ロボットで警察なアニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のロボットで警察な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年10月10日の時点で一番のロボットで警察なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

78.6 1 ロボットで警察なアニメランキング1位
機動警察パトレイバー the Movie(アニメ映画)

1989年7月15日
★★★★★ 4.1 (384)
1834人が棚に入れました
すべてが朱に染まる夕暮れ、篠原重工の天才プログラマー・帆場暎一が、バビロンプロジェクトの要となるレイバー用海上プラットホーム「方舟」から投身自殺する。その口元に嘲りの笑みを浮かべながら…これが、すべての始まりであった。時期を同じくして、レイバーが突如暴走する事件が多発、遂に自衛隊の試作レイバーまでが暴走事件を起こす。特車二課第1小隊は、近々正式配備される新型パトレイバー(通称「零式」)に関する研修中のため不在。単独で暴走事件の処理に追われる第2小隊の篠原遊馬巡査は、多発する暴走事件の異常性にいち早く気付いて独自に調査を始め、原因が暴走した機体すべてに搭載されていた篠原重工製の最新レイバー用OS「HOS」(Hyper Operating System)ではないかと推測する。

声優・キャラクター
冨永みーな、古川登志夫、池水通洋、二又一成、大林隆介、榊原良子、郷里大輔、井上瑤、千葉繁、阪脩、西村知道、辻谷耕史、辻村真人、小島敏彦
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

人にアニメ作品を勧めるときにまずこの作品をおすすめします。

羽海野チカさんの『スピカ』に収録されていた「イノセンスを待ちながら」を読んで興味が湧き、初めてこの映画を観てみました。それからも、ふと思い出してみては何度も観ている大好きな作品です。

 科学技術が進む中で二足歩行型ロボットである「レイバー」の製作に成功し、それに足並みを合わせるかのように町の開発も進んでいく、まさにその過渡期の東京を舞台にした話。近頃、安全だと信じられていたレイバーが暴走する事件の増加に疑問を持った篠原という若い男が事件解決に取り組みます。
 何が原因で、誰の策略でなんてことをいちいち細かく調べていく過程は観ていて面白いし、それがだんだんと明らかになってくるストーリーも流石です。さらに作中に出てくる人たちもその描かれ方は非常に繊細で、1人1人がその息遣いまでもが分かるくらいにリアルに描かれています。
 まるで本当にこんなことがあったかのような強い現実感を帯びた物語は風化することなく、今の僕らにも十二分に楽しめます。

 「現実的」この言葉がいろんなところでしっくりとくる映画です。レイバーが大量生産され、工業化は大きく進んだけれどそれはすべてではなく、同心円状に街は開発されていったのでその周りには、この映画の製作年代の1980年代の趣のある街並みがまるで見捨てられたように印象強く残っています。
 それはたとえば夏。凌ぐことのできない暑さに加え、容赦なく照りつける太陽の光を心の底から憎む季節。そこにはクーラーのひんやりとした涼しさはなく、ただただ暑さを耐えるだけで途方がなく、救いもない。目線を上げると20メートル先の景色が少し歪む。そんな夏をスーツ姿で背広を肩にかけ、敷き詰められた木造住宅街を歩くシーンはそれそのままのように感じます。
 「ちょっと前まではこうだったよ。」なんてどこかのサラリーマンが言いそうな映像です。しつように描き込まれた風景は既視感を生んだり、または人の想像力を限りなく現実に近づけてくれる装置となり、僕らはこの作品によりのめり込み共感していくことができます。
 他にも篠原の事件解決までの道のりでの上からの圧力などの障害や、後藤刑事のすること成すことが、そこにあるべき不自由さを持って描いているので非常に現実的です。

 一見の価値があるかどうかまでは分からないけど、「何か面白い作品ある?」と人から訊かれたときには必ず『GHOST IN THE SHELL』と一緒にこれを勧めます。面白いですよ。いやいや、ほんとに面白いんだって。

{netabare}

 箱舟に乗り込んでから、泉が帆場のところに向かってそこに大量の鳥しか発見できなかったときに篠原に報告した言葉「ここに人間なんていないわよ!」。僕はこの言葉がずっと頭に引っかかっていました。ここでこんなことを言うなんて何か変だと思いませんか?他にも言い方はたくさんあっただろうし、なんというか抽象的で暗喩的。んー、なんでだろうと思いながらひとつ思い当りました。それは一体なんだったのか。

 冒頭のシーンで帆場は笑みを浮かべて自殺しました。レイバーの暴走が起こることを確信し、自分を蔑んだ者たちに復讐ができるから。その悪意に満ちた計画こそがこの事件の核心でした。そう、彼が死んでも、肉体が水圧で潰され跡形もなくなろうと彼の計画は、その悪意だけはこの世で生きていました。
 そしてそれは実際に起ころうとしていました。特車二課の彼ら有志諸君は箱舟に到着し帆場の反応を発見し泉をそこに向かわせます。そこで泉が見た不気味に赤く目を光らせたたくさんの鳥たちは、まさしくそれを象徴していたのではないでしょうか。
 「人間なんていない。」じゃあ何がいたのか。それは鳥の形を模した”悪意”でした。
 人は死んでもこの世に何かを残せる。非情に前向きな文句だけれどもそれは憎悪や悪意も同じこと。死んでも死なない観念は計画としてじっとそのときを待ち、悪霊のように鳥の形をしてこの世に住み着いていました。
 鳥は空を飛び回ります。僕らはそれを日常生活でも頻繁に目にします。彼らは空を自由に行き来し、世界のあらゆるところを飛び、街の中にもごく普通に存在します。意味は異なりますが『グレート・ギャッツビー』もしくは『華麗なるギャッツビー』のT・J・エックルバーグ博士の眼や、『1984年』の冒頭でウィンストンが見るポスターの眼、さらに"ビッグ・ブラザーズがあなたを見ている"の文句、『空の境界 第5章』の巴がコルネリウスを街中で見かけたときに彼の後ろにあった両目の看板のように、この鳥たち(もしくは悪意)も僕らのすぐそばで、その両の眼で「あなたを見ている」のです。その隙を窺っているのです。押井監督がどういう意図で意図的に鳥を使っているのかは知りませんが僕はこう思う次第です。

 この映画で示した、今まで安全安心だと自分が信じていたものが突然裏切り攻撃してくるのも非常に怖いもの。
そこに付け込んできた帆場の計画は相当残虐な事件となり得たでしょう。その度合が悪意のそれだとするならば、この世に残った悪意もちょっとやそっとのものではなかったです。
 おぞましき悪意は果たしてここで消えたのでしょうか。いいえ、この社会に根付いた悪はとても深い。終わりのない人為的なカタストロフは主役を変えて繰り返され続けます。この社会ができたときからすでにそう運命づけられているのです。それは次の映画でも証明されます。

でもまあ、そんなこと考えずともこの作品は単純でいて面白いですよね。うんうん。ホント好き。
{/netabare}

余談

 本作にはオリジナルバージョンとリニューアルバージョンがDVDまたはブルーレイに収録されています。オリジナルバージョンは劇場公開されたとき(1989年)の映像そのままです。リニューアルバージョンは1998年に音楽・効果音を録音し直し、さらに再アフレコをしたものです。
 で、どちらが良いのかというと一言ではとても言いにくい。実際に比べてみると、オリジナルはリニューアルと比べて声のノリがいい。泉野明役の富永みーなさんはもう全然違う。オリジナルの方が元気でいてとても良いです。南雲しのぶ役の榊原良子さんもかなり違います。オリジナルでは声も高くおだやかにリラックスしているように感じ、リニューアルではおしとやかに、大人の雰囲気が一層強くなり諭すようにものを言います。後者はちょうど映画第二弾のときのトーンに近いです。これは押井監督かな。何の根拠もありませんが。後者の方が押井監督の作品の雰囲気にぴったりだし、一言一言が重くなることでその場の空気もシリアスになります。
 音は確かに変わっていると思う。でもね、最初は「変わってんのかなあ。」なんて気にしながら観てはいるけど、結局話に集中しちゃってまったく忘れてしまいます。だから僕にはあんまりわかりません(笑)。
 こう見るとオリジナルの方がいいけれど、全体的な会話のリアリティーはリーニューアルの方が幾分か高いです。それにこっちでは、箱舟突入前で後藤さんが海上保安庁に出頭する際に、南雲さんに一度呼びかけられて「はい?」と返事するところが僕は個人的にとても好きなんです。オリジナルでは「はい。」と普通に返事をするのですが、リニューアルでは「はい?」とわざと語尾を上げて返事をするんです。こういう言葉にしないところでの表現は見事ですし、後藤さんの魅力をこの一言でバン!と表現できちゃってるところはすごい。だから僕はリニューアルの方も捨てがたいです。
 初めて観るのであれば、初めにオリジナルの方を観てみるのがいいかもしれません。これが当時公開されたものですし。もしTVアニメを先に観ていて、後藤さん好きであればリニューアル版を先に観ることをお勧めします。それでこの映画をとても気に入ったら比べて観てみて下さい。何度観たって面白いんですから。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 19

やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

☆近代史を語れるエンタメお手本作品(仮)

■評価
テーマ性  :★★★★★ 5.0
エンタメ度   :★★★★★ 5.0
シリアス度   :★★★   3.0
脚本巧み度 :★★★★★ 5.0
おススメ度 :★★★★☆ 4.5

■ストーリー
レイバーメーカー篠原重工の天才プログラマーである
帆場暎一が不可解な投身自殺を図る。それと同じくして
東京界隈で原因不明のレイバー暴走事件が多発する。
事件対応に苦慮する特車2課であったが、後藤隊長の
暗黙の命により同課の遊馬が単独捜査に乗り出すが
帆場暎一の自殺には恐ろしい陰謀が隠されていた。
1989年劇場版パトレイバー第一弾作品

■感想
本作は劇場版のエンタメ作品としての出来の良さは随一と断言できます。
1989年作品ではありますが、古臭さや前時代を感じるというよりも
近代史を感じるといった方が分かりやすい作品です。

まず本作で一番に褒め称えたいのは、ストーリー構成・脚本と描写の
完成度の高さでしょう。帆場暎一をめぐる捜査の過程で描かれるキャラ達の
心理描写と展開される真相の動線が非常に分かりやすく、視聴している側も
一緒に真相をおっている様な錯覚を覚えます。また予想の半歩先を行く二段
三段落ちの素晴らしいおケツマツもお見事の一言につきます。
押井監督が作ったとは思えない程パトレイバーらしさを保ち、至極の
エンタメ作品に感じれるでしょう。また作中に登場する『サイバーテロ』
『リコール隠し』といった要素は当時よりも現代の方がその恐ろしさを
実感できる点が古臭さを感じさせない要因の一つでもあり、未だに本作を
視聴していない人に薦めてしまう作品です。

そして本作のテーマですが、個人的には『時代への不満と怒り』だと
思います。まず本作の真相の肝は『犯人の動機』になると思いますが
これを考える前に本作が作られた当時の時代背景を少し語っておいた方が
楽しめると思います。
当時1980年代後半は日本は経済大国といわれる程の経済的な発展を遂げ、
時代はバブル時代へと突入していました。そのため湧き水の様に吹き出る
ほどお金が稼げた上に、大枚ばら撒いて昼夜問わず遊び倒し、量産型T式
パンツを見せながら踊り狂うジュリアナ嬢、飲酒運転、高級車の衝動買い
なんてのも当たり前。また日々自覚できるほどの科学・工業・建築技術
が発展した事で古き物(古き良き物も含む)は壊され、物を大量消費し
大量廃棄する事が正義とされ、人も文化も洗練されていない時代でした。
(これはその時代に生きたお父ちゃまにヒアリングして裏をとっております)

この行け行けどんどんの時代で、果てしない欲の追求と無限の浪費生活を
送る日本人に少なからず倫理観への猜疑心、不満や怒りを漠然と感じて
いた人もいたのではないかと思います。おそらく押井監督もその一人だった
のでは??だからこそ漠然としてみえない不満や怒りを、そのまま形を
なさない動機として犯人に宿し、同時にバブル時代の価値観というものを
間接的に風刺したのではないかと考えています。またこの漠然とした時代
への不満と怒りが、明確な形として描かれているのが次作の劇場版パトレイ
バー2になります。

総じて、この100分程度の劇場版作品に色々な要素を盛り込んだ作品であり
作画も含めて褒める所の多い作品です。お時間のある時にでも気軽に
見てみてくださいまし。

でゎでゎ~ご拝読有り難うございました。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 18

やまだ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

★5/不朽のマスターピース

夏の日の1989。なんと31年前。
機動警察パトレイバー the Movie

4DX版が7/17から全国の劇場で公開。
3日間でなんと動員数1万人突破らしい。
やっぱり何回見ても面白いからね。




ヘッドギアという奇跡が産んだロボアニメの究極形

コレは本当にマジで物凄くとても抜群に面白い。
面白いロボットアニメ映画は?と問われれば
これはもう秒でコレ。一択。
ロボ好きを公言している者がもし
万が一にもコレを見ていないということがあれば
そいつの言動はもう以後一切信用しない。
いや見てないなんて絶対あり得ないんだけど。

ロボットアニメだがアクションメインではないので
面白いアニメが見たい人にも手放しでオススメ。
マトモなロボットバトルはラストくらい。
無理矢理とってつけた感があるので、これも多分
押井からすれば無理矢理やらされたんだろうけど。

そして悲しいかな、
この作品に匹敵する押井作品の登場は
もう絶望的だということ。

パトレイバーという作品はヘッドギアの面々により
押井守をある程度コントロール出来る状況下でのみ
発生したケミストリーによるミラクルである。
スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフル
ミラクル。
パトレイバー制作の為に発足したヘッドギア。
押井は途中参加の為、当時既に決まっていた
決定事項について我を通しきれなかった。
押井は主役メカ、イングラムのデザインについて
最初から最後まで納得していなかったらしい。
だが「パトカーは白黒だろ」と当時の常識だった
「主役ロボは派手なカラーリングが望ましい」
を覆した突破力は押井の本分のなせる技である。 
ナンバープレートと指揮車両も個人的にツボ。

ヘッドギアの拘束力でシリアス一辺倒にもできず
学園ドラマのようなコミカルさ、
ロボットバトルのカッコ良さ、
そして何より押井の本領、シリアスなテーマ。

完璧なバランス。

今見てもそこまで古臭さを感じないのは
劇中ほとんどが職務中のシーンであるため
携帯電話を使わないことに余り違和感がないことと
サイバーテロ等のテーマが当時よりも現代のほうが
わかりやすいこともあるかもしれない。



成り行きで乗る事になる他のロボットモノと違って
仕事であんな高価そうなロボットに乗るんだから
宇宙飛行士とか航空機パイロットレベルの
スーパーエリートじゃないとオカシイとか
そんな野暮は言わない。
搭乗者のキャラに合わせて押井がロボを考えたら
多分ヒト型ですらなくなる。
個人的にはそういうのも大好きなんですけどね。
RING of REDのAFWとか、
辰奈1905のトミコローツとか。
でもそれより好きなのは
外骨格、パワードスーツ系。
ALIEN2のパワーローダー、
うすね正俊のコンバットドール、
横山宏のマシーネンクリーガー。
子供の頃、周りがガンプラ買ってたのに
私はSF3D買ってましたからね。
すいません。
このくだりは性癖書きたかっただけです。
こんなのが主役メカじゃ絶対ここまで売れてない。


面白いロボットアニメ(映画)は?
一番好きなアニメ(映画)は?
もう何年も、答えは同じ。
「劇場版のパトレイバー」

投稿 : 2024/10/05
♥ : 19

78.6 2 ロボットで警察なアニメランキング2位
機動警察パトレイバー2 the Movie(アニメ映画)

1993年8月7日
★★★★★ 4.2 (357)
1828人が棚に入れました
一九九九年、PKFに参加した陸上自衛隊レイバー小隊が、東南アジア某国において全滅した--。それから数年後の東京。突如戦闘機F-61が横浜ベイブリッジを爆破したが、報道ではそれが自衛隊機であったと告げられた。民衆は自衛隊への不信感をつのらせていく。特車二課第二小隊の後藤隊長は、事件の背後に九九年のPKFで行方不明となった柘植の存在を察知する。

声優・キャラクター
冨永みーな、古川登志夫、池水通洋、二又一成、大林隆介、榊原良子、郷里大輔、千葉繁、阪脩、西村知道、根津甚八、竹中直人
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

現実にある非現実。そして愛。

前作の箱舟の事件からしばらくした話。本作は前作とは大きく内容も雰囲気も異なる作品となっています。
主人公は篠原と泉ではなく、後藤さんと南雲さん。彼らの一言では割り切れない大人の苦さが寂しく哀しいです。

突如、横浜ベイブリッジに一発のミサイルが着弾したことから
都心に矛先を向けた攻撃が次々となされ東京は戦後今までにない緊張状態に陥ります。
このミサイル事件に関して後藤さんと南雲さんに協力を申し出てきた怪しい男が現れ、そこである男の名前が挙がります。
「柘植 行人」
彼はかつて南雲さんが妻子を持つのにも構わず関係を持った人でした。
それに構わず話はたった一発のミサイルを皮切りにどんどん悪化していき、日本国内(特に東京)さらにそれは外交関係までにも浸食していきます。

この政治にまで発展させるように、どんどんとものごとを膨張させて紡いでいくストーリーは非常に面白いです。
前作と同じようにそれはとても現実的に事が運ぶために気が抜けません。
また、陰鬱とした雰囲気のシーンも多く、ところどころで抑えきれない狂気も見え隠れしています。
実際に自衛隊が動き、街中に異質な空気が流れる描写は見事。
いつ何が起ころうと、その緊張状態にあるモラルの紐がプツンと切れてしまってもおかしくない描写も圧巻です。

僕が思うこの作品の魅力はもちろん上に書いたものもこの作品の重要な要素なのですが、
やはり一番は、後藤さん独特の空気や南雲さんとの会話、彼なりの人としてまっすぐな姿や、
南雲さんの柘植との関係をジレンマに苛まれなむ姿にそれを感じます。
詰まるところ、人の姿です。社会は混乱し、上の人間は保守的になり大事なことを見失おうと
彼らだけはそれに振り回されずただ自分がなすべきことに集中する姿です。
何が間違っていて、するべきことは何なのか。モラルをキッチリと持った特に後藤さんの姿はとてもかっこいいです。
南雲さんは南雲さんで柘植とのかつての関係が頭の隅にありながら仕事に取り組む姿や、
彼との接触シーン、ラストシーンではその切なさを哀しみを持って魅せてくれました。それがあなたの答えなのですね。

難点として挙がる長々とした会話や少し飛躍した会話は、分かりにくかったり観る人の集中力を欠くのかもしれません。
またこの作品自体アニメの中ではあまり求められていない種類のモノでイレギュラーな存在なのかもしれません。
しかし、この作品はアニメーションとして手を抜いたところは一切見られず、
ストーリーも最初から最後まで迷いなく描かれた魂の震えを感じるとても良いものでした。
後続の作品でこれほどまでに現実に迫り、練りに練ったストーリーの中で
後藤さんや南雲さんのような人の姿をその最後まで描き切ったアニメーション作品を僕はまだ知りません。
万人に勧められるかというと決してそうではありませんが、
大量生産される空っぽなアニメとは一線を画した作品であると胸を張って言えます。
すべてが複雑に絡み合い高いレヴェルで差し出されたこの物語はなかなかに素晴らしい作品だと僕は思います。

シリアスで少し哀しみを含んだ話を求めるならばなによりもまずこれをおすすめします。
大丈夫、真剣に観ていれば(結果的には真剣に観ることを余儀なくされるけど)2,3回で一通りのことはなんとなくわかるようになります。



{netabare}

後藤さんってホントかっこいいです。声優さんの演技も抜群です。いやあホントかっこいいw


南雲さんが柘植に手錠をかけた後もう一方の手が自分の手に重ねられ握り返すあの瞬間はいつ見てもじーんときます。
実際に涙目にもなります。なんで?どうして?ってひたすら思う。
でもたぶんそれがわかってたらそんなことはしないのでしょう。
いつ何時でさえそれがわからず、ただ純粋にこころがざわめくのが恋なのだから。
そして発展した愛はどんなものの理由にさえなってしまう。
恋に落ちるというのは誰も悪くない。それがたとえ既婚者でさえも。それは頭でわかっていてもどうにもならないことだから。理屈じゃないから。


{/netabare}

投稿 : 2024/10/05
♥ : 12

tag さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

”昭和おじさんとして、個人的には” 押井守の最高傑作

押井守の作品は、構成的にも、ストーリー的にも手の込んだものが多い。よって嫌いではないです。そしてこの物語は、もはやパトレイバーとは言えないが(設定としては活用)、そんな押井守の、エンタテイメント性と主義主張が、辛うじてバランスした最高傑作と自分では思っています。

押井守は(庵野秀明もそうだけど)、エンタテイメントの創作者というより、「表現者」だと思う。かなり熱く、主張も強い。観客を楽しませるというよりか、観客を自分の側に引き込もうとする。彼は、かつて昭和初期な宮崎駿を共同体を信じていると称し、自分たちは信じていないと言ったりもしていた。平成・令和の現在からみれば、昭和初期も昭和後期も、どっちも同じくらい暑苦しい。ええ、私は好きです。本作には、そんな昭和の表現者感が全方位にでている。

彼の表現者としての「昭和な暑苦しさ」は、これ以後の作品では、どんどん強くなっている。私は嫌いでないけど、エンタテイメントとしては微妙なラインに入ってきていると思ったりする。平成の方々から見れば、本作品も含め「なんとも、まあ、面白いんだが、微妙。。。」ではないだろうか。

さて、問題の中身ですが、テーマは戦争と平和(有事と平時)。押井守自身も戦争を直接は知らない。ただ、今の日本人は、平時における「正常化バイアス」(=「たぶん大丈夫だろう」感)が極めて高い。それは彼も感じているのだろう。海外、特に途上国に行ったりすると、わかっている自分自身でも、この「正常化バイアス」が邪魔をする。この正常化バイアスが物語の主題だ。

ただ、物語としての面白さは豊富に仕込んである。「縦割り官僚制度」「自衛隊とは何か?」「正義の定義」、いやー昭和感満載。

アクションは「リアル感」を前面に。これにより、鮮烈な印象を観衆に与えている。シンゴジラ(庵野秀明)はコンセプトを借用したとしか言いようがないのでは?

忘れられないシーンがある。自分はシーンを切り取って作品を評価するタイプではないが、敢えて。

メインキャラの一人の女性が、ある人に会いに行くシーン。相手からの電話から始まり、そこから音楽(これは、ほんとに秀逸)も始まる。外は夜の雪、暗闇と静寂がシーンを支配、音楽もそれに寄り添う、そして出会いのシーン、メインキャラの背景に暗闇から電車が通る。窓から煌々と漏れる光が相手の顔を暗闇から映し出す。

映画オタクの押井守からすれば、少しこっぱずかしいかもしれない(狙いすぎなので)。しかし、今でも、鮮明に覚えているし、今も見返している。いろんな作品でもこのシーンの対比演出は多用されている。

もう一つ、セリフである。この作品、押井守らしい長台詞や、短いが使えるセリフに溢れている。普通、単にいいセリフと記憶されるのみだが、本作のセリフは、自分の日常でも頻発するようになってしまった。

「出たとこ勝負で」(うだうだ言うな、予測不可能なんだから臨機応変に行くしかないだろう的な局面に多用している。短い言葉だが、全て含んでいる。人生も多分にそうであることが多い。)

「剥き身で」(おいおい、そんなもの見せてどうする?的な局面で。心情を思わず吐露してしまう時など、物理的な開示以外でも使える。)

「まともじゃない官僚には2種類しかいない。正義の味方か、悪党のどちらかだ」(このセリフは少し有名。まさに、おっしゃる通り、「官僚」の部分を置き換えるといろんなケースに利用できる。)

平成・令和の観衆から見れば、少し昭和的なウザさが出すぎて、バランスが崩れているのだけど、昭和な観衆からは、ギリギリで、エンタテイメントと押井の表現がバランスした最後の作品ではとも思ったりしている。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 11

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

パトレーバ―ではないが特車2課ではありました。

 湾岸戦争が1990年でした。この戦争の特徴は人がいない戦争、つまり高度に電子化された爆撃機とミサイルによる戦争でゲーム感覚でTVの前で先進国各国ではニュース映像を消費しました。
 ベトナム戦争やフォークランド紛争の帰還兵の中には戦争の中にしかリアルを見つけられない人がいます。東南アジアの紛争を舞台にしていますが、柘植が置かれた状況はこういう戦争現場で生み出された狂気です。
 柘植という人物はこういう時代が生み出したテロリストでした。

 核抑止力が作り出した仮初の平和の次にくるものは、ネットワークによっておそらくより不安定なものになるでしょう。本作の出来事はクーデターのような混乱を作りだすのが、いかにたやすくなるのかを描いています。柘植という個人の思想が日本をまるで内乱状態のように陥れました。

 本作の戦闘シーンや兵器は徹底的にリアルです。三沢から3機爆装した戦闘機が発進するシーンは鳥肌が立つくらいです。本作のテーマである平和の危うさや虚構性は、戦争がリアルに描かれることで我々に迫ってきました。
 戦争というものを平和の内側から描いた本ストーリーは非常に出来が良く、話としても面白かったと思います。ただ、だったらいつもの問いかけになります。なぜパトレーバーなのか?

 ヒューマンドラマとしては、本作においては南雲だけでしたが非常によくできたストーリーでした。南雲課長代理は、水路で発砲できませんでしたし、最後は髪をほどいていました。髪をほどく=女になるということですので、女として柘植に対して過去の落とし前を付けたわけです。手錠をかけますが指を恋人のように絡めます。
 あの斜視の公安の人間は内面が描かれていないのでヒューマンドラマとはいえませんが、謎としては面白いエピソードでした。
 後藤は活躍しますが、どちらかといえば語り部というか押井守の代弁者でした。

 さて、イングラムがほとんど活躍しません。そして野明も。私は名前を借りた作家性というのは好きではないのですが、本作の出来の良さは認めざるをえません。原作の特車2課および後藤という設定、バビロンプロジェクト後の東京という舞台を上手に使っていました。
 官僚主義や特車2課の無力さというのは原作から語られていましたので、その点でも良かったと思います。内海に対する熊耳のような女性としての因縁もマンガ原作からありましたので、南雲の部分も違和感がなかったと思います。

 ただ、やはりグリフォン対イングラムみたいな活躍が見たかったです。そこをいれてしまうと特車2課がヒーローになってしまうので、本作に入れられないのはわかりますが。

 攻殻機動隊との関連ですが、本作冒頭に多脚戦車が出ています。これはパトレーバ―の世界では無用の存在です。本来なら高性能の軍事用のレイバーを出す場面です。そこを敢えて多脚戦車にしたのは、本来押井守はロボットものを描きたくないのしょう。あきらかに攻殻機動隊のオマージュであり、おそらくこの時点で押井守は原作のファンだったのでしょう。電子による虚構が現実を支配するようなテーマを感じました。

 鳥の群れが沢山でてきます。鳥はキリスト的には霊の象徴ですし、白い鳥は平和の象徴です。一方でヒッチコックの鳥のように白目の無い鳥は感情が無い恐ろしさの象徴でもあります。最後のシーンの鳥はそのトリプルミーニングなのでしょうか。

 ということで、要はパトレーバ―ではないパトレーバ―でしたが、特車2課と後藤南雲の両名など、パトレーバ―世界を上手くつかって、テーマが描けていると思います。
 アニメ映画史上でもっともっと評価されていいのではないでしょうか。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 9

68.5 3 ロボットで警察なアニメランキング3位
サクラ大戦 活動写真(アニメ映画)

2001年12月22日
★★★★☆ 4.0 (81)
415人が棚に入れました
1996年の発売以来、ゲームファンからもアニメファンからも強い支持を受け続けているファンタジック・アドベンチャー・アニメーション初の劇場公開版。昼は「帝国歌劇団」の人気スタア、そしてひとたび帝都に危機が訪れれば秘密部隊「帝国華撃団」のメンバーとなり悪と戦う乙女たちの華やかな活躍を描く。同時上映は「デ・ジ・キャラット 星の旅」「あずまんが大王」「スレイヤーズぷれみあむ」。
 太正十五年、12月の帝都。元星組隊長のラチェット・アルタイルなる女性が帝国華撃団花組に配属される。それは紐育華撃団設立準備のための措置だったが、彼女のワンマンぶりに花組の面々はとまどいを隠せない。同じ頃、アメリカのDS社では政治家・田沼と結託し帝国陸軍に無人霊子甲冑ヤフキエルを売り込もうと画策していた。ある日、いつものごとく “降魔”と戦う花組の前にヤフキエルが突如現れ、圧倒的な強さで降魔たちを蹴散らしてしまう。陸軍での正式採用も決まったヤフキエル部隊は以来快進撃を続け手柄を一人占めしていくのだが……。

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「サクラ大戦」初の劇場版…19年前に上映された映画とは思えない程のクオリティを見せて貰いました。

この作品の原作ゲームは未プレイです。
テレビ版に引き続いての視聴となりましたが、公式HPに「いま、世界最高の水準のスタッフによる夢のプロジェクトが幕を開けます。」と記載されていましたが、この文言の神髄を思い知ることになりました。


大正15年、帝都東京は西洋文化と日本文化が入り交じり、街には蒸気電話、蒸気自動車、
地下には蒸気鉄道網が敷設され、独特の文明が築き上げられていた。
しかし、この一見華やかな舞台の裏側には、"降魔"と呼ばれる
異形の怪物が跋扈する闇の世界が潜んでいた…

通常の軍隊、警察では到底手に負えないこれらの怪物から帝都を防衛すべく、
闇と戦う秘密部隊「帝都歌劇団」が組織された。

だが、驚くべくことに、隊長を除いた全てのメンバーは華もはじらう乙女たちであった。
彼女たちは、昼は帝都の人気スタア、「帝国歌劇団」として大帝国劇場で華やかに舞い踊り、
一度、帝都に危機が迫ると「霊子甲冑」に身を包み、
「帝都歌劇団」として加齢に戦う戦士たちである。

花組の隊長である大神中尉を巴里へおくりだした、さくらたち花組のもとへ
元星組の隊長ラチェット・アルタイルが配属される。
合理主義で個人主義のラチェットと隊員たちの確執が深まる中、
帝都は謎の降魔軍団の出現に脅かされていた。

度重なる失態を繰り返す花組に対して、帝都不要論が囁かれる中、
リーダー不在の花組に未曾有の危機が迫る!!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

視聴を始めて直ぐに気付くこと…
それは圧倒的なまでの映像美です。
テレビ版の視聴後に見たからかもしれませんが、動きの滑らかさも半端無いんです。
現在のアニメとクオリティに遜色がない…
これって、19年前では相当なことだったと思います。

そしてもう一つ気付くのが、テレビ版より花組所属隊員が増えていることです。
元々花組は以下の6名で構成されていました。

真宮寺さくら(CV:横山智佐さん)
神崎すみれ(CV:富沢美智恵さん)
マリア・タチバナ(CV:高乃麗さん)
アイリス(CV:西原久美子さん)
李紅蘭(CV:渕崎ゆり子さん)
桐島カンナ(CV:田中真弓さん)

そしてこの劇場版から加わったのが以下の2名です。

ソレッタ・織姫(CV:岡本麻弥さん)
レニ・ミルヒシュトラーセ(CV:伊倉一恵さん)

この2人は、元はエリート集団と言われた星組に所属していたメンバーです。
だから一時的に花組に星組が集結した形となった訳です。
星組は花組より先行して結成されましたが、故あって解散となりました。
どうして星組が解散となったのか…
この物語の顛末も見どころの一つだと思います。

そしてこの物語のもう一つの幹は、花組の存在を脅かす正体不明の人型蒸気の登場です。
この招待不明の人型蒸気の一番の脅威は無人で稼働できることだったんです。
機械は壊れたら直せば良い…
ですが、人間はそういう訳にはいきません。
一時は絶体絶命のピンチに追い込まれる花組ですが、そこから彼女たちの獅子奮迅の活躍を目に焼き付けて欲しいと思います。

主題歌は、帝国歌劇団による「劇場版・奇跡の鐘」

上映時間85分の作品でした。
凄い作品を見てしまった…という思いと大団円のエンディングに大満足です。
気持ち良く視聴させて貰った作品でした。
引き続き「サクラ大戦 神崎すみれ 引退記念 す・み・れ」を視聴したいと思います。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 11

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

真写動活的漫浪正大

ゲームとして大ヒットしてOVAやTVアニメ等を
中心に様々なメディア展開で人気の作品かな。

大正浪漫を感じさせる時代背景にスチームパンク
を取り入れて戦隊ものとして描かれている様です。

歌劇団の歌で始り主だった人物が登場・・さて?
ここから何が始まるのかな?等と漠然と予備知識
等が無い状態で視ても楽しめる作品でした。

淡々と進む展開の中でも鍵となりそうな人物等や
メインキャストのイメージが徐々に理解できる様
な優しい構成になっています。

所謂複線の見せ方が王道で、あ?何か起きそう?
とか、この人胡散臭いな・・とか後半に結ぶ布石
になるシーンでは?等と楽しませてくれます。

何か起きる・・此処から大きな展開が・・そこに
スチームパンクなメカデザインは・・可也はまる。
レトロな雰囲気とか・・そういうレベルではない。
この構成も演出もメカデザと見事な描写で活かされ
世界観を強烈に印象付けて魅せつけてくれます。

キャラデザは少々安定しない?と思う部分や挿絵
等と若干ギャップを感じますが・・
キャラのイメージ等は良く出ていると思います。

声優は正直巧いとは感じませんでしたが・・
作品のイメージを台無しにするとかキャラの印象
を壊す様な事は無く、概ね役処の雰囲気は感じた。

音楽も世界観に合った雰囲気で効果的に使われ、
効果音等も映像を巧く引き立たせている。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 1

漆黒メイド さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

サクラ大戦で一番見るべきアニメ

サクラ大戦の世界観は「歌」にあり!
最初に「歌」があってその後物語りがある形を作りたかったと話ていた。
作者の王子と作曲家の田中公平先生の世界がこの映画で分かりますw
なんといっても冒頭が歌から始まり華やかなサクラの世界が広がるのです。
ワクワク感がハンパないですよ!( *'ω'* )
見るべき順はOVA>映画>テレビって感じですね。
もし、まだサクラを知らない方はPS2版の「サクラ大戦~熱き血潮に~」
をプレイしてみてください。最初はゲームをやった方が絶対いいです。

OVAは初期のサクラ大戦も見れますし、明るく華やかなで楽しいサクラが見れて面白いです。

TV版は全体的に暗く、戦闘方法も改変せれていて、ゲーム版の魅力が薄れている印象ですね。最大の霊愛とかよりヒロインのさくらがメインで頑張る話なので
もし、サクラの世界観を知るのならゲームをやった方がいいです。
クリアは難しくないですよ。
TV版は25×30=750分で約13時間ほどなのでゲームクリアは10時間もいらないです。

映画版はドンと1&2のキャラが来ますが話は面白いので見て損はないかと思います。
ゲームやって映画をまた見ても楽しいと思いますよ。一緒にサクラファンになりましょう!

投稿 : 2024/10/05
♥ : 2
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