ライフルで差別なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのライフルで差別な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番のライフルで差別なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

69.3 1 ライフルで差別なアニメランキング1位
戦場のヴァルキュリア(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (668)
3858人が棚に入れました
時は征暦1935年。ヨーロッパ大陸は東西の二つの大国に分断されていた。
鉱物資源・ラグナイトをめぐり勢力争いを広げる専制君主国家「東ヨーロッパ帝国連合(通称・帝国)」と、王政を廃した共和国の連邦国家「大西洋連邦機構(通称・連邦)」の両国がついに開戦する。
争いは、武装中立を国是とする小国・ガリア公国へも飛び火し、国境の町・ブルールで出会った少女アリシアと青年ウェルキンは、「必ず故郷へ戻る」ことを誓い、義勇軍への入隊を決意する。

声優・キャラクター
千葉進歩、井上麻里奈、櫻井孝宏、桑島法子、皆川純子、乃村健次、田中敦子、福山潤、大原さやか、大塚明夫、大塚周夫

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

戦場の荒野で育まれる愛・・・

この作品の原作は未プレイですが、PCやPSを媒体に複数作のゲームが制作されており評判も上々・・・そして、何よりジャケットの女の子が可愛いとなると俄然興味が湧いてくるわけですが、今回は皆さまのレビューのタイトルを少しだけ拝見させて頂きました。
2クールもの作品を全くの無知で挑んでいく事に少し抵抗があったので・・・^^;
目についたキーワードは「恋愛ファンタジー」で、この一言が私の背中を後押ししてくれて・・・今回の視聴に至りました。

この作品の舞台は架空のヨーロッパ・・・そして人類は大きく3つの民族が存在しています。
現代の世界を征する大多数を占める一般人類、超人的な力を備えたヴァルキュリア人、そしてかつて大陸を手中にしていましたがヴァルキュリア人によって打ち倒され、現在では差別される民族として苦汁の生活を送るダルクス人です。
そして、物語は自国の領土を広げようとする戦争の真っ只中・・・ガリアの義勇軍を構成している小隊を中心に動いていきます。

この作品の主人公はガリア義勇軍第7小隊長のヴェルキン・ギュンター・・・かつて「ガリアの英雄」と称えられたベルゲン・ギュンターの息子なのですが、大学で生物社会学を専攻する彼は、戦という単語が凡そ似つかわしくなく、生物のスケッチを趣味とするのんびりで穏やかな性格の持ち主です。

ですが祖国の保有する資源に目を付けた他国からの攻撃を受けたことをきっかけに戦争が始まってしまい・・・徴兵制度という法律の名のもとにヴェルキンも戦争に参加することを余儀なくされてしまいます。
そして、ただでさえ戦争が不似合いであるヴェルキンに課せられた枷はそれだけではありませんでした。
英雄の家系に生まれ育った彼は義勇軍の一個小隊の長になってしまうのです。
もともとは祖国を守るため・・・ですが戦争に出る前から守るべきモノが膨れ上がったヴェルキンでしたが、彼の冷静な判断と奇策が部隊の危機を何度も救うことになるのです。
こうしてもともと最前線で血を流している兵から決して快く思われる事のない士官候補生である彼は、自らの行動で仲間の信頼を勝ち得ていきます。
「部隊が危機を乗り越える」
言葉にすると単純ですが実践し・・・繰り返していく事はとても難しい事だと思います。
それが自らの生命のかかった戦争なら尚更です。
それをやり遂げられるのは、小隊の皆んなが隊長に命を預けているからに他なりません。
そして隊長はそれを自覚し・・・その責務を果たすためにあらゆる方向から物事を捉え、常に最適な答えを選択し続ける・・・
ヴェルキン隊長率いる第7小隊の人間模様・・・とても魅力的に描かれています。

そしてこの第7小隊・・・隊長が優秀なだけではありません。
傍らで隊長をサポートし続けるヒロインのアリシア・メルキオットも絶対に外せない存在です。
彼女は頭にスカーフを付けているのですが、そのスカーフは彼女がパン職人である証なんです。
例え戦争の様な過酷な状況でも自らの本分を見失わない・・・それだけでも十分に彼女は魅力的なのですが、明るくて・・・優しくて・・・正義感に溢れていて・・・そして愛くるしい彼女は、まるで第7小隊の太陽みたいな存在でした。
レビューの冒頭に記載した「恋愛ファンタジー」の鍵となっている彼女・・・彼女の一挙手一投足からは決して目が離せません。

アリシアが太陽なら第7小隊のお月様は、ヴェルキンの義理の妹であるイサラ・ギュンターだと思います。
イサラは・・・ダルクス人です。どの様に生まれるかなんて人に選択肢はないのに・・・彼女はきっとこれまで数え切れないくらいの偏見の眼差しに耐えてきたんだと思います。
その様な自分の持つハンデを理由に横道に逸れてしまう・・・或いは自分への下手な言い訳で本心を誤魔化そうとする・・・人間の心は弱し傷つくのも苦手だから仕方無いことだと思います。
イサラの偉いのは、周囲の目線に動じることなく、誹謗中傷にも怯むことなく自らの使命に没頭するんです。
彼女は亡き父が残してくれた「エーデルワイス号」という戦車の操縦士兼整備士なのですが、小隊の皆んなのため常にエーデルワイス号を最高の状態に整備し続けるんです。
小隊の中にはダルクス人を許せないくらい憎んでいる人もいるというのに・・・
私の中で言動に一番心が震えて・・・涙で前が見えなくなった存在だったと思います。

一部のキャラの紹介しかできませんでしたが、他にも魅力的なキャラがたくさん登場します。
戦争の行方・・・戦場で育まれる愛の行方・・・見どころはたくさんある作品だと思います。
圧巻の全26話でした。気になる方は是非本編を視聴してみて下さい。
視聴者が納得できる範囲までしっかり描かれていたと思います。

いま悩んでいる事・・・アリシアのフィギュアの出来が良いんですよね〜
とネットで見ていたらAmazonからアリシアのフィギュア情報がバンバン入るようになっちゃいました^^;
何度も見ていると・・・ホントに欲しくなるんですね^^;
これって新たな商法なの・・・^^;?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ゲームの番宣。ゲームに興味のある人用。

2009年4月TV放送された。全26話。製作はアニプレックス。
2008年4月24日発売PS3用ゲームソフトを元に制作された。

途中で中弛みに感じて8話迄で視るのやめてしまった作品。
進行方向と結末には凄く興味があったので機会があれば。

少し興味はあったので改めて一話から視聴。

感想。矢張り視ない方が良かったと・・後悔が多い。
※描きたいのは恋愛でウェイト8割。後は盛り上げる演出。
至るところでナンセンスな恋愛模様が繰り広がられる。

設定&概要。
作品の全体像は、恋愛45%/戦闘25%/仲間との交流30%程度。
"戦闘中"も含めて"恋愛"の要素は全体的に振り分けている。

架空のヨーロッパが舞台。※異世界風の時代改変もの??

ガリア公国が物語の中心。征暦はヴァルキュリアと呼ばれる
超人的民族がダルクスと呼ばれる民族を打ち倒したとされる
年を紀元として、純血種が絶滅しているという世界観。

"1930年代"でヴァルキュリア人は伝説や神話、御伽話の存在
となっている。一方ダルクス人は被差別民として存在し続け
ており、作中にも幾人かのダルクス人が登場する。

"ラグナイト"と呼ばれる鉱物資源があらゆるエネルギー資源
として使われ、ガリア公国はラグナイトの産出国である事を
要因に戦争に巻き込まれている。


感想。

物語の設定上、人種差別を大きく描く事も多い。
緩いラブコメ風の描写が殆どなので、そういう部分だけ重く
リアル追求風に表現する所は歪で余り良い印象は受けない。
時代改変ものかと思いきや・・異世界ファンタジーな作品。
女の子が変身ヒロインものみたいに沢山出てきてパンツ見
せる作品と変りない。(パンチラ無いけど)

"1930年代"風の戦場でミニスカートで生足出して・・大きな
リボンで長髪の兵士は・・戦場を駆け抜けて敵の銃撃を受けて男に庇われ倒れた時にラブコメ演出とか巫山戯た作品。

ラブコメ風描写だったり・・終始恋愛ごっこしてる最中での
戦争描写で重みはない・・そしてやたらと差別的なキャラが
多く登場するので・・苛っとするだけで余計重みがない。

1話目・・名乗れば済むのに何度も機会がある中でも余計な
無駄話して名乗らないで済し崩しに巻き込まれていく演出。
此れは流石に主人公の性格を表すにしても稚拙過ぎる。

8話迄ベタッと軽いラブコメモードで何がしたいか意味不。
以降ヴァルキュリア人云々の伏線で戦争以外に陰謀がある
という描写になるけど、一旦お預けで2クール目に入る。

色々な登場人物の恋愛模様描写が殆どで演出の為のゲリラ戦
や白兵戦・・18話辺りで肉親の死の演出で恋愛補強って・・

作品である以上演出は必要だし抑揚のない物語を商品化する
筈もなく・・戦場では人は死ぬものだ。ただお涙頂戴演出が
過剰に多い。抑揚がない作品の緩急が其処だけでドン引き。

肝心の恋愛模様も・・主人公に全く魅力が感じられず・・
アリシアとコーデリア姫のダブルジャンヌのような雰囲気。
イサラの死を乗り越え・・盛り上がっていく??と思わせ

ヴァルキリア人一人で戦局が変わる程のファンタジー作品。
※ゲームを知ってる人には楽しめた作品かもしれない。

クライマックスも子供が書いたような馬鹿馬鹿しい展開。
シュールなギャグアニメを視ている感じでした・・

ミリタリーモノを余り視た事無い人やファンタジー作品と
して視るならそれなりの気もするけど地味で殆ど恋愛描写
の為の演出なので見終わっても此れじゃ無い感が半端無い。

キャラデザはそれなりだったかな?程度・・




キャスト。

ウェルキン・ギュンター 千葉進歩
アリシア・メルキオット 井上麻里奈
ファルディオ・ランツァート 櫻井孝宏
イサラ・ギュンター 桑島法子
ロージー 皆川純子
ラルゴ・ポッテル 乃村健次
エレノア・バーロット 田中敦子
マクシミリアン 福山潤
セルベリア・ブレス 大原さやか
ラディ・イェーガー 大塚明夫
ベルホルト・グレゴール 大塚周夫
ラマール・ヴァルト 成瀬誠
ダモン将軍 塩屋浩三
エレット 進藤尚美
スージー 戸塚利絵
ヤン 平井啓二
イーディ 鹿野優以
ホーマー 庄司宇芽香
オスカー 外村茉莉子
エミール 日比愛子
マリーナ 阿川りょう
カロス 坂熊孝彦
アイシャ 井上ひかり
ハンス 池田千草
コーデリア姫 能登麻美子
ボルグ 柴田秀勝
ザカ 中井和哉
カール 岡本寛志

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

恋愛物でふ。

【更新履歴】
■8/22 文章を訂正

-------------

■戦争として考えると優しすぎるかもしれません。

前提として、戦争特有の「グロさ」が少ないため、実際の戦争と比べると、作品内の戦争というのは少し優しいものなっています。
キャラクターは死ぬので、全く「グロさ」が無いわけではないのです。
ただ、緊張感の無いシーンがあったり、死者がモブキャラばかりで、重要キャラの死亡者が少なく、悲劇的な演出がとても少ないです。そのため、「戦争の残酷さ」というものが余り伝わってきません。戦争の悪い部分(人種差別)については、描いているシーンはあります。そのため、一部分だけは、似ていますが、実際の戦争とは少し異なるものと考える方が良いでしょう。


■恋愛物

本作は、恋愛物として見るのが良いです。
戦争物として見ると優しすぎますが、恋愛物として見るとちょっぴり甘酸っぱいです。

アニメ版のヴァルキュリアの魅力というのは、ここです。
ガリア公国義勇軍第3中隊が戦争という同じ目的を持ち、そのガリア公国義勇軍第3中隊内での恋愛というのが本作の魅力です。

恋愛物として見るか、戦争として見るかで大きく感想が変わってくるでしょう。


■戦闘面を見ると

ただ、見た目は、戦争物の本作。
原作は、シミュレーションロールプレイングゲームなので、戦争を楽しめるシステムなのかもしれません。

しかし、アニメにおいては、そういった楽しみが生かされないため、別の楽しみ方を考えるべきなのですが、戦闘シーンに特筆した楽しみはありませんでした。戦闘シーンに爽快感もなかったですし、驚くべき策略で視聴者を驚かす展開でもなく、緊迫感もいまいち伝わらなかったです。

『戦場のヴァルキュリア』という題名にしているのですから、やっぱり、恋愛だけでなく、戦闘の要素を加えないとタイトルに見合わないのではないか、と思いました。
原作は『シミュレーションロールプレイングゲーム』なのですし、やはり「戦闘の楽しみ」があってこその原作。
アニメという媒体では、戦闘の楽しみを描ききれなかったのかもしれませんが、描く努力はするべきだったと思います。
そもそも、恋愛やほのぼのしたシーンが多かった以上、最初から戦闘を描く気が無かったと捉えられても仕方がありません。

■宣伝用として見て

仮にこのアニメを、視聴者に「戦場のヴァルキュリアとはこういうものだよ。買ってみると面白いかもしれませんよ」と宣伝するためのアニメだった、と解釈します。
そうして見ても、『戦場のヴァルキュリア』は、恋愛が中心でストーリーが進んでいき、戦闘は蔑ろにしているんだな、という誤った印象を与える可能性があり、私は宣伝用として見ても、この作品は失敗だったのではないか、と感じます。


■総評

これから見る人は、恋愛物と割り切ってみるのが良いと思います。
ただ、このアニメから受けるゲームの戦場のヴァルキュリアの印象は全く違うと考えてる方が良いでしょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

86.0 2 ライフルで差別なアニメランキング2位
劇場版「幼女戦記」(アニメ映画)

2019年2月8日
★★★★★ 4.1 (478)
2506人が棚に入れました
統一暦1926年。ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐率いる、帝国軍第二〇三航空魔導大隊は、南方大陸にて共和国軍残党を相手取る戦役を征す。凱旋休暇を期待していた彼らだが、本国で待ち受けていたのは、参謀本部の特命であった。曰く、『連邦国境付近にて、大規模動員の兆しあり』。新たな巨人の目覚めを前に、なりふり構わぬ帝国軍は、自ずと戦果を拡大してゆく……時を同じく、連邦内部に連合王国主導の多国籍義勇軍が足を踏み入れる。敵の敵は、親愛なる友。国家理性に導かれ、数奇な運命をたどる彼らの中には、一人の少女がいた。メアリー・スー准尉。父を殺した帝国に対する正義を求め、彼女は銃を取る。

声優・キャラクター
悠木碧、早見沙織、三木眞一郎、玄田哲章、大塚芳忠、飛田展男、濱野大輝、笠間淳、林大地、小林裕介、土師孝也、小柳良寛、高岡瓶々、森川智之、福島潤、田村睦心、戸松遥、チョー、稲垣隆史

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

メアリー・スーがメアリー・スーを名乗る限りメアリー・スーたるのであれば改めてメアリー・スーとは何なのか模索してみた

Arcadia投稿の小説が原作のラノベアニメとして2017年冬にテレビシリーズが全12話放映されたのも記憶に新しい異世界転生ファンタジー×架空戦記モノの直接的な続編


狡猾な性格のサラリーマンが逆恨みが原因で死亡
不神信者が故に神=存在Xの怒りを買い、魔法が実在し世界大戦を控えたヨーロッパに似た異世界に金髪碧眼の幼女「ターニャ・デグレチャフ」として転生させられる
ターニャは不可避の大戦を前に無力な幼女のまま死ぬわけにもいかず、自ら志願兵として戦線へ打って出る
ターニャの思惑は溢れ出る魔力と機知に富んだ頭脳と平滑流暢な弁舌で部下達の士気と戦果を上げ、出世してから安全な後方任務に就くことだった
ターニャの活躍で属する“帝国”は“協商連合”や“共和国”との戦いには順調に勝利を収めていく
が、そんな矢先に帝国へ牙を向いたのは徹底した共産主義を掲げる大国の“連邦”であり、ターニャと部下達もその戦線へ送られることとなる
理不尽さを感じていたターニャだったが、徹底的に嫌悪していた共産主義者への憤りをぶつけるべく、連邦の政治的面子を徹底的に破壊する【連邦首都襲撃】を立案する
そんな前代未聞の作戦を目撃したのが、ターニャ達を苦しめたあのアンソン・スーの愛娘にして、アンソンの死をきっかけに義勇兵に志願した「メアリー・スー」だった…


と、いうわけで今作が題材にしてるのは人類史上もっとも悲惨な戦争として著名な“独ソ戦”であることは明らか
さらに原作ではどうなのかよく存じませんがテレビアニメ版では極力オミットされていた政治や思想や宗教感の対立が物語の構造上、強く押し出された一作にもなっており、架空戦記モノでありながら立派な戦争映画に仕上がっています


そもそも戦争という非生産的な行いに対して否定的な立場であるターニャでしたが、今作中では共産主義者=コミーを徹底的に批判、罵っており、その感情的な動機で作戦を進めた結果、皮肉にも戦争が泥沼化するキッカケを自ら作ってしまうことになります
映画の冒頭でシューゲルは戦争を加速させるのは“感情”だと言っていますが、ターニャはコミュニストアレルギーという個人的な“感情”で連邦首都を破壊します
さらにこの後のクライマックス“感情”を爆発させて戦う敵に対して冷静さを取り戻したターニャが“感情”を廃して戦えば勝てることに気付くのが面白い
まずココが一番目の観どころとなるでしょう


そして今作、遂にターニャにとって最大の障壁となる“この世界で最強の魔導師=メアリー・スー”がとうとう戦線に登場することとなるのです


テレビシリーズでは群像劇を彩る、戦線とは別の国に生きるサブヒロインの一人…ぐらいにしか思ってませんでしたが全く持って迂闊でした;
そもそもメアリー・スーという名前の時点で気付くべきでしたが、この娘は【実質的にこの世界における真の主人公】と言ってもいいかもしれません


実はメアリー・スーという呼称そのものが英語文学圏、特に二次創作界隈において本家本元のキャラクターを食ってしまいかねない、<THE 厨二病設定なチートキャラ>を揶揄する隠語として機能しています
そして同時にメアリー・スーとは作者の願望の自己投影である、と常に批判に晒される、言うなれば“痛いキャラ”のことを指すのです
具体的には極端に若く、劇中のどのキャラよりも秀でており、孤軍奮闘の大活躍の後に、その死に皆が涙する…というのがテンプレートです


今作のメアリー・スーは父を愛し、祖国を愛し、慈愛に溢れ、何より信心深く神を愛したことで神=存在Xから愛された者なのです
で、あるがゆえ今作世界中では桁外れの魔力と加護を行使することが出来るのです
観る前は『ガルパン』ぐらいのアクションシーケンスを期待してたのですが、メアリー・スーが戦線に登場してから『ガンダム』か『魔法科高校の劣等生』が始まったのかとすら思いました
その圧倒的パワーで亡き父の仇であるターニャを執拗に追い詰め、彼女が思うところの【正義】の名の下にターニャを討ち取らんとし鬼気迫る表情と戸松遥渾身の芝居で襲いくるシーケンスは背筋凍る圧巻の迫力です


王道で行けば残忍で冷酷なターニャこそがヒールで、父の仇を取ろうとするメアリー・スーがヒーローなのでしょう
だからメアリー・スーは“実質的に主人公”なのです


とwこwろwがw


このメアリー・スーはやっぱり主人公のなりそこないかもしれないのですw
ターニャに固執する身勝手さ、歳相応の思慮の浅はかさ、政治や戦略への無配慮、直情的な独断専攻などが目立って描かれ、ターニャと相対的に全く持って知性を感じない【劇中最大最強最低最悪のバカ】であることは明白


『オーバーロード』や『ゴブリンスレイヤー』といった昨今のラノベ原作アニメを見渡すと、このようなメアリー・スー的なポジションのキャラをあえて登場させ、イキって出て来たは良いがバカをみたあげく散々酷い目にあってから死ぬ、という展開がトレンドなのは間違いないでしょう


たぶんこーゆーのを流行らせてしまったのは『ガンダムSEED DESTINY』が一因だと思います


逆に『サイコパスSS1』では明らかにこのシリーズのメアリー・スーとして登場した霜月美佳を、これが上手く成長する姿を描いたことでヒロイックな作品に軌道修正したのが印象的でした
メアリー・スーはぶっ殺すのがトレンドかもしれないが、あえてコレを一段階上にレベルアップさせてやるのも選択肢というわけです


さて今作のメアリー・スーそのものですが、こうもあからさまにメアリー・スーを名乗る以上、今後はその有り余る力で散々ターニャを追い掛け回した挙句、最後の最後でターニャに勝利を収めるか、一矢報いてから盛大な死を遂げてもらうと大変個人的には望む展開であります(笑)


正直とても面白い映画ではあったものの、当初あまりレビュ執筆には乗り気ではなかったのです
が、三日三晩メアリー・スーのことが頭から離れず、なんとかしてオイラのこのバカ野郎愛を記したい
と、こうしてキーボードの前に座った次第であります


まあクライマックス、数で勝る連邦があの戦線から手を引いた理由がほとんど描かれてなかったのが不満なのですが、それに付けてもメアリー・スーの装備する演算宝珠がまさかのスキー板で“アニメ史上初じゃないか?と思うほど丁寧にスキーのエアトリックで戦う姿が描かれた”のには思わず感無量でした
この時期の楽しみはFISの中継観戦か雪山アクティビティと相場が決まってますから(お
ですからその辺はもはやプラマイゼロといったところですよ
是非このシリーズの続きを、というかメアリー・スーの行く末をオイラはゆっくり眺めたいと願っております


1回目は新宿のEJアニメシアター(旧角川シネマ新宿)で観たのですが、2回目は立川シネマシティのシネマツーcスタジオの「幼女の皮を被った極上(化け物)音響上映」で鑑賞
岩浪音響監督も絶賛の太鼓判を押すほどの仕上がりで、それもそのはず
魔導士が飛ぶ度に強烈に歪んだ低音がサラウンドでうねりを効かせて飛び交いまくるし、貫通術式が放たれる度にそれはそれは凄まじい破裂音を浴びせられます
これまでの爆音上映の類の中でも1,2を争うのではないかという、ちょっと他の映画では体感出来ない音でしたね


3回目観ました
立川シネマシティ、シネマツーaスタジオでの極上爆音上映「限定魔導爆音上映」です
これで確信しましたが間違いなくオイラが今まで観てきた全ての映画の中で最も音圧が強く、尚且つそれがずっと続く映画が今作ですね
ティゲンホーフ戦線での大砲の炸裂音の連続、ターニャとメアリーの空中戦での歪んでうねる低音、そして戦闘機の地響きのようなエンジン音
このようなデカくて歪んだ音がずっと続く映画ってのは今作以外には無いでしょう
少なくてもアニメとしては世界的に見ても唯一無二だと思います
是非とも劇場で、可能であれば岩浪音響監督がオススメする劇場でご覧になって欲しい


4回目の鑑賞はイオンシネマ幕張新都心の8番スクリーン
幼女の皮を被った ULTIRA(化け物)9.1ch
ULTIRAとはイオンシネマの独自規格でIMAX程でないものの、他のスクリーンに比べ非常に大きいシルバースクリーンとDolbyATMOSにも対応した高品質な音響設備を持ったイオンシネマとしては最高峰のスクリーンです
これに近いのがTOHOシネマズの独自規格のTCXですね
まず画面なんですがこれは3D上映に対応する為のシルバースクリーンってことで若干色合いがくすんで見えます
正直これに関しては致し方ない
で、音響面ですがウーファーがスクリーン下で剥き出しになっているせいか、やや低音が強めに感じます
そして9.1ch仕様の恩恵を最も強く感じる(通常は5.1ch)のは背面スピーカーから台詞が聴こえてくるような場面です
具体的には第二〇三航空魔導大隊のモブ兵士達がざわめくようなカットや、モスコー襲撃の際にヴィーシャが公共放送をジャックした時など、後ろから聴こえてくるセリフがハッキリと聴こえました
細かいセリフを聴き取り方には最もオススメ出来るスクリーンですね


5回目の鑑賞はユナイテッドシネマ豊洲の4DX
劇中、空中を漂っているシークエンスが多いので結構な割合で座席モーションがフワフワと揺れていることが多いのと風がずっと靡いてるのも多かったです
冒頭のメインタイトルバックで泡による降雪の表現があったのには笑いましたw
宝珠が発動するたびにストロボによる眩い光が入るのもカッコよかったです
爆炎に呼応するスモークの演出はやたら濃い目でしたね
ユナイテッド豊洲は特にアナウンスしてませんでしたがこれはシネマサンシャイン平和島が言うところの所謂「効果マシマシ上映」に相当すると思いました
ロリヤが唾を飛ばすシークエンスで水飛沫を期待してたのですがソレは無かったです(笑)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

今さらタイトルで敬遠もなかろうて

原作未読 TV版視聴済み


“存在X”とか説明なしに語られてるためTV版を視聴済みであることはお作法といってよいでしょう。
あいかわらず主人公が幼女である意味がわからない『幼女戦記』の劇場版となります。

たいしたこと書いてないけどミリタリ的見解はTV版のレビューに載せとります。
俺たたENDなTV版の最後覚えてます?※一応隠しときます。

{netabare}砂漠みたいな南方戦線に飛ばされて「どうしてこうなったー!?」ENDでした。
存在Xに対峙するには、信仰にすがるのではなくあくまで合理性で勝負する路線を突き進むのかどうなのか?と続編の注目ポイントをわたくしレビューで書いてますね。このモノの見方はブレてないです。{/netabare}

続きが気になる終わり方だったのでおおむね劇場版に期待するのはこんなところ↓
Q
1.答え出るん?
2.戦闘は派手になる? ※そこはホラ、、、映画だし(^^)

ざっくり回答は↓
A
1.出ません。
2.派手になります。市街戦闘ではぬるぬる変態的な動きをしてます。

スタッフや声優を引き継いで制作してるので大外しはありえません。安定して面白かったです。
ついでに、“信仰心と合理性”なのか“感情と理性”なのか?
“存在X”とターニャが対峙しての二項対立のような図式に見えてたけっこう重要な部分。
ターニャの対立軸として、この“信仰心”ないし“感情”を体現する存在が登場したこともファインプレー。もちろん{netabare}ターニャとの死闘の末戦死したアンソニーの娘。メアリー・スー(CV戸松遥){/netabare}のことです。

これで見やすくなりました。神VS人間よりも対立する両極端な人間同士のほうが物語が破綻しにくい。
己が正義とのぶつかり合いになって譲れない争いになりますし、元はといえば存在Xという同じ親から生まれた相反する二つの概念であるという深みとコクも出てきます。

【作品テーマ】

 存在Xとの落とし前をどうつけるのか?

⇒これは道半ばです。

【劇場版の面白いとこ】

 ◎ ターニャ VS メアリー・スー
 ○ 市街戦闘

きわめて劇場版らしい。劇場版に期待するところを満たした『劇場版幼女戦記』でありました。



※ネタバレ(もある)雑感

■世界観の意図

既視感のある国・人・軍事パーツを素直に楽しめる一方で、WWⅠとⅡをごっちゃにして~の史実との乖離や魔導部隊なる設定。純歴ヲタだとアレルギー出そうなのもわからなくもない。なんせ空飛ぶ人間が銃剣で戦闘機の翼をたたっ斬ることができちゃう世界ですから。これには一家言あって、


 これ外国でも流すんですよね?


アニメ大好きフランス・イタリアやアメリカ。ドイツも例外ではありません。それらの国を配慮して…なんてアホなことは言いませんよ。

 {netabare}ガチ史実ベースの世界作ってアナザーストーリー{/netabare} 

それに欧米人が耐えられるか?って無理だからちょっと外した世界観なのだと劇場版観て思いました。

選挙で選び渦中は熱狂した事実に蓋をして全部ナチスに罪を被せて、ニュルンベルク裁判の前と後とで分断を図り逃げ切ったドイツ。
反省したドイツを見倣え!って彼ら反省なんて微塵もしてませんけどね。「我々とは別のナチスなるもの」を作っておっかぶせただけです。もちろん賠償には応じてません。

次にアメリカ。原爆投下を正当化するストーリーは皆さん耳タコでしょう。自らの罪に向き合ってない点ではドイツと一緒。

イデオロギーにしちゃうのはどうぞご自由に!彼らの意見に乗ろうがかまいませんが、少なくとも私は日本国籍を有する者なら「違うだろ」と指摘し続けることがお作法であるとの考えです。

何が言いたいかっていうと、彼らのン百倍は反省している、なんなら反省しなくてもいいことまで、それにおかわりで“俺たちの反省はこれからだ”の勢いで反省している我々からすれば、

 {netabare}正当化だらけのお前らの豆腐メンタルじゃ受け止めるのは無理!{/netabare}

と思っちゃうんですよね。世界広しといえどもドイツ第三帝国を茶化せるくらいの表現の自由が認められてるのは我が国くらいなもんです。
ぶっちゃけ仮想ナ○スが活躍する作品なんてリアルに寄せすぎると×。これくらいのファンタジーっぷりでちょうどよいと思えるのです。そのうえでやや無理筋な作品設定については流れてる哲学が荒唐無稽でなければ無問題と考えます。


其の一:{netabare}「コミー(commie)」と共産主義者を忌避/軽蔑する単語をターニャ筆頭にガンガン発してます。

「なんでお前らソ連と組んでんねん?」みたいな。
日本に視点移せば、大日本帝国が必死でソ連食い止めてんのに何してくれてんだ?の心境です。レイトカマーのアメリカがアジア利権にちょっかい出すために日本を外そうとして失敗。中華人民共和国成立など共産国家の台頭を許し、朝鮮戦争からのベトナム戦争と余計な結果になったよな、と。
やや盛ってこれくらい言ったうえで、「でも今は仲いいよな」とするくらいでちょうどよいのです。{/netabare}


其の二:{netabare}義勇軍?メアリー・スーも狂気を帯びたちょっと危ない人設定です。

「正義を振りかざしてどんだけ無茶してきてん?」みたいな。
仮想連合国の象徴みたいな存在にメアリーを持ってきた意図。合わせ鏡と思いなさい!{/netabare}



■ドキッとくる至言

トンデモ設定もあるにはあるけど底流がしゃんとしてると私は思います。
たまにグサリとくる高速ストレートありませんでしたか?

・{netabare}「無能な働き者か…やっかいだな」

序盤。メアリー・スーの上官がメアリーを指しての一言。

 1.有能でやる気のある
 2.有能でやる気のない
 3.無能でやる気のある
 4.無能でやる気のない

リアルの現場でも3.が最も厄介であり、組織を破綻に導く存在として心にとどめて置かねばなりません。覚醒するまではひどかったですからね、彼女。{/netabare}


・{netabare}「まずもって勝つことが大事 正しく勝たねばなりません」
 「でなければいずれ歴史に笑われます」

参謀本部にて後方勤務の希望を伝えた時のターニャ。
勝ったほうが歴史を作るのはまさにまざまざと見せつけられているのが我々現代日本人でしょう。つまり転生前のおっさんターニャの知ってる歴史。賢者は歴史に学ぶ。よって、次は勝たねばなりません。
「思考放棄した俺の勝ちね」くらいの程度の低さを露わにしてるのが我が国です。軍事研究なぞしませんとドヤ顔で発表してる横で北朝鮮の核開発のために亡命する教授を輩出した某帝国大学とかなんのブラックジョークでしょう。「勝つために考えること」と「行使すること」は違います。

ガラスを拳で叩き息巻くお偉いさんに戦の収め方のプランはあるか?と問うたターニャさん。正しく勝たねばなりません。先述、日本を叩き潰したことでソ連の増長や朝鮮戦争ベトナム戦争へと発展した結果を見るにアメリカにとって正しい勝利だったのでしょうか?

リアルではこれがなかったのが大日本帝国の最大のやらかしです。正確には正しい勝利ならぬ正しい敗北のプランニング。戦闘で敗北しても戦争目的を果たす困難な作業をです。ぎりぎりで國體が守れたものの結果オーライ。次は結果オーライにならないように真剣に考えましょう。

でなければいずれ歴史に笑われます。
令和初頭の日本人が未来の日本史の教科書でどう書かれているかみものですね。{/netabare}



■(オマケ)主題歌について

{netabare}TV版の主題歌をアレンジ加えてもってくる演出にしびれます。
ターニャ役悠木さんが歌う「Los! Los! Los!」。このへん「トラ!トラ!トラ!」をなんかしら意識したのだろうと、“LOS”を調べてみましたが、スタジアムの名前だったりタイ王国の愛称だったりビンゴそうなのはなく、そのまま“LOST(喪失)”くらいの意味合いで受け取りました。

注)他のレビュアーさんからの指摘でLOSはドイツ語で別の意味があるらしいです。{/netabare}



これ2期ないと詐欺ですよ。待ってます!



視聴時期:2020年2月 

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2020.02.26 初稿
2020.09.21 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 59
ネタバレ

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

超贅沢な一品(一部ネタバレタグで隠してます)

 語り出し。

 映画の中でも戦争映画は好まれて題材にされる.
 なんでかって今を生きる全ての人にとって、かつて戦争があった。その土台の上で私たちが生きているという事を大小はあれど認識を共有しているからに他ならない。まぁ現在でも内戦やテロとの戦いで命を落としている人もいるだろう。そんな誰しもに共有される戦争と私達は無関係ではありえない。

 アニメ化から劇場版までの感想(ざっくり)。

 この作品は原作は小説、それからアニメ化して映画化されたという流れではあります。
 アニメでしか知らないのでそちらからの視点で語ります。
 この物語の時代背景はおそらくリアルの世界でいう、第二次世界大戦をモチーフにしてもし、魔法という技術が発達していたらといったある意味SFではありますが、その魔法という設定においては神秘性があり神の力という形で表現されているのでファンタジーの枠を出れていない。
 ただ、この物語の良かった部分というのは、魔法でなんでも解決できるねよかったね。という所ではなく、むしろ魔法が使えない者たちの描き方が良くできている。これはリアルをなぞった形ではあるので、ファンタジーだけれどどこかリアルとの結びつきを感じる。戦争というものを詳しく知らない人(私)でさえどこかリアルに感じられる空気感が作品全体にあります。これはひとえに小説の著者の世界観の構築の上手さでもあると思うし、それをしっかりと映像化している製作者の人達の力も大きい。そんな恵まれた作品だと私は思う。

 ここまでは実際にテレビシリーズから劇場版までを見たざっくりした感想です。アニメ版の方のレビューはしてないしするつもりも今のところないので。まとめてやってみました。
 
 劇場版としての出来はどうなんだ。
 最高級ですね。
 
 映画としての構成が良い。
 映画は時間が限られるので、変に登場人物を増やして、感情移入を誘うことに時間を取られていると作品全体のスピードが損なわれてしまうので、なかなか見るに堪えないものになりやすい。
 新キャラはいるし、スポットライトを当てているけれど、アニメ版を見ている人にとってはどういう動機で行動しているのかというのがはっきりわかるようになっているし、久しぶりに視聴した私でも、あの時と関係あるんだなと分かるようにフラッシュバックを上手に使っている。これは演出が良く機能しているのでストーリーのスピードを落とさずに楽しめる工夫がしっかりある。
 映像作品としての掴みが素晴らしく最初から全開です。
 個人的に映画で最高の構成をしてるなと思っているのがクリストファー・ノーランの「ダークナイト」です。みんな好きだと思います。シーンに次ぐシーンの連続で息もつかせぬ展開力は素晴らしい作品なんですが、この劇場版幼女戦記も同じように良い構成と展開力を持っている。

 キャラの評価と物語の評価それと演出について。
 ここからは少しネタバレが激しいのでチョキチョキします。
 {netabare}キャラと物語の評価が低くなっている点についてです。これまでの物語ならば文句なく☆4か5くらいはつけているのですが、今回はちょっと映画という事で戦闘シーンが凄いんですが、もの凄いんですが…やりすぎたよねw
 デグレチャフを親の仇とするメアリさんはキャラとしてちょっと強すぎます。魔力の高さだけで、デグレチャフの練度を凌ぐというやり方をしなければならなかったのは分かるんですが、街中にビームどーんを連発しまくってさらに、近距離での被弾でも生き残る強さについてびっちゃけやりすぎて物語の根幹を揺るがしている。
 何で揺るがされるかって、最初に書いたように、この物語は基本的にデグレチャフの魔法無双なんですが、その他の要素をリアルにする事で見れるものにしてうるというバランス感覚が実は非常に難しいのではないかと感じております。
 魔法が技術や戦略の枠内のハマっている段階までは良いと思いますが、それをはみ出ると一気にただの無双ものに成り下がる。デグレチャフの対抗馬として、ライバルとして出すにしても今後脅かされる脅威位が妥当なのではないかと思いました。残念ながら単純な力ではすでに圧倒しているわけで、今後メアリさんが兵士として成長するという余白がもう無いよなーってなりました(あっても描くのが難しい)。そういう意味で、キャラの描き方と物語の評価が下がりました。んでもって演出も過剰になっていると思われます。
{/netabare}

 背景がメチャクチャすごい!!パーツの作りがスゴイ細かい!!
 もうね、見てほしいです!マジですごい。
 しかもね、戦闘中のカットでちゃんと背景をカメラ(便宜上)動かして映像から伝わるスピード感を演出している。めちゃカッコいい。進撃の巨人越えたなってなってます。街中の戦闘の素晴らしさは見なければ損です。
 さらにこれまで以上に飛行機や大砲の書き込みが素晴らしいんです。さらに大規模空中戦をしているシーンなんかはもう圧巻です。
 第1次世界大戦でおなじみ塹壕戦での戦い方など、しっかりと書き込まれていて映画見てるなーってなります。アニメならではの絶望的な物量で攻められている感の出し方が上手いなと感じた次第です。

 脚本に関して
 タバコや酒の話をしっかり描いて良かった。個人的には戦争映画(アニメとは違う)に特にタバコは欠かせないものだと思っている(私は吸わないけれど)。
 セリフも良いんだけれど、細く入る感嘆語、感動詞ともいうのが良くて、こういうのが入るだけで、キャラクターの肉付きが良くなる。
 デグレチャフ演じる悠木碧さんの小さく鼻で笑ったような声が面白いし可愛い。他のキャラも同じことが言えますね。セレブリャコーフ演じる早見さんのため息とかも最高です。はい。

 かなり自分の趣味に寄ったレビューですが、まぁそういうもんですよねw
 個人的にすごく楽しめた映画でした。
 作画や背景、各パーツの書き込み。ネタバレのところでも書きましたが、市街戦の作画は本当に凄くて、それだけでなく、大規模空中戦も凄い。
 ストーリーが…とかそんな事はどうでもよくなる位には圧巻です。
 見ないと損です。ぜひ見てみてほしい。ストーリーも追いかけたくなったらアニメ版も見てみると良いかもしれません。そっちはそこまで保証はできないですけれどね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12
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