女子中学生でファンタジーなおすすめアニメランキング 7

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68.6 1 女子中学生でファンタジーなアニメランキング1位
フリップフラッパーズ(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (295)
1169人が棚に入れました
あなたには、世界はどう見えているんだろう―――。

扉をひらくカギを手にしたふたりのヒロイン、パピカとココナ。

少女と少女は出会い、そして別の時間、異なる空間「ピュアイリュージョン」での冒険が始まる。

願いを叶えてくれるという謎の結晶体"ミミの欠片"を求め、ピュアイリュージョンを巡るふたりの前に 様々な困難が立ちふさがる。

ふたりに危機が迫ったとき“ミミの欠片”が輝き、そして彼女たちは変身するのだった。

声優・キャラクター
M・A・O、高橋未奈美、大橋彩香、津田健次郎、福島潤、日笠陽子、興津和幸、村瀬迪与、大西沙織、久保田民絵、井上沙香、歳納愛梨
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「ざ!クリエイター天国」物語の破綻は気にしないで、とにかく最後まで視聴してみて

監督:押山清高
ストーリーコンセプト:綾奈ゆにこ(代表作[シリーズ構成]【ろこどる】、きんいろモザイク))
第1話脚本:綾奈ゆにこ
アニメ制作:Studio 3Hz
主要キャスト
パピカcvM・A・O
ココナcv 高橋未奈美

アキバ総研の記事から引用

これは、「天体のメソッド」「Dimension W」を手がけたStudio 3Hzによる新作オリジナルアニメ。監督は押山清高さん、キャラクターデザイン・総作画監督は小島崇史さん、コンセプトアートはtanuさん、プロデュースはインフィニットが担当。変身する2人のヒロインを描いたSF冒険活劇で、変身シーンやアクションが見どころだという。
ーーーーーーーーーーーー

だそうです。

正直ノーマークでしたので、オリジナルなんだ〜へー・・と思いつつ第1話を視聴。
「ピュアイリュージョン」という世界観は面白いですね。

【第11話】メモ「ネガティブアーキタイプは自我を支配する」
{netabare}脚本:ハヤシナオキ
絵コンテ:押山清高・五味伸介
演出:篠原啓輔
作画監督:鶴窪久子、長谷川早紀、小島崇史、杉薗朗子、田中志穂
(1)意識下に抑圧されている自律的な意識
人間の無意識は(顕在)意識が認識するより早く感知し(顕在)意識よりも先に重要な決定をしている。
『Science and Technology(無意識からの回答)』(2009 Science and Technology)
上記は無意識が何らか干渉(物理的、内観的)を受けると意識へ影響を与えることを示した実験結果である。
つまり、イロドリ先輩はPI(無意識)をパピカ達に干渉された結果、記憶(意識)が改変され行動が変化した科学的根拠となる。
また、ソルトの父はミミとパピカナにPI(無意識)を干渉され発狂している。
今回のミミはソルト父により自分のPI(無意識)に飛ばされ、人格分裂(解離)として意識に異変を来たす。
ミミがりんごに手をかけてPIが開く描写で、
「りんご」→「禁断の木の実(旧約聖書)」
の隠喩であろう。

人格分裂(多重人格)は様々な学説があるが、PIは無意識空間であるため、ユング説の論文抜粋を下記(2)に提示する。

(2)ミミの人格分裂からユングの元型論(アーキタイプ)における元型の二面性を考察
2―1 元型の二面性
元型にはいろいろなものが考えられる。
この元型は,意識に与える影響から考えると,ポジテイブな面とネガテイブな面を持つ。
例えば,元型太母(great mother)は,包含機能を中心に恐 母としての死の働きと,善母としての生の働きの二面性を持つ。
ユング心理学の見地から見れば, 無意識は地球全体に匹敵するほどの大自然であり,一方意識は,陸地に発展した一つの都市にす ぎないのである。
・・元型には二面性が見られるが,自我にとっては元型のネガテイブな力の大きさに脅威を感じざるを得ない。

2―3 意識―個人的無意識―普遍的無意識の関係
人間の出生,発達を考えると,出生時は全く意識はなく無意識だけが全てである。
ノイマンはこの状態をウロボロスとよんだ。
やがて無意識から意識が生まれる。
意識はその中心に自我 を発達させる。
自我は社会に対して開かれた存在として自己主張し,経験を通して自己拡大をはかる。
この時,自我に都合の悪いものが無意識に抑圧される。
これが個人的無意識である。
従って個人的無意識は意識に最も近い存在と考えることができる。
一方,普遍的無意識は意識を生み出した母体である。
従って起源的には普遍的無意識の方が個人的無意識より古いことになる。
図示すると

無意識(普遍的)→意識→無意識(個人的)

人の生活は自我を中心になされる。
自我にあわないものが無意識に抑圧されることは前に記したとおりである。
この日常生活上の経過をもとに考えると,意識→無意識(個人的→普遍的)と推移するようにみえるが,起源的には上記図示のとおりである。
無意識内のダイナミックな変化を考えるとき,この無意識の発生起源は重要な手がかりとなる。
加藤實『意識と無意識の関係 個人的無意識の肯定的側面について 』岐阜聖徳学園大学教育学部 2003

参考『ユングが述べる普遍的無意識(集合的無意識)』の意味

大地が草木や動物を育むさまを、母親の豊かさと厳しさに重ねる潜在的な感覚。
渦巻きや暗く深い場所を死と関連づけ恐れる潜在的な感覚。
森の暗さや深さを未知の怪物と捉える潜在的な感覚。
月や太陽に神性を思う潜在的な感覚。
動物、または人間が火と赤い布を同一視して怖がる感覚。
人間は上記のような内面の感覚を、直感的に神や悪魔として恐れ敬っている。
人間は神話や民俗学の知識がなくても、直感的に神話や伝承に通じるイメージを抱いている。
人間は日常生活でも、深い部分で前述のような感覚に影響を受けているのではないか。
だとすると、人間は目に見えない、考え方や連想のパターンに支配されているとも言える。

河合隼雄『ユング心理学入門―“心理療法”コレクション〈1〉 』(岩波現代文庫) 2009

「2―1 元型の二面性 」では元型のポジテイブな面とネガテイブな面の二つの性質が説明されているが、正常なミミ(ポジテイブ)と闇落ちしたミミ(ネガテイブ)の関係に当たる。
自我(意識)はネガテイブな元型により支配を受けやすい性質を持つ。
ミミは自分で自分のPIを干渉したために普遍的無意識(集合的無意識と同じ)が作用して人格の分裂が生じ、ネガテイブ元型が意識を支配し起きた現象としてシナリオが組まれたと推測できる。
なお、個人的無意識(PI)が干渉されたとしても、必ずしも意識が侵食されるとは限らないようだ。
その基準は不明。
普遍的無意識、個人的無意識、意識の関係は「2―3 意識―個人的無意識―普遍的無意識の関係」の通り。
なお、本レビューでは
普遍的無意識→集合的無意識
個人的無意識→無意識
元型→アーキタイプ
として記述をしているが、同じ意味である。

次に、PIの二重性だが、ココナとパピカは集合的無意識内の冒険をしているが、エピソードの殆どは誰かの個人的無意識だろう。
現在分かっているもの。
6話:イロドリ先輩
7話:ココナ(メモで説明済み)
8話:ヒダカ(メモで説明済み)
9話:ヤヤカ(下記の(5)参照)
11話:ミミ、ソルトの父(ミミは下記、ソルトの父は一目瞭然で説明不要)
※10話はPIの設定無し。
6話の止め石のようにPIには個人的無意識の入口が無数に存在している。
要するにPI空間とは集合的無意識と個人的無意識からなっており、ミミの欠片は個人的無意識に存在する。
個人的無意識の入口を本作では鳥居に似た門でも描写をしており、6話と11話に登場する。

ココナはミミの欠片がある個人的無意識へ100%の確率で誘導されているが、ミミの欠片はココナの母親ミミの一部であるが故にだろう。

ミミのPI(無意識)はクローバーで満ち溢れていた。
アスクレピオスに対しての攻撃もクローバーが使われた。
クローバーの花言葉「復讐」は、ココナを取り上げた、アスクレピオスに対する隠喩だったのかもしれない。

(3)パピカの足環、成長と退行、記憶喪失の謎
7話でパピカの外せない足環が登場したが、これは研究所で装着された逃亡防止装着だった。
11話ではパピカナは大人になり、おっぱいも膨らみも豊かになっているが、パピカのときは少女に退行をしている。
記憶が喪失した謎も明かされてはいない。
体位退行現象については、御都合設定かもしれないが、現時点では不明である。
11話回想で、ミミがココナを抱いて消えようとした時にパピカナはミミを追い、PIに迷い込みそこで記憶を失い、体位に何らかの変化が生じたのかもしれない。
パピカについては、なお、謎が多過ぎる。

(4)アスクレピオスの正体
もう殆どの方は知っているだろうが、ここのメンバーはミミが居た研究施設の連中で、トップは発狂したソルトの父。
ソルトの父がミミの破片を集めるのは世界征服のため。

(5)9話のPIはヤヤカの無意識
割れた鏡に映るヤヤカとココナの楽しい思い出、ベゴニアの花壇の前で笑う幼い頃のヤヤカとココナ、ペゴニアの花言葉は「片想い」「愛の告白」「親切」「幸福な日々」。
ヤヤカはココナと急激に親しくなったパピカにジェラシーを抱いていることから、ココナに対し片想い、パピカ登場までのココナとの幸福な日々、ココナへの親切。
状況証拠だけど間違いないだろう。
無意識が干渉された後にヤヤカの心境変化が生じる。
11話ではソルトに頼まれとはいえ、嫌っているパピカの背中を押し、ココナ救出へと舵を切るまでに心変わりをしている。

(6)最大の謎。
ミミがココナを連れてPIに消えた後、何故ミミは欠片となり、ココナは通常世界に戻ったのか。
ソルトがミミに銃口を向けた意味と関係がありそうだ。

(7)追記予定{/netabare}


【第1話】メモ
{netabare} 2人の主人公、電波キャラのパピカと優等生キャラのココナがそこヘ願いを叶えてくれる「ミミの破片」を集めに行くんですけど、魔物が出てきて、そう簡単には取得できない設定で彼女等に危険が迫ると新ウルトラマンのように勝手に「変身」しますけど変身シーンもあれいつ変身したの?とても番宣がいうような見所はありませんでした。
作画で特に背景は正直Dimension Wを制作したスタジオとは思えないほどチャチ!?
異世界をやるなら背景は特に大切だと思いますけど、さすがにベタ塗り(仕上げのブラシむらもしっかり残して・・)はないでしょう(呆)
キャラデザは「12歳」に似ていてうーんあまり惹かれませんね・・
「12歳」は原作がそういう絵柄なので仕方がありませんけど、この作品はオリのキャラデザだから微妙です。
ぶーちゃん?というヘンテコなロボットもしますけど、ネタか何かでしょうか。

OPとEDは良いだけに、なぜあのクオリティを本パートで出せないのか・・設定やストーリーは斬新で面白いのですけど作画があまりに残念過ぎて、せっかくの見せ場も迫力半減です。
なんだか、低予算だなぁと感じる作品でした。{/netabare}

【第2話】メモ
{netabare}相変わらずよくわからない展開。
電波アニメなのか否かはまだ判断できない。
とにかく不思議な世界観。健常者では想像できない、薬物から生じる幻覚か統失患者に見えているような世界観というか形容するのが難しい。
2話のピュアイリュージョン空間は犬カレー空間よりも更に不可思議さの手が込んでいて侮れないと率直に思った。
今回、分かったことは作画は単純に手抜きとはいえないこと。
あらためてクレジットを読んだら原画が超一流スタッフでこれもびっくり。
いわば、あえて「画風」でやっていると考えるべきなのかな。
しかし、キャラデザへの抵抗感はどうしても拭えない。
背景担当の「スタジオPABLO」は画力で定評があるし、1話の遠近感外しベタ背景も演出だったか。
どっちにしろ並の感覚や想像力では2話のピュアイリュージョン空間は描けない。ここまで行くと一種の芸術だ。{/netabare}
考えるよりも先に雰囲気を感じることを要求される作品かもだが、内容が面白くなければ、ただの雰囲気アニメになりかねないが、今後の展開しだいで超ダークホースの可能性すらある。

【第3話】メモ
え!なんだ、この超展開・・?
いろいろなものがミックスオマージュされているのは気のせいか。
{netabare}ココナとパピカは変身で色が逆転するんだ。{/netabare}
で、二原にアクタスがクレジットされているけどそんな余裕あるのか、おいおい。
動画はP.A.、ライデン、ディオメディアとか元請けクラスのスタジオが下請け参加しているんだ。
クレジット凝視して動画チェックの佐藤さん、この方動画の大家だけど見落としていた。
道理でよく動くはず・・ユーリはクイックモーションが多くてよく動いて見えるけど、1話通しての中割の枚数はフリフラの方がずっと多いだろうね。
脚本の綾奈ゆにこさんがOPでクレジットされないのは、絵コンテに合わせて脚本書いてるとか普通とは逆の順序でやっているからかな。
物語構成はよくわからんし、そもそも構成なんてしているのだろうか。
もう、アニメーターがやりたい放題やっているイメージで、題名まんまのドタバタ展開。
EDはグリム童話っぽくて曲も合わせクセになるぐらいに幻想的だ。
個人的にはZAQのOPよりも中毒性がある。
展開の意味不具合なら、グラスリップを超えた。

【第5話】メモ
久しぶりに凄いモノを観た。
こりゃ本物!神回と言ってもいいし、今までで一番理解しやすい回でもある。
{netabare}古い校舎、無限ループ、いつの間にか迫ってくる「ごきげんよう」三つ編み女学生達の不気味さからホラーとしても格別だ。
異常空間に様々な舞台装置をセットし、完璧なカタルシス感の描写している。
ココナが向きを変えた人形・・時間リセットで元に戻る不気味な暗示。
時計台の崩壊でピュアイリュージョンの終わりのメタファー、静かに目を閉じる人形・・驚愕の演出だ。
合宿の成果で呪文で変身も可能になったな。
ヤヤカがパピカを邪険に扱ったことで、百合三角も明確にしてきた。
時計台内の異様な空間描写、様々なオマージュだと分かっていても、何もかもが出来過ぎているだけではなく尺に上手くまとめている。
2話あたりから従来の杓子では測れない異様な作品だと感づいたが、回を追うごとに作り込みに磨きがかかってきている。{/netabare}
おいおい・・大変な作品を作ったもんだ・・

【作品考察】長いのでたたみます。

{netabare}(1)作品タイトルについて
各話のタイトルはおそらくサウンドエレクトロニクスに関すること。

第1話 ピュア-インプット
第2話 ピュア-コンバータ
第3話 ピュア-XLR(XLRコネクター)
第4話 ピュア-イコライゼーション
第5話 ピュア-エコー
第6話 ピュア-プレイ
第7話 ピュア-コンポーネント
第8話 ピュア-ブレーカー
第9話 ピュア-ミュート
第10話 ピュア-ジッター
第11話 ピュア・ストレージ

ここから推理すると作品タイトル『フラップフラッパーズ』の由来は、サウンドアンプや調整機器に用いられるツイン構造のデジタル回路「flip-flop(回路)」と擬音の「flip-flap」を捩ったものではないかな?
flip-flopはパピカとココナ二人を象徴し、flip-flapはピュアイルージョンを旅する二人の様子の直喩とか、考えすぎかな?

(2)EDの作画
魔女、お菓子の家、かまど、そしてパピカ(服装が男の子)ココナ(服装が女の子)
これは『ヘンゼルとグレーテル』そのもだけどね。

(3)物語構成と演出
上記EDの意味を踏まえながら、物語の基軸はおそらく寓話であろうことは3話辺りから感じていたが、まとまりがなく支離滅裂な各話の展開の考察はこの回まで確信が持てなかった。
私は本作の第一印象で「統○失調症患者か薬物中○患者の脳内世界観でも表現したのだろうか?」と不謹慎にも思ったが、この直感は間違いではなかった。

さて、ほとんどの方々は「電波」や「お花畑」と聞くとスラングと思うだろう。
アニメでは『電波女と青春男』や『電波的な彼女』、『電波教師』などの作品における「電波」は基○外的な様相を比喩しているが、この三作のキャラも脚本構成も電波とは言えないし、真の意味も違う。

真の意味とは、某巨大掲示板に今でも存在するこの「板」の趣旨である

【健常者が異常者の「フリ」をして書き込みそれを楽しむ】

こと。

あくまで「真性」の「フリ」をすることが重要な勘所だ。
電波板、最近は過疎化が激しくて一時期ほどの勢いはないが、予備知識なく覗いた方は板の異様さに驚いたことがあるかもしれない。

人は誰でも複数の人格を有しているが、普段の顔である「ケ」では社会性の強い自我で過ごすが、「ケ」だけではストレスが溜まるのも人間の性で、所謂「ハレとケ」の場の使い分けで我々は精神のバランスを保っている。

「ハレ」では、酒を呑んで誰彼構わず無礼講ヨロシクでくだを巻いたり、ダンスやサイクリングなどの運動、またはゲームやアニメで自己陶酔したりと「ハレ」モードの自我を出すことは「ケ」の自我をリフレッシュさせることでもある。
当然、「ハレ」の自我でのみでは社会生活は営めない。

電波板とはこの「ハレ」に切り替え、別人格の自分で遊ぶ板と換言してもいいだろう。
ただし、電波板に不向きな方が無理に電波を出したりお花を咲かせると、乖離性障害という副作用も生じる可能性もあるので程々にした方が良い。

職業的に別人格の出し入れが上手い(感情移入と演技)が役者(声優も)、作家、芸術家だと思うが、彼等の能力を引き出して物語を作るのが監督や脚本家の役割であるから、制作スタッフに電波な心得があっても不思議なことではない。

ストーリーコンセプトを担当した脚本家の綾奈さんや、監督の押山氏に電波板遊びの心得があるのか否かは不明だけど、私が知っている限り暗喩、直喩をふんだんに散りばめた演出技法や、一見無秩序でデタラメな構成だけど最後は纏まる(であろうと仮定)のであれば、かつて(15年程度前かな)電波板に結構書き込まれていた電波小説の構成と酷似している。

しかし、電波脚本で作品制作となると話しは別だ。
まず、視聴者にどうやって理解させるのかが最大のネックだろう。
電波脚本で大失敗をした『グラスリップ』を想像するとイメージ出来ると思うが、多くの方々に理解不能とされたあの作品が電波アニメの代表作。
逆に、電波板に馴染める感性があれば理解は可能な作品でもあるが、それは一種の特殊能力の要求だ。(電波ソングに魅力を感じるのであれば脈ありだ。)

さて、本作のクリエイティブが卓越しているのは、固定観念では理解不能な電波な世界観を斬新(極めて実験的だが)な演出で視聴者の感性にダイレクトにインプットしていることだ。
『グラスリップ』はドラマの定石どおり左脳で咀嚼させて右脳を反応させる演出構成だが、本作は先に右脳を反応させて左脳にインプットする逆方式の情報流入を目指している。
したがって、言語の含蓄性や設定の論理的な説明など左脳を反応させる脚本や演出は抑制的である。(現在放送中のまほいくとは正反対の演出姿勢)

上記演出手法は万人受けという面では極めてリスキーではあるが、一度感覚が取り込まれると麻薬のような中毒性を発揮する。
回を増すごとに人気が増していることこそが、右脳→左脳にフローさせる演出の効果であろう。

(4)PIと集合的無意識
未編集。

(5)演出技法としてのゲシュタルト崩壊
「(3)物語構成と演出」を再整理する。

(6)ココナのペット「ユクスキュル」と生物記号論
環世界という概念を提唱した生物学者にヤーコプ・F・ユクスキュル(ドイツ)がいるが、ココナのペットはこの学者の名前である事に相違なさそうだ。
そもそも生物学は門外漢でこの世界観は理解しかねるが。
ユクスキュル理論は現代では「生物記号論」に継承されているが、この学問はたいへんマイナーで国内では論文がほとんどない…このために海外文献を読むのもなんだかな…

しかし、ズバリ名前を出しているところをみると、本作の設定に生物記号論が関わっているのは間違いなさそうだ。
この学問、一言で言えば生物学から唯物性を取り除き「記号」に着眼するという事になるが、還元主義に偏重し唯物解釈で生命の謎を解明しようとしている現代科学に対しての批判とも言える。

事実としては、「記号論」のように科学的事象の意味解釈は哲学の分野とも重複する点において、論理学の範疇かよくてフリンジかな。
まぁ確かに、騙し絵や寓話や音響関係の直喩なり「記号」が頻繁に登場する。
本作の「記号」はどういう意味付けか、還世界にこだわらず記号論から突っ込むこともできるかな?検討してみよう。

(7)ED曲の歌詞
『こっそりそっちを覗いたら、そっちもこっちを覗いてた、瞳の奥落ちていく、ここはどこかな』
この部分の出自はニーチェの146節かな。
心理学が確立されるまでは人の心に関する分野は哲学で取り扱っていたが、PI、そしてココナとパピカの関係で、ニーチェの一節がどう関与しているのかを考えるのも面白い。

「(怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。)おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。 」{/netabare}

【第6話】メモ
{netabare}考察の前置きが長くなったが、本作は極めて特殊な構成なので、理解不能な局面も多々ある事から、最低2回は視聴してからレビューを書いているが、今回も多くの暗喩で物語が構成されている。
唐突に美術部先輩「いろは」回であるが、構成のことは「電波小説」で述べている通り。

美術部先輩から「彩いろは」として登場したのは今回が初めてだ。
結論から先に書くと、マニュキュアをする資格がないと言っていた「いろは」だが、最後はマニュキュアをして登場しているが、ここが今回最大のメタファーである。
さて、一体何があったのだろうか。
アバンで脳味噌に電極?みたいなものを刺して弄っている場面から暗喩が開始されているのか。
パピカはなぜマニュキュアの匂いを嫌うのか。
お馴染みとなったピュアイリュージョン、今回も突然移動だがいつもと様子が違う。
「ホール」の発生だ。

鳥居に似た入り口だが「ヤヤカ」の慌てぶりからすると、これはピュアイリュージョンとは違う別の次元の世界の入り口ではないのか。
物語上では相変わらず詳しい説明はないが「ホール」の正体は「いろは」の記憶領域であるようだ。
ピュアイリュージョンの正体とはある種の精神世界(無意識下)なのかもしれない。
それにしても、魔女結界を描いた犬カレー空間に勝るとも劣らないピュアイリュージョンの空間設計には毎度感服させられる。

「ホール」に入り込んだ「いろは」の過去のエピソードをパピカとココナの二人が「いろちゃん」となり、なぞっていく。

「いろちゃん」のココナは父母の不仲が嫌で「おばあちゃん」の家に入り浸り「おばあちゃん」と楽しい思い出を作り、生まれて初めてマニュキュアをおばあちゃんに塗ってもらう。
しかし「おばあちゃん」は認知症を発症しており、最後には「いろちゃん」のことも忘れてしまう。
忘れられた「いろちゃん」はショックで病室を飛び出すが、ここでエンドが「彩いろは」のエピソードで「いろは」はこのおばあちゃんに対するトラウマでマニュキュアをすることが出来なかった。

専らココナが「いろちゃん」としてこのエピソードに関わったようだが、パピカと入れ替わる意味は何か。
ココナが「いろちゃん」のときパピカは意識的存在(内面)となっているみたいだし、逆パターンも同じだろう。
「いろちゃん」に具現化しているときはカラー描写で、意識だけのときはモノトーン描写で使い分ける暗喩は良い演出だ。
また、パピカ単独の「いろちゃん」は3カットだけだがどういう意味があるのかは不明。
そのうちの1カットはマニュキュアを塗って叱られているシーン。
これはマニュキュアのトラウマに対する暗喩描写だが、なぜパピカとするのかこの意図も不明。

あくまで推論の域は出ないが、二人は何らかの血縁関係であるか、または、電波の説明でも触れたが、人の人格とは一つではないことを考えると、ココナから見たパピカ、パピカから見たココナは相互に自己の別人格の投影なのかもしれない。
ここから、シンクロ二シティ(非因果律的共時性モデル)を用いた考察も面白そうだが、オカルト的な香りを全面に押し出すには、SFファンタジーな作品イメージとの乖離も感じる。

もう少しオーソドックスに考えてみると、哲学では物象化という考え方がある。
第三者から見ても二人称の存在であるパピカの存在自体が壮大な暗喩設定とすると、考えられなくもない想定だ。
しかし、これも物理的にはスッキリしないから、まだまだ考察の余地がある。

それに、パピカの過去や生い立ち、家族構成など素性らしきことがはほとんど明かされておらず(まさか土管から生まれた訳ではあるまい)ココナの祖母が物語の重大な鍵を握っているような気もするが、現段階では考察材料が足りないので、この二人の関係の考察はもう少し材料が揃ってからにしよう。

物語の続きだが、ショックでココナの「いろちゃん」が「意識のいろちゃん」パピカに泣きつくと、突然記憶の崩壊を暗喩するような現象が生じ、いろはの記憶(ホール)の外に出る。
ここで、ココナは「おばあちゃん」との約束「忘れたときはいろはが教えてね。」という約束を思い出す。

その刹那、「おばあちゃん」が具現化してモノトーン描写の二人は手を繋ぐとカラー描写、初めて二人の「いろちゃん」が登場するが、二人で「おばあちゃん」に「いろちゃん」と名前を教えて「おばあちゃん」との約束を果たす。

自分達の世界に戻った二人はホールでの記憶を共有していた。
ただ、二人一緒の出現の意味は分からないが、一方(ココナ)がいろはのトラウマ役でもう一方(パピカ)がいろはの希望役だったのであろうか。

パピカ達の行動の結果、最後にマニュキュアをして登場することで「いろは」の伏線は回収されているが、二人の役割が上記の通りだとすると、この暗喩は無意識下に封印された希望が叶い記憶が改変されたと考えるべきが妥当なのかな。

結局、アバンでのヒダカの電極はピュアイリュージョンとは無意識下をリーマン幾何学のように世界観を擬似イメージで模したものか、更に無意識下を物理的に操作し得る可能性を示唆しているのだろうか?
ホールが生じたのはヒダカの怪しげな実験の結果か、謎は残されたままだ。

今回の物語は社会的にも対策が急がれている「認知症」という重い課題に取り組んでいる。
記憶を喪失することで身内や周囲が受けるショックの重みは想像以上だろう。

今回ココナは、ショックと悲しみを伝える大役を見事に演じたと思う。
第6話は社会的になメッセージを込めたシリーズ各話に中でも異色の内容でもあり、身近な親族に「認知症」の現実を抱える私にとっては観賞後、本当に切ない気持ちになった。

(11月13日追記)
精神世界の入口が鳥居に似ていると記述したが、入口が開く前にパピカが触れたのは神社や仏閣で見かける「止石」だろう。
「止石」には「結界」の意味があるが、パピカは結界を解いてしまったのか。
道理で鳥居が出て来る訳だ。
この作品、何気ないところに伏線が隠されているから3回ぐらい観ないと見落とすな・・w

ここで本作のコンセプトが70%ほど見えた気がする。
タイトルのイメージに間違いがないなら、既存アニメの常識をひっくり返す大変な神アニメであり、ベストクリエイティブとはまさに本作に与えられるべき称号だろう。


EDの『FLIP FLAP FLIP FLAP』の配信が開始されて早速DLしたが、フルバージョンはより神秘的で心が酔ってしまいそうだ。{/netabare}

【第7話】メモ
{netabare}スタッフ
脚本・絵コンテ:押山清高
演出:江副仁美
作画監督:りぱ

今回は押山監督が脚本も担当。
コンテも担当だから押山回と言ってもいいかな。
綾奈ゆにこさんのTweetによると、本作のストーリーコンセプトとはシリーズ構成とほぼ同じ意味だね。
通常どの作品でも複数のシナリオライターが関与するし、既にクールの半分は消化していることから、構成が終わっているのならライター変更でも物語の大勢に影響はないだろうし、情報が濃縮されているOPの作画もできなかっただろう。

今回で明確になったことはPI(ピュアイルージョン)は物理的な異世界などではないということだ。

さて、今回は本作では初めてとなる続き回。
内容が濃すぎるので、3回は視聴する必要がありそうだ。
前話で記憶改変をしてから先輩の様子が変だぞ。
先輩が絵を描いていたのは、おばあちゃんに対するトラウマが原因だったのだな。
そのトラウマが消滅した以上、絵から興味が失せたということか。
しかし、この様子を見たココナのショックは想像以上だった。

ヒダカにくってかかりPIの謎を問い質す。
そのとき、二人のやり取りを遮るようにソルトが語る。
「PIも全て世界は滑らかに存在している。しかし、実際にはそうではない。摩擦のないユートピアなど存在しない。摩擦は世界の真理だ。」

結論から述べるが、ココナが落ちた世界は自分自身の無意識。

そして、ヒダカの示唆とソルトの解説、さらに分身パピカでPIの正体は集合的無意識ではなかろうか。

さて、サブタイトル「ユングの世界観」の考察に移る。
以下ではユング心理学を中心に考察をするが、ユング心理学の心得がなければ読むだけで混乱するので予め注意をしておく。
逆にこれ以上の考察はユングへの知見がないと困難かもしれないが、ユングを正確に理解するにはサンスクリット哲学への造詣も必要なのでハードルはかなり高く、バラエティ番組ではユングの表層を浚った如く紹介をされることもあるが、実際のユング心理学はそんな甘ちょろいものではない。

ここで註釈を加えるが、ユング心理学のうち分析心理学は個人の無意識までしか扱わない。
ここまでは医学応用されているので科学だが、集合的無意識は「超心理学」に属する分野である。
「超心理学」に関して我が国では科学としては認めていないだけで、国によってはプロト科学に分類しているケースもあり、また学会も存在する以上一概にオカルト扱いともできない分野である。
つまり、本稿では科学(分析心理学)と科学ではない分野(超心理学)にまたがる考察となる。

ユング心理学では、個人の無意識は人類共通の無意識の集合体(集合的無意識)と繋がっていると仮定している。
そして、集合的無意識は個人の無意識に干渉して人格が形成されるとしている。
また、集合的無意識にも幾つかの階層があることも示唆している。
集合的無意識の詳細はユングの著書を読んでいただきたいが、PIが集合的無意識と仮定をすると、6話のように個人の無意識への干渉も可能となる。

次にアーキタイプから考察する。
ユング心理学を会得している者なら、個人の無意識にはアーキタイプが存在することは承知のことと思う。

PIがユングの世界観であると確信できる点は今回のパピカの役割である。
集合的無意識が個人の無意識に干渉して生じるのがアーキタイプであるが、6話におけるココナとパピカの関係考察を踏まえ、今回のパピカはココナのアーキタイプを演じたと考えればこの推定は可能だ。

また、集合的無意識を経由すれば自己俯瞰(メタ認知)も可能であることから、ココナが見たパピカは全て自己投影(内観手続き)であったとも言える。

人格とはアーキタイプに支配され、ペルソナを被せて表層意識(個性)が形成される。
稀にペルソナの調子が悪くなると、アーキタイプが剥き出しとなった異常心理や精神疾患を伴うが、この点を無意識(深層心理)から解いていく内観手続き(自分自身の内面との対話)が分析心理学でもあり、また、内観を用いた精神疾患の治療として箱庭療法が有名である。
余談だが、無意識と(表層)意識の不一致がもたらすペルソナ系疾患として性同一性障害が有名である。(ただし、精神疾患ではない。)

なお、ユングはマンダラに描かれた世界こそが人間の精神構造を模していると考え、仏教の如来や菩薩が持つ哲学的な意味からアーキタイプ仮説に至っている。

本作では、優しい妹、やんちゃな男の子、ヤンキー、イケメン、もこっちなど様々なパピカ(計8役)の姿が描かれているが、これは全てココナのアーキタイプを表現したと思われる。
したがって、自身のアーキタイプと対話をしているココナが居た今回のPIは、ココナの無意識世界となるだろう。

それにしてもEDクレジットが凄まじことになっているが、演じ分けたMAOさんにはただただ感服した。

本作は数多にあるアニメの中でも特に難解に属する設定だが、ユング心理学については公開講座も開設されており、一通り学び理解をすれば、ユングの世界観で物語を創作することは容易くはないだろうが、けっして不可能でもないだろう。

次にゲシュタルト崩壊に移る。
ゲシュタルト崩壊とは主に認知心理学で用いられ用語だが、全体の形が分解されパーツとして再認識される様を言う。
ジグソーパズルを崩すとピースしか認識できなくなる現象を想像すればよい。

ここで何を述べたいかと言うと、本作の物語はゲシュタルト崩壊から元の形へと復元する方向で構成が組まれているということ。
6話までの考察で「本作の構成と電波小説との類似性」を記述しているが、電波な現象はゲシュタルト崩壊に含まれる。
この考え方は非フロイト学派から発展した経緯があり、後にフロイトを否定したユングにも大きな影響を与えている。

物語の基軸となるPIが集合的無意識であるならば、この物語の構成はゲシュタルト崩壊を意識していると再定義する方が整合がとれるだろう。

ゆえに、各話の表層を浚うだけでは本作の設定は到底理解に至らないだろうし、また、理解するには高いハードルを備えるロジックの存在も浮き彫りとなった。

ユング心理学を用いて以下の会話を分析してみる。

パピナ(小悪魔パピカ)とココナの会話(設定を観測するにあたりこの会話の全てが最も重要だ。)
コ「ここは楽しいけど、でも、帰らなきゃ。」
→知人の精神科医曰く、内観手続き(内面対話)は実際、やっている本人は楽しいとのことだ。
パ「残念、つまんないの…」(パピカ消滅)
→ココナ=パピカのこのPIではどちらもココナの本音となる。
コ「パピカ探さなきゃ。」
→自分探しを意味する直喩。

パ「迷子のココナ発見」
コ「何言ってるの迷子だったのは・・(暗喩)」
→ココナが内観手続きを表層意識で認識した瞬間の暗喩と思われる。

それでもなお解決していない設定の存在かつ、今後、最終回までに明らかになる事実もあることから、以上が7話時点の本作設定の仮説としておく。

なお、理解をしなくても楽しめる所以は、前回考察したように、本作は右脳の刺激を先に行う演出であることから無意識レベルを刺激しているからかもしれない。

7話のネタバレだが、ココナが居た世界は郡山市。
6話の先輩の精神世界(無意識)PIもだが、デフォ世界はメルヘンチックなのに精神世界はなぜか極めて現実的に描写されている。
7話に至ってはモブすら存在していない。

パピノ(妹パピカ)が言った「さすけねえ」について。
goo辞書から引用
>さすけね (福島の方言)
>大丈夫。気にしなくてよい。

ま、考察抜きにすれば、二人の入浴シーンもあり別の楽しみ方もできよう。

ココナのPIからまた別のPI?に来た二人、短いがEDにかかるまでの間の描写はこの物語の核心に触れる意味深いものだろう「ミミ」、そしてクレジットされていないキャラ達・・そこからOPが表す意味か。
トトとユユの正体、ヤヤカの立場も含めて僅か2分ほどで詰め込み過ぎだ。{/netabare}
7話はあまりに濃かったので結局5回も観た罠w
あー疲れた。。。。。

【第8話】メモ
{netabare}
脚本:ハヤシナオキ
絵コンテ・演出:榎戸駿
作画監督:榎戸駿 小島崇史 りぱ 鶴窪久子 田中志

今回の核心はCパート。

その前に、
「お茶でも入れますか?Dr.ヒダカ」
今話も可愛いいオペ子ちゃん!登場回数は限られるけどすっかりオペ子に入れ込んでしまったw
プールの中でブーちゃんがスク水JCを堪能しているのにはワロタ。

おちゃらけはさておき、これは今回のPIトラベルの伏線なのだが、Aパートの最初とBパートの最後でヒダカの機械修理シーンがある。
今回のPIトラベルはこの区間で発生していることと、オペ子の「ガラクタはこの部屋」発言最後に破壊されてがらくたになるPIを直喩しており、それはヒダカの無意識のようだ。

PIでココナが連想した環世界を描いた先輩の絵は何を暗喩しているのか。
鳥はユクスキュルが変身した姿とでも言いたいのかな。

まぁヒダカのような科学オタがロボ好きとしても違和感がないし、Bパート最後のブーちゃんの修理はPIの出来事に対する暗喩だとも思う。
オッチャンはヒダカのアーキタイプと解釈してもいいか。

それと、脳型の星はブーちゃんの脳なのか?パピカ達に破壊されて、現実世界に戻ったブーちゃんは壊れていたとかのオチかな。


アバンからヤヤカのジェラシーが全開だが、欠片を放棄したときユユの「報告するから」には戦慄が走ったな・・ヤヤカは居場所がなくなるのではないか?
ロボシーンではヤヤカの心境変化とパピカとココナと一時的にせよ仲間になった、この辺りがキーポイントかな。

アバンのパピカの足環にも注目。何故取れなくなったのか?この足環とCパートの展開に何か因果関係があるのか。
しかし、今話ではこの謎の解明には至らない。

さて、Cパートを引っ張ってすみません。
これは濃いねー!いやー濃すぎる。。
パピカが持っている欠片とココナが共鳴したぞー、パピカの様子がおかしい・・
パピカが認識齟齬を起こしたのか、ココナ自体がミミに意識転換されたのか。
パピカはココナのアーキタイプの具現化と考えると、集合的無意識がココナに作用したと考える方が自然かな。

毎度思うが、最後の最後のひき方に余韻を含ませる、高等テクニックな演出ばかりだ。
しかし今回のパピカの一言は今までの中で最も重いだろう。

物語は重大な局面を迎えてきた。

この作品、下手したら1カット1カットに伏線が仕組まれていて油断も隙もあったものではない。

蛇足になるが、ロボバトルは特撮スーパー戦隊をアニメ化したものだが、元ネタはフッラッシュキングか懐かしいな。
おじさん達へのサービス回とも言えるが、実際70、80年代のロボアニメを観ているような気分になったし、劇中曲もいいが、この一話の為に作曲したのならなんて贅沢な作品なんだろう。

同じインフィニットプロデュースのロボアニメ『クロムクロ』や『レガリア』に爪の垢を煎じて飲ましてやりたいほど素晴らしい出来だった。
やはり、爆発シーンの2Dは外連味があっていいね。

しかし、冒険活劇の一話が、本格的ロボアニメを凌駕してしまうのも笑える現象だが、アニメーターが楽しんで作り込んでいるのが伝わって来る。

(余談)
ストーリーコンセプト(構成)担当の綾奈ゆにこさんによると、8話はゾンビでPIも違う人物の設定だったらしい。
視聴側としては内部事情に関係なく、あくまで出来上がった作品で評価するまで。{/netabare}

【第10話】メモ「環世界が意味する虚像のパラドックス」(記号と認識)
{netabare}今回でココナの平和な日常が崩壊したのだけれど、ココナの日常そのものが虚像だったということ。
これが「環世界」が暗喩する意味だろう。
タイトルの解説となるが、《【作品考察】(6)参照》「環世界」とは生物目線が認知する場合、どのように意味づけられるのかということだが、例えば猫と私が同じ物体を見ていても捉え方が変わる。
つまり「認知」の結果としての「認識」は猫と私で変化する。
猫が鼠を見れば「捕食」するものと考えて行動するが、私が鼠を見たら「駆除」するべきものとして行動するだろう。
この場合「鼠」が「記号」となり「記号」は観察生物ごとに意味づけが変化する。
「環世界」を簡単に説明をすればこういうことだ。

上記を踏まえ、ココナが見ている現実と、パピカが見ている現実は非対称であるということを暗喩している。
これ、科学では「観察者効果」(量子論)に相当するから置き換えて考えることも可能。
『とある科学の超電磁砲』で「観察者効果」を踏まえ佐天さんが「自分だけの現実」と呟いたが、ロジック手順や目的は違えど「環世界」と同じ意味になる。
おそらくパピカはココナの現実を知っていたから、ココナの問いに答えられなかったのだろう。

パピカはパピカナと二つの人格を有しているが、パピカもパピカナも深層心理(無意識)はミミで共通しており、パピカの時はココナで認識し、パピカナの時はミミで認識する。
7話のココナのPI回ではパピカがココナの無意識内でのパピカ8変化。
イロドリ先輩の方へ目が行っていて、ココナの件が演出で巧みに逸らされたが、ココナの無意識はミミとの共通フィールドであり、パピカ8変化はココナが認識しているパピカの他にパピカナの存在を「表象」した一種の隠喩表現であろう。
ココナの無意識がミミとの共通フィールドであるのは、ココナがミミの母であるならば、それは胎児のときから無意識層に記憶が刻まれるからだ。
これは私達も同様だが、無意識に蓄積された記憶データが顕在意識に呼び込まれ記憶と認識されるのが心理のメカニズムである。
一般に無意識内の記憶の殆どは自律的に認識出来ないと言われている。
しかし、顕在意識では認識出来なくても夢で認識する事は多々ある。
ココナの夢にミミが出現するのは、無意識層の記憶を夢で認識している事に他ならない。
無意識と夢の関係は、PTSDの症状フラッシュバックのメカニズムを調べるといいだろう。

つまり、共通フィールドとはココナとミミの記憶の共有領域である。その中にパピカが入り込みパピカナもパピカも同じ意識体だとココナに伝えているのが、7話の意味であろうし、8変化はパピカから見た場合、ココナ=ミミである事をアレゴリーしたとも解釈出来る。

7話Cパートでのソルト登場がココナの無意識の二重性を象徴している。
よって、ココナには認識が出来ないミミもココナもパピカ(パピカナ)にとっては「記号」であり、それこそが「環世界」観念での観察効果とも言えよう。

10話でココナが見ていた「環世界」が崩壊し11話から新しいココナの「環世界」が始まるのであろうが、その世界がハッピーなのかアンハッピーなのかまでは推測出来ない。
しかし7話でパピカがココナにプレゼントし、10話でもパピカナがミミにプレゼントしたこのクローバーの花冠、同じ描写をしたことは、その花言葉がメタファーだと推測するが、その花言葉には「幸福」の他「復讐」という不吉な意味もあることから必ずしもハッピーエンドで終わるとも限らない。

本日放送の11話先行カットではココナがミミの人格になるような事が記載されているが…
もう一つの切り口で、EDの『ヘンゼルとグレーテル』が本作の基軸であると仮定してみる。魔女のメタファーは何を意味する?

ヤヤカの件も記述したいが、長文になるので11話のメモにでも。

----------------------------------------------------------------
要点列挙。
・アモルファスを集めるとPIを支配できる。
・PIの正体は集合的無意識だろう。
・ミミはココナの母だった。
・パピカはパピカナの時、ミミのパートナーだった。
・7話のパピカ同様、パピカナはミミにクローバーの花冠をプレゼント。
(クローバーの花言葉は「幸福」「約束」だが、「復讐」の意味もあり、バッドエンドの可能性も捨て切れない。)
・ソルトの父はPIの研究者。
・ココナの父はおそらくソルトだろう。(過去にも暗喩あり。)
・パピカはソルトの少年時代からの知人。
・パピカは全く成長していないが、此処にも秘密があるだろう。
・ココナの足にアモルファスが埋め込まれている。
・パピカはココナと共鳴しないとPIには行けない。
・ココナのアモルファス探知能力は百発百中。
・ココナの祖母はアスクレピオスの監視員でロボット。
・ココナは幼少期のどこかで記憶を操作されていた。
・ヤヤカもアスクレピオスの監視員。
・ユユとトトとココナは血縁関係(クローン含めて)の可能性。
・ニュニュの秘密は11話。ミミを含めて相当詰め込んでくるな。
・トトとユユはアモルファスの力を先天的に宿す。
・ココナが見ている世間は記号(環世界の暗喩)
・(記憶が戻った)パピカはミミとココナを混同したのかも知れない。{/netabare}

初稿(本作品はリアタイ視聴です。)
2016/12/17

校正
2021/3/9

投稿 : 2024/11/02
♥ : 41
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

パピカが連れていってくれるピュア・イリュージョンの世界

セル画時代を思わせる水彩画風の淡い色使いの背景と、よく動くキャラが一際目を引くアニメです。

将来の事、進路に悩む中学二年生のココナの前に、どこからとも無く唐突に、空飛ぶサーフボードに乗って、元気いっぱい、好奇心いっぱいのパピカが現れました。

パピカに誘われ、ピュア・イリュージョンなる異世界で繰り広げられる摩訶不思議な冒険活劇。

ピュア・イリュージョンという世界はその名の通りの幻想世界? あるいは未来世界? それとも夢? ‥不思議そのもの。一面の雪景色とそこに埋もれた見覚えのある文明の遺物、雪が甘かったり(笑)異形の生物が生息していたり、パピカとココナはそこで遊んだり、危険に巻き込まれたり、様々な冒険を繰り広げます。

キャラデザ以外の要素に重なる部分を見出せるのか、雰囲気は何となく映画版ドラえもん。今の所、戦いとか探し物(ココナ?)とか特別な目的がないので、ピュア・イリュージョンは元いた世界の煩わしさから解き放たれて自由に振舞ってもいいという開放感とか、隠れた不気味さとか、そんな空気に満たされている印象があります。

1話
{netabare}
やってきた異世界に戸惑いながらも甘い雪を食べたり、雪だるまを作ったり、割と楽しんでいるココナの姿は鬱屈した日常から解放された子供の行動そのもの。

まだ第一話ですが、色々なものが描かれました。"候補者"なるものを探す人たち、土管でワープ(笑)パピカに"ぶーちゃん"と呼ばれる脳を内蔵したロボット、ピュアイリュージョンという異世界、そこに住む巨大生物、そこで見つけた青く光る石、ココナの変身、そしてロボット兵士。
{/netabare}
2話
{netabare}
今回はパピカとココナがウサギに変身? 心も姿に準じた様で何かをかじりたい衝動にかられていた様子(笑)ピュアイリュージョンでは心のありようでいかようにも世界が変化するという印象。1話では雪景色の確固とした世界が描かれていましたが、今回の2話ではどちらかというと不定形の世界が描かれていた様に感じました。

1話でも登場した謎の組織"フリップフラップ"や青く光る石"ミミの欠片"の正体も徐々に明かされる兆しが見えてきました。謎多き物語というのはやはり楽しいものです。

パピカとココナが仲良くしているのをあまり面白くなく感じている様子のヤヤカ、今後物語にどの様に係わってくるのでしょうか?
{/netabare}
3話
{netabare}
世紀末救世主伝説+DBZなピュアイリュージョン(長いので以下PI)。指先一つでスパーキングなオーバーアクション。ケンシロウVSジャギなのか? 悟空VSフリーザなのか? 他にも魔法少女に変身とかやりたい放題。色々とやらかしてくれちゃうアニメです。

ヤヤカと双子という意外な面々が、意外な組み合わせでPIに登場したり、フリップフラップと対立する組織の一端が描かれたり、物語にも動きがありました。PIでは何でもあり、根底にはシリアスなドラマがある様な印象を残すアニメです。

次回はどんなPIが描かれるのだろう。妙に期待してしまう‥。
{/netabare}
4話
{netabare}
今回の冒険の舞台はピュアイリュージョンの世界では無いけれど、同じくらい不思議な世界が描かれている様に感じました。

パピカの土管ハウスとか、キーウィがいたり、自生しているトマトがあったり、巨大ぜんまいがあったりする森とか‥。キーウィや巨大ぜんまいはまだしも、良く知られているはずの野菜であるトマトについてココナが無知である点に、このアニメで描かれている世界を読み解く鍵がある様に思われました。

‥もしかしてフラクタル構造だったりして‥。

パピカの「むふ~」とか面白かわいい‥(笑)
{/netabare}
5話
{netabare}
今回のPIは寮制の女学校が舞台。三つ編み制服女子とか、深夜のお茶会とか、折り目正しくも怪しい雰囲気は「人類は衰退しました」を思い出します。ストーリーコンセプトに綾奈ゆにこさんが参加しているのでその所為かも知れません‥。

パピカとココナの、宝物を掲げて"フリップフラッピング"の掛け声で変身するという設定は、魔法のアイテムとかで変身するのとは少しだけ違って、PIが仮想現実である事を考えると、一種の自己暗示と捉える事が出来ます。

変身バンクの背景から「変身」の二文字が消えていたのは好印象でした。何となく悪ノリが過ぎる気がしていたので‥。

物語の進捗はとてもゆっくりで、2話以降横ばいの印象。今回も人間関係の変化や大きな事件などは見られないお話でした。

次回「ピュアプレイ」では美術部の先輩がお話に関わってくる模様。動きのある展開に期待したいです。
{/netabare}
6話
{netabare}
幾層にも重なる世界を描いているのか、全ての存在がデータ化された世界が描かれているのか? 謎の深まるお話でした。

こういう不明瞭な世界を見ると洋画「マトリックス」とか、攻殻機動隊の派生作品で、よりヴァーチャルな世界観に踏み込んだ「RD潜脳調査室」とかを思い出します。

先々週のトマトのエピソードから気になっていましたが、主人公であるパピカとココナと言う存在もまた、確固とした存在ではないのでは?と言う印象を受けました。

イロやいろは先輩という存在の正体も否応無く気になってくる第6話でした。物語のターニングポイントとも言える回と言えると思います。次回以降はおばあちゃんのお話もあったりして‥?

一見すると荒唐無稽、摩訶不思議ながら、謎の核心に迫る展開に惹きつけられるアニメです。
{/netabare}
7話
{netabare}
ヒダカの言っていたイデアワールドと言う言葉、またPIが現実と地続きの世界であるという言葉を鵜呑みにするなら、PIはパラレルワールドの様な別世界ではなく、全て単一の世界である可能性が濃厚になりました。万華鏡の様に見る角度によって姿を変容させる、わたしたちのいる現実に近いものなのかも知れません。

そう考えるとパピカとココナがイロという一人の人間の中にある二つの人格あるいは二つの性格面であり、一方から見てもう一方が迷子という見方にも納得出来そうです。今回は様々な姿のパピカが描かれましたが、パピカもまた、自らの持つ視点からココナの百面相(笑)を見てきたのかも‥。終幕後のスタッフロールのM・A・Oさん無双には笑かされました。声優さんってほんとにスゴイ!

公式サイトでミミの欠片という言葉を目にしていたので、ミミとは何なのか気になってはいましたが、今回のお話ではその正体の一端が垣間見える場面もありました。

先週から回答編とも取れる後半に入り、ますます目が離せなくなりました。次回が待ち遠しいです。
{/netabare}
8話
{netabare}
今回はロボバトル回。

熱血、友情、魂のスーパーロボットバトルが繰り広げられます。‥スーパーロボットというよりはむしろスーパー戦隊の合体ロボ‥。この手のロボは大人の都合上、バージョンアップすると、どんどんフォルムが鈍重になってきてダサくなってしまうという痛い欠点があります。今回のお話ではそれを極端なまでに表現していました。究極の姿は巨大ダンボール形態(笑)敵はエヴァン○リオン? 色々と笑かされました。

終幕前、唐突にパピカの口から出たミミという言葉、全編に渡って描かれたヤヤカの心の揺らぎなど、物語の流れに影響を与える要素はそれほど多くありませんでしたが、着実に核心に迫っている気はします。

自らの創造した街を守る使命感に燃える天才科学者?オッチャンさんも良いキャラでした。

次回にも期待したいと思います。
{/netabare}
9話
{netabare}
PIでまたしても遭遇したパピカ&ココナとヤヤカ&双子。ココナと双子が天井の高い和洋折衷の趣のだだっぴろい部屋、脱出不能の奇妙な空間に閉じ込められてしまいます。

敵味方がピンチに際して休戦するという展開は古典的ながら、情報交換があったり、歩み寄りがあったりして面白い筈なのですが、ココナと双子の会話が少な過ぎるので不毛な印象‥。双子の名前が男の子の方がトト、女の子の方がユユ、二人には願いが無いという事だけ辛うじて分かったのみ。

後半は回想シーンも交えてヤヤカのココナへの思いの強さが見て取れました。でもヤヤカ、ココナを助け出そうとするパピカへの背中キックは良くないぞ‥。葛藤しながらも二人で協力して助け出す展開の方が自然だったと思いますし、このシーン、演出として不要だった様な‥。パピカ痛そうだったし‥(汗

中休みシーンでヤヤカの食べてた携帯食料がうんまい棒みたいだったのにはちょっと笑かされました‥(ちくわ状になってなかったけど)まどマギとか「がっこうぐらし!」とかでも食べてた人がいたけど人気あるのかな‥わたしも結構好きです(笑)

PIそのもののとミミについての謎は置き去りのままですが、何話も前から仄めかされていた双子のいる組織とヤヤカの離反が決定的になった回でもありました。

次回にも期待したいと思います。
{/netabare}
10話
{netabare}
双子が言葉でココナを疑心暗鬼にさせるシーンは前回にもありましたが、こういうのは見ていて気持ちのよくないものですね‥。あれこれと不信感が積み重なったココナは、拒絶される前に拒絶するという冷静さを失った行動の末、とうとう独りぼっちになってしまいました。さらに追い討ちを掛ける様にある人の正体も明かされます。悲痛な展開でした。

終幕近く廃墟に佇むココナの口?から発せられた「これからはお母さんが守ってあげるからね」というミミの言葉については、そのままの意味で捉えるよりも、ココナそのものがミミの欠片の一つという解釈の方がしっくりする気がします。割れたガラスに映ったココナの像がミミであったことも考え合わせると分断されたミミの欠片(アモルファス=データの一部?)がココナに成長したという解釈も出来そうです。

今回はパロディやおふざけもなく物語は目まぐるしく展開しました。緩急があるのは良いけれど、アクション偏重の回には辟易気味だったので、極めて充実した回という印象でした。

来週も楽しみです。
{/netabare}
11話
{netabare}
ココナに宿ったミミの力によってアスクレピオス(三角帽の組織)はほぼ壊滅。

ミミの暴走を止めようと決死の覚悟で挑むソルト博士の声も届かない。

PIが現実を侵食する? ココナの望んだかたちに世界が書き換えられていく様な描写がありました。

パピカみたいに大好きな人に大っ嫌いって言われても、好きで居続ける事は多分かんたんですが、追っかけて行っちゃったら現実ではうざったがられるだろうし、異性間だったら多分ストーカーさんって言われちゃいますね(汗)

アニメではこの様な選択を度々美化し、むしろすべき事の様に映しますが、それは私たち視聴者が両者の関係を俯瞰出来る立場にいて、その選択の結果をある程度予測出来るからなのだと思います。こういうのは予定調和という言葉で揶揄される事もありますが、やはり興を削ぎ、どうせ~になるんでしょ‥と諦めにも似た心持になってしまいます。そうなる方が良いのは決まりきった事なんですが‥。

ココナの正体やパピカの子供化の謎など、まだまだ不明な所がありますので最後まで気を抜かずに視聴していきたいと思います。
{/netabare}
12話
{netabare}
いつの間にか子離れ出来ない母親と、親離れ出来ない子供の話になってしまっていました。壮大な世界観を提示した割にはテーマがかなりこじんまりしてしまっていてちょっと残念に思いました。

そして最終話1話前にしてとうとうヤヤカも変身。でも何故か変身コスチュームは露出過多。フリップフラッパーズではありがちな傾向ですが、趣味を前面に押し出し過ぎると物語がコメディ寄りに傾いてしまうので自制して欲しい気もします。こういうの喜ぶ男って意外と少数かも知れませんし‥。

次回の最終話でPI、アモルファスなどについて、果たして全ての謎が明らかにされるのか、ちょっとだけ不安はありますが、最後まで期待して視聴して行きたいと思います。

出来れば今回の様にバトルとかガッツとかで何となく解決してしまうという様な安直な展開にはならないで欲しいですね(汗)
{/netabare}
13話
{netabare}
前回から一抹の不安はありましたが、PIにもアモルファスにもパピカの子供化にも明確な説明が与えられる事は無く、残念ながら情報不足‥。SFとしては最後まで不明な点がいくつも残ってしまいました。

それに今回の最終話でも妙な演出が‥これまでの描写だとパピカもココナもヤヤカも自分の気持ちと素直に向き合う事で"フリップフラッピング"出来る様になっていたはずですが、何故にお母さんまで? 理屈が良く分からずいつもの悪ノリとしか受け取れず興醒めしてしまいました。そして最後は大好きパワー(笑)による力技で大勝利。‥なんてこった。


ピュアイリュージョンについて、物語の折り返し点の6話では、パピカとココナがイロという少女の持つ二つの相(人格)として描かれていて、イロの両親の描写はミミとソルト博士とは異なったものでした。同じ回でいろは先輩がおばあさんとして描かれていた事も踏まえると、今回のココナの台詞「前はね、お姉さんだったの‥その前はおばあさんで、その前は赤ちゃん」にはかろうじてPIの正体の一端が含まれていた様にも思えます。

異なる世界で異なる役を演じるそれぞれの人物の魂(の様なもの)の表層(一面)があり、そこから自ら(ココナ)の望むイメージを見出すという世界観が浮かび上がってきました。

これはもうSFというよりはファンタジーや寓話の類で、私はメーテルリンクの「青い鳥」を思い出しました。魔法の帽子に付いているダイヤの徽章をちょこっと回転させると、腰の曲がった魔法使いのおばあさんが美しい王女様に見えたり、火だのパンだの、様々なものに宿る精を見る事が出来たり、もっと回すと過去や未来の風景まで見えたり‥。

ココナの抱える未来への不安や他者に対する疑心暗鬼、その様な目に見えないものに対する恐れが、パピカやヤヤカの友情、自身の成長によって晴れていく。そんな物語でした。
{/netabare}

OPの「Serendipity」を担当されたのはZAQさん。「紅殻のパンドラ」他色々なアニメに楽曲を提供している引っ張りだこの人。EDテーマ「FLIP FLAP FLIP FLAP」は伊藤真澄さんの作曲によるもの。「人類は衰退しました」のEDのちょっと不安気なふわふわとした雰囲気の曲を綴られた方です。絵本みたいに美しい絵と元気に動くディフォルメキャラが同時に描かれるEDムービーは必見の面白さかも‥。

劇中音楽とEDの編曲及び歌の担当は※TO-MAS。日常世界では沈んだ感じのピアノソロ、ピュアイリュージョンやパピカが登場するシーンでは賑やかでワクワク感全開の楽曲が光ります。

脚本は綾奈ゆにこさん。「人類は衰退しました」とか「電波女と青春男」の製作にも参加されている方です。

思い切りのいいアクションとか、柔らかな背景描写は初期のスタジオジブリの作品を髣髴させます。邪推かも知れないけれど、王蟲とかメーヴェとか飛行石っぽいのとか「メガネ、メガネ」(笑)とかやっぱりパロディ? 否、オマージュとして受け止めましょう。

フリップフラッパーズのレビューらしく、どちらも真なりの二通りの"最後まで観終えて"で締め括りたいと思います。

最後まで観終えて その1
{netabare}
夢の中の夢、その夢の中の夢、以前本レビュー内でPIはフラクタル構造の様なものでは?と言及させて頂きましたが、フリップフラッパーズの世界観はそれにちょっと近い印象でした。

ただ、面倒な説明を避けてひとたび"PIでは何でも有り"を押し通してしまうと積み上げてきた謎の価値が暴落してしまいます。ファンタジーにせよSFにせよ、ミステリーにせよバトルにせよ、一定の決め事があってこそ魅力が生まれるわけで、そういった枷を一旦外してしまうと答えの無いなぞなぞ同様、または裏ワザ使ったゲームみたいに、推理の楽しみも得心の喜びも気の抜けたものになってしまうのではないでしょうか?

ココナとパピカ、ヤヤカの友情物語にしても、優しさや思いやり、寂しさなどは伝わってきたものの"好き"を呪文の様に繰り返すだけで"なぜ"が足りない印象でした。

中盤で登場し、最終回ちらっとだけ顔見せがあった"いろは先輩"についても掘り下げが足りず終幕の下りに‥(汗)マニキュアを塗るいろは先輩と塗らないいろは先輩、怖いお母さんと優しいお母さん、どこにも行きたくないココナと冒険したいココナ、いずれも真なれど、それ故に"何を描いてもOK"となってしまいます。

思い返してみると色々とやりたい放題な事をしていただけで、中身はあまり無く「天元突破グレンラガン」みたいに感傷に訴える、勢いで見せるタイプのアニメだったのかも‥。でも※ドラッグムービーとしては振り切りが足りず、楽しさの性質の多くがパロディの域に留まってしまっていた点は残念です。変身"フリップフラッピング"についても最後まであざとい印象を拭い去る事が出来ませんでした(汗)

楽しい場面はあれこれ有りましたが、一貫性とテーマが希薄で、伏線の回収も大雑把、今ひとつ感動には至れない煮え切らなさがあるアニメでした。

※:トリップムービーとも。麻薬などによる幻覚状態を視覚化した映像とされる。ブリキ男は怪しいクスリを使った事は無いのであくまでも想像の話。
{/netabare}
最後まで観終えて その2
{netabare}
世界はただそこに存在し、見る角度によって如何様にも変化する。"失敗するからやりたくない"を"成功を信じてやってみる"にする事も出来るし、周りの人間はみんな悪人と思う事も出来れば、逆に善人と思う事も出来ます。同じ様に、つまらないと思えるものを素晴らしいと思う事だって出来てしまいます。

疑いや恐れは健康な人間の至って当たり前の感情ですが、少しばかりの勇気と素直さ、そしてちょっとしたきっかけで振り払える。ココナはPIでの様々な冒険を通してそんな事を学んだのでは無いでしょうか?

不満な点が多く残るアニメでしたが、前半の謎の提示の仕方は素晴らしく、6話の展開では釘付けになり、最終話までは毎回わくわくしながら視聴していました。

今期観たアニメの中では最も実験的でインパクトのあるアニメだったと思います。
{/netabare}

※:EDの「TO-MAS feat.Chima」という記述が気になって調べました。

TO-MAS feat.=TO-MAS SOUNDSIGHT FLUORESCENT FORESTは伊藤真澄さん、ミトさん、松井洋平さんからなる音楽ユニット名。ただ"TO-MAS"と略記されている事もある様です。Chimaさんは北海道札幌で活動するシンガーソングライターとの事。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 37
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

世界には魅力が詰まっている! ~不確定な未来(世界)への冒険~

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
雰囲気系アニメとしては、かなり高いクオリティ。作り手の遊び心というか、自由度を感じる。ストーリーは一応流れているものの、基本は1話完結なので、(終盤以外は)どこを切り取っても面白い。私は考察しちゃったけど、「考えるな、感じるんだ!」で、翻弄されるように楽しんだ方が、良いかもしれませんね。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
これぞアニメーション、っていう作品。

風景は昔のアニメのようで好印象。絵が綺麗、というのとも一味違って、なんか魅力的。現実ではありえない世界観と合わせて、正に「アニメでしか観られない」物語だと思います(同時期の「オカルティックナイン」が「言葉で魅せるSF」なら、「フリップフラッパーズ」は「映像で魅せるSF」といった感じでした)。

何気に好きだったシーンが、第1話でココナがパピカと出会うシーン(路面電車のところ)。踏み切りで待つココナは、ふと空を見上げます。そこに、不思議なボードに乗った少女が空を飛んで現れるのですが、それに気付いたのはココナだけでした。なぜなら、他の生徒はみな、スマホをいじっていたから(背景となっているモブの生かし方が絶妙)。

私事ですが、今の職場からの帰り道、必ずとある高校前のバス停を通ります。時間的にちょうど高校生達がスクールバスを待っています。バス停の前には20人近くの高校生が立っているのですが、皆一様に視線を落とし、スマホをパチパチ。あれは凄く、もの凄く異様な光景です。

すぐ隣にいても、隣には誰もいない集団。普通、隣の人と世間話のひとつでもしませんか? 同じ部活の奴とか、クラスは違うけど同中でそん時しか会えない奴とか、いないの? 懐古主義のおじさんの戯言かもしれないけれど、彼ら彼女らは、何か大切なものを見落としていると思います。

例えば、パピカとの素敵な出会い、とかね(笑)

本作では、ココナとパピカが現実と空想の境目のような不思議な世界(ピュアイリュージョン)を冒険して回ります。まるで、サン=テグジュペリの「星の王子さま」のような世界観(もしくは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」)。「星の王子さま」の有名な一節に、「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ」「いちばんたいせつなことは、目に見えない」「子どもたちだけが、なにをさがしているのか、わかってるんだね」 などというものがありますが、同じようなメッセージを、この「フリップフラッパーズ」からも感じました。

この作品を貫くテーマは、「不確定な未来(世界)への冒険」だと思います。それを、百合と神作画に乗せて、雰囲気アニメとして表現したのが、「フリップフラッパーズ」という解釈です。

最終回では、母親の比護下から飛び出すココナが描かれていました。例えばお祭りなんか、子供の頃は家族と一緒に行っていましたが、中学生くらいになると、友達だったり付き合っている相手と一緒出掛けるわけで。親としては寂しいし不安だけど、やっぱり子供としては成長なんだと思います。そういう比喩(親離れ、子離れ、冒険、成長)に感じました。

最終回では一度、「現実世界風ピュアイリュージョン」に行きます。全体を通し、灰色の(色の少ない)暗い風景。テレビからは不幸なニュースが流れ、街には機械の音だけが無機質に響く。ユクスキュルはただのウサギになり、セーラー服も地味に(笑) これまで見てきた数多のピュアイリュージョンの中でも一番つまらない世界。

でも、それこそが私達(視聴者)が生活しているリアルな世界なわけです。

これ、1話冒頭のココナが塾で模試を受けている場面(世界観)に似ていました。(もしかしたら、あのテストの最中にココナは初めて能力を発動させ、そのあと過ごした世界はずっとココナのピュアイリュージョンだったのかもしれませんね。)

そんな灰色の世界に再び現れたパピカ。パピカの登場と共に音楽(特殊挿入歌)が鳴り始め、世界は色を取り戻します。そして、ココナとパピカは手を繋ぎ、そんな灰色(リアル)の世界を飛び出します。

(そう考えた時、この「フリップフラッパーズ」という作品自体が、毎週、私達(視聴者)をリアルの世界からピュアイリュージョン(アニメ、空想の世界)に連れていってくれたのかも。ココナにとってのパピカが、私達(視聴者)にとってのフリップフラッパーズ、みたいな感じ。毎週、難解で不思議な話ばかりでたくさん振り回されたけど、なんだかんだ楽しかったな~、というこの作品の感想は、ココナがパピカに抱く印象と同じなのかもしれませんね。)

ラストシーンもまた印象的。まず、ユクスキュルが空を見上げ(多分そこにはパピカとココナがいて)、続いてヤヤカも空を見上げます(この時の表情が実に良いです。眉間にシワが寄り眉毛が下がる困り顔でありながら、口角は上がり、口元は笑顔。苦笑、「アイツらしょーがねぇーなぁ」という声が聞こえてきそうでした)。続いて、歩道橋で遊んでいたトト、ユユ、ニュニュが空を見上げ、絵を描いていた いろは先輩が空を見上げます。私はここに、前述の「1話でのパピカとの出会いのシーンでうつむくモブ達」との対比を感じました(世界の美しさに気付けた人達)。ユクスキュルやパピカと仲良くなった、ヤヤカ。戦い以外の日常系を得た、アモルファスの子供達。空を切り取ったいろは先輩の爪には、しっかりとマニキュアが塗られていて。それぞれのサブキャラもちゃんと「何かを得た」んだな~と、感動しました。

この作品はとにかく難解で、最終回を見終えても、正直半分も謎を解けていないように思います(つか100%理解できてる視聴者っているのかな)。なんだったら、制作自身も明確な答えがない、あるいは求めていないのかもしれません。

「あなたに世界はどう見えていますか?」……

この世界には、見えないだけで、見てないだけで、気づいていないだけで、気づこうとしていないだけで、実は魅力がいっっっぱい詰まっているんだよ!

未来は不確定で、100%こうなるなんて保証はないけれど、だからこそ面白い。さあ、冒険にいこう!

具体的に言えば、考察なんかしきれなくても良いじゃないか、さあ、アニメを楽しもう(笑)!

と、そんなメッセージが込められた作品だと思いましたw

「フリップフラッパーズ」……「flip flap」で、宙返りの意味。確かに、作風に合っています。しかし、「flip」だけなら、「はじく、めくる」。「flapper」だけなら「おてんば娘」。私は、単語を分けた方が好きですね。

「世界をめくるおてんば娘達」

なんか素敵でぴったりなタイトル解釈だと思うのですが。
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
我々は、灰色の日常の中にある、素敵なモノを見落としてはいないだろうか?

美しい映像で描かれた素敵で多彩な世界が、「不確定な未来への冒険」を疑似体験させてくれます。

難解ながらも、キッチリと感動を伝えてくれる、良作です。
{/netabare}

【余談 ~パロディーまとめ(気付いたものだけ)~】
{netabare}
スペースダンディに似ている。もしくは、不思議の国のアリス(第2話なんてモロに)。

てか、パロが多すぎ。個人的には、パロなんか入れ込まなくても、素敵な絵と魅力的なキャラ、不思議な世界観だけで充分に良作に成り得たのでは? という立場(パロにはやや否定的)です。

1話→ジブリ(魔女宅&トトロ&ナウシカ&ラピュタ)。2話→アリス。3話→北斗&ドラゴンボール&スケバン刑事&セーラームーン&必殺仕事人。4話→エヴァ&ナディア? 5話→スペースダンディ? 6話→まどマギ? 7話→スタンドバイミー? 8話→超新星フラッシュマン? 10話→エヴァ? 11話→ラピュタ? 12話→ロックマン(笑) 13話→ドラクエ(笑) セーラームーンやらスケバン刑事やら、これまのネタ元のポスターがw

第1話の中には有名な錯視(ルビンの壺、少女と老婆、少女と骸骨)が登場しますが、この3つは全て「ちょっと立ち止まって(光村図書・中1版)」という、国語の教科書に載ってるやつなんで、そこからとったのでしょうね。「私たちが見ている世界だけが世界じゃない」ということでしょうね。

ココナが授業中に読んでいたのは、夏目漱石の「夢十夜」。現在過去未来の不思議な世界を夢でみる小説で、明らかにフリップフラッパーズと被る。

EDは「ヘンゼルとグレーテル」? 幸せは意外と身近にあったとか、そういうノリか。
{/netabare}

【各話感想(レビュー)】
{netabare}
【印象に残った回①】⬅一番好きな回でした。
4話。これといってなにかあった回ではなかった。サービス回? 無人島回? 百合回? まあ、なんでもいいけど、何かは分かんないけど、とにかく面白かったというのが率直な感想。パピカの部屋(土管ホームw)に入った瞬間の明るくカラフルな世界。無人島で迎える、夜の暗い海を照らすわずかな月明かり。対照的なんだけど、どちらにもハッと息を飲むような美しさがある。この作品の作画は、軽く流す所と「見せ所」を意識して力を入れるところの塩梅が実に上手く、的確だと思う(この姿勢を「ろんぐらぁいだぁす」に欲しかった)。エピソード的にも、時間の経過の中で、切るとこ切って見せる所はしっかりじっくり魅せている。なんか、「ステキ」が詰め込まれたような世界、というか、「素敵な写真で埋め尽くされたコルクボードを眺めながら共に思い出を語っているような幸福感」を覚えた良回でした。まっ、今になってもイマイチ意味は分かりませんが、雰囲気アニメの完成形のようにも思います(流石に言い過ぎかなw)

【印象に残った回②】
5話。ループ&ホラー回。がらっと作風を変えてきた回。スペースダンディのカレンダー回に近い感じ。しっかし、怖かったw なんどかマジで鳥肌たった。制作が楽しんで作っているのはわかる。

【印象に残った回③】
6話。なんか毎回になってきた(笑) いろちゃんは美術部の先輩(彩いろは)。 いろはがパピカでパピカがいろは? でも時代背景が? 過去に飛んでいろはの代わりにいろはのトラウマを解消したのかな? とすると、ピュアイリュージョンとは、人々の純粋な記憶の世界、とか?

【印象に残った回④】
7話。とにかくもう、M・A・Oさん凄いっす! こうして聴いてみると、本当に声優さんって技術職なんだと分かる。

【印象に残った回⑤】
8話。いや、ホントにもう毎回凄くて(汗) ダレる回がない。ロボ展開はそのうちあるかもと思ってたけど、まさか挿入歌まで作るとは(笑) Cパートはなんか怖かった……。

【印象に残った回⑥】
10話。やはりお祖母ちゃんは敵だったか。まあ、それは何となく分かっていたけど、ロボだったとは。謎解きが始まり、ラストへの助走となってましたね。

【印象に残った回⑦】
11話~最終話。ここまで、1話完結形式で様々なピュアイリュージョンを巡り、少しずつストーリーを進めてきた本作。11話を境に、伏線を回収しつつ一気にまとめてきましたね。ラストは「友達を救いにいく」「崩壊する世界を救う」という、THE王道の展開。母親の重すぎる深すぎる間違った愛……リアルモンスターペアレンツになっていましたね(笑) 13話は、これまで以上に意味不明な展開。謎解きが謎解きになってないよ(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 35

70.6 2 女子中学生でファンタジーなアニメランキング2位
ふしぎ遊戯(TVアニメ動画)

1995年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (244)
1729人が棚に入れました
中学三年生の夕城美朱(ゆうきみあか)と本郷唯(ほんごうゆい)は、 ある日、国立図書館の中で『四神天地書(しじんてんちしょ)』という古い本に吸い込まれ、 異世界へと迷い込んでしまう。その不思議な世界で2人は暴漢に襲われるが、額に「鬼」の 文字を持つ少年『鬼宿(たまほめ)』によって救われた。だがその直後、不思議なことに唯だ けが元の世界に戻り、美朱一人が取り残されてしまった……。

声優・キャラクター
荒木香恵、冬馬由美、緑川光、子安武人、坂本千夏、関智一、神奈延年、石井康嗣、川上とも子、古澤徹

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

コメディで緩急つけた恋愛の縺れとアクション重視のミニマム十二国記の様な・・

1995年4月6日 - 1996年3月28日TV放送された。全52話。
1992年より連載された少女漫画を原作にしたアニメ作品。

1996年10月25日 - 1997年2月25日 全3巻(全3話)
OVAシリーズ。後の第二部との繋ぎでオリジナルの話。

1997年5月25日 - 1998年10月25日 全6巻(全6話)
OVAシリーズ2。TV放送版の続編の第二部に相当する。

2001年12月21日 - 2002年6月25日 全4巻(全4話)
OVAシリーズ3。-永光伝-(ふしぎ遊戯外伝)

古代中国の四神や二十八宿等を題材とし、主要な登場人物
の名前は、二十八宿から取られている。
また、主人公や国名なども五行説に則って命名されている。
身体の文字などは里見八犬伝がルーツとなる。

原作とは序盤のアプローチが少し違う等諸変更がある様。
原作の所々あるパンチラや、残酷描写が控えられている。

本の中の異世界に居る者を第三者が本を読み解くスタイル。
基本的にシリアスな異世界モノでファンタジーアクション。
適度にコミカルなシーンや等身が崩れるギャグ展開もある。

少女漫画風の恋愛要素も強く、友情と愛の板挟み等が中心。
キャラデザはそこそこ良い感じで作画が流石に古い感じ。
音楽等も世界観に馴染んだ感じでそこそこに良い感じ。
等身が崩れ過ぎてギャグタッチな部分が少し気になるけど。

朱雀/青龍/白虎/玄武とあるうちの朱雀vs青龍編の様です。
続編にあたる玄武開伝が発表されている。

あらすじ1

高校受験間近の中学3年生"夕城 美朱"(荒木香恵)は天真爛漫
で、どんな時も食欲を忘れない食いしん坊だが、幼馴染み兼
親友"―本郷唯"(冬馬由美)は優秀で堂々とした強気な美人。

そんな二人が図書館の立入禁止区域で見付けた四神天地書の
「読み終えた者は主人公と同様の力を得、望みがかなう。」と
いう序文に釣られ、その書物を開いた瞬間・・古代中国に似
た異世界"四正国の紅南国"に飛ばされてしまう・・

何が何だか?全く事態を飲み込めない内に「人買い」の集団に
襲われピンチの所を額に鬼の字を持つ青年"鬼宿"(緑川光)に
助けられるが、ホッとしたのも束の間、唯と逸れてしまう。

鬼宿も同時に姿を消した為、誘拐されたかもと思い、唯一の
手掛かりとして鬼宿を探し出すが・・唯は既に本の世界から
現実世界に戻っていた・・美朱も何とか現実の世界に戻ろう
と努力する中で色々な人と出逢う・・


あらすじ2

英明且つ誠実な紅南国の皇帝"星宿(ほとほり)"(子安武人)
※朱雀七星士にして、女性と見紛う程の美形でナルシスト。
との出逢や、女装で怪力の麗人"柳宿(ぬりこ)"(坂本千夏)
※星宿の後宮で暮していた朱雀七星士。本名:迢 柳娟
との出逢い、四神天地書の世界を見守っている仙人である、
"太一君(たいいつくん)"(京田尚子)という老婆の力を借り、
何とか自分の居た世界に戻る事に成功するが・・

ところが・・其処に唯の姿はなく、美朱と入れ違いの様に
異世界に飛ばされていた・・美朱は再び唯を見つけるため
異世界"四正国の紅南国"に旅立つ。※此処で第7話かな?


あらすじ3

異世界で無事"朱雀七星士"の"鬼宿""星宿""柳宿"に逢う事
ができたが・・唯の姿はなく・・"星宿"からは軍事大国の
"倶東国"の前に苦境に立たされている実情を聞き、紅南国
を守る為の朱雀の巫女としての協力を要請されつつ、唯の
消息を辿り、捜す為の旅にでる・・

1クール全てがプロローグの様な所謂序章で起章部分かな。
イントロ部分で概ね予測はつくけど決定的になる部分です。
此処からが本編となっている様で全ての世界観が解る感じ。

2クールで概ね描ききってる感じがするが・・色々手を変え
品を変えという感じで深みにハマっていく・・

正直若干根明でコメディタッチだが・・12国記を砕いた様
な見易さに少女漫画独特の女性同士の確執や恋愛泥沼系に
どっぷりハマりそうな長引き方で・・

3クールでそろそろ現代に戻るなり新章突入で良いのでは?
等とやや呆れてくる・・それでも各登場人物等が頑張って
話を盛り上げてくれるので何とか視聴ができる。

4クールでやっと私が思っていた方向に話が纏まりかけて、
現代と異世界の辻褄合わせが・・中弛みが酷いとか言う程
でもないけど・・此処まで矢張り途中で諄さは感じる。

4クールは結構好きな感じで可也持ち直す感じ。終わり近い
ので当然と言えるのだけどw24話で勢い良く終わらせて・・
続編~新章という風に節目を作ってくれた方が見易いかな。

尺に余裕があった時代?近年の尺不足のラノベ宣伝アニメ
乱造と違ってじっくりと視れるので良いですけど。

願いが・・大切な願いがそれで良いの?とか・・
40数話も引っ張るとどんな願いも「そっかぁ・・って感じ」
展開自体は纏めで可也色々盛り込んでくるので面白い。

比較的穏やかで見易いのはネオ・アンジェの方かな・・
方向性が違うのでw 

本の世界云々もラストを締め括るのに妥当で良い感じかな。
全体を通して惜しいなと想うのは矢張り等身かな・・もう
少し別の方法でセンス良くコメディなど工夫があれば・・

序盤見易いのは此方で・・内容が濃くて印象に残るのは・・
十二国記の方・・まぁメインの描写自体が違うのだけど。

彩雲国って少しだけ視たことあるけど・・どんなだっけ?
とか関係ないけど想ってみたりw

八犬伝とか結構好きだったりで此れは此れで面白かった。



朱雀 紅南国

鬼宿/琮 鬼宿(声 - 緑川光)
美朱と唯が人買い絡まれていた所を助けてくれた少年。
美朱が初めて出会った朱雀七星士。優しい性格。
非常な守銭奴だが・・幼い弟妹達を養う為で家族思い。

星宿/彩賁帝 (声 - 子安武人)
朱雀七星士にして英明且つ誠実な、紅南国の皇帝。

柳宿/迢 柳娟(声 - 坂本千夏)
星宿の後宮で暮していた朱雀七星士。女装の麗人青年。

井宿/李 芳准(声 - 関智一)
変身/分身/瞬間移動等多様な術を誇る年長の朱雀七星士。

翼宿/侯 俊宇(声 - 林延年)
ハリセン状の武器―鉄扇による炎攻撃を操る朱雀七星士。

軫宿/妙 寿安(声 - 石井康嗣)
朱雀七星士一大柄且つ寡黙な、唯一の治癒能力の使い手。

張宿/王 道煇(声 - 川上とも子)
朱雀七星士中最年少の優秀な成績で科挙に合格した少年。

太一君(声 - 京田尚子)
極一部の者だけが辿り着ける太極山に住む老婆。
四神天地書の世界を見守る仙人。俗称?砂かけババア。

娘娘(声 - 氷上恭子)
たま(声 - 冬馬由美)
少華(声 - 榊原良子)
鳳綺(声 - 坂本千夏)
芒辰(声 - 矢島晶子)
迢 呂候(声 - 井上和彦)

青龍 倶東国
心宿/アユル(声 - 古澤徹)
青龍七星士。倶東国将軍で国内の兵力を掌握している。
剣術/拳法/気功に秀で、策略家の武人の優秀な青年。
幼い頃から、金髪碧眼で邪教とされる信仰を持つ異民族。

亢宿/ 本名:武 亢徳(声 - 上田祐司)
角宿の双子の兄で、青龍七星士。弟思いの優しい性格。

角宿/ 本名:武 俊角(声 - 上田祐司)
亢宿の双子の弟で、青龍七星士。暗器・流星錘の使い手。

房宿/本名:白 花婉(声 - 田中敦子)
雷を操る青龍七星士。心宿に房中術で、気力を与えてる。

氏宿/芸名:羅軍(声 - 飛田展男)
貝を使い幻覚に閉じ込める能力と、鞭も扱う青龍七星士。

尾宿(声 - 大友龍三郎)
巨体の怪力で、鋭い爪と牙での攻撃が主な青龍七星士。

箕宿(声 - 中沢みどり)
人体に憑依し魂だけで生き続ける邪法使いの青龍七星士。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

ごはんちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

舞い上がれ~朱雀~ミラクラ~

懐かしいOPが頭の中に流れてきます、ふしぎ遊戯です。
子供の頃、この作品は私にとってちょっとエロティックは
内容も含まれており、刺激的な作品でありました。
ちょっとこれを読んでる時は大人の階段をのぼっている感がありましたね。

物語は、本の中の異世界に入り込んでしまい、朱雀の巫女になり国を
救うお話です。友達の結ちゃんも巻き込まれて入り込んでしまっているのは
のちに知るのですが…。
色んな村や町を旅して、仲間を見つけていくファンタジーでもあり、
それよりも注目して頂きたいのは美朱と、鬼宿の恋愛模様ですね。
胸がきゅんきゅんします。
ラストもとってもいい終わり方でほっと納得します。
続編もあるんだけど、やっぱりこれですね。
他にも外伝とか出ているようですが、それは読んでいません。
また機会があったら読んでみたいですがね。
でもあんまり読む気がしないのが、やはりふしぎ遊戯というこの
メインの作品で自身が満足しているからなのでしょうね。

是非オススメしたい作品のひとつです。

EDもよかったなあ。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6
ネタバレ

ちゃちゃ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

少女マンガのイメージを破壊した衝撃作

私の少女マンガのイメージを覆した衝撃作です。

当時、少女マンガといえは、
目がデカイ、キラキラ、恋愛、なイメージでしたが、
本作は、目も大きくないし、
恋愛をメインには置いてはいますが、
四神、異世界、法術といった設定や、
バトル、仲間との絆、逆ハーレム、BL、おかま(男の娘?)など、
当時の少女マンガのイメージにない好物要素が盛りだくさんで、
少女マンガも意外に美味しいじゃん!と思わせるには十分でした。

しかし、本作の最大の魅力はといえば、
やっぱり個性的なキャラクター達ですね。
特に柳宿は、まだ免疫が少ない私には衝撃でした。
そして、{netabare}彼(彼女)の死も{/netabare}かなり衝撃的でした。

また、声優さんもかなり豪華です。
井宿の声は印象的でしたね。なのだ~って。

OP、EDも良い曲で、いまだに、画とともに忘れられない良曲です。

当時の衝撃とあいまって、忘れられない一作となりました。
単行本も全巻揃えましたしね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

64.3 3 女子中学生でファンタジーなアニメランキング3位
佐々木とピーちゃん(TVアニメ動画)

2024年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (201)
553人が棚に入れました
佐々木がペットショップで購入したのは、異世界から転生してきた高名な賢者様だった。 『我が名はピエルカルロ、異界の徒にして星の賢者』ただし、文鳥。 佐々木はこの可愛らしいペットに「ピーちゃん」と名付けて生活を共にすることにした。 賢者様から与えられたのは、異世界に渡る機会と魔法の力。 会社から帰宅したのなら、二人は異世界ライフを満喫! やがては、現代日本で仕入れた品物を異世界に持ち込み、商人として活動することに。 異世界でお金を稼いだり、ピーちゃんから魔法の訓練と受けたり、美味しいものを食べたり。 社畜生活でくたびれた心身を、剣と魔法のファンタジーな世界で癒やされる。 すると、そんなある日。 佐々木は会社の帰り道で「異能力者」なる存在と出会う。 ピーちゃんから教わった魔法で異能バトルを切り抜けるも、異能力者と間違われて、国の機関「内閣府超常現象対策局」にスカウトされてしまう。 脱、社畜! 脱、ブラック企業! しかし、今後は安定した公務員生活......という訳にもいかなそうで......。 一羽の文鳥との出会いが、佐々木の日常に大きな変化をもたらす! 異世界と現代日本を舞台に繰り広げられる、異世界ファンタジー×異能バトルが幕を開ける!
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

(最終)会話劇はよかったが全体像でみると・・・まあドンマイw

【レビューNo.113】((最終レビュー)初回登録:2024/3/23)
ラノベ原作(なろう・カクヨム発の模様)で2024年作品。全12話。(初回は1時間)
完全にタイトル切りを決め込んでいたのですが、交流あるかんぱりさんやえり
りんさんのレビューを拝読すると大分イメージしてたものと違う・・・という
かむしろどんな作品か気になるまであるなっとw

(ストーリー)
冴えない中年会社員(社畜)の佐々木は、ペットショップで文鳥「ピーちゃん」
を購入した。ピーちゃんは異世界から転生した高名な文鳥賢者であり、人間の
言葉がわかる特殊な能力を有していた。そんな佐々木とピーちゃんが、異世界
と現実世界を行ったり来たりするストーリー。(wikiより)
(ピーちゃんの転移魔法で現実世界⇔異世界への往来が可能)

(評 価)
・第1話:現実世界と異世界のギャップが・・・これは今期のダークホースなのか?
 {netabare}・原作は意外としっかりしてるっぽい
  異世界でのサクサク感が「なろうっぽいな」と思ったら、やはり元々なろ
  う・カクヨムで連載されていたようです。しかし
  ・「第4回カクヨムWeb小説コンテスト」で特別賞受賞
  ・「このライトノベルがすごい!」で2022年版第1位
  とかなり評価されていた作品のようで(受賞作=当たりではないが)大き
  くは外してこないんじゃないかなっと・・・知らんけどw 
  ちなみに原題は
  「佐々木とピーちゃん 異世界でスローライフを楽しもうとしたら、現代で
   異能バトルに巻き込まれた件 〜魔法少女がアップを始めたようです〜」
  と(後述しますが)なかなかに「ごった煮感」が凄いなっとw

 ・ごった煮について
  ざっと1話の流れを列挙すると
  {netabare}・中年会社員の佐々木がピーちゃんの力を借りて異世界へ転移。
   「金貨8万枚」よろしく現実世界の商品を転売ヤーで大儲け。
   (ついでに成り行きでレストランも経営w)
  ・で、ピーちゃんから魔法を教えてもらう。佐々木には魔法の才能もある
   模様。
   一方現実世界には(魔法とは別に)「異能力」が存在。異能力者に襲わ
   れている星崎という女性を魔法で救出。しかしこの星崎、実は異能者を
   秘密裏に管理する政府の組織「内閣府超常現象対策局」の者で、佐々木
   は異能力者と勘違いされ、そのまま組織にスカウト→国家権力も働いて
   なし崩し的に組織の一員に(一応国家公務員に転職www)
   なんかこの辺もそれっぽい作品がなかったか?!  
  ・そして佐々木の住むアパートのお隣さんには、「未来日記:我妻由乃」
   っぽいヤンデレJCが・・・佐々木さんロックオン?!
   (母親が育児放棄してるっぽく、よく玄関の外で過ごしている模様)
  何か系統の違う3作品程のネタをミックスしてる感じですね。
  (ここにまだ魔法少女らが乱入してくる模様w){/netabare}

 ・それでも結構面白かった
  {netabare}・佐々木の中年会社員設定が上手く機能している
   異世界では「本家・異世界なろう作品」もビックリなほどサクサク展開。
   でも不快感がなく意外と面白く観れたかなっと。
   ・佐々木になろう特有の「俺tueee感」とかがなく実に落ち着いている。
   ・商談シーンなども良識ある商社マンっぽさが逆に新鮮。
   現実世界でも「社会人ラブコメ」とかのなんちゃって社会人より、よほ
   ど真面目に社会人してたのは結構ツボったw 
  ・ストーリーが体系立っていて視聴しやすい
   上述のように(既視感にまみれた)ごった煮状態なので全体像をみると
   「一体何の話なんだ?!」
   ってことにはなるのですが、頭から視聴する分には意外と体系立ってい
   て順序よくストーリーが流れ、スンナリ受け入れることができ視聴しや
   すかったという印象ですね。
  ・現実世界と異世界のギャップ
   そして一番上手いと思ったのが両世界のギャップですね。
   ・異世界ではサクサクと脳天気な展開をみせながらも
   ・現実世界では
    ・「内閣府超常現象対策局」という謎組織と不気味な上司・阿久津
    ・お隣さんにはヤンデレJC
    という不穏な空気が漂い、今後の展開が非常に気になるなっと。
    両者のバランスが程よい感じなのも好印象のひとつですね。{/netabare}
   
  作品的にはどう進んでいくのか全く読めないですが、第1話としては上々
  の滑り出しだったのでは。初回1時間は伊達じゃなかったなと。
  今後大化けするか出オチで終わって失速するかを含めて、暫し注目して
  いきたい作品ですかね。{/netabare}

・第2-3話:落ち着いた味のある会話劇が個人的には好み
 {netabare}2話では現実世界メインで
 ・佐々木の初任務で「非正規の異能者組織の一斉摘発」。
 ・しかし敵の能力は強力で、佐々木ら内閣府超常現象対策局は壊滅状態に。
  → 佐々木の交渉術でこの場を手打ちに持ち込む。
 ・危地を救われたお礼に星崎とお食事に。(星崎はまんざらでもない様子w)
  → 星崎はJKであることが発覚!
   (普段は厚化粧と高飛車な言動で年齢を誤魔化していた模様)
 ・帰り道に(ホームレスっぽい)魔法少女と遭遇。

 3話は異世界メインで、スローライフかと思いきや
 ・佐々木が拠点とするヘルツ王国で隣国との戦争が勃発。
 ・佐々木は、そこの領主ミュラー子爵から支援物資の調達を依頼される。
  → 佐々木は見事依頼を完遂するもミュラー子爵は戦死。
 ・ミュラー家の跡目争いが勃発。
  → その争いから危険を避けるために、ミュラー子爵の娘エルザを預かる
    ことに。
 意外と異世界もきな臭い展開でした。

 ・「歳の差ラブコメ」をやりたいのか?!
  ・星崎さんはJKだった
  ・前出のお隣さんヤンデレJC
  ・敵のリーダーも見た目は少女
   (彼女にも気に入られ、仲間に誘われる)
  ・魔法少女
  ・ミュラー子爵の娘エルザ(盛り髪少女)
  ヒロイン候補が何故か少女ばかりなんだよなw
  「歳の差ラブコメ」を狙っているのか、意図してそういうキャラばかり登
  場させている感じがしますね。

 ・落ち着いた味のある会話劇が個人的には好み
  この辺、早くも評価が分かれているようですが、
  ・「佐々木×ピーちゃん(星の賢者)」
  ・「佐々木×ミュラー子爵」
  の会話劇が
  ・落ち着いた大人の感じで、杉田さん他声優陣演技も味があり良き。
  ・セリフにも味・センスがあり、これもなかなかに良き。
  って感じで、個人的には結構高評価ですかね。
  まあ人によっては退屈と感じるところもありそうですが・・・

 という感じで、個人的にはここまではまずまずの評価といったところ。
 ただここからギアを上げていくとなると伸び代があるのかは、少々疑問に感
 じるところではあったかな。
 物語に何かしら基軸が欲しいところですかね。{/netabare}

・第4-7話:やはり会話劇は好みだが・・・評価下方修正⤵
 {netabare}>佐々木は見事依頼を完遂するもミュラー子爵は戦死。
 ミュラー子爵は実は生きていたようですね。
 (戦で敗走するも、政敵を炙り出すために偽情報を流した模様)
 ミュラー子爵との会話劇はやはり味があり、個人的には好みかなっと。
 ただ他の要素が・・・

 現世では
 ・魔法少女とのバトル
  (魔法少女は異能者を憎み、殺してまわっている模様)
 ・「非正規の異能者組織の一斉摘発」の際、対峙した敵のリーダー
  → 二人静さん、佐々木の職場に転職?!
 などエピソードは進むのですが、イマイチ面白くないんですよね。
 なんというか、現世と異世界の相乗効果的なものを期待してたのですが、
 それそれ別物って感じで漠然と2つの世界を見せられている感じですね。
 >物語に何かしら基軸が欲しいところですかね。
 杉田さんや悠木さんらの演技は素晴らしく会話劇は◎ですが、肝心の物語
 は何を見せられているのかちょっと疑問符ですね。
 まあラスト2話位であっと驚く展開でもあれば、最終的には手のひら返し
 になるんでしょうが、正直厳しい感じがしてきましたね。

 7話ラストでエルザが異世界の荷物に紛れて現世にやってきたので、ここ
 に隣のヤンデレJCが絡めば何かが起こるかもですが、さてさて・・・{/netabare}

・第8-9話:危険信号・・・ちらかしただけで終わりそうな 
 {netabare}>7話ラストでエルザが異世界の荷物に紛れて現世にやってきたので、ここ
 >に隣のヤンデレJCが絡めば何かが起こるかもですが、さてさて・・・ 
 特に2人がエンカウントすることもなく、まあ無難に終わりましたね。
 佐々木のエルザを諭すような接し方など、その辺りの声優の演技はやはり
 上手いなって感じで物語自体も点で観る分には悪くなかったですが、全体
 像でみると「このエピソード意味あるんか?!」って疑問符でしたね。
 それから初期の数々の設定等
 ・久しぶりの上司・阿久津に「そういやそんな人物やそんな設定だったけ」
 ・ヤンデレJC久々の登場も「ただ登場しただけ」で見せ場なし。
  そういや星崎さんや魔法少女も長らくみてねーなw
 ・二人静さんも8話で重要任務を任されたが、9話は異世界メインでテンポ
  が悪くて仕方ない。
 >現世と異世界の相乗効果的なものを期待してたのですが
 2つの世界が逆に足を引っ張りあってテンポが悪く、数々の設定も持て余
 し気味に見えてきたのでかなり危険信号ですね。

 また異世界の方も、佐々木の周りが不幸に巻き込まれているだけで、佐々
 木自体は基本行商等順調なんですよねw
 今もお世話になったマルクさんが、政敵の策略により投獄されたので救出
 るすために皆が奔走中。
 脳死で観る分にはそれなりって感じですが、冷静に振り返ると
 「異世界での山場の話がこれなのか?!」
 って感じで、これもどうなのかと。

 う~ん、杉田さんや悠木さんらが演じるキャラはよかっただけで終わりそ
 うな・・・{/netabare}

・第10-12話:可もなく不可もなく
 {netabare}少し持ち直した?!って感もありますが、冷静に考えると
 ・中だるみが酷く、それから比べると相対的にそうみえるだけ
 ・いうても大きなバトル2つぶち込んだだけやしなあ
  → 「ピーちゃん無双」はカッコよかったが、そこまでバトルに魅力
    はなかったかなあ
 ってところで可もなく不可もなくって感じですかね。{/netabare}

(最 終)
・「異世界」のスローライフをみせたい
 → 「現実世界」のごちゃついた設定がノイズに感じる
・「現実世界」の波乱万丈ぶりを描きたい
 → 「異世界」が挟まってきてテンポが悪い
という感じで、本来なら2つの世界の相乗効果で面白くみせたいところが、
逆に足を引っ張り合っているという印象ですかね。
あと例えば
「佐々木の幸福の最大化」
的な基軸みたいなものが前面に出てれば、もう少し面白みもあったように
思うのですが、
「漫然と2つの世界のエピソードをみせられている」
という創りも残念だったかなっと。

>う~ん、杉田さんや悠木さんらが演じるキャラはよかっただけで終わり
>そうな・・・
この辺りの会話劇は味があって面白かったんですけどねえ・・・
これも全体像でみるといろいろごちゃついていて、それを最大限に活かせ
る創りでもないんだよなあ。

全体的に嫌いではなかったので、まあドンマイって感じでw

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

始めよう、異世界×現代ライフ

この作品の原作は未読です。
原作のイラストは、カントクさんが担当してるんだとか。
どうりで、キャラデザが可愛いい訳です^^

しかもアニメーション制作は、安定した「可愛い」を供給してくれるSILVER LINK.さん。
鉄板の組み合わせって幾つかあると思いますが、その一画を担っているといっても良いのではないでしょうか。


佐々木がペットショップで購入したのは、異世界から転生してきた高名な賢者様だった。

『我が名はピエルカルロ、異界の徒にして星の賢者』 ただし、文鳥。
佐々木はこの可愛らしいペットに「ピーちゃん」と名付けて生活を共にすることにした。

文鳥賢者様から与えられたのは、異世界に渡る機会と魔法の力。
異世界で商人に扮した佐々木は、日本で仕入れた品物を持ち込んでお金を稼いだり、
自ら経営するレストランで美味しいものを食べたり、ピーちゃんから魔法の訓練を受けたり。
社畜生活でくたびれた心身を、剣と魔法の異世界ファンタジーライフで癒やしていた。

そんなある日のこと。

佐々木は会社の帰り道で「異能力者」なる存在と出会う。
異世界魔法でその場を切り抜けるも、異能力者と間違われて
国の機関「内閣府超常現象対策局」にスカウトされてしまう。

脱、社畜! 脱、ブラック企業!
しかし、今後は安定した公務員生活……という訳にもいかなそうで……。

一羽の文鳥との出会いが、佐々木の日常に大きな変化をもたらす!

異世界と現代日本を舞台に繰り広げられる、
異世界ファンタジー×異能バトルが幕を開ける!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

放送中盤で、本作品の事を「ごった煮的要素のある作品」と言った声がチラホラ聞こえました。
確かに、私もそう思わなかった訳ではありませんが、絶妙なバランスで複数の要素を繋ぎ留めている作品という印象の方が強かったかな。

ですが、完走後にwikiで漫画のタイトルをチラ見して確信しました。
漫画のタイトルは、「佐々木とピーちゃん 異世界でスローライフを楽しもうとしたら、現代で異能バトルに巻き込まれた件 〜魔法少女がアップを始めたようです〜」
だそうです。

このタイトルだけでも幾つもの要素が絡み合っているのが分かりますよね。
「異世界」や「異能バトル」という単体の要素では、何をやってもありきたりになってしまう…
だったら、ごちゃ混ぜにしたら良いじゃん!、という発想は確かにありませんでしたね^^;

確かに要素はごちゃ混ぜなのですが、物語まで飽和しているかと言うと、決してそんな事はありません。
それぞれの要素は、最初は点でしかありませんでした。
まぁ、それぞれの世界観をしっかり伝えないと、視聴者は置いてけぼりを食ってしまうと思いますので。
その点は十分に及第点だったのではないでしょうか。

そして、現在各々独立している各要素同士が少しずつ交わろうとしています。
どんな感じで融合するのか、物語自体も続きが楽しみです。

それと、公式サイトのTOPページでは2期制作が発表されたことが紹介されています。
そこには、第1期では存在こそ認識しているものの、何者なのかさっぱり分からない佐々木のアパートのお隣さんである女子中学生も佐々木の隣で佇んでいます。

このお隣さんのCVは、あかりんのようですが、今後どの様に物語に絡んでくるかが楽しみですね。
(因みに、wikiを見たらネタバレする予感がしたので見ないようにしています)。
公式サイトのキャラ紹介欄では、佐々木からの差し入れがきっかけで、だんだんと歪んだ愛情を持つようになっているんだそうです。

この公式サイトのキャラ紹介欄を見ると、改めて起用された声優陣が凄いことを思い知ります。
主人公の佐々木は杉田さん、碧ちゃん、あかりん、りえりー、大空さん、とみたん、いのりちゃん…
その他、男性陣も名の通っている方ばかり起用されています。
どうりで、毎週の視聴が楽しみで仕方無かった訳です^^
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニンブテーマは、MADKIDさんによる「FLY」
エンディングテーマは、大西亜玖璃さんによる「曖昧ガール」

1クール全12話の物語でした。
物語の続きが気になるところですが、本作品は既に第2期の制作が発表されています。
放送時期は今のところ未定ですが、今後の情報に期待ですね。
しっかり堪能させて頂きました!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

たまにあるオッサンが主人公物、思った以上に面白かった。

たまに・・・、いや、稀にあるオッサンが主人公のアニメw。

ちょっと、印象に残ったものを思い起こしてみるに・・・。

・異世界オジサン
・異世界美少女受肉おじさんと
・ひげを剃る。そして女子高生を拾う。
・魔王様、リトライ!
・うさぎドロップ
・オッドタクシー

あたりが思い浮かんだ。
実際、オッサンというゾーンにバッチリ合っているかは疑問のケースもあるけれども、これらの作品は個人的にはどれもそこそこ面白かったし、何なら好きまでもある作品さえある。

そう!別に可愛らしいキャラの出てくる作品ばかり面白がっている訳じゃないんだからね!!
などとエクスキューズを入れつつw。

今作品もなかなかに面白かったとの評価です。
内容と構成要素だけを考えれば、ハチャメチャの何でもアリかよ!なんて思っても不思議ではない作品なのですが・・・、割と落ち着いて観れました。

だって、鳥(賢者)とのバディ物で、異世界に、異能力に、魔法少女に、任意の異世界移動+異世界への物品持ち込み可・・・ですよ。
なんでもかんでも詰め込めばいいってわけじゃねえぞ!って言っちゃいそうじゃないですかw。

それでも、落ち着いて観れたのはオッサン佐々木の効果かな、と。

ただ、物語は確かに2軸3軸で進行しており、多少のガチャガチャ感はあるのですが、個人的にはわかりやすかったかなと思っています。
今のところは特に混乱はなく、今シリーズ最終話まで視聴できました。
ただ、全般的にまだ先は解らず「ここで終わるんかーい」感がありました。
話が前後するのですが、最終盤でもわからない≒先が見えない感が満載なのですが、ここに至る途中経過も割と先が読めず、そこが面白かったという印象も持っています。
構成が上手いのか、話の持って生き方が上手いのかは不明ですが、いわゆる「先が見える」という事は少なかった印象です。
そこも、面白かったですかねぇ。

作画はお世辞にも良いとは言いづらいです。
悪いとも言えないのですが、まぁ、あまりそこに力を入れた感は感じませんでした。
あえて、印象に残った点を挙げるとすれば、女性キャラの目の色が綺麗で印象的でした。

声優さんは特に欠点もなく・・・。
ちょっと構成が贅沢だった気がしています。
悠木さんは鳥までやっちゃうんですねぇw、つい先日レビュータイトルでお名前を出して驚きを表現したのですが、凄いですねぇ。
最初、わからなかったです。

その他の女性キャラ、お隣さん、星崎さん、じゃ・・・じゃひー、いや失礼二人静さん、達も豪勢ですし、
男性キャラもいい感じの美声ぞろい。

やはり少し贅沢に起用されているような・・・。


音楽は・・・OPは割と好きだったかもしれません。
絵とのマッチングがよかったと思います。
EDは・・・ちょっと苦手でしたw主に絵的な意味でwww。


キャラ評価は、そうですね。
個人的には個性が出ていてよかったと思っています。
ヘイトキャラ以外はどのキャラも割といい人で好きでしたね。
あと、いろいろとポイントポイントで琴線に触れるやり取りがあり、そこも私の好みでしたね。
ヴィジュアル面でいうと「お隣さん」が一番気になっています。
とは言え、前にも書きましたが女性キャラの「目」にやられて、どのキャラもお気に入りとなっているのですがw。


今般、振り返りの為にHPサイトを見に行ったところ、第2期決定のアナウンスが・・・。
はい、多分、観ると思います。
いろいろと気になるところもありますし、物語自体の行く末も気になりますので。


今シリーズを見るからに、2期ありきとしてみるのがいいかもしれませんね。
節操なくいろいろな要素を混ぜ込んでいるという見方もあるかも知れませんが、ギリギリ楽しめるレベルで構成されているとの評価です。
今後の物語が気になるというレベルまでは持っていけていると思うので、機会があれば視聴してみて欲しいです。

2期はいつになるのかなー、個人的には楽しみになっている作品です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19

61.5 4 女子中学生でファンタジーなアニメランキング4位
キラッとプリ☆チャン(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (23)
110人が棚に入れました
プリ☆チャン! それは……
誰でも簡単にはじめることができて、誰でもアイドルになれる夢のチャンネル! キラッとトキめく自分だけのチャンネルをプロデュースして、大人気プリ☆チャンアイドルを目指すのが、女の子みんなに共通の夢……

きらりヶ丘中学1年の桃山みらいと萌黄えもは、同じ学校の人気プリ☆チャンアイドル・赤城あんなへの対抗意識から、なりゆきでプリ☆チャンデビューすることになってしまう。

プリ☆チャンに詳しい優等生・青葉りんかを仲間に入れて、トップリ☆チャンアイドルを夢見る3人のチャンネル作りがはじまった……。

声優・キャラクター
林鼓子、久保田未夢、厚木那奈美

中島野球しようぜ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

配信という題材を活かせず、プリパラの劣化二番煎じに成り下がった、おすすめ度★★☆☆☆

探せ!キラッと☆いい所!

プリティーリズムから始まるプリティーシリーズ第3作。アイドルと配信が主題になっており、当時から人気を伸ばしてきたYouTuberの存在が背景になってるのではないか?と推測。

1期時点はプリパラとの差別化点こそあれど、動画サービスでの配信という特色を活かした内容とはお世辞にもいえず、主要人物となるミラクルキラッツの3人も全体的に個性に欠けてパッとしないのはまだ目を瞑るとしても脚本の上で踊らされてる感が強く、成長物語としてみて薄味に感じる。

2期は虹ノ咲だいあの掘り下げは良く、主人公より魅力のある彼女や他の2期の新キャラすず、まりあの存在でキャラとストーリー首の皮一枚で繋がった。

しかし3期はマスコットを急に押し出してきたりミラクルキラッツのライバル枠のメルティックスターが不愉快な人物だったりと、プリパラの後追いをやり始めてからは段々とつまらなくなり、1期時点で魅力のなかったキャラはさらに薄れてきた。2期から盛り上がるといいなと思った矢先にこれだよ!

1期悪い、2期悪い寄りの普通、3期とても悪いで、トータルはとても悪い評価。3期の路線変更とメルティックスターの蛮行がとりわけ足を引っ張った印象。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

NEKONYAN さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.7

監督の性格の悪さがキャラにまで染み出してる

無自覚なイジメ描写や監督のリョナ性癖をぬいぐるみにぶつける始末
更には友達をただのメイク道具にしか思っていない描写や親友が本気で嫌がる事を笑いながらする
CGもプリパラの時より劣化してるし7年前の前作であるプリティーリズムオーロラドリームの方が可愛いという現実(ここはキャラデザのレベル差が影響してると思います。タツノコのCGはプリチャンでも手を抜かず頑張ってるとは思いますが、、、)
17話あたりで視聴を断念しましたが最近ではニコニコ動画のコメント欄で奈良判定と書かれてたそうですね
幼女向けと思って監督が手を抜いているとしか思えません
シリーズモノを請け負ったにもかかわらずプリチャンを放っておいて違うアニメの宣伝をし出しましたし、スタッフの机を蹴り飛ばした話や、プリパラの監督である森脇監督に人間性を疑われるような言葉まで言われていたそうです。
こんな人にプリティーシリーズを請け負って欲しくなかった

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

dFRjS80566 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

歌だけで比較するなら、かなりのレベルじゃない?

これお子様向けですよね?

110話と111話、たまたま視ましたがラピスリライツより遥かに劣る作画w
CGダンスシーンの微妙さで、普通はスルーかと思いますが。

わざわざここにレビューした訳はラピスリライツに勝るとも劣らない点が!
好みは有るでしょうが、歌だけなら完全にこちらが格上に感じました

興味ある方はラピスリライツと聞き比べて欲しいです♪
ラピスリライツの方が上だと感じたらそうでしょうし

私と同じく、プリ⭐チャンが上だと感じられたら、こちらの歌が格上かと思います

残念ながら歌以外は全てにおいて、ラピスに太刀打ち出来ないレベルだと感じましたが・・・(ToT)
話数が100を越えてる時点で其なりに認知されてるのでしょうね(*^ω^)

ラピスリライツの声優人も、もっと高みを目指して、歌を頑張って欲しいですね♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0

62.8 5 女子中学生でファンタジーなアニメランキング5位
ポッピンQ(アニメ映画)

2016年12月23日
★★★★☆ 3.6 (81)
570人が棚に入れました
通過点でしか無いと思っていた卒業式を目前に控え、中学3年製の伊純は前に進めずにいた。
そんな時、海で、美しく輝く"時のカケラ"を拾った伊純は、不思議な世界"時の谷"へと迷い込む。
そこで、同い年の、蒼、小夏、あさひ、"時の谷"に住み、"世界の時間"運営を司るポッピン族と出会う。
"時の谷"と"世界の時間"が今まさに崩壊の危機に瀕していた。
危機を脱するには、伊純たちの持つ"時のカケラ"を集め、心技体を一致させたダンスを踊るしかないという。
迫り来る危機と、ポッピン族の厳しいダンス指導に戸惑う伊純たち。
そんな中、ダンス経験者の沙紀が現れるが…。
"時のカケラ"に導かれた5人はダンスで世界を救えるのか?
そして、無事に卒業できるのか?

声優・キャラクター
瀬戸麻沙美、井澤詩織、種﨑敦美、小澤亜李、黒沢ともよ、田上真里奈、石原夏織、本渡楓、M・A・O、新井里美、石塚運昇、山崎エリイ、田所あずさ、戸田めぐみ
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

興行的には散々みたいだけど思いのほか悪くなかった

新春!開運!ポッピンの集いに行ってきました
2017年初アニメ映画
2017年初声優イベントになりました

黒星紅白原案のキャラをプリキュアチームが動かすと聞いたら
これは見ないわけにはいかないな
という気ではいたのですが
封切り初日舞台挨拶が金曜日だったため見に行けず
今回のイベント付き上映に行く運びとなりました

しかしなんだかずいぶんと興行が芳しくないようで・・・
でも駄作だとかつまらないという話が聞こえてくるわけではない様子
そもそも誰も見に行ってないから口コミが少なく
見た人の感想も絶賛も酷評もしていない感じですね

ストーリー全体としてはそんなに悪くなかったと思うのですが
全体的に詰め込み過ぎて展開が急すぎたり
いろいろ説明が足りなかったり
まるで見たことのない作品の総集編映画を見に来たかのような
はっきり言うと雑な印象を受けました

いろいろな要素をぎゅっと詰め込んで
ジェットコースターのように勢いだけで押し切るのも
映像制作においては一つの手法ではあるのですが
メインテーマが思春期の心理的葛藤なので
急ぎ足の展開とは素材の相性が悪かったように思います

主人公の伊澄だけはある程度尺を取って描写されてたわけですが
他のメンバーに関しては大した描写もなく
いつの間にか問題が解決していたような印象
TVシリーズか何かでもっと丁寧に時間をかけてやった方が
もっと面白くなったように思います

ED後のアニメーションに関しては
まさに予告編といったような感じで
全編通して一番ワクワクする映像でした
続編があるならぜひ見たいと思わされた反面
そこが一番魅力的っていうのは
一本の映画としてどうなんだ?という気もします

映像面は十分に満足のいくものだったと思います
キノの頃からの黒星紅白ファンとしては
郵便屋さんや秘密結社のアニメより
ずっと黒星紅白の魅力を引き出せていたと思いますし
ダンスシーンもなかなかよくできていました
もともとその方面には定評のあるプリキュアチームですから
そこがダメならどこを見るんだ?って感じではありますが

音楽もなかなか悪くなかったです
先週までSHOWBYROCKとコラボしてて
アプリ内でED以外の3つのヴォーカル曲が叩けました
その時は特に思い入れもなかったのですが
映画を見て楽曲に親しみを覚えたときには
もうコラボが終わってて叩けない悲しみ・・・

声優は若手の有望株を中心に
かなりいいチョイスだったと思います
ポコン役の田上真里奈だけは聞いたことがありませんでしたが
チェンクロのイメージソング歌ってたTrefleの一人だったようです
割と聞きやすい少年役だったので
今後要注目かもしれません

さて、この映画はいったいどこに問題があったのでしょうか?
ファミリー向けをベースにして
そこに大友向けの要素をいろいろぶち込んだ結果
どちらの層に対しても訴求力が足りなくなってしまった印象
そしてどんな層に対して発信しているのか
いまいちわかりにくいタイトルやCM等
マーケティング面での失敗が大きいように思います

ハリウッド映画などでは予告編の試写会のようなものを設けて
何通りかの予告編を作ってどういう層にどういう広告が受けるのか
実際にテストして流す広告を決めるそうです
予告編だけでなく本編も試写会の評価を見て
ラストを作り直すことさえあると聞きます

それに対して日本の試写会はただの先行上映会です
様々なメディアが双方向化し
発信者と受信者の境界があいまいになっている現代社会において
旧態依然としたプロデューサーの直感に頼った広告戦略というのは
もはや限界に達しているということに気が付くのはいつなんでしょうか?
作品自体のクオリティはそこまで低くないのに
興行がまったく振るわないのは
作り手ではなく売り手に責任があるように思います

映画館がガラガラみたいな情報ばかりはいってきますが
決して駄作ではないと思いますので
ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います
ED後が本編なんて言われている程に
可能性を感じる予告編だったので
あれが企画倒れになるのだけは阻止したいところです

おまけ(終演後トークイベントでの監督質疑応答)
{netabare}

Q:ポッピン族は楽器とかを使わないの?
  ダンスシーンでかかってる音楽とかはどうなってるの?

A:楽器はちゃんとあって設定とかもあったんですけど・・・
  襲撃されて移動中だから持ってこれなかったんですよ

(プロデューサーから補足があって、時間と予算の関係で入れられなかったそうですw)

Q:ポッピン族には年齢とかあるのですか?

A:年齢のようなものはありますが
  見た目の変化とかはありません

Q:でも長老とかは・・・

A:あれは衣装です
  そういう服に入ってるだけです

Q:レミィには同位体はいないの?

A:もちろんいます

Q:それは作中に出てきていますか?

A:それはまだお答えできません

Q:ED後映像の金髪少女はだれ?新キャラ?

(濁そうとしたところをキャストから質問攻めにあった結果白状)

A:はい・・・レミィです

Q:ED後映像の舞台は原宿ですよね?ロケハンとかいったんですか?
  行列のできる人気店っぽいものが映ってましたが並んだんですか?

A:はい、原宿です
  原宿らしいおしゃれな感じを出そうとして
  某有名店に行きついてたんですが
  自分は行列を遠巻きに眺めるしかできませんでした
  結局、開店前に女性スタッフに撮影してきてもらいました

こういうのをいろいろ聞けるのがトークイベント付き上映の醍醐味ですw{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

実は卒業後も時を進め生き長らえていた東映アニメ60周年記念映画

あらすじ

{netabare}卒業を間近に控えた中三少女5人。
各々、葛藤を抱え、前向きに時を進められずにいる。

そんな折、異世界「時の谷」に召喚された5人。
時間がつつがなく流れるよう管理する役割を担っていた「ポッピン族」が暮らす「時の谷」は、
時を進めたくない邪悪な意志に脅かされていた。

彼女たちは「時のカケラ」を集め、「ダンス」を踊ることで、
世界と時間の危機を救おうと、ポッピン族のダンスレッスンを受け始めるが……。{/netabare}


【物語 2.5点】
欲張り過ぎ。

映画一本に中三少女5人の青春の一頁を描くだけでも忙しいのに、
本作はさらに異世界トラベル物でもあり、
変身バトルヒロイン物でもあり、美少女ダンスアニメでもあり……。

到底、収まり切るはずもなく、説明不足、掘り下げ不足が多発。

極め付けは、最後、{netabare}この中三編はプロローグに過ぎない!高校生編こそが本編!
と言わんばかりに予告編風の映像で締めくくったこと。
中学卒業で締めくくれば、まだ割と綺麗にまとまったものを……。
俺たちの戦いはこれからだENDも華麗に決まり困惑が拡大。{/netabare}

ただ、5人の中で主人公格であるヒロインについては、
女の子が異世界の旅を経て、青春の時を前に進める勇気を獲得し、
いつの間にか急成長する。
などジュブナイルとして要点は押さえており、筋は通っている。


【作画 4.0点】
キャラクター原案・黒星紅白氏といえば大抵、
可愛い顔して、嘘つきはスパイの始まりとか、
眠たそうな瞳で、無慈悲に狙撃とか、ギャップを狙った起用が印象的。

その点、本作の世界観とそれに合わせた作画構成は
可愛らしい氏のキャラデザにベストマッチ。
(但し、そこに必ずしも需要があるとは限らない)


本作監督は劇場版『プリキュア』シリーズ等でCGを担当して来た宮原 直樹氏。
本作のダンスシーンには、東映CG作画の成果が体現。

特にヒロインたちの変身前のダンスレッスン衣装は、
露出もない着ぐるみ同然のフワフワ、モフモフであり、
ダブダブズボンがダンシングして揺らめくCG動画はかなりのハイレベル。
(但し、そこに必ずしも需要があるとは限らない)


【キャラ 3.5点】
良質な素材を提供するも、料理は生煮え。

ただ、5人のヒロインは主人公格の陸上短距離走を始め、特技により性格付けがされており、
そのキャラクター性は歴代のプリキュア等と比較しても遜色がなく、可能性は十分。

各ヒロインのエピソードをもっと掘り下げれば、
彼女たちのその後を描けば、『ポッピンQ』は化けるはず。
と願望する鑑賞者も少数ながら獲得。

そのことが後のコンテンツ展開へ繋がっていく。


【声優 4.0点】
豪華。例えばヒロイン役の5人だけ見ても、
瀬戸麻 沙美さん、井澤 詩織さん、種﨑 敦美さん、小澤 亜季さん、黒沢ともよさん。
各々のマスコットポジションのポッピン族の「同位体」役にも、
実力派や若手のホープを起用。

さらに、ラスボス役には{netabare}斎藤千和さん。
時間の法則という世界の理の改変を企むには打って付けの配役。{/netabare}

いきなり感情を振り切る無茶振りも散見された本作だが、
この布陣なら対応した上、見所のあるシーンも演出可能。


【音楽 4.0点】
上記の豪華声優陣が二次元ダンスユニットをやる!
これだけでも注目に値したはずだが、5人のヒロイン役が歌ったのはEDだけ。

ダンスシーンでは他のユニットの歌に合わせて踊るだけ。
どうせならヒロインにも中の人にも歌ってもらって、2.5次元ライブまでやってよ~。
(ここでも需要と供給のミスマッチ要素がw)

楽曲や劇伴自体は良好。EDも{netabare}卒業ソング{/netabare}として優良。


【感想】
もしも、日本で深夜アニメが発展せず、萌えもエログロもなく、
『プリキュア』のような女児向けテイストのアニメが発達して、
ティーン以上の年齢層向けでも主流になったら、
こういう作品が数多く生み出されたのかも?との感想がまず残りました。

そういう点からも、本作は本来、
東映CG作画の『プリキュア』以外での活用模索も含めて、
トレンドからは外れた所で、実験的なことを色々やってみる映画。
理解のある方だけに口コミで語り継がれる類の作品だったのだと思います。


だから、2016年末。『君の名は。』などアニメ作品が映画界を席巻した伝説の年を、
『ポッピンQ』が締めくくる!とばかりに、東映アニメ―ションが60周年記念と銘打って
本作を年末年始興行の目玉に祭り上げ、
ミスマッチな宣伝、大規模上映を繰り広げた挙げ句、大コケした件は、
作品云々以上に、プロデュースの失敗だったのだと思います。

(大体、『ポッピンQ』という作品名の映画が興行収入・ウン億円の大ヒット!とか、
普通は想像すらできませんってw)


年末公開の本作でしたが、作中設定は中学卒業式前とのことで、
私も冬休みシーズンが終わって、卒業ムードも漂い始めた頃に、
骨でも拾いにいってみるか……とか思っていましたが、
近所の映画館では三週間で上映終了したため劇場鑑賞は叶いませんでしたw


そのまま私は本作の存在自体を忘れていたのですが、
昨年暮れ、『ポッピンQ』が続編小説制作のためのクラウドファンディング“project19"
を目標金額の五倍を集めて成功させたというニュースで
『ポッピンQ』未だ健在を知り驚愕し、レンタル鑑賞するに至りました。

次のプロジェクト“project20”では映像作品も含めた計画も検討されているとか……。
内容次第で、私もクラウドファンディング出資してみようかな。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

残念なところもあるのですが、それを差し引いてもとても楽しい作品でした

東映アニメーション60周年記念として作られたオリジナル劇場アニメ。
自分を取り巻く環境と自分の思いに歪みを感じる5人の少女たちが集められ、世界崩壊の危機を救うためにダンスを踊るストーリーです。

ヒロインは5人いて、全員卒業式を間近に控えた中学3年生です。
「小湊 伊純」は陸上の大会で納得の行く結果が出せず、レース直後周囲に言い訳をしてしまう。
心残りのまま東京へ引っ越すことなり、両親にも反発していたのですが、ある日、"時のカケラ"を拾い、"時の谷"に飛ばされてしまう。
「日岡 蒼」は成績優秀だがいつも学業を最優先にしており、友人がおらず、心のどこかに孤独を抱えている。
「友立 小夏」はピアノの演奏が怖くなり、演奏会から逃げ出してしまう。
「大道 あさひ」は父から柔道を、母から合気道を教えられているが、高校に進む上でどちらを選択するか、両親に迫られているが、本人は女の子らしい格好をしたいと思っている。
彼女たちは伊純同様に、"時のカケラ"によって"時の谷"に集められる。
"時の谷"では時間を管理していて、世界の時間が崩壊の危機にあるという、世界を救うためには"時のカケラ"を集めて、みんなでダンスを踊るしかない、という展開です。

"時の谷"にはポッピン族という生命体が住んでいて、ダンスをすることで時間の運行を保守しています。
ヒロインにはそれぞれナビゲートキャラクターとして、各々の心が読めるポッピン族が割り当てられています。
世界の崩壊と、それに立ち向かう少女達、マスコットキャラクターの存在と、東映ということもあり、とてもプリキュアっぽいと感じました。
ご都合主義的な展開に、5人目のヒロインの存在、マスコットキャラの住む世界を舞台に力を合わせて敵を倒す(ダンスで!)等、どこかで見たような展開が続きます。
ただ、お約束のような展開が多いですが、女の子たちはかわいく、中だるみだったり飽きのようなものは感じませんでした。
ストーリーのテンポも良く、楽しい作品だと思います。

ただ、ストーリー展開は説明不足な感じがちらほらとありました。
"心にもやもやを抱えた少女たちが本作の冒険を通してどう折り合いをつけることができかのか"という心の動きがわかりづらく、結局のところ、異世界から強制的に飛ばされ、世界の命運を世話され、ダンスを踊らされる物語になってしまった感じがします。
最終的には大団円となるのですが、そのプロセスがぼやけているのがちょっと残念に思いました。
また、例えばこの5人が選ばれた理由がよくわからなかったり、ラスボスが伏線がなく到達に登場したり、説明が不足していると感じる場面がありました。
内容の濃度を考えると仕方ない気もしていて、むしろ一時間半強の尺でよくこれだけ盛り込めたなとも思いますが、どこか総集編のような感じを受けます。

残念なところもあるのですが、それを差し引いてもとても楽しい作品で、見てよかったと思います。
特にラストに至る展開は神がかっていて、普通に感動して涙が出てきました。
色々意見がありますが、私個人的にはすごく好きな作品です。
単純にアニメが好きな人、芸術や文化としての表現方法ではなく、ただ楽しいからアニメが好きな人に見てほしいと思います。

最後は続編を匂わせる終わり方になっています。
興行収入的に続編は難しいのかなと思いましたが、2021年1月にクラウドファンディングで目標金額に到達し、続編映像化に向けて動き出しましたね。
5人の活躍を映画館で見れる日を楽しみにしています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

62.2 6 女子中学生でファンタジーなアニメランキング6位
タイムトラベル少女~マリ・ワカと8人の科学者たち~(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (128)
518人が棚に入れました
中学2年生の早瀬真理は、何事にも一生懸命で元気な女の子。
3年前に失踪した世界的科学者である父・永司からもらった ペンダント・アーミラリーコンパスをいつも大切にしている。
ある時真理は、親友の水城和花の兄・旬の部屋で、 かつて永司の研究室で見かけた本(『磁石と電気の発明発見物語』)を見つける。
真理は開いたその本からあふれたゆらぎに包まれて、タイムスリップしてしまうのだった。
アーミラリーコンパスが示すタイムスリップの先々で、 真理は様々な科学者たちと出会い、和花や旬と共に行方不明の永司の足跡を追ってゆく。
そこへ、同じく永司の行方を追っていた実業家・御影丞の動きが影を落とす。
現代での永司失踪をめぐるドラマが縦軸に、 過去で真理たちと科学者が繰り広げる発明・発見に関わるドラマが横軸に展開され、 それらが次第にシンクロしていく。

声優・キャラクター
豊崎愛生、寿美菜子、木島隆一、森川智之、坪井智浩、戸松遥、井上喜久子、山下大輝、高垣彩陽、福緒唯
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

家族揃って、お茶の間で楽しく学べる科学アニメ

土曜の朝7時からテレビ東京で放映されている科学アニメです。

科学をテーマの中心に据えたアニメというのは意外な事にとても珍しく、NHK教育では過去にエレメントハンターとかマリー&ガリーなどがありましたが、それ以来?という印象を受けました。

方位磁針の針の色の付いた部分が常に北を指す理由を詳細に説明出来る人は日本中あるいは世界中にどれだけいるでしょうか? そもそも地球の組成って何? とか、そんな私達の身近にありながら、見落としがちの科学的疑問を、考察の余地を残しながらも丁寧に解説していくアニメの様です。

科学技術とは切っても切り離せない生活を、当たり前の様に、吸っては吐く空気の様に受容している私達にとって、知るべき事、知らなくてはならない事は沢山あると思います。なぜならそれらは全て、何かを犠牲にして贖われているものなのですから‥。残念ながら、それらの事は学校で全て教えてくれる訳ではありません。なのでこの様なアニメの視聴をきっかけにしてでも、少しでも多くの人が、そんな身近な不思議を不思議と捉えて欲しい。化学好きのブリキ男はそんな風に思ってしまうのでした。

とは言え、お勉強アニメとしての色合いはそれほど強くありません。幼馴染との友情や恋、お菓子作り、失踪したお父さんの謎、※悪の組織?による陰謀などの王道設定が、タイムトラベルという冒険を交えてすいすいと展開される見やすいアニメです。家族揃ってお茶の間で視聴出来る、楽しい科学番組になっているのではないでしょうか?

第1集(1話+2話)はウィリアム・ギルバート、次回はベンジャミン・フランクリンのお話です。

以下は各話の感想。

3話 ベンジャミン・フランクリン
{netabare}
フランクリンのお話は1話で終了。欲を言えば前回と同じく2話欲しい所でした。でも宗教、奴隷制度の問題にもちょこっとだけ触れながら物語が描かれており、充実の内容と言えました。1話にあった本編終了後のおまけコーナー「マリワカのクイックサイエンス」が復活していたのも良かった。来週はボルタです。
{/netabare}
4話 アレッサンドロ・ボルタ
{netabare}
アレッサンドロ・ボルタの回。ボルタと言えばボルタ電池、学校とかでレモン電池とか作った人もいると思いますが、あれの始祖に当たる電池のお話です。

今回は活劇描写などが多めに入っていたせいか、科学解説の部分についてかなり物足りない印象を受けました。電解液とか、イオン化とかの説明をちょっとだけでも入れて欲しかった所です。

あとタイトルにマリ・ワカと入っているのに、4話になってもワカの活躍が殆ど無いとはこれいかに? 2人揃って過去に行けば、科学の不思議に対してそれぞれが別々の疑問を提示する事も出来るかも知れないので勿体無い気がします。

そしてこれもタイトル関連ですが、タイムトラベルについて、古典的な付け足しルールによるタイムパラドックスの回避のアイディア(大宇宙の謎の法則が過去の自分自身に出会う事を許さないとか‥)は論理性に欠けるので量子論を概念的にでも説明する方が説得力があった様に思います。

でも次回に期待。
{/netabare}
5話~6話 マイケル・ファラデー
{netabare}
ファラデーの電気と磁気を同じ力の別の相とした功績は科学界の一大事件と言えます。さらにそれに光子を加えた理論の構築に至るまでには、光電効果を発見したアインシュタインの登場を待たねばなりません。

未来から来たワカの活躍でデイビー卿の心が動き、ファラデーの未来が変わる? 量子論では現在(いま)が観測されると、過去が決定すると言われていますが、過去を変えても、※枝分かれした無数の未来に向かうだけという解釈があります。ファラデーの歩む未来はワカの帰還する未来とは違う未来になるでしょう。なればマリのお父さんはタイムトラベルを通じて何を行おうとしているのでしょうか? 出来れば何らかの科学的解釈を与えて欲しいと期待してしまうブリキ男なのでした。

また今回のお話では、前半にクイックサイエンスのコーナーがありました。子供もこういうコーナーは喜ぶと思うので、なるだけ毎回やって欲しいものですね‥。(ぜ~たくな希望)

今回を持って、ワカも晴れて"タイムトラベル少女"となりました。今後の活躍に期待。

※:量子論の概要が直感的に感じ取れる"ファインマン・ダイアグラム"を見る事を推奨。量子論を扱う一般書では大抵載ってます。
{/netabare}
7話 サミュエル・モールス
{netabare}
今回はワカは置いてけぼり。マリだけで過去へ飛びます。何というか‥いつもマリ一人でタイムトラベルしてるけど不安じゃないのかな‥。

さておき、私、モールスが画家で点描画を描いていた事はこのアニメ観て初めて知りました。どんな経験も無駄にはならず、何らかの形で昇華されていくものなのだなぁと感慨深いものを受け取った次第。点描からモールス信号、繋がるんですねぇ‥。

そしてエピローグのシュン兄ぃの「人はね、みんな、解らない事だらけなんだよ‥」に始まる台詞について、知識の蓄積と視野の拡張を相転移になぞらえて説明されている所に大いに共感出来ました。一見無駄に見える様な、気の赴くままに貪った知識も、いつか繋がり合い、より高い認識へと成長していく過程を巧みに表す表現でもあり、一足飛びに結果だけを求めるきらいのある競争社会に釘を刺すありがた~い言葉でした。あっぱれ。

今回も科学考察は急ぎ足な感じでしたが、科学延いては勉強全般に対する謙虚な姿勢を示す意義のある回だったと思います。

初回では悪者の印象が強かった御影さんも、前回あたりから茶目っ気を披露。秘書のさつきさんも面白キャラである事が判明して安心。どちらかというと子供向け番組ですものね‥。

次回も楽しみです。
{/netabare}
8~9話 グラハム・ベル
{netabare}
別荘でバカンスを楽しもうとクルマを走らせるマリワカ家族。そこに都合良く(わざとらしく)現れた、御影さん。クルージングへのお誘いからの焼肉奉行コンボに大笑い。この流れを終始クールにやってのけるとは中々の度量。何かたくらんでいるし底知れぬ人だけど、どこかしら間が抜けているし良い人なのでは?とか思ってしまいました。そんな御影さんの誘惑をはねつけるマリのお母さんはそれよりも強し、凛とした態度が素敵でした。

続くお約束のタイムトラベル。今回は図らずもマリだけが過去へ飛びます。1876年のアメリカ、フィラデルフィアの万博会場近くの噴水広場にスク水+パーカー姿で! 普通に考えれば事件になりそうな事態でしたが、マリパパがすぐ近くにいたので何とかなりました。なけなしの所持金をはたいてパパが買ったワンピースにご満悦のマリ。同時代のイギリスのサンドレスと比べると、かなりラフな感じのデザインでした。やはりアメリカ?

後半、万博会場でのベルによる公開デモンストレーションの様子が少しだけ描かれました。

音波というのは磁力や光と少しだけ違って、空気を振動させる事で生まれるもの。水中で体を動かすと波が出来るのと同様に、空気中でも体を動かす事で波が生まれます。その波の振動を感知出来るのが私たち生物の耳です。

宇宙空間の真空と比べて、地球の大気は実は重い物質だらけのどろどろのシチュー状態、見方によっては海の中とほんの少ししか変わりません。このどろどろのシチューを声帯の振動で圧して波を発生させるのが声、その波を我々は音と捉えます。

グラハム・ベルはその空気の振動を、昨今の様にデジタルデータを仲介をせず、そのまま電気信号に変換しました。その電気信号を導線で伝え、その先で音声に再変換する、これが電話です。

さておき、今回も身近な不思議への疑問や興味を触発させるありがた~い台詞が‥「運命の中に偶然は無い」とか「興味を持った事を調べてごらん。それが好きの入り口だ‥。」とかマリパパ、カッコ良いですね。ワンダフル!

お話と全然関係ないけれど、OPのシュン兄ぃのフェンス飛び越えアクションに毎回笑ってしまいます。何やっても絵になる人なのは確かなんだけど、何となくセンスが70~80年代‥でもシュン兄ぃだから許せる?
{/netabare}
10話 ハインリヒ・ヘルツ
{netabare}
今回はヘルツのお話。

前回は有線通信のベルで、今回は無線通信のヘルツ、密接な繋がりが見られます。初回から脈絡のある電磁気に関する発見のお話を連ねているマリワカですが、通しで見た時にはさらに記憶に残りやすくなる事請け合い。良い構成だと思います。

今回のお話では過去の科学者の人たちに「あなたの研究は決して無駄にはならない」と未来人の立場から勇気付けるのがマリパパの目的の一部である事がはっきりとしてきました。これは過去に生きた全てものたちに言うべき言葉なのかも知れません‥。

一方で、これまでちょくちょくとギャグパート?もこなしていた御影さんですが、今回は初回近くの悪者然とした雰囲気に戻りました。ニセの警官(本物の警官を懐柔してるとかだったら、かなりコワイ)まで使って企み事を巡らします。でも目的は未だ不明、タイムマシン(物質転送装置)を手に入れて何をするつもりなのでしょうか? でもOP見る限りではこの人、悪人には見えない‥。失意のエジソンの肩に手をやって優しげな表情を浮かべているし‥。

電気のお話を中心に着実な歩みで綴られてきたマリワカも、残すところ後2回、急展開になりそうな予感です。

次回のお話はトーマス・エジソンです。

※36歳の若さで亡くなったヘルツの死因は多発血管炎性肉芽腫症という名称の病気で、当時は不治の病に近いものだったらしい。

Wikiによればヘルツは自らの実験について「それは何の役にも立っていない……単にマックスウェル先生が正しかったことを証明しただけの実験だ。我々の肉眼では見えない不思議な電磁波は確かに存在する。しかし、単に存在するだけだ」という言葉を残しているという‥。結婚して2人の娘もいたのに不遇過ぎます。
{/netabare}
11~12話 トーマス・エジソン
{netabare}
エジソン回、目的はやっぱりビジネスの為、マリパパを探し出すためにマリを人質に取る形で過去へ飛んだ御影さん。

あるべきでないもの同士がひと所に集まる事によって起こる時空の歪み、タイムパラドックスの解釈については、初回近くから懸念していた事ですが、結局明確な説明はありませんでした。頭脳明晰なシュン兄ぃも今回は「分かりません」と言う回数が多かった様子。分からない事を分からないと答える事も知性の一つのあり方です。

理論上可能性が認められていても、観測した人がいない問題について無理に説明しようとすると、ファンタジーになりかねないので妥当な判断だったと思います。

「出来たものを消費するだけのあなたなんかに、彼ら(科学者達)の事を侮辱なんてさせない。」マリの言葉には力がありました。

科学の歴史は無数の人々の聖人の如き努力、あるいは狂人の如き情熱の上、その積み重ねで作り上げられてきました。科学の恩恵を受けるばかりで、その重みを痛いほど知っているはずの私達は、過去に生きた人たちへの畏敬の念を決して忘れてはならないと私も考えます。

脱線から戻ってアニメのお話。過去に置き去りにされた御影さんの扱いがかなり不遇でした。取り決めに従って行動していただけなら悪人にはならなかったはずなのですが、人をだまくらかして懐柔しようとしたり、暴力とか強引な方法に頼って権利を行使しようとしたのが罰を受ける原因だったのかも知れません。

エジソンも努力の人でもあるけれど、自らの利益の為に※悪どいプロパガンダ活動をして科学を踏みにじったり、とある映画を権利者に無断でコピーして売却して暴利を貪ったりと悪人としての一面もある人。

エジソンと御影さん、両者が良きパートナー同士となるという顛末をみると、複雑な心境です。歴史が変わってしまいそうな不安を残しました。

それとお父さんの規約違反とナポレオンから贈られた黄金杯の件は全然清算されていなかったのも気になる‥。

エピローグは未来のお話。ここにもやはり原因不在のパラドックスがありました。この部分はパラレルワールドと割り切ってみるべきなのかも知れません。

今回のシリーズでは電磁気のお話に焦点が当てられていましたが、電磁気の本があるなら同じ様な他の分野の本も‥とか思ったり‥。もし続編が作られるなら、数学とか物理とか天文とか生物とかテーマは無数にありそうです。タイムトラベルの問題も消化不良だし、続編を期待するついでにそんな事をちょっとだけ想像してしまいました。

※:直流送電と交流送電、どちらが理にかなった送電方法であるかを問う、トーマスエジソンとジョージ・ウェスティングハウス・ジュニア、ニコラ・テスラの間に起きた抗争"電流戦争"の名で知られる事件の中で、エジソンは交流電流の危険性(ウソ)をアピールする為に何の罪も無い野良犬や野良猫、家畜の豚、牛、馬など多くの動物を殺しました。象まで‥。電気椅子の開発とこれによる死刑執行もコマーシャルの為。エジソンは偉い人かも知れないけれど、酷い人でもありました。本作ではそんな彼を過度に美化する事を避けている様にも見えます。
{/netabare}

科学は世界を見るための唯一の方法ではありませんが、人類の歴史を通して、常に反証可能な方法であった事は認めなければならないのではと思います。言い換えるならば、一つの見方としては確立したものであると評価出来ると思います。でも科学一辺倒の思考に陥ると、多分偏屈人間になってしまうので、幽霊とか魔法とかもあるかも知れないと考えられる様なイイ加減な人間になりたいものです。


※:御影さんが美女?をはべらせてウイスキーをロックであおってるシーンには閉口(汗)。バブル時代ですか!?


[おまけ~ことばが通じる不思議について~]
{netabare}
先ずマリのアーミラリーコンパス(天球儀状のペンダント)の中身について説明をば、この中にはCPU、RAM、翻訳ソフトと音声読み上げソフトを書き込んだメモリ、電池、入力、出力としてマイク、スピーカーが内蔵されていると思われます。(PCに似てます。)

マリが聞く時
1.英語とかをマイクから入力。
2.入力した音声を翻訳ソフトで解析し、日本語に直す。
3.音声読み上げソフトを介してスピーカーから日本語を出力。

多分直前に聞き取った日本語以外の音声言語(例えば英語)を読み取って、フォーマットが行われ、以後、マリの方から喋る際にも英語に翻訳される様になるのだと思います。もしそうならペンダントのマイクがイタリア語を聞き取ったらマリの声もイタリア語になります。言語解析の為、最低でも1フレーズ位は音声を入力しなければならないかも知れません。

マリが喋る時(フォーマット"英語"の場合)
1.マリの発した日本語をマイクから入力。
2.翻訳ソフトで解析し、直前に聞き取った言語"英語"に直す。
3.音声読み上げソフトを介してスピーカーから英語を出力。

音声読み上げソフトには入力された声紋に従って声のトーンを決定、調整するプログラムも含まれていると思います。

でも言語の種類によって文法が異なるので、マリワカ作中の様な同時翻訳は、上の方法では不可能です。タイムラグを経て翻訳される形式を取る事になりそうです。(こういった言語翻訳機は現代でもほぼ実用化されてます。)

もう一つ考えられるのは恐縮ながらブリキ男の創案した"脳波を読み取る方法"(もしかしたら既出のアイディアかも知れません。)

これは相手が脳に思い浮かべた言語の概念(脳波)を電気信号としてペンダント内の受信機で読み取り、日本語に変換するというもの。マリが喋る場合はマリの脳波を読み取り、他言語に変換する。

脳波は微弱で、現代では頭に電極刺したり、電極の着いた帽子を被ったりしないと読めないので難しいかも知れませんが、超高性能な受信機があれば不可能ではないのではと思います。

でも同時翻訳だと二つの言語(翻訳前と翻訳後)の音声が同時に発せられてしまい、聞き取り辛くなる事が難点です。

問題を解消する方法の一つは、スピーカーから翻訳音声を発すると共に、聞こえなくとも良い翻訳前音声と逆位相の音声も発し、※ノイズキャンセル効果を使ってそれを消してしまう事です。脳波は音よりも先んじて届くので理屈の上では可能だと思います。多分‥。

またペンダントにはタイムトラベルをする際、位置情報を確認する為の電波送受信機(ケータイとかスマホみたいな)も内蔵されていると思います。でも実際にタイムトラベルに必要な、現在と過去を繋ぐワームホールに相当するゲートを生成するのは大きさからして、実験室の方の機械だと考えるのが妥当でしょう。元いた世界に戻る際、位置情報の確認は必須なので、電波を送受信する現在と過去を繋ぐ素粒子レベルの大きさのゲートは常に開いているのかも知れません。

科学が進歩すればタイムトラベルは可能になるのか?という問題については理論上の問題なので、ブリキ男でも本当の所は全く解りません。しかしながらアニメを見てこういった考察出来るという事自体、とてもぜいたくな楽しみと言えます。なるほど‥これが愉悦か‥。

※:かんたんに言うと音で音を消すという事。作曲の仕上げなどに用いられる波形編集ソフトとかには、こういう機能が使えるものも多くあります。音の波長を表すギザキザの、山になっている部分に同じ大きさの谷をぶつけると無音になるのです。これによって雑音を綺麗に消せます。
{/netabare}

以下は作品本編とは殆ど関係ない面白実験コーナー。
{netabare}
[面白実験その1 これで君もレールガン?]
空気の乾燥した冬の日などに毛足の長い毛布などを掌で撫で擦ると静電気が生じて小さな小さな稲妻が出来ます。湿気が多い時期は水にエネルギー(電気)を奪われるので出来ません。真っ暗な部屋でやってみると青白い火花が確認出来て綺麗ですよ。(ちょっと手がちくちくするけど)セーターとかでも出来るので色々と実験してみるのも面白いかも?
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

昨日は今日になり、今日は明日になる。全てが繋がって、今になる。

[文量→大盛り・内容→考察系]

〈2016夏 個人内ランキング 6位〉

録画溜めといたんですが、キャッチさんの影響で視聴開始w

【総括】
子供向けアニメと思い、侮ることなかれ。かなり優秀なシナリオに、度肝を抜かれます。タイトルや絵柄だけで敬遠してはいけないアニメの代表格かと。

科学や科学史に詳しい方にとっては当たり前すぎる内容なのかもしれませんが、私のような文学畑の人間にとっては初めて知ることもあり、純粋に知的好奇心も刺激された。楽しいし学べるし、ホントにNHKで流してほしいw

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
なんだこのアニメ? かなり面白いぞ!

確かに子供向けで、あざとい部分や安易な部分はありましたが、それを補って余りある良シナリオ(特に2話目)。電気の発見から製品化まで、あっさりしっかり学ぶことができました。

力のある大人が本気で子供向けアニメを作ったらこうなった、という感じ。

自分の中では2016夏アニメのダークホース。

この作品の主題は、「現在の生活は、過去の偉人(科学者)達の挑戦の上にある」ということ。すべてが繋がって、今がある。きちんと大人が観られる子供向けアニメでした!(強いて言えば、最終回の一部にだけは不満大)

最終回は、ある意味で10話が伏線になっていて、だからこその感動がありました。どこまでも科学者に優しいアニメで、全体としては良いです。

一点だけ気になったのは、マリ達が御影を過去に置き去りにした行為は、故意ではないとはいえ、結果的に御影を「殺す」に近い行為なのに、マリ達のリアクションが軽いこと。子供に対し、勧善懲悪をイメージさせたかったのかもしれませんが、御影はそこまで悪い奴じゃないと思います。実際、科学の研究には莫大なお金がかかるわけで、そのお金を出しているのは、実用化された時には支出以上の利益があると踏んでのこと。別にボランティアで研究費を出しているわけではないでしょう。だから、御影の言葉にも一理はあって、商人と科学者は、時には対立し、時には共存共栄する密接な関係にあると思います。「このアニメだからこそ」そこには深く切り込んで欲しかったし、出来たと思います。まあ、御影がエジソン一味となって成功したことを示すのが救済になっているんだろうけど、だとしても、せめてその写真を見るまでは落ち込んだり悲しんだり、なんとか過去に戻って御影を助けようとする姿勢を見せるべきでした。御影がいなくなった(現代人からすれば死んだも同然の)中、当人を慕う部下(おそらく恋人か片想い)には「仕方ない、もう手遅れだ」とアッサリ言い放ち、自分達だけは家族の久々の再会を泣きながら喜ぶマリ達……ちょっと怖かったです。御影にだって、家族はいたでしょうに。

ただ、この作品がタイムリープ系には珍しく、「パラレルワールドオチ」にしなかったのは偉いと思いました。「orange」なんかまさにそうだけど、パラレルワールドってアニメにするには都合が良いんですよね、誰も傷つかなくて。でも、「マリ・ワカ」では、過去も同じ時間軸にあって、全てが繋がって今があるというのは主題なので、(んじゃ現在の改変はどうなるの?というツッコミどころもありつつ)必要な設定でした。

ラストのラストである未来編は、個人的には好印象。マリがお婆ちゃんになっててショックでしたwが、過去が今になるように、今は未来に変わっていくのだから、同然であり自然な姿なんだと思います。思いは受け継がれ、発展していきます(どうせなら、旬兄もお爺さんになって、一緒にいるところを観たかったです)。私たちのような萌え豚野郎に配慮しないところが素敵でした(笑)
{/netabare}

【各話感想(レビュー含め)】
{netabare}
第1話
AED、何度か講習受けたけど、かなりリアル(笑) 学習アニメ×女子中学生……「もしドラ」的な感じなのかな? 初めの科学者がギルバートか、(エジソンとかじゃないところが)渋いね。でも、マリを見てすぐに「東洋人」って、ギルバートが活躍した時代、日本は戦国時代とかでしょ? すんなり出たワードに(まあ中国とかもあるけど)歴史的にやや違和感w 私は文系なんで、理系の話は知らないことだらけで楽しみ♪

第2話
マリが、ちゃんと(良くも悪くも)中学生くらいの知識量ってとこが、徹底されてるね。地磁気とケーキとAEDが繋がってるところが上手いね! 科学って、人類の歩みって繋がってるんだな~と思った。ギルバートの理論も全ては地球が球体であるってことが前提なわけだし、それ自体が科学者の発見なわけで、こうやって人類が1歩ずつ歩を進めてきたってことが伝わる、良シナリオ!

第3話
ちょっと驚いたのは、科学との対比のためとはいえ、宗教をここまで正面から否定的に描いた教育アニメってのも珍しい(第2話も含め)。でも、当時の科学者にとっての最大の敵だったということですね。凧の実験は死者も出てるし、ガチで危険。良い子どころか、悪い子も絶対に真似しちゃだめだよ(汗)。

第4話
のオーストリアが台頭してくるあたり、歴史を感じますな~。今回は「電池」の発明者の「ボルタ(ト)」ですが、科学の恩恵というよりは、違う面を見せたかったのだと思います。それは、「科学の戦争利用」(防弾チョッキやスタンガンはその比喩)。この時代以降、科学と戦争は切り離せないものになっていくしね(ノーベルが鉱山夫の安全の為に作ったダイナマイトの戦争利用。アインシュタインの基礎研究を基に作られた核爆弾とか)。前回は科学の発展の為の宗教批判、しかし、今回は科学そのものの負の側面を見せてくるあたり、真面目ですな~。

第5話
欧州サッカーの目標が、プレミアやリーガじゃなくて、セリエかリーグ1って、意外と堅実w お~、マンネリ化しそうな辺りで、ちゃんと展開変えてきたね~(拍手)♪ 出会う科学者も、「電気」という関連性が強い方ばかりで、色々欲張らずに、good!

第6話
これまであまり活躍のなかったワカにスポットを当てた2話でしたね♪ ワカのツンデレは安定してますw これまで、冒頭の現代での発言や行動を伏線にし、過去の科学者との出会いにより、マリやワカが成長し、終末の現代で伏線回収するという、良シナリオに感服しています。

第7話
電気が少しずつ進化していき、ついに通信まで。胎児が母体の中で一気に進化の過程を経験するように、このアニメの中で電気が一気に進化している感じ。旬君、良いこと言うね~。有名な話ですが、ドラクエの作曲家「すぎやまこういち」さんは、ドラクエの序曲をわずか5分で書き上げたそう。それをインタビュアーに、「どうやったら5分で名曲を生み出せるのですか?」と問われ、「あの曲は、54年と5分で作ったのですよ」と答えたらしい(当時すぎやまさんは54歳)。これ、大好きな逸話なんです! とっさの判断や閃きに見えても、そこには人生の全ての時間の過ごし方が濃縮されたいる。つまりは積み重ねることの大切さ。旬君が言ったのもそういうことですね♪ 科学を学ぶだけでなく、タイムトラベルものとしても、楽しめる内容になってきましたね!

第8話
出だしが「コナン」っぽいのだがw「それ文法違うから~(違うから~)」は、可愛かった♪ 珍しく日常回、緩急が効いてるね。

第9話
お父さんは、どこから来て、どこに帰るのかな? 今回のマリワカのクイックサイエンスは面白かった(し、分かりやすかった)。光ケーブルの仕組み、初めて知ったw

第10話
例えばエジソンのように、電球や蓄音機などを「発明」できた人は、自分の功績が世の中を変えていく様子に出会えて幸せなのだろう。でも、その「発明」を支える基礎研究に生涯を捧げた「科学者」は、幸せを実感できたのだろうか……という部分に光を当てた回。救いがありました。現実世界でもいよいよ、盛り上がりをみせてきましたね♪

第11話
正論vs正論。この作品の作風上仕方がないかもしれないけど、歴史変換による影響に対する危機感が皆無なんですよね、皆が。まあ、良いんだけどね、タイムトラベルは一種の装置であって、伝えたいのは科学の仕組みだからね。なんか急にSFになりましたね(いや、今までもSFでしたがw)。

第12話
御影の、「研究のよろこびなんて下らないセンチメンタリズムだよ」って発言は、このアニメを根底から覆そうという問題提起であり、1つの真実。また、「自分達(商人)がいてこそ、科学は価値をもつ」というのも、ある意味正論。それに対してマリの「出来たものを消費するだけのあなたなんかに、彼等のことを侮辱なんてさせない!」って反論……ぐうの音も出ませんな。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

こういう真面目な作品…どちらかというと好物だったみたいです。

この作品の原作は未読です。ただでさえ2016年夏は視聴数が多かったので、子供向けの休日朝の番組から切ろうと思っていて、この作品もその対象でした。
ですが、1話目から面白いじゃありませんか…完走して振り返ってみると切らずに視聴を続けて良かったと思えた作品でした。
そう…アニメには「子供向きかな…?」と思っても実際に視聴してみると面白い作品があるから中々切れないんですよね。

この物語の主人公は早瀬 真理…3年前に失踪した父親から「アーミラリーコンパス」と呼ばれているペンダントを大切に身に付けていました。
ある日、親友の和花の家に遊びに行ったとき、彼女の兄の部屋にあった1冊の本に触れた途端、アーミラリーコンパスが反応して真理の姿が忽然と消えてしまったのです。

ふと気づくと、真理は和花の家ではなく全く知らない場所が目の前に広がっていました。
そこは1600年のイギリス…真理は400年以上昔にタイムスリップしていたのです。
そこで出会ったのはウィリアム・ギルバート…医者の仕事の傍ら、静電気と磁石の研究を行っていた科学者だったんです。
こうして世界の高名な科学者を巡る真理と和花の物語が動いていきます。

現在私が生きている現代の文明…それには必ず元となる礎がある訳ですが、この作品では礎を生み出した科学者を8人ピックアップしてその人に会いに行って世紀の瞬間を目撃する…という改めて考えてみるととっても贅沢な旅行でした。

ウィリアム・ギルバートを除く7人の科学者は以下の通りです。
・ベンジャミン・フランクリン:18世紀に凧を用いた実験で、雷が電気であることを明らかにした科学者。
・アレキサンドロ・ボルタ:18-19世紀にボルタ電池を発明した科学者。
・マイケル・ファラデー:19世紀に電磁気を利用して回転する装置(電動機)を発明した科学者。
・サミュエル・モールス:19世紀にモールス電信機を発明した科学者。
・グラハム・ベル:19-20世紀に世界初の実用的電話を発明した科学者。
・ハインリッヒ・ヘルツ:19世紀に電磁波の放射の存在を実証した科学者。
・トマス・エジソン:19-20世紀に蓄音器、白熱電球、活動写真を発明した科学者。

大概の人が知っている高名な発明家ばかりです。彼らは何も無いところから形有るものを産み出した科学者ですが、全員が頭脳明晰かというと決してその様な事はありませんでした。
マイケル・ファラデーが良い例です。ファラデーは高等教育を受けておらず、高度な数学もほとんど知りませんでしたが、史上最も影響を及ぼした科学者の1人とされており、科学史家は彼を科学史上最高の実験主義者と呼んでいるそうです(wikiより)。

彼らが共通して持っていたのは不屈の闘志です。
100回失敗しても101回目に成功すれば良い…
失敗は成功への道しるべ…
だから誰一人として失敗を恐れていないんです。
中には本職の傍らで発明を行っていた科学者もいましたし、実験道具も不十分だったので、遅々として進まない時もあったでしょう…
でも成功への道を諦めなかった…
彼らの不断の努力の上に今の豊かな生活があると思うと偉大なる発明家の皆さまには脱帽します。

そんな偉大な発明家に出合える機械をなぜ真理の父親が作ったのか…
一人の科学者として世紀の瞬間に立ち会える喜びはもちろんあったと思いますが、それだけじゃ無かったと思います。
気になる方は是非本編でご確認下さい。

オープニングテーマは、A応Pさんの「希望TRAVELER」
エンディングテーマは、エラバレシさんの「ミス・ラビット」
この作品はアニソンまで手が出せませんでした。

1クール13話の作品でした。内容は極めて真面目ですが、発明家の特徴を良く捉えている上、タイムスリップのタイミングが絶妙だったので、総じて楽しめた作品でした。
今回は磁石と電気が題材でしたが、他の史実を題材にしても面白くなるんじゃないかと思いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23

63.3 7 女子中学生でファンタジーなアニメランキング7位
風人物語(TVアニメ動画)

2004年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (52)
330人が棚に入れました
部員がたった2人のデジカメ部の部長で空を撮るのが好きな女の子・ナオと同じくデジカメ部に所属しナオと親友のミキ。
ある日、風を自由に操ることができる空飛ぶ猫をいつもの撮影場所である校舎屋上で目撃し、驚いたナオが屋上から落下した時、突如巻き起こった風により助けられる。その風は、代用教員の大気先生が起こしたものだった。
その事を知ったナオ達は、大気先生の故郷である風の里を訪れ「風を操る能力」を手にすることになる…。


声優・キャラクター
名塚佳織、花村怜美、入野自由、岩村愛、杉山大、水野理紗、竹田雅則、AZU

ソーカー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

心の中に風を起こす、透き通るような雰囲気

女子中学生のほのぼのとした日常の中で、風にまつわる不思議な出来事を描いた作品。
とはいえ、さして大事が起こるわけでもないので、力抜いてまったりと心で感じるアニメ。
一話完結型ですが、一話一話の余韻はなかなか良い。

押井守監修ということでなんとなく見た作品ですが
各話とも風にまつわる魅力的なエピソードばかりで、爽やかで本当に良い作品だと思います。
ただホントに緩い日常を描いた心暖まる作品なので、時として強烈な眠気に襲われることも。
空気感みたいなものを大事にしているんでしょうねぇ。

風を使うには心に風を起こすことが肝要だそうで、逆に言えば心次第で如何様にも風は変わる。
作中で猫は風を使って飛べるんですが、ふわふわと漂うような感じですw
それがあまりにも自然なので、ふと猫飛んでないかなぁ?と空を見上げたくなる。
川井さんの音楽も透き通るような、なんとも不思議な雰囲気を醸し出しています。

一番の特徴はカクカクした独特な作画ですが、これがなかなか味があって結構好きです。
キャラデザもカクカクしていますが、意外に細かでナチュラルな表情が伝わってくる。
歪な脚線に妙なエロシズムを感じる人はごく稀?まぁそういう作品ではないですが・・・w
そして、やはり風が吹く様々な描写、雲が流れる様が非常にいいです。
風を気持ちよく感じさせてくれる素晴らしい作品でした。

しかし、その独特の作画が入口を狭くしてしまっているのは間違いないですし
「素晴らしい」「つまらん」と評価が真っ二つに分かれそうな作品です。
特に空気感・雰囲気で楽しめない人にとっては、全くもってつまらん作品ではあるとは思うけど
なんだかよく猫が活躍(?)するので、猫好きにはたまらない作品かも。
とにかくアイキャッチの猫のイラストは切り取りたくなるぐらい可愛いのです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

人と風を主題にした物語

デジカメ部部長の中学2年生ナオを主人公とした人と風の関わりを描いた物語。
風使いも出るけど、一般人の風との関わりも描かれている。
凄く印象に残る作品というわけではないが、なかなか風変りで珍しい作品。

キャラデザは独特すぎる。


OP
風の詩 〜WINDY TALES〜 歌 YuU(coutesy of radiosonic records)
ED
夕陽の色だけ 歌 Windy-s
OPが完全にEDとしても使える曲。壮大な楽曲で心地よい。
EDは登場キャラクターたちが歌う明るい楽曲。


正直あんまり覚えていない
{netabare}
1風猫
風に乗って遊ぶ不思議な猫たち

2風の祭り

3ランニングガール
風を感じるために走る

4どんぐりはムササビ

5保健室物語

6缶けり

7台風が来た
風使いの人たちと台風

8大掃除はチュウの予感

9父のオートバイ
風を切って走るオートバイの免許をとった父。母と仲良し。

10地球最後の日

11オーディション顛末記

12桜のころ

13雪緒ふたたび
未来の話と現在の話が交錯する。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

k-papa さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

独特の絵のタッチで魅力的

学園生活+ファンタジーって定番なんですが、
独特の絵の感じがある意味、異質で非日常的な味があります。

この作品を見ることにより、いつも吹いている風に対して
畏怖を持つことに・・・はならないか。(^^;;

魔法使いでも怪異ともちょっと違う日本的な趣のある
幻想なんでしょうね。

でも、やっぱりこの絵に拒否反応を起す人もいるでしょうね。
私もとても好きですけど。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
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