Key’s さんの感想・評価
4.7
AIRの謎が分かる過去編
あらすじ
人形を操る不思議な力である法術を
使うことのできる青年・国崎往人は
母から託された言葉の意味を求め
人形を操る芸を駆使して
金を稼ぎつつ旅をしていた
だが海辺の田舎町で金が尽きてしまい
困っていたそんな彼の前に
話しかけてきた一人の少女
神尾観鈴は人懐っこく無邪気に笑う
彼女との出会いをきっかけに
往人はこの町で暮らし始める
夏の情景に包まれて穏やかに流れる日々
そんな中さらに様々な少女に出会い
母に託された言葉の真意に迫り
往人は真実に近づいていく
そして、千年前。
背中に翼を持つ「翼人」の末裔である神奈は、
警護という名の軟禁で自由を奪われおり、
畏敬の裏に隠された周囲の悪意と恐怖心など、
翼人としての哀しい運命と
冷静に向き合って生きていました。
そんな神奈の護衛を務める柳也は、
彼女の「母に会いたい」という願いを叶えるため、
神奈の女官の裏葉と共にある計画を遂行する。
なぜ、観鈴は苦しんでいるのか?
どういう経緯で今に至るのか?
前世から続いてきた哀しい運命が始まる…
※wiki引用
感想
特別版として放送された
「やまみち-mountain path-」「あめつち-universe-」の
2エピソードを収録したタイトルが本作ですね。
本編での物語は、主人公の国崎往人が夏の日に出会った少女
神尾観鈴との交流と彼らの過去、
そして千年前の前世から続いてきた哀しい運命を描いたもの。
この特別編はその本編中の8話と9話で描かれた
千年前のエピソードにおいて割愛されたシーンを、
新たに追加・再構成したものとなる。
8、9話のストーリーで
原作からカットされていた部分を
上手く補完していたと思います。
この三人のやりとりは
下手すれば本編のキャラより
好きかも知れないですね
本編では少なかった
ほのぼのシーンを入れつつも
それぞれの話を掘り下げているので
AIR観た人にはぜひ見ていただきたいですね
見る順番としては、
本編を全部見終わった後か
9話を見た後に見たほうがいいのかな?
と思う
作画とかのクオリティーは
流石京アニといった感じで申し分ない
最高の出来かと思います
考察部分
過去編SUMMERの真相の考察を
解説として書いておきますので
全部見終わった人で理解できなかった人は
見てみてください
{netabare}
この話によって大抵の謎は明かされます。
特に、観鈴の身体の異常の理由や、
往人の一族が法術を使える意味などが重要でしょうか。
話的にも戦いが入ったり、過去の実際の史実が関係していたり、
この話がAIRという作品の壮大さを
生み出していると思います。
それほど、AIRの根幹となる部分という訳である。
まずは、翼人の説明からしておきましょうか
昔には、翼人という「種」が存在していました。
そして翼人の役割は、原始の昔からの人間達の営みの全てを記憶し、
受け継いでいくということ。
当然、人類全ての記憶を持つ翼人は森羅万象あらゆる知識、智恵を有し、
それを同世代に生きる人間達に分け与えていた。
先祖代々が達成してきた様々な発見、功績その他諸々の出来事を後世に途切れなく伝えるための、記憶保存装置の役割を担っていたのです。
しかし、その膨大な記憶の中には、人智を超えた術も含まれており、
結果として翼人は人ならざる力を持つことになった。
そうすると、やはりその力を利用しようとする者が現れてきます
また、戦に巻き込まれるうちに、自分の手にかかって死んだ者の怨念なども溜まっていく事になる。
そして、翼人が記憶を蓄積する存在である以上、怨念は消えずたまっていく一方です。こうして翼人は人間の負の感情までも正直に取り込んでしまい、その結果、穢れてしまい人々に恐れられるようになります。
おそらく、この翼人の悲劇の最初の被害者が、
神奈の母親である八百比丘尼です。
母親は息を引き取る直前、神奈に自らが蓄えた記憶を全て受け継ぎます。
その後、神奈が空に羽ばたけるようになったのも、
記憶を受け継いだことによるものでしょう。
しかし、柳也と裏葉を逃がすために囮になり天に昇ろうとした神奈は、
高野の僧の強力な法術により動きを途中で封じられ、
弓矢の集中砲火を浴びます。
そして翼のかけらが羽根となって飛び散った瞬間、肉体としての神奈は消滅してしまったと思われます。
結果、神奈の魂だけが空に囚われてしまいます。
裏葉いわく、空に封じた高野僧の法術が効力を失って地上に降りられるようになるまで100年はかかる。
そしてもし降りることができて別の人間に転生しようとしても、
翼人の膨大な記憶を人間の小さな器に移し切る事などできるはずがなく、
その前にその人間は耐え切れず死んでしまい、神奈の魂は転生を果たすことなくまた空へ還って行く。
そしてまた同じことを未来永劫繰り返し、神奈は永遠に救われることがないというわけです。
つまり、観鈴に起こっていることです。
観鈴が見る夢は、神奈の記憶が新しい順から
観鈴に注ぎ込まれていることによるもの。
その無限とも言える記憶の量に、観鈴の体は悲鳴をあげているのです。
そしていつかは観鈴の心も体も壊れてしまう。
主人公の母親や、その先祖、つまり柳也と裏葉の子孫達は、
こうして大人になれず死んでいく少女達に何もできず、結局救えなかったという悲しい歴史を繰り返してきたという訳です。
ここで勘違いしやすいのは、
翼人(神奈)の魂が人間に転生すると
その少女が早死してしまうのは呪いのせいではなく、
過去から連綿と続く膨大な星の記憶を司る翼人の魂の大きさに人という器では耐えきれず、魂を全て注ぎこむと死んでしまうということです。
~ {/netabare}