2023年度の友情おすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2023年度の友情成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月20日の時点で一番の2023年度の友情おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

63.6 1 2023年度の友情アニメランキング1位
ドッグシグナル(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (22)
62人が棚に入れました
元カノから押し付けられた愛犬の世話に手を焼いていた主人公・佐村未祐(さむら・みゆ)。 そんなある日、犬の散歩中に腕利きドッグトレーナー・丹羽眞一郎(にわ・しんいちろう)と出会ったことで、優柔不断な未祐の人生が大きく動き出す! 眞一郎の幼なじみであるトリマーの泉律佳(いずみ・りつか)や獣医の久宝鈴之助(くぼう・すずのすけ)といった仲間たちとの出会い、そして個性豊かな犬や飼い主とのふれあいのなかで、学び、悩み、成長していく若者の姿を描きます。

大重 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

まあ犬の飼い方になるほどとは思いましたが… 主人公がアホなのが

なんだかよく分からなくて見てみましたが、犬の飼い方あれこれ、という内容でした。
へー、とは思いましたね。

…しかしまあ、主人公は『言われなくてもそれくらいわからないか?』 というレベルのいけないことをやっているので、ちょっとストレスでした。
でも現実にそういうことをしている駄目な飼い主は居るのでしょうから、注意を促すためにもわかりやすく描写するしか無いのでしょうけれど…。

ただ、アホな主人公でもわかるように実際に首輪を付けさせて、思い知らせるのは、主人公にヘイトが溜まっていたのでちょっとスッキリしました。

しかし、出てくる登場人物が基本的にダメ人間揃い。
作画も微妙。
キャラはバカ過ぎてストレス、犬も不可抗力ですが生意気で可愛げが無い、など。
ペットの飼い方にへーとは思いましたが、多分調べたらすぐわかるレベルの内容でしかないでしょうし…
まあ試聴レベルでは無いですね。一話切りです。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 1

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

幸せなワンちゃんとのすごしかた

犬を飼うのが下手な主人公とプロのドッグトレーナーのやり取りを通して犬との接し方を勉強できるドッグトレーナーアニメ

キャラデザの癖が強く、なんか昔の少女漫画みたいなデザイン
原作の絵はめっちゃ時間かけてセットしたのかな?って感じの髪型だけど、アニメは作画があんまりよくないから鬱陶しい変な髪型になってしまっています
こういう髪型、描くの難しいですよね
でも犬の作画はとても力入っていて、表情やしぐさがまるで生きているかのようにコロコロ変わるのがとても良くて、癒される

犬の飼い方のダメな例をやるためになかなか成長しない主人公に失敗ばかりする飼い主達
丹羽さんは犬以外に興味なさすぎて、そのへんの不自然さはちょっと気になった

でも主人公やお客さんにあえてダメな接し方をさせることで、これダメ!がわかりやすくてとても参考になったし、話もちゃんと面白かった

いぬとにんげんの絆が感じられる、心温まる素敵なアニメでした

投稿 : 2025/02/15
♥ : 8

72.6 2 2023年度の友情アニメランキング2位
もういっぽん!(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (213)
530人が棚に入れました
『週刊少年チャンピオン』にて大人気連載中! かわいくアツい、柔道ガールズ・ダイアリーがTVアニメ化! 柔道はもう卒業(おしまい)! 高校では彼氏作って甘酸っぱい三年間を送るんだ。 日焼けすると道着が擦れて痛いし、寝技で髪の毛抜けまくるし、寒稽古つらいし、鼻血は出るし、骨折するし失神するし、たいして強くなれなかったから、もうやらないって決めたの。 だから……だから思い出させないでよぉ。 この”一本”の、気持ちよさ。

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

じわじわくる良作柔道アニメ

埼玉にある青葉西高校女子柔道部を中心に、柔道を頑張る子たちを描いたお話。原作未読です。

初見ではスポーツものにしては日常多いな、ちょっとテンポ悪い?とか思いながら見てたんですが、中盤あたりから面白く感じてきて、終盤はすごく楽しみな作品のひとつになってました♪

スポーツアニメでよくあるのが主人公か同じチームにすごい人がいて、対戦相手もどんどん強くなっていくみたいな展開が多いイメージがあるんだけど、「もういっぽん!」はちょっと違う感じ。

氷浦という強い子はいるんだけど、それは要素のひとつでこの作品の面白さはそれだけじゃなくて。

勝ち負けもだけど、対戦相手も含めた彼女たちの柔道や試合に対してのそれぞれの想いのぶつかりあいが丁寧に描かれてるところがとても好きでした。負けても清々しいところとかも。

試合に勝てたときの最高に嬉しい気持ち。
負けたときのとても残念で悔しい気持ち。
みんなで励ましあって応援して頑張ったあの雰囲気、あの気持ち・・
部活の合宿は大変だったけど同時にとても楽しかったこととか・・
この作品を見てたらそんなことも思い出したり。

それから、主人公たちの青葉西高校だけじゃなくて、他の高校の選手たちも丁寧に描かれていて、同じように一生懸命頑張って、嬉しくて喜んだり、悔しくて泣いたりして、でも試合後は知り合いになって仲良くなったり・・そんなところもすごく好きでした♡

あと柔道の試合の動きなど、作画もよく動いてたと思うし臨場感あったところも良かったです。

最終話見てから、もう一度ちゃんと見たくて2周目鑑賞してみたんだけど、2周目のほうがこの作品の良さがすごく伝わってくる感じがしました。ほんと、じわじわきますねー。
2周目見ててあらためて感じたのが、この物語って氷浦が実質主人公だなぁって。
おどおどしてた氷浦が柔道と仲間たちと出会って少しずつ変わっていってチームのみんなと心をひとつにして試合を頑張る姿にちょっとうるっときちゃいました。。

もちろん、底抜けに明るいムードメーカーのおかげで彼女に引き寄せられるように柔道部メンバーが揃っていったりと、園田もいいキャラでしたね。

ちょっと残念だったのは1クールで終わったことかな。
すごく面白くなったきたところで終わっちゃって、南雲が試合するところも見たいし、原作も22巻までとストックも十分みたいなので、ぜひぜひ続きやってほしいですね!!

投稿 : 2025/02/15
♥ : 33
ネタバレ

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

柔らか戦者

●冬アニメトータルバランス№1作品に確定

「覇権アニメ」という言葉にはなんとも言えない歪な響きや妙な思い込みめいたものを
感じ、この言葉に以前よりある種の違和感を覚える人も少なくなかったように思います。

あまりに露骨な点数操作の出現により「あにこれ」における「覇権アニメ」というものには
全く以て意味がなくなったような状況になりました。

単に点数が高い低いだけでは中身が伴っているという証明にはならず、むしろ
点数操作により自己満足なランキングは幾らでも捏造できるというわけであります。

そういう状況を踏まえて改めて言えることは、本文付きレビューにおいて
作品の中身についてどのように評価されているかということになるかと思います。

本作は今期アニメの中でも物語性において優れた素養を持ち合わせており
特に主人公と部活メンバーとの人間関係における心理描写という面では
非常に繊細で、ハートフルな各キャラの思いが巧い事表現されており
よって見事なまでに視聴者を感化するように至らしめるわけであります。

単にキャラデザが可愛いとかではなく、キャラの内面性における心情の表現が饒舌
でありまして、それによってキャラの持ち味が引き出されているという特質から、
ただの萌えアニメとは一線を画すべき存在であり、情緒感溢れる優れた表現力ありきの作品
だからこそ今期の首位に君臨するのでございます。

このような本作に対抗できる作品があるとしたら、今期では「ブルーロック」と
「ヴィンランド・サガ」位であり、この3作品が他を圧倒してると言うべき状況であります。

「ブルーロック」は本作よりもエンタメ性に優れており、スポ根お約束の熱い展開も
ありつつ、見やすい作風でありますからより万人ウケがいいのはこちらと言えますが、
エンタメ性が高いとそれに反比例するようにして心理描写がさっぱりしがちになるため
共感性という点ではやや劣勢と言うことになります。

「ヴィンランド・サガ」は本作に負けず劣らずの高い表現力を持ち合わせていますが、
ダークファンタジー並みに重くて陰鬱な描写が多く、ある種のクセが強いので
幾ら作品の完成度が高いといえども、万人ウケする可能性は低く、あまり人にお奨めできる
ような作品とは言えない類のものになるでしょう。

と言うことでトータルバランスの良さで考えると本作こそが
今期№1作品に確定するわけでございます。


●「物語」絶対主義宣言

作品の好みは当然の如く人それぞれでありますが、大雑把に分類すると
「作画中心主義」と「物語中心主義」の2つ観点があるように思います。

{netabare} 物語中心主義者は作画クオリティの判別に疎く、一方で
作画中心主義者は複雑な設定や心理描写などを見落としがちになる。
そのような一般傾向がもしかしたら?あるのかもしれません。

作画クオリティーの判別にはとことん鈍い当方からしてみますと
作画中心主義の方々とは、まるで代々木の学院に通っているような?そんな偏見めいた印象を
抱いてしまうのは不徳極まりないことで自重せねばなりませんが、
ある種の職人気質があり、職人気質特有の技術論を持つ、専門家の観点から作品を評価している
そのような印象を抱いています。

物語中心主義者は恐らく作品に登場するキャラの中身=人間性を重視する傾向が強く
その関係上今まで生きてきた人生観に基づく尺度でキャラの人間性を測り
物語展開の良し悪し決めているのではないかとそのように推測するわけでありますが、
人間と言うのは長く生きれば生きるほど、例えば「理想の恋人観」なども
見た目よりも性格重視という風に変化する傾向があるような気がいたします。

ということで本作が年寄り向き作品だとは決して申しませんが、
登場キャラの人間性や作品内で描かれる人間関係を重視し
キャラの心情に対して共感性が強い傾向がある視聴層には
本作はかなり破壊力があると言えるように思うわけであります。

「鬼滅の刃」のブレイクによりアニメ視聴者層は厚くなったとも言えますが
「物語中心主義」の視聴層は相対的に希薄化されたような気もいたします。

もしも仮に本作の評価がこれ以上伸びないようなことがあるとしたら?
今のアニメ事情は以前とはまるで異なるものとなったというのが
{/netabare}その背景にあると言えるのかもしれません。


●駄作作品を悉くぶん投げろ!

作画だけしか取り柄が無い異世界似非グルメ作品だとか、百合だけしか取り柄が無い作品
だとかいう類のただのマニア向け路線は本作の敵に非ずであります!

現状性懲りもなく作画だけしか売り要素が無い変態性癖アニメの類がしぶとくランク上位に
しがみついているようでありますが、物語重視の評価で考えたらただのマニア向けアニメが
高評価で終わると言うには無理があり過ぎるように思います。

マニアにはマニアの趣味趣向の自由があるとしても、マニアの意見がすべてのファンの意見を
代弁するとかいう話には無理あり過ぎるため、最終的にすべてのアニメファンの意見を反映
した結果して選ばれるべきは本作でるべきであるとの確信が回を追うごとに強まって参りました。

作画いいとか言う評価は、実は物語の弱さを誤魔化す言い訳でしかないのではないかと
思われても仕方がないくらいに本作に比べて物語性が脆弱な気がするのは、
果たして気のせいでありましょうか?

兎に角マニアが騒いでるだけの駄作作品を悉くぶん投げるのが
本作に課せられた使命であると確信することろであります。


●名作候補筆頭格が動き出す!?

6話で大技炸裂、完全覚醒したかのようにも思えます。

個人的な今期の名作候補と言えば「ヴィンランドサガ」と「大雪海のカイナ」でありますが
前者は色々と重苦し過ぎたり、後者はややマニア向けだったりということで
完成度が高いとしても必ずしも人気が出るとは言い切れない部分があります。

それに比べると本作はキャラの持ち味が視聴者の心に刺さりやすく
感情移入しやすいため、不特定多数の層から支持される潜在能力を持っている
ように考えられるわけであります。

現状ではリアクション薄めでありますが、口コミで本作の評判が徐々に広がれば
上方修正の雨嵐も必然であると予想できるわけでございます。。


●一撃必中!
本作の最大のライバルは王者「ブルーロック」であると個人的に考えています。

単純に見ていて圧倒的に面白いのは「ブルーロック」でありますが
{netabare}その一方で本作にはボディブローの重みのような独特な打撃力を感じます。

随所随所で重みのある一撃を喰らい、蓄積されたダメージが終盤戦にはどのような
結果をもたらすのかは未知数であり、計り知れない結末をもたらすような
そんな漠然とした予感が頭をよぎるのでございます。

主人公が天然と言う意味では「転天」の主人公とキャラが被っている
とも考えられる故に敢えて比較してみますと
「転天」の方は「百合関係」を強調したような物語に対し本作の方は
まさに王道の友情物語を大展開するであろうと目されるわけであります。

ただの百合では済まされな濃厚な人間関係を描く物語がいよいよ動き出し
そしてここから、怒涛の猛追撃が開始されるのであります。{/netabare}

●ライバルをすべてぶん投げる実力は鉄板!?
物語とキャラ性による潜在的シナジー効果を推し量るのならば
本作がトップ3に入るのは造作もないことのように思われます。

1クールという短期ではその能力を十分発揮できない可能性も懸念されますが
相対的に見た限りでは「萌え」を売りにした他作品を物語性において圧倒している
ようでありますので、パフォーマンスに疑いはないように思われます。

とは言えスポ根柔道もの作品のため一般視聴者の食いつきはやや鈍いような印象でありますが
今後の怒涛の巻き返しに大いに期待したいところであります。






スポ根系と言いますと今の時代ではあまり注目されないような気がいたします。

同じジャンルの「ブルーロック」こちらには、少し変化球気味でエンタメ性が強いという
アドヴァンテージがあり、個人的にも「ブルーロック」の方が好みでありますが
本作は主人公が女子高生であることから、視聴者の好感度という点においては
本作の方に分があるように思えます。

天然さっぱり系の主人公の友情物語展開に対する需要は相応に高いものと見込まれる故に
場合によっては人気アニメとして高く評価されることも?
もしかしたらあり得るのかもしれません。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 12
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

自分史上最高で十二分に熱い柔道アニメ

蒸し風呂のような夏の暑さに耐え、氷のような畳の上の寒稽古にも耐え、
日焼けした肌が柔道着に擦れる痛みにも耐え、鼻血に骨折も乗り越え……。
稽古を重ねても大して強くなれなかった柔道は中学まででオシマイにして、
高校では彼氏を作って青春するんだ。

一度は競技引退を決意した主人公少女・未知らが、再び柔道に打ち込んでいく。
『少年チャンピオン』連載中の同名コミック(未読)のアニメ化作品。


【物語 4.5点】
世のスポ根物の激しい能力インフレを眺めていると、思考がバグって、
全国制覇、将来プロやオリンピック以外の部活は無価値なのでは?と錯覚してしまいがち。

ですが本作は、もう一度、柔道をやってみたい。
あの娘と一緒に、もういっぽん。
インフレばかりに頼らなくても、自分たちなりに青春すれば部活は十分に熱いことを証明する、
私のような凡俗にも共感性の高い内容。

例えば8話の博多南戦。{netabare} 古豪復活を願い力んで校名を連呼しプレッシャーをかけてくるOBの檄を、
温かい“なっちゃん”コールに変えた五郎丸 冴と未知の一戦。{/netabare}
名門校の伝統継承、規律を叩き込む人間教育以前に、
自己実現の一助となるのが部活動のあるべき姿という一理を感じました。


主人公・未知の柔道もやる、だからと言ってパフェも海も彼氏も諦めないという姿勢も、
この場合は散漫ではなく、青春への貪欲さとして評価できます。
未知の中学時代の先輩たちも彼氏持ちばかりとか、
最近のこの手の女子部活物には珍しい肉食ぶりも一周回って新鮮でした。


構成としては、{netabare} 金鷲旗大会{/netabare} にて、現状の自分史上最高を表現した所で一区切り。
作品の主旨は伝わったので、ここで終わっても良い気もしますが、
私としては{netabare} “大型新人”南雲の試合デビュー{/netabare} は見てみたい気持ちもあります。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・BAKKEN RECORD
タツノコプロが2019年に設立した新興レーベル。

“柔道をちゃんとやる”ことを第一に、試合シーンにソースを集約。
駆け引きの肝になる組手の迫力などの再現性。
回り込みなど多彩なアングルからの撮影による臨場感。
作画の注力が高熱量の柔道描写として結実。

一方で日常シーンはミニキャラの“生首”でしのぐなど、
オンオフの切り替えを統率し、1クールを無事完走。

ただ、率直な感想として、全体的にもう少し枚数があれば尚良かったという欲は残りました。
最後、念願の{netabare} 海水浴{/netabare} にしても止め絵中心で、全力出し切って倒れ込みました~って感じで清々しいような、無念なようなw
今後の戦力充実による底上げに期待したいスタジオです。


【キャラ 4.5点】
主人公の園田 未知。いっぽん“みち”
ワクワク柔道少女ぶりの熱が方々に伝播して、
廃部していた柔道部の復活、強敵(とも)との熱い青春が展開する、
典型的な競技の魅力布教型の部活ヒロイン。

未知と遭遇する仲間や強敵(とも)もまた、各々が柔の道に挑む個人的な事情や信念を抱えており、回想、モノローグでの解像度アップも良好。
その胸の内をキャラ間では、ひけらかさずに、秘めた感情の一端を試合でぶつけ合うのみ。
多くを語り合わぬまま、未知を中心に輪が広がっていく。
この適度な距離感が心地良かったです。

その観点から私は地味に2話の早苗がお気に入り。
{netabare} 未知とまた柔道やりたいと言い出しっぺの早苗が、実は両親と高校では勉学専念を約束。
早苗が悩みを未知に打ち明けぬまま、自力で両親を説得し、柔道部に入部する。
未知はそのいきさつを何も知らないし、詮索してこないけど、いつも通り笑い合って取っ組み合ってくれた。{/netabare}
この安心感、安定感。
私は柔道苦手だけど、このアニメなら行ける!と確信した回でした。

青葉西柔道部メンバーの中では“秘密兵器先輩”こと姫野紬も印象的。
顧問の夏目と二人三脚で培ってきた引き出しをフル活用して猛者に挑むシーンはグッと来ました。

中学時代のわだかまりを晴らすように、闘志をぶつけ合う氷浦永遠と天音恵梨佳。
未知を{netabare} 「パフェ泥棒」{/netabare} と目の敵にして絡んでくる妹尾。
など学校間のライバル関係も上々。

ただついに終盤、王道スポ根キャラが来たか!と思ったら、
{netabare} 強豪・立川学園顧問・犬威のスパルタ指導は外面で、
素は青西の顧問・夏目先輩を慕う乙女だったという、{/netabare}
まさかの百合事案?にはズッコケそうになりましたがw


【声優 4.0点】
技名連呼して指導を食らうw主人公・園田未知役の伊藤 彩沙さん。
身体能力が高い未知を事あるごとに剣道に引きずり込もうとする南雲安奈役の稗田 寧々さん。
ムードメーカーとなる明るいボイスも作品を彩りましたが、
“ちゃんと柔道をやる”意味で貢献したのが、体力勝負を印象付けた各キャストの荒々しい息遣い。

特に滝川早苗役の安齋 由香里さんのゼェゼェ言いながら、寝技で食い下がる演技は泥臭さがありました。


ライバル役には他作で主役級も務めてきた猛者も数多くキャスティング。
一人挙げたいのが錦山高・堂本恵役のファイルーズあいさん。
78キロ超級の重量級太めボイスもいける芸域の広さを再認識しました。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は成田 旬氏。
王道のピアノやギターなどで表現する青春のキラキラ感。
特にストリングスのフレーズが美しい「青春の記憶」は純度と高揚感を併せ持ったバランスの良さで重宝され作中多用。

OP主題歌はSubway Daydream「Stand By Me」
ゆるいボーカルで漸次前進していくバンドソングが作風にマッチ。
余談ですが本曲も収録されたアルバム「RIDE」を、マイペースで上げて行きたい時に流したりします。
「ケサランパサラン」とかゆ~るゆるで良い感じです。

ED主題歌は青西柔道部メンバーによる「いっぽんみち」
“みち”で韻を踏む前向き青春ソング。
OPよりは前傾姿勢ですが、やはりここも目標設定や進捗を過度に求めず慌てない感じ。



【1話感想】柔道の気持ち良さをアニメーションで伝えようとする意欲を買いたい

長いので折りたたみ。
{netabare}
主人公・園田 未知(みち)……中学では大した結果は出せなかったが、驚異の柔軟性を持ち、ときおり理解を越えた返し技を繰り出す。

氷浦 永遠(ひうら とわ)……未知の中学最後の対戦相手。組み付いたら引き剥がせない握力の強さなど柔道選手としての能力は十分だが、奥手でメンタルに課題がありそう。

滝川 早苗(さなえ)……おっとり三つ編み眼鏡っ娘。未知と中学時代に2人だけの柔道部をやっていた友人。

南雲 安奈……中高共に剣道部。未知の運動神経を見込んで執拗に剣道に誘い込もうとする。


何かキッカケ一つ、指導一つで開花しそうな才能も秘めたキャラ。
加えて廃部同然からの青春という滑り出しと、キャラも設定も変哲のない部活物との印象。

惹き付けられたのは柔道の描写。
組み手にしても、私はゴチャゴチャと袖を掴み合う地味な駆け引きとの印象でしたが、
選手視点で描き込まれた組み手は、ボクシングかよwと軽く恐怖心を覚えるくらいのスピードと迫力。

この緊張感の中で立ち技や寝技をかけたり、返したりする。
そりゃ、玉のような汗かいて、ゼェゼェと息も上がるわと納得。

未知の柔軟性にしても、永遠の怪力にしても、言葉だけでなく、
回り込んで臨場感を出すカメラワークも含めて、
アニメーションでしっかり魅せて伝えてくる姿勢が好感できます。

未知の、柔道の気持ち良さを思い出させないでよ~との実感が、
視聴者も映像体験で共有できるのは大きいです。


一方で、作画は常に高カロリーというわけではなく、止め絵で凌ぐシーンも。
日常会話パートで、ちびキャラ顔の掛け合いでつなぐ演出はチョット苦手です。

1話にしてこれだと、中盤辺りで作画の息が上がる場面もあるかもしれません。


けれど、動かして題材の魅力を伝えてこそのアニメーションと再認識できた上々の初回。
今期アニメの“もういっぽん”としてオススメしたい作品です。{/netabare}

投稿 : 2025/02/15
♥ : 35

64.1 3 2023年度の友情アニメランキング3位
ポケットモンスター(新シリーズ)(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (17)
80人が棚に入れました
ポケットモンスター最新作の Nintendo Switch 用ソフト『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』で登場したニャオハ、ホゲータ、クワッスの3匹をはじめとする、たくさんのポケモン達と共に、冒険を繰り広げます。さらには伝説のポケモン・色違いの「黒いレックウザ」の姿も...。続報は今後発表されていくので、ご注目ください。

大重 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ポケモンのアニメは基本見ていないので… でも良かったとは思います

普段は見ていないシリーズなのですが、1話は見てみました。
まあキッズ向けなので、やっぱり完全に好みとは言い難いですね。
ただヒロインの陰キャっぷりはちょっと共感できました。

もちろん質は決して低くないです。
子供達やファンには、納得のクオリティだったのでは無いでしょうか。

主人公交代というのは大変難しいものです。
妖怪ウォッチは大失敗でしたし、ドラえもんの声優変更は20年経った今でも文句を言ってる人が居ますし…。

でも、なんとなくサトシからの交代は、サトシの旅の終わり方が良かったせいか、受け入れられている感じがしますね。
この調子で人気が出るのか、横目に見させて頂きます。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 2

N さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

テラスタルデビュー編終了まで

主人公交代の失敗にありがちな前作の二番煎じでもなくポケモンらしさを残しつつ差別化していて主人公交代後の新シリーズの掴みとしては100点満点じゃないでしょうか。

私はポケモンのゲームが好きなのでリコとロイのデザインをゲームフリーク(ポケモンのゲームを作っている会社)の杉森さん(創設メンバーのデザイナーさん)がやってる時点で惹かれるものがありました。

・歳を重ね丁寧に成長していく主人公
・御三家ポケモンが対等で平等に扱われるようになる
・ポケモンバトルがゲームでの技や特性、タイプ相性を考慮しアニメならではの解釈をしている
・人とポケモンが共存する世界を掘り下げ生き生きと描いている
・謎と伝説ポケモンを巡る冒険という旧作が映画でやるような設定なので続きが気になる
・人間キャラのキャラクターデザインが魅力的
・丁寧な伏線回収
・ゲームキャラがキャラ崩壊しておらず理解度が高い

この手の1年以上継続して放送するホビー系アニメの中では最高峰の完成度に感じます。
特に秀でていると感じるのは計画性でアニメオリジナルのプロットを縦軸で進めながら、横軸でゲーム要素を拾い、キャラの「成長」をポケモンも含めて丁寧に描いています。

今現在70話放送していますが、個人的にハズレ回が無く毎週面白いんですよね…驚異的です。
それは1話1話前に進んでいると感じられる、意味の無い回が無いからです。

メインキャラの掘り下げや成長、本筋の進展、ゲームのキャラや新ポケモンの魅力を伝える。
このどれかは絶対毎週あるので全話見所があります。

子供を見守り助けてくれる大人がちゃんと居る上で子供達が学び冒険し成長していく。
これは学園が舞台のSVらしいテーマで、少女2人少年1人の3人組とポケモン達の成長と友情、そして「宝探し」という目的もSVに通ずる所もあるのでSVのストーリーが好きな人には特にオススメです。

難点を挙げるなら昨今の1クール、2クールアニメと比べると展開が遅く感じるかもしれません。
じわじわ面白くなっていくタイプのアニメかつ、ストーリー物なので序盤の方や飛ばし飛ばしだと面白さが伝わらないかもしれません。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 0

73.6 4 2023年度の友情アニメランキング4位
屋根裏のラジャー(アニメ映画)

2023年12月15日
★★★★☆ 4.0 (12)
40人が棚に入れました
『メアリと魔女の花』のスタジオポノックがイギリスの作家で詩人のA・F・ハロルドによる小説「ぼくが消えないうちに」を映画化した長編アニメーション。
少女アマンダ以外の人間には見えない“想像の友だち(イマジナリ)”である少年ラジャー。彼は屋根裏部屋でアマンダと一緒に想像の世界に飛び込み、喜びにあふれた毎日を送っていたが、イマジナリには人間に忘れられると消えていくという避けられない運命があった。その運命に戸惑いながら、一縷の望みを抱いて歩み始めたラジャーは、人間に忘れ去られた想像たちが身を寄せ合って暮らす“イマジナリの町”にたどり着く。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

【鑑賞失敗談】世界観やルールのリアリティに気を取られて折り合えず……

幼少期によく子供が空想するイマジナリーフレンドを主人公に据えた、現実とファンタジーが交錯する世界を舞台にした英国の児童文学『ぼくが消えないうちに』(英題『The Imaginary』、未読)の劇場アニメ化作品。

【物語 3.0点】
子供たちが想像上の産物であるイマジナリが、大人になって忘れ去られてからも、
実はリアル世界にて大切な役割を果たしていた。
そのことをちょっとだけ思い出してホロリと来たりする。

企画自体は素晴らしい作品。
が、映画脚本として現実感のあるストーリーに仕立てていく際のセンスが私とは合わなかったのか。
私にとっては終始折り合いに苦しんだ108分間でした。

特にイマジナリ世界の独自ルールを受け入れるのに戸惑って、シナリオへの集中力を欠いたのが私の敗因。
イマジナリは空想を卒業した大人たちなどには見えない。
イマジナリは現実世界の扉の開閉などの物理法則には干渉し得ない。
辺りまでなら想定の範囲内でしたが。
{netabare} 忘れられたイマジナリは図書館から出てから1日以内に戻らないと消滅する。
他の子供たちに1日限定で参加したイマジナリも想像主からフレンドと認められると再びイマジナリとして存続できる。
ラスボス役・ミスター・バンティングと黒髪少女のイマジナリは想像の力で超常現象を引き起こすが、その発動条件が曖昧。
指銃で狙撃するチートを見せたかと思えば、配下の黒髪少女がターゲットにしたイマジナリを捕らえる手口は意外と単純な肉弾格闘戦だったり。{/netabare}

どんどん納得し切れないルールが積み重なるのに対応している内に話が進んで、
あぁ、そういう仕組みで解決するのね。ルールよく知らんけどwと呆気に取られている内にラストを迎えた感じ。

スタジオポノック作品はリアリティ気にし過ぎるとダメなのは分かっていたのですが、
映像と音の臨場感に抗えず、考察しがちな深夜アニメ脳で見て失敗した感じ。


よってこれから挑む方は、リアリティより空想重視の児童文学脳や絵本脳で鑑賞する方が得策だと思います。
子供とイマジナリの空想ワールドで尺が費やされる際も、
伏線なさげな意味のないシーンだと苛立たずに一緒に無邪気に戯れる感覚で。

そうすれば中盤アマンダが主人公イマジナリ・ラジャーを想像したエピソード。
ラジャーとアマンダが誓った「消えないこと、守ること、せったいに泣かないこと」の由来。
といったシーンにも素直に心が揺さぶられ、本年屈指の感動まであると思います。

私も、もう一回観れば、マシになると思うのですが、
今回は申し訳ないですが基準点が精一杯です。


【作画 4.5点】
スタジオポノック6年ぶりの長編アニメ映画2作目。

レベルファイブの3DCGゲーム画面みたいな絵面で勘違いしそうになりますが、
本作は2D手描きメインのアニメーション作品。

立体的に見えるのは、フランスの制作会社の最新技術導入による物。
すなわち作画に陰影を与える処理を仕上げ・撮影の過程で行うことで、
作画の際に影やハイライトを入れる工数を削減し、
作画班はイマジナリ集団のワラワラ感や、
背景に作画を入れて、想像で世界が切り替わっていくダイナミックな映像表現に注力することが可能に。

またこの技術により2D手描き作画のキャラでも3DCGのような実在感を醸し出すことで、
イマジナリが確かに存在したという主張も補強。

ただこの実在感は諸刃。
イマジナリが見えてる人間同士の争いは、見えてない人間からすると、
見えない敵と戦うシュールな光景に見えるのですが、
リアルで立体的な映像がシュールさを一層際立たせてしまった感があり、
私がリアリティに引きずられる一因に。

何より手描きなのに手作り感が損なわれた印象を与えてしまっては、
同スタジオの長所をかき消しかねません。

作画自体はハイクオリティですが、
この制作手法のメリットとデメリットの整理、用法用量については課題山積だと感じました。


【キャラ 3.5点】
主人公のイマジナリ・ラジャーを生み出した少女・アマンダ。
映画化に辺り、母・リジーら家族とのエピソードも補強、掘り下げられシナリオの軸に。

一方でヒールとして物語を動かすミスター・バンティングについては謎を残したまま終わる。
{netabare} 大人でありながら“新鮮な”イマジナリを喰らい続けることで、想像する力を保持、増大し続け、現実と想像の世界で生き永らえる。
彼が従える亡霊の如き黒髪のイマジナリ少女は、バンティングの終わらない悪夢に終止符を打つことを願っていて?
などと考察を巡らせることは可能ですが……。
イマジナリを喰いそうで中々喰わない様が低性能なカービィって感じで生々しかったですw{/netabare}


あとは冷蔵庫は食材だけじゃない大切な何かを保存する偉大な存在だということです。


【声優 3.0点】
ナチュラルな演技重視の俳優・タレント中心の布陣。
主人公・ラジャー役に声優初挑戦で、声変わり寸前の子役・寺田 心さんを起用する辺り“天然物”へのこだわりが伺えます。
寺田さんの相手役・アマンダ役の女優・鈴木 梨央さんはアニメ主演歴もあり、掛け合いは比較的安定。

その他、母・リジー役の安藤 サクラさんにせよ、
バンティング役のイッセー尾形さんにせよ、素材の選択自体は良好。
ラジャーを図書館に誘う猫・ジンザン役の山田 孝之さんもジブリの猫出演歴もあって、良い渋みが出ていました。

が、この辺りの中堅、ベテランキャストの演技で特に、
今の、このアフレコでOK出して本当に良かったの?という場面が、しかも割りと重要なカットで多数あり、
折り合いを欠いていた私をさらにつんのめらせる要因に。

“天然物”の演技にこだわって俳優・タレント勢で固めるのは別に良いのですが、
それならせめて普段“加工品”の声が張れるアニメ声優の演技に慣れている層でも、
許容でき、素材の良さが分かるレベルになるまで、
名前に遠慮せずディレクションを詰めて頂きたいですね。
このキャスト陣なら、それができたと私は思いますし、やれている作品はやっています。

そんな中、ささくれた私の癒やしとなったのは、ピンクのカバのイマジナリ・小雪ちゃん役の声優・かぬか 光明さんの安定したおとぼけボイス。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は玉井 健二氏。
優しいピアノサウンドと雄大なオーケストラは特に空想世界で威力を発揮。
ロックなどもアレンジして子供たちの多彩な想像に対応。
ただ現実世界の場面でのオーケストラ起用などは大仰に感じることも。
これはBGM自体より、私と音響監督とのセンスの食い違いでしょうか。

ED主題歌にはグラミー賞デュオのア・グレイト・ビッグ・ワールドと、
エミー賞シンガーソングライターのレイチェル・プラッテンさんに
コラボソング「Nothig's Impossible」をオファーする大勝負。
壮大なバラードで本年でも上位に入る余韻の良さは得られる。


生活音などのSEにも臨場感があり音響は上々。
ですが再三述べている通り、今回の私には足を取られたリアリティの泥濘(ぬかるみ)を深める諸刃に。


【感想】
まとめ切れてないグダグダな鑑賞失敗談を書き連ねてしまいましたがw
今回、私が投稿を急いだのは、本作が歴史的な大コケ映画になりそうな気配だと言うこと。
350館超えの大規模公開だから当分興行するだろうと高をくくっていると、
年始にはほとんど上映終了で見逃すという惨事になりかねないので、
劇場鑑賞意志のある方は早めに足を運びましょう。

以上、公開初週にして早くも私含めて観客2人だった現場からお送り致しました。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 17

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

作画が良いのが良く無い

公開初日の大爆死の報を見て、いてもたってもいられず、新宿に足を運んできました。
公開週の土日にも関わらず80席ある座席は5割未満の埋まり具合で劇場内は非常に快適。
冒頭の超絶作画で、もしや普通に面白いのでは?と期待を得るものの、繰り返される当たり障りの無い説明によって心は虚無になり、集中力は早々に途切れ、最後まで復活する事はありませんでした。
終わった後の解放感は格別で、これほどの解放感を得たのは5、6年ぶりです。
評判通りの見事な迷作っぷり。
家で見ていたらきっと完走する事は出来なかったでしょう。
映画館で見れて良かった。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 4

トロール夢民 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

想像上の友達は物理的な制約を受ける

幼少期にだけ見える、想像上の友達と人との友情・冒険を描いた作品
大人になると失いがちな想像力と創造性といった主題を扱う
どうやら登場人物のデザインは、声を担当した実在の俳優をモデルにしているようだ
この映画では、現実の風景を想像の世界が塗り替えていくような、アニメーションが得意とする映像表現が楽しめる
しかし、2023年の末頃から急速に進化・普及し始めた生成AIが生み出す悪夢のような映像表現と比べると、本作の映像はインパクトの面でかなり大人しい印象を受けた
要するに「やべえ、すげえなこれ」といった、シンプルな驚きが得られなかった
その理由は明白で、私が既に本作よりも強烈なインパクトを放つ生成AI特有の狂った映像表現に見慣れてしまっているからだ
だからと言って、生成AIは脅威だとか運用次第では悪だとか、人から創造性を奪うとか想像力が失われるとか、否定的なことを述べるつもりは一切ない
むしろ、生成AIが生み出す驚異的な映像は、貪欲なクリエイターに新たな創造性をもたらすきっかけになるだろうと、本作を観てより生成AI技術への肯定的な認識を持つに至ったほどだ
時代は移ろうが、市場原理は変わらない
世に溢れかえるAIアートより、人が生み出すワンオフの方が市場価値が高くなるのは当然の帰着だ
私は元来、生成AI技術の向上については悲観に暮れる必要が無い問題だと考えている
極めてなにか生命に対する侮辱」を感じてしまうことから、生成AIが生み出す映像表現に、尋常ならざる抵抗感を覚える人も少なくないだろう
しかし、技術向上に伴い生じた現実をも創作の糧にしようとする、貪欲で好奇心旺盛なクリエイターがいる限り、アニメーションの映像表現には新たな想像力・創造力が増し加えられていくはずだ
人には好奇心があり、人は常に刺激を求めている
今後は生成AIを凌駕する驚きに満ちた映像表現が、人の手によって生み出されるようになるだろう
驚きがあるから面白いと感じ、面白いものが観たいから私は映像作品を観続けている
人の想像力を題材にしたアニメーション作品である本作は、私の中に在る根源的な欲求を思い出すきっかけを与えてくれた
本作を鑑賞中、ある場面では感動して涙が出た
他にも、登場人物同様に息苦しさや圧迫感を覚える場面があった
観る者の情緒に働きかけ身体的な感覚を喚起させる性能については、現時点では生成AIよりも人が描くアニメーションの方が格段に上回っていると実感できた
現時点での生成AIの映像は、不自然だからこそ驚きに満ちていると感じられる一方で、観ていて感動して泣くような経験は未だに無い
ここに、人がAIを活用して表現をアップデートしていく上でのヒントがあるように思う
なぜなら、最終的には理屈ではなく感覚に落とし込んで表現できるところに、人がAIに勝る最大の強みがあると考えているからだ
映像表現を一つとっても、めまぐるしい変化を身を以て体験できる時代に生きていることを嬉しく思う
そんな気分にさせられた作品だった

投稿 : 2025/02/15
♥ : 0
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