ライフルで友情なTVアニメ動画ランキング 2

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早速見ていきましょう!

83.7 1 ライフルで友情なアニメランキング1位
少女終末旅行(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (973)
3904人が棚に入れました
繁栄と栄華を極めた人間たちの文明が終わりを迎えてから長い年月が過ぎた。人間たちのほとんどが死に絶え、生き物さえもいなくなった終わりを迎えた世界。複雑に建造された都市はまるで迷路のような廃墟となり、整備するものがいなくなった機械たちは徐々にその動きを止めていく。いつ終わってしまったのか、いつから終わっているのか、そんなことを考えることさえなくなった終末の世界であてのない旅を続ける二人の少女。チトとユーリは今日も愛車ケッテンクラートに乗って廃墟の中を彷徨っていた。

終末の世界をほのぼのと生き抜くディストピアファンタジーが今、幕を開ける。

声優・キャラクター
水瀬いのり、久保ユリカ
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

余白に何を思うか

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
あからさまなポストアポカリプス系の作品としては、これまで観てきたアニメの中でも1、2番だったと思う。

このアニメは凄い。メチャクチャ深いような、メチャクチャシンプルなような。考察しがいもあって、気楽にも楽しめる。

個人的には、今期(2017秋)の覇権アニメ。

私は色々考えながら観ちゃいましたが、な~んにも難しいこと考えずに、雰囲気に浸ることも全然OKな作品です。是非みてほしい。

あと、何気にOP、EDも良かったです。耳にも残り、メッセージ性もあって、可愛くて、作風にも合っていて。素晴らしいアニメでした。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(特盛りバージョン)】
{netabare}
「移動」と「旅」の違い。

例えば、A地点からB地点に行くとして、B地点に行くことを目的化している時、B地点で何をするのかが大事な時は、A地点からB地点に行く間は「移動」になる。

一方、B地点自体が単なる場所に過ぎず、その道中を楽しむ姿勢があれば、A地点からB地点に行く間は「旅」になる。

この作品のタイトルは、少女終末「旅」行。

作中、チトとユーリは幾人かの「人」に会う。彼ら、彼女らは、自身の生活(書いてて思ったけど、生活って、生きる活動って書くんだな。活動のない生き方は、生活してるって言わないんだな)になんらかの「生きる意味(目標・楽しみ)」をもっていた。

金沢は、「上層に行く(目標)・地図作り(楽しみ)」。石井は、「別の都市に行く(目標)・飛行機作り(楽しみ)」。ロボットですら、「都市の維持(目標)・魚の育成(楽しみ?)」。

なぜそのような目標、楽しみをもったかというと、「持たざるを得なかった」ということだろう。

最初の話(A地点、B地点)に戻って言うと、B地点に求める何かが確実にあるならば、途中の楽しみはいらない。B地点まで速やかに「移動」し、B地点で楽しめば良いのだから。しかし、B地点に何があるか分からない、ひょっとして何もないかもしれないと思った時、「移動」は意味を失い、消去法的に「旅」が生まれてくる。行った先に何もないのなら、せめて道中くらいは楽しまないとやってられないしね(笑)

この「少女終末旅行」は、まさにそんな、詰んだ世界(ポストアポカリプス)を描いている。

そして、少し飛躍して考えた時、この考え方は人生にもなぞらえることができる。

人生の終着点は、誰しもが「死」ということになる。その「死」にどう価値を付けるかを必死に絞り出したのが、宗教なのだろう(私自身は、無宗教無神論者だが、そのくせ神社ではお願い事をし、お墓を無下に扱う馬鹿者には腹を立てるという、ごくごく一般的な日本人だが)。

仏教でもイスラム教でもキリスト教でも、死後の世界は設定されているし(ユダヤ教はちょっと違うけど)、どうやら良い場所のようだ(確か、{netabare}イスラム教は天国(酒とか肉とか性とか、わりと即物的)で、キリスト教は永遠の安息(宗派に寄って違うけれど、神の元での安らかな日々という、わりと精神的なものが大きい)。仏教だけはちょっと違って、輪廻転生(また現世に戻る。まあ、天国もあるっちゃああるけど、修行しないとね)であり、イスラム教徒やキリスト教徒の方に言わせれば、仏教は宗教ではなく人生哲学らしいと、昔、本(コーランを知っていますか 著 阿刀田高)で読んだ記憶がある{/netabare})。

だから、B地点である「死」が「楽しみ」になる(死後の世界を信じる)と、それまでの人生(道中)は、目標に達するための手段(移動)にすぎなくなる(それがいきすぎたのが、いわゆる過激派というやつですね)。

一方で、「死」を「終わり(終末)」と考える人にとっては、「死(死後の世界)」は目標になり得ないので、その「道中(人生)」を「楽しむ」、「旅」になる。「どうせいつかは死んじゃうんだし、だったら今を楽しまないと損じゃん」という考え方は、前述の宗教的死生観と真逆で、「死」が「(今を楽しむ為の)手段」になっていることが分かる。

これは別に、私自身が、宗教を否定するものでも肯定するものでもなく、ただ、この作品は明らかに後者、「死」を「終わり」と考える立場に立っているということだ。実際、4話では「神」「宗教」に対して批判的な会話が描かれているし、9話では「命とは終わりがあるもの」と(珍しく二人がすぐに同意し)定義付けをしている。

だからこそ、彼ら、彼女らは、「今」に価値を見出だしているのだ。「今」に価値を見出ださざるを得ない世界に生きている、ともいえる。彼ら、彼女らは、(世界、あるいは自分の)「終末」までを「旅」しているのだ。

ちょうど、俳人の松尾芭蕉も、そんなことを書いている。彼は、「おくのほそ道」の中で、「日々旅にして旅を栖(すみか)とす。古人も多く旅に死せるあり」と、「旅」そのものが「家」「人生」である生き方に憧れ、「旅」の中で死ぬことを願っていた。「旅」を「人生」にするには、「結果よりも過程を楽しむ姿勢」「流動性を楽しむ姿勢」が必要になるのだろう。

チトとユーリも、そんな感じだ。一応、「上層に行く」という目標はあるものの、それは目的化されておらず、理想の住みかを夢想したり、雨音の奏でる音楽に興じたり、月明かりでビールを飲んだりする。実に「道中」を「楽しむ」、「旅」をしている。ただ、現実的な意味合いでの「生きる(生存する)」こと(暖をとる、食料の確保)は忘れてておらず、それがファンタジーに深みを与えている点は間違いないだろう。

つまり、金沢や石井にとっての「地図・飛行機」が、「リトとユーリの二人で過ごす全ての出来事(白字で書かれる事柄)」なのだろう。実際に、4話(神様回)で停電し、リトを見失ったユーリが銃を見つめていた描写があったが、あれは「リトがいなくなったら自分も死ぬ(自害)」ということで、二人が楽しみながら気楽に生きているように見えて、実はかなり危うい精神バランスの中で生きていることが分かる。

最終話、リトとユーリ以外の人間が生きていないとした点も深い。金沢や石井、お祖父さんも死んだのかな。リトとユーリと、その他の人間との違いは、独りか否か。人は独りでは生きていけない、生きていてもしょうがないということか。

最終話は、これら長々と書いてきたことを総括するものだった。リトとユーリは、「互いさえいれば、世界の終末すらどうでも良い」「勿論、最上層(月)を目指す。何もないかもしれないけど」「次は、風の吹く方向に行こう」などと言う。毎回のEDで流れる「終わるまで終わらない」というメッセージ。

実に、(哲学的な意味での)「旅」を意識した名作だったと思う。

しかし、これは多分、このアニメの伝えたいことの一部にしか過ぎないのだろう。考えるべき点は、さらいきれないくらい多かった。

みなさんは、この作品に多分に含まれた「余白(哲学的な問い)」に何を思ったのだろうか? レビューを楽しみにしたい。

〈まとめ〉
◎哲学的な問い
○美しい背景と、力の抜けたキャラのギャップ
◎世界観を上手く表現したOP、ED
○クスッと笑えるCパート
◎ラストが納得のいくアニメ
{/netabare}

【視聴終了(小盛り要約バージョン)】
{netabare}
「移動」と「旅」の違いは、「移動=目的地に着いてから楽しむ、移動は手段」「旅=目的地までの道中を含めて楽しむ、移動も目的」だと思う。

本作のタイトルは少女終末「旅」行。リトもユーリも「旅」をしている。

彼女らにも「目的地(上層)」はあるが、それ以上に、「二人で過ごす」「道中」を楽しみ、大切にしている。それは、いつかやってくる「死(終末)」を怖れるより、「今ある生(人生)」を楽しもうという姿勢に感じられる。

この作品に多くある「余白(哲学的な問い)」に私は、そんなことを思っていた。皆さんはどうだろうか?
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
ポストアポカリプス系かな。凄いゆったり進むし、雰囲気だけ出してストーリーを進めないとは、なかなか勇気のある1話目。

2話目
独特の会話だな。少しずつ明らかになる世界観。風呂に入って洗濯して飯食って終了。

3話目
お、新キャラ? 生きる意味、か。出会いと別れを繰り返していくのかな?

4話目
デジタルアーカイブ的なこと? ちーのイタズラ、下手すればユー、自害してたぞ(汗) なんか、ギリギリで生きているんだな。宗教の本質。

5話目
なんか、マッチ売りの少女みたいだな。芭蕉みたいでもある。何が価値を失い、価値を見いだすか。文字通り、雨音。

6話目
絶望と仲良くなろうよw 作風的に、成功するかと思ったけど、失敗か。絶望と仲良くなれた、、、か。夢(別の都市)の結末を見られなかったからこそ、また、夢をみられるという意味の笑みなのか、これで人生諦めがついたという笑みなのか。これ、日本沈没、みたいな話?

7話目
私たちはいつも迷っているようなもんだ。人生に矢印があったらつまんない。ちゃんと料理だけど、発酵を知らず、カリカリになっているのがリアル。糖分は大事だね。

8話目
生きてても死んでても、同じか。人は忘れられたら、死ぬってやつだね。死ぬのが怖くて生きられるかよw 殴るなよ(笑) ビール、月光が溶けこんでいる。酒盛りw 酔っぱらいw すげえ素敵な月見酒。この話が一番好き♪

9話目
生きてるって、何?とか、また、哲学をw ロボット三原則的な問いかな? 命の取捨選択。無常感。命とは、終わりがあるもの。破壊の先の創造、、、共感、環境問題。

10話目
時間の制約に生きる人間。音楽。夕日のさして~あはれ、だね。人間の根元的な感覚。電波を話す生物? アイボみたいな機械の可能性が高いかな、エサとかないし。

11話目
お? これが進化の可能性? 石像のやつに似てるな。本のタイトル、「War and Human Civilization」をググってみると、「War in Human Civilization」という本が出てくる。直訳すると、「戦争と人間の文明(戦争は人類の文明)」。2006年に出版されたらしいね。元ネタかは知らんが。文化の違い。よく分からないものを怖いと思うか、興味深い(知りたい)と思うか。それが戦争になるかならないかということかな。これが、戦争。そりゃ滅ぶわ。原子力ね。

12話目
ターンAのような、エヴァのような。今を生きる人間は、歴史の先端にいるわけだしね。超展開。良いラスト、最終兵器彼女みたいだな。終わるまで終わらない。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 57
ネタバレ

めっちょん さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

これが終末世界の日常。生きるか死ぬかの日常。【レビューも中弛みの8話目!】

≪8話≫
{netabare} テーマは、
墓地。螺旋回廊。お酒。

・墓地
これも人々の心理についてのお話
人々の遺品を残してそれをあの石像が見守ってる構図
帰属意識みたいなものか
肉体は土に還り魂は宇宙に還る
結局一人の人間も何かの一部であるというのは本当のことだと思う


・螺旋回廊
螺旋を人生に置き換えるところが深い
食べて寝てぐるぐる回って同じ繰り返し

のようで確実に登ってる
みたいな話

途中で危険な場面に出くわすのもお約束
正直普通ならここで落ちて終了してるところですね
誰でも一度はこんな間一髪の体験あるのではないでしょうか
目の前に鉄骨が落ちてきたとか車が突っ込んできたとか
地震もしょっちゅうあるしね
一本先の電車や飛行機で大事故が起こったなんて経験ある人も多そう
実際毎日のようにこうやって犠牲になってる人もいるわけで
まあこうやって運命をかいくぐって今まで生きてきてるのもまた人間
まさに一寸先は闇
生きてる事自体がミラクルなのです

死ぬのが恐くて生きられるかよ―!
名言(迷言)だなw
まさにその通り
死ぬのが恐かったら何も出来なくなる
常に何らかの危険が潜んでるのが世の中
もし不運に巡り合ったらあきらめるぐらいの気持ちも無いと何も出来ませんね

・お酒
正直意味が分からないw
鼻歌のみのEDもスタッフ酒飲みながら作っただろ!と思うほど意味不明
つまりお酒とはそういうものだという事か
酒飲んで普段のストレス解消してみたみたいな話
ちーちゃんだってたまにはストレス解消したい!

酒の力借りないとやってられない終末世界は現代社会の週末世界そのものではないですか(うまいこと言ったドヤァw) {/netabare}













彼女たちはいつまで生きれるのだろう
いつまで日常を送っていけるのだろう
未来の見えない終末世界の中で
ただ生き抜くために生きて彼女たちは何を思う
その瞳の先にあるのは希望なのか終焉なのか

静かに静かに時は流れ彼女たちをこのまま呑み込んでいくのだろうか
それともいつか彼女たちをここから救ってくれる時がやって来るのだろうか

彼女たちは最後まで穏やかに笑っていられるのだろうか


彼女たちの心の中と行く末がとても気になるアニメです


≪2話まで視聴≫

極寒の中寒さをしのぐ家も無く彷徨うというのは本当にいつ死んでもおかしくない
ケッテンクラートという乗り物がどれほどの頑丈さがあるのか知らないが
もし壊れてしまったら完全に詰む
北海道においてももし吹雪の中車が故障して誰も助けにも来れなかったら確実に死にますね
毎年そんな事故が起こってます
非常に危険ですね

会話の中にも常に死を意識した心情が垣間見れますね
天国がどんなところとか既に私たち死んでるんじゃないかとか
このまま静かに眠るように人生を終えても悪くないとさえ思っててもおかしくない状況ですね

意外と二人は異なる価値観で常に衝突して喧嘩してますね
言葉遣いも荒く攻撃的な口調が多くお互いを牽制し合ってる心情が読み取れる
これも余裕のない環境が引き起こす日常ですね
それでもそれが成立するのは二人の力、影響力がバランス取れてるからです
まあ基本二人は見た目と違ってしっかりしてますね
お互いを一方的に頼る事も無く自分というものをしっかり持っています

しかしここでもいつそれが崩れるか分からないという危なかっしさも感じます


常にどこか緊張感の漂う不穏さが独特の味付け、ピリッとしたスパイスになってる作品です


{netabare}
唐突な魚にはビックリしましたね
いかにもこの世界には似合わない珍しい出来事です
それゆえ魚の描写と合わせてなんだかリアリティーを感じないエピソードでした
まさかホントに夢の世界なのかね

上層部から来たという事は大きな希望ですね
上層部には生き物が生きられる環境がまだ残ってるという示唆ですね

日常ものではありますが上を上を目指す展開はRPGっぽくてワクワクしますね {/netabare}


≪3話目≫
何というかギミック?が素晴らしい
乗り物やら道具やら建造物やら細かくリアルに描いてます

{netabare}カナザワさんには同情した
生きる意味というのは人それぞれ
それを失う事ほど辛い事は無い

チトにとっては本、ユーリにとっては食べ物とお互い皮肉を言い合ってますが
実は二人が一番生きる意味を維持してるのはお互いの存在なんじゃないかとふと思いました
もし一人だったらとっくに生きる事をあきらめてたかもしれません。
それゆえに相手の大事な物に対して嫉妬したり

いろんな事を考えさせられる深いテーマのある作品ですね {/netabare}


≪4話≫
信仰についての非常に分かりやすい説明
光と闇
安心と不安
でもただの石像じゃんw
ちーちゃんが神なのでは?
いや私こそが神だ!w


≪5話≫
{netabare}ユーリ「家って何のためにあるんだっけ。」
チト「家が無かったら暮らしていけないだろ。」
ユーリ「今の私達には家ないけど~。」

なんつー深い会話
こういった暗喩的ないろいろな意味を含む会話がいちいち胸に残る

ユーリは何も考えてないようで相当賢い
その心の中ではいろんな思いを秘めていることが分かる
どちらかというとちーちゃんがやり込められてる事が多いですねw

普段何気無く住んでる家。その家の大切さを語る
こんな普段気付かない事がこのアニメでは改めて考えさせられる

ちーちゃんの夢はやはりちーちゃんの深層心理を現わしてる
ちーちゃんにとってゆぅは大きな存在であり
気をしっかり持たないとゆぅに食われる
ある意味ちーちゃんが弱気にならずしっかり出来てるのもゆぅがいるからだと考えられますね
不思議な二人の関係です

音楽
1つ1つから出る音はそれぞれ違ってそれが合わさって音楽となる
1つの音が挿入歌まで広がっていくラストは良くある海外のCMっぽい
音楽の本質を表現する実に良い演出

挿入歌「雨だれの歌」
歌:チト(CV:水瀬いのり)、ユーリ(CV:久保ユリカ) {/netabare}


≪6話≫
{netabare}イシイさんの希望と絶望回。

キャッチコピーの1つ「絶望と仲良く」
その意味を1つの視点と人物から描いたのかなと思われます

イシイさんには「空を飛ぶ」「隣の都市へ行く」という明らかな希望があった
こんな世界だからこそちゃちなプロペラ飛行機であっても、
空を飛ぶという事はとてつもなく大きな夢であり希望であったと言える
歴史が証明するようにそれは人類共通の夢の代表とも言える

終末世界での最後の夢、希望はしかしあっけなく散ってしまった

地図を作ってたカナザワさんはまた作ればいいさとまだ希望は残ってた
しかし今回は恐らく人類最後の飛行者と言ってたように明らかに希望が1つ失われた話だったと思う
二度と飛行機は作れないし隣の都市という希望も無くなった

残されたのはそう「絶望」です
それこそカナザワさんの時のように「生きてても仕方ない」「死なせてくれ」と呟いてもおかしくない

でもなぜかイシイさんは晴れやかで笑っていた
ユーリは「仲良くなったのかな。」「絶望と。」
と言った

この心理こそがこの作品に終始流れてるテーマ「絶望と仲良く」の意味だとしたら
やはりこの作品には希望というものとは無縁の世界を描いてるのかも知れないですね
希望は持たずともそれでも生きていく事にはやはり意味はある
二人を見ているとそんな気がしてくるのです {/netabare}


≪7話≫
{netabare}ちーちゃんほんと可愛いな
守ってやりたいタイプw

ゆうはいざとなったら頼りになるタイプ
じつはこういう人間が一番強い
人は逆境や極限にいる時にこそ本性が出る
普段どんなに立派な人を装っててもいざとなったら逃げだす人のなんと多い事か
いざという時にこそ動けるそんな人間になりたいと僕は思うのです

だから普段は多目に見てねwテヘッw


高層ビルや高い所に居ても安心出来るのは何故でしょう
足元にしっかり支えてる土台があるからですね
人が高い所に居られるのも土台があるおかげだという事を忘れてはいけませんね
土台が崩れれば一人の人間なんて儚いものです
常にいろんなものに支えられ生きているそれが人間なのです

調理してる時の二人すごい楽しそう
幸せへの過程とはこんな風に幸せなものなのです

締めは「甘いって幸せだよねー。」
これまた深い深い言葉です {/netabare}


OP
ボカロっぽい曲と思ったら作曲毛蟹Pはボカロもやってるっぽい
ミクさんに歌わせたらしっくりくる




※【余談】
スマホを持ってる人は「脱出ゲーム スライドプリンセス」というアプリを紹介しておきます
けものフレンズとも共通する非常に似た世界観を持ったゲームです

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

淡々とディストピアを味わう

終末旅行と言うだけあって人間がほとんどいないディストピアを車のようなものに乗って駆け巡りつつ、起きるとりとめのない作品。

全く人間がいないと思いきや{netabare}地図を作って旅をする人や飛行機を作って遠い世界へ旅立とうとしている人に出会う。前者はエレベーターに乗って落としちゃって精神的にまいりながらもなんとか立ち直る。後者は飛行機は途中までしか飛ばなかった。なんとかパラシュートで脱出したけれども。そんなにがっかりしている感じもなし。{/netabare}

よくわからない石像がいっぱいあったり、戦争の残骸があったり、{netabare}最後のほうは謎のきのこみたいな奴らがでてきたり、{/netabare}
それでもチトとユーリの食事を巡る掛け合いなどが中心で本当に淡々としている印象を受けた。
穏やかに見られた。ただ、キャラデザは独特。


OP
動く、動く 歌 チト(水瀬いのり)、ユーリ(久保ユリカ)
ED
More One Night 歌 チト(水瀬いのり)、ユーリ(久保ユリカ)
挿入歌
雨だれの歌 歌 チト(水瀬いのり)、ユーリ(久保ユリカ)
フニクリ・フニクラ
ノクターン Op.9-2
主題歌がなんか可愛い。ディストピア感があまりない。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. 「星空」「戦争」
文明が崩壊し、全てが滅んでしまった世界で、ふたりぼっちになったチトとユーリは、延々と続く廃墟を愛車ケッテンクラートに乗って旅をしていた。しかし、ユーリのふとした思いつきで建物の内部に入った二人は、そのまま道に迷い、外に出ることができなくなってしまう。陽の光も当たらない暗闇の中で、自分たちがどこにいるのかもわからないまま、時間の感覚すら失い始めた頃、眠りから目覚めたチトはわずかに流れている風に気がつく。

2. 「風呂」「日記」「洗濯」
見渡す限り一面の銀世界をケッテンクラートに乗って走るチトとユーリ。雪はしんしんと降り続き、ケッテンクラートが走ったあとのわだちもすぐ雪に覆われていく。ユーリは荷台でいくつもの雪玉を作っては並べながら、チトにここはどこなんだろうと尋ねるが、答えなど出るはずもなく、徐々にその勢いを増していく雪と風。吹雪の中で本格的に生命の危機を感じ始めたチトとユーリは意識を失いそうになりながら、寒さを凌げる場所を探す。

3. 「遭遇」「都市」「街灯」
巨大な溝のそばで、溝の向こう側に渡るための橋を探すチトとユーリ。しかし、どこまで行っても延々に溝が続くだけで、向こう側に渡れそうな橋は見当たらない。そのときふと煙草の匂いがすることに気がついたチトが匂いの方を見ると、まだ火がくすぶっている吸い殻が落ちていた。警戒して辺りを見回すと雪の上に足跡も残っている。近くにいる何者かを警戒し、銃を手にしたユーリにチトは弾を込めるように指示を出す。

4. 「写真」「寺院」
生まれて初めて見るカメラを手に試行錯誤しながらユーリの写真を撮るチト。何とかピントは合ったものの画面が全体的に白く上手く撮れたとは言い難い。撮影を止め、ケッテンクラートに乗って走り出すチトとユーリだったが、カメラに興味津々のユーリはチトが首にさげているカメラを取り、写真を撮り始める。運転中のチトに声をかけ、写真を撮るユーリに、運転中によそ見をすると危ないと言うチトだったが、時既に遅く石像にぶつかってしまう。

5. 「住居」「昼寝」「雨音」
いくつもの建物が連なった巨大な団地にやってきたチトとユーリ。電気や水道といった設備はまだ動いているが、人は誰もいない。かつてはたくさんの人々が住んでいた家だった場所を探索しながら、家について考える二人。探索を続けるうちにまだドアがついている部屋を見つけた二人が中をのぞいてみると、そこには二つのソファが残されていた。ソファに座ったチトとユーリは背にもたれかかり、一息つきながらお互いの理想の部屋について語り始める。

6. 「故障」「技術」「離陸」
故障して動かなくなってしまったケッテンクラートを修理するチトの横で、仰向けに寝転び、空を眺めているユーリ。板金をしゃぶりながら鼻歌を歌うユーリに、少しは手伝って欲しいと告げるチトだったが、返ってきたのは断りともっと絶望と仲良くなろうよという返事だった。このまま直らなかったらどこにも行けなくなってしまうと溜息をもらすチト。そんなときユーリの視界に空を飛ぶ何かが飛び込んでくる。

7. 「迷路」「調理」
イシイが描いてくれた食料生産施設への地図に従ってやってきた建物の中には大小様々なパイプが縦横無尽組まれた空間が広がっていた。上も下も右も左も前も後ろもパイプしか見えない。そこから先については行けばわかるとしか書いておらず、仕方なくパイプの上を歩きながら進んでいくチトとユーリ。しかし高いところが苦手なチトは、足を踏み外せば命を落としてしまうであろう高さに耐えきれず、その場にへたりこんでしまう。

8. 「記憶」「螺旋」「月光」
視界の果てまで続く広大な敷地の中に整然と並ぶ無数の引き出しがついたいくつもの壁。引き出しは欠落している箇所を除けば、ほとんどぴったりと閉じていて開けることができず、開けることができたいくつかの引き出しも空っぽか役にも立たない価値のなさそうなものが入っているだけ。そして壁の終わりのほうに見覚えのある石像を見つけたチトとユーリは、石像の写真を撮り、カメラをくれたカナザワのことを思い出す。

9. 「技術」「水槽」「生命」
まだ所々電灯がついている薄暗い場所をケッテンクラートに乗って進んでいたチトとユーリ。そんな中、チトが地面に何かが打ち付けられるような音に気がつく。警戒しながら音の正体を探ろうとする二人。連続して聞こえるその音は徐々に大きくなり、次第に地面も音に合わせて振動を始める。暗闇の中から目の前に現れたのは長い足を持つ巨大なロボットだった。ロボットはチトとユーリの眼前を通過し、また暗闇の中へと消えていく。

10. 「電車」「波長」「捕獲」
駅のホームにやってきたチトとユーリは、そこに到着した電車にケッテンクラートで乗り込む。瞬く間にスピードを上げて進んでいく電車の窓の外に広がる巨大なプラントが立ち並ぶ施設に圧倒される二人。電車は施設の上に架けられた高架橋を通り、トンネルへと進んでいく。見るものがなくなってしまったチトとユーリは、暇を持て余し、電車の先頭車両へ行こうとケッテンクラートを走らせる。

11. 「文化」「破壊」「過去」
大穴の中で見つけた猫のような謎の生き物を拾ったチトとユーリ。ヌコという名前らしいその生き物に銃弾を食べさせているユーリを見て、驚くチトだったが、ヌコは銃弾をお気に召したらしく、もっと食べたいとねだる。ユーリが拾ってきた大小様々な銃弾の中でも大きな20mmの銃弾を頬張るヌコを横目に、建物の中に何かを見つけたチトは、ケッテンクラートの進路を変えて、建物の中へと入っていく。

12. 「接続」「仲間」
巨大な潜水艦の中を探索しながら、昔の人々がどんな暮らしをしていたのか知りたいと言うチト。ユーリになぜそんなことを知りたいのかと聞かれるチトだったが、上手く言葉にできない。潜水艦の中で見つけたチョコレートを食べるユーリに、チトがカメラを向けてファインダーを覗くと、そこに何か文字が浮かび上がる。何が起きているのか把握する間もなく、チトとユーリの前に浮かび上がったのは、これまで撮影してきた写真の数々だった。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

68.5 2 ライフルで友情なアニメランキング2位
クオリディア・コード(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (656)
3208人が棚に入れました
人類の敵――〈アンノウン〉と戦争を続ける世界。

 数十年前の〈アンノウン〉侵攻時、コールドスリープ施設に避難させられていた子供たち­は、その眠りから目覚めたとき、己の身に超自然的な力――〈世界〉が発現していること­を知る。東京湾ゲートから現れる〈アンノウン〉から国を護るため、少年少女たちは東京­・神奈川・千葉の各防衛都市で戦いを繰り広げるのだった。

東京をさがら総、神奈川を橘公司、千葉を渡 航が担当し、
“QUALIDEA”を作り上げる。

声優・キャラクター
悠木碧、福原綾香、斉藤壮馬、石川由依、内田雄馬、安済知佳
ネタバレ

るるかん さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

結局無難なお話でしたが、観て損というわけではない。

12話{netabare}
大方の予想通り、葵が最後にアンノウン側に寝返り敵となったが、最後
のバトルはあっけなく地球を代表する6人がアンノウンを殲滅に追い込ん
でめでたしめでたし・・・。1クールで無難にまとめた感じがします。
最後はカナリヤの歌が皆に勇気を与えて大逆転勝利っていうシナリオなん
だろうけど、無難で陳腐すぎ・・・尺の関係もあるから仕方ないのかも
しれないが、最後のバトルはもう少し中身のあるバトルにして欲しかった
感じがします。作画は良くなかったけど、そこそこ楽しめたので、この
作品はそれで良しってことにします♪{/netabare}
11話{netabare}
いよいよ戦いは佳境に入りました。千種のお母さんが負傷して、6人は
アンノウンとの戦いに向かう。葵は最後になにかしでかしそうな感じが
漂っているが、コールドスリープの子供達は助けられるのかな?
アンノウンの侵略の事情ももう少し詳しく知れたらよかったが、概要は
つかめた感じで、ストーリーはいいんだよね。作画はいつも通りでした。
これ、DVDで作画直したりしないよな・・・。{/netabare}
10話{netabare}
どうも作画の雑さが際立っていたように感じます。引きの作画は適当
なのか・・・背景もなんらこだわりのない殺風景な感じが目立つし、
アップの作画以外は気になって仕方なかったけど今に始まったこと
でもないから・・・で済まないよなぁ・・・。千種兄妹のお母さん、
ちょっと無駄に明るすぎてうるさい。カナリヤ一人で勘弁して欲しい。
さて、本当の戦いはこれからなのだろうが、日本に残るコールドスリ
ープに入った子供たちの救出は可能だろう。しかし、コードをつけている
仲間達は殺すわけにはいかないよな・・・。面白いストーリーだし、
キャラの個性も好きなんだけど、ほんと作画がね・・・毎回言うけど
もったいないよ。{/netabare}
9話{netabare}
カナリヤが戻ってくるまで、じっくりと作ったね。見えている世界は
偽物で、真実は植物系の何かに浸食されている感じでしたが、アンノ
ウンに見えていたものは、実は本当は人間の姿なのかな?そして、管
理局で視覚を制御されている者は、人間がアンノウンに見えて、侵略
者が人間を操作し滅ぼそうと画策していたってことかな・・・。
いずれにしても、なかなか面白い内容なのに、作画が相変わらずで惜
しいね。{/netabare}
8話{netabare}
この世界が人為的に作られ操作されている世界だとしたら、その理由は
なんだろう。ここにきて話の内容が興味深くなってきました。本当の
世界があるのでしょうか・・・そしてそれはどのようにして掴み取ること
ができるのでしょうか?首の後ろにあるチップが空想?世界の原因だと
思うが、もしかしてアンノウンの方が現実世界からの使者だったりする
とか・・・考えすぎかな?後半になってグッと作品の重みが出てきたね。
見続けて良かったです。{/netabare}
7話{netabare}
ほたるが舞姫の危機を救うが、ラストはどういうことだ?舞姫のコード
板がアンノウンに撃たれてから、姫の力が一気にダウンしたということ
は姫はどうなるのか?本部で管理するための電子的識別コードだけの意
味あいじゃないのかな?ちょっと謎。そもそもQualideaって英語は無い
し、これはいったいどういう意味なのかな?Qualifyって動詞があるけ
ど、名詞・形容詞形は―deaが語尾に付く形はないし・・・なんだろね?
英語じゃないのかな?謎だったため、外国のwikiでも調べたが、タイト
ルは、Kuoridia-code? みたいになってて、ローマ字表記でした。
あまりこだわる必要も無いのかもしれないけど気になります。ちょっと
謎が多いので、最後まで観ますw 結構面白くなってきましたが、これ
で、ほたると舞姫まで消えてしまうとか無いよな・・・。なんか見落と
してたかな?録画を観直している時間がないから、次週注目します。{/netabare}
6話{netabare}
アンノウンの大襲撃の指揮にあたる舞姫の過去のエピソードを挿入した
戦闘シーン。舞姫の正義を貫く熱い血は祖父譲りなんだね。そして、仲
間を信じ仲間の為に戦う熱い気持ちの根底にはほたるとの絆が存在して
いて、それはそれで美しい話だと思った。壱弥はただぶち切れてしまっ
たが、戦っているだけマシだなw 次週はほたるちゃんが加勢して、千
種兄妹が東京に到着して、どうにかなるのか?40分もたせれば大丈夫と
いうことだったが・・・。{/netabare}
5話{netabare}
壱弥のカスっぷりは半端無いな・・・。最初の威勢はどこへやら・・・。
ただ、壱弥が塞ぎこんでるおかげで、千種兄妹の会話が多くなり面白い。
明日葉の『うける』を聞くとちょっと笑っちゃう。姫はいい子だね~。
でも、心に深い傷があるようだ。ところで・・・カナリヤはどうなった
んだ?作画は相変わらず所々手抜きっぽいとこあるな・・・w{/netabare}
4話{netabare}
壱弥の最初の傲慢さの必要性は理解できた。壱弥が仲間の重要性を知り
丸くなる所までの4話ですな。しかしさ、やっぱ舞姫が一番強い感じが
します。だけどさ・・・どうやってやっつけたのさ?肝心のとどめの
一撃が作画されなかった理由が分からんな・・・。止め画で戦闘終了し
いきなり舞姫の勝利宣言って・・・あまりにも手抜きすぎないか?
あと、戦闘に歌が出てくるのは好きじゃないな・・・。なんか調子狂う
よ。千葉の兄妹はいい味出してるよね。いいとこもあるけど、荒削りな
面も多くて・・・、でももう少し見ちゃうかなw。
カナリヤはどうなったんだろうか・・・?{/netabare}
3話{netabare} 
相手の力量も測れないような首席でいいのかな?・・・と思いつつ、カナ
リアの歌が止まると、壱弥の戦闘能力が存分に発揮できないことが露呈し
た。その程度であの自信は過剰だよね。舞姫の方が断然強そうだな。
ただ、壱弥はいいとこある奴だということは分かった。強大なUNKNOWNに
対し、3校でどのように戦うのか、次週注目って感じですね。舞姫だけで
勝てんじゃないのかな?・・・とも思いつつw{/netabare}
2話{netabare}
壱弥が1話ほど強烈でなくなったので見易かった。これくらいの気性の悪さ
なら十分耐えられる。霞の存在が壱弥にマイルド感を与えていい関係に思え
る。ある程度メインキャラの紹介は済んだ感じでしょうか。そこそこ楽しめ
そうなキャラの集まりだということが認識できました。あとはストーリーが
どうなっていくのか・・・。{/netabare}
1話{netabare}
まず壱弥が胸糞悪くて嫌い。とても酷い性格で気分を害する。そういう
性格になった訳もあるんだろうけど、これがメインキャラだと、観る気が
失せそうだ。キャラ画もかなり雑な部分が目立つし、戦闘と爆破の作画に
関してはそこそこ力が入っているようだけど、決して綺麗な画ではない。
話もたいして面白くないし、UNKNOWNとの闘いの中で繰り広げられ
る人間模様に興味をそそられない。
別に視聴継続しなくてもいいかな・・・と思うような1話だった。 {/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

オマージュの果て

【2016.09.30 少し修正整理】

作画が弱いと一目でわかる。それだけに、これさえなければという印象を持ちがちなのだが、本当にそうだろうか。


序盤の設定を見ると、いわゆる「テンプレ」の、異能で世界を守る学生ヒーローもので、主要キャラクターたちも人気のライトノベルからピックアップしてきたような類型性を強く漂わせている。
だが、無自覚に類型をなぞった安直さよりも、妙に自信のありげな、確信犯的な迷いのなさを感じさせるものだ。


{netabare}創作物は先行作の影響の上に誕生してくるものだが、「世界を守る異能力学生(集団)」のテンプレは、おそらく「セカイ系」を源流としている。

社会領域を排除し、キミ/ボクのセカイが世界の存亡という破滅的状況と直接に重なる「セカイ系」は、さらに遡れば『新世紀エヴァンゲリオン』にたどり着くだろう。

正体不明の由来のしれない圧倒的な暴力が理不尽に襲い掛かり、破滅寸前である世界を救うため、基盤も仕組みも分らない「陰謀組織」の得体のしれない権力が、少年少女を意義の不明な死闘へと駆り立てる『エヴァンゲリオン』世界。

ここから、子供の目には理不尽な運命を残酷に押し付ける得体のしれないブラックボックスのような「陰謀組織」に見える「社会」を、すっぱりと整理して消去し、子供の「理不尽なセカイ」と「理不尽に破滅する世界」を二重化する方向へ純化したのが「セカイ系」と言えるだろう。

そして「世界を守る異能力学生(集団)」のテンプレは、「セカイ系」から、キミ/ボクの関係が世界の命運を決定する=ボクの行動がそのまま世界をコントロールしているという、幼児的な「全能感」の快楽だけを抽出して消費する、「セカイ系」の自堕落な頽廃形態を量産するための「テンプレ」として生じているようだ。

本作の設定やキャラクター造形は、明らかに「テンプレ」をなぞっているのに、「セカイ」の造形に「陰謀」的な得体のしれなさを匂わせることで、「セカイ系」の更にその源流の先行作へ向けてオマージュを捧げているような、意図的な作為感を漂わせる。

この印象は、中盤から終盤にかけ、この「世界」が、「学生」の全能感のための「テンプレ」ではなく、学生を支配下に置くための舞台装置であったことが暴露されることにより、やはり先行作品へのオマージュないしは回答であったからだ、と示しているように思う。

「テンプレ」を疑わずに「学生」に感情移入して「世界」の支配感を甘受していた視聴者は、「世界」の最下層を支える部品に過ぎなかったという「真の」設定を前に、衝撃を受けることになる。


このような仕掛けにもかかわらず、本作が退屈で雑な視聴感しか与えないのは、設定やストーリーに注力しているように見える割に、アニメというビジュアル表現に対して意識が不足しているような印象を感じさせるからだ。

それは、作画が乱れている、といった水準の話ではない。

明らかに戦闘に不向きなスクールユニフォーム的な制服で戦闘する。
人間が無造作に空中浮遊し、自在に空を飛ぶ。
掌をかざしたり、剣を振るだけで遠距離の巨大な敵が爆発する。
等々…

セリフがいかに勿体ぶって意味深長であろうと、それを表現するビジュアルがこのように安易で工夫のないものであれば、アニメという映像表現として説得力が激減するだろう。

異能力によって空を飛んだり敵を爆破するのはいいとして、そこに超常的な力が作用しているのだという映像上の表現が無ければ、他人の夢を説明無しに見せられているようなもので、「凄いことが起きている」という作中の状況に対して白けた距離感しか生まれない。

明らかに映像表現として質を高めようという意図の見えないビジュアルは、そもそもこのストーリーをアニメとして表現しようとする意欲があったのかとさえ疑わしく感じさせる。


そのストーリー自体も、ビジュアルが「テンプレ」の約束事に寄りかかって工夫を放棄した安易なものであったように、やはりオリジナルな工夫は無かったのだとラストで暴露される。

キャラクター各人の異能を「せかい」という明らかに不自然で耳障りな用語で表現していたのは、この「セカイ/世界」が、個々人のセカイ=価値観の闘争の場であると示したかったからであるようだ。

だが、価値観の相対的な優劣が「世界」を形作るとは、現実の価値相対主義を単に追認しているだけであって、改めて創作物として世に問うような何らかの「作家的主張」でも新たな「知見」でもない。

しかも、オマージュを捧げた先行作において、理不尽な暴力をもたらす「敵」が本質的に理解不能な「謎」の存在であったのに対し、説明の可能な侵略行為という「理解可能」な「敵」を設定することで、「異次元」の敵との闘争もまた、価値相対主義に回収されてしまう単なる価値観の闘争という現実の物まねに矮小化してしまう。

先行作に対して「説明」という「回答」を返したように見えるものの、先行作が、価値相対主義の現実を「理解不能な敵」を創造することで撃とうとした地点から、完全に後退してしまっている。

その「価値相対主義」も、結局のところ徹底的に闘争されることはなく、「大人」から勝利を「禅譲」されるようなラストが、本作を、安易で自堕落な「全能感」の満足へと着地させる。

大人と若者の間の壁は普遍的で、若者はいつの時代も「壁」を越えようとする。

本作においても、大人の「世界」を打ち破り、「若者」の世界を創造する「進化」を描こうとしたのかもしれないが、ギリギリの最後の最後で「大人」が退いて勝利を譲るような描写は、近年の若者の主張が、大人との闘争を避け、「居場所を「譲って」くれないのはおかしい」、「後進に道を譲って「くれない」のは間違っている」という「要求」である事態を追認しているとしか見えない。

「要求」する若者が「闘争」しようとする若者の足を引っ張る現実に背を向け、消費者根性が染みついた「要求」を描いてしまう本作は、挑戦的な見せかけにもかかわらず、幼児的な「全能感」の満足を企図した「テンプレ」からやはり脱してはいなかったのだと落胆させる。


ストーリーの貧しさに加え、映像表現の貧しさが、単なる娯楽として視聴することも不可能にした。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

waon.n さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

清々しいほど分かりやすい

 キャッチしている人のレビューみて気になったので、観はじめたら止まらないで一気に視聴してしまった。
 別にラノベ原作だからとかでスルーしていたのではなく単純に気づいていなかったんだよな。ということで、少しでも認知されるべくレビューを書きたくて仕方のないそんな作品。
 ただし!
 別に素晴らしい作品というわけでもないのがじれったい。
 そして、なんかレビューしたくなる作品だったことをここに記す!

ライトノベルが原作。
 物語は、終末後の世界感で非日常であり、完全なファンタジー路線ではあるものの、学生をメインに持ってくることで、日常を同時に描きつつラノベらしい長ったらしいセリフ回しの会話劇を楽しめると妙な没入感に浸れる。
 この長いセリフ回しを演出で全て回収しているのが化物語っている化け物みたいなすごいアニメもあるけれど、そこまでは期待してはいけない。

 このアニメをレビューするにあたり調べてみたところ、どうやら、ラノベ界では有名人の3人が別々のレーベルから同名の作品を出すという新しい試みから生まれたものらしい。
 作者によって描く主人公が違うという点はまず抑えておきたいポイントだろう。ちなみにこのなかの3人では渡航しか知らなかった。言わずもがな『俺ガイル』の作者だ。

ライトノベルが原作だということは
 ライトノベルの特徴としては、現実逃避感が他の作品よりも色濃く出てる。これは割と謎の現象だとずっと思っている。
 そして、私としては一番ラノベ原作アニメの好きなところでもある。
 ちなみに、現実逃避感=世界観の破綻ではないので誤解のないように。悪い意味のように聞こえるかもしれないけれど良い意味のつもりで書いている。
 だからここが受け入れられない人は世界観が破綻しているように見えるし感じるしつまらないものになってしまうのだろう。
 そもそも、映像作品であれば、どこかに現実逃避したい欲求があるだろうに、なにも隠すことはないと思うのだがな(揶揄)。
 もちろんなかには本当に破綻しているものも少なからずあるから、アレルギー反応的に見ないという層があるのも納得できてしまうのも悲しい。
 しかし、この現実逃避モードに入ってしまい、没入感に浸ってしまうと、最終回にはあーもうこの仲間たちと物語を楽しめるのはこれでお終いかと喪失感が半端ない。
 これをのんのんびより病ともいう(いわない)。
 この作品の最大の魅力はここにあると私は思う。ただし! この没入感へ誘われることができるのは一握りの上級者のみ……(良いか悪いか判断できない)。

キャラ設定のバランスが良い
 強い個性を持ったキャラが登場するのは割とライトノベルらしさの一つで、ここイコールで作品の魅力として読まれているものもあるだろう。面白いかは別にして。
 今回の作品では東京、神奈川、千葉と3つのグループに分かれていて、それぞれがペアのような形で戦闘をおこなったり日常を楽しんでいる。
 このペアリングを紹介しよう。

まずは東京!
 主人公タイプの男で中二病とドジっ子でヒロイン。
 王道ラブ個風。

次に神奈川!
 脳筋元気少女と冷静だが主席の全てを肯定する女。
 百合っぽい。
 
そして千葉!
 ネクラ兄とツンデレ妹。
 どっかでみた兄妹……千葉でヒッキーで妹的にポイント高そう。

 キャラ設定と、ペアリングがある程度考えられているのも見どころであるが、さらに中二とネクラのやり取りはBLへの守備もカバーしているようにも見えなくはない。(ここ試験に出ます)

主人公が変わっていく構造。
 これは新しい試みのためにそうなったと思っているというかそうせざるを得ないのが、主人公は誰? って話。
 それぞれの本で主人公がいてそれを一つの話にまとめるとなると、ブレる。だから最初から序盤は東京、次に神奈川、最後は千葉で、みたいに恐らく決まっている。もしかしたら原作の段階でもそういうプロットになっていたのかもしれない。

 実はすごく難しいけれど、やっぱり作家なのかね、ちゃんとまとめきった感じはある。この構造も話の流れからすると凄くフィットしてるから不自然にならずに普通にやられたって感じだった。
 んな簡単に壊れるかい! ……みたいなツッコミを入れたくもなったけれどね。タイムスケジュール的に難しいだろうというところか。
 でも、「作画が良かったらな」とも不思議と思わない。そんなの抜きで面白かったと言える。

 いつもなら、絵ガー、音ガーとかそんなレビューもするんだけれど、あんまり書きたくないっていうのが正直なところ。
 作画の良い例と悪い例の両方を2:8位の割合で楽しめるのでおススメだ。この対比が良い所を際立たせることに成功している……もうやめよう。
 きっと複数レーベルに渡ってチェックしていたらあれ?? 思ったより時間取られるからちゃんと描く時間ないね。って感じだったことにしよう。

 ちなみに音楽は謎に力を入れていて、OPもEDも12話なのに変わってたような気がする。っていうか全部良いよ。カッコいい。ClariSとGARNiDELiAが一緒に歌うとかちょっとやってくれた感ある。

 さて、ここまで読んでもらえたらきっとこの作品を観たいと思ってくれることだろうと期待してネタバレはなしで書いてみた。見たことない人がここまで読むかという根本的なところもある。

 早く書きたかった理由はここで、作画が駄目だからこの作品はダメだとかラノベ臭が半端ないからダメだという意見に飲まれてほしくないという理由からだった。睡眠時間をちょっとずつ削って二日かけて書いてみました。どうぞこの下にあるハートマークをダブルクリックしてください。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
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