事件で衝撃なアニメ映画ランキング 2

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月09日の時点で一番の事件で衝撃なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.0 1 事件で衝撃なアニメランキング1位
ルックバック(アニメ映画)

2024年6月28日
★★★★★ 4.2 (48)
239人が棚に入れました
漫画へのひたむきな思いによって出会った2人の少女の姿と運命を描いた、藤本タツキの同名読み切り漫画を劇場アニメ化。
小学4年生の藤野は、学年新聞で4コマ漫画を連載している。そんなある日、学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生、京本の4コマ漫画の画力の高さに衝撃を受ける。ひたすら漫画を描き続けるも、京本との画力差に打ちひしがれた藤野は漫画を描くことを諦めてしまう。しかし小学校卒業の日、京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで京本から「ずっとファンだった」と告げられる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

しっかりと狂っている鋭利な漫画創作物

多才で学級新聞の4コマ連載も器用にこなす小学4年生・藤野。
引きこもりでありながら背景画4コマで藤野を凌ぐ絵を出してくる京本。
少女2人の運命が交錯していく半生を描いた藤本 タツキ氏の同名読み切り長編コミック(未読)の劇場アニメ化作品(58分)

【物語 4.5点】
成果=才能✕投入時間

以前どこぞのビジネス系動画で耳に挟んだ公式が思い浮かんでずっと離れない。
余韻を引きずる創作青春物語でした。

舞台モデルとなったのは原作者出身地の秋田県にかほ市。
雪国の田舎町でクラスで1、2番くらい絵が上手かったくらいで、画家になれるわと褒められ舞い上がった少女が、
京本の圧倒的な才能に直面して狂わされる。

天才に追い付こうと藤野は青春全てを漫画に捧げようとする。
友人とお付き合いする時間、武芸に励む時間など、
社交性が高い陽キャ人間属性を全てかなぐり捨ててまで絵に没頭する。
が、引きこもりの京本は、それ以上の時間を投入して、さらに先を行ってしまう。
元々自分より画力がある人間が、学校に行くのをやめたというハンデを生かして、自分以上に絵を描く努力をするのだから当然だ。

漫画家を目指すのもまた、全うな人生のレールから外れる狂気。
持てる才能を、どれだけ人間やめて育めるかの勝負。

幼い頃は絵が上手いともてはやされるけど、成長して、やがて社会に出る現実が迫って来ると、
絵なんていい加減卒業しなきゃと白眼視される。
挙げ句、友人には「オタクだと思われてキモがられちゃうよ」と言われる藤野。
因みにこのセリフ、原作者が実際に言われた言葉とのことで。


こうした作家志望の狂った部分が序盤から容赦なく描かれている。
だから終盤、才能への嫉妬ゆえの(※核心的ネタバレ){netabare} 絵をパクられたと京アニ放火事件さながらに襲撃事件を起こす男の狂気も、{/netabare}
本作の文脈から、作家志望なら嫉妬の処理を一歩間違えばこうなるのかな?くらいには納得でき恐怖しました。

本年は、短尺ながら鑑賞消耗度が高いODS(非映画デジタルコンテンツ)のアニメ作品興行が多い印象ですが、
本作は、その中でも特に心を削って来る内容。

海外サイトではドラマだけではなく、ホラー、サイコスリラーにも分類されている『ルックバック』
これをG(全年齢対象)に区分した映倫。
やっぱり冒頭10分くらいしか審査してないのでは?という私の疑念がますます深まりますw


【作画 4.5点】
アニメーション制作・スタジオドリアン

絵描きたちへの賛歌を志向し、手描き感を残した映像を追求。
押山監督は脚本、キャラデザ、作画監督と兼務を重ね、
監督自身も最後の1週間に原画1000枚を量産するなど、
まぁまぁ人間やめてる少人数制作の狂気で応える。

原画のラフな線を動画に残すため“原動画”なるポジションも設定。
妙に生々しい本作のアニメーションの質感を支える。


創作シーンについても、普通は絵を紙に描き込んでいる様子などが思い浮かびますが、こうした描写は本作では割と少なめ。
むしろ、貧乏ゆすりする藤野の後ろ姿。
その後ろ姿のバックの四季が次々に切り替わる光景。
デッサン鍛錬で積み上がるスケッチブックの山。
など創作の狂気に囚われた人間が、膨大な時間を投入する有り様を強調する表現が際立ちます。

寝食も忘れて創作に没頭する人間って、やっぱりトイレで座ったまま寝ちゃうんだなw
何かにここまで人生を捧げた経験がない私には、
こうした創作アルアル?表現が興味深く、刺激的でした。


{netabare} 藤野が京本に自分の漫画を褒められて舞い上がるシーンの雨天。{/netabare}
{netabare} 中学時代、藤野と京本が応募漫画作品が初めて入選した雪深いコンビニの一夜。{/netabare}
漫画の道が開けていく場面の荒天。
ここも才能と努力で、陽の当たる“普通の”人生から外れていく方向性も想起させられ心に残りました。


【キャラ 4.0点】
主人公・藤野。
“みんな”にキモい、案外、絵が普通だったと手のひら返された自分の4コマ漫画を、
誰よりも、ちゃんと見てくれていた引きこもり超絶背景マンの京本。
{netabare} 自分よりも才能がある奴と思って嫉妬していた人間から自分を認められる。
こんな劇薬ぶっこまれたら、退路を絶って人間やめて漫画家の道を猛進するしかありません。{/netabare}

京本にとっても藤野は憧れの“先生”であり、外の世界の光をもたらしてくれる救世主。
ある種の共依存にも結ばれた名コンビ。
その関係性の変化も本作を痛切にしているスパイスです。


【声優 4.0点】
作画に手描きの生っぽさを求めるならば、演技にも記号化されない天然素材の生っぽさを求める。
こうした方針の元、キャスト陣には、
主演の藤野役に河合 優実さん、京本役に吉田 美月喜(みづき)さんと、
俳優陣をオーディション選出。
一方で記号化されたキャラ作りを求めたい作中4コマシーンには、
森川 智之さん、坂本 真綾さんと声優陣を起用。

筋は通っていますし、実際メインお二方の演技は上々でした。
あと、メインお二人は顔立ちも、どことなく藤野&京本に似ている気がしますしw

河合さんは接する人間によって仮面(ペルソナ)を起用に使い分ける、
藤野の社交性を好表現できていましたし。

吉田さんも引きこもり成分が天然配合された京本のボイスがハマっていました。

音響も良質な天然素材を確保したと慢心せず、
例えば京本の秋田弁訛(なま)りが、藤野に連れられ外の世界を知る内に徐々に訛りが取れて明るくなっていく。
その変遷を表現してもらうため“訛り変化一覧表”を用意するなど、
細部に渡るディレクションで素材を引き出す好采配。


が、昨今のアニメと実写の中間領域で求められがちな“ナチュラルな演技”とやらも、
今のアニメ声優ならば十分できると思っている私の強固な価値観を揺るがすまでは行かず。
ここもベターであってもベストではない。4.0点が上限ということで。


【音楽 4.5点】
劇伴担当は青森出身の音楽家・haruka nakamura氏。

雪国から、ギターの才能の自己実現を求めて上京したという同氏。
同氏のアーティストとしての原点は、秋田などがモデルの本作の世界観と親和性があります。
純度の高いピアノ、ストリングスに時に聖歌隊の歌声もアレンジした歪なくらい美しい楽曲群は、
ここも、さながら才能に殉じて人生を捧げる絵描きたちへの賛美歌の様相。

そして、こうした創作への“殉教精神”は同氏が作編曲したEDの女性ボーカルバラード「Light song」で極致に達します。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 12

既読です。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

今すぐ映画館で観て欲しい(改

50分で原作本付き1700円。

短編としては上出来で

結末は・・・


2024年11月8日アマプラ解禁!!

もう、「藤野先生!」で涙腺が・・・

裸足で挙動不審な京本
雨の中のあぜ道をはずむ藤野
何もかもが素晴らしい!!

山田礼司氏のヤンマガを時々観ています。
氏はアニメーターの情熱の発露を熱く語られ
聴いていてとても参考になるのですが
このアニメは、例の事件も含めて
アニメーター、クリエーターの情熱や
不条理に対する無念さが
それこそ内容だけでなく画力で表現されており
何をどう評価すればいいのかは置いといて
とても胸に刺さる映画です。

映画観てない方には是非観て欲しいアニメです!!

投稿 : 2024/11/09
♥ : 7
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

大切なひと

スタジオドリアン制作。

漫画へのひたむきな情熱が2人の少女を結んだ、
少女たちの活躍とその後の運命を描いた青春物語。

心に迫る素敵な短編だと思います。

四コマ漫画を描きクラスの人気ものであった、
小学生の少女藤野は、不登校の少女京本が描いた、
四コマ漫画の画力に驚愕する。
ひたむきに絵を描き始める藤野だったが、
京本との画力の差は一向に縮まらなかった。

{netabare}絵を描くことに気力を失った藤野であったが、
卒業式の日、京本と直接話したことが転機となり、
藤野はまた漫画と向き合うようになった。{/netabare}

2人の青春が漫画のような描線で描かれる。
きっとそれは平坦なものでもないでしょうが、
輝かしい青春であり、かけがえのないものだ。

夢中になり絵を描くことへの思いが伝わり、
彼女たちの青春に共感し感動もまた伝わる。

{netabare}やがて大きな悲劇が起こり、
藤野の自責の念が物語を分岐させる。
そうありえたかも知れない望ましい世界である。
大きすぎる痛みは決して完全には癒えないだろう。
ただそれでも前を向いて物語は終わる。{/netabare}

ここには必要な言葉と表現しかない。
それが心の深い部分に響いてくる。

大きく深呼吸をして、また前に歩もうと思う。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 6

62.5 2 事件で衝撃なアニメランキング2位
Garden of Remembrance(アニメ映画)

2024年8月30日
★★★★☆ 3.2 (12)
30人が棚に入れました
空のビール缶・ウィスキーグラスが床に置かれ、
部屋の端には画材やエレキギターが並ぶ、
少し散らかった「きみ」の部屋。
携帯のアラームが鳴って、
ぼんやりと起き上がり「きみ」1人の朝が始まる。
「ぼく」が好きだったアネモネの花、
それは「ぼく」との思い出を繋ぐ大切な花。
ある日部屋のクローゼットを開けると「ぼく」との思い出が「きみ」を包み込んでいき・・・
これは「きみ」と「ぼく」、
そして「おさななじみ」との”さよなら”を描く物語──。

Beer cans and a whisky glass are placed in an open space on the floor. Though a bit disorganized, ”Your” room is filled with art supplies and an electric guitar lining the perimeter of the room.
The alarm on a phone goes off, and “You” leisurely wake up to start your day.
The anemone flower that “I” liked. A precious flower that holds memories which tie “You” and “I” together. After opening your bedroom closet one day, “You” become engrossed in your memories of "Me." A story that represents “Me,” “You,” our “Childhood Friend,” and our goodbyes.

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

想像力が試される。

18分間の短い無声アニメで白紙のままに各々が感じたことが大事なアニメなのでネタバレはしません。

一見は、キャラ原案が水沢悦子(うさくん)で歌がラブリーサマーちゃんで、
アパートで一人暮らしのOLを主人公としたミュージックビデオ。

その実態はあの事件でかつての多くの仲間を失った山田尚子さんの心象風景を、
追悼の意味を込めてアニメのキャラを使って抽象的に表現したもの。

純粋に人を楽しませるアニメではなくて、アニメを通して自分を見てほしい作風。
これは近年の山田監督アニメに共通した特徴で、そこに浸って感情移入したひとたちが、
不特定多数の手を加えられて作られたアニメ云々よりも、
山田監督の人間性をアニメを通じて感じていたい集団として極まってしまったなと。
『山田監督はこんな事を考えてる、彼女の気持ちを考えろ。』と。

そこは、事件を意識させずにファンに楽しんでもらえるアニメづくりを、
一貫して心がけて作り続けている古巣である京都アニメーションとは対照的なような。

どちらが良いとは敢えて言いません。ですが、京都アニメーションで、
一番輝いてた頃の昔の山田尚子に戻れないのは自分は寂しいなと思いました。

敢えて一言言うならば、今の山田監督アニメにどっぷり浸かって感情移入したいかたには、
「平家物語」「きみの色」より先に観ることをおすすめします。

このアニメに何も感じられない人がもしいたら、自分の大切な人が亡くなってしまったら?
と想像すると少しは寄り添えることが可能かもしれませんね。


おわり。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13

御宅忍者 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

過去、未来、生活、他人を想ふ。

☺️✌️
ようやく来たな、山田尚子監督の新作。彼女の作品を初めて観たのは小学校4年生の時だったかな。あれも確かギターを担いだ女子高生が主人公をやっててさ、もう衝撃的だったよ。ディズニーChを付けたらギターを担いだ女子高生がふわふわ時間をしているんだもんな。キュートな一面はオフコースなんだけど、当時初めてアニメのキャラクターに惹かれてしまってな。夢中で観てたよ。ホーンテッドマンションと録画が被って観られなかった時は大泣きしたさ、傑作だろ?

さて、そろそろ本作の話をしようか。本当に山田監督は登場人物の生活や暮らし、感情の機微を描くのがうますぎるんだよな。マヂで。それをピンセットでちょーーー丁寧に摘んじゃってる感じがもうとんでもねぇっつーかさ、もうほんととんでもねぇ。今作も感情の物語っていうか、過去と未来の生活を通して人を想う気持ちを描いてるっていうか、そんな気がしたな。他人の生活や暮らしの瞬間が垣間見える時に、「あの人が好きだったなぁ」みたいなやつあんじゃん?わかんねぇけどよ、、それがこれからの自分にとって、かけがえのない瞬間になることとかあんジャン?なんかそんな感じよ。うまく説明できねぇ。

あとやっぱり音楽だよな。『リズと青い鳥』のHomecomingsや『平家物語』の羊文学でも感じたけど、今回のラブリーサマーちゃんも超最高なんだよ。山田監督の作品はアンダーグラウンドっつーか、オルタナティブロックっていうんかね、とにかく音楽の相性がピカイチだよな。登場人物の気持ちに寄り添う楽曲をどのアーティストさんも提供してくれるわけだ。

彼女の作品はオブジェクトもかなり大切にされてて、リズと青い鳥でも感じたけど、登場人物をいつも側で見守ってくれてる感じがするんだよな。それこそ今作の『花の記憶』っつーか。どんな形であれ、これまでの生活を反映してる"モノ"としての儚さっつーか、美しさっつーか、あったけぇ気持ちになっちまう。

出会いと別れ、日々の生活や暮らし、そして変化していく街、やっぱりこうゆうのが1番ドラマがあるっつーか、好きになっちまうんだよな。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 1
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