でこぽん さんの感想・評価
4.4
旧作には旧作の良さがあるが、新作には新作の良さがある
言わずと知れた1970年代に放送された宇宙戦艦ヤマトのリメーク版です。
実は旧作は、放送当時は視聴率が低迷して当初3クールの予定が2クールに変更されたのです。
そして原案ではキャプテンハーロックも登場するはずでしたが、期間が短くなったために登場しませんでした。
私は古い人間ですので旧作のほうに愛着がありますが、
新作である2199は、以下のように素晴らしい点があります。
・絵が昔と比べて遥かに遥かに美しい。
特にメカニックデザインが精密で迫力があります。
・以前の女性乗組員は森雪一人でしたが、今回は大幅に増えており、彩があります。
特に戦闘部隊の山本は旧作では男でしたが、
今回は凄腕パイロットの美しい女性として描かれています。
・イスカンダルの登場人物も増えており、物語に奥深さがでました。
・ガミラスの内部事情が詳しく描かれており、敵ですが共感する箇所が多く感じられます。
特に冥王星前線基地司令官シュルツの家族愛や、同じガミラスでも人種差別があり、
シュルツが憤りを感じる点、
そしてドメル司令官だけが部下を人種差別せずに大切にしているのには共感しました。{netabare}
ドメル司令官が最期に自爆覚悟でヤマトに突撃する際、部下全員に退艦命令を出したのですが…、
誰も従いません。一人も退艦しません。
ドメルが「なぜ退艦しないのだ!」と怒ると、部下たちが平然と、
「生きて帰れたらこれは命令違反で軍法会議ものですね!」と、うそぶくセリフを吐きます。
みんなは最期の一瞬までドメルと一緒にいたかったのです。
ドメル司令官は多くの部下から慕われている素晴らしい上官でした。{/netabare}
ただ、旧作には旧作の良さもあります。
・オープニングの「宇宙戦艦ヤマト」の歌にはささきいさおさんだけでなく、
女性スキャットの美しく神秘的な歌声がありました。当時の多くの男性ファンは、
ささきいさおさんの歌でなく女性スキャットの声に憧れていたようです。
・そして何よりも、旧作は古代進の人間成長物語でした。
最初は沖田艦長を『兄を見殺しにした男』と恨んでいましたが…、
沖田艦長も同じ冥王星海戦で御子息を亡くされたことを知り、
様々な出来事のたびに沖田艦長へのわだかまりが少しずつ解け、
逆に誰よりも尊敬する人へと変っていったのです。
音楽は、宮川泰さんの素晴らしいBGM。それは昔も今も変わりません。
神秘的で美しく、そして戦闘時には激しく勇ましく、そして故郷を思う際には哀愁を感じる曲
BGMはこの物語には絶対に欠かせないものです。
旧作を見てられない方は、機会があれば見ることをお勧めします。