ロボットで姉妹なアニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のロボットで姉妹な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月04日の時点で一番のロボットで姉妹なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.5 1 ロボットで姉妹なアニメランキング1位
機動戦艦ナデシコ The prince of darkness(アニメ映画)

1998年8月8日
★★★★☆ 3.9 (436)
2167人が棚に入れました
先の戦争終結より3年が経った西暦2201年。地球と木星間に和平(休戦条約)が結ばれ、人類は再び一つになろうとしていた。そんな中、ボソンジャンプを新たな交通手段として使用する計画「ヒサゴプラン」のコロニーが次々と襲撃される事件が発生する。連合宇宙軍ナデシコB艦長ホシノ・ルリ少佐は、事件調査のためターミナルコロニー「アマテラス」へ向かうが……。

声優・キャラクター
南央美、うえだゆうじ、桑島法子、日髙のり子、三木眞一郎、伊藤健太郎、高野直子、岡本麻弥、飛田展男、小杉十郎太、小野健一、横山智佐、菊池志穂、長沢美樹、置鮎龍太郎、松井菜桜子、大谷育江、一城みゆ希、山寺宏一、仲間由紀恵

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

テレビ放送編から5年…状況は大きく変化していました

この作品はTVアニメ版の続編に位置する作品です。物語の内容に繋がりがあるので、TVアニメ編を未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

火星での壮絶なラストから5年…物語は突飛なところから始まります。
ミスマル・ユリカの父が墓前の前でお墓に向かって話しかけているのですが、その相手が何とTVアニメ版の主人公とメインヒロインだったアキトとユリカなんです。

メインキャストを序盤でバッサリって…頭の中は?マークでいっぱいになりました。
「どんな展開になっていくんだろう…」
と思っていた矢先にナデシコが登場するのですが…艦長はなんと電脳美少女のホシノ・ルリだったんです。

ルリちゃんは16歳になっていました。
世間では「史上最年少の天才美少女艦長」と呼ばれており、大人から子供までもが知っている人気ぶりなんだとか…
そしてこの劇場版は彼女を中心に物語が動いていく事となります。

TVアニメ版のナデシコの乗組員は個性派揃いでしたが、憎めない人たちばかりでした。
劇場版で見たかったのはみんなの勇姿…けれども蓋を開けてみると当時の面影は僅かにしか残っておらず、みんな地球でバラバラになってしまっていたんです。

「ナデシコに乗り込む」という事は、危険に向かって自ら進んで行く事…
だから地球上で危険と隣り合わせではない普通の生活を臨んでも構わない訳ですし、自分がその立場なら間違いなく安全を取ると思います。

でも、全員が安全を選択したかというと必ずしもそうではありません。
ナデシコの新艦長であるルリちゃんが良い例です。
彼女はナデシコを自分の居場所とし、メインコンピューターである「オモイカネ」との繋がりをとても大切にしていました。
それにオモイカネも相変わらず茶目っ気タップリで応えています。

変わる事は決して悪い事ではありません。けれど、変わらない事を選択する勇気も大切だと思います。
彼女が変わらずナデシコに自分の身を置いているのは、この場所を守りたかったから…
アキトがいて…ユリカ艦長とみんなと過ごした大切な場所だから…
自分を変えてくれた場所だから…

改めて考えてみると、ナデシコに乗り続ける理由ってたくさんあるように思います。
自分の意思でそれを忠実に実行しているルリちゃんを見ていると本当に彼女は変わったんだなぁ…と思いました。

一方、物語の方は謎のコードネーム「OTIKA」がコンピューター上に表示されてから予想外の方向に転がり始めます。
ここで感じるのは5年の歳月がもたらした傷の深さ…だったと思います。

絶対変わりたくなかった…だけど変えられて…もう戻れなくなった…
時間の使い方は自分で決める…そんな当たり前の事すらできなくなった…
途切れない思いと行き場を失った思いが交錯する…答えなんて出せないくせに…

そしてルリちゃんは呼びかけます…
旧ナデシコ乗組員はその呼びかけにどう応えるのか…気になる方は本編でご確認下さい。

約80分の作品でした。ラストも綺麗な纏まっていたと思いますが、個人的にはそこまで綺麗に纏めなくても…と思ったのも事実です。
でもルリルリの衝撃発言や続編を示唆する伏線がたくさん残されています。
絶対続編を期待させる展開なのに…
大人の複雑な事情が色々あるようですが、続編が決まったらファンが大喜びする事間違いなしの作品だと思いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ホシノルリが美しい。ブラックサレナがカッコイイ。

 バブルが崩壊しているのにノリだけは引き摺って、真面目が間抜けと同義になったころの作品。アニメの演出も悪ふざけ的でそういった時代性が色濃くでています。
 ただ、初めは悪ノリが鼻につきますが、ワンカットワンカットがえっというくらい尻切れトンボで作られており、戦闘シーン、ナデシコ艦橋、SF的な設定などの確かさと相まってこのノリというかテンポが心地よくなって行きます。すぐに映画世界に引き込まれてゆきます。もちろんこのノリは昔のナデシコの続きである証でもあります。

 その後、地上での墓参りのシーンなどに象徴されますが、そういった悪乗りは抑えられて、物語のダークな部分を際立たせています。

 で、中盤の終わりの墓場のシーン。非常に印象に残っております。青空の下の喪服姿のルリルリの美しさはもちろんですが、レシピを渡すシーン。彼には未来の無いことをアキトはルリに宣言します。明示されませんがレシピが彼の人生の象徴なのでしょう。たとえユリカが救われても2人には将来が無いような予感がしました。ここが本作の一つのクライマックスな気がします。
 アキトとホシノルリの強い絆が伝わって来て、美しいながら悲しいシーンでした。

 このシーンを見て思い出すのが、ホシノルリもまた遺伝子操作された人間だということです。こういう非人間的な暗さを相対化するためにも、悪ノリが必要だったのでしょう。TVシリーズもノリの部分が強調されて明るいストーリーに見えますが、実はすごく暗い設定が根底にあるので、そこを強調したのだと思います。

 で、本作はボソンジャンプの支配権をめぐっての争いと陰謀がストーリーの幹になっていますし、それこそがアキトとユリカの悲劇的な状況の元凶ですが、これ自体はストーリーの本筋ではありません。
 やはりナデシコという戦艦に乗り込んだ人間たちが勝手な事をやっているように見えて一致団結して敵を倒すということ、何よりボソンジャンパーとしてのアキトの悲惨な現状と未来をちゃんと説明して結末を迎えるのが、この映画のメインストーリーだと思います。

 TVシリーズの続編として、ナデシコの世界を終わらせるストーリーは暗く悲しいストーリーですが、いい話だったと思います。2期の企画が駄目になった話をよく聞きますが、この映画の出来からいってこれでも良かったのかなという気がします。

 結論を言えば面白いと言うよりは非常に「いい映画」でした。時代性はありますがそれが素晴らしくて味わいたくなります。アニメの出来は最高水準でした。

 それにしても、ホシノルリは美しかったです。デザインもさることながら、演出や画が良くできていました。ナデシコ艦橋でほぼ立ったような姿勢で、指揮を執る姿はゾクゾクしました。
 あとはブラックサレナですね。音楽の良さと合わさって、鳥肌が立つくらいカッコ良かったです。
 ホシノルリとブラックサレナは出色の出来なので、これだけでもこの映画を見る価値がありました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

lostmemory さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

あまりにも衝撃的だった劇場版

当時リアルタイムで見に行ったけど
これほど出だしで衝撃を受ける劇場版も
まあそうないよなあという感じ
ネタバレは防ぐけど、ちょっとだけ。
普通アニメで主人公務めたキャラはそのまま
劇場版でも主人公なのが当たり前だが
主人公が交代した時点で驚きに値する

なおアニメの方を見てないと分からない
ところだらけなのでアニメの方は先に
必ず見ておこう。

作画は今見てもかなり高いレベルで良い
ちゃんと色々設定を練り込んで作ってある
のが良い。あと音楽。個人的に最高だった

ロボットアニメではあるけど主役はタイトル
通り戦艦。こういのって宇宙戦艦ヤマト以来
な気がする。それはともかく戦艦も一応活躍
するけど、それ以上に多くのキャラクターの
群像劇がこの作品の最大の魅力。パトレイバー
とか思い出す。ロボットや戦艦はあくまで
引き立て役というか。個人的にロボットアニメ
の理想がソレなんだよねえ

多少脱線したがアニメを見て気に入ったら
こっちも見ておいて損は無い。凄くショック受ける
人もいるかもしれないが、個人的にはここまで
挑戦した意欲的な劇場版アニメはそう無いので
高く評価したい。よくあるアニメで人気でたから
勢いで劇場版も作りました!みたいな軽いノリの
作品ではないので。むしろ重すぎる


※追記※
この作品の終わりに納得出来ない人は、ちょっともう
手に入りにくいですがキャラデザと作画監督努めた
後藤圭二氏の画集でルリがドレス着ているのが表紙の
やつを買ってください。これの巻末に後藤圭二氏自ら
描き下ろしの後日談の漫画があります。これが凄く
良い内容で、何故これを映像化しなかったんだ!と
言いたくなるくらい綺麗な終わり方してます。
本作ではメインヒロインから交代したユリカがしっかり
メインヒロインに戻ってるのが素晴らしい。
ただ画集自体はナデシコは半分くらいなのでそこは注意。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

73.7 2 ロボットで姉妹なアニメランキング2位
プロメア(アニメ映画)

2019年5月24日
★★★★☆ 3.8 (219)
1060人が棚に入れました
世界大炎上――。全世界の半分が焼失したその未曽有の事態の引き金となったのは、突然変異で誕生した炎を操る人種<バーニッシュ>の出現だった。あれから30年―― 攻撃的な一部の面々が<マッドバーニッシュ>を名乗り、再び世界に襲いかかる。対バーニッシュ用の高機動救命消防隊<バーニングレスキュー>の燃える火消し魂を持つ新人隊員・ガロと<マッドバーニッシュ>のリーダー・リオ。熱き魂がぶつかりあう、二人の戦いの結末は ――。

声優・キャラクター
松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人、佐倉綾音、吉野裕行、稲田徹、新谷真弓、小山力也、小清水亜美、楠大典、檜山修之、小西克幸
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

TRIGGERが放った完全燃焼系エンタメ映画の勢いは未だ衰えず【4DX再燃レポ追記】

今月より始まっている4DX上映行って来ました♪

4Dも本作みたいに後付け4D企画ともなると、
ピンキリの差が激しく、冒頭の4DX導入映像が4D効果のピークだったw
何てことも珍しくはないのですが、本作はガチでした。
アクションシーンでは初戦から本気で振り落としに来ており、
尊氏も落馬寸前でしたよwほぼ滅殺されかけましたw

揺れも普通の地上戦なら、座席の動きもある程度予測が出来るので、
落ちる!なんて感覚は生じ得ないのですが、
本作の場合は元が、人間射出装置から始まり、
足場が傾き、壁が地面になる、オールレンジな空中戦。
4D座席も普段使ってない関節まで解放して、
鑑賞者をフルボッコして来る感じ。
これだけ運動性能を発揮して貰えれば4D施設も本望でしょう。

私の『プロメア』鑑賞は
前日譚付上映に続いて、今回の4DXが2回目と言うだけですが、
こういう特殊な上映企画にガチで取り組む姿勢には熱くなりますね。

『プロメア』は他にも爆音だの、絶叫応援だの、
色々やって来ているとのことですが、
きっと、どの企画でも完全燃焼しているのだと思います。

本作が半年近くに亘ってロングランしている秘訣の一端を垣間見た気がした、
企画力がある4Dでした♪



以下、2019/9/11 初回投稿レビュー。

長いので折りたたみw

{netabare}
5月末の公開当時は何となくスルーしていたオリジナル劇場アニメ。

スタッフ、キャスト陣からして熱い映画であることは分っていましたが、
ちょっと熱すぎて、これから夏本番、
夏バテ必至の私には受け止めきれないのでは?と言う懸念が先立ちましてw

逃げ回っていれば、本作もその内、鎮まって、
夏の終わりと共に上映終了していくのだろう……。

そう高をくくっていたところ、消え去るどころか、
8月下旬、公開も既に100日に迫る中、興行収入10億円突破を祝して、
入場者特典のweb配信短編だった前日譚の「リオ」編、「ガロ」編も付けて、追加上映するぞ!
との何とも暑苦しい一報が飛び込んで参りまして。

熱気に根負けした私も、この夏は色々とモヤモヤ燻っていたこともあり、
もういい加減、観念して熱源に飛び込むことにしました。

一回の鑑賞で3回制作会社のロゴとかを見るのって、
随分久しぶりだったのでソワソワしましたがw
リオ、ガロどちらが主人公でライバルかも分からない程度の
予備知識しか持ち合わせていなかった私にとっては、前日譚2本も良い予熱になりました。


内容は火花をぶつけ合う強敵(とも)の熱気が、
地球丸ごと巻き込んだラスボスとの最終決戦へと昇華していくお馴染みの超展開。

トリガー作品においては、この社会風刺や着眼点は、
テーマとして掘り下げれば、もっと深い作品ができるかもしれないのに、
そんな高級木材すらも、ファイナルバトルの薪としてくべるのは勿体ない……。
と感じることが時々ありますが、本作もまさにそんな感じの大狂宴でしたw

例えば{netabare}ストレス社会の極みが着火点となる“バーニング火災”、
行き過ぎた秩序は、社会の自由の“凍結”を招く。
こうした火と水の属性、消すか消されるかの対立軸を、
自由と秩序、それぞれの功罪と対比に重ね合わせる比喩表現とか。{/netabare}

前半は、結構、考えさせられる場面もありましたが、
後半は、頭真っ白になって燃え尽きていましたw

けど、それを敢えて望んで突撃した、その時の私にとっては、
満足度の高い劇場鑑賞となりました。


何より作画、特にスピード感溢れるバトルシーンの映像が圧巻でした。

“バーニング火災”の現場では江戸の町火消伝来の纏(まとい)やら
パワードスーツみたいな消火装備やら、
果ては{netabare}変身ヒーロー?や巨大ロボや、巨大宇宙船、
さらにはワームホールや{netabare}滅殺開墾ビーム(笑){/netabare}{/netabare}に至るまで、
あらゆる中二病バトル要素が、絶叫同然のセリフや打ち出されるテロップと共に、
続々と投入され、カオスな戦場と化していますがw

本作のバトル映像には、それらを世界に向けて正当化するだけのパワーがあります。
最近『シンカリオン』の供給を絶たれ、不完全燃焼だった私のロボット魂も含めて、
スッキリと完全燃焼できる、この夏もっとも熱い映画でした♪

中々、火が付かなかった湿気た私のハートまで、
異例のロングラン上映で、執念深く熱風を送ってくれたスタッフの方々や、
それを後押しした“強火”のファンの皆様には改めて感謝申し上げます♪{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

Trails_fire_You_always_knew♪They_would_carry_me_on_They'd_lead_me_to_you♪

『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』を手掛けた今石洋之監督と中島かずき脚本のタッグで描く劇場用長篇オリジナルアニメ
キャラデザはコヤマシゲト、音楽は澤野弘之、制作はTRIGGER
主要キャストに松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人ら劇団☆新感線の経験者
その脇を固めるのは主に『キルラキル』に出演した本職の声優陣です


「バーニッシュフレア」と呼ばれる炎を操る新人類「バーニッシュ」が突然変異として出現した近未来
バーニッシュを危険視し、弾圧する人々とそれに反発したバーニッシュが衝突したことで引き起こされた未曾有の大災害、「世界同時大炎上」によって人類の半数が消失してから30年が経過
世界は一時的な平穏を得たかのように見えていた…
炎上テロを引き起こすバーニッシュの過激派「マッドバーニッシュ」に対抗すべく結成された高機動救命消防隊「バーニングレスキュー」の若き熱血漢、“ガロ・ティモス”はマッドバーニッシュのボスであり並外れたバーニッシュフレアの使い手である少年、“リオ・フォーティア”を激戦の末に逮捕することに成功する
街を救った英雄としてガロは司政官でありガロの恩人でもある“クレイ・フォーサイト”から勲章を授与される
しかしクレイは危険な疑惑と壮大な野望を隠していた…


一言で言ってしまうと【とにかくアツイ!】アクションエンターティメントなのですがソレで片付けてしまうのはモッタイナイ傑作です


主人公のガロは救命消防士なのに半裸って時点でただでさえツッコミモノなのに、「燃えていいのは魂だけだ!俺の燃える火消し魂の方がアツイんだよおおお!!!」とか啖呵切ってるのが無茶苦茶w
この中島かずき節を松山ケンイチがスーパー歌舞伎の要領でアツく、キレ良く演じきってくれるので本編のテンポの早さも相まって111分がとても短く感じるほどスピーディーに進むのが気持ち良い


バーニングレスキューのメカ達は勇者シリーズとかメタルヒーローを彷彿とさせ、これだけでもワクワクモノ
バーニングレスキューのメカの名前は全部『ワイルドスピード(Fast&Furious)』の邦題ですね
後半は旧ガイナックス作品を思い起こさせる壮大なスペースオペラとなるのも胸熱で、観終えた後の爽快感と感動は『トップ1・2合体劇場版』に似ています


とにかく一番に褒め称えたいのは絶え間なく続くアクションのカッコ良さです
何気ないカットの一つ一つ、全てがカッコイイので捨てる部分が全く無いんですね
本筋で無い脇役のアクションですらカッコイイ
ソレらを実現したのはトリガーの得意とする紙に鉛筆で描くアナログ作画、動画や色彩も含めてアニメタが管理するデジタル作画、そしてサンジゲンが主体となった3DCGの全てを見事違和感無くシームレスに調和させた技術力です


既にアメリカのソニーピクチャーズの『スパイダーバース』が先んじて2D的な表現を3DCGで成功させているのですが、『プロメア』は見事『スパイダーバース』に追いついた作品だと言えるでしょう、それも完全に
まさにこの『プロメア』こそが日本のアニメの最先端なのです
『スパイダーバース』にも共通しているのですが、あえてポリゴンを大雑把に、色数やグラデーションを減らしたカートゥーン調にするのが作画とCGを調和させるポイントの様です


特に2D作画の良さを取り入れつつ、2Dの弱点である回り込むようなカメラワークを3Dでスピーディーに描写しているのが美しい


アメリカのRoosterTeathの『RWBY』という3DCGアニメは、明らかにガイナックス作品やトリガー作品を意識したアクションを本編に取り入れている事が観受けられますが、本家本元のトリガーから3DCGの良いトコ取りをした作品が登場するとは飛んだ伏兵でしたね
逆を言えば、今後『RWBY』が目指すのは間違いなく『プロメア』のアクションでしょう


今作、『モンスト』でお馴染みのX FLAGから多大な予算を与えられるなどかなり好条件が揃った作品でこのような機会はめったに無いと思います
後にも先にも貴重な歴史的傑作になったのは明白です
澤野弘之の劇伴もsuperflyの劇中歌も鳥肌モノですので是非劇場で、特に川崎チネチッタ8番スクリーンLIVE ZOUNDでの鑑賞をオススメ致します


余談ですがガロのバイクはカワサキGPZ900R、アイナのバイクはKTM RC8ですね

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8
ネタバレ

きつねりす さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

旧ファンは堪らない、はじめましてでも十分楽しめる映画

「流石今石洋之×中島かずき!」というよく練られた良い作品。「天元突破グレンラガン」「キルラキル」といった過去作を彷彿とさせるアイテムやキャラクター・描き方など、2人のネームバリューで引き込むファンを喜ばせる演出が粋でした。
<例>
・主人公ガロの度々行うガイナ立ち
・登場の前口上・技名のキメ、そして字がドン!という演出
・デフォルメ具合
特に{netabare}最後のワンシーンはもうまんまグレンラガンって感じで、見ている男たち(自分も含め)は「コレだよコレ!」ってなってる構図{/netabare}。形は違えど、やはりこのタッグはいいものを作るなぁと思います。
ビジュアル的には、絵柄もタッチも独特で、アクションシーン・背景などをあえて幾何学模様を主調にして描かれているところは最初「?」となりましたが、段々とアクションが過熱してくるにつれて気にならなくなっていました。配色もピンクとか黄色といった明度の高い色が多いというのが斬新。画面で見ると結構チカチカしてしまって、肝心のキャラがどこにいるんだろう?という箇所はいくつかあったように感じますが、全体的にみるとスクリーン全体に広がる動きと色というのは見応えがありました。そしてやはり作品の没入力が強い。細かいですけど、場面転換の手法も新しくて、スムーズかつ分かりやすく、アニメーションのスピード感を生んでいてへぇ~と感心してしまいました。
ストーリーは、2時間弱でもやはり密度の高い作品を作るな、という印象。話自体の骨格は似たようなものはあれど、世界設定や主人公の一本筋が通った感じのキャラクターなどは今石×中島カラーといっていいでしょう。今回の主人公ガロ・ティモスは過去作のキャラと比べると冷静な一面も持ち合わせていますが、一直線さといい最後は根性だ気合だ!というところはブレてません。熱い!{netabare}最初の敵と共闘してさらに上の敵を倒す構図、そして最後は無に帰り一からやり直していくという展開も一種のフォーマットなのかなと思います{/netabare}。そして何度見ても「最高」と思える。勢いと深みが共存していると思います。
今回見ていて改めて思ったのは、日常生活で当たり前に使っているものの繋がりを引きずり出していくストーリーはやはりこの2人ならではの味だなと感じました。キルラキルで「きる(切る・着る)」「糸」「繋がり」といった言葉で話を回していくように、このプロメアのストーリーも「炎」「消す」「燃やす」といった言葉が話に厚みを作っていると思います。普段自分たちが「燃える」とか「炎上」とか使っている中で、言葉を体現しながら観客をそのアニメの中の世界に引きずり込むのは見事の一言(そして最後への持っていき方・締めくくりが見事)。
音楽面では、劇伴の歌モノ感が記憶に残りました。最近ONE OK ROCKやMAN WITH A MISSIONといったバンドが鳴らすようなアリーナ系の壮大な音楽を彷彿とさせるもので、耳からのインパクトもなかなかのもの。一過性のものが多く、「inferno」というテーマソングが何度か使われていた以外はそれほど記憶に残っていないので(作品に没頭しすぎて)、この部分は後日サントラをチェックして作品を思い返したいなと思います。
役者としては、特に堺雅人の熱演が気合入ってました。{netabare}冷静でいながら内に秘めたるものがある感じ、その足枷を開放して自分の本性を明らかにする吹っ切れ方がやはり本物だ!と感じました{/netabare}。脇を固めるキャラクターの声は他のトリガー作品にも出てる人たちが担当していて、一ファンとして嬉しかったです。やはり猿投山の声だと噛ませの役回りになるのか(笑)等。
見に行った時間帯的にお客が少なかったこともあり、よく入っている時の客層などはあまり分かりませんが、間違いなく言えることは「グレンラガン」「キルラキル」を見ている人なら一見の価値あり、ということです。またこのタッグは何らかの形で作品を作ってほしい!そうなるとテーマも凄く楽しみです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

65.9 3 ロボットで姉妹なアニメランキング3位
あした世界が終わるとしても(アニメ映画)

2019年1月25日
★★★★☆ 3.4 (89)
354人が棚に入れました
幼いころに母を亡くして以来、心を閉ざしがちな真。彼をずっと見守ってきた、幼なじみの琴莉。高校三年の今、ようやく一歩を踏み出そうとしたふたりの前に突然、もうひとつの日本から、もうひとりの「僕」が現れる――。

声優・キャラクター
梶裕貴、内田真礼、中島ヨシキ、千本木彩花、悠木碧、水瀬いのり
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

設定の為の設定、お話の為のお話で中身が無いうえにCGかあ

 SFはサイエンスを意識しすぎると発想が委縮してしまうので、ファンタジーや荒唐無稽な設定であっても、物語に理屈と整合性がありできればテーマ、驚き、センスなど何を描きたいのかが明確なら立派なSFだと思っています。タイムリープとか超能力がいい例です。

 本作の設定部分ですね。 {netabare}設定自体は鏡面世界のようなイメージで昔は太陽系の裏を回るもう1つの地球があって自分とそっくりな人間が…みたいな感じの作品があったと思います。それはいいでしょう。

 ただ、命のリンクですね。「二ノ国」なの?とまず嫌な予感がします。しかも一つの国は荒廃した内戦状態でここも似てますね。で片方で死んだらもう片方も死んで、それが突然死って…突然死がそんな理由で起こって世界が成立するわけないです。
 ある日突然突然死が認知されるのも変だし、そもそも死因のトップが突然死になるはずです。だって、片方の国のあらゆる死が全部こっちの世界の突然死になるんだから。

 これでは作中の地球の状況が現実の我々の世界から地続きじゃなくなってしまいます。これはSFの味わいとしていただけませんん。何よりもこれは設定から発生する「現象」であってここが荒唐無稽ではいけません。ここを考えるのがサイエンスフィクションです。

 で、実は戻す方法があるんだと言葉だけで説明されたり、敵キャラがわざわざ弱点を作ってくれたり。そもそも敵の動機も目標も非常にあいまいなので、その戦いそのものにまったく感情移入できません。で、話はやっぱり「二ノ国」そのものでしたね。どうしてあの作品の模倣をするかなあ?しかもドラマ的にはもっと薄いというか… {/netabare}

 しかも、この設定に基づくドラマに内容がないうえに、ロボット科学が並行して発達しています。この理屈が世界観の設定から導かれないといけません。本作はバトルを見せたかったからくっつけた設定でしかないです。

 じゃあ、ヒューマンドラマとしての恋愛に乗っかれるのか、という話です。いやお前らもう付き合っちゃえよ状態から始まります。デートして上手くいくかもと思ったら…ですね。いや、それは説明じゃん。はじめの30秒で見せてよ…いや、初めからそれでスタートすればいいじゃん、というレベルのドラマという名の茶番です。この恋愛劇の薄さは「永遠の831」というもう一つの類似例を思い出したりしました。

 CGですね。技術的には悪くない水準なのですが、SF、バトル表現としてはともかく、ヒューマンドラマをやらせるにはちょっと厳しいですね。中途半端にレベルが高いだけに帰って不快感に繋がっている気もします。CGならではの魅力が感じられません。

 ということで、設定と大きなストーリーは「二ノ国」でラブストーリーの部分は「永遠の831」という感じの作品です。設定の為の設定、お話の為のお話、CGの為のCGで中身は…ほぼゼロです。
 正直、なぜこういうのが作られのか不思議になるレベルで、私の主観的印象は「駄作」でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

ホロムギ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

注意!これはSFバトルアニメです。

調べたところ、本作はHuluオリジナルアニメ『ソウタイセカイ』をベースにして、世界観とその延長線上で起こるドラマだそうです。
主要人物などが同じらしいですが、続編というわけではなく、『あした世界が終るとしても』だけで完結しています。キャラの関係性が変わっていたりするようですが、大まかな内容は似ているようです。
本作だけ見ても問題はありません。



ではレビューです☆
青春ラブストーリーだと思って見始めました。

私みたいな人のために公式ページイントロダクションから一部抜粋。

【幼いころに母を亡くして以来、心を閉ざしがちな真。彼をずっと見守ってきた、幼なじみの琴莉。高校三年の今、ようやく一歩を踏み出そうとしたふたりの前に突然、もうひとつの日本から、もうひとりの「僕」が現れる――。】

前情報を一切知ることなく見始めて、始まった3Dアニメーション。
3Dのラブストーリーに感情移入できるかなと不安でしたが、そんな不安は必要がないことがすぐにわかります。
突然襲われる主人公。ぬるぬると動く戦闘シーン。
思ってたのと違うなーと感じましたが、バトルものなら3Dでもいいかと気持ちを切り替えました。勝手に勘違いした私が悪い。これはSFバトルアニメなんだ。

今調べたところ、モーションキャプチャーを用いて普通の手書きアニメなら動かないような髪や服、視線など細やかな動きが描かれているそうです。
この繊細な動きは慣れておらず、違和感を感じる方も多いと思いますので好みは別れそうですね。
アフレコでも息遣いやリアクションを多く入れているそうなのですが、個人的には日常パートにそこまでの繊細さは必要ないかなーと思います。どちらかといえば私も違和感を感じるほうなのかもしれませんね。
10年先にはこれが普通になってきている気もします。

3Dで描くバトルシーンは非常に綺麗だと感じました。
そんな戦闘シーンはキャラがアップで描かれることが多いように感じました。キャラが3Dでアップのため、迫力があるかと聞かれれば首をひねります。しかし、手書きアニメなら、火花や斬撃で手元まで描かれないようなところも、本作では指先までしっかり描かれており、キャラの息遣いが強く感じられるのです。


キャラはレムがとても可愛く・・・
間違えました。ミコです!声優が同じで、キャラのデザイン、雰囲気、双子、と共通点が多く、人気アニメを思い出すこと必至ではありますが、レムではなくミコです!
最初のころの服装が可愛かったと思います。
最後の方、なぜ着替えさせたのだパパさん!!!


物語は。。。
まぁ、近未来SFバトルです。
ちょっとぶっ飛んでるし、よくわからないところも多いですが、目をつぶって下さい。このアニメはキャラ重視です!!
最後のオチはちょっと納得がいきませんでした。



総評。
これは3Dキャラアニメだから!物語は二の次だから!
オチとか考えるな!ご都合主義で構わないじゃないか!
まぁそんな感じです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

世界と中二病は終わらない

2019年1月公開のアニメ映画。
Huluで公開された『ソウタイセカイ』という作品を
ブラッシュアップして劇場アニメにしたもの。

本作はスマートCGアニメーションで制作されているのだけど、
要はフジ系列の+Ultra枠の「revisions」「INGRESS」とルックは同じ。
制作・監督は「INGRESS」と同じで
「revisions」を観ているとこの映画のCMが流れてくる。
3Dは動きの速いシーンは綺麗なんだけど、
そうではない場面ではフワついた動きが気になるんだよね。
まぁ発展中の技術ということで仕方ないのかな。

で、映画の内容ですが、公式サイトにはあまり説明はなく
2つの日本を舞台にしたアクション・ラブストーリーとしか書いてなくて
「こういう内容だとは思わなかった!」という意外性が楽しい作品だろうから
ちょっと書きづらいんだよな。

まぁ、はっきり言ってしまうとB級パニック映画の類です。
幼なじみの高校生男女の日常をニマニマ眺めるシーンから始まり、
微妙に不穏な空気を感じつつ、いい雰囲気の場面で超展開が起こり、
古谷徹のナレーションで「ここで解説しよう!」とばかりに
中二病全開の世界観説明が行われる。
この時点で多くの人が「この映画はヤべエ!」と感じるであろう。

そこからは、中学生の黒歴史ノートを
そのままCGアニメーションにしたような怒涛の展開となる。

特にラストは「THE適当」という感じで、ある意味面白い。
作品タイトルをど~んとスクリーンに大写しにして
スタッフロールが流れれば、
どう解決したのか全然説明がなくても終わりなのだから仕方ないな。
投げ槍な終わり方に反して
あいみょんの主題歌が普通にいい曲なのがジワジワくる。

と、ここまでディスっておいてなんだけど
B級映画は好物だからそれほど不満はないです。
終始半笑いで楽しく観させていただきました。
水瀬いのりさんが双子の妹キャラで好演していたので
彼女のファン(特にReゼロのレム好き)は観に行く価値があるかも。

でも感動の青春ストーリーなんかを期待していた方は
「俺はあいみょんの曲を聴くために、
1800円払って劇場に来たんじゃねえゾ!」
と怒りに肩を震わせて映画館を出ることになったかもしれない。

それにしても、
20年以上たってまだ新世紀エヴァンゲリオンのオマージュをやってる
アニメ業界は大丈夫かぁ?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25
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