心理描写でラノベ原作なTVアニメ動画ランキング 5

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の心理描写でラノベ原作な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月10日の時点で一番の心理描写でラノベ原作なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

94.3 1 心理描写でラノベ原作なアニメランキング1位
ヴァイオレット・エヴァーガーデン(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★★ 4.2 (2564)
10454人が棚に入れました
感情を持たない一人の少女がいた。
彼女の名は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
戦火の中で、大切な人から告げられた言葉の意味を探している。
戦争が終わり、彼女が出会った仕事は誰かの想いを言葉にして届けること。
――戦争で生き延びた、たった一人の兄弟への手紙
――都会で働き始めた娘から故郷の両親への手紙
――飾らないありのままの恋心をつづった手紙
――去りゆく者から残される者への最期の手紙
手紙に込められたいくつもの想いは、ヴァイオレットの心に愛を刻んでいく。
これは、感情を持たない一人の少女が愛を知るまでの物語。

声優・キャラクター
石川由依、子安武人、浪川大輔、遠藤綾、内山昂輝、茅原実里、戸松遥
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「愛してる」と自動手記人形と「愛してる」

原作未読。最終話まで視聴。

【総評】
引き込まれるように、思わず見入ってしまう・・・。
上手く言えないけど、そんな作品でした。

まずは、圧倒的な作画。
他の制作会社の作画もクオリティが相当高くなっている昨今、それでも作画で唸らせる京アニクオリティは圧巻です。

個性豊かなキャラと、それを巧みに演じられた声優陣も、とても良かったと思います。

感動的な物語の数々も、とても良かった。
涙腺崩壊系の話とヴァイオレットの関わり方がとても綺麗に描かれていたと思います。

すでに続編も決定しているとのこと。
楽しみにしています。

【酷評を少々】
放送前の盛り上げ方が半端ありませんでしたので、非常にハードルを上げて視聴を開始された方も多かったはず。
かくいう私もその一人ですが(笑)
そのため、「んっ?」と感じるところも少なからず存在しちゃう訳で・・・。

本作の評価は、「物語」と「音楽」の評価がポイント(評価の分かれ目)だと思います。

【物語について】
本作の一番の問題点は、{netabare}3話以前と4話以降のヴァイオレットが別人のように感じてしまうこと。
要するに、『一気に急成長しすぎ』なのである。{/netabare}
この部分が気になるか、ならないかで、評価が分かれると思う。

この点について、私は脳内補完しきれませんでしたのでマイナス評価です。

もう一つの問題点は、{netabare}11話~13話前半のくだり。
ここにきて何故か主人公最強系の「超人少女ヴァイオレットちゃん」的な展開に・・・。{/netabare}
このくだりの必要性が理解できるか否かで、評価が分かれるのではないかと思う。

この点について、私は「必要性が理解できる」として特にマイナス評価はしていません。
それは、{netabare}ヴァイオレットがギルベルトへの思いを言葉にするにあたり、ギルベルトの母との出会いを描く必要があり、ギルベルトの母との出会いを描くには、ディートフリート大佐との和解じみた話も必要となると思うからです。
『もう誰も殺したくないのです』
このあとのヴァイオレットの一連の行動は、大佐の心を動かすのに充分だったと思います。{/netabare}
{netabare}11話の依頼人との出会い方とか、{/netabare}おかしな所も多々ありますけどね(笑)

【音楽について】
この作品ほど、EDが話題になる作品は少ないと思う。
”あにこれ”のレビューでも、EDの話題をよく目にする。
ここも評価の分かれ目になると思う。

個人的に、特にEDが不愉快に感じたのは第2話と第5話。
ED曲自体は問題ないと思うのですが、ED曲の使い方にマイナス評価です。
唐突に始まるので『ドキッ!』としちゃう。
非常にもったいないです。

【以下は、各話レビュー的な「何か」です】(笑)
{netabare}
【第1話】
まあ、京アニですから、作画は全く申し分ないですね。
他の制作会社の作画もクオリティが相当高くなっている昨今、それでも作画で唸らせる京アニクオリティは圧巻です。

物語は、まだまだ掴みの段階でしょうが、名作の予感が更に高まりました。
第1話だけで、思わず泣きそうになってしまった。

良作目白押しの今期の中でも、頭一つ抜きん出ている印象があります。
(第1話の段階で・・・、ですけどネ)
最後まで、しっかりと見届けたいと思わせるような作品です。

【第2話】
ふ~ん。「ヤキソバ」ねぇ・・・。
しかも、箸で食べるんだ・・・。
もしかして、笑う所なのかな?

人の気持ちが理解出ないヴァイオレット。
自動手記人形として、{netabare}間違ってはいないけど、大失敗をしてしまう。{/netabare}

人の言葉の裏を読むのは、難しいからね。
基本的には優秀な彼女だが、彼女にとっては一番難しい仕事。
それでもこの仕事を続けたいヴァイオレット。
『愛してる』の意味を知りたい。
ただそれだけの理由で。

{netabare}ブローチが戻ってきて良かったね!
ホッジンズの郵便社に来てから、初めてじゃないかな?
ヴァイオレットが感情を見せたのは・・・。{/netabare}

ところで・・・、{netabare}茅原さんの歌声が邪魔だと感じたのは{/netabare}私だけですかねぇ?
歌とかはともかく、声が・・・。
普段は彼女の歌、別に嫌いじゃないんだけど・・・。

【第3話】
自動式人形育成学校でも{netabare}相変わらず、優秀なヴァイオレット。
どうしても、人の気持ちが理解できず、報告書のような文章しか代筆出来ない点を除いては・・・。

『良き自動手記人形とは、人が話している言葉の中から、伝えたい本当の心をすくい上げる者』
自動手記人形とは、単なる代筆業ではなく、相手の本当の想いをくみ取り、綴っていく仕事。

ルクリアとの出会いが、彼女を少しだけ成長させた。{/netabare}
なかなかの感動回でした。

【第4話】
アイリスの回。
親の心子知らず、子の心親知らず(?)な話。
で、なにやかんやあって、アイリスとヴァイオレットが仲良くなる話。

{netabare}「少しは理解出来るようになったと思っていたのですが、人の気持ちは、とても複雑で繊細で、誰もが全ての思いを口にするわけではなく、裏腹だったり、嘘をつく場合もあり、正確に把握するのは、私にはとても困難なのです」{/netabare}
{netabare}「『愛してる』は、とても勇気のいる言葉なのですね。受け入れられないとそこにいたくなくなるくらいに・・・。あの時の少佐もそうだったのでしょうか」{/netabare}

ヴァイオレット、{netabare}良い手紙を書けるように{/netabare}なってきた。

しかし、未だにEDが馴染めないのは私だけでしょうか・・・?

【第5話】
良い話だった~!
シャルロッテ姫とアルベルタの話。
血のつながりにも勝る二人の関係が、とても素敵でした。

ヴァイオレットは、本当に良い手紙が書けるようになった。
ところが、この話でヴァイオレットは、{netabare}ほとんど手紙を書かない{/netabare}。
しかしヴァイオレットは、しっかりと依頼に応え、最高の結末を迎える手助けをする。
社長から貰った犬のぬいぐるみが、机の上にきちんと飾られていたのも彼女の成長の証。
ラストの笑顔は本当に可愛かった。
ヴァイオレット、{netabare}14歳{/netabare}ってマジですか?

EDだけが未だに受け入れられない。
『かけがえのない 宝物~♪』の所に、感動的なシーンを被せたいのだろうけど、少々耳障りに感じる。
第2話と同様、歌声が気になって、肝心のセリフが台無しな気がする。

【第6話】
{netabare}天文台に古い本がたくさん集まって、それを書き写すために集められたヴァイオレットたち自動手記人形。
天文台の解読係の人とコンビを組んでのお仕事。{/netabare}
なるほど。自動手記人形にはこういう仕事もあるんですね。
相変わらずポテンシャルの高さを見せるヴァイオレット。

様々な愛の形に触れていくお話なのかな?
今回は、{netabare}「寂しい」という感情を知る{/netabare}ヴァイオレット。

毎回、EDの始まりが心臓に悪い。
もう少し静かに始めるようにした方が良いと思うんだけど・・・。
もしくは、事前にカウントダウンしてくれるとか!(笑)
本音で言えば、CMで流れていた『Violet Snow』の方が作品のイメージにピッタリだと思う。
これだけ評判の悪いEDってどうなんだろう?

【第7話】
妻と娘を失った舞台の脚本家との話。
「いつか、きっと・・・」

脚本家の過去話から、{netabare}ヴァイオレットは、この思いが遂げられなかった時の悲痛な思いを知ることに・・・。
同時にヴァイオレットは、過去の自分が、一体どれだけの人の「いつか、きっと・・・」を奪ったのか、痛感する。

その後、思わぬ形で少佐の死を知ったヴァイオレット。
ヴァイオレット自身も、「いつか、きっと・・・」を奪われた・・・。{/netabare}

本当に上手い展開だと思いました。

ED曲は今回の使い方ならアリかな?
一瞬の暗転で心の準備ができるし。

【第8話】
『ヴァイオレットと少佐の過去編その1』という感じかな?
少佐の優しい人柄は、凄く伝わってきた。
対して、ヴァイオレットの想いが、こちらにうまく伝わってこない。
表情の変化も少ないし、言葉も少ないので仕方がないかも知れないけど・・・。

まあ、今後に期待という事でしょうか?

戦闘シーンは迫力があって良かった。
ところで、ヴァイオレットちゃんは、なんであんなに強いんだ?

【第9話】
サブタイトルが作品のタイトルと同じ。
それだけ、重要な回。
それが相応しい、神回だったと思います。

前半は、前回の続きから{netabare}始まって、ヴァイオレットが両腕を失い、そして少佐との最後の記憶までが描かれる。
ヴァイオレットの左腕がずり落ちる場面は、グロさを抑えつつ、無残さだけはしっかりと伝える、見事な演出だと思った。
{/netabare}
中盤は、{netabare}ヴァイオレットの苦悩と、彼女のことを心配する周囲の人々が描かれる。{/netabare}

そしてヴァイオレットにとって、転機が訪れる。

{netabare}「どれ一つ取ったって、誰かの大切な思いだからな。届かなくていい手紙なんてないんだ」

一つは、手紙を配達している時に耳にした、手紙が届いたことを喜ぶ少年の声。
もう一つは、エリカとアイリスからの手紙。
そして、ルクリアの兄・スペンサーからの代筆依頼。

「手紙を貰うというのは、とても嬉しい事なのだと分かりました」
ヴァイオレットにとって、手紙が『仕事』から『貰うと嬉しい物』に変わった瞬間。
今、自分がしていることは、他人を幸せな気持ちにする仕事であることを知る。{/netabare}

{netabare}スペンサーの代筆を終え、ヴァイオレットは、今まで自動手記人形としてやってきたことの、その後を知る事となる。
一つは、スペンサーが立ち直ったこと。
もう一つは、シャルロッテ姫夫妻の幸せそうな今。
もう一つは、舞台の脚本家の今。{/netabare}

{netabare}「してきたことは消せない」
誰にも過去を消すはできない。
誰にも過去を変えることはできない。

ヴァイオレットにとって、”兵器”としてしてきたこと=『他人を不幸にしてきたこと』も消せない。
そして、その後”自動手記人形”としてしてきたこと=『他人を幸せにしてきたこと』も・・・。

だけど、今を変えることで、未来は変えていける。{/netabare}

↑ネタバレばっかりでごめんなさい^_^;
今回はEDまで含めて、本当に良かった。

しかし、ベネディクトくん。配達の仕事をする人が{netabare}ハイヒール{/netabare}は無いわぁ(笑)

【第10話】
この回は『涙腺崩壊回』とでも命名しましょうか?
この回、涙無しで視聴出来た人、どのくらいいるのでしょうか?

ラストの{netabare}ヴァイオレットの涙は、もはや反則でしょう。
『私・・・、私、お屋敷では泣くのを我慢していました』
見ているこちらは我慢出来ませんでした(笑)

それと、繰り返し視聴時の涙腺崩壊ポイントが、ヴァイオレットを見送った時のアンのセリフ。
『私、あの人が書いた手紙、読んでみたかったな』
「この時のアンの願いが、この先、50年にも渡って叶っていくことになるんだ」って考えたら・・・。{/netabare}

正直、物語の途中で、何となく結末は分かるのですが、それでも泣かせる演出は流石です。

今回のEDも良かったと思います。
{netabare}手紙の朗読に合わせて、静かなイントロから始まって、音量も手紙の朗読を邪魔しない、絶妙な音量。{/netabare}
何故、最初からこれが出来なかったのかな?

【第11話】
ん~?あれあれ?ここにきてこんな話?
9話、10話と大きく盛り上がってきたのに、ここで1回下げる?
(あくまでも個人の感想です)

いえ、『”元”軍人のヴァイオレットちゃんが、戦場に駆けつけて、兵士のために自動手記人形する物語』というのは”アリ”かも知れないけど・・・。

演出というか、展開が強引すぎて、感動してよいやら悪いやらで・・・。
展開が強引な部分を除けば、感動的な話だったと思うのですが・・・。
(まあ、さすがにラストは涙腺が崩壊してしまいましたけどね(笑))

終盤にきてこれでは少々評価が厳しくなっちゃうかな?
ここからの盛り返しに期待したいと思います。

【第12話】
11話に引き続き、「超人少女ヴァイオレットちゃん」の物語・・・。
って、おいおい・・・。

11話、12話と物語の軸がブレてきている気がする。
3話~10話までは、涙腺崩壊系の感動ストーリーの数々。
ところが、11話、12話は、主人公最強系の戦争モノ?

少佐の「愛している」の意味を知りたい話がどういう結末を迎えるのか?
最終話を座して待ちたいと思います(笑)

【第13話】
序盤は引き続き「超人少女ヴァイオレットちゃん」の物語。
う~ん。

中盤は良かったと思う。
少佐の母との対面は、ヴァイオレットの心を少しは軽やかにしたのではないでしょうか?

笑いと感動の終盤は満点でしょう。
そう。これが視聴者が求めていたエンディングですよ!
このエンディングを引き立てるために今までのEDがグズグスだったのか(笑)

{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 187
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

超一級の作画によって紡がれた愛の物語(※追記)

アニメーション制作:京都アニメーション、
監督:石立太一、シリーズ構成:吉田玲子、
キャラクターデザイン:高瀬亜貴子
音楽:Evan Call、原作:暁佳奈

京アニが世界へ発信するために制作した純愛ストーリーの作品。
戦時中に多くの敵兵を殺した心を持たない主人公が、戦後になって代筆業を通して人の気持ちを知るという物語だ。

冬アニメが始まるまでは、この作品に最も期待していたのだが、結論としては期待外れだった。いや、全体の完成度は高く、良いお話として成功する要素は十分にあったと思う。ただ、どうも物語のなかに入っていくことができなかった。
単に私の好みの問題もあるかもしれない。また、1話について何度も見返したわけでもないので、理解不足なところもあるのかもしれない。ただ、何度も見たいとも思えないのだ。

「心を持たない機械のような主人公が愛を知る」なんていう物語は、はっきり言ってありきたりのテーマだ。これまで制作されてきた映画なら『レオン』や『ニキータ』などを持ち出すまでもなく、そこらじゅうに転がっている。それをどのように見せるのかが、いちばんのポイントなのだが、この作品には正直、付いていけなかった。要するにヴァイオレットの心の動きがあまり理解できなかったし、それについて共感できなかったのだと思う。何と言うか各話のつながりや除々に心を開いていく様が見えにくかった。

いや、だからといって、この作品が全くダメかというとそんなことはない。一定のレベルは十分にクリアしているし、良いところはたくさんある。{netabare}例えば10話などは、死期の近い母親が子供にメッセージを残すというベタな話だったが、脚本もしっかり練り込まれていて良かったと思う。{/netabare}また、作画はどの回も安定していて、ヨーロッパ風の街並みなどは、ほかの制作会社では真似のできない圧倒的なクオリティの高さだった。

しかし、全体の構成なのか、段階の踏み方なのか、ドラマなのか、期待値からすると、かなり物足りない印象だった。{netabare}最終回にしても、もう少しやり方があったのではないかと思ってしまう。爆弾の処理や失った手があっという間に直っている(あの手を直そうと思ったら安くても数千万円はかかりそうだ)のは、些細な問題として、後半にもう少し工夫できなかったのだろうか。かなり冗長に感じてしまった。ラストにしても少佐が生きていた、もしくは近い人に会ったことを匂わせたのだろうが、あの終わり方も疑問だ。
やり方によっては、名作になるだけの要素はあったと思うのだが、最終的にはごく平凡な作品として終わってしまったという印象。続編のテロップが出たが(少佐との再会の話になりそう)、{/netabare}この作品の成功は、結構難しいのではないだろうか。まぁ、TV放映すれば見ても良いが、映画館にまで足を運ぼうとは思わない、という作品だった。京アニには別の作品に期待したいと思う。

※ほかの作品とのバランスを考慮して評価を上げました。3.3→3.6(2018年6月26日)

(2019年9月14日追記)
先日、外伝を鑑賞して改めて感じたが、この作品にヴァイオレットの無敵戦闘設定は必要なかったのではないだろうか。作品がやろうとしている方向性を考えると、かえって邪魔になっている。無敵の戦闘能力があって、超絶の美人で頭が良くて感情はないが人に対して優しい。この特徴はヴァイオレットを主役として物語を進めるときに、話を作りにくくしている。ヴァイオレットの目を通して、人々の物語を紡ぐ場合には、腑に落ちる話が多いだけに、勿体なかった気がする。

(2020年9月22日追記)
劇場版の最終作に出かけたあと、OVAのEXTRA EPISODEをようやく観た。もしこれからこの作品を観る人は、4話のあとにEXTRA EPISODEを観ることをお薦めしたい。話がスムーズに感じるし、ヴァイオレットの心の動きをしっかり理解できる。もちろん、それがなくても感動できた人のほうが多いだろうが、とても良いエピソードなので、逃さずに楽しんで欲しい。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 137
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

愛情が込められた手紙は宝石よりも大切な宝物

この物語は「手紙」に込められた愛情を深く感じる物語です。
とても心が温かくなります。

戦場で両腕を失った孤児のヴァイオレットは、愛してるの意味を知りたくて、自動手記人形サービスの仕事をします。
この職業は、依頼人の話している言葉の中から伝えたい本当の心をすくいあげ、手紙にするものです。

でも、依頼人の話す言葉には建前や虚勢が混ざったりして、本音が隠されている場合もあります。
そのため、人の心を察するのに慣れていないヴァイオレットは、ついつい建前の言葉をそのとおりに手紙に書き、依頼人を怒らせてしまいます。
でも、仲間に助けられ、人の優しさや喜び悲しみを知ることで、少しずつ成長していきます。

たった一人の肉親である兄への感謝の手紙
両親に迷惑をかけたことへのお詫びの手紙
憧れの人へ宛てた、偽らざる想いを込めた手紙
幼い娘の幸せを祈り、逝ってしまう母からの手紙

これらの手紙には、みな愛がこめられています。そしてヴァイオレットの心をはぐくんでゆきます。


手紙は、時間と場所を超えて想いを伝えることができます。
それは、とても素敵なことです。
特に愛情が込められた手紙は、受け取った人にとって、宝石よりも大切な宝物になる場合があります。
さらに、手紙の差出人が既に亡くなられた方だったら、愛情が込められた手紙は、何物にも代えがたい大切なものになるでしょう。


最後に、
この物語(特に第10話)に感動された方は、
ARIA The Animationの第四話「その届かない手紙は…」を見ることを是非お勧めします。

{netabare}
複数の方のレビューで、
ストーリィがご都合主義だとか
機械の手をしている必要があるのかとかの意見があります。
確かにその通りだと思います。

でも、人間で完璧な人は一人もいないと思います。
誰もが長所もあれば欠点もあります。
欠点がある人を排除したら、友達は一人もいなくなります。

私は人と接するときは欠点を非難するのではなく、長所を褒めてあげたいと思っています。

このアニメも、感動し涙を流した回があり、その事実は否定できません。
私はそれを褒めたいと思います。

エンディングに関しても、
確かに失敗した時もあったかもしれません。
でも、第10話のエンディングは、私が今まで見たアニメの中で最高のエンディングでした。
これ以上素晴らしいエンディングは見たことがありません。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 134

87.4 2 心理描写でラノベ原作なアニメランキング2位
灰と幻想のグリムガル(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (1961)
9444人が棚に入れました
薄暗い森の中、わずか2体のゴブリンを相手に苦戦を強いられている6人の少年少女がいた。
盗賊のハルヒロ、暗黒騎士のランタ、神官のマナト、戦士のモグゾー、狩人のユメ、魔法使いのシホル。
彼らには、ほんの数日前、暗闇の中で目覚めてからの記憶しかない。
自分たちが、どうしてこの世界――『グリムガル』にいるのか、わけもわからないまま、彼らは見習い義勇兵として歩み始めた。
ここで生きるために――。

主人公・ハルヒロがある日突然迷い込んでしまった世界・グリムガルにおいて、“生きるために”過酷な環境や仲間との絆に向き合っていく様を描いた青春群像×ファンタジー作品。

声優・キャラクター
細谷佳正、吉野裕行、島﨑信長、落合福嗣、小松未可子、照井春佳、関智一、浪川大輔、安元洋貴、能登麻美子
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

主人公最強の対極、リアルな異世界ファンタジーバトル

原作未読。キャッチさんからの紹介で視聴。

ゴブリン相手に四苦八苦するような6人組の弱小パーティの物語。
主人公最強ではない、リアルな設定の物語です。

主人公たちの成長があまり早くないので、特に前半はテンポが悪く感じるかも。
個人的には、4話区切りで物語が大きく転換していく、バランスの良い構成に高評価。
{netabare}1~4話は、物語の世界観の説明とマナトの死。
5~8話は、メリイの加入とマナトの敵討ち。
9~12話は、メリイの昔の仲間の敵討ち。{/netabare}

作画は水彩画のような街並みと、最後まで乱れなかった人物の描画はお見事。
バトルシーンも迫力があって、とても良かったと思います。

キャラには私の苦手なタイプが一人・・・。少しマイナス評価。
空気の読めないお調子者は苦手なんです。
しかも口が悪い。性格もイマイチ。
この嫌な感じが『SHIROBAKO』のタローみたいだと思っていたら、やはり同じ声優さんでしたか。

続きも見てみたいと思える作品でしたので、第2期を期待したいです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 94
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

弱いなりに生きる

印象派の画家が描いた、
水彩画のような美術背景に心が洗練される。
中世ヨーロッパの街並みが美しい。
芸術的でどこか暖かく懐かしくもある。

グリムガル世界の辺境には、
人類と敵対する種族が暮らしている。
空には赤い三日月、
ゴブリンやコボルトが普通に暮らしている。
{netabare}どうしてここにいるのか?
いつからここにいるのか?
過去の記憶もないままに戦いに導かれる者達。{/netabare}

異世界転生や主人公最強系アニメ、
最近の風潮に対する、
カウンターもあったのかも知れない。
このすばとグリムガルは、
真反対の演出でやってくれましたね。
キャラの心理描写が丁寧で好感が持てる。
{netabare}ボロボロの下着を洗濯する芸の細かさ、
RPGパーティーの弱さが逆にリアルである。{/netabare}
少し気になったのは、目標設定だけ、
明確にして欲しかったと思います。

命のやりとり、
魔法では癒せない傷。
ここには葛藤がある。
それは弱いなりに生きるということ。

グリムガルは名作だろう。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 91
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

【鑑賞日記・完】RPG愛、そして……ゴブリン愛に満ち満ちたファンタジーアニメ

原作ライトノベルは七巻まで購読中。

☆総評

かつて『Wizardry~ウィザードリィ~』等の古典的ロールプレイングゲームにおいては、
物語はクリエイターからプレイヤーに一方的に下賜されるものではありませんでした。
自作した様々な種族、職業のキャラクターでパーティを組み、
ヒットポイントの削り合いに一喜一憂しながら、
冒険者たちのストーリーを夢想したものでした。

その為、プレイヤーの中には過剰とも思われる妄想力を膨らませる者も現れました。
『Wiz』についても、例えばゲーム雑誌投稿コーナー「ウィザードリィ友の会」に、
俺達が考えた冒険ネタを持ち寄る猛者達が実在したのです。

単なる数字の増減に過ぎないRPGに、時間を湯水の如く投入するに止まらず、
その上、物言わぬ自作キャラ達の妄想ストーリーを爆裂させる。
さらには個々のモンスターの“人間ドラマ”まで展開する。
端から見れば正気の沙汰ではない、恐ろしくマニアックな試みw
けれど、テーブルトークRPGのコンピュータ上での再現たる、
ビデオゲームのRPGにおいて、妄想こそ王道でもあったのです。

本作はそのスピリッツの継承を存分に感じられる作品です。

正直、これがリアルな青春……だとは私はあまり思いません(苦笑)
24時間ネタ全開の暗黒騎士や、クレッシェンドゥゥゥ!な義勇兵なんて、
現実世界にはあまりいないでしょうしw

ただ、本作にはファンタジー世界に放り込まれた少年少女が、
どんなことを感じ、生きていくか……。
膨大な量の妄想とその成果たる心理描写が積み重ねられています。

その結果として普段あまり冒険に出ない視聴者の中にも、
リアルな人間ドラマという感想を抱く方がいて頂けたなら……。

昨今、進化が著しいロールプレイを重視した海外製RPG等の隆盛と併せて、
あの時、繰り広げた俺達の妄想も無駄でなかったのだなぁ……。
と、妙な感慨に耽ることができるのです。

☆声優に“芝居”をしてもらうためのアフレコ現場改革

本作のアフレコ現場では、まず監督からキャストへの方針説明等から始まり、
その時々のキャラクターの心情や、それを声で表現するため入念な打ち合わせが重ねられ、
声が当てられていったそうです。

……当たり前じゃないか?と思われるかもしれませんが、
これが当たり前じゃないのが、依然、地位向上半ばの声優業界の惨状でして……(苦笑)

基本、台本だけ渡して、一人一人、声当てて、問題なければお終い。
酷い現場になると「テキトーに声当てとけばいいよ」と投げやりな有様w

これだと、声優たちが一発でOKをもらうために、
味付けの濃い萌えイケメンキャラボイスを当てる、反射神経は発達しても、
一人の人間を“芝居”で表現する演技力の向上など望むべくもない。

こうした声優業の現状に対する監督の問題意識が、
本作の声優の“芝居”からは存分に感じることができました。
結果、二次元世界の中に人間を感じることができた。
という視聴者が出てきたのも必然だったと言えるでしょう。

6月のファンイベントでは声優陣が朗読劇を披露する演目もあるとのこと。
声優の“芝居”の力を磨く、大変素晴らしい試み。どんどんやって欲しいです。

☆(K)NoW_NAMEとフィルムスコアリングについて

本作は主題歌、挿入歌、BGMに至るまで(K)NoW_NAMEという一つのアーティスト集団に、
一括して任せる方式を選択。

さらに、あらかじめある劇伴からシーンに合わせてチョイスする
連続テレビアニメで通常とられる方法ではなく、
シーンに合わせてBGMを制作するフィルムスコアリングを採用。

一見、無思慮にフルでごり押ししているだけに思われる挿入歌も、
スタッフから場面の内容と求める音楽の方向性を(K)NoW_NAMEに伝えた上で、作曲されたもの。

そのため、例えば四話挿入歌は二番があれば五分超になりそうなバラードですが、
尺に合わせて一番からそのままラスサビに突入し、三分台にまとめられ、
反対に七話及び八話の挿入歌はアップテンポですが、五分を越えるなかなかの大作に仕上がっています。

この方式を貫くのはかなりしんどかったと思います。
事前にシーンイメージを伝えるためには、作画工程の前倒しが必要でしょうし、
その上、本作はアフレコでも丁寧に時間をかけている……。

序盤、歌だけで声がほぼ消滅したのは、この辺りの工程管理の切迫によるものでは?
という個人的な疑惑が払拭できませんw

私は気が付きませんでしたが、中盤ではキャラがホバー移動する謎作画もあったとか(苦笑)
スタッフのみなさん本当にお疲れ様でした。

音楽担当者ともコミュニケーションを密にして丁寧にアニメを製作しよう
という方向性は評価したいです。

☆声優・落合福嗣について

キャスト発表時は話題作りのネタとしか思えなかった、
三冠王の息子の主要キャラ・モグゾー役起用。

声を当てるのは上手くないですがw
善意で捉えると、濃い口のキャラボイスを提供する既存の声優とは違う、
人間モグゾーと“どーも斬”の表現を追求した結果だとも思います。

もっとも、福嗣さんも声優事務所の振るい落としを兼ねた養成課程に身を置く、
“ちゃんとした声優”のステレオタイプをなぞっていますし……。
単に新人でギャラが安かっただけとも考えられますし……。
或いは、朗読イベントでモグゾー役がリアル世界に出てきた場合、
中の人がマナト役の島﨑信長さんに匹敵するイケメンだった時の
観衆の困惑がスタッフの頭をよぎったのかもしれませんw

ちなみに原作では“若干のろいが頼りになるくま”とキャラ紹介されているモグゾー。
そう言えば、福嗣さんは今期『霊剣山』でも格闘クマ役などで出演されていましたw

男性声優もアイドル化が定番化する昨今……。
体型から違う福嗣さんには世代屈指のクマ声優として生き残る芽があるのかもしれませんw
この声優業……ただの金持ち息子の道楽では終わらないかも。そんな予感もします。


以下、鑑賞日記。途方もなく長いので折り畳みw
{netabare}

「ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ」

原作一巻目及びアニメ第一話のこのサブタイトルにピンと来てしまった、
例えばゲーム初挑戦がゲームボーイ版『Wizardry~ウィザードリィ~外伝Ⅱ・古代皇帝の遺産』だった、
私のような古参の冒険者には、ほぼ視聴が義務付けられた作品w

以下、私の期待が迸った、勇み足な長文w

{netabare} サブタイの元ネタはその『Wiz』シリーズより。
法外なお布施を巻き上げたカント寺院が唱える蘇生呪文、
「ささやき-えいしょう-いのり-ねんじよ!」から来ています。
(で、失敗して灰になろうが、ロストしようが、医療ミスは一切認められず、
前金もビタ一文返金されず、「まいそうされます」の一言で済まされますw)

『Wiz』シリーズは序盤が本当にキツいゲーム。
軌道に乗れば、大魔神を一撃で屠れるようにもなりますが……。
それまでは追い剥ぎにあっさり殴り殺されるw
少し体力がついたと思ったら忍者や修行僧に首を飛ばされるw
ボルダック商店はぼったくりw
など難行苦行の連続w

原作はそんな古典的ロールプレイングゲームにおける
パーティ育成の苦しさを、現実的なシーンに落とし込んでどう伝えられるか……。
腐心した大変RPG愛に満ちた小説です。

で、本作の主人公パーティーの特徴を一言で申しますと……。


 弱 い !!


華やかな英雄譚など始まる気配すら感じない、圧倒的な弱さw
ろくに射撃もできない狩人に、
クセのあるスキルを使いこなす頭もないのに上位職業に就くイタイ奴……。
唯一回復役兼リーダーは多少頭が切れますが、
厳しさが足りない背負い込み屋で、戦闘はいつもギリギリw
もし私がこのパーティーで『Wiz』で冒険に出ろ!と言われたら、
ファーストエンカウントで全滅させる自信がありますw

というより、リーダー以外は『Wiz』基準では冒険者の水準にも達していませんw
訓練場のキャラ作成にて、ポイント不足でダンジョンに挑んで全滅する以前に、
プレイヤーにリストラ、消去されるレベルw
或いは、序盤、多数の捨てキャラから初期装備を剥がして足しにする金策要員w

実際、原作ではこうした要素をストーリーにしたシーンもあり切なくなりますw


個人的にはRPGは行ける!と思った時が一番危ない。
一寸先は地獄、全滅、灰、ロストwという
古き良き時代の素敵なゲーム文化を再生し得る期待のアニメです。
でも一方で、原作の地道なレベル上げを映像化し、
今のプレイヤーに伝えるには、一工夫も二工夫も必要だとも思います。

原作は主にラノベらしいキャラの掛け合いで、
重苦しさ一辺倒にならず、リズムを作っていましたが、
テキストレベルでは、会話でも良くても、
エンタメ映像としては盛り上がりが不足する懸念があります。

その辺りを制作のA-1 Picturesがどう料理するのか。
スタッフは違いますが、『ソードアート・オンライン』を、
時系列整理しアニメ化成功に導いたスタジオの経験値がどう生きるかが注目点。

『灰と幻想の~』のメインタイトルもまた、ベニー葉山氏による、
初代『Wiz』のノベライズ『小説ウィザードリィ~隣り合わせの灰と青春~』が元ネタだとのこと。
そしてベニー葉山氏は上記の私の初ゲーム『ウィザードリィ外伝Ⅱ』のシナリオ担当でもあります。

そんな浅からぬ縁も感じながら、主人公と一緒に苦行したいw
2016年冬の期待作です♪{/netabare}

各話感想{netabare}
第一話{netabare}
早速A-1の時系列整理スキルが炸裂。
元々展開の遅めな原作に無理に鞭を入れずに、
回想も活用しつつ視聴者の集中力を持続させる作戦に出た模様。
集中力維持の工夫は、水彩画風の背景や、
小動物の描写や、キャラの細かい仕草からも実感できました。

そんな中でも最初の戦闘シーンで、しっかりと伏線の強調がなされていました。
RPGにおいて、序盤のパーティーでは大変危険なことを、
この人はやってしまっています。

具体的に触れるとネタバレになるので言いませんw
ロープレ経験者なら分かるとは思いますが……。
後のお楽しみ。クイズということでご勘弁下さいw

それを最初にさりげなく、後々伏線として生きるように、
しっかりと描けている。

後の展開に期待が持てるいい滑り出しでした♪{/netabare}

第二話{netabare}
評価の分かれそうな回となった印象。

ゴブリンをやっとで倒した壮絶な描写があった後は、
歌をバックに夕暮れの日常が淡々と続く……。

私はこの雰囲気も好きですが、人によっては退屈しちゃうかもw

ただ一つ心に留めておいて頂きたいのは、
立ち上げ直後のパーティーは生き残りのため
もっと沢山のシビアな思考が必要であるはずということ。
情報収集しかり、金策しかり、編成しかり……。
なぜそれが見えてこないかというと、リーダーが全部抱え込んでいるから。
もっとメンバーと情報共有してもいい所ですが、このリーダーはみんな一人でやってしまうタイプらしい。

今回も間接的にそういう描写がありました。

ミュージックビデオでまったりできるのも、
呑気に覗きの悪徳(ヴァイス)を積めるのも多分リーダーのお陰w

そのことを頭の隅に置きつつ、今回の所は頭空っぽな主人公が眺めるグリムガルの風景を楽しんでおきましょう。
{/netabare}

第三話 {netabare}
ゴブリンの寝込みを襲って、パンツ新調を画策する(笑)
全くもって華がない底辺パーティw

けど、私にとっては『Wizardry』でヘタレ冒険者だった頃の、
ノスタルジーを存分に感じられる良回でした。

ちょっと乱戦になれば死人が出る序盤は、
“モンスターは まだ こちらに きづいていない”
と来たらガッツポーズをして殴りに行き、
逆に奇襲を食らったら頭を抱えてリセットボタンの確認をしたものでしたw

というより、最初の方は基本的にパーティより、
人数の多い群れとは対峙しませんでした。
ゴブリン五匹だったら逃亡とか(苦笑)
情けないくらい懐かしすぎて笑えてきますw

さて1話でつかみ、3話で飛ぶか叩き落とす……。
今期もこの黄金パターンを守るアニメも多い中、
淡々と伏線張りと雰囲気作りに3話を消化した本作。

実はまだ原作1巻の途中w
1話1巻のペースでぶっ飛ばし原作ファンを戸惑わせる作品もあるかと思えば、
こういうスローペースの作品もある。

人の歩むペースは様々ですねw{/netabare}

第四話{netabare}
かつて私が『Wizardry~ウィザードリィ外伝Ⅱ~』にて、
最初にロストしたキャラは前衛の要の戦士でした。

少しレベルが上がって、探索距離を伸ばした頃に、
蛮族からのクリーンヒットで想定外の大ダメージを喰らって死亡。
生命力は高めのはずでしたが、蘇生は叶わず灰から消滅に至りました。

不意の一撃でキャラが消える。

あまりの衝撃に、何だこのクソゲーはw
と悪態を付きましたし、心が折れかけましたw
結局、その時は育成プランも見通せず、パーティを作り直しました。
で、次のパーティも中盤行き詰まり、クリアに至ったのはパーティは3つ目w

この頃になると、あの時、彼がロストしたのは何がまずかったのか分かるようになりました。
油断した頭で、彼を集中攻撃を受けるポジションに、貧弱な装備で立たせ、危険に曝していましたw
冒険者を十数人おじゃんにして、やっとあの頃、私は青かったと述懐できるようになったのです(苦笑)

ですがグリムガルは生きた人間が暮らすファンタジー世界。
ヒーラーロストの致命傷を喰らったからといって、ガラガラポンでやり直す訳にはいかない。
リーダー交代、欠員補充などに取り組む以前に、
不運な悪夢に襲われたと落ち込んでいる残されたメンバーには酷な展開。

ですが、この世界で生きていくためには、喪失に至った原因をもしっかりと糧にして行く必要があります。
本作は彼の死亡フラグが目立っていましたが、実はそれを経験則にしていくための伏線もしっかり仕込まれています。

そういう意味では、本作の物語は、ここでようやく始まったと言えます。
だから、唐突な死や、長歌に面食らっているプレイヤーにも、
こんなのクソゲーだと投げ出さずに、懲りずに挑んで欲しいなと願います。

『Wiz』もグリムガルもロストしてからが本番です。{/netabare}

第五話{netabare}
苦節四話。ついに正ヒロイン(私の脳内世界でのw)メリィちゃんが登場♪
しかも、中の人が安済知佳さん!

某吹奏楽部でトランペット吹いて「特別になりたい」とか「関係ないですよね」とか……。
高所から投げ下ろしてきたその声で、
メリィちゃんのツンツン通り越して、魔法障壁の如く取り付く島もない。
そんな態度取られたら、クリティカルヒットで悶え死んでしまいますw

と、取り乱すのはこの辺にしてw
マナトならどうしたか?そう考え始めたことで、
盗賊君がようやくリーダーに……そして、主人公としての道を、
好むと好まざるに関わらず歩み出した……。
第五話で改めて、ようやく物語が始まったと実感♪

主人公限定の特別スキル?ラッキースケベも回って来て、
いよいよハルヒロ君の時代ですw

もっとも本人はプレッシャーで死にそうですが(苦笑){/netabare}

第六話{netabare}

その昔、ロールプレイングゲームにおいて体力と魔力は、
自動回復する無限エネルギーではありませんでした。

『Wiz』の序盤から中盤戦に至っては、
気休め程度の効果しかない、数発分の回復魔法とポーションを、
節制して冒険を進めなければ、待っているのは全滅でした。

反面、ダンジョン攻略には中毒性もあります。
レアアイテムがドロップすればもっと奥に行きたくなる。
もっと強敵を倒して己の成長を証明したい。

こうして浮き足立ち、魔力のコスト管理と帰り道の確実な確保を怠った時、
魔力ガス欠による灰とロストの災厄が降りかかるのです。

本作原作小説『~グリムガル』、特に序盤の巻は、
このありがちな冒険者による失敗を現実感を持って再現した切り口が白眉。
そのポイントをアニメ版スタッフも熟知しています。

一話感想で私は序盤パーティーがやってはいけないことを
クイズとして勿体ぶって、はぐらかしましたがw

答えは冒頭、マナトがシホルのかすり傷を“一応”治療したシーンでした。

こんなHPが1ポイント減っただけで回復するような甘い管理をしていたら、
立ちゆかなくなることは目に見えています。

そして魔力ガス欠は最後、マナトが失われる決定打となったのです。

このことを残されたパーティが……。
よくある中級冒険者の壊滅を経験したメリイも自覚し、向き合って、
糧として乗り越えられるか否か……。

データー上の経験値だけでなく、プレイヤー経験値による成長をも物語として落とし込んでいく……。
このRPG愛に溢れた仕掛けに気が付いた時……。
私にとって『~グリムガル』が気になる小説から好きな作品になった瞬間でした。
{/netabare}

第七話{netabare}
「来る日も来る日もゴブリンゴブリンゴブリンゴブリン、
雨の日も晴れの日もゴブリンゴブリンゴブリンゴブリンゴブリンゴブリン」

話が進まない……。との批判も何のそのw

パーティの地道な再建と成長。
同じく地道なメリイちゃん攻略?が描かれる今回。

自分はパーティがもの凄く進歩した回だと感じました。

そう感じるのはきっと、私がかつて冒険者として、
数十分かけてやっとレベル一つ上昇するような、
時間の無駄使いを価値ある人生だと思う、
悪い感性を培っていたからだと思いますw

膨大な時間をかけてパラメーター1ポイント上げることに喜びを感じるか、
膨大な会話を重ねてメリイちゃんにパンを分ける偉業を達成したことに喜びを感じるか。

ニコニコ動画で視聴していますが、
放送後の評価が上がって来たのは、
単純に作品が地味な積み重ねを表現する描写が優れているというだけでなく、
ロールプレイングゲームに対する価値観の面で、
大分ふるい分けが進み、精鋭が生き残って来たw
そんな印象も抱いていますw
{/netabare}

第八話{netabare}
かつてロールプレイングゲーム(RPG)において、
敵、特にボス、イベントモンスターが壁となりパーティが挫折した時……。

プレイヤーは再戦に向け、相当な遠回りを強いられます。
ストーリーは一旦休止にして、パーティの再編成、装備の見直し、
自分たちを苦しめた攻撃パターンに対する対策。新たなスキルの習得。
そして、経験値稼ぎがてら、雑魚を相手に新攻撃パターンの試運転……。

こうした修正を経て、たどりついた奴へのリベンジ・マッチ。
あの時、有り金はたいて買った装備が、前回は耐えられなかった攻撃を受け止め、
新スキルの連動が奴の取り巻きを狩る。
壮大な物語より何より、これまで通用しなかった強敵に、
再構築した作戦が、はまっていく感覚……。
確かな手応えを感じ、思わず拳を握る……。
頭の中で、何らかの脳内物質が分泌される、この瞬間こそ、
RPGはゲームとして輝きを放つのだ。

ハルヒロたちも復讐戦に向け、タンク役の兜を値切り倒す等、
膨大な時間をかけて、この地に舞い戻って来た。

さぁ、時にゴブリンスレイヤーと揶揄されながらも、
仲間の仇討ちに執念を燃やしてきた、この底辺パーティの意地!
とくと見届けよ!
{/netabare}

第九話{netabare}
安全に冒険するルーチンワークを確立した場所から次の階層、エリアに進む。
『Wiz』のような古のRPGにおいてはこの判断にも勇気が必要でした。

何しろキャラが死んだら消えたりするわけですw
そろそろ強くなった気がするから、お試しで次に行って腕試しなんて、
生半可な覚悟では決められませんでした。

ましてや、例えば、仲間の首を斬り飛ばしたアイツがいるような……。
かつて進出して失敗したエリアに改めて挑戦する場合は、
尚更、決断は重たいものとなりました。

その場合、プレイしない時間は思考を整理するのに重要で、
どんな準備が整えば、次へ行けるのか……。
対策が組み上がり自信がついたらプレイに挑む……。

こうしたプレイしない間(ま)も含めたゲームプレイという
思い出を勝手に持っている自分にとっては、
今回の休日回もとても好感が持てる良回でした。

もはや……というより最初からそうですがw
自分にはこの作品はハマり過ぎて、客観的な評価は難しいですw
{/netabare}

第十話{netabare}
個人的に『~グリムガル』でアニメ化による
恩恵を一番受けたキャラはランタだと思います。

欲望に忠実、口も悪いw行動も身勝手w
でも彼なりにパーティのことは考えてはいるらしい……。

このことは原作でも言及されてはいましたが、
それをテキストベースで十分に理解する為には、行間を読み取る根気が必要でしたw
だからランタについては平坦な展開に起伏を与えるウザキャラ。
ていうかホント……ウザいw
という原作評価も少なくありませんでしたw

けれどアニメになって作画による表情やCV吉野裕行さんの声が付くと流れが変化。
スタッフのキャラへの入れ込みようはランタについても凄まじく、
アフレコでも“ちっぱい”の発音一つに監督、原作者交えた
話し合いが持たれる力の入れようw
これにより人間ランタの表現の深みが格段にレベルアップしました。

今回もランタは、死の前ではみな平等などと憎まれ口を叩くわけですが、
仲間と死別した時、もの凄く悲しい表情をしていたのもランタでしたし、
ゴブリン殺害の初悪徳(ヴァイス)を積んで、
一番、精神ダメージが顔に出ていたのもランタでした。

今回の自分の奇行?についての言い分にしても、
吉野さんが抑揚を付けて主張に哀愁も含んだ感情を乗せることで、
彼の立場もより理解できた気がしました。

その効果なのか……アニメ化して以来、特に中の人を中心に、
なんだかランタ好きが増えている気がしますw
これは暗黒騎士ギルドの門を叩く義勇兵が急増しそうな勢いw
アニメスタッフ・キャストの皆さんも
素敵な悪徳(ヴァイス)を積んでくれたものですw
{/netabare}

第十一話{netabare}
その昔『Wiz』の教会で蘇生失敗したキャラはロストし埋葬されましたが、
ダンジョンで全滅したパーティの救出が遅れた場合でも、
一定確率でキャラクターがロストしました。

彼らの死体は一体どこへ行ってしまったのでしょう……。

これを巡って当時、諸説妄想されネタになりました。
一番多いのが迷宮の壁に埋め込まれダンジョンの一部となった説。
次いで魔獣に噛み砕かれ跡形もなくなってしまったという説。

……そして一番考えたくない説として、
かつての仲間がゾンビなどのアンデッドとして
モンスター化したという説も囁かれました。

アンデッドの王が人間の世界を圧迫するという設定の
『グリムガル』の世界ではこの一番考えたくない説を取りました。

そして『Wiz』同様、かつての仲間であろうが、
死体のなれの果てを浄化できるのは神に仕える職業のみ。
震える心を押し殺して、役目を全うした神官に拍手を贈りたい。

そしてらしくない格好いい最期を見せようとしている暗黒騎士……。
勇気ある死によって完成する彼の武勇伝を、
今、何としても全員で阻止しなければならない。

……俺もランタがアンデッドとして蘇るなんてまっぴらゴメンだぜw
{/netabare}

第十二話{netabare}
最終回にして、ついに私の大本命w使い魔・ゾディアッくん登場!
口を開けばダメだ、無理だ、死ね、死ね、死ね……毛虫、毛虫、毛虫w
その他は主の血まみれのランタの周りを浮遊するだけw
うん!素晴らしいw全くもって役に立たんww

でも、ここまでネガティブなムードを煽られると、
目の前のくそったれな現実までギャグになってくる不思議w

ピンチになるとランタがゾディアッくんを呼び出すのは、
終わってる状況を乗り切る彼なりのメンタルコントロールなのかもしれませんw

で、注目のキャストが聞き慣れない方だったので調べてみると、
佐藤結良くんという子役だとのことw

未来ある子供に死ねだの、無理だの
無邪気にネガティブワードを連発させるなんて、なんて悪い大人たちなんだ!(苦笑)

……福嗣さんとモグゾーよりシンクロ率が上なのがじわじわ来ますがw


ともあれ、憎まれ口を交わしながらも、
矢や魔法が尽きたら報告しあえるようになったこのパーティ……。
毒舌に隠された本音を読み合えるようになったこの仲間たち……。

……ホント、いいパーティになってきたよw
{/netabare}
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 83

86.9 3 心理描写でラノベ原作なアニメランキング3位
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (743)
3314人が棚に入れました
過去のトラウマと、独自のひねくれた思考回路によって「ぼっち生活」を謳歌しているように見える比企谷八幡は、ひょんなことから生活指導担当教師、平塚 静に連れられ「奉仕部」に入部する。同じ部に所属する息を呑むほどの完璧美少女・雪ノ下雪乃や、クラスの上位カーストに属するギャル・由比ヶ浜結衣とともに、クラスメイトの人間関係の問題の解決から生徒会の手伝いに至るまで、数々の案件をこなす毎日をすごしていた。季節は移ろい、春。雪乃から最後の依頼を受けた八幡と結衣。3月の卒業式を控えた中、いろはからブロムの協力を求められ…。― 本物を求めた八幡は3人の関係を変えていく。果たしてこの先、彼の高校生活はどんな結末を迎えるのか!?

声優・キャラクター
江口拓也、早見沙織、東山奈央、佐倉綾音、悠木碧、小松未可子、近藤隆、檜山修之、柚木涼香、中原麻衣、井上麻里奈、ささきのぞみ、小清水亜美、堀井茶渡
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

正三角形の三角関係

原作未読


うむ終わった。3期相当『俺ガイル・完』は全12話。1期からの続きもんで足掛け計38話で完結です。
ラノベはやたら長いタイトルが跋扈していて『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』例外なく長いやつです。たいていはツカミだけのタイトルで中身は別物ですが、本作は看板に偽りなし。

2期で 「お~青春ラブコメだね~」
3期で 「う~んまちがっているね~」

となることはお約束できますのでうっかり1期2期未視聴の方はぜひ振出しに戻ってここまで楽しみながら歩いてきてくださいね。
ラブコメが大きく動き出した2期最終話を受けての3期はこれまでの群像劇っぽいところからより主人公ら個々人の関係性にフォーカスされます。もう奉仕部+αで三角関係しかやらない勢いですね。
人となりは2期までで明らかになりました。ざっと、理性と感情の化け物が揃っていて理性カテゴリに八幡と雪乃。感情カテゴリに結衣となります。理性の化け物二人の緩衝材としてガハマさんは機能しており、彼女がいなければ早晩奉仕部は崩壊していたことでしょう。では似たもの同士八幡と雪乃の決定的な違いは自意識の有無。面白いのは結衣で1期の頃から成長して自分というのを持てるようになった。自意識それあるーカテゴリでは2期終わる頃には八幡と結衣が入ることになります。
ちなみにこの組み分けは陽乃の「理性の化け物」あらため「自意識の化け物」だね、と八幡を評したことに由来します。

    理性   感情   自意識   {netabare}気持ちを言葉にすること{/netabare}
八幡   ◎    ×     ◎    {netabare}  下手{/netabare}
雪乃   ◎    ×     ×    {netabare}  下手{/netabare}
結衣   ×    ◎    △→○   {netabare}  下手{/netabare}

中庸の△や○が無いといいますか、スキルチャートを作れば歪な五角形ができそうな三人組とみてよさそうです。だからこその面白さが本作の持ち味です。
登場人物もめんどくさいですけど抽象的な会話劇は同じかそれ以上にめんどくさい。自分は物語を紐解くのに登場人物相関図を頭に描きながら楽しむクセがあるんですがこの物語ではこんな感じ。合ってるかどうかはわからんです。違ってたらごめんなさい。

もう一つ。言ってることがわけわかんない時は言ってることよりもやってることを重視してます。言動より行動ってやつ。見当違いも多いですけどね。
{netabare}※漫画喫茶!?では隣同士肩にもたれかかる距離感だったのが、後日公園のブランコでは距離を取って座ってる…みたいなそういうとこ。{/netabare}

さらにもう一つ。概念として面白かった“本物を知りたい”について。
互いを出し切っても崩れることのない関係性みたいなものでした。
自己の欲求を追求すると壊れてしまう関係。これすなわち偽りの関係。
自分を偽って維持できる関係。これもすなわち偽りの関係。
大人であればあるほど、『本物』は遥か遠く手の届かないものであることを痛感させられます。若者も直感的には気づいてる。それでも求めてやまない、やはりこの年代ならではの心情の吐露なんです。

こちらを希求して止まないのが主人公比企谷八幡でした。どうやら折り合いをつけそれっぽいものを手に入れそうなところまで来ています。
同じく希求して止まない(…のだと思う)のがおそらく雪ノ下姉の陽乃。なんとなくこじらせたまんま大学生になっちゃった感ありでこれまで同様にちょっかいを出してきます。


まーあくまで一解釈ではありますが軽くおさらいでもしてから楽しんじゃいましょうという作品。
終わってみて思ったのが八幡、雪乃、結衣の関係って各自二方向に等分のきれいな好意の矢印が出ている正三角形のかたちをした三角関係だというのに気づきました。だいたい矢印は片方だったり短かったりするものを三角関係だと思ってきた人生だったのでこういう関係もあるんだなあと思った次第です。

もしかすると『本物』の関係ってこういうことなのかもしれない。
そんな錯覚を覚える青春ラブコメの秀作です。
別の作品でめんどくさい女性は魅力的だが男性の場合はただただめんどくさいみたいなこと書いて今の今も基本的な考え方は変わりませんが、男女ともにめんどくさくても面白いと思わせてくれた作品でもありました。


なお作中頻繁に出てきた3期のキーワード{netabare}“共依存”{/netabare}は結果的に無視しとります。

{netabare}「うがった見方をすればそう受け取ることもできなくはないくらいの話だ」
「君も雪ノ下も由比ヶ浜もそんな関係性ではないよ。共依存なんて簡単な言葉で括るなよ。君の気持ちは言葉一つで済むようなものか?」

絶好のタイミングでその時に1番欲しい言葉をピンポイントで投下する平塚先生についていけばよし。{/netabare}




※軽めの余談

■平塚センセから浮気しそうになりました

いろはすを凌駕するほどあざとかったのが作り手さんだった気がします。

あざとい?:{netabare}ガハマさんに肩入れしてしまう仕様{/netabare}
CASE1:{netabare}表情の作画カロリー消費っぷりは登場キャラ屈指{/netabare}
CASE2:{netabare}モノローグの度に締めつけられましたよ{/netabare}
CASE3:{netabare}ヒッキーとのデートする時間長かったよね{/netabare}
CASE4:{netabare}CMでまで白無垢着させた上に「わたし今が一番幸せだよ」とか言わせちゃダメ{/netabare}


■めんどくさかったです(褒め言葉)

1.{netabare}1期:「どうせ何を言っても伝わらないし関わらない」と卑屈さが全開
 2期:何を言っても壊れないor何も言わなくても通じ合う関係こそ本物だと信じる
 3期:ごちゃごちゃ言ってないで“伝える”“関わる”努力をする

 こんな若者の成長をこねくり回しながら描いたシリーズといえましょう。{/netabare}

2.{netabare}いろはすの「○○です。ごめんなさい」が段々YES寄りに。周囲の人たちも充分めんどくさい。{/netabare}

3.{netabare}結局「スキ」と言ってたのは我らが平塚静先生だけだったぞ。あーめんどくさ。{/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 

-------

2020.10.01 初稿
2021.08.01 修正

投稿 : 2024/11/09
♥ : 65
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青春の残余

主要キャストの整理をしておこう。
冒頭から紹介もなくドラマパートである。

多様な価値観が生まれ広がり、
私たちは数多くの選択肢の前で躊躇している。
表現できないものから順々に、
私たちは自己の内に沈殿していく。
そんな葛藤が心に響くのであろう。
人との距離は接続でも切断でも、
間違ってしまえば瀕死の重傷であるのだから。

3話視聴追記。
良質な予感が既に漂っている。
キャラ造形が見事で配置も良い。
{netabare}今始めれば間に合うかも知れない。{/netabare}
きっと誰もが経験した青春の残余なのだ。

雪ノ下の葛藤を物語の軸に、
八幡の故意に間違える青春が描かれる。
{netabare}彼はそれを偽物だと呼ぶ。
大人たちは共依存から脱却し自立した生を願う。
自分であれ、青春であれ、
ここまで冷静に俯瞰できるのだろうか?
繊細な主題が浮かび上がってくる。
間違うことにどんな意義があるのかと。{/netabare}

最終話視聴追記。
もやもやと、燻り続ける青春は、
一定の方向へと道は開けたのであろうか。
{netabare}自分を偽り、思い悩み、悔やみ、
その先で心の隙間に残る貴重なもの。{/netabare}
やはり彼の青春ラブコメは間違えている。

あまりに秀逸なタイトルだと知るのです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 62
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青春ラブコメは終わらない

アニメーション制作:feel.
監督:及川啓、シリーズ構成:大知慶一郎
キャラクターデザイン:田中雄一
音楽:石濱翔、高橋邦幸、原作:渡航

ライトノベル部門で長年トップの
人気を誇っていた作品の完結編。
累計発行部数が1000万部を突破し、
このジャンルにおいては、抜きんでていた印象があるが、
一見地味な作風に映る。

近年、確実に増加の一途を辿っている
「ぼっち」という孤独な存在。
何十人もいるクラスにおいて、話すクラスメートもおらず、
休み時間になると机に突っ伏して寝ているか、
ひとりで本を読んだりしている。
たまに話しかけられると嬉しくなって、
過剰なテンションで対応してしまい、
笑いものにされてしまったり、その相手が女子だったりすると、
思春期の心情もあって、深い心の傷になってしまうこともある。
この作品では、そういう「ぼっち」にならざるを得なかった
存在にスポットを当て、捻くれたやり方で
クラスカーストに対抗するのが
いちばんの特徴になっている。
多くの若者にとって、どこか自分のことのように感じ、
その痛快劇に留飲を下げたのが
ヒットの要因のひとつだったのだろう。

作者の渡航は当初、1冊だけの読み切りで考えていたそうだが、
人気を得るにつれ、8年をかけた17巻にも及ぶ長編ラノベを
書き上げることになった。
原作は未読なので、アニメでの話になるが、
物語はテンプレ的な要素を排除し、
主人公の比企谷八幡が、自分の「ぼっち」である武器?を
駆使しつつ問題を解決していく。
それと並行するようにしてラブコメを展開させ、
視聴者をグイグイと引っ張っていく。

個人的には「ぼっち」の思考からいかにして
脱却するのかが、作品のテーマではないかと感じていたが、
それは、ほぼ「続」の部分で解決。
残ったのは、新たに浮上した雪乃の問題と
3人の関係性の決着となった。

そんななかで行われるのが3年生送別の際に
企画された「プロム」というイベント。
プロムナードの略称で、要するに海外の高校の
卒業時に行われることが多いダンスパーティーだ。
これを企画するにあたって、雪乃は親の敷いたレールの上を
ただ歩んできたこれまでの自分から脱却することを目指し、
八幡の力を借りずにイベントの成功を試みる。
その様子を見ながら、八幡は自分の気持ちに正直になり、
雪乃をどのようにして助ければ良いのかを画策するのだった。

自分だけの力で何かを成し遂げようと意固地になる雪乃、
雪乃の意志を尊重しながら、協力しようとする八幡。
そして、ふたりの関係性を注視しながらも
複雑な想いで八幡と行動する形をとる結衣。
3人がお互いの気持ちを慮りながら、
自分の気持ちに正直になろうとする。

学生時代の何事にも突き詰めてしまう感情が
全編にわたって、とても上手く表現されていた。
この作品を観ていて、【親友のために死ねるか】という
大命題?を真剣に考えていた友人のことを思い出した。
それは何と言うか「覚悟」みたいなもので、
「できない」という結論を下す自分自身について、
まだまだ「男」としてダメだと友人は考えていた。
私なんかは、それを聞いていて
今ひとつ理解できなかったのだが、当人は大真面目なのだ。
仁侠映画好きなやつだったので、そういう思考が
本人からすれば、当然のことだったのかもしれないが、
話を聞いていると自分の感覚とは
あまりにもかけ離れていたため困惑したことをよく覚えている。

でも、人と人というのは、そういうこともある。
当人でなければ、本当の悩みや考えを
完全に理解するのは不可能なのだ。
しかし、他人に対して考えるのを諦めるのではなく、
「分かろうとする」ことは、とても大切なことなのだろう。
結局のところ、私たちは「ぼっち」で生きていくことはできなくて、
自分の抱えている、他人には受け入れてもらえない部分も含め、
苦しくても関わっていかなければならない。
「分かろう」として「分かってもらう」ことから
逃げ続けてはいけないのだろう。

八幡と雪乃と結衣。そしていろはや葉山、陽乃など、
それぞれクセのある性格の者たちだらけ。
彼らが八幡を中心にそれぞれ大人になっていく。

2020年夏クールで最も期待していた作品だったが、
最後まで視聴した今回のシリーズの感想としては、
中途半端だった印象を拭えない。
{netabare}八幡と雪乃の関係の進展がクライマックスで、
そこ以外は現状維持というまとめ方だった。{/netabare}
作者や編集者が続編の余地を残したためだろうが、
終わらせるときは、きっちり締めて欲しかった。
主人公たちがまだ2年生というのも異例だ。

とはいえ、「ぼっち」の視点から人間関係に切り込んでいくのは、
とても新鮮に感じられたし、集団と個人という
普遍的なテーマを分かりやすく展開した点は、
シリーズを通して痛快だった。

彼らの青春ラブコメは今後も続くのだろう。
(2020年12月5日初投稿)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 58

66.3 4 心理描写でラノベ原作なアニメランキング4位
悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (157)
498人が棚に入れました
「もし…私が最低な女王になったら、私を殺してね」 8歳の王女プライド・ロイヤル・アイビー。そんな彼女は気付く。前世は日本の一般的な家庭に生まれた、どこにでもいる普通の少女。そして今は乙女ゲームの極悪非道ラスボス女王なのだと…。 転生していたのは、乙女ゲーム「君と一筋の光を」の世界。ゲームのストーリーで、プライドは国と民を苦しめる最悪の女王となる。そんなラスボスだと気付いた彼女は、ゲームをやりこんだ記憶を頼りに、自分にしかできない“悲劇の回避”を目指す。 これから起こる悲劇を回避し、登場人物みんなが幸せになれる世界を目指すため、国のために、民のために全力を尽くしていく、ハイスペック悪役王女のラスボス回避ファンタジー。

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

はめふらをなろう系にした感じ

前向きで雰囲気も良くて、そこそこ面白かった
でも世界観の作りこみや描写不足が気になる惜しい作品

はめふらはカタリナ様が主要キャラを人がらの良さで攻略して破滅フラグを回避していくまさに乙女ゲームでしたが、こちらはチート能力でチート能力者を相手にする、なろう系

設定ははめふらとだいたい一緒だけど、はめふらと違って序盤で「この世界、もうバッドエンド回避されて転生前の知識が通用しないくら未来変わってるんじゃないの?」って思ってしまったのと、チート能力が強すぎるから、チート能力の強い人がもっとうまくやれば解決するんじゃない?とか、悪だくみに使われたら誰も止められなくない?とかいろいろ設定が甘いところがあって、チート能力の扱いの適当さが一番微妙にしている原因かな?

原作通りなのかもだけど、もう少し丁寧に描写してくれないとキャラに感情移入ができない
王族・貴族・平民の身分の違いが無視されているのも気になります
プライドへの性的な接触がきもち悪いです・・・

でも主人公のしていることには共感できるし、自分のためだけじゃなく人々のために動けるいい話だと思いました

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

真面目な悪役王女。

原作未読 全12話

乙女ゲームに世界に転生したが、よりにもよって先々に悲劇を引き起こす張本人である第一王女に転生してしまいました。悲劇を起こさないため能力と権力を駆使して回避しながら人々を救っていくお話。

乙女ゲーム作品でいうと『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』の明るい悪役令嬢が有名ですが、この作品の悪役王女は暗くはないのですが真面目でしたね。

この作品では主人公の王女が最悪な方向にならないように誠心誠意努力する姿が描かれています。

王女がしっかり対応しているのが良いですね。

色々なエピソードの最後は優しい気持ちになれる作品でした。

OPは月詠みさん、EDはチョーキューメイさんが歌っています。

最後に、色々と乙女ゲーム作品を観てきましたが、その中でも一番最強王女じゃないかと思いましたw

投稿 : 2024/11/09
♥ : 11

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

作品タイトルが「らしく」なっているのが、いいのか悪いのか。

この長い作品タイトルからして、そっち系の中のソッチ系という事はすぐに推察できますね。
いや、どっち系のドッチ系だよ!なんて野暮なツッコミはナシにしてくださいね。
まぁ、そっち系の中でも一風変わった感じには仕上がっているのですが・・・。
この表現はもうやめましょうかね、今回は。

この作品、ゲームの中への転生モノで、外道ラスボス女王に転生してしまった主人公が前世の記憶を頼りに、ゲーム内での自身(外道ラスボス女王)の未来とゲーム内の未来をかえていこうという・・・。

悪役令嬢転生モノ・・・になるんですかね、ジャンル的にはw。
なので、そっち系の(ry の答えは、転生系の悪役令嬢系って事になりますかね。

今回も土日休日に某アベマなTVで一気をやっていたので、ダラダラしながらの視聴です。

第1印象としては、どうも少しづつテキトーな所というか、ガバな点というかが気になってしまうなぁ、と言ったところでした。
世界観もどうかなぁ、と思いましたかねぇ。
ゲーム内という設定という事で、「そういうゲームの設定ですから!」って言われてしまえば、それまでなのですが。
シッカリとした銃が描かれた時点で、うーんと思ってしまいました。
まぁ、正統派や亜流のファンタジーでありたいと言う訳ではないと思われるので、これはこれとして受け止めるしかないでしょうか。

物語としては、ストーリーは何とか追えたという感じでした。
このクールの中を振り返ってみれば、「イイ感じ」のエピソードや演出は複数盛り込まれており、私自身の琴線に触れるものもいくつかはあったのですが、如何せん雑さが目についてしまって・・・。
もう少しだけ、丁寧に、繊細に作ってくれればと思ってしまいました。
説得力というか、視聴者に「あれ?ほかに方法あるんじゃね」「こうすればいいのに」と思わせない、気づかせない上手さがあればだいぶ違ったろうになぁ、と。

ただし、繰り返しになりますが、物語は追えました。
これは、プライドの行動にスキやガバはあるものの「国民(周囲)を幸せに、自分が最低の女王になった際には・・・」という一本筋のとおったポイントがあったからではないかと感じています。
私の持論ではあるのですが、作品中に多少いい加減でも「スジ」がとおった作品、主人公があるポイントでブレない作品は何とか視聴を継続できたり、物語を受け入れられることが多い気がしています。


作画は、悪くはないけれども、良くもなく・・・。
そして、どちらかと言えば上手くないと。
キャラクタは割とらしく造形をしてあり、美形さんで、描き方もまぁまぁなのに、例えば「涙」の表現wすごーく適当に描かれていたしするケースがあります。
あとは、小道具系、ざっつに描かれてて、あれー?と思う事が割と気になりました。

声優さんは、まぁ、特に可もなく不可もなく・・・と私のいつもの受け止めになります。

音楽は・・・少しだけ印象に残りました。
OPは、刺さったと言う訳ではないのですが、独特の雰囲気と物語に重なる歌詞、イメージがあり割とよかったと思います。
EDも普通によかったと思います。デフォルメキャラもかわいらしかったですかね。

キャラクタは・・・。
割と美形さんぞろいでした。
登場人物も多めな印象でした。
描かれ方も、まぁ、今という時代では平均的なものだったんじゃないでしょうか。

個人的には人間関係に重きが置かれていると感じられる点が印象的でした。
私がいつも言う、仲間が増えていく系、理解者が増えていく系なのでお好みだったのですが、その起因となるものが「心≒敬愛や尊敬、この人の為に」っていうエピソードが多く、好きでした。
これは兄弟姉妹、あるいはお供の者が結びついていく際にプライドの器量や度量、人間性を基に義理や人情、恩があいまって強まっているからだと思います。
こういった面では、一歩深い面で仲間の結びつきを描いていたのではないかと思います。



この作品、序盤にプライドがゲーム内そのままだった場合の女王の外道っぷりが描かれてスタートすることが多く、その非道っぷりには閉口してしまうのですが、プライドもそのヴィジョンを何度も頭に思い浮かべ、「自分が最低の女王になった際には○して」とステイルやアーサーに告げています。

これだけ、何度もその姿を見せ、プライドが恐れているのを見ると・・・、その内、とんでもないエピソードがあったりするのではないかと見ているうちに心配になってきました。
闇落ちとか・・・。

と言っていたら、ヴァルとイイ感じになったところまでで、ひと段落ですか。

うーん、今後については、少し気になってはいます。
これからが観られるようになるのか、ならないのかは不明なのですが、機会があれば、観たいかな、と思える作品ではありました。


ちなみにw一番お気に入りになったキャラクタはケメトでしたw。
私はそっちの方の趣味もこっちの方の気もないつもりなのですが、とてもかわいく感じてしまいました。
ヴァルの弟分として、今後、学校へ行っているような姿も観てみたいと思いましたが、どうなります事やら。


悪役令嬢ものとしては、工夫がしてある作品だと思いました。
機会がありましたら、ご覧くださいませ。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 11

88.3 5 心理描写でラノベ原作なアニメランキング5位
ココロコネクト(TVアニメ動画)

2012年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (4678)
22265人が棚に入れました
私立山星高校文化研究部内で次々と起こる実際ではあり得ない不思議な現象、<ふうせんかずら>による謎の企み、それにより主人公八重樫太一をはじめ永瀬、稲葉、桐山、青木の友情が成長していく。

声優・キャラクター
水島大宙、沢城みゆき、豊崎愛生、金元寿子、寺島拓篤、伊藤静、藤原啓治、大亀あすか、佐倉綾音、田中敦子、小野友樹、石原夏織、上坂すみれ、内田真礼、戸松遥
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

<17話まで視聴完了> ミチランダムに見たむき出しの感情

<14話~17話 ミチランダム>

心の声というものは、他人には聞こえない。
表情でなんとなく本音がわかる場合もあるけれど
大抵は皆、表には出さない部分があるもので。
それは嘘というものばかりじゃなく、思いやりからだったり
気遣いから来るものなわけだけれど、度が過ぎるとキャラを
演じてるようになってしまう人も出てきたりする。

見せたい自分、相手に求められてる自分を演じきる。
それは時に必要な場面もあるけれど、実際疲れる。
理想と現実、表の自分と裏の自分の距離があればあるほど苦しむ。
もっと、自分の思うままに行動できて、ものが言えたら・・
「ミチランダム」の今回の4話はなかなか濃くて良かったと思う。
登場人物それぞれの心理描写、心の変化、本音むき出しの激しい感情が
ものすごく伝わってきて、リアルだった。

人の本質なんて、本当は自分でさえ気づけてない部分が
あったりするのだよね。
あけすけに何でも言っていいわけじゃないし、時には気遣いも必要。
それでも、できるだけ本音で何でも話し合える友達がいたら
それはとても幸せなことだと思うし、そういう相手は大切にしたい。

伊織中心の今回の話だったが、デレ稲葉も相変わらず可愛かったし
太一の小悪魔風味な妹なんかも面白かった。

ところで・・この作品、まだ続くの?
最終回なのか、なんなのか・・・
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<13話の感想>

14話からはミチランダムが配信という形で始まるようだが
TV版の最終回は観終えたので、一旦区切ろうと思う。
っていうかさ、なんでこのカコランダムを最後に持ってきたかな。
これ、順序変えたほうがもっと爽やかに感動して終われたんじゃないかなぁ?
例えば、カコランダムは「ヒトランダム」のあとに持ってきて
{netabare}
「キズランダム」の稲葉の告白で終わらせたほうが最終回らしく
また、次の「ミチランダム」に繋げやすかったんじゃないの?
まぁでも、伊織の家庭の問題解決が5人の絆を深めることにもなるし
フウセンカズラとの兼ね合いもあるから仕方ないのだろうけれどね。
{/netabare}
でも今回のカコランダムの後にどうせまたミチランダムがくるなら
って、正直思ってしまった。

それだけ、出だしが良くて期待していたからね。
毎回、いろいろ感じさせてくれるストーリーだったし、
彼らのフレッシュな魅力と、さまざまな経験を経て培われていく友情が
観ていてとても好感持てたので。

今回、すごく共感できたのは「どんな過去であっても否定しない」ってこと。
いろいろな過去が人それぞれあって、時には辛かったとしても
それらがあって今現在の自分があるわけで。
過去を否定してしまったら、自分を否定してしまうし
過去をないものにしてしまったら、自分を消去してしまうことになる。
もし、やり直しができる能力をもらったとしても、それでは
せっかくの経験と学習が泡になってしまう。
{netabare}
だから今のままでいい、って決心した伊織は清々しかった。
{/netabare}

そこには、仲間達との強い絆で結ばれた自信が伺えた。

喜び、哀しみ、愛しさ、せつなさ・・それらを経験して
時には激しく衝突し、時にはやさしく労わりながら
お互いを理解しあってきた彼らは、1人1人がすごく成長できたと思う。

辛い部分もあるけれど、100%目をそむけて逃げるのじゃなく
立ち向かうことも必要で、だけどそこで大事なのは・・・
一人だけで何でも背負って解決しようとしないこと。
仲間を頼りにしたっていいのだ、困った時は甘えたっていいのだ。
そんなことを考えながら観て、自分にも言い聞かせていた最終回だった。
-------------------------------------
<12話の感想>

今回は青木と唯がメインのお話。
時間退行している間の過去をリアルに見ることで
部員たちそれぞれが理解を深めていくとともに
本人もまた、内面的に成長があるようで。
過去にさかのぼって、その時の自分に会えたら忠告したいと
思うことが時々あるけれど、なんとなくそれに近い感覚。

誰にでもターニングポイントとなった時期が過去にいくつも
あって、でもそれを乗り越えることで強くなったり
今の自分に自信を持てるようになるのだよね。
今回のカコランダムはそれをみんなで共有して
記憶していくことに意義があるのだろうな。

さて太一は次週どうなるか?最終回だったかな?
見逃せません。
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<11話の感想>

今回からは時間退行が始まってしまったようで。
太一以外のメンバーはそれぞれ11歳の頃だったり6歳の頃だったりと
さまざまな何らかの意味がある時期に一定の時間帯だけ退行する。
彼らはその頃の想いや出来事を思い出し、高校生の今とは違う何かに
気づいていっている様子。
しかし太一だけは「ナイト」としての役目があるということで
時間退行体験はない模様。さてこの「ナイト」とは?
当然、彼の今までを見ればわかるけれど、自己犠牲的な性格を
最大限に利用することで、また利用せざるを得ない中で
太一自身にとっても何らかの気づきになるのかも。
それにしても、幼くなった稲葉や伊織たちが可愛かったーw
----------------------------------------
<10話の感想>

観ていた日の個人的な気​分と稲葉が重なってしまって、
彼女と同じくらい泣いてしまった。
タイミングよく伊織に欲望開放が起きたからというのもあるけれど、
稲葉に叫ぶようにして言い放った言葉の数々は、自分の心にも突き刺さって。
だけどそれは不愉快じゃなく、むしろすごく嬉しい言葉で。

人には長所も短所もある、大好きな部分もあれば嫌いな部分もある。
でも、ひとまず全部通してその人を受け止め、受け入れる。
それは「ほんとうの友達」として認めるということ。
たとえ恋敵になったとしたって正々堂々と取り合う。
どちらが勝とうが、そんなことで自分達の友情は壊れない。
そう言い切ってくれる鮮やかで熱い友情は、見ていて心地良いし
とても共感できる。

言いたいことを友達に言う以上に、
相手が言いたいことをこの胸に受け止めることのほうが
ずっと深く友情を感じるものなのだなと、あらためて感動した。
幼い子どものように泣きじゃくったり、嬉しそうに笑ったり
そんな稲葉の表情豊かな部分が初めて観れたのも良かった。

伊織もすごくいい子だけれど、さて・・今後の展開はどうなるのかな?
すごく気になる~
---------------------------------------
<9話の感想>

そっかーイナバーンの大事な話は次週に持ち越しかー
まぁ観ているこちらは、もう薄々気づいているのだけど。
彼女の葛藤、視線が痛いほどよくわかる。
次週が今からとても楽しみ。

人は誰もみな、望んでいなくとも傷つけあってしまうことが多くて。
そこで亀裂が深く入ったままなら、友情もそこまで。
でも、傷つけられたり傷つけてしまった経験は、人を学習させ成長させる。
それまでどんなに長いこと閉じこもっていたとしても、
ひとりだけではどうにもならない問題もあるからね・・

この作品は、高校生達のフレッシュな日々と暗鬱とした想いとの
ギャップをリアルに見せながら、心開くとはどういうことか、
真の友情とはなんなのかを伝えているような気がしている。
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<8話の感想>

人は誰しも、誰かを傷つけてしまうもの・・なのかも。
傷つけあうことを恐れていては前に進めない。
傷つけられた時以上に、相手を傷つけてしまった時のほうが
ほんとうは絶望感って大きかったりするよね。
そんなことを想いながらの今回のお話。
まずは視野を広げようじゃないかと。
一番大切なものは何か、自分はどうしたいのか?
目先のことに惑わされずに、見極めることが肝心。
{netabare}
一旦、5人はバラバラになってしまったかに見えるけれど
それは今後の結束を高めるための第一歩になるんじゃないかな?
{/netabare}

今回は特に学級委員がいい仕事してた(笑)
--------------------------------------
<7話の感想>

相変わらずテーマがブレることなく、深い。
精神医学的な分野からじっくり考察してみたくなるけれど
それは最終回が終了して、私に余裕があったらにしようと思う。
今回は欲望開放というより、衝動開放って感じだったかな。
抑えきれない衝動を吐き出す、普段は理性で抑えることが
できている言葉を、言い換えることなく素のままぶつけてしまう。

{netabare}
結果的に本人は、心が開放されるからスッと落ち着けるものの、
一度口に出した言葉は新たな傷を生み出すし、記憶はそう簡単に
消えてくれはしないから。
でも、彼らにとって唯一の救いは、これが「ふうせんかずら」の仕業である
ってことがわかりあえていること。
責任の所在がハッキリしているから、彼らは結束していられる。
でも、そろそろ大きなシャッフルが出てきてもいい頃かもね、物語的には。
{/netabare}
------------------------------------------
<6話の感想>

おぉ・・やっぱり再び登場したか、ふうせんかずら。
今度の現象もなかなか厄介ながら深いところを突いてくるよね。
人の心には必ずといっていいほど、何らかの傷や劣等感があるわけで。
表面では取り繕っているものの、一人になった時
それらはある日突然芽を出し始める。
特に表と内側の差が激しい稲葉や永瀬は危なそう。
ますます次回が見逃せなくなってきたわ。
--------------------------------------
<5話の感想>

今回は、いろんな意味でとにかく必見。
後半、うるうるきてしまったけれど、ふうせんかずら・・
アンタ何者なんだ!?
{netabare}
どうやら1話から続いていた人格入れ替わり現象はこれで一段落?
{/netabare}
でも、まだまだ別の現象が起きて、彼らの心をかき乱したりするのかな。
けど、悪いことばかりじゃなく、何かしらそういった体験で
得るものがあるってことに気づいていく彼らなのかもね。
-----------------------------------------
<1話~4話までの感想>

横浜を舞台に、私立高校文化研究部の部員5人に次々と起こる不思議な現象。
例えば、AさんとBさんの人格が入れ替わって大騒ぎしているとすぐ戻ったり。
今度はCさんとBさんDさん、3人の人格が入れ替わったり。
外見だけは変わらないまま中身が変わるというと、だいぶ昔に
大林監督が撮った小林聡美、尾美としのり主演の映画『同級生』を
思い出さずにいられなかった。

まだ思春期を卒業していない年頃の男女が入れ替わってしまうって
もうそれだけでセンセーショナルなわけで。
まずは膨らんだ胸を触ってみたり、トイレに駆け込もうと、
女子生徒の姿のまま男子トイレに蟹股で飛び込んでみたりと
描写もなかなかリアル。

そしてどうやら、この物語の見どころは、
1人1人中身を入れ替わってみることで、相手の家庭の事情を知ったり、
トラウマに気づかされたり、今まで表面には見せずにいたそれぞれの
悩みが暴露されていくことにより、それらを部員たちが知って
以前よりいっそう理解を深め合おうとする姿なのかもしれない。

テーマとしてはサイコサスペンスっぽくも演出できる内容だけれど、
OP曲からして朗らかに明るいのも、深く考えれば考えるほど
どっちなんだろう?と気になってくるし、まだもう少し観ないと先が読めない。
そして当然、それが楽しみでもある。

とにかく、5人の人物背景がとても興味深い。

【八重樫太一】
{netabare}
プロレス好きの理由は「受け身の美学」と言う主人公=八重樫太一。
天然で、正直で、生真面目で、困っている人や苦しんでいる人を
助けずにいられない性格で、しかも代わりに自分がその痛みを
背負おえばいいと思ってしまうような面がある。
観ていてこの太一が自分と性格が被る部分があるので
女の子から「自己犠牲野郎」などと呼ばれるとズキンっときてしまう(苦笑)
彼の今後の課題は、「自分」の本音をさらけ出すことかもしれない。
{/netabare}


【永瀬伊織】
{netabare}
なんと母親が次々に夫を代えるものだから、父親になった人が何人もいるという。
さまざまな父親という他人と接する間に、相手に求められているものを即座に
察知する能力が備わり、演技してしまう癖が抜けずにいる。
そのため「自分」がなくなってしまっていることが悩みの種。
学校でもハイテンションな振る舞いをしているが、自宅で1人の時の彼女を
観た感じ、太一ととても似たもの同士な雰囲気がある。
{/netabare}


【稲葉姫子】
{netabare}
歯に衣着せぬ物言いで、ズバズバなのは観てて楽しいけれど、
こういう人間こそ、本当は深い闇があったりするもので。
メンバーの中で一番クールで大人びた印象。言葉遣いは男っぽく、
やや乱暴な感じもするが、感受性は人一倍強いように感じる。
そう思っていたら案の定、4話で「人間不信」が発覚した。
それでも、彼女みたいな人は周囲の人間との交流次第で大きく化けるはず。
付き合い方は難しいが、じっくり腰をすえて縺れた糸をほぐしていきつつ、
ある程度の距離感は必要なんだろうな。。と思う。
{/netabare}


【桐山 唯】
{netabare}
メンバーの女子の中では、一番女子力が強そうでいて、実は男性恐怖症。
空手を習っていたりもしたが、やめた原因も男性恐怖症になった原因も
同じところにあるというが、太一のおかげで徐々に立ち直りつつある感じ。
{/netabare}


【青木義文】
{netabare}
今で言う少しチャらい感じの印象を持つ男子だが、実際は心優しい人であり。
こういう男子ってけっこう純粋で繊細で、一途だったりするのだよね。
ただ、表現方法的に不器用なだけ(笑)
一昔前だと体育会系もこんな感じだよね。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 129
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

これからの人生にヒントをくれるテーマ

原作未読。

文化研究部の5人の元に、「ふうせんかずら」と名乗る人物が現れる。
ふうせんかずらの力で、5人の感情を混乱させる不可解な現象が発生。

・人格入れ替わり
・欲望解放
・時間退行
・感情伝導

どうやってそれに対処していくかが描かれる。


人間の心理を扱った珍しい作品。
かなり挑戦的な内容で、人間の心に詳しくないと描けません。
もちろん、細かく見れば穴はたくさんあったと思います。
しかし、ざっくりと表現されつつも、メッセージは十分に伝わってきました。


テーマは読んで字のごとく、「心」と「つながり」。

・本来持っている自分を知る
・感情の変化へ対処する
・時と場所で性格を使い分ける
・自分が本当に望んでいることを見つける

どれも成長していくうえで大事な要素です。
そのあたりのポイントをしっかり押さえています。


このアニメには、ユニークな5人のキャラが登場します。
私にはそれぞれが「人が持っている性格の一部分」に感じられました。
「性格」というのはどの部分が強く出ているかの違いでしかないのかもしれません。


「その場をうまくやりすごすために、自分を演じる」というセリフがあります。
いわゆる仮面です。

こうやって仮面を被って生きていくことは、社会生活を営むうえで必要不可欠です。
その切り替えが多く発生するほど、本来の自分を見失ってしまいます。
本当の自分を見つけるというのは並大抵のことはありません。
探すだけでも相当なエネルギーを消費します。
{netabare}
ただでさえ仮面をかぶり続けてきた永瀬伊織。
14~17話で、永瀬伊織はエネルギーを完全に使い果たしました。
それを支えてくれたのが周りの仲間たち。
{/netabare}
ですから、自分を客観視してくれる人を見つけるのが理想的です。
そうすれば、自分を見失ってしまったときに助けになります。

まあ、実際には人間の心は簡単に変化しません。
周りの力を借りながら、ゆっくりと変化していくものです。

……ですが、そんな悠長に描いていたら一生かかります。
コンパクトにせざるを得ないのは仕方がないところです。

そこでふうせんかずらの出番というわけです。

ふうせんかずらの学名は「Cardiospermum halicacabum」です。
ギリシャ語の「cardia(心臓)」と「sperma(種子)」からきています。
種がハート型をしているためです。
英語では「heart seed」とも。

ふうせんかずらは、人の心に介入して成長を強引にうながす。
そんなココロの種の役割を果たしているんですね。


17話まで見終わって私の性格をキャラで分析してみました。
{netabare}
八重樫太一:6
青木義文:3
桐山唯:3
永瀬伊織:10
稲葉姫子:2
ふうせんかずら:8

伊織の「仮面をかぶり続けてきた」「ためにためまくっていきなりぶちきれる」。
これ、少し前の私にそっくりなんです。
しかも、「今までの自分があるからこそ、今の自分、そして今の仲間がいる」「過去に戻ってやりなおせるとしても、戻るつもりはない」という信念まで一緒です。
ミチランダムでは、伊織に感情移入しっぱなしでした。
人間観察や感情のコントロールが好きなところは、ふうせんかずらに似ています。
自己犠牲野郎な部分は、太一に似ていますね。
{/netabare}
こんな私ですが、これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

投稿 : 2024/11/09
♥ : 118
ネタバレ

逢駆 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

~異路同帰~

平穏が崩れたその時、五人の関係は形を変える―――――


八重樫太一・永瀬伊織・稲葉姫子・桐山唯・青木義文の5人に起こる不思議な現象の数々。
異常現象によって文研部メンバーが抱える様々なトラウマや苦悩が浮き彫りになっていく…。
文研部5人の心の傷を、ときにコミカルに、ときにシリアスに描いた『愛と青春の五角形コメディ』

この作品で最も感心し驚かされたのが、主要キャラ5人を演じる声優陣の力です。
なぜならヒトランダムでは自分が演じるべきキャラクターはもちろんのこと、
他に4人分の役柄を演じ分けなければなりません。
それは人物ごとの話し方の癖であったり語尾のニュアンスであったり…。
視聴者に誰と誰が入れ替わったかを認識させることはとても難しいことです。
と同時に本作のような入れ替わりものが成功する大きなファクターでもあると思います。
そこを見事に表現していた職人芸には舌を巻きました。
キズランダムやカコランダムにおいても素晴らしい演技の数々に魅せられました。

◆ヒトランダム
{netabare}
『視点の転換が、悩みを解決へと導く』

文研部のメンバーが最初に体験した現象、それは「人格入れ替わり」
これによって自分の秘密を知られたり、また相手の秘密を知ってしまう危険が出てきます。
実際、唯、稲葉、伊織の3人は自らのトラウマを他人に知られてしまいました。
しかしこの現象のおかげで結果的にトラウマは解決する方向へ。
なぜなら3人とも悩みを一人で抱え込んでいたからです。
自分にとっては深刻なことのように思えても、周りからすれば案外大したことないかもしれません。
別の視点から見ることによって逆転の発想で悩みは解決できるかもしれない。
ひとりで悩まずに周りの仲間を信頼して相談することの大切さが描かれていました。
「人格入れ替わり」を体験したことによって、文研部の5人はより絆を深めていきます。
{/netabare}


◆キズランダム
{netabare}
 『相手を本当に理解したければ、傷つくことを怖れず真正面からぶつかり合え』

次に文研部メンバーを襲ったのは「欲望解放」
普段は自制している感情が抑えきれなくなるというまたやっかいな現象です。
それぞれが別の方法で文研部の関係性を維持しようとし、余計に亀裂が深まっていきます。
しかし今回は文研部という小さな枠の外にいる人達の意見によって解決への糸口が見えました。
他人の気持ちを完全に理解することなんてできない。
それでも私たちは他人の気持ちを自分の理解に当てはめようとする。
だから人は傷つき、傷つけ合ってしまう。
でもそれを恐れていては何も始まらないし何も進まない。
「ぶつかり合わないと、なかなか本当の友達にはなれないもんだしな」
キズランダムのMVPは間違いなく、藤島さんとごっさんです!
{/netabare}


◆カコランダム
{netabare}
 『昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう』

今回は、12時から17時までのあいだ太一以外の4人がランダムに年齢が退行するという「時間退行」
この現象のポイントは、退行時は記憶も当時のものとなり
さらに退行が終わっても変化していた当時の記憶が鮮明に思い出されるということ。
それは心に閉まっていたはずのトラウマや後悔が再び蘇ってくるということでもあります。
昔好きだった人と唯を重ねて見てたのではないかと悩んでいた青木でしたが、
持ち前の行動力のおかげで自分の気持ちを整理することができました。
今を変えれば過去も変わる。
失敗した自分や後悔した自分、その全ての過去の自分を肯定して今を生きる。
今ある悩みの原因は決して過去にはありません。
一歩一歩しっかりと前に進むことによって、きっと未来も変わってくると思います。
{/netabare}


◆ミチランダム
{netabare}
 『自分らしくある必要なんてない、“らしさ”は後からついてくる』

感情が口に出さなくても他の人に伝わってしまう現象、「感情伝導」
想いが伝わらなくて苦悩することが一般的には多いですが、
この現象では想いが伝わってしまうからこそ生じる苦悩が伊織を中心として描かれていました。
伊織は周りに期待される自分と本当の自分とのギャップに悩み心を閉ざしてしまいます。
周囲に望まれる自分を演じ続けることはとても辛いことです。
ありのままの自分では自信がなくて、他人の目が気になって…
でもそうしないと彼女は自分の居場所を見出すことができませんでした。
しかし本当の伊織を知ってもなお、彼女を受けとめてくれた文研部メンバー。
彼女を信じ、肯定してくれる仲間がいた。
これから伊織は少しずつ自分自身と向き合い、認めてあげる勇気を持つことだと思います。
ありのままの自分を肯定してくれる場所がある、それはとっても幸せなことですね。
{/netabare}



本作のテーマとしてどのエピソードにも共通して言えることは、
「悩みは一人で抱え込まないで、勇気を持って周りに相談することが大切だ」ということ。
その部分はしっかりと伝わってきました。しかしワンパターンな展開だったことは否めないです。
他の作品では徐々に登場人物のトラウマや葛藤が明らかになっていくのに対し、
本作はその部分が〈ふうせんかずら〉によって無理やり引っ張り出されます。
これにより物語をコンパクトに収めることができた反面、主題が全面に押し出されすぎた感じが…。
とは言いつつも、全体的には楽しく観ることができました。
〈ふうせんかずら〉という存在に違和感を覚える方もいるかもしれませんが、
そこを許容できれば意外と深いテーマに考えさせられ、入り込めるのではないでしょうか。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 85
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