北海道で戦争なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの北海道で戦争な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年01月19日の時点で一番の北海道で戦争なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.8 1 北海道で戦争なアニメランキング1位
最終兵器彼女(TVアニメ動画)

2002年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (762)
4696人が棚に入れました
北海道の田舎町で暮らすシュウジとちせ。
ちせは以前から興味を持っていたシュウジに度胸試しとして告白、そのぎこちない交際は交換日記から始まった。
そんなある日、謎の敵に札幌市が空襲される。攻撃から逃げるシュウジが見た物、それは腕を巨大な武器に変え、背から鋼鉄の羽根を生やした兵器と化して敵と戦うちせの姿であった。
国籍不明の軍隊との戦争が激化していくにつれちせは兵器としての性能が向上していくが、故障をきっかけに肉体も精神も人間とは程遠いものとなってしまった。
二人のクラスメイトのアツシは、以前から想いを寄せていたアケミを守る為に自衛隊に入隊。戦場へ赴いていた。
TVアニメオリジナルエピソードで、ちせの親友四人組の一人のゆかりは自警団の白人兵狩りに参加。銃を持ってタケの仇を討つ為、山狩りへ向かう。
そんな中、アケミは大地震に巻き込まれて大怪我をし、シュウジの目の前で死んでしまう。歪んでいく日常。シュウジは再度姿を見せたちせを連れて町を出るが…。

声優・キャラクター
石母田史朗、折笠富美子、三木眞一郎、伊藤美紀

阿紫カービィ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

何もかもが曖昧でも 何もかも 正しい

鬱アニメとして
必ずあがるこの作品。


はるか前に、漫画で読んだのですが、

その頃の私は…心が爛れていたのでしょうか?(笑)
特に何も感じなかった…ので

ずっとスルーしてました。


縁あって視聴。

…びっくりしました。


ファンタジー(AI)、戦争、高校生の恋愛、生死観。


異なる要素が
巧く絡み合って、もうひとつの『現実』を見た気がします。

(某、東京大震災のアニメがありますが、この作品の方がよっぽどリアルだと感じました。)



どんどん兵器化していく、ちせちゃん。

その姿に
恐怖を感じてゆく、シュウジ。

その恐怖から逃れたいためか、他の女性に安息を求め、余計に罪悪を感じる、

誰にでもある、現実からの逃避、負の連鎖。



自分に
何ができるのか、何をしたら良いのか、解らず苦悩するシュウジ。


一方、親友のアツシは、『好きな人を護るため』軍に入ることを志願します。


その時
シュウジがアツシに言った言葉は、とても重く、心に残りました。

戦争は
死にに行くのではない、人を殺しにいく事だ…



恥ずかしながら私にはない考えだったので。



戦争で、震災で、最期をむかえる人達
無念を残して 涙を流しながら…



どうも、ひっかかったのは
ちせちゃんの親友の アケミの行動。

彼女はズルい と思う私は、間違ってるのかな?


私は
拗れた(?)女性の気持ちに鈍感なんですよ…



ラストに向かっての流れはとても好きでした。

最愛の人と
二人だけの生活。。憧れます。

ちせちゃんとシュウジの蜜月は
とても短く…切なくて切なくて。




観て本当に良かった。
一人でも多くの方に観て頂きたい作品です。

きっと何かを得られるはずです





観るきっかけをくれた、貴方に、感謝とお礼を。



ありがとう。



後日

原作読み直しました。
素晴らしい、の一言に尽きる!

ぜひ、原作も読んでください。

投稿 : 2025/01/18
♥ : 48
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

世界スケールの「主観体験」

原作既読。

バトル……ではなく、恋愛ものです。
世界観は地球規模と、とてつもなく大きいです。

それだけスケールの大きな話なのに、わかるのは、自分の恋人のことだけ。
それも断片的なものです。

何か大変なことが起こっているのはわかる。
いつの間にか、どこか遠く、見えないところで変わっていく恋人。
しかし主人公にできるのは、そんな彼女を見守り、声をかけ続けることだけ。

つまり、主人公が見えている世界≒視聴者が見えている世界、主人公ができること≒視聴者ができること、というわけです。

そういう「主観体験」ができるお話です。
そこが最終兵器彼女の最大の魅力だと思っています。


その魅力を引き出す替わりに捨てたのが、世界観の説明や事件の解決。
よく「セカイ系」とカテゴライズされますが、誰にもどうしようもない、ほとんど選択肢のない状況であるため、主人公や身の回りの人間の行動が世界の運命を左右する「セカイ系」とは少し違う気がします。

残された少ない時間の中で、少しずつはぐくんでいく、「純愛ストーリー」として捉えるのがいいのではないでしょうか。

したがって、大きくストーリーを追ったり謎を解明しようとするのではなく、シュウジ≒自分と、ヒロインちせ、サブキャラクターの感情変化に注目して視聴すると楽しめると思います。

正直、サブキャラクターも出さなくてよかった気がするんですが……そこは、視聴者の分身の一部だと考えましょう。

{netabare}
気になる結末。
最終的にどうなったのか、それは視聴者の想像におまかせといったところ……{netabare}と言いたいのですが、実は世界は滅びていないんです。
生き残った人々の話を描いた「スター★チャイルド」という読み切りの漫画が存在します。
「地球はもうだめ」と言い切ったちせは、最後の最後まで、「かわいいけど……ノロい」だったんですね。{/netabare}
{/netabare}

……あ、実写映画版は正直全然違う話なので、原作やアニメと切り離して考えてください。

趣旨をはき違えている気がします。

投稿 : 2025/01/18
♥ : 59

blackwolf さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

タイトルなし

作画に少々不満点がありましたが、
見ているうちに気にならなくなりました。
ストーリーは非常に現実離れしていて主題はいまいちよくわかりませんが、内容自体は非常に面白かったです。
特に作品後半、脇役が次から次へと死んでいく描写は非常に写実的で心に響きました。
また、全般的に涙を誘う部分が多くありましたが、そこまで感動した部分はありませんでした。

因みにこの作品は実写映画化されています。
しかし作品が作品なので明らかにアニメより描写力が落ちています。
また、かなり内容が変わってしまっていて最後の大切なクライマックスの部分が大きく変更されていました。
少し残念です。
実写版はおすすめできません。

人の心の温かさ戦争の残酷さと同時に映画にはないアニメの描写力に気付いた作品でした。

投稿 : 2025/01/18
♥ : 3

72.0 2 北海道で戦争なアニメランキング2位
雲のむこう、約束の場所(アニメ映画)

2004年11月20日
★★★★☆ 3.7 (852)
4710人が棚に入れました
日本が津軽海峡を挟んで南北に分割占領された、別の戦後の世界が舞台。
1996年、北海道は「ユニオン」に占領され、「蝦夷」(えぞ)と名前を変えていた。ユニオンは蝦夷に天高くそびえ立つ、謎の「ユニオンの塔」と呼ばれる塔を建設し、その存在はアメリカとユニオンの間に軍事的緊張をもたらしていた。
青森に住む中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は、津軽海峡の向こうにそびえ立つ塔にあこがれ、「ヴェラシーラ(白い翼の意)」と名づけた真っ白な飛行機を自力で組立て、いつかそれに乗って塔まで飛ぶことを夢見ていた。また2人は同級生の沢渡佐由理に恋心を抱いており、飛行機作りに興味を持った彼女にヴェラシーラを見せ、いつの日にか自分たちの作った飛行機で、佐由理を塔まで連れて行くことを約束する。
しかし、突然佐由理は何の連絡も無いまま2人の前から姿を消してしまう。

声優・キャラクター
吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香、石塚運昇、井上和彦、水野理紗

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

宇宙も夢を見るのだそうでございます。

本作品は語ります。宇宙も夢を見るのだそうでございます。宇宙の見る夢は様々な可能性を表した別世界。これを並行世界と呼ぶのだそうです。そしてその並行世界を人は無意識の内に夢等の形で見ているのかも知れないと・・・。とてもロマンチックなお話でございますね。


本作品は”新海誠”様の3作目の監督作品でございます。4作目が「秒速5センチメートル」になりますので、1作品前と言う事になります。「秒速5センチメートル」がどなたにでもお勧め出来る作品なのに対し、本作品は残念ながら少々人を選ぶ作品かと思われます。それ故、冒頭にて少しだけお断りをさせていただきたいと存じます。

先ずパッケージ絵の印象に反し、舞台はリアルな現代では無く、仮想世界の物語となっております。但し荒唐無稽なSF世界と言う事ではなく、日本を舞台とした別の世界と言う設定でございます。
ワタクシの物語に対する評価は☆3.5。少々厳しめでございます。これは壮大なストーリーで有るが故に、世界設定に対する説明、登場人物の感情の変化、心情の描写が少々足りていないと感じたからでございます。また全体時間も長すぎました。良い作品ではございますが、中だるみ感を感じてしまった点が大変残念でございます。これら残念な点を見事に克服し、そして”新海誠”様の本当に描きたかった主題を描いた作品が「秒速5センチメートル」では無いかとワタクシは”勝手”に思っております。

ワタクシ個人の意見で大変恐縮ではございますが、この作品における最大の問題点はOPでの回想描写かと思われます。小説に忠実であるが故の描写かと思われますが、正直この描写は小説を読んでいない方には混乱を招く要因でしかございません。よって、これが有る故にエンディングの解釈をあやふやにしてしまう可能性があると思われます。この点、本当に残念でございます。少々辛口な事を申し上げましたが、ワタクシはこの作品が大好きでございます。それ故にこの作品が酷評を受ける機会を少しでも少なくいたしたく、先にお断りをさせていただきました次第でございます。


それでは本題に参りましょう。
2004年の作品でございますが、今でも十分にトップレベルの作画クオリティーを持っております。さすがに次作品である「秒速5センチメートル」には一歩及びませんが、それでも息を呑むほどの突出した背景描写の美しさ。正に芸術の域では無いかと思うほどでございます。
「秒速5センチメートル」でも印象的でしたが、本作でも”駅の描写”、”電車の中の風景描写”、”草原と風の描写”等がとても印象深く、そして幻想的に描かれておりました。又、本作では飛行機が空を舞う描写が特に素敵でした。静寂な空間を滑るように飛ぶ浮遊感・・・。本当にお見事と言うしかございません。美しい風景描写の中で、3人の青年の追い求める夢と揺れ動く心情を背景に見事に重ね合わせ、とてもファンタジックな作品に仕上がっております。音楽も素敵でございますね。要所×2で掛かるBGMは大変作画にマッチしており、雰囲気を盛り上げてくれます。ED曲の『きみのこえ』も大変印象的な曲でございました。


冒頭で宇宙の夢についてお話させていただきましたが、本作では3人の青年達の叶えたい夢と、人が眠りの中で見る夢をかけている様でございます。
主人公の”藤沢 浩紀”様と”ヒロインの”沢渡 佐由理”はお互いが惹かれあい、そしてその思いはいつしか恋心へと変わっていきます。しかし無情にも2人は引き裂かれてしまう。”藤沢 浩紀”様が”沢渡 佐由理”様を思い、心を詰まらせていく描写。正に「秒速5センチメートル」の主人公を彷彿とさせます。

離ればなれになった2人はお互いを眠りの中で夢見続けます。現実世界では逢う事が叶わない2人。でもお互いが探し合い、激しく求め合うことでいつしか2人の夢はシンクロしていくのです・・・。
2人が交わしたあの日の約束。叶えることの出来なかった夢。
主人公は決意をします。一度は破れた夢だけど、一度は果たすことが出来なかった約束だけど。夢を現実にしようと。あの日の約束を叶えようと・・・。


「雲の向こうのあの場所にいこう。あの日交わした約束を果たしにいこう」 物語は大きく動き出します。
どうぞ2人の夢を、2人の恋を・・・応援してあげて下さい。

投稿 : 2025/01/18
♥ : 20

るすぃー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

THE セカイ系でエヴァンゲリオン症候群

●これから見る人へ
まず最初に、君の名は。から入った人は覚悟してくれ。
むしろ、覚悟がなければみなくていいぞ。

2004年という年代を考えると、当時の映像としては頭一つ抜けた美麗なグラフィックだったな!
しかし、2016年という今、さすがに古臭さが否めない。
そして何より残念な、エヴァンゲリオン症候群(エヴァっぽい作品)として完成してしまっている。
正直曲くらいしか、印象に残らない作品だ!
久々に見た私も、あーこれはつまんねーな!と20回ほど心の中で思ってしまったぜ!
ただ、新海誠が2004年にやりたかったこと、それがでている作品だとは思うぜ!
今はもう古臭いが、セカイ系を見たければ、これを見るのもいいかもな!
ただし、おすすめはしない!
おすすめはしないぞ!

投稿 : 2025/01/18
♥ : 1

しょうすけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

新海監督らしい名作系な作品かな(*´∇`*)

正直、序盤はチョット睡魔に襲われましたがw
ファンタジックな感じでとても良かったです^^
絵のコントラストやピント使いはいつも通り写実的というかとてもアニメって感じじゃない凝った芸術的作品ですね^^
キャラはまぁ何ですがw
EDやバイオリン演奏等音楽的には良かったです^^
物語上では1996年の出来事ですが戦後、日本が津軽海峡を挟んで南北に分割占領された、別のパラレルワールドでオーバーテクノロジーな舞台となってます。
チョット難解な点もありイマイチ印象に残らなそうな感はありますが作品的には良かったと思います^^

投稿 : 2025/01/18
♥ : 8

60.9 3 北海道で戦争なアニメランキング3位
最終兵器彼女 Another love song(OVA)

2005年8月5日
★★★★☆ 3.4 (126)
606人が棚に入れました
「最終兵器彼女」が待望のOVA化!TVシリーズでは描かれなかった、もう一つの真実が今明らかに…。
爆撃機による攻撃を受け、火の海と化した博多。
そこへ謎の物体が飛来し、爆撃機を次々と撃墜してゆく。その物体の正体は、ちせとは別の、もう一人の最終兵器・ミズキだった。兵器にされた自分に戸惑い、シュウの事を考えて苦しみながらも、過酷な戦闘を強いられるちせ。最終兵器のプロトタイプとして生み出されたミズキ。二人の最終兵器が織りなす、もう一つの真実とは…。

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

こちらも泣けました

この作品は本編の裏側に起きていたサイドストーリー。
30分×2話で構成されていて、本編を見た後の余韻が残っているうちにすぐ視聴する事をお勧めします。
私も本編の後にすぐ視聴し、恥ずかしながら7~8分あたりの場面で涙ぐんでしまいました。


この作品の主人公は、もう一人の最終兵器であるミズキ。
ミズキはちせの試作品兵器であります。
本編はシュウジからの一般人視点から話が進むのに対し、こちらの作品ではミズキからの軍視点で話が進みます。
シュウジから見れば軍の理不尽さが目につき、軍側から見ればちせの軍人気質の無さが快くない。
視点が変わる事により、本編との対比が実によく描かれていました。
とはいえ軍が悪いという訳ではない・・・しかたがなかった事・・・これがこの作品でよく使われる一言。


ミズキはちせと同じ兵器という事もあり、ちせの考えている事がミズキにダイレクトに伝わります。
この設定がこの作品のキーワードであり、本編のちせの心境が心痛いほどよくわかる事ができます。
ちせのシュウジへの想い、戦闘中のちせが何を考えていたのかなど・・・。
そしてそのちせの想いを感じたミズキがどうなっていくのか・・・・。
これらの話がとても切なく心打たれる内容で、非常に良い作品でした。


あとこのアニメはいろいろ謎があるけれど、ちせがなぜ最終兵器に選ばれたか?については簡単に描かれていましたね。

投稿 : 2025/01/18
♥ : 16

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

試作品と呼ばれたもうひとりの兵器

本編は、シュウジ視点で主に展開された物語だったが、
こちらのOVAでは軍側の人間であり、チセが最終兵器となる前の
試作品として兵器になった女性軍人ミヅキを中心に、
本編で明かされていなかった軍側の事情、
チセが最終兵器として選ばれた理由や、
兵器である彼女たちのメンテナンス風景が、
2話という短い中で描かれている。

観ていくと、あぁあのシーンで軍側はこんなことを言っていたのか、とか
あのシーン、あのセリフ、あの小道具の裏には、
こんなエピソードがあったのか、など、メリハリもあり、
パズルのピースが埋まるかのような展開に少しだけホッとできた。

それでも、2話という短さなので、どうしても説明不足な部分はあった。
で、やはりこちらでも、戦争は背景に過ぎず、
恋していく=生きていく、というスタンスは同じ。
そして、日本という国がなぜこんな最終兵器を作り出さなくてはならなかったか、
ということは詳しく描かれないので、
観る人によっては物足りなさを感じるかもしれない。

ただ、ミヅキの片想いのほうが、チセの恋よりは切なく、
軍によるミヅキの扱いと彼女の終わり方のほうが、
チセより哀しく、ミヅキの凛々しいキャラデザとは裏腹な
彼女の優しさのほうが個人的に好みだったので、
本編よりこちらのほうが、比較的感情移入しやすかった。

ちなみに、このOVAの中でも、
「仕方ない」という言葉が何度か使われている。
確かにそうなのかもしれないけれど、
現実的に考えると、「仕方ない」って一言にどれだけ重みがあって、
その言葉がどれだけ罪を生むか、複雑な気持ちになった。

ホント、やるせないよ・・・

それと。この作品はぜひ、本編を観てから間を置かずに
ご覧になることをおススメします。

投稿 : 2025/01/18
♥ : 21

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

作られるべきではなかった。アニメ考察問題を浮き彫りにします。

 作品を見たときに、不明なところ、不明瞭なところ、描かないところがあった方がいいのかどうか。自分の考えで想像をひろげたいか、解答を教えて欲しいか、と言い換えることができるかもしれません。
 それは、制作者の意図ともいえるし、視聴者にとってはエンタメとの向き合い方だし、教養の問題ともいえるかもしれません。

 もちろんアニメの性質はあるでしょう。完全に脳みそを停止させて「面白い」「可愛い」「カッコイイ」で見る流行作品にそんなことは望みません。ですが、本作本編は明らかに違います。

 いわゆる「アニメの考察」問題にこの作品は大きくかかわってくると思います。

 私の考えです。本編でのチセの出会いから別れ、滅びがもたらす愛の終わり=永遠の愛情の「切なさ」は「感じる」ものです。そして、本編で描かれない兵器になってゆく過程とその時チセが何を感じていたかは「想像」するものです。
 そして、それぞれの登場人物たちがなぜそうしたかに「共感」して「反論」して「意味」を考えるものです。

 その上で、その作品が作られた「理由」とか、そういう結末になったのか、なぜこの作品が人気・不人気になったのか、この作品が生まれた時代背景などを「考察」するというプロセスで私は作品を観賞します。

 あるいは視聴時のコンディションの違いを味わうために「心のざわつき」や「引っ掛かり」がある作品はつまらないと思っても見返したりします。

 考察というのは、その作品の行間にある制作者のメッセージを読み解くともいえるし、その作品に現れた時代背景や価値観の変化など制作者が意図していない部分を拾い出す場合もあります。
 この意図している、あるいは意図していない部分を拾いだすための武器が教養であり、過去の考察のストックになります。したがって、考察は自分をうつす鏡にもなります。
 もちろん懐が深い作品でないとそういうことはできません。なので「浅い」「深い」などの「奥行」で作品の出来を判断します。この「奥行」は制作者の思想、問題意識、経験、知識、教養、作品に対する向き合い方などに関わってくると思っています。

 アニメ研究自体が好きなので分析ありきで見ることもありますが、大抵面白く感じないし、考察も深くまで入り込めません。やっぱり作品の奥に入り込むという感情、感覚、思考など脳みその作業が必要です。

 決して、もったいぶって難解に作る作品が良いとも思わないし、シンプルでわかりやすい中に深い趣や意味を感じることはあります。
 しかし、あえて明示しない「含み」や「暗示」「伏線回収」「オープンエンディング」などをするかといえば、それが考察のきっかけを産み出すからです。

 で、この作品です。この作品で描かれていること、あるいは描かれない部分は、すべて原作でもアニメでも「深さ」として読者・視聴者に委ねた部分です。異性の気持ちがわからないという恋愛感情のデフォルメでもあります。
 チセの心が機械になっているプロセスは時々シュウの前に現れて壊れて行くことに、どうしていいかわからない不安と恐怖、対する愛情のジレンマが描かれていました。これは作品ですから非現実的ですけど、現実の男女のアナロジーになっています。なぜアナロジーを提示するかと言えばそれが「考えるきっかけ」にもなり、「感情が増幅される」からです。
 ここの裏側を見せたのはどうなんでしょうか?チセの「隠していた部分」が薄まった気がします。

 そして、軍部が裏で何を意図しているかわからないのが一つの大きなポイントだったと思います。なぜ滅びに進むのかがわからない=今の世界政治が皆方向性がわからず正しいと思っているうちに滅びてしまう、という「得体がしれない恐怖」を表していました。

 そこを解説するようなOVAは、解答を求めている人にとってはいいでしょう。でも、味わいたい人間からすると「余計なお世話」です。
 じゃあ、見なければいじゃない、というのは間違いです。好きな作品の解答があるなら見ざるを得ません。それがファン心理だし、それを含めての作品だと思います。

 チセの裏の姿を少し見られたという喜びも確かにあります。ただ、やっぱり描かれたことによる壮大さや、恐怖、心情のスケールダウンというか矮小化された感じは否めません。
 ですので、余計なことをしたという気持ちもあります。

 エンタメは考察しないで楽しむこともできます。でも映画でも小説でもマンガでもそうですけど、それは刺激のインフレを起こすだけで、やがて娯楽自体に飽きてすべてがつまらなくなってゆく気がします。
 あるいは「あー楽しかった」「泣けた」「戦闘シーンがすごかった」でその時だけ終わりで、時間を消費するだけの繰り返しになる気がします。そういう作品の全部悪いわけでは無いし、それを突き詰めるなら優れた作品にもなりえます。
 でも、わざわざ本作本編のレベルを落とすことはないでしょう。

 評価はしません。しませんが、やっぱり作るべきでは無かった作品だと思います。アナザーにするならチセは登場させなければいいのに…

投稿 : 2025/01/18
♥ : 12
ページの先頭へ