる細胞群で構成されている。

そして、これまでの研究によるとグリア細胞は神経細胞への栄養補給など補助的な役割しか担っていないとされてきたため、優秀な人間ほど神経細胞の割合が高いと思われてきた。

ところが、アインシュタインの脳を解剖した結果、神経細胞よりもグリア細胞の割合が一般人の平均よりも高いということがわかってからというもの、グリア細胞にはまだ解明されていない未知の役割があるのではないかと注目されるようになった。

1982年 夏。東京都内 某大学 理工学部の掲示板

『脳信号処理システムの画期的な新理論を発表したばかりである新鋭の若手研究者、アレクシス・レスキネン教授の特別講義 本日、大講堂にて開催』

と、貼られている案内を読み終え、大講堂へと向かった。

ほぼ満席の大講堂、そんな中、大学に入学してからもう3か月は経つというのに軽く挨拶を交わすような友人すら私にはいなかった。自ら人間関係を持ちかけようとしない性格であり、そんなことをしているくらいなら研究を進めることの方が重要だ。

私は幼い頃から脳には無限の宇宙さえも超越する真理があると直感的に感じ、強く興味を惹かれていた。この世界を認識できるのは認識する脳があるからこそなのだ。

脳の神経細胞が伝達するパルス信号には一定の法則性があるが、これには自覚的ではない情報も含まれている。これは神経細胞が伝達するパルス信号に未知の情報が乗っている証なのではないかと私は仮説を立てた。しかし、常に飛び交うパルス信号に乗った情報を解析するというのは容易ではない。これがなかなか脳の研究が進まない一因でもあった。そこで、私はこの仮説を証明するためには脳の情報伝達原理よりも、留まっている脳内の情報そのものに着目して脳の特殊な暗号処理原理を解明することが先決だと考えるに至った。

開講時間となりレスキネン教授が登壇した。会場がどよめく。レスキネン教授は予想以上に背が高く大柄だった。日本語は話せないらしく英語での講演になるようだ。

講義が開始され、暫らくはレスキネン教授の話に集中していたのだが、前方に座っている男がずっとこちらを見ていることが気になり集中を途切れさせられていた。

「ち、なんだあの男は」

さらに、この特別講義が開講されることを楽しみにしていたのだが講義内容がレスキネン教授の論文からは想像もつかないほど低レベルであることに愕然とした。

「とんだ茶番だ。一般的な内容ばかりではないか。まるで話にならん…。これは時間の無駄だな」

私は広げていたノートを閉じると退室する支度を始めた。

人間の脳は情報を多重化して蓄積している。何かを思い出すときにはこの多重化された情報の断片から複数の鍵を用い規則的に抽出することで記憶を再構築する。この際、情報を規則的に抽出する鍵こそが重要であり、この鍵自身の情報も別の鍵により暗号化されてしまうこともあるため、多重化された記憶に鍵が埋もれてしまうと思い出せない、忘れるということになる。

脳が持つ特殊な暗号処理の理論、私がこの理論にたどり着いたのには理由がある。それは隠匿されていないと思われる文章や画像に多重化した情報を埋め込むことが可能な暗号化技術を独自に考案したためである。知る限り、この暗号化技術はまだ誰も使ってはいない、このことに気が付いた自分の優秀さを恐ろしいと感じるほどであった。

退屈な講義内容にも関わらず、熱心にレスキネン教授の講義に耳を傾けている聴講者たち

私は席を立ち、そんな彼らを見下ろした。

「愚民どもがせいぜいこの程度のヘボ講義で満足するがいい」

心の中でそう呟くと、ひとり講堂から外へ出た。
すると講堂の扉が開き、後ろから声をかけられた。

「ちょっと君」

ふり返ると同年代の学生と思しき男がこちらに近づいてくる。

なんだ?私に話しかけてくるとは馬鹿なやつだ。

「僕は秋葉幸高。はじめまして、どうぞよろしく」

よく見ると、その男は講義中にずっと視線を送ってきていた男だった。

「ん?私は貴様のことなど知らんが」

「だから、はじめましてと言っているじゃないか」

「そうか。では失礼する」

「ちょっと待ってくれ。単刀直入に言わせてもらうと、君の理論をもう少し詳しく聞かせてくれないかい」

唐突に何を言っているのだ、この男は?

「私の理論?いったいなんのことだ」

「僕のような愚民にもわかりやすくお願いしたい」

そう言ってさわやかに微笑んだ男。そう、これがのちに親友となる秋葉幸高との出会いだった。

私は秋葉幸高と名乗るこの男の申し出を無視したが、幸高はしつこく食い下がって、食堂にまでついてきた。

「しつこい奴だな、私の理論だと、そんなものは知らん」

「君の理論について詳しく話してくれるまでは諦めないよ」

「…」

まあいい。どうせすぐに諦めるだろう。さて、今日は何を食べるか…

「かつ丼かい?昼食くらい奢らせてもらうよ」

「な、飯ごときで私を簡単に懐柔できるとでも思っているのか?」

「ほらね。君はわかっているけれど自分の理論について隠しているのだろう」

しまった。見事に嵌められた。

「あ、いや、何だ。あれだ。貴様がしつこいから私の倫理観的なことを言ったのであって、けして研究をしていることを隠しているのではない」

「動揺を隠しきれていないな。君は何か特殊な理論についての研究をしている。でも最近、一人でできることに限界を感じているはずだ、そうじゃないのかい?僕は君の協力者になれると思うのさ。資金面の援助をするし、君の要求をできる限り聞くつもりだよ」

さわやかな表情から急に真剣でまっすぐな視線が私を突き刺す。

「…どこで私のことを嗅ぎ付けたかは知らんが、わかっているのだろうな?まずはこれから話すことについて絶対に口外しないことを一筆したためてもらおうか」

「無論、僕は君の理論の価値については理解しているつもりさ」

「中鉢だ」

「?」

「以後、私のことはプロフェッサー中鉢と呼ぶがいい」

「ふふ、君はまだ学位も取っていないだろ。そうだな、君の名前は章一だったね。じゃあ章一って呼んでいいかい?僕のことも幸高でいいよ。では改めてよろしく。」

「ぬぐ」

そう言って幸高はまたさわやかに微笑んだ。

幸高は私の独創的な理論に終始熱心に耳を傾け、表情は常に真剣だった。
私は頭の切れる人間が好きだ。会話中に余計な説明を加える必要がないので話がスムーズに進むからである。そして、幸高はまさに切れ者だった。
私の理論を聞き終わると幸高はしばらく考えてから提案をはじめた。

「この理論を実行するのに紙ベースでは時間がかかり過ぎるね。コンピュータがあればもっと多くの情報を埋め込めるし、効率よく整理できるじゃないかな」

幸高はなかなかよいところに気が付く。私は幸高が美男子だというところが少し気に食わなかったのだが、幸高の方から私の優秀さに気が付き、私の研究に対して資金援助をしたいと申し出てきたことで、まあ許してやらなくもない。と思った。それにしても資金援助とはどの程度の話をしているのだろう。学生のいう援助などたかが知れている。どうせ10万程度準備するのが精いっぱいだろう。と、私はたかをくくっていた。

が、私が風呂なし四畳一間トイレ共同の下宿先へ歩いて帰るというのに、送らせてくれないかという幸高からの提案で高級外車が大学の正門で待機していたときには、開いた口が塞がらなかった。
なんと、幸高は資産家の御曹司であるという。同い年でこんなにも経済的に恵まれている人間がいるということを私は妬ましく思った。

さらに、運転はお付きの執事がするというのだ。

「ぐぬぬぬ、これが格差というものか。」

執事と思しき男が後部座席のドアを開いてから丁寧にお辞儀をしていた。

「お初にお目にかかります。秋葉家で執事をしております黒木と申します。お名前は何とお呼びすればよろしいでしょうか?」

「ん、では章一様とでも呼んでもらおうか」

「かしこまりました章一様。至らぬところもあるかと存じますが、宜しくお願い致します。」

冗談のつもりで言った言葉がそのまま返ってきたことに少し驚いたが執事とはこういうものなのかもしれない。いや、何というか執事というのもなかなかいいものだな。一瞬で考えが変わった。

その後、幸高は研究所の提供を手始めに大々的に資金援助を始めた。

コンピュータについても、執事の黒木にコンピュータ最大手IBNの技術者であるギルバートという友人がいて、その男から型落ちではあるがパーソナルコンピュータIBN5100も譲ってもらえることとなった。ギルバートは幸高とも交友があり、幸高の自宅には業務用大型機も保有していてビジネスに使用しているとのことだった。
学生でありながら実業家の顔も持つ幸高はやはり切れ者だ。
譲ってもらうIBN5100は主流のPCになりそこねた異端製品らしいが、1982年当時、コンピュータを一個人が持てること自体がすごいことだった。

大学卒業後も私は幸高の支援を受けながら研究を続けた。研究はなかなか進まなかったが時間だけは過ぎ去っていった。独身貴族を貫こうと約束したはずの幸高は街中で偶然知り合った女性とあっさり結婚して娘まで生まれた。しかし、私はひとり研究に明け暮れた。幸高は研究資金を調達するために忙しい日々を送りながらも、たまに研究所へ顔を出し私と議論を交わした。

「人間の脳が認識できるRAMはどの程度なのかな?」

「RAMとはなんだ?」

「Random Access Memoryの略でコンピュータ用語だよ。メインメモリーや単にメモリーとも呼ばれるんだけどね。コンピュータのCPUって判断処理する部品だから人間の脳とよく似ていると言われることがあるけれど、RAMにデータを置くことでCPUはデータの処理ができるようになるんだ。言わば脳で言うところの記憶ってとこかな。で、このRAMの容量が大きいほど一度に処理できるデータ量が増えるんだよ。」

「なるほど。コンピュータの演算原理と人間の脳のメカニズムには関連性があるのかもしれんな。脳に置き換えて考えるとそのRAMに相当する容量は今までの研究から23の11乗だということまでは分かっておる」

「・・・23の11乗だって?」

幸高の表情が一変し、慌てて幸高が常に携帯している電卓で計算を始めた。それは1千兆に届きそうな数字となるため、その電卓では計算できんだろう。

「途方もない数字になるじゃないか・・・そんなことが解明できるなんてやはり君は天才だ」

「人間の底知れぬ能力よりも私の天才的な頭脳に驚いたようだな。しかし、人間は所詮そのすべてをフル活用できるわけではない。精々30%がいいところだろう。しかもこれは被験者10人による結果だ。まだ検体数が少なすぎる。さらに、なぜか貴様だけは例外のようで、RAMは23の12乗である可能性が残っている」

幸高はなにか気にかかることがあるようで少し考えていた。

「23という数字はどこから来ているんだい?」

「これは推論の域をまだ出んが人間は対の染色体を23種類持っているのだよ。その数字が関係しているのだと私は考えている。11乗での記憶のマスターキーワードと言うべき配列の解読にも成功している。驚くな。興味深いことにこれを言語に置き換えると23文字の古代ギリシア文字でIESUSCHRISTとなるのだ」

私は自慢げに答えた。

「その文字、何か意味があるのかい?」

幸高らしくない回答で少し拍子抜けした。

「・・・それくらい自分で調べるのだな」

そう答えると幸高が私の目を覗き込んだ。これは幸高の癖だ。この行為で人の目から真意を読むのだと幸高は説明していたが、この私がそんな非科学的なことを信じるわけがない。

「そうか、そういうことか。そういうことだったのか!」

幸高は興奮を隠せないようだ。

「なんだいったい」

「今日、君の研究に出資することになった幸運を神に感謝する必要があると心から思ったよ」

と、幸高は何か閃いたように私に提案してきた。

「ところで、例外が僕一人ではマスターキーワードの抽出もなかなか進まないだろう。あともう一人、被験者を増やすことはできるかい?」

「別に構わんが、幸高のデータは残しておきたい。とするとデータ蓄積用の記憶媒体が別に必要となるが、いいか?」

「君の偉大なる研究がもう1000万程度で進むのならそんなに安いものはないさ」

幸高のこの金銭感覚に私はついていけない。まあ、私としては研究が進むのだからこんなに喜ばしいことはないが。

ほぼ住んでいると言って過言ではない研究所。とはいっても幸高が保有している大檜山ビルという小さなビルの2階の部分であり、1階にはブラウン管工房という店舗が入っていた。ヨボヨボの婆さんが店主だったのだが、1995年に起きた阪神淡路大震災の余波で積みあがっていたブラウン管テレビの下敷きになり婆さんが亡くなってからというもの、店主が見るからに怪しい大男に代わった。風貌からしてあの気の弱そうだった婆さんの親戚にはみえない、あの婆さんが借金をしていたため店が乗っ取られたのかもしれない。おっと危ない目が合いそうになった。ああいう怪しそうな奴とはなるべく目を合わせない方がいい。

徐々に研究が進み、幸高が連れてきた新たなる被験者である幸高の妻の記憶も幸高と同様の特徴を示した。そして、2000年に例外的であった12文字からなる記憶のマスターキーワードの抽出に成功した。まだ抽出できただけで配列が明確になっていないため解明が完了したということではなかったが、幸高は飛び跳ねるように喜んだ。

「おい幸高、まだ解読が完了したわけではない。そこまで喜ぶとは私としても研究のし甲斐があったというものだがな。それにしても貴様の妻も例外的な存在ということなら脳の構造は2種に分類できるということなのかもしれん」

幸高は私をジッと見つめた。

「章一、僕がなぜこんなに嬉しいのかわからないだろうが、きっと君に話をするときが近いうちにくるだろうな」

しかし、私が見た幸高の姿はそれが最後となってしまった。幸高は事故に巻き込まれて亡くなったのだ。急な出来事であったことから、私は幸高がどこかで生きているのではと思いたかった。

幸高の死後、研究所のあった雑居ビルは相続の関係から売りに出され、なんとブラウン管工房の男が買い取ったらしい。やはり裏社会に関わっている男なのだろう。そうでもなければ小さいとはいえ秋葉原にあるビルを丸ごと買い取るなんてそんな大金を用意できるはずがない。それにしてもたまに店にくる可愛らしい女性は誰だろうか、あんな男にかわいらしい女性が会いに来るなんて、可愛そうにきっと騙されているのだろう。きっとそうにちがいないのだ。

幸高の死によって資金援助が途切れ、私は秋葉原の研究所から田舎の実家へと引っ越した。しかし、田舎の実家でも私は変わらず持てる力をすべてつぎ込んで研究を続けた。

そして、2002年、私はついに例外的であった幸高の記憶のマスターキーと呼べるものの解析を完了させた。それは2000年に抽出を成功させた文字の配列を入れ替えて表現できるものだった。

読みあげてみたところで特に変わったことは起きなかったが、私の理論が正しければこれによって世界の脳科学に新たな道を開いたと言っていい。

そして、2002年8月23日ついに世界に革命をもたらすときがきた。長い間、研究を重ねてきた命の結晶ともいえる私の論文が脳科学会の学術研究論文発表会において披露されるのだ。この場に幸高の姿がないことがとても残念ではあるが、論文には唯一、秋葉幸高へ感謝の言葉を記した。永遠に語り継がれるだろうこの論文に名前を残せたことを幸高は喜んでくれるだろうか。発表を前に私は興奮を隠せなかった。

その影響だろうか昼食をとってから発表会場へと向かおうとしたところで、私は急に激しい目眩に襲われた。

「うぐぅ」

グニャリと世界が歪み立ってはいられない。そんな頭痛に耐ながら会場に着くと、私は目を疑った。

発表会場の壁紙には『応用物理学会 学術研究論文発表会』という文字が書かれていた。

「これは? いったいどういうことだ?」

「ドクター中鉢さん、どうかされましたか?」

私が会場の入り口で呆然としているところに知らない男から声を掛けられた。

「私はドクターではなくプロフェッサー中鉢だが?一度お会いしたことがあったかね? いや、それにしても脳科学の発表会に応用物理学会の壁紙を掲げるとは、いったいどうゆう冗談かね?」

しかし、その男は私の問いに返答することなく、やれやれといった表情で

「・・・今日のあなたの発表こそ、冗談で済めばいいですがね」

と笑いながら去って行った。私は男が言った意味が理解できず首を傾げながらもこれから自分が発表する論文に目を落とし、そして愕然とした。

章一「な?」

“人間の記憶における多重暗号処理”と題して発表するはずの論文、そのタイトルには



{netabare}
この続きはあにこれの文字数制限を越えてしまいましたので、pixivに継続してアップしています。Steins;Gateの世界観はもとより、できる限り、ストーリーの整合性を保って作成させていただいているため、たびたび、内容を修正させていただいています。

pixiv Steins;Gate/Zero

でググれば出てきます。なんと!最新作「Steins;Gate 0」の制作が発表された影響で、Steins;Gate/Zeroで検索しても当方の二次作品が検出されなくなっていました。

親子の絆をテーマに最後まで書き進めていきますので時間があれば読んでみてください。

ここまで長文を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 62
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

軽蔑から憧憬へ。最高のアニメ・ヒーローに出遭える《奇跡の名作》

(※初稿:2015年時点のレビューです)

◆第23話Bパート『スカイクラッドの観測者』で炸裂する大仕掛け

あにこれ総合得点ランキング1位に本作が選ばれたので、ちょっと嬉しくなって約2年半ぶりに全話視聴してみました。
通算では4周目で、ストーリーの大枠は覚えているものの、細かい部分はかなり忘れていて、割と新鮮な気持ちで視聴でき、そして予想通り今回も、

(1) 序盤は、一見して下らない、むしろ不愉快としか思えない会話劇が続いて、「こんな作品を頑張って視聴しても時間の無駄ではないか?」というお馴染みの疑念に付き纏われて、なかなか視聴が捗(はかど)りませんでしたが、
(2) 中盤(第12話以降)からは次第に、主人公=岡部の苦悩を、まるで我が事のように気に病んで、彼の所作に一喜一憂する感情移入した状態に変わっていき、
(3) そして、待ちに待った終盤(第23話Bパート)、『スカイクラッドの観測者』が流れ始めた瞬間、不意に押し寄せる感動の波が、またしても尋常でない大きさで、ラスト回(第24話)+OVAを急いで見た後、なんの躊躇もなく5周目に突入~今度は一気呵成に完走してしまいました。

そうなんです。ここで思い出しましたが、シュタインズ・ゲートは、第23話を一度見終わったあとからの2周目が、圧倒的に面白い作品だったんです。


◆制作情報(全体)
{netabare}
原作ゲーム       5pb./Nitroplus
監督           佐藤卓哉、浜崎博嗣、小林智樹(第25話)、若林漢二(劇場版)
シリーズ構成      花田十輝
脚本           花田十輝(劇場版も)、根元歳三、横谷昌宏、林直孝
キャラクターデザイン 坂井久太
音楽           阿保剛、村上純
アニメーション制作  WHITE FOX{/netabare}


◆各話タイトル&評価(TVシリーズ第1作)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

※以下の【起-承-転-結】は、話の流れが分かり易いように便宜的に切り分けたもので、特に深い根拠がある訳ではありません。

========== STEINS;GATE (シュタインズ・ゲート) (2011年4-11月) ========

----- 【起】 {netabare}Dメール開発と暴かれる世界の秘密{/netabare} ------------------
{netabare}
第1話 始まりと終わりのプロローグ Turning Point ☆ 牧瀬紅莉栖の死、最初のDメール(α世界線へ) 2010年7/28
第2話 時間跳躍のパラノイア Time Travel Paranoia ☆ 紅莉栖との再会
第3話 並列過程のパラノイア Parallel World Paranoia ★ SERNハッキング 7/29-
第4話 空理彷徨のランデヴー Interpreter Rendezvous ☆ IBN5100探し
第5話 荷衝突のランデヴー Starmine Rendezvous ★ SERNの秘密
第6話 蝶翼のダイバージェンス Butterfly Effect's Divergence ☆ Dメール開発、FB初出 8/2-3{/netabare}

----- 【承】 {netabare}Dメールによる過去改変とその結末{/netabare} ----------------------
{netabare}
第7話 断層のダイバージェンス Divergence Singularity ★ Dメール実行(ロト6失敗、軽微な過去改変)、貴方に救世主になって欲しい
第8話 夢幻のホメオスタシス Chaos Theory Homeostasis ★ 萌郁&るか Dメール実行(過去改変2~3回目) 8/3-6
第9話 幻相のホメオスタシス Chaos Theory Homeostasis ★★ フェイリス Dメール実行(過去改変4回目=秋葉改変) 8/7(特殊ED)
第10話 相生のホメオスタシス Chaos Theory Homeostasis  ☆ 脅迫メール1通目、鈴羽引き留め Dメール(過去改変5回目) 8/8-10
第11話 時空境界のドグマ Dogma in Event Horizon ★ タイムリープ装置開発、脅迫メール2通目 8/10
第12話 静止限界のドグマ Dogma in Ergosphere ★★ 実験中止、SERN襲撃 8/13(20時前){/netabare}

----- 【転】 {netabare}タイムリープ開始~まゆり救出オペレーション{/netabare} ---------
{netabare}
第13話 形而上のネクローシス Metaphysics Necrosis ★★ 椎名まゆりの運命 8/13(16時過ぎ) 
第14話 形而下のネクローシス Physically Necrosis ★(Aパート)☆(Bパート) 岡部の後悔、紅莉栖の助力、鈴羽の正体
第15話 亡環上のネクローシス Missing Link Necrosis ☆ タイムマシン修理 8/13→8/11-12
第16話 不可逆のネクローシス Sacrificial Necrosis ×(Aパート)☆(Bパート) 鈴羽(過去改変5回目の取消) 8/11-13
第17話 虚像歪曲のコンプレックス Made in Complex ☆ フェイリス(過去改変4回目の取消) 8/14→8/13-15
第18話 自己相似のアンドロギュノス Fractal Androgynous ★ るか(過去改変3回目の取消) 8/13-14
第19話 無限連鎖のアポトーシス Endless Apoptosis ☆ 萌郁(過去改変2回目の取消) 8/16→8/11
第20話 怨嗟断絶のアポトーシス Finalize Apoptosis ×(Aパート)★★(Bパート) 萌郁(続き)、FBの正体 8/12-15→8/13-14{/netabare}

----- 【結】 {netabare}行き詰まり~紅莉栖救出オペレーション{/netabare} --------------
{netabare}
第21話 因果律のメルト Paradox Meltdown ★ 牧瀬紅莉栖の運命 8/14-17→8/13-15
第22話 存在了解のメルト Being Meltdown ★★ β世界線に回帰(最初のDメールの履歴削除)、鈴羽再来訪 8/15-21
第23話 境界面上のシュタインズゲート Open The Steins Gate ×(Aパート)★★★(Bパート) 岡部の執念 8/21→7/28→8/21 ※ED「スカイクラッドの観測者」
第24話 終わりと始まりのプロローグ Achievement Point ★★ 紅莉栖救出(Steins;Gate世界線へ) 8/21→7/28→8/21- ※ED「Another Heaven」{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)5、★(良回)8、☆(並回)8、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.7

※Aパート/Bパートで評価が分かれる回は、より評価の高いパートの評価をカウント。

OP 「Hacking to the Gate」
ED 「刻司ル十二ノ盟約」


◆軽蔑から共感へ、そして憧憬へ

私の場合、好きなアニメキャラ(女性)を挙げろと言われれば、すぐさま何人もの名前が出てきますが、好きな男性アニメキャラは中々思いつきません。
それでも誰か一人、自分の一番好きなアニメ・ヒーローを挙げろ、と言われたら、私の答えは、きっと本作の主人公=岡部倫太郎となるでしょう。

実際には、本作を視聴し始めた時は、岡部に対して、かなり軽蔑した気持ちを持っていたんです。
自分にも、岡部みたいな性向は少なからずある(あった)かも知れない・・・という気恥ずかしい気持ちもありましたが、それにしても、"これは酷い"、"人間こうなってはダメだ"、"自分もこうならないよう気を付けなければ"、という否定的な気持ち、"こんなイタイ奴は見たことがない"という侮蔑の気持ちが、序盤には強くありました。
こんな見るに堪えないキャラの下らない所作ばかり描いた作品を視聴するのは時間の無駄だから、もう打ち切りにしたほうが良いのではないか?という考えに付き纏われた人は、私以外にも沢山いるはずです。

ところが、ストーリーが進むにつれて、こうした気持ちは次第に消えていって、岡部に共感し、応援したくなっていくのです。

第20話終盤の{netabare}岡部の絶望{/netabare}を見たあと、第22話での{netabare}彼の決断と勝利宣言{/netabare}を見て、思わず彼の肩をポンと叩きたくなる気持ちになった人も多いでしょう。

だけど、物語はそこで終わらないのです。
ここからが、本当のマジック。

岡部への共感が、今度は敬服と憧憬の気持ちに変わってしまうのです。
君こそ最高のアニメ・ヒーロー、私の憧れだ、という序盤・中盤には思いも付かなかった気持ちに変わってしまうのです。


◆完璧ではないが、バランスの取れた名作

本作にはストーリー面で無視できない欠点が幾つかあり、そのために点数を4.7と幾分マイナスにしましたが、それでも個人的には、私が視聴したアニメ作品の中では、『魔法少女まどか☆マギカ』、『アイドルマスター』と並ぶ大きな感動を得られた名作と考えています。

そして、『魔法少女まどか☆マギカ』、『アイドルマスター』が、

(1) 主人公達が中学生や高校生の少女であるばかりでなく、
(2) 彼女達に絡むサブ・キャラ達も同世代の少女ばかりで、

そうした作品に余り馴染のない人にはどうしても敷居が高い(?)印象があることを考えれば、本作は、

(1) 男性キャラ・女性キャラのバランスが良く、
(2) 彼らの年齢も20歳少し前の大学生および高校生という、より一般的な設定で、

多方面の人たちに比較的勧めやすい、という大きな長所があります(あとは前述の序盤の岡部に対する抵抗感さえ我慢してもらえれば、という条件付きですが)。

そういう意味で、本作が、あにこれ総合得点ランキング1位に選ばれて、これからも本サイトに来る多くの人に知られ視聴されていくことが期待できるのが、私には嬉しいです。

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◆『STEINS;GATE』作品別評価

(1) TVシリーズ1(STEINS;GATE)  ★★ 4.7
(2) OVA1(第25話)           ★  4.0
(3) 劇場版(負荷領域のデジャヴ) ☆  3.6
(4) OVA2(第23話β)          ★ 4.2
(5) TVシリーズ2(STEINS;GATE 0)  ☆ 3.8
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  総合                  ★★ 4.5


◆各話タイトル&評価(その他の作品)

=========== STEINS;GATE 第25話 (OVA) (2012年2月) ========

第25話 横行跋扈のポリオマニア Egoistic Poriomania ★ 4.0 {netabare}ラボメン達のアメリカ渡航編{/netabare}

OP 「Hacking to the Gate」
ED 「刻司ル十二ノ盟約」


====== 劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ (2013年4月) =====

全1話 ☆ 3.6 {netabare}紅莉栖による世界線観測が不安定化した岡部の救済ミッション{/netabare} ※約89分

主題歌「あなたの選んだこの時を」
ED 「いつもこの場所で」


=========== STEINS;GATE 第23話β (OVA) (2015年12月) ========

第23話β 境界面上のミッシングリンク Divide by Zero ★ 4.2 {netabare}岡部がSteins;Gate世界線への移動を選択しなかった世界{/netabare}

OP 「Hacking to the Gate」
ED 「刻司ル十二ノ盟約」

※TVシリーズ第2作『STEINSGATE 0』は別途レビューします。

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◆以下、メモ書き

◇ラボメン№
{netabare}
001 岡部倫太郎(鳳凰院 凶真)
002 椎名まゆり(まゆしぃ)
003 橋田至(ダル、スーパーハカー)
004 牧瀬紅莉栖(クリスティーナ、助手)
005 桐生萌郁(シャイニング・フィンガー(閃光の指圧師))
006 漆原るか(ルカ子)
007 フェイリス・ニャンニャン(秋葉留未穂)
008 阿万音鈴羽(バイト戦士、John Titor)
{/netabare}

◇挿入曲『スカイクラッドの観測者』
{netabare}
歌唱:いとうかなこ
作曲︰志倉千代丸
作詞︰志倉千代丸

歌詞

<1番>
過去は離れて行き 未来は近づくの?
観測者はいつか 矛盾に気付く

神の創り出した世界は 完全なるもので 絶対の均衡
それは折り重なる偶然 宇宙規模の奇跡
守られてきた ゲート「規制」は終わった

Open The Eyes
「0」が過去で 「1」が未来 「今」は何処にもない
背く事の出来ぬ ロジック
Open The Eyes
並行する無数の線 選択は冒涜へ
僕らの「存在」さえ疑う その目に映る景色は
「収束」をする

<2番>
二つの針が指す 時間の概念も
観測者しだいで 歪みを見せる

神に与えられた英知は 必ず「果て」がある 絶対の領域
それは愚かな故の偶然 招かれざる奇跡
閉ざされてきた ゲート「規制」は終わった

Open The Eyes
光速へと手を伸ばした 想い出のパルスが
飛び込む不可思議な ロジック
Open The Eyes
宇宙がまだ隠し持った 秩序のない理論
無限と呼ばれた点と点が 不正な力を借りて
「再生」をする

Open The Eyes
「0」が過去で 「1」が未来 「今」は何処にもない
背く事の出来ぬ ロジック
Open The Eyes
並行する無数の線 選択は冒涜へ
僕らの「存在」さえ疑う その目に映る景色は
「収束」をする{/netabare}

(2018.10.6) レビュータイトル変更・制作情報等追加

投稿 : 2025/02/01
♥ : 111
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

好きであるが故に感想少な目

伏線や陰謀満載。
タイムリープが話の中心。
{netabare}最初と最後が繋がってくるなんて。世界線の収束があんな簡単に退けられるのはびっくりだが。{/netabare}
中々鬱な展開とかあるけど、すごく感動した。中々秀逸な終わり方だったし。
紅莉栖可愛いし、萌郁怖いし、ダルが実は超かっこいい。
そしてほうおういんきょうまのキャラクターが頭に残る。
僕は友人に勧められて見たのだが、はまってしまった。

OP
Hacking to the Gate 歌 いとうかなこ
アニメと関連した詞で好き。
ED
刻司ル十二ノ盟約 歌 ファンタズム(FES cv.榊原ゆい)
スカイクラッドの観測者 歌 いとうかなこ
Another Heaven 歌 いとうかなこ
挿入歌
ワタシ☆LOVEな☆オトメ! 歌 アフィリア・サーガ・イースト
My White Ribbon 歌 アフィリア・サーガ・イースト
やっぱりいとうかなこ最高です。Hacking to the Gateは最高傑作。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
舞台は2010年夏の秋葉原。厨二病から抜け出せない大学生である岡部倫太郎は、「未来ガジェット研究所」を立ち上げ、用途不明の発明品を日々生み出していた。だが、ある日、偶然にも過去へとメールが送れる「タイムマシン」を作り出す。世紀の発明と興奮を抑えきれずに、興味本位で過去への干渉を繰り返す。その結果、世界を巻き込む大きな悲劇が、岡部たちに訪れることになるのだが・・・悲劇を回避するために、岡部の孤独な戦いが始まる。果たして彼は、運命を乗り越えることができるのか!?

1. 始まりと終わりのプロローグ
マッドサイエンティストを自称する“厨二病”の大学生・岡部倫太郎は、発明サークル「未来ガジェット研究所」を秋葉原に構え、用途不明の発明品を開発する日々。そんな折、発明家・中鉢博士の会見を傍聴していた岡部は、偶然そこで天才少女・牧瀬紅莉栖と出会う。その直後、不審な悲鳴を耳にした岡部が声のする場所へ駆け寄ると、そこには血まみれで倒れる牧瀬紅莉栖の姿が…。

2. 時間跳躍のパラノイア
大学の講義の会場で、数時間前に刺されたはずの紅莉栖を見つけ驚愕する岡部。さらに直後の講義では、タイムマシンの存在について紅莉栖に完膚なきまでに論破されてしまう。

3. 並列過程のパラノイア
岡部たちが発明した「電話レンジ(仮)」には、偶然にも過去へメールを送れる機能が備わっていたことが判明した。さらにネット掲示板「@ちゃんねる」の情報から、素粒子物理学の研究機関・SERNが秘密裡にタイムマシンの開発を進め、その情報を隠しているとみた岡部は、SERNへのハッキングをダルに命じる。

4. 空理彷徨のランデヴー
SERNへのハッキングに成功するも、謎のプログラムコードに阻まれた岡部たち。そこで岡部は@ちゃんねるに現われたジョン・タイターという自称“未来人”から、コード解読には幻のレトロPC「IBN5100」が必要だと知らされる。

5. 電荷衝突のランデヴー
柳林神社に奉納されていたIBN5100を紅莉栖と二人でラボに持ち帰った岡部は、早速その接続を試みる。早くもラボの一員として馴染んだ紅莉栖の協力も得て、さらなるハッキングに成功した岡部たちは、そこでSERNの驚くべき秘密を知るが……。

6. 蝶翼のダイバージェンス
完全なタイムマシンを開発してSERNを出し抜こうとする岡部は、電話レンジ(仮)で過去にメールを送るための条件を発見するため、ラボメンを集めて「円卓会議」を開く。過去へ送れるメールの事を「Dメール」と名付け、実験を繰り返していくうちに、発生条件が次第に明らかになっていく。そんな中、岡部は街で「閃光の指圧師」(シャイニングフィンガー)こと桐生萌郁に出会うが…。

7. 断層のダイバージェンス
なぜか執拗にIBN5100にこだわる萌郁が気になる岡部だったが、成行き上仕方なく彼女を新しいラボメンに迎えた。「Dメール」が確実に過去に届いていることを確信したラボメン一同は、より詳しい仕組みを解明するため、さらなる実験を繰り返す。「結果が一目瞭然」という理由から「ロト6を当てる」ことを目標に、当選結果を過去のるかへメールで送る岡部。送信後、確かに世界が変わったように思えたのだが…。

8. 夢幻のホメオスタシス
引き続きDメールの送信を試行錯誤する岡部たち。実験が成功して過去が改変されたときには、岡部以外の人間はDメールを送った記憶を失っていることがわかった。ではなぜ岡部だけが記憶を保持していられるのか?ジョン・タイターからの不可解なメッセージが岡部の頭をよぎる。そんなある日、萌郁が「自分にもDメールを送らせてくれ」と申し出る。4日前に携帯の機種変をしたことを後悔しており、思い止まるよう過去の自分にメールを送りたい、というのだが…。

9. 幻相のホメオスタシス(げんそう)
メイクイーン+ニャン2で、フェイリスとタイムマシンの話をした岡部。ラボへ戻ると、そこには誰かと携帯電話で話をしている紅莉栖がいた。その頬に光るものを見て事情を察した岡部は、さりげなく励まそうとするのだが…。その頃まゆりは、漠然とした不安を抱いていた。電話レンジを発明して以降の岡部は少しずつ昔と変わってきており、いつか、どこか遠いところへ行ってしまうような気がしていたのだ。そんな岡部はますます知的探究心を燃やし、「電話レンジ(仮)を改良して物理的タイムマシンをつくる」という計画をラボメンに打ち明ける。反対する紅莉栖がいる一方で、なぜかタイムマシンに強く興味を示すフェイリス。ラボメンたち各々の思惑が錯綜し…。

10. 相生のホメオスタシス(そうせい)
Dメールの効果で見慣れたアキバが一変してしまった…予想だにせぬ結果を前に呆然とする岡部。さらにラボに戻ると、るかにも異変が…ところがDメールを送ったという記憶すら持たないまゆりやダルたちラボメンは、当然ながらそれらのことに何の疑問も持たない。孤独感を強める岡部のもとへ、さらに不安に陥れるような謎のメールが届き…。

11. 時空境界のドグマ
引き続きDメールの実験を繰り返す岡部たちは、ついに発生条件の鍵となる「リフター」の代わりとなるものの正体を突き止める。次のステップとして「物理的タイムトラベル」の実現を目指す岡部だったが、紅莉栖から即座に否定される。しかし紅莉栖は、専門である脳科学の視点から、記憶をデータ化して過去の自分に送る、いわゆる「タイムリープ」の可能性を示唆する。新たな目標に向け、電話レンジ(仮)を更に改良しようとする岡部たちだったが、その周りで不審な現象が起き始め…。

12. 静止限界のドグマ
ついにタイムリープ実験の準備が整った。実験には被験者が必要だが、紅莉栖はその判断を岡部に委ねる。最近の不審な現象が何者かからの“警告”だと考え、ラボメンの身を案じた岡部は、「実験を行わない」事、「タイムリープマシンを世間に公表し、然るべき機関に託す」事を決める。岡部の固い決意に安堵するラボメンたち。喧騒が過ぎ、元の穏やかな日常に戻ったかに思えた一同だったが、そんな状況を一変させる、恐ろしい出来事が彼らを待ち受けていたのだった…。

13. 形而上のネクローシス
ラボへの招かれざる来訪者により、岡部たちの日常が一変する。岡部は最悪の結末を回避するため、苦肉の策として、タイムリープマシンによって過去の改変を試みる。幾度もタイムリープを繰り返す岡部だったが、そのすべてが同じ結果に収束する。果たして運命を変えることは不可能なのか?2010年8月13日、この日より、岡部の「終わりなき旅」が始まるのだった…。

14. 形而下のネクローシス
何度タイムリープしても、どのように過去を改変しようとしても、ただ一つの結果を変えられないことに絶望する岡部。それでも諦めずにタイムリープを繰り返すが、ついに心折れそうになった何度目かのタイムリープ先で、紅莉栖にこれまでの経緯を打ち明ける。それを聞いた紅莉栖は…。

15. 亡環上のネクローシス
鈴羽の衝撃の告白に驚く岡部と紅莉栖。彼女から与えられた情報によれば、まゆりの死を回避するためには、IBN5100が必要との事。IBN5100を手に入れるために、岡部たちと別れて探しに行くという鈴羽。そんな中、鈴羽が父親に会いたがっている事を思い出したまゆりは、何とか別れの前に父親と会わせてあげたいと提案する。唯一の手がかりであるピンバッジをもとに、岡部たちは父親探しを始めるのだが…。

16. 不可逆のネクローシス
ピンバッジを頼りに鈴羽の父親を探す岡部たち。父親と思われる人物に辿りつくヒントを得るも、その正体はわからないまま、鈴羽との別れが近づいていく。そんな中、まゆりが唐突に「鈴羽の父親がわかった」と言う。その人物は、誰もが思ってもみなかった意外な人だった。そして無事に鈴羽は父親と感動の出会いを果たし、岡部たちに別れを告げるのだが…。

17. 虚像歪曲のコンプレックス
何度タイムリープしてもまゆりを助けられない事に絶望した岡部は、これまでの経緯を紅莉栖に相談する。そんな岡部に紅莉栖は「これまで送ったDメールを全てさかのぼって取り消せばまゆりの死を回避できるのでは?」との仮説を提示する。そして岡部は、まずはフェイリスが送った内容不明のDメールを取り消すために、「雷ネットアクセスバトラーズ」の大会が行われている会場に向かい、フェイリスが送ったDメールの内容を聞き出すのだが…。

18. 自己相似のアンドロギュノス
続いてるかのDメールを取り消すようるかにお願いに行く岡部。だが、るかが出した条件は「岡部が一日だけるかとデートをする」というものだった。初デートに戸惑う岡部は、紅莉栖やダルから様々なアドバイスを受け、デート当日に臨んだが、結果は散々なものに。思い立った岡部は、改めてるかに会いに柳林神社に向かう。

19. 無限連鎖のアポトーシス
ついに残りのDメールはあと一つ、萌郁が送ったものだけとなる。萌郁を探し、ようやくアパートを突き止める岡部。Dメールの内容を知るため、萌郁から携帯を奪おうとして彼女と乱闘となる。萌郁の身の上話など、様々な話を聞き出した後、ようやくDメール取り消しメールを送る事ができた岡部だったが…。

20. 怨嗟断絶のアポトーシス
萌郁からIBN5100が大ビル前のコインロッカーの中にある事を聞き出した岡部は、さっそく現地に向かい、ロッカーを破壊して取り出そうとする。だが、紅莉栖のアドバイスで、ラウンダーの指揮官である“FB”の正体を突き止めるために、ラウンダーがIBN5100を回収に来るまでロッカーを見張る事に。苦労しながらもなんとか尾行を成功させ、ようやく“FB”の正体を付きとめられたかに思えたが…。

21. 因果律のメルト
ダイバージェンス1%の壁を超え、まゆりが死なないβ世界線へ移動するために、IBN5100を使ってSERNのサーバーへハッキングを試みる岡部たち。そんな中、岡部はβ世界線への移動に伴う、あるリスクに気付き、ダルによるハッキングを一旦中止させるのだが…。

22. 存在了解のメルト
ラジ館の屋上で一人佇む紅莉栖を見つける岡部。話を始める2人だったが、突如降りだした大雨により、屋内へ移動する。岡部のびしょ濡れになった白衣の肩口が破れているのを見つけた紅莉栖は、自前のソーイングセットで破れた部分を縫うことに。暗闇が二人を包む中、紅莉栖は岡部にある決意を伝える。

23. 境界面上のシュタインズゲート
思いがけない人物からの連絡を受け、ラジ館の屋上、タイムマシンの前に集まった岡部・まゆり・ダルの3人は、そこで驚くべき説明を受ける。その内容とは、アトラクタフィールドの影響を受けない唯一の世界線「シュタインズ・ゲート」に到達する事で、再び未来を変えることができる、というものだった。最後の決断を迫られた岡部が選んだ行動は……?

24. 終わりと始まりのプロローグ
いよいよ最終ミッション「オペレーション・スクルド」を実行に移す岡部たちラボメン一同。果たして岡部は「シュタインズ・ゲート」に到達する事が出来るのか……?

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11

84.7 9 恋愛アニメランキング9位
プラスティック・メモリーズ(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (2374)
11149人が棚に入れました
人間とほぼ見た目の変わらない人型アンドロイドが世界中に普及した、ちょっぴり未来の世界。アンドロイド製造メーカーSAI社が開発した「ギフティア」は、とても感情豊かで、今までにない人間らしさを持ったアンドロイド。でも技術的な問題で耐用時間があり、それを経過すると、ちょっと……いや、かなりまずいことになる。そのため、SAI社は耐用限界時間を過ぎたギフティアを安全に回収するためにターミナルサービスを設立。そんなターミナルサービスに配属された新入社員の“水柿ツカサ”は、そこでポンコツギフティアの“アイラ”とコンビを組んで、回収業務を行うこととなるのだが――

声優・キャラクター
内匠靖明、雨宮天、赤﨑千夏、矢作紗友里、豊口めぐみ、日野聡、上坂すみれ、飛田展男、拝真之介、津田健次郎
ネタバレ

生来必殺 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

機械仕掛けの道化師とマリオネットの影法師

お茶汲みを特技とする美少女=天然気質の超アンドロイドと
ちょっと抜けてる青年のとの(凸凹と言うよりも)
凹凹コンビが繰り広げるファンタスティックな物語。

限りなく人間に近い、人間とほぼ同一の擬似人格を保有するギフティア
と呼ばれる超アンドロイドが人間と共に暮らす世界の中で・・・
ある日、主人公はヒロインと出会う。
彼女の瞳には涙・・・。

出会いは偶然、運命は必然。思い出は永劫回帰。

果たして主人公は、パートナーシップという問題に対して
いかなる答えを導き出すだろうか?


※本作の視聴に当たっては、SF思考の自重を推奨
※恋愛もの耐性ない人には合わない可能性あり
{netabare}つまり本作は純愛というジャンルではトップクラスの完成度を誇ると言える{/netabare}


この脚本家の実力は本物のようで、驚きを禁じ得ない。
edソングの洗練され具合に衝撃を受け例外的措置の上方修正をしつつ
もしかしたら歴史に名を残す傑作かもしれないという予感を感じたので
只今、レビュ書き直し中。。。

もしかしたら2週目以降の方が楽しめるアニメの類かもしれない。
何気なく発せられた台詞やシーンが物語の本筋と上手いこと歯車のように
かみ合い連動している印象を受けた。



16.ジェダイの道化師、復讐劇 機械仕掛けの輝きと贈りもの
{netabare}
カズキには後悔してることがある。
お互いのためと称してかつての相棒アイラとパートナーを解消したことだ。
その選択は必ずしも間違いだったというわけではない。
オーバーワークが祟って身体機能に著しい障害が顕在化するようになった
アイラに休息を与え、あるいは現場での業務をこなすのが不可能であるなら
現場から引き離す、それはアイラの体のことを考えたら適切な対応であると言える。
だが、アイラに、アイラの思いにパートナーとしてちゃんと「向き合っていた」
のか考えた時、ツカサがアイラにしたように真摯に向き合ってなかった
過去の自分を省みて考えを改めるのだった。

だから、カズキは不器用ながらもアイラと純粋に向き合うツカサに見所を感じ
反省の念を込めて全力で後方支援のお節介を焼きまくるのだ。

遊園地は昼から夕方へ、そして夜の時間を迎える。
夜の闇はツカサに寂しさをもたらす。
楽しかった思い出はちゃんと残るとアイラに慰めの言葉を掛けられても
ツカサはアイラの手をギュと握り締めることしか出来ない。
あとツカサにできることがあるとしたら、パートナーとして最後の瞬間まで
アイラと向き合うことだけだろう。

そう、だから、、観覧車、運命の輪の中で二人は向かい合わせに座り、
終りの瞬間のために向き合うのだ。
そしてツカサは、別れというものが意味する真なるリアリティーに遭遇する。

ツカサはアイラに出遭った時、前世の記憶か?宿命か?彼女の涙を笑顔に変え
彼女を悲劇から救済したいという思いに駆られる。
そのためにゆっくり流れる日常の中で彼女との楽しい思い出作りに没頭するのだった。
その日常の繰り返しによって二人の距離は縮まり、パートナーとしての
信頼関係が深まり、深い絆が芽生える。
アイラに笑顔が戻り、ツカサはあることに気がつく。
最初はアイラのためにやっていると思っていた楽しい思い出作りが、自分にとっての
喜びであり、至福のひと時であり、生き甲斐となっていたのである。
アイラはツカサにとって掛け替えのない存在であるということに気がついた時、
思い出を引き裂くようにして、別れがツカサを訪れる。ツカサは今、
振り子運動の反動か、あるいは予定調和の当然の結末として、
幸せの絶頂期から別れの悲しみのどん底に突き落とされるのだった。
思い出が輝かしければ輝かしい程、その反動として闇がより濃厚なものとなる。
楽しい笑顔の日常が終りを告げ、深い悲しみの闇がやってくる・・・
身が引き裂かれるような悲しみと苦痛にツカサは襲われる。
「涙」。それは「別れの悲しみ」を意味するものだ。

ツカサは悟る。アイラと出遭った時に見た彼女の「涙」の真の意味を。
楽しい思い出をいくら積み重ねても最後は悲しみ、悲劇で終わる。
如何に抗おうとも別れという必然的結末から逃れることは出来ない。
ツカサはアイラと向き合うことにより、アイラが抱いていた悲しみ知り
そして、同様に心の奥底に秘められた自分にとっての深い悲しみを知る。
結局のところツカサはアイラを失い、孤独の闇の中に埋没して終わるのだろうか?

いや、二人の絆は今こうして向き合っている間にも更に深まっていっている。
楽しい思い出を共有してきた二人は、同じ悲しみを分かち合い、お互いの気持ちを
より深く理解し合い、唯一無二のベストパートナーとなったのだ。

世界でたった一人の片割れを失う耐え難い悲しみに涙をこらえることは出来ない。
出遭いがあれば別れという必然的帰結として涙がもたらされる。
しかしそれを逆から見れば、涙あるところには必然的に「出遭いの喜び」
があるという関係性が成り立つ。
出遭いの喜びと別れの悲しみとは表裏一体にあるのだ。

悲劇の運命に抗い続けてきた悲しみのマリオネット、ツカサの「涙」に感化された
アイラは魂の共鳴連鎖を発動し、奇跡を引き起こす。
デウス・エクス・マキナ=機械仕掛けの神、降臨。アイラの覚醒である。

悲劇物語の中の奇跡とは、とてもささやかなものである。
暗い闇の中に微かに輝く星屑程度の光。

今アイラにできるのは、ツカサに出遭えた喜びと心からの感謝の言葉を贈ること、
ただそれだけ。
ツカサとの出遭いがきっかけでアイラは現場復帰でき、仕事とプライベートの
両面で充実した生を全うできた。
「ギフティアのオーナーの心のケアも徹底する」というアイラがこだわり続けた
方針は、いつしか第一ターミナルサービスの全員が一丸となって追い求める目標となり
ツカサと一緒に業務を続けていくうちに所有者や回収対象のギフティアから
感謝の言葉を贈られるという予想外の出来事に遭遇し、驚きを覚えるに至る。
今まで自分がやってきたことは、思い出を引き裂く仕事なんかじゃなく
やりがいがあって、所有者とギフティアにとって有意義なことだと気がつく。
アイラは、自分の仕事に誇りを持ち、悲劇の物語から救済されたのだ。

別れはアイラにとっても悲しいことである。だから自然に涙がこぼれる。
だが、とても楽しく、とても充実していた思い出の記憶を辿ると
奇跡的な出会いによってもたらされた喜びが溢れてきて、アイラの表情は
自然と笑顔になる。
アイラの優しさと心からの感謝の言葉ときらきら輝くような笑顔の表情に
感化されたツカサは、泣きながらも、不意に笑顔をアイラに返すのだった。
悲劇と喜劇の鬩ぎ合いの中で、笑顔が悲しみを引き戻す。

アイラは最後の瞬間に光を放つ。それは命の輝きが消える直前のスパーク現象か?
それとも神がかった奇跡の発動を象徴する聖なる光の現われだろうか?

ツカサはアイラの最後の瞬間の笑顔を記憶に焼き付けて、必ず思い出すだろう。
アイラと出遭った喜び、楽しい思い出、充実していたすべてのことを。
悲しみは消えないだろう。それでもアイラの命の光の、スターマインのように
輝きを放つ、記憶が、ツカサの中で希望として残り続ける限り、
ツカサはダークサイドに陥ることはないだろう。

奇跡的な出遭いは、奇跡的な別れをもたらした。
悲劇の結末は涙で終わるのが運命なのだが、
「笑顔でお別れする」というとてもささやかな奇跡が起こり
ツカサは悲劇の物語から救済される。

二人は互いの笑顔を、出遭いの喜びを決して忘れることができない。
だから約束を交わす。「いつかまた巡り会えますように」と。
それは叶わぬ望みなのかもしれない。有限の生の中で出遭いは一度きりなのだから。
それが運命だと定まっていたとしても、人間というのは出遭いの喜び、再会
を諦めきれない存在なのかもしれない。
だから、最後まで運命に抗う。
薬指のリングが象徴するハートの約束が潰えても祈りを捧げずにはいられない。
運命に対峙する人間の最後の抵抗、それは祈り。
諦めずに何度も祈りを繰り返す「いつかまた巡り会えますように」と。
そうやって折り合いをつけるしかやり様がないのかもしれない。
有限の生を精一杯生きるために。
{/netabare}





1.サイバーマリオネットは道化師の夢を見るか?
{netabare}
本作に描かれた内容を理解する上で不可欠なことは
ギフティアは話の都合上一応アンドロイドなのだが、物語上の意味合いとしては
ギフティアは「人形」という存在を意図するということ。
理屈としては未来のハイテク科学技術によって発明されたアンドロイド
ということでもいいのだけど、アンドロイドとしての機構がどうとか
動力源がどうとか、質量、出力、動作プログラム、データのバックアップがどうのこうのと、
そういう類の詳細な設定や、理屈付けとかあった方が世界観のリアリティーが増す
かと言えば、本来目指すものとは恐らく全然違う方向性に向かってしまうだろう。
この物語ヒロインは「人形」という設定なしには成り立たないのである。

似たような趣旨の例として挙げられるのが攻殻機動隊GITS。
この映画作品の中で象徴的意味合いを含んでいるのが「人形使い」である。
「サイボーグ使い」という名前でないのは単に語呂が悪いからというだけでなく
この作品の続編にあたる「イノセンス」では「人形」という「記号」が
内包する真の意味について、監督独自の着想が極めて先鋭的に展開される。
その内容詳細については、解釈の難解さなどの理由もあり、ここでは割愛するが、
人間というものは、人形という存在を目の前に置くと、独特の行動を
とってしまうものなのかもしれない。

人形は人の形をし、魂がない虚ろな存在。
この「虚ろ」は人間にとって本能的恐怖や不安を掻き立てるのか?
人間は人形を目の前にした時、衝動的無意識的に人形に魂を付与してしまう。
神話によって現される人間の誕生秘話がある。それは伝説。
神は土くれの人形に魂を吹き込み、人間という存在が生まれたというもの。
人間の潜在意識の中に在るような漠然とした衝動。
創造主が土くれのヒトガタに魂を吹き込んだように
人間は自分の魂を「人形」に分け与える。

子どもは「人形遊び」という遊戯の中で、親子関係という設定を前提とした
母親役を演じ、子役の人形に語りかける。
子どもの目には「人形」が映り、人形の目には「母親役」の子どもが映る。
(という想定上の擬似的関係性が成立する)
二つの視点と二つの人格によるある種の演劇が始まる。
が、実質は自作自演の独り芝居。
独り芝居の演劇において上演された物語はフィクション、虚構であるのだが
その虚構には、女優を演じた子どもの深層心理に潜んだ真実が照らし出される。
「人形の視点」という「設定」が、この「舞台の女優」の演技をより迫真めいたものとし
虚構の中の独特のリアリティーを生み出す。
そしてもうひとつ「視点の効果」として重要なのが、子役の人形の目に映った
母親役の子ども、すなわち自分。自分の目に映った子役の人形が、
まるで自分の意思を離れたかのようにオートマティックに動き出す?
現象(という錯覚)を介してより深い自己認識に至るということ。

貧乏ゆすりや舌打ちなどの癖は本人が無意識的に行うため自覚し難い。
同じように自分の内面的人格に癖があるとしたら、それを把握するのはさらに困難であると言える。
自分の無意識、自分の深層心理、自分の人間性、自分の魂
目には見えないこれらのものを把握するには、どうするか?
恐らく人形に投影させ、「どんな形」か「どんな色」かを把握するしか
方法がないのではなかろうか?
目の前にいる人形の深層心理にダイブすれば、自分の深層に迫ることがきるように。

人形が人間の魂を吸い取る怪奇現象があるとするなら
その主動因は人間の側にあると言えよう。
{/netabare}

2.人形は人間の魂を映す鏡
{netabare}
アンドロイドと人間の恋がより純愛の要素を引き立てるのは
①アンドロイドの心が白紙状態のまっさらである
②人間が求める理想(的人格)を完全に反映した存在として成り立つ
という理由が考えられるのだが、鏡の反射の特性を利用し
反射の連鎖を繰り返すことにより、理想の恋がより理想的な方向に発展可能となる。

新約聖書には、エバ(女)はアダム(男)の一部から創られたと記されている。
アンドロイドという人形が魂を持つとしたら、同じ類的存在の、つまり人間の
魂の一部を受け継ぎ、自律可動が可能になったと考えるべきではなかろうか?
アンドロイドが登場するファンタスティックな物語の中では。
{/netabare}

3.始りは終りの始まり 誕生は死の始り
{netabare}
別れ、終り、死。第1話から悲しい展開を予感させる出だしだが
物語の進路はどっちに向いているだろうか?

第1話冒頭から伏線、炸裂!
ギフティアと記憶と別れの悲しみ。
とある所有者はこう言い放つ、「ニーナを失うくらいなら死んだ方がましさぁっ!」
と確信めいたことを言われ、否定できず、同意する主人公。[死亡フラグその壱]
ある意味主人公の死亡フラグが立ったと解釈できなくないが
より本質的なことは、この物語が「悲劇」であるいう直観。

そして、それを考える上で重要不可欠なことがある!
それは愛しのアイラたん!のファッションチェ~~~~~~ックだ!
そう!まさに真理!お洒落は足元からなのである。
結論、「白いブーツ」を愛用している。ピュアな彼女にお似合いである。
{/netabare}

4.死へのダイブ 「イシカワ!これから潜るぞ!」
{netabare}
第一ターミナル課回収実績№1のアイラはその潜在能力を発揮する。
プレッシャーで硬直、呼び鈴エラー・・・
ゴミ箱ダイブ、に、貧乳? もとい!頻尿・・・
そんなバナナ!のお笑い要員!?ドジっ子設定萌え?
負けず嫌いで仕事熱心な彼女。
パートナーのツカサには強がって見せるも、度重なる仕事での失敗と自己嫌悪
シャワーシーンでその時、彼女の頬をつたうのは・・・。

「機械仕掛けの道化師」が演じる舞台のお題目は、
「運命という見えない糸に操られる人形」と、そしてその悲しみ。
身が引き裂かれるような苦しみ。
{/netabare}

5.道化師の皮肉なメイクは真実を映し出す。
{netabare}
涙。。

~「舞台の上では道化を演じる我々役者もまた血肉をもち、愛憎を重ねる人間であり、
それを想った作曲者は涙してこの曲を作ったのだ」~

道化師とは派手な衣装と化粧をし、サーカスなどに登場するコメディアンのことを言い
「クラウン」即ち「ピエロ」のことを指す。
道化師の歴史は古く、そのルーツは古代エジプトまで遡るとか。
その中でも中世のヨーロッパの宮廷道化師は芸により王の感情を操り、
時に政治的な助言を行うなどして、国政を左右する程の特別な役割を果たしたとも言われている。

クラウンに涙のメイクを印したのがピエロだ。
その涙は人から馬鹿にされながらも笑いを取らなければならないという
ある種の悲しい宿命を現している。

アイラの使命は第一ターミナルで業務こなし、仕事で役に立つこと。
別に笑いを取ることを目的に意図的にボケているわけではない。
アイラの行動の滑稽さはボディにガタが来てる結果でしかない。
第一ターミナルのギフティアは回収時での交渉能力強化という
特別カスタマイズが施されているのだが、アイラの場合となると
それ以前に顔の表情すら上手くコントロールできず、ある種の緊張状態により
声のトーンまで制御不能になってしまう。
招かざるその訪問者に出くわした所有者には、その表情がホラー映画「IT」に
登場する不気味な「ピエロ」に、もしかしたら見えたのかもしれない。
残り時間が少ない中で何とか有終の美を飾ろうという強い思い
焦りがあったためか、力めば力むほど空回りして、無様な失敗の連続。

しかし一方で観衆は、笑いとることにそこまでして必死になるか?
と哀れなピエロを嘲笑う。

それでもアイラは、回収業務で、ユニットテスティングルームのトレーニングで、「抗い」続ける。
この機械仕掛けのボディのリミットは「定め」られている。
「砂時計の砂」が、ただ下に向かって落ちていくが如く。

これは罰なのかもしれない。
回収効率ばかりを優先し、所有者とそのパートナーであるギフティアの
思い出を引き裂くという悲劇を自らの手で繰り返してきた過去の自分に対する罰だ。
これは当然の報いなのかもしれない。
別れの悲しみと苦しみ、痛みを省みず平然と思い出を引き裂いてきた自分への報いだ。
だから、途中で止めるわけにはいかない。
「ギフティアのオーナーの心のケアも徹底する」という基本方針を最後まで貫き通し、
そして独り、時間の砂とともに朽ち果てる。

「人形」は「人間の魂」を映し出す。
アイラの仕事熱心で負けず嫌いで意固地で面倒くさい性分は、恐らく
前のパートナーだったカズキの人格の影響だろう。
よく言えば実直で責任感があるのだが、悪く言えば自責の念が強すぎるところも。

そう、これは悲劇である。
だから、突然?白馬に乗った道化師の男が観客席から乱入する?
{/netabare}

6.笑い男事件 機械仕掛けの舞台への介入劇
{netabare}
この道化師には涙のマークがない、ということはピエロではなくクラウン。
空気も読まずに悲劇の舞台に踊り出てきたのは一目惚れが動機。
道化師はへらへら「笑い」ながらこう切り出す。
「美しいお嬢さん。あなたはあなたの涙の向こうに何を見たというのでしょう?」
「私はそれが気がかりでいてもたってもいられなくなり、ここに馳せ参じた次第であります」

エラー、終幕。
{/netabare}

7.ノロイの笑い男
{netabare}
この物語は悲劇である。にもかかわらず話がなかなか進展しないのは
こいつが原因なのである。この道化師=笑い男のノロイ。
ノロイ、すなわちストーリー展開が異常にノロイ・・・なんつってね!

エラー、終幕。

いやいや、しばらく、これにはちゃんとした理由があるのだ。
この物語は悲劇であるのにも関わらず、事態が深刻な方向に傾くと
常にラブコメテイストの展開でお茶を濁してはぐらかすという一定のパターンが繰り返される。
そういう意図的演出が毎回のように繰り返されている。
なぜそうなるのかというとこの道化師の介入が原因らしい。

悲劇のマリオネット、アイラが象徴するのは涙、悲しみ。
喜劇の笑い人形、ツカサが象徴するのは笑顔、喜び。
何度も言うようだがこの物語は悲劇である。
だから結末は必然的に「予定調和」で終わる。
二人の出会いは必然であり、運命である。
磁石のN極とS極が惹かれ合うようにツカサの意識はアイラの涙に惹き付けられる。
涙と笑顔とは、対照的な、「表裏一体」の関係であると言える。

笑い男のツカサは涙を笑顔に書き換え、悲しみを喜び塗りつぶして
悲劇を喜劇に改竄しようと、(最初は無意識的だが)悲しみのマリオネット
アイラの悲劇の物語に介入を行う。
それはつまり、ツカサが悲劇という「運命に抗う」ことを示す。
悲劇からの脱却、悲劇からの救済を目指すツカサの「意思」によって
悲劇とは対照的な方向の喜劇へ離脱しようとする試みが、物語展開において
何度も繰り返されるのだ。
メインストーリーは悲劇にも関わらず、度々喜劇への方向に引っ張られるため
方向感が掴みにくく、迷走しているような印象を抱かせてしまうのかもしれない。
「問題のワンダラー」の一件以来、物語の進行速度は一気にスローダンスし
純愛、コメディ路線に大きく舵が切られる。
ツカサが意図したとおりアイラに笑顔が戻り、二人の関係が、「ゆっくり流れる」
時間経過の中で少しずつ深まっていく。
信頼関係の深まりと伴にアイラの表情が柔らかく優しくなっていき(それはopで
ツカサの笑顔に対するアイラのリアクションの表情が少しずつ変わっていく
描写にも端的に示されているわけだが)相互理解の深まりともに長年連れ添った
夫婦のようなベストパートナーの関係に至るのである。
残り少ない時間の中のゆっくり流れる甘く輝かしいかけがえのない日常の繰り返し
その中で儚く切なく美しい「思い出」作り、それは確かに至福の時であるのだが
それにも拘らず、悲劇からの脱却が可能となるわけではない。

そういう意味において、ワンダラーの一件はこの物語の悲劇的方向性を示す
不可欠なファクターであると考えられるのだ。
{/netabare}

8.死角素子は笑う 並行世界:機械仕掛けの外殻纏う“1$”回収攻性機動部隊
{netabare}
問題となっているワンダラー回については多くの人が指摘しているとおり
全体のストーリーから浮いてる感が確かにあり、違和感がないと言えば嘘に
なるかもしれないというのも事実。

その理由について考えてみたのだが、本作と繋がるパラレルワールドが存在していた
と仮定すると説明の都合上はそれなりの整合性を持ち得ることができ、あるいは
ある種の利便性を得ることが出来るため、その可能性を追求してみたく思う。
要するに本作を製作するに至ったオマージュに対するモトネタ作品が存在したと
単純に悟ることができるならその方が本作を理解するのに遥かに近道であるのは言うまでもない。
(恐らくそれは10年前位の出来事。)

パラレルワールド
①GUNSLINGER GIRL

②マークスマンとスポッターとの一組、ツーマンセル体制で
暴走アンドロイドを狩り、回収するSFティックな物語

③主人公の筋肉とアサルトライフルとグロック(拳銃)のトリガーと
記憶障害の暴走と果たしたかった約束とお節介な友人と悲劇的な最後
を構成素子として持つ物語

①と本作の共通点は極めて少ない。
①と②、①と③の方が比較的関係性が強いのかもしれない。
①と本作の共通点は、(義体とギフティアの違いはあれど)記憶と記憶障害、暴走
義体と義体担当官のツーマンセルに対し、本作ではマークスマンとスポッターのツーマンセル。
義体の中には近接戦闘でナイフを使うキャラがいるのとアイラの謎ソード。
本作において祭りシーンの射的屋台に「ピノキオ」の人形、そしてマフィアの用心棒
のギフティアが登場。
①に登場する義体キャラ、エルザ・デ・シーカ(Elsa de Sica)のエルザ(Elsa)と
アイラ(Isla)の表記が何となく似ている。
エルザの声と本作における「ワンダラー化」したマーシャの声は同一人物。
(もちろんこれらすべてが単なる偶然の一致に過ぎないと言えばそれまでの話であるが)

②は(恐らくは10年前位の時の)本作の初期プロットで、SF色が強いガンアクションもの
だったらしく、ツカサは左腕が義手という設定のキャラデザだったとのこと。

③では、機械仕掛けの兵器を開発するSAI社のように世界的規模で展開する巨大企業と
アール・セキュリティ社のような反攻武装組織が登場し、しのぎを削り合う
展開が繰り広げられる。
③は①に通じる暗さがある物語で、記憶と記憶障害と暴走もあるのだが
ヒロインが(アイラのような)ドジっ子設定、「涙」に重要な意味があり、
「エルザ」と「マーシャ」と声が同じ人。
本作ではスポッターとマークスマンは同居する決まりがあるが、
③でも主人公はヒロインと同居しており、掛け替えのない日常生活を満喫していた。
ちなみに、彼女のコードネームは「ゴースト」。
一番引っかかったのが、本作冒頭での主人公の問いかけ、「有限の命」というテーマを提示し
それに対して最終話である「結論」を出したが、それが③のラストとかなり上手くリンクし、
あるいは③の物語を補完するような関係性がおぼろげながら見え隠れする。

以上のことをもって、パラレルワールド存在の真偽について確定したとは
必ずしも言えないが、想像力を使って積極的解釈するのも本作を楽しむための
一つの方法論であり、ある種の可能性を提示できたとしたらこれ幸いと思い
少しばかり大胆な仮説を披露仕った次第である。
{/netabare}

9.新たなパートナーは誰?
{netabare}
そして、それを考える上で重要不可欠なことがある!
それは愛しのアイラたん!のファッションチェ~~~~ック「その弐」だ!
そう!まさに真理!お洒落は足元からなのである。
結論、遊園地デートでは茶系の「ブーツ」を愛用している。
ツカサ色に染まったということだろうか、それはそれで彼女にお似合いである。

もしも本作が完全なるラブコメテイストの話だったら最終話に登場したツカサの
新たなパートナーがOS書き換え済みのアイラでも違和感は別にないだろう。
ザックがおやつとして食べていたバナナの皮が偶然床に落ちていて、自己紹介後
のアイラがそれを踏んで滑って転んで頭を強打、そのショックで記憶が戻る。
これは奇跡だと皆でコサックダンスを踊る大団円。

確かに本作にはラブコメ的要素がないわけではなく、ラブコメ展開でメインストーリの流れを
はぐらかすようなパターンを繰り返しすぎたため、ラブコメ展開や最終話のオチでも
ラブコメ的ご都合主義が通用するような錯覚を抱かせてしまうのも無きにしも非ずだ。
だが、本作のメインテーマは「有限の生」であり「別れ」である。
第1話でニーナのOS書き換えのサービスについてツカサが提案するも
所有者は断固拒否、ニーナは消耗品ではないという反論に返す言葉がなかった。
「Lの悲劇」でも同様、思い出の場所を再び訪れてもOS書き換え後のギフティアの
記憶は戻らないことが確定している。
ボディが一緒でも魂、人格が別物ならそれは別の存在。
一度別れを済ましたギフティアとは2度と会えないことが運命として定まっている。
ピュアなツカサにとっては酷なことなのかもしれないが、どこかで折り合いつけるしか
どうしようもない現実なのである。

ただ、折り合いをつけられない人のために製作者は、新たなパートナーについては
視聴者に判断を委ね、それが誰であるのか特定できない描き方をしている。

但し、特定できないということは、逆に、それがアイラではないという結論を示す。
第1話でツカサのパートナーとなるアイラの登場シーンは、
足元から入る「パーンアップ」映像。白いブーツを印象的に映し出していた。

最終話の新たなパートナーの登場シーンも足元からのパーンアップ。
確かに最後のデートでは茶系ではあったが、アイラはブーツを履いていた。
新たなパートナーのシーンでは色こそそれらしいが、ブーツではなかった。
「エラー」という口癖やハーブ茶などへの思い入れ等を鑑みるなら、
アイラは履物に対してもそれなりのこだわりをもっていたと考えるべきである。

そして研修を終えて再び第1ターミナルサービスに戻ってきたツカサは
「また、お世話になります」と課員に挨拶するが、新たなパートナーには
「また、よろしく」とは言わなかった。

但し、一見してメインストーリーには蛇足的である、新たなパートナーが
誰であるか特定できない描写を敢えて入れてきたのには、視聴者のミスリードも
製作者サイドがそれはそれで夢がある話として許容してる所もあるのだろう。
{/netabare}

10.機械仕掛けの暴走劇 “1$”の危険性?
{netabare}
初期プロット案でのアンドロイドの暴走、ワンダラー化は必然的な結果と
いうくらいの頻度で多発するものと推測されるわけだが、
本作におけるワンダラー化は極めて稀なケースとされている。
多く見積もったとしても3年に1度程度。

耐用年数が切れれば即、必然的にワンダラー化が発生するわけではない。
逆に言うと必然的因果関係がないから、事故発生にも拘らず、SAI社は業務停止
措置を受けずに済んでいるのだろう。

耐用年数が切れたギフティアは記憶や人格に重大なエラーが発生し
本能的行動しかとれなくなってしまう。という意味で野生動物に近いのかも?
本能的衝動や感情制御が困難な状態で、武装した大人数の野郎どもに囲まれ
大声で威嚇される。この武装した集団により、実際ミチルは突き飛ばされる
という暴力的扱いを受け、彼女の父は、本能的に身の危険を感じたに違いない。
カズキの言うように無用な刺激を与えず、穏便に対応していたらワンダラー化は
回避できていたかもしれず。
このケースのワンダラー化の引き金は、Rセキュリティ側が引いたのだ。

マーシャのケースも同様に引き金を引いたのは闇回収業者。
スタンガンによる電気的刺激が一番の要因かもしれないが
拉致拘束の挙句、これから解体しようと殺気だっているというならば、
マーシャの本能的恐怖心は限界値を突き抜けて当然。

ギフティアに人権が認められる社会において、人権的配慮に欠ける暴力的扱いを
するとしたら、目には目を、歯には歯を、撃つ者は撃たれるという反撃の対価を
支払わされる。因果応報ってやつなんだろうと思う。

我々が属する現実世界において、機械仕掛けの便利な道具やペットの類も、
過去に様々な事故を引き起こしていると言えるのかもしれない。
エスカレーターでの切断事故、エレベーターでの死亡事故、
大型車のタイヤ破裂の風圧でも人は死ぬ。
飼っていた大型犬が暴走し通行中の児童を噛めば命の危険に関わる事故になる。
動物園の象が暴走すれば車くらいは軽くぺしゃんこにする。

論点は、事故の頻度と被害の重大性、必然的因果関係の有無なんだろうが
一度現実社会に流通し浸透してしまったものは、多少の危険性にも拘らず
全面的使用禁止や法による規制の類も、実現は不能となるのが常。
禁酒法を成立させても、需要があれば闇市で酒は流通し、マフィアの資金源
になるのなら、この法はむしろ悪法。
脱法ドラッグ、もちろん規制すべきなんだろうが、法的に規制できるかといえば
非常に困難を極め、現実的には対応できない代物。

結局のところワンダラー化に対する最も有効的な手段は、ソフトウェア破壊用の銃と
武装集団RSによる2重の破壊工作で、それが現実的かつ最善の対応のように思われる。
恐らくワンダラー化による死亡事故は0件、重症事故はカズキの1件
(その1件もSAI社がもみ消している可能性もある)
もしもエレベーター事故のように暴走が多発しているのなら、因果関係が
研究によって明らかとなり、SAI社が既に対応してるのが当然の理なのである。

回収時期を期限の1年前か半年前に定める法案を成立させたとして、
所有者と相方の失踪、駆け落ち衝動を徒に煽るだけ、現実的対応策とは言えない
結局何がしたかったのか意味不明な米国州法のようなマヌケなオチに繋がるだろう。
ニーズがあればギフティア専門の逃がし屋だって暗躍し得るのが、
我々が属する現実社会のリアリティというやつなんだと思う。
{/netabare}

11.振り子運動は嘲笑う 機械仕掛けの“1$”襲来劇
{netabare}
ワンダラー回については、一見すると不要論が多いようにも思えるが、、、
本作は、ラブコメ的な、タイムマシーンという大変ご都合がいいドラえもんの道具で
どうにでもなるご都合主義のハッピーエンドを目指しているわけではない。
どんなにラブコメ的に表面を偽装しようとも、悲劇的結末の運命に抗おうとも
結局のところ、終りには「悲しみ」が待っている・・・

悲劇のマリオネット、アイラを悲劇的結末から救い出すための方針は、
第1話において大々的に示される。「笑顔でお別れ」するというものだ。
そのためにツカサは、少しでも多く「楽しい思い出」を作れるようにと振舞う。

ソウタとマーシャの別れのために誕生会を企画したのもその一環だ。
だが結果は無残。もちろん闇回収業者という不可抗力はあったにしろ、
マーシャの最後は、ツカサの手によって射殺されるという悲劇的結末。
皮肉にもツカサが意図したものとは真逆の展開になってしまう。
悲劇の物語の中で、「笑顔」を模索するツカサ。
物語の方向性をコメディの方に、「意志」の力で引っ張るが、その「抗い」も虚しく
コメディの方向に引っ張られた反動の必然的結果として、悲劇の方向に揺り返しが起こる。

結局のところ、アイラの報われない「抗い」=自主トレと同じように
ツカサの悲劇に対する「抗い」は実を結ばない。
ソウタとマーシャの結末は、ツカサとアイラの最後を暗示している。
ツカサが目指す「笑顔でお別れ」というシナリオは既に破綻しているのだ。
[ツカサの死亡フラグその弐]

ワンダラーの一件が、何故不可欠なのかといえば、この物語が悲劇の方向性を
持っているということを端的に表現する意味において効果的であるからだ。
喜劇と悲劇の鬩ぎ合い、それが本作の最大の見所なのである。
{/netabare}

12.マリオネットの罠 機械仕掛けの思い出リセッション
{netabare}
マーシャを必ず連れ帰るとソウタと約束するツカサであったが、
結末は最も悪いシナリオ・・・マーシャ殺処分・・・。
予めアイラが指摘していた通り、ツカサはソウタとマーシャの「思い出を引き裂く」
という仕事を完璧なまでにやってのけて死舞った。
ソウタとの約束は自分自身に対する誓いであったはずだから、
この失態は心の傷、トラウマ体験となり得る。

アイラは訝しがる、こんな惨劇の後で「ツカサは何故笑っていられるのか?」と
3年前ワンダラーの惨劇で父を失い、悲劇的結末の悲しみを知るミチルは答える。
ツカサが笑うのは「悲しいからかも・・・」と。

喜劇の偽装表面にひびが入り、悲劇の舞台が自動的に動き出す最中
ツカサはカズキから告げられる、アイラの残り時間について・・・
そして、マーシャの惨劇を味わったそのタイミングで、パートナーシップに
ついての決断を迫られるのだ。
もちろん、ツカサにはアイラとアイラの涙を見捨てるという選択肢は最初から
ないのだが、「思い出を引き裂く」仕事に関わる本当の意味について知らずして
このまま悲劇に抗い続ける道化師を演じるというのは、余りに滑稽で
実に皮肉な運命の操り人形と言わざるを得ない。

この悲劇の中に一つだけ「救い」があるとしたらそれは、悲しくても笑う
ツカサの笑顔、もしかしたら作り笑いかもしれないが、アイラを思い、
アイラを気遣う優しさによって裏打ちされた微笑。
その笑顔がアイラの「魂に反映」され、しばらくの間笑顔を忘れていたアイラに
笑顔が戻る。
「人形」は「人間の魂」を映す鏡故に、自らに対して正面から向き合うものの魂
深層心理を反映させる。微笑返しという現象。

もしもツカサ悲しいから笑うのだとしたら、アイラも同様に
(パートナーで居続けることを決断してくれた喜びだけでなく)
心の奥底に悲しみを秘めているということを意味するのかもしれない。

ツカサを半ば強引に飲みに誘おうとするヤスタカやカズキなど
とてもお節介で面倒見が良くて優しさに溢れている。
ソウタの件で深く傷ついたツカサを気遣う大人の配慮だ。
純粋なツカサにはまだこのお節介の意味するところがわかっていない。

コネ入社の社会人一年生のツカサには見えないことが多すぎるのだろうが
だから逆に間もなく寿命が尽きるアイラと向き合っていくという
思い切った決断があっさりできるのかもしれない。多分それをピュアと言う。
そしてこの後もツカサは笑顔でお別れするというゴールを目指し、悲劇を笑顔で
塗りつぶし、抗い続けるのだろう。悲劇の反動による傷口の悪化を身に受けながら。
{/netabare}

13.笑顔の代償
{netabare}
ツカサの努力の甲斐あってか、アイラは笑顔を取り戻す。
そしてツカサに感化されたアイラも「ツカサにはいつも笑顔でいて欲しい」
と願うようになる。
二人の信頼関係は日増しに深まっていき、そうだからこそアイラはパートナーである
ツカサに自分の言葉で寿命のリミットについて告知しなければならない。

カズキの目からから見てもアイラに訪れた良い兆候は明白であり
ツカサの純粋な思惑通り事は進行しているようにも見える。だが、
アイラとは対照的にツカサの笑顔の時間は徐々に減っていき・・・
ツカサの思いつめたような表情の時間は増えていく。

「人形が人間の魂を吸い取る怪奇現象がある」ようにアイラはツカサの笑顔
を吸い取ってしまったのだろうか・・・?

ツカサは祭りにて、アイラに純愛的告白を敢行したが、あっさり振られてしまう。
二人の距離感が縮まり、信頼関係が深まっていく手応えが確かにあったから
逆に振られた時のショックはより深刻で、立ち直れないくらいの精神的ダメージを負う。
口から「エクトプラズム」を吐き出し「抜け殻」状態になるツカサ。[死亡フラグその参]
抜け殻とはbodyであり、死体を意味する。
アイラに振られたショックで抜け殻化したというなら、それと等しいショック
が将来ツカサを襲う時、ツカサは「抜け殻」となるだろう。

アイラは見た目よりもずっと精神的には大人であり、ツカサを「素人」呼ばわりする
ミチルも過去の惨劇を経験しているだけあって物事の本質が見えている。
アイラがツカサを振り、距離を取ろうとしたのも大人の優しさに満ちた対応であり
ツカサのことを配慮した結果としての決断だった。
もっともそれは前のパートナーだったカズキの影響だろうが。

お節介が性分のミチルもツカサに事の重大性を悟らせようと言葉を投げかける。
「いい結末なんて待ってない」のにその結末に対して「責任とれる?」のかと。
だが純粋なツカサには、それらのことが現す本当の意味が
この時点では理解できてなかったのかもしれない。

砂時計の砂は日々減っていき、アイラの回収同意書に署名する時が訪れる。
ツカサの精神的な切迫感は限界値にまで到達し、この場から逃げ出したい衝動に駆られる。
ラブコメ的冗談の形式に乗せたように「二人で遠くに逃げようか」と不意に
口から出た言葉は、選ぶことが許されない選択肢に依存したくなるという
ツカサの本心の吐露である。
それでもアイラの望みとあるならパートナーとして署名しなければならない。
ツカサは苦渋の決断でもって書類の記入を終える。
恐らくこの時ツカサの心は限界値を超えてしまっていただろう。

純愛ものによくあるパターン、失踪、駆け落ちという線は消えてしまった。
それにより、もう一つのよくあるパターンが嫌でも意識されることとなる。
この時のツカサには抗うことができないくらい魅力的な選択肢に見えただろう
悲劇的結末の王道パターン。
{/netabare}

14.四暗刻立直 影法師は誘う
{netabare}
アイラとツカサの甘いひと時は続く。
アイラにとって始めての映画館もその一幕である。
しかしそれとは別の感情、一抹の不安がアイラのハートをよぎる。
「『暗いところ』にいると『ツカサがいなくなる』んじゃないか」
と不安に襲われツカサの手を強く握るアイラ。(死亡フラグその四)

二人の絆が深まり、ツカサがアイラのことを心配するように
アイラもツカサのことが心配で仕方がないという関係に変わる。
アイラには回収同意書に署名した時のツカサの苦しみが痛いほどよくわかっていた。

ツカサは平均的な人間に比べたら精神的には遥かにタフであるのだが。
それでもやはり、最後の遊園地での楽しい思い出作りの一幕では
ツカサに心の余裕が全くなくなってしまう。
「疲れた?」とツカサを気遣うアイラ。
「アイラの方こそ大丈夫」と返すツカサ。
進行役はツカサのはずなのに会話の主導権は常にアイラが握り、
本心を押さえ込むことで精一杯のツカサに対して終始気遣いを欠かさないアイラ。

不意に、アイラの視線はツカサに焦点を合わる。
その焦点が固定される様は、まるでオートロックオンシステムが正常に作動しているように・・・
そして、ツカサの深層心理を的確に見透かす。
まるでターミネーターが人間の生態データーを的確に捕捉するように
血圧脈拍体温バイタルシグナルを数値化し人間の行動パターンを分析するが如く。
アイラは知っている。決定的に欠落したものを。
それはアイラが高性能アンドロイドだからというわけではなく、
アイラがツカサの真のパートナーだからこそ、明確に見えている真実。
本来ツカサの在り様を現すべき象徴的姿であり、表情であるその様態は
完全に影を潜めてしまい、その代わりに今あるのは・・・
ツカサの空元気、作り笑い、、、ただそれだけである。

ツカサの純粋な思い。「笑顔でお別れ」するという思惑は今まさに崩れ去ろうとしている。

時間の砂もあと残り僅かに差し掛かった頃、夕暮れの光を浴び
ツカサはふと地面に目を向ける。
そこに映し出されたものは「影」、自分の身の丈をすっぽり覆いつくすほどに
遥かに長い自分の影だ。
ツカサの顔は引きつる。見てはいけないものを見てしまったかの如く。
SF主義的観点から解釈すると、この長い影は「落日」を意味する。
地平線に沈む間近の太陽の光と遮蔽物に当たる角度が限りなく水平、零に近いほど
遮蔽物の背後にはより長い影が投影される。
だがしかし、この解釈では不十分だ。リアリティと説得力が圧倒的に不足している。
異様にこわばったツカサの表情の説明が抜け落ちているのだ。

その影法師は、一見するとカーニバルなどに登場する足長のピエロの影にも思える。
光のマジックによって足だけが異様に長い影が映し出される自然現象の諸条件はさておき、
その影法師はツカサの心の奥底に秘めた本音を映し出す。
アイラを象徴する太陽が南西の地平に沈みかかる、ツカサの影法師は真逆の
北東に向かって不気味に伸びる。
影の足が異様に長いのは、ツカサの背伸び、即ち「強がり」を現し、北東は鬼門を現す。
四暗刻、即ちツカサが無意識の闇に隠した本心、[死亡フラグ]~
{netabare}【その壱:孤独感】【その弐:挫折感と罪悪感】【その参:無力感と虚脱感】【その四:不安感と虚無感】{/netabare}
~[四つ]が落日の時を告げる影とともに一人歩きを始めようと動きだした。
スターマインの七色の輝きが消え去れば、後には深い闇しか残らない。
心の奥底にしまった闇が徐々に広がりを見せ、ついにはツカサの世界を
飲み込もうとその鎌首をもたげ始めた。
光を失えば影は闇となりすべてを覆いつくす。闇。絶望の闇。

あるいは、ツカサの影法師をもっと端的かつ的確に表現する言葉がある。
「ドッペルゲンガー」、もう一人の自分。
その存在はモノクロであると言われることがしばしばある。

但し、アイラがそばにいる間は大丈夫。
アイラがいる限りツカサは「心中」というもう一つの王道パターンを選ばないだろし
アイラもそれを許さないだろう。

問題はアイラがいなくなった後のことだ。
{/netabare}

15.2ndインパクト 「ノロイの笑い男」再襲来
{netabare}
「人形は人の魂を映し出す鏡」だから、当然ツカサの形をした影法師には
ツカサの魂、深層心理が反映される。
その影には目も鼻もないが、何故か口だけがパックリと現れ、ニヤニヤ笑う。
もちろん影が独りでに動き出すのは夢の中でのことなのだが・・・

影はツカサの記憶に刻まれたヴィジョンをツカサに見せる。
大学受験の失敗、部長である叔父をはじめとする親戚一同の冷ややかな視線、
アンディによって引き裂かれた所有者とギフティアの悲しみの姿。
カズキに檄を飛ばされプレッシャーを感じる自分の姿。
仕事に対する中途半端な姿勢をミチルに指摘され凹む自分の姿。

自分の身の丈を超える長い歪な影法師が現れる。
その影の形は大きく歪み、回収同意書に変形、ツカサに署名させようとペンを握らせる。
ツカサは署名しまいとして、右手に力を込め、絡みついた影を振り払うため
右手を外側にスウィングさせる・・・その瞬間、握られたペンに衝撃が走る。
スイングさせた方向を振り返るとそこにはマーシャが・・・
右手に握られていたはずの・・・ペンはいつの間にか銃に変わっていた。
ツカサが放った飛翔体に貫かれ、マーシャの体には大きな黒い風穴が開く。
マーシャはその黒い風穴に吸い込まれるようにして消え去る。
マーシャを貫いた飛翔体は、その後ろにいたソウタの頭部を貫き、
ソウタもマーシャと同じようにして消え去った。
ソウタは消え去る直前にツカサに向けて言葉を発したが声にはならなかった。
だが、ツカサには口の動きだけで何を言わんとしていたのかがわかっていた・・・

ふと我に返ると、ツカサは舞台の上に立っている。
客席にはアイラが座り、舞台の一部始終をじっと眺めていた。
舞台の上方から幕とともに影が降りてくる。
影はニタニタ笑いながら拍手を送り、ツカサは悪夢から覚める。

ツカサは何度も同じ夢を見る。
夢の始まりには、影が決まってこう言う。
「It's a show time!」

夢は夢に過ぎず現実の出来事とは別物である。
だがもし、ドッペルゲンガーが人を呪い殺すことが起こり得るとしたら
多分このような流れになるのではなかろうか?

アイラは怖い夢を見て、ツカサが寝てるもとへ駆け寄る。
そして泣きながらこう訴える。
「まだいるよね?」「ツカサはそばにいるよね?」「どこにもいかないで」と
「アイラが見た夢」の詳細については作中には描かれていないが、恐らく
別れの時が間もなくやってくるという不安が心理に影響してるために
このような夢を見るのだと推測される。
ツカサがいなくなる予感がする[死亡フラグ四の]暗がりをアイラが恐れる理由は
アイラが見た夢の内容に関係してるいるのは間違いなく、それは同様に
ツカサにも悪夢が訪れることを意味する。

アイラを失った後、ツカサは悪夢を繰り返し見て、後追い自殺を試みるだろう。
ツカサの悪夢なんて作中には描かれているわけでなく、悪夢なんてないとしても
駆け落ちも心中も選べなかったツカサが、最後に選ぶ選択肢は一つしかない。
孤独に落ちたツカサにとって、後追い自殺という最終手段は、選ぶことを
回避するのが極めて困難、あらゆる精神的苦痛からの開放を可能とする魅惑的な蜘蛛の糸。
アイラという希望の光を失えば、絶望という闇に捕らわれ、死に至る病が発現する。

いや、まだ大丈夫だ。それが悪夢であれ、単なる漠然とした不安であれ
ツカサが孤独にならなければ、第一ターミナルサービスの面倒見のいい仲間が
いる限りは、ツカサが早まったことをしないように繋ぎとめてくれる。
ヤスタカ、カズキはもちろん、年下ではあるがミチルも頼りになるツカサの先輩なのである。
ミチルは父との別れという問題に向き合い、受け止めようと試みたが
受け止めきれずに最後は逃げ出した。そして結果色々な人を傷つけたと
今では冷静に自分を振り返ることが出来るツカサの良き相談相手だ。

だがしかし、皮肉な運命はツカサに9ヶ月間の研修という孤独を与える・・・
結局のところ悲しき運命のマリオネットに訪れる結末は
本人の意思とは別のイトによってもたらされ
やはりアイラが見た闇の暗示は回避不能なのだろうか?
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 29
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

アイラ ・ ビー ・ バック!!

2015年春より放送。
全13話。


【前置き】

制作側の熱が込もった大々的な広告で、放送前からかなりの期待が寄せられていた作品だったのではないでしょうか。
ただ、放送が進むにつれてその制作側の熱は、視聴者の熱と少なからず誤差が生じてしまっていたように感じました。

どストレートを目指した制作側と、大々的な宣伝からもう1~2捻りを求めてしまった視聴者。
私も、その多くの視聴者の中の1人でした。
じゃあ嫌いな作品かと言われれば、そこは間違いなく
「そうとは言ってないので!」
って言っちゃいますけどね。



【あらすじ】

「ギフティア」と呼ばれる、人間と瓜二つのアンドロイドが実用化された近未来。
そのギフティアの製造・管理を取り仕切る世界的大企業「SAI社」に就職した主人公『水柿(みずがき) ツカサ』は
「ターミナルサービス課」という、耐用年数期限である9年を迎える寸前のギフティアを回収する部署に配属される。

そこで彼は、滅多に感情を出さないギフティア『アイラ』のパートナーに選ばれます。
2人は仕事を通し互いを思いやるようになるのですが、実はアイラ自身の耐用期限も既に目の前に迫っていたのでした…。



【語ってみる】
{netabare}
本作は、シナリオライターの林直孝さんが10年程前から構成し温めていた作品だそうです。
ただ、今現在のように多種多様なジャンルが世に出た今となっては、本作の世界観や方向性はイマイチ新鮮味が足りません。
10年前ならまた違った評価になっていたのかもしれませんが、今ではただ無理矢理に都合の良い設定を作り泣かせにきた、といった感じの「あざとさ」が一昔以上に見え隠れしてしまったような気がします。
ちょうど一年前に放送された「一週間フレンズ。」を想像してもらえれば、分かりやすいかもしれませんね。

私は丁寧であるならば、王道も大好きですし、小難しい設定を羅列されるよりは、無い頭を使わずとも分かりやすく伝わりやすい作品の方が好みです。
そういう意味では、本作もその分かりやすい部類には入るのですが、世界観的にまだ何か隠れた設定が後付けで登場するのではと思わせやすかったのが問題だったのかもしれません。
同じ世界観では「攻殻機動隊」や「PSYCHO-PASS」等のように、舞台に広がりや奥深さを見せる作品もありますから。

私なんて、社内の筋肉質な男性レンが、実はギフティアで自分だけホントのことを何も知らず「家族が〜」とか妄言して現実を受け止められていない危なっかし……いや可哀想なキャラなのではとか、勝手に想像しちゃってましたよ。
捻りを求め過ぎてましたね。

実際、キャラクターや世界観の設定は決して少なくないのですが、どれも大きく活かせていなかったように感じます。
ギフティア製造の経緯、SAI社の上層部、ワンダラーについて、古株ヤスタカの思想、コネを持つというツカサの親、そしてミチルの猫耳。
どれも私的には説明不足に感じ結局この、食事から排泄(尿の我慢もある程度出来る神設定)まで再現されたギフティアが、データの移行すら出来ずに絶対的な活動期限を越えられない設定が、シナリオ上の都合の良い設定でしかないと余計に感じてしまうんですよね。


作画に関しても、評判高い「動画工房」にしては、途中「んん?」と思うこともしばしば。
全編を通し『泣き顔の描写』には太鼓判を押したいですし、ハーブの描写、ワンダラーの動き等、素晴らしい点も勿論あります。
ただ、たまにキャラ絵が止まっているように感じたり、ツカサやミチルの顔が崩れているように感じる場面も…。
ホントに酷い作品とは比べるべくもありませんが、同クールの京アニ作品「響け!ユーフォニアム」と比べると、かなりの大差です。
作画に関しては、目を見張る作画を目指すことの前に、まずは違和感を感じさせない作画を求めたいです。
定評ある制作会社の為、ハードルを上げて厳しい評価としますけど。


ただ、このような視聴者目線とは裏腹にツカサとアイラの、結末の分かり切った恋を育んでいく描写を、終盤からは一切ブレずにこれでもかと言うほど丁寧に描いた点は、作中で大きく評価したいところですね。
「あざとくても良い」とばかりに、泣かせるところは挿入歌を入れしっかり泣かせに来ました。

好きなシーンとしては、第8話ではぐれたアイラをツカサが捜すシーンですね。
素晴らしいタイミングでED曲が流れ
「はぐれた君を捜してたよ、呼びかけた声かき消されて…」
と、シーンと歌詞をリンクさせにかかってきます。
こういう演出は「化物語」をはじめ他作品でもままありますが、いつも鳥肌モノで大好きですね。

そして挿入歌として素晴らしかったのが、第1話や最終話等で流れる、メロディー・チューバックの「again & again」という曲ですね。
このピアノと声が非っっ常に綺麗で…、えぇ…はい…ストレートに泣かされました。
まぁ非常に涙腺が脆い私でも、結局泣いたのはこの曲のシーンだけでしたけど。

そうそう、シナリオの進行具合と共にアイラの表情が変わるOPも毎週楽しみでしたね。
ただ、それを言うとEDでアイラが何かを喋っているシーン、絶対最終話は台詞入りだと思ってたのになぁ…、残念…。。


さて、本作の主人公であるツカサは、これまたテンプレに近い優男であり、上司であるカヅキが冒頭で言った通りの『ロリコンであること』(←おい)を除けば、普通の好青年です。

ただ、そんな彼も最後の最後でしか、アイラに涙を見せることはありませんでした。
アイラのことを誰よりも何よりも純粋に想い、彼女に心配をかけたくない、彼女には最期まで笑顔のまま幸せでいて欲しい、と願った故の強がりでしたね…。
そんな気持ちを見透かされていたように、最期アイラはツカサの好きなところを

「辛いのに泣くのを我慢して、頑張って笑おうとするところ」

と言いました。
その時、彼は初めて…100%の本音を彼女に見せ涙を見せたんですね…。

彼女の最期を看取ったこの後、カヅキから

「最期まで、よく頑張ったな…。」

と言われた時の、その現実に改めて気付いたツカサがふいに泣き崩れるシーンは、非常に生々しく痛々しかったです。
でも、そんな強くて優しい彼だからこそ、アイラも想いを寄せたんでしょうね。

このラストに関してはホントに、誰もが想像出来うるような内容でした。
その後の、アイラの処遇に関しても。
当初に私が勝手に想像していたアイラのワンダラー化とか、そういう波乱も一切ありませんでした。
現実から抗った結果を、もう彼らは否が応でも学んでしまっていましたから…。

このツカサがこのストレートなシナリオに拍車をかけた節もありますが、ただ私はシナリオを追った上で、最終的に彼で良かったと思うようになりました。
何より、アイラが幸せそう……なので!!
{/netabare}



【アイラのアイラによるアイラのためのアニメ】
{netabare}
本作の見所は、もぅなんと言ってもポンコツ可愛いアイラちゃんに尽きます。
前文で私は本作の短所を、シナリオのあざとさと勝手に指摘しましたが、このアイラちゃんに至っては、その「あざとさ」がたまらない程に可愛かったのです。
勿論、故に真新しさはあまり感じないですけどね。
うん、でも可愛ければそれで良いのだ。
事実、今期のアニメヒロインランキングでは最終的に第3位、新規アニメでは堂々の第1位という結果を残しました。
やったぜ、アイラちゃん。
私的にも、萌えという一点においては、ここ一年ぐらいでは一番のヒットキャラかもしれません。

冒頭でこそクールなイメージがあったのですが、それは早くも第1話の「マンション落下→バナナの皮を頭に置く」で崩れ去り、以降は見る影もありません。
もう何をするにしてもポンコツ。
全てを、お約束レベルでしでかしてくれます。
それでも彼女は、いつもいつも一生懸命。
失敗の割に不相応な自信すら持ち合わせ、「やってやるぜ!」って顔をよくしていましたね。
長年連れ添ったカヅキ曰く、そういう顔の時は大抵ダメな時なのだとか…。
もぅ、なんて可愛いんだアイラちゃんはっ!!


ただ途中、彼女は元々優秀であり今現在ポンコツになっているのは経年劣化による身体低下によるものだと聞いてからは、可愛いというより可哀想に思えてきて、なんだか素直に萌えられなかったところは残念。
服をまともに着れなかったシーンは、所詮サービスシーンも兼ねてと思いつつも、「え? 服も着れないレベルなの?」と愕然として、少し引いてしまいました。
いや…でも一応…、……ありがとうございます。

寿命が迫っているという設定を伝える上では分かりやすい理由付けだったとは思うのですが、ここはただただアイラちゃんは天性のポンコツであるとか、「制作途中に雷が落ちてネジが一個とれた」ってコトでも良かったかもしれません。
元々がご都合主義の物語構成なら尚更。
昔は、カヅキとのコンビで多少ドジながらも回収率ナンバーワンを誇っていたようですが、それを想像した時の魅力の薄れ具合ときたら……。
やはりアイラちゃんは、超絶ポンコツであるからこそアイラちゃんなのです。


声優を担当された「雨宮 天(あまみや そら)」さんに関しては、一時期から怒涛に主演を担当し出したこともあり、正直もう食傷気味になりつつあって、加えて共通性のある「一週間フレンズ。」とも重なるので、当初は馴染み難かったのが正直な話。
ですが、アイラちゃんのイチイチと可愛い仕草を、これでもかと上手に表現して下さるので、見終わる頃にはやっぱり「雨宮さん良いわぁ」と思わされていました…、単純だなぁ…。


アイラちゃんの日記に綴られた、彼女の9年間の思い出。
思い出を引き裂く報われない仕事と言い張っていた彼女でしたが、ツカサと出会い愛を知ったことで…、その思い出を素直に受け止め、全てを大切な思い出へと変えていくことが出来ました。

「大切な人と、いつかまた巡りあえますように。」

と、沢山のギフティアに願った彼女もまた、ツカサからのその言葉とともに寿命を全うしました。
フィクションである作中でさえ、ありえないとされた願いではありますが、どうかこの願いだけはプラスティックなまま消え去らないでいてほしいですね。
{/netabare}


【総評】

今時珍しいぐらいの、とてもストレートな人間とアンドロイドの恋模様を描いた作品でした。
未来的な世界観や設定が登場しますが、そんなモノは最終的にあまり意味を成さないので、ハッキリ言ってしまえばどーでもいいです。
(実際、終盤前に制作側がそう示すような明言をされていましたしね。)

私は、出来れば始めから、ただただ純粋なラブストーリーとして本作を評価したかったです。
捻くれた見方をしなければ、もっと良い評価になっていたかもしれないですし。
演出面や2人の恋模様の描き方は、とても丁寧に作り込まれていましたからね。

結果的に、お気に入りの棚に入ることは今後も無いでしょう。
(俺の嫁の棚なんてモノがあれば、アイラちゃんは間違いなく入りますけどね。)
ただ、今期のオリジナル作品の一枠として、毎週気になって楽しませてくれ、キッチリと作品を描ききり完結してくれたので、非常に視聴後感の良い作品でした。

………………。
……と、綺麗に〆ようとしましたが…もぅ限界です。

はい、アイラちゃんがとにっっかく可愛いっ!!!
それだけで価値がある、それが本作の全てと言っても過言ではない。

「アイラ・ビー・バーーーック!!!!」

と言うことです……ハァハァ。
最後は下らないダジャレでお目汚しさせてしまい申し訳ありませんが、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『アイラ』声 - 雨宮天さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『アイラ』声 - 雨宮天さん


以下、アイラちゃんのことが萌え死ぬ勢いで好きな人のみ読みましょう。
上記以上にお目汚し必至な、カオスな文章となります。
{netabare}

さて、今回レビューするにあたり私は、アイラちゃんのどのシーンが一番萌えたかを考えてみたのですが、これがまたA難易度の国家資格並に難しく、加えて優柔不断である私は、全く答えを導き出すことが出来ませんでした。


というワケで、アイラちゃんの可愛さに萌え、悶え苦しみ抜いた皆々様。

これより45項目にも及ぶアイラちゃんの萌えシーンを羅列しますので、私と一緒に改めてアイラちゃんのポンコツ可愛い軌跡を追い、一番可愛かったシーンを決めようではありませんか。
(多少、私の偏った解釈のシーンもあるかもしれませんが、そこはご愛嬌。)

では、スタート。


01.エレベーターという密室で、ロリコンに邪な目をされ怯えるアイラちゃん。

02.某猫動画の如く手足を広げ、マンションからドヤ顔で落下するアイラちゃん。

03.バナナの皮を髪飾りにしながら、反省の意を示すアイラちゃん。

04.ギフティア回収の最終手段として、自信満々で食べ物で釣ろうとするアイラちゃん。

05.車内でトイレを我慢しつつも、実は若干の漏れを隠すことに必死なアイラちゃん。

06.回収中にズッコケて、鼻血を垂れながらも涙は垂らすまいと必死なアイラちゃん。

07.「暖気運動」が必要と言い張るアイラちゃん。

08.ツカサの妄想の中で、お風呂を覗かれるアイラちゃん。

09.洋服が上手く着れず、マズイ格好になったまま試着室から出てきちゃうアイラちゃん。

10.眼鏡を掛けたかと思いきや、ただの老眼だったアイラちゃん。

11.同じギフティアであるニーナの巨乳に顔を埋められ、なんとも言えない気持ちになるアイラちゃん。

12.ザックに「結構キモい」と言われながらも、笑顔の練習に励むアイラちゃん。

13.唐突に謎ソードを持ち出して構えるも、足蹴にされるアイラちゃん。

14.ツカサをストーカーする為ウェイトレスに変装するも、お冷を頭上にひっくり返し、半泣きで「ふぇ…」とか言っちゃうアイラちゃん。

15.まだまだツカサをストーカーする為シャワー室に潜入し、ツカサの全てを観察するアイラちゃん。

16.結局その愛らしい行動をシェリーに咎められ、緊急メンテが必要なレベルのたんこぶを腫らすアイラちゃん。

17.洗濯に目覚めた、アイラちゃん。

18.ツカサの社内書類を、思いっきり捨てるアイラちゃん。

19.カーナビを使わない→格好良いという理論を実践し、案の定迷うアイラちゃん。

20.熱で胸元に倒れこんだツカサを勘違いして、「エラァ…/// こういうの困る」って言っちゃうアイラちゃん。

21.充電が切れて、「なので」すら言えずヘタり込むアイラちゃん。

22.出張が出来ない子扱いされて、むくれるアイラちゃん。

23.お祭りで疎外感を感じ、エラーを連発しちゃうアイラちゃん。

24.思わぬツカサからの愛の告白に、「なので」口調すら忘れて「ムリです!!」って言っちゃうアイラちゃん。

25.その現実を受け止めようとして、「のでのでオーバーヒート」を起こすアイラちゃん。

26.「ダメだこの人」との呼び声高いエルにウサ耳パジャマを着させられ、身の危険を感じ涙目になるアイラちゃん。

27.ツカサとミチルとの事後を勘違いして、グルグル足になって逃げ出すアイラちゃん。

28.酔ったカヅキに、顔面を落書きされるアイラちゃん。

29.自分で書いた日記に赤面しちゃうアイラちゃん。

30.恋を覚え自分のあられもない下着姿に初めて気付き、恥ずかしさのあまり階段から落っこちて「ショッキングピンクwithゼブラ」を晒すアイラちゃん。

31.ヤスタカに恋人の初夜を指摘されて、いけない妄想をしちゃうアイラちゃん。

32.ツカサの食べ物の好みを知らない自分は、彼女失格だと落ち込むアイラちゃん。

33.しかし、食べ物の好みを聞こうとするもエラーが発動してミチルに怒られ「だってぇ…(;_;)」とか言っちゃうアイラちゃん。

34.ツカサにお揃いのパジャマを強要するアイラちゃん。

35.ツカサと一緒に料理を作るも、卵すらまともに割れないアイラちゃん。

36.ケチャップでハートマークを書くも、恥ずかし過ぎて上塗りして潰しちゃうアイラちゃん。

37.膝枕をドヤ顔で求めるアイラちゃん。

38.演歌を、ズンズンチャって踊りで表現するアイラちゃん。

39.事後を彷彿させるかのように、恥ずかしげもなくタオル一枚でツカサと風呂に入りはしゃぐアイラちゃん。

40.トトロに飛びつくメイちゃんの如く、遊園地のあまり可愛くないマスコットに飛びつくアイラちゃん。

41.ツカサの新しい恋人を想像して、ちょっと意地悪をしちゃうアイラちゃん。

42.ツカサが自分の好きなところを「背がちっちゃいところ」と言い、改めて自分の彼氏の性癖に戸惑うアイラちゃん。


43.大切な人と、いつかまた巡りあえますように祈るアイラちゃん。

44.その大切な人に看取ってもらい、安らかに眠りにつくアイラちゃん。


45.そして……、ツカサと改めて手を繋ぐ…、新しいアイラちゃん。



ーーー以上です。


……………ふぅ…。
なんて萌えシーンの多い作品なのだ…。

私的には絞りに絞った結果、02.05.06.08.14.17.20.21.24.25.28.30.31.33.36.37.39.40.43、となりました。
皆様は、どうでしたか?(笑)


さて、上記の全てのシーンを空で想像してニヤリと出来たら貴方は、もうアイラちゃんマスターです。

特別にアイラちゃんの前に限り、欲情を全面に押し出したワンダラーになることを許可します。

彼女が必死に抵抗をしめした場合は是非、こう言いましょう。


「エラー、よく聞き取れませんでした…ニヤリ」


と………。

さぁさぁ、ターミナルサービスが来るまでが勝負ですよ♪
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 59
ネタバレ

るるかん さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

鑑賞者の価値観と恋愛観に委ねられる傑作

林直孝氏がシュタゲで担当した部分はSFの部分では無くて、人と人とのつながりや、岡部と牧瀬のちょっとずつ距離が縮まっていく恋や、岡部とまゆりとの心地よい距離感のある関係の構築だったのでしょうね。シュタゲの下支え的な部分を綺麗に作っていたのだろうな・・・ということがプラメモを見ると実感できます。

<みどころ>
一生心に残る想い出は相手が人間であろうとアンドロイドであろうと関係ない。{netabare} アイラは一生懸命にツカサを愛し、ツカサの想い出の中で生き続けようとした。ツカサに出会い、ツカサの優しさや愛情を感じられなかったなら、アイラの最期は幸福感に満たされなかったであろう。{/netabare}
 
純粋に愛する人を想い、大切にするということはどういうことか、プラメモはストレートに感じさせてくれます。
{netabare}
ツカサはアイラを心から大切に想い、愛したからこそアイラも人を愛することを知り、その喜びと幸せを感じることができた。限られた時間の中で二人が育んだ幸せの軌跡だけに焦点を絞り、美しく表現してくれたことに拍手を送りたい。
 
愛に包まれた想い出を胸に、最期を迎えるまで笑顔でツカサとの時間を過ごしたアイラがとても愛おしく、また涙をこらえるツカサの切ない気持も見ていられないくらい感動できた。人間と人間的アンドロイドの『純愛』だからこそ、終始綺麗な内容で終えられたのかもしれない。{/netabare}
 
誰かを心から好きになったり、愛したことがある人にお薦めします。とても素晴らしい作品です。


<1話目~最終話までの軌跡> 
{netabare}
1話目を観た時に、『ギフティアの回収をメインに物語が展開されていくようならちょっとどうかな・・・』って思って観ていた。1話目にインパクトのある感動の話・・・よくあるパターンだと最初は思った。
だが話は、6話目から方向転換する・・・というかメインの話に移行する。ここからの話を深く楽しむための内容が1話~5話。それと社会への問題提起も少なからずあるだろう。
 
少子高齢化社会における老人介護福祉の問題、若年層の労働力の不足、両親のいない孤児(アンドロイドchildren)の問題等々、アイラ達ほど精巧でないにしても、顧客が求めるギフティアがそういう人たちの心の隙間を埋めていくことになる時代がやがてくるとしたら、日本はどうなるのでしょう・・・?との投げかけともとれる案件であった。
 
しかし、本筋は『全てアイラのため』に作られた5話。アイラがどういう性格のギフティアであるのかが窺い知れる内容で、後半との関連性もある。例えば、1話で二―ナがアイラに『本当は笑顔でお別れしたいんだけどな・・・・』と言い、おばあさんはツカサに『結局、私は自分のことしか考えてなかったんだね・・・』と自分を詰る場面は最終話のアイラの笑顔と最後まで涙を我慢したツカサの優しい気持ちに繋がっている。

4~5話のワンダラーの話は、回収期間内にアイラを回収しなければ、どうなるのか、ツカサは身をもって知ることになる。そして、アイラはただ笑顔だけじゃないツカサの強さと、事件後のソウタに対するツカサの優しさを知る。
この5回の話は、アイラとツカサがギフティアを共に回収する中でお互いに気がついたり、考えたり、努力したり・・・と、成長して気持ちを近づけていく演出にすぎない話だったように思う。
 
6話からは、アイラがツカサを意識しだすが、恋という感情に身を投じられないアイラは自分の殻の中でツカサを観察し始める。しかし、ツカサはいつもアイラに優しく笑顔で対応する。そんな折にツカサは、アイラの寿命は残り1000時間と聞かされる。ツカサはショックを受けるが、『最後までアイラのパートナーでいたい』と宣言する。アイラはカヅキとツカサのこの会話を立ち聞きし、過去にカヅキにパートナーを解消されたトラウマを払拭して、初めて笑顔らしき表情をツカサに向けるようになる。

7話はアイラとツカサは遊園地に初めてのデートに来る。ここでアイラは遊園地に来ると「嬉しいこととか、哀しいこととか、色々な感情が溢れてきちゃうので・・・」と言って浮かない表情であったが、遊園地で遊び、笑い、楽しみ、『見ているだけで温かい気持ちにしてくれる側』にアイラ自身がなれたことを実感できて嬉しかったのかもしれない。そしてツカサの存在を大切な人へと進展していく。初めてツカサと遊園地に来た時とは全然違う感情に至ったことは感じ取れると思います。
  
8話では、ツカサはミラベルの回収の際にOSの入れ替えを躊躇なく選択する奥方に会う。アイラの最期の後にツカサができる選択肢の一つにもなっている。OS入れ替えにも意義があると考える顧客の思想を取り入れたことはとてもよかった。最後にツカサはアイラに告白するが、アイラにまだ恋・愛の感情をまとめる力がなく、『無理です』と断り終了。笑って終了する話はこの回が最後ですよ・・・という合図なのか、OP曲が最後に流れた。
 
9話は傷心するツカサとは裏腹に、自分の恋心に気がつくアイラの心の葛藤の回。自分が恋をしても、想い出を残すことを快しとしないアイラは、ツカサから離れる決断をしているが、本心はそうではない感じが読みとれて、この心の葛藤をどう綺麗に進展させていくのかが焦点となった。
 
10話は神回でしょう。アイラとツカサのやりとりをもどかしく見るカヅキが、一時的にアイラと組み仕事を通して、頑固なアイラの心の扉を開こうとする。そして、アイラからツカサへの告白へ至る。この雨宮天さんの『好きなので。』の歌が流れる所からのアイラの描写がとても美しくて好き。告白の前に胸に手を当てる仕草の描写はとても美しい。勇気を振り絞る感を仕草で表し、一生懸命感を髪をフワリとさせる描写で綺麗に表す。言葉の使い方も丁寧で、細やかで繊細な告白シーンを美しく演出している。センスの良い美しい描写で、素直に感動しました♪ここはアイラと一緒に泣きました!
 
11話・12話はツカサとアイラのイチャイチャ話ですが、随所にツカサの胸に去来して離れない辛い気持ちが表れてくる。またアイラもそれは同様で、寿命を迎える自分への不安がつきまとう。こういう中でも、ツカサは笑顔で、アイラも笑顔でツカサに接する。どんなに不安なことがあっても、二人の時間こそが、二人を安心させる。勿論、時には仲間がそういう不安を拭ってくれることもあるという感じの話し。ツカサはアイラが仕事仲間のことも大好きであることを知っているので、いつも通りの毎日をアイラと過ごす。
この幸せな時間の描写がとても良かった。幸せな二人だけの時間を幸せに描くことに徹したことで、最後のアイラの笑顔の奥深さが実感できるのだ。
最後はどうまとめるのか、とても興味深かった。

 
最終話は、最後の一日。二人は部屋の清掃から始め、一緒にお風呂w しかし、いやらしい感じが無く、よかったんじゃないかな。最後に二人が行きたい所は当然、遊園地で決まりですよね。時間もあっという間に過ぎて、夕暮れ時、自分の影が長くなっていることに気付きアイラとの別れの時を意識し始めつつも気丈に振る舞うツカサ(とても悲しい・・・)。
アイラは「楽しかった想い出はちゃんと持って帰れるから・・・」と言った後に、最後の観覧車に二人で乗り込む。アイラは最期まで笑顔でツカサを見つめて、涙をこらえて笑顔を作ろうとするツカサを元気づける(涙ボロボロ・・・)。そして、ツカサは悲しみに耐えきれず涙を見せるが、アイラは笑顔でお別れのキスをする。アイラはどんな時にも笑顔で接してくれたツカサが、別れの時に涙を流してくれたことが嬉しかったのかもしれないね。きっとツカサの愛の深さを感じて幸せのまま目を閉じたことでしょう。最後まで笑顔のままで・・・ほんとに深い描写でした。
 
ツカサはアイラを回収する際に言った。
『大切な人といつかまた巡り会えますように・・・』
人間と耐用年数の限られたアンドロイドとの恋愛でなければ、この言葉は別れ際に発せられないであろう・・・。そして本当にアイラを愛しているからこそ、再び生まれ変わるアイラの幸せまで願った。漢だよ・・・ツカサ!!

 
 
林直孝氏のアイラを通して展開される恋愛観はとても美しかったと思います。13話の間に、アイラの心の動きを繊細に微妙に表現していく様子は見事でした。全体的に淡い色合いで構成された町並みも私の好みで好きだし、全ての話がしっかりと関わり合いがあり、より面白味と深さを堪能できました。
一見純愛の王道に見える本作ですが、人間と耐用年数が限られたアンドロイドの恋愛という設定が話に深みを与えた。本当に感心します。
 
他にも、女性らしい仕草の演出は上手で綺麗でした。言葉の使い方も、アイラの「・・・ので」に始まり、みんな特徴があってよかったです。
 
特筆すべきはOP/ED/again&again/「好きなので。」の4曲が話の一部として機能していたことです。曲もさることながら、タイミング・音の強弱の使い方・選曲、どれをとっても美しい選択でした。
OPもEDもどちらも林直孝氏の作詞で、この作品に込めた意気込みが曲からも詞からも伝わってきました。
もう一つは雨宮天さんの演技は素晴らしかった。間の使い方がとても上手な方ですね。告白の時の演技は何度見ても美しく・素晴らしい演技でした。告白シーンは、演技と作画の両方とも美しくて、そこだけ何度も観てしまいます。
 
プラメモの影の立役者は世話焼きのミチルですね!彼女の存在はとても大きかったです。随所に重要な役割を彼女に与えていましたが、その加減がいい塩梅でした。ミチルは最後に髪を切っていたけど、長い方がいいなぁ。
{/netabare} 
 
評価は分かれるでしょうが、私は名作だと思います。何度も観直すことと思いますが、この評価は未来永劫変わらないでしょう。
 
{netabare}最終話は泣かそうと思って作った話ではないように思います。回収直前になってもアイラの心に深く刻まれた『ツカサからの愛情と優しさ、そしてツカサへの感謝の気持ち』が、強く感じられます。最後までツカサを思いやる素敵なアイラを見せたかった林氏と藤原監督の渾身の最終話でした。{/netabare}優しい気持ちになる素敵な作品をありがとうございました。
筆舌に尽くし難い充足感と素晴らしさがプラメモにはあります。

ブルーレイで観ると、ほんとに綺麗な色使いが映えます。
雨宮天さんの『好きなので』もとても素敵な曲でした。ボーナストラックのギター版インストメンタルもとても雰囲気良くて満足できました!!

 

投稿 : 2025/02/01
♥ : 86

80.7 10 恋愛アニメランキング10位
NHKにようこそ!/N・H・Kにようこそ!(TVアニメ動画)

2006年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (1543)
7922人が棚に入れました
大学を中退して4年目の佐藤達広は、ひきこもりとなっていた。佐藤は、自分が大学を辞め、無職でひきこもりであることなど全てが、謎の巨大組織の陰謀であると妄想する。その組織の名はNHK(日本ひきこもり協会)。そんな折、中原岬と名乗る謎の美少女が佐藤の前に現れる。佐藤をひきこもりから脱却させるべく、岬は「プロジェクト」の遂行を宣言。その「プロジェクト」の目的が不明のまま、岬による佐藤のカウンセリングが始まる。

声優・キャラクター
小泉豊、牧野由依、阪口大助、小林沙苗、早水リサ
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ヒキコモリ君の妄想話とナメていたら、意外と確りとした《BMG/青春もの》でした!

※レビュータイトルでネタバレ防止のため、変な略語になってますが、BMG={netabare}Boy Meets Girl{/netabare}のことです。
もっとも、18歳のヒロインはともかく、主人公の方は22歳の青年なので、この表現にはちょっと語弊があると思いますが、一応、物語のスタイルとしては、そう要約するのが一番適当なのではないかと。

◆「もどかしい世界の上で」が流れ出す第13話が転換点なので、初見者はそこまで我慢してね!!

歌手で声優の牧野由依さんのアルバム『天球の音楽』(2006年12月リリース)には、『ARIA』で使われた「ウンディーネ」「ユーフォリア」「シンフォニー」、それから『ツバサ・クロニクル』で使われた「アムリタ」「ジャスミン」「夢のツバサ」といった私の好きな曲が沢山収められているので、そのCDを流しっぱなしにして度々ドライブをしていた時期が以前ありました。

そしてそのアルバムの4番目の曲は、最初は馴染みがなかったのでSKIPすることが多かったのですが、慣れてくると何だかこれも良い曲だなぁ・・・と思い始めて、そのうちその曲がくるとそこだけリピートすることが屡々ありました。

・・・そうやって、別段曲名を調べることもなく何となく曲調と歌詞はだいたい覚え込んでいたのですが、たまたま本作の第13話を見ていたら、そのエンディングに突然、この馴染みのある曲が流れてきて、驚いてようやく曲名を調べたら、これが本作2クール目ED「もどかしい世界の上で」だったんですね。

本作自体も、その第13話が、丁度全24話の折り返し点でありシナリオの転換点になっていて、それまで本作のことを、「情けないヒキコモリ君の妄想まみれの下らないコメディだろう・・・」とナメていた私の心が、第13話での意外な展開と、そこでEDとして初めて流れた本曲によって、一気に揺さぶられてしまい、あとは最終回までガッツリ作品世界に惹き込まれてしまいました。

ラスト2話では、それまで謎だった{netabare}ヒロインの真意と目的{/netabare}が過不足なくきっちり開示され、それに対する{netabare}主人公のリアクションと変化{/netabare}も中途半端ではなく納得できる結末まで確りと描き出され、視聴前には思ってもみなかった《感動》まで味わうことが出来、その直後から1周目の時は早々に「ながら見」になってしまっていた序盤からもう一度確り見直そう、という気持ちになりました。


◆本作は、ヒロインの《ulterior motive(アルテリア・モウティヴ 隠された動機)》に見どころがある優秀作

私がこれまで視聴した作品で、同系列(隠された動機系)の名作/優秀作/人気作としては

(1) 『アイドル・マスター』 (2011年)(25話+劇場版) ※個人評価 ★★ 4.7
(2) 『俺の妹がこんなに可愛いはずがない』 (2009,13年)(31話) ※個人評価 ★★ 4.6
(3) 『四月は君の嘘』 (2014年)(24話) ※個人評価 ☆ 3.9

・・・の3本が挙げられると思います。
要するに、この手の作品は、

<1> 1周目では、我々視聴者は、「視点人物」たる「仮・主人公」の少年(ないし青年(*1))のモノの見え方や心情に沿って、謎めいたヒロインの行動動機や心情を訝(いぶか)しがりながら物語を追っていくしかないのですが、
<2> それらが開示されたあとの2周目では、今度は「真・主人公」たる「ヒロイン」の心情が、各々のシーンでどのように描き出されているのか?を読み取り/確認しながら、物語を再度追いかけていく、

・・・という二重の楽しみ方を出来ることになります。

(*1)『アイマス』の場合は、プロデューサーの視点。

一応、ここで私の意見を率直に述べると、上記の3作品の中で本サイトの総合評点が一番高い『四月は君の嘘』の場合は、該当レビューの方にも少し書きましたが、2周目視聴時点で気づくヒロインの描かれ方が、やはりどこかいい加減で中途半端(※肝心のシーンで急にギャグ調の作画に切り替わって何だか胡麻化された気分になってしまう点が特に・・・)であり、“泣ける”作品としては非常に需要にマッチして良く出来ているのだろう、とは思うけれども、私などが好む“心情描写系”作品としては、いまいち粗雑な出来なのでは?と思ってしまいます(※そのため私の個人評点もそこそこに留まる)。

一方、本作の場合は、いざ2周してみると存外にヒロインの側の《心情描写》が確りしている、というか、気合を入れて見ていなかった1周目では見過ごしてしまっていた彼女の心の動きが、実に細かくキチンと描き出されていることを、あちこちのシーンで確認できて、視聴時の満足度が跳ね上がってしまいました。

⇒ということで、本作の個人評価を、『君嘘』よりはだいぶ高いけど、『俺妹』よりはやや低い、★ 4.4 とします。

※ヒロインには大きく感情移入できたけど、ヒキコモリの主人公の方は色々とマイナス点が多くて、『俺妹』ほどには評価が高くなりませんでした(←それでも最後は{netabare}主人公も頑張ってくれた{/netabare}ので、完走後の後味は悪くないはず)。

《まとめ》
本作は、序盤の主人公のネガティブさに閉口してしまう方が多いと思いますが、そこを何とか我慢して切り抜ければ、中盤過ぎから急に面白くなり、最後は感動も出来てしまって、さらにもう一周したくなる、1粒で2度美味しい《感情描写系》の優秀作と思います。
とくに、『俺妹』や『アイマス』を、途中で飽きてきて断念したくなりながらも、頑張って視聴を続けたところ、途中から急に楽しくなって最後は確り感動できた人には、割と同様の視聴経験が出来る作品として、お薦めしたくなりました。


◆視聴メモ(2周目)

※上記のとおり本作の1周目の半ばまで、「ながら視聴」して視聴メモは全く取っていませんでした(従って以下のメモは2周目時点のものです)。
{netabare}
・第1話視聴終了時点
冒頭のシーンだけでも色々と気づくことが多くて・・・2周目に色々と発見がある作品はやはり名作なのかも?
そして、Aパートの終わりで早くもヒロイン登場←今考えると、本作ってこの第1話から最終話まで《引きこもり青年×動機を秘めた少女》の初対面からの《感情推移》を描いた作品として、実は全然ブレてなかったんだね(1周目視聴時は全然そうゆう展開になるとは想像できませんでした)。
・・・とゆーか、N・H・Kの陰謀って「Nihon・Hikikomori・Kyokai(日本ひきこもり協会)」ではなくて「Naka・Hara・misaKi(中原岬)」の陰謀だよね笑。
1周目は専ら主人公(※正確には視点人物)の側から、そして2周目になるとヒロイン目線をプラスしてより重層的に物語を追える作品と確定!
やっぱりそういう2度美味しい作品は良い!!!
・第2話視聴終了時点
引きこもりがよくSOHOなんて単語知っているな笑。
・第5話視聴終了時点
岬のカウンセリング第1回・・・八百万の神やフロイトの夢分析について岬より詳しい佐藤(←大学中退の22歳と18歳だとそうなるな普通。)
・第6-12話視聴終了時点
何気ないエピソードが淡々と続くが、後から考えると第13話までつなげていくこの一連の展開はなかなか良く出来ていると思う。
・第13話視聴終了時点
岬の意外な本心が噴出してしまう注目回であり、初めて流れる2番目ED「もどかしい世界の上で」も◎(初の★★(優秀回))。
・第15-19話視聴終了時点時点
佐藤がネトゲとマルチ商法に巻き込まれる話。
ここはシナリオの本筋には余りないマンネリ気味の展開で、ちょっと残念(個々のエピソード自体は面白いけど)。
・第23話視聴終了時点
特殊EDは多分ここだけ。流石にドラマチックな展開で2度目の★★。
・第24(最終)話視聴終了時点
佐藤がオカリンに見える!・・・というか、こっちの方が早かったんだね。
第1話冒頭の主人公の夢落ちと重なる内容は◎、ラストはあっさり展開でここも好感を持てました(3回目の★★)。
{/netabare}


◆制作情報
{netabare}
原作小説        滝本竜彦(WEBサイト「Boiled Eggs Online」2001年1-4月連載)
監督           山本裕介
シリーズ構成・脚本  西園悟
キャラクターデザイン 右湊具央、吉田隆彦
音楽           パール兄弟
アニメーション制作  GONZO{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

================== N・H・Kにようこそ! (2006年7-12月) ================

 - - - - - - - - OP「パズル」、ED「踊る赤ちゃん人間」 - - - - - - - - -
{netabare}
第1話 プロジェクトにようこそ! ★ 佐藤達広(22歳、大学中退ニート、ヒキコモリ歴まもなく4年)、N・H・K(日本ひきこもり協会)の陰謀?、中原岬(18歳)との出遭い、公園呼出し(岬のプロジェクト開始)
第2話 クリエイターにようこそ! ★ ヒキコモリ脱出サポート契約の提案、隣人アニヲタ(山崎薫、高校時代の文芸部の1年後輩)、岬との約束(制作ゲームを見せる)
第3話 美少女にようこそ! ★ ギャルゲー事始め、校門前取材(盗撮未遂と岬の意味不明な態度)
第4話 新世界にようこそ! ☆ 山崎との聖地・秋葉原巡礼(ヒロインのキャラ作り取材)、柏先輩との再会
第5話 カウンセリングにようこそ! ★ 続き、中原との契約成立、引きこもり脱出講義開始、ゲームシナリオ作り
第6話 クラスルームにようこそ! ★ 続き、山崎の彼女疑惑、伐々木デザイナー学院見学
第7話 モラトリアムにようこそ! ★ 母親からの上京連絡、岬の恋人役引き受け、初デート
第8話 中華街にようこそ! ★ 母親上京、3人のお食事会(横浜中華街)、芝居からのはみだしデート
第9話 夏の日にようこそ! ★ ゲーム作りの期限、山崎の初恋の思い出、夏祭り(岬との花火鑑賞)
第10話 ダークサイドにようこそ! ★ 岬に惹かれる気持ちと募る疑念、岬尾行、岬への捨てゼリフ(カウンセリング放棄)
第11話 陰謀にようこそ! ★ 柏先輩からの連絡・突然の来訪、先輩との思い出、「天国に一番近い島」オフ会へ
第12話 オフ会にようこそ! ★ 陰気な集団との無人島行き、オフ会の目的判明{/netabare}

 - - - OP「パズル -extra hot mix-」、ED「もどかしい世界の上で」 - - -
{netabare}
第13話 天国にようこそ! ★★ 山崎の岬問い詰め、集団自殺一歩手前、岬の引き留め(本心吐露)
第14話 現実(リアル)にようこそ! ★ 城ケ崎のオフ会メンバー暑海温泉招待、岬の置き手紙、カウンセリング再開、夏コミ失敗、母親からの電話
第15話 ファンタジーにようこそ! ☆ 仕送り半額に、RMT(リアルマネートレード)参戦(ミアとの出遭い)、カウンセリングすっぽかし
第16話 ゲームオーバーにようこそ! ☆ 岬の佐藤リアル引き戻し作戦、ミアの正体・ネトゲの現実(山崎の忠告)、高校の同級生(小林)からの電話
第17話 はぴねすにようこそ! ☆ マルチ商法(ねずみ講)サークル、小林のなき脅し
第18話 ノーフューチャーにようこそ! ☆ クーリングオフ交渉大失敗、委員長宅訪問(トロトロの中の人)
第19話 青い鳥にようこそ! ★ 小林の兄・友一(トロトロ)との決別会話、岬の手料理、マウスロード強制捜査、友一のヒキコモリ脱出
第20話 冬の日にようこそ! ★ 冬コミ間近の追い込み、山崎の個人事情(帰郷決定、七菜子との決別)
第21話 リセットにようこそ! ★ ギャルゲー完成(冬コミ)、山崎との別れ(北海道帰郷)、カウンセリング年末試験(初詣デート、岬とはぐれて)
第22話 神様にようこそ! ★ 続き(柏先輩との別れ、岬の誤解と動揺)、猫の埋葬、意地悪な神様、岬のプロジェクト進行
第23話 岬にようこそ! ★★ 岬のトラウマ、カウンセリング卒業試験合格、新しい契約拒否、仕送り途絶・警備員バイト開始、岬のリストカット・、岬の家庭事情、遺書と失踪
第24話 N・H・Kにようこそ! ★★ 雪の石濱岬の一幕、岬の生家(廃屋)、後日譚(桜の季節){/netabare}
------------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)15、☆(並回)6、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.4


最後に一言。
本作には、確率1%の「N・H・Kの陰謀」が確実に存在する!
そう、それは「{netabare}N(aka)・H(ara)・(misa)K(i){/netabare}の陰謀」なのだ!!!
←この陰謀はアリだと思った(※『俺妹』の桐乃よりもずっとリアリティありそう)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 25
ネタバレ

buon さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ああ、売れないわけだ。超怒級ドM専用の名作

これ、痛みを一つも覚えず完走できるヤツはアニオタにいないだろうな。
1話見て「3チャンにしては過激だなぁ」とか思ってたら、民放やんw
これ怒られんかなww
元ネタとして使われているローマ字のとこの風刺とか、なんか込められてるでしょ。
最初は「NHKのお仕事現場をアニメにしました」ってドキュメントっぽい
『働くって素晴らしい♪』って感じのお仕事紹介アニメだと思ってた。
ええ、ある意味、ビシバシ刺激を受けて労働意欲増進、食欲旺盛になりましたとも。

◇小説原作!?、2クール、全24話、一冊だから買っちゃった♪

誰でもこれ観たら何かしらドコかしら痛いだろうな。
四畳半を観たときに感じたものに近い感覚があるが、破壊力が30倍増し。


さて、アニメ業界の購買層のシェアはどんなもんなんだろう?
廃人(引き籠って、資金源が自分以外にある)、
お得意様(働いたお金をほぼ全額アニメ業界につぎ込んでくれる人)、
この層が厚いと売れないだろうね。

魔法使い、童貞、最近じゃセカンド童貞という言葉もあるらしい、
そこら辺の層もどうなんだろう。
ぶっちゃけダメ人間の素養がある人間の方が購買力あると思う。

リア充、あるいはどん底から完全に立ち直った人間に購買力があるとは思えない。
・・・って言うか、完全に立ち直るとか、真人間とかいないけど。
リア充と呼ばれている人もお花畑をフルタイムで漫喫してるわけなじゃいけど。
むむむ、オレは一体何を言っているんだ?? w

要するにダメ人間が買いたくなくなるような作品。


☆あらすじ☆
ニートの佐藤くんが新興宗教チックな女神の岬ちゃんに救済の手を差し伸べられる話。
★そんだけ★じゃないよーw

こういうのを「アニオタへのアンチテーゼ」「現代アニメのアンチテーゼ」とかいうのかな。
ってアンチテーゼってなんだよwググった、命題の反対って、数学か!弁証法って久しぶりだよ!!
使用例はなんか見たことあるからなんとなく分かるが。

思考に支障を来す様な作品だった。
内容は↑に書いてある分の感想を見たらなんとなく分かるっしょ。

ドMにオススメ、あとは岬ちゃんに惚れたら観た方がイイ・・・のかなぁ。
とりあえず、一回観てみな。

ちょっと残念なのが1~5話までエロゲとか変態チックな話がメインなことかな。
それが取っ付きにくさとなってるかも。
あと作画がひどい回が2,3回ある。一応、女の子の出番が少ない回とか選んでそうだから、
オレとしてはあんまり気にならん。ネタと思ってる。

この作品でも言ってたが、挙げられていたのはエロゲだけど、
「消費者は現実なんか求めていないんだよ!」って方にはオススメしない。

それにしても、山崎イイヤツ過ぎるな。なんだかんだで佐藤くんもイイヤツだな。
でも佐藤は完全にニート貴族。タバコに酒に、それだけで少なくとも毎月2万円超えてるだろw


そう言えば友人が言ってたが、
今の社会は「イイヤツが上に登りづらい」って。
オレは「イイヤツは上にいない」って思う。下にもね。ドコでも誰でも住みづらい世の中だよ。


OPすげー好き☆☆☆☆☆ 何、この溢れる名作臭w
EDも好き★★★★★ 虐めたいの? ええ、虐めてください♪
2クール目のEDは牧野さんの歌、こっちもええ♪♪
・・・あの赤ちゃん人間の絵、どこで見たっけなぁ~

ああ、1つだけ言っておかないとな。
{netabare}「ニートになっても、何年待っても、岬ちゅぁんは来ちゃくれないんだよぉぁー!!!」


※完走した人用の感想 → {netabare}

岬ちゃん役の牧野さんて、{netabare}シーキューブのユラ公だったのか(T_T)
・・・イイ声なのに、めぐり合わせで仕事も変わりそうだな。{/netabare}


※※以下、断定口調で述べますが語尾に「気がする」を付けて読んでね♪


この作品の裏を読むと面白いことが三つある。

一つは、誰も死んでないこと。
引き籠りもその素質があるヤツも「死にたい」とか簡単に口にするけど、
こういう人間って大抵は犯罪するようなこともないし、自殺することもない。
よく「自殺する勇気がない」とかいう言葉を耳にするが、
「~する勇気」って、あれ、勇気じゃないから。
本当に死んでしまう人は、悩むことや勇気とか、そういうの通り越して何も考えてないし、
考えられない。
だから考えられる人間は引き籠る余裕がある。

もう一つは、ラスト2話の前に引き籠りを脱出する例が2つあったこと。
1つは、見栄のために働こうとしたこと。
「かわいい女の子に引き籠りと思われたくない」
もう1つは委員長の兄ちゃんがアルバイトしてたこと。
「飯を食わせてくれれば何でもする」
兄ちゃんのが一番強い理由になる。
女の子にカッコ悪く思われたくない、とかの理由もイイ。
「空腹」「カッコ悪い」とかこういうマイナスの方向の動機は実に行動しやすい。
とりあえず佐藤くんは、
バイト先に岬ちゃんがいなかったらあの時点で引き籠り、ニートでなくなったかも。
あの動機付けで続くかは知らん。
ちなみに「岬ちゃんと付き合いたい」とかあまりにも明確な動機だと、長続きしない。
動機は単純で切実な方が、脱する力は強い。

最後は、実は周りの支えが引き籠りを脱するのを阻害していたこと。
単純に山崎や岬ちゃんがいなければもっと早く引き籠りを脱してたかも。
あの天使のような岬ちゃんが佐藤くんの自立を阻害してたかも、
という事実がなんか悲しい。
佐藤くんに関してだけ言えば、
彼自身はダメ人間だがどちらかというとイイ人間。
母さんに罪悪感を感じ、自分の状況をある程度理解していた。
しかも、妙な見栄があって餓死しそうになっても北海道に帰らなかった。
(帰るという選択肢がなかったから、交通費を残すなんてことを考えなかった。)
となると働くしかない、という状況は遠からず来ていた。
岬ちゃんや山崎が食糧支援してたから、飯の点だけでも、窮地からは遠のいた。

こういう見方をすると恐ろしいなw
もっとも、怪しい自殺のお誘い、マルチ商法地獄エンドから逃れられたのも、
あの2人の支えがあったから、という物語としての事実がある。
それに人間的な成長に大きく貢献していた。


この作品は物語として極端ではあるが、引き籠り・ニートについてよく表していた。

引き籠りの脱し方は最終話まで観ても、一話の結論から少しも変わっていない。

最後は岬ちゃんと恋人エンドっぽいけど、結局チューすらしてないし、
幸せなのか、幸せになれるのかもわからない。

ダメ人間同士が傷を舐め合っているだけにも見えるが、
それでも生きている、それで死なないなら御の字じゃん。

何でもいいから働いて生きろ、って単純なメッセージを私は勝手に受け取りました。
曲解して「かわいい女の子と楽しい時間を過ごしたいなら働け」ともw
あ~、オレもかわええ女の子とイチャイチャして~www



小説のプチ感想 {netabare}
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小説だと山崎も佐藤くんもかなり末期だなw

アニメの元ネタは1クール分ぐらいしかなくて、
大筋の流れは同じでも、その過程が大分異なるので、アニメと小説で2度楽しめる。
岬ちゃんについて詳しく書かれているから、感情の入り方が変わった。

どっちにしても、凹む内容だwwwww

アニメは、カッコいい山崎とアクティブにダメな佐藤くん、可愛く献身的な岬ちゃん、
2クールでちょっとダラダラだが、エンターテイメント性の富んだ作品。
小説は、末期な佐藤くんとかなりダメな山崎、淡白な岬ちゃん、
1冊だけをサクッと読めて、より無情感を楽しめる作品。時間的にはこっち。

それにしてもアニメの脚本家?さんスゲーな。
よく小説を消化して昇華させたもんだ。
オリジナル要素てんこ盛りなのに、本質的には変わっていない。

小説は挿絵ないし、アニメ観た方が情景が思い浮かべやすいので、
岬ちゃんの可愛さを漫喫したかったら先にアニメを。
先に小説を読むと、きっと主人公と自分、他の登場人物も知り合いに入れ替わるから、
ドM日本代表は先に小説を。

どっちから入っても楽しめると思う★ ヒッヒッヒ

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

「じゃ、また夜に、公園で。」

2話でヤマザキ君がちゃんと出て来るまで
「ひょっとして…この隣人は孤独死していて、ついに主人公は発見してしまうのではないか。夏場だし死体の腐敗もきっとひどい。引きこもりの末路を見た彼は、部屋から出る決心をするのでは…」
という展開を妄想して、ヒヤヒヤしていました。
いや、壁の向こうで同じ曲がループ…というのがそう思わせたのでした。
みさきちゃんも、「本当に存在するのだろうか…彼にしか見えなかったら…」とか。
身構えて見てたのですが、何やら物騒なことを見せそうな雰囲気がビンビン漂っていたのですよ。

内容は、痛い。序盤は特に痛い迷走ですね。
考えたくない事から目を逸らすのに必死になってエネルギーを注ぐ事で、また目を逸らしたい事実を作ってしまう。
横道でも、邪道でも、真剣に楽しめれば、楽しませられれば、それが突破口になることもある!?
目指せ、わらしべ長者。でも、求めることはすぐに等価交換はでき無くて…。

人間万事塞翁が馬、いいと思った事、ダメと思った事も、ゆくゆくはひっくり返ったりもするような話なのかな…?と思いつつ視聴。

序盤。ヤマザキの切れやすさと主人公とのやりとりが、コメディとして楽しいです。
他の方のレビューにもあったれど、仲間の出来方が確かに急かもしれない。こんなに仲間が居るじゃないですか、主人公…。

7話まで
岬ちゃんのプロフィールを知ろうとしないのが不思議だった。どうして相手が自分に興味を持ったのか、気にならないのかな。
{netabare} 「親についた"恋人"という嘘がバレるから知っとかねば」ということで、ちょっと詮索してみるのだけど、岬ちゃんの現実に踏み込みたい訳ではない。
…高校時代の先輩とも、そうだったんだろうね。
ガードが固いんだかユルユルなんだか分からない主人公だなあ。{/netabare}

10話くらいでやっと岬ちゃんのバックボーンが気になり出して、 {netabare}しかし同時に身を引いちゃうのか…。
うーむ。。
主人公が「自分の子供時代のかわいい純真な姿」を思い返すのがなんとも切ないんですが…それは記憶補正もあるかもよー。

岬ちゃんのルートをおいて置いて、先輩へという感じですが、先輩も何か暗いですよ。 {/netabare}
ひょっとして、このアニメの展開は、
「どの選択肢を選んでも他人に委ねる限りはうまくいかない」…っていう話なのだろうか。

12〜13話
どんな暗い話になるのかと思いきや、サスペンス調でドラマチック。そうくるか!てとこが多くて、面白かった。
{netabare}自殺幇助、ダメ絶対の話。お金持ちだけど全てを失ったオジさんの身の上話、もっと聞きたかったけどな。やっぱりそこで「聞いちゃいけなかった…」て引いちゃうのが、サトー君なんだな。

主人公が1人で元気いっぱい空回りする自身の姿に、昔の懸命な学級委員長を思い起こして重ね、その頃からの無関心で怠惰な自分の事を後悔するとか、素直でグッときた…。
しかし、大活躍のお株は、自殺を考え直した眼鏡の医大中退に持ってかれる。そうですよ。遺されたお母さんや子供は、一時ではなくその後ずっと辛いですよ。{/netabare}

16、17話
ああー、やっぱり、「他人に委ねる限りはうまくいかない」流れが来た。{netabare}マルチ商法。

そしてサトーのネトゲー部屋をせっせとお掃除して、オムライス作って待ってる、岬ちゃんの健気さが凄い。おしかけ女房の鑑です。QEEN OF OSHIKAKE。
ネズミ印の商品を大袋に抱えて、満面の笑みでアパートへ帰ってきたサトー君を、待ち構えた二人。
ヤマザキ御奉行の眼鏡が光る。
切っておしまいなさい…!{/netabare}

18話
クーリングオフ大作戦。
{netabare}本当に、ヤマザキと岬ちゃんが居てくれてよかった!!
と思ったのも 束の間…

ヤマザキお奉行の背中の桜が、ネズミに散った…。わぁーん‼{/netabare}

19話
でもやっぱり仲間がいてよかったよ…。
{netabare}
委員長の兄さん、そう来たか…って意外な脱出劇を見せてくれました。
地方へ行けば結構若人は貴重がられますが、先日まで引きこもってた目と鼻の先で頑張ってる姿がミソですね。
(地方での健闘はヤマザキが担うことに…。)

高校時代の委員長の熱心さを思い起こせたことが、自殺幇助の際に主人公の身を助けた一因になっていたと思うんですが、委員長は知らないままでしたね。
{/netabare}
生命維持のための焦りと、
受け入れて見守ってくれる周囲の支えが、自立の支えになるという話。
他人の間で必要とされたいという本人の切実さ、も大事かなあと感じます。

21話{netabare}
マリッジブルーをチラつかせてサトー君を誘う「先輩」、ダメな人だなあ…。良い悪いで見たくないですが、ダメです。
サトー君の深入りしたがらない性分と、これまでで懲りた事もあってか、「不倫してみる?」のお誘いはすぐに断れて真っ当でした。
先輩は、どうあっても心の充足感を得にくい性分なんでしょうか。
難儀だと思う、それは。
しかも妊娠してるって。すぐにおめでとうを言えたサトー君は、やはり真っ当でした。

ヤマザキの家出と怒りっぽさは、保険に自らの人生と値段を決められていた所に起因していたのか…。
ヤマザキの「田舎の人間関係は、酒が呑めればやってけるぜぇ〜!」という報告に、まさか、このままアルコール依存症の流れまでこないだろうな…と心配に。もはや人生の落し穴を探せ!状態です。{/netabare}

23話あたりからは
岬ちゃんとサトー君との間がいよいよ佳境に。
やっと岬ちゃんの故郷について、ふと聞いてみるサトー君ですが、さびしいからそばに居て‼という岬ちゃんの切実な告白に、
やっぱりまた身を引いてしまう。まだまだ心の中のさびしさの実が熟さないんでしょうか。
でもちょっと男の子らしいと思えた。

ここからのラブストーリーはとても丁寧で、終わった時には岬ちゃんとサトー君のカップルが何だか好きになっていました。

ひきこもりがテーマの、回りくどいラブストーリーだったのかもしれない。
同じようなひきこもり・卑屈脱却を描いた四畳半神話大系と比べても、とてもリアルな描写が多くて重い部分もありましたが、コメディの効いたドラマチックな面も多くて見応えがありました。

とても読みづらいレビューになってしまいました。御一読ありがとうございます。でも何か、色々語りたくなってしまう作品ですね。
他の方たちのレビューも面白く拝見できた不思議な作品でした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 28

80.4 11 恋愛アニメランキング11位
バクマン。(TVアニメ動画)

2010年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (1370)
7873人が棚に入れました
舞台は埼玉県谷草市、中学3年生の真城最高(サイコー)は、高い画力がありながらも将来に夢を持たず、ただ流されて普通に生きていくだけの退屈な日々を送っていた。そんな最高の叔父は、かつて週刊少年ジャンプに連載し、その作品がアニメ化もされた漫画家川口たろうであったが、連載打ち切りとなり、その後の過労により亡くなった過去があった。ある日、些細な出来事をきっかけに、秀才のクラスメイトで原作家志望の高木秋人(シュージン)に、「俺と組んで漫画家にならないか」と誘われる。はじめは一緒に漫画を描くことを拒絶していたが、声優を目指している片思いのクラスメイト亜豆美保と、「アニメ化したら結婚する」と約束したことから、漫画家への道を志すことになる。

声優・キャラクター
阿部敦、日野聡、早見沙織、矢作紗友里、岡本信彦、諏訪部順一、志村知幸、川澄綾子、藤村歩、利根健太朗、野島裕史、川田紳司、堀内賢雄、浜田賢二

セメント さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

俺と組んでマンガ家になってくれ!

私は少年時代を週刊少年ジャンプと共に過ごしてきたわけではないので、事情をそれほど知らないのですが、今時のジャンプ作品は、こういった冷めた感じのが人気あるんですねぇ
強敵が次々現れて、ドッカンバッコンやって、っていう王道漫画、それこそ今作に出てくる、新妻エイジが連載してるようなタイプのバトル漫画ばかりなのだと思ってました


斜に構えた演出もなく無難なストーリー、過剰に熱くなく展開もサクサク進んで、少なくとも見ててストレスを感じません
こういうのって大抵、作者が劇中漫画考えるの飽きて、途中から恋愛ものや日常ものに逸れるのがお決まりですが、それを考えると、今作は終始主題に徹してますので、そこは評価出来ましょう
仕事も恋愛も何不自由なく、人生全て上手くのが確定してそうな主人公たちによる、”俺TUEEEE”なドヤ顔感に引っかかる物がありますが、そこは少年漫画だから仕方ないとして、それを抜けば十分楽しめる物語であると思います
しかし、あくまでフィクションの域は出ません
サブカル系を取り扱った創作側視点の作品といえば「コミックパーティ」とか「ドージンワーク」、これらにも共通しますが、色々と美化しすぎな点
ジャンプ作品特有の上手くいきすぎな点と絡めて、バリバリ違和感を感じます
ワンピースやナルトなど有名タイトルがそのまんま出てきたり(の割には集英社や少年ジャンプについては名前を変えてます)、お茶出されると通るとか、読者アンケート2割で人気作とかいう小話が出てきたり、如何にも作者自身の実体験を基にしたそれっぽい感じになってますが、やっぱり
なので将来漫画家を目指す人にとって役立つ作品かと問われれば、否定する他ありません、当たり前ですが
個人的には、もっと現実味のある内容だったら、ハマっていたかなという印象です

作画に関して、多用される俯瞰カットとか似たような構図ばかりで、アニメーションとしては若干物足りない感じです
アニメ制作はJ.C.STAFF、NHKで放送していました
1話アバンは「超ヒーロー伝説」なる劇中アニメから始まります
チャンネル間違えたかな?と思わせるこの手法といえば「げんしけん」ですね
その他にも、登場する漫画家たちが書いた劇中漫画が声付きで楽しめます、触りだけですけど
バイオレンスにサスペンスにメルヘンに色んなジャンルの漫画が登場しますからね、面白いですよ

真城役に阿部敦さん、高木役に日野聡さん
あとはまぁ土曜の夕方アニメクオリティな声優陣が並んでます
そつのない配役だと思います

まぁこれは誰もが思っていることでしょうが、OPとEDは逆にした方がいいですよね
OPはゆったり、EDはテンポが良くて、常に違和感に悩まされます、よーらー♪じゃないですって
コブクロさんはちょっと前に「クロスゲーム」でもアニメタイアップを歌ってますね
有名歌手を起用は一般人受けが良さそうに思えますが、必ずしも作品に合っている曲が出来上がるわけではなく
タイアップ完全無視の自分たちの曲になってるケースがほとんどですからねぇ、無理して一般狙い決め込まなくてもいいような気はします

どいつもこいつも性格DQN、性格ビッチなキャラばっかですね
ジャンプキャラは基本根明で、今作もその煽りを受けて、フランク気取ってる風貌ですが、もっと根暗だった方が好みです
それこそ中井さんみたいな、彼は現実的なキャラでしたよね
蒼樹嬢との関係をなんとしても応援したいのですが、どうせ上手くいかないんでしょう、ファック
小豆とか香耶とか、今作の女性キャラは目が小さすぎて萌えという対象からは外れますね
男性キャラより小さいのではないかと思うくらいで、原作もこんなに小さかったですっけ・・・


漫画家って高校生でデビューしてくとか割とざらにあるもんなんですかね
13歳で既にってのも聞きますし、かと思えば93歳でデビューする人もいたり、漫画業界というものはつくづく不明瞭です
さて、これから主人公たちは漫画家としてどうなっていくのか、新妻エイジの嫌いな漫画を終わらせる権限がどの漫画に発動するのか、真城が過労で倒れそうになったのは伏線なのか、等々先の展開が気になる形での最終回でしたが
分割放送で、1年経つごとにやってくみたいなので、期待と言うことで

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

なに・・・この面白さはっ!?

この作品の原作は未読です。友人とアニメ談義をしている中、私が「ヒカルの碁」を完走した事、凄く気持ちが熱くなる面白い作品だったなどと話をすると、友人から原作者繋がりでこの作品を紹介して貰いました。

画の才能に恵まれた真城 最高(ましろ もりたか)と、文才のある高木 秋人(たかぎ あきと)が中学時代に一緒に漫画家になる事を約束し・・・その道を進んでいく様を描いた作品です。
これまで友人が紹介してくれた作品に間違いはありません。
なので、即視聴する事を決めた訳ですが・・・漫画を描いている姿ってあまり大きな動きはなく、週刊誌であれば〆切を気にしながら毎週同じ事を繰り返す単調な作業になっちゃうんじゃ・・・
とも思いましたが、少年ジャンプで連載されアニメ化までされた作品なので、予備知識を持たずに視聴してみよう・・・という事で視聴を始めた訳ですが・・・

序盤でこの作品に対するイメージがガラリと変わりました^^
この作品・・・ムッチャ熱いじゃないですかっ!!
少しでも単調だと思った自分が恥ずかしいくらい熱い作品でした^^

真城 最高にはどうしても叶えたい夢があります・・・少年ジャックで長期連載できる著名な漫画家になって、作品をアニメ化して貰うという漫画家を志す人なら、きっと誰もが一度は願う夢・・・この夢の実現に向け、高木 秋人と二人三脚で高校生漫画家を目指して取り組んでいくのですが、漫画家を目指すってとても大変な事だったんですね^^;

私は漫画の作り手を目指したことが無いので、この世界の厳しさが正直分かりませんでしたが、この作品を見て一番最初に感じたのが夢見る門の狭さです・・・
漫画家を目指す人は大勢いて、その人達は日頃から自分を磨きしのぎを削っているんです。

それは少しでも多くの読者に読んで欲しいから・・・
それは一人でも多くの人に作品の面白さを知って欲しいから・・・

ですが、ようやく紙面に掲載して貰えるのはその中のほんのひと握りだけなんです。
それも、いきなり連載漫画なんて始められません。
まずは読み切りで読者の反応を見て、人気が出そうだったら編集社の会議にかけられて連載されるかが決まるのだそうです。
世の中に出回っている漫画って、そんな苦労を背負っていたとは夢にも思いませんでした。

画と文才・・・それぞれに長けた二人が組めば道は険しくないんじゃないかな・・・などという気持ちは正直甘かったです。
だから、黙々とペンを握る日々を繰り返す・・・繰り返せるのは作品に対する情熱の裏返しなんですね^^

それに二人には絶対に夢を叶えなければならない理由がありました。
そこには並々ならない決意を感じる事ができるのですが、そこにはその当時の私なら絶対できない約束と、溢れんばかりの思いが詰まっていました^^

そしてこの作品の視聴魂に火をつけたもう一つの理由・・・
ヒロインの亜豆美保ちゃんの可愛らしさが半端無いんです♪
私は彼女に序盤から持っていかれっ放しでした(//∇//)
理想的な女性を形にしたら彼女になりました・・・的な感じなんですよね^^
それでもってCVははやみん・・・「鬼に金棒」ってこういう事を言うんでしょうけれど、全然イメージに合わないのは何でなんでしょうね^^;
そして彼女は可愛いだけじゃありません・・・決して揺らいだり靡いたりせず、何に対してもちゃんと自分を律するんです。
また大好きな女性キャラが一人増えました(//∇//)

オープニングテーマは、コブクロさんの「Blue Bird」
エンディングテーマは、YA-KYIMさんの「BAKUROCK 〜未来の輪郭線〜」と高橋優さんの「現実という名の怪物と戦う者たち」

1期25話の作品でしたので見応えは十分でした。何より嬉しいのはこの作品が3期まであるという事です。
1期は丁度良いところで終わったので、視聴を終えたばかりですが、もう直ぐに続きを視聴したい気持ちになっています。
2期でも熱い展開を期待したいと思います♪

投稿 : 2025/02/01
♥ : 42

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

とっても気持ちの良い作品でした(o^-')b

■バクマン。ってこんなアニメなのです(*'ω'*)
『DEATH NOTE』でおなじみの大場つぐみ&小畑健コンビの作品なのです(ノ´▽`)ノオオオオッ♪
ジャンル的には純愛青春サクセスストーリーですね!
 
漫画家の叔父の姿を幼少の頃から見ていた「真城 最高」(愛称:サイコー)と、学年トップでサイコーの絵に惚れ込み漫画家を一緒に目指そうと誘った「高木 秋人」(愛称:シュウジン)。
そして、この2人がコンビを組むきっかけになったのが、声優を目指すヒロインの「亜豆 美保」(azuki miho)とそれをサポートする親友の「見吉 香耶」(miyoshi kaya)。
この4人の純愛と紆余曲折しながらも夢に向かって突き進む日々を描いたストーリーなのですよ♪
 
 
■総評
原作の方はまったく知りませんけど、アニメから観た人も十分楽しめる作品だと思います♪
とにかくサイコーとシュウジンの2人を見ていると、何かこういう関係って良いなって思えて、とっても良い気分にさせてくれました♪
 
中学生で漫画家という自分の進む道を決め、同級生達とは違う道を選んで行くわけなのですけど、決して中途半端な気持ちじゃない、真っ直ぐに夢に向かっていく本気さが伝わってくるように描かれているのです。
さすが本職のストーリーだけあって、漫画家を目指す心理描写が細部までこだわりを持って描かれている印象ですね♪
 
個人的には、シュウジンが面白くって、かっこ良くって一番のお気に入りかな(*^-^)
サイコーの良き理解者であり、頭は元々良いのだけど裏では人並み以上の努力を惜しまないそんなシュージンにもう釘付けですo(- -;*)ゞ
 
それと、夢に向かって一直線のサクセスストーリーの中にも、甘酸っぱい恋のお話が絡められていて、それがハーブティーのように気持ちを(´▽`) ホッっとさせてくれる良いアクセントとなっているのです♪
 
サイコーと亜豆ちゃんのわざと距離を置いてお互いを支え合い、愛を育んで行く関係は到底理解できないですけど、ちゃんと成就できたらどれだけ幸せな気分になれるのかなって考えちゃいました♪
それとは対照的に恋に積極的な見吉ちゃんと徐々に惹かれて行ったシュウジンの恋の行方の方が自然でいっぱい共感できました♪
とにかく、2組4人の絶妙な関係は注目して欲しいところですし、こんな恋の話があるからこそ、地味な漫画家のイメージにさわやかなが風吹き込まれて清々しさを感じる作品になっているようなきがしました(⌒-⌒)
 
「バクマン。」を観ると、きっと前向きな気持ちにさせてくれて、元気をもらった気持ちになれると思いますよ♪
なので、2期もとっても楽しみなのです( `ー´)ノ
 

■MUSIC♫
OP曲『Blue Bird』
 【歌】コブクロ
 「まだ見ぬ二人の幸せの為に、愛が繋がっていれば信じて歩んでゆける」って内容の歌詞です!
 サイコーと亜豆ちゃんの気持ちを歌ったコブクロらしい心温まる楽曲ですね♪

ED曲『BAKUROCK 〜未来の輪郭線〜』1話~13話
 【歌】YA-KYIM
 軽快なロックサウンドと前向きでストレートな歌詞がヤル気を出させてくれる応援ソングですね♪
 R&Bやヒップホップ主体のYA-KYIMの楽曲では珍しいナンバーかもしれませんね(*^。^*)
 
ED曲『現実という名の怪物と戦う者たち』14話~24話、25話はOP曲
 【歌】高橋優
 前期のED曲同様に、元気をもらえるような応援ソングです♪
 東京メトロのCMソング「福笑い」の人ですねw
 ダミ声とまではないのですけど、ノイジーな声質が特徴的で、
 胸に響くストレートな歌詞が特徴のシンガーソングライターなんですよ♪


2011.09.16・第一の手記
2012.01.26・第二の手記(追記:■MUSIC♫)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 51

94.1 12 恋愛アニメランキング12位
月がきれい(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (1812)
7660人が棚に入れました
キャッチコピーは「I love you をそう訳したのは、太宰だったか、漱石だったか……」で、中学3年で初めて同じクラスになって出会った水野茜と安曇小太郎の成長、周囲との関わり、思春期の恋などが描かれる。

声優・キャラクター
千葉翔也、小原好美、田丸篤志、村川梨衣、筆村栄心、金子誠、石見舞菜香、鈴木美園、千菅春香、井上ほの花、広瀬裕也、石井マーク、白石晴香、熊谷健太郎、岩中睦樹、東山奈央、岡和男、井上喜久子、斎藤千和、前川涼子
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

思春期の出来事と恋の話を詰めこんだ作品…多くの人が通りすぎたあの頃を描いた傑作

岸誠二監督というと、瀬戸の花嫁、AB!をお気に入りの作品に入れています。作風が違うのですけど、場面の転換がすごく上手くて、ところどころに入れるホロッとするようなシーンがすごく印象深いなと思います。予告見て絶対に見ようと思っていた作品です。青春のほのかな、そしてグッときそうな予感がします。このような話は大好物なだけに期待します。

1話…出逢い
{netabare}中学3年の新学期。人見知りする茜はクラス替えで緊張していた。友人と戯れる小太郎は教室に入ってきた茜に目が行く。小太郎は小説好きで自分でも書いている少年。一方の茜は陸上部に入っているスポーツ少女だった。
ある日の夕方、家族でファミレスへ行く茜。そのファミレスには小太郎の家族も来ていた。互いに存在に気づいて気まずくなる二人。上手く言葉も交わせず、見栄をはって珈琲を選択してしまう小太郎。帰り際、内緒にしてほしいと茜は小太郎に頼むが、茜は堂々と学校のジャージを着ていた。
体育祭の用具係になる小太郎と茜。係りを集めるにはLINEを使うといいというクラスメイトのアドバイスを受けた茜だったが、小太郎だけは声を掛けられないでいた。
ある日の放課後、小太郎は係りの仕事をサボったことを叱られるが、小太郎には連絡が届いていなかったのだ。居合わせた茜が小太郎に謝り、仕事を手伝う。そしてLINEのことを教え、二人は初めてLINEのやり取りをするのだった。

うんうん、実に青春。あるある、分かる分かるの連続で、見ている方が何故か赤面したくなります。小太郎が茜を目で追いかけるシーンは本当に…懐かしい感情だ。好きになるちょっと手前の感じです。
桜がすごく綺麗です。今期は桜の綺麗な作品が多くて嬉しい限り。背景がとても丁寧なのが良いです。
キャラデザインですが、横顔がどことなくあだち充風に見えましたがどうでしょう。額から鼻のラインが特徴的です。今期の茜は綺麗な茜ということで…。
はっぴいえんどを出すとは渋い。あんな本屋が少なくなってきているだけに、貴重ですね。
始まりがすごく丁寧で、これからの展開が楽しみです。陸上部の彼は必ずや絡んでくるんだろうな…。{/netabare}

2話…体育祭
{netabare}夜遅くまで制作に没頭する小太郎。朝は眠そう。母から体育祭行こうかと聞かれるも断る。父からは好きなことをやれと励まされる。
体育祭当日。200メートル走に出場する茜。緊張を解すために人形をモミモミ。スタートすると圧倒的な速さでぶっちぎり。走る姿に見とれる小太郎。
小太郎が走る、しかしコケる。傷の手当てに行くと茜の友人の千夏がいて、はねてる君のあだ名を聞き、雑ながらも手当てしてもらう。
準備係の作業中に人形を落とす茜。焦って探すものの見つからない。借り物競争の準備物もままならず、小太郎がフォロー。そして締めのリレー。選手だった茜だが、バトンを落とすミス。
落ち込んで帰るところに現れたのは人形を見つけた小太郎だった。茜にそのままでいいと精一杯の励ましを送る小太郎。二人の距離が少しずつ縮まる。小太郎も少しずつ前向きに。それまで誰にも見せなかった小説原稿を見てもらい、アドバイスを受けるのだった。

等身大な話でとても良いです。両親もリアルなデザインでさらに共感できます。茜と小太郎の距離感がスゴく初々しくて、あぁ…始まりってこんな感じだよね、思い出しますね。
この作品見てるとどうしても村下孝蔵の「初恋」が頭に浮かびます。「放課後の校庭で走る君がいた、遠くで僕はいつでも君を見ていた」この世界観なのかな?だとすると儚い…{/netabare}

3話…中間テスト(1学期)と部活動
{netabare}中間テストが始まる。冴えない顔の小太郎。実は応募した小説が選考から漏れていたのだ。勉強に身が入らない小太郎は思いきって茜にLINEする。何気ないやり取りに元気が出る小太郎と明るくなる茜だった。
中間テストが終わり、部活解禁。大会も近い茜は走れることが嬉しそう。部活に行く途中、小太郎を見つけた千夏が声をかける。友達になったという千夏にキョトンとする茜。部活では修学旅行前に付き合い始めた同級生がいるとの話題。比良のことでけしかけられるも、戸惑うばかり。一方、小太郎は茜が気になるが、帰りに千夏たちの会話が聞こえ、さらにやきもき。
小太郎は茜とLINEを続けていた。茜が出場する大会の日は、祭りの太鼓の稽古がある小太郎。神社でお祈りするからと約束。稽古前にお祈りをする小太郎。走る茜。
茜の結果が気になり稽古に身が入らない小太郎。LINEが入ってこないためにさらに身が入らない。茜の携帯は充電切れだった。落ち込んで帰る小太郎の前に現れたのは茜だった。茜は神社に小太郎がいると思って来たのだ。
月夜で会話する二人。LINEだと気軽なのに、直ではぎこちない。思いが募る小太郎、好きを伝えるには「月がきれい」ということをとっさに思いだし、「月が…」で止まる。茜が「月、きれいだね」という言葉に小太郎は「付き合って」と告白したのだった。

最後の3分、なぜかこっちまで緊張してしまいました。よく言った小太郎。
もう二人の互いに目で追うシーンがほんと、胸が締め付けられます。意識しあっているけど、目が合わないようにそらしている風がなんとも言えません。LINEだと気軽なんだけど、直ではなかなか話せないところも初々しくてもう…。時代は違えど、そんなもんだよね、電話や手紙みたいなのだと何でも話せる感覚なんだけど、あったあった。
さて、小太郎の告白、どうなるんでしょ。千夏と比良も絡みそうだし、先が気になります。

初恋、まさかBGMで使うとは…。原曲使ってほしかったけど、あの雰囲気だとバラードっぽい方が良いのかな。それにしても、この作品、余計な説明台詞がないのが良いです。会話と場面だけで情景わかるし、流れる雰囲気がとっても良いです。それと、個人的な感情の台詞を無意味に入れないのも良いです。{/netabare}

4話…修学旅行
{netabare}東京駅、修学旅行への出発。小太郎は茜を、茜は小太郎を見てもどかしくなる。小太郎の告白は保留だったのだ。先生の荷物検査をろまん君の機転ですり抜ける小太郎のスマホ(ポテチの袋ね…どっかで見た気がする…)。
それぞれ友達と旅行を楽しむが、何か気が気でない微妙な二人の距離感。土産物売り場で茜と千夏が部員たちへの土産を選んでいるとひょっこり現れる小太郎。千夏が気づき、土産物はどれが良いと気軽に聞いてくる。茜はそこそこと逃げて、小太郎が気づく。
夜、小太郎が茜にLINEしようと悩む。茜はクラスメイトと恋ばな。茜は気になる人と、告白されたことを話すが、小太郎のこととは知らない。繋がる二人、が、小太郎はろまんたちとのいざこざからスマホを没収されてしまう。しかも、茜に待ち合わせの時間と場所だけ伝えて。
翌日は自由行動だった。小太郎のLINEが中途半端で気になる茜だが、友達と出掛けることに。茜を見つけても話せない小太郎。
時間が気になる茜。友人にも本当のことが話せない。それを悟り、茜を一人にする友人。茜は指定場所で待つが小太郎は来ない。小太郎も雨の中、傘も差さずに向かうがすれ違う。千夏を見つけ、思いきってスマホを借りるが、茜の番号が分からない。千夏が気づき、茜に繋ぐ。ワケわからないといぶかる茜。
改めて二人きりになる。茜は小太郎に今の気持ちを伝える。「もっと安曇くんと話したい」と。それが告白の答えだった。

くぅぅぅぅ~、何で毎回ラスト3分、心が締め付けられるんだよ‼ もう…茜の答えがキュンキュンするんですが‼ ちくしょう、あの日に帰りたくなる。
スマホがあってもすれ違いはこうして起こるんだ、それをうまく描いていたなと思います。それと、京都の景色が綺麗。だからこそ、良い話に見えるんですよね。作画班、素晴らしいです。
今はまだ、二人のことが周りにはバレていない状況の話で、千夏だけが気づきはじめている感じです。これから二人は付き合うことになるのだろうけど、友人やクラスメイトに知られるようになったときにどんなに状況になるのか、気になります。まず間違いなくこの辺りの話が描かれるのでしょうけど、どうなることか。
気になると言えば、茜のスマホはどう検査をすり抜けたのでしょうか。気になります。{/netabare}

5話…日常
{netabare}小太郎と茜が付き合い始める。教室で顔を会わせるも、目線で照れる二人(実に初々しい)。
テストの成績が思わしくない小太郎は先生から呼び出し。その帰りに千夏に呼び止められ会話する。なぜか張り切る千夏。
付き合いということがよく分からない小太郎と茜。それぞれ人に聞いたり、ネットで調べたり。いつもの通りLINEでやり取り。図書室へなにげに誘う小太郎に行くと返事する茜。翌日、図書室で待っている小太郎のもとを訪ねたのは千夏。
急いで図書室に向かう茜が見たのは小太郎と千夏が会話しているところだった。小太郎の通っている塾を紹介してほしいとのことだった。茜は軽く嫉妬した。
競技のタイムが上がらない茜。気持ちが乗っていない。比良に励まされるも、比良も頑張れと言うのが精一杯。小太郎には千夏が塾についてきていた。。
茜の周りでは茜が誰かと付き合っていることは感づいている。なかなか状況が厳しい。古書店に誘われる茜。小太郎と二人きりになれる。お互いが好きなことを確認できる。そのとき、千夏から茜にLINEが。それは千夏が小太郎のことが好きになったという内容だった。

「手~を、繋ごうよ」CHARAで来たか。そのシーンはぎゅううううぅっと来るのよ。もう見てるこっちが恥ずかしくなるのは何故だ!二人ともかわいいのなんのって。
千夏が絡むとは思ったけど、ストレートすぎて。普通(ってなんだと言いたくなるが)だと茜の好きな人を奪いたいという展開なんだろうけど、この物語だと純に好きになっただけだと思うんだよね。要は小太郎と茜が付き合っているのを周りが知らないから起こることだと思います。こそこそ付き合うから小太郎も茜もどうしようにもなくもどかしくなっていると。でも…そこがいい。二人とも純すぎて、周りに付き合っていると言えないタイプだろうし。どうしたら良いか分からないんだよね。でも二人きりになると本当にお互いが意識しあっていることが確認できて、それも燃えるんだよね。
さて、三人の関係はいかに…でも、どろどろにはならないと思うんだよね。この作品には合わないもの。切ない話しにはなると思うけど。{/netabare}

6話…日常その2
{netabare}千夏メールが気が気ではない茜。その事は知らず祭りの稽古をする小太郎。
朝の図書館で会う二人。小太郎は出版社から電話があったことを伝える。小太郎が出版社に行く日は茜の大会がある日で、二人は頑張ろうと指切りした。が、茜は千夏のことを伝えられなかった。
出版社に向かう小太郎。大会に挑む茜。しかし、待っていたのは現実だった。小太郎は担当者から純文学では話しにならない、ラノベ挑戦しろと言われる。茜は最後まで集中できず予選落ち。二人は落ち込んだ。その夜、会いたいというLINEで気持ちを伝える。
翌朝、図書館で結果を伝え会う。茜が好きなことをしているので頑張ると言い、小太郎も気持ちを新たにする。
帰り、茜が千夏に小太郎と付き合っていると告白する。千夏は知っていた。そして、諦めるために小太郎に告白すると宣言した。

「3月9日」はこのバックには違う気がしました。
二人の気持ちが支えになっているのに、その事で新たな悩みも抱えてしまうのはツラいね…。千夏は真っ直ぐなので共感できるけど、展開的には邪魔な存在になってしまうには可哀想な気もします。千夏は告白すると思うのですが、どう答えるんでしょうか、小太郎は。ここ、中盤の見せ所ですよね。
小太郎と茜の近づき方が本当に良いんですよね。今時こんなピュアがあるかい!と突っ込みたくなる人も多いと思いますが、中学生のころの恋って、こんなものじゃないかなと思います。だからこそ、多くの人が共感できる作品なんだと思います。{/netabare}

7話…デート
{netabare}千夏が父親からもらった遊園地のチケット、茜と小太郎を誘う予定が、いつの間にか茜の女子グループや、比良や、ろまんも一緒に行くことに。
千夏以外、小太郎と茜が付き合っているのは知らない。千夏は小太郎と仲良くしたい。そのため、小太郎と茜はチグハグ。比良と茜を仲良くさせようとする女子たち。小太郎は面白くない。逆に千夏と小太郎がいい雰囲気になっているのが気になる茜。
ろまんが熱中症でダウン。小太郎が駆けつけ、話の中で小太郎が茜と付き合っているのを察した。そのとき、LINEで比良と茜が二人きりになっていることを知る。小太郎は茜を探す。
茜を見つけた小太郎は、比良に茜と付き合っていることを告白する。戸惑う比良だった。小太郎は茜を連れて二人で駆けていく。その姿をみた千夏は涙した。
仲間とはぐれ、二人で楽しむデート。二人が付き合っていることを知った周り。それぞれの中で花火がうち上がる。

小太郎は肝心なところで男になる。こういうところがもてちゃうんだろうか。
二人の初々しいデート、見てる方が恥ずかしくなる。見てる方が恥ずかしくなるシーン、何回あるんだ? キスはお預けね。
とうとう周りみんなが付き合っていることを知りました。これまでは序章。二人が付き合っていくことに、周りがどう動くか。節子たちは小太郎とは全く考えてなかったから、茜とどう接するのか。諦めてなさそうな比良、諦めきれなさそうな千夏。それから入試に向けて、特に小太郎は成績が思わしくなく、母親も絡んできそう。けっこう重たくなって来そうな予感。そんな中、二人はちゃんと向き合っていけるのか。後半も楽しみです。{/netabare}

8話…夏休み
{netabare}小太郎と茜が付き合っている話はLINEであっという間に広まった。夏休みの登校日、クラスではその話で持ちきりのようで、小太郎と茜が教室に入ると注目の的になったが、友人たちは普通に接してくれた。
その日、小太郎と茜は部活後に二人で昼食を食べ、小太郎の稽古に茜が同行する。稽古が終わり、二人は風鈴祭りに出掛ける。二人はデートを楽しむ(後略)。

この回は内容云々書いてもしょうがない。それくらい幸せそうな二人の回でした。壁がボコボコになった人多数ではないかと(笑)。このままラブラブで終わっていい…というわけにはいかないんだろうな…。
茜は小太郎の稽古を見て顔を赤らめ、小太郎は茜の浴衣姿に顔を赤らめ、もうね、二人とも純で良いよ。デートでも二人とも思いやりが伝わる行動とるし、これは互いに惚れちゃうでしょう。登校日に茜が節子たちどこが好きか問われて、「分からない」と言っていたのに、休み明けに同じこと問われて今度は「一緒にいると安心する」ですってよ!でだ、最後の場面、分かっていたけど、あれを見せられると、もう勝手に幸せになってくださいというしかありません。(見ててほっこりやら、にやにややらが止まりません)。二人にとって大切な夏休みだったのでしょうね。実に気分が良くなる回でした。
細かいけど、千円を援助してくれたおじさん、本当にGJ。中学生の千円は大きいんですよね。茜が誕生日のプレゼント買うにもお金で躊躇したように、このアニメ、中学生の金銭感覚や金銭事情もきちんと描いているところが好感持てます。{/netabare}

9話…進路
{netabare}進路調査で悩む小太郎。茜とどこへ進むか話す。その夜、茜は父親から転勤になると言われ、戸惑う。小太郎は母親から進路についてキツく言われる。
茜にとって中学最後の大会。小太郎は大会を見に来ないでと言われていたが、こっそり見に行った。茜は自己ベストをマーク。小太郎はそれを見届けて帰る。
小太郎は父親から進路について励まされる。いつものように小太郎と茜はLINEで会話。小太郎は大会を見に行ったことを伝え、茜は引っ越すことになりそうなことを伝える…。

そんなに幸せな時間は続きません。進路、茜の引っ越し、中学生である小太郎にとっては、すごく大きな問題に感じることでしょう。これから卒業までの半年でさらに大きく変わっていくはずです。二人はこのまま付き合っていけるのでしょうか…。
小太郎の両親、父親と母親の対比が実にリアルです。男から見ると父親の励ましかたを見習いたいものですが、現実にはなかなか言えないものです。母親の言っていることも本当のこと。小太郎が進路を本気で考えていないことを見抜いての小言です。でも、これって、子供にとっては本当に「嫌」なんですよね。嫌でも言わなくちゃいけないほど、小太郎が心配なのも気持ちわかります。難しいものです。{/netabare}

10話…祭
{netabare}茜の引っ越し話に動揺する小太郎。茜は三者面談で千葉の高校に進むことを話す。
川越祭の当日。小太郎の晴れ舞台である。茜は陸上部の面々と見物。茜の前を小太郎の山車が通りすぎる。茜は見とれていた。その後、茜は比良と二人になる。比良は茜に告白した。しかし、茜は断った。その様子を見ていた小太郎。
休憩時間に逢う二人。しかし、小太郎の様子がおかしい。茜に対してぶっきらぼうだ。茜は戸惑う。正直に聞かせて欲しいという茜に対して、小太郎は比良と二人きりで話していたのが気に入らなかったのだ。そして茜を突き放すように去っていく。茜は泣いた…。
小太郎は自分自身に苛立っていた。そしてひとつの決意を固める。
茜が塾へ行く茜が目指している高校の本が置いてあった。気づく茜、小太郎を追いかける。小太郎は茜に自分も茜の高校を目指すこと、ずっと一緒にいたいことを伝え、先日のことを謝った。茜は小太郎に抱きついた。

いや~最後のキスは「もうどうにでもなれ、このやろう!」(ニヤニヤ壁ドン!)という感じでした。幸せそうで何より、というか、このまま幸せな形で終わるのだろうかっていう、ラスト2話が怖いです。

小太郎の嫉妬、ものすごく分かるわ…。このくらいの年齢の時の恋愛って、好きな娘が他の男子と話しているだけで嫉妬しちゃうんですよね。しかもそれが彼女だったら気分最悪。ゆとりがないというか、独占欲というか、もしゃもしゃするんですよね。それが彼女に伝わって微妙な空気になると、後は「選択」。どう転ぶかは二人次第。そのままダメになるパターンもあるし、今回の二人のようになる場合もあるし、難しいものです。茜は良すぎる子ですね、小太郎にはもったいない(笑)。いや、小太郎は男子中学生の「理想」かもしれません。いざというとき男になるし、気づかいできるし、やさしいし、一直線だし。どこにでも居そうな男子なんだけど、実はなかなかいない(というより行動できない)。このあたり、実にうまくキャラ設定しているなと感じました。{/netabare}

11話…クリスマス、そして受験へ
{netabare}小太郎の三者面談。勉強しだした小太郎に期待をかけるようになる母親。しかし、小太郎は茜が受験する高校を受験すると言う。家に帰り、母親から叱られ、反抗する小太郎。それでも本気な小太郎は勉強を続けるものの、母親とはしっくり行かない。小太郎の部屋を掃除した母親は小太郎の本気を感じて…。
一方、茜はクリスマスプレゼントに贈るマフラーを編んでいた。姉から小太郎とは別れることになるかもしれないと話されるが、ひかない茜。
クリスマスのデート。家族の応援は大切だと話し合う二人。茜は高校に合格した。
ある日、父親から受験しても良いと伝えられる。そして、母親が小太郎が本気になっているので受験させてあげたいと担任に話したことを教えられる。
さらにがんばる小太郎。母親の話もチキンと聞くようになった。そして受験当日を迎える。


う~ん…「未来へ」はダメだ、泣けと言っているようなものだ。実際泣いたけど…。今回は両親との話、特に母親と子供のすれ違いに、本気の子への両親の思いがすごく良く伝わってきた回でした。そうだよね、本気になっている子供を押し付けるような親では、親ではない(当然、間違った方向でないことが条件だが)。小太郎が反抗する気持ちもよく分かる。が、そこで本気で挑んでいることが大切なんでしょね。中途半端は見抜かれますから。
茜の姉が言っていたことも正論。今の二人には通じない言葉だろうと思いますが、実際はそうなんだよね。このあたりも実にリアルだなと思います。

さて、もう最終回になってしまいます。たぶん、小太郎の受験は失敗すると思います。これまで成績が悪いと散々描いているわけですし、上がった描写もないです。このアニメの作り方を見る限り、二人揃って合格ハッピー!はありえません。あったらかえってがっかりです(超個人的な考えだが)。二人、離れ離れになってどうなるかがこのアニメの最大の評価になる、そんな予感がします。千夏がずっと切ない表情なのも気になるんだよね…。
どんな結末になろうが、お気に入りを変えるつもりはありません。それだけのものを見せてもらいましたし。楽しみだ。って、BS11、放送日変更?少し我慢しろってか!{/netabare}

12話…卒業
{netabare}小太郎の受験は失敗だった。落ち込む小太郎を慰める茜だったが、小太郎と離れるのが不安だった。小太郎は大輔から小説を書くことを勧められる。
市立の合格発表。小太郎は合格。そこに千夏が現れ、千夏も合格したこと、小太郎と一緒なのが嬉しいこと、そして…小太郎が好きだと告白した。小太郎は断った。
千夏が茜に合格と告白したことを報告。茜は動揺する。
卒業式当日の教室では思い出づくりが行われていた。小太郎と茜は友人たちに急かされ、一緒に写真に収まる。ろまんから小説を投稿したらと勧められる。
茜の引っ越しが近づく。小太郎と茜がデートをするものの、茜の気持ちが溢れ出す。小太郎への思いと訳の分からない不安と、ぐちゃぐちゃな心。キスをして走り去る茜。小太郎もどうして良いか分からず立ち尽くすことしかできなかった。
茜が旅立つ日。千夏から小太郎の小説のことを知る。小太郎が投稿した小説は茜との出合いからこれまでの軌跡だった。
小太郎がコメント欄を見て茜が読んでいたことに気づく。終章を読む茜。小太郎の思いを知り泣き出す。小太郎は追いかける。茜の乗った電車に心の底から「大好きだ!」と叫んで。二人の中学での恋は終った。

最後の最後までグッと来る展開で、本当に良かった。茜が不安でどうしようにもない切ない思いと、それを見てもどうすることもできない小太郎の戸惑い、見ていて痛々しいし、互いが本気で好きなんだというのが伝わりました。幼い恋心だと思っていたのが、本物になっていった過程を見たなという感じでした。
EDでの種明かしは薄々気づいていたとしても、絵を乗せられると感動すらします。小太郎が叫んだところで終わっても全然良かったのですが、これは見ていた人へのボーナスだと思いました。中学の頃の恋がそのまま伴侶になる例は多くはありませんし、ましてや遠く離れて別の高校時代を過ごして一緒になるなんて…。でも、この二人ならそうあってほしいなという、どこか願ってしまうくらい、良いものを見せてもらったと思います。
Cパートカップルや主人公のその後も見たかったですね。なにか動きがあればなと思います。
全12話、素晴らしい青春+恋愛ストーリーを堪能させてもらいました。{/netabare}

個人的には今期一番の作品となりました。文句の言いようがありません。中学時代の恋と悩み、友人関係、親子、それを丁寧に丁寧に描いていたと思います。
軸は小太郎と茜の恋模様なんですが、じれったいのとキュンキュンするのと、ワケわからない感情が毎回続いて、最後まで掴んで離しませんでした。

1話ごとのレビュータイトルには話に織り込まれた行事を入れたのですが、見直してみると夏休みが8話なんですね。つまり、二人の出会いから恋心を抱いて、カップルになっていく過程をじっくりと描いたということです。恋ってこの過程がもっとも重要なんだなと改めて思いました。

小太郎と茜の気持ちや行動に心動かされる人が多かったのはそれだけ多くの人が思い当たる過去があったからだろうと思います。もちろん、逆もしかりで全く理解できないという人もいたことでしょう。この作品の最大の見所は「どこにでもありそうな」という話をアニメにしたことだろうと思います。そしてもうひとつ重要な点はどこにでもいそうな人物でありながら実のところそうはいないという点です。
小太郎の行動はまさに「理想」。茜への思いを伝えるシーンや一途で千夏に振り向きもしないところなんかなかなかな男前。そして小太郎の両親も理想過ぎる両親像。こうあれば、こうであったならば、そんな理想像が共感を得たのかもしれません。

難癖つけるとすると東山さんの歌。東山さんの声は大好きなんですが、歌となると別です。川嶋あいの曲、イメージにぴったりですが、一週間フレンズのイメージが強いだけに、ここは歌がとても上手い人を使っても良かったのではないかと思いました。作画もキャラデザインもイメージに合ったものだと思います。それ以外にも書きたいことはヤマほどあれど、もう二周くらいしてから書こうかと思います。まずは素晴らしい作品をありがとうです。

青春の甘酸っぱく、純でピュアな作品が見たいという人にお勧めします。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 70
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

愛とは互いに見つめ合うことではない。ふたりが同じ方向を見つめることである。 ~「恋」が「愛」に育つ物語~

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
まず、かなり好評価です。その上でこの作品をアニメにする意味があるかと問われれば、正直微妙なのですが、美しい風景は十分に視聴者を引き付けるし、「響け ユーフォニアム」の「黄前久美子」を彷彿とさせる、「小原好実」さんの押さえた演技は作風にピタリと合っていました。音楽も素晴らしいです。たくさんの言葉や大袈裟な事件を重ねるのではなく、細やかな描写の積み重ねで人物の心象に迫る手法は、まさに小説そのもの。いずれにせよ、純愛モノとしては、過去を見てもかなり高水準な、あるいは新しいタイプの良作だったのではないでしょうか。

もちろん、私はオッサンなので、「キュンとする」というより、「生暖か~い目」で、若人達を見守っていましたが(笑)


【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
不易流行(変わらないもの、変わり続けるもの)がテーマだと思う。

例えば、教科書にも載っている、与謝野晶子の有名な短歌。

「なにとなく 君に待たるる ここちして 出でし花野の 夕月夜かな」

(なんとなく、あなたが待っている気がしたから、外に出てみたら、美しい月明かりに照らされた花畑が広がっていました)

なんて、ロマンチックな経験をすることは、今はもうないのだろう。

スマホでいっぱつ、「今、何してる?」で、事足りるからねw

自分らが中学の時の恋愛も、今よりもっと不便だった。家電(あれ? 死語?)にかけて、親が出るとか、お姉ちゃんが出たのに勘違いしてタメ口きいちゃって、「あっ、妹に替わります」なんて気まずさ、今はないんだろうなw

つまりは、文明の利器(あれ? 死語?)により、いつでも意思の疎通が「可能」になった時代。それが、本作の舞台。

その「時代の変化」が、「流行」。

でもそれは、「can」であって「do」とは限らない。

伝えられても、伝えられない気持ちもある。

そこに漂う、もどかしさや切なさといった人の心は、科学技術の進化にとらわれず、不変で普遍のものである。

という「人間」が、「不易」。

最終話、LINEを止めて、「走って」「大好きだ」と「叫んだ」ところなんて、分かりやすい。「走って大好きだと叫ぶ」なら、平安時代でもできるしねw

男と女、というより、男子と女子の恋愛を徹底して描いた作品だったと思う。綺麗なだけじゃなく、ドロドロも微エロも爽やかも、色んなものがあった。

この作品の上手さは、茜と小太郎に、互いの愛を確信できる「何か」が、ずっとなかったという点だろう。二人は幼馴染でもなければ、世界を救う仲間でもない。部活も違うし、これといって何か重大な事件を乗り越えたわけでもない。ただ、「なんとなく惹かれ」「なんとなく付き合っているだけ」。そんな二人だから、自分達の恋愛に自信が持てず、相手の気持ちや行動を疑ったりもする。実に普通の中学生だ。というか、その「確信」を探し続けている期間を、「恋」と呼ぶのかもしれない。


さて、この作品、「愛を日本語に訳す際に、月が綺麗ですね、と夏目漱石が言った」という話を大事に使っている。

その逸話自体は都市伝説だが、ただ、当時の日本に「I love you」にあたる日本語がまだなく、沢山の翻訳家や学者が苦労して捻り出していたのは事実。つまり日本人は、「愛とは言葉にして伝えるものではなく、自然と伝わるもの」だと考えていたようだ。

つまり「I love you=月が綺麗ですね」は、「同じものを観て、同じことを感じられるのが、愛だ」ということ。それはレビュータイトルのサン=テグジュペリの言葉とも重なる考え方だ。

第3話、神社での告白シーンであり、タイトル回収の重要な場面。両者とも、「月が綺麗」という感想では共通していたものの、茜は空の月を見ていて、小太郎は水面の月を見ている点に、二人の微妙な違い、まだ交わりきっていない心を観ることができた。その伏線が、最終話にしっかりと生きてくる。

最終話、「大好きだ」という小太郎の力強い再告白。(ネット小説も含め)ここで二人は、微かな「確信」を得たのだろう。そこに登るのは、「昼の月」。3話とは違い、二人が同じ月を見ているという点で、「恋」から「愛」に成長している描写にしたのは上手い。しかし、そもそも「昼の月」とは、「見えてはいても存在感の希薄なもの」という意味もある。所詮は、15,6歳の恋愛なんてそんなもんだろう。

だが、それを一気に深めたのが、ED。結婚→出産まで見せちゃう流れは、蛇足か? とも思ったが、LINEの文面までしっかり読んでいくと、実に微笑ましく、「これはこれでアリ」と思えた。小説が大事なテーマだけに、「行間を読め」ということかな。

結局二人には、その後も大きな事件は起きなかった。それでも、共に過ごす「時間」を、「日常」を大切にしていくことで、「自然」と、「恋」を「愛」に変えるような確信がもてたのだろう。

そんな、いわば「普通の恋愛を普通に描いた」作品であるため、ともすれば退屈に思えてしまうのがやや難点ではあるものの、アニオリで12話で破綻なく、ブレずに純愛アニメをやりきった制作に、拍手を送りたい。
{/netabare}


【余談 ~サブタイまとめ(文学部的レビュー)~】
{netabare}
1話目「春と修羅」{netabare}
宮沢賢治が生前に唯一刊行した詩集として有名。表題作である「春と修羅」は、美しい現状(春)についていくことのできない自分(修羅)の心の揺らぎや(特に妹を失った)悲しみを描いていると思うんだけど、この第1話との繋がりは特に見えてこないな。これが自分の読解力の無さ故のものなら良いんだけど、「春」「四月」なんて単語に引っ張られているだけだったら、正直がっかりかな(文学好きな主人公だけに)。{/netabare}

2話目「一握の砂」{netabare}
石川啄木の歌集として有名。「春と修羅」もそうだけど、中には色んな詩や歌が入ってる(し、全部理解している訳でもない)から、もしかしたらなんかぴったりのがあるかもしれない。ただ、個別のタイトルまで示されているわけではないから、表題作を考えるしかないんだけど、確か二首目に「一握の砂」というワードが使われていたはず。その意は「一人一人のちっぽけな人間、一瞬一瞬を大切に生きていこう」みたいなことだったかと。う~ん、まあ、関係あると言えば、関係あるか? 無いと言えば無い。

ところで、なんで賢治と啄木が続いたのかな? 二人の共通点と言えば、「岩手県出身」「売れる前に若くして死んだ」ってことだけど、調べたら監督も構成も関西だから、岩手は関係ないか。まあ、「若くして死んだ」ってことで、「命短し恋せよ乙女」的ななんかなの?{/netabare}

3話目「月に吠える」{netabare}
日本近代詩の父と称される、萩原朔太郎ですね。「月に吠える」は全編を通し、死や絶望といったネガティブな雰囲気満載だけど、まあ確かに新人賞に落ちた話だし、ネガティブと言えばネガティブ。ただ、それを茜に慰められニヤニヤしてるくらいだから、朔太郎の雰囲気は感じられない。

過去3話の共通点、「岩手」「夭逝」は崩れたけど、「その詩人の第1詩集」という共通点は生まれたかな。「若さ」ってこと?

いや、これは、1話「始業式→春」、2話「体育祭→砂」、3話「月」という、なんの深みもないサブタイですな。。。{/netabare}

4話目「通り雨」{netabare}
……誰の作品かな? これまでのパターンだと、近代に活躍した詩人や歌人なのかな? 正直、分からない。なんなら、「雨ニモマケズ」で良かったんじゃ?
→ニャンキチ君さんから、情報提供。宮本百合子さんの小説と判明。短編だったんで、青空文庫で読んでみました♪
→確かに、雨宿りの小説だったんで、これまでで一番作品の内容の繋がりが深い。そして、これまでで一番マイナーな作品。邪推すると、「今までのサブタイはタイトル重視でメジャーな作品を選び、今回はたまたま、小説の内容も知っていたから、本編との内容まで関連させてみた」とも考えられますね。{/netabare}

5話目「こころ」{netabare}
夏目漱石の代表作ですね。まあ、三角関係繋がりで分かりやすい。にしても、じゃあ最後に、茜も千夏は自死を選択することになるのかな、「こころ」展開なら(もちろん、それはないけどw) 「しかし、 君、恋は罪悪ですよ」{/netabare}

6話目「走れメロス」{netabare}
ここでようやく、太宰ですね。有名な短編だからしっている人も多いだろうけど、友の命をかけて走る話で、「信頼」「真の友情」なんかがテーマ(ほんとはもっと深い解釈はあるけど)。まあ、茜が陸上部で「走る」つながり、親友の告白を許容できるかで、「真の友情」と、内容とも少しリンクするサブタイでしたね。{/netabare}

6.5話目「道程」{netabare}
高村光太郎の詩。海外留学を通し、これまでの自分の人生のルーツを考えてきた時に、自らに流れる父親の教えや日本の文化が根底にあったことを自覚し、今後の人生を自らの力で切り開いていこうという、「自立」「決意」の詩。まあ、これは内容には関係なく、(これまでの)「道程」をおさらいするという、タイトルだけで決めた感じですね。{/netabare}

7話目「惜しみなく愛は奪ふ」{netabare}
よく分からんからググったら、有島武郎の評論集? 当然、読んだことないよ(笑) wikiによると、「人を愛するということは、相手の全てを奪って自己のものにする」という思想(エゴイスティックな愛)を表しているらしいけど、なんか、「アイラブユー=月がきれい」と、逆の捉え方じゃない? このタイトルで、良いのか? {/netabare}

8話目「ヰタ・セクスアリス」{netabare}
森鴎外の小説だね。ラテン語で性欲求的生活。まあ、二人とも、芽生えてたしねw{/netabare}

9話目「風立ちぬ」{netabare}
言わずと知れた、堀辰雄さんの小説。ジブリで一気に知名度上がりましたね。愛する男女の別れ。まあ、遠恋にかけてるんだろうね。{/netabare}

10話目「斜陽」{netabare}
またもや太宰。サブタイでの同一作家は初めてですね。つかこれ、没落貴族を題材にした、滅びの美がテーマなのだが、二人の恋愛は崩壊していくってことかい?{/netabare}

11話目「学問のススメ」{netabare}
言わずと知れた、福沢諭吉の名著。まあ、勉強しろってことですねw{/netabare}

12話目「それから」{netabare}
まあ、あんまり深い意味はなく、「それからの二人はどうなった?」だけだと思います。一応、「それから」も恋愛の話で、主人公が結婚を決意する話だけど、もし、「それから」の主人公を小太郎に重ねるのなら、小太郎は無職のロクデナシなのに、茜を嫁にもらったということになるよ(笑){/netabare}

〈結論〉
多分、サブタイは響きやタイトルの言葉の意味だけで使っていて、その小説の中身とアニメの内容まではリンクさせていない。いや、一部リンクはしてるんだけど、まあ、「内容まで合うなら合った方が良いよね~」くらいにしか感じない。途中でそれは分かったんだけど、書き始めたから最終話まで書かなければいけないという、苦行だったw
{/netabare}

【各話感想(アニオリのため、ここも長いw)】
{netabare}
1話目
{netabare}
犬大大募集のクダリは、(大人から見れば)クダラナイことでも楽しんでしまう子供の有り様を表したいんだろうね。鍵の貸し出しBOXとか部活の雰囲気とか、結構リアルです。格好つけてアイスコーヒーね。親同士の挨拶とか、マジ恥ずかしいよね。親に思春期と言われる恥ずかしさw ヒロインの声、棒かリアルか悩むところ。作風には凄く合ってるけどね。男子中学生なんてホントにちょろいから、あの程度のことでもちょい好きになっちゃうよね。
{/netabare}

2話目
{netabare}
中学生があまり太宰に傾倒するのは感心致しませんなw 茜のフォームだけ、ちゃんと陸上部っぽく描いてるのは芸が細かくて○。目線がいちいち男子中学生だなw 女子中学生も、嫌な感じw
{/netabare}

3話目
{netabare}
修学旅行前に付き合う? ドコノセカイノハナシデスカ? うちの学校は海外だったからか、男女別でしたよ(涙)。陸上の大会の雰囲気はかなりリアルだね。作法をやたらしっかり守った参拝。小太郎と拓海、静と動の対比ですな。ここで、「月が綺麗」……なんかこう、痒くなるなw 両者とも、「月が綺麗」では共通してるものの、茜は空の月を見ていて、小太郎は水面の月を見ている点に、二人の微妙な違い、まだ交わりきっていない心を観ることができて、そこは上手かったです。
{/netabare}

4話目
{netabare}
まあ、そこに携帯隠すのは、女子ならすぐに思い付くよね。修学旅行初日に箱菓子買うなんて、旅行初心者だねw 送信だけで、スマホ没収はなかなか良い展開。色んなパターンいけるね。でも、最近の修学旅行でスマホ持ち込み不可とかあり得ないと思うんだけど、安全面考えても。学校も持ち込みOKでしょ、授業中にいじらなければ。そこで不機嫌になる茜、なかなか萌えポイント高し。ここで付き合うということは、この後色々波風がたつのでしょうね。そして、最後に同じ月を見られれば、3話での伏線が生きてくるけど、果たして二人の見る月の違いが伏線だったかは、微妙かな。それはともかく、Cパート、修学旅行で当たり前のようにラブホに行くカップルって、(茜達との対比かもしれないけど)作品の世界観、ぶち壊してない? あそこ、慢喫じゃあダメだったの?
{/netabare}

5話目
{netabare}
誰にも知られずに付き合ってる、思春期特有のあの感じ、良いよね♪ なんか少し、少女漫画展開? 付き合うってなにするの、ね。検索世代めw しかしこの作品、不易流行というか、(スマホを使いこなす)最近の中学生の中にある、昔から変わらない部分(純愛)を徹底して描いてますね。自分が中学生だったら、普通に千夏の方に惹かれるかも。小太郎が千夏と昼休みを過ごすのは嫉妬するのに、自分が拓海と放課後を過ごすのはOKなんて、ホントに女子ですね、茜さん。漱石はまあ、三角関係好きだしねw あと、漱石はアイスクリーム好きです(関係なしw) 最後のは、太宰の「斜陽」の一節ですね。この展開、千夏が「茜が小太郎を、もしくは小太郎が茜を好き」なことを知ってるか知らないかで、小夏の評価って180度変わるよね。
{/netabare}

6話目
{netabare}
アイス一口頂戴って、彼氏はあげないよってことの伏線だね。出版社からの呼び出しが大会当日って、これは、夢か恋か?の展開になるのかな。470円が高いと思うなんて、中学生だな~。なぜ、3月9日? 先にちゃんと言う茜は偉いが、分かった上での行動なのね、千夏さん。千夏の評価は、ややダウン? まあ、確かに純文学は儲からんが、その言い方は、純文学にもラノベにも角川(山)文庫にも失礼じゃ? 渡されたラノベ、「小林さんちの台所事情」って、なぜに異種間交流させようとするかな(笑) 夜に「会いたい」「私も」なのに、あくまで朝早く図書室ってところが、中学生(笑) 小夏、ちょっとやりすぎ暴走しすぎで、中学生らしいけど、評価は下がるだろうな。
{/netabare}

前半抄
{netabare}
ガチの総集編だった。新カットもないし。OP映像だけ変わったけど。Cパートでもなんでも、少しくらいおまけがあっても……。まあ、ここまでかなり作画は頑張っているので、許します(上目線)w 後半もファイトです!
{/netabare}

7話目
{netabare}
東京ドームシティ、大学近かったから、何回行ったか分からんくらい行ったな。千夏さん、(このアニメが好きな層からの)好感度だだ下がりっすね(汗) ここまでプラトニックな恋愛や、中学生ならではの不器用な恋愛を描いてきて、それが好評だった中での、この三角関係展開。吉と出るか凶と出るか。コタ君、格好良いな~。まあ、ヒラ君からすると、「ふざけんなよ~。思わせ振りな態度とりやがって~。」だよな。千夏さんの涙で好感度回復した剣道部は、ちょろいw すごいどうでも良いんだけど、今、たまたまレンタルで観てるのが「私モテ」で、落差がパナイ(笑)
{/netabare}

8話目
{netabare}
いや、よほどの有名人以外は、付き合ってる程度で注目されんでしょ、今日日。まあ、同じクラス内でってのは気まずいし、リスク高いけどね。宿題のワーク(表紙)、超リアルw 両者とも、浮かれてますね。いや、握らせるの千円って、ケチか(笑) アホだな~、中学生の恋愛なんて、金使わずに楽しめることこそ、醍醐味なのにね。大人になったら、金使わずになんて無理だし。いちいち許可制ってのが、中学生だね。先週からキスしか頭にないね。夏祭り、やっぱ良い曲だよね~。
{/netabare}

9話目
{netabare}
進路と恋愛。遠距離になりそうですね~。茜と小太郎、どっちが相手に依存しているのかな? どっちもかな? 女子で13.70は、普通に考えて速いけど、まあ、市ではというレベルで、県には届かない感じですね。千夏さん、ヒラ君、未練ですな~w
{/netabare}

10話目
{netabare}
県外なのに一緒の学校受けるとか、引くわ~。と、ならないところが、中学生だね。中学生通しの寒いノリがリアル。ちなみに、男にとって、純粋な意味での女友達なんていないけど、女性には純粋な意味での男友達がいるというのは、自分の経験則です。小太郎、の心狭~い。中学生の恋愛、暴走中ですね(笑)
{/netabare}

11話目
{netabare}
親が金ださなけりゃ、県外の私立なんて行けないしね。お姉ちゃん、正論w まあ、親が死んでも腹は減る、とも言うしな。まあ、普通は引くよな。親の心、子知らず。まあ、中学生なんてガキんちょだという話。試験に落ちる展開を期待してしまうな、リアル路線できているだけに。
{/netabare}

12話目
{netabare}
やはり落ちたね。まあ、そうだろうね、この作風なら。流石に、受験に落ちた程度で、人間失格はやり過ぎw 千夏さん、もう少し待ったらチャンスくるのに(笑) まあ、そこまで打算的に動けない、ということかな。いや、普通は告られたことなんて、言わないよ(苦笑) 千夏さん、どうやって見つけたの(笑)
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 70
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

今宵の月はどんな色?

オリジナルアニメ 全12話

漱石の逸話をご存知であれば、文学の香り漂う静の佇まいをタイトルから感じとれるでしょう。
総合9位(2020年11月)。旧採点方式でも一桁台だったような… 名作の誉れ高きラブストーリーの逸品。
とっとと観ればいいのにあにこれ登録ごくごく初期から『観たい』棚に入れたままようやくやっと。心が整った時に…とワケわからん理由で寝かせておりました。例によって期待値コントロールが重要なやつですね。フラットな心持ちで臨まれたし!

結局、心が整ってたわけでもないまま突入。読後…じゃなくて視聴後の感想は『大満足』でした。

 中学三年生の男女の恋物語

はい。太宰読みました。漱石読みました。尾崎豊も聴いてました(違っ)。“なろう”前夜でラノベの始祖スニーカー文庫なんてのも身近にありました。私の中学生時代。
色恋話は無縁だったので、噂になった男女にはやっかみ半分でひやかしたりゲスな問い詰めをしたものです。そんなんでは噂になりたくない気持ちは痛いほどわかります。

 こうしてなにかしら過ぎ去りし日々とピントが重なる瞬間に出くわします

それにビンゴと言いますかあくまで友達の話ですけど…好きな子が陸上部の有力選手だったりして村下孝蔵「初恋」{netabare}(※第3話の挿入歌){/netabare}に自分の心情を重ねていた思春期。目で彼女を追っちゃうんですよね。それに部活違うから同じ部員同士で仲良くしてるのを見かけると無駄に焦っちゃうみたいなところある。えぇ…友達の話(キリッ)

 酸いも甘いもそこらじゅうに仕掛けられたキュン死地雷を踏み抜くと沼確定です


ついつい主人公安曇小太郎(CV千葉翔也)を通してヒロイン水野茜(CV小原好美)に恋をしてしまうおっさんの私。わりと気持ち悪い構図です。正確には中三の自分に戻って恋をしていた…なんでしょうけど。

 あの時こうはできなかったな~
 なんであんなことしたんだろう
 
リアル寄りと言われております。具体的には“見ための再現度”“心情の再現度”作画や脚本部分のアニメーションがまさにそう。そこに“自然体の演技”が加わり作品の世界観を構築している。
だからこそ我々にあの頃を想起させるのです。酸いも甘いもと言いながらほとんど酸っぱめというかほろ苦い記憶と共に。
ハーレムや変な部活は無し。父と母は普通のおじちゃん/おばちゃん。一人だけ髪がピンクなのおりますが特殊な女の子が出てくることもありません。はっきりいって地味です。
そんなリアル寄りの“見ための再現度”“心情の再現度”“自然体の演技”3点について触れとくので、興味を惹いたら是非!


■見ための再現度

冒頭1話。中3男子の制服袖が短い。急激に大きくなる身体。あと1年だから新調したくない親の思惑。
頭身デフォルメや萌え仕様とは一線を画したキャラ造形の地味さは当たり前として、背景・小道具などに作品のこだわりを感じます。


■心情の再現度

同じく冒頭1話。近所のファミレスでばったり鉢合わせた二人のよそよそしさと距離感が物語のツカミとして完璧。
※ストーリーに影響はないけど一応隠します↓
{netabare}・家族といるとこ見られるのが恥ずかしい中学生男子
・ファンタメロンを選びかけてつい見栄張ってコーヒーを入れてしまう
・「お父さん、そういうのやめてあげて頂戴。小太郎も思春期なんですから」むしろ母親それやめて!
・帰宅後にシャワーも浴びずジャージのままって異性を意識する前ならではよね
・「学校では言わないで。恥ずかしい…」中学生女子も恥ずかしいようです{/netabare}

親といるのが恥ずかしがったり異性とのちょっとした接触でドキドキしたりなんてことは、たとえ『LINE』みたいにツールが発達した今も関係ないのでしょう。年相応の心の動きはいつの時代も一緒なのです。そうはいっても
・学校では会話できないのにLINEなら饒舌になる
時代性も踏まえている。実際そういうものらしいですしね。


■自然体の演技

二つあります。ひとつは抑揚と緩急に乏しいアニメアニメしてない発声その他。声演技のプロなんだし演技指導少しすれば早速演出に沿ったものが出てくるのでしょう。そんな“自然体の演技”を演技されてます。気心知れた仲間や家族との会話のテンションに差があることもしっかり表現されてました。
もうひとつはこの作品でのお芝居の要と断言できるコレ↓

 「ん…」「ハァー…」「…うん。」

短いセリフに様々な感情を込めたり、セリフなしの吐息だけで情感を伝える声の演技が秀逸。テクニカルな意味だけではなく

 {netabare}どんな言葉を伝えたらいいのかわからない{/netabare}

この作風には必然だったのではないのでしょうか? 小利口になるのはこれより後、年齢を重ねてからでよいのです。



まとめ

単純にリアルだったら良いわけではありません。この作品を観るとあの時の自分や周りの人に対して抱えていた想いは、振り返れば些細なことで、それでも当時は一大事だったことを思い出します。
そんなリアルな感覚を視聴者に感じさせる演出・脚本は計算されていて素晴らしいものがありました。
その分キャラクターはガチガチに作り上げられたものではなくて、曖昧で感情的な10代の揺らぎが存分に発揮されていました。万能感を感じながらも簡単なことで感情や考えが揺らいで進んだり戻ったりしてましたよね?貴方も私も。

そしてリアルに寄せた物語だからこそなのでしょうか。「まあ普通こうだわな」で終わらずに「こうであったらいいな」おとぎ話ほどではないけれども細い糸を手繰り寄せたかのような結末に感動する1クールです。
{netabare}※ちなみに第1話古本屋の主人が引っ張り出したLPレコード『はっぴいえんど』ですっかり幸せな結末しか信じてませんでしたがかなり不穏だった最終盤の展開でした。{/netabare}

続編は不要ですね。きもちいいくらい「きれい」な物語です。




※ネタバレ所感

■日本人が好きな“好き”

「直接じゃないけどどう考えても“好き”ってことが伝わるほうがよくね?」
「むしろラブソングでまんま“I love you”ってダサいっしょ」

作詞に悩む某氏の言。たしかに『トリセツ』には好きだの愛してるの一言が一切ない。また「ブレーキランプ5回点滅」は未だに語り継がれております。

{netabare}「もっと喋りたい…安曇くんと」

上記のセリフが「付き合いたい」「私も好きよ」に置き換えられるとエモーショナル成分が格段に落ちるのがわかります。それで大事な一言は溜めて溜めて…ドーンでしたからね。{/netabare}

万葉集あたりの恋の歌からしてそうじゃないですか。そのまま字面を追っただけでは歌意を捉えることができません。。ものによっては暗号です。
日本人が…は盛ってるかもしれませんが、自分は「好きだ」「愛してる」を連発するのよりはこっちのほうが好みです。


■30秒の功績

{netabare}Cパートですね。だいたい15秒or30秒のエピソードが毎話2.3本。{/netabare}

{netabare}いわゆる脇役たちのキャラ回に相当するパートをここが担ってましたね。
本編はほぼ二人に焦点を絞っていてどのシーンでも小太郎か茜が登場するのでした。陸上部のイケメン比良君やショートカット千夏ちゃんらキーマンは適度に顔見せしながら、同級生’SはCパートで人となりを説明します。
こうして二人をがっつり掘り下げ、学園群像劇らしく脇役にも視聴者の目を向かせて12話に纏める。春から卒業までの一年の物語を追ったわりには駆け足と感じない構成の妙でした。{/netabare}


■太宰治のビフォアアフター

小太郎のペンネームは「安曇治」。太宰好きの中三と聞くとそれだけでめんどくさそうな子です。

{netabare}「或る実験報告。人は人に影響を与えることもできず、また、人から影響を受けることもできない。」
『もの思う葦』に登場する一節。父に「小説書いてるのか?」と聞かれ浮かんだフレーズ。{/netabare}

{netabare}「少くとも恋愛は、チャンスでないと思う。私はそれを、意志だと思う」
『チャンス』に登場する一節。小太郎が図書館で手にした一冊から引用。{/netabare}

{netabare}「人が人に影響されないなんて、大嘘だと知った」
体育祭でべにっぽを見つけた後のやりとりは示唆に富む。
太宰の否定ではなく太宰からの解放というべきか。
一方で小太郎は自身の恋愛において太宰が言うように勇気を出して意思を示し続けてたと思う。

 実践の無い知識は無用の長物

使える太宰と使えない太宰。初めての恋で手探りしながら頑張ったからこそ手にしたものが血となり肉となる。こうして経験値は溜まっていくのだと思います。{/netabare}


■最終回※未見者開いちゃダメ、絶対!

振り返ってどんな話だったかは小太郎と茜の掛け合うようなモノローグで全て説明がつきます。

{netabare}小太郎<初めての恋だからまだ何も知らなかった>
   <すごい緊張して手の繋ぎ方、キスの仕方、友達にも秘密で、恥ずかしくて>
茜  <いつもどうしていいか分からなくて…だけどあの時勇気を出して伝えてくれたから>
   <ずっと一緒に歩いて行けるって信じられた>
小太郎<好きな人が自分を好きになってくれるなんて>
茜  <奇跡だと思った>{/netabare}

めちゃくちゃ一生懸命な二人の恋を応援した全12話でした。

{netabare}女の気持ちはわからんので小太郎について
A.「なんかうじうじして煮え切らん」
B.「お祭りの日もお前なにキレてんの?」
C.「最終回、泣いてる茜ちゃん追いかけろよ!」
ABCすべからく出来ないのが普通ですよね。小利口になるのは先で良い。
なんなら今でもやりだしかねん既婚俺氏。

最終回一つとっても。。。
まずはお姉ちゃんの煽りがありました。「遠距離なんて無理」と。
⇒どうなるかわからないのだから年長者のもっともらしい一言で揺れます。そんなことあったとは小太郎もつゆ知らず、茜も「お姉にこんなこと言われてさ」と小太郎に話を振ることができない。
その流れで、千夏と小太郎が同じ高校になり、千夏の告白を断ったのは千夏から知らされてたけど、小太郎がその話をしない。
⇒茜にとっては離れている間に千夏と何かあっても内緒にされそうに感じて不安になるし、小太郎にとっては余計な心配かけたくないからだしと擦れ違いが生じる。

それこそどうしたら信頼や愛情を確かめられるかわからなくて、それがキスという形になった。
もうそうするしかなかったんだろうってのが泣ける。
なんというか、べにっぽ(芋)を置いてこうとしたり、二人ベンチに座っているところ川を流れてる重なった落ち葉がすっと二つに分かれるところを見たりしてたので、今生のお別れコースかと思いました。{/netabare}

{netabare}陸上部のイケメン君もショートの親友ちゃんもグッジョブでした。
イケメンが告白のタイミングを逃しまくるのはしょうがない。あの頃言いたくても言えなかったよ。
親友ちゃんの“どうせフラれるんだから筋を通して告るだけしときたい”も責められませんよ。

かませ犬じゃなく千夏の告白時に真正面からのカットを用意するスタッフにも優しさを感じました。
それに主役二人が頑張ったからかな。千夏が告白した橋は小太郎と茜がキスした思い出の場所だったし、胸元に飛び込んでもそこには手編みのマフラーが。魔除け…じゃなかった…しっかりセーフティが働いてるようにも思えた最終回。{/netabare}




※最後に

『徒然草』の月を使った一節にこういうのがある

「花はさかりに 月は隈なきをのみ見るものかは」

桜は満開、月は満月の夜を見るものですか?いや違うでしょうの意です。そこから、雨の夜に見えない月を想い、どこにも出かけず過ぎ去る春を想うのも良し、と続きます。
それだけで終わらず…これは男女関係も同じで、本能の赴くままアレするのが全てではなくて、逢えないつらさを胸にかかえ 果たせなかった逢瀬を想って長い夜を一人で明かす。遠い空のかなた あの人はいる・・・ 

「浅茅(あさじ)が宿に昔を偲ぶこそ、色好むとは言はめ」

と荒れ果てた家で懐かしいあの頃を思い出したりする。恋愛の情緒を知っている人とはそういうもんだよ。と締めます。

月は満月・新月・半月・三日月といろんな表情を見せますよね。
今のご時勢だと下弦・上弦なんてのもあります。

重ねた月日の分だけ“今宵の月”はいろんな顔を見せることでしょう。それでも兼好法師が言うところの“恋愛の情緒を知っている人”よろしくどの月も“きれい”だったと振り返ることのできる人生を送りたいものです。

たぶん小太郎と茜はそんな感じ。


長文お読みいただき有難うございました。



視聴時期:2020年11月 

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2021.09.16 追記

緊急事態宣言期間の合間で川越行ってきました。聖地云々抜きにして趣きや良し。
たまたま宿の裏が3話に登場した{netabare}(小太郎が告った){/netabare}神社でした。「月がきれいだね~」と家族に振ったら「そう?半月じゃん」とむべなるかな…



2020.11.22 初稿
2021.09.16 タイトル修正/追記

投稿 : 2025/02/01
♥ : 70

95.3 13 恋愛アニメランキング13位
STEINS;GATE 0 [シュタインズ・ゲート・ゼロ](TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (1499)
7521人が棚に入れました
いくつもの世界線を巡り、様々な可能性を“なかったこと”にしながら、大切な人たちを守ろうと足掻き続けてきた岡部。その果てに辿り着いたのは“紅莉栖とまゆりのどちらを見殺しにするか”という、ふたつの選択肢だった。苦悩と煩悶の末、岡部は「β世界線」――紅莉栖が自分以外のラボメンと出会わないまま死ぬという運命を選択する。
そして、紅莉栖の死から4ヶ月が経った。再び大学に通い始めた岡部は、真面目に授業に出席し、テニスサークルの合コンに参加するなど、平凡な日常に埋没していく。それでも心の傷は癒しきれず、ラボへ顔を出す機会も減っていった。β世界線上の未来からやってきた鈴羽は、第三次世界大戦が勃発する運命を変えようと岡部を説得。しかし、彼は「世界線の改変は、人間が手を出していい領域ではない」と、運命への介入を否定する。岡部の中で、いつしか白衣をまとったマッドサイエンティスト「鳳凰院凶真」の顔は失われていった。
そんな折、岡部は秋葉原でヴィクトル・コンドリア大のレスキネン教授が主催する、人工知能に関するセミナーに出席する。ふとしたことから、レスキネン教授の助手である比屋定真帆と知り合い、壇上に上がった彼女のスピーチを聴く岡部。その内容は、「人の記憶をデータ化して保存する」という、かつて紅莉栖が提唱した理論と同様のものだった。真帆やレスキネンのチームはその理論をさらに推し進め、人の記憶と感情、そして心を持つ人工知能「アマデウス」を構築していた。

声優・キャラクター
宮野真守、花澤香菜、関智一、今井麻美、後藤沙緒里、小林ゆう、桃井はるこ、田村ゆかり、矢作紗友里、潘めぐみ、山本彩乃、本多真梨子、木野日菜、上田燿司、西村麻弥
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

愛と大義の狭間でゆらぐ世界線のレクイエム

☆作品概要
●原作:志倉千代丸/MAGES

●アニメーション制作
WHITE FOX
{netabare}
監督:川村賢一
【代表作品】
・監督
そにアニ
クオリディア・コード

シリーズ構成:花田十輝
【代表作品】
・構成
STEINS;GATE
中二病でも恋がしたい!シリーズ
ラブライブ!シリーズ
ラブライブ!サンシャイン!!シリーズ
ノーゲーム・ノーライフ
艦隊これくしょん(TV版劇場版)
響け! ユーフォニアムシリーズ
宇宙よりも遠い場所
他多数

キャラクターデザイン:稲吉智重
【代表作品】
・キャラクターデザイン
バトルスピリッツ ソードアイズ
バディ・コンプレックス

主要キャスト
岡部倫太郎:宮野真守
椎名まゆり:花澤香菜
牧瀬紅莉栖(アマデウス):今井麻美
橋田至(ダル):関智一
桐生萌郁:後藤沙緒里
比屋定真帆:矢作紗友里
阿万音鈴羽:田村ゆかり
椎名かがり:潘めぐみ
アレクシス・レスキネン:上田燿司
{/netabare}
☆エピローグ☆

「科学者なら可能性が0でない限り、諦めるという結論はない!」←ロリッ子に説教されちまった(涙)

ゲーム未プレー。
さて、本作の視聴にあたり、1期の視聴は必要条件、2015年に放送された改変23話(β)の視聴は必要十分条件となる。
つまり、無印だけでは取り付く島がなく改変23話は必ず視聴する必要がある。
本来、物語的には1期で完結されているが、{netabare}改変23話でSGに到達しないβ世界線バッドエンドのパターンに再構成直し{/netabare}新たな物語の起点としている。
ゆえに、本作から、視聴してもストーリーが理解出来ないのだ。
また、無印と0の順序を深く考えても仕方がない。
世界線変動に伴う悲劇の始まりは「電話レンジ(仮)」の完成からではあるが、その為に生じた悲劇を巡る物語は、時間循環(相対的時間順序)の設定であり、何が始まりか終わりかを論じてもあまり意味がないのだ。
更に、ゲームをプレーしていれば理解し易いとリアル友人達の助言もあった。
しかし、ゲームまでプレーする気はないので、アニメだけで本作のレビューを記述することとなる。
※長文ゆえたたみます。
{netabare}本作、EDに私が以前勤務していた職場がクレジットされている。
どこまで、関与しているか分からないが、この事実で科学考証はまあ保証出来るんだろう。
ただし、これの意味するところは、現実性や完全な理論整合を問うことではなく、本作の設定は「可能性」としては有り得るという仮説として、ある程度科学的整合が保証されているという意味だ。
また、SF設定の一般論だが、ファンタジーを【もっともらしく】演出するためには、学術上の仮説(理論)を並べ論理を構築する演出をするが、肝心な点の理論は無根拠か曖昧つまりファンタジーであるという演繹構造が特色だ。
簡潔に述べると、虚偽を真実のように見せかけるために実在する学術仮説を利用するという構図。
これは、簡単な心理トリックではある。
ナチスの宣伝相ゲッペルス博士が、所謂プロパガンダでこの手口用いて大衆を騙し、結果、全世界で2千万人の犠牲者を出したWW2の惨劇となったのだから侮れない。
つまり、1%の嘘をつくために99%の真実を混ぜると、大衆は100%の真実と受け取る心理トリックなのだが、これはSF構成の基礎でもあり、真実である実存理論を嘘の構築のためにどのように利用をしているかが、SF作品の良し悪しを決める。
本作の1期が多くの方々を唸らせたのは、嘘のつき方が過去の作品に比して段違いに巧みであったことに他ならない。

本作では、タイムトラベルの原理の解明もまた物語の醍醐味の一つである。
科学設定について、私は本業の理学者であるので、ここで学術理論に沿って記述をすると、本作に夢を抱いている視聴者の皆様を興覚めさせることとなるので、差し控えておくが、科学的考察の方向性は後述する。

本職の目から気になる点として、マクロ物理とミクロ物理を説明もなく混用するなど、科学的な粗があるのはどうしても否めないので、この点はあらかじめ述べておく。
だが、視点を変えると、本作のタイムトラベルの原理は自称未来人のジョン・タイターがもたらした原理であるカー・ブラックホールの応用だが、ジョン・タイターの未来世界では「M理論」が完成し「大統一理論」が完成していると仮定したうえで、「大統一理論」はメタファーであるとして本作を視聴することもまた吝かではないし、創作であるのだから寧ろこの方向で楽しむ方が面白いであろう。{/netabare}

前作、無印放送中、理系に携わる方多くの々が考察をし、玉石混交ながら多くのブログ記事があるので、考察はそれらを参考にするとよい。
ここでは、考察の指針として本作のSF設定の主たる意味の学術解説を補足と他の考察では触れられていない事象に留める。
先にも述べたように、本作も設定を理論物理学で説明すると本来、書籍1冊分は軽く必要とするほど濃い内容だが、字数の関係もあり一般向けに可能な限り平易に説明することを御了承願いたい。

【科学設定考察】
《世界線》
{netabare}本作の目玉だが、世界は自分が存在している世界だけではなく、同じ世界が宇宙のどこかに存在していると、なんとなく思われている方々が多いだろう。
本来、それで結構なのだが、これだけ手の込んだSF設定をした本作をそれだけで終わらせるのは勿体ない。ある程度理論で説明しよう。
また、本作の科学考察の多くは「タイムトラベル」に費やされており、「世界線」を解説した考察が少ないことも、記述することとした動機である。
本来、「世界線」や「タイムトラベル」を理論物理学で説明するには「量子力学」の他マクロ物理体系である「相対性理論」や「電磁気学」、素粒子の状態を考える「素粒子物理学」の知識を必要とする。(勿論、これらを理解するには力学、電磁気学含め古典物理学全般の知識があることが前提だ。)

1,量子力学概説
まず「量子論」とは「量子力学」を包括した量子の状態に関する全ての理論体系をいう。
ここでは「量子論」と「量子力学」を適宜に使い分ける
「量子力学」でいうところの「粒子」の正体は「電子」や「放射線」に代表される「素粒子」であるが、ここでは粒子そのものの性質を扱う「素粒子物理学」との混同を避ける意味でも「量子力学」に準則して「粒子」として表現する。
「量子」とは原子未満の微小物質でエネルギーを持つ物質(粒子)を整数倍して得られる概念単位と考えてよい。
イメージとしては缶ジュース1本が「粒子」であるとすると、缶ジュース1ダースが「量子」だ。

「世界線」の発想は「量子論」がなければ存在しなかった。
それは、「量子力学」で導かれる「粒子」の状態を観測する上で生じた学術論争のなかでの派生理論だからだ。(専門的には「観測問題」という。)

これらの単位粒子の運動を表したり、観測する学問が「量子力学」であり、「素粒子物理学」など、これら微小物質の状態を考える物理学の総称を「ミクロ物理学(体系)」という。
対し、現実生活で起きる諸現象(リンゴが木から落ちる重量運動、ブレーキを踏むと車が止まる摩擦運動、スマホで通話ができる電磁気学)で宇宙空間を除いて、凡そ特別に観測をしなくても普通に実感できる諸現象を考える物理学の総称を「マクロ物理学(体系)」という。
少し小難しく言えば、因果律に基づく現象を扱うのがマクロ物理で、必ずしも因果律の支配を受けない現象を扱うのがミクロ物理だ。

さて、前置きが長くなったが本項の主題に入ろう。
先に「量子力学」と「ミクロ物理」の立場を説明したが、力学から発展した物理とは現象がなければ結果が生じない因果律を前提に発達した学問領域である。
しかし、電子の怪しげな動きの発見から「いやいや、因果律ばかりでは説明できないぞ」という現象の発見が相次ぎ、量子の状態をモデル化して説明したハイゼンベルクの「不確定性原理」や、量子の状態を数学的に固定した、シュレディンガーの「波動関数」が発表され、当時の物理学界は騒然となった。

物理学においては演繹(論理立て)と帰納(再現性)が両立している決定論とならなければならない。
而るに、量子力学は帰納を完全には満たしていない物理学上の問題点を孕んでいた。
「粒子」を観測すると、見えるとき(粒子状態)と見えない(波状態)ときがあるという幽霊のような特殊な性癖があり、このような物質特性は因果律からは当然考えられない。
因果律において実体とは、連続して固定して存在するものであり、電磁波等の波も連続して固定して目視不可なのである。
分かり易く言い換えると、地球上の同一地点の同一日に視覚が正常な私と、もう一人がいるとして、私には月が見えるのに、もう一人には見えないという意味と同じであり普通では考えられない。
量子論的には、私にとって月は「粒子状態」であり、もう一人には「波動状態」となっていることになるが、ミクロの世界では往々にしてこのような常識では考えられないことが起こる。

この非常識に、因果律に逆らう物理など科学ではなく、オカルトだと言って怒り出したのが、アインシュタインだ。
アインシュタインによるハイゼンベルク虐めは苛烈を極め「量子論」は科学に非ずという一歩手前にまで険悪化した時期がある。
物理学の最高権威に打ちのめされたハイゼンベルクを終始助けたのは、ボーアという科学者だ。
ボーアも当時の量子論研究の第一人者であり、アインシュタイン、ハイゼンベルクと同じノーベル物理学賞受賞者である。
そして「不確定性原理」を巡るアインシュタインvsボーアの対決が1930年に行われ、アインシュタインが敗北したのである。
その後、アインシュタインが嘆いた「神はサイコロを振らない」はあまりに有名な言葉だろう。
これの意味するところとは「量子現象」とは詰まるところ確率的にしか予測し得ないことを示したものであり、これが現代の「量子論」の主流である「確率解釈(ここではボルンの規則とコペンハーゲン解釈を含める)」となる。
確率解釈を用いると、電子とは「粒」であり「波」であるという玉虫色の結論となる。
まず、ここまでは科学史として押さえておこう。

既に、拒絶反応が起きた方は、ここで閲覧をやめて頂きたい。
この後は専門用語が増加する。

2,波動関数
項目タイトルを見ただけで厭になると思う。
しかし「波動関数」無くして「多世界」の発想は生まれてこないので多少踏み込んで記す。

前項1の「量子論」を数学的に示すにはハイゼンベルクが提唱した「マトリックス力学」とシュレディンガーが提唱した「波動関数」がある。
(これらの総称が「量子力学」)
大きな違いは、ハイゼンベルクは「行列演算」で量子の状態を求めることに対し、シュレディンガーは物理学のベーシック「微分方程式」で量子の状態を求めることにある。
なお、どちらの式を用いても【確率解釈】では同じ結果が得られる。
ただし、波動関数では奇妙な結果が起こる。
本来なら、シュレディンガー方程式を用いて波動関数を導く計算過程を記述すると分かり易いのだが、恐ろしく字数を消費する(閲覧者の方々も数学は見たくもないだろう)ので結論を記す。
※下記方程式を解くと波動関数ψは虚数時間をとる複素共役となる。
参考:シュレディンガー方程式
 i h (∂Ψ/∂t) = -(h2 / 2 m) (∂2Ψ/∂x2) + V(x) Ψ
ただし、hはブランク定数

ここの考察点は三点に絞る。
①計算結果とはいえ、ノーベル物理学賞を受賞している波動関数では虚数時間が存在する。一体、物理における虚数時間とは何を意味するのか。
②通常、波動関数Ψの絶対値の二乗はボルンの規則に従い粒子の存在確率として教えられるが、これは認識論的解釈であって、例えばニュートン方程式のように認識解釈の余地がない実在論に立脚したマクロ物理系公式とは扱いが異なり、物理式としては明らかに異様である。
また、シュレディンガー本人はΨの絶対値の二乗は量子が変化する振幅(時間変動)であると述べていることからも「解釈」することこそが量子力学のアキレス腱であることの一つの示唆であると同時に、確率解釈の結果が絶対正しいとも言い切れないのである。
③電子の観測(二重スリット実験)を行うと、波を伴う広がり構成から観測した瞬間に波が消えた点構成に集約される摩訶不思議な現象を体験するが、これは波動関数の「収縮」と言われる現象である。
確率解釈では、量子力学は、観測結果を生成する確率を予言するだけであり、粒子は観測されるまで明確な特性をもたないという見解となる。
要するに、観測者が見たものが真実だという、にべもしゃしゃりもない回答となるが、波動関数は無限連続関数であり、存在確率に沿った観測を行って「収縮」などという馬鹿げたことは理論上起きるものではないが、現実の観測結果に対し確率解釈では認識の問題だと言っているわけだ。要するに問題の本質から逃げている。

以下は量子論を巡る蛇足だが、相対性理論上、光よりも速く伝達するものは存在しないことになっているが「波」が一瞬で消滅したことになる「収縮」が、物理上存在するとなれば、光速度不変原理に対するパラドックス(EPR相関)である。
しかし、確率解釈では「収縮」に明確な答えを出せていない。
ついでだから「量子テレポーテーション現象」にも触れるが、これは因果律に左右されない量子の特性(量子もつれ)を用いた一種の技術論であり、相対性理論と量子力学のパラッドクスを理論上解決したものではない。
マクロ物理とミクロ物理相互間に横たわる多くの謎を解くこの命題は「M理論」の証明を待つまで、かなりの時間を要するだろう。

①の示唆するところは時間には本来累進性はなく、現在、過去、未来はあくまで観測問題に過ぎないのではないかという推論が出来る。
ホーキングの無境界仮説を考えると、量子の状態を示すΨこそに、宇宙の真実が隠されているのではなかろうか。
さて、時間順序を考察するには大きく三つの方向性がある。
時間という概念から考えるか、特異点や量子重力論など力技を用いて因果律を歪ませるか、いっそ光速度不変原理を破ってしまうかだ。
「光速」とは物理学上の上限規定であり、あらゆる法則はこの上限を超えてはならないとされる。
しかし、理屈上ではあるが、光速を超えると過去への逆進が可能となる。
ただ、光速度不変原理は現状では理論物理学上難攻不落の普遍原理であり、タキオン的な素粒子を発見し、それを用いて光速を超える仮説は立てることは出来ても事実証明はほぼ不可能であることから、時間遡及は理学者の立場ではどうしてもファンタジーとなる。
まぁ、時間遡及を理論証明出来れば相対性理論は崩壊してしまうわけだし、追試でそれが証明されれば確実にノーベル賞だろう。
これからの科学を背負う若者はおおいにトライしてみて欲しい。
虚数時間から脱線したが、これは時間とは何かの哲学的問いにもなる。
つまり、帰納の行く先を見失った観測問題と等価な思考実験的の意味合いを持つ。
なお、本作では「カー・ブラックホール」の重力特異点を用い時間移動の原理としているが、Dメール、タイムリープと合わせて字数が許せば後述をしよう。
②、③は次項の重ね合わせのパラドックスで考察する。

なお、現在でも波動関数の真の意味はノーベル物理学賞受賞クラスの高名な科学者も実態を掴みきれておらず、人智の限界を超えた存在であるとも言える。
また、波動関数には知識そのものが記述されているが、全てが解読されているのではないとする仮説もあるので併記しておく。
まぁ、これを導き出したシュレディンガー自身も全てを説明出来ないのだから無理もあるまい。
シュレディンガー方程式はE=mc^2とならび数学的技法の芸術とも言われるが、理論物理学のトラップとして、理論を数学的に表現した結果、数学規則上のバグが生じることがある。
例えば、不定積分をすると定数項を生じるが、これが理論物理学ではバグになる。
ところが、このバグに意味がある場合もあるのだから物理とは実に奥が深いものである。
計算結果で生じる虚数時間についてシュレディンガー自身は説明できず、バグとして処理したが、後世の科学者によって虚数時間の仮説が立てられたのだからね。

3,猫を呼ぶ確率解釈のパラドックス
あまり「波動関数」をやると誰も読まなくなるような気がするので、有名な「シュレディンガーの猫」に話題を変えて考えて見よう。
上記、②、③を考察点としたのは、お猫様が主役の確率解釈の盲点をついた有名な思考実験だからである。
ここで、確率解釈の限界点が明確となり、かつ「世界線」の原理である「エヴェレット解釈」の仮説が生じた重要なイベントであるからだ。

まず、私は犬派ではなく猫派だ。香箱座りをしている猫を眺めているだけでも気持ちが和む。さらに、丸くなって寝ている猫を見ていると、その横で添い寝をしたくなるほどの猫好きだ。
しかし、この項目では猫を殺さなければならない…

ほとんどの方々は「シュレディンガーの猫」のことは名称だけでも聞いたことがあると思う。
これはあくまで、仮定の話しであって実際に実験したものではないことを予め断っておく。
専門的には「思考実験」という分野だ。

箱の中に1時間以内に50%の確率で放射線(α線)を出すラジウムと、α波線を検知したら青酸ガスを放出する装置を仕込み、その箱に猫を入れる。
1時間後の猫の生存確率は50%だが、箱の蓋を開けるまではその猫は「死んだ状態と生きている状態が重なりあい同時に存在している」状態であり、箱の蓋を開けて生死が初めて確定するという、量子力学独特の不思議な概念をいう。

猫を粒子に例えると、死んだ猫は波で、生きている猫は粒子となる。観測していない状況では量子は波、粒子両方の状態であり、観測して初めて波か粒子か分かるという確率解釈の考え方にシュレディンガーが提示した猛烈な皮肉である。
量子は観測するしないに関係なく、波か粒子かのいずれかどちらの姿で存在しており、観測した瞬間だけが真実とは言えない。
つまり、蓋を開けて観測しようがしまいが、猫は生きているか死んでいるかのどちらかであり、観測結果で確定するという考え方そのものが間違っているとの問題提議であった。
普通に考えて、死んだ猫と生きている猫の両方が存在しているなどの確率論は詭弁も甚だしく、確率解釈が如何に現実と乖離しているかを示す思考実験だ。

そして、この思考実験は後の「エヴェレット解釈」を生む原動力となる。
「エヴェレット解釈」を取れば死んだ猫と生きた猫が重なりあっているという詭弁な解釈をしなくても、世界線ごとに生きた死んだの決定論しか存在しない。

なお、ここでは分かり易く例示したが、この思考実験はマクロ現象でミクロ現象を説明するという致命的な欠陥がある。
それは理学の専門家の間で論じられていることであり、確率解釈の矛盾を把握する上では大きな問題ではない。

「シュレディンガーの猫」のように量子論特に観測問題は追究をすればするほど、科学から距離を置いた思索に導かれる魔力がある。
シュレディンガーはもとよりハイゼンベルクまでもが、晩年サンスクリット哲学から量子論の新たな境地を見出そうとしたのである。
仏教は宗教でもあると同時に代表的なサンスクリット哲学だ。
確かに「般若心経」だけでも、西洋人の思考では及ばない観測問題の核心をついている。
魅入られるのも無理がないだろう。

4,エヴェレット解釈における多世界観
やっと、辿り着いたか。
ここまで読んで、量子力学における「観測問題」とはどういうことなのかザックリと理解できたと思う。
復習してみよう。
①「量子力学」では粒子の存在は確率で予測され、観測で確定する。
②「波動関数の収縮」のように、実際に観測すると予測とはとは違った観測結果となる問題点「観測者効果」を孕んでいる。
③確率解釈による量子の世界観は観測でのみ確定するが、粒子の状態を示す波動関数には、ある時点での観測が結果であるという認識的な時間的制約は存在せず、無限に発散している連続関数である。
つまり、ある時点の観測結果はその時点で有効であるが、観測後に経過した後の状態では別の世界観を見ることになる。

もう、お気づきであろうか?

「エヴェレット解釈」とは、波動関数が連続する軸(確率軸やローレンツ軸)に観測者が共存する各状態、これを言い換えれば観測者はそれぞれの世界線に存在し、その世界線同士は干渉せず、ある世界線の観測者がたまたま観測結果を得た世界に属していて収縮したとしても、波動関数そのものは世界線を分岐して連続し収縮することはないと解釈したのが「エヴェレット解釈」であり、波動関数の収縮を避けるために編み出されたのが「多世界」の考え方である。
なお、確率軸をとれば本作の世界観となり、ローレンツ軸をとるとパラレルワールドになる。なお、ローレンツ軸に確率軸が存在することは肯定される。
言い換えれば、私達の世界もシュタインズゲートの世界もローレンツ軸上に存在する確率軸の一つに過ぎない。
また、世界線の分岐は認識の問題でもあり「倫太郎」のようにメタ能力(リーディング・シュタイナー)がない限り、世界線が分岐したとしても我々には認識出来ないのだ。
これを観測問題に置き換えれば「倫太郎」には粒子が観測できるゆえ収縮するが、、我々には見えない(波の状態)ので「収縮」は起きず変化は認識出来ないのだ。
なお、それぞれの軸の説明は、複素空間や非ユークリッド幾何を用いる必要がありオッタキーかつ難解なため、ここでは違いと特徴だけ記す。

「エヴェレット解釈」は波動関数Ψが収縮すると世界線が分岐し、Ψは別の世界線で無限連続関数性を保ち続けるというのが発想の根本である。
量子力学において「エヴェレット解釈」をとれば粒子を観測した後に世界線が分岐し、分岐前の世界線では観測者効果で波が消える「収縮」をしてしまうが、分岐した世界線ではそのまま波が存在するという、Ψと観測問題に起因する量子力学の矛盾が解決する、そういう考え方の一つである。
「エヴェレット解釈」を拡張すると「パラレルワールド(世界線移動)」にも適用出来るが、本作は一つの確率軸にある世界が分岐する設定であるから、パラレルワールドの説明は省略する。
イメージ的には同一確率軸の世界線分岐は横軸のみの世界観で、パラレルワールドは更に縦軸が組み込まれると考えればいいだろう。
まぁ本作は同一確率軸に存在する世界で「倫太郎」が運命に抗う姿がアジであり、パラレルワールドを設定すると設定が複雑になり、かつ、脚本の掘り下げ次第では物語全体を劣化させるリスクがある。
また、本作で「アトラクタフィールド」は既に前提であり、その収束の動機に関する科学的なモニュメントには触れられてはいないが、ここまできたので、量子力学の立場で説明すると、観測と収縮が世界線分岐の起点(イベント)となり、Ψの連続性が維持されることで収束することになる。
つまり、「エヴェレット解釈」では、観測した過去を抹消(過去改変)をした場合、波動関数の収縮はなかったのだから、その世界線における因果律に変化はないということである。
無印のα線では「まゆり」の死は因果律として確定している。
そして、「まゆり」の死を確定付けているのは人の認識だ。
これをΨで考えると、ある時間に粒子が波になる確率は決定事項であり、過去を変えるというイベントは連発関数のΨから見れば観測されたことにはならないので、因果律にも当然変化は起きない。
つまり、「倫太郎」が過去改変をしたところで、観測したことにならないのは「倫太郎」以外の者達も「まゆり」の死を観測することが確定している世界線だからだ。

本作では無印23話と改変23話を比較して何が分岐イベントであったのか理解できよう。
「倫太郎」がDメールを観測したか否かで収縮を表現している。
次にDメールの指示で「倫太郎」に「紅莉栖」が死んだ過去は変えるなと指示している。
無印最終回では「β世界線の倫太郎(時系列が進んでいるα世界線の倫太郎)」が見た血まみれの「紅莉栖」を「時系列が遅れているα世界線の倫太郎」に見せることで同じ記憶を追体験させる【認識的観測】をさせることで、過去改変を防止したという流れになっている。

「確定した過去を変えずに、結果を変えろ。」
これが、シュレディンガーの猫で説明した「観測問題」を用いたα世界線からSG世界線へと導いたトリックの種あかしであり、その為に無印ではさりげななく「量子論」を援用していたとも言える。

かつて空想的に用いられてきたパラレルワールド等の多世界観は「エヴェレット解釈」により科学的根拠を保有した概念として本作でもSF設定に用いられている。
ただし、「エヴェレット解釈」には夢があるが、あくまで仮説の一つであり、量子力学は現在もなお、ヒルベルト空間内でのイベントとしての「確率解釈」が主流である。
なお、本項では「エヴェレット解釈」誕生を観測問題の経緯を中心に記したが「余剰次元」の項で「超弦理論」における扱いにも触れる。

今回、なるべく専門用語を用いずに(それでもかなり多いが)「エヴェレット解釈」における世界線を説明したが前述の「観測者効果」は「量子デコヒーレンス」の一部であり、本来は「量子デコヒーレンス」の全体像から、これが生じる確率スペクトルにおいて「世界線」を考察するのが本筋であろう。
本作の「ダイバージェンス」の科学的な元ネタはこれだからね。
しかし、ここは量子力学の教科書執筆の場ではないためこれ以上の説明はしないが「多世界」とはどのような思考過程を経て編み出されたのかという説明目的は達したと思う。
また、量子論をあまり深追いすると、理学上のタブーである哲学領域に踏み込むためこの辺でお開きとする。{/netabare}

《次元の魔力》
{netabare}「次元」には人を魅了するその言葉自体に魔力があるようだ。
我々が一般に把握出来るのは「空間」つまり3次元だが、4次元以上になると感覚では判断出来ずそこにミステリアスな魅力を感じるのだろう。
ただ、我々が生きているこの世界は、ただの空間ではなくベクトル量を持つ空間である。
要するに時間概念だが、時間軸は空間把握と独立した観測感覚だから次元感覚が生じないだけだ。つまり4次元は特殊なことではなく、普通の世界の状態である。
これを理論化したのが「相対性理論」だ。
感覚的に悟れない5次元以上は、観念の世界(イメージトレーニング)と割り切って良いのだ。

1,「5次元」
5次元の世界とは、相対性理論に電荷の軸が加わる世界だ。
これを理論解説すると「ゲージ理論」なる難解な理屈を持ち出しての話になるので、触れないが、時間軸まで扱う一般相対性理論に電荷の軸がプラスされたと考えて良い。
少し専門的に言えば相対性理論と電磁気学を統一する「カルツァ・クライン理論」に基づく。
アインシュタインはブラックホールの存在を予言したが、重力だけは説明が付かないブラックホールの具体的な働きは電荷を加えた5次元軸を用いて初めて解明出来る。
また、この5次元の意味が分からなければ、本作にも登場する「超弦理論」はそもそも理解出来ない。
更に6次元以上(以下高次元)は量子論の世界であることから、前述した量子力学からも次元の意味をイメージしなければならない。
因みに「弦理論」の一つボソン理論は26次元をとる。

2,「超弦理論」をごく簡単に
「超弦理論」の「弦」とは素粒子の形を意味し、アーキテクチャーは1次元だ。
専門家の間では素粒子はひも状の形なのだろうという観念的な意味で「ひも」と言っている。(が本当にそうなのかは観測されるまでは分からない)
視点を変えれば、宇宙の最小単位は「ひも」で構成されいると仮定して、その振動を数式でモデル化したのが「弦理論」である。
一口に「弦理論」と言ってもこれには様々なパターンがあり、それぞれの理論には何らかの欠陥や足りないものがあった。
各種の「弦理論」を精査、精練させたのが「超弦理論」となる。
本作は原作原案が少々古いので「超弦理論」を設定に採用しているのだろうが、時代は既に「超弦理論」から更に進化した「M理論」となっていることを蛇足ながら申し上げる。

3,「次元」の物理学的意味
「超弦理論」で扱うひも状の素粒子はとても小さいものであり、さらにその自律運動(ひも振動)はCERN(本作のSERNの元ネタ)が保有する加速器でも現状では観測不可能だが、現在性能向上の工事をしているので、近い将来「ひも振動」が観測出来る可能性はある。
だが、現状では、演繹はしたが帰納するかしないか分からない「仮説」である。
理論物理学は論理立てをしないと始まらないことと、多くの科学者から理論上の支持を得ている「超弦理論」の演繹性には何らの問題はない。
問題は寧ろ「超弦理論」という言葉が一人歩きをして、科学を過信する科学の外で妄想が膨らんでいることにあるのだろう。
科学に携わる者こそが、科学の限界や分限を最も熟知しているのだからね。

余談だが、ニュートン力学や初期の電磁気学が全盛の時代、革新的な発達を遂げる科学の有り様を見て、世の中の全ての現象は科学で解明できると大真面目で考えていた馬鹿者がいた。マルクスやエンゲルスだ。
だから、連中は自分達の思想を「科学的社会主義(共産主義)」と自称している。
共産主義の顛末は、科学を万能と考え過信するような理性万能主義者が闊歩する社会はロクなことが起きない反面教師だが、人類はもっと謙虚になるべきであろう。

さて、本来、高次元を考えるには量子論の他「素粒子物理学」の先端理論をも理解しなければならない。
しかし、世界線の考察であれだけの字句を要したのだが、高次元の説明は世界線の比ではない。よって大幅に端折る。

結論から述べるが「超弦理論」とは10次元の理論である。
次に素粒子観測におけるミクロ物理の特殊な「場」を想定する。
イメージ的には原子はなぜ安定して存在しているのかが分かり易い。
原子核の周囲では、電子が運動している。
何もしなければ電子は原子核に対して安定している。
このような、電子と原子核で成立している重力や磁力よりもはるかに小さな「力」のことだ。
素粒子物理学ではこのような力場関係を「相互作用」というが、その相互作用を媒介する素粒子によって4つに分類される。
これを「ゲージ理論」で変換し「波動関数」で求めると量子化される。
ただし、この説明はかなり端折っており、実際はもっと複雑かつ難解プロセスを経るのだが「量子化された相互作用」が高次元のイメージである。

もともと、素粒子のアーキテクチャーは0次元(点)であり、そこから1次元の「ひも」へと広がっている。因みに「M理論」では2次元となる。
素粒子理論における次元とは、アーキテクチャーから各次元方向にどれだけ拡張されたかの軌跡を意味する。
拡張の臨界は「固定点(ディリクレ境界)もしくは自由点(ノイマン境界)間におけるエネルギー保存法則」を満たすか否かで決定づけられる。
この拡張軌跡をブレーンと呼び、ブレーンのカウント数が「次元」となる。
また、プレーンの固定点がディリクレ境界であることからDブレーンとも呼ばれる。
「超弦理論」ではアーキテクチャーから10のブレーンが存在すると考えればいい。

次に、認識論としての「次元」だが、4次元までは幾何学的に認識し(ただし4次元はリーマン幾何学という特殊な幾何学)、5次元は論理として認識する。それを超える高次元は量子化での認識となる。(余剰次元)
ただし、量子化された認識をデコボコに歪んだ曲面(超曲面や複素球面の多様体)のように幾何学的に表現することは可能だが、あくまで幾何的疑似表現であり本質的な意味は持たない。

4,「余剰次元」
これは、現在の先端分野(如実に理論先行)に属する内容で、素粒子物理学の専門家間でも様々異論があること、かつてのホーキング博士のように「超弦理論」そのものを否定している方々もいることから、記述しようかしまいか悩んだが、本作で「超弦理論」を用いた動機に「余剰次元」から「マイクロブラックホール」の存在を示唆していることがあること、そして「多世界」と「超弦理論」の関係も出てくるため、科学の可能性の一つとして項目を設けることとした。

では、頭の体操のようだが「余剰次元」を簡単に説明する。
これは、6次産業(1×2×3=6)の語呂合わせと似ている。
前述でブレーンを説明したが、素粒子物理学では「ブレーン宇宙」という概念がある。
4次元までは可認識空間であることを述べたが、その4次元に平面(2次元)を加えることを想像する。(4+2)
更に、4次元空間に加えた平面を巻きつけると、見かけ上は4次元でも、その中に別の2次元平面が隠されているようになる概念を「余剰次元」という。
これは「超弦理論」の6次元ブレーンの概念でもあるが、隠れて認識出来ない平面が量子化次元である。
「超弦理論」では現状7次元以上は数学的な余剰次元として考え、現在、様々な仮説の構築が行われている。
なお、6次元ブレーンで構成された空間(バルク)を幾何学的(カラビ・ヤウ空間等)に模した場合、その空間にエヴァレット解釈が予言した、多世界が存在するとの仮説がある。「超弦理論」が証明されれば、未来人ジョン・タイターの予言のとおり、宇宙は多世界構造である可能性を秘めているのだ。
相当、端折ってしまったが、これが物理における次元の考え方である。{/netabare}

《物理学的時間観念と物語設定トリックの考察》10/13追記
{netabare}1,序
科学設定考察の最後となるが、ここでは「未来ガジェット204号機」の原理を含め、本作の設定がSF設定としてなぜ抜きん出ているのか考察する。
さて、本レビューではミクロ物理である「量子論」と「超弦理論(素粒子物理学)」を用いて考察を進めてきた。
ここまで読んでくれた方々には、理論上の観念と現実の閾値を理解して頂けたと思う。
さて、マクロ物理の立場である「相対性理論」については現在もなお全ての謎が解けているわけではないことを、先に申し上げておく。
なお、本項での「相対性理論」とは特別に使い分けが必要とならない限り「一般相対性理論」を示す。

さて、重量が光を曲げる「重力レンズ効果」は近年発見(観測)が相次いだものであり、更に今年(2018)になってから、ブラックホール周辺では光の波長が長くなる「重力赤方偏移」を観測し、また一つ「相対性理論」の正しさが証明された。
(参考:天文学専門誌『アストロノミー・アンド・アストロフィジックス』7月29日付け)
「相対性理論」とは重力系の運動を記述した「万有引力の法則」は宇宙空間では必ずしも適用されないことを証明したと同時に、宇宙の状態を記述した理論である。
簡単に言えば、ニュートン力学では、物体が引き合う力で決まる重さが重力であるが、相対性理論では空間の歪みが重力を決定し、重力が大きいほど時間は遅れる。
ニュートン力学では、上記の「重力赤方偏移」は説明が出来ない現象であるのだ。
既に発表から100年を経た「相対性理論」でも未だに検証中であり「超弦理論」の研究が本格化したのが1980年代であることを考えると、検証にはなお相当の時間がかかる未完の理論である。

2,そもそも「時間」とは
ここで、相対性理論を展開する気はないが、以下に記述したことは相対性理論から導かれた時間の概念的である。

時間概念は本作シリーズを視聴する上でも重要な問いである。
一般の作品の時系列は主人公目線の絶対時間で進み、視聴者の俯瞰はそれと同時並行をする。
しかし、本作の時系列は「相対的時間順序」で構成されている。
「倫太郎」目線で物語を追うと、時系列錯覚を起こすので、視聴する上では注意を要する点でもある。
つまり、視聴者は「倫太郎」を観測する立場で物語が進行していることにあるが「倫太郎」自身にとって「絶対時間」なのである。
この現象を分かり易く説明しよう。
夜空の星を見てみよう。
キラキラと輝いている星々のなかには、既に現存していない星も含まれている。
星が光を放ち、その光が地球上の私達に届くまで、気が遠くなるような時間がかかっているからだ。
つまり、星を観測するということは過去を観測するのと同じことである。
しかし、観測者自身が過去に溯行しているわけではなく、星という被観測物が過去なのである。
このような、観測と被観測との間に生じるメタ関係が「相対的時間順序」であり、観測者の時間的立場が「絶対時間」である。
本作で考えると、無印α世界線の「倫太郎」が認識する事実が絶対時間であり各イベントで「まゆり」の死を観測する「倫太郎」と「まゆり」を視聴者がメタ観測する関係が「相対的時間順序」である。

3,考え抜かれた物理トリック
本作のタイムトラベル設定においてもっとも考え抜かれた点は、時間の溯行のみに留め未来への旅行を設定しなかった点である。
これをやると、本作の科学設定が複雑となり破綻を来すからであろう。
だが、我々本職の視聴した場合は、もっと別な視点で科学設定の巧みさに感嘆を抱く。

本作の科学設定に興味がある方は特に①のDメールやタイムリープ関する記述は目から鱗かもしれないので二重に折り畳む。ただし閲覧の際には量子力学の知識が必要である。
{netabare}①Dメール、タイムリープ設定は物理的に過去を旅するものではなく、未来からの指示、意識のみ過去へ送り込むという方式でタイムパラッドクスに纏わる諸問題を回避している。
更に「親殺しのパラッドクス」で比喩される因果律のパラッドクスに関する部分は「収束」という物理概念で結実させ、物理学的範囲を逸脱しないように構成している。
ただし、量子コンピュータ概念の一つである「クォンタム」を利用した電話レンジ(仮)の設定では「倫太郎」の意識のみがタイムリープをし、物理的な過去改変で「まゆり」の救出を試みるも成就しない「タイムパラッドクス」が【物理学的整合】となり「クォンタム」の現実性まで肯定しているわけではない(可能性までは否定していない)ので断っておく。

Dメールもデータであり、過去に向けることが可能なら、意識もメールも「クォンタムアクセス」の可能性として整理が出来るだろう。
なお、量子力学の項で「観測問題」を説明したが「認識を意識が阻害する」事実を形而上であるとして、物理学では無視や切り捨てで対応していることに対し「意識」そのものを問うているのがこの分野だ。
(嘘か誠かは知らないが「クォンタムアクセス」を深掘りすると不吉なことが起きると言われる。「ウィキリークス」絡みの案件だからかなw、因みにSAO3期も「クォンタム」を用いているフシがあるが結論は最後まで視聴してから。)
本作0では「紅莉栖」の記憶をビットデータ化したAI「アマデウス」が登場する。
「量子脳論」の研究分野は将来、AIにも応用されていくのだろうが、物理学とのブリッジすら現段階では混沌としており、まぁ限りなく科学の可能性があるプロト科学の分野だね。

さて、「クォンタム」聞き慣れない言葉だと思うが、意識のテレポーテーションは宇宙の状態記述理論の一つである「ホログラフィック原理」を用いた「量子脳論」の分野で研究されており、また、この分野では人間の意識を量子化することでビットデータとして取り出す可能性を模索している。
そんなことが本当に可能かどうかは、私はこれを扱う「脳科学」には門外漢であり、申し訳ないが現段階では理論上の批評は出来ない。
とりあえず、理論物理学の立場から原理の概略だけ触れよう。
次のカーブラックホールでも触れるが、ブラックホールには「シュヴァルツシルト面」という理論上の不可侵領域が存在する。(「事象の地平面」とも表記される。)
「相対性理論」で最も早いのは「光」であるが、「相対性理論」では重力が増大するにつれ、光も曲がり、曲がるということは光が描く軌跡の距離が伸び、ブラックホールの外側から観測すると、光の速度が遅くなっているように見え、いつまでも光が通過しないからそこだけ暗く見えることからブラックホールの名称が付いた。
何も障害がなければ光がブラックホールを通過するする時間は、ブラックホールの直径で決まるが、上述のとおり、ブラックホールでは光が曲がり、通過は重力に比例して遅くなる性質があり、光の速度が下がる(光が曲がる)境界が「シュヴァルツシルト面」である。
「ホログラフィック原理」では「シュヴァルツシルト面」はブラックホールのみではなく宇宙そのものが「シュヴァルツシルト面」に投影された情報構造体であると仮説している。
つまり、全宇宙の情報は宇宙の終点にある「シュヴァルツシルト面」に集約されるということだ。これを仮に「宇宙シュヴァルツシルト面」としておく。
一見信じ難たいオカルトめいた内容だが、理論構造としては後に説明する『時間順序保護仮説』の反転理論であり、量子力学を確率解釈から決定論へと転換する理論でもある。
更に拡大解釈をすれば、魂(思念、意識)の行き着く先は「宇宙シュヴァルツシルト面」ということになる(小声)
また「シュヴァルツシルト面」は、相対性理論で導かれた「時間的閉曲線:CTC」でありその性質上、時間的カオスを生じ時間順序の概念が崩壊し、「余剰次元」が存在するならば、世界線を跨がるリバースも可能となる。(詳細は②で解説)

「量子脳論」では「宇宙シュヴァルツシルト面」から「脳」への情報伝達を「クォンタムアクセス」(概念的にはユングの「集合的無意識」に近い)、「脳」から「宇宙シュヴァルツシルト面」の情報伝達を「クォンタムリバースアクセス」(魂、思念、意識)となり、理論上当然それまでの記憶を保持し続けることから、本作で言うところの「リーディングシュタイナー」の仮説的根拠にもなろう。

電話レンジ(仮)の動作原理であるマイクロブラックホール(に作用する過程の仮説を含め)は他所でも述べられているが、その結果の現象である「クォンタムアクセス」に言及したものは私が知る限りないと思う。
更にもっと言及しよう。
本作では「倫太郎」
よって私的結論として
※【神をも冒涜する12番目の理論の本質は《クォンタムリバースアクセス》である】
と、位置付けよう。{/netabare}

②因果律の保護は、現在多くの理学者が支持するCTC(時間軸は直線ではなくリング)よる「ワームホール」などにおける『検閲官説』(一般相対性理論)を踏まえて4次元ブラックホールの科学的常識を越えない設定とし、本作の設定そのものに信憑性をもたせることに寄与している。
ただし『検閲官説』については、本作の原作設定以後の2016年に4次元を超えるブラックホールでは『検閲官説』は成立しない可能性がある発見がなされていることを付記しておく。

タイムパラッドクスに関して二説だけ紹介しよう。

一つ目はホーキングが提唱した『時間順序保護仮説』だが、本説を用いると本作そのものが成立しなくなる。
説明しよう。『時間順序保護仮説』とはCTCが存在したとしても、CTC存在の前提が「相対性理論」であり、因果律を破るということは、因果律において論じられる「特異点」を破ることを意味し、結果、ブラックホールが蒸発し特異点が剥き出しとなる現象(裸の特異点)をも4次元空間で説明しなければならないが「相対性理論」を破る理論構築は現状では99.999999…%無理だろう。
寧ろ、理論物理学の研究方向を考えると「相対性理論」を「量子論」に適用出来るブリッジ理論の方が手堅いだろう。
ホーキングは波動関数により「純粋状態」でCTCの存在条件を求め、CTCが存在する条件下ではエネルギーが無限発散する。つまり量子力学的には成り立たなくなることを証明した。
この意味は「相対性理論」がCTCを認めても「量子力学」がそれを否定するということであり、CTC上でも因果律の崩壊は起きないということは、つまりタイムトラベルそのものが出来ないとした取り付く島もない理論であるがゆえに「ホログラフィック原理」の存在を仮定する本作では対立する仮説であるゆえに採用出来ないのだ。

二つ目は本作のタイムパラッドクス回避に採用されている「セス・ロイド仮説」である。
どういうことかというと、「量子力学」の項で波動関数は全てが解明されているものではないと述べたが「量子力学的」に無視されている収縮確率をCTCの存在確率で考えると時間対称性を破る発生確率は限りなく0であるという「実験解」が得られた。
つまり、起因を変えても結果が変化する確率は限りなく0であるというものである。

他にもタイムパラッドクス回避の仮説はあるが、この二点を理解すれば十分である。

③本作のタイムトラベルはジョン・タイターが示したと言われるカーブラックホールの構造を理論的な根拠としている。
カーブラックホールとは4次元(定常次元D=4)に存在するブラックホールの一般式カー解によるベーシックなブラックホールであり、質量と角運動量を持つブラックホールで、これは宇宙項は0、パラメーターは2のブラックホールだ。
これが、なぜ、タイムトラベルに結びつくかというと、このブラックホールの特異点が点ではなく環状で、角運動(回転)すると球になる特徴がある。
ここを旋回することで時間の変位が調整されるという仮説。
ブラックホールには内と外に二重の地平面があり、ブラックホールに入り特異点に近づくにつれ時間軸と空間三軸が捻れ、球状特異点で時間軸と空間軸は正常化さる。
カーブラックホールでの時空転換は性質上確かこんな理屈だったと思うが、この状態をブラックホール内部の状態を記述する「クルスカル座標」という面倒臭い計算で表現すると、確かに時間と空間が入れ替わるが、あくまで数学上でのことだ。
更に「相対性理論」の説明で便利な「ペンローズ図」で「閉じた時間の環:CTL」も交えて時間変異の因果構造を説明すればより親切なのだが、レビューCGIは画像添付に対応しておらず、結論は変わらないので軽く触れるだけで失礼する。
更にジョン・タイターは裸の特異点をタイムマシーンの安定動作の根拠としているが、裸の特異点をD=4で認めることは「相対性理論」を否定することでもあるから、カー解を使えない高次元D>(>にアンダバー一本の科学記号)5のブラックホールを考える必要がある。
《次元の魔力》でも説明したとおり、高次元になれば「余剰次元」にも特異点の存在を仮定できるが、ブラックホールの状態は閉じない軌道に沿り時間積分でホライズン閉曲面で空間平均で置き換えるような様々なテクニックがあるが、定式化されていない難点があり、理論解が複数生じるので、一般向けには説明にならない。
どちらにせよ「余剰次元」が検証できていない限りは、裸の特異点はD>5空間に存在するであろうとの認識程度で良いだろう。

仮にタイムトラベルが物理学的に成立しても生理学的に考えれば、ブラックホールの大重力による吸い込み加速に、まず人体が耐えられるわけがない。
例えば、ジェット戦闘機の急旋回は約8G程度だが、耐Gスーツを着用していないと気絶する。重力加速度がどういう影響を人体に与えるかイメージできるだろう。
条件は違うが、重力による負荷現象は無印5話で「紅莉栖」がスポンジを使って説明し、更に重力により物質が崩壊した状態を、ゲル状態(まゆりのゲル化)として視覚化し相対性理論で記述されようなブラックホールにおける大きな重力場ではタイムトラベルが実現出来ないことを暗示しており、設定に一定の科学的合理性を付与している。

④その代わり、SERNによって成功したプランク長(量子単位)クラスのマイクロブラックホールの存在を示唆している。
一度、現実の話に戻るが、この元ネタは現実に存在する「CERN」(Conseil Europeen pour la Recherche Nucleaire)の「大型ハドロン衝突型加速器」で陽子の束を衝突させることで人工的なブラックホールを生成するとした実験だ。
何やらとんでもないことが起きそうな響きだが、この実験の目的には他世界の存在確認が含まれていることはご存知であろうか。
正確には《次元の魔力》で説明した「余剰次元」の発見実験であり、余剰次元の存在は多世界存在の可能性をも意味する。
字数の関係もあり理論的な説明は省略するが、本作の世界線分岐は物理的にはマイクロブラックホールの生成ないし内部活動によって引き起こされたDメールなどによるイベントによって引き起こされる設定だ。
ゆえに、マイクロブラックホールの設定はタイムリープのみならず、世界線分岐にも及ぶ多重な伏線の意味を持たしている、実に手が込んだ設定であることが理解出来ると思う。

ブラックホールは「相対性理論」が記述する大きな重力場と「超弦理論」が予測する小さな重力場があり、これは「重力」という視点からみれば等価である。
この双方からの重力アプローチを一つにまとめようとしている理論が「量子重力論」である。
「量子重力論」は「大統一理論」に最も近い位置にあり、もし完成すれば「相対性理論」と「量子論」の垣根の一部が崩れる物理学上の一大革命となる。
本作では「量子重力論」を表には出してはいないが、高分子構造の人体や高分子素材が使われるタイムマシーンを、ミクロ物理で記述するマイクロブラックホールを用いて過去に転送する設定は、何度も説明しているとおりマクロ物理と反する現象であり、現時点では論理的に破綻となる。
しかし、本作では「重力」、厳密に言えば「特異点」を触媒としていることに注視したい。
「相対性理論」でも「超弦理論」でも記述される「特異点」を設定の肝に据えれば、上述した「量子重力論」(未完ではあるが)での理論武装が可能となる。
この点が他のSF作品とは違う抜け目のなさであり、本職の理学者をして唸らせた本作SF設定の完成度の高さでもある。
尤も、本作シリーズは本職の理論物理学関係者の監修を受けているので無理もないことだ。

⑤ただし、転送するにおいての物理的かつ生理学的な人体や転送物体(タイムマシーン)への影響に対する説明だが、本作では一部のリスクは語られたが、その他のリスク説明がされてはいない。
逆に「紅莉栖」によるゲル化以上の説明をすると「ボロ」が出るから避けたと思うが、他にリスクがないとも言いきれないがゆえに、曖昧にしている点が個人的には不満である。
例えば、①で説明した「クォンタムリバースアクセス」を実行すれば、本作で描写された「倫太郎」のメンタル崩壊の比にはならないほど、精神に何らかの異常をきたす。
最近、キューバの米国大使館でおきた「音響」を用いた人体攻撃(高周波域に超音波織り交ぜたマイクロ波聴覚効果といわれる)でも大きな障害が出ている。
それよりも遥かに大掛かりな「クォンタムリバースアクセス」が無害で済むまいとする想像は十分に可能だ。{/netabare}

以上で本レビューの科学設定考察を最後とする。
本作では多くの科学的事象が設定されているが、先にも述べているように、それらを逐一考察すると文字数がいくらあっても足りないので、他の考察サイトであまり触れられていな事象、科学考察の方向性や、考察に必要な物理の考え方に留めることとする。
理論物理学とは極端な話、妄想こそが発見に繋がる源泉であり、理学者から見た「鳳凰院凶真」はけっして自称するほどマッドサイエンティストではないのだ。
多分、量子論や素粒子論(あくまで触りだが)はここで初めて御覧になられた方も多いと思うが、理論物理学とは何かを感じ取ってもらえるだけでも嬉しいし、光栄である。

【余談】{netabare}
本レビュー執筆中に原作者の一人志倉氏とCERNの科学者3名を招きパネルディスカッションが京都で行われた。可能であれば是非参加をしてみたかったものであるが、このパネリストに志倉氏が招待されたということは、本作の科学設定は本職が認めるレベルにあるという裏付けでもある。
『テーブル・アンステーブル京都-サイエンス・アウトリーチ』(10/11)
コメンテーター
藤井啓祐氏(京都大学 准教授 量子コンピューター)井元信之氏(大阪大学 名誉教授 量子情報論)落合陽一氏(筑波大学 学長補佐・准教授 総合司会)他
追伸
レビュー第3稿を推敲している最中ホーキング博士の遺稿
"Black Hole Entropy and Soft Hair"(プレプリント・サーバー 英文)
公開の連絡がきた。
ブラックホールと情報についての論文だが、考察で述べた「宇宙シュヴァルツシルト面」のアプローチらしく、これから読もうと思う。
読後、内容によっては考察に反映することもあるかもしれない。{/netabare}

なお、本レビューで触れていない科学考察は、前期無印から数多くの考察ブログやサイトがあるので、そちらを参考にして頂きたい。

①長文であるゆえ、後日の誤字脱字校正を留保。
②この後本作の総評をするに当たり、文字数が不足する場合【科学設定考察】の全部または一部を無印か23話β境界面上のミッシングリンクのレビューへ移行する。
③今回の追記の1週間後を目途に作品総評を行う予定。

2023/7/8一部加筆

投稿 : 2025/02/01
♥ : 57
ネタバレ

ミュンヘン さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

神に抗うラボメン達の執念のエピグラフ

終盤に怒涛の伏線回収をすることでおなじみあにこれでもアニメ評価総合1位と平成に生まれた最高のアニメシュタインズ・ゲートの続編です。

第1期の第23話の再放送(通称第23話β版)にてエンディングにたどり着けなかった岡部倫太郎の話。正当な第23話(通称第23話SG版)にて未来からムービーメールをしてくる2025年の岡部倫太郎の話です。

今作は第1期のような伏線回収していくみたいな話の構成が凄い!っていう感じではないです。どちらかというとキャラクターの魅力を最大限に引き出してる感じです。第1期が孤独の観測者ならこのゼロは皆で協力していくっていう岡部倫太郎以外のキャラクターの存在感というのがかなりあった作品です。第1期が好きだった人はゼロも楽しめるのではないかと思いますね。

シュタインズ・ゲートはタイムマシン・タイムリープマシン・Dメールなどといった時間を跳躍できるアイテムが登場しましたが今作出てくるのはアマデウスというAIです。それも人間に限りなく近いAIです。例えば人間は1週間前着た服装を正確に覚えてるかと言われたら忘れている事もありますよね?このアマデウスもそんな人間っぽさを残してるのが特徴です。アマデウスは人間の記憶をデジタルデータに変換する。つまり、生身の人間のAIを作る事が出来るわけです。そこで今回はシュタインズ・ゲートのヒロイン牧瀬紅莉栖がAIとして登場してきますがこのアマデウスの使われ方や危険性の描き方が流石科学アドベンチャー!という感じでなるほどなぁという感じです。

先程第1期は岡部倫太郎のもつリーディングシュタイナーの力もあってか岡部倫太郎が独りで奮闘するという印象の作品と言いましたがこのシュタインズ・ゲートゼロは話の終盤まで岡部倫太郎はそんなに活躍しない。どちらかというと他のラボメンの活躍が目立つシーンが多いですね。終盤で岡部倫太郎と共に見ているこっちも気付くのですが戦ってるのは岡部倫太郎1人ではない、ラボメン全員が協力してる事に気付くわけです。個人的な話になるのですが自分はこのアニメにおいてに嫌いなキャラクターというのがいないです。最初は個性が強すぎる人達の集まりなので好みはあったと思いますが第1期を見てそしてこのゼロを見ると誰も責めれない自分というのがいたんですよね。世界線を変えることを恐れる岡部倫太郎の気持ちも当然理解できるし未来を変えなきゃダメだという阿万音鈴羽の気持ちも分かる。鳳凰院凶真を待ってるダルやまゆりを中心とした他のラボメン、紅莉栖との差に劣等感を抱きつつもそれでも頑張ろうと進む比屋定真帆の気持ちも分かる。誰の立場になっても責めれないという点で自分はラボメンの皆が好きなのだと改めて思いました。

終盤は怒涛の展開でこの畳み掛けてくる感じがシュタインズ・ゲートっぽいなぁとしみじみ感じつつこの最高に愛してるキャラクターともうすぐ会えなくなるのかと思う寂しさがありました。それだけ自分にとってこのアニメが特別だったのだなと改めて思いました。
(自分の最初に見た深夜アニメがシュタインズ・ゲートなんです)

中盤少し中だるみがありましたが終盤の目まぐるしい展開がそれをカバー出来てたと思います。ゼロは序盤から勢いがあったのも良かったですね。

曲の使い方もよかったですね。シュタゲの曲はどれも意味があるのでその歌詞に合った曲が流れるのでテンション上がりましたね。過去の曲・新しい曲共に素晴らしかったです。

自分は原作のゲームの方をやってるのでアニメがゼロはじめての人と感想も違うと思いますがアニメ版の方がゼロは好きでした。


シュタインズ・ゲートをもう一度アニメで見れるというだけで自分は正直幸せでした。悲しいけど話だけど心が温まるラボメンの優しさがほんと愛せる。やっぱりこのアニメは自分にとって特別な存在なのだと改めて実感しました。放送前はゼロのアニメ化成功するだろうかという不安もありましたがほんとに愛を感じる作品でした。ありがとうございました。 点数97

以下ネタバレを含む見てる時の自分の気持ちです。大変見苦しいと思いますのでご注意を

{netabare}シュタゲゼロ…アニメ大丈夫かな〜ルート分岐どうするんだろう。真帆のこの大人です!のシーン可愛いなぁ。萌香はやっぱトラウマだよね…アマデウスきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!レスキネン教授好き。とってもいい敵役だし正体現すまでのおもしろキャラの時最高でした。リンターロ大好き。アマデウス紅莉栖!やっぱりオカリンは紅莉栖に向き合わないといけないのね…切ないわ…かがり!かがりはどうするか楽しみやな〜この紅莉栖と似てるとかどう見せてくるのか楽しみやな〜(そこはアニメで描かれなかった模様。知りたい人はゲーム版シュタインズ・ゲートゼロやりましょう!)オカリン…アマデウス紅莉栖にどっぷりやな…真帆ちゃんしっかり者ちゃんと言わないとね…!?!?リーディングシュタイナーか!?お!このシーン来たか!早いな!……夢オチかーーーーい!?(自衛隊に守られながら逃げるシーンはゲームでは実際の出来事として描かれます。そしてゲームでは最初の世界線の変動のシーンです。)ここアニメでやらんのか?マジ?まぁ…なくてもいいのか?(なくても良かった)巫女のまゆしぃと鈴羽とかがり可愛い。ダルと鈴羽のやり取りほっこりするなぁ…まゆしぃのかいちゅ~止まっちゃった~…は!?!?!?まゆり死ぬの!?やめろよぉぉぉぉぉ…ライダースーツ誰だ?かがりではないから…レイエスなのかな?ブラウンキターーー…ていうか強すぎやろwまゆり死ななくてよかった(原作ではまゆしぃのかいちゅ~の呪いの呪文は出てこなかった。めちゃくちゃ焦った。)リーディングシュタイナーきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁどこに分岐する?紅莉栖きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…あぁ…やっぱ紅莉栖なんだよなぁ…ダル…オカリンの気持ちも…いや、ダルからすればそうだよな…辛い…GPSかwクリスティーナらしいね。このツンデレ少女やはり可愛い。まゆりの墓…しんどい…あぁ…しんどい 紅莉栖ほんま好きや…流石正妻やで…ハイルナ…なんだこれ。私の事忘れなさいと言いつつキスするのか…ツンデレか!でも切ないね…ライアいいなぁ…あぁぁぁぁぁぁそこかァァァァァァァァァァァそこに繋がるかァァァァァやっぱシュタゲすげぇよ!!!天才かよ!…鈴羽…そうだよなやっぱり18の少女が抱える使命にしては重いよな…綯様!はい!綯様!アニメでやってくれるのね…w嬉しいけどねw ノートパソコン来ましたか…オカリンやっぱそうなるよね…そりゃそうだ。アジトの脱出どうするん?あぁそうやるのね、ていうかダル身のこなしよすぎやろwシュタゲの戦闘シーンは生々しくて怖い。かがりルートもやるのか…この歌ほんと好き。魔笛…あっ…おぉ!β世界線だとそこってかがりなんやなぁ…まゆりママ…甘えるかがり可愛すぎやろ どうみてもフラグやん…萌香wシュタゲゼロでは珍しいギャグシーンである。魔笛のシーン結構緊張するね。かがりは洗脳されてる!ナンダッテー誰がこんな事をやったんだねリンターロライダースーツかがりどうするか…あっそのまま脱ぐのね(ゲーム版はだいぶ違う、この時点でゲームとアニメはかなり別物ぐらいな感じ)お!鈴羽回か。ダルに洗脳は流石に草ギャグ回だった。無限遠点のアルタイル!もうこんなとこまで来たか…ゲルバナ…やっぱこのシーン辛いわ。みんなの気持ちが分かる…オカリンを責める事も出来ないしダルの気持ちは分かるし…まゆりも何だかんだ大人だよね。過去に戻る…来てしまったか…これでタイムリープきたね。何度やってもだめ…なるほど収束する事案か。お?……リナシメントきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。来ないと思ってたよ…よかった…これやんないとアニメ化の意味ないんすよ…もう安心やね。君に萌え萌えバッキュンキュンwww暗号それでいいのかwタイムリープ失敗ね、それなら納得(原作の未来に飛ばされるこのシーンは謎が多かったから助かる)妖刀五月雨!?!?最高かよ!…でもそうなんだよな…これでやっと決意したね。お!ここのタイムリープするくだりやるのね。スカイクラッドを流すのか。でも確かに歌詞の意味がめっちゃ合うわ。よき。まぁそりゃダメだよな…アマデウスの消去!真帆ルートもやってくれるのか…アマデウスでもやっぱりオカリンには無理か…でも正直ここは感情移入しきれないかな…ここで挿入歌のアマデウスは最高やわ…タイムマシンが過去に飛んでる!…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁここもやってくれるのか…ドラマCDの無限遠点のアークライトだよね…最高かよ…ほんとこのメールの撮るシーンのくだり好き。紀元前まで飛んじゃったのね。オカリンかっけぇ… シュタゲゼロ最高やったわ!{/netabare}

第1クール終了時の評価

全23話の為暫定的に半分の11話までの評価になります。

シュタゲはネタバレしないと何も伝わらないので今回はネタバレを含んでいるのでまだ見てない方は見ない方がいいかもしれません



















あにこれでも評価1位のシュタインズ・ゲートの正当続編です。前作23話にて牧瀬紅莉栖を救うことを諦めた世界線という設定です。簡単に言うと23話で岡部にムービーメールを送った未来の岡部の話という事ですね。

シュタインズ・ゲートの魅力を今更語らなくてもいいと思いますがやはり張り巡らされる伏線と毎話毎話引きの良さ。さらに、魅力的なキャラクターですね。それはゼロになっても変わらず毎週気になる所で終わるので次へのワクワクが無くなることがないですし毎週気になるシーンやセリフが出てくるので展開の予想も楽しいですね。

1クール目の中でも話題を呼んだのが8話ですね。α世界線に何故か来てしまった岡部が牧瀬紅莉栖と再開する話です。まゆりやダルなどのラボメンも勿論岡部の事が好きですがやはりこの二人の関係は特別で1番岡部を理解出来てるのは紅莉栖なんだなと思いましたね。そして岡部がβ世界線に戻るシーンで紅莉栖が岡部に自分の事は忘れろというのですが世界線が変動する前にキスをするんですよね。最後まで紅莉栖らしいなぁと思います。話の構成的にも前作22話岡部がβ世界線に戻るシーンで紅莉栖が告白しかけるシーンに上手く肉付けされていました。こんな完璧なものを見せられたらやっぱシュタゲすげぇとなりますよね。

まだ第1クールですし岡部がここからどうやってムービーメールの姿になるのかが楽しみですね。今のところは前作に負けないぐらいに面白いと個人的には思います


6話までの感想

{netabare}シュタゲといえば1話の伏線を最終回で一気に回収するという神のような演出が有名ですが、今作も途中で露骨に伏線だなぁみたいなシーンがありでももしかしたらミスリード?みたいな感じで1期とは違う探り合いをしている感じでした。しかし!そんな探り合いも6話で1つ大きな展開を迎えます…具体的には言いませんがあのセリフはやっぱり今でも耳にこびりついていてあのセリフを聴くだけで絶望に帰ってくるのだなぁと思いました。原作も発売されたのが2年前でプレイ済みと言っても細かいところは全く覚えてなかったので6話は辛いのと同時にやっぱシュタゲって凄いんだなと思いますよね、突然あのセリフが出てきた時に不意打ちすぎて一気に不安になったんですよ。もうこのゼロで聴くことはまずないだろうと思ってたのでこれはやられたなぁと思ってしまいますね笑でもそれだけあのセリフが何回も使われて印象に残ってたってことでもあるので続編の強みも存分に生かした。流石の一言でした。1話放送前まで不安になってた自分が馬鹿みたいですよ笑

それまでの岡部のクリスに対する葛藤やそこから垣間見えてくるラボメンの優しさやまゆりって実はそういう気持ちあったんだなぁとかダルはやっぱりキモいとかキャラクターの新しい掘り下げや気づかせてくれるというとこでもシュタゲやっぱりいいなぁと思わされる部分です。1期の頃はあまり感じなかったラボメンの優しさみたいなのもこのシュタゲゼロでは沢山感じますしこの後も色んなキャラの優しさという所は出てきますので楽しみにしてます。劇伴・OP・EDなど音楽面も相変わらず素敵だけど切ない感じが出てて素晴らしいですし声優は言うことないです!最高のキャストです{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 23
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

β

紅莉栖を救うことを諦めた世界線でのストーリー。代わりに紅莉栖の先輩、真帆やまゆりを母と慕うかがりが登場。{netabare}紅莉栖の記憶を元に構築されたアマデウスが今作の鍵を握る。{/netabare}諦めた岡部が頑なにタイムリープを嫌がる様やまゆりの葛藤など、ドラマチックな部分もあったが、本題に入るまでが長く感じた。勿論、面白いと感じたが。

前作と違い、タイムリープはあまりしない。{netabare}前半では一回だけ、いきなりα世界線のほうへ飛ばされる。後半(最後の数話)は怒涛のタイムリープで記憶を未来に飛ばしたり、一回で戻れる期間が短いから凄まじい回数過去に戻る。その度に体力がない状態からスタートするもんだから、相当辛そう。前作の最終話のような状態に戻るけれども、岡部は、タイムマシンで燃料が尽きたために、紀元前に飛ばされたまゆりと鈴羽を探しに行く。{/netabare}

{netabare}信用できない外国人たちに前作から一転して協力してくれるミスター・ブラウンに萌郁。{/netabare}

{netabare}作品の大筋とは、そんなに関係ないけど、あまねとデートしたダルの告白の仕方が印象に残った。{/netabare}

OPはやっぱり、いとうかなこ。癖になる歌声。EDは2つ。Zweiと今井麻美。

1. 零化域のミッシングリンク
いくつもの世界線を巡る無限の彷徨。その過酷な旅の中で、岡部は紅莉栖を死の運命から救い出すことを、ついに諦めた。そして、再び大学に通い始めた彼は、平凡な日常に埋没していく。それでも心の傷を癒しきれず、メンタルクリニックへの通院を続ける岡部の中で、いつしか白衣をまとった「鳳凰院凶真」の顔は封印されていた。

2. 閉時曲線のエピグラフ
ヴィクトル・コンドリア大学のレスキネン教授によるセミナーに出席した岡部。そこで展開された理論は、「人の記憶をデータ化して保存する」という、かつて紅莉栖が提唱したものだった。そして、人の記憶や感情、心をベースに構築された人工知能「アマデウス」のデモンストレーションが行われる。

3. 双対福音のプロトコル
紅莉栖の8ヶ月前の記憶をベースにした人工知能「アマデウス」のテスターとなった岡部。「アマデウス」の反応は紅莉栖そのもので、岡部はまるで紅莉栖が戻ってきたかのような錯覚に陥る。そんな中、まゆりの発案で、彼女のコスプレ友達も交えたクリスマスパーティを開催することになる。

4. 亡失流転のソリチュード
「アマデウス紅莉栖」に接しているうちに、まるで本物の紅莉栖がそこにいるかのように錯覚し始める岡部。そんな彼を見ていられず、真帆は「ここにいるのはアマデウス。牧瀬紅莉栖じゃない」と非情な現実を突きつける。その瞬間、岡部は世界が歪む感覚にとらわれる。それは久しく感じることのなかった、世界線を移動する感覚「リーディング・シュタイナー」だった。

5. 非点収差のソリチュード
鈴羽と共に未来からやってきた椎名かがりの捜索を始める岡部。ダルの依頼でやってきた捜索の専門家は、別の世界線でまゆりを幾度も殺害した「ラウンダー」の桐生萌郁だった。このタイミングで再び目の前に萌郁が現れたことに、岡部は強い不安と疑念を抱く。

6. 軌道秩序のエクリプス
るかがラボに連れてきた、記憶喪失の少女。その姿を見た鈴羽は、彼女こそ12年間行方不明になっていた椎名かがりだと確信する。なぜなら、かがりが「ママにもらったお守り」だと言って大切にしていた「うーぱ」の人形を、その少女が持っていたからだ。だが、少女は何も思い出すことができず、行方不明だった12年間のことは空白のままだった。

7. 振電遷移のエクリプス
ラボで行われているお正月パーティが盛り上がる中、突然「アマデウス紅莉栖」の接続が遮断された。さらにその直後、銃で武装した覆面の男たちがラボを襲撃してくる。かつて、別の世界線で「ラウンダー」の襲撃を受けた際に命を落としたのはまゆりだった。だが、今回狙われたのは……。

8. 二律背反のデュアル
アクセス不能の「アマデウス紅莉栖」から届く、助けを求める声。その直後、岡部は世界線の変動を感知する。気が付くと、握りしめたスマホからは「アマデウス」のアプリが消えていた。そして、彼の前に以前と変わらぬ姿の紅莉栖が現れる。そこは、紅莉栖が生存している「α世界線」だった。

9. 永劫回帰のパンドラ
「α世界線」で紅莉栖と再会し、束の間の逢瀬を果たした岡部。病院のベッドで目覚めた岡部は、再び「β世界線」へと帰還していた。すべてはもとに戻ったかのように思われた。だが、岡部が眠っていた間にも、「アマデウス」の乗っ取りに続き、彼らの身の回りにはいくつかの不穏な事件が起きていた。

10. 存在証明のパンドラ
明晰な頭脳を持つ後輩・紅莉栖に憧れ、尊敬していた真帆。それと同時に彼女は、どうやっても追いつけない天賦の才能に、ひそかに劣等感を抱いてもいた。そんな真帆の元には、紅莉栖の遺品が残されていた。それは生前、彼女が使用し、その思考が記録されているノートパソコンだった。

11. 存在忘却のパンドラ
真帆が紅莉栖のノートパソコンの解析を頼んだ“専門家”とは、橋田至だった。真帆がこれ以上深入りしないよう、岡部はタイムリープマシンの真実を話すことを決意する。しかし、そこへ再び不穏な影が忍び寄る。

12. 相互再帰のマザーグース
ラボに襲撃を受けて以来、かがりの身の回りには異変は起きていない。だが、その記憶はまだ戻らぬままだった。そんな中、まゆりがふと口ずさんだ歌を聴いたかがり。その瞬間、彼女は突如、気を失ってしまう。

13. 回折叙唱のマザーグース
かつての記憶を思い出したかがりは、まるで子供時代に戻ったかのように、まゆりを「ママ」と呼んで甘える。しかし、この時代にやってきた直後、鈴羽とはぐれてから現在までの記憶はいまだに戻らない。肝心な部分が空白のままであることに、岡部は漠然とした不安を覚える。

14. 弾性限界のリコグナイズ
かがりが突然失踪してから数ヶ月。岡部たちはあらゆる手を使って行方を捜したが、何の手掛かりも得られていない。そんな中、ダルと鈴羽はかつて岡部の手で破棄されたタイムリープマシンをもう一度作るため、真帆の協力を得ようとしていた。

15. 漸近線のリコグナイズ
将来、ダルと由季との間に生まれる運命の鈴羽。しかし、現在の「両親」の関係は進展しておらず、最近はあまり連絡も取っていない様子。父のあまりにも消極的な姿勢に業を煮やした鈴羽は、一計を案じるのだが……。

16. 無限遠点のアルタイル
レスキネン教授から研究室に入るよう誘われたのをきっかけに、留学を目指して勉学に勤しむ日々を送る岡部。だが、まゆりは岡部には何らかの秘めた思いがあり、それを表に出さないよう必死に堪え続けていることに気づいていた。一方、ダルは真帆と協力して、破棄された電話レンジ(仮)の再現に挑んでいた。

17. 双曲平面のアルタイル
タイムマシンに残された燃料は残りわずか。これ以上時間が経つと、燃料不足で紅莉栖がこの世を去った日まで辿り着けなくなる。鈴羽が過去に向けて旅立つ準備を進める一方で、まゆりもひそかにある決意を固めていた。

18. 並進対称のアルタイル
タイムマシンの強奪をもくろむ工作員の銃撃で、倒れ伏すまゆり。そこへ、ライダースーツ姿のかがりが現れる。まゆりが血を流して倒れる姿様を見たかがりは逆上し、武装した工作員たちに襲い掛かるのだった。

19. 循環座標のアルタイル
大国の特殊部隊により、秋葉原のビルは戦場と化し、まゆりと鈴羽を乗せたタイムマシンは爆破され、ふたりは生死不明となった。この悲劇的結末を回避するため、岡部は真帆とダルが制作中だったタイムリープマシンを完成させる決意を固める。

20. 盟誓のリナシメント
7月7日へとタイムリープしたはずの岡部。しかし目を覚ましたのは、見知らぬ施設の一室だった。身体中に走る激痛に耐えながらあたりを見回した彼は、自らの置かれた状況に愕然とする。そこは……。

21. 結像のリナシメント
再びシュタインズゲートを目指すと決意した岡部。しかし、2036年から、タイムリープマシンを使って2011年へ戻るためには、3000回以上のタイムリープが必要となる。精神的負担は計り知れないが、岡部は過去に向けて長い旅に出ることを決意する。

22. 投企のリナシメント
現れた攻撃ヘリは、レスキネンたち米国のものではなく、ロシアのものだった。何度やりなおしても、タイムマシンの破壊は回避できないのか。諦めることなく方策を練る岡部達に待っていたのは、ひとつの苦渋の決断だった。

23. 無限遠点のアークライト
過去に向けて「Dライン」を送ることで、「アマデウス紅莉栖」の存在は消失した。これで、ロシアがタイムマシン争奪戦に介入する余地はなくなった。あとは、レスキネンとの対決をいかに乗り切るか--。いよいよ「シュタインズ・ゲート」へと至る最後の戦いが始まろうとしていた。

追加されていた
24. 結晶多形のヴァレンティヌス
バレンタインデーが間近に迫り、それぞれに思いを馳せる女子たち。そんな折、フェイリスの主導で、みんなで手作りチョコを作る「第36回円卓チョコレート会」が開かれることに。彼女たちは、誰にどんなチョコを贈るのだろうか……?

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10

91.3 14 恋愛アニメランキング14位
劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(アニメ映画)

2020年9月18日
★★★★★ 4.4 (582)
2774人が棚に入れました
――あいしてるってなんですか?かつて自分に愛を教え、与えようとしてくれた、大切な人。会いたくても会えない。永遠に。手を離してしまった、大切な大切なあの人。代筆業に従事する彼女の名は、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。人々に深い、深い傷を負わせた戦争が終結して数年が経った。世界が少しずつ平穏を取り戻し、新しい技術の開発によって生活は変わり、人々が前を向いて進んでいこうとしているとき。ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、大切な人への想いを抱えながら、その人がいない、この世界で生きていこうとしていた。そんなある日、一通の手紙が見つかる……。

声優・キャラクター
石川由依、浪川大輔
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

年賀状でも書こっかなぁ

sincerely 
①副詞 心から 本当に
②アニメOPに使用されたTRUEの楽曲
③{netabare}劇場版ヴァイオレットエヴァーガーデン 冒頭の一語{/netabare}

TV本編を想起させる仕掛けが冒頭からてんこ盛りでより楽しむためには本編必須。ただし厳密ではなく可能であればレベル。一見さんいらっしゃい指数でなら『外伝』>『劇場版』になります。


「届かなくていい手紙なんてないのです」

 そして

「私は…愛を知りたいのです」


作品を紐解くキーワードにして二つの軸。
前者は人の想いは届いて初めてかたちになるという大切な概念。ドールや携わった人たちとの物語。
後者は兵器として育てられた少女が人間性を獲得していく過程。少佐とヴァイオレットの私的な物語。

ギルベルト少佐の残した「心から…あいしてる」の言葉。復員後のC.H郵便社にてカトレアが発したシンプルな一言に反応して自動手記人形の仕事をすると申し出たことが全ての始まりです。道具として利用価値がないなら自分を捨ててくれとまで言った少女が申し出たのです。
それだけ強い執着を持っていた言葉「あいしてる」。かくして愛を知るために始めた仕事を通じてもう一つの軸である人の想いを届ける素晴らしさを学んでいく過程がTV本編でした。

「届かなくていい手紙なんてない」裏を返せば「人の想いは必ず届けなければならない」です。

ターニングポイント{netabare}(己のやってきた重大さに気づいた第9話){/netabare}以降どう物語は進行していくかが肝でした。それでターニングポイントの次回話で選択したのは{netabare}(思いっきり手紙を届ける話。かつ神回と言われる10話と){/netabare}少佐との話は遠ざかる方向へ。

「届かなくていい手紙なんてないのです」

「私は…愛を知りたいのです」

前者はひととおり形をつけ後者はおあずけ。あくまで彼女の周囲の人たち“が”想いを伝えることが出来たのでした。TV本編を通して自分の想いをまがりなりにも形作れるように成長してきたヴァイオレットがどうにかして“自分の想いを届けられるのか”。残された宿題でした。

なお「届かなくていい手紙なんてないのです」を磨き上げたものが外伝です。さあ残るは↓


「私は…愛を知りたいのです」


前置きが長くなりました。この残された宿題への回答がなされ物語が完結するのがこの劇場版です。

TV本編でスッキリしなかったかもしれないそこのあなた! 諸悪の根源が消えていくことでしょう。
TV本編を称賛して止まないそこのあなた!是非もなし、、、まずは試されよです。

自分はスッキリしなかった側でした。結果は申し上げた通り。圧巻の140分です。




鑑賞前の方これ以降はやめときましょう↓

※ネタバレ 備忘録的なもの(長い)


■切っても切れぬTV本編 ネタバレ度:軽

{netabare}冒頭画面に浮かぶ“sincerely"の文字。間髪入れずに見覚えのあるあのお屋敷と意外なあの子。涙腺を蛇口に例えるならこの時点で開栓して戻れなくなった方もいらっしゃるのでは?
そんな一つの文字だったりあのエピソードを彷彿させる冒頭もTV本編へと意識を持ってく仕掛け。アン孫が手放した手紙が風で飛ばされて野山や街を駆け抜ける演出は第1話ヴァイオレットが手放した手紙が飛ばされていくのと同じです。

あの時と違うのは携わるメンバーです。エンドロールでは原画と美術監督に物故者を確認。サポーティングスタッフは言わずもがな。原画すら焼けてほぼほぼゼロスタートだったこの映画の冒頭を飾ったのが2018年TV本編を意識した演出だったことについて制作会社のプライドと矜持を感じます。{/netabare}


■あん時の主題歌の位置付け ネタバレ度:軽

{netabare}『sincerely』+○○○○○
○○○○○+『みちしるべ』

○に入るのは“あいしてる”。「心からあいしてる」少佐の言葉がなければ少女は生きる支えを失ってたでしょう。全てはここから始まりヴァイオレットの手紙の一文「あいしてるはみちしるべになりました」に繋がります。映画観てTVのOPとEDあらためて聴いたら鳥肌もんでした。{/netabare}


■3つの疑問 ネタバレ度:重

もやっとしかけて咀嚼して納得したものもいくつかありますよ。

1.{netabare}少佐はなんで拒否るの?会ってやれよ!{/netabare}

{netabare}そりゃ私たちはヴァイオレットの気持ちを知ってるから少佐がヘタレてるようにしか見えないアレ。
恐らく半々。何かっていうと、ギルベルトは生き別れた後のヴァイオレットの歩みを知らない。上官と兵器の間柄の他を知らず「自由になりなさい」「普通の少女としてその名に合う女性になってほしい」と言った手前、自分が障害となるわけにはいかないという考え方には理があるように思えます。
それと、ここは彼にとってやっと見つけた安住の地。自己都合と侮るなかれ、全てを失って自分には何もないとすら思ってる男の弱さよ。仕事も順調そうな前途洋々の娘を自分の我が儘で留めるきっかけを作ってはいけないと思ってもこれまた不思議ではないかと。{/netabare}

2.{netabare}なんで拒否られて帰ろうとするんだろう?{/netabare}

{netabare}だってそのためだけに生きてきたぐらいの娘さんですよ。そんな簡単に諦められるものかしら?
これ根深いかもしれません。「あいしてる」の意味をまだ自分が理解できてないと思ってそう。少佐の拒否は自分がうまく想いを伝えられてないからと自分の所為にしてたのなら哀しいこと。まるで虐待を受けた幼子のようなメンタリティ。ただこれは帰還兵のPTSDのようなものというか、感情を知らないところからスタートした彼女の出自を考えれば納得できる心の動きだったように思えます。{/netabare}

3.{netabare}なんで少佐は翻意して駆けだしたんだろう?{/netabare}

{netabare}兄と手紙。家は兄が継ぐから「自分の人生を生きろ」と。まんま少佐がヴァイオレットに言ったことと同じでしたね。ここで少女があの頃と違う彼女であることを察したのかもしれない。家の縛りから開放されたのもあるでしょう。こうみると自ら人生を切り開く選択肢を奪われてた者同士という意味でどこか通じ合う二人だったのかもしれませんね。
そしてホッジンスやヴァイオレットの直接交渉にも勝る手紙の威力。この作品だからこそです。{/netabare}


■ピリオドとして代筆業 ネタバレ度:重

{netabare}昔々あるところに…の昔語り。こんな時代がありましたよね、のピリオドの捉え方が秀逸。電話の登場によって我々が辿った史実をなぞるかのような展開に、あたかもヴァイオレットの時代が現実にあったような気にさせられます。

A:手紙
B:電話

ユリスがリュカに想いを伝えるには手紙では間に合わなかったでしょう。アイリスの言葉を借りてBがAに取って代わる時代の転換点を明示してました。
具体的には代筆業の衰退です。そのことで失われるもの。想いを汲み取って言葉に変換する担い手がいなくなること。誰しもが言語化の術に長けているわけではありませんので需要がゼロになることはありません。それでも即時性のメリットが勝り、より便利な方に流れるのは仕方のないこと。
そうやってオワコン化していく自動手記人形の横で手紙というツールだけが残ります。とある場所で手紙の文化が残ったのは即時性以上に一呼吸置いて言葉を紡ぐ必要のある手紙の本質みたいなのを島民が共有してたからでしょうね。
こういう栄枯盛衰や無常感を「もののあはれ」と言うのでしょう。我々の情感に直接訴えてきます。{/netabare}


■「私は…愛を知りたいのです」 ネタバレ度:重

{netabare}そもそも“あいしてる”の意味を知るための代筆業。それを知ってさらに自分が届けたい相手に届いた以上仕事を続ける必要はないですよね。

 言葉はいつでも 語るでもなくて
 そこにあるばかり つのるばかり

自暴自棄な兄に向けた妹の手紙代筆から始まり、王女の恋文、歌姫の曲の作詞、残される娘への手紙ほかあらゆる人のあらゆる場面の、言葉にならない言葉を拾い上げてきた逸材。カトレアさん風に言えば“行間を読み取ってきた”手練手管に秀でたヴァイオレットちゃんです。
そんな子がギルベルトを前にして何も言えなくなるクライマックスが一番グッときました。あー…だからこの物語は手紙だったんだという説得力があったのです。{/netabare}

{netabare}そしてあえて過去を振り返ってみる。人間兵器として人の感情を知らずに育った少女の人間性を取り戻す物語として。またはTV本編ですっきりしなかった帰還兵の心の再生について。

結論は出たと思います。罪の意識を自覚したあの第9話から繋がるであろう悔恨と贖罪意識の落としどころ。そしてぶっ壊れていた己自身の精神の構築。戦後にヴァイオレットが重ねてきた年月は意味をなすものだったのだろうか?

彼女は人間性を獲得してきました。これはTV本編でもさんざんぱら描かれてきたこと。
そして劇場版で彼女は人を残すこととなりました。個別で直接救われた者も多いが、ヴァイオレットのまいた種が人々の想いを繋げ多くの人たちの心を豊かにしていっただろうことは想像に難くありません。繋がりに繋がってあのアンの孫娘が登場したことが象徴的だったかと。
たしかに彼女は数多くの兵士を殺めてきました。その悔恨と贖罪は心に留めながら、それ以上に人を救ったであろう事実が垣間見えただけで充分なのかなと思いました。

そして時代は流れドールも絶えて久しい頃合い。
『外伝』にてほどけない三つ編みに例えられた三者(①送り手②受け手③繋ぎ手であるドール&配達人)の繋ぎ手を見守るかのように、これからも切手となって想いを届け続けることになるのでしょう。{/netabare}






■だがしかしですよ ネタバレ度:軽

そもそもでこればっかりはどうしようもないのだけど…
{netabare}ギルベルトって兄の泥を被らざるを得ない家庭事情で鬱屈していて、本来はやりたかった仕事(たぶん教師!?)を諦めて軍に進んだ、で合ってます?
それで軍属ながら引き取った少女に読み書きそろばんを教えていたわけですよ。擬似的であれ教師と生徒の構図です。生活指導/道徳の授業も当然のようにしてました。
その結果、教え子に愛情を覚え死に際に「愛してる」と涙流してしまうやつですよ。別に愛に歳の差なんてと思いますから推定14~15歳に惚れてもかまわないんですが、熱血指導の情熱が愛情に転換してしまったヤバめな事案という思いが此度の“教師になりたかったかもしれない設定”で強くなりました。

けれども全力で見て見ぬふりをすることにしよう。

{netabare}ギルベルトってヴァイオレットちゃんが惚れるほどのタマか? …うーん、、悩むなぁ…{/netabare}

多分に嫉妬含みの引っ掛かりを理由に『外伝』のほうに自分は軍配が上がりそうです。例によって二つの軸の片っ方のお話つまり“少佐色が薄い”物語ですから。{/netabare}



視聴時期:2020年9月 

-------

2020.09.30 初稿
2021.08.09 修正

投稿 : 2025/02/01
♥ : 69
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

最後の手紙(2回目感想を追記)

下手な言葉を使うとネタバレしそうなので、ポスターのキャッチコピーを一部引用しました^^;

 TV版本編の初放送は2018年で初視聴も同時期でした。。

===劇場版:初見での感想===
 2020年9月19日(土)、劇場版本編を観覧。
 (★舞台挨拶ライブビューイング付き)

全国の劇場で舞台挨拶が見られるとのことで、
予定を繰り上げて、あわてて劇場に行きました。

でも、TV版本編を少しでも復習してから、行くべきでした。。
2年の月日は自分にはちょっと長かった。。
ヴァイオレットへの愛情は忘れようがない。
そんな変な自信を持っていましたが、いかんせん物語の詳細をとどめておけるほどの記憶力は、現在の自分には持ち合わせていない事を突き付けられました。。トホホ

いよいよ物語の主人公、ヴァイオレット本人のストーリーが幕を開けます・・

■{netabare}
 ヴァイオレットには幸せになってもらわないと・・
 ひょっとして、社長とくっつくのかなぁ・・

なんて思ってたら、

 まさかと思うけど、少佐の兄?

と思ってしまうような展開でした。。

でもその上を行く、まさか・・・
少佐が生きていたとは、ね。
TV版完走時は死んだと思ってたから、
外伝も感動したんだけど。。

途中辺りから、

 え。ひょっとして生きてる?

てな展開。
ぶっちゃけ、ダマされた、という思いもw

いや・・・でも・・
これで、よかった。

思えばTV版を観ている時、実は少佐は生きていたというストーリーを妄想していたんでした。ちょっと忘れてました。
ヴァイオレットが幸せになる道は、それしかないですよね。

でもでも・・
少佐の生存がわかるシーンの感動が薄いせいか、
その分、ラストに至るまで延ばす延ばすw

 なんだよ、少佐・・
 ナニ自虐的になってんだ、そういうキャラ?
 てめ、ヴァイオレットを泣かすんじゃねーw
 身元を引き受けた責任と、
 何より「愛してる」と言った責任、
 男ならキッチリとりやがれw

てな展開は、個人的にはストレス展開でした。
いやわかりますよ。
その後の感動のための前フリだろうってことは。

でも、それならそれなりの想いの爆発に共感したかった。。
少佐が走り出した時って、なんか自分的には動機づけが弱かったんですよね。。
ドア越しにしゃべった時以上の動機が感じられなかったというか。。
だから、ラストの感動シーンも、ちょっとモヤモヤして感情移入しきれなかった。

さすがに、ラストシーンは感動的でした。
ただ、あんな遠い岸からのあんな掠れたような声が聞こえるのか、とか
ヴァイオレットは義手重いはずなのに泳げるの、とか
細かいところが気になって、これまた感動ボルテージ上昇の阻害要因となってしまいました。。トホホ

躊躇なく海に飛び込んだヴァイオレット、男っぽい。
惚れ直しそうw

そんな彼女も、ようやく・・本当にようやく、たどり着いた少佐の胸では・・ただただ・・泣き崩れるしかなく・・


さて・・
ここで触れずにはおけませんね。
ツイッターにも出ています。
舞台挨拶での石立監督の言葉。

 ~{netabare}
  ヴァイオレットが書いた手紙には、
  セリフに出なかった一文がある。
  これが、少佐をヴァイオレットの元に
  駈け出させた。。

  というもの。

  なんでしょうね。。
  気になる。。
  「あいしてる」かな。
  でもそれはドア越しに言ってたような。

  てかこれ、セリフにしてくれれば
  もっともっと感動できただろうに。。
 {/netabare}~

にしても、ポスター、いい絵ですね♪
ネタバレしそうですがw

でも・・

ああ・・完結してしまった><
(ホントはこれをタイトルに書きたかった)

もっと引き延ばして何作か出してくれてから、こういう結末になるんだと思ってました・・
原作はどうなんでしょう・・

未来からヴァイオレットを過去の人物として振り返る作りは、個人的にはあまり好きとは言えず、どうせなら子孫も見せて欲しかったけど・・

エンドロール後の1ショットは、救われました。
これで、よしとしましょう。

過去だからお幸せに、と言えないのはもどかしい。

ならば・・

良かったね、ヴァイオレット。

{/netabare}■

そう、エンドロールは最後まで、観ないとですね♪

ちなみに劇場で配布された、入場者プレゼントは
~{netabare}「ヴァイオレット・エヴァーガーデン if」{/netabare}~でした。

あ、3種類の短編小説ランダム配布って公式に書いてた。。
急いては事を仕損じる。
ゆっくり読もう。。


===劇場版:二回目の感想===

京アニはご存知のとおり寄付金を受け取ってくれません。
感謝の心、支援の心を込めて、再度劇場へ行きました。
TV版を観直した後、今度は目線を変えて。

その目線とは、ヴァイオレットであり、ギルベルト。
初見ではどうしてもホッジンズ社長というか保護者目線になってしまいましたが、この物語は、二人の物語であり、その目線で観るのは必定かと。

~{netabare}
まずは、1期を再視聴したことで1期を思い出させるシーンがとても胸に響きました。手紙が空を舞うシーンとか主要エピソードとか。
特にアンのエピソードは一番涙を堪えるのが大変だったかも。

感激は初見ほどではありませんでしたが、ギルベルトの気持ちが何となく理解できました。
愛するが故、自分はヴァイオレットにふさわしくない、と。
これは初見でもわかってはいましたが、わかって1期を観なおすと、彼はヴァイオレットを預かり戦場に送ったことをとても後悔していて、結果ヴァイオレットの両腕を失わせ、たとえ自分が生き永らえたとしても、自分の愛を貫くことは資格がないと考えても仕方がないかもしれない、と思えました。
彼がヴァイオレットに会えないと言ったのも、会ってしまえばその信念も揺らぎかねないからで、つまりそれだけヴァイオレットを愛しているからに他なりません。

ヴァイオレット目線で観ると・・・
心からの願いが叶えられないと知り、本当に切なくつらい日々を過ごして。
それが会えるかも知れないとわかり、本当にうれしくて。
でもやはり会えないことになり、とても悲しくて。
それでも生きていてくれたことが、やはりうれしくて。
最後に追いかけてきてくれたことが、最高にうれしくて。
この目線で観るのはとても切ない・・・

むしろ、ラブコメ風に・・・
「このまま会えないまま、どっちか結婚して、その後に会うことになってたらどうするのよ!ギルベルトおおおー!!」
と罵ってあげても良かったのにww

でも、やはりこれは二人の愛のストーリー。
これで、良かった・・

最後に、手紙の一文の考察を。
~{netabare}
映画の冒頭では、sincerelyの文字が出ます。
意味は「心から」かと。

また本シリーズは物語の最後にタイトルが出ます。
本劇場版では「あいしてる」。
つまり・・・
『心から 愛しています』
これが、ヴァイオレットからの、愛する人への最後の手紙の、最後の一文だったのではないでしょうか。

振り返ってみると、ヴァイオレットはドア越しでは「愛してる」は言っていません。彼はその事実を知らず、ただ父親のように慕っているものと勘違いしていたのかも知れません。
だから、この一言が、彼をヴァイオレットの元へ駆け出させたのだと、私は思っています。
{/netabare}~

いつか、ネタ明かしがされる事を期待します。


蛇足ではありますが・・
病院で亡くなる男の子のシーン・・
音がデカ過ぎて感情移入の邪魔になる思いでした。
もっと静かな曲か、むしろセリフのみでも良かったかと。
{/netabare}~

はぁ・・切なくて息が詰まりそう。
この劇場版と、1期・Extra・外伝で無限ループに陥りそうです・・

 制作:京都アニメーション
 監督:石立太一
 脚本:吉田玲子

 2020/09/19 閉館直前のMOVIX利府にて初視聴。
 2020/10/05 同じ映画館にて二回目視聴。


■余談
劇場内で完全新作ARIAの予告編が流れてました・・脚本が同じく吉田さんかな?と思ったら・・

 総監督・脚本:佐藤順一
 監督:名取孝浩
 アニメーション制作:J.C.STAFF

ほへ・・
ストレスフリーの世界でホッとしたい・・
違う作品の話ですみません^^;

投稿 : 2025/02/01
♥ : 57
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

みちしるべのその先が描かれた完結編

世界観:8
ストーリー:8
リアリティ:5
キャラクター:7
情感:7
合計:35

<あらすじ>
代筆業に従事する彼女の名は、〈ヴァイオレット・エヴァーガーデン〉。
幼い頃から兵士として戦い、心を育む機会が与えられなかった彼女は、
大切な上官〈ギルベルト・ブーゲンビリア〉が残した言葉が理解できなかった。
──心から、愛してる。
人々に深い傷を負わせた戦争が終結して数年。
新しい技術の開発によって生活は変わり、人々は前を向いて進んでいこうとしていた。
しかし、ヴァイオレットはどこかでギルベルトが生きていることを信じ、ただ彼を想う日々を過ごす。
──親愛なるギルベルト少佐。また今日も少佐のことを思い出してしまいました。
ヴァイオレットの強い願いは、静かに夜の闇に溶けていく。
(公式サイトより抜粋)


TV版は最後までヴァイオレットの戦闘能力に馴染めなかった作品でしたが、5話や10話等、お気に入りの回もありました。本劇場版については予告PVを見て、10話に関するストーリーもあることがわかったため、やはり劇場で見なければと思い、隙間時間を作って何とか見ることができました。
休日ながら朝の早い時間帯にもかかわらず結構人が入っていて、時間帯のせいかもしれませんが、私よりも年配の方が多い印象でした。

さて、世界観ですが、現実世界とは別の世界ですが、電話がまだ普及する前の、現実世界でいう19世紀末~20世紀初頭くらいが舞台となっています(技術的な点ではヴァイオレットの義手はその精巧すぎるが)。
今回は、TV版10話の少女アンの孫デイジーを中心に物語が始まります(PVでアンと思った人物はその孫で、アンの葬式が終わった時点)。予想外であり、その視点で、ヴァイオレットたちの働いていた郵便社が歴史を残すものとして博物館となっていたり、世界観をより俯瞰して見せる手法で、とても良かったと思います。
作画や背景も流石は京アニと思わせられました。音楽は、挿入歌の「みちしるべ」、TV放映時は微妙な使われ方もありましたが、今回は一番のタイミングでハマっていたと思います。改めて良い曲と思えました。

ストーリーは{netabare}ヴァイオレット軸で、消息不明であったギルベルト少佐と再会すること(ギルベルトの母親の墓参り、病気の子供(ユリス)の手紙を代筆、その子の危篤等を挟みつつ、郵便社を辞めたあと消息不明のヴァイオレットの結末)が中心となっています。ギルベルトが再会を望まなかった理由も私は納得できましたし(なぜ武器として使ったのかはわからないが)、デイジー視点の物語も構成のメリハリに繋がっていました。そして最後に本作のキーワードである「あいしてる。」で締める。完結作として美しい仕上がりでした。{/netabare}

さて、世界観とストーリーは高評価となるところ、大きく足を引っ張ったのがリアリティで、一言で言えば「過剰演出」です。TV版の7話だったかで、水面を歩いたりしているので、今更指摘するまでもなく、この作品の色と整理されているのかもしれませんが、私はやはり気になってしまいました。
細かい点もありますがそれは省略して、下記3点だけ指摘しておきます。

{netabare}・構図重視の会話
市長と会った時の会話、大雨の中でのジルベール先生宅(前と中)での会話、ブドウ?畑でのディートフリート(兄)とギルベルトの会話、船と陸での会話(?)などで、その距離でこの声量では会話が成立しないだろうと思われて、気になってしまいました。
アニメは絵に声をあてるので、画になる美しい構図が優先されることが往々にしてあるのでしょうし、今まで気にならなかった他の作品でも同様な事例が多々あるのでしょうが、本作では若干気になりました。

・ユリス君危篤時の対応
人が亡くなる時、部外者の同席は憚られるのが普通ではないでしょうか(別の世界なのでそのあたりの慣習も感覚も違うのかもしれませんが)。ユリス君は話せる状態だったので危篤ではないのではないか、とも思われたのがひとつ。また、苦痛を感じている状況の中で、郵便社が突然押しかけていって「親友への手紙書きます」というのは流石におかしいのでは。ヴァイオレット自身が行ったのなら、ユリス君との関係や、まだ人の心が理解しきれていない部分があるのかな?で済みますが、ユリス君に面識のないメンバーでですよ。相当苦しい状態のユリス君に、手紙代筆するから喋ってと言うのは、家族が怒りますって。リュカ君が、ユリス君にとってそこまで大事な友人であるか、というのも説明不足で、違和感ありまくりでした。
自分が死んだ日に渡してほしい、と本人から依頼があったのでその約束を律儀に守ろうとしての行動は理解できなくはないですが、待ってましたとばかりの対応になるので、TPO的にも不安な対応です。さらに、手紙を渡して失礼するならまだしも、居座って一緒に内容を聞いて親の泣く姿を見るってどういう神経なんだろうと思ってしまいました。。
本作一番の感動シーンだったように思いますが、素直に感動できずモヤモヤしてしまいました。

・ギルベルトとの邂逅
ギルベルトとヴァイオレットの邂逅は美しかったですが、これは過剰演出の極みでしたね。まず、船を出航させすぎていて、陸から相当の距離となったところからスタートさせたので、ギルベルトの必死の走りや声が届くのか?というところでの違和感があり、ヴァイオレットが船をダッシュして、そのまま海に飛び込むまではよいかもしれないけど、泳ぐシーンを入れずに浅瀬みたいな場所で再会することになるのですが、背景からのバランスではまだ相当陸から離れた場所なんですよね。
始まりの距離感からして、会うところまでは少なくとも15分以上はかかると思いますし、お互いぼろぼろに疲弊してハーハーゼーゼーですよ(笑)
それを完全に排除した制作者側はある意味割り切ってるよな、と感心した次第です。{/netabare}

キャラクターは{netabare}本編から特段変化はありませんでした。2人がカップルとなって終わりましたが、王子とお姫様(人形)というキャラ造形で、過去に2人はずっと一緒に行動していたのなら、もう少し打ち解けた人間関係も描いてくれればよかったかも。
そういえば、TV版のレビューで書きましたが、やはりギルベルトは生きていました。生きていないと、この物語は終わらせられないのです。{/netabare}

情感については、{netabare}そんなわけで感動しそうな要所の構図に違和感等あったため、期待されたほどには涙が出ませんでした。また、人の亡くなるシーンで泣かせるのも一歩引いて見るタイプなので、押し付けられ感もあり、高評価できませんが、言語外の表現も丁寧でこれ以上は下げられません。{/netabare}

色々書かせていただきましたが、時代を流して見せることによって、変わるものと変わらないものを表現できていたのが特に魅力的でした。
手紙は普段伝えられない心を伝えるものとして有効であるのに、現代ではメールが普及しすぎて若干味気なくなってしまっているように思います。紙ならではの味はあるし、大事に保管すればずっと残るものですね。また、普段なかなか言えない感謝等は伝えられる時に伝えておこうと思わされます。
TV版をそれなりに楽しめた方、心を清めたい方に、おすすめできます。

(参考評価:4.0→修正4.2)
(劇場観賞2020.11)

<2022.5追記>
最近、レンタルで再視聴しまして、改めて良い作品だと思いました。
ブーゲンビリアも含めて、あからさまに悪意を持つキャラクターがおらず、心が重たくなることもありませんし、過剰演出はTV版からブレていない本作の表現と思い、少々ツッコミすぎたかなと反省。
時代が変わり、手段が変わっても、今、伝えるべきこと(気持ち)を伝えることの大事さという普遍的なメッセージ性は強力です。
以上を踏まえて、評価を上方修正しました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 37

84.2 15 恋愛アニメランキング15位
サマータイムレンダ(TVアニメ動画)

2022年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (621)
2127人が棚に入れました
「潮が死んだ―――。」幼馴染・小舟潮の訃報を聞いた網代慎平は、2年ぶりに故郷である和歌山市・日都ヶ島に帰ってきた。家族や友人との再会。滞りなく行われていく葬儀。しかし、親友・菱形窓は「潮の死には不審な点があり、他殺の可能性がある」と慎平に告げる。翌日、近隣の一家が突如として全員消えてしまう事件が発生。時を同じくして、慎平はある不吉な噂を耳にする。「自分にそっくりな“影”を見た者は死ぬ。影に殺される――!」さらに、潮の妹・澪が「お姉ちゃんが亡くなる3日前に影を見た」と言いだして......!?紀淡海峡に浮かぶ夏の小さな離島で、時をかけるSFサスペンスが、今幕を開ける――!
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

本日からサブスク各種順次解禁!

昨日までディズニー独占配信でしたが
本日からほかのプラットホームでも
配信が解禁されています

原作は少年ジャンプのweb版ジャンプ+で連載していた漫画で
完結してすぐアニメ化の発表がありました

紙面の制約を受けないジャンプ+では
かなりたくさんの作品が連載されています
全体的なレベルは掲載作品を絞らなきゃいけない
ジャンプ本誌よりも低いと思いますが
その中の上澄みの部分だけを持ってくれば
本誌に負けないどころか
もしかしたら勝ってるんじゃないないの?
ってくらいにレベルが高いです

サマータイムレンダと同時にアニメ化された
SPY×FAMILY、阿波連さんははかれない
少し前にアニメになっていた彼方のアストラ
既にアニメ化が決定している地獄楽、怪獣8号
読み切りや短期連載で話題になった
ルックバック、タコピーの原罪などなど
そんな中で安定して高い評価を得ていたのがこの作品

作者の田中靖規はもともと
ジョジョの奇妙な冒険の荒木飛呂彦のアシスタント出身で
週刊少年ジャンプで「瞳のカトブレパス」や「鍵人」を連載していました
それぞれオカルト系能力バトルとファンタジー系のバトル漫画で
どちらの作品もあまり長生きはできなかったのですが
バトルシーンの迫力には定評がありました

・・・というところまで知っていれば
この作品がどういう作品なのか
作者がどういうものを描きたいのか
なんとなくわかってもらえると思います

ちょうどアニメが始まってすぐの頃
あにこれのチャットで原作に触れていない人たちと
この作品の話をする機会があって
序盤の2~3話まで見た人たちが
ミステリとかサスペンスみたいな方向を期待していて
ネタバレなしだとほとんど何も言えず困ってしまいました

原作を読まなくてもわかる情報として
田中靖規のそれまでの作風や経歴を話すのが正解だったのかな?
と今では思っていますw

アニメ組同様全く情報がない状態からだったのが
声優キャスティング
特にヒロイン姉妹の二人です

アニメ化が報じられた時の印象は
網代慎平:花江夏樹
また鬼滅便乗か・・・
小舟潮:永瀬アンナ
小舟澪:白砂沙帆
・・・誰?

人気絶頂の花江夏樹に主人公を任せて
ヒロインには売りたい新人を無理やりねじ込んだ
というようにしか見えなかったので
はっきり言って不安しかありませんでした

しかし、ふたを開けてみたら
このヒロイン二人がイメージにぴったりというか
登場シーンの時点でもう
ずっと昔からその子がその声で話しているのを聞いていたかのような
既視感(既聴感?)を覚えるくらいでした

よくまぁいい新人を見つけてきたなぁ
というくらいに思っていたのですが
放送後に実はそうではなかった
ということがトークイベントで判明しました

今回のサブスク解禁の宣伝のために
放送終了記念の無料イベントが開かれ
Twitter上での募集で定員280名に対し
3000名以上の応募があったようですが
無事選ばれたので行ってきました

倍率10倍以上のイベントに当選するなんて運がいい
と思う方もいるかもしれませんが
イベント概要に「抽選で」とはどこにも書いてありません
宣伝になりそうなアカウントを280名選出して招待しているんですね
抽選販売という方法だと恣意的な選別ができなくなるので
宣伝費と割り切って無料イベントを開催するわけです

実際この手の無銭イベントは
ここ数年一度も外れたことがありません
ある程度(数百人で十分)フォロワーがいて
定期的にアニメ関連のツイートをしてれば
高確率で選ばれると思われます

ちなみにこれが私があにこれよりも
Twitterでの活動を重視するようになった
理由の一つでもあります

トークの内容はほぼネタバレなので
視聴後に読むことをお勧めします
{netabare}
それぞれのキャラクターの名シーンを
キャスト・スタッフ・原作者にアンケートを取って
その中から一つずつ劇場スクリーンに流して
トークしていくという企画でした

網代慎平{netabare}

選ばれたのは体育館での演説シーン

花江夏樹:長回しのとこは大体何度も撮り直してる
このシーンは2〜3ページずっと自分のセリフで
台本一回開いたあと心が折れかけて
そのあと2〜3日開けませんでした

渡辺歩監督:それまで人付き合いが苦手だった慎平が
覚悟を決めてみんなと向き合う大事なシーンだと思う
尺をカットすることもできたが花江さんに頑張ってもらうことにした

花江:方言で演技をするのが難しくて
かなり苦戦しました

小泉紀介音響監督:ここは花江くんに
リアル慎平になってもらった
少し時間ずらして
方言のセリフガイドを耳から聞きながらやってる
花江君には2秒先が見えてる
そんなやり方聞いたことない

花江:絶対その方がやりやすいって人もいると思います
次から方言は最初からそれを用意してあげてください
外画の吹き替えなんかに近いイメージです

さらに会場にはいらっしゃらなかった
原作者のコメントとして
「慎平は本来リーダーシップをとれるような性格ではないので
ここはあんまり綺麗なセリフになりすぎないよう
一発書きであえて整えずそのままにした
慎平には思いついたことをそのまま話すことしかできなかった
だから演技も整いすぎていてはダメだと思っていたのが
花江君が覚醒して本当に慎平がそこで喋っているようだった」
というようなものが読み上げられました

原作もアニメも一番盛り上がったのは
ほぼやられる一方だった慎平たちが
背水の陣で真正面から戦う
体育館での総力戦だと思っているので
そこに繋がるこのシーン
とても重要で印象深いシーンでしたね{/netabare}

小舟潮{netabare}

永瀬アンナ:(登壇してすぐ)こういうのは
中学校の合唱コンクール以来なので
すごい緊張してます

選ばれたのは三話の特殊エンディング

脇目も振らず走ってく慎平
cadodeの音楽
遠くで上がる花火

永瀬:エンディングの入り方が神
澪の隣りを駆けてく慎平で
澪せつな・・・って

白洲沙帆:振り返ってくれてもよくないですか・・・

渡辺:ここのシーンには元々力を入れるつもりで
発注するときに原作わたしてここのイメージでって
cadodeに曲を作ってもらった
そしたら思ったより凄いのがきちゃって
アニメが曲に負けないように必死だった
でもこうやってスクリーンで見ると・・・
いいんですけど、もう少し細かくしないと
劇場版としては作り直さないとだめだね

3話のラストは本当によかったというか
あのシーンを見るまでは
原作ファンとして不安な部分も多かったのが
ああこのスタッフはきっと大丈夫だな
って思えるワンシーンでした

さらに追加で流れたシーンが
23話の慎平の告白と
最終回の再会シーン

永瀬:(23話のシーンは)花江さんが潮だけを見てくれて・・・
最初の頃は潮がリードすることが多かったけど
最後はこうやって慎平がひっぱってくれてうれしい
第8話のモノローグとかでも
花江さんに好きって言ってもらえてうれしかった
最後のシーンも何パターンも取り直したので
何回も何回も色んな形で好きって言ってもらえて
ありがとうございますってかんじで・・・

花江:慎平が潮を好きって話だからね!
僕には妻がいるからね!
監督や田中先生と相談しながら
慎平の心情を想像しながら
色々なパターンをやりましたね

白洲:(25話について)同じ収録日で
アンナちゃんと二人だけだったので
ラストのおかえりを録るのを一緒に聞いてた
生で聞いた瞬間それまでのことが
脳裏にふぁーっと蘇ってきて
あ、これだー!って思ったら
ブースの中で大人の人たちも
ガッツポーズして大喜びしてた

永瀬:最終回のおかえりは100回以上やった
最後はだいぶ疲れてたけど
逆にそれがはまったみたいで
スタッフの皆さんがうんうんってうなずいてた

小泉:キャスト陣がやればやるほどどんどん良くなっていくので
もっとやればもっといいものが出るんじゃないか
って欲が出ちゃう

渡辺:正直な話すると
アフレコ終わりたくなかったってのもあった
これが終わったら永瀬さんは潮を卒業しちゃうと思うと
そのままずっとスタジオに閉じ込めておきたかった

ラストに後期EDを流すところに関しては
それまでずっとあの失恋ソングは澪を歌った曲だと思ってたので
いまいちしっくりこなかったんですよねぇ・・・

しかし、新人にしてはよくやってると思ったヒロイン姉妹ですが
ものすごいスパルタで納得のいくものが出てくるまで
ひたすら録り続けてひねり出したんですね・・・
怖い現場だ{/netabare}

小舟澪{netabare}

流されたシーンは窓の再度の告白を断り
慎平に告白して振られるところ

河瀬茉希:ここは失恋ブラザーズ(朱鷺子、窓、澪)で録った

小野賢章:矢印が→なのよ・・・
(当日の席順、朱鷺子、窓、澪、慎平、潮)

白洲:花江さんとご一緒できなくて
まだ声が入ってないところに
一人で告白シーンを入れなきゃいけなかった
うまくできなくてかなり回数付き合ってもらったとき
二人がめちゃくちゃ優しくて
「今の良かったけどなぁ」
「私は好きだけどなぁ」
って後ろで声かけてくれた

河瀬:あ、ディレクションに文句付けてたわけじゃないですからねw

白洲:あとで花江さんの声が入った完成版みて
もう一回画面越しに
澪と一緒に自分も振られたような気がして
悲しくなって泣いた

花江:俺はどちらかというと澪派だからね

一同騒然

永瀬:…
(目が据わってる)

花江:潮はもちろん大前提としてね・・・
ほら、どっちもかわいいよね

原作者メッセージで
「澪と影澪をうまく演じ分けてくださったので
キャラクターの人間性がいろんな角度から見えて
真に迫るものになりました」
というものが読まれて

白洲:澪と影澪の掛け合いは
一番苦戦したところで
遅くまで付き合ってもらって・・・
どうでしたか?

小泉:放送できたんだから
良かったんだと思いますよ

澪は一人二役というか
影澪も前半と後半で大きく変わるので
実質一人三役くらいの重さはあるので
新人に振るのは酷な役だったように思いますね{/netabare}

南方ひずる{netabare}

選ばれたシーンは
最期のシーン

小西克幸:ここは方言がないから
お芝居に集中できるって喜んでましたよね?

日笠陽子:シーッw
第一話の時にひずるは島に忘れ物をして
子供のまんまでいるキャラって言われて
そのひずるが命を使い切るまでに
どれだけ成長したかを表現したかった
あとバトルものをやるときによく
(小泉)紀介さんと話し合っているのが
自分のキャラが今どこに傷を受けていて
それでそういう発声になるのかで
今回のひずるのときもよく話し合ってましたよね

小泉:・・・多分

日笠:なんでわすれてるのー!?
最初の方は喉つぶされて
かひゅかひゅ言ってたり
最期の方は腹をやられて
もう力が入らないとか

渡辺:おっしゃる通り
全身全霊の演技で
本当に死ぬんじゃないかってくらいw
登場したての頃から傷だらけのことが多くて
一番入りが難しいキャラクターだった
龍之介の演技を最初に聞いたときは
小泉さんと二人で椅子から転げ落ちそうになった

日笠:龍之介も私が先に演じなくちゃいけなくて
その時の監督の説明が面白くて
「中二病なんですよ、中二病で慎平にマウント取ってるんですよ」
その監督の独特のセンスで
それでいて真理をついているのがすごいと思う

渡辺:その二面性とあと作家っていう職業の持つ客観性
だから感情を出さないようにってお願いしてました

花江:日笠さんは方言でNGが出たとき
納得がいくまで自己リテイクするのがすごいと思った

日笠:そうだっけ?

花江:監督がもうOKって言ってるのに
今日はもうてっぺんまで行きましょうみたいな

小泉:言ってた

日笠:方言を意識しすぎて
芝居になってないのが自分でわかる
だからできなすぎて自分に切れてた

花江:イントネーションで芝居をしたいのに
方言のせいでそこで芝居ができなくて
どうしたらいいかわからなくなる

日笠:花江君も苦労してたよね
一度花江くんがどういう風に予習してきてるのか知りたくて
台本見せてもらったんだけど
私のと全然違った
花江くんは標準語のとこにマーカー引いて
上がり下がりとかが書き込まれてて
なんか音符みたいだった

花江:アクセント辞典の記号の振り方を参考にしてる
日笠さんの台本はふざけてた

日笠:ふざけてないよw

小泉:顔とか書いてあった

日笠:あ、顔は書いてある

花江:あとは似たようなイントネーションの
別の言葉とかがごちゃごちゃっと書いてあって
逆に普通は無理だしすごいとおもった

日笠:人それぞれってことだよね

他の現場では若手を引っ張っていく役回りの
日本を代表する売れっ子声優のこのふたりが
苦しいって弱音を吐く現場って…
日ごろから舞台挨拶なんかを回ってる身からすると
ちょっと考えられないくらいヤバイ現場だったようです
新人二人にも相当ハードな現場だったはずですが
ヒロイン二人は場数が少なすぎて
現場がやばいのか自分の経験値が足りないのか
あんまり判断ついてないんだろうなぁw{/netabare}

菱形窓{netabare}

ハイライトシーンが
どれも前半のギャグシーンばかり

(その中でも合言葉決めで
山に対してメソポタミア文明と返すシーンを見て)
花江:この前ゲームしてるときに
山って言ったら普通に川って帰ってきた

小野:突然・・・ほんとに突然
山!っていわれて
え?…か、かわ?
ってかえしたら
そこはメソポタミア文明だろ!ってw
あと、ゲームといえば一緒にゲームするとき
台本チェック終わらせてからやるんだけど
分量も違うから僕が先に終わって
花江くんがゲームはしないんだけど
ちょっとゲームしてるの聞きながらやりたい
みたいに言って入ってきて
ミュートにしてチェック頑張ってたりするんだけど
時々そのミュートがはずれてて
あぁ・・・わかんねぇよ・・・
って悲痛な叫びが聞こえてきてた

花江:いや終わらないんですよ・・・
しかも月曜収録だったんで
前日の日曜日が半日台本チェックてつぶれて
どこにも遊びに行けないし
それが本当にきつかった

このふたりプライベートですごい仲いいのが伝わってきますw{/netabare}

菱形朱鷺子{netabare}

11話で朱鷺子が影に協力していたのを明かすシーンと
15話学校のバトルで影澪相手にロズとギルをけしかけるシーン

河瀬:一話の時に一人ずつ方言にダメ出しされて
自分は飛ばされたから
私は完璧か・・・と思ったら最後に
河瀬さんは訂正ってレベルじゃないので
別室でお願いしますって言われて絶望した

アンケートで11話のシーンを上げてたのは
兄役の小野賢章だったという話が上がって

小野:それまではおしとやかというか
物静かな印象だったんだけど
窓は割といつもばーっと言う方なのが
この時はテストのときからばーーーって倍返しされて
窓がはっとするんだけど
リアルに僕もうわってなって
この人は怒らせたらいけないなって思った

河瀬:そんなことないですよw
このセリフはオーディションのときからあって
いよいよこの回が来たかって感じだったんですけど
ほかのみんなはこの三日間戦ってるだけでも
朱鷺子はひとり10年以上秘密を抱えてきてて
そんななかで浮ついたお兄ちゃんの告白を見たりして
どんな感情が胸の内にあったのかなって考えたときに
怒りというよりも悲しみなんかが乗ったセリフだと思う
それでテストでバーンっといってドヤッてしてたら
「ハイ本番はもっと行きましょう」って言われて
本番よしもっとやってやるぞ!ってなったら
「ハイ方言が違います」って言われて
うわー--ってなった

一方15話を上げたのは花江

花江:原作読んでて爆笑しちゃったんだけど
赤ん坊のネーミングセンスとか台詞回しとか
ちょっと厨二病入ってて
自分の思春期を思い出して
そういうのにあこがれた時期があったなぁとw

朱鷺子も序盤と中盤以降とで
大きく印象が変わるキャラクターですね
河瀬さんはその落差を見事に演じられてました{/netabare}

雁切真砂人{netabare}

流れたシーンは
慎平に問い詰められて正体がばらすところから
EDに入って役者名のモザイクが消えていくところまで

最初はシデはクールな感じにして
真砂人とは演技を変えていこうと思った
そうしないとばれちゃうかなと思って
でも監督から
「加工するから大丈夫だよ
真砂人と同じ感じでやって」
って言われて
そのあと少ししてダビング終わったっていうから
どんな感じになりました?って聞いたら
「いやぁいくら加工しても小西君が消えなくってさ・・・」
って言われて小泉さんも
「すごく困りました・・・」
って
まぁでもこのシーンあたりからは
隠す必要もなくなって
楽しくやろうと思って振り切って
どんだけ嫌われられるか?ってテーマでやってました

小泉:このシーンのところは
現場の雰囲気作りが尋常じゃなくて
ブースで二人とも全く話してなかったですよね

花江・小西:うーん・・・どうだったかな?

永瀬:はい、話してないです

小泉:そのくらい緊張感がすごくて
リテイクでブースに入っていっても
うわこれ喋れねえって

小西:それぞれ自分の役のチェックに集中してただけだと思うよ

永瀬:新人に優しく無い現場でした
すごく怖かったです

小西:体を動かしてるバトルじゃないけど
言葉だけで戦ってるのがどうやったら表現できるか
ってのをずっと考えてた

花江:慎平の中ではもう最初から答えは出てたんだけど
それを悟られないようにしつつ
少しづつ表に出していくのが難しかった

キャストのモザイク取れる演出に関して

小西:こういうの見たここ無かったから
粋だなかっこいいなって思いました

監督:あれは最初普通にモザイクなしに変わってるだけだった
V編のときにスタッフが
せっかくずっとモザイクだったんだからって
取れていく演出をつくってれた

小西:あれ素晴らしかったですよ
おー!ってなりました

監督:私もおー!ってなりました

監督まるで他人事w
あそこの演出はほんのちょっとしたところなんですけど
印象深いシーンになってました

小西さんの演技は
前半ものすごい強敵オーラだったのが
終盤はすごい小物臭になってましたが
まぁ原作通りではありますねw{/netabare}

こんな感じでいろいろ収穫の大きいイベントでした
欲を言えばハイネ役の久野ちゃんにも参加してほしかった・・・
久野ちゃんは毎話ごとにTwitterで
その話数のアフレコエピソード等話してくれてたんですが
こういうイベントの会話の中で
ほかのキャラについての話なんかも
聞いてみたかったですね
{/netabare}

序盤からいろいろと仕込んだ伏線を鮮やかに回収していくストーリー
絶望的なまでに圧倒的な敵陣営との手に汗握る攻防
徹底的に妥協を許さないキャストへの演技指導により実現した
原作イメージそのままのキャラクターたち
作画も最後までハイクオリティでした

原作自体が終盤伏線回収が終わったあたりで
本来最後の山場を作らなきゃいけないところで
手札が尽きて失速した感があったので
瑕疵があるとしたらそのあたりでしょうか?

それを差し置いてもとてもよくできたアニメーションで
原作ファンとしてこれ以上ないアニメ化だったと思います

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

最終話 視聴の仕方を間違えた気がします。追記 あれ?Dアニに???

 HDD録画が出来ない環境なのでTVerで視聴。1週間しか見られないのでちょっと細かくメモを入れます。あの配信サイトなのでウーン、という感じです。2クールと教えていただいたので、もう1つ独占があるので、6月と9月(7月と10月?)だけ加入かなあ。

 なお、アニメの作品として非常にレベルが高い作画ですが、少年ジャンプということでSF的な深さはそこそこの気がします。構造は非常にテンプレですし。この私の偏見を裏切って欲しいところです。

1話 複製人間の正体は?

視聴メモ
{netabare} レンダの意味がRENDERなのかレンダリングなのか。レンダーなら与える報いる返す。元の意味は形作るという意味です。レンダリングなら3DCGを画面処理するプロセスで良く聞きますね。数字データを画像化すること、でしょうか。

 冒頭のシーン スマホの時刻11;07 Sunday July 22 そして葬儀に帰って来たというセリフの時の日時が7月22日

 通常の視覚から金髪の娘に何かされるとノイズが入りました。手を当てられた前後でVR世界に入る、時間か空間が入れ替わっているなどが起っているのでしょうか。夢から目ざめますので、不連続な何かを感じます。
 プレゼントとは画面の感じから言ってオッドアイですから目の事?なんでしょうねえ。何かを見る力なのか。

 知っている人が知っている人ではない感じですから、人の入れ替わりものでしょうね。寄生獣みたいなものを連想します。

 OPの感じ…巴紋が出ますので神社が関係する。3つ巴なので3人同じ人がいるということ?影とか再生という文字もありました。人のコピーとか再生みたいな絵だったので、やはりそれを裏付けます。2周目3周目という文字とタイムテーブルがあるので、これが謎解きと関係するんでしょうね。

OP文字>>
 〇ルコ様、雁切真砂人、学校4年、島の…成り立ち、天沼矛、天沼、…呂島、紙垂彦、那由他、ハイネ、千代、正子
6;00 品川 新幹線乗る→8;36新大阪着 10;05和歌山着 南海…13;00

7月22日(日)は2周目?11;25、11;18 …フェリーで失礼…
1周目が7月21日?
漁、…ヶ島沖…、木材、…炭…、…漁師
影 ピカー、コピーA
影、コピーA、人間A 右上に首を絞めて殺しているような絵

1945(終戦時?)、髪、和歌山

21;00 南雲先生 境内へ 3周目 ループ 4周目へ

 主人公が銃で自殺するようなシーン。ループを確かめるために何かするんでしょうね。

 主人公 10年前に両親を亡くしコフネ家に引き取られる。
 ウシオの死体はちゃんとある。子供の頃の写真。島を出る日にカレーを食べたがる。葬式が神道。三巴紋だがちょっと違う?ウシオは潮。

 しおりちゃんは目の表現から言ってこの時点で偽物?

 あのおっぱいのお姉さんは何かの組織感がすごいですね。ミオちゃんがいきなり2人ですか。

 この時点で偽物っぽいミオとテンガロンハットの警官(駐在さん)が合う。ああ他殺ですねえ。吉川線というのは自分でつけた引っかき傷なので、誰かに首絞められた跡もある?シオリちゃん溺れる助けに飛び込む。
 貝殻のネックレスは何か個人を特定するギミックになりそう。ミオは殺した奴とはっきり言う。

 7月23日 主人公の偽物もいるみたいだし、行方不明に警官のチッですね。ミオの偽物にやられた?もう入れ替わりが随分進んでいるんでしょう。小早川家全員消えた。借金。しおりちゃんそっくりな女の子、見られている気がする。

 影の病。ヒルコ様…が影への対抗?矛が関係する?神社が対抗手段?
 お姉ちゃんの偽物。で、画面にノイズのようなものがあるので光学的な何かが仕掛けということ?

 やっぱり神社でましたね。そしておっぱいのお姉さんが…最後の演出からいってタイムリープかVRということでしょうか。冒頭のプレゼントの意味ですね。ウシオからもらった能力?あの迷路状の文様が何を意味するか。古代なのか迷い路なのか。{/netabare}

 仕掛けそのものはテンプレですけど、SFでそれを言ってはお終いです。論理性で見せるか、驚きポイントを作るのか。組み合わせでセンスオブワンダーとなるのか。楽しみな1作です。


2話 影 メモ

{netabare} 記憶は残る。スマホは同じく22日11:18。後ろ姿の男の作画はちょっと気になる…けど考えすぎな気も。

沼男 南雲竜之介 画面の文書を読む限り扼殺された男の小説らしい。絞殺と扼殺云々という文章からウシオにつながる?作中は2週間遡って7月10日なので7月24日の話?「鷺森」「親水」公園。電車の作画があるので、やはりタイムテーブルもの?
 これをわざわざ作画したということは何か関係がある?

OPはざっと見ると先週と変わらず。

 ミオちゃん突っ込んでくるのは一緒。ブレーキ切れてる。(先週の作画見たいけど…)、同じことの繰り返し。目の奥がチカチカする。ミオが警官を?つまり他人でも影は他人でも殺してOKのルールらしい。
 カレー喰ってるのが7時50分くらい。ストロボ状態のモノは…なるほど警官の姿形を移す手続きらしい。つまり光学的な処理ということ。
 消去したあとにあとが残る?記憶もコピーできる。思っていたより単純なルールだけど、タイムリープの主体は関係ない?俯瞰…タイムリープ。やっぱりウシオに何か能力を貰った?ソウからの電話でばれる。
 タイムリープのポイントが船内ではなく港到着時になる。

 刺された記憶と意識が残る。いや、あの自転車事故は大けがだろう。死なないの分かっているのに…

 眼鏡のお姉さんの通信。13:02 新大阪 取材0720は日付?
警官に働きかけ。嘘の通報。録画。
眼の色が違うことにここで気が付く。
キャミとタオルの色も位置も一緒の気がする。ただ、この作画が丁寧だしなんども見せるのはなぜ?
 録画は成功。影の話はミオから聞いたけど、「影の病」って1回目でもうちょっと後に爺さんに教えてもらったのでは?

 結果として小説の中身と、洗濯機の上のキャミソールが気になりました。{/netabare}

3話 忌中に夏祭り?大丈夫か?思ったより浅い??

{netabare}23日の8:10にコバマート 影で消される 床を殴った跡 シオリの後ろに大きな影。
俺は影の病に感染した?ストロボ状の光をあびると??影の病の定義は???影の人格というか性格とコピーであることは関係ないということ??
トツムラはもとのまま。
ウシオのスマホ…預かる。
明日(11月24日)夏祭り
ソウ 合言葉 山 メソポタミア文明 
ポスターなおしたのはなぜ?演出?
ミオからシンペイにネックレス渡す。

11月24日 ソウ、トキコ、ミオ、シンスケで夏祭り
調べたい事…忘れてくれ?

 なお、まだ死んで間もないのに、夏祭りで霊が戻ってくるみたいな話はないと思うけど。そもそも喪中…というか49日前の忌中で祭りに出ていいのか?というか親しい幼馴染とか姉とか死んだのに綿あめ喰って笑ってるのってどうなの???そういえば定食屋もやっているし…

 恋愛にしても、そもそもウシオとの関係どうなのよ?人の心理描写が不自然というか甘すぎる?

 パズルだけなんでしょうか?考察するのに値するんですよね? {/netabare}


4話 やっぱりウシオは死んでいたんですね。

 忌中云々の問題がありますがそれをさておいて、ウシオが死んで葬式をやって直ぐに祭りに出て告白するでしょうか。特に若い身内の事故死ですから、普通は喪失感で立ち上がれないと思うんですけど。

 それとパズルが複雑なのはいいんですけど、終盤に新しい設定が明らかになって設定で解決、にはならないですよね?進撃の〇人みたいに。
 新事実ならまあ許せますけど、新しい設定を後半に付け加えないでいただきたい。シラケますので。ちゃんと伏線を見せておくように、それだけはお願いします。

メモ

{netabare}  で、影の他に複製がいる、ということですよね。それがOPの文字でしょうか。影とコピー、オリジナル含めて3人いるということでしょう。そしてタイムリープ(ループ)。
 生きているウシオが何なのか、というのがパズルでしたね。貝殻のネックレスと記憶。

  このあたりはOP映像からいって隠す気はないみたいですね。問題は1話冒頭のシーンになりそうですね。あれはいつ、どこで、なんのウシオなのか。

 影はデジタルノイズのようなエフェクトが入ります。そしてウシオの影は以前には存在したのは振り返りの場面でありました。
 今登場しているウシオは影ではないのは確定です。
 
 オリジナルかコピーということですね。1話冒頭のセリフの記憶がありません。ウシオの登場の仕方からいってどうもオリジナルの雰囲気ですが、ただ、時間軸的に水着のまま何日か飛んでますので保護されていたか、やはりコピーじゃないと辻褄があいません。新しい後付け設定が出てこない限りコピーと思っていたほうがいいでしょう。
 1話冒頭は、本来存在してはいけないコピーが海に帰る場面でしょうか。つまり海でコピーは作られるという感じですね。コピーウシオが自分の真実に気が付いてシンスケに何かを教えて飛び込んで海に帰っていった?つまり最後の方までたどり着いた時間軸が以前あったということの気がします。

お母さんという敵ですが、神社は敵(影)なのか味方(コピー)なのか。

 小説の南雲龍之介という小説家の名前が出てくるのが2回目です。絞殺と扼殺云々という文章が何か関連するんだと思いますが、もちろんウシオの死因でしょうねえ。どうつながるんでしょうか。 {/netabare}


5話 ひぐらしの鳴く頃にのリメイク?マルチエンディングは難しいですが。

{netabare}  南雲龍之介はそうきましたか。これは驚きました。性別と名前を捩じりましたか。そしてあの赤い光の「母」までなら設定として許容しましょう。目の秘密がありますからね。

 でも、あとはキャラとしてあの老人と医者が何者か、南雲の姉とは。そしてウシオの影…あるいはコピーがどういう存在か、ですね。
 設定では神社の設定ですね。何より影の設定の説明にまだまだ何か追加されるか、どうか。

 これから設定がまだ小出しになるんでしょうか。2クールだとしてもキャラと設定過多になりそうです。もし謎解きものならそろそろ謎の考察に集中させてほしいかなあ。

 これ以上キャラと設定を重ねられると飽きてきます。考察の意味がなくなりますので。まあまだ5話なのでいいですけど、影の力を早めに見せられてしまったので、神秘性とかドキドキ感がここで一気に減ります。正直思ってたよりも謎の深さが足りない感じがしてきました。

 ですので、ここからの展開が勝負でしょう。どこに面白さが見いだせるか。

「ひぐらしのなく頃に」を思い出しますね。ディテールは違ってもマインドは似ています。本作はひぐらしに非常に影響を受けている気がします。あれもキャラが小出しで出てきますが、ゲームのマルチエンディングをアニメ化できた非常に秀逸な例です。あれは「ヒトコワ(人怖)」でしたし、敵の正体が最後まで見えなかったのが良かったので、影を先に見せた場合はどうなるんでしょうか。

 次回は軌道共鳴ですか。タイムループする間に事象が干渉して新しい何かが起きる的なことなんでしょうね。それがウシオのコピー?分かりませんけど。 {/netabare}

追記 あーなるほど、舞台と雰囲気、設定はひぐらしのなく頃に、話はシュタインズゲートという感じでしょうか。もちろん本筋となる謎に意外性があればいいですけど、意外性は奇抜さではないです。ウシオが世界線を動かす感じ?SFの類似性は否定しませんし、有りだと思いますが、仕掛けにセンスオブワンダーがあるか、ですね。今のところちょっと心配になってきました。


6話 影のボスが出た後なので、何に注目すればいい?巨乳の主張は何のため?。

{netabare}  一旦影のボス的なのが出てきているので謎の持ち方がどこにあるのか。あのボスを出さないようにするのがゴールイメージ?となるとやっぱりひぐらしかなあ、という感じです。

 小説家の南方…ひづると言ってましたね。過去龍之介という人物に何かあったようですが。
 そして吉川線の定義は誤解がないみたいですけど、索状痕等が無いのに吉川線だけつくんですかね?司法解剖してないなら怪しいのは医者一択じゃんと思ってたらやっぱり怪しそう…にみせて実は…って感じでしょうか。この辺ちょっと気になります。

 あとヘラヘラ笑っている神主。ああいうキャラは闇墜ちが定番ですから多分…だと思いますけどどうでしょう。

 それにしても南雲先生の巨乳が気になります。なんであの服?巨乳を誇ってる?でそして逆さまになるのは影対策?そして最後の推論が牽強付会じゃないことを願います。来週この辺りの謎解きで本作の方向性が見えてくるんでしょうか。 {/netabare}


7話 視聴は継続します。が、シュタゲとかひぐらしと一緒で考えてもしょうがないですね。本作のレビューは…休みます。

{netabare} 基本的に考察の組み立てではなさそうですね。タイムテーブルとか人の動きや出来事を組み合わせて、回避策を考えて解くみたいな展開になったら見る気もするんですけど…この辺やっぱりシュタゲ+ひぐらしですね。
 頭使わないでミステリーホラーの雰囲気を大人しく見ているほうが良さそうな気がしてきました。{/netabare}


9話 ウシオに注目すると面白い話になりそう。

 レビュー休むといいましたが、ちょっとだけ。9話に至るまでウシオが取って付けたような感じで「キャラ」ではなく「設定」にしか見えませんでした。が、この9話でウシオに焦点が当たり出しました。これが良かったです。ウシオの内面が描かれる構成になると物語的に悲しい話になる心配はありますけど、面白そうですね。2クールかあ…感情移入しすぎると最後は泣くかなあ。

 影のボスの能力は示唆されていましたので、これは展開に期待がもてそうです。 



10話 古事記の国造りかあ…妄想したくなるなあ。刑事の不自然なフェードアウトはなに?

{netabare} TVerで視聴中、刑事が警察手帳だしたあと非常に不自然なフェードアウトがありましたが、あれは何?セリフをぶった切った?


 10話で仕掛けが明示されましね。古事記かあ。OPに矛(ほこ)みたいな絵がありました。ヒルコ様ってイザナギイザナミの子供でヒルみたいな恰好だったらしいですね。ヒルコ様=蛭子様ですね。これって日都ケ島が、古事記の国造りのオノゴロ島と関係があるっていうか明示ですね。もうここまで露骨に見せると。

 また、神さまはいろいろくっついたりしますので、エビス様ってヒルコ様と同じってことになってます。オオクニヌシ=大黒様の子供と言うことで、この辺、古事記との関係は民間で流布されているうちに、一緒になってますけど。

 つまり、日都ケ島は古事記の国造りのオノゴロ島のことで、影の親玉=ヒルコ様なのか、ヒルコ様をコピーしたのが影の親玉なのか、影の親玉と対立するのがヒルコ様なのかわかりませんが、舞台の仕掛けとして日本の国造り神話がモチーフということですね。

 これは1話とOP見たら読めたなあ…うまく煙に巻かれました。なかなか面白いストーリ-展開です。


ここから先は妄想です。
 日都ですから、ヒトですね。ヒトの歴史の始まりまで話が行くのか、ヒトガシマはなんとなく鬼が島の対比みたいに見えます。瀬戸内海は桃太郎伝説です。最近だと香川県の島だと言われてますが、以前は岡山でした。当然和歌山にも桃太郎の話はあります。串本でしたっけ?

 ヒンズーの神である恵比須様、古事記のヒルコ様とオノゴロ島、そして考えすぎかもしれませんが、ヒトヶ島と対立する桃太郎の鬼が島?{/netabare}


20話 思っていたよりスケールが小さいし、タイムリープと設定でいろいろ見せられているだけだなあ。

{netabare} 結局タイムリープ…タイムループと設定で、あとはパズル…それも事柄を見せられているだけですし。

 作画とスク水ヒロインが出ずっぱりなのは、すごいとは思います。冒頭数話の期待感も大したものです。ただなあ、話のスケールがこじんまりしていて300年前とか言われてもなあ…宇宙隕石かあ…

 南雲先生の小説というのもあんまり生きてこないし、人間ドラマにテーマ性があるわけでもないし。歴史ミステリーでもなかったし。想像したより頭使わない系で、そうですね、12話くらいから飽きてきて後は惰性でした。

 一応最終回は確認しますけど、想像よりも5分の1くらいの面白さでした。やっぱりストーリー系って、期が終わってからレビューした方がいいのかもしれません。本作は徒労感が…{/netabare}



最終話 20話以降はまとめて見ました。本作の視聴の仕方を間違えた気がします。

 本作の見方は、人物がどう動くか、を見てワクワクするのが楽しいのでしょうね。あまり裏に意味性とか壮大な歴史とか考えないのが正解でしょう。伏線らしきものを考察する努力はやめて、単純に人物を追う。それが正解だと思います。
 なぜ、瀬戸内海和歌山なのか、南雲先生の小説の中身、ヒルコと大黒天の歴史的つながり。釘=鉄と7と言う数字の歴史的意味性、冒頭のシーンにトリックがあるのでは、などというものを脇において、死んでは戻り、工夫して戦って、死ぬ。その展開を楽しめばいいのでしょう。

 私はその点で間違えました。キャラはヒロインと南雲先生、シデが強烈で後はかすんでしまいますが、全体的にキャラ造形は出来ていたと思います。その意味では作品の作りもいいのでしょう。

 ただ、25話ありますので、見方を変えて再視聴は、ディズニーの契約をどこまで続けるかによりますけど。

 ということで低評価はつけ辛いですね。まあ、OPとか初めの数話の雰囲気と演出から、ミスリードされた気もするので作品のせいと言えなくはないですけど、結果的に正しい見方をしていなかった気がするので、第1印象の評価は3.1でしたけど、物語は評価できずの意味で3点、キャラは作画とヒロインで4点をつけておきます。一応観終わったにしますが、断念と紙一重くらいの視聴後感です。

 作画がいいのは認めるところですが、24話後半の作画というか画面の雰囲気、良かったですね。あそこの作画は線の感じが良かったと思います。


追記 いつのまにDアニに…うーん。まちがってディズニーの年間に入ってしまった私の立場は?まあ、スターウォーズとか3Dアニメとかあるのでいいんですけど。


 

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ラストがなぁ・・・

{netabare}
各話の評価の平均というなら80点ぐらいになるんだろうけど、ラスト数話が個人的に納得できなくて最終的な印象としては60点ぐらい、そんなアニメ。
1クール目序盤はめっちゃ面白くて、後半少し落ちて、2クール目の学校回辺りからまためっちゃ面白くて、それでラストでうーんってなってしまった。

書きにくいので良かった点と悪かった点に分けて書きます。

良かった点
とにかく毎回先の読めない展開が面白かった。
ループと言うチート能力がありながらも、相手もそのチートを把握したうえで利用しようとしてきたり、ループものでありながら全話通して常に緊張感がある作りで良かった。
ループものと言っても毎回ループする先々で起こる展開が変わっている(同じであることが少ない)ので安心できる場面もなかったし、単純に絵面が変わり映えしているという意味でも退屈しない作りだった。
あと、タイムリープものは「なんでこれをしない?」と言いたくなる場面が多々あったりするけど、この作品の主人公の慎平の場合はあまりそういうのがないどころか、序盤の影の調査などはこちらが思っている以上のことをやってくれたり、口癖通り俯瞰で何をすべきかをしっかりと考えているのが見抜けていてストレスフリーで見られました。
澪やひづるなど他キャラ含め基本的に有能なキャラが多い作品だったと思います。何もしない凸村さんとすぐに死ぬ根津さんは置いておいて。

戦闘パートはそんな慎平と、同じく頭脳派のシデとの対決と言う感じで面白かったです。主人公だけでなく向こうもループを利用して相手を打破したり、常に行動を呼んで先回りしていたり、最初はシデ倒したら終わりなのかよと思ってたけど、敵役としては不足なしでした。
学校での戦闘が個人的クライマックス、駆け引きの末の勝利と言う感じで熱い戦闘回。
戦闘自体もディズニー独占なこともあってか作画はかなり良かったし、ガラスが飛び散るシーンなど見せ方や構図もかなり良かった。
あと、序盤やヒルコ洞の探索パートは間の取り方が上手く、ホラーアニメとしての出来も高かったと思います。
最初の方は未知の現象や敵と戦っている感があってミステリー色も強めで良かった。そのミステリーアニメ的な展開から、バトルアニメへの切り替えも個人的には違和感なくできていたかなと思います。

悪かった点
まず、全話通してシデとの対決ばかりが行われていて、キャラの掘り下げや過去話などが全然なかったのでキャラクター魅力があまりなかったかなと。
慎平に関してはまだ良かったけど、正直その他のキャラに関しては「主人公と一緒に戦ってる仲間」ぐらいの印象しか残らなかった。
だから途中や最後に恋愛話されても何も面白さを感じられなかった。
キャラクター沢山いる割に決まったキャラ以外は全員大した活躍もなくて...。
正直このアニメ好きなキャラは慎平ぐらいだった。

ラストの3話は本当に駄目だったと思います。
まず、唐突に赤い空の世界に飛ばされるのはまだいいとして、ハイネ辺りの設定や遠隔操作の設定など、さすがに設定に設定を重ねている感、後出しじゃんけん感が強すぎて、なんとも萎える展開だった。
序盤からそんな雰囲気はあったもののこの回はさすがに許容範囲を超えた。
まだそこはいいけど、シデを倒し終わった瞬間、「原因不明に」ヒルコ様が生まれる原因となった場所に飛ばされて、なぜかその世界に干渉できて、それで鯨を殺してハッピーエンドと言うのはいかがなものかと思った。
無理矢理ハッピーエンドしましたよ感が強すぎた。
元々ここで死んだら終わりと言う認識で見てたからそもそも復活というだけでも少し萎えるのに、その復活の理由が良くわからないとなると尚更。
影と言う存在がなかったことになったら未来なんて大幅に変わるだろうに、多少ならまだしもそこが軽視されすぎているのはタイムリープものとしてどうかと思った。

それと、予想はしてたけど、シデの動機がしょうもなすぎ。
ただの狂人でしたパターンはあまり好きではない、こちらも共感できるような動機にしてほしかった。
あと、二重人格や憑依、2秒後先読みなど、異能力バトルモノのような特殊能力は雰囲気を壊しているので辞めてほしかった。

体感としてはもっと楽しめてたはずだけど、評価となると物語☆3.5、キャラ☆2.5になってしまった。
けど、一応今期で10番目辺りに良かったアニメでした。
最後の3話見るまでは今期3-5番目ぐらいのアニメだったけど...。

↓1話毎メモ
{netabare}
1話 ☆10
リープ能力貰った? パンモロ。メモとらないと着いていけなくなりそう。
主人公オッドアイなのが何かの能力持ち感あるな。しおりが首絞めたんか?
設定が多い。ひぐらしみてえだな。
強乳を探してたという主人公の目撃情報があったってことは主人公の影武者が負ったんかな。
こういう謎だらけのアニメほんと面白い。影?
銃声なってんのに近づくなw まるで実写だな。完璧な一話。

2話 ☆10
主人公ここに来る前何してたんすかね。丁寧なタイムリープものだな。
主人公が全然自覚しないw やっぱ家見つめてるの伏線だったんだな。
緊迫感がすごい。てかこれもう明かしちゃうのね。何やっとんねんw
いうて自転車って足で止められるよね? もう島影だらけってことか?w
今更オッドアイに気づくんかよw 音が怖い。体感時間短すぎる。

3話 ☆9
なんで母からは逃げるん。一週目の世界と重複してる?
1週目の主人公が影として存在している? こいつも影かもしれんのに。
ひぐらし要素。
確かに祭りの方が都合がいいな。パスワード結局答えてないやん。
これで信頼されるんかw これ影やろ...いやこれが本物説もある。

4話 ☆10
こいつ本物だろ。こいつもループしてる? ひぐらし感がある。
ひぐらし要素。葬式の翌日に告白w ガイジすぎる。は?
むしろ澪達全員が影説。逆だったか...。盲点、予想できん。
敵も頭いいのがいいな。安直に殺そうとせずに対策練るのが。
握力が強すぎる。

5話 ☆9
影を狙えばいいのか。男? 廃銃刀法違反 ときこ影に協力でもしてた?
ひぐらしの大災害っぽさがある。セーブデータを消そう。
こういうラスボスいらん説はある。
主人公と同じ目。規模大きすぎだろ。
スバルとは違ってリープのことを話せる。制限付き厳しいな。
最初から制限付きと示される作品は少ないよね。

6話 ☆8
? よくわからん。ひづるも元この島の人なのか。棺桶開けるやべー奴
結局どっちのパンツが。
ああ、主人公戻ってこれてない時間だから新平じゃなくてひづる主人公?
まあ新鮮だった。あっ。でかい
そこからタイムトラベラー認定は論理が飛躍しすぎている。
タイムトラベラーの存在を確信出来てたならまだしも。

7話 ☆8
このタイムトラベラー認定の流れはあっさり過ぎるし微妙。
何かしらでタイムトラベラーの存在を知ってたのか? 謎二重人格設定。
影と意志が交互になってるとかじゃないよね。先制攻撃は基本。
潮と状況同じなのか。顔芸。二重人格設定いる? 最後の緊張感。

8話 ☆9
2人でタイムリープ? チェックシート。ギャグ面白いじゃん。
草。顔芸やめろ。影相手なのに普通に。潮が情報送った可能性もあるしな。
顔芸アニメだった。そこで引きかよ…。

9話 ☆6
これ割とエロ枠説。普通ドッペルゲンガー気味悪いだろ。
急に髪動かして戦うのシュールすぎる。普通に回想でいいんじゃないかな。草。けどしおり影になってるんだよね? 何か知らんけど軽いんだよな。
盛り上がらないといけない回なのに何かが足りない。
というかわざわざ回想としてやった割にオチが予想通り過ぎた。

10話 ☆8
白石枠? 貝から出てきたら本末転倒じゃんw
てか影が本体ってことは夜なら最強か?
光で影を大きくして攻撃範囲上げられそう。卑猥。影前提の仕掛けか。
ここ窓の実家なんか。主人公立ち回りで完結してしまってるな。
せやな、潮死んだら終わりかもしれん。
主人公の代わりに実質死んではいけないキャラがいることで緊迫感が。
はよ撃てw

11話 ☆6
このための殺虫剤。正味二人いても襲っても勝てるよな。臭そう。
海水もコピーじゃないんか。治すにはループするしてコピーするしかないな。
影じゃなさそう。バグ治されたらどうすんねん。
影が人災だとわかるのが早すぎて得体の知れないものと戦っているといあホラー感は無くなってしまった。
妙に生物学に精通してる影がシュール。

12話 ☆9
陰って情報共有できるんじゃないの?
影と人間の違いとかの話があるのはいいな。リセット確定。
有能か? 初見プレイ

13話 ☆9
5週目。理解力高杉。前ループの内容伝えられる能力は少し興ざめだな。
OPいいな。ひぐらしかな? プリキュアw 初手ラスボス登場。
やっぱ相手もループか。高校生っぽくないな。EDもいい。

14話 ☆8
事案。慎平の目。四本腕が食べてる絵シュールすぎる。楽しそうに食事すなw やっぱりループ情報共有可能設定はいらないな。
おじさんいっつも真っ先にやられてんな。富竹枠な気がしてきたわw

15話 ☆9
RTAかな? もうラストか。まだあと1回死ねるのね。
ジジイはどうせまっさきに死ぬ。運動会かな?
回によってなんか萎える時と面白い時あるのなんだろうな。
朱鷺子急に仲間として活躍してんな。根津初めての活躍。
小学校で何やっとんねんw 放火じゃねーか。
影倒したとして捕まるやろこれw けど警官もグルだから揉み消せる?w
真空で行き吸ったら酸欠なるみたいなニュース見たな最近。
まあいいけど。顔にガラスが。有能やな。本来はスナイプ対策か。
致命傷とは。こいつ仲間になる気あるんか?

16話 ☆8
影澪こんなにあっさり。影澪の方が責め気味なの草。影の方が人間っぽい
ホラゲーかな? 実の子供を打つ。百合かな。
影で永遠の寿命手に入れたいとか?ちゃんと俯瞰していく。
主人公の家族ら何かあると思ったけど特に何も無いのね。シデが父かと。

17話 ☆8
今回話中心なのね。こいつのことだから死にそう。殺したれやw
影絶対許さない主義。確かに妻を殺したのは事実だしな。
シデと会ったらヤバいやろ。この回想いるんか?
そんな堂々と暴れるんかよw 堂々と銃を使って行く。
影を殺すことへの葛藤を描く回? 1周目殺されてたもんな。
最初に会えなかったキャラとやっと会うの終盤感あっていいわ。
けどこんなあっさり会えるんだw

18話 ☆8
セガかな? まあそういうオチだわな。怖い。顔芸やめろw
はよ打て。はい殺人容疑。まあ警察さんが揉み消してくれるかw
潮あっさりすぎるw 確かに俯瞰が足りなかったw

19話 ☆6
AIRかな? 悪あがき。あっ…。話繋がってきたな。
電話番号は見ること出来そう。そういや2人おるんやな敵、分担か。
能力バトルものかな? 演出さぁ…。

20話 ☆8
時間稼ぎw 確かに慎平の性格なら無駄話戦法は効きそうw アビスかな?
このアニメストーリーばかり進めてるからキャラの掘り下げとかバックボーンがあまりなくてそこは弱い気がするな。一クール目OPで見た。
2回目で1回目のこと学習して倒すとか主人公かな? 退場キャラ出るとは。

21話 ☆7
サブ垢で草。帰ってくるってことはあの時点で湧いたってことになるけど?
ラブコメ要素あんま面白いと思えんな…。そういうことか。
潮そんな強かったっけ?

22話 ☆9
一回死んで位置変更か。本体ってヒルコ堂にあるの? なんか草。
花火にやられる結界って弱そう。引きがずるい。

23話 ☆3
グロいな。久野ちゃんに厳しいクール。シデ何がしたいん?
霊との会話いる? ホラゲー感。分裂設定繋がってなくて微妙だな。
話飛躍しすぎとちゃう? さすがになんか違うな…。
遠隔操作とか何でもありすぎん? ここに来てワースト回な気がする。
作画は今回頑張ってたけど。

24話 ☆4
バトル漫画だな。作画回。銃よけられるんかよ。僕の王の力がああああ
手戻ってこんやんこれ。出血量やばそう。2分経ってね?
実質ループ同士の戦いだしな。
相手もちゃんとループで学習してるのがいいわ。まあやっぱり動機はしょうもないな...。最後の盛り上がりは良かったと思う。
成仏。設定に設定重ねてる感が。エンディングも悪くない。
これ全員生存エンドだとしたら嫌だな。
予想外に過去に戻れて鯨を殺せたことがハッピーエンドにつながるというのは。
しかもヒルコを消したならここまで影に殺された人全員が生きてることになって未来がめっちゃ変わると思うけど。
やっぱりピークは学校回終わりだったかなぁ。

25話 ☆7
パンツ見える? 完全ハッピーにはして欲しくなかったな。
そういや澪好きなんだったな。やっぱキャラ弱いよなぁこのアニメ。

OP1「星が泳ぐ」☆10
ED1「回夏」☆7.5
OP2「夏夢ノイジー」☆7
ED2「失恋ソング沢山聴いて 泣いてばかりの私はもう。」☆8
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7

64.5 16 恋愛アニメランキング16位
経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (147)
457人が棚に入れました
加島龍斗(リュート)は冴えない陰キャ男子、もちろん16年彼女ナシ。 そんなリュートの憧れは、白河月愛(ルナ)。学年一の美少女ギャルで、恋愛経験も豊富。 遠くから見ているだけで十分だと思っていたけれど......、なんと付き合うことに!? 恋愛経験ゼロの陰キャ男子と経験済みなギャル、住む世界が違いすぎる二人が織りなす凸凹だけど、ピュアでリアルでドキドキがつまった極上青春ラブストーリー!
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

想像よりもちゃんとしたラブストーリー。ヒロイン可愛い。

 なるほど…そういう結論にしましたか。思ったよりもいいラブストーリーだった気がします。特に後半の…まあ、サバゲ―はちょっと横において、気持ちのちょっとした食い違いみたいなところは、ノーストレスの「隣にいる女子」系の話より内面に切り込んでゆく分、最後のカタルシスにつながってきます。

 もちろん、まだまだ表面的な部分もあるし、性行為そのものに特別な意味を持ちすぎる気もしますが、高校生って自分では当時大人のつもりでしたが、今見ると相当幼い感じです。そう考えると確かにヒロインの経験人数は一つのドラマにはなるんでしょう。
 ある意味このフレッシュさは大切なんでしょう。主人公側も変に純情ぶらないで、ちょっと期待しているところがなかなか青春でした。

 それと主人公ヒロインだけでなく、ギャル3人の視点があったのも効果的でした。草食化の時代です。性行為をヒロインのマイナスとして否定的にとらえない本作はとてもいいと思います。それがあるから彼女の魅力になっているというところがもうちょっと強調できればもっと良かった。

 途中ちょっと中だるみして4話~8話くらいまで集中して見てなかったので、正月にもう1回見直してもいいかも、と思います。

 で、原作者なんですけどやっぱり男だろうな…という気はします。女性視点ならこうはならないでしょう?というやっぱりどこか処女厨的なマインドを感じました。はずれたらごめんなさい。
 
 話はちょっと間延びはあったものの1クールで落とすところに落としたので、いいと思います、4。キャラは主人公もヒロインも作品に合わせてちょっと作りすぎかな。もうちょっとナチュラルに動いてくれた方が良かったかも。でも初々しくて良かったです、4。

 作画は止め絵が多いし高級な部類ではないですが、さほど悪く感じなかったので3.5。声優さんはヒロインのモノローグというか語りがちょっとうるさい感じもしましたが、今時の標準なんでしょうか、3.5。音楽は…普通過ぎるくらい普通で3。



以下 視聴時のレビューです。

1話 純愛がいいという結論なら凡作。性に関する新しい提案ができるか?

{netabare} 設定そのものは興味深いです。実は「その着せ替え人形は…」とか「長瀞さん」でこの設定を明確に打ち出してくれたらもっと面白そうだったのに、と思っているということもあります。

 それで見始めたのですが…うーん。結果的に純愛がいいという結論?それってどうなんでしょう?新しい性と愛情の関係の提示とかまでいかないのかな?

 日本では処女厨と呼ばれるシンドロームがあるようです。江戸の儒教教育なのか、明治以降の家制度と言う観点からの貞操観念教育なのか、柳田國男的な穢れ思想から言って他人の体液に対する忌避が日本人にはあるからなのか…まあ、実際には日本の性は近代になるまでかなりおおらかで、村における夜這いの習慣とかあるので、裏と表はあるのでしょう。

 それがバブル期には高校生で処女とか恥ずかしいというような時代(実際「俺ガイル」で由比ヶ浜結衣はこのセリフを言っていました)を経て、今ですねえ…近代史上もっとも貞操観念が極端に処女厨に振れているのが今じゃないでしょうか。性交の経験率が極端に下がっています。
 バブルからバブル崩壊後にJK=ブランド信仰=金必要=援助という図式で、性の商品化が進んだことへのアンチテーゼなんでしょうか。それともハラスメントとか権利とか言い過ぎて男がルサンチマンを発揮しているのでしょうか。
 あるいは実存主義からのウーマンリブ運動、そして…という文脈かもしれません。

 そういうバックグラウンドを持って、この作品を描いているなら面白いですよね。ギャルもののコミックとか「目黒さん」「こういうのがいい」なんかが同時期に沢山出ているということは性の認識に関して、問題意識が出始めて、変革の時期に来ているということでしょうか。
 性行為の経験の豊富さやそれを楽しんでいることと、人間性や人格は関係ないまで行き着けるかどうか。

 本作は今の推移のままだと、所詮は処女厨…ではないけれど性行為=愛情表現で終わってしまいます。どれくらい突っ込んだ新しい男女の性行為と恋愛の形が描けるかがポイントでしょう。{/netabare}


3話 テンプレ感はあるけどキャラの描写が丁寧なので面白いです。

{netabare} 隣の女子系のご都合主義だけでなく相手を理解しようとする努力がなかなか好印象な感じです。
 女子に理屈で説明してしまうとか、相手の会えない時間の行動を考えて悶々とするところなど、ギャルと付き合うというあるあるを上手く拾えていると思います。こういうところがタイトルの回収にちゃんとなっているかなと思います。

 今のところ性体験云々よりも、ギャルと非モテという印象のストーリー展開が面白さにつながっています。何より新キャラ「昔振られた彼女」ですねえ…いいですねえ。「俺ガイル」の八幡も折本という昔振られた女性の存在でかなり苦しんでましたが、それを乗り越えられるかどうかで男を見せるという展開は嫌いじゃないです。

 なお作画…もったいない。美少女ギャルに恋をする疑似体験が重要なのだから、そこは止め絵でもいいから美しく描いて欲しいなあ。

 ということで、キャラ達にちょっとテンプレ感がありますし、展開はありきたりになる雰囲気もありますが、しかし、ちゃんとストーリーと心理描写がある作品なので面白いです。{/netabare}



7話 悪くはないが処女厨の妄想に…ヒロインの過去を肯定するなら押し倒せ!

{netabare}  言いたい事はわかる。まあ、経験済みな娘と童貞の恋愛話なら、こうなるよね、ということは良ーくわかります。そして、その初々しさとヒロインの涙もやりたい事は分かります。
 ライバル登場も対比として面白いし、他人のモノは欲しくなるという心理はわかります。
 スタートがルッキズムなのも私はいいと思います。その後、付き合ってみて理解しあうというのも、今の時代大事な考えだと思います。スタートはテンプレ(とはいってもアダルト系?)に近いですが、悪くはなかったと思います。

 が、これは思春期の男子が見る妄想だよなあ、という気がします。彼女の過去を肯定してあげるなら、ここは8話で「GO」でしょう?上書きしてあげてください。そのタイミングでいけないのはヘタレすぎですし、それが無いと結局処女信仰の逆張りになります。童貞パワーで真の愛そしてセックスの美しさを教えてあげてください。
 まあ、そこはティーン向けとしてのチューニングかなあ…高校卒業を待ってとかなるんでしょうか?

 一応、8話冒頭を確認しますが、まあ、押し倒さないでしょうねえ。来週押し倒さなければ断念で。

 ラブコメというほどコメじゃないので、一種の思春期ラブストーリーでしょう。性愛に関するもっと突っ込んだ内容になるポテンシャルはあるシチュエーションだけに勿体ない気もしますが、それが望まれているストーリーでしょうし、作者の何かのドロドロした深層が透けて見える感じは悪くはないかもしれません。
 それを逆転するのが8話冒頭です。是非是非、最高のシーン、お願いします。それが出来ればラブストーリーとしての超名作になる可能性があります。

 評価は…ストーリーはそうはいっても悪くないので3.5,キャラはヒロインが可愛いので4です。主人公は駄目ですけど、がんばってるからいいとしましょう。
 作画はちょっと今時にしてもなあ…アップばっかりでごまかしが多いし、2.5。声優は悪くないけど、よくもないです、調整込みで3。音楽も同様で3。

 来週押し倒したら、思いっきり加点します。押し倒さなければ、ストーリーを2.5、キャラを3.5にして断念でお終いにします。


追記 ちょっと気になって原作者調べたら「長岡マキ子さん」でした。うーん…女性なの?意外すぎる…絶対男性マインドの話なんだけどなあ…ネカマとかじゃなくて? {/netabare}



11話 後半から急に面白くなる。サバゲ―始めたときはどうしようかと思いましたが。

 いいですね。受験がからんで…男は恋愛とくにセックスを受験期に覚えると悲惨な目にあいます。ちょうど盛りの18歳であれを覚えたら受験勉強に手はつかないでしょう。イケメンモテ男君だからこそそれを自覚的に抑えられるというのはなかなか面白いです。

 サブキャラでいろいろ言いたい事を表現しているみたいだし、いいんじゃないでしょうか?もう少し話を整理して恋愛とセックスに踏み込んでくれると、もっと何かが浮き上がってくる気はします。
 高校生という時代だからこそのことです。正直大学…とは言わないですが20歳過ぎてくる、やって当たり前になります。この問題を描くならたしかに高校生の物語でしょう。

 で、やっぱり理屈っぽくはあります。最近僧侶枠を見て思ったんですけど、女性は気持ちを大事にしますので、貞操云々よりも感情とスキンシップだと思うのですが…男の理屈でやらないってある意味ちょっと相手を信用していない気もします。

 というところまで考えられる話に近づきつつあります。初めは童貞妄想ストーリーかと思ってましたが、なかなかのところに来ましたね。最終回は次? 簡単にハードルを越えないで悩んだ末に結ばれるなら、1クールかけた意味はあると思いますが、どうなるでしょう?楽しみにしています。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 15

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ピュアでリアルでドキドキがつまった極上青春ラブストーリー開幕!

この作品の原作は未読ですが、さおりん成分が目一杯吸収できる作品なので視聴を楽しみにしていました。
さおりんといえば、一時期体調不良で仕事を一部制限するとの事でしたが、もう治ったのでしょうか。

個人的にはさおりんボイスは大好きなので、声を耳に出来るのは素直に嬉しく思います。
ですが、健康あっての仕事だと思いますので、留意頂ければと思います。
まぁ、そんなの私に言われなくてもって感じだとは思うんですけど、1ファンとして心配くらいさせて下さい。
そのくらいのことしかできませんので…^^;


加島龍斗は冴えない陰キャ男子
もちろん16年彼女ナシ

そんなリュートの憧れは、白河月愛(ルナ)
学年一の美少女ギャルで、恋愛経験も豊富
遠くから見ているだけで十分だと思っていたけれど……
なんと付き合うことに!?

恋愛経験ゼロの陰キャ男子と経験済なギャル
住む世界が違い過ぎる二人が織りなす
凸凹だけど、ピュアでリアルでドキドキがつまった
極上青春ラブストーリー


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

いやぁ、さおりんボイスをメッチャ堪能させて頂きました。
振り返ってみると、さおりんが主要キャラを演じている作品の視聴コンプリートしていました^^
大好きなキャラはたくさんいますが、その中でも今回の月愛ちゃんや最近視聴した「夫婦以上、恋人未満。」の渡辺星役を演じている時の声質が抜群に好き…というより色々持っていかれちゃいましたよ^^;
月愛ちゃん、星ちゃんに共通している事ですが、楽しそうなときの弾んでいるお声が堪らないんですよね~(〃ノωノ)

あのお声を毎日聞ける人は幸せ者だと思いますっ!

さて、経験済と経験ゼロと括られていますが、きっとこれからの人生の方が沢山の初めてが経験できると思いますよ。
高校生のできる経験って、どんなに背伸びをしても限度がありますからね。
でも、それが同じ高校生同士だと異次元ほどの違いを感じてしまうのも理解できます。
遥か昔に自分も感じた感情ですから…^^;

一方、あおちゃんこと古賀葵さんが演じる黒瀬 海愛(マリア)は、リュートと中学生時代に面識があったようですが、なんと月愛ちゃんとも関係があったようです。
今気付きましたが、月愛(ルナ)と海愛(マリア)って読み方は全然違いますが、どちらにも「愛」という文字が入ってるんですね。
こういうところに親御さんの愛情を感じるのは、きっと私だけじゃないと思います。

名前の漢字って決める時に色々考えますよね。
苗字や名前の字画や総画による姓名判断とかだって気になりますし…
そういう字画の辞書みたいな本も売ってるくらいですから、ソコソコ人気があるんだと思います。

高校生の揺れ動く気持ちを等身大で描いた作品だったのではないでしょうか。
少なくても私の学生時代は色恋沙汰より部活で汗を流す機会の方が圧倒的に多かったので、今となっては時間の経過が大き過ぎて心に響くモノはありませんが、これを学生時代に視聴していたら、人生が変わっていたかもしれません。
い、いや、変わるまで無くても相当リュートを羨ましがっていたと思います。

一方、リュートと月愛の恋心はしっかり描けていたと思いますが、友人の方は少々物足りなかったかな。
尺の関係で振らざるを得なかったのは理解できるんですけどね。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、まややんによる「ラブ・ユー・テンダー!」
エンディングテーマは、AliAさんによる「あいことば」

1クール全12話の物語でした。
さおりんボイスを満喫できて耳が幸せになる作品でした。
さおりん、早く全快するよう陰ながら祈念していますね^^

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10

大重 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

作画はいまいちですが内容はなかなか良い。非処女ヒロインとは興味深い

さて、オタクの妄想のような内容… かと思いきやヒロインが非処女な所はなかなかリアル。
もちろん男性経験も十分あるヒロインが陰キャを好きになって、という展開が妄想臭いといえばそうかもしれませんが、私はそこまで変には思いませんでした。主人公は見た目は良いですし。
行動はややウジウジしていますが、嫌いじゃないです。この程度のウジウジは普通ですね。

まあ、本当に全くあり得ない話しでは無いと思います。
どんな美少女とだって行動すれば付き合える可能性は0じゃないんですよ。
主人公は行動したから付き合えたわけですからね。
たまたま彼氏が居ないタイミングで告白されたから付き合う、というのは納得できます。
というわけで… 続きが見てみたいと思えました。
作画はかなり微妙ですが…。内容で十分カバーしているかな。


しかし、ヒロインが非処女という所に思う所はありますね。
昔のオタクは潔癖症で、エロゲーでヒロインが非処女だったらCDを割って送り付けたり、声優に恋人が発覚したら耳に精子がかかるなどと酷い侮蔑をおこなったりと、処女性が損なわれた時は苛烈に怒り狂うオタクが多かったものです。

それもあって作り手側も極力ヒロインは処女にするようにし、母親まで処女という意味不明なエロゲーが1本程度ではなく作られたというカオスっぷりでしたね。

しかし男にもてるヒロインが処女なのはリアリティが無いといえば無く、このヒロインなんて優しいからこそ、付き合えばやらせてくれるわけです。
まあ普通ですね。

それでもオタクってやつは運命のヒロインが処女のまま待っていてくれることを夢見たいものなんですけれどね。

というわけでなかなかチャレンジブルな作りだなーと思いましたが、オタクに優しいギャルなどギャル人気が出てきている昨今、ギャルだけど処女、という余計ありえないキャラより、本作はよほどリアリティあると思いました。

後は彼女と付き合っていた過去の男達も、ヒロインが優しくてやらせてくれて、それで振ったりするというのも、リアルだと思いました。

男ってそういうことされると、絶対に調子に乗りますからね…。
後はカースト最上位の女の子と付き合っている男はモテるので、余計調子乗るんですよ。それで浮気して別れるという展開は普通にあると思います。

物語は全部ファンタジーなんですが、リアリティがなさすぎると没入感を妨げて楽しめない。こういうことあるかも、というリアリティによって楽しめます。
そういう点では本作は楽しめそうに思えました。

というわけでなかなか興味深い作品です。これは見たいですね。

全話感想
なかなか楽しめました。
まあ普通のカップルの話ではありますね。どこか少女漫画的な。
と思ったら作者は女性なんですかね。
名前はそうでしたが。

ヒロインは経験済みのギャルですが普通に可愛らしい女の子でした。
ただ2人が本当に気があっているのかは疑問な所はありましたけれどね。
だからといって妹の方があっているとも思いませんが。

色々ぶつかり合いもあってわかりあってでも好きあっている、ごく普通のカップルの話でしたね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5

66.8 17 恋愛アニメランキング17位
じいさんばあさん若返る(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (133)
408人が棚に入れました
青森で何十年もりんご農家を営む正蔵とイネは、周囲からおしどり夫婦と呼ばれるほど仲睦まじい。 ある日、畑で見つけた不思議なりんごを食べてみた2人。 次の日目覚めると、若い頃の姿に戻っていた!? かつてイケメンだった正蔵と美人だったイネ。 若返ったその姿に、子供や孫たちをはじめ周囲の人々はビックリ。 とんでもない奇跡を起こしながらも、正蔵とイネはマイペースに、じいさんばあさんらしく日々を過ごしていく。 今までと変わらず夫婦二人仲良く、そして今まで以上にパワフルに――。

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

老人を描くことの難しさ…。老人のイメージが戦前生まれの人物からアップデートされていません。

 11話(最終話)まで観ました。2024.06.17

 2期無しでお話を締めた感じでした。あぁ、終わったなぁというラストでした。

 上手くまとめたと思いますが、お涙頂戴的なラストで、想像の範囲内であるのは仕方ありません。

 老人が若返る話は、そもそもが先の無い人物達が主人公なので、常に死の影がつき纏い、さらには現代の社会秩序が自分達の選択したものなので、それを破壊する物語も作り得ないという選択肢の狭さが物語を制約します。

 現状に適応出来てなければ、そもそも高齢まで生き残れません(刑務所か精神病院で死んでます)。

 だから、家族や友人に囲まれているのが幸せで、充分社会にも貢献したし、後のことは若い人にぶん投げフェードアウト的なラストにせざるを得ません。

 金無し親戚無しの独居老人で、不満で爆発しそうな人物を主人公にしていない時点で、若返っても特に想像以上のことは起こらないアニメになるだろうなぁと思っていましたが、まさにそうなりました。

 多分、若い人が観てもカタルシスが足りず、面白く無いと思います。

 老人観(戦前生まれで戦前教育を受けており、高度経済成長に田舎で取り残されている好々爺)が現代の40代位の視聴者向けなので、その世代ならギリギリ面白いかもしれません。

……………………………………………………………………… 

 7話まで観ました。2024.05.22

 ジジババ様、東京熱海に新婚旅行に行きました。まぁ陳腐なお話です。

 結局、このアニメは日本ゴイスー感動ポルノの一形態に過ぎません。老人達も今の日本に満足しているというのが前提です。そして、若返ったジジババが現代日本でイチャイチャする…。

 本当にそうか?昔の方が良かった人もいるのでは?何故、老人が現状に満足していると思う?

 しかも、好々爺が若がえっても良い人だなんて保証はありません。親は言わんかもですが、若い頃の祖父母はめちゃくちゃな人物だった可能性だってあります。

 歳をとって、現代的な価値観に合わせていますが、若くなったらトンデモないことをしでかさないと何故言える?

 劇中のジジ様は戦争には行ってない様ですが、超軍国少年で、村の先輩達の様に戦争へ行って全アジアを占領して現地女性を強姦したかったとか思っていたかもしれません。

 アジア女だけではありません!インドシナではフランス女、インドネシアではオランダ女、フィリピンなら米英女も上手くすれば犯れるかもです。たみゃらん!オーストラリアも攻撃したので、そこの白人女も…。

 昭和初期の男なんて性的に信用出来ないでしょう。ババ様が実は非処女で根に持っていたとか、貧乏で若い頃に弘前の遊廓へ行けなかったとか不満に思っていて、若返ったからチャ~ンス!とこの機会に近所のフィリピーナ奥様に襲いかかるかもしれません。
 
 昔の人間は、家制度に縛られて結婚の自由が制限されていましたが、代わりに女性を人間だと思っていない思考形態も持ち合わせていました。

 よって、買春も今より男性にはフリーダムでした。なので、進駐軍用にRAAを作って女性を提供しても平気なんですね。こんなの、漢奸だってやりませんよ!

 日本人は常に倫理的であったという妄想から捻り出されたアニメなので、何か底が浅いですね。老人の闇を覗け!そして深淵もお前を覗いていることを自覚せよ!

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 5話まで観ました。2024.05.06

 ジジババの馴れ初めとババ様がジジ様に惚れ直すお話でした。若い頃のジジ様、田舎で疎外されたババ様の面倒を見たり、医療費を出してくれたりと、下心コミでも普通に良い奴です。

 弱った女につけ込んだ感じもしますが…。まぁ、田舎でこんなあからさまな行動をとって世間体は大丈夫だったのか?とか少し心配になります。田舎という閉鎖空間の人間関係を舐めすぎてる感はあります。下手すりゃ村八分よ?

 ただ…、ハートフルな話しにするにしても、ジジ様はイケメン設定なんですよね。ババ様も美人だし…。

 純愛っぽい話しにしてますが、説得力は無いです。ジジ様は働き者で良い人だけどブサメンだったら分かるんですが。

 結局、天体戦士サンレッドのかよ子みたいなもんで、紐男を養っているリアルな女性(そんなに美人ではない)では人気が出ず、キャラデザ変更で、やり手で美人のスーパーウーマンにしたら作品自体の人気も上がった的な商売上の理由が感動的な話を阻害しています。

 ジジババ若がえったらイケメンと美女だった的な出落ちコメディをアニメでこねくり回しても、何かなぁ…という印象ですね。

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 4話まで観ました。2024.05.01

 孫の文化祭へ若がえった二人で行く、今回のエピソードは、ほのぼのしていて面白かったです。こんな感じのコメディで良いのです。

 アニオリ展開なのか、ラスト不穏な感じにしましたが、これはいただけない。多分、ババ様が再びジジ様に惚れるハートフルな話にしたいのもしれませんが、上手くいかないでしょう。

 ババ様は東京のお嬢様で、戦争で没落して田舎へ下放された吾人と言う設定です。イケメンだったとは言え、ジジ様との結婚に根源的な意味で納得しているか不明です。

 戦後すぐなんて、女性の地位は低く、結婚しないと生活が保証されない上に戦争で大量の若い男が死亡したので、結婚難でした。

 また、今より結婚の自由度が低いので、年下男性と結婚するのもハードルが高かったのです。だから、今では絶対に結婚出来ない、イケメンでも無いのに、戦争で心理外傷を負い、家族に暴力を振るう様なクズ男でも所帯が持てました。

 当然、女性の我慢の上に成立している婚姻関係です。、戦争するとはそういうことで、女性の選択肢が増えると、元兵士の暴力男が結婚を通して社会に内包できなくなり、社会問題化します。女性の地位が高い社会は総力戦不可能です。戦争は女の顔をしていません。

 ジジ様が戦争での残虐行為て頭がおかしくなったDV男だとは言いませんが、ババ様にとっては田舎で人生が終わることの原因となる、時代に強いられた不本意結婚の可能性は否定出来ません。

 長く夫婦をやっていたから、パートナーに満足しているかどうかなんて本人にしか分かりません。若がえったババ様、都会に逃亡の可能性もあります。

 時代背景も人間の機微も理解していないような無能が手を出して、楽しいコメディになるほど、田舎の老人の人生すら単純ではありません。

 次回どうなるか楽しみです。
………………………………………………………………………

 3話まで観ました。2024.04.22

 爺さん婆さん、戦前生まれかよ…。今回、少しジジババの馴れ初めとかやりましたが、浅い上に日本の現代史を踏まえていないので、辞めた方が良いですね。

 当時の田舎の風俗とか、最早意味不明なので、おかしな描写になりそうです。

 若い頃のオババとオジジの階層は?農村は経営規模がストレートに村内の格ですよ?今の都市に居住している若造達の様に野良猫がくっつくかの様な恋愛などあり得ませんよ?

 GHQによって農地改革が行われ、因習と既得権益に支配された農村が混乱、動揺して、元小作人共が暴れている様な状況下、もっと恋愛もドラマチックになりそうです。

 まぁ、その後土地をもらった小作人が保守化して、農村から都市を包囲する毛沢東的な革命運動が頓挫するのですが…。

 出落ちの四コマギャグ漫画をアニメ化するのは、凄く難しいのは分かりますが、よりによって戦前生まれ設定は悪手です。太平洋戦争終了から来年で80年よ?軽く90歳オーバーですよ。

 やはり、ドラマ的に戦前の人間じゃないと世代間ギャップを描けないんですね。何と言う田舎や老人に対する想像力の欠如か…。

 現在の団塊世代位だと、既に駅弁大学卒がゴロゴロしているので、所謂純朴で低学歴の人が良い田舎者の好々爺を描き辛いんですよね。

 しかも、革命目指して暴れていた世代なので、田舎爺でも鋼の山村工作隊の残党や、ナロードニキ崩れかもしれません。若返ったらゲバ棒握りしめて総括を叫びそうです。

 原作みたいにチョイエロコメディにしておけば良いのです。農村は江戸時代から変化してない訳ではありません。

 観念だけで田舎や老人を描いても、駄作以外に道はありません。もう少し近現代史を研究してから老人を描いて欲しいですね。

………………………………………………………………………

 初回観てのレビューです。2024.04.09

 爺さん、婆さん若返った!初回は面白く無いですね。原作漫画は、もっと性的な話で、好々爺っぽかった祖父母が若返って孫から見てもエッチな感じになって、やりまくりそうだよ〜というお話でしたが、脱臭されています。

 ご先祖様が、やりまくったから今の自分があるのですが、祖霊に足を突っ込んでいた祖父母が若返って目の前でやりまくりそう…。と、いうギャップがギャグとして面白かったんですが、アクやエロを無くして、ほのぼのコメディにされてもねぇ…。

 後、孫の年齢(高校生)から、祖父母は70代位の様ですが、それだと戦後教育を受けているので、それ程孫とのギャップが無いんですよね。

 教育勅語を暗唱させられて御真影に最敬礼させられ、粗相があったら教師から死ぬほど殴られるとか、予科練帰りとか、戦争で死にそうになったとか、敗戦によって鬼畜米英から親米保守になるとかの価値観の激変とかを経験した世代ではありません。

 回想シーンでは着物とか着ていますが、おそらく新制中学校位は出ているはずです。爺さんは高卒かもしれません。

 田舎なので、学歴は低めかもしれませんが、70年代位まで裸足で登校していたアベベみたいな子供がいたという埼玉県並の貧困地帯でも最終学歴高卒以上がほぼ100%になったのはだいぶ前の話です。

 どうしても老人というと、元日本兵や農家の肉体労働者みたいなイメージですが、戦後80年近く経ってますし、産業も近代化しています。

 個体差もありますし、若者を一括りにした若者論がもはや通用しない(年代より階層差だ!)様に、一括りにされた老人集団というのも存在しません。

 よって、世代間のギャップが笑いを呼ぶギャグとして、本アニメは成立していません。これからも面白くはならないでしょうが、挽回を期待しています。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

究極の幸福論。愛する人と土地とともに愚直に生き子孫を残す。

 断念しましたが最終回だけ気になって見たら、かなりいい結末だったのさかのぼってみました。これは今の「子供を産まないほうが幸せ」「年収〇〇〇万円が結婚の条件」などの風潮に一石を投じる作品かな、と思います。
 原作者がどこまで意図しているかわかりませんが…いや、私なんかよりよほど考えているのかもしれません。究極の幸福論な気がします。

 苦労があったからこそ老後に夫婦の共通の思い出があり、親族がいて知り合いがいる。そして自分の生まれた土地を愛し生業を愚直に営むのが、人間として自然な生き方なのではないか。思い出は良い思い出もいいですが、苦労した思い出はかけがえのない宝です。豊かな生き方とは何ぞや?老いて死が間近に迫った時に感じる幸せとは、金があり好きなことをしてきた思い出ではありません。

 そうすることで死んでも、未来に子や孫が続いてくれるし、リンゴ畑も残ります。それが生きた証と信じて死ねる。これこそが本来的な人間の幸せなのでしょう。
 だからこそ究極の幸福論と言えます。経済を追いかけ、子供を作らない人は好きなことはできますが、老いることでそういう楽しみ方はどんどんできなくなります。つまり、老いが苦しみになる生き方です。でも、この老夫婦のように生きると、死の間際に幸福のピークがくる。

 若返るというのは走馬灯あるいは命の灯のメタファーなのかもしれません。それを砂時計と言い換えて、随所に作品の意味を教えてくれました。「つみきのいえ」は夫婦が別のタイミングとなりましたので、幸せを感じつつも、もの悲しい雰囲気が強かったですが、こちらの方が何かほっとするような終わり方でした。

 本作のテーマを言葉にするとありきたりとも取れますが、素朴な夫婦の物語にすることで直接的ではないですがわかりやすくなりました。常に孫のカップルを対比に置いた意味が伝わってきます。時代を超えた普遍性もかんじられました。

 エンタメ的な面白さという点ではそこそこかな、という気もしますが、静かですが深い味わいのある感動という点で優れた作品だと思います。それはあまりテーマ性を前面に出さないからこそだったかもしれません。

 評価は…全体的にちょっと盛ってますが、しかし、話のレベルは相当高い気がします。ある種の文学性もあってよく作りこまれた作品だと思います。
 アニメ、エンタメとしての評価は低めですが…評価に迷うなあ。最終回を見ることが価値になる作品ですので、最終回までひっぱれる力がちょっと弱いのかな。
 



1話 エロい女子高生で話を作っているだけ?

{netabare} なんでしょうね?よくわかりませんが「老人が若返った」という話に見えないんですけど?リアリティ云々を言ってもしょうがないんですけど…若返りしたときに起きるドラマって、そんな感じなの?という気がします。

 いや、言い方が難しいですけど、シリアスとか社会的なメッセージを求めているわけじゃなくて…うーん…エロい女子高生が騒いでるだけ?

 若返って青春を謳歌しつつ、いつ歳を取るかわからない恐怖とかなら「アルジャーノンに花束を」のメソッドですし、もう1度人生を繰り返す喜びと苦痛のジレンマとかなら人魚とかエルフの亜流ですし…ですけど、何かそういうのが欲しいなあ…ギャグでいいので。

 もうちょっとしっかりした話を期待していましたが…うーん、次で判断します。 {/netabare}


2話 1話よりは全然よかったですが、それほどでもと思ったら次回予告が気になりました。

{netabare} 1話よりはよかったですね。特に後半の息子のところと木のところは短編としてはいい話だと思います。テンプレですけどね。話のテンポからいって、4コマ漫画なんでしょうか。

 若者礼賛ではないし「年寄り」にも若い時代はあったしそこから生きてきた人生の振り返り、積み重ねの重みという意味においては良い話だとは思います。
 うまくいけば「つみきのいえ」のような感動も生み出せると思います。が、どうでしょうね。若返った意味性がやはり薄いとは思います。

 悪くはないけどやめようかな、と思ったところで次回予告が…うーん、だったらまだ話がよくなる可能性もありますね。来週も一応見ようと思います。 {/netabare}


3話 浅いと思ってたら、しっかりテーマがありますね。 

{netabare} あーそう来ましたか…終わりをどう描くか、ですね。浅いかと思ったら思ったよりも、タイトルがそのままテーマになっている感じで、興味が出てきました。「アルジャーノンに花束を」の老化&夫婦版ですね。正直話の作り方はあまり面白くないんですけど中身はあるし、メインの砂時計関連の話はいいです。視聴は継続かなあ…これは切れないですね。 {/netabare}


5話 良い話だけに中身がわかりきった内容になってしまったかな?

{netabare} いい話です。申し訳ないですが、題名からもうちょっとアダルトな作品を想像してましたが、真面目に歳をとるということを描いているようです。年齢というのが不幸、死に向かっている恐怖ではなく、積み重ねによって人間が豊かになってゆくということも、描けていると思います。

 ただ、です。いい話で真面目な話なだけに、中身がわかりきったことになってしまっています。テンプレとはいいません。作品自体が珍しいジャンルではありますので。ただ、視点が一般論で終わってしまっていないか、ですね。

 どちらかと言えば、年齢をとることの恐怖や苦しみの救済としての若返りと、年齢を重ね苦労があり死に向かうことが不幸ではない人生の晩年の豊かさということとセットで描ければな、という気がします。

 そこがないのでドラマとしての面白さが単純になってしまっています。うーん…正直24分見ているとちょっと退屈を感じてしまいます。中身はいいんですけど…一回断念しようかな、と思います。

 30歳以前の人が、歳を取る意味、結婚してパートナーがいる幸せ、苦労の大切さを知る話としてはいいんでしょう。ただ、そのためにはもっとエンタメにしないと厳しいのでは?と思います。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

悪くはない、が…どの層狙いなのか。

正直、若いころの自分自身は、お年寄り系がメインを張る作品はあまり好きではありませんでした。
小僧時分ですから、今ほど多様性もなく、実際は年配者が主役の作品はそう多くなく、また、小僧から見れば「お年寄り」とまでは言えない「中高年」も十分「じじばば」に見える訳で・・・w。
余計に苦手だったのかもしれませんけどね。

何でなのかなあ・・・。
やっぱ、自分もいつかああなるという現実は当たり前なのに、実感が出来ない、想像ができない自分とのギャップや、まだまだ先の事だと思いたい、そうなりたくはない、なんていう恐怖で心がザワザワしたからなのかなぁ、なんて自己分析。

しかしながら、時間の流れは残酷、いや逆に平等・公平なのかw。
いい年齢になってしまいました・・・w。

この歳になると、時間≒「命」である事が強く感じられ、その貴重さ、重要さが身に染みてくるものです。
よく社会で「お時間をいただきましてありがとうございます」とか、「俺の時間を無駄にするな」とか言ったセリフがあると思うのですが、これって本当の事なんですよね。

 例えば、学校で先生があなた達生徒の為にいろいろと教えてくれる・・・、
「それは仕事だ」って言ってしまえばそれまでなのですが、その為にそれ以外にも自分の時間(≒命)を使って準備などをしてくださっているはずです。
 社会に出ても、仕事やいろいろなモノを教えてくれる先輩や同僚やお客様がいるでしょう?
その方たちは、本来は自分の時間(命)は全て自分自身の為に使うべきなのです、とても貴重で大切な、何時まで持つか判らない、二度と手に入らない、取り返せないものですからね。
それなのに、時間を「アナタの為に」使ってくれている、この事実にはもっと謙虚に深く感謝をするべきなのです。

ましてや、親兄弟、家族、親族は言うまでもありません。
しがらみと捉える場合もあるでしょうが、基本は大変ありがたいもののはずです。

おっと、またいらないことを書いてしまいましたw。
でも今回は皮肉ではなく、すこしまっとうな事を書いたような気がしていますw。

さてと、ここでレビュータイトルです。
この作品は、こういった心境の変化があった私には、しみじみと思うところもあったのですが、一般的にアニメーションを楽しむことが多い若い世代には刺さるのかなぁ・・・?という問いがその理由となっています。

もちろん、今という時代にあっては、アニメーションは世代年代、性別、国籍を超えて楽しめるメディアとなっているので、愚考に過ぎないんでしょうし、どんな楽しみ方であっても構わないことは言うまでもありませんがね。

私的には「おとなな日本むかしばなし」という感じでしたでしょうか。

作品としては、若返ったじーさんとばーさんと周囲の家族、友人らとのドタバタ、ラブコメチックな感じで楽しかったです。
若返った、ばーさんは美人さんでしたし、能登さんでしたしw。
あと、お孫さんたち、その友人達との関係も、なんか好きでした。

大好きな人と若返って、いろいろともう一度楽しむなんて、本当に「夢」ですよねぇ。
やり残したこと、出来なかったことにもう一度チャレンジすることができる。
自分自身だけだと、また動かないかもしれませんが、大好きな人が一緒ならきっと頑張る気がします。

ただ、少しの物悲しさ、わびしさも付きまとっていたのも事実です。
若返ったままではいられない・・・。
この手のお話の常として、また年寄りに戻ってしまう、そのジレンマに直面します。
ただ、今回の主人公お二人は、そこをとてもポジティブに受け止めていた点が印象的でした。
良いキャラクターを作り出せたものだと、好印象です。

そして、さらにこの物悲しさを払拭する効果もあるのでしょうが、最終盤では再び・・・。(これは、少し読めましたけどw)。
視点を、もう一度戻す効果で、すこし前向きになれました。


そうですねぇ、少し・・・ほんの少しだけ視聴者を選ぶかもしれませんが、こういった作品は数十年前にはアニメ化する候補には上がらなかった作品なのではないかと思います。
多様な価値観と楽しみ方を受け止められるようになった、今という時代だからこそ作品にできたものではないかと個人的には思っています。

よい作品、楽しい作品だったと思います。
じいさん、かっけー。ばあさん、かわえー。
でも充分だと思います。
そして、年齢を重ねた人には別の思いがよぎるかもしれませんね。


ああ、そうそう、所々で差し込まれるカットやキャッチーな挿絵、ストロングマシーン的なデフォる目も楽しかったですね。

機会がありましたら、ぜひご覧くださいませ。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16

63.4 18 恋愛アニメランキング18位
てんぷる(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (121)
385人が棚に入れました
そうだ、出家しよう! 女たらしの家系として知られる赤神家を疎んじて勉強とバイトに明け暮れる日々を過ごしていた赤神明光は、ある日偶然出会った少女、蒼葉結月に一目惚れしてしまう。 以来すっかり煩悩の波に飲み込まれてしまった明光は、自らの血に抗い、ストイックに生きるため寺へ入るが、なんとそこは美少女だらけの尼寺だった!! キュートな三姉妹&W居候美女との青春お寺ラブコメ、開幕!

ビマ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

原作コミックはお気に入りの作品です!

まず、これについて触れないと話が進まない。これは私が背負った業なので作品の評価とはまったく関係ないのですが、私、、、、、、巨乳が!、、、生理的にムリなんです!

作品によって胸が大きなヒロインの描き方が違うので気にならない作品もありますし、マンガならまったく気にならないんですけど不自然に揺れたりするアニメには抵抗を覚えてしまうんですよ。
多分、需要が高いから揺らすんですよね〜。私はマイノリティーなのかな?

、、、さて、カミングアウトが済んだ所で本題に入ります。

本作は私がマンガで読んでハマってしまった作品です。お寺での生活を描いた微エロラブコメといった内容ですね。
これが吉岡公威先生の絵なのでヒロインが可愛く描かれてますし、それぞれ個性を持った魅力的なヒロインで、私なんかはこんな作品見ると主人公がお気に入りのヒロインと結ばれない結末を迎えると「グァ!」と血を吐くタイプなんですが、この作品に関してはそんな心配をしなくていい程、みんなカワイイんですよ。

そんなわけでアニメ化は喜んでたのですが、、、いざ視聴してみるとマンガでは気にならなかった胸が、、、胸が揺れ過ぎでは????

一旦、落ち着こう!

と、いうわけでとりあえず見るのを放置してる状態です。でも切ったわけではない!ちょっと心の準備や整理が必要なんです。
これが私が背負った業なんです。しばしお待ちを

投稿 : 2025/02/01
♥ : 2

こま さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

主人公の声がなぁ…。

2023年5月時点で累計発行部数は120万部を突破の大人気作品。

合わなすぎてダメだった。違和感凄すぎ。この声を毎回聞かないといけないとか無理です。
声の感じが40代くらいにしか聞こえないの致命的過ぎる…一応大学生なんですけどね…。
ヒロインの声が良かっただけに落差がヤバかったです…。ホントどうしてこうなった()

他作品だとハルヒのキョン、ハガレンのマスタング大佐、ウィンリィ、月とライカのイリナ、転スラのリムルこの辺りは違和感があったけどイリナ以外は観てるうちに慣れた(リムルはちょっと時間かかったけど)ハガレンは初期観てるのもあって違和感が凄かったw
月とライカは声とキャラが個人的に違和感というか、キャラの年齢に対しての声の差があり過ぎて3、4話辺りで切った記憶がある。

他で残念だったのはエロ中心なんだけどお尻(ヒロイン以外)のコレじゃない感も凄かった…。
お尻が揺れ過ぎて胸みたい…。胸はすごく良いですw

コレならマンガだけで良い。アニメなんて無かったいいね?
1話切り。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

レオン博士 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

煩悩から始まる古寺再生生活

こんな色欲まみれのばちあたりな寺、さっさと廃業した方がいいと思う!
エッチなシーンがメインで、話はオマケみたいなものです
修行と言いつつ無茶な展開でお色気シーンに持っていきます

ちゃんと修行して!!Σ\( ̄ー ̄;)

実直すぎる武闘家見習い男子が美女だらけの尼寺に居候して寺の再興を目指すエッチなハーレム罰当たりアニメ

煩悩退散煩悩退散と叫びながら全力でお色気シーンを入れてきます
お寺とか教会で色欲まみれなことしてるのはやっぱりどうかと思うんですよね、本当に厳しい修行をしている聖職者の皆様はどう思われるのでしょうか?

ヒロインと一緒に寺を再建するっていうわかりやすい目標があるのはいいですね
主人公は素直ないい人だし、女の子達もちゃんと可愛いし、キャラのやり取りは賑やかで雰囲気が良く、ばちあたりとか気にしなければ気軽に楽しめて悪くないハーレムアニメだと思います

でもわたしはハーレムもエロも好きじゃないので・・・

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13

63.0 19 恋愛アニメランキング19位
疑似ハーレム(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (98)
307人が棚に入れました
ヒロインは1人! だけどハーレム??? 漫画のようなハーレム状態に憧れる演劇部の先輩「北浜瑛二」と密かに想いを寄せる先輩の前だと、つい“キャラ”を演じてしまう「七倉 凛」。 ツンデレちゃんに、小悪魔ちゃん、甘えんぼちゃん、クールちゃん、おしとやかちゃん。 演じるキャラが増えれば増えるほど、抑えきれなくなる先輩への想い。 ちょっとバカでかなり鈍感な瑛二に、七倉は、ありのままの自分で、想いを伝えられる日は来るのか…?
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

3話 設定のわからない4コママンガ感。疑似ハーレムというアイデアを活かせていない。

1話 アイデアは良いけど上滑り感。文字通りのはやみん劇場です。

{netabare}  疑似ハーレムってそういうことかあ…知識ゼロで見始めたのでその点ではアイデアには感心しました。そしてはやみん劇場です。文字通り。演技派を選んだのでしょう。

 ですが、どうでしょう?「上手さ」の質が早見沙織さんの方向性でいいか、ですね。アニメキャラですので演技の変化のつけ方は難しいところです。ですから演技そのものよりも、声質が変わるカメレオン声優タイプの上手さの方が驚きは大きいかな、という気もします。まあ、そこは本作の肝ですから、今後どう見せてくるか、です。

 さて、アニメ本編ですが、ヒロインリンちゃんがなぜ先輩にそんなにべったりなのか?が分かりません。なぜ演劇が好きなのか、他の1年生はどうしたのか、性格はどういう娘なのか?などが描かれないまま話が進行するので、2人の関係性に乗っかれない気がしました。

 ヒロインの本当の性格を描写せず「疑似」=「演技」に翻弄される感じなのかなとも思いましたが、そういう描写でもありません。

 そのヒロインの焦点の当て方がどうなるかで作品の奥行が決まりそうです。アイデアは面白いので本作は3話まで確認したいかな、と思います。導入の1話はちょっと上滑りなので今後を期待ですね。

 それとキャラデザなんですけど、ヒロインの頭が大きすぎる気がしました。 {/netabare}


2話 なんでもう初詣?作画が紙芝居でつらい。断念候補です。

{netabare} 作画が紙芝居すぎてつらいです。ヒロインの演技を楽しむ作品なはずなのに。それと2人の世界すぎて話がタイトルの疑似ハーレム感がありません。ただのバカップルに見えます。というか、2話まででまったく感情移入できません。淡々と何かが進行しているだけに見えます。

 何よりなんでもう初詣いってるの?ここまでが導入で次の学年から描きたいということ?ちょっと話自体が何をやりたいか意味不明な上に、アニメとしての画面に魅力がなさすぎです。なお、ED後のショートコーナーだけ面白かったです…ちょっとだけ。

 3話冒頭確認して、このままの感じなら断念ですね。{/netabare}


3話 設定のわからない4コママンガを途中から読んだ気分です。

 今回は比較的はやみんの演技のバリエーションがエピソードに落とし込まれている気もします。今までで一番ヒロインが可愛いかも…1,2話と比較すればですが。

 が、やっぱりラブコメなのにときめかない、萌えない、感情移入できません。そして面白くないです。設定のわからない4コママンガを途中から読んだ気分です。それでも恋愛の進展を意識できれば、面白いケースはあるでしょうけど、本作はパーツパーツの寄せ集めみたいです。そこが「疑似ハーレム」のタイトルの所以なのかもしれませんが、効果的とも思えません。

 残念ながら視聴断念ですね。3話を最後まで見るのもつらいので半分であきらめます。マンガ版ならひょっとしたら…と思わなくはないです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4

猫好き さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

バカップル一発ネタ

高校に入学したばかりの七倉さん。演劇部に興味を持っているところ、自称部長を騙る大道具の北浜君と出会い、演劇部へ

この時七倉さんがいきなり彼のことを好きになったらしいけど、理由が全く理解できない。多分一目惚れ?まぁ、恋愛に理由なんか無いからその点はいいとして、、、

彼のことが好きだけど、まだ気持ちを伝えきれていない七倉さんが、芝居という名目の照れ隠しで様々なキャラを彼の気を引くために演じてるバカップル物語とでもいえばいいのか?

これ見ててどうも数年前に似たようなノリの番組があったなぁと思って記憶をたどって行ったら、手品先輩を思い出した。あんな感じで「疑似ハーレム」という一つのネタが延々と繰り返されていく感じ

作画はイマイチだけど、声優さんの一人五役くらいの演技は上手いしそれを目的にするなら楽しめるかも?

それと実際に付き合ってる人の普段とは違う姿を見るのはぐっと来るものがあるは事実。確かホリミヤでも、割と俺様な堀さんが、普段は内向的な宮村君のワルっぽい姿にメロメロになって何度もおねだりするって話があった。あはは、こうゆうの実際にやったことのある私は、バカップルのロールプレイと思えば納得できない事は無いので割と見ていられた

ただ、同じことの繰り返しはさすがにあきてきて、何か関係に変化があって捻りがあったり、その拗れを疑似ハーレムネタにて乗り切るのかと思っていたら7話でいきなり卒業式になり終了でびっくり

つまりはミニシリーズだったのね。最初から知ってたら納得だけど、事前に教えておいて欲しかったかな。つまりは本当に一発ネタのアニメでしたってことで最後はちょっと脱力

--八話目

って、あ、あれ?なんか七話でエンドロールまで出たから終わったのかと思ったらまだ続きがある。ここから第二部ってことになるのか。先輩が卒業した時に告白して、リンちゃんは家族に紹介されて公式に付き合うらしい。延々と進まない話を疑似ハーレム一発ネタで続けてきたから、ここからまだ何やるか

お母さんにまでハーレムごっこやってると言っちゃったり、ここからは普通のバカップルネタになるのな。とにかく八話目からはあまあまないちゃらぶ話になってしまったような

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

ヨッシャア! さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

もう少し「深み」があれば化けたかもしれない

【物語】 1.5 / 5.0
 演劇部の後輩女子が、様々なキャラを演じながら先輩男子とイチャつくライトなラブコメ。女子一人が複数の人格を演じるから「疑似ハーレム」というタイトル。
 設定だけならなかなか面白そうだったが、蓋を開けると妙なテンポで「バカップルによる、悪い意味でコッテコテのくどいラブコメ」が続くため、気になって調べたところ「Twitterでの掲載でバズった」という文言が目に入り納得した。
 つまり、「中身は薄めだが手軽に楽しめる(=内容を薄くすることで記号的でキャッチーな内容)」という点がウケた作品ということなのだろう。
 こういう点で、24分の尺をとってやるアニメ化する作品ではなかったと感じた。

【作画】 3.0 / 5.0
 特別秀でていたというわけではないが、作画はそれなりの水準で安定しており、作画がノイズになるようなことはなかった。
 美少女ヒロインの作画にはしっかり力を入れているように感じられ、力の入れどころを理解しているという点は評価したい。

【声優】 2.5 / 5.0
 ヒロインを演じた早見沙織の演じ分けは「さすが」と言うほかない。
 しかし、あくまでこれは個人的な嗜好なのだが、コメディを演じる岡本信彦の甲高い掠れ声が演技としてオーバーなように感じられたため、どうにも入り込めなかった。

【音楽】 1.0 / 5.0
 印象に残らない。

【キャラ】 2.0 / 5.0
 物語の項でも書いたが、キャッチーさを売りにしているためか主役2人にどうにも記号的で深みがない印象を抱いた。
 調理次第ではもっと魅力が出そうなキャラクターだったのだが、それを描写しきれていなかったのは残念だった。


【総括】 10.0 / 25.0 (平均 2.0)
 コンセプト自体は面白そうな作品だっただけに、キャッチーさを優先して物語やキャラクターの深みのようなものが失われていたのがもったいなかった。
 この内容なら12分アニメとかでも良かったんじゃないかと思うほど。
 また、内容自体もバカップルの単調なイチャイチャを延々と見せられるため、腰を据えて見るような作品ではない。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 0

72.0 20 恋愛アニメランキング20位
死神坊ちゃんと黒メイド 第3期(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (65)
220人が棚に入れました
「触れたもの全てを死なせてしまう」 ……そんな呪いを魔女にかけられた、貴族の「坊ちゃん」。 それでも彼の周りには、 昔から共に暮らすメイドのアリスや執事のロブ、魔女の友人のザインとカフ、 憎まれ口を叩きながらも会いに来てくれる妹のヴィオラや弟のウォルター……かけがえのない仲間たちがいた。 彼らとともに呪いを解く術を探す中で、坊ちゃんはついに全ての元凶である魔女、シャーデーと再会する。 ……そして時を同じくしてアリスの母・シャロンが永き眠りから目覚める……。 全ての因縁が収束し、触りたいけど触れない坊ちゃんとアリスの物語はいよいよ完結へ!
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「浅いイチャラブ作品?!」→頂上まで登ってみるとそこから見える景色は別世界だったみたいな

【レビューNo.142】(初回登録:2024/9/15)
コミック原作で
・第1期:2021年作品。全12話。
・第2期:2023年作品。全12話。
・第3期:2024年作品。全12話。


(ストーリー)
あなたは想像できるだろうか?
思いを寄せた相手に指一本触れることすらできないという人生を。
触ったものの命を奪ってしまう・・・それが魔女が彼にかけた呪いだった――

貴族の坊ちゃんはこの呪いで周りから拒絶されてしまうため、森の奥にある大
きな別邸で過ごしている。
そして坊ちゃんを支えるメイド・アリスがいるが、坊ちゃんを慕うアリスは日
常的に逆セクハラを仕掛けてくるのであった。
危ない距離感で誘惑するアリス。
そんな彼女に翻弄されながらも坊ちゃんは、少しづつ広がっていく人や魔女た
ちとの縁を紡いで、「魔女の呪い」を解くために歩み始めるのだった。



(評 価)
・右肩上がりに面白くなっていく作品
 はじめは「アダルト版・からかい上手な高木さん?!」って感じで
 ・(触れると命を落とすギリギリの状況ながら)逆セクハラを楽しむアリス
  → 坊ちゃん”2つの意味”でドキドキw
  そんな2人のイチャラブがメインって感じで少しマッタリめ
 ・他のキャラも順次登場してくるが、まだキャラの紹介レベル
 1期はあまりテンポもよくなく、個人的にはさほど評価していなかったんで
 すよね。

 でも(惰性ながらも)視聴していくと・・・
 魔女(この世界は男性キャラでも魔女呼称)のザインとカフがレギュラー化
 してくるので、その辺りから流れが変わってきます。
 特にザインは
 ・普段はスケベで軽薄なキャラだが
 ・カフ思いで魔法の才に溢れ、やる時にはやる男
 って感じで、かなり使い勝手のいいキャラなんですよね。
 ザインの出番が増えることで、コメディ展開はテンポがよくなりかなり面白
 くなってきます。
 そして1期ではあまり良好な関係にみえなかった弟のウォルターや魔女ダレス
 も出番が増えることで愛すべきキャラへと昇華されてきますし、「魔女の呪い」
 の方も次第に謎が解明されていき物語が加速していきます。

 そして3期では
 ・「魔女の呪い」の真相
 ・ラスボス・シャーデーとの対決
 ・坊ちゃんとアリスの愛の行方
 を余すことなく、丁寧に描いて終わってくれます。

 そんな感じで、
 ・キャラ同士の関係性が深まりシナジーが生まれてくる
 ・過去と現在が繋がっていく時間軸の構成の妙
 ・(後述するが)その中で繰り広げられる過去や現在進行形の愛の物語
 回が進むごとに面白さが増していく作品であります。


・その中で繰り広げられる過去や現在進行形の愛の物語
 本作では「坊ちゃん×アリス」の他にも様々な恋愛模様が描かれています。
 {netabare} ・「ザイン×カフ」の幼馴染ラブ
 ・「人間・ウォルター×魔女・ダレス」種族を超えた(初々しい)ラブ
 ・「座長×アメリア」の大人なラブ
 ・「魔女の呪い」の起点となるシャーデーの悲しきラブ
  (後はネタ的な「執事ロブ×おしゃまなヴィオラ」の”枯れ専”ラブw)
 それに
 ・「坊ちゃん×母親」
 ・「アリス×母親」
 といった「親子愛」についても描かれていきます。
 
 そして「坊ちゃん×アリス」についても「魔女の呪い」が解けても
 ・貴族の跡継ぎとメイドという身分差
 という壁が立ちはだかるわけで、坊ちゃんとアリスは重大な決断を迫られる
 ことになります。 {/netabare}

 そんな感じで 
 ・作品のあちこちに愛の物語を散りばめながら、視聴者を飽きさせず
 ・クライマックスもしっかり用意して 
 ・最後は大団円で視聴者が幸せな気持ちになれるという
 かなりしっかりした構成に仕上がっていると思います。


・童話やミュージカルを意識した演出
 ・「貴族の坊ちゃん×魔女の呪い」
 ・人目を避け、森の奥にある大きな別邸で過ごしている
 舞台設定はなんだかグリム童話っぽさを感じますね。
 それを活かすようにアバンのナレーションやその作画には、童話っぽい演出
 を盛り込んでいます。
 それに作品の雰囲気も”優しく柔らかな”印象を受けるので、その辺りでも
 童話的要素を意識しているのかなっと。

 (また坊ちゃんがピアノを特技としていることもあり)オリジナルの挿入歌
 でミュージカル的な演出を入れてきます。
 これも上述の童話的要素との相性が抜群でしたね。

 そして作画は「トゥーンレンダリング」という3DCGで描かれているのですが
 (3DCGの技術を使いながらも従来のアニメの印象に近い(2D的な手描きに似
  せた)表現のこと)
 3DCGによるアニメ表現の可能性にも挑戦しているようですね。
 個人的には上述の通り”優しく柔らかな”印象を受けたので、(一目では)
 違和感なく仕上がっているように感じました。
 (確かに注意深くみたら3DCGだなってところはありますが)


はじめは「また浅いイチャラブ作品が始まったのか?!」という辟易した気持
ちになりましたが、終ってみるといつの間にかハマってましたね(笑)
3期全36話と長い道のりになりますが、頂上まで登ってみるとそこから見える景
色は別世界だったみたいな。
そんな感じで、「1期で切らずに完走してよかった」と思える作品でしたね。


3基OP「シネマティックパレード/坊ちゃん&アリス」
・「あなたになら~食べられてもいいの~♪」
 1期から2人のデュエットソングですが、3期だとここまで攻めてくるんだよなあw

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

約束されたハッピーエンド。

初っ端からネタバレになる様なタイトル申し訳ない。

いや、何か確信があった訳ではないのだけれども、ハッピーエンドで終わるんだろうな、終わってほしいなと思っていたので、そのまま書きました。
主人公の人柄、支えてくれる周囲の仲間の厚みから、これがよろしくない終わり方をすることは無いだろう、と思っておりましたもので。

もちろん最後まで視聴しない限りはどうなるかはわからないのですけれども、ぼんやりと、そのように思っていたもので、第3期はエンディングへのプロセスに注目しての視聴となりました。

実際のシャーデーとの対決シーンは、思ったほど尺がある訳ではなく、意外とあっさりとしたものでした。
ここでも、対決の前後で過程、キャラの動きの方が多く描かれていたような印象です。

それにしてもシャーデーはダレスと似たような容姿ですし、そんなにおどろおどろしいわけでもないのに、そこはかとない「怖さ・恐ろしさ」が伝わってくるキャラでしたね。ダレスとは主に目力が違う程度だと思うのですが、「こっわー」と思っていました。
声優さんの迫力もあるのかな。

相変わらずの、背中がくすぐったくなる様な演出を多々挟みながらも、物語は主人公の呪いを解くためのフィナーレに向かって進捗していきます。
その過程では、母親、兄弟といった主人公とこじれた人間関係を持つ者とのわだかまりが解かれていく様子や、家柄や格と言った主人公や周囲の人がおかれている環境の課題が描かれたり、それぞれのキャラの生き方の方向性にまでお話が及びました。

こんな中でも、主人公をはじめとして、周囲のキャラが率直に話し合い、思いを伝える様が印象的でした。
大事な事ですよねぇ。
正直、メタな話「リアル社会では、なかなか難しよよなーこれは」と思いながらも、こうやって、ちゃんと思いを言葉にして話すことができれば、大概の事はうまくいくし、逆に楽なんじゃないかとさえ思いました。
ところが、解っていても難しいんですよねぇ・・・、困ったものです。

さて、あれや、これやがあり物語の終わりですが、ほとんど全ての事柄についてキレイに気持ちよいレベルまで持っていって、まとめているのは大したものだと思います。
各キャラの心のわだかまりから、長く抱えていた果たされぬ思い、人間関係のもつれまで、各キャラクタ自身はもとより、視聴している側にも納得できるような「形」に収まっていたのではないでしょうか。

作画の都合上、キャラクタの描かれ方に少しクセはありましたが、なかなかに魅力的なキャラが多くいましたね。

・坊ちゃん:こんな人が周囲にいたら、自身も「いい人」になっていられるかも知れません。

・アリス:こんなメイドさんがいたら、毎日がドキドキして楽しそうです。

・ロブ:こんな執事が居たらいろいろと便利でしょうね。たまにのヤラカシにはビックリしてしまうかもしれませんがw

・ヴィオラ:こんなツンデレで破天荒で、可愛らしい妹がいたら・・・苦労しそうかなぁw

・カフ:いやー、実際問題、アリス以上に身近にいて欲しいキャラかもしれません。何気に一番のお気に入りキャラかもしれません。

・ザイン:いやー、こういうブレないタフな女性好きが友人に居たら、絶対自分もエネルギーもらえそう、雑な物言いだけど、クリティカルな指摘をさらっと突っ込んでくれるところもありがたいかも。

・ダレス:何気に可愛いと言うかチャーミングな所があり、応援したくなるかも。

・シャロン、リズ:この二人の底抜けの明るさとチャランポラン具合は、何なら憧れさえする。きっと、こういう性格でいられるのはその奥に絶対に強い部分があるから。
近くにいたら、元気と笑いを貰えそう、幸せ感がUPしそう。



とにも、かくにも、キレイな終わり方で、全てが丸く収まり、良い作品だったかな、との所感です。
アリスと坊ちゃんの関係がマンネリにならず、イヤミにならず、くどくならないギリギリのライン・・・3期でまとめられたのはお手柄というところでしょう。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

三期も心が温まる内容でした。

物語のタイトルや主人公である坊ちゃんの悲惨な境遇からは信じられないほど、この物語は心が温まります。
こんなに暖かい物語として仕上げてくれた原作者のイノウエさんと監督の山川さんに感謝します。
(ちなみに監督の山川さんは、ハイスコアガールの監督もされた方。人間の心の感情を表現されるのがとても上手な方です)

心が温まる原因は、主人公坊ちゃんとメイドであるアリスの優しさと誠実さ。それに相手を思いやる気持ち。
更に三期では、坊ちゃんの弟であるウォルターと魔界のボスであるダレスとの恋も、お互いの愛情が十分に伝わる心地よい展開でした。

手に触れたものはすべて命がなくなる呪いを魔女にかけられた坊ちゃん。
そのため母親や幼少からの友人からは疎まれ、本邸とは離れた別邸で静かに暮らす坊ちゃん。
普通、こんな状況であれば、誰もが一人で寂しく暮らすと想像するでしょう。
でも、彼は孤独ではありませんでした。それはアリスや妹のヴィオラをはじめとした多くの友人たちのおかげ。

三期では、ついに坊ちゃんに呪いをかけたシャーデーとの決着があります。
但し、坊ちゃんは、シャーデーさへも救おうとします。
普通、自分をこんな目にあわせた者を許す人はいないでしょう。
でも、彼はシャーデーの苦悩を知ると、自分のことよりもシャーデーを救うことに懸命になります。
こんな優しい坊ちゃんだから、多くの人が彼の周りに集まるのですね。

そしてこの物語のヒロインであるアリス。
彼女は普通の人間です。魔女や魔族からすれば、とてもとても弱い存在です。
しかし、彼女は、坊ちゃんのためならば危険を顧みず行動する勇敢な女性です。
それに、仮に坊ちゃんへの呪いが解けたら、坊ちゃんは家督を受け継ぎ、アリスは今迄みたいに坊ちゃんと親しくすることはできないし、
坊ちゃんとの結婚ができないことも知っています。
それでも彼女は、坊ちゃんのために懸命に頑張るのです。
彼女は本当に立派な女性でした。

そしてこの物語のラストがさらに感動します。
坊ちゃんは優しさと誠実さに満ちた選択をするし、アリスは坊ちゃんのために最も良いと判断した選択をします。

物語のタイトルからは想像できないほどの、優しさに満ち溢れた物語でした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 18

61.2 21 恋愛アニメランキング21位
花野井くんと恋の病(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★☆☆ 3.0 (88)
218人が棚に入れました
家族や友人に恵まれているけど、恋愛とはちょっぴり縁遠かった高校1年生・日生ほたる。 彼女は、ある日、隣のクラスのイケメン・花野井くんがフラれる現場を見てしまう。公園でひとりポツンとた たずんでいた花野井くんを見て、何気なく傘を差しだしたほたる。 その小さな出来事がきっかけで、後日「僕と付き合ってください」と花野井くんから公開告白されてしまった。 “好き”って何? “恋する”ってどういうこと?突然の告白に戸惑うほたると、“好きな子”のためなら、何でもしたい。注ぐ愛情が無限大な花野井くん。 恋がわからない女子×愛が重すぎる男子の初恋ラブストーリー。

大重 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

少女漫画ですね。恋が重い男と恋がわからない女の子か。まあ悪くは無いですが…

恋が重い男と、恋がわからない女の子の恋愛もの。
タイトルは男の方ですが視点は女側。
まあ悪くないとは思いました。

ただ、色々納得いかないような? まあその納得いかなさ、というのは『気になる、見たい』という点につながるので、悪いというわけではありません。
見たいとは思えました。

見続ければ解消されるのでしょうか? でも納得いかなさは、『感情移入しにくい』という点にもつながるので、そうなると見なくても良いか、となってしまう。
判断が難しいですね。まあ本数次第で考えます。


納得いかない部分についてはとりあえず列記します。

男で、恋が重いタイプってのはどうなんでしょうね。
単純に愛されて良い、と思うかもしれませんが、もちろん鬱陶しいと思う場合もあるでしょうし、正直こういうのって感じ方一つなので…。

まあヒロイン視点からすると、今のところちょっと重いけれどいい感じの彼氏に思えました。

まあ自分は男なんで、こう言うのはなんですが、花野井君は格好良くて優しくて、理想的な男に見えて、女の子なら惚れて当然だと思ってしまうのです。

それがヒロインがそうじゃない、まだわからん、と言われると、なんだかなーと感情移入しにくくなるのですよね。


ぶっちゃけ男は恋愛って、相手を可愛いと思ったら、まあその時点で恋に落ちているわけですよ。簡単なものですね。

女性もその要素が全くないということは無いと思います。見た目を格好いい、と思っていたら、その時点でなんか良い、と思うはずで…。
でもわからない、ということは、見た目の良し悪しがわからないんでしょうかね?
ヒロインは花野井君の見た目をどう思っているのか、よくわからん…。

好みが違う、例えばガチムチが大好きな女の子なら、花野井君のような線の細いイケメンはピンとこないと思います。

顔の良し悪しが本気でわからない、というケースもあると思います。顔が将棋のコマにしか見えないとか。
男だって女性のネイルの良さなんてさっぱりわからないわけで、わからない人にはわからないと思います。

後は幼いと恋愛感情が育っていなくて、ピンとこないってのもありますが。
これは成長を待つしか無くて、解決策が無いんですよね。
こういう理由ってのはちょっとなぁ、とも…。

ま、気になるは気になります。でも見るかどうかは考えます。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 0
ネタバレ

TaXSe33187 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

これは恋じゃなくて

ストックホルム症候群(ストックホルムしょうこうぐん、英: Stockholm syndrome、典: Stockholmssyndromet)は、
誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者についての臨床において、
被害者が犯人との間に心理的なつながりを築くことをいう
(wikipediaより)

恋を知らない女の子が、ふとしたキッカケで学校イチのイケメンと知り合ってなんやかやするラブコメ
女性向け作品だとかなりオーソドックスな内容
ちょっと違うのが昨今この手の作品で見かけるヤンデレ彼氏枠ってとこ

重すぎて恋愛が上手くいかないヒーローが、マイペースなヒロインと出会って(若干の)成長をする感じ
「完璧イケメンヒーロー」と「カップルの成長物語」と「溺愛系シナリオ」を一度に楽しめるからか一定の需要があるみたい
ヒーローのヤバさ(サイコホラー感)と、そのヤバさから繰り出される予想のつかない恋愛が楽しい…のかな?
自分も好きなジャンルではあるけど、流石に女性がどこを楽しんでるかってのはちょっと分かんない

1話はヒーローのヤバさを伝えるための回って感じかな
{netabare}
内容はこの手の作品だとオーソドックスなので、ヒーローの怖さをしっかり味わえた
コイツ野放しに出来ねぇな…みたいなヤバさと、それに絆されるヒロインの関係が一周回って面白い

気になったのがヒーローの趣味嗜好の無さ
直前まで付き合ってた元カノとは傾向の全く違うヒロインに告白するとか、髪型やピアスに頓着しないとか
ヒロインを好きになるキッカケがかなり弱いから、「自分を好きになってくれそうな娘に依存する」って性格がかなり目立つ
たまたま優しくしてくれたから告白したみたいな、別にヒロインじゃなくても良かったんじゃないかな…って感じ
この辺は作者も意図して歪んだ性格に描いてると思うから、そうなった過程とか成長の話があるといいな
{/netabare}

この手のヒーローがメインの作品としては真っ当な感じなので、今後も視聴はすると思う

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

tomledoru さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

花野井くんは,常人と「病」との境目か?

花野井くんは,これまでの恋愛歴と今回のヒロインとのやり取りをここまで見てみると「重たい男」という印象は誰にでも起こると思います。

専門的に言うならば,辛うじて常人の範囲内でありながら,何らかの「(境界性)人格障害」の疑いがあるように思います。詳しくは,スマホででも調べてみてください。

こういった人に好かれると「ひたすら一途」なのはいいのですが,冷たくあしらうと「ストーカー」っぽくされかねないような粘着力を発揮するので,離れるのに苦労します。

こういう人は,日常でも時々いらっしゃるので,不思議なことに「割れ鍋に綴じ蓋」とはよく言ったもので,受け入れられる懐の深い人も世の中に入るもので,本当に病的な人がニュースで話題に上ることは,比較的例外なものだということも知っておくといいかもしれません。

幸いなのか,鈍感なのか,経験不足からなのか,もともと人が良いのでしょうが,ヒロインは,恋愛的に人を好きになった経験がない割には「懐」(受容的・寛容的)の深い人なので,今のところはうまく話が進んでいるようです。

しかしながら,女性向け漫画誌「デザート」からなので,本来は,この話の「ヒロイン」に焦点を当てるべきで,女性目線でのきめ細やかな心情表現は見どころ満載で評価できます。

おそらく,この「ヒロインの恋愛への心の気づきと成長」を描くのが,隠れた?本当の狙いだと踏んでいます。

原作は知りませんが,この先の続きを想像してみると,迷いながらもヒロインが花野井くんを受け入れていくのが筋かもしれませんが,自分にウソをつけないことに気づいて,離れるかどうかというところも魅力的な先行きなのかもしれません。

どちらに転んでも,面白みはあるので話の区切りまで観たいなと思っています。

付け足し…(本来なら,こういう男子高校生って珍しいですよね。)こういう男を描くのは作者の趣味なのかな。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

91.2 22 恋愛アニメランキング22位
Re:ゼロから始める異世界生活(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (4087)
16835人が棚に入れました
コンビニからの帰り道、突如として異世界へと召喚されてしまった少年、菜月昴。頼れるものなど何一つない異世界で、無力な少年が手にした唯一の力……それは死して時間を巻き戻す《死に戻り》の力だった。大切な人たちを守るため、そして確かにあったかけがえのない時間を取り戻すため、少年は絶望に抗い、過酷な運命に立ち向かっていく。​

声優・キャラクター
小林裕介、高橋李依、内山夕実、赤﨑千夏、水瀬いのり、村川梨衣、新井里美、中村悠一、田村ゆかり、藤原啓治、井口裕香、堀江由衣、堀内賢雄、植田佳奈、江口拓也
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

繰り返し視聴時の発見が愉しい、丁寧に造り込まれたダブル・ヒロイン魅力作

本作については当初、1周目完走後にサラっと感想・レビューを書くつもりでいたのですが、

(1) 視聴中に思いがけず心に引っかかりが生じてしまう場面が多く、未消化感が強く残ってしまったこと、そして、
(2) これまでの視聴経験から、こうしたループものは腰を据えての2周目視聴時に気付くことが多いこと、

を考慮して、間を置かず再視聴してみたところ、やはり色々と発見できたり納得できたことが多く、要約すると本作は、

①ただ単にシナリオ・脚本が波乱に飛んで面白いだけでなく、
②重層的な伏線配置とその回収の巧みさや、
③個々のキャラクターの心情推移の描写の的確さ、さらには、
④OP/ED/その他の挿入歌の歌詞や曲調に秘められた謎解きの面白さ、

までをも併せて楽しめるよう実に丁寧に造り込まれた、年に数本レベルの力作なのではないか?という感嘆の気持ちまで生じ始めて、その印象を確認するためにさらにもう1周する羽目に陥ってしまいました。

そしてその結果、当初は簡潔にまとめようと思っていた感想・レビューが以下のようにグダグダと長くまとまりの悪いものになってしまったことを先ずお詫び致します。

要は、賛否両極に分かれた意見・感想のある本作について、たまたま私個人は意外なくらいに惹き込まれてしまった、ということのレポートです。

※なお本作の個人評価の体感的推移:(1周目)★ 4.0→(2周目)★ 4.3→(3周目)★★ 4.6 と0.3刻みで上昇

(以下、本文)


◆異世界+ループを組合せた話題作だが、事前の期待値は低かった。

①異世界ファンタジーもの、と、②ループ(ないしタイムリープ)もの、といえば2010年代に入って幾つもの注目作・面白作が制作されてきた非日常系アニメの2大分野だと思うのですが、流石に去年くらい(2015年~)からは、この両分野もシナリオ面で飽和状態(ネタ切れ)気味になってしまい、目の肥えてきた視聴者の側にも飽きが生じているような感じを個人的には持っていました。

今年の作品でいうと、①では『この素晴らしい世界に祝福を!』『灰と幻想のグリムガル』、②では『僕だけがいない街』『君の名は。』がそれぞれ見所のある面白作と思っていますが、それでも、①の『ソードアート・オンライン(1期)』(2012年制作)、②の『魔法少女まどか☆マギカ』『STEINS;GATE』(ともに2011年制作)、といった、それぞれの分野の昨今の隆盛を切り開いた代表作と比べると、各々の制作者が工夫を凝らして独自の面白さを追求している点は評価したいものの、作品の出来そのものはイマイチ感・小粒感を否めず、これから数年経ったのちにも繰り返し視聴したくなる程の魅力は薄いように個人的に思っていました。

そして放送開始前後から、①異世界ものと、②ループ(ないしタイムリープ)ものを組み合わせたWEB小説原作の注目作と一部で評判が高かった本作についても、「ああ、またか」という感じで、視聴前は個人的には殆ど期待していなかったのですが・・・


◆予想外の面白さに驚いて、本作独自の魅力は何か?を少し考え始める。

第1話の序盤、主人公の少年とメイン・ヒロインの出遭いのあと、その最初の別れのシーンの直後のマスコットと主人公の会話から・・・

{netabare}(精霊パック)「ごめんね。素直じゃないんだよ、うちの子。変に思わないであげて」
(主人公スバル)「素直じゃないって、そんなレベルじゃねぇだろ。大切なモン盗まれて急いでんのに、俺のこと助けてくれて。おまけに見ず知らずの俺に負い目を感じさせないように、下手糞すぎるフォローまでして。そんな生き方、滅茶苦茶ソンするばっかじゃねーか。」{/netabare}

そのしばらく後にくる主人公スバルの自己紹介{netabare}「俺の名はナツキ・スバル。無知蒙昧にして天下不滅の無一文」「自宅の守り人ひきこもり」{/netabare}・・・というのは如何にもラノベ的なご愛敬設定としても、この第1話の主人公とメイン・ヒロインの遣り取りを見ていて、どうも本作は

(1) 矢継ぎ早に発生する諸イベントへの登場キャラたちの対処の仕方に面白さを見出すタイプの作品(イベント牽引型作品)、という単純な構成ではなく
(2) 登場キャラたちの心情推移の描写の細やかさ・的確さに面白さを見出すタイプの作品(感情描写型作品)、としても見所がありそうだ

・・・と早くも思い始めてしまいました。

そのことは、第1話のラストに流れ、最終第25話のラストでも流れる本作の前期ED「STYX HELIX」(*)の最初の節

♪ 狂った時計 刻む命/こぼれてく記憶の砂/芽生えた想いまで/ねえ こんなに呆気(あっけ)なく/消えてしまうの/I wish I was there

からも明らかで、本作の場合は、

(1) 主人公ナツキ・スバルの{netabare}「死に戻り」という特殊設定を主軸とする、主人公やその大切な人たちの死とその回避のための奔走{/netabare}、というイベント対応の面白さは当然として、
(2) それよりもむしろ、{netabare}それぞれに内面的な弱さを抱える主人公とヒロイン達の間に少しづつ関係性(=想い)が紡がれていき、しかしその関係性が一瞬で呆気(あっけ)なく消滅してしまう(正確には主人公の側だけに"想い"が蓄積されていってしまう)ことの哀しさ・切なさ{/netabare}が丁寧に描き出されている点

・・・に特に注目すべきなのではないか、と思い始めました。

※この点、前述した①の『ソードアート・オンライン(1期)』や②の『STEINS;GATE』では、主人公もヒロインも性格が強く、彼らの間に紡がれる関係性自体には余り喪失の辛さを感じなかったこと、また、②の『魔法少女まどか☆マギカ』では、鹿目まどかの性格が寛大で、暁美ほむらにはまどかとの関係性の再構築に不安を感じる必要は殆どなかったこと、と好対照となっています。

(*) 前半ED「STYX HELIX」→STYXは、ギリシア神話で現世と冥界の境界を為す地下の大河、及びそれを擬人化した女神。HELIXは、螺旋・渦の意味(cf. helicopter)。

・・・ここまで、主に本作の前半(~第11話)まで視聴時の感想です。後半(第12話~)以降の感想は後記します。


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に大きな疑問を感じた問題回

================ Re:ゼロから始める異世界生活 (2016年4-9月) ===============

 - - - - - - OP「Redo」、ED「STYX HELIX」 - - - - - ※OP/EDはしばしば省略される
{netabare}
  ------------ ※原作web小説の第一章「怒涛の一日目」 ---------

第1話 始まりの終わりと終わりの始まり ★ 異世界召喚、エミリアとの出遭い、RD1回目、RD2回目 ※ED「STXY HELIX」初出
第2話 再会の魔女 ★ RD3回目、RD(Return to the Death 死に戻り)に気付く ※OP「Redo」初出
第3話 ゼロから始まる異世界生活 ★★ エミリアとの親和発生

  ------------ ※原作web小説の第二章「激動の一週間」 ---------

第4話 ロズワール邸の団欒 ★ ラム/レム姉妹との出遭い、RD4回目(SP(セーブポイント)更新1)
第5話 約束した朝は遠く ★ 
第6話 鎖の音 ☆ RD5回目 ※ラストの襲撃者の正体は唐突×
第7話 ナツキ・スバルのリスタート ★★★ RD6回目、初めて自分の意思で死を選択(※挿入歌「STRAIGHT BET」)
第8話 泣いて泣き喚いて泣き止んだから ★★ RD7回目、エミリアの膝枕回(※挿入歌「ぼうやの夢よ」)
第9話 勇気の意味 ☆ 
第10話 鬼がかったやり方 ☆ 
第11話 レム ★ レムとの親和発生{/netabare}

 - - - OP「Paradisus-Paradoxum」、ED「Stay Alive」 - - - ※OP/EDはしばしば省略される
{netabare}
  ------------- ※原作web小説の第三章「再来の王都」 ----------

第12話 再来の王都 ☆ ※OP/EDともなし 
第13話 自称騎士ナツキ・スバル ★★ エミリアとの行き違い(認識ギャップ)・エミリア退場 ※ED「Stay Alive」初出
第14話 絶望という病 ★  ※OP「Paradisus-Paradoxum」初出 ※ED「theater D」
第15話 狂気の外側 ★★ RD8回目(SP更新2)、レムの献身と告白、RD9回目
第16話 豚の欲望 ☆  ※ED「Stay Alive(ロズワール邸内のエミリアver.)」
第17話 醜態の果てに ★ 
第18話 ゼロから ★★★ RD10回目、レムへの申込み、レムの返事(※挿入歌「Wishing」)、スバル立ち直り
第19話 白鯨攻略戦 ×  ※第17話の忘却設定と矛盾は×
第20話 ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア ★ ※ED「Stay Alive(ロズワール邸内のエミリアver.)」
第21話 絶望に抗う賭け ★ 負傷によりレム退場
第22話 怠惰一閃 ☆ ※ED「Stay Alive(ロズワール邸内のエミリアver.)」
第23話 悪辣なる怠惰 ★
第24話 自称騎士と最優の騎士 ★ RD11回目(SP更新3)
第25話 ただそれだけの物語 ★ エミリアへの告白、エミリアの返事(※挿入歌「Stay Alive」) ※ED「STXY HELIX」{/netabare}
----------------------------------------------------------------------
★★★(神回)2、★★(優秀回)4、★(良回)12、☆(並回)6、×(疑問回)1 ※個人評価 ★★ 4.6

※なお、第1話は49分スペシャル(約2話分)なので、本作は実質26話分の放送時間となります。
※以下、全話視聴を終えての感想となります。まずはシリーズ構成上の注目点から。


◆親和関係の発生から揺らぎへ。際立ったダブル・ヒロインものへの発展。

本作の前半は、以下の2つの「親和関係の発生の物語」と要約できると思います。

<1> 第1~3話(原作の第1章)は、{netabare}主人公と第1ヒロイン(エミリア)の親和の発生の物語

 →スバルの側には、異世界に来て間もなくの自分を救ってくれたエミリアへの幾分軽薄ながらも恋愛感情が、
 →エミリアの側には、自分をエルザの襲撃から守ってくれたスバルへの親愛の感情が、それぞれ発生。{/netabare}

<2> 第4~11話(原作の第2章)は、{netabare}同じく主人公と第2ヒロイン(レム)との親和の発生の物語

 →スバルの側には、最初は自分を誤解し危害を加える存在だったものの、最終的には自分と共に魔獣と戦い共に危機を乗り越えたレムへの親愛の感情が、
 →レムの側には、最初は自分の敵(かたき)と誤解していたにも関わらず、自分や姉のラムを救うために命懸けで戦ってくれたスバルへの深い感謝の気持ちに基づく心底からの恋愛感情が、それぞれ発生。{/netabare}

そして、それを受けての後半は、

<3> 第12~25話(原作の第3章)は、この2つの親和関係が下記の (a) ~ (d)の4段階を踏んで揺れ動き螺旋状に高まっていく様を描き出した、見応えのあるダブル・ヒロインものへと発展していると思います。
すなわち、

(a) {netabare}第1ヒロインとの親和関係の綻(ほころ)び 

第12~13話で、スバルとエミリアの認識ギャップ(*)に起因する感情の行き違いが発生し、スバルはますますエミリアへの執着を募らせるが、エミリアはスバルに一時的に失望して彼の前から退去してしまう。

*認識ギャップ(スバルの側にはこれまで乗り越えてきた困難の累積した記憶があるのに対して、エミリアの側にはその認識が薄いこと、及び、エミリアの側には王国の現状に対するそれなりの知識があるのに対して、スバルの側にはそうした知識がなく非常識な行動を起こしてエミリアに迷惑をかけてしまうこと){/netabare}

(b) {netabare}第2ヒロインとの親和関係の変容 

第14~18話で、スバルはエミリアを救おうと悪戦苦闘して失敗を繰り返し、やがて絶望に陥るが、その過程でレムの何等の限度もない無償の献身と恋情に気付いて心を揺さぶられ、エミリアの救出を諦め、レムに他国に一緒に逃亡して普通の家庭を築くことを申し出る(つまりプロポーズする)。{/netabare}

(c) {netabare}主人公の立ち直りと第2ヒロインの涙

しかしその申し出はスバルの本当の笑顔を知るレムによってきっぱり拒絶され、レムの「(スバル君が彼女の)止まっていた時間を動かしてくれた人」であり他の誰が認めなくとも「レムの英雄」なんだ、という言葉に再び心を動かされて、今度は絶望によって止まっていたスバルの時間がもう一度動き始める。

*その際、スバルの立ち直りに気付いたレムの瞳から涙が溢れ出すシーンの作画/演出の的確さにも注目(第18話ラスト)。{/netabare}

(d) {netabare}第1ヒロインとの親和関係の修復と発展

第23-24話で、スバルはユリウスや傭兵集団の協力を得て、エミリアと村民の避難・魔女教徒の襲撃阻止作戦を敢行し、その過程でエミリアへの告白を果たす。エミリアの返事は保留されるが、彼女の長らく止まっていた時間もまた動き出し始める。{/netabare}


※以下、2人のヒロインそれぞれの注目回の考察です。

◆作品タイトルの回収:第2ヒロインの注目回から(第7話+第18話)
{netabare}
レムの運命に関わるスバルの決断と行動が描かれる (1) 第7話「ナツキ・スバルのリスタート」及び、(2) 第18話「ゼロから」(※併せると「ナツキ・スバル-ゼロから-のリスタート」になる)のそれぞれのラストシーン近くに、全話通じて1回しか流れない挿入歌「STRAIGHT BET」(第7話)、及び、「Wishing」(第18話)がそれぞれ使用されており、とくに第18話に至っては放送直前に制作側がわざわざその回だけのための駅中広告まで投入する力の入れようで、制作側もここが勝負どころと考えていた感がありました。

そして内容的にも、(1) 第7話ラストでのスバルの決断と行動が、ラム・レム姉妹の絶望を回避する唯一の手掛かりとなったことと、(2) 第18話ラスト近くでのレムの拒絶と発言が、スバルを絶望から立ち直らせる唯一の手掛かりとなったこと、が対になっていることに注目すべきでしょう。

さらにいえば、主人公ナツキ・スバルの2段階の成長もこの2話で果たされています。

*(1) 第7話で「(自分の大切な人を守るために)身を捨てる」ことを初めて覚悟して実行し、
*(2) 第18話で「(自分が守っていることをその相手に知らしめ見返りを求める、という)執着までも捨てる」ことをレムの献身から学んで、それ以降の回で実行しています。


※参考セリフ

*ベアトリス「お前、死ぬの怖いと思っていないみたいに見えるのよ」(第9話)
*剣鬼ヴィルヘルム「あれは、何度か死域に踏み込んだ者の眼です」(第12話)
*スバル「君のためって言いながら、君のために頑張る自分に酔ってただけだ。そうすれば君がそれを受け入れてくれると勝手に思ってた。ごめんな。俺は君を利用して悦に浸っていた。」(第25話)


※因みにレムは、誰かの助言を受けるまでもなく当然のようにこの2つを体得した行動を起こしていて、それが彼女が第1ヒロイン(エミリア)を差し置いて、本作の人気№1になった主要因と考えます。

*レム「スバル君。レムは頭が悪いのでこんな案しか思い浮かびません。だから・・・」「レムは今、このときのために生れてきたんですね。」(第17話){/netabare}


◆膝枕と行き違い:第1ヒロインの注目回から(第8話+第13話+最終話)
{netabare}
初見時は、本作後半での第2ヒロイン(レム)の想定外の活躍の前に、すっかり影が薄くなってしまった印象のあった第1ヒロイン(エミリア)ですが、2周目に色々と注意して見ていくと、なかなかどうして彼女の心理状態も、実際には第24-25話でのスバルとの再会や、今後来るかも知れない続編に向けて確り描き出されていることに気付かされました。

先ずは1回きりの挿入歌「ぼうやの夢よ」が流されるエミリアの膝枕回(第8話)。
→ここでスバルは、何も言わなくても自分のことを優しく受け容れてくれるエミリアを一度実体験してしまったがゆえに、問題の第13話で、彼女に一方的に執着する醜態を晒してしまい、彼女を失望させてそのまま遠くに離れさせてしまう羽目に陥ってしまいます。

そして表向きのストーリーでは、その後のスバルの、必死さはあっても余り格好の良くない足掻きが、レムの献身を巻き込みつつ延々と描かれていくのですが、それではその間、エミリアの側はどうしていたのか、というと・・・

この第13話のラストで初めて流される後期ED「Stay Alive」(※直訳すると「生き続けろ」ですが意訳すると「お元気で」くらいの意味か)の映像と歌詞に、実はエミリアの王都からロズワール邸へ戻ったあとの様子と心情がさりげなく描きこまれているんです。

(第13話) *本編ラストのスバルとエミリアの行き違い炸裂の瞬間に、以下の歌詞が流れる。

 ♪ 未完成のパズル/どうしてだろう? 何かが足りない/行き違いの運命/離れてゆくことも 知りながら/また歩く/I Stay Alive/今は一人 闇をさまようだけ/想定外の切なさが 胸の中 消えぬままで

(第16話) 及び (第20話) *ロズワール邸でのエミリアの様子を描いた映像に重ねて、以下の歌詞が流れる。

 ♪ 未完成のパズル/どうしてだろう? 何かが足りない/行き違いの運命/離れてゆくことも 知りながら/また歩く/I Stay Alive/今は一人 闇をさまようだけ/想定外の切なさが 胸の中 消えぬままで

(第22話) *ロズワール邸でのエミリアの様子を描いた映像に重ねて、以下の歌詞が流れる。

 ♪ 不安定なシーソー/離れすぎて 片方見えない/目印さえないから/ふっと目を閉じては/また祈る/Oh, Stay Alive/今はどんなことを思ってるのでしょう?/泣いていないけど/一人はやっぱり 寂しくってさ

→つまりエミリアは、ロズワール邸で一人たたずんで、第13話でスバルに言ってしまったことを後悔しつつ彼の身を案じ続けていたんですね。

→それが第25話の再度の膝枕中のスバルとの会話につながります。{/netabare}


◆なお回収されない第1ヒロインの謎と運命

まず初見時からずっと気になっているのが、後期OP「Paradisus-Paradoxum」ラストで、大樹の傍らでもの悲しげに微笑んでスバルに片手を差し伸べるエミリアの顔面を「嫉妬の魔女」の見えざる手が覆っていくシーンです。

それから前期EDで、最終話のラストでも流れた「STYX HELIX」の2番目の歌詞

♪Oh, please don't let me die/Waiting for your touch/二度となにも失くさぬように/私を忘れて 始めて “Restart”/
No, don't give up on life/This endless dead end/君を砕くこの悲しみが/いつか終わりますように/For now I'll see you off

この部分、明らかにタイムリープを繰り返すスバル視点の歌詞ではありません。

{netabare}「For now I'll see you off」は「さあ、貴方を見送りましょう」という意味なので、「私を忘れて 始めて “Restart”」と併せて、これはスバルに「死に戻り」という特性を与えた者の視点の歌詞と考えるのが妥当であり、かつ最終話でスバルの意識下に潜り込んだペテルギウスに対して、見えざる手を伸ばしたサテラらしき存在が「違う。貴方じゃない」と呟いて追い払うことからも、これはやはり「嫉妬の魔女」サテラと一体化してしまったエミリアと考えざるを得ません。{/netabare}

実は、本アニメでは第2ヒロイン(レム)にすっかり喰われてしまった印象がある第1ヒロイン(エミリア)の本気が見られるのは、原作WEB小説の次の第四章ということなので、あとどのくらい期間が空くのか分かりませんが、本作の続編には大いに期待したいと思います。

趣味性の高い長文にお付き合いいただき有難うございました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 84
ネタバレ

蟹チャーハン さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

薄ら寒いギャグを連発する男スバルに惚れろ!これが悲恋に満ち満ちたこの作品を100万倍楽しむ早道だぁ!

一話目から評判は上々!
気合いをいれた初回1時間枠での放送も見ごたえ十分で、
今春の異世界転生アニメ枠では断トツの評価ですね。

引きニートな主人公がコンビニ帰りにいきなり異世界転生と、
もうすでに理由もへったくれもないのは笑いました。

そして異世界でいきなりのカツアゲ。
さらに盗難事件に巻き込まれて殺される衝撃展開!

すぐに生き返るんで、それがタイムリープ設定なのか、
それともログホライズンみたいなゲームと似た設定なのか、
そこらはまだわかりませんが、続きが気になる作品なのは間違いないです。

無駄に強くなっているわけでもなく、転生時はお約束のジャージ姿。
持ち物は御菓子とラーメンと携帯のみ。
さぁ、ここからどう展開していくのか?

以下ネタバレ
1話~ 俺は召還された…のか?
{netabare}
コンビニ帰りに違和感をおぼえたところで、瞬時に異世界へご到着。
誰かに召還でもされたかと思った主人公ですが、そうはなかった模様。

裏路地でしょげる主人公にいきなりカツアゲの洗礼。
力試しの結果、筋トレの効果もあってか、普通に腕力はいけそうか。
それでも引きニート設定であの強さは、少しは増強されてるぽいのかな?

トラブルを抱えたヒロインのハーフエルフと出会って仲良くなるも、
厄介ごとの相手がマズスギマシタ。
刃物キラリな極悪美女相手で瞬く間に殺されて、一度目の再生に~。

事情を理解しはじめたところで二度目の殺害(殺されたの意味)
再びヒロインに出会うところで一話は終わりましたが、
たぶん来週にはもう少し事情がわかるのでしょう。
何度かタイムリープしながら、事件を解決…というより
無難にやりすごしていくのかな?

進展具合と会話のテンポがいいんで、サラリと見れますね。
わくわくして見終えたあたりは、ダン待ち、このすばと似た感じで、
好印象で期待大です。
{/netabare}

2話~ 志村!後ろ後ろ!を思い出す
{netabare}
4度目の生き返りでようやく死ねない設定に気がつく主人公。
遅いよ~。

トラブルはゴメンと早々に携帯を売って金持ちプランを考えるも、やはり縁ある相手の死を
黙って見過ごせないぜ! と思うシーンはよかったですね。
盗品屋のロム爺の家でノックする音が響きわたるシーンはゾクゾクする緊張感がありましたし、

“このアニメは、本物かもしれない”という予感が~。
やばい! 早く続きがみたくてたまらない自分がいますw

でもでも、あの後、すぐにでもナイフ女がきちゃうわけですよね?
それも音もたてずにシュシュッ!と切られたりしちゃうけですよね?
やばいわー どうなるんだろう。

ちなみに新たなキャラで騎士様が登場しました。
絶賛いい人ぽいんですが、本当に?本当の本当に信用していいの??
{/netabare}

3話~ 区切り回も、これで死んだらやっぱりスタートはあそこから?
{netabare}
徽章の盗難トラブルの回収回であります。
ロム爺のお店に全員集合してからの、はらわた姉さん登場で怖すぎw

腕のたつのはわかっていたけど、強すぎじゃね?
と思ったら、まさかの助っ人救世主登場で、
こちらの方がよほど強かったというw

剣聖>はらわた姉さん>魔法少女>じいさん>フェルト>主人公
こーなるとヒロインの魔法レベルはかなり低い扱いになるけど、
今後、整合性はとれるのだろうか

実質4話分使っての1エピソードでしたが、タイムリープ作品らしい
苦悩葛藤する主人公のおもしろさ、特徴は出てたと思います。
もうどうしたらいいんだよ! て気持ちがじんじん伝わってきたら
このアニメの虜になってるってことですもんね。

個人的にコノ手の作品で感動したのは映画バタフライエフェクト
を見たときでしたけど、よかれと思ってしたことが裏目裏目に出続けて、
愛した人が廃人同然みたいになってたシーンには言葉に詰まりました。

この作品もこれからタイムリープするほどに何かしらの影響
体への副作用なのか世界のゆがみとかなのかに悩まされるような
展開になっていくんですかね~。

最後に、ヒロインの本当の名前を教えてもらえてよかって。
んでも、てことは、前に教えてくれたあの名前は冗談だったてこと?!
意外に用心深いですねw
{/netabare}

4話~ もう落ち着いちゃうのかと思ったところで!で!
{netabare}
前回、はらわた姉さんにお腹ぱっくりされて倒れたところで終わったのですが、
今回はエミリアの住まいのお布団で目覚めるところからはじまります。

これが宮殿といってもいいくらいの大きさ&豪華さで、聞けばなんとエミリアは
王位継承権を持つ皇女のひとりだったとか!
ええええ! そんな姫さまがひとりで街をふらつくもんなんすですかねw

あの徽章もその資格を示すものだそうで、こうなるとはらわた姉さんの雇い人てのも
ある程度想像がついてきます。
ただまぁ、序列的には低いのかな? すぐに女王になれるってわけでもなさそうで、
いまは後ろ盾となっている辺境拍や、この国随一の知識の魔女であるとか、
双子の召使(仕掛け人形?)らと暮らしている模様。

とりあえず仕事もない主人公のすばるは、この館の使用人として雇われることになるんですが、
無事に一日の仕事を終えたと思い、眠りについて目が覚めてみると、これが蘇っていた=殺されてた!
果たして誰に?どうして?! というミステリー仕掛けぽいエピソードになりそうです。

ここから感想
テンション高めでここまできたわけですが、導入とあってか、かなりペースを落とした印象。
あれ?そんなにおもしろくない?? なんて思っちゃいましたw

すばるのギャグってひとりツッコミが多いからか、どちらかというと寒いんですよね。
展開に興味があるときはさほど気にならないんですが、普通の会話が極上におもしろかった
このすばのカズマとどうしても比較してしまう自分もいます。
作者のセンスの差が出てしまうのか~。

ただまぁ、展開力みたいなのがあるとしたら、こちらの方がうまいですね。
物語的に全然違うから比べても意味はないのだけど、タイムリープという設定を
上手に生かしているのは3話まで見てわかっています。

今回もラストにちゃんと驚かせてくれた(実際は、あへ?て感じでしたけどw)
のはすばらしい。
こーいう瞬間が一度でもあるだけで、見てよかったと思えます。

というわけで、今回はすばるを邪魔に思い、亡き者にしてくれんと企む暗殺者が誰か
をあてることになるのか? 嫌われていた魔女の仕業か、スパイの疑いをかけていた伯爵か?
もしかして、はらわた女がもどってきた???(自分で徽章を奪おうとしてとか)
さてはて~。
{/netabare}

5話~ スバルという男にはじめて共感を覚える。こいつは最高のナイスガイかもしれん!
{netabare}
エミリアの住まうお屋敷で殺されて目覚めて2日目。
その事実に驚きエミリアの笑顔もなにもすべて消し飛んだ虚しさに体の震えが止まらないスバル。

死んでも前日の朝に戻るだけ。
でも、過去の記憶は失わない。

自身、もう何度目かの生き返りで、前日の朝に戻るルールを学んできた様子で、
できるだけ前回と同じ時間を過ごしてみようと挑戦してみたりします。
このあたりは、実際うまくいくかは別として、検証あるのみ! なんでもトライしないとですね。

村を訪問して子供たちと戯れたり、ドン引き目線だった双子のメイドとも髪を切ってもらう
約束を取り付けて仲良くなり、そしてエミリアとのデートの約束(村にお出かけ程度)
もして、これはこれで幸せな一日を終えたスバルだったが…。

深夜の訪問者を待ち受けて、誰が殺そうとしているのか見極めてやろうとするものの、
これが突然の悪寒やら吐き気やらの毒の症状で悶絶して屋敷中をはいつくばることになり、
あげく最後の最後に登場した暗殺者の影しか見られずにバッサリと…。

ここから感想です

スバルという男に今回はじめて共感を覚えました。
どうしてか? それは謎だけど、きっとスバルの鬼軽口に自分も感化か感染したのかもしれませんw

くっだらないジョークもどんなに寒いギャグだって時と場所と相手の気持ちのタイミングがかみ合えば、
それは最高のギャグになり、それは最高の笑顔を引き出すことになり、最高の思い出という名の絆を生みます。

これがわかっていないとスバルという男がただの薄ら寒いトンチンカンになってしまう。
で、スバルつまんね、で終わっているなら、このアニメの10%も楽しめていないことになるわけで、
そんなつまらんものに割く時間の方が無駄じゃねーとも思えるんです。

ただまぁ、スバルの場合は常に軽口を叩いてるんで、どんなに良い言葉をいっても
どこか受けうけりぽくて名セリフになりにくいでしょうね。
自分もそれはすごく思っていたし。

ですが、村から帰る途中にメイドのレムに投げかけた“鬼がかる”のフレーズからはじまる一連のシーンでの
最後の“その笑顔100万ボルト!”にはアホすぎてこれが最高にアホかっこよすぎて
スバルって男の不屈の精神を感じとった瞬間でした。

こいつ、本気でいいやつだわ!
これは信用しないと大人として、自分もダメな大人以上にダメな男になってしまうw

アニメでも小説でも映画出も、過去の自分の知識を引き合いにだして比較をしますが、
それも行き過ぎるとわかったふりになります。
それは作品それぞれの個性を尊重しているフリだけして、まったく個性を認めていないことでもあります。

知った気になっていないか。
何かと比べてわかった気になっていないか。
似通った作品と思い込むことで楽しむことの可能性を制限していないか。

およそ過去の経験に基づいた先入観てのは危機回避には有効ですが、こと楽しむなら話しは別。
頭真っ白にしてどんどん受け入れた方が享受しやすい。
子供たちの遊んでるときの無邪気な笑顔! あれですよね。

アニメであっても作品世界てのがあるならば、そこは異国の地と同じ。
見知らぬ土地を旅して祭りに出会って一緒に踊るときに、東京音頭と比較なぞしません。
周囲みわたして同じフリして懸命に動いていれば、心と体がシンクロしてくる。

もっと近づけ。
もっと知れば楽しくなる。
もっと内側にはいれば自分もその作品のひとりにすらなれる気がする。

作品を楽しむ上での自分なりのモットーですね。
まぁ、それをかたくなに拒む作品もあるし、ウエルカムされても丁重にお断りしたい
作品てのもあるんですがw

このReゼロのスバルという男について視聴者が知りえる情報はずいぶんたくさん出されています。
軽口多すぎ、態度が不遜、行動早すぎ(考え足りなさ杉)

でもね、いいやつなんですわ。これは確かなこと。
そして多くを願わない男でもある。
やたら恩を売りつけてくるのはどうかなと思うけど、それで願うのはモフモフさせろとか、
髪を切れとか、いたって当たり障りのない話で、これだと傲慢ともいえない。

この物語はいかにもなラノベ枠の型にはめていては楽しめないんでしょうね。
異世界とか転生とかエルフとか魔法とか、どれもこれも似たような設定に見えるかもしれないけど、
これは純粋にSF小説の類です。

タイムリープを繰り返しながらドン底の悲恋を味わう。そう何度でも。
古典の部類ですが名作「終わりなき戦い」などがそれで、死んでも生き返りながら愛する人との逢瀬
を遂げるけれど、それははじめのうちだけで、しだいに生まれ変わる時間のずれが大きくなって、
相手と子供と老人くらいの年齢差になり、そしていつしかお墓参りするしかなくなってしまう。
娘がいて孫がいて、ひ孫がいて、でも全部自分とは関係の血を受け継いでいる悲しさ。
残ったのはかすかに思い出せる遠い記憶だけ~。

もう、こんなの悲しすぎるでしょ。
ちっともイイハナシなんかじゃない!
でも、イイハナシなんだよなぁー!!
という同じ悲恋に満ちた匂いがするのは自分だけでしょうかね~。

良質なSFは文学をも超えるとかなんとかいう名言はアシモフだったかですが、
設定はSFでも中身がしっかり文学してれば文学なんですよね。
ただ、カテゴリー的にSFに入れたがる人が多いというだけ。

正直、4話のエンドで同じ流れを繰り返すだけになるのが怖かったんですが、
制作サイドのインタビューで4話から面白くなるんです!という言葉が嘘に思えてたんですが、
今回自分は気がつけてよかったなと。この作品の楽しみ方を学んだことをですね~。

ラノベとかネット小説とか、どこかそれでくくるのが惜しくなる作品。
未来を感じましたぜ~。

にしても毎回エンディングでの曲とのつなぎが最高ですね。
くぅーーーーってなる!
はじめて5点いれてしまったw

そして犯人探しですが。。。
基本、館の主でもある辺境伯が一番怪しいかなーどうだろうw
エミリアの王位継承にじゃまと判断したからって理由が一番わかりやすいかなー。
{/netabare}

6話~ まさかお前が! 真相解明も理由はまだ謎
{netabare}
辺境伯の館で迎えた三度目の同じ日の朝。つまり二度殺されたわけですね。
この逆境をなんとかしようと、スバルの犯人探しがはじまります。

その取った手法が、、、これがけっこう意外でしたw
え?て感じ。 最初は本気かと思いましたよ。
そして、姿を現す犯人! 
これはもうネタバレ一切禁止で見てもらうのがいいでしょう。

毎回、20分だらだら続けてからの最後の2分で驚かすなパターンが続いてますね。
最初はどうなんだろうって思ったもんですが、いまはその2分に賭けてるんなら
それを存分に楽しもうじゃないか! て気構えでみてますw

以下、感想で~
てっきり死んだ前日に戻るのかと思ってたけど、4日目の夜に殺されていることからも
完全に間違えてましたw
本当にゲーム感覚のセーブポイント、エピソードのはじまりにまで戻る感じなんですね。

犯人のスバルを排除したい考えがまだわからないけど、それも次週で判明するんでしょう。
赤鬼絡みの嫉妬? うーん、そんなもんでもないような~。

すでに無かったことになってるけど、あの交流シーンはじーんときたんだけどなぁ~。
それでもやり遂げるんだから、やはり王位継承に関係したスパイ疑惑てのがミソになるのか?
疑いが晴れれば関係改善にもなりそうですね。

てか、そろそろ携帯の充電が必要になるんじゃないかと思う…のは一番言ってはいけないことかw
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 28

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

なかなか話が進まないけれど、面白いとは思う

異世界転生かつ死んだらセーブポイントみたいなところに戻ってくる作品。

異世界転生のわりには大した主人公がたいした特殊能力を持つわけではなく、死んだら巻き戻るので話がなかなか進まない。なんだか見ていてモヤモヤする。いろいろな人の助けを根回しして借りてっていうのを何度も繰り返す。
ただ、進むときは溜めてドカン。そのときは面白く感じる。モヤモヤがすっきりしていく感触。

イラッとくるロズワール、なんだかスバルと距離を感じるエミリア、最初は怖かったが、デレて可愛いレム、ずっと怖い姉のラム。書庫に引きこもっているが何故かスバルを助けるベアトリス。
などなど個性的なキャラクターが多いわけだが、
ベテルギウスのキャラクターに自分の意識をもっていかれた。独特すぎる。無駄にしぶとい。



OP
Redo 鈴木このみ
Paradisus-Paradoxum MYTH & ROID
ED
STYX HELIX MYTH & ROID。
Stay Alive エミリア(高橋李依)

主題歌最高でした。鈴木このみでテンション爆上げ。
MYTH & ROIDの楽曲も不思議と中毒性があった。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. 始まりの終わりと終わりの始まり
コンビニからの帰り道、突如として異世界へと召喚されてしまった少年、菜月昴。目の前に広がるファンタジーな異世界に目を輝かせるスバルだったが、自分を召喚したであろう美少女の姿はどこにも見当たらない。やがて右も左もわからない状況にスバルは頭をかかえてしまう。さらに強制イベントと言わんばかりにチンピラに絡まれ、異世界に招かれた人間が超常の力を発揮するといったお約束の展開もなく、容赦なく叩きのめされるスバル。そんなスバルの前に一人の少女が現れる。

2. 再会の魔女
一度目は何者かに襲われ、二度目はエルザに腹を切り裂かれ、三度目はチンピラにナイフで背中を刺され、スバルは確かに命を失ったはずだった。しかし気が付くとスバルは初めて異世界へとやってきた場所に立っていた。あり得ないと思いつつも自らが置かれた状況から、死ぬ度に初期状態へと戻る死に戻りが起きていることを認識するスバル。サテラやフェルト、そしてロム爺に襲いかかるであろう死の運命を変えるため、四度目となる世界を走りだす。

3. ゼロから始まる異世界生活
エルザが盗品蔵に来る前にフェルトから徽章を買い取り、サテラに返そうとするスバル。しかし交渉の途中でサテラが現れ、さらにはエルザが襲いかかってくる。応戦するパックはエルザをあと一歩のところまで追い詰めるが、途中でマナが切れてしまい消えてしまう。パックを欠いたスバルたちではエルザを倒すどころか攻撃を防ぐことすらままならない。絶体絶命の状況に追い込まれてしまったスバルは、自らの体を張ってどうにかフェルトを逃がすことに成功する。

4. ロズワール邸の団欒
エルザとの戦いで深い傷を負ったスバルは、どうにか一命をとりとめ、ルグニカ王国のメイザース辺境伯であるロズワールの屋敷へとやってきていた。そこでスバルはルグニカ王国には現在、王が不在であること、そしてエミリアが次の王になる資格を持った王候補の一人であることを知る。ロズワールは次の王を選ぶ王選に参加するための資格である徽章を取り返し、身を挺してエミリアを救ったスバルに対して望むままの褒美を出そうと申し出る。

5. 約束した朝は遠く
ロズワールの屋敷に住み込みで働くことになったスバルは、レムやラムと共に日々仕事をこなし、ついにはエミリアとのデートの約束を取り付ける。しかし約束の日が訪れることはなく、スバルは屋敷にやってきた初日に戻ってきてしまう。命を奪われるようなことなど何も起きていないのにも関わらず、いつの間にか死に戻ってしまったことに混乱するスバルだったが、エミリアとのデートの約束を果たすため、前回をなぞるように再び行動を始める。

6. 鎖の音
ロズワールの屋敷での三度目の初日が始まる。一度目は寝ている間に衰弱して命を落とすという原因不明の死、そして二度目は何者かに襲われ命を奪われてしまった。二度目の死の間際に聞こえた鎖の音が脳裏をよぎり、恐怖に冷や汗をにじませるスバル。敵の正体はもちろんのこと目的さえわからない状況を打破するために、スバルは死が待ち受けている4日目の夜を前に屋敷を離れ、外から何が起きるのかを確かめようとする。

7. ナツキ・スバルのリスタート
スバルの前に現れたのは全くもって予想外の人物だった。襲撃者の正体を知り、困惑を隠せないスバル。これまでの出来事が脆くも崩れ去っていく喪失感の中でスバルは命を落とす。そしてロズワールの屋敷で迎える四度目の初日。スバルはベアトリスに5日目の朝まで自分を守って欲しいと頼む。しかし死が待ち受けているはずの4日目の夜は何事もなく過ぎ、5日目の朝がやってくる。拍子抜けするスバルだったが、事態は思わぬ方向に動き始めていた。

8. 泣いて泣き喚いて泣き止んだから
ロズワールの屋敷で迎える五度目の初日が始まった。絶対に救ってみせると心に決めたスバルはレムやラム、そしてロズワールたち屋敷関係者たちから信頼を得るためにとびきりの笑顔で立ち回る。大好きな人たちに好かれたい一心でがむしゃらに頑張るスバルだったが、心と体が徐々にちぐはぐになっていく。剥がれ落ちそうになる笑顔を必死に繕うスバルを見るに見かねたエミリアはスバルを床に座らせ、自らもその隣に正座する。

9. 勇気の意味
ばらばらだったピースがようやく一つに繋がり、スバルは死の呪いをかけた呪術師がふもとの村にいることを確信する。レムとラムと共に村へ買い出しに向かったスバルは、村人全員と接触し、あえて呪いにかけられることで呪いをかけた呪術師を見つけ出そうとする。屋敷に戻り、呪いにかかったのかどうかを確かめるためにベアトリスの元を訪れたスバルだったが、大きな勘違いをしていたことに気づき、レムを連れてふもとの村へと引き返す。

10. 鬼がかったやり方
ウルガルムの群れから身を挺して子供を救ったスバルだったが、その身に数えきれないほどの呪いをかけられてしまう。複雑に絡み合ってしまった呪いは、最早ベアトリスにも解呪することはできない。あと半日もすればスバルは衰弱し死に至る。残された方法は呪いをかけたウルガルムを全て倒すことだが到底が時間が足りない。八方塞がりの状況に諦めかけたスバルだったが、レムがたった一人で森へ向かったことを知り、後を追いかける。

11. レム
スバルの一撃を受け、意識を失ってしまったレムは夢を見ていた。かつてレムとラムを襲った目を背けたくなるような出来事。そして犯してしまった決して許されることのない罪。やがて意識を取り戻し、目を覚ますレムは今度はスバルに対して、またあのときと同じ罪を重ねてしまったと言う。このままではウルガルムの群れに追いつかれてしまう絶体絶命の状況の中、スバルはレムとラムを逃がすため囮となってウルガルムの群れを引き付ける。

12. 再来の王都
亡き王にかわりルグニカ王国を運営する賢人会の命により、ロズワールの屋敷に使者としてヴィルヘルムとフェリスがやってくる。急遽王都に行くことになったエミリアに対し、自分も一緒に連れていって欲しいと頼むスバル。遊びではないと反対するエミリアだったが、レムやロズワールの後押しもあり、スバルと共に王都へと向かう。ルグニカ王国の新たな国王となる資格を持った候補者たちが一堂に会し、ついに王選が幕を開ける。

13. 自称騎士ナツキ・スバル
エミリアを始め、プリシラ、クルシュ、アナスタシアと一堂に会する王選候補者たちの元に、ラインハルトに連れられフェルトがやってくる。竜歴石に刻まれた預言によれば、新たな国の導き手になり得る巫女の候補は5人。ラインハルトはフェルトこそが5人目の王選候補者であると言い、フェルトの参加をもって本当の意味で王選が開始されると告げるが、当のフェルトはそんなものに参加するつもりはないと王選を辞退しようとする。

14. 絶望という病
ただ守りたかった。その気持ちに嘘はないはずだった。いったいどこで間違ってしまったのだろう。何よりも大切にしたいと願った相手からの拒絶。取り返しのつかないことをしてしまったことを認められずにスバルは煩悶する。そんなときエミリアたちのいるロズワールの領地内で不穏な動きがあることを知らされたスバルは、自分であればきっと助けられるはずだと、レムやクルシュたちの反対を押し切ってエミリアの元に戻るのだが……。

15. 狂気の外側
ロズワールの屋敷にやってきたスバルの目の前に広がる信じられない光景。こんなことを望んでいたわけではないと嗚咽するスバル。絶望に打ちひしがれたスバルの視界は次第に白く染まり、やがて声が響く。もう遅すぎたんだよ……と。そこでスバルの意識は途切れ、気が付くとルグニカの果物屋の前に立っていた。レムの呼びかけに顔をあげたスバルは呆然とレムを見つめ、そのまま涙を流し、口を吊り上げ笑い始める。

16. 豚の欲望
再びルグニカの果物屋の前で目を覚ましたスバル。八方塞がりのような状況をどうにか打破しようとスバルはクルシュに助けを求めるが、にべもなく断られてしまう。プリシラやアナスタシアも同様の反応を示し、ただ助けて欲しいと求めるばかりのスバルの願いを聞き入れてくれる者は誰もおらず、ただ時間だけが過ぎていく。せめて事が起きる前にエミリアたちを連れ出すことができればと、スバルはレムと共に竜車でロズワールの屋敷へ向かう。

17. 醜態の果てに
オットーたちを雇い、竜車でリーファウス街道を走るスバルたちの前に白鯨が現れる。闇夜に紛れ、立ち込める霧の中を泳ぐ白鯨。爆風のような咆哮を轟かせながら襲い来る白鯨から逃げ切ることは難しいと判断したレムは、スバルの静止を振りほどき、白鯨を迎撃するために竜車を降りる。レムを助けなければとオット-に掴みかかり、今すぐ戻れと叫ぶスバルだったが、オット-が取り合うことはなく、背後の霧は遠ざかっていく。

18. ゼロから
レムを死なせ、エミリアの命を奪い、自らも犬死にのような最期を迎えたスバルは、ルグニカの果物屋の前で再び目を覚ます。何もできず、誰も救えず、思い知り、思い知らされ、もうできることは何もないと悟るスバル。全てに疲れてしまったスバルは、何かを決意したようにレムの手を強く握り、全速力で走り始める。されるがままに手を引かれ走るレムは、スバルを止めて何があったのか説明して欲しいと話すのだが……。

19. 白鯨攻略戦
レムによって絶望の淵から救い出されたスバルは、エミリアを救うためクルシュに同盟を持ちかける。同盟にあたってスバルがクルシュに対して提示した条件は白鯨が出現する時間と場所を教えること。白鯨を討伐するべく動いていたクルシュにとって、にわかには信じがたい情報だったが、スバルが嘘をついている様子はない。しかし同盟を結ぶという王選の未来を左右する決断をすべきかクルシュは頭を悩ませる。

20. ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア
自らの持てる全てを注ぎ込み、自らができる限りを尽くしたスバル。その思いはクルシュの心を捉え、クルシュとの同盟を勝ち取ることに成功する。さらにアナスタシアの協力も得て、白鯨との戦いに臨むスバルたち。大気が震えるほどの咆哮を轟かせ、その巨躯を上空に現す白鯨。そんな白鯨を真っ直ぐ見据えるヴィルヘルムは、白鯨との間にある因縁を思い返し、白鯨と相対するこの日をただひたすらに夢に見ていたと剣を構える。

21. 絶望に抗う賭け
目の前で起きた出来事に言葉を失うスバルとレム。犠牲を払いながらも少しずつ追い詰めていたはずのように見えた白鯨の戦いは想像を超える事態へと発展する。もう打つ手なしと思わせるに十分なその光景に一人、また一人と手に持っていた武器を取り落とす討伐隊の面々。全てが絶望に包まれかけたそのとき、スバルの声が響く。このぐらいの絶望で俺が止まると思うなよと、スバルはパトラッシュを走らせ、白鯨に果敢に立ち向かう。

22. 怠惰一閃
白鯨との戦いが終わり、街道の封鎖を担当していた傭兵団の半分が討伐隊の元に戻ってくる。合流した傭兵団の先頭に立つユリウスに対して複雑な心境のスバル。しかし魔女教との戦いを前にこれほど頼りになる味方はいない。白鯨の討伐に感謝を述べるユリウスの真摯な姿を見て、スバルもまたこれまでの振る舞いを詫びる。そしてスバルたちはこちらの動きが割れる前に、魔女教が潜むメイザース領の森へと向かうのだが……。

23. 悪辣なる怠惰
エミリアたちやアーラム村の人々を避難させるべく、ロズワールの屋敷へと向かうスバルたち討伐隊。しかしふと気が付くとスバルを残して討伐隊の面々が消失してしまう。いったい何が起きたのか理解することのできないスバル。辺りを見回し、道端に不自然に咲く青い花を見つけたスバルは、その花に手を伸ばす。すると花の根本が抉れ、うねるように伸びた蔦がスバルの体に絡みつき、ギリギリと締め付け始める。

24. 自称騎士と最優の騎士
アーラム村の人々に危険が迫っていると伝え、安全な場所まで避難するように呼びかけるエミリアだったが、その訴えが聞き入れられることなく一夜が明けてしまう。村人たちに信じてもらえなかったことを思い悩むエミリアの元にクルシュの名代としてヴィルヘルムが訪ねてくる。ヴィルヘルムはエミリアに対して、辺境伯から王選における同盟を持ち掛けられていることを説明し、村人を避難の手筈が整っていることを伝える。

25. ただそれだけの物語
スバルが目となり、ユリウスが剣となり、お互いの持てる力を合わせることでペテルギウスの見えざる手に立ち向かうスバルとユリウス。しかし攻撃の手を緩めることなく、次々と見えざる手を繰り出すペテルギウス対し、二人は防戦一方となってしまう。しかし全身傷だらけになりながらも、徐々に攻撃への反応速度を上げていくユリウスは、スバルと連携し、あと一歩のところまでペテルギウスを追い詰めることに成功するのだが……。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11

87.1 23 恋愛アニメランキング23位
AIR エアー(TVアニメ動画)

2005年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (3364)
16575人が棚に入れました
国崎往人は旅を続ける人形使い。「法術」と呼ばれる不思議な力を用いて、道行く人々に芸を見せることで生きてきた。特にあてがある旅でもないが、彼は密かに探しているものがあった。
幼い頃、母が繰り返し語ってくれた「今も空にいるという翼を持った少女」。ある夏の日、偶然立ち寄ることになった海沿いの街で、彼は1人の少女と出会う。それが全ての始まりだった…。

声優・キャラクター
小野大輔、川上とも子、岡本麻見、柚木涼香、久川綾、冬馬由美、田村ゆかり、今野宏美、西村ちなみ、神奈延年、井上喜久子
ネタバレ

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

AIR考察論

本レビューは『Kanon』『クラナド』の一部ネタバレを含みます。その点に留意して読んで頂ければと思います。

私の数少ない趣味として、毎年夏の季節にAIRを起動し、プレイするという日課があります。高校生の頃からやっているのでかれこれ10年ぐらい続けていました。残念ながら昨年は何かと身辺が忙しかったので、遂にその不名誉な記録は途絶えてしまったのですが。今年もやりたいんですけど、多分無理だろうなあw アニメで誤魔化すとします。ファン失格ですね。

まず、AIRという作品が世に出る契機となったいきさつを紹介します。正直、今回のレビューに関係はないので、読まなくても構いません。単純に興味があればご拝読頂ければと。

■AIR 考察 ① 麻枝准と久弥直樹、『Kanon』から『AIR』へ

{netabare} この作品を作り出したのは、key所属のシナリオライター・作曲家でもあり、『Angel Beats!』でアニメ脚本家としても活躍した麻枝准です。当時、keyの看板ライターといえば、麻枝氏の他にもう1人『久弥直樹』さんという人がいました。この人は『sola』というアニメを作り出したと言えば分かる人も多いと思います。で、keyの前は麻枝さんはネクストン傘下のTacticsというブランドに所属していて、そこから、久弥直樹を含め、樋上いたる・折戸伸治といった今のkeyの中核を担うメンバーと共に現ビジュアルアーツの馬場代表に誘われて、移籍をしました。そしてkey第1弾として作り上げたのが2度のアニメ化を果たした『Kanon』なのです。この作品は所謂泣きに特化したADVという新たなジャンルを打ち出し、後に鍵っ子と呼ばれる、熱心なファンを生み出すギャルゲー史に名を残す名作となりました。

『kanon』の大成功を受けて、keyは直ちに第二作の企画・制作に入りました。所が制作途中に今までkeyの屋台骨だった久弥直樹が退社する事態に。元々久弥の才能に自分は劣っているという感情を抱いていた麻枝は、これを成功させる事で久弥の影に隠れている自分と決別する覚悟を決めたとも言われているそうです。そういう意味で『AIR』は初めて麻枝氏が自分のスタイルを注ぎ込んだ初めての作品といえるでしょう。 {/netabare}

ここから本題に入ります。

■AIR 考察 ② ONE 輝く季節より『えいえんのせかい』から
国崎住人と神尾観鈴の関係性を紐解いてみる。

{netabare}麻枝作品で共通して語られるテーマに『家族』『絆』『死』がよく挙げられます。これは私もそうだと思います。異論を唱える人もほとんどいないでしょう。『死』もしくは『消滅』によって、『家族』としてそれまで築いた『絆』を再認識すると共に、新たなステージへ旅立っていく―と展開を好みます。kanonではこの部分が若干曖昧な表現になっていますが、『AIR』ではこの部分を更に強調しているのが特徴ですね。更に『絆』という箇所に『前世の記憶・因縁』という味付けをして、作品から伝えたいメッセージとそれにおける説得力を強くもしていると思います。

麻枝氏がTactics時代に企画・制作したADVに『ONE』という作品があります。ここで同氏は『えいえんのせかい』というカテゴリーを用いて、『絆』『死(ONEでは消滅という認識が正しいかも)』を描いています。

『えいえんのせかい』とは主人公が無意識的に認識している『異世界』で、主人公とヒロインがお互いに絆を強く確かめ合った瞬間に、主人公が自分が今存在している世界から消滅してしまうという類のものです。主人公の存在自体が消滅してしまうので、残された人間も、絆が弱い順の人から主人公を段々認識出来なくなってしまいます。2人の絆をどれだけ深める事が出来たかで、ヒロインと主人公は再び巡り合う事が可能になりますが、出来なかった場合、主人公は『えいえんのせかい』から帰還する事が出来ず、ヒロインと永遠に会えなくなってしまいます。最終的に救済されるエンドもあるものの、私自身としては、麻枝氏は非常に鬱屈した感情を『えいえんのせかい』にぶつけているような気がしてなりませんでした。

これを『AIR』に当てはめてみると、ONEの主人公=国崎、ONEのヒロイン=観鈴という形が順当になるかと思います。絆を確かめ合った次の日、国崎が居なくなってしまうという展開は先程の『えいえんのせかい』に消えてしまったONEの主人公と同じ運命を辿っているようにも見えます。所が国崎は自身の存在をカラスの『ソラ』に変える事で、意識自体は消滅してしまうものの、存在自体は観鈴の側に残り続け、彼女が最期を迎える時まで見守り続ける事になります。しかし彼が国崎として観鈴に接する・感情を抱くことは最後の最後までありません。明確な描写もありません。最後まで第三者の立場として、観鈴の側にいるという約束だけを守りながら、そこに存在し続けているのです。『えいえんのせかい』=消滅する運命という流れを受け継ぎながらも、それに抗う形で、約束だけを守る事に成功した国崎の抵抗は、麻枝准自身が作り出してしまった、殻を破って、新たなステージへ飛び出すというメッセージではなかったかと思います。国崎がカラスという存在になったのは、ひとえにそういう意図も含んでいたのではないでしょうか。鳥は殻を破って、空に羽ばたく存在ではないでしょうか。そして最後に少女も白い翼を羽ばたかせ、青い空に還っていく。彼らには過酷な日々を、そして僕らには始まりを。このような台詞で締めくくられる物語の終わりは、輪廻する運命の呪縛から逃れる事が出来た2人の未来への祝辞、そして麻枝氏にとっては過去の自分の脱却に繋がるのではないかと、そう思わずにはいられません。ちなみに観鈴の『仲良くなってしまうと、泣いてしまう、そして人と距離を持ってしまう』という特性は、この『えいえんのせかい』の設定を流用したものですね。作品の中ではあくまで過去編から受け継がれてきた観鈴の因縁という形で描写されてはいますが。{/netabare}

■AIR 考察 ③ 麻枝処女作である『MOON』から神尾観鈴と神尾晴子、母と子の関係の描き方の変遷を紐解いてみる。

{netabare}『MOON』という作品をご存知でしょうか?

麻枝氏がアダルトゲーム業界に入って初めて、企画をした作品です。『ONE』よりも前の作品となります。この『MOON』という物語は、若干当時の世相を反映したものになっています。ある『FARGO』という組織と関わって、その後死亡してしまった母親の謎を解明する為に、単身組織の本拠地に乗り込む天沢郁未を軸として描かれるADVです。この作品で初めてkeyの中核を担うスタッフが集結する事から、keyの原点とも言われる作品ですが、その雰囲気は従来の作品とは違い、若干狂気に満ちた内容となっております。麻枝氏のテーマの原点でもあり、『家族』『絆』『死』を猟奇的なカラーで取り扱っています。

ここで描かれるのは天沢郁未の危うさです。母親が失踪して以降彼女は、母親と築いてきた家庭を崩壊させない為に、自身は優秀な子供として生活し、いつか母親が帰ってくるであろう場所をひたすら守り続けます。所が彼女の願いとは裏腹に、母親は家に帰ってきたものの、そのまま直ぐにこの世から去ってしまった。母親との再会を経て、失った時間を取り戻そうと夢見ていた少女への残酷な仕打ち、FARGOに復讐を誓う形で、表面上は非常に冷静に振舞うものの、やはり母親がいない悲しみを独りで背負いきる事に限界を感じていたのが、危うさにつけこまれ、危機的状況に陥るケースもありました。

天沢親子の関係性を神尾親子にそのまま当てはめる事は難しいですが、1つ間違えば、家庭が完全崩壊してしまうという環境を必死に守っている。晴子は観鈴を突き放す事で、そして観鈴も晴子となるべく腹を割っては関わらないようにする。崩壊寸前の家庭を何とか繋ぎ止めているという描写は、後の作品である『クラナド』でも岡崎朋也とその父で使われていますね。朋也が渚に『同じ屋根の下で別々に暮らしてきた、俺と親父はもう家族じゃないんだよ』と半ば自虐めいた台詞を吐く場面がありますが、同じ屋根で住んでいるという現実が、当時の岡崎親子の最後の家族としての拠り所だったのではないかと思います。

神尾親子に話を戻しますと、国崎が居た時は、互いに国崎に甘える形で家庭を維持していたわけです。所が観鈴が倒れ、国崎もいつまでもいてくれるという保障は無い。国崎が居た事で保たれていた家庭を戻すには、今動かないと、色々遅すぎる。今まで観鈴の『親』として逃げていた現実と遂に向き合い、決断しなければいけなくなった。晴子はいずれ国崎が居なくなることを予見して、家庭の崩壊を恐れ、そうした未来を見据えて、観鈴を自分の本当の娘にする、という選択をしたのではないでしょうか。

MOON.の場合は崩壊する家庭を郁未が独りで守っていた。しかしAIRでは最終的には晴子が決断したとはいえ、それまでは親子2人で互いに暗黙の了解を作り、それを守ることで家庭を維持していたという違いがあります、そして郁未が納得のいく形で母親と家庭生活を再開出来なかった事に比べ、神尾親子は過ごした時間は僅かながらも、幸せな家庭を築く事に成功しています。家族といっても『親子』という部分にテーマを置いた場合、どうしても前の2作品、『ONE』『Kanon』は弱い、と感じます。そして『AIR』で『MOON』で提示された親子の絆の答えを麻枝氏は導いたように私は思いますね。そしてこの時に得た答えが後の『クラナド』の家族像、家族という描写に繋がっていったのでははないかと、そう感じるんです。{/netabare}

■AIR 総評

{netabare}今更書くことではないのですが、AIRは『家族』ひいては『親子』のテーマを重視した作品です。ほとんどの登場人物が現在進行形であろうと、なかろうと『家族』に問題を孕んでいるという状況でそれそれ課題を抱えながらも、前に進んでいくという希望を描写している作品だと思います。

家族とは一体何なのか?親子とは一体何なのだろうか?これは人間が生きていく上で、誰しもが一度は頭に思い描く命題であり、事実、創作作品でも、昔から多く取り上げられてきたテーマだと思います。ロバート・レットフォード監督の映画で、家族愛を冷徹なまでの視線で淡々と描いた『普通の人々』という作品がありますが、血を分け合いながらも、その家庭を構成する親子は結局は人間にしか過ぎず、性格が合わないといった要因の前では誰しも簡単に冷酷になれるし、家庭を崩壊させる事が出来るといったテーマの下、ある中流家庭が緩やかに崩壊していく様を描いています。一方、小津監督の名作『東京物語』では、自分が手塩にかけて育てた子供が独立して、それぞれ自分の生活を手に入れたことをきっかけに、自身の親を省みる事をせず、結局一番優しくしてくれたのは、自分の子供ではない『他人』だったという強烈な皮肉を交えています。これを所詮は映画だ、ナンセンスだ!と受け取るのは人それぞれですが、現実世界に目を向けて見ると、親子の関係等、結局は砂上の楼閣にしか過ぎないのでは?と思わず考えさせられる事件を目にすることはないでしょうか。

映画でさえ、家族の描き方について千差万別なのですから、私達が二次元と呼んで、無意識のうちに現実との差別化を計ってしまっている、頭の何処かで非現実的だという視点を持ってしまっている『アニメ』もしくは『ゲーム』で、このテーマを取り上げるのは相当難しい事なのではないでしょうか。仮に出来たとしても、それは制作者、つまり麻枝さんの価値観の集合体にしかすぎません。その価値観を麻枝さんと全く縁のない、私達の様な視聴者が観て、感動してしまう所に、私は時々奇妙な違和感を覚えます。簡単に結論付けてしまえば、この作品で描かれている家族愛が、人間にとって一種の理想論・憧れがあるから、に落ち着くかもしれません。ですが、あまりにも出来杉である、と創作物とは分かっていても、人間こんなに心は綺麗じゃないし、晴子さんだって、いつまでも帰って来ないで、自分の幸せを求めて、邪魔な観鈴を置いていく可能性だってあるんじゃないのか?国崎もゲーム版バッドEDのように、観鈴の心の支えになる前に、見切りをつけて、また当てのない旅を続けるんじゃないか?とか時々私の様な捻くれ者は考えてしまいます。こんな都合の良い理想ばかり並べ立てられた作品で『家族』を描いたつもりなのか?と思ってしまうのです。

だからこう考えました。

創作物でありながら、その世界での現時点でのベストな方法をまた『夢』として表現した物語。理想論と分かってて、初めからそれを狙って作ったな、と思うとしっくりくるんです。この作品は『Dream』『Summer』『AIR』の3章仕立てで、物語が語られますが、『Dream』では3人のヒロインにとって、極めて理想的な未来が描かれていると思います。その中で観鈴は唯一AIR編にまで話が及びますが、彼女にとって、国崎が最後まで自分の側を離れない事、そして晴子と『本当の家族』になれる事が彼女の残された時間の中で実現できる最高の未来ではないのかと思います。そう考えると、AIRという物語は、その登場人物の現時点で実現できる最高の未来を、国崎が訪れたことによって発生した『夢』であり、その3人の結末を国崎は見届けた事で一端『AIR』は完結する。しかしそれはあくまで最高の未来を夢として具現化したに過ぎない、それを現実に出来るかどうかは、これからの君にかかっているんだよ?と、AIR最後のラストシーン、少年と少女は観鈴にそう伝えたかったのではないでしょうか。そして観鈴はそれに笑顔で手を振って答えるという図式があのシーンなのではないかと思うと、色々しっくりくるなあと思いますね。国崎が観鈴の下をもっと早く訪れていれば、また未来は変わったのかもしれませんけど。過去からの運命はそんな簡単に逃れられるものではないと考えると、『過酷な日々』はどんなに上手くいっている未来でも、防ぎようのない事実なのかもしれません。

クラナドでも『夢』で話を描いていますが、あれは逆パターンになっていますね。悪い夢を見せる事で良い現実を引き戻すというか。奇跡という単語を使ってしまったせいで悪印象に見えますが、そもそもそういう意図があったと考えると、また違った見方が出来ますね。 {/netabare}

ちょっと長くなってしまいましたが、私なりにAIRという物語について考えてみました。只、私のはあくまで推論で、これが真相という訳では勿論ありません。この考え方が、読んでくれた人のAIRを考える上での、もう一度鑑賞する上での、何らかの刺激になってくれれば幸いです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 34
ネタバレ

Key’s さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

夏になるたびにAIRのことを思い出す・・・

あらすじ

人形を操る不思議な力である法術を
使うことのできる青年・国崎往人は
母から託された言葉の意味を求め
人形を操る芸を駆使して
金を稼ぎつつ旅をしていた

だが海辺の田舎町で金が尽きてしまい
困っていたそんな彼の前に
話しかけてきた一人の少女
神尾観鈴は人懐っこく無邪気に笑う

彼女との出会いをきっかけに
往人はこの町で暮らし始める

夏の情景に包まれて穏やかに流れる日々
そんな中さらに様々な少女に出会い
母に託された言葉の真意に迫り
往人は真実に近づいていく

※wiki引用


感想


夏になるとAIRが見たくなりますよね~
ヒロインの観鈴が自分と同じ
7/23が誕生日ということもあり
思い入れが強いですね~


まず最初にAIRを12話でよくまとめたと感じた
原作をやっているとどうしても24話くらいかかると思っていたので
しかし、その分駆け足気味になり
原作をやってない人にとっては
説明不足になっているとは感じた

アニメしか見てない人のために
2クールにしてゆっくりやった方が
良かったかもな~と思った


作画は京アニということで問題なく良いし
OPの鳥の詩が良いね~
理解した上で聴くと誰の事について歌っているのか
分かってさらに面白いですね

あとやっぱりBGMの夏影が良く
要所要所で物語を盛り上げてくれていた
もう曲を聴いただけで泣いてしもうようになった…
もちろん、他のBGMも良いものばかりである


Key作品だけあってストーリーも抜群に良い
神話っぽくなっていて小難しい話になっているので
やはりアニメしか知らない人は
どこかで解説を読む必要があると思う
(下に私なりの解説書いておいたので良ければ読んでください)

ストーリーはちゃんと理解できれば
ちゃんと良いものだとわかるが
理解できないと浅い物語と勘違いしてしまうと思う


全ての女の子の話が
SUMMER編の話とつながっていて
最初の話は伏線になっているのが凄かったですね


Key作品全部に言えることかもしれないが
良くも悪くも普通の恋愛アニメと違い
ボーっと見ていると展開が早くてついていけないだろう
それに奇跡が起きるのもKey作品のおなじみですね
そこが普通の恋愛アニメとの違いであり
好き嫌いが分かれる所かもしれない

絵が合わないと敬遠すること多いのも
Key作品には多いと思うが
それを補って余りあるほどストーリーが良いと思う

また、一話一話の引きが良かった
そのおかげで次が気になりどんどん引き込まれた
特に後半の演出は盛り上がり
そして、11話と最終回は後半ずっと号泣してたな

素晴らしい作品だったと思う
めちゃくちゃ泣かされた
Key作品を代表する作品だと思う
Key作品の中でもかなり好きな作品です



考察



ここからはネタバレとなるので
まだ見てない人は見ないでください
見たけどAirのことが理解出来なかった
という人のために自分なりの解釈を
追加して書きたいと思う

あくまで自分の解釈なので
絶対合ってるわけではないから
参考程度に見てください

{netabare}



観鈴は、1000年前の呪いと
翼人の転生時の記憶の継承の肉体にかかる負担により
あの様に苦しんでしまいやがて死んでしまいます。
〔観鈴が見ている夢とは翼人(神奈)の記憶です。
彼女が誰かと友達になろうとすると
観鈴が体調を崩したり、
周りの人間の体調がおかしくなるのは
1000年前の呪いの為です。〕


国崎往人は、法術を使い観鈴を救おうとします。
翼人の記憶の継承に耐えられるよう強化させ、
観鈴の命を少しだけ伸ばすことに成功します。
(その短い時間が、観鈴にとって晴子との絆を結ぶ
大切な時間となります。)

しかし、そのために力を使い果たした、
国崎往人は、その存在を維持できなくなり、
消滅しましたが観鈴を見守りたいので
カラスの『そら』として過去に転生し
観鈴の側に戻ってきます。
(往人の法術は、もともと神奈の生まれ変わりを
 救うために受け継がれてきた力です。)


その後、観鈴と晴子は、本当の親子の絆で結ばれ、
観鈴は翼人の記憶を受け継ぐことに成功します。
観鈴がすべての記憶を受け継ぎ、晴子に見守られ、
満足して人生を終えたことにより
1000年前の呪いは解除されました。


観鈴は、「神奈備命」からの転生を成功させ、
最後は、普通の人間、女の子として息を引き取ったので、
観鈴の魂の継承者は、転生の際に、苦しむことが無くなります。

観鈴が満足して人生を終えたことを見届けた、
そら(往人)は、観鈴の魂を迎えに、空に上がります。


そして過去に転生、エピローグの少年と少女になります。
少年と少女には、もう呪いはかかっていません。

少年の方にはおそらく「そら」の魂が、
少女の方には「そら」が「連れ帰った」観鈴の魂が転生したもの
と考えられます。

1000年間続いた呪いは、ここに終わったのでした。
そして、法術の影響か少年は、往人の記憶を引きついでいました。
砂浜にいる往人と観鈴がどんな運命をたどるのか知っています。

だから、
「彼らには,過酷な日々を
 そして,僕らには始まりを」
という台詞になるのです。


彼らというのは往人と観鈴のことで
僕らというのは往人と観鈴が転生した少年と少女のことだと思います。

つまり、ここで翼人に関する物語が終わったということです。
「そら」は願い通り観鈴の魂を再び地上に連れて帰り、
新しい人生を「共に」歩きだしたのではないかと思っています。

(AIRの転生は法術の影響か
 なぜか、過去に向かって行われ、時間がループ状になっています。
 往人の魂は、一度目は、往人として
 二度目は、カラスのそらとして
 三度目は、少年としてラストシーンの状況を
 見ていることになります。)


最初見た人は
二人とも生きてはいないためBADENDじゃないかと
思う人もいたかも知れませんが
そうではなく、HAPPYENDというわけでもないのですが
GOODENDという感じでしょうか

呪いは終わったので
良かったという感じです



質問で、全ての女の子の話が
SUMMER編とどう繋がっているのか分からないとあったので
解説しておきます

この女の子達の話は、原作ではDREAM編と
呼ばれているのですが
結論から言うとこの女の子達は神奈の見ている『夢』です

観鈴は転生してるから別として
佳乃や、みちるは
神奈の羽を通じて空に囚われている
神奈が経験をしているのではないかと思う

羽と関わっている、佳乃、みちる、観鈴は神奈
聖、美凪、晴子は裏葉と同じ立場になっているとも思います。
また、佳乃、みちるが経験した幸せの記憶が
神奈も羽を通して経験したことで
最終回の呪いを解く助けになったと考えられる


佳乃の様子がおかしくなるのは
羽の記憶のせいですが
では、なぜ最初に触った聖には何もないのか?
それは、羽の記憶は八雲の記憶であり
何も出来ずに母が死んでしまった記憶である

そこで、自分が生まれる事で
母が死んでしまったと思って負い目を感じていた
佳乃の方とシンクロしてしまい取り付かれたのだと思う

佳乃は神奈と同じで空にいくことで
住人や聖など大事な人を救おうとしてます
ですが、佳乃は神奈とは違い空から帰ってきて
住人達や町の人と暮らそうとする

これは神奈が選ぶ事のできなかった未来
これにより、叶わなかった神奈の夢が叶えられ
結果として神奈の願いが果たされるということです

また、白穂のエピソードは
負い目や罪の意識を佳乃に克服させるためのものである
佳乃は母親の愛を知り自分を責めるのをやめて
空から帰ってくるというわけです


次に、美凪の方ですが
美凪は裏葉の立場として考えると
みちるは空に行きいなくなってしまった神奈
そして、美凪母は裏葉達の子供、子孫ということでしょうか

現実で、裏葉は神奈を救うため
自分達が神奈のことを忘れて
幸せになる道もありましたが
それを捨てて、子孫に希望を託しました

しかし、これは子孫にも
自分達と同じ苦しみを背負わせる事と
同義です

かといって、裏葉にも
迷いが無かったわけではないと思います
子供にも幸せになってほしいという思いもあったと思います
住人の母さんも住人が幸せになるような道を
用意していましたので…


神奈は最後自分のことは忘れ
二人には幸せになって欲しいと
願っていました

美凪はみちると母のどちらと過ごすのか
葛藤していましたが
最終的に母と過ごしましたね

つまり、これは裏葉が
神奈を忘れて家族と幸せに過ごした
無かった未来なのです

また、美凪や住人と遊んだことも
神奈には出来なかった
幸せな記憶なのでしょう

これらにより、神奈の願いが
またしても叶ったというわけです


以上の説明で
DREAM編がSUMMERと繋がっていることが分かったでしょうか?
他の女の子の話は必要なかったと思っている人がいますが
この二人を幸せにしたことで
神奈も『夢』の中ですが救われ
結果として観鈴も救われるということです


{/netabare}
長くなりましたがこういうことです
これで理解してくれると良いのですがw

これで理解して見直すと
もっとAirが面白く感じるかもしれませんね!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 170
ネタバレ

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

その思いは、あの日から変わらず... いつまでも同じ夢を見る。

【更新履歴】
■文章訂正 7/20
■文章訂正 8/11 【紹介文とキャラクターデザインの文章を訂正】

-----------------------------------------

原作は美少女ゲームらしいです。

淡い感動物。
ファンタジー的な壮大な世界観が特徴的な作品です。

CLANNADが好きなので、「AIR」に興味を持ち、視聴してみました。
「key作品」特有の詩的な雰囲気を上手に醸し出せており、観ているだけで幻想的な気分になりました。どこかの絵本....いえ、絵画でしょうか....。そういう芸術的な物を観ているような気分になりました。

空を見上げる少女の虚ろな瞳は、とても可憐で、か弱く、そして本の少しだけ麗らかな印象を与えています。私はその少女を遠くから見守っているのでしょうか....。この作品を観ている感覚はそれに近いんですよね。

前半は、描写不足の部分が多く、キャラクターに感情移入出来なかったことから、あまり面白く感じませんでした。
しかし、後半から(第7話)盛り上がり、胸が一杯になる感動を覚え、そのまま絵本の中に吸い込まれるように、物語に引き込まれました。

ただ何人か描写不足のキャラがいて、少しだけ感情移入出来ない部分がありました。

しかしながら、住人や観鈴の掘り下げはできており、この二人を中心にした物語として見るなら、描写不足の点はあまり気にならないかもしれません。

後半と前半は繋がっており、後半で明らかになった物語は、前半で重要な部分です。そのため、後半を見ないと前半が理解しにくいです。

キャラデザは大きな目が特徴的ですが、この目はAIRの世界がファンタジーであることを示すためのものです。

人によって好みは分かれるとは思いますが、あのキャラデザあってのAIRです。
万が一、実写で描かれたとしたなら、ファンタジーなのか、リアルの世界なのか、かなり分かりにくくなったでしょう。
視聴者が、アニメ世界だと認識できるようにAIRのキャラクターの目は大きいのです。

この作品は、こういった世界観のシンボライズが上手く、キャラクターや物、台詞、歌、などを使って、ファンタジーであることを徹底的に表現しています。

テーマは家族の再生。キャラクターデザインとは違い、かなり重い内容に驚きました。
前半で描かれたエピソードは描写不足であまり感動できませんでしたが、後半は涙が溢れなそうほど、感動しました。
夏の太陽に照らされた儚げな花を観るような感覚。その花は凄く可憐で、心を寸鉄で裂かれるような感覚に襲われました。

音楽は、かなり幻想的で、心に訴えかけるものが強い歌詞でした。
特に鳥の詩の歌詞が素晴らしく、アニメの無いようにマッチしているだけでなく、その歌詞だけで感情が揺さぶられるほど、歌詞の表現の仕方が上手いです。
キャラは、変わった子が多いなぁと感じましたが、少しづつ慣れていきました。人によって苦手意識を持つ場合もあるので、幼く子供っぽいキャラクターが苦手な人はやめた方が良いでしょうね。




■家族の再生
{netabare}
観鈴と晴子の関係が徐々に普通の親子の関係になっていく。
この過程で描かれているのが、『家族の再生』です。
最初は、観鈴に対して距離をとっていた晴子が、住人が観鈴と出会ってから、徐々に観鈴と向き合うようになります。
最終的に、晴子は観鈴を自分の子供としてちゃんと受け入れようという覚悟を決めます。
また、11話で記憶を無くした観鈴が、お父さんに連れられて行くときに、記憶を思い出して、『お母さん』と晴子のことを呼ぶシーンで、『家族の再生』が強く描かれています。
イメージするなら、絵画で描き忘れられた人物を描き足すようなそんなイメージです。失われた何かを取り戻すようなとても感情が揺さぶられるテーマでした。

{/netabare}



■プレイヤーは父親になれない
{netabare}
ゲームのAIRになります。
元々ギャルゲーというのは、プレイヤーが父親になる、そのヒロインの彼氏になるというのが趣旨の内容です。
しかしながら、AIRでは、プレイヤーは父親になれません。
AIRでは、メインヒロインの観鈴のことを強く思うものの、壊れていく観鈴の事を見守っていくしかことしかできないのです。
これは、『君たちは父親にはなれない』というメッセージにもとれ、ギャルゲーというジャンルを根本的に否定するような内容に受け取れます。
それほどAIRというのは、ギリギリギャルゲーに収まるか収まらないかという境界線に位置する作品なのです。

{/netabare}

■翼人という壮大な設定(あくまで私の解釈です)
{netabare}
作中で登場する翼人というのは、かなりファンタジーチックな設定で、何代にも渡って、自分の経験した記憶を受け継いでいく翼の生えた人間と考えれば、分かりやすいです。

①親から子へ、記憶を受け継がせる
②そのうち、記憶が人間には収まらない量になっていく
③神奈と観鈴の関係

まぁ翼人設定に関しては、これだけ覚えとけば大丈夫です。

羽はその受け継がれた記憶で出来ており、もちろん、その記憶によって、自我が無くなる影響もありません。
自分自身が個人だということをしっかり認識できます。

作品を理解する上で

観鈴は翼人。
夢とは神奈の夢(悪夢)のこと。
住人は柳也の子孫。

↑これは基本的なことです。覚えてください。

神奈は観鈴ではありませんが 神奈が空にいて、観鈴がその記憶を受け取ってる存在と考える。

観鈴は神奈が転生した存在であるが、神奈の記憶は空に残り、観鈴は神奈の魂の上に新しい記憶が上書きされていると考えます。それで、翼人の記憶を受け取るために、観鈴は毎日睡眠時間中に記憶を受け取っています。

SUMMER編で、明らかになりましたが、神奈が僧達にかけられた呪いにより、柳也を失うという悪夢を見続けます。
それが観鈴の中に流れ込むたびに、観鈴は悪夢を見て、苦しむというわけです。

作中で言及されていた「翼人は人という器に収まらない」というのは、翼人の記憶が人の頭に収まらないという意味で、神奈が転生したとしても、転生した後は、翼人の記憶を全て受け取れずい大人になる前に必ず死んでしまいます。
羽から記憶が漏れ出し、それが頭の方へ行き、記憶が漏れ出し悲鳴を上げる...。
その為、観鈴が神奈の記憶を受け取る(夢を見る)度に、体が苦しくなったり、調子が悪くなったりします。
それに悪夢の記憶まであるのですから、尚更苦しいわけです。
そして、7話でもう記憶を受け取れない状態になり、観鈴の調子が急激に悪くなります。

7話で観鈴が救われたのは、柳也の代から住人の代まで受け継がれてきた人形が救われた理由の鍵を握っています。
柳也の子孫は、住人の代まで、神奈が転生した少女に会っていると考えます。
そうして、毎回救えなかったことを悔み、自分の魂を人形に埋め込むということをしてきました。
人形にこめられていた沢山の魂が、観鈴が受け取れる記憶の量を多くした。
それによって、観鈴は生き延びることが出来ました。

第11話で記憶が漏れ出したのは、予想にしか過ぎませんが、一気に記憶を受け取った為に対応しきれなかったのでしょう。
それで対応できるようになり、記憶が戻りました。
翼人の記憶を全て受け取れるようなった観鈴(神奈)は転生するために
「もうゴールしていいよね」と言い、死にました。

これで完全に転生出来るようになった観鈴(神奈)は、住人とともに、少し前に転生。
そうして、最後の二人の少年少女戻り、「彼らには過酷な日々を、そして、僕らには始まりを。」と言い、二人はどこかへ旅立っていった。



かなり壮大な設定です(笑)

AIRの批判される点としては、1クールだけのアニメでは、これを全て理解するのは難しいという点です。
そういう意味では1クールでは足りなかったでしょう。
{/netabare}

■総評

『CLANND』よりオタクに対して批判的な内容でしたが、明確に「ファンタジー作品」だということを示してくれているので、『CLANND』よりは「ファンタジー作品」だということが分かりやすいかったでしょう。
(例えばSUMMER編で翼人のことに触れられていたりだとか)
そういった意味では、AIRの方が優れています。
しかし、どう考えても1クールで収まりきれる内容ではなかったので、原作と比べる少し劣っています。
それに、前半のエピソードが描写不足で、薄っぺらく感じるので、そこはマイナス要素です。

観鈴と住人や『家族の再生』だけ見てみると綺麗に描けているので、そこだけを見るならば、かなり高評価です。
前半のエピソードも、感動させるのが目的でなく、翼人についての伏線を張ったり、観鈴や住人を掘り下げるためだったとしたら、描写不足が多いところも目を瞑れるかもしれません。
それでも、前半のチープだと思われた展開があるので、マイナスをつけておきます。

『家族の再生』についてはかなり感動できたので、世間一般の評価と折り合いをつけてこの評価です。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 22

88.7 24 恋愛アニメランキング24位
月刊少女野崎くん(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★★ 4.1 (3222)
16010人が棚に入れました
無骨な男子高校生の野崎梅太郎に恋をした女子高校生の佐倉千代は、ある日、勇気を振り絞って告白するのだが、想いは上手く伝わらず、気が付くと彼のとあるお仕事をアシスタントとして手伝うことに…。男子高校生でありながら人気漫画家である野崎君を中心に、個性豊かなキャラクターたちが織り成す少女マンガ家コメディー!

声優・キャラクター
中村悠一、小澤亜李、岡本信彦、小野友樹、木村良平、中原麻衣、沢城みゆき、三宅健太、小野大輔、川澄綾子、宮野真守、三宅麻理恵
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

こんなに女性を意識せずに接することができるのか?

原作は最初のほうのみ読んだことあり。

佐倉千代が恋した野崎梅太郎が実は売れっ子少女漫画家でというお話し。

出てくる人物のキャラクターがみな濃い。半端じゃない。

野崎くんは少女漫画を追求しているせいなのかどういったものがキュンとさせるのかを常に探求している。
結構、千代はドン引きしているんだけど、それでも好きでいられるなんてこれが恋の力なのか?
そんでもって野崎くんは女性に対して超近い距離に接近したり、思わせぶりな発言{netabare}いきなり千代を家に招くとか{/netabare}したり、若干デリカシーもないのでは?という行動も見られるわけだが、これって全く女性というものを意識していないからできることよな。一体どうなっているのだ。見ていて凄くもどかしい。
そう考えると女性に対してついかっこつけてしまう御子柴実琴に対しての好感度が高まる一方。なんか可愛い。

あと、結月もちょい苦手なキャラクターだった。あそこまで振り切るキャラクターってなんか凄いけど、個人的にはやりすぎかなあと。基本的には誰を幸せにしているか分からんし。{netabare}歌だけ若松を幸せにしているのだが。そこでカップリングか?{/netabare}

{netabare}鹿島遊と部長の奇妙?な無自覚だけど愛溢れる関係もなんか成就してほしいなとか思った。{/netabare}

編集者も強いキャラクターがいて人のアイデアを自分のものにし、勝手に自分好みの狸を登場させるってコラ。

本当にキャラクターの個性が強くて見ていてもどかしい気持ちにもなっていたが、いい感じの化学反応を起こしていたように思う。
ただ、基本的に千代以外の人間には対して僕は全く共感できなかったので、感情移入しにくかったなあ。主に野崎くん。
僕が女性を意識し過ぎているのかなあ?
男女平等であるべきだとは思うけれど、やっぱり性差は無視できんと思うんよねえ。{netabare}無理矢理コスプレさせようとするとか。あれって好意あっても無理強いされると冷める人もいるかもしれないと思うし、あとは最終話であったが、耳元で囁くなんて男同士でもやらん。まして女性に対してやるのってどうよ?{/netabare}
よく分かんなくなったので、この辺でこのレビューはやめます。

面白いとは感じられたので、見たことない人は見てもよいかも。


OP
君じゃなきゃダメみたい オーイシマサヨシ
ED
ウラオモテ・フォーチュン 佐倉千代(小澤亜李)
元気な感じ溢れるOPが良い。
EDのメロディも癖になりそう。さらに、EDの作詞・作曲・編曲はヒゲドライバーでなんと夫婦!この頃から付き合いがあったのだろうか?


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
無骨な男子高校生の野崎梅太郎に恋をした女子高校生の佐倉千代は、ある日、勇気を振り絞って告白をするのだが、想いは上手く伝わらず、気が付くと彼のとあるお仕事をアシスタントとして手伝うことに……。男子高校生でありながら人気の少女漫画家である野崎くんを中心に、個性豊かなキャラクターたちが織り成す少女漫画家男子コメディー!

創刊号 その恋は、少女漫画化されてゆく。
佐倉千代、16歳。無骨な男子高校生、野崎梅太郎に恋をした彼女は、ある日勇気を振り絞って告白するのだが、うまく想いを伝えることが出来ずに、なぜか野崎のサイン色紙を貰ってしまう。さらに言葉の取り違えから野崎の家に誘われた千代は、突然原稿を渡され漫画のアシスタントをさせられることに……。なんと彼は男子高校生でありながら、「月刊少女ロマンス」で連載中の人気少女漫画家だったのだ。

第二号 新(ニュー)ヒロインをよろしくね♪
野崎が心の中で「みこりん」と呼ぶアシスタントの御子柴実琴を紹介された千代。いったいどんな癒やし系が来るのかと思いきや、やってきたのは「みこりん」という響きからはほど遠いチャラチャラした男だった。挨拶もそこそこに千代に対して先輩アシスタントとして敬うようにと告げる御子柴。しかし、そんな御子柴には隠された一面があるのだった……。

第三号 バイオレンスVSプリンス
「恋しよっ」に新キャラを登場させたい野崎に結月を紹介した千代は、御子柴にも少女漫画のモデルになれそうな知り合いがいないかどうか尋ねる。御子柴が千代に紹介したのは、端正な顔立ちとキザな立ち居振る舞いから「学園の王子様」と呼ばれ、女子生徒に絶大な人気を誇る美男子……ではなく演劇部所属の女子、鹿島遊だった。

第四号 男には、戦わねばならない、時がある。
野崎の家でいつものように漫画の原稿を仕上げていた野崎、千代、御子柴の三人。一日分の作業が一段落したところで、今日はこのまま野崎のところに泊まっていくと言う御子柴。そんな御子柴が羨ましい千代は、二人でいつもどんなことをしているのかを尋ねる。すると御子柴は得意気に主に女のことで相談に乗ってもらっていると話すのだが……。

第五号 恋を「思い」「描く」男子。
ある日、千代が野崎の家を訪れると、部屋がいつもより片付いていた。思わず私が来るから片付けてくれたのかもと妄想する千代だったが、どうやら特に理由はないようだった。そんなとき野崎の携帯に一本の電話がかかってくる。電話に出た野崎は激しく動揺し、より一層部屋を片付けなくてはと慌て始める。どうやら電話の主は野崎の担当編集らしいのだが……。

第六号 魔法をかけて、あ・げ・る (ハート) 
体育館で結月の餌食となっていたのは野崎の後輩の若松だった。バスケ部の助っ人の結月によって散々な目にあっている若松は、野崎に不眠症であることを伝える。野崎は眠れないなら漫画の原稿を手伝って欲しいと告げるが、いざ原稿に向かうと野崎が間違ってかけてしまったローレライの歌声によって、若松は一瞬のうちに眠りの世界に誘われてしまい……。

第七号 漫画家脳野崎くん
めずらしく締め切りよりも早くに原稿が終わってしまった野崎は、漫画から解放された自分の無趣味さを噛み締めていた。そんな野崎を見かねて、千代はお休みっぽいことをしようと遊びに誘う。しかし気軽に誘ってみたものの、もしかしてこれはデートなのではないかとドキドキとほのかな期待を胸にショッピングモールに向かうのだが……。

第八号 学園の王子様(女子)の悩み
最近、堀が自分に対して冷たいと嘆く鹿島に、それはアピールが足りないからだと告げる御子柴。押して押して押しまくれという御子柴の助言に従い、堀を執拗に追いかける鹿島は、ある日、堀の鞄から「恋しよっ」を見つけてしまう。まさか漫画の手伝いのために持ち歩いているとは知らない鹿島は勝手な勘違いをし始め……。

第九号 ドキドキ、たりてる?
雨降りの放課後、傘を忘れてしまった千代と野崎は、少女漫画のシチュエーションを参考に、上着で雨をしのいで帰ろうと試みるが、すぐに雨に負けてしまい戻ってきてしまう。そしてぐっしょりと濡れた上着を脱いだ野崎は、再びこの状況で思いつく漫画のシチュエーションをぽつりぽつりと語り始めるのだが……。

第十号 強まるのは、絆と手綱。
剣さんに次の「恋しよっ」で、若松と結月がモデルになっているサブキャラクターの話を勧められた野崎。そんな野崎の元に「結月から映画のチケットをもらってしまい、どうすればいいのかわからない」と若松が相談にやってくる。野崎は気の進まない若松に対して絶対に行くべきだと思うと答え、若松と結月をデートへと送り出す。

第十一号 米しよっ(ハート) 
コのラブストーリーが展開としていまいち盛り上がらないと悩む野崎は、手伝いに来ていた千代に何かアイディアはないかと尋ねる。びっくりする展開やどっきりする展開はどうだろうかと答える千代。野崎は「実際に試してみるから感想をよろしく」と千代に告げ、学校でどっきりなことを仕掛けるのだが……。

最終号 この気持ちが恋じゃないなら、きっと世界に恋はない。
バレンタインデーに渡すことのできなかった野崎へのチョコレートを冷蔵庫の奥底で見つけた千代。バレンタインデーはとうの昔に終わってしまったけれど、このチョコレートには募り続けている野崎への恋心がつまっているのかもしれない。アシスタントとして一緒に過ごす毎日に満足していた千代の心が再び動き出す。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

あれ、おかしいぞ…!?

アオハライドよりこっちのほうがキュンキュンしてしまったおれは異常なのだらうか。
どっちも
何考えてるかよくわかんないクールな男子に惚れた女の子が奮闘する、って筋書きだけど
片方は少女漫画、もう片方はコメディだったのに。なぜコメディのほうがキュンときたのか。
きっと心構えの違いだな、うん。
アオハライドはそういう感じだってわかって観てるからそんなシーンになるのも想定内だけど
野崎くんは笑いながら観てたら合間合間で急に来るからね。
神出鬼没のラブコメシーン。
それと
たぶん洸はふたばのこと好きなんだろうなーってわかるけど
野崎くんは本心がよくわからん。
はいはい、どうせ漫画のネタ集めでしょ?…えっ、だよね?そうだよね?えっ、どっちだよ!?ただ一緒に帰りたかっただけって…えええ?!
って混乱する。まさに不意打ちだから千代ちゃんみたいにビックリしちゃうんだろうな


【夏アニメの中でもかなり万人受けするタイプ】
前期のマンアシが個人的には全くツボらなかった。SYD*は女性ボケの下ネタが斬新&ナイスつっこみだったから楽しめたんだなぁと改めて思った。
そんなこともあり、同じ漫画家設定のこれもダメだろうな…と思いつつ観たけど

面白い!そして面白い!!
…しょうもない偏見は一瞬で消え去った。
これは夕方に放送しててもキッズステーションで放送されても全く違和感ない。


少女漫画を読んだことがない人でも笑えるであろう少女漫画のifネタと学校を中心に個性的な登場人物が繰り広げる騒動。
いま何か面白いアニメやってる?って誰かに聞かれたときの答えやすさでは
ばらかもんと野崎くんがツートップの作品だろう。


☆声優
脇を固める有名な声優陣と真ん中にいる新人声優演じる主人公、という最近よく見る構成だけど
千代ちゃんがいい!
いい声してる!
キャラが立ってるというか生き生きしてる感じ。前田亜季…新人さんかな?聞いたことない名前だし、チョイスした人は有能。
萌え〜
あざと可愛い
ブヒイイぃ!って感じじゃなくて
キュートって表現が適している、そんな声です。

最近の若手声優とはまた違った感じで新鮮。

いわゆる日常系の作品は好きだけど、なんか主人公キャラが皆似たような演技になる気がする。
特に最近の作品(観た限りのやつ)はそれぞれ担当する声優が違っていても、どこかけいおん!の唯っぽい声質というか演技になりがちな印象がある。
といっても本作はコメディ作品だし、そもそも男の子に恋してる時点で最初から日常系のキャラとは性質が異なっている。だから演技や声が違っていて当然かもだけど。

公式HPの監督インタビューを見たら
今作が初のヒロイン役らしい。
普通に喋っているときの声が可愛いので、作った声でなく地声でもう一度演技してもらって小澤さんに決まったらしい。
なるほど、そりゃ自然な感じがするわけだ。



以下、印象的だった話の雑多な感想

{netabare}

前野さんめんどくせー!
なぜOPでたぬきが陵辱されているのか不思議だったがそういうワケか!
最近はジョジョ、黒執事、ばらかもんとわりとマトモなイケメン演技ばっか観てたのでこういう小野Dは久しぶりだった。みなみけの保坂以来かな
あれで編集クビにならないのがすごい(笑)
タヌキだらけのマンガも通しちゃうし、前野さんにはなにか不思議な力があるのかも。

少女マンガネタの中でも特に
夏休みスキップする少女マンガには笑った!そんな斬新なのあったら読んでみたい

6話
ローレライとバスケ少年の話はアンジャッシュのコントみたいだった。
あああああ…って身悶える野崎くんが面白すぎる!
この2人も野崎くんと千代ちゃんみたいにいいコンビなんだけど、全然ラブには至らなそう…。
あと鹿島&部長コンビも。
ローレライなのにがさつ過ぎる!鹿島といい、千代ちゃん以外の二人は男子以上に男らしいからなあ。
ローレライを唯一可愛いと思ったのも最終話の若松の想像の中の姿だったし(笑)


7話デート回(デートではありませんでした!)の千代ちゃんは可愛かった
恋する女の子の可愛さがいいね、観ててニヤニヤしてしまう。漫画脳野崎くんじゃ、ぜったいそうはならないとわかっていても
つい期待してドキドキしてしまう千代ちゃん。それが今期さいかわの所以!
凪あすもそうだったけど、やっぱ「恋する乙女」ってのがどんな属性より女の子を可愛くする要素だと思う。
それと、二人の身長差によって
千代ちゃんがいつも見上げる感じになっていて、上目遣いになってるのが可愛さを倍増させているな。

お泊まり回
そのお泊りは少女漫画化されてゆく。風呂上りに突っ立ってるだけで、「前髪下ろしたほうが可愛いよー」の図に変わったのは笑った!
たしかに部長さんは前髪下ろしてたほうがカッコよかったね。
それにしても野崎くんは漫画家の鏡だな。普段も周りの日常会話聞いて少女漫画化してるんだろうなー

友達ん家泊まったとき
24:30くらいの眠いピーク過ぎるとハイになる感じはリアルだった
そんで日が登るくらいに寝るんだよね

最終回

前半のチョコ騒動の話も面白かったし、アイキャッチのタイトル読みが女子ばらばらで男子はぴったり息合ってるのも笑った。でもそんなこと言ってる場合じゃない。
後半の夏祭りがヤバい
ヤバいヤバい!なんでこんなドキドキしちゃったんだよ。自分も千代ちゃんも
野崎くんが漫画脳だってわかってたはずなのに、もしかしてもしかして…?と期待してしまった。
浴衣姿見つめられたり、リンゴ飴食べたり、野崎くんの本心がわかんない〜ってなってからのあれだったし。
いや、もう回想のはさみ方がよかったよね。ジャングルジムの上に持ち上げられるシーンで
初めて出会ったときから今までのこと思い出して野崎くんへの想いが溢れて思わず好きって言っちゃう流れ!
少女漫画かと錯覚してしまうところだよ。あと最終回のタイトルにも見事にやられた!

「この気持ちが恋じゃないなら、きっと世界に恋はない。」
すごい良いタイトルだと思いませんか?
こんな素敵なタイトルを見せられたら、そりゃ何か起こるんじゃないかと期待してしまっても仕方ないですよね。結果は
好きだよ→花火のことかという王道の勘違いパターンでした。
思わず顔に縦線が入る千代ちゃんだけど、その後思わず笑い出してしまいます。
そういうところも含めて野崎くんが好きなんだろうなぁと伝わってくるとても素敵な笑顔でした。
いい最終回だった!

最後に野崎くんの弟っぽい男子が映されたなーわざわざ映したってことは…2期あってほしいな

{/netabare}

【OPED】
まずはじめに一言。
どちらも良曲!!
いやあ、今夏はアニメも音楽も豊作で嬉しいなー。

OP「君じゃなきゃダメみたい」/オーイシマサヨシ

ハナヤマタ、スペダンと並んで
「踊り出したくなるくらいテンション上がる今期三大OP」の一角。
アコギのじゃららんじゃららんというリズミカルさ。イントロからノリノリになれる曲で
野崎くんの周りの楽しい日々がリズムになったよう。
最後の消しゴムとペンで音量のイコライザーを表してるとこがお気に入り。

ED「ウラオモテ・フォーチュン」/佐倉千代(cv:小澤亜季)
♪キライの反対の反対の反対の反対の…
というサビが印象的なこの曲。去年多くの中毒者を出した「回レ!雪月花」と同じ人が作ったらしい。ええ、納得の中毒性です!
可愛らしいEDアニメーションと重なり千代ちゃんが花占いをしている姿が目に浮かびます。
先に述べたように、地声で演じているので歌も自分のままの声で歌っています。作ったキャラ声でこの曲を歌うのは大変そうだし、本当に彼女がオーディションに受かってよかったですね。
この先他のアニメに出るとしたら作った声になるのかな?
歌でも演技でも、できたらまた自然なままの声を聴きたいものです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 38
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

千代の明るくて、でもちょっと寂しげな笑顔が、好印象

「怪物くん」は全く駄目でしたが、「野崎君」は全然大丈夫でした♪
・・・というより、ヒロイン千代ちゃんの、カラっと明るい感じで、でも何だかちょっと寂し気な、半分諦めたみたいな微妙な笑顔が、愛くるしくて・・・かなり好印象・・・。

これって、典型的な躁鬱質(同調質、循環気質ともいう)の人の表情ですね。
きっと、原作者(椿いづみ)さんが、そういうタイプの人なのか?それとも身近にそういう人がいるのか?・・・と色々と想像してしまいましたが、マンガ(と、それを元にしたアニメ)で、こういうタイプのキャラをここまで上手く描いている作品はなかなか思い浮かばないなあ・・・と。

--★解説コーナー★-----------------------------------------------

◎躁鬱質

デジタル大辞泉の解説
そううつ‐しつ〔サウウツ‐〕【×躁鬱質】

クレッチマーによる気質類型の一。
快活な気分と、憂鬱な気分とが交互に現れる気質。
循環気質。


◎循環質タイプ(Z型) wikipedia

このタイプの人は一般的に社交的で善良、親切で暖かみのある性格の人である。
気分が高揚しているときはユーモアがあり活発に行動する。
その反動からか周期的に沈み込む時期がある。
その状況に左右される思考は一貫性が見られず軽率+思慮が浅いといった面を持つ。
その反面、理解は敏速で自己の過大評価におちいらない限り、社会で最も成功をおさめやすいタイプである。
対人関係においてこのタイプの人は、ユーモアに富んだ性格で人に好かれやすい。
人の間に入って潤滑油的な役割をはたす。
(*参考に-太った体格)


◎循環気質 じゅんかんきしつ cyclothymia ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

循環性格,躁うつ質ともいう。
高揚 (爽快) と憂うつ (悲哀) の間を気分が循環して揺れ動き,精神テンポは活発と緩慢の間で波動的曲線をたどる特徴を示す気質。
ドイツの精神科医 E.クレッチマーの学説で,躁うつ病患者によくみられるが,そのほか正常人でも陽気なおしゃべり,もの静かなユーモリスト,情のある人,のんきな人,精力的な実際家などに多くみられ,一般にこの気質の人は太った体型である。


◎じゅんかんきしつ【循環気質】 大辞林 第三版の解説

クレッチマーの分類による気質の一。
同調性が高く親しみやすい。
陽気で活動的な躁の状態と憂鬱で優柔不断な鬱の状態との間で気分が変動したり、一方に傾いたりする。
肥満型の体型の者に多いとされる。
躁鬱気質。
---------------------------------------------------------------

この手の分類でいくと、野崎君の方は偏執質(※固い信念と強い自信によって支えられている自己中心的な性格。ひとつのことにトコトンこだわり妥協を許さないので、芸術家や技術者・学者として大成しやすい)になるのかな?

対する千代ちゃんの方は、自分の気持ちをいつも後回しにして、相手の気持ちを勝手に読み取り、その成就のために尽してしまうタイプ(※だから、「同調質」ともいいます)。
こういう人は、サポート役として最適なんだろうな。
千代のほかにも、野崎君の周りにはそれぞれ特技をもったサポート役がたくさん集まってきて、憎いなあ!このイケメン野郎!と叫びたくなりました。

そろそろ続編が制作されてもいいころなんですが・・・
何はともあれ、千代ちゃんに幸あれ!


◆制作情報
{netabare}
原作マンガ      椿いづみ(WEB誌『ガンガンコミックスONLINE』2011年8月-連載中)
監督         山﨑みつえ
シリーズ構成・脚本  中村能子
キャラクターデザイン 谷口淳一郎
音楽           橋本由香利
アニメーション制作  動画工房{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

=============== 月刊少女野崎くん (2014年7-9月) =============
{netabare}
第1話 その恋は、少女漫画化されてゆく。 ★ 佐倉千代「夢野咲子」先生のアシスタントになる
第2話 新(ニュー)ヒロインをよろしくね♪ ★ 先輩アシ(御子柴君)、KY少女(瀬尾結月)
第3話 バイオレンスVSプリンス ★ 学園の王子様(鹿島さん)と演劇部部長(堀先輩)
第4話 男には、戦わねばならない、時がある。 ★ 御子柴と野崎の徹夜ゲー、御子柴(じゃなく鹿島)の合コン
第5話 恋を「思い」「描く」男子。 ★ 雑誌編集者(宮前剣さん・前野さん)と都ゆかり先生、マミコの気持を考える
第6話 魔法をかけて、あ・げ・る♡ ★ 野崎君の後輩・バスケ部(若松君)と結月、野崎君ダウン
第7話 漫画家脳野崎くん ★ 野崎君と千代の休日デート、美術部モデル(御子柴君)
第8話 学園の王子様(女子)の悩み ★ 演劇部の二人の勘違い、野崎君のドタバタお仕事
第9話 ドキドキ、たりてる? ★ 相合傘イベント、都先生の間抜けなお仕事
第10話 強まるのは、絆と手綱。 ★ 若松君と結月のデート、御子柴の演劇部手伝い
第11話 米しよっ♡ ★ 野崎君のドッキリな展開、男子お泊り会(野崎・堀・御子柴・若松)
第12話 この気持ちが恋じゃないなら、きっと世界に恋はない。 ★★ 千代の5ヶ月遅れのバレンタイン、夏祭りと入学式の思い出、花火{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)11、☆(並回)0、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.3


OP 「君じゃなきゃダメみたい」
ED 「ウラオモテ・フォーチュン」

投稿 : 2025/02/01
♥ : 29

87.0 25 恋愛アニメランキング25位
GOSICK[ゴシック](TVアニメ動画)

2011年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (2850)
14833人が棚に入れました
聖マルグリット学園の図書館塔の上の上、緑に覆われたその部屋で、妖精のような少女―ヴィクトリカは待っている。自らの退屈を満たしてくれるような、世界の混沌を―。その少女は語るのだ。パイプをくゆらせながら。「混沌の欠片を再構成しよう」そして、たちどころにそのどんな謎をも暴く…いや、〈言語化〉してしまうのだ…という。西欧の小国・ソヴュールに留学した少年・久城一弥。彼はふとしたことから知り合った少女・ヴィクトリカとともに、郊外に住む占い師殺人の謎に挑む。しかし、それはある大きな謎の欠片でしかなかった。囚われの姫と、彼女を護る死に神が、幽霊の現われる呪われた船の謎に挑む。白と黒の物語の幕が今、開きます。

声優・キャラクター
悠木碧、江口拓也、下屋則子、木内秀信、鹿野優以、沢城みゆき、大川透、根谷美智子
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

探偵とパイプ

煙草が好きなので、独りでアニメを視聴するときは喫いながら観ていることが多いのだが、本作を見るときは、つい紙巻ではなくパイプの方に手が伸びる。
で、気が付くと画面のヒロインと同じタイミングで吸い口を咥えていたりして、ちょっと赤面する思いをする(ああ恥ずかしい)
ハイヒール型のパイプ置きを買ってしまったことは内緒だ(笑)

本作の初放映の頃に発行されたパイプの本に、「美少女がパイプを喫うアニメが放送されている」というコラムが載っていたのだが、間違いなく本作のことだろう。
専門家の見立てによると、ヴィクトリカのパイプはオランダ製らしい。

ホームズ以来の伝統を意識したパイプなのだろうが、架空の世界の架空の時代を舞台としたフィクションで、絵で描かれた架空の少女が、パイプを咥えるだけで喫煙することは描写できないというのは理由がよくわからない。
怪事件の混沌や、幻想と論理の危うい境目を表象するものとして、たゆたう煙はミステリの演出に大いに有効に思えるのだが。

背景に幾重にも重ねられた物語が、ミステリを通じて描かれる運命的に出会う少年と少女の結びつきの陰に伏流して、一本筋の通った印象を支える。
ミステリとして、隙なく丁寧に描写されているものの、謎の強度や論理展開はさほど鋭いものではなく、ともすれば「わたしの少年」と「ぼくの少女」の、かけがえのない運命の結びつきには無関係にすら見えかねない。

しかし最後まで視聴すると、それでもミステリ(という形式)で物語を語ることが、本作にはどうしても必要であったのだと思える。


(史実に近いが一応は架空の)第一次世界大戦と、(ほとんど架空の)第二次世界大戦の狭間の時代に置かれる物語は、子供と青年の間に挟まれた学生時代と二重化され、世界=社会から隔離された学園が、実在の大国に挟まれて設定された架空の小国と重なり合う。

{netabare}少年と少女の物語に強く結びついて設定された背景は、その「背景」が生み出す「嵐」が「わたしの少年」と「ぼくの少女」の純粋で幸福な結びつきを脅かすことを、自然な流れとして視聴者に納得させる。

「嵐」は、具体的には「世界大戦」を示すと作中では言及されているが、内包されているものは、単に国益の激突という要素だけではない。
そこに込められているものは、「世界」を覆い、駆動する価値観や思想の支配権のゆくえだ。

架空の世界大戦に賭けられているものは、旧大陸=ヨーロッパが代表する「もの」と、新大陸的な価値だ。

作中の「旧大陸」が代表するものは、伝統=時間=歴史性であり、「蓄積された」富であり、精神的なものであり、「オカルト」に代表される非合理をも包括する多層的な価値観、などなど。

一言で集約すれば、実利とは無関係に屹立する「うつくしいもの」だろう。
本作の美術や作画が、全力でそれを表現している。

一方の「新大陸」が現すものは、作中の明示はないものの、アメリカ的な価値観であることは、現実の世界大戦後を生きる現実の視聴者には明らかだろう。

たとえて言えば、プラグマティズム=「実利」のみの論理であり、「現在の」富であり、フラットな平明性であり、一言でいえば「物質的なるもの」の具体性だ。

昨日までの「世界」を一変させるような、この強大な「嵐」の前に、少年と少女の思いは、なんら具体的な「力」を持ちえないように見える。
仮に戦闘を避けることはでき得るにしても、「世界」を塗りつぶす「嵐」の「力」の前に、まっすぐな眼をした「わたしの騎士」の情熱は、可憐な「ぼくのお姫さま」を護り切れるだろうか。

本作が「ミステリ」である意味が、ここにある。

ラストで、互いを互いの腕の中に取り戻す少女と少年は、「ホームズ」と「ワトソン」だ。

その「世界」の論理性=世界そのものを崩壊させかねない「謎」を解き明かす「探偵」こそが、ミステリ「世界」を守護し、まとめあげる特権者だろう。

ミステリ世界の、その「世界」の存在を双肩で支えるものとして、「探偵」は在る。
探偵のいない、「謎」が明かされることのない世界は、「ミステリ」としては存在しえない。

本作がミステリとして語られる物語であることが、「探偵」の存在を絶対的に要請する。

「世界」を揺るがす「嵐」は、その「世界」が絶対的に要請する「探偵」に対抗することができない。
「探偵」であることこそが、「嵐」の暴威と拮抗し、押し戻す少年と少女の「力」の源泉だ。
だからこそ、少女の母は告げるのだ。生き延びるために「謎を解け」=「探偵」であれ、と。

ラストの再会は、ご都合主義の「ファンタジー」ではなく、探偵が膝下に「世界」をねじ伏せる「ミステリ」が生み出している。


別の方向から観ても、「ミステリ」の必然は揺るがないように思える。

本作の背後には、ある王国の裏面史が通底音として流れていることは上述した。

裏面史のエポックである各々の「事件」が「怪」事件として現れてくるのは、王国の裏面史が「近代化」への道程であることを示している。
十分に「近代化」される途上にあることが、「事件」が「怪事件」として現れる必然であり、終幕で、オカルトに対して科学=物質性が最終攻撃をかける展開へとつながる。

ラストで、礼服を脱ぎ去りビジネスマンのような「平服」姿になった国王が描写されているように、第二次世界大戦後に生きる視聴者は、その果てに来るものが、平明で世俗的な物質万能の即物性の世界であることを知っている。

そうした即物性の世界では、具体的な「力」を持たない、かけがえのない「ぼくの少女」を護る「わたしの騎士」は居場所はないだろう。
それどころか、そうした小説やアニメなどの「物語」自体が、「絵空事」だと嘲笑されて見向きもされないかもしれない。
実際に、主人公の少年の子供時代には、そうした「物語」は、「柔らかい」女子供の愛玩物として、一人前の男児が読むものではないとされていた。

そうした即物的現実への対抗として誕生したのが、ミステリとSFだった。

「どうせ現実ではないのだろう」という嘲笑を粉砕するために、現実の即物性を支配する「論理」を「物語」の土台に据えた創作物がミステリだ。
お前の崇拝する現実と同じ「論理」でできた「物語」を嘲笑できるならしてみろ、と逆に嘲笑し返すものとして「ミステリ」はある。(SFについては他作品のレビューに書いた)

互いにかけがえのない少年と少女の絆、「うつくしいもの」を絶対に手放さない物語を嘲笑させないために、本作は「ミステリ」であるのだろう。

だからこそ、「探偵」の少女の設定に、捻じれが生まれる。

旧大陸の古い伝統を継承する少女が発揮する「超常力」が、即物性を支える「論理」の力であるのは、そもそも物語的ロマンと「現実」の関係が捻じれているミステリの定義自体が、呼び込んでいる。


技術的な面でも、本作の「ミステリ」効果は高い。

安彦良和に代表される前世代のアニメーターたちは、しばしば、アニメーターは役者である、といった発言を繰り返している。
アニメーターの描く「動き」がキャラの「演技」になるわけで、演出の指示に応えて「動き」をつけることは、芝居をしているのと同義なのだろう。

確かに、それらアニメーターの実作では、セリフとは異なる表情を作る、とか、動作の予備動作を変えるなどの「芝居」で、感情を表現していた。
が、昨今のアニメでは、こうした「芝居」は後退して、セリフと動作は常に一致していたり、セリフは常に心情と一致しているといった、ある意味で平板な芝居が主流を占めている。

しかし、「ミステリ」であれば、そうした平面的な描写の繰り返しではいられない。
「謎」を表現し、「解決」でそれを明示するためには、言葉にされない動きや、言葉と矛盾する表情は必ず必要になる。

そうした描写が、ミステリ外の物語にも波及して、表現に陰影をつけている。
特に、少女の兄の警部が単なる狂言回しで終わらなかったのは、この効果だろう。

現実のヨーロッパというモデルがあるとはいえ、架空の国を、風土や産業や文化、服飾に至るまで、見事に統一感をもって設計、表現した作画が、それを支えていた。
文化的なコード性を無視した建築物や服飾を混ぜ込んでしまう異世界物の製作者は、これを見習ってもいいのではないだろうか。


再会を果たした少年と少女の背後で、世界大戦は新世界の物質的即物性が勝利を収めた。

「世界」は、旧世界から新世界へと支配者を変えたことを、視聴者も知っている。

そうした、すべてを白日の下に晒すフラット性の支配の前に、旧世界の旧い「生き物」たちが書物の中へ、「物語」の中へと消え去ってゆく描写は象徴的に感じられた。

物語の中に「生きる」というよりも、「消えてゆく」印象が強いのは、さらにラストの、少年と少女が画面の奥へと去って行く描写の印象に引きずられているせいだ。

互いを見出し、決して離れないと誓う彼らは、成長して新世界へと旅立つというよりも、するべきことを成し遂げ、世界から引退したように見える。
互いを手に入れることこそが自らの「成長」であり、「世界」には何の関係もないと。

論理を武器に現実を覆す「ミステリ」の必然が、このラストを導き出したようだ。

「推理」をする/語るとき=「探偵」であるとき、少女の手には常にパイプがあった。
「探偵」役を放棄し、「わたしの少年」以外のすべてを捨て去った少女が、パイプをも捨て去っているのが象徴的に感じる。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7

keylove さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

最終話、二度観してしまいました。神ED、最後まで観て欲しい作品

先に追記です♪
この最終話はなぜかもう一度観たくなりまして。
いや、なぜかということではなくて、この最後は好き!
ってことで、観ちゃったんですね。
案外、こういう最後を予想する人はいないと思いますね。
具体的に書いちゃうと面白くもなんともないし、そもそもネタばれになっちゃうから書きませんけど、このストーリーにして、この最後を観た気持ち。
あのシーンをもう一度観たいって名作はたくさんあるけど、これもそれの一つに挙げていいんじゃない?って個人的には思いますね。
ジャケットデザインとはまた違う良さというのが観れると思います。
当たり前ですけど、最初から観ないと意味はありませんけどね。
記憶に留めておきたいので、追記しておきました。
観てほしいのもありますよー。
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物語は1924年のヨーロッパのソヴュール王国という架空の国が舞台。
主人公は小さな女の子。
といっても、一応は14歳の学生で、頭脳は天才的。
貴族の子供たちの通う学園の図書館の最上階にいつもいて、本を漁るように読んでいるか、退屈で死にそうになっているか。
見た目は本当に幼い子供。
背も小さくて顔は幼い。
髪は背の丈ほどもあるきれいなストレートの金髪。
名前はヴィクトリカ・ド・ブロワ。

このお話に欠かせないのがもう一人の主人公、
久城 一弥
日本からの留学生で、友達は少なく(これには訳があって第一話において、黒髪の悪魔という怪談になぞらえられることから)
たまたま知り合ったヴィクトリカといつも一緒にいることになる。
一弥はよく事件に遭遇するのだが、それを解いていくのがヴィクトリカ。

アニメの紹介や表紙の雰囲気とはまた違う、ツンデレで可愛い主人公の姿を見れるのでとても良いです。
もっとおどろおどろしいというか、サスペンスに溢れたものだと思っていたのだけれど(もちろんそれもメイン的にあるのはあるんですけど)そういう要素だけではなくて、この主人公たちの心の繋がりというものが描かれていたり、さりげないしぐさでの可愛らしさがあったりして、そういう見方をするとまた違う魅力があって、ストーリーにも馴染んでいける気がします。
主人公は好青年で、ヒロインはツンデレ。
よくあるパターンではありますけど、作画が良くてキャラデザも良いので、それだけでも観る価値はあるかと思います。

音楽もエンディングなんか特に良いですね。
イントロがとてもミステリアスで雰囲気が出てる曲です。

ここから追記です。

視聴終わりました。

途中は久城 一弥のダメダメぶりに腹が立ちさえしますね。
お前はいつもなんでそれに気付かないんだよ!的な。

それでも二人は成長していきます。
年齢のとこではなくて、精神的に。
そして強くなる、自分も、お互いの絆も。

本当のほんとのラストまで展開が読めませんでした。
名探偵コナンを思い出してみるとわかりますが、ああいう感じで、それぞれの謎や事件は解決していくんです。
それはまさに頭脳明晰なヴィクトリアのおかげ。

先に声優さんたちのことを書いておきます。

主人公
ヴィクトリア(悠木 碧さん)
まどマギが圧倒的に有名でしょうけど、俺のラブコメなど、多数で活躍されていますね。
ヴィクトリカの何が良かったって、この人の泣きかたが最高でした。
あれほど派手に泣くなんて、ツンデレ、ぷにぷにほっぺからは想像がつかないといってもいいほど。

久城 一弥( 江口拓也さん)
東のエデン、俺のラブコメ、俺物語など大活躍ですよね。

声優さんはこれぐらいにしておいて。

最後に感想ですけど、気持ち良く観ることができました。

時代の背景に流されていくあたりからは、もう目が離せません。
この章じたいはものすごく短いんです。
だから、最後まで観ないとそれが観れないので、つまりは一番肝心なところが観えなくなります。

※追記です
エンディングテーマ
「Resuscitated Hope」(第1話 - 第12話)
は本当に素晴らしいです!
この物語の壮大さを表現している名曲ですね。

「unity」(第13話 - 第24話)
作詞 - 渡部紫緒 / 作曲 - Asu(The New Classics) / 編曲 - 長谷川智樹 / 歌 - コミネリサ
は、この二人のことを歌っている名曲です。


ただの推理物だと思って観ないでほしいです。
これは壮大な恋愛劇だと思ってもいいですね。

もっと奥が深い流れがありますから。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 34

ぽぽたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

萌えミステリーアニメだとミスリードされるが。。解説します。

ゴスロリ少女に萌えるだけのミステリーアニメとして
認知されてしまうのが非常に残念です。。
確かに、物語にゴシックホラー的要素は少なく
ヒロインがゴスロリ服を着ているくらいしかゴシック要素ありません
しかし、設定倒れのアニメではなく深いストーリーと見所もあります。

ストーリーは少女が事件を解決するミステリー回が多いものの
描こうとしている本筋は全く別であって
少女の解決するミステリーは本筋の伏線でしかありません。
つまりミステリーはこの作品のスパイスに過ぎません
ゴスロリ金髪美少女に萌えるだけでも視聴する価値は充分ですが
それだけでは勿体無いなので考察を書かせてください。


・設定
第一次世界大戦後、ヨーロッパの架空の小国が舞台
錬金術などのオカルトが未だに存在しています。
半現実半ファンタージーといった世界ですね

ヒロインは灰色狼という異能の力を持つ存在と
人間の間で無理やり作られた少女
長い間地下幽閉されていて、誰からも愛されず
誰を愛すこともなく成長してきました。
世の中のことも知識としてしか知らず、経験はしていません


・主人公
日本のエリート軍人の家系に生まれましたが
不出来な自分にコンプレックスがあり
小国に逃げるように留学してきます。
珍しい東洋人の黒髪が不吉とされ浮いてしまったことで
担任からクラスに溶け込むために怪談を読むように勧められます
怪談がブームらしいです。。
オカルト信仰が未だにあるようですね


・ストーリー
図書館で出会う主人公とヒロイン
ここから物語の始まりです。
出会いのシーンの描写は美しいです
ヒロインは図書館で本を読むこと以外することがなく
基本退屈しています。。ゴロゴロしてます(萌)
灰色狼の血は頭脳明晰であるため高校にある書物では
飽きてしまうのでしょう
あるきっかけで怪事件を推理することになったヒロイン
事件の推理が暇つぶしとなってしまい
事件を探してくるようにと主人公を使いに出す毎日が始まります


・物語の核心
ネタバレは回避しますが
ヒロインに最初の事件推理を持ち込んだ人物の血縁者には
ドス黒い野望があります。
彼は灰色狼の子を軍事利用しようと目論む黒幕です
オカルト信奉者の大悪党ですね
どうやって子供を作るかは。。お察しください。


・ミステリー
ストーリーの中心は少女の推理回です
1話で解けてしまうような難度の事件です
面白いのはオカルト事件を科学的視点で解決するという所です
このセンスは非常に楽しいですね。
自分がオカルト側の存在であるヒロインが科学で事件を解決する
これは自身の因縁への反抗と捉えることもできます。
状況証拠を聞いて、まぁそうなるよね。。って推理をしますが
ヒロインのドヤ顔と中二台詞もかわいいですよ(萌)


・ラブコメ
ヒロインは天才ですが、非常に幼稚でわがまま
ツンデレタイプです。それに振り回される主人公
しかし、2人の関係は互いに欠けていた心のピースの埋め合わせに
なっていきます。
ヒロインは他者への信頼と愛情
主人公は他者を守れるという自身と覚悟
じれったく幼い恋愛は見ていてほっこりします
ラストは泣いてしまうかも。

・作品テーマ
ストーリーのラストの内容まで書きませんが
ヒロインは科学という実証できるものしか信じていませんでした。
ですからオカルトにも否定的、もちろん自分の境遇を省みれば
オカルト肯定派になるわけもないのですが。。
しかし、『愛』という実証できないモノを信じるようになります。

物事の判断基準や行動指針は、論理的に実証できるかかが
全てではなく『愛』を含めた感情で判断、行動することも
大切であるというのが作品テーマではないでしょうか


・さいごに
推理物を多く読まれる方には陳腐なミステリーに思われるであろう
内容ですし、オカルトを題材にしながら雰囲気も明るい
しかし、作品テーマを捉えてみると見応えのあるアニメではないでしょうか
萌えアニメとしても特級品です(笑)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 24
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