2015年度の広島TVアニメ動画ランキング 1

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62.9 1 2015年度の広島アニメランキング1位
ローリング☆ガールズ(TVアニメ動画)

2015年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (544)
2374人が棚に入れました
守られてばかりだった少女が一念発起、平和を守る旅に出る。

行く手に待つのは魔法使いか怪獣か、はたまた巨大ロボットか。

ご当地色をきわめつくした各地をめぐり、仲間とかさねる奮闘努力、汗と涙は報われるのか――。

どこまでいっても普通の子という宿命を背負い、それでもがんばる少女四人組が織りなす­新感覚・青春ロードムービー!


声優・キャラクター
小澤亜李、日高里菜、種田梨沙、花守ゆみり、中原麻衣、早見沙織、小西克幸

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

4人で旅した思い出はいつまでも色褪せない

ローリング☆ガールズ、はてさて一体何のアニメなのかと初めての方はお思いになるでしょう。
女の子4人がバイクで日本各地を旅する、簡単に言うとそんな話です。
主人公の4人、モブです↑
日本、おかしなことになっています↑
なんと他の作品だったらヒストグラムだったりシルエットだったりする"モブ"が主人公なんです。
でも実は火影の血を受け継ぐんでしょ?とかどうせ因果律が高まってたりするんでしょ?とか、そんなことは一切ありません、最後までモブです。
モブで主人公が務まるのか?と疑って当然だと思います。これはきっと恐らくアニメの分野では、「誰もやらなかったこと」でありつつ「先人が思いついたけどあえてやらなかった」ことなんだと思います。
声を大きくして言いますが、"モブ"が最後まで"モブ"であり、また"主人公"が最後まで"主人公"だったからこそ、私はこのアニメが大好きなんです!


主人公が特殊なら世界観も特殊です。
突如として日本に道州制が敷かれます、我が県こそが州都だと日本各地で争いが起きます、暴徒と化した都道府県民はついに東京・永田町に押し寄せ道州制に猛反発し始めます(=東京大決戦)。
東京大決戦から10年、10余りの道州から再び分割された旧都道府県がご当地色を強めながら内向きな発展を遂げた、そんな世界が舞台となります。
旧都道府県にはそれぞれ、国主と自警団が存在し、地域間の揉め事は主に自警団の団長(モサ)同士の戦いによって解決することが国の決まり(ツインタワー宣言)とされている、そんな現実的でありながらおとぎの国のような世界が舞台なんです。
例えば大阪であれば、たこ焼き店が百軒くらいずらっと道の両脇に並んでいるみたいな、47都道府県の設定とそこに住まうモサ140人弱の設定を三年間かけて考証し、世界を築き上げていったそうです。
私の出身は岐阜県ですが、岐阜は関ヶ原の戦いの舞台になったということで、県民(正しくは岐阜国のため国民)が甲冑に身を包み東軍西軍に分かれてドンチャン騒ぎをしているようです。
行き過ぎたご当地性、うんうんそうかも!と思えるようなものからこれはどうなの?と思うようなものまで、非常に楽しい"日本"という場所がこの作品には描かれているのです。

アニメでは全12話、大方は2話構成で主人公たちの住まう所沢から始まり、東京、愛知・三重、京都、岡山、広島という順に旅をしていきます。
実は他にも箱根だったり富士山だったり大阪だったり旅をしているのですが、その辺は漫画・小説の方で少し詳しく出てきます。
本来なら地域ごとに気が済むまでお話したいですが、ここでは割愛させていただきます。
所沢だったらバトル、愛知・三重だったらレーシング、京都だったらバンド、とにかくその土地で色々なことをしますが、それぞれバトルアニメ、レーシングアニメ、バンドアニメとして単体で見ても、それらを専門の題材としているアニメと比べて引けを取らない力の入れ込みようなんです!
これがすごい!
やれ総集編だの特番だのと万策の尽きるアニメが多い中で最後までハイクオリティで放送したこの作品の素晴らしさよ!
勿論、最終回付近の作画はちょっとぎこちない印象も受けますが、そこは大幅リテイクされてBD・DVDに収録されています。
設定資料集が今月発売されまして読んでみたところ、作画指導なる項目があったのですが、「常におしりを突き出して立ってたり、いつでもS字立ちしてたり、常に内股でなくても、かわいい女の子は描けると思います」「セックスアピール強い女の子より、とんでもない世界でアホみたいに生き生きとした女の子が見たいです」とこのように書かれていまして、全くその通りだと感動いたしました。
この媚びてなさ、これこそがローリング☆ガールズの最大の魅力なんじゃないかと私は思います。

モブ主人公の4人も非常に魅力的なんですが、なんといってモサのキャラクターの個性的なこと!
それぞれの地域でモサが居て、それぞれのストーリーで主役を食わんばかりに活躍します。
例えば、東村山の雇われ総長、武器使いの女帝・執行久仁子様は、その昔正義の味方を目指していたのがいつの間にか悪役になったというキャラで、所沢のリーダー、所沢の平和を守る正体不明の仮面戦士・マッチャグリーンと決死の戦いを経て互いを認め合い最後は共に国の平和を守るため共闘するというように一アニメの主役を張れる逸材がわんさかといます。
さらにいうとモサにしてもモブにしてもキャラクターの練られ具合が物凄いんです!
例えば、京都の古寺名刹の保安を担う舞子どすどす団長・豆千代さんと豆千代さんを指導する菊志乃さんの関係。
劇中では菊志乃さんのことを豆千代さんは「おかあさん」と呼ぶんですけど、これはお母さんではなくて女将さんの意味。
豆千代さんは有名な芸姑の忘れ形見で、その人に菊志之さんが頼まれて面倒を見ているというような、まぁなんとも複雑な設定が公式であるんです。
そんな細かな設定まで成されているんです、たかだた2話で出番が終わってしまうキャラクターに。
そんな強い拘りを節々に感じられるアニメは数少ないです、貴重です。
結局主人公達の名前すら出さないのは流石に不味いので一応言っておきますと、森友望未、小坂結季奈、響逢衣、御園千綾です。
今まで散々モブモブ言って来ましたが、この4人、私は本当に大好きです。
それはそれは言い尽くせないほどの魅力に満ち満ちていて、もうなんて言ったら良いのやらです。
"転がって落ちて這い回る少女達、他の誰かのため、自分達自身のために、たとえモブだという運命だとしても"
よ~く見てみると小さくタイトルロゴの下に書いてある英語、実はこんなことが書かれているんですね。
このモブの少女達がモブなりにほんのちょっと活躍するわけなんですが、それが結果的にストーリーをバッドエンドからグッドエンドに導いているんです。
彼女たちが居たことによって・・・最終的に解決するのはモサですが、彼女たちが居たことによってストーリーが成り立っているのです!
モブすごい!

声優は小澤亜李さん、日高里菜さん、種田梨沙さん、花守ゆみりさんがメインです。
放送当時・放送後含めて、ローリング☆ガールズはイベントを大量にやっていたことも印象強くって。
ロリガツアーズという劇場での先行上映会が5回、旅の寄り道というスタッフも呼んでの一挙上映会が2回、それからAnimeJapanのブースイベント、ぽにきゃん主催のP's Live、マチアソビのトークイベント、BD・DVD発売記念お渡し会、ロリガロックエクスプロージョンとまぁとにかく大量にイベントをやっていました。
先行上映会以外は参加したのですが、とにかく声優さんとの距離が近くてびっくりでした。
旅の寄り道01では、発売されたばかりの小説と原画ブロマイドと劇中でも登場したパスポートが配られていて、さらにそのパスポートにこれも劇中で登場したスタンプを押してもらえると言うとてつもない神イベ。
しかも会場でグッズ購入した人には抽選でサイン入り台本やポスターを配るという太っ腹っぷり。
いやー、あの頃が私の人生のピークでした()
さらに、これは声優さんは絡んでいませんが、舞台となった地域のアニメイトにて"モサスタンプラリー"なる企画があったり、上野のマルイでロリガショップが開催したり、古河の街角美術館でロリガの原画が展示されたり、とにかく精力的にイベントをしてくれてファンとしては感謝に尽きますね。
ちなみにモサスタンプラリーは難易度高くて、埼玉、東京、愛知、岐阜、京都、広島は行って推せたんですけど、奈良、岡山は断念しました・・・
それでも、舞台となった地方を巡ってロリガを感じることが出来て非常に楽しかったです。

曲は言わずもがな、ブルーハーツのカバーです。
まぁ萌えアニメにブルハなんてけしからんっ!と言わないでください。
私はそこまでブルハに明るくないんですが、イベント等でお話を聞いてみると熱心なブルハファンも居て、「ブルハは色々カバーされてるけど微妙なのが多くて、でもロリガ版のアレンジは良い、ガールズバンドとしては相当頑張っている」「いちいち選曲が良くて、特にネオンサインなんかは一番好きな曲だったからアニメで流れて嬉しい、こういうのをきっかけにブルハを知ってもらえればもっと嬉しい」というようなコメントをしてる方もいて、そうだよなそうだよなーと頷いてばかりいました。
BGMにもブルーハーツのカバーがいくつかあり、そのうち「シャララ」と「青空」はロリガロックエクスプロージョンで販売されたCDに歌付きで新規収録されています。
ブルハカバーではない他の横山克さん作曲のBGMも相当素晴らしく、私は特に「まぼろし軒での死闘」と「豆千代」が好きでよく口ずさんでます。
アンサーソング的な位置付のオリジナル曲、STONESですがこれもまた至高です。
8話で披露されたSTONES、プロットの段階では全然違う歌詞だったそうです
完成したものに監督が納得せず、再三作曲者に打診して最終的にあの形になったそうです。
実はイベントで配布された8話の台本に元の歌詞が載っているようです。
だからこそ、よりローリング☆ガールズにマッチした楽曲になっております。


この作品、ひっっっっじょーに奥が深いです。
アニメだけでなく、コミカライズ、ノベライズ、設定資料集、公式サイト、BD・DVDのキャラクターコメンタリー、スタッフさんのイベントやツイッターでの発言に至るまで、全てを網羅して初めてロリガの真価に触れることが出来ると思います。
とにかくアニメで説明する気がないのです、自分から積極的に突き詰めていかないと深められないというのはある意味では不親切ですが、むしろその方がオタクとして燃えませんか!?
まぁ別に深く知ろうとしなくたって、流し見で見てるだけでも雰囲気感じられて楽しいのです。
深く知ればもっと楽しいですが()

アニメが乱造され氾濫したこの時代に、これほどの名作に生まれ得るだなんて夢にも思っていませんでした。
私のアニオタ人生で終止符を飾るに相応しい、理想の上を行った、かけがえのない、まさに、"完璧"な作品でした。
こんな作品に出会えて良かった!ありがとう、ローリング☆ガールズ!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 14

どどる さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

好きになれるかすぐわかる安心感

とにかく、画面が見ていておもしろい。
エフェクトや妙な世界観も目立ちますが、1話からラーメン早食い、望未が瓶ジュースを飲むシーンのくちびるのぷにっとした感じなど、女の子もやわらかそうでとてもかわいいです。

画面の好ましさもさることながら、ストーリーもよく出来ています。
良いのはストーリーそのものというより、各女の子の心情がちゃんとわかるようになっていることです。
どの段階でどう心情が変化していき、どうして最終回の感情になるのか。
筋に重きを置いたサスペンスでもない限り、ストーリーの筋が複雑なことより、これが重要なことです。

私はちーちゃんと抹茶未が好きでした。
抹茶未が目を白黒させたり細めたり赤面したりするあわてんぼうな感じの表情がとても好きです。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 4

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

良き

良いエンタメアニメ。

乗り的には、"けいおん"と、"フリクラ"を足して2で割ってご当地スパイスを加えたような感じか。
可愛い女の子を愛でつ、バンドミュージックを鳴らし、バチっとエフェクト掛けて、オーソドックスなような適当なようなストーリーをズバッと掻き鳴らして走り去るという。
あと、ブルーハーツがだいぶフィーチャーされている。ファンじゃないけど嫌いでもないからまあよかったかな。

2015年以降くらいでなら個人的にはトップかも。
というか、2010年以降では、あんまり好きなアニメもないし、見てるアニメ自体少ないんだけど。
 自分が本当に好きなジャンルという訳ではない。ただ嫌いなジャンルでもないし、製作陣のやる気が伝わる作品だから好きだ。

まあ、これは普通に技術の進歩というか、そういうのが活きているアニメかなあと、作画とか演出とか、あと力の抜き方。何ていうかストーリーとかワザと適当な部分ガンガンあるんだけど、そういう取捨選択が良いなと思う。全体的にソツない。

制作のウィットスタジオというところは最近の会社らしく、これが最初のオリジナルアニメだったらしいので、それで思い入れも厚かったのかもしれない。

そしてまあ正直、軽ーいアニメ。ただあからさまな軽さがあってそこがよかった。自分はクールで重めの雰囲気なのに、内容が子供だましなアニメ、というのが大嫌いなんで。
演出はギッチリ掛けるけど、どんな戦闘も爆撃もあくまで"演出"。人は死なない優しい世界。という、徹底したスタンスが良い。
ストーリーにツッコミどころもあるけれど、そこは雰囲気とノリと勢いでカバー。各話のストーリーはオーソドックスな筋なので、まあ安心感あり。

あと、最後ちゃんと程よく盛り上げたのもよかった。

一番評価したいのは作画だね。ポップさと、オリジナリティが程よい。
そして全シーン女の子-特に主要4キャラ-が常に可愛いのなんの。

とりあえずあにこれの評価見てると、あんまり評価は高くなかったようですね。まああにこれだけ見ても、世評はわからんけれど。しかし、そんなところもまた愛着が持ててヨシ。

多分人気の出なかった理由の一つは全面に軽さを出しすぎたことだろうな。そこは個性として良いと思うけど。なんか、1話とかの、特撮風過剰演出戦闘とか、主人公がバトルに全く関与しないとか、そういう要素、好みだけど、大衆受けはせえへんかもしれん。全体の大筋もソツなく軽い。でもそれらは個人的には評価点でしかない。

惜しい点としては、2クール見たかったな、というところ。
2話完結型で、最後は4話で1章で、実質5章分しかない。
で、各章、舞台や、主人公以外の登場キャラが変わる。そして主人公達はあんまり活躍しない。いや活躍しないのは素晴らしい事だと思うんだけど、その結果、登場人物への愛着がやや薄まるので、それを時間でカバーできたらなと。まあ、ロードムービー1クールっていうのはちょっとね。あと、普通に設定ギッチリなので、濃厚ではあるが、展開についていけないことも。そのスピード感も現代らしいかな。良くも悪くも。

まあ、重ねていうがあくまでエンタメとして土俵を徹底した作品。それ以上だとは思わないけれど、その土俵でキッチリ魅せた感じがある。

とにかくよく出来たアニメ一本作られはった。
秀作。息抜きに良い。

個人的に好きなのはシャチホコ編。
推しはゆきっぺかね。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 6
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