ロマンチックで高校生なおすすめアニメランキング 3

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月10日の時点で一番のロマンチックで高校生なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.2 1 ロマンチックで高校生なアニメランキング1位
君の名は。(アニメ映画)

2016年8月26日
★★★★★ 4.1 (2514)
11507人が棚に入れました
新海誠監督による長編アニメーション。

千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本。
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
小さく狭い街で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会へのあこがれを強くするばかり。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」

そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。
見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の町並み。
念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も奇妙な夢を見た。
言ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。

繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。
二人は気付く。

「私/俺たち、入れ替わってる!?」

いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。
残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。
しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。
入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。

「まだ会ったことのない君を、これから俺は探しに行く。」

辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた…。

出会うことのない二人の出逢い。
運命の歯車が、いま動き出す

声優・キャラクター
神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、悠木碧、島﨑信長、石川界人、成田凌、谷花音
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

世界はきっと美しい

新海誠監督作品。

希望が持てないとき、漠然と不安なとき、
繰り返し見たくなる前向きで素敵な物語だ。

売上や動員数ばかり話題になりますが、
映像クリエイターからすれば、
思春期というものは創作の大きな源泉です。
初々しくも華やかな青春を、
美麗な風景とともにまとめ上げた手腕は、
評価に値すると思います。
多くの大人達もどこか自分に合わせ、
追体験できたのが大きかったのでしょう。

少年少女は生きる上で、
きっと喜怒哀楽の純度が高い。
強く生きること深く愛すること。
その一瞬をフィルムに収める。
少女の全力疾走はいつだって感動しますね。

糸守町の歴史と組み紐の教え。
宮水神社に伝わる伝統儀礼と御神体。
{netabare}夢の中で入れ替わった2人は、
不思議な体験を通じ心の距離を近づける。{/netabare}
古来より継承されてきたものが引力となる。
素敵な出逢いが訪れますよう願おう。

留めておくのが難しい、
儚くて透明なその美しい一瞬を、
まだ美しいと感じれる自分がいて良かった。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 168
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

夢の儚さを越えて二人は繋がる。

見終わった後、私は夢から覚めて、まどろんだ時ようなな気持ちになりました。

あのシーンの背景が良かったとか、あそこのスピード感が最高だったとか。
でも、その記憶は、強く「覚えていよう」と思い、まるでこれは面白い夢から覚めた時と同じじゃないかと。

でも、人の記憶は曖昧で、全ての良いシーンを覚えておこうと思っても、次第にディテールが失われていきます。
やがて夢の記憶は、「面白い夢をみた」に代わり、そして夢をみた事をも忘れていく。

時間に対して夢の中の記憶はあまりにも儚い。

この作品はそんな弱い繋がりで繋がった瀧君と三葉の物語です。



感想
{netabare}

【演出】
二人の入れ替わり生活が始まるときに曲が入り場面の切り替わりのスピード感は新海監督らしい演出。

二人の入れ替わり生活とは別に強く印象に残っているのは
時間が100倍速になった感じで都会の光や信号が光を放つシーン。
これは時間の経過を示しているのでしょうが
その綺麗さが強烈に印象付けられました。

また、夢の中の出来事という作品の設定のように
幻想的な美しさが視聴者を夢と現実の境界線に引き込んでくれます。

三葉の人生が瀧に見えたときのシーンもグッと来ました。何でだろう?
人の生き死にに涙もろいのかな。
あのシーンは母親との直接的な繋がり(へその緒)や親との別れ、家族の濃い「人と人の繋がり」を感じてしまったからでしょうかね。

【展開】
「瀧君、覚えてない…?」という三葉のシーンは本当に胸が痛くなりました。
3年後の瀧君にとってはずっと前から繋がっていた。三葉にとってはようやく繋がった。
だけど瀧君はこのときはまだ知らない、三葉は不審そうにこちらを警戒する瀧君に思いを伝えられない。
「二人が会えた」「繋がった」という嬉しさと同時に
勇気がでずに思いを伝えられない三葉の姿に自分を重ねてしまいました。



【キャラ考察】
瀧君がクレーターの上で君の名は!と涙ながらに叫んだ気持ちがわかってしまう。
大切な人に会いたいと、思いが募ると、苦しくて、吐き出したいなにかが心のなかにたまってきて、自然と涙が出てくるんですね。

三葉の境遇について
母親を幼い頃に亡くしていて、それをきっかけに父親が神職をやめて離ればなれとなっています。
離れて暮らしながらも、政治というなにかと目立つ仕事をしている父親のせいで
学校で本人の意思とは関係なく少し浮いてしまう三葉。
そんな狭い村社会に嫌気が差してどこかに逃げたい気持ちでいる時に起こる入れ替わり。
三葉にとって入れ替わりは逃避になり得た(まさに夢に逃げる)のですが
突然終わる入れ替わりは、夢の終わりであり、それは自分の逃げ場所がなくなったともいえます。
夢の続きが見たくて。そういう気持ち(逃避)、わかります。
東京にいるはずの瀧君に会いに行き、あの日々の続きがみたい。
でも、せっかく会いに行ったのに瀧君は三葉のことを知らなくて、繋がりの喪失を感じてしまった。
(ですか、ここで過去と未来を繋ぐ糸を渡したシーンの懸命さや、その糸が忘れかけた瀧君と三葉を繋げてくれた意味を持つアイテムであることの重要性が「繋がった!」と嬉しさを感じさせます)

その後の三葉の行為は、瀧君への思いをたちきりたくての髪を切る行為だったのでは。(切るということは思いや繋がりをたちきりたいための行為?)(夢の終わりが夏祭りの近くの日、つまり、一般的には夏の終わり近くです。夏の終わりの儚さと夢の終わりの儚さをかけているのではないでしょうか)

また、三葉が夏祭り前に暗い部屋で涙を流すシーンには、喪失感を感じ、失恋等のなにかを失う出来事を思わせました。


その後の彗星の衝突により、三葉は現実の問題と向き合い乗り越えることができました。
瀧君の残した「すきだ」が現実と向きあう最後の勇気をくれたのかもしれません。

そして、瀧くんにとっては、一生忘れられない体験であり
忘れられない繋がりだったのではないでしょうか。
それが記憶がなくなっても四年後も繋がりを求めていた理由かもしれません。
忘れたくないと思っても忘れてしまう、だけどどこかでおぼえているその繋がりのことを。
だから、これはなくなってほしくないという、繋がりの肯定なのではないかな。
【美術】
新海監督の作品は見たり見なかったりなのですが、背景の綺麗さは今作もすばらしかったです。
田舎のゆったりとした風景にはそこに溶け込めそうな気分にさせてくれました。まるで、その場所が自分の帰る場所のような。

都会の朝の風景はどこか孤独だけどエネルギーを感じます。
夕方の忙しそうな風景には少し寂しさがあって、早く帰りたいな、そんな気持ちにさせてくれます。

季節感も夏に始まり、春に終わるという、季節ごとの綺麗な風景を描いてましたね。

最後に桜さく路地の階段で二人が出会うシーンも、優しさと暖かさをリアルに感じてとてもよかったです。


【記憶が失われる設定について】
多くの人がここについて指摘してきました。
ですが、私はレビューの最初に書きました通り、夢だから、でストンと納得しています。
作中で夢をフォローしているシーンがあるのは覚えていますか?
三葉の祖母が三葉(瀧くん)に「三葉、お前、今夢を見ているな」と言う印象的なシーンです。
また、三葉も「夢の中で見たあの人の名前が思い出せない」と言い、友人を困惑させます。
それはそうでしょう。普通のひとはそんなことを非常時でも平常時でも口に出したりしません。
共通認識として「夢の中の内容は忘れやすい」ということがあるからです。
ですので、スマートフォンの中の日記が消えていくあの表現や、
二人が御神体のクレーターで出会うシーンが、
夢と現実の境界線が曖昧な時間や場所を表現していて
見た人間も、夢と現実の境界線にいるようなそういう作品だと思っています。

【朝、目が覚めるとなぜか泣いている】
印象的な導入のセリフです。
二人の繋がりを失ってしまったことを自分の中のどこかが泣いている。
そして、それにとりつかれているようになってしまっている。
私はそうやってどこかに繋がりを探すような感情を現す言葉は知りませんが
自分のどこかに、よく似た感情があると確信があります。
それが、私の心にズキズキとした胸騒ぎを起こしてくれます。

【総評】
色々書きましたが、瀧君と三葉のような10代の気持ちや考え方を上手く描いています。
君の名は。でとめていますが、これは相手への問ですよね。
相手の名前を知らないからこそ尋ねる(訪ねる)。
そして相手の事を知りたいからこそたずねる。
相手の事を知りたいという感情をエネルギーにして伝えてくる作品でした。

また、人と人の繋がりを感じる、もしくは、心の中のどこかにあるつながりを求める感情を肯定する物語だったとまとめさせていただきます。

【蛇足】
三年前の瀧君と三葉が東京でであったとき、二人の糸はどう繋がったのか、一瞬はまりかけました。
二人の糸は絡みあって大きなわっかを作った。そんな思いです。でも始まりはどこかよりも、今と未来の彼らが気になって(笑)

キービジュアルの瀧と三葉が東京の坂で振り返って見つめる絵って
ラストの5年後の二人を、であった頃の高校生の姿に置き換えているのかも?
これが「出会い」の絵なのか「再会」の絵なのかちょっと気になって面白い。

幻想的で儚さのある二人の奇跡の繋がりと、現実の繋がり。
ラストで二人の繋がりを現実の繋がりにすることで生まれる嬉しさ。
なぜだろうか?多分、二人が求めていたその繋がりは、人間が奇跡を信じたい気持ちの肯定だからでしょうか?

{/netabare}

ストーリー考察?(繋がりを軸にストーリーを考えてみました。)
{netabare}
三葉の祖母が、糸に例えて人と人の繋がりを話しました。繋がって、絡みあって、離れて、近づいて、また繋がっていく。その繋がることを結びという。

瀧と三葉の関係もまたそうでした。夢で繋がって、入れ替わりを繰り返して二人の糸は絡みあう。
入れ替わりは突然になくなる。突然糸が切れたように。
三葉のいる場所は時間を越えて遠く離れた場所だった。
真実を目にした時、三葉との思い出は一瞬で消えていき、崖から突き落とされたようなスピードで二人の距離は離れていく。(二人の距離が明確に離れていくことに儚さや悲しさを感じました)
でも、瀧は「そこにいかなくちゃいけない」という自分でもわからない使命感に押され御神体のある場所へ
三葉のいるかもしれない場所へ近づいて行く。(確信のない行動です。しかし、そこには記憶という曖昧な繋がりよりも、もっと深いところでの繋がりを感じます)

そしてまた入れ替わり、二人はお互いを自分の体で出会う。
今まで顔を合わせて話したかったことをいいあって、笑う。(ようやく、もがいてもがいた結果、出会えたという喜びを感じます)

互いの姿が見えなくなって、名前を忘れた瀧は叫ぶ。
「君の名前は!」忘れちゃいけない大切な人を思い出せない苦しさで一杯になる。(本気で相手の事を求めるシーン、記憶がなくなっても、もっと深いところからの欲求です)

名前は思い出せない。でも誰かが大切なことは覚えてて
誰かが思ってくれていることが「すきだ」という言葉からわかる。だから三葉はやりとおせた。

そして時が流れ、あの時間の記憶もなく、あるのはかすかな心残り。
どこかに大切な繋がりがあるような。

冬が終わり春が来る。
二人はまた近づく、自分の中の心残りの先にある繋がりを探して。
そして出会い、ずっと探し続けてきた繋がりだと信じて問いかける。「君の名前は」。
(最初のシーンと繋がる。どこかに特別な繋がりがあるという不思議な感覚。ラストはなんとなくわかるという感情の肯定が、とても心地いい)
{/netabare}


2018年1月3日 地上波放送を見て。
{netabare}
本当は追記する予定はありませんでした。
でも、見たら、自分の中に生まれた何かを書きたい衝動を抑えられなくて、
書こうと思いました。

今回の再視聴で感じたのは、
繋がりが消えることの悲しさでしょうか。
どこか身近に感じていた、繋がりの断絶。
私が繋がりの断絶を感じたのは、福島なんですが、
レビューを社会派にする気はないので詳細は伏せます。

それは、人間の営みの断絶であったり、人の関係の断絶。
繋がりが消えてしまうことへの悲しさ、つらさ。
そういったものが多分糸守町の消滅、三葉と瀧の入れ替わりの終わり、
そういった作品世界の出来事から、私はいつも感じていたこと、
繋がりの断絶を感じていました。

繋がりの断絶と同時に、繋がりを求める声も同時に感じました。

三葉が瀧に会いに東京に出た時も、瀧が三葉の名前を忘れて叫んだ時も、
繋がりを求めるその行動、その思いが、私には、
無くした繋がりを取り戻したい気持ちを感じて、
どうしようもなく、泣いてしまいました。
(すこし安っぽい表現ですが、実際少し泣いてます。
多分泣いた理由は、登場人物達と同じ理由で、
繋がりを求めたから、でしょうかね。
多分これが、共感何でしょうね。初めて実感出来たかも)

こんな瀧君のセリフがありました。
「今はもうない街の風景に、何故ここまで胸を締め付けられるのだろう」
心のどこかで糸守に繋がりを感じている瀧君。
私も、どこかで知らない街の知らない人の営みに、
繋がりは感じないまでも、営みの中にある繋がりを見て、
親近感を感じたりするのです。
それは人と人の繋がり、人と土地の繋がり、繋がりの中で生まれた営み、
そういったものを、私は求めているのだろうし、
大切にしたいし、失いたくないと思うのです。

だから、この作品を再視聴して、このレビューは、
完全に私の感想であるのですが、
私が求めていた繋がりを描いてくれているし、
私が恐れている繋がりの断絶も描いてくれている。

だから、私は、この作品が好きなんでしょうね。



{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 134

scandalsho さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

作画はきれいだった。もの凄く!だけど・・・、

物語としては、『見終わった後に何も残らない作品』という印象。
個人的には『この世界の片隅に』、『聲の形』の圧勝だな~。やっぱり。

様々なSF要素の詰め合わせは、アニメ初心者には斬新に見えるでしょう。
だけど、私には目新しさよりむしろ、矛盾とご都合主義が気になってしまう。

普段アニメをあまり見ない人たちがこぞって見に行った結果が、空前の大ヒットなんでしょう・・・。
まあ、私のようなアニオタがこぞって見に行ったくらいでは、あそこまでの大ヒットにはならない。
『素人をいかに取り込むか!』
この部分に特化した作品ということなのでしょう。

最後に。
やっぱり声優はプロの声優さんに任せるべきだと思うんですよ!
誰とは言わないけど、ひどい人がいた!

投稿 : 2024/11/09
♥ : 115

87.4 2 ロマンチックで高校生なアニメランキング2位
色づく世界の明日から(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (1141)
4879人が棚に入れました
物語の始まりは数⼗後の⻑崎。⽇常の中に⼩さな魔法が残るちょっと不思議な世界。主⼈公の⽉白瞳美は17歳。魔法使い⼀族の末裔。幼い頃に⾊覚を失い、感情の乏しい⼦になった。そんな瞳美の将来を憂えた⼤魔法使いの祖⺟・⽉白琥珀は魔法で瞳美を2018年へ送り出す。突然、⾒知らぬ場所に現れとまどう瞳美の視界に鮮烈な⾊彩が⾶び込んでくる…。

声優・キャラクター
石原夏織、本渡楓、千葉翔也、市ノ瀬加那、東山奈央、前田誠ニ、村瀬歩
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

こぼれたあの色

P.A.WORKS制作。

色彩を知覚できずモノクロの世界で生きる少女。
彼女は自分に魔法をかけた、
{netabare}わたしは幸せになってはいけないと。
17歳の未来の少女が、
時の魔法で17歳の祖母に出会う、{/netabare}
魔法が日常に存在する青春ファンタジー。

この物語には、小さな魔法があり、
心のサプリや探し物を見つけたりと、
日常にそっと寄り添う形で存在しています。
{netabare}少女はなぜ色彩を失ったのか、
少女に色をもたらした絵を描く少年との出会い。{/netabare}

夕焼け、朝露、夜空の花火と、
色彩の世界を描くだけに風景は美しい。
美しいものを美しいままに描く、
こぼれたことば、こぼれたあの色。
色の溢れる世界を取り戻す、
世界を肯定する物語になればと思います。

最終話視聴追記。
言葉より絵や色彩で魅了する作品です。
{netabare}テーマに沿って上手くまとめたのでは思う。
ただこの主題と絵の表現力があれば、
劇場版の尺で良かったのではと思ったり、
映画なら傑作に成り得たかも知れません。{/netabare}

美麗なOPが記憶に残りますね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 93
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

煌めく長崎の街並みと青春の光

アニメーション製作:P.A.WORKS、監督:篠原俊哉、
シリーズ構成:柿原優子、
キャラクターデザイン・総作画監督:秋山有希

魔法使いの子孫でありながら
魔法が嫌いな月白瞳美にとって、世界はモノクロだった。
花火が行われていた夏の日、瞳美は祖母の魔法によって
60年前に飛ばされてしまう。
そこで出会った、葵唯翔の描く絵画は
瞳美が忘れていた色を取り戻させてくれるのだった。

日本のなかで最も好きな都市のひとつが長崎だ。
坂があり港があり、洋風の建物が点在する。
街には路面電車が走り、
日本中から使用されなくなった車体が集められて
再利用されている。
街並みは和風と洋風が融合し、とてもバランスが良い。
街は栄えていて、飲み屋街の思案橋には、
さまざまな種類の美味しい店が軒を連ねている。

個人的には仕事で何度も訪れた懐かしさがあり、
それがP.A.WORKSの美しい絵で堪能できることから、
1話目からとても楽しみにしていた作品だった。
序盤は予想に違わない出来で1話目の作りは、
ほぼ完璧ではないかと感じた。

そんな形で視聴を開始した作品だったが、
中盤くらいから違和感が頭を掠めるようになる。
話がどういう方向を目指しているのか見えてこない。
もちろん、瞳美が自分の抱えている問題を解決させ、
色を取り戻すことが最終的な目的なわけだが、
一向に話が進んでいる感じがしない。

原因のひとつは、世界の色を取り戻すことが
瞳美だけでなく、唯翔にも必要だったことだと思う。
主役のふたりが同じ悩みを抱え、しかも自分から動かないため
話が進んでいかない。ドラマチックな展開にならない。
だから、クライマックスでお互いが心を通わせるシーンでも
全く盛り上がらず、唐突な感じがしてしまう。
これが小説だったら、まだやり方もあったのだろうが、
アニメでふたりとも消極的な性格で、
同じ問題を抱えているため、展開を難しくしている。

その影響から物語が動かず、どこに向かっているのか
分からないように感じてしまう。
瞳美に積極性がないので、母との関係性についてなのか、
自分の時代に戻ることなのか、色を取り戻したいのか、
恋人を作りたいのか、友達を作りたいのか、
魔法への意欲を持ちたいのか、ほとんど見えてこない。

これは私の好みの問題でもあるのだが、
登場人物の想いをしっかり伝えて欲しいと思う。
この作品の場合、瞳美と唯翔が大切なものを
取り戻すことが大きなテーマになっているのに、
彼らの切迫感や渇きの心情がほとんど伝わってこない。
伝わってくるのは、諦めと苛立ちだけなのだ。
原因は、彼らの望んだ幸せな世界が
物語として、映像として表現されていないからだろう。
{netabare} 例えば、瞳美なら母の、唯翔なら祖父のイメージが
少しでも表現されたなら違ってきたのだろうが、 {/netabare}
終始ぼんやりしたお話になってしまっているように感じてしまう。

若者の閉塞感を表現したという点では、
リアルと言えるのかもしれない。
思春期の若者の心情を描いているのは、
分からないでもないのだが、イメージばかりを先行させすぎて、
物語に活かされていない。

それと、絵が美しいのは素晴らしいのだが、
あまりにも綺麗過ぎて、キャラクターの造形の粗が
逆に目立ってしまうのもマイナスポイントになってしまっている。
唯翔と千草のキャラデザが似すぎているのも良くなかった。
何となく観ていると、どちらか分からないことがあった。

目指したのはハインラインの『夏への扉』や
スピルバーグ監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だろうが、
中盤があまりにも退屈すぎる。
このテーマで物語を作るのなら、安易に魔法などというものを
持ち出さないで、正面から取り組んだほうが個人的には好感を持てた。

難点ばかりを挙げてきたが、唯翔の描く絵画の世界や
そこから浮かぶイメージは挑戦的な作風だったと思う。
OPの美しさ、タイトル書体の選別、長崎の街並みなど、
美術面にこだわり抜いているのが感じられる。
描かれている世界は、とても鮮やかだった。
記憶に残る作品だったと思う。
(2019年2月3日初投稿)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 92
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

全13話+“60年”の時の重みに思いを馳せてみる

2019.01.02記


P.A.WORKSによるオリジナルアニメ


前評判の良さとキービジュアル。数年前旅行で訪れたお気に入りの街“長崎”が舞台とあって、スルーする理由が見当たりません。
“眼鏡橋”“グラバー園”観光スポットもそうですが、地味に“石橋”行の路面電車や“思案橋”の信号機なんかも懐かしいですね。また行きたいです。
そして1話EDクレジットに島本須美さんの文字が! 断念する理由も無くなりました。


最初から最後までただひたすら美しい作品でした。作画や音楽だけではなくストーリーもです。棘の無いやや起伏に乏しい物語は物足りなさという弱みと裏返しでしたね。

見える風景がモノクロになり、自分の殻に閉じこもっている月白瞳美が主人公。「高校時代のあたしに会って・・・」と説明もそこそこに祖母である月白琥珀の時間魔法で60年前の過去へと飛ばされた後、高校生の琥珀とその友人たちと交流を重ねていくお話になります。
魔法/魔法使いが社会に受け入れられているのはファンタジーで、その魔法も私たちが想像するような仰々しいものではなく、“頭がすっきりする”“そこにない風景が見える”“ちょっと物体が動く”といったもの。祖母琥珀が使った時間魔法は上位魔法で習得難度が高いという設定はあるものの、普段使いの魔法は他愛のない、琥珀に言わせれば、

“日常を彩るサプリみたいなもの”

であり、魔法が全面にでてくるかというのとはちょっと違い、綴られた物語は高校生の青春です。
・なぜ祖母の琥珀(77歳)は孫の瞳美(17歳)を過去に送ったのか?
・なぜ瞳美は色を失ってしまったのか?
謎というほどではないかもしれませんが、{netabare}『瞳美が色を取り戻していく物語』{/netabare}作品のテーマとなります。


繰り返しになりますが、ただひたすら美しいです。

OP「17才」ED「未明の君と薄明の魔法」、2018年秋クールの中でも群を抜いてました。OPED両方とも一話たりとも飛ばさなかった唯一の作品です。
{netabare}最終話で「17才」イントロ流れた瞬間、歌詞の「虹がかかるよ」が頭に浮かび涙腺が・・・ 二番も良い歌詞です。{/netabare}
{netabare}モノクロから始まり、街灯のオレンジ色から街の夜景へと繋がるED画も神秘的でやなぎなぎの曲調もしっくりきます。{/netabare}

高品質な作画も最後まで安定してました。夕暮れ、夜景、太陽の照り返し、光の滲み具合。色使い・彩度の加減は下手な劇場版より綺麗かもしれません。モノクロと豊かな色彩の対比が物語の柱でもあるため、気合が入ってました。
{netabare}序盤第2話:夕暮れ時の校舎の風景作画は引き込まれました。岩崎良美「青春(タッチED)」がよく似合います。※年寄りは付いてきてね。{/netabare}
それと舞台が長崎ということで背景作画のハードル上がってたんじゃないかしら?
少しばかりの平地を除いて丘・山そして海。小高いところに建造物が立っている坂が多い街。風景絵が田舎なら青空+雲、都会なら定規でひけるビル群とかで済みそうなところが、そうはいきません。特に夜景は、空の黒と山間の黒そして海の黒とに区別つけた上で、適度に生活の灯りを散らさなければなりません。路地は曲がりくねった石畳ですし、作画班はほんとにお疲れ様でした。


肝心の物語は薄めです。キャラも心情描写をしっかり見せるわけでなく物足りなさを感じるほど。どちらかというと心象風景を見せる感じ。いかんせんヒロインの瞳美がわかりづらいし反感買いそうなキャラ。作画だけの作品なのね…残念、、、途中までの印象です。
風向きが少し変わったのが{netabare}11話と{/netabare}終盤で、最終13話の出来が良かったので少し考えをあらためました。
{netabare}この物語は、途中経過や最終話の締め方も含めて、いろいろ余計なものを付け加えると野暮になってた気がします。むしろあの程度と抑えめで良かった。{/netabare}


■最終話を観終わって ※以下ネタバレタグは視聴済みの方向け
良く出来た最終回です。そこに至るまでの過程に起伏があればさらに良しとしたことでしょう。ただしちょっと待ってください。これって完走後に、

{netabare}『瞳美が2078年に戻ってからの魔法写真美術部員の60年を想像して補完する』楽しみが残されてますよね。{/netabare}

全13話で完結というより描かれてない空白部分がむしろ重要で、そこの受け取り方で評価が別れるんだろうと思います。

{netabare}60年後、瞳美と魔法写真美術部員との再会がなかったことが空白部分を考えるきっかけでした。物語の舞台が2018年。自分に置き換えても2078年には生きていないでしょうから余計にそう思わせるのかもしれません。
瞳美が去った後、琥珀は、唯翔は、あさぎは、胡桃は、将は、千草はどんな人生を送ったのでしょう?瞳美がやってきたことでどんな変化を彼らにもたらしたのでしょう?

●琥珀:魔法の能力に目覚めた幼少期から「私は魔法でみんなを幸せにしたい」が信条だったのに、一番近しい人たちを救えなかったことは身を引き裂かれる思いだったことは想像に難くありません。娘の失踪と孫が色を失った理由はそれぞれその時に知ったのではないでしょうか?10話で瞳美は唯翔にだけ事情を話してますが、あの唯翔が琥珀に話すとはどうしても思えないのです。
瞳美が帰る時に自分の時間魔法の未熟さを実感して、以降腕を磨こうと研鑽を重ねただろうし、そのために最適な伴侶を選びました。瞳美がいなくなった後になぜ未来の自分が瞳美を遣わしたのかを考え続けた人生なはずです。
孫が帰還し一緒に母を探すと言ってもらえてどれほど嬉しかったことでしょうか。
「幸せになっていいんだよね?」孫から言われた時に70年越しの琥珀の思いが報われた気がしました。

※12話での瞳美「あれ?おじいちゃん?」の控えめリアクションが微笑ましい。
※年齢って英語でLEVELと表記するかは知らんが、「あんたはまだまだよ」的なエールは三つ子の魂百までの茶目っ気を感じる。すなわち“LEVEL17 vs LEVEL77”

●唯翔:瞳美は唯翔から、唯翔は瞳美から大事なものを受け取りました。彼が愛する女性に対してできること。“色を失った理由を直接聞いた(10話)”“魔法の中で幼少期の瞳美に会った(10話)”“幼少期一冊だけ色が見えてた絵本があったと直接聞いた(8話)”
「あの時俺が小さな瞳美に伝えたかったこと 自分を閉じ込めてほしくなかった 諦めないでほしかった」
必ず瞳美に届けたかった執念の絵本だったはずです。唯翔なら爺さんになって再開し思い出話に花を咲かせる気などさらさらなかったでしょう。進路も絵の道には進んだでしょうが、職業替えしたかもしれないし、結婚したかもしれないですが些細なことだと思います。
心を閉ざした“小さな瞳美”に伝えたかったことを伝える役目を果たした時に彼がどんな表情をしてたのかを想像するととても切ないものがあります。

※墓参は瞳美一人でした。琥珀が気を利かせたのだと思います。もしもお世話になった曾祖母ら月白家の墓なら琥珀は一緒に行ったでしょう。

●あさぎ-将くん:占い外れたみたいでなによりです。 “うさぎさんは犬さんのとなりに立って海のにおいをかいでます”

●胡桃-千草:不明。だけどお似合いでした。{/netabare}


{netabare}色を取り戻した瞳美はどんな人生を送るのでしょう?
最終話EDで、同級生二人に自ら声をかけ、その一歩を踏み出した瞳美。この二人、髪の色とかリアクションからしてどこかしらあさぎと胡桃らしき面影がありましたね。きっと孫娘なんでしょう。
彼女らは第1話で、浴衣姿で瞳美に声をかけてた二人でもあります。両シーンとも彼女らは瞳美に親しげです。受け取る瞳美側の心の持ちようが第一話と最終話では違うという対比にもなってます。{/netabare}


{netabare}“葵”“琥珀”“山吹”“あさぎ”“胡桃”“千草”、全て色を表す言葉。六色がもたらすものは、これまで“誰にも愛されてないと感じた夜”を幾重にも重ねてきた少女の心を溶かしました。物語としてはこれで万事めでたしめでたしです。
さらに、瞳美が色を取り戻す前の彼らと過ごした半年の時間でさえ、月“白”と合わせて七色の虹は架かっていたのです。この七人にとっての色褪せることのない大切な時間でした。唯翔が絵本を通して瞳美に残したかった想い。未来でも笑ってられますように、と。{/netabare}

やはり、美しい物語でした。
空白の60年間に想いを馳せると時の重みに切なさや愛おしさを感じる良作です。


しかしよくよく考えると、夏休みの最終日に宿題をあわてて片付けたと言えなくもない。



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2019.06.13追記
《配点を修正》


未来のお話って別世界の話として見る向きがあったのですが、本作は現在との繋がりを強く意識させるものでした。2078年には自分は退場しているはずでしょうが、孫かひ孫あたりの世代に自分の想いは伝わっていて、って素敵だと思ったわけです。

加点しときます。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 91

80.0 3 ロマンチックで高校生なアニメランキング3位
スキップとローファー(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (398)
1179人が棚に入れました
地方の小さな中学校から、 東京の高偏差値高校に首席入学した岩倉美津未。 カンペキな生涯設計を胸に、ひとり上京してきた田舎の神童は、勉強はできるけれど距離感が独特でちょっとズレてる。 だから失敗することもあるけれど、その天然っぷりにクラスメイトたちはやわらかに感化されて、十人十色の個性はいつしか重なっていく。 知り合って、だんだんわかって、気づけば互いに通じ合う。だれもが経験する心のもやもや、チリチリした気持ち。わかりあえるきっかけをくれるのは、かけがえのない友達。 ときどき不協和音スレスレ、だけどいつのまにかハッピーなスクールライフ・コメディ!
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ほんわか学園ストーリーのお気に入り☆

[見終わって・・]※最終話感想は一番下です。
ほんわかした雰囲気、ミツミのキャラに毎回和まされてました☀
能登の方言とかミツミの実家の雰囲気もほんわかしてて好きでした♡私もあそこでお昼寝したい。。
それから、出てくる子たちが悩んだり励まされたり前向きな気持ちになったりしてる姿がとても素敵で、毎回楽しみで仕方ありませんでした(^^♪
OPもEDもすごく良かったし、OPのダンスもEDのミツミが歩く姿やミツミネコも可愛かった。
人気も出たし、2期ありそうかなって思ってますけど・・
これからの展開はちょっと雰囲気変わったりするけど泣けるシーンもあるのでぜひぜひお願いしたいです。

[初回感想]
石川県から東京の高偏差値校に進学した岩倉美津未(いわくらみつみ)とクラスメートたちのほんわか学園ストーリー・・かな。(あえてラブコメとは言わない。。)

原作は月刊アフタヌーン連載中でコミックスは8巻まで既刊。原作既読です。
原作読んで「これ好きだわぁ。。」って思ってアニメ化をすごく楽しみにしてました☆

一応ラブコメ・・ではあるんだけど、私が感じたこの作品の魅力は他のところにあって。

主人公のミツミのまっすぐで天然なところにも和まされたし、周りのクラスメイトたちもそれぞれいろんなタイプの子がいるんだけど、{netabare} タイプの違う子たちがミツミを中心に仲良くなっていく{/netabare}ところもすごく好き♡
あー私も高校生に戻ってこんな風にミツミたちと友達になって学園生活したいなぁ・・なんて妄想しながら読んでましたw

で、期待ハードルを上げつつアニメ視聴!!
1話見た感じだと作画はやわらかい感じで綺麗で好印象☆
なかなか良い感じで、なんとなく久々に毎話感想書きたくなりました(^^♪

1話「ピカピカ」
{netabare} 石川の方言に癒される(´-ω-`)方言ってなんであんなにほんわかして癒されるんだろね。
イケメンに気に入られて友達になる展開はよくある展開ではあるんだけど、後ろの子とも素直に友達になってるところとか、ミツミいい子だな(*'ω'*)
遅刻しそうで思わず裸足で走ったり自己紹介まじめに考えて寝れなかったりとか、和むわ~。{/netabare}

2話「そわそわ うろうろ」
{netabare}人と人との距離感って難しいよね。
でもカンペキな正解なんてないし、ミツミみたいに考えすぎないで自然体でいくのが一番いいんだと思う。それで合わないんであればそれはそれだし。
志摩くんのこと、間違ってサトちゃんって呼んだとこ、私も中学生の時、音楽の先生がなんとなく母に似てて、間違って呼んでしまいすごく恥ずかしかったことを思い出しましたw{/netabare}

3話「フワフワ バチバチ」
{netabare}よく知らないから、見た目とかでその人を判断しちゃったり・・
この人私とはちょっとタイプ違うかなぁとか。
実際はちゃんと話してみたりすると印象が変わる人も結構多かったりするんだけどね・・
でも誠(まこっちゃん)みたいになかなか気軽に入っていけない気持ちとか、結月(ゆづ)みたいにタイプ違うって決めつけられたりする寂しさもなんかわかる。
だからまこっちゃんがスタバでみんなで撮った写真に嬉しくなって背伸びしちゃう気持ちも、メールもらってすごく嬉しいゆづの気持ちもわかるなぁ。
この作品のこういうとこ、すごく好きです♡{/netabare}

4話「ピリピリ カツカツ」
{netabare}兼近先輩に強引に頼まれたことを先輩なりに部活のために必死なんだと思う、と言ったりとか高嶺先輩のストイックなところに素直にすごいなってあこがれたり。
そんな、他人のいいところを自然と見るようにしてるミツミを見てると和みます☀
高嶺先輩も自分のスタイルに固執しないで、ミツミのマイペースなところに学んだりしてるとこもいいな。
この作品のおかげで毎週土曜朝はわたしの和みタイムになっちゃってます♡{/netabare}

5話「チクチク いそいそ」
{netabare}この話、原作読んだときから好きでした☀
心の許さじノートのシーン笑った。。
私がムカツク奴の名前を2つ覚える間に岩倉さんは親切にしてくれた人の名前を1つ覚えるんだ・・
このシーンも良かったけど
その後ミツミがミカに言った言葉がすごく良かった。人格的にはほめてないよもw
ゆづとまこっちゃんが何気ないしぐさとかで仲良くなってるのがわかるのもいいな。
みんなに浅漬け作ってくるというミツミのチョイス和むわ~{/netabare}

6話「シトシト チカチカ」
{netabare}シマくんが学校休んで心配するミツミだけど、他の女子の勝手な噂にちょっと気持ちが揺れて。
微妙にすれ違う二人の気持ち。
でもこういうのあるあるだよね。
本当の気持ちがちゃんと相手に伝わらないもどかしさというか。
ミツミがあらためてちゃんと自分の気持ちをシマくんに話して、お互いに気持ちが通じあって。
これって簡単なようでなかなかできないものだけど、ミツミらしいまっすぐさがちょっと眩しい。
逢いたいのに逃げたい
話したいのに言葉につまる
フミから聞いたそんな恋の気持ちと同じ気持ちになって動揺しちゃうとこ、かわいくて好き♡
あと、ミツミのはい゛とかおはよう゛とかの低音ボイスに笑っちゃいました。。{/netabare}

7話「パタパタ モテモテ」
{netabare}冒頭に流れるほんわかする音楽ですでに和まされちゃってるわたし。
努力して頑張ってる姿は誰かがちゃんと見てくれているものだ、ってよく聞くし、私もそうは思うけど、でもそれが報われることってなかったりすることも多いですよね。
兼近先輩の自分をさらけ出して他人を慰めようとするところ、かっこいいです♡
高嶺先輩のメモ帳、らしいなぁって思いながらも、自分をいい方に変えようってすごく努力してたりしてて、生徒会長からも学ぼうとするところも素敵だなって。
ほんと、この作品に出てくる子たちって精神的に大人な出来た子が多くて、いいオトナの私が毎回気づかされてます。。
あと、石川県産トモダチ100%にクスっと笑っちゃいました。
それから「のきゃ」にも和みました(^^♪{/netabare}

8話「ムワムワ いろいろ」
{netabare}女子4人のお泊り会🌙
4人それぞれの個性というか味が出てるところが見てて面白いし和む。。
変わりたいって頑張ってるけど自信が持てなくて傷つきたくない・・
昔の自分を懐かしく思い出しながら、ミカの背中を優しく押してあげるナオちゃんがカッコ良くて好き♡
4人で見てるホラー映画。まこっちゃんだけ平然としてるのに笑っちゃいました(^^♪{/netabare}

9話「トロトロ ルンルン」
{netabare}能登に帰省したミツミ。
空港からの懐かしい風景を見たミツミの表情。こういう細かいところも描いてるとこ好きです。
ミツミからもらったキーホルダーをさっそく付けてるお父さんとかも。
実家に帰ってお昼寝する気持ちよさ、わかる☀なんか落ち着くんだよね。
懐かしい同級生たちと方言で会話しながら花火したり。。和むわぁ。
嬉しいことをシマくんに無性に話したくなる気持ち・・それはもう恋ですね♡
シマくんの呟いた言葉からOPの眩しくて・・を思い浮かべました。{/netabare}

10話「バタバタ ポロポロ」
{netabare}文化祭!!
ミュージカルをやることになって準備に大忙しのみんな。
ミツミもあの調子で頑張りすぎてちょっと空回り。。
あーこの感じ、私も経験あるのでわかる・・
役のヨハンと自分を重ねてしまうシマくん。
ミツミの、まだ引き返せるって言葉に、起き上がるのムチャクチャ得意なんだからって言葉に勇気づけられて。
二人の即興ミュージカルすごく可愛かった♡{/netabare}

11話「ワイワイ ザワザワ」
{netabare}文化祭って昔の知り合いが見に来たりすることあるよね。
知り合いにゆづのことフォローしてるまこっちゃん見ててちょっと泣けた。。
「まだ半年って感じしないよね、私たち」ってゆづが嬉しそうに言うとこ、そしてそれを聞いたミツミがスキップするシーン、好きです。
「脚本のこととか考えていない自分が想像できない」って兼近先輩のセリフ、何気にかっこいいしうらやましい。
シマくんの弟くん、しっかりハキハキしてるように見えたのは周りに気を使ってたから。
でも身内の姿を見て安心して泣いちゃう気持ちはわかるなぁ。
とうとう次回は最終話。。{/netabare}

12話「キラキラ」
{netabare}コアリクイの威嚇ポーズ笑った。。
幼馴染って深くていいなって素直に思えるミツミがいい子で眩しい・・
文化祭が終わった後の達成感と高揚感と寂寥感と。。
それぞれの子たちの思い、悔しい気持ちも含めていい思い出になるんだろな。
ちょっぴりココロの鎧が取れて、ミツミからはいつもより子供っぽく見えたシマくん。
1期としてはいい終わり方だったと思います。{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 48

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「だけど俺さ、俺……。学校、楽しいんだ。」

と、レビュータイトルには作中のある人物の台詞をいただきました。

まあ、個人的には「だけど」は付かずに小学校から大学院まで総じて学校は楽しかったわけなんですが、特に中高生の頃って楽しかったですね。

一応の主人公として岩倉美津未(いわくら みつみ)はいるんですが、趣きとしては「ミツミちゃんに感化される同級生や先輩による青春群像劇」といった感じですかね。

ちゃんと「人間」が描けている作品という意味では、大変面白くかつお勧めであります。キャラクターデザインもなかなかに趣き深いです。絵柄的に少女漫画っぽくもありますが、原作漫画掲載誌はかの「月刊アフタヌーン」らしいです。

最近のアフタヌーンは読めていませんが、歴代の名作が揃う名門漫画雑誌というイメージはありますよね。

本作の舞台は都内にある進学校なんですが、ミツミちゃんは東大に進学して官僚だか政治家だかといった形で地元石川県に貢献しようという大志を抱いてわざわざ上京してきたという強者です。

もちろんそんな生徒はレアで、概ね都内もしくは東京近郊に住む人々なのでミツミちゃんはそこにギャップを感じながらも、力強く学校生活に邁進しています。

そんなミツミちゃんの純朴さに「いまどきの高校生」然とした周りの人たちも感化されていく、といった感じのお話です。

原作は読んでいないのですが、このアニメを1クール通して観て、「そういえば高校生の頃って楽しかったよな」としみじみと思い返していたのでした。

我が身を振り返ると高校生の当時は部活であったり文化祭実行委員会であったり予算委員会であったり、子供なりに「忙しい」って思っていたはずなんですが現実問題として大人になってからの方が圧倒的に大変だったりするわけです。

私の出身校にはさすがにミツミちゃんほど遠くからやってきた生徒はいませんでしたが、それでも「2時間近くかけて通学してくる」とか「東大に入って官僚になろう」くらいの人はそれなりにいる学校ではあったので、なんとなくその頃の空気を懐かしむ感じではありました。

ただ、私の高校時代にはスマホや携帯電話はおろか、ポケベルすら高校生は持たないような世の中だったのでコミュニケーション方法には大きなギャップがありましたねぇ…。

余談: 作中作ミュージカル「The Family Singers」がどう見ても「サウンド・オブ・ミュージック(The Sound of Music)」でした。本当にありがとうございました。← 何が?

投稿 : 2024/11/09
♥ : 46
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

美津未とミカ

アニメーション制作:P.A.WORKS、
監督・シリーズ構成:出合小都美、副監督:阿部ゆり子、
キャラクターデザイン・総作画監督:梅下麻奈未、
総作画監督:井川麗奈、音楽:若林タカツグ、
原作:高松美咲(講談社「月刊アフタヌーン」連載)

第1話から心を掴まれた。
最初から期待値の大きさで高揚感を覚えたのは、
よりもいの1話以来だったかもしれない。

「スキップとローファー」というタイトルが良い。
青春真っただ中というイメージがあるし、
深読みすれば、ローファーでスキップするのは、
ちょっとやりづらい(私だけかもしれないが)。
楽し気にスキップしようとしても、
よほど足にフィットしていないと踵が抜けてしまう。
つまり、ちょっとそぐわない組み合わせ、
少しくらい、性格の違う関係性でも、
一緒にスキップすれば、より学園生活を楽しめる。
という意味で私は捉えていた。
実際は、作者によると「スキップ」と「ローファー」の
どちらも青春にふさわしいものだったので、
組み合わせたということだったそうだ。

でも、「少しのズレがあっても、
ポジティブな思考がみんなを元気にする」というのは、
この作品の大きなテーマなので、
このタイトルは、とても内容に合っているイメージだった。

主人公の岩倉美津未は、石川県の過疎の町から
東京の進学校に主席で合格してやって来た優秀な女の子。
入学式の日、電車を乗り間違えて、途方に暮れていたところを
遅刻して登校しようとしていた志摩聡介から声をかけられる。
一緒に学校まで走って何とか遅刻からは逃れたことから、
仲の良い友だちになる。
志摩聡介は、イケメンでクラスから注目の存在ということもあり、
美津未の周りには多くの人が集まるようになるのだった。

美津未は天然で真っ直ぐな女の子だが、
他人の行動にも思いを馳せることができる。
他者の立場を想像し、慮れる。
他者をフラットな視線で見つめ、
良い部分を発見することに長けていた。
しかし、そんなふるまいや考え方は、
長年やってこなかった人にとって、眩しすぎる。
嫉妬心と憧憬。
そのあたりの機微を上手く見せているのが「江頭ミカ」という
キャラクターだった。

ミカはごく普通の女性の感覚を掬い取ったような存在。
「村重結月、こういうあからさまな美人は誘いたくなかったな」
「ラッキーだったね、岩倉さん。そのまんま受け入れてもらえて。
私みたいに食べたいもの我慢して、キラキラした部活に入って、
キラキラしたグループに入って、
そんな努力しなくても良かったんだもんね」
「飛び切りの美人でもなければ、純粋で真っ直ぐにもなれない。
私を一体…誰が選ぶ?」

幼い頃は肥満児で周りから馬鹿にされていたミカは、
自分を良く見せるために多くの努力を積み重ねてきた。
食事を制限する。キラキラした生活を送るために、
部活にバレーボールを選び、必死になって練習した。
ファッションのことも勉強し、隙のない着こなしができるようになった。
人の顔色も女性特有の男子にまつわる嫉妬や妬みも敏感に察知して、
対処できるようになった。
ある意味、ミカも高嶺副委員長と同じように、
全てのことに愚直に取り組む人間なのだった。

しかし、ミカの場合、これまでの経験によって
出発点で「他者は信用できないから、
つけこまれないようにしなければならない」という考えが、
人間的な根幹になっている。
そして、作者にとって「典型的な女子」という位置づけで
捉えられているのではないだろうか。
群像劇として描かれているこの作品だが、
結月や誠とは、心情の捉え方の深みが
一段階違うように感じる。
それだけ重要なキャラクターということだろう。

{netabare}5話では美津未とミカのふたりが、
1年生が使用日となっていた昼休みの体育館で、
上級生から理不尽な扱いを受ける。
ミカはルールを守らない上級生の苗字を
「心の許さじノート」に刻み付けるが、
美津未は助けてくれた上級生の名前を覚えていた。
そのことに気づいたミカは、自分の思考を反省する。{/netabare}

他者との関わり合いには、すれ違いも「悪意」も必ずある。
そのことを踏まえた上で「いかに私たちは真っ直ぐに生きられるか」と
いうことを問いかけているようにも思える。
ここが、おそらく大切なテーマのひとつなのだろう。
美津未と志摩の淡い恋心を描きつつ、
美津未とミカを徹底的に対比している。

とはいえ、ミカ以外のキャラクターの描き方も丁寧だ。
結月の美術の展示での想い。
誠の偏見と友達に対する考え。
高嶺副院長の学園生活における理想。
志摩の他者との距離感や母親との関係、達観した思考。
どのキャラにもしっかりとしたバックボーンがあり、
そういう意味でもとても好感が持てる。

美津未という理想的な生き方。
失敗ですらプラスに変えていくしなやかさを見ていると、
心が浄化されていくように感じる。

P.A.WORKSの演出も好感だった。
スイカを食べる音でのどかな時間の流れを表現したり、
キャラの心情の見せ方も良かった。
そして、多くの人が指摘している
OPの美津未&志摩のダンスシーン。
初めて観たときから釘付けになったほど、
可愛くてセンスのある動きで、作り手の才能を感じた。
(2023年8月6日初投稿)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 46
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