Witch さんの感想・評価
4.0
始めからボタンの掛け違い →これを最後まで押し通せる勢いはホンモノ
【レビューNo.103】(初回登録:2024/1/13)
コミック原作で
・1期:2021年作品。全12話。
・2期:2023年作品。全12話。
ちょうどABEMAで1期の一気見配信やってたので復習して、リアタイの2期とま
とめてレビューということで。
(ストーリー)
高校生となった主人公・向井直也は、ずっと想いを抱いていた幼なじみの佐木
咲に交際を申し込み続け、ようやく恋人関係になる。
しかし、ほどなく直也を想い続けていた水瀬渚から交際を申し込まれる。当初
は咲がいるため断ろうとした直也だったが、渚のいじらしさや魅力に心を動か
され、出した結論が「三者合意のもとでのオープンな二股交際」だった。
・渚は直也と一緒にいられるならと受け入れる。
・咲も当初は猛反対だったが、最後は直也の押しに流され渋々ながらも了承。
こうして3人はお互いをよく知るために、直也の自宅(両親は不在)で内緒の
同居生活を開始するのだった。
(評 価)
・始めからボタンの掛け違い →これを最後まで押し通せる勢いはホンモノ
本作の主人公・直也は
・馬鹿がつくほど真面目で正直者で頑張り屋。
・しかしその頑張る方向がかなりズレている。
その性格ゆえに「三者合意のもとでのオープンな二股交際」というトンデモ
案を真面目に提案するわけです。
はっきりいうと「始めからボタンの掛け違い」のまま、話を進めていこうとw
それゆえに最初から「受け入れられない」と、好き嫌いがはっきり分かれる
作品ではあります。
しかしこの作品には、そんなトンデモ展開を納得させるだけの勢いと面白さ
があります。
・ラブコメながらもほぼコメディに極振り、テンポがよく視聴しやすい。
→ 通常ではあり得ない設定でも、「コメディ」だからで笑って許せ、
登場人物も皆どこかおバカで親しみが持てるみたいな。
→ それでいて締めるところは締め、ラブもちゃんと効果的にみせる。
・直也の性格も出オチで終わらせず、終始一貫しててある意味清々しい。
→ これによりこの作品独自の笑いが生まれている。
テンポ感については、「野崎くん」や「トモちゃん」といった4コマ漫画原
作に近いノリがあるという感じですね。
・4人のヒロインがしっかりキャラ立ちしていて、すみ分けができている
本作では
●佐木咲
・ショックなことがあってもすぐに立ち直る等、明るく元気な子。
(直也にも拳でツッコみを入れる等バイオレンスキャラでもある)
●水瀬渚
・要領が大変悪いが頑張り屋でいじらしい。
の2大メインヒロインに加え、
●星崎理香 / ミリカ
・(身元を隠して)人気ミーチューバー「ミリカ」として活動中。
・落ち着きのない幼稚な性格で気性が荒く口も悪いが、自分の容姿には
自信を持っており、好きなものには真っすぐで正直。
→ 直也にも積極的にアタックし「三股はない」と断り続けられるも
あきらめない。
●桐生紫乃
・咲の親友で文武両道を地でいく優等生。
・常識人で、最初は「二股疑惑」のある咲たちに干渉していたが・・・
~以下重要ネタバレ~
{netabare}・実は中学時代から直也に想いを寄せているが、咲の手前本音を隠して
いたことが1期ラストで語られる。
・2期では夏休みに「二股をやめさせよう」という口実で向井家に居候
してくる。{/netabare}
の2人のサブヒロインが登場します。
登場人物は少ないですが、この4人のヒロインのキャラ立ちがしっかりして
いてすみ分けもできているので、直也を含めちゃんと話を回していけるとい
う感じですね。
・エロトーク・展開も多いが、これも全部きっちり落とす
ラッキースケベや紛らしさからくる勘違い等エロトーク・展開も多いですが、
全部きっちりコメディに落としてきます。なので「視聴者サービス」といっ
た媚びた感じがないのもこの作品の持ち味ですね。
これをしっかり笑いに変えてくるところに、原作者の技量の高さを感じます。
「アホガール」の原作者らしく、
「『アホのスペシャリスト』がラブコメを描いてみたらこうなった」
みたいな作品で、「始めからボタンの掛け違い」が許容できれば、この掛け違
いを活かした独自の勢いと面白さがある作品だと思います。
構成の方も1期で下準備を終わらせ、2期でそれをしっかり回収いくという、結
構楽しめたという印象ですね。
(個人的には1期はあまり評価していなかったが、2期で盛り返してきた感じ。)