図書館で銃撃戦なTVアニメ動画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の図書館で銃撃戦な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月01日の時点で一番の図書館で銃撃戦なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

82.1 1 図書館で銃撃戦なアニメランキング1位
図書館戦争(TVアニメ動画)

2008年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1986)
11572人が棚に入れました
時は2019年、公序良俗を乱し人権侵害の表現を取り締まる「メディア良化法」が施行された現代。
強権的かつ超法規的な「メディア良化委員会」とその実行組織『良化特務機関』の言論弾圧に唯一対抗できる存在、それが図書館だった。かくして図書館は武装し、良化機関との永きに渡る抗争に突入することになる。図書館の自由を守るために。

声優・キャラクター
井上麻里奈、前野智昭、石田彰、鈴木達央、沢城みゆき、鈴森勘司、佐藤晴男、田中理恵
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「表現の自由」をテーマにした社会派?! →「ミニタリー×恋愛」のエンタメ作品(社会派的なネタが抜けてたので追記)

【レビューNo.153】(初回登録:2024/11/17)
ラノベ原作で2008年作品。全12話。
前々回久しぶりに古いアニメとして『天鏡のアルデラミン』のレビューを書き
ましたが、もっと古い作品を掘り起こそうかなっということで


(ストーリー)
元号が「正化」に変わる頃、社会に悪影響を与える表現を取り締まるため、
「メディア良化法」が制定された。
図書館はメディア良化隊の激しい検閲から「表現の自由」を守るため武装化、
両者の戦闘は激化の一途をたどった。
そして正化31年、その戦いに飛び込んだ一人の少女かいた――

当時高校生だった笠原郁はある一人の図書隊員に検閲の窮地から救われる。
この出会いをきっかけに、彼女は彼を“王子様”と慕い、自分も彼のように
「理不尽な検閲から本を守りたい」という強い思いを胸に、図書隊への入隊
を果たす。
しかし指導教官である堂上篤は、彼女が目指した憧れの図書隊員とは正反対
の鬼教官だった。


(評 価)
昔たまたま深夜にTVを点けたら、なんかアニメをやっていて
「こんな時間にアニメやってるんか」
とちょっとだけ視聴。
(当時は深夜アニメを知らなかった)
後にアニメにハマりいろいろ知識もついて、調べたら本作だったという。
そういう意味では私が知った最初の深夜アニメになると思います。
(以前レビューした『ハートカクテル』は例外だけど)
一応その時全話視聴してますが、今回新たな目で見返してみようと。

・「ミニタリー×恋愛」のエンタメ作品
 元々原作者・有川浩先生の
 ・「図書館の自由に関する宣言」を見たことがきっかけ
  → 図書館の自由に関する宣言が一番ありえない状況で適用されたらどう
    なるか
 という発想から生まれた作品のようです。

 本作は「本を守るために図書館が武装して時には死者も出る」という、なか
 なかぶっ飛んだ世界観ではあります。
 なので「たかが本のために」と捉えると、受け入れにくい作品ですね。
 しかし「本=なにかのアナロジー」と捉え、「自由を守る・勝ち取るための
 戦い」と抽象度を上げれば、現実世界でも今までの歴史において武力闘争な
 んていくらでも勃発しているわけですから、本作もあながち奇天烈な作品で
 もないのかなっと。
 本作も本を通して
 ・「表現の自由」を守らんとする図書隊員たちの正義
 ・敵対するメディア良化隊や図書隊内の派閥争い、暗躍する未来企画の思惑
 ・この世界の”世論”というものetc
 この世界観を上手く活かしてエピソードが創られていると思いますし。

 ただ個人的には
 ・「言論統制」といった社会派的なテーマを深く掘り下げるというより
 ・こういう世界観で奮闘する少女の物語
  → なんやかんやいうても『自衛隊三部作』と同様「ミニタリー×恋愛」
    をやりたかったんでしょ
 という印象なんですよね。

 なので難しく考えずエンタメ寄りの作品として、ちょっと脳死で視聴する位
 が丁度いいのかなっと。


・「脳筋」ながらも「熱血」で「乙女」な主人公
 笠原郁は
 ・座学は苦手だが、高身長で身体能力に優れた体育会系女子
  → 全国初の女性隊員として図書特殊部隊に抜擢される
 ・明朗快活で正義感が強く心優しい真っ直ぐな性格
  → それゆえ直情的で軽率な行動に走ってしまうことも
 ・過去に自分を助けてくれた図書隊員を“王子様”と慕ったり、人生初の
  告白を受けテンパるなど乙女な一面も
 と、非常にわかりやすい主人公属性を備えたキャラ造形となっています。

 そんな彼女が
 ・図書隊員としての訓練や任務(実戦配備や図書館員業務)
 ・彼女が巻き込まれる各勢力の陰謀
 ・堂上といった上官たちや同僚らとの人間模様
 ・親子間のすれ違いや和解
 といった経験を経て、大きく成長していく姿が見どころとなっています。

 厳しい教官・堂上との掛け合いだったり、
 ・理想的な上官:稲嶺指令・玄田部隊隊長・小牧教官
 ・頼れる親友:柴崎
 ・最初はいがみ合うも互いに認め合う同僚:手塚
 その周りを固めるキャラも魅力的に描かれており、こういうところはさすが
 有川先生といったところ。
 また彼女をしっかり物語の中心に据えているので、有川作品の中でもラブコ
 メ度高めという印象ですね。


個人的な評価としては
・他のキャラは上手く描けていたが、直情型の主人公にはあまり共感できな
 かった
・ラブコメ作品としてはミニタリー要素がないと凡庸
 (それを踏まえた上で「ミニタリー×恋愛」としたのは、さすが有川先生
  のセンスでしょうか)
・ただミニタリー要素も無理やりねじ込んだ感が否めない
 (武器を持って殺し合いも辞さない世界観ながらも、勝利条件を満たせば
  あっさりノーサイドと闘争が終わるゲームみたいなところ等粗が目立つ)
という感じで、幾分不満が残るという感じでしょうか。
しかし上述したように、特異な世界観を活かしたストーリー展開や『「ミニ
タリー×恋愛」のエンタメ作品』として気軽に視聴する分には十分楽しめる
作品だと思います。
特に最終話は綺麗な畳み方だったなあと好印象でしたし。

コメディのデフォルメ具合やキャラデザの線の太さなどにはやはり年代を感じ
させますね。


(追 記1)
有川作品は一時期読みふけっていた時期があり、本作も読もうと思ったのです
が、結構シリーズ化されてたので躊躇してしまったんですよね。
試しに『別冊図書館戦争1』を読んでみたのですが、なかなかの激甘ぶりで
{netabare}ラストは「堂上×笠原」のプロポーズで終わるという。{/netabare}

個人的には同氏の『自衛隊三部作』のアニメ化を希望なんですが。


(追 記2)
「表現の自由」と言えば、WHOが推進しようとしている「パンデミック条約」
が相当ヤバイとか。
この条約はヤバイことだらけなんですが、そのひとつが
「(SNSなどで)予防接種の副作用が危険」
とか発信すると「誤情報を流した」で逮捕することができるような内容らしい
んですよね。
これって運用次第では完全な「言論統制」じゃん!
これを日本政府は積極的に進める方向らしく、この国大丈夫なのかと。
「そんな危険な未来はアニメの世界」
作品は楽しめたものの現実は笑ってはいられないのかも。
(参考情報)
https://www.youtube.com/watch?v=vtJ2rXFNjC0

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ただの良作ラブコメですが、何か?

[文量→中盛り・内容→余談が本論系]

【総括】
ジャンルは、(Wikiを見ると)SF、ディストピア、パラレルワールド、アクション、ミリタリー、ラブコメディと、多岐に渡る。

つまり、オンリーワンの作品。

図書館戦争という攻撃的なタイトル、原作小説の厚さや地味な表紙で敬遠しないでほしいな。普通に気軽に楽しめる作品ですよ、アニメも原作も。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
いわゆる、「言論の自由」「表現の自由」などをテーマにした社外派アニメ、なんだろうけど、私は単純にラブコメとして楽しみましたよ(笑)

ヒロインの笠原郁(熱血バカ)はかなり可愛いです!明るいバカって良いですよね♪ キャラデザも好きで、(個人的)歴代好きなアニメキャラで上位に入ります♪ 堂上篤(怒れるチビ)もナイスな奴で、こちらは、同ランキングの男性部門でもかなり上位です。珍しく、応援したい二人でした♪

他にも、小牧(笑う正論)や、手塚(頑な少年)、柴崎麻子(情報屋)など、この( )内の言葉がスバリ的中のキャラ達はみな魅力的です。う~ん、一期尺だったのが勿体ない。

変に社外派アニメと思い敬遠している方がいれば、勿体ないです。単純にラブコメとして、十分に良作ですので、是非、視聴してみて下さい♪
{/netabare}

【余談 ~皆さんは、ゴミクズみたいな人間が作った作品はゴミクズだと思いますか? ~】
{netabare}
まず最初に、「どちらの視点でもOKだ」と言っておきます。個人の好き嫌いで良いでしょう。

その上で、私の意見です。

一応、私は文学部出身ですし、今もまがりなりにも文章に関わる仕事をしているので、この話を酒飲みながらすると1時間は話すので、今回は手短に(笑)

文学を読むとき、「作家論」と「作品論」という2つの立場がある。

「作家論」とは、作品を読むときに、作者を意識して読む読み方。「この表現はこの作者の場合」という読み方。

一方、「作品論」とは、作品を読むときに、完全に作者を意識外に置いて読む読み方。作品自体を純粋に読む。

私は、「作品論」の立場をとっている。理由は、大学の時の師匠(ゼミの教授)がそうだったことと、志賀直哉が好きだから。志賀直哉は、「小説とは作品自体を純粋に評価すべき」という立場をとっていた。

作家を意識するのは、2周目かな。作家が誰かなんて、飲食店の卓上調味料のようなもので、味変に使うくらいがちょうど良い。

ちなみにこれは、私はアニメに関しても同じように考えていて、アニメを観るときは、可能な限り事前情報は入れないで観るようにしている(観終わった後に、色々調べる)。

話は変わるようで変わらないのだが、図書館行って「マジか?」と思うのは、夏休みの(小中学生向け)読書感想文コーナーに、「ノルウェイの森」が置いてたりすること。司書さん、ちゃんと中身読んだかい? 有名作だから、作者が有名だからと、これで感想文提出したら、先生赤面しちゃうよ(笑)

小説は、額縁で高評価も低評価してはいけない。読み、己の感性でのみ語るべし。

例えば、近代文学なんて、作者の人間性を求めたら、ほとんど読めない。太宰治なんてほぼ人殺しだし、島崎藤村の「新生」なんて、姪っ子に手を出してそれを小説にって、オイオイ(汗) しかもそれが、「名作」と言われ、崇められていり。

いや、私はむしろ、近代文学が好き。専門は芥川や川端、漱石、鴎外、志賀、太宰なんかだし、彼らの狂ってる感じをむしろ愛おしいと思って読んでる。

ところが最近は、あまりにも文学に道徳性を求め過ぎに感じがする。

元々、文学とは不道徳、否社会的なものだった。近代の小説家なんて、当時の社会ではアウトサイダーが多い。古典に関しては、庶民とは乖離したところに文学があったわけで、そこから人々が何かを学ぼうという概念すらなかった。

川端は、「小説には作家の孤独の影がある」と述べているが、正にその通り。元々(純)文学なんて、ごく個人的なもので、エゴイスティックなもの。だのに、いつの間にか、「良い話」を期待され、勉強の「教材」にされることが増えてきた。

文学なんて、酒や煙草と一緒で、嗜好品でしょ?

以前、私の好きな作家が逮捕され、全国ニュースになり、その後、書店から彼の本が消えた。私はそれに、怒りを感じた。

「作者に罪はあっても、作品には罪がない」「だったら芥川や大宰の小説も全部撤去しろや」と。

(勿論、彼の犯罪自体を肯定するつもりはない。被害者もいる。だから彼はきちんと捕まり、罪を償う必要があるが、だからといって、彼がこれまで書いてきた作品を、全て無かったことにするのが正しいとも思えないのだ)

きっと、こんなことが国会権力により、更に広範囲に行われるのが、「図書館戦争」の世界なんでしょうね。原作の有川さんも後書きで、「こんな世界は嫌だな~」と述べてますが、全くの同感です。

でもそれこそ、「嫌だな~」程度のもんで、銃をぶっぱなす程のことではない(笑) それに、「コンビニにエロ本」置くのは、私も嫌ですし。「成人向け書店で売れば?」とも思う。

まあでも、もし今規制するなら、本よりネットですけどね。有川さんには悪いが、悲しいけど本にはもうそこまでの力はない。スマホ買ってビックリしたけど、「これ(画像)を小中学生も普通に観られるのか~」と思うと、流石に「日本、大丈夫か?」と心配になってしまいますが(汗)
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 40
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

表現の自由のためにミリタリーで闘うラブのコメ

2021/5/29 追記>
今日「ノイタミナpresents シネマティック オーケストラコンサート」ってのに行ってきました。
ノイタミナ放送開始15周年を記念してのコンサートだそうで。
「図書館戦争」「四月は君の嘘」「約束のネバーランド」三作品のOP曲、ED曲、劇伴曲のクラシックアレンジをオーケストラで名シーンの映像とともにお届けする、というものです。

君嘘と図書館戦争好きなんで行ってきたんですが、予想外に良かった!!!

生のオーケストラはやはり迫力があります。
その演奏とテーマごとに丁寧に編集された映像がうまーくマッチしている。
タイミングもぴったり♪

図書館戦争の映像見るの久しぶりだったんですが、こうして見ると{netabare}郁と堂上{/netabare}の熱血ラブコメですね
熱量と糖度激高で成人病が心配笑。
久しぶりに視てみたくなりました。

<補足です>
こういうご時世、徹底したコロナ対策が施されてました。
会場に入る時、アルコール消毒、検温はもちろん。
座席は半分間引いて一列空け。
登壇者にMCなし。曲目の説明もなし。
淡々と映像を流し、ストイックに演奏する。
一曲終わるとオベーション。
聞こえてくる声は休憩時間を告げるスピーカーからの案内のみ、という徹底ぶり。
おかげさまで安心して楽しむことができました。

<2019/1/7追記>
CS-333(AT-X)で1/12(土)20:30から再放送が始まるそうなので番宣です 笑

詳細は去年書いたレビューが下の方にありますのでそちらでどうぞ。

設定に変わったところのある作品ですが、
とにかく甘いラブコメを堪能したい方は是非お試しください。

見てるとたぶん
「ここに乙女がいまーっす!」とか
「あっまぁーーーい!」とか
「ハンバァーーーグッ」とか
叫びたくなること請け合いです


<2018/4/27初投稿>

有川浩原作小説のアニメ化。
今からちょうど10年前です。

有川浩さんというと自衛隊三部作(「塩の街」「空の中」「海の底」)のようなちょっと不思議なミリタリー&LOVEが基調の作品をイメージしてしまいます。
「図書館戦争」はそんな有川浩さんの代表作。
表現の自由のためにミリタリーで闘うラブのコメです。

舞台は現在に極々近い未来の、でも現実とは少し事情のことなる架空の世界の日本。
(wikiで調べたら2019年ってことになってるんですね)

何が違うかというと、その世界の日本では"人権を侵害すると国が判断した"表現を規制する「メディア良化法」が施行されています。
メディア良化法に基づいて国は「メディア良化隊」を立ち上げあらゆるメディアの検閲を暴力的に行なっています。
プチ軍事力をもって。
恐ろしい。
(といっても現実だって知らんうちに言葉狩りが進んでいる昨今。事態はあんま変わんないですね。
暴力が付いて回っているか、いないか、だけの違い。)

そんな「暴力的な検閲」に対抗し「表現の自由」を守るため、図書館が立ち上がります。
その対抗手段が「図書館の武装」
法的な裏付けもとりつつ、図書館は図書隊を立ち上げ武装を進めていきます(マジかおい!)

つまりこの物語は
「武力による検閲に対する武装した図書館のレジスタンス」

最初見る人はこの設定にびっくりしてしまいますが、これにだんだん馴染んでくるとこの作品が楽しくなります。

この作品をこれから視ようという方は上記の突拍子の無い設定を予備知識で持っておいた方が良いと思います。


と言ってもですよ。
この作品の魅力の半分はさらに別のところにあるんですよ。

それは「ラブのコメ」

図書館の戦闘部隊「図書隊」の以下の5人を中心に物語は進んでいきます。

主人公:笠原郁♀「熱血バカ」22歳、身長170cmと長身
図書隊の新人。脳筋。意外と乙女。

堂上篤♂「怒れるチビ」27歳、身長165cm
郁の上官。真面目、誠実、責任感強い、よく怒る(郁に)

小牧幹久♂「笑う正論」27歳、身長175cm
堂上の同期で同僚、同チーム。穏やかで冷静、笑い上戸

手塚光♂「頑なな少年」22歳、身長180cm
郁の同期で同チーム。万能の優等生。

柴崎麻子♀「情報屋」22歳、身長157cm
郁の同期で寮のルームメイト。良いオンナ。ちょっと不二子っぽい。声も今の不二子でしたね。情報通。

他にも多数出てくる登場人物も交え、シリアスなエピソードに絡めるようにしてLOVEがコメディな感じで展開されていきます。
それもカロリーバカ高のとっておきに甘ーいやつ。
むしろこっちがメインじゃないのか。

人の気持ちの揺れ動きなども繊細に描かれていて、そうしたところも○

まとめると、
表現の自由という、現代社会がひっそりと抱える深刻な問題に焦点を当てながら、人間ドラマとミリタリーな濃厚LOVEコメが楽しめるという、無国籍料理のような味わいの一品です。

私はどハマりしました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 67

80.3 2 図書館で銃撃戦なアニメランキング2位
BANANA FISH(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (555)
2507人が棚に入れました
ニューヨーク。並外れて整った容姿と、卓越した戦闘力を持つ少年・アッシュ。ストリートギャングを束ねる彼は手下に殺された男が死ぬ間際に“バナナフィッシュ”という謎の言葉を発するのを聞く。時を同じくして、カメラマンの助手として取材にやってきた日本人の少年・奥村英二と出会う。二人はともに“バナナフィッシュ”の謎を追い求めることに──。


声優・キャラクター
内田雄馬、野島健児、平田広明、石塚運昇、古川慎、細谷佳正、川田紳司、福山潤、森川智之、千葉翔也、斉藤壮馬、上田燿司、小形満、村瀬歩
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

どうせみんなホモになる

自分には珍しい原作既読。{netabare}
とはいえ記憶は殆どなく、印象としては「どうせみんなホモになる」。
アッシュ捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げて捕まって逃げてーの繰り返しで、そうしてる間に「なんでそんなにアッシュ狙われるん?」って思ってたエイジが、狙ってるヤツらはみんなアッシュのケツ目当てで「ああ、そんなに良いものなのか!」と目覚めてエンドだった記憶。
出てくるキャラがみんなホモで原作読んでる最中結構笑った記憶がある。
自分は隠れホモが嫌いなだけで、最初から「ボクホモです」って言ってる分には気にしないので問題無く見れると予想。

って、アニメ見て「あーそうそう、こういう内容だったわ」と思い出せることを期待したけど全然思出せないw
どうせ捕まって逃げるだけだしw
まぁ出てくるヤツはみんなホモ(この世界はホモしか居ない)って思っとけば間違いないので気は楽なんだけど、ちょっと悔しい。

あ、それと原作の段階から大友克洋っぽい部分がちょくちょくあって、これってライブラリあったりするのん?とかちょっと思ったり。
もしあるならアニメ化は結構効率化できるような?{/netabare}

15話までの感想{netabare}
なんでも作中の銃がまるっきりモデルガンなんだそうな。
実銃には無くてモデルガンに施されてるディテールまで絵で再現しちゃってるらしい。
手元にある資料(モデルガン)をこれでもかと精巧に再現しちゃったんだろうね、当然ながら自分は全然気付かなかったけど。
で、一部では笑い者になってるらしいが…個人的には好感度アップ、実直でいいんじゃなーい?
銃がメインの話でもないしなぁ、これがガンスミスキャッツやガンスリンガーガールだったら「おいおい」ってなるけどさ。
そんなん気にしだしたら植物なんて結構アレだし、オタ友の電気屋は背景の建物の配線に「それはない」と突っ込もうと思えばいくらでも突っ込めると言ってたし…バナナフィッシュに限ったことじゃなくてアニメ全般ね。

と、好意的ではあるとはいえ飛び抜けて面白いってこともなく、ダメってこともなく、だら~んと見続けてるのだけど…15話にしてツッコミどころキター。
色仕掛けで看守の隙を突いて脱獄って、おま…永井豪やすがやみつるの漫画で見た記憶があるが、今の時代にこれって…あるのか?
現代風にリファインした結果がこれ?まぁいいけど。
いや最近もあった気がするが…LOSTSONG…じゃないなぁ、何だっけ?
それよりも色気振りまくのがアッシュで全然嬉しくないw
これ、女性視聴者はキャーと喜ぶところ?それともギャグシーン?
ってか看守はホモだったのか、やっぱりこの世界にはホモしか居ないのか。
もういっそのことポリスアカデミーのブルーオイスターみたいなん出せばいいのに、あそこまでやれば自分もギャグとして楽しめるんだけどなぁ。{/netabare}

最終回までの感想{netabare}
原作読んだハズだけど殆ど記憶が無く、辛うじて残ってる印象は↑で書いた通り「捕まっては逃げ捕まっては逃げ~」。
んでアニメ見てみたら、うっひゃあ、自分の記憶以上に捕まっては逃げ~でした。
病院や刑務所も「捕まって」にカウントすると何回捕まった?数えとけば良かったなぁ。
いっつもアッシュを逃がすためーアッシュを逃がすためー(たまにエイジを逃がすためー)で周囲が右往左往する、いっつもコレで正直飽きる。
フォックスと初顔合わせの時ゲイバーだったけど、やっぱりブルーオイスターほどパンチはなくてう~ん。
またフォックスとの最終対決でお互い鉄パイプ持った時「お、ここでアッシュは棒高飛びのワザ使うか?」と思ったが無かった、まぁいいけど。
そしてラストは…あれ、こんなんだったっけ?全然覚えてないや、ジェットマンオチでした。
ジェットマンオチにしても元ネタあるのでべつにパクりがどうこう言うつもりは無いがなんかやっぱりどこか懐かしい。
あーそれとこれは…何の感想で書いたんだったかな?
その昔“風と木の歌”っていうBLモノの元祖になるのか?っていう少女マンガを読んだことがあって(アニメ化もされてるみたいだがそっちは見てない)、登場キャラが男の筈なんだけど中身がまるっきし女で「こんな男いねーよw」と思った事がありまして。
こっちでもユエルンがソレで、男として見るよりただのヒス女として見た方が理解しやすいと思う。
むしろ「ヒス女」としてはよく描けてて、普通に女性キャラで書けばいいのに…と思わなくもない。

大して面白くもなかったけどこういう系はこういう系で残って欲しいので(ホモは抜きで)、まぁ並ってことで。
とりあえずあれだ、ハードボイルドを謳うのであれば横一列になって滑走路を歩いてくれないとピンと来ないんだ、うん(スゲー偏ってるって自覚はある、あああ~ああああ~んんん~んんんん~※)。

面白くなかったといいつつ評価する点。
例えIQ高かろうが町のチンピラ上がりのアッシュとしては、本場モンのホンモノのフォックスや師匠には手を焼きました。
パワーバランスとしてはこれが正解だよなぁ。
殺し屋養成所出にも関わらず安く買い叩かれ、また実際大して強くなく昨日今日殺し屋になりましたって素人に苦戦する“豚骨ラーメンズ”のアホアホさが際立つ。
それとオチに繋がることだけど、やむを得なかったとはいえショータを殺したことで恨まれ続ける(事情を話そうにもヤバいネタで話せない)ってのは久々に見た気がする。
アンゴルモア?知らんなぁ。
最近は主人公格(作者が投影するキャラ)が悪し様(あしざま:相手を実際よりも悪く、また、いかにも悪いものとして扱うさま)に扱われるのって避けられてる気がするので。
そこら辺も「古い」に組み込まれてしまうのはちょっとイヤかも。

※参考動画
https://www.youtube.com/watch?v=GfJSNWHuFhY


余談、園芸ネタ
バナナフィッシュの原料としてブルグマンシアが出たけど、原作でもそうだったっけ…覚えてないや。
元はダチュラの一種扱いだったけど近年ブルグマンシアは分けようって扱いを受けてる植物で、そこらで観賞用として園芸植物として普通に出回っている、流通名はエンゼルトランペット。
たまに蕾をオクラと誤食して死亡事故が発生する(ボケ老人がやらかす)けど、それは恐らくダチュラのほう…とはいえブルグマンシアも同等の毒性アリ(と言われてる)。
ブルグマンシアでフリー素材検索するとアニメそっくりな画像が出るのはナイショだ。
またアッシュがアタリをつけてニアピンだったペヨーテはサボテンの一種(ロフォフォラ)、メスカリンを含有してるとされてるけどとても幻覚作用を引き起こせるほど抽出できないので“日本では”栽培を規制されてない。
ってかオレ育ててるし…邪な目的は無いヨ。
草餅みたいなカワイイ植物です。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

キース・へリングやバスキアが生きた時代

2019.01.03記


原作未読


書店で平積みされてたり、学校で女子が話題に挙げてたような挙げてないような。20年以上前の記憶です。
タイトルだけは知っていて中身がどんなか知らないものの、吉田秋生先生でノイタミナでという話題性に食いついてみました。

全24話2クール作品です。
舞台はアメリカN.Y。若くしてストリートギャングのボスであるアッシュ・リンクス(♂)は容姿端麗・頭脳明晰・殺人スキルも無問題の完璧超人。イラクで消息を絶った兄が残した「BANANA FISH」という単語を追って動き始める。
同じ頃、カメラマン助手として日本からやって来た青年奥村英二がひょんなことからアッシュと出会い、BANANA FISHを巡るいざこざに巻き込まれながら友情を育んでいく物語です。
けっこうハードなクライム・サスペンスで、コルシカマフィア、華僑の闇勢力、ストリートギャング、はたまた国家機関も出張ってきての組んずほぐれつ。諸悪の根源はBANANA FISHということになるんでしょう。

設定が設定だけに人が死ぬのはしょうがないとして、これでもかこれでもかと不運がアッシュに降りかかるのが本作の特色でしょうか。
30年前なら『おしん』、20年前なら『家なき子』、最近だと『東京喰種』の金木研ばりに過酷な試練の連続です。どうしようもない沼に嵌りこんでいるアッシュをもうこれ以上いじめないでください、となります。
このアッシュに共感できるなら作品にすっと入れると思います。
対する英二は平和ボケの権化みたいな向こうの人から見た“Tipical Japanese”を地でいく青年です。私は苦手なタイプですが、なぜか完璧超人アッシュにとっては安らぎを得られる存在。
生い立ちから歩んできた人生からまるで違う二人がなぜ共鳴し合えるか?
この友情物語を紐解くカギとなります。


私はけっこうながら見でした。
英二がまぬけというか、いや普通そんなんやったら死ぬで!の局面でけっこう素っ頓狂な行動を取ったりでイライラが募り、ストーリーに没入するのを邪魔します。
アウトローが自分に無いものを求めて無垢な存在に惹かれるというモチーフはよくあるため、逆側の無垢な存在がどうアウトローにシンパシーを感じるかの部分で弱い気がしました。

『だから二人は惹かれ合うのね』

ここがもっと欲しかったかな。男同士、女同士、男女でもそれは変わらないと思います。
クライム・サスペンスと友情物語がリンクする作風の中で、前者がなかなか面白いのは事実なものの、後者がしっくりこないと早々に“腐”認定してとりわけ男性視聴者が離脱してもおかしくないでしょう。
逆に両者がかちっとはまるとめちゃくちゃ面白く感じそうです。私はその一歩手前でした。

とはいえ完走はできました。佳作の域にはあると思います。

※メモ//石塚運昇氏遺作



■余談 
地味に良かったのがN.Yの雰囲気。
1985~1994年連載の原作でベトナム戦争帰りの設定だったのがアニメではイラクだったり、スマホがあったりと現代に合わせた調整はしょうがないとしても、ベースとなったであろう1980年代前半の超凶悪な街N.Yの雰囲気がよく出てたのは良かったです。
今と違って観光客が地下鉄に乗るなんてご法度もいいところで、昼間でもサウスブロンクスを歩けるわけがなく、例えばタイムズスクエア近辺のホテルから地下鉄でヤンキースの試合を観戦しに行くことは「死にたいの?」という世界。・・・だったらしい。なにぶんこの時期ガキンチョだったので見聞きした話です。
一方でアートやファッションはとても魅力的だったり。キース・へリングやバスキア。元は落書きの“グラフィティ”は画集を買ったこともあるし、ヒップホップも発祥はこの頃のN.Y。自分がはまったのはちょっと後の東と西でドンパチしてた頃ですが、私には興味惹かれる場所なり時代だったりします。

作中でも地下鉄でドンパチ普通にやるし、建設中ビルや廃墟などいたるところで銃声が響きます。このやさぐれ感はたまんなかったです。

リアルのN.Yで初の黒人市長が出て警官増員したのが1989年。ジュリアーニの登場が1994年。治安は急速に改善してきました。
私の初N.Yが2001年だったのでその頃はもう快適に過ごせましたね。

{netabare}超高層にもかかわらずガラス張りではなく屋外に出られるスポットがあるぜ、とN.Y出身知人のススメで訪れたのがワールドトレードセンター。訪問日は2001年8月11日午前。なんというかね。。。{/netabare}


やっぱり、あんな危ないエリアだったりストリートの悪がきがたむろするところを無警戒でほっつき回る英二って“なんだかなぁ”と思う私でした。


■余談2 ※最終回ネタバレ有
国民的愛唱歌『とんぼ』言わずと知れた長渕剛の名曲ですが、元は本人出演ドラマ「とんぼ」の主題歌です。
{netabare}最終回はヤクザ役の剛が腹を刺されて、倒れた剛をカメラが引きのカットでおさめて終了。図書館ではなくこちらは路上でしたが似たようなカット割りです。{/netabare}

{netabare}ヤクザ剛の役名は “英二” 

すまぬ。これ言いたかっただけです。{/netabare}


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2019.06.02追記
《配点を修正》

投稿 : 2025/02/01
♥ : 53

Jacks さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

二人が紡ぐ絆

街の中に紛れ込んだ男。その男の名は誰も知らない。彼は殺しと仲間の為に生き、そして自分の為に戦う。だが、それだけではない。
復讐、償い、親友。これらは彼にとって大きな鍵となっている。特に親友...もう一人の少年は彼を慕っている。二人は互いに強い絆で結ばれた間柄なのだ。
もしその少年と別れてしまったら、彼はどうなると思う?怒りと悲しみ。あらゆる感情に左右され、成すべき事を見失ってしまう。その可能性がある。
出逢いは難しそうで簡単にできるが、別れはすぐにやってくる。死が二人を分かつまで、彼は足掻く。たとえどのような目に遭っても。
彼がその親友と仲間達を大事にする引き金となったのは、彼自身のモットーだ。同時に彼を取り巻く多くの陰謀と黒幕が関与している。
果たして彼は突き付けられた現実を輝かしい未来へと変えることができるのか?それとも、このまま堕ちていくのか...

舞台はアメリカ。本作の主人公であるアッシュ・リンクスはギャングのボス。彼は自らの手を汚してまで今の地位にのし上がってきました。
裏社会という名の犯罪行為は頻繁に起こり、その中でアッシュは生きています。頼れるのは自分の力と仲間達との協同です。特にショーターはアッシュにとってかけがえのない存在。
そして訳あって日本から来た奥村英二(おくむらえいじ)もアッシュの仲間の一人。彼らは次第にお互いを大切に思いやるようになります。
アッシュの本心はこの闘争を一刻も早く終結させ、英二達と一緒に平和で幸せな日々を過ごす事でしょう。それがアッシュにとって非常に望ましいと僕は思っています。
しかし、それを邪魔するのはゴルティネを始めとした極悪非道な連中。アッシュは何度も苦渋を味わい、拷問に近い罰を受け、そして時には利用されることになります。
それでもアッシュは諦めません。何故なら、彼には確固とした信念があります。目の前の敵を躊躇なく殺す。それが強き者の使命であり、宿命です。

本作の魅力は何と言っても非常に作り込まれた登場人物と世界観。MAPPAの美麗で安定的な作画も相まって、鮮明に描かれています。
アッシュは基本的にクールで頭脳明晰。自分が認めた人間を受け入れる寛容さも兼ね備えています。とにかく渋いですね。
英二は世話焼きで心優しい少年。アッシュを友人としても仲間としても意識していて、そこに好感が持てます。
他にも李月龍(リー・ユエルン)という後々のエピソードに登場するキャラもいますが、彼もまた魅力的です。
個人的にシン・スウ・リンも好きですね。声と容姿が僕のタイプだからでしょうか。良い意味で威勢のある好青年です。

僕は原作を読んでいませんが、吉田秋生(よしだあきみ)さんの類まれなエッセンスとストーリーテリングが本作を絶妙に味付けしています。
利口で筋の通った会話の数々、予想の斜め上を行く流れ、スリル満載の怒涛の展開。これでもかというぐらいバラエティに富んでいて、視聴者を飽きさせません。
少女漫画らしからぬハードボイルドな作風が本作の特徴ですが、随所に挟まれる意味深なシーンや柔らかな絵柄が実に優秀です。そこに少女漫画らしさを感じます。
台詞回しも海外ドラマのようなカッコよさですね。現代版ゴッドファーザーと言うべきでしょうか。マフィアものが好きな方はハマること間違いなしです。
比率としては男性キャラが圧倒的に多く、女性キャラは申し訳程度でしか出演しません。そこに好みは分かれるでしょうが、僕は気に入っています。

OPとEDは素晴らしいの一言です。1クール目のOPはこれから壮大な物語が始まる予感を匂わせ、EDはアッシュの葛藤が精巧に描かれています。2クール目も同様です。
Survive Said The Prophetの記念すべき初テレビアニメのタイアップでもあります。歌詞とメロディが本作に合いすぎです。そしてカッコよすぎる。
僕は本作がきっかけで、このバンドのファンになりました。僕の好きな音楽はロックとメタルなので、相性はバッチリですね。
King Gnuも本作のおかげで僕は彼らのファンになりました。ミクスチャーとは思えないほど本作に合った曲調に天晴れです。
声優陣の演技も完璧で、キャラにピッタリです。特にアッシュ!彼の魅力が更に増したのは言うまでもないでしょう。

生々しくて胸が痛くなるようなシーンが多い。これは話の展開上仕方がないかもしれませんが、確実に人を選びます。

人間は窮地に陥っても必ず救いはあります。それを改めて実感させられたアニメがBANANA FISHです。
本作は決して万人向けではありません。遥か彼方の程遠い位置です。それぐらいリアリティがあります。
ですが、僕はこの作品を多くの人々に推したい。理由は単に面白いだけでなく、身近にいる大切な人達のありがたみを再び知ってほしいからです。
僕はアッシュと英二が羨ましいです。二人の関係性は僕と実兄に似ています。それだけ本作に感情移入しています。
原作と同様に後世に語り継がれてほしい名作です。僕は明らかに過小評価だと思っています。もっと観られてもらいたいです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1
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