2019年度の優等生アニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の2019年度の優等生成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月30日の時点で一番の2019年度の優等生アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

69.1 1 2019年度の優等生アニメランキング1位
フラグタイム(アニメ映画)

2019年11月22日
★★★★☆ 3.6 (105)
384人が棚に入れました
誰とも関わりたくない、関われない。人付き合いが苦手な森谷美鈴は、3分間だけ時間を止められる高校生。ある日彼女は、時間が停止している間に、クラスいちの美少女・村上遥のスカートの中を覗いてみたが、なぜか村上には時間停止の力が効かず、秘密がバレてしまう。お詫びとして森谷は、村上の願いを何でも聞くと約束するが…

声優・キャラクター
伊藤美来、宮本侑芽、安済知佳、島袋美由利、拝師みほ、梅原裕一郎、田所あずさ、高橋未奈美、佐倉綾音
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

上辺だけの人間関係に疲れたあなたへ→ここに尊くて深イイ百合の沼がありますぞ♪

原作コミックは未読。


3分間だけ時間を止める能力を獲得してしまったJKが、
クラスいちの美少女のスカートの中を覗こうと企てるも、
彼女だけには時間停止が通じず、バレてしまい、
二人だけのヒミツの時間が始まって……。


などと言うトンデモない百合設定の外面に惑わされず、
是非、普遍的なテーマを扱った良作青春アニメとして観て欲しい!
と言う百合の沼に浸かった賢者たちの猛プッシュに気圧されて、
期間限定劇場鑑賞の沼に引きずり込まれた私。
因みに周り、見事に成人男性しかいなかったですw


上辺だけの人間関係に辟易している優等生少女の心の闇に、
他人とのコミュニケーションに立ち向かえない、はぐれ者の少女が踏み込んでいく……。
確かに、多くの人が抱える心の問題に切り込んでいくテーマは王道でした。

百合という事で微エロシーンもある本作。
勿論サービスシーンとしての性格も帯びるのでしょうが、
それ以上に人間関係とか青春の諸問題の鬱屈からの
解放感をより強く帯びている印象。

{netabare}作中、村上さんは時間停止を良いことに下着ストリップをかまして来ますが、
観ていてふと映画『台風クラブ』(1985 日)の中学生下着ダンスの解放感何かを思い出しました。
(一方でやはりムラムラもしましたがw){/netabare}

森谷さんの時間停止能力も人間関係からの逃避に由来する物と思われ、
村上さんとのヒミツの3分間にはスクールカーストの歪み故の病理が凝縮されていると感じます。


じゃあ別に百合アニメじゃなくても良いのか?
というと決してそんな感じでもなく、
学校での同性カップルという秘め事が醸す禁断ムードを上手く濫用することで、
並の物語じゃ取り払い切れない、上辺や互いの心の扉を剥ぎ取って、
心の深淵まで踏み込んで、人間関係の本質について語っていたと私は感じます。

だからこそ、何度も問われて来たテーマでも、掘り下げ深度が半端なかったですし、
鑑賞後は、俺も明日から、この映画を糧に人の輪を取り持つ苦行に立ち向かおう
と勇気を貰える程のパワーが宿ったのだと思います。

これが例えば男女間恋愛で、同性の親友止まりのプロットで、
果たして、本作のように、ここまで心を丸裸にして、
赤裸々に本音をぶちまけることができたのかな?
と考えると、百合が人間関係に迫ったことで打ち出されたムードに
捨て難い魅力を感じてしまいます。


よって、私は本作を堂々と百合アニメ映画の良作としてオススメしたいです。
勿論、鑑賞者がほぼ百合を愛好する男性のみで終わるのは本当に勿体ない作品だと思います。
ただ、百合映画鑑賞くらいの禁忌を犯す位じゃないと、
世間体やしがらみを気にせずに、心の奥底まで分け入って、
本当の自分を曝け出すことなどできやしないと天邪鬼な私は思うのですw


いずれにせよ、期間限定上映も間もなく終了すると思われる本作。
特に人間関係に悩む方には是非、設定への抵抗感等も乗り越えて
より大勢の方が勇気付けられて欲しいと願います。
人と関わって社会で病んでいる人はきっと、本作のヒロイン二人がEDでカバーした
ELTの「fragile」を聴いた人よりは、ずっと多いと思いますから……。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 23

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

この六花凄いよぉ!、流石は「シュタゲ」や「加瀬さん」の佐藤監督!。

り、六花や…。ビジュアルもCVもグリッドマンの六花。しかも、私の見たかった弱さもミステリアスさもある最高な六花や…。


「シュタゲ」で時間を、「加瀬さん」で百合を扱った佐藤監督が二つを合わせたような作品で更に先に逝ってしまわれた…。


影なし作画で彩られる百合の甘さ、ピュアさは「加瀬さん」由来。しかし、本作は甘いだけではない。


60分という短い時間を一つの問題に絞り純化することで、ブヨブヨとした無内容な大きい作品にない小気味良さを成功させている。


本作のテーマはシンプルで、現代すべての人に通じる問題、即ち人間関係における針ネズミのジレンマである。


傷つくのが嫌だから殻に籠る


でも、本当は誰かと繋がりたくて、自分を知って欲しくて傷つけない優しい「誰か」を待っている。


「誰か」からも愛されるように仮面を被ってみても、仮面を本気で愛する人も、切実に求めてくれる人もいない。


故に、本当は仮面ではなく、その下の自分の顔を愛して欲しい。しかし、仮面を被り過ぎた者には、もう自分の顔が見付けられず、そんな不可解な物を求めてくれる人が現れると信じられないのに待ち続ける…。


甘さと苦さが見事に調和し、ラストには救済の和音が響く。


もう待ち続けない!。


二人が痛みも弱さも共有できる関係、愛に辿り着いた時。


「わたし」と「あなた」の止まった時間ではなく、「わたしたち」の時間が動き出す。


単なる百合アニメを超えた傑作ここにあり。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 26

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

淡い百合映画を観に行ったつもりがガチの青春SF大作で我らアニヲタ同盟から絶賛の嵐です!!!

2013年から2014年にかけて秋田書店の女性向け漫画雑誌とWEB誌で連載された、さと先生の青春ガールズラブコミックを『あさがおと加瀬さん。』の佐藤卓哉監督率いるスタッフと元A-1Picturesから独立したティアスタジオが制作した59分の中篇映画


森谷美鈴はコミュニケーションが苦手な女学生
何故かは自分にも解らないが3分間だけ周囲の時間を止めて自由に動ける能力を有しており、バツの悪い事が起こるとすぐ時間を止めてしまう逃げ癖があった
ある日、時間を止めた世界でふとした気の迷いから優等生で人気者として有名な村上遙のスカートの中をこっそり覗いてしまう
しかし止まっているものだと思っていた村上は実は停止した時間の中でも動く事が出来た
森谷を「変態」とからかった村上は秘密を共有する仲となった森谷と彼女の時間停止能力に興味を示しだす…


『あさがお』のヒットで味を占めたぽにきゃんが同じ様に60分で出来る百合モノを模索していた中、何故か5年も前に完結したマイナーなマンガを原作に持ってきた
まず一番に驚いたのは何よりも原作者のさと先生本人でしょう
「何故?今アニメ化?」と
60分で纏めるにはちゃんとした起承転結のドラマが必要でしょうし、わざわざ劇場に足を運んで貰う為にもキャッチーな導入が欲しかったというのがプロデューサーの寺田さんの思惑
佐藤監督と『あさがお』スタッフで組む事が前提だったので、監督は初め難色を示しつつも、ご自身が得意とするSF路線でドラマチックに仕上げる方向で脚本をお書きになられ、それを勝手知ったる『あさがお』スタッフが丁寧に丹念に映像化したという印象です


今作には青春SFとしての主軸が存在します
具体的に申し上げますと“時間停止能力”と“停止時間の中で動ける能力 ”が彼女らに発現した理由が明白に描かれている事
そしてそれが思春期の少女特有の悩みや葛藤から発現に繋がるモノである事です
ここからは仮に停止時間を「フラグタイム」と呼称させて頂きますね


何が言いたいのかお判りいだだけますでしょうかw
つまりこの作品のフラグタイムって『青ブタ』の思春期症候群と同じと言って良いはずなんです


原作と同じニュアンスなのかは原作未読の為、よく分からないのですが、少なくともアニメではフラグタイムの中で動けるのが村上だけである理由と、物語後半で森谷のフラグタイム能力が薄れ消えゆく理由、がハッキリとしていますし、その原因が彼女達の内面にある事も描かれているのです


『あさがお』の様に百合を丁寧な【恋愛感情】として描いた作品もアリですが、今作は【思春期の少女達の繊細な感情と傷の舐め合い】を、百合というシチュエーションで描いているというワケです


だから『あさがお』の多幸感を求めて劇場に足を運んだ方は後半の鬱屈とした展開に期待を裏切られる事でしょう
逆に僕の周りのSFファンからは大絶賛されております


特に『あさがお』と同じレベルの映像美やrionosのしっとりとした劇伴に加え、森谷を演じた伊藤美来と、村上を演じた宮本侑芽の耳触りが良くて等身大の少女を感じる芝居が載った状態は素晴らしい


今作のシナリオ、別に百合じゃなくて普通に男女カップルやBLでも成立しますし、なんなら『初恋ロスタイム』ともシナリオが似ているので実写でやってのける事も普通に可能で、特に偏って描かれてはいない普遍的なテーマ性を感じます
ですが【あえてソレをアニメで百合にした】という所に美しさを感じます
そういった意味で『あさがお』と同等かソレ以上に上品な作品であると評したいと思います


佐藤監督とぽにきゃんは来年初夏には遂に志村貴子作品の劇場アニメ化に着手した様で、こちらにも俄然期待が湧きますね

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7

88.8 2 2019年度の優等生アニメランキング2位
冴えない彼女の育てかた Fine(アニメ映画)

2019年10月26日
★★★★★ 4.3 (494)
2490人が棚に入れました
ある春の日、安芸倫也は桜舞う坂道で運命的に出会った少女・加藤恵をメインヒロインにした同人ゲームを制作することを思いつく。美術部に所属していながら、同人イラストレーターとして活動する澤村・スペンサー・英梨々と、学年一位の優等生でありながら、ライトノベル作家として活躍している霞ヶ丘詩羽を誘い、blessing software を結成。やっとのことで一作目を発表した――。英梨々と詩羽は大作ゲーム『フィールズ・クロニクル』を開発するために、人気クリエイターの紅坂朱音のもとへ。blessing software 代表の倫也はサークル活動を継続し、副代表の恵とともに新作の開発を開始した。イラストレーターに後輩・波島出海を起用、プロデューサーを出海の兄・伊織へ依頼し、氷堂美智留と彼女のバンド icy tail とともに新作の開発を進めるが……。英梨々と詩羽の大作はどうなるのか? 倫也と恵の関係に異変が? はたして blessing software の新作の行方は?

声優・キャラクター
松岡禎丞、安野希世乃、大西沙織、茅野愛衣、矢作紗友里、赤﨑千夏、柿原徹也
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

これが本当のメインヒロイン

原作未読

いやぁー面白かったw

お話のざっくり概要
サークルで冬コミに向けてギャルゲー制作お話
1期2期で陰に潜んでた加藤恵が
その真の最終形態へ変貌!つ…強すぎるヒロイン力
あ~胸がキュンキュンするんじゃ~
だいたいそんな感じ

集大成となっているので1期2期を楽しめた方は
絶対に楽しめる内容になっていると思います。

見せ場の作画も凄い気合が入ってて綺麗だった
松岡さんの演技は相変わらずキモいけどw
なんていうかその分、シリアスな所が際立って
恵の可愛さを引き立てたように思います。

感想
{netabare}
まさかの冒頭からの飯テロ…
そして浮気をバラされるというテロwww
なんてか恵の満面の笑顔は少し怖いよね(苦笑)
うん。
お二人のスタッフロールは大分下になってたww

合鍵…朝食…
つーか、もう既に嫁だよね?

フィーネみてて思ったのは
1期2期と違い恵の表情バリエーションの多さ
それだけ感情を表に出すようになったって事かな
ハッキリ言わないめんどくささがリアリティあって
更に恵を愛おしい存在に押し上げてますね~

しかし、あの高坂茜というおばさん、劇場で
オ〇ニー、オ〇ニー連呼しすぎじゃないですかねw
隣に座ってた女性の方の反応が気になって
妙にソワソワしちゃうでしょw

涙の作画はどれも渾身の出来ですね。
恵のセリフで特に印象的だったのは
「特別じゃないから、いいと思った」
ってのです。めちゃくちゃ恵らしいと思った。

特別じゃないから自然に好きになって
好きになったから倫也に自分の他に特別があるのを
大切にしてあげたい気持ちと
自分を特別に思って欲しいという
両方の感情で揺れてます。切なくて愛おしくて
本当に本当のメインヒロインでした!

しかしスタッフロール後のドッキリには見事に
引っかかりましたw

え!?別れちゃうの??って困惑しました…
…ラブストーリーは突然にが流れるまではw
さらっと自分をメインヒロインに据えようとするw
その後の10秒ぐらいの下りとか
ウタハさん最後まで冴えカノらしさを貫きましたね

最後は笑顔で終われる良い構成でした~
{/netabare}

えーと、もともと恵は凄い可愛いかったですけど
ほんとにフィーネでは完全ヒロインですw
是非、劇場でキュンキュンして下さい♪

投稿 : 2024/12/28
♥ : 43

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ラブコメ

<2019/11/4 追記>
映画館で配布された小冊子(原作者による超短編 第2話)読んで評点引き上げました。
↓の方で「物語はご都合主義でイマイチ」とか書いちゃいましたけど、原作の方はそこら辺もっと掘り下げてるのかも、と思えて。
原作読んでみようかな。

<2019/11/4 初投稿>
あにこれで軒並み高評価なので重い腰あげて観てきました。
映画館で映画見るのはいつ以来だろう?

テレビ版は二期まで視聴済み。
といっても本放送で観ただけなのでかなり忘れており。

始まってすぐ
「あれ?どういう状況なんだっけ?」
「このパワハラ姉さんはどういう人だっけ?」
「あれ?下の名前で呼び合ってるけどそんな関係だっけ?」
とクエスチョンマークだらけに。

それでもなんとか思い出して楽しんできました。

一期のレビューでも書きましたが
「冴えない彼女」という新しいヒロイン像が秀逸ですね。
気がついたら人ん家に居つく「ぬらりひょん」ヒロイン。
その魅力は余すところなく発揮されてたのではないでしょうか。

ところで映画館の帰りのエレベーターで
「加藤って面倒だよね。だから推しにできない」
とか盛り上がってる高校生ぐらいの男の子たちがいました。
彼らを横目に
「ラブコメではその面倒くささが美味しいのにわかってないなー」
と秋刀魚のハラワタの旨みのようなこと思ったり。
そう思ってしまうぐらいラブコメとしては◎でした。

ゲーム制作の物語そのものははっきりご都合主義で今ひとつなんですが、まあ観て欲しいのはそこじゃないんだろうな。
(私がギャルゲとかコミケとかに無縁なせいかもしれませんが)

映像は相変わらず綺麗です。

最後のエンドロール。
使用楽曲に「ラブストーリーは突然に」が入っててあれ?
とか思ってたら・・・ちょっと笑かされました。
使い古されたバラエティのコントのよう 笑。

やはり映画館で映画観ると楽しいですね。
良い一日になりました。。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 37

KANO さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

素晴らしいの一言

先日初見でTVシリーズを観てからの鑑賞

内容は触れませんが、素晴らしいの形容詞だけで充分だと思います。
3人のヒロインキャラ、特に恵ですがそれぞれの良さ、可愛らしさがしっかり描かれており、視聴者のツボも細かい部分も含めて押さえられています。
2期の終わり方に少し物足りなさを感じたので私にとっては尚更良かったです。完結編のお手本だと思います。

TVシリーズの続きという位置付けでしょうが、理解しやすく言えば、劇場版の為のTVシリーズと言っても過言では無い仕上がりだと思います、これだけ満足の行く作品を作られた、制作スタッフの方々に感謝です(^^)

私にとっては今年一番ぐらいの満足感を味合わせて頂きました。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 21
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