けみかけ さんの感想・評価
5.0
【解剖学と心理学に裏打ちされた圧倒的説得力と自然な感動】これはあなたの物語【ピクサー最高傑作の謳い文句に偽り無し!】
ホントはもっと早く書いてあげたかったんですが完璧過ぎてなんの文句も無かったのでむしろ書き辛かったですw
公開前から「トイストーリー3を超える最高傑作」だとか「ドリカムが日本版主題歌を担当」などの煽りがウザくてあんま期待してなかったというのが本音
まず本当にピクサー映画史上最高傑作なことはオイラが胸を張って保証します(お
それに例の日本版主題歌は本編前にPVのように掛かる仕組みなので、本編とは一切無関係、どうしても駄目って人は寝てていいです(お
物語はライリーという少女が生まれた日から始まる
全ての人(ゆくゆくは全ての生き物)の頭の中には5つの感情を擬人化したキャラクターがいて、我々が取る言動のひとつひとつは全て彼らが指示を出して行っているものとされている
ヨロコビ(JOY)
イカリ(ANGER)
ムカムカ(DISGUST)
ビビリ(FEAR)
そしてカナシミ(SADNESS)
5つの感情たちに共通していることはライリーを心から愛しており、常にライリーのためを想っているということ
時にそれらは悪態や憤怒や涙というカタチで出てしまうものの、ライリーは優しい両親や友人や生まれ育ったミネソタの自然のおかげもあって真っ直ぐで、明るくて、ユーモアのある女の子に育った
特にヨロコビはライリーにいつも笑っていて欲しい、という想いが人しきり強く感情たちのリーダーシップを取る
しかし11歳のある日、ライリーの一家はミネソタからサンフランシスコへの引越しを余儀なくされ、全ての歯車はそこからズレ始める・・・
まず断っておきたいのが凄く悲惨な話や深刻な話ではないということです
引越しを機にアンラッキーなことが続いてしまい、それが頭の中でポジティブなヨロコビとネガティブなカナシミの対立を生んでしまう
誰の身にも起こりうる、端から見れば全然大それたエピソードではないのです
が、“実は頭の中では壮大なスペクタクルが繰り広げられていた”というのが素晴らしい
ヨロコビとしてはライリーにいつもハッピーでいて欲しいのに、それをカナシミが邪魔してしまう
なぜカナシミが必要なのか?
ここが映画ではキーポイントになるんですが、セリフで説明するのではなく表情と仕草と音楽だけでクライマックスに持っていく様は説教臭くなく、自然な感動を誘います
オイラなんかビンボンのくだり以降ずっと泣きっぱなし(T_T)
それに解剖学と心理学に基づいた“頭の中の世界”の描き方が丁寧で物語の説得力を倍増させています
冷たいものを頬張ると頭が痛くなるアレはなにか
記憶はドコにしまわれていてどうやって取り出しているのか
アイデアはどこからやってくるのか
サブリミナルはなぜ起こるのか
忘れるとはなにか
空想のキャラクターは頭の中で何をしているのか
アートはどうやって生まれるのか
夢はどこで作られているのか
そして、性格は誰が作ったものなのか
頭の中ってホントにこーなってんだ、って思わせてくれる納得のいく完成度
上手いですね
記憶が陳列されている棚が大脳皮質のシワの形をしていたり、感情たちがいる司令塔と呼ばれる建物がシナプスの形をしていたりと、モチーフがハッキリとしていて世界観の描写だけ観ていても凄くwktk出来る
爆笑してしまったのは物語の悪循環が始まる引越し先が“サンフランシスコ”だってことすかねw
だって半年前に『ベイマックス』がサンフランシスコは良い街だってあんなに推してたのに今作は「ミネソタの方が良かった・・・」とサンフランシスコをこれでもか!ってぐらい徹底的にディスりまくってるw
ああ、オイラは年間の映画のランキング表を作ってるんですが、、、心の何処かで一番は「日本のアニメであって欲しい・・・」などと甘いことを考えてました;
いい映画でした‐‐b